JP2010224098A - 光学積層体および偏光板の製造方法 - Google Patents

光学積層体および偏光板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
反射防止層の形成工程などのように熱が加えられる工程を行った場合であっても、反り
などの発生がなく、高品質の偏光板を得ることができる光学積層体、および、偏光層の片
面に透明樹脂フィルムを貼り合わせた偏光板の製造方法であって、この光学積層体を用い
る偏光板の製造法を提供する。
【解決手段】
ヤング率×厚みの値が60GPa・μm〜200GPa・μmであるテンポラリーフィ
ルム、固有偏光子、および透明合成樹脂フィルムをこの順で積層してなる光学積層体、こ
の光学積層体の透明合成樹脂フィルム表面に反射防止層を形成する工程、前記テンポラリ
ーフィルムを剥離する工程、前記固有偏光子のテンポラリーフィルムが剥離された面側の
表面に粘着剤層を形成する工程、および、前記粘着剤層をガラス基板に貼り合せる工程を
有する偏光板の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固有偏光子(偏光フィルム)の片面に透明合成樹脂フィルムを貼り合わせた
偏光板の製造中間体として有用な製造中間体である光学積層体、およびこの製造中間体を
用いる偏光板の製造方法に関する。
ポリビニルアルコールフィルム(PVAフィルム)を一軸延伸し、脱水処理を施すこと
で偏光特性を付与して得られた固有偏光子(偏光フィルム)の片面に、トリアセチルセル
ロースフィルムなどの透明合成樹脂フィルムを貼り合わせることにより、偏光板(有機フ
ィルム偏光板)が得られる。
このような有機フィルム偏光板は、熱応力によるムラの発生原因となる透明合成樹脂フ
ィルムが片面のみに存在するものであるため、該透明合成樹脂フィルムの反対面から偏光
フィルムに光を入射することで、ムラのない高画質が得られる。また、透明合成樹脂フィ
ルムが片面のみであるため、部品代が低減できる。
しかし、透明合成樹脂フィルムと固有偏光子(偏光フィルム)との積層構造においては
、透明合成樹脂フィルムと固有偏光子(偏光フィルム)との間における線膨張率や熱収縮
率の差が大きいため、反りが発生しやすい。最終的な製品では、ガラス基板に貼り合せる
ことで保持され、反りの発生が防止されるが、フィルム製造の過程での反りは問題となる
かかる問題を解決すべく、特許文献1には、透明合成樹脂フィルム層の表面に、延伸す
ることより内部効力を持たせた所定の機械特性を有する合成樹脂フィルムを貼り合せるこ
とで、反りの発生を防止する方法が提案されている。
しかしながら、この文献に記載の方法には以下に述べるような問題があった。
プロジェクター用途を考えた場合には、透明合成樹脂フィルム(TACフィルムなど)
に反射防止処理を行うことになる。例えば、プロジェクター用の偏光板は、第1の工程で
PVAフィルムを1軸延伸し、脱水することで偏光特性を実現し、第2の工程で得られた
偏光フィルムと透明合成樹脂フィルムとを貼り合わせ、第3の工程で透明合成樹脂フィル
ム表面に反射防止層を形成し(AR工程)、第4の工程で粘着層を付加し、第5の工程で
ガラス基板に貼り合わせる工程を経て製造することができる。このとき、透明合成樹脂フ
ィルムとPVAフィルムを貼り合わせる第2の工程以降において、反りの発生が問題とな
る。特に第3の工程では温度をかけるので反りが発生しやすい。
このような場合、特許文献1に記載の方法のように、透明合成樹脂フィルム側に反り防
止フィルムを貼り合わせることが考えられる。しかしながら、AR工程中に反り防止フィ
ルムは剥がされることになってしまい、AR工程中における反りの発生を防止する効果が
なくなってしまう。また、特許文献1に記載された反り防止フィルムは、偏光フィルムと
同じ収縮方向に応力を持ったフィルムであるため、偏光フィルム側に貼り合わせた場合に
は、反り防止の効果がない。
特開平10−186133号公報
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、反射防止層の形成工程などの熱
が加えられる工程を行った場合であっても、反りなどの発生がなく、高品質の偏光板を得
ることができる光学積層体、および、固有偏光子(偏光フィルム)の片面に透明合成樹脂
フィルムを貼り合わせた偏光板の製造方法であって、この光学積層体を用いる偏光板の製
造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、PVAフィルムを1軸延伸し、脱水することで、
偏光特性が付与された固有偏光子(偏光フィルム)を得る工程(a工程)、得られた偏光
フィルムと透明合成樹脂フィルムと貼り合わせる工程(b工程)、透明合成樹脂フィルム
表面に反射防止層を形成する工程(c工程)、前記偏光フィルム表面に粘着層を形成する
工程(d工程)、及び、前記形成した粘着層をガラス基板に貼り合わせる工程(e工程)
を有する偏光板の製造方法について鋭意検討した。
その結果、a工程で得られた固有偏子(偏光フィルム)に、特定のヤング率×厚みの値
を有するテンポラリーフィルムを貼り合わせた後に、b〜e工程を実施すると、反りのな
い高品質な偏光板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、ヤング率×厚みの値が60GPa・μm〜200GP
a・μmであるテンポラリーフィルム、固有偏光子、および透明合成樹脂フィルムをこの
順で積層してなる光学積層体が提供される。
本発明の光学積層体は、固有偏光子(偏光フィルム)の片面に透明合成樹脂フィルムを
貼り合わせた偏光板の製造中間体として有用である。
本発明の第2によれば、本発明の光学積層体の透明合成樹脂フィルム表面に反射防止層
を形成する工程、前記テンポラリーフィルムを剥離する工程、前記固有偏光子のテンポラ
リーフィルムが剥離された面に粘着剤層を形成する工程、および、前記粘着剤層をガラス
基板に貼り合せる工程を有する偏光版の製造方法が提供される。
本発明の光学積層体によれば、反射防止層の形成工程などの熱が加えられる工程を行っ
た場合であっても、反りなどの発生がなく、高品質の偏光板を得ることができる。
本発明の偏光板の製造方法によれば、テンポラリーフィルムを有する本発明の光学積層
体を用いることにより、反射防止層の形成工程などの熱が加えられる工程を行った場合で
あっても、反りなどの発生がなく、高品質の偏光板を得ることができる。
本発明の光学積層体の断面図である。 テンポラリーフィルムと固有偏光子(偏光フィルム)との積層体の断面図である。 本発明の偏光板の製造方法の工程断面図である。 本発明の偏光板の製造方法により得られる偏光板の断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
1)光学積層体
本発明の光学積層体は、ヤング率×厚みの値が60GPa・μm〜200GPa・μm
であるテンポラリーフィルム、固有偏光子、および透明合成樹脂フィルムをこの順で積層
してなる積層体である。
(テンポラリーフィルム)
本発明に用いるテンポラリーフィルムはいわゆる反り防止フィルムとして機能し、偏光
板の製造工程において、最終的に剥離除去されるものである。
本発明に用いるテンポラリーフィルムは、合成樹脂からなるフィルムであり、ヤング率
×厚みの値が60GPa・μm〜200GPa・μmのものである。テンポラリーフィル
ムのヤング率×厚みの値がこの範囲であれば、後工程で反射防止層を形成する場合などの
ように熱が加えられる場合であっても、反りが発生することがなく、取り扱い性および経
済性にも優れているので好ましい。
ヤング率は縦弾性係数ともいい、弾性範囲で単位ひずみあたり、どれだけの応力が必要
かの値を決める定数である。一般的にヤング率が大きいものほど、変形しにくい材料とい
える。例えば、ポリテトラフルオロエチレンでは0.01〜0.1GPa程度、低密度ポ
リエチレンでは0.2GPa程度、高密度ポリエチレンでは1.379GPa程度、ポリ
プロピレンでは1.5〜2GPa程度、ポリエチレンテレフタレートでは2〜2.5GP
a程度である。
また、一般的に厚みが大きいほどフィルムは変形しにくい。したがって、用いるテンポ
ラリーフィルムがヤング率の値が相対的に小さい合成樹脂からなる場合には、ヤング率×
厚みの値が60GPa以上、好ましくは60GPa〜200GPaとなるように、フィル
ムの厚みを厚くすればよい。逆に、ヤング率の値が相対的に大きい合成樹脂からなる場合
には、フィルムの厚みを薄くすることができる。
本発明に用いるテンポラリーフィルムとしては、ヤング率×厚みの値が上記範囲にある
合成樹脂フィルムであれば、特に制限されない。
例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムな
どのポリエステル系樹脂フィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど
のポリオレフィン系樹脂フィルム;ポリテトラフルオロエチレンフィルムなどのフッ素系
樹脂フィルム;環状オレフィン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスチレン系樹
脂;等が挙げられる。
また、本発明においては、テンポラリーフィルムとして、二種以上の樹脂の混合物から
得られるフィルムを用いることもできる。さらに、テンポラリーフィルムは、これらの樹
脂フィルムを2枚以上貼り合わせた積層フィルムであってもよい。
テンポラリーフィルムの厚み(積層フィルムの場合には、合計厚み)は、通常10〜3
00μm、好ましくは50〜200μm、より好ましくは60〜150μmである。
(固有偏光子)
本発明に用いる固有偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)のマトリックス
中の、PVAの脱水生成物、ポリビニレンの配向懸濁液を有する配向ポリ(ビニルアルコ
ール)タイプ(PVAタイプ)材料のシートまたはフィルムなどが挙げられる。
この種類の固有偏光子は、典型的には、ポリマーフィルムを一方向に延伸してPVAマ
トリックスを整列させ、塩酸などの脱水触媒の存在下でPVAタイプポリマーフィルムを
加熱して、共役ポリビニレンブロックを生成することによって形成することができる。
また、米国特許第5,666,223号明細書に記載されているように、ポリマーフィ
ルムを変換した後、ホウ酸処理(boration treatment)を行ったもの
を用いることもできる。
固有偏光子の厚みは、通常10〜50μm、好ましくは20〜40μmである。
(透明合成樹脂フィルム)
本発明で用いる透明合成樹脂フィルムとしては、可視領域での光透過性に優れるもので
あれば、特に制限されない。例えば、アセチルセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチ
レンナフタレート、エポキシ系樹脂、環状オレフィン系樹脂、環状オレフィン−エチレン
共重合系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリ塩化ビ
ニル、ポリスチレンなどが挙げられる。
また、二種以上の樹脂を混合したものを用いてもよく、例えば、ポリエチレン/ポリフ
ェニレンエーテル、ポリ塩化ビニル/スチレン−アクリルニトリル共重合体、ポリ塩化ビ
ニル/ポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、アセチルセルロース系樹脂が好ましく、トリアセチルセルロースが特
に好ましい。
透明合成樹脂フィルムの厚みは、通常10〜300μm、好ましくは50〜200μm
、より好ましくは60〜150μmである。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体は、ポリビニルアルコールフィルムを1軸延伸し、脱水することで、偏
光特性が付与された固有偏光子(以下、「偏光フィルム」ということがある。)を得る工
程(a工程)、得られた偏光フィルムとテンポラリーフィルムと貼り合わせる工程(b工
程)、及び、さらに、偏光フィルムとテンポラリーフィルムからなる積層体の偏光フィル
ム側に、透明合成樹脂フィルムを貼り合わせること(c工程)により、製造することがで
きる。
以下、図1に示す本発明の光学積層体10Aの製造方法を説明する。図1中、1はテン
ポラリーフィルム、2は固有偏光子(偏光フィルム)、3は透明合成樹脂フィルムである
(a工程)
まず、ポリビニルアルコールフィルムを1軸延伸し、脱水することで偏光特性を実現す
る。
ポリビニルアルコールフィルムは、ビニルアルコールポリマーを含む樹脂からなるフィ
ルムである。
ビニルアルコールポリマーの具体例としては、脱水して線状共役ビニルポリマーにする
ことができる、線状1,3−ポリヒドロキシル化ポリマーもしくはコポリマーまたはその
誘導体が挙げられる。
有用なビニルアルコールポリマーとしては、下記式を有する単位のポリマーおよびコポ
リマーが挙げられる。
Figure 2010224098
ここで、Rは、水素原子、C1〜C8アルキル基、またはアリール基であり、R
、水素原子、またはC1〜C8アシル基などの加水分解性官能基であり、好ましくは、R
およびRは水素原子である。
ビニルアルコールモノマーと重合させてビニルアルコールコポリマーを生成することが
できる、コモノマーとしては、エチレン、プロピレン、およびブチレンなどのオレフィン
類;アクリレート、メチルメタアクリレートなどの(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル
などのビニルエステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物類;
などが挙げられる。
ビニルアルコールポリマーがビニルアルコールコポリマーである場合、コモノマーの使
用量はモノマー全体に対して30モル%未満であり、好ましくは10モル%未満である。
コモノマーの使用量が多くなると、共役ビニレンブロック(ポリ(アセチレン)ブロック
)の形成を遅らせ、偏光子の性能に悪影響を及ぼすことがある。
これらの中でも、ビニルアルコールポリマーとしては、ビニルアルコールのホモポリマ
ーおよびビニルアルコールコポリマーが好ましく、ビニルアルコールホモポリマーがより
好ましい。
また、ビニルアルコールポリマーとして、ポリビニルアセタールおよびポリビニルケタ
ールおよびポリビニルエステルを用いることもできる。
さらに、溶融処理可能なポリビニルアルコールも本発明に使用することができる。
溶融処理可能なビニルアルコールポリマーは、それらの熱安定性を向上させ、それらが
押出されるか溶融処理されることを可能にするために可塑化される。
可塑剤は、外部から加えることができるか、ビニルアルコールポリマー鎖の一部である
ことができ、換言すれば、可塑剤は、ビニルアルコールポリマーバックボーン上に重合ま
たはグラフトされる。
外部から可塑化することができるビニルアルコールポリマーとしては、ノースカロライ
ナ州シャーロットのクラリアント・コーポレーション(Clariant Corp.,
Charlotte,N.C.)から入手可能な「モビオール(Mowiol)」26−
88および「モビオール」23−88ビニルアルコールポリマー樹脂などの市販の製品が
挙げられる。
ビニルアルコールポリマーを外部から可塑化する際に有用な可塑剤としては、ヒドロキ
シル基を有する高沸点水溶性有機化合物が挙げられる。そのような化合物の例としては、
水、グリセロール、トリエチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのポリエチ
レングリコール、トリメチロールプロパン、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
可塑剤の添加量は、ビニルアルコールポリマーの分子量とともに変わる。
一般に、可塑剤は、ビニルアルコールに対して約5重量%〜約30重量%、好ましくは
約7重量%〜約25重量%の量で加えられる。
セラニーズからビネックス商標で入手可能な材料は、ある種の熱可塑性水溶性ポリビニ
ルアルコール樹脂である。例えば、「ビネックス」2034および「ビネックス」202
5を含む「ビネックス」2000シリーズは、内部可塑化冷水溶性および熱水溶性ポリビ
ニルアルコールコポリマー樹脂である。そのような内部可塑化ビニルアルコールコポリマ
ーは、米国特許第4,948,857号明細書に記載されている。そのようなコポリマー
は、次の一般式を有し、
Figure 2010224098
ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、
はC6〜C18アシル基であり、
yは0〜30モル%であり、
zは0.5〜8モル%であり、
xは70〜99.5モル%である。
これらのコポリマーは、ビニルアルコールポリマーの強度特性を維持し、また、増加さ
れた可撓性を示す。上記式で表されたアクリレートモノマーは、コポリマーにその内部可
塑化効果を与える。
まず、ポリビニルアルコールフィルム(以下、単に「フィルム」ということがある。)
の1軸延伸は、適切な延伸デバイスまたは他の同様の機構もしくはシステムを使用して行
うことができる。ポリビニルアルコールフィルムを、フィルムの元の長さの約3.5倍か
ら約7.5倍以上に延伸することができる。
延伸は、フィルム製造プロセス全体にわたってさまざまな段階で行うことができる。変
換前行われる延伸を、ここで第1の延伸工程と呼び、フィルムを脱水触媒に曝す前、フィ
ルムが脱水触媒中にある間、および/またはフィルムを脱水触媒から取出した後、行うこ
とができる。変換と同時に行われる延伸を、第2の延伸工程と呼び、変換後、たとえばホ
ウ酸処理工程の間または後行われる延伸を、第3の延伸工程と呼ぶ。
第1の延伸工程は、フィルムを脱水触媒に曝す前、間、または後に行うことができる。
まず、フィルムを、塩酸水溶液などの脱水触媒に曝し、第1の延伸を施す。
次に、フィルムを変換して二色性発色団を生成し、同時に第2の延伸工程で延伸する。
ここで変換とは、ポリビニルアルコールからの共役ポリビニレンブロックを形成するこ
とをいう。PVAマトリックスを一方向に配向することによって、共役ポリビニレンブロ
ックの遷移モーメントも配向され、材料は目に見えて二色性になる。共役ポリビニレンブ
ロックは、二色性発色団と呼ぶことができる。
変換工程において、フィルム中のビニルアルコールポリマーの一部を、ポリ(ビニレン
−コ−ビニルアルコール)のブロックコポリマーの偏光分子に変換する。
ポリビニルアルコールを変換するための1つの方法として、最初にフィルムを脱水触媒
に曝し、次に、曝されたフィルムを加熱し、脱水が行われることを引き起す方法が挙げら
れる。
また、フィルムを異なった方法で脱水触媒に曝すこともできる。例えば、フィルムを水
性脱水触媒中に十分な滞留時間でディッピングまたは浸漬して、触媒をフィルム中に拡散
させる。
フィルムを脱イオン水中に約1秒から約5分間浸漬し、次に、塩酸水溶液中に約1秒か
ら数分間浸漬することができる。
塩酸水溶液の濃度は、好ましくは約0.01規定〜約4.0規定である。
他の方法としては、フィルムを、脱水触媒を含有する酸性フュームに曝す方法が挙げら
れる。フィルムをディッピングすることは、潜在的に、酸フューミング(acid fu
ming)プロセスでより高い処理速度が達成されることを可能とする。
脱水触媒としては、熱または他の適切な処理条件の存在下で、線状ポリマーのヒドロキ
シル化部分からの水素原子および酸素原子の除去を行って、共役ビニレン単位を残すこと
ができるいかなる酸、または他の剤を用いることができる。
用いる酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、および硫酸が挙げられ
る。また、これらの酸はメタノールで希釈されたものであってもよい。
所望の脱水度は、所望のコントラストおよびフィルム厚さによって変わるが、典型的に
は0.1〜10%の範囲内である。利用可能なヒドロキシル基の好ましくは1〜5%が、
ビニレン基に変換される(すなわち、−CH−CHOH−→−CH=CH−)。
フィルムを脱水触媒に曝した後、PVAタイプフィルムおよび吸着触媒を加熱すること
ができ、それによって、配向フィルムは、所望の脱水生成物であるポリビニレンに変換さ
れる。フィルムを、伝導加熱、対流加熱、放射線加熱、またはそれらの組合せによって加
熱することができる。
例えば、フィルムおよび触媒を、約88℃〜約205℃の温度範囲で、約数秒から約1
0分間加熱オーブンを通過させることができる。別の方法において、フィルムおよび触媒
をマイクロ波放射線加熱またはレーザ加熱に曝すことができる。
また、フィルムを変換する別の方法として、フィルムおよび触媒を、たとえば1つまた
は複数の赤外加熱ランプを使用して発生された放射赤外加熱に、約1秒〜約60秒曝す方
法が挙げられる。赤外加熱は、熱空気衝突方法でより高い処理速度が達成されることを可
能にする。
変換プロセスの間、ポリマーフィルムを第2の延伸工程にかけることができる。換言す
れば、変換プロセスが行われている間、フィルムに2回目の延伸をすることができる。こ
の第2の延伸工程は、第1の延伸工程後得られたフィルムの中間長さの約2.5倍までだ
け、フィルム長さの増加をもたらすことができる。
第1の延伸工程のように、第2の延伸工程は、ポリマー材料のガラス転移温度より高い
温度で行われ、かつ、熱発生要素、速いローラ、および遅いローラの提供によって行うこ
とができる。
フィルムを変換後、ホウ酸処理工程にかけることができる。たとえば変換されたフィル
ムをホウ酸処理水溶液に曝すことによって、配向フィルムをホウ酸処理する。ホウ酸処理
工程は、弛緩および架橋を行う。
第3の延伸工程を、フィルムをホウ酸処理する前、間、または後、行うことができる。
例えば、フィルムをホウ酸処理水溶液中に沈め、軟化および/または膨潤させることがで
きる。これは、しばしば、フィルムの弛緩または収縮をもたらす。その後、フィルムを取
出し乾燥させる。
ホウ酸処理工程は1つ以上の浴を使用して実施することができる。例えば、2浴ホウ酸
処理において、第1の浴は水を含有することができ、第2の浴はホウ素イオン寄与種を含
有することができる。浴の順序を逆にすることができるか、両方の浴が、ホウ素イオン寄
与種のさまざまな濃度および/または混合物を含有することができる。フィルムの延伸お
よび/または弛緩を、これらの浴のいずれか1つ以上の中で行うことができる。
ホウ酸処理溶液は一般にホウ酸を含む。さらに、ホウ酸処理溶液は、水酸化ナトリウム
または水酸化カリウムを含むことができるか、ホウ酸ナトリウムおよびホウ酸カリウムか
らなるクラスからの物質、好ましくはホウ砂を含むことができる。
フィルムが曝される1つまたは複数の溶液中のホウ酸およびホウ砂または他のホウ酸塩
の濃度を変化させることができる。好ましくは、ホウ酸は、ホウ砂または他のホウ酸塩よ
り高い濃度で存在し、溶液は、ホウ酸約5wt%〜約20wt%、ホウ砂0wt%〜約7
wt%を含有する。好ましい濃度は、ホウ酸約6wt%〜16wt%、およびホウ砂0w
t%〜3wt%である。
フィルムを、1つまたは複数のホウ酸処理溶液中に約1分から約30分の間、好ましく
は約50℃以上で維持しながら浸漬することができる。好ましいホウ酸処理温度は約70
℃から約110℃である。
ホウ素含有溶液に曝した後、得られたフィルムをすすぎ乾燥させることができる。シー
トを脱イオン水の浴を通過させる、または脱イオン水をフィルム上にスプレーすることに
よってなど、任意の適切な方法を用いて、フィルムをすすぐことができる。
フィルムの乾燥方法としては、対流加熱または放射線加熱にてフィルムを加熱する方法
、対流オーブンにフィルムを通過させる方法などが挙げられる。
また、プロセスを助けるために、処理剤、例えば、ユニオン・カーバイド(コネチカッ
ト州ダンベリー)から市販されているトリトンX100などの界面活性剤をホウ酸処理浴
に加えることができる。
フィルムは、張力下のままにされない場合、ホウ酸処理工程の間収縮する。フィルムを
収縮させることは、フィルムがより多くのホウ素含有溶液を吸収することを可能にし、し
たがって、より高い架橋度を、付随する増加された環境安定性とともにもたらす。
湿潤延伸、変換、およびホウ酸処理のプロセスを、連続一体化プロセスとして実施する
ことができる。そのような連続プロセスは、過去において固有偏光子のために用いられた
多工程プロセスより単純であり、より高いフィルム収率、および低減された偏光子コスト
をもたらす。
以上のようにして得られる偏光フィルムは、ポリビニレンブロックがポリビニルアルコ
ールのフィルムの分子脱水によって形成されたPVA/ポリビニレンブロックコポリマー
材料の分子配向フィルムの複合体を含む。ポリビニルアルコール/ポリビニレンブロック
コポリマー材料の分子配向フィルムは、コポリマーのポリビニレンブロックの共役繰返し
ビニレン単位の数(n)が変わるポリビニルアルコール/ポリビニレンブロックコポリマ
ー材料の偏光分子の均一な分布を含む。nの値は2から約25である。偏光分子の配向度
は、その範囲全体にわたって、増加するnの値とともに増加する。
各ポリビニレンブロックの濃度分布と関連する分子の配向度は、少なくとも75の明所
視二色性比(photopic dichroic ratio)(RD)をポリマーシ
ートに与えるのに十分である。
明所視二色性比Dは、表面反射を無視して、D=Az/Ayで定義される値である。こ
こで、AzおよびAyは、次のように定める。サンプル偏光子を、デュアルビーム分光光
度計の白色光のサンプルビームで照明する。サンプルビームを、高効率グラン(Glan
)タイプ偏光子を使用して予め偏光させる。特定の波長におけるサンプル偏光子を透過し
た光の量を、参照ビームの同じ波長における光の量と比較し、サンプル偏光子の絶対吸光
度を、波長の関数として、サンプルビームおよび参照ビームの透過光の比から計算する。
吸光度を範囲380nm〜780nmにわたって計算する。吸光度スペクトルを、サンプ
ル偏光子の透過軸に平行に偏光された光、およびサンプル偏光子の透過軸に垂直に偏光さ
れた光の両方について得る。次に、平行および垂直吸光度スペクトルを、特定の光源のス
ペクトル、および人間の目の応答のためにスペクトル補正する(明所視補正)。補正され
た平行吸光度スペクトルの下の積分された面積は、スペクトル補正された、サンプル偏光
子を通る1回の通過で吸収された平行偏光状態の光の量Ayに対応する。補正された垂直
吸光度スペクトルの下の積分された面積は、スペクトル補正された、サンプル偏光子を通
る1回の通過で吸収された垂直偏光状態の光の量Azに対応する。
(b工程)
次に、上記で得た偏光フィルム(固有偏光子)2とテンポラリーフィルム1と貼り合わ
せて、図2に示す積層体11Aを得る。
偏光フィルムが長尺である場合には、長尺のテンポラリーフィルムを別途用意しておき
、長尺の偏光フィルムをロール状に巻き取る際に、テンポラリーフィルムと固有偏光子を
重ね合わせるようにして、両者をロール状に巻き取ればよい。
また、この場合、テンポラリーフィルムの偏光フィルムと貼りあわせる面側に、フッ素
系重合体などの公知の剥離剤を用いて剥離処理を施してもよい。
(c工程)
次いで、得られた偏光フィルムとテンポラリーフィルムからなる積層体の偏光フィルム
側に、透明合成樹脂フィルムを貼り合わせることにより、図1(a)に示す本発明の光学
積層体10Aを得ることができる。
得られた偏光フィルムとテンポラリーフィルムからなる積層体の偏光フィルム側と、透
明合成樹脂フィルムとの貼り合わせは、熱、圧力、または接着剤によって行うことができ
、接着剤を用いることが好ましい。
接着剤としては、熱硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤のいずれも使用できる。
熱硬化性接着剤としては、エチレン・酸無水物共重合体などのポリオレフィン系接着剤
、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤などが挙げら
れる。紫外線硬化性接着剤としては、シリコーン樹脂、シアノアクリレート、アクリル樹
脂などが挙げられる。これらの中でも、紫外線硬化性接着剤が、生産効率の観点から好ま
しい。
また、偏光フィルムとテンポラリーフィルムからなる積層体が長尺のフィルムである場
合には、長尺の透明合成樹脂フィルムを用意しておき、偏光フィルムとテンポラリーフィ
ルムからなる積層体の偏光フィルム面、または透明合成樹脂フィルム面のいずれか一方に
接着剤を塗布し、偏光フィルムとテンポラリーフィルムからなる積層体の偏光フィルム面
と透明合成樹脂フィルム面とを重ね合わせ圧着して、両者をロール状に巻き取ればよい。
またこの場合、図1(b)に示す光学積層体10Bのように、透明合成樹脂フィルムの
、偏光フィルムとテンポラリーフィルムからなる積層体と貼り合わせる面側と反対側の面
側に、表面保護の目的で保護フィルム4を積層させてもよい。
この場合には、透明合成樹脂フィルムと保護フィルムからなる長尺の積層体を別途用意
し、偏光フィルムとテンポラリーフィルムからなる積層体の偏光フィルム面、または透明
合成樹脂フィルムと保護フィルムからなる積層体の透明合成樹脂フィルム面のいずれか一
方に接着剤を塗布し、偏光フィルムとテンポラリーフィルムからなる積層体の偏光フィル
ム面と、透明合成樹脂フィルムと保護フィルムからなる積層体の透明合成樹脂フィルム面
とを重ね合わせて圧着して、両者をロール状に巻き取ればよい。
以上のようにして、本発明の光学積層フィルムを得ることができる。
得られる光学積層フィルムは、後述する本発明の偏光板の製造中間体として有用である
2)偏光板の製造方法
本発明の偏光板の製造方法は、上記した本発明の光学積層体の透明合成樹脂フィルム表
面に反射防止層を形成する工程(第1工程)、前記テンポラリーフィルムを剥離する工程
(第2工程)、前記固有偏光子のテンポラリーフィルムが剥離された面に粘着剤層を形成
する工程(第3工程)、および、前記粘着剤層をガラス基板に貼り合せる工程(第4工程
)を有する。
以下、本発明の偏光板の製造方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1工程)
まず、図3(a)に示すように、上記した本発明の光学積層体10Aの透明合成樹脂フ
ィルム3の表面に反射防止層5を形成した積層体11Bを得る。
この場合、光学積層体10Aが長尺のフィルムである場合には、光学積層体10Aを所
定の大きさに切り出して用いる。
反射防止層5の形成方法としては、ドライプロセス及びウェットプロセスのいずれも用
いることができる。ドライプロセスは、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティン
グなどにより各層を形成させる方法である。一方ウェットプロセスは、各層を形成する塗
工液を、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコー
ト法、グラビアコート法などを用いて塗工し、加熱硬化させて、各層を形成させる方法で
ある。いずれの方法を用いる場合であっても、用いる光学積層体は、ヤング率×厚みの値
が60GPa・μm以上のテンポラリーフィルムが貼り合わされたものであるので、加熱
により積層体に反りが生じることを抑制できる。
なお、透明合成樹脂フィルム3に保護フィルム4を積層している場合には、該保護フィ
ルム4を剥離した後に反射防止層5を形成する。
(第2工程)
次に、図3(b)に示すように、反射防止層5を形成した積層体11Bから、テンポラ
リーフィルム1を剥離除去して、積層体11C得る。
(第3工程)
次いで、図3(c)に示すように、得られた積層体11Cの偏光フィルム2の表面に粘
着剤層6を形成して積層体11Dを得る。
粘着剤層6は、例えば、粘着剤組成物を偏光フィルム2の表面に塗工し、乾燥すること
により形成することができる。
用いる粘着剤組成物としては、特に制限されず、アクリル系ポリマーと架橋剤を含有す
る公知の粘着剤組成物が挙げられる。また、粘着力、耐熱性、及び耐湿性に優れたPSA
(Pressure Sensitive Adhesive)を含んでいてもよい。
アクリル系ポリマーとしては、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、
アクリル酸及びメチルメタアクリレートなどから選択された一種以上のモノマーを重合し
て得られるものが挙げられる。
架橋剤としては、2つの官能基を有してもよい、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸及びイタコン酸などのカルボキシル基を含む単量体;2つの官能基を有してもよい、ヒ
ドロキシル基を含む単量体;アクリルアミド;メタクリルアミド;グリシジルアミド;な
どが挙げられる。
次に、図3(d)に示すように、形成した粘着剤層上に離型フィルム7を貼り合わせて
、積層体11Eを得る。
用いる離型フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステ
ルフィルムが挙げられる。
またこの場合、離型フィルム上に粘着剤層組成物を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成し
た後、このものの粘着剤層と、積層体11Cの偏光フィルム2面とを貼り合わせることに
より、積層体11Dを得るようにしてもよい。
(第4工程)
最後に、図4に示すように、積層体11Eから離型フィルム7を剥離除去し、粘着剤層
6をガラス基板8に貼り合せることで、目的とする偏光板12を得ることができる。
以上のようにして得られる偏光板は、たとえば、液晶ディスプレイパネル、サングラス
、サンバイザー、窓ガラス、CRTモニターなどに使用されるグレア除去パネル、映写幕
、およびモニター、ならびに広告用表示などの従来偏光材料が使用されてきた用途に使用
することができる。
1・・・テンポラリーフィルム、2・・・固有偏光子(偏光フィルム)、3・・・透明
合成樹脂フィルム、4・・・保護フィルム、5・・・反射防止層、6・・・粘着剤層、7
・・・離型フィルム、8・・・ガラス基板、10A、10B・・・本発明の積層体、11
A、11B、11C、11D、11E・・・積層体、12・・・偏光板

Claims (2)

  1. ヤング率×厚みの値が60GPa・μm〜200GPa・μmであるテンポラリーフィ
    ルム、固有偏光子、および透明合成樹脂フィルムをこの順で積層してなる光学積層体。
  2. 請求項1に記載の光学積層体の透明合成樹脂フィルム表面に反射防止層を形成する工程
    、前記テンポラリーフィルムを剥離する工程、前記固有偏光子のテンポラリーフィルムが
    剥離された面に粘着剤層を形成する工程、および、前記粘着剤層をガラス基板に貼り合わ
    せる工程を有する偏光板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014171503A1 (ja) * 2013-04-19 2014-10-23 コニカミノルタ株式会社 ガラス積層体、透明樹脂層付き薄膜ガラス、液晶表示装置および有機el表示装置
CN108394258A (zh) * 2018-04-28 2018-08-14 深圳市鑫友道科技有限公司 一种遮阳板

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