JP2010223966A - Cop1分子およびその使用 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の癌におけるCOP1の過剰発現を検出するための診断的使用、予後的使用および治療的使用を提供すること。
【解決手段】本発明は、種々の癌におけるCOP1の過剰発現を検出するための診断的使用、予後的使用および治療的使用を提供する。本方法および使用は、p53発現を検出する工程をさらに含む。本発明は、COP1およびp53の結合を妨害する試験化合物のスクリーニングにおける使用のための試薬およびキットもまた提供する。本発明は、被験体の癌を診断する方法に関する。この方法は、この被験体の癌におけるCOP1レベルまたはCOP1活性を検出する工程を含む方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、癌診断および癌療法の分野のものである。
代表的な腫瘍抑制遺伝子としてのp53の役割は、十分に確立されている。生化学的に、p53は、p53コンセンサス結合部位を保持するプロモーターからの転写を活性化する、ストレス活性化配列特異的転写因子として機能する。さらに、p53はまた、転写の強力なリプレッサーとしても機能し、それゆえ、遺伝子調節のさらなる層を加えている。このように、それは、血管形成、抗アポトーシスおよび細胞周期の伸展に関与する遺伝子を抑制することに加えて、細胞周期停止、アポトーシスおよびDNA修復に関与する中心の遺伝子の転写を活性化することにより、種々のストレスシグナル(いくつかを挙げると、DNA損傷、ヌクレオチド減損および癌遺伝子活性化など)から細胞を保護する。p53活性化の生理学的な結果は、本質的に、成長停止またはアポトーシスを導き、それによって細胞が遺伝的に危険なゲノムを自己複製することを妨げる。
p53は、すべてではないにせよ幾つかの遺伝子において負に制御されるかまたは突然変異される、強力な腫瘍サプレッサータンパク質である26、27。ヒト悪性腫瘍におけるp53遺伝子における高頻度の改変またはp53経路の調節解除された構成成分は、発癌を防止するためのp53の完全性の重要度を強調する。この重要性は、6月齢まで自然発生腫瘍を発達させるp53ノックアウトマウスからの観察によって、さらに支持される。癌におけるp53遺伝子改変の実際の頻度は、20%から80%と推定される。この広頻度は、腫瘍の起源である組織、検出方法および/または分析される遺伝子の領域に起因し得る。例えば、乳房腫瘍における遺伝子改変の推定頻度が約20%である一方で、この頻度は、小細胞肺癌の場合には、>70%まで劇的に増加する。卵巣腫瘍は、一般的に野生型p53遺伝子を有する28
p53は、Pirh2およびMDM28−10などのE3リガーゼに対する基質認識によるプロテアソーム依存性経路により、非ストレス細胞において迅速に代謝回転され、このPirh2およびMDM2は、UbcH5bなどのE2酵素から、多数のリジン残基上の、または基質接合ユビキチン上の基質へユビキチンを転移させ、ポリユビキチン鎖を生成させる。一旦K48結合ポリユビキチン鎖の長さが4以上に達すると、上記基質は、分解のためにこの基質を標的とするhRad23a11などのプロテアソームの成分により認識され得る。従って、MDM225およびPirh2は、p53の負のレギュレーターである。Pirh2およびMDM2は、p53誘導性遺伝子7、12、13であり、それによって上記p53反応を止めるためにとられ得る負のフィードバックループを生み出し、細胞周期進行を可能にする。
Arabidopsis thalianaのCOP1は、植物の光形態形成を阻害するために機能する、RINGフィンガー含有タンパク質である。AtCOP1は、光媒介遺伝子発現を負に制御することにより苗木の生長をコントロールし14、そして、マイクロアレイ分析は、AtCOP1が、すべてではないにせよ、ほとんどの光反応性遺伝子を調節することを示す15、16。これは、闇において光成長する植物を代表する表現型を示すCOP/DET/FUSタンパク質の機能喪失型突然変異によって例示され得る17。機構的に、これは、LAF118およびHY519などの光媒介発達のポジティブなレギュレーターを抑制するAtCOP1の能力に起因した。COP1は、インビトロでは内在的E3リガーゼ活性を有し(非特許文献1、非特許文献2)、LAF1を基質として利用し得る。COP1は、植物における重要な光媒介発達のスイッチであるが、哺乳動物細胞におけるその役割は、あまり確立されていない(非特許文献3)。
Seo,H.S.et al.,"Laf1 ubiquitination by COP1 controls photomorphogenesis and is stimulated by SPA1",Nature(2003)424,p.995−9 Bianchi,E.et al.,"Characterization of human constitutive photomorphogenesis protein 1, a RING finger ubiquitin ligase that interacts with Jun transcription factors and modulates their transcriptional activity.J Biol Chem(2003)278,p.19682−90 Yi,C.,Wang,H.,Wei,N.&Deng,X.W."An initial biochemical and cell biological characterization of the mammalian homologue of a central plant developmental switch,COP1"BMC Cell Biol(2002)3,30
(発明の要旨)
本発明は、被験体の癌を診断する方法に関する。この方法は、この被験体の癌におけるCOP1レベルまたはCOP1活性を検出する工程を含む方法に関する。さらなる実施形態において、その診断方法は、上記被験体の癌におけるp53レベルまたはp53活性を検出する工程を含む。1つの実施形態においては、検出されるp53分子は、野生型のp53分子である。別の実施形態において、このp53分子は、ヒトp53分子である。別の実施形態においては、このp53分子は、特にp53分子に特異的に結合する抗体を使用して検出される。上記診断方法のさらなる実施形態においては、癌におけるp53の核酸配列が、配列決定される。別の実施形態においては、このp53分子は、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導性アポトーシスの阻害およびp21 mRNAレベルの減少の少なくとも1つから成る群から選択されるp53活性分析を使用して検出される。別の実施形態によれば、上記診断方法は、上記サンプルにおけるp21分子を検出する工程を包含する。別の実施形態によれば、診断される被験体は、ヒトである。なお別の実施形態においては、診断される癌は、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌および移行性細胞癌の少なくとも1つから成る群から選択される。なお別の実施形態においては、診断される癌は、漿液性腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌および粘液性腺癌から成る群から選択される。
本発明は、被験体における癌療法の有効性をモニタリングするか、または予後を評価するための方法に関する。この方法は、この被験体由来のサンプルにおけるCOP1分子を検出する工程を包含し、ここで、コントロールと比較した上記COP1分子の過剰発現における減少は、この癌療法が有効であることを示す。1つの実施形態においては、上記方法は、上記サンプルにおけるp53分子を検出する工程をさらに包含する。なお別の実施形態においては、検出されるp53分子は、野生型p53である。別の実施形態においては、このp53分子は、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導性アポトーシスの阻害およびp21 mRNAレベルの減少の少なくとも1つから成る群から選択されるp53活性を観察することにより検出される。1つの実施形態においては、評価される癌療法は、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌および移行性細胞癌の少なくとも1つから成る群から選択される癌の処置のためのものである。1つの実施形態においては、評価される癌療法は、漿液性腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌および粘液性腺癌から成る群の少なくとも1つから選択される癌の処置のためのものである。
本発明は、癌を有するか、またはその危険があると診断された被験体における癌を処置する方法に関する。この方法は、以下:COP1の発現を阻害する第1化合物の薬学的に有効な量を被験体に投与する工程を包含する。1つの実施形態においては、この方法は、MDM2またはPirh2の発現を阻害する第2化合物の薬学的に有効な量を被験体に投与する工程をさらに包含する。別の実施形態においては、上記第1化合物または第2化合物は、上記癌を癌療法に対して感作させる。なお別の実施形態においては、上記第1化合物または第2化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三本鎖形成ヌクレオチドおよびsiRNA分子から成る群の少なくとも1つから選択される。上記方法は、上記第1化合物および/または第2化合物の投与前、投与中または投与後に、癌療法の過程中有用であり得る1つ以上の他の治療剤の投与をさらに含み得る。1つの実施形態においては、処置されるべき癌は、野生型p53を発現する。別の実施形態においては、処置されるべき癌は、コントロールと比較してCOP1を過剰発現する。別の実施形態においては、処置されるべき癌は、コントロールと比較して減少したp53レベル、または減少したp53活性を発現する。別の実施形態においては、処置されるべき癌は、コントロールと比較して減少したp21発現レベルを発現する。
本発明は、COP1分子のp53分子への結合に干渉する試験化合物をスクリーニングする方法に関する。1つの実施形態においては、この試験化合物は、さらにCOP1リガーゼ活性を阻害し得る。別の実施形態においては、上記方法は、上記試験化合物がCOP1を調節するか否かを測定する工程をさらに包含する。1つの実施形態においては、このCOP1活性は、p53の分解、p53のユビキチン化、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導アポトーシスの阻害およびp21 mRNAレベルの減少から成る群の少なくとも1つから選択される。1つの実施形態においては、このCOP1は、ヒトCOP1分子である。別の実施形態においては、上記p53は、ヒトp53分子である。1つの実施形態においては、上記スクリーニング方法は、COP1/p53結合の途絶または阻害を測定する分析である。別の実施形態においては、上記スクリーニング方法は、レポーター遺伝子分析である。さらなる実施形態においては、上記スクリーニング方法は、COP1活性を検出するさらなる工程を包含する。ここでこの活性は、p53の分解、p53のユビキチン化、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導アポトーシスの阻害およびp21 mRNAレベルの減少から成る群の少なくとも1つから選択される。
本発明は、p53の活性を阻害する化合物をスクリーニングするための方法に関する。この方法は、COP1と結合する試験化合物で哺乳動物細胞を処理し、そしてその処理された細胞におけるp53を検出する工程を包含する。1つの実施形態においては、上記検出する工程は、p53の分解、p53のユビキチン化、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導アポトーシスの阻害およびp21 mRNAレベルの減少から成る群の少なくとも1つを測定する工程を含む。1つの実施形態においては、上記哺乳動物細胞は、COP1を発現させるために操作されている。1つの実施形態においては、上記哺乳動物細胞は、p53を発現させるために操作されている。
本発明は、癌を有するか、またその危険があると診断された被験体における癌を処置するための医薬の調製のために、COP1分子の発現を阻害するか、またはCOP1リガーゼ活性を阻害する化合物の使用に関する。1つの実施形態によれば、この化合物は、COP1を標的とするRNAiである。別の実施形態によれば、上記医薬は、MDM2もしくはPirh2の発現を阻害する化合物を含み、またはこの医薬のためのラベルは、COP1阻害化合物でMDM2もしくはPirh2の発現を阻害する化合物を投与することに関する情報を提供する。別の実施形態によれば、この医薬は、MDM2分子の発現、またはMDM2分子の活性を阻害する化合物をさらに含み、かつ/またはこのMDM2インヒビターを投与するための指示を伴い得る。別の実施形態によれば、この医薬は、Pirh2分子の発現、またはPirh2分子の活性を阻害する化合物をさらに含み、かつ/またはこのPirh2インヒビターを投与するための指示を伴い得る。
本発明は、哺乳動物細胞におけるp53活性を阻害するための方法に関する。この方法は、細胞におけるCOP1を過剰発現させ、そして、COP1を過剰発現する細胞におけるp53を検出する工程を包含する。本発明はまた、p53分子をコードする組換え核酸分子および哺乳動物COP1分子をコードする組換え核酸分子を含む哺乳動物細胞に関する。本発明はまた、COP1分子の発現を増加させるかもしくは減少させる非コード配列、またはp53分子をコードする分子との組み合わせにおいて、p53分子の発現を増加させるかもしくは減少させる非コード配列(例えば、プロモーター/エンハンサーもしくはアンチセンス配列)を有するように操作された哺乳動物細胞に関する。本発明はまた、細胞がCOP1分子の発現または活性を改変するように操作することと組み合わせて、p53が発現されないかまたは変異体として発現されるようにゲノム改変されたp53についてのコード配列を有するように操作された哺乳動物にも関する。本発明はまた、細胞がp53分子の発現または活性を改変するように操作することと組み合わせて、COP1が発現されないかまたは変異体として発現されるようにゲノム改変されたCOP1についてのコード配列を有するように操作された哺乳動物細胞に関する。
本発明は、減少したCOP1活性および減少したMDM2活性を有するように操作された哺乳動物細胞、必要に応じて、さらにp53発現またはp53活性が改変されるように操作された哺乳動物細胞を提供する。本発明は、減少したCOP1活性、減少したMDM2活性および減少したPirh2活性を有するように操作された哺乳動物細胞、必要に応じて、さらに改変されたp53発現または改変されたp53活性を有するように操作された哺乳動物細胞を提供する。本発明は、減少したMDM2活性、減少したPirh2活性および増加したCOP1活性を有するように操作された哺乳動物細胞を提供する。本発明は、減少したCOP1活性を有するように操作された哺乳動物細胞を提供する。本発明は、減少したp53活性および増加したCOP1活性、または正常COP1活性を有するように操作された哺乳動物細胞を提供する。1つの実施形態においては、上記活性は、上記p53分子または上記COP1分子を標的にするRNAi法により、減少される。
本発明は、COP1ポリペプチドをコードする核酸分子と作動可能に連結された配列特異的DNA結合ドメインを含む第1核酸分子、p53ポリペプチドをコードする核酸分子と作動可能に連結されたトランス活性化ドメインを含む第2核酸分子、および上記配列特異的DNA結合ドメインにより認識され得る配列に作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含む第3核酸分子を含む細胞を提供する。本発明はまた、p53ポリペプチドをコードする核酸分子と作動可能に連結された配列特異的DNA結合ドメインを含む第1核酸分子、COP1ポリペプチドをコードする核酸分子と作動可能に連結されたトランス活性化ドメインを含む第2核酸分子、および上記配列特異的DNA結合ドメインにより認識され得る配列に作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含む第3核酸分子を含む、細胞を提供する。
本発明はまた、組換えp53分子の使用と組み合わせて、組換えCOP1分子の使用を含むアッセイ(例えば、インビトロユビキチン分析、COP1/p53結合アッセイ、COP1リガーゼアッセイおよびp53活性アッセイ)を提供する。
本発明は、サンプルにおいてCOP1分子を検出するための試薬と、癌細胞を含むサンプルにおいてCOP1分子を検出するための指示書を含むパッケージ挿入物とを備えるキットを提供する。1つの実施形態においては、この癌細胞は、野生型p53発現癌細胞である。別の実施形態においては、この癌細胞は、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌および移行性細胞癌の少なくとも1つから成る群から選択される。別の実施形態においては、この癌は、漿液性腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌および粘液性腺癌の少なくとも1つから成る群から選択される。1つの実施形態においては、上記キットは、サンプルにおいてp53分子を検出するための試薬をさらに含む。
本発明は、薬学的に受容可能なキャリアとともにCOP1の発現を阻害する化合物を含む薬学的組成物を提供する。1つの実施形態においては、この薬学的組成物は、MDM2またはPirh2の発現を阻害する化合物をさらに含む。1つの実施形態において、この化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重鎖形成オリゴヌクレオチドおよびsiRNA分子から成る群の少なくとも1つから選択される。
本発明の組成物および方法の1つの実施形態において、上記COP1分子は、p53に結合するヒトCOP1またはその改変体の少なくとも一部を含む。本発明の方法の1つの実施形態において、このp53分子は、COP1に結合するヒトp53またはその改変体の少なくとも一部を含む。本発明の組成物および方法の別の実施形態において、上記COP1分子は、リガーゼ活性を有するCOP1の一部と組み合わせて、p53に結合するヒトCOP1またはその改変体の少なくとも一部を含む。1つの実施形態において、本発明のCOP1、p53、p21、MDM2およびPirh2のインヒビターは、COP1、p53、p21、MDM2およびPirh2、またはCOP1、p53、p21、MDM2およびPirh2をコードする遺伝子(これらの遺伝子の非翻訳領域を含む)に結合することにより阻害する。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
被験体において癌を診断する方法であって、該方法は、以下:
該被験体由来の該癌のサンプルにおけるCOP1分子を検出する工程であって、コントロールに対する該COP1分子の過剰発現が癌を示す、工程
を包含する、方法。
(項目2)
上記サンプルにおけるp53分子を検出する工程をさらに包含し、ここでp53の発現レベルにおける減少、またはp53活性の阻害が癌を示す、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記p53分子が、野生型である、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記p53分子が、ヒトp53分子である、項目2または項目3に記載の方法。
(項目5)
上記p53分子が、p53ポリペプチドである、項目2から項目4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
上記p53ポリペプチドが、上記p53ポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用して検出される、項目5に記載の方法。
(項目7)
p53ポリペプチドが、免疫組織化学を使用して検出される、項目5に記載の方法。
(項目8)
上記p53活性が、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導性アポトーシスの阻害、およびp21 mRNAレベルの減少の少なくとも1つからなる群から選択される、項目2から項目7のいずれか1つに記載の方法。
(項目9)
上記COP1分子が、ヒトCOP1である、項目1から項目8のいずれか1つに記載の方法。
(項目10)
上記COP1分子が、COP1ポリペプチドである、項目1から項目9のいずれか1つに記載の方法。
(項目11)
上記COP1ポリペプチドが、該COP1ポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用して検出される、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記COP1ポリペプチドが、免疫組織化学を使用して検出される、項目10または項目11に記載の方法。
(項目13)
上記COP1分子が、COP1 mRNAである、項目1から項目10のいずれか1つに記載の方法。
(項目14)
上記COP1 mRNAがインサイチュハイブリダイゼーションを使用して検出される、項目13に記載の方法。
(項目15)
上記サンプルにおけるp21分子を検出する工程をさらに包含し、ここで、p21の発現レベルにおける減少が癌を示す、項目1から項目14のいずれか1つに記載の方法。
(項目16)
上記被験体が、ヒトである、項目1から項目15のいずれか1つに記載の方法。
(項目17)
上記癌が、野生型p53を発現する癌である、項目1から項目16のいずれか1つに記載の方法。
(項目18)
上記癌が、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌および移行性細胞癌の少なくとも1つから成る群から選択される、項目1から項目17のいずれか1つに記載の方法。
(項目19)
上記卵巣癌が、漿液性腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌および粘液性腺癌から成る群の少なくとも1つから選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
被験体における癌療法の有効性をモニタリングするための方法であって、該方法は、以下:
該被験体由来のサンプルを提供する工程;および
該サンプルにおけるCOP1分子を検出する工程であって、コントロールに対する該COP1分子の過剰発現の減少が、該癌療法が有効であることを示す、工程;
を包含する、方法。
(項目21)
癌を有する被験体に対する予後を評価する方法であって、該方法は、以下:
被験体由来のサンプルを提供する工程;および
該サンプルにおけるCOP1分子を検出する工程であって、コントロールに対するCOP1分子の過剰発現の減少が、改善された予後を示す、工程;
を包含する、方法。
(項目22)
上記サンプルにおけるp53分子を検出する工程をさらに包含し、ここでp53の発現レベルにおける増加またはp53活性における増加が、有効な癌療法または改善された予後を示す、項目20または項目21に記載の方法。
(項目23)
上記p53分子が、野生型である、項目22に記載の方法。
(項目24)
上記p53分子が、ヒトp53分子である、項目22または項目23に記載の方法。
(項目25)
上記p53分子が、p53ポリペプチドである、項目22から項目24のいずれか1つに記載の方法。
(項目26)
上記p53ポリペプチドが、該p53ポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用して検出される、項目25に記載の方法。
(項目27)
p53ポリペプチドが、免疫組織化学を使用して検出される、項目25に記載の方法。
(項目28)
上記p53活性が、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導性アポトーシスの阻害、およびp21 mRNAレベルの減少の少なくとも1つを含む群から選択される、項目22から項目27のいずれか1つに記載の方法。
(項目29)
上記COP1分子が、ヒトCOP1である、項目20から項目28のいずれか1つに記載の方法。
(項目30)
上記COP1分子が、COP1ポリペプチドである、項目20から項目29のいずれか1つに記載の方法。
(項目31)
上記COP1ポリペプチドが、該COP1ポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用して検出される、項目30に記載の方法。
(項目32)
上記COP1ポリペプチドが、免疫組織化学を使用して検出される、項目30または項目31に記載の方法。
(項目33)
上記COP1分子が、COP1 mRNAである、項目20から項目29のいずれか1つに記載の方法。
(項目34)
上記COP1 mRNAが、インサイチュハイブリダイゼーションを使用して検出される、項目33に記載の方法。
(項目35)
上記サンプルにおけるp21分子を検出する工程をさらに包含し、ここでp21の発現レベルにおける減少が、癌を示す、項目20から項目34のいずれか1つに記載の方法。
(項目36)
上記被験体が、ヒトである、項目20から項目35のいずれか1つに記載の方法。
(項目37)
上記癌が、野生型p53を発現する癌である、項目20から項目36のいずれか1つに記載の方法。
(項目38)
上記癌が、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌および移行性細胞癌の少なくとも1つから成る群から選択される、項目20から項目37のいずれか1つに記載の方法。
(項目39)
上記卵巣癌が、漿液性腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌および粘液性腺癌から成る群の少なくとも1つから選択される、項目38に記載の方法。
(項目40)
癌を有すると診断されたか、または癌の危険性があると診断された被験体において癌を処置する方法であって、該方法は、該被験体に、治療有効量のCOP1の発現を阻害する第1化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目41)
MDM2、またはPirh2の発現を阻害する第2化合物の治療有効量を上記被験体に投与する工程をさらに包含する、項目40に記載の方法。
(項目42)
上記第1化合物または第2化合物が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三本鎖形成オリゴヌクレオチドおよびsiRNA分子から成る群の少なくとも1つから選択される、項目40または項目41に記載の方法。
(項目43)
上記第1化合物または第2化合物が、上記癌を癌療法に対して感作させる、項目42に記載の方法。
(項目44)
上記癌療法を施す工程をさらに包含する、項目43に記載の方法。
(項目45)
上記第1化合物または第2化合物が、上記癌療法の前に施される、項目44に記載の方法。
(項目46)
上記第1化合物または第2化合物が、上記癌療法中に投与される、項目44に記載の方法。
(項目47)
上記癌療法が、放射線治療または化学療法を含む、項目43から項目46のいずれか1つに記載の方法。
(項目48)
上記癌が、野生型p53を発現する癌である、項目40から項目47のいずれか1つに記載の方法。
(項目49)
COP1が、コントロールと比較して癌において過剰発現される、項目40から項目48のいずれか1つに記載の方法。
(項目50)
p53発現レベルが、コントロールと比較して癌において減少される、項目40から項目49のいずれか1つに記載の方法。
(項目51)
p21発現レベルが、コントロールと比較して癌において減少される、項目40から項目50のいずれか1つに記載の方法。
(項目52)
上記被験体がヒトである、項目40から項目51のいずれか1つに記載の方法。
(項目53)
COP1分子のp53分子への結合に干渉する試験化合物をスクリーニングする方法であって、該方法は、以下:
a)第1ポリペプチド、第2ポリペプチド、ならびに該第1ポリペプチドおよび該第2ポリペプチドの結合に干渉する能力について試験される試験化合物を、容器中に提供する工程と;
b)該第2ポリペプチドと結合するか、置換されるか、または結合するのを妨害される該第1ポリペプチドの量を定量する工程と、
を包含し、
ここで、該第1ポリペプチドはCOP1ポリペプチドであり、かつ該第2ポリペプチドはp53ポリペプチドであるか、または、該第1ポリペプチドはp53ポリペプチドであり、かつ該第2ポリペプチドはCOP1ポリペプチドであり;そして、該第2ポリペプチドと結合する該第1ポリペプチドの量を減少させる化合物、または該第2ポリペプチドと結合する該第1ポリペプチドを置換する化合物、または該第1ポリペプチドが該第2ポリペプチドと結合するのを妨害する化合物が、COP1分子とp53分子との結合に干渉する化合物として同定される、方法。
(項目54)
上記試験化合物がCOP1活性を調節するか否かを決定する工程をさらに包含する、項目53に記載の方法。
(項目55)
上記COP1活性が、p53の分解、p53のユビキチン化、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導性アポトーシスの阻害およびp21 mRNAレベルの減少から成る群の少なくとも1つから選択される、項目54に記載の方法。
(項目56)
上記COP1が、ヒトCOP1である、項目53から項目55のいずれか1つに記載の方法。
(項目57)
上記p53が、ヒトp53である、項目53から項目56のいずれか1つに記載の方法。
(項目58)
COP1分子のp53分子への結合に干渉する試験化合物をスクリーニングする方法であって、該方法は、以下:
a)第1ポリペプチドをコードする核酸分子と作動可能に連結された配列特異的DNA結合ドメインを含む第1核酸分子、第2ポリペプチドをコードする核酸分子に作動可能に連結されたトランス活性化ドメインを含む第2核酸分子、該配列特異的DNA結合ドメインにより認識され得る配列に作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含む第3核酸分子、ならびに細胞における該第1ポリペプチドおよび該第2ポリペプチドの結合に干渉する能力を試験される試験化合物を提供する工程であって、該第1ポリペプチドはCOP1で
あり、かつ該第2ポリペプチドはp53ポリペプチドであるか、または該第1ポリペプチドはp53ポリペプチドであり、かつ該第2ポリペプチドはCOP1ポリペプチドである工程と、
b)該レポーター遺伝子の発現レベルを決定する工程であって、ここで該レポーター遺伝子の発現を減少させる化合物がCOP1分子のp53分子への結合に干渉する化合物である工程と、
を包含する、方法。
(項目59)
上記試験化合物がCOP1活性を調節するか否かを決定する工程をさらに包含する、項目58に記載の方法。
(項目60)
上記COP1活性が、p53の分解、p53のユビキチン化、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導性アポトーシスの阻害およびp21 mRNAレベルの減少から成る群の少なくとも1つから選択される、項目59に記載の方法。
(項目61)
上記COP1が、ヒトCOP1である、項目58から項目60のいずれか1つに記載の方法。
(項目62)
上記p53が、ヒトp53である、項目58から項目61のいずれか1つに記載の方法。
(項目63)
p53の活性を阻害する試験化合物についてスクリーニングする方法であって、該方法は、COP1に結合する試験化合物で哺乳動物細胞を処理する工程、および該処理された細胞におけるp53を検出する工程を包含する、方法。
(項目64)
上記検出する工程が、p53の分解、p53のユビキチン化、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導性アポトーシスの阻害およびp21 mRNAレベルの減少から成る群の少なくとも1つを決定する工程を包含する、項目63に記載の方法。
(項目65)
上記哺乳動物細胞が、COP1を発現するように設計されている、項目63または項目64に記載の方法。
(項目66)
上記哺乳動物細胞が、p53を発現するように設計されている、項目63から項目65のいずれか1つに記載の方法。
(項目67)
上記COP1が、ヒトCOP1である、項目63から項目66のいずれか1つに記載の方法。
(項目68)
上記p53が、ヒトp53である、項目63から項目67のいずれか1つに記載の方法。
(項目69)
癌を有すると診断されたか、または癌の危険があると診断された被験体における癌を処置する医薬の調製のための、COP1分子の発現を阻害するかまたはCOP1リガーゼ活性を阻害する化合物の、使用。
(項目70)
コントロールと比較して、上記癌がCOP1分子の過剰発現を有する、項目69に記載の使用。
(項目71)
コントロールと比較して、上記癌がp53活性を減少する、項目69または項目70に記載の使用。
(項目72)
コントロールと比較して、上記癌が、該癌におけるp53レベルの減少を有する、項目69から項目71のいずれか1つに記載の使用。
(項目73)
コントロールと比較して、上記癌が、該癌におけるp21レベルの減少を有する、項目69から項目72のいずれか1つに記載の使用。
(項目74)
上記野生型p53が、上記癌において発現する、項目69から項目73のいずれか1つに記載の使用。
(項目75)
上記化合物が、COP1を標的とするRNAiである、項目69から項目74のいずれか1つに記載の使用。
(項目76)
MDM2またはPirh2の発現を阻害する化合物の使用をさらに含む、項目69から項目74のいずれか1つに記載の使用。
(項目77)
上記COP1が、ヒトCOP1である、項目69から項目76のいずれか1つに記載の方法。
(項目78)
上記p53が、ヒトp53である、項目69から項目77のいずれか1つに記載の方法。
(項目79)
上記MDM2が、ヒトMDM2である、項目69から項目78のいずれか1つに記載の方法。
(項目80)
上記Pirh2が、ヒトPirh2である、項目69から項目79のいずれか1つに記載の方法。
(項目81)
哺乳動物細胞におけるp53活性を阻害する方法であって、該方法は、細胞においてCOP1を過剰発現させる工程、およびCOP1を過剰発現する該細胞におけるp53を検出する工程を包含する、方法。
(項目82)
上記検出する工程が、p53の分解、p53のユビキチン化、p53依存性トランス活性化の阻害、p53誘導性アポトーシスの阻害およびp21 mRNAレベルの減少から成る群の少なくとも1つを決定する工程を包含する、項目81に記載の方法。
(項目83)
上記哺乳動物細胞が、p53を発現するように設計されている、項目81または項目82のいずれか1つに記載の方法。
(項目84)
上記p53が、野生型p53である、項目81から項目83のいずれか1つに記載の方法。
(項目85)
上記哺乳動物細胞が、減少したMDM2活性の発現を有するように設計されている、項目81から項目84のいずれか1つに記載の方法。
(項目86)
上記哺乳動物細胞が、Pirh2活性の発現を減少するように設計されている、項目81から項目85のいずれか1つに記載の方法。
(項目87)
上記COP1が、ヒトCOP1である、項目81から項目86のいずれか1つに記載の方法。
(項目88)
上記p53が、ヒトp53である、項目81から項目87のいずれか1つに記載の方法。
(項目89)
上記MDM2が、ヒトMDM2である、項目81から項目88のいずれか1つに記載の方法。
(項目90)
上記Pirh2が、ヒトPirh2である、項目81から項目89のいずれか1つに記載の方法。
(項目91)
p53分子をコードする組換え核酸分子および哺乳動物COP1分子をコードする組換え核酸分子を含む、哺乳動物細胞。
(項目92)
減少したCOP1活性および減少したMDM2活性を有するように設計された、哺乳動物細胞。
(項目93)
減少したCOP1活性および減少したPirh2活性を有するように設計された、哺乳動物細胞。
(項目94)
減少したCOP1活性、減少したMDM2活性および減少したPirh2活性を有するように設計された、哺乳動物細胞。
(項目95)
上記哺乳動物細胞が、p53を発現するようにさらに設計された、項目91から項目94のいずれか1つに記載の哺乳動物細胞。
(項目96)
減少したMDM2活性、減少したPirh2活性および増加したCOP1活性を有するように設計された、哺乳動物細胞。
(項目97)
減少したp53活性および増加したCOP1活性、または正常COP1活性を有するように設計された、哺乳動物細胞。
(項目98)
上記活性が、RNAi法により減少される、項目91から項目97のいずれか1つに記載の哺乳動物細胞。
(項目99)
上記COP1活性が、上記細胞にCOP1分子をコードするDNA分子を導入することにより増加される、項目91から項目98のいずれか1つに記載の哺乳動物細胞。
(項目100)
COP1ポリペプチドをコードする核酸分子に作動可能に連結された配列特異的DNA結合ドメインを含む第1核酸分子、p53ポリペプチドをコードする核酸分子に作動可能に連結されたトランス活性化ドメインを含む第2核酸分子、および該配列特異的DNA結合ドメインにより認識され得る配列に作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含む第3核酸分子を含む、細胞。
(項目101)
p53ポリペプチドをコードする核酸分子に作動可能に連結された配列特異的DNA結合ドメインを含む第1核酸分子、COP1ポリペプチドをコードする核酸分子に作動可能に連結されたトランス活性化ドメインを含む第2核酸分子、および該配列特異的DNA結合ドメインにより認識され得る配列に作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含む第3核酸分子を含む、細胞。
(項目102)
上記レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼである、項目100または項目101に記載の哺乳動物細胞。
(項目103)
p53分子へのCOP1細胞の結合に干渉する試験化合物についてスクリーニングするための、項目91から項目102のいずれか1つに記載の哺乳動物細胞の使用。
(項目104)
サンプルにおけるCOP1分子を検出するための試薬、および癌細胞を含むサンプルにおけるCOP1分子を検出するための指示を含む包装挿入物を含む、キット。
(項目105)
上記癌細胞が、野生型p53を発現する癌細胞である、項目104に記載のキット。
(項目106)
上記癌細胞が、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌および移行性細胞癌から成る群から選択される、項目104または項目105に記載のキット。
(項目107)
上記卵巣癌が、漿液性腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌および粘液性腺癌から成る群の少なくとも1つから選択される、項目104から項目106のいずれか1つに記載のキット。
(項目108)
上記キットが、サンプルにおけるp53分子を検出するための試薬をさらに含む、項目104から項目107のいずれか1つに記載のキット。
(項目109)
サンプルにおけるCOP1分子を検出するための試薬およびサンプルにおけるp53分子を検出するための試薬を含む、キット。
(項目110)
薬学的に受容可能なキャリアとともに、COP1の発現を阻害する化合物を含む、薬学的組成物。
(項目111)
薬学的に受容可能なキャリアとともに、MDM2またはPirh2の発現を阻害する化合物をさらに含む、項目110に記載の薬学的組成物。
(項目112)
上記化合物が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三本鎖形成オリゴヌクレオチドおよびsiRNA分子から成る群のうちの少なくとも1つから選択される、項目110または項目111に記載の薬学的組成物。
COP1、およびp53とのCOP1の相互作用。A:Flag−ペプチドベースの溶出からの銀染色したSDS。質量分析法による適合ペプチド(下線部)を伴うp53タンパク質(下のパネル)(配列番号1)の配列。B:COP1は、インビボで外因性p53と相互作用する。Saos−2細胞を、示されるように、トランスフェクションし、免疫沈降し、そして免疫ブロット(ウェスタンブロット、WB)した。 COP1、およびp53とのCOP1の相互作用。C:COP1は、インビボで外因性p53と相互作用する。U2−OS細胞を、示されるように、COP1でトランスフェクションするか、またはCOP1なしでトランスフェクションし、免疫沈降し、そして免疫ブロットした。D:内因性p53は、内因性COP1と相互作用する。U2−OS細胞を、抗p53または抗Mycで免疫沈降し、そして抗COP1で免疫ブロットした。E:COP1は、インビトロでp53と相互作用する。GSTまたはGST−p53を、インビトロで翻訳されたHA−COP1と一緒にインキュベートし、そして結合したCOP1を、抗HA免疫ブロッティングにより検出した。この下のパネルは、HA−COP1の総インプット量の20%を示す。 COP1は、p53発現およびトランス活性化活性を負に制御し、そして、MDM2またはPirh2の非存在下でp53を分解する能力を維持する。A:COP1は、外因性p53タンパク質の定常状態レベルを妨害する。COP1、またはCOP1ΔRINGを、p53でSaos−2(p53非存在)細胞へとトランスフェクションし、そして、p53の定常状態レベルは、免疫ブロッティングにより評価された。B:COP1は、内因性p53タンパク質の定常状態レベルを妨害する。COP1またはCOP1ΔRINGを、U2−OS細胞へとトランスフェクションし、そして内因性p53の定常状態レベルを、免疫ブロッティングにより評価した。C:COP1は、p53 mRNAレベルを改変しない。COP1、またはCOP1ΔRINGでトランスフェクションされたU2−OS細胞由来のRNAが抽出され、そしてp53 mRNAレベルがリアルタイムPCRにより評価され、βアクチンのmRNAによって正規化した。D:COP1は、p53代謝回転を増加させる。HEK293T細胞は、COP1でトランスフェクションされるか、またはCOP1なしでトランスフェクションされ、そして内因性p53の半減期は、パルスチェイス代謝標識によって測定した。 COP1は、p53発現およびトランス活性化活性を負に制御し、そして、MDM2またはPirh2の非存在下でp53を分解する能力を維持する。E:p53のCOP1分解は、機能的26Sプロテアソームを必要とする。溶解物を収集する6時間前にプロテアソームインヒビターALLNで処理したか、またはプロテアソームインヒビターALLNなしで処理した場合を除いて、U2−OS細胞は、Bと同様にトランスフェクションした。F:COP1は、インビボでp53のユビキチン化を促進する。Saos−2細胞を、HA−ユビキチン、p53およびCOP1、またはCOP1ΔRINGでトランスフェクションし、そしてALLNで処理した。ユビキチン化されたp53が、抗HAを用いた免疫沈降および抗p53を用いた免疫ブロッティングによって検出された。G:COP1は、インビボでp53を直接ユビキチン化する。細菌的に発現され、精製されたユビキチン成分は、示されるようにインビトロで翻訳され、免疫沈降されたp53と一緒に、インキュベートされた。ユビキチン化されたp53は、抗Flagで検出され、そして、>53キロダルトンの生成物として表される。H:COP1は、p21プロモーター上のp53のトランス活性化機能を抑制する。Saos−2細胞は、p21−Lucレポーターおよび内部コントロールpCMV−b−Galプラスミドを含有するp53およびCOP1、またはCOP1ΔRINGでトランスフェクションした。RLU(相対照度単位)。I:COP1は、p53依存性アポトーシスを阻害する。Saos−2細胞を、示されるようにp53およびCOP1でトランスフェクションした。一時的にトランスフェクションされた細胞を、EGFPの共トランスフェクションにより選択し、そして得られたサブG1集団を、細胞死の概算のためにヨウ化プロピジウム染色により評価した。 COP1は、p53発現およびトランス活性化活性を負に制御し、そして、MDM2またはPirh2の非存在下でp53を分解する能力を維持する。J:COP1は、MDM2依存様式でp53分解を促進する。p53/MDM2欠損マウスに由来するMEFを、示されるような構築物でトランスフェクションし、そして溶解物を、p53、アクチン、MDM2およびFLAGに対する抗体を用いる免疫ブロッティングに供した。K:COP1は、Pirh2依存様式でp53分解を促進する。Saos−2細胞は、siRNAによりPirh2を消耗し、そして、引き続いて、p53およびFLAG−COP1、またはMDM2でトランスフェクションした。p53の定常状態レベルについての効果は、免疫ブロッティングによって評価した。Pirh2 mRNA除去は、リアルタイムPCRによって確認した。L:COP1は、baxプロモーター由来のp53依存性転写を阻害する。Saos−2細胞を、レポーターbax−Lucおよび内部コントロールpCMV−β−Galを組み込んでいるp53およびFLAG−COP1、またはFLAG−COP1ΔRINGでトランスフェクションした。相対的なトランス活性化活性は、ルシフェラーゼをβ−Gal活性に対して正規化することによって評価した。M:COP1は、内因性p53のトランス活性化活性を阻害する。U2−OS細胞を、pG13−Luc、またはNS−Lucで、および増加量のFLAG−COP1、またはFLAG−COP1ΔRINGを含有するpCMVβ−Galでトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後、細胞を、10μMエトポシド、またはDMSOでトランスフェクションし、処理の6時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。 COP1のsiRNA抑制は、p53タンパク質の蓄積を引き起こし、そしてG1停止を誘発する。A:COP1のsiRNA抑制は、p53タンパク質の定常状態レベルを増加させ、そしてp21遺伝子およびPirh2遺伝子のトランス活性化を増加させる。U2−OS細胞およびH1299細胞を、COP1またはコントロールとしての逆向きにされたCOP1に対するsiRNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクションした。溶解物を、示される抗体で免疫ブロットし、そして標的遺伝子のmRNAを、リアルタイムPCRによって検出した。B:COP1のsiRNA抑制は、p53依存性であるG1停止を誘発する。U2−OS(B)細胞またはH1299(C)細胞を、COP1または逆向きのCOP1 siRNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクションし、そして細胞周期プロファイルを、ヨウ化プロピジウム染色およびFACSによって測定した。C:COP1のsiRNA抑制は、p53依存性であるG1停止を誘発する。U2−OS(B)細胞またはH1299(C)細胞を、COP1または逆向きのCOP1 siRNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクションし、そして細胞周期プロファイルを、ヨウ化プロピジウム染色およびFACSによって測定した。D:2つのさらに別個のsiRNAオリゴヌクレオチドによるCOP1抑制は、タンパク質レベルにおけるp53の蓄積を引き起こす。U2−OS細胞を、COP1 siRNA2か、またはCOP1 siRNA3かのいずれか、および溶解物でトランスフェクションした。 siRNAによるCOP1、Pirh2およびMDM2抑制は、p53を安定化および活性化する。A:COP1の抑制は、p53を安定化する。U2−OS細胞を、COP1、MDM2および/またはPirh2に対するsiRNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクションし、引き続いて、示された時間パルスチェイスした。次いで、溶解物を収集し、抗p53で免疫沈降し、そして蛍光影像器において定量した。B:p53のトランス活性化活性は、COP1の減少の際に増加する。U2−OS細胞を、示されるsiRNAオリゴヌクレオチドおよびp21−Lucレポーターでトランスフェクションし、そして相対的なトランス活性化活性を、ルシフェラーゼを内部トランスフェクションコントロール(pCMV−β−Gal活性)に対して正規化することによって測定した。C:p53およびその下流の標的p21は、COP1の抑制に応答してタンパク質レベルで蓄積し、さらにMDM2の共抑制によって刺激される。bからの溶解物を、p53、p21、アクチン、MDM2およびCOP1に対する抗体でプローブした。 siRNAによるCOP1、Pirh2およびMDM2抑制は、p53を安定化および活性化する。D:COP1は、正常細胞においてp53を負に制御する。BJ線維芽細胞を、CにおけるようにsiRNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクションし、そして溶解物を収集し、p53、p21、アクチン、MDM2およびCOP1に対する抗体で免疫ブロットした。E:siRNAによるCOP1およびMDM2の除去は、U2−OS細胞をIR誘導性細胞死に感作させる。U2−OS細胞は、示されるように、siRNAオリゴヌクレオチドで事前処理し、20 Gy IRに供し、そして細胞死をヨウ化プロピジウム染色によって測定した。 COP1は、p53誘導性遺伝子である。A:COP1プロモーター上のp53コンセンサス部位の同定。下線部の配列は、p53十量体である。B:COP1プロモーターからのp53コンセンサス部位は、p53依存性転写を行い得る。2コピーのp53に対するCOP1コンセンサス部位を、pGL3プロモータールシフェラーゼレポーター構築物の上流に導入し、そして野生型p53または突然変異体p53R175Hで共トランスフェクションした。相対活性を、pCMV−β−Gal活性に対して正規化することによって測定した。C:COP1 mRNAは、p53によって誘導される。H1299細胞を、p53またはR175H突然変異体でトランスフェクションし、そしてRNAを分離し、COP1 mRNAおよび正規化されたtob−アクチンmRNAに対して特異的であるプローブを使用するリアルタイムPCRに供した。D:COP1タンパク質レベルは、p53によって増加される。Cからの溶解物を、p53、p21、アクチンおよびCOP1に対する抗体で免疫ブロットした。E:COP1タンパク質レベルは、IRに応答して増加される。U2−OS細胞を、10 Gy IRで照射し、そして8時間後に収集した。溶解物を、p53、アクチンおよびCOP1に対する抗体で免疫ブロットした。 COP1のマウス組織における発現。A:正常な精巣におけるCOP1のISH分析。左のパネルは、明視野を表し、右のパネルは、暗視野を表す。B:第1鎖cDNAパネルを使用した完全長COP1のRT−PCR。C:完全長COP1発現のノザンブロット分析。 卵巣腺癌におけるCOP1過剰発現。A:卵巣腫瘍由来のcop1 mRNAのリアルタイムPCR分析。RNAは、適合する正常コントロールと共に腫瘍サンプルから調製し、そして、リアルタイムPCR Taqman分析に供した。データは、適合した正常cop1 mRNAに対する増加の倍数として示され、そしてRPL19 mRNAに対して正規化した。B:ISHによるcop1 mRNAの過剰発現。cop1発現は、腫瘍性上皮細胞において明白であったが、付随する支質においては明白ではなかった;正常卵巣細胞は陰性であった。C:卵巣腺癌のタンパク質レベルにおけるCOP1の過剰発現。Bと同じ卵巣腺癌例は、腫瘍性上皮細胞の細胞質および核においてCOP1免疫反応を示すが、付随する支質においては示さない。D:卵巣細胞におけるp53遺伝子の状態、およびp21 mRNAにおける減少とCOP1過剰発現との相関関係。DNAを、Aにおけるサンプルから抽出し、p53遺伝子のエキソン5〜8のPCRに供した。この産物は、DNA配列決定により分析され、そして野生型(wt)または突然変異体(mu)と指定される。p53遺伝子の状態の下のグラフは、過剰発現したCOP1がまた、p21 mRNAを減少させた、A由来の同じサンプルを示す。p21 mRNAの相対レベルを、AのようにリアルタイムPCRによって測定し、そしてRPL19 mRNAに対して正規化した。データは、p21メッセンジャーにおける減少倍数として示される。 乳房腺癌におけるCOP1の過剰発現。乳房腺癌の32事例を含む組織マイクロアレイを、COP1発現についての免疫組織化学によって評価した。COP1免疫反応は、乳房腺癌の32事例中25事例において同定された。A:腫瘍性上皮細胞においてCOP1免疫反応を示す、代表的な乳房腺癌。B:Aに示される事例の、より大きな拡大図。C:同じ乳房腺癌は、分散した支質細胞は陽性であったが、腫瘍性上皮においてp53免疫反応に対して陰性であった。D:Cに示される事例の、より大きな拡大図。E:乳房腺癌の1事例における陽性p53免疫反応。全体で、32事例中3事例が、p53に対して陽性だった。F:Eにおいて示される事例の、より大きな拡大図。G:p53突然変異(アミノ酸置換C242Fをもたらす、GからTへのトランスバージョン)を、EおよびFにおいて示されたIHC陽性の事例において確認した。オリジナルの倍率:×100(A、CおよびF);×200(B、CおよびF)。 乳房腫瘍におけるCOP1定常状態レベルおよびp53定常状態レベル。A:溶解物を、正常乳房サンプルまたは腫瘍サンプルから収集し、そしてp53、COP1およびアクチンに対する抗体を用いる免疫ブロッティングに供した。B:乳房腫瘍サンプルにおけるp53遺伝子の状態。DNAを、Aにおけるサンプルから抽出し、そしてp53遺伝子のイントロン−エキソン境界およびエキソン5〜8のPCRに供した。この産物は、DNA配列決定によって分析した。
(本発明の詳細な説明)
本発明は、部分的に、COP1が種々の癌において過剰発現していることを示し、そしてCOP1相互作用タンパク質として、腫瘍抑制タンパク質であるp53を同定する。機能的に、COP1は、プロテアソームによってp53を分解し、MDM2依存性様式においてインビボでp53を直接にユビキチン化し、インビトロではp53トランス活性化電位を阻害し、そしてp53誘導性アポトーシスを阻害する。さらに、COP1のsiRNA抑制は、p53を安定化させ、その下流の標的遺伝子であるp21のトランス活性化を増加させ、その結果、この細胞周期のG1期において細胞を停止させる。COP1はまた、自己調節フィードバックループに関与するp53誘導性遺伝子として同定された。さらに、COP1を過剰発現する癌は、p21 mRNAの減少を示す。
したがって、COP1の過剰発現は、種々の癌、または種々の細胞型を診断するために使用され得る。幾つかの実施形態において、野生型p53を発現する細胞または組織におけるCOP1の過剰発現が、癌についての診断となる。
本発明の種々の代替的な実施形態および実施例が、本明細書中に記載される。これらの実施形態および実施例は、例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
(異常細胞増殖)
「細胞増殖性異常」および「増殖性異常」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖を伴う障害をいう。1つの実施形態において、この異常細胞増殖は、癌である。
「癌(cancer)」、「新生物(neoplasm)」、「新形成(neoplasia)」、「悪性腫瘍(carcinoma)」、「癌性(cancerous)」、または「腫瘍(tumor)」は、代表的に制御されない細胞増殖によって特徴付けられる、哺乳動物における生理的状態をいうか、または説明することを意味する。一般的に、新生物または癌の細胞(例えば、新形成細胞)は、正常の細胞分裂制御から解放されている。すなわち、その成長または増殖が細胞環境における通常の生化学的影響および通常の物理的な影響によって調節されない細胞であり、そして、非制御成長、局部組織浸潤、転移などの特徴を示す。一般に、新生物細胞は、増殖し、良性または悪性のいずれかである細胞のクローンを形成する。それゆえ、癌または新生物という用語は、専門的には良性であるが、悪性になる危険を伴う細胞成長を包含する。「悪性」は、任意の細胞または任意の組織の異常成長または異常増殖を意味する。悪性細胞または悪性組織は、同じ型の正常細胞または正常組織と比較した場合に、分化/方向の脱分化または欠損を阻害し得、そして、浸潤能力および転移能力を示し得る。
本明細書中において使用される「腫瘍」は、悪性であろうと良性であろうと、全ての新形成細胞成長および新形成細胞増殖、ならびに全ての前癌性細胞および組織ならびに癌性細胞および癌性組織をいう。
ほとんどの癌は、以下の3つの広範な組織学的分類内に該当する:優性な癌であり、上皮細胞、または臓器、腺、もしくは他の身体構造(例えば、皮膚、子宮、肺、乳房、前立腺、胃、腸)の外部表面または内部表面を覆う細胞の癌であり、そして、転移しやすい、癌腫(carcinoma);結合組織または支持組織(例えば、骨、軟骨、腱、靭帯、脂肪、筋肉)に由来する、肉腫(sarcoma);ならびに、骨髄およびリンパ組織に由来する、血液学的腫瘍。癌腫は、腺癌(乳房、肺、結腸、前立腺、または膀胱のような、分泌し得る器官または腺において一般に発症する)であることもあるし、または扁平細胞腺癌(扁平上皮において発生し、一般的に身体のほとんどの領域において発症する)であることもある。肉腫は、骨肉腫もしくは骨原性肉腫(骨)、軟骨肉腫(軟骨)、平滑筋肉腫(平滑筋)、横紋筋肉腫(骨格筋)、中皮肉腫もしくは中皮腫(体腔の膜の内張り)、繊維肉腫(繊維組織)、血管腫もしくは血管内皮芽細胞腫(血管)、脂肪肉腫(脂肪組織)、グリオームもしくは星状腫(脳において見られる神経性結合組織)、粘液肉腫(原始胚結合組織)、間葉組織腫もしくは混合中胚葉性腫瘍(混合結合組織型)であり得る。血液学的腫瘍は、骨髄の血漿細胞において発生する骨髄腫;「体液癌」であり、骨髄の癌であり、そして、骨髄性白血病もしくは顆粒球性白血病(骨髄性白血球および顆粒球性白血球)、リンパ性白血病、リンパ球性白血病もしくはリンパ芽球性白血病(リンパ球およびリンパ球性白血球)(例えば、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性単核球性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性骨髄球性白血病など、または真性多血球血症もしくは赤血病(種々の血球生成物、ただし赤血球が多い)であり得る、白血病;固形腫瘍であり得、リンパ系の腺もしくは節において発症し、ホジキンリンパ腫もしくは非ホジキンリンパ腫、またはバーキットリンパ腫などを含み得る、リンパ腫であり得る。さらに、腺扁平上皮癌、混合中胚葉性腫瘍、癌肉腫、または奇形腫などの混合型の癌も存在する。
癌はまた、癌が発生する器官、すなわち「原発部位」(例えば、乳房、脳、肺、肝臓、皮膚、前立腺、睾丸、膀胱、結腸、直腸、子宮頚部、子宮など)に基づいて命名され得る。この命名は、癌がその原発部位とは異なる、身体の別の部分に転移する場合にさえ維持され、そして本発明に従う癌は、原発癌だけでなく転移した癌も含む。
原発部位に基づいて命名された癌は、組織学的分類と相関し得る。例えば、肺癌は、一般に、扁平上皮細胞悪性腫瘍、腺癌、または大細胞型悪性腫瘍であり得る、小細胞型肺癌または非小細胞肺癌である;皮膚癌は、一般に、基底細胞癌、扁平上皮癌、または黒色腫(例えば、悪性黒色腫)である。リンパ腫は、腹部リンパ節、または腋性リンパ節もしくは鼠蹊部リンパ節とともに、頭部、首および乳房に付随するリンパ節において生じ得る。癌の型および段階の同定および分類は、例えば、Surveillance、Epidemiology and End Results(SEER)Program of the National Cancer Insutitue(http://see
r.cancer.gov/publicdata/access.html)(これは、アメリカ合衆国における癌の発生および生存に関する権威ある情報源であり、かつ世界中で認知されている。)によって提供された情報を使用することによって実施され得る。このSEER Programの発生および生存データは、具体的な癌の部位および段階に対する標準的な生存に対してアクセスするために使用され得る。例えば、最適な比較群を保証するために、具体的な基準が、診断および正確な段階のデータを含むデータから選択され得る。癌の同定はまた、例えば、The Merck Mannual of Diagnosis and Therapy、第17版、M.H.BeersおよびR.Barkow編、John WileyおよびSans、1999のような診断マニュアルにおいて提供される情報を使用することによって実施され得る。
癌または新生物の例としてはまた、制限されずに、当業者には公知なように、形質転換および不死化された細胞、固形腫瘍、骨髄増殖性疾患、芽細胞腫、上皮細胞癌(例えば、扁平上皮細胞癌)、小細胞型肺癌を含む肺癌、非小細胞型肺癌、肺腺癌および肺上皮悪性腫瘍、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌(gastric cancerまたはstomach cancer)、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頚部癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーマ、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮悪性腫瘍、漿液性腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌、粘液性腺癌、ブレンナー腫、奇形腫、未分化胚細胞腫、絨毛膜癌腫、繊維腫、顆粒膜細胞腫瘍、セルトリ−ライディヒ細胞腫瘍、未分化卵巣悪性腫瘍、唾液腺悪性腫瘍、腎臓癌、または腎性癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝性癌、肛門悪性腫瘍、ペニス悪性腫瘍、頭部および/または頚部の癌、ユーイング肉腫、血管内皮腫、カポジ肉腫、脂肪肉腫、末梢神経上皮腫、滑膜肉腫、ホジキン病などが挙げられる。
本発明による癌は、癌細胞または癌組織がCOP1分子を過剰発現ている任意の癌、またはCOP1活性がアップレギュレートされている任意の癌を包含する。幾つかの実施形態において、本発明による癌は、癌細胞または癌組織がまた、野生型p53分子を過剰発現している任意の癌を含む。
(ポリペプチド、核酸分子および試験化合物)
本発明による化合物は、制限されずに、COP1およびp53の核酸分子、ポリペプチドおよび/またはアナログ、改変体、相同体ならびにそれらのフラグメントを含む。そのような化合物は、診断、予後、治療、スクリーニングなどの本発明の方法のいずれかにおいて使用され得る。化合物は、例えば、COP1またはp53のペプチドもしくはペプチドアナログの任意の位置におけるアミノ酸残基を、他の保存的なアミノ酸残基(すなわち、同様の物理的特性、生物学的特性もしくは化学的特性を有する残基)または非保存的なアミノ酸残基で、置換、欠失、または挿入し、そしてp53(化合物がCOP1分子である場合)またはCOP1(化合物がp53分子である場合)に対する結合を媒介するこの化合物の能力をスクリーニングすることによって、調製され得る。幾つかの実施形態においては、本発明の化合物は、特異的にCOP1またはp53(例えば、突然変異体p53または野生型p53)と結合する抗体を含む。このような抗体は、例えば、ヒト化された抗体であり得る。
抗体は、この抗体がある抗原を認識し、結合するが、サンプルにおける他の分子は実質的に認識せず、結合しない場合に、その抗原と「特異的に結合する」。例えば、COP1抗体は、COP1分子と特異的に結合するが、癌細胞または癌組織に存在する分子などの他のいかなる分子とも実質的に結合しない。幾つかの実施形態においては、COP1抗体は、ヒトCOP1分子と特異的に結合し得るが、他の種由来のCOP1分子とは特異的に結合し得ない。別の実施形態においては、p53抗体は、p53分子と特異的に結合するが、癌細胞または癌組織に存在する分子のような他のいかなる分子とも実質的に結合しない。幾つかの実施形態においては、p53抗体は、ヒトp53分子と特異的に結合し得るが、他の種由来のp53分子とは特異的に結合し得ない。幾つかの実施形態においては、p53抗体は、突然変異体p53分子と特異的に結合し得るが、野生型p53分子とは特異的に結合し得ない。幾つかの実施形態においては、p53抗体は、野生型p53分子と特異的に結合し得るが、突然変異体p53分子とは特異的に結合し得ない。ある抗原と特異的に結合する抗体は、例えば、サンプルにおける別の参照分子に対する抗体の親和性よりも、少なくとも10倍、100倍、1000倍、または10000倍大きいこの抗原に対する親和性を有する。
本明細書中で使用される「COP1分子」は、以下:COP1ポリペプチド;COP1ポリペプチドをコードする核酸分子;COP1核酸分子;ならびにそれらのアイソフォーム、フラグメント、アナログ、または改変体と実質的に同一である分子をいう。例えば、COP1分子は、p53と結合する能力および/またはCOP1リガーゼ活性を有する、哺乳動物由来のCOP1ポリペプチドのアイソフォーム、フラグメント、アナログ、または改変体を含み得る。
COP1分子は、制限されずに、以下のアクセッション番号に示される配列と実質的に同一である配列を含むポリペプチド、または核酸分子を含む。
Figure 2010223966
Figure 2010223966
COP1分子は、Bianchiら30、Wangら39、Yiら20において記載される分子であり得る。COP1分子は、COP1のドメインに対応する配列、例えば、アクセッション番号NP_071902(上記RINGドメイン)の残基136位から残基177位;アクセッション番号NP_071902(コイルドコイルドメイン)の残基231位から残基306位;および/またはNP_071902(WD40ドメイン)の残基410位から残基727位を含む分子を含み得る。幾つかの実施形態においては、COP1ポリペプチドは、p53ポリペプチドと直接に結合し、そして/またはp53活性またはp53機能を阻害し得る、本明細書中で示される配列と実質的に同一である分子を含む。いずれの具体的な仮説にも束縛されないが、COP1ポリペプチドはホモダイマーを形成し、p53を負に制御し得る。したがって、COP1分子は、ホモダイマー化し得る、本明細書中で示される配列と実質的に同一である分子を含み得る。幾つかの実施形態においては、本明細書中で示される配列を有するCOP1ポリペプチドまたは核酸分子は、本発明による特定の方法(例えば、COP1レベルを検出することによって、特定の癌(例えば、乳癌)を診断する方法)からは具体的に排除され得る。
「p53」は、393アミノ酸リンタンパク質をコードする、強力な腫瘍抑制タンパク質26、27である。p53は、多くの癌において負に調節されるか40−43、または突然変異される。p53の欠損またはp53の不活性化は、癌に寄与し得る。広範に種々のp53が存在する。「野生型」p53は、正常細胞(例えば、非癌性細胞)において見出されるp53、または癌と相関がある突然変異体を有さないp53である。サンプルのp53の状態(例えば、このサンプルが、野生型p53を含むか、または突然変異体p53を含むかのいずれかであるか)は、例えば、Vogelsteinらに発行された米国特許第6,090,566号に記載されるように、または本明細書中に記載されるかもしくは当業者に公知な標準技術を使用して、評価され得る。p53分子は、制限されずに、例えば、アクセッション番号P04637に示される配列と実質的に同一である配列を含むポリペプチドおよびこれらの配列によってコードされる核酸分子を含み得る。
MDM2分子またはPirh2分子は、ポリユビキチン鎖を生成するために、E2酵素由来のユビキチン(例えば、UbcH5b)を、複数のリジン残基上または基質結合体化ユビキチン上の基質に転移させるリガーゼを含み7−10、そしてp53のネガティブレギュレーターである7、25。MDM2分子またはPirh2分子は、アクセッション番号AF527840(MDM2)およびアクセッション番号AF255666(Pirh2)に示される配列と実質的に同一である配列を有する分子、およびそれらの配列によってコードされる核酸分子を含む。
p21、または「WAF1/Cip1」は、サイクリン依存性キナーゼの普遍的インヒビターとして元々は記載された。このp21または「WAF1/Cip1」は、p53依存性機構およびp53非依存性機構の両方によって誘導され、そして細胞増殖のインヒビターと考えられている。p21分子は、アクセッション番号U03106において示される配列と実質的に同一である配列を有する分子、およびそれらの配列によってコードされる核酸分子を含む。
「実質的に同一である」配列は、本明細書中において考察される1つ以上の保存的な置換によって、またはアミノ酸分子もしくは核酸分子の生物学的機能を破壊しない配列位置における1つ以上の非保存的置換、欠失もしくは挿入によってのみ、参照配列と異なるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列である。このような配列は、例えば、Genetechによって開発されたAlign−2 Programを使用した比較のために使用される配列に対してアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで最適に整列された場合に、10%から99%の任意の整数、またはより一般的には少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、55%もしくは60%、または少なくとも65%、75%、80%、85%、90%もしくは95%、または約96%、97%、98%もしくは99%同一であり得る。ポリペプチドに対しては、比較配列の長さは、少なくとも2個、5個、10個もしくは15個のアミノ酸、または少なくとも20個、25個もしくは30個のアミノ酸であり得る。別の実施形態において、比較配列の長さは、少なくとも35個、40個もしくは50個のアミノ酸、または60個、80個もしくは100個を超えるアミノ酸であり得る。核酸分子に対しては、比較配列の長さは、少なくとも5個、10個、15個、20個もしくは25個のヌクレオチド、または少なくとも30個、40個もしくは50個のヌクレオチドであり得る。別の実施形態において、比較配列の長さは、少なくとも60個、70個、80個もしくは90個のヌクレオチド、または100個、200個もしくは500個を超えるヌクレオチドであり得る。
本明細書中における「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、最大パーセント配列の同一性を達成するように、配列をアライメントし(必要な場合には)ギャップを導入した後に、選択した配列のアミノ酸残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定するためのアライメントは、例えば、BLAST(National Library of Medicine software)、BLAST−2、ALIGN、ALIGN−2、Megalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの市販のコンピュータソフトウェアを使用して、当該分野の技術内にある種々の方法において達成され得る。当業者は、比較される配列の全長に対する最大のアライメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定し得る。しかしながら、本明細書中の目的に対して、%アミノ酸配列同一性の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用することによって、以下に記載されるように入手される。配列比較コンピュータプログラムALIGN−2は、Genetech,Inc.によって著され、そして、U.S.Copyright Registration,Washington D.C.、20599において使用者文書でファイルされた。このALIGN−2は、米国著作権登録第TXU510087の下に登録され、そして、Genetech,Inc.、South San Francisco、Californiaを介して市販されている。ALIGN−2プログラムは、UNIX(登録商標)作動システム(好ましくは、デジタルUNIX(登録商標) V4.0D)における使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメーターはこのALIGN−2プログラムによって設定され、変わらない。
あるいは、またはさらに、2つの核酸配列が、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする場合には、「実質的に同一」であり得る。ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」は、当業者によって迅速に決定され得、そして、一般に、プローブ長、洗浄温度および塩濃度に依存する経験的な算出値である。一般的に、より長いプローブは、正確なアニーリングのためにより高温を必要とする一方で、より短いプローブは、より低温しか必要としない。ハイブリダイゼーションは、一般に、変性したDNAの、相補鎖がその融点以下の環境で存在する場合に再アニールする能力に依存する。上記プローブとハイブリダイズし得る配列との間の所望される相同性の程度が高いほど、使用され得る相対的な温度も高くなる。結果として、より高温は、その反応条件をよりストリンジェントにする一方で、より低温は、その反応条件をストリンジェントではないようにする。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーについてのさらなる詳説については、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience Publishers(1995)(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
1つの実施形態によれば、上記ハイブリダイゼーションは、高ストリンジェンシー条件下にある。本明細書中に定義される「ストリンジェントな条件」、または「高ストリンジェンシー条件」は、以下:(1)洗浄のために、低イオン強度および高温(例えば、50℃における0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のラウリル硫酸ナトリウム)を用いる;(2)ハイブリダイゼーション中に、ホルムアルデヒドのようなの変性剤(例えば、42℃における750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムを含有するpH6.5の0.1%のウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのリン酸ナトリウム緩衝剤を含有する50%(v/v)ホルムアルデヒド)を用いる;または(3)50%のホルムアルデヒド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、超音波処理されたサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDSおよび10%の硫酸デキストランを用いる溶液中での一晩のハイブリダイゼーション(0.2×SSC中で42℃で10分間洗浄し、次いで55℃においてEDTAを含む0.1×SSCからなる10分間の高ストリンジェンシーの洗浄を行うことを伴う)、のようなものによって同定され得る。
「中ストリンジェント条件」は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、New York:Cold Spring Harbor Press(1989)に記載されるように同定され得、そして、上述のものよりもストリンジェントではないハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度およびSDS%)および洗浄溶液の使用を含む。中ストリンジェント条件の例は、以下:20%のホルムアルデヒド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%の硫酸デキストランおよび20mg/mlの変性せん断サケ精子DNAを含む溶液において37℃にて一晩のインキュベーション(その後、約37℃から約50℃において1×SSCでフィルターを洗浄する)である。当業者は、プローブ長などの要素に適合するために必要とされる、温度、イオン強度などをどのように調整するかを認識する。
ハイブリダイゼーションは、約20分から約30分、または約2時間から約6時間、または約10時間から約15時間、または24時間以上の時間に及び実行され得る。高ストリンジェンシー条件のハイブリダイゼーションもまた、高ストリンジェントなPCR、DNA配列決定、単鎖遺伝的多型配座解析およびインサイチュハイブリダイゼーションなどの分子生物学者によって慣習的に実施される多数の技術の成功に依存する。ノザンハイブリダイゼーションおよびサザンハイブリダイゼーションと対照的に、それらの技術は、通常比較的に短いプローブ(例えば、PCR、または配列決定のためには、通常約16ヌクレオチド長以上およびインサイチュハイブリダイゼーションのためには、約40ヌクレオチド長以上)で実行される。
生物学的に等価なポリペプチドを入手するために、このポリペプチドの生物学的機能を実質的に改変することなく、ポリペプチドの構造において幾つかの改変および変更を為し得ることは、当業者には周知である。本発明の1つの局面において、本発明のポリペプチドはまた、生物学的機能に影響しないアミノ酸置換によって、本発明のポリペプチドの配列の一部と異なる生物学的に等価なポリペプチドへと拡張される。
本明細書中で使用される、「保存的アミノ酸置換」という用語は、関連する機能の実質的には変更しない、このペプチドの所定の位置における別のペプチドとのアミノ酸の置換をいう。このような変更を行うことにおいて、類似のアミノ酸残基の置換は、側鎖置換基の相対的類似性、例えば、それらのサイズ、荷電、疎水性、親水性などに基づいて為され得、そしてこのような置換は、慣習的な試験によってそのペプチドの機能におけるその置換の影響についてアッセイされ得る。
本明細書中で使用される「アミノ酸」という用語は、天然に存在するタンパク質において共通して見出されるL−アミノ酸、D−アミノ酸、および改変されたもののようなアミノ酸を意味する。したがって、本発明のアミノ酸は、例えば、以下:アミノアジピン酸;3−アミノアジピン酸;β−アラニン;β−アミノプロピオン酸;2−アミノ酪酸;4−アミノ酪酸;ピペリジニン酸(piperidinic acid)、6−アミノカプロン酸;2−アミノへプタン酸;2−アミノイソ酪酸;3−アミノイソ酪酸;2−アミノピメリン酸;2,4ジアミノ酪酸;デスモシン;2,2’−ジアミノピメリン酸;2,3−ジアミノプロピオン酸;N−エチルグリシン;N−エチルアスパラギン;ヒドロキシリシン;アロ−ヒドロキシリシン;3−ヒドロキシプロリン;4−ヒドロキシプロリン;イソデスモシン;アロ−イソロイシン;N−メチルグリシン;サルコシン;N−メチルイソロイシン;6−N−メチルリジン;N−メチルバリン;ノルバリン;ノルロイシン;およびオルニチンを含み得る。
幾つかの実施形態において、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似する親水性の値(例えば、プラス2もしくはマイナス2、またはプラス1.5もしくはマイナス1.5、またはプラス1もしくはマイナス1、プラス0.5もしくはマイナス0.5の値の範囲内)を有する別のアミノ酸残基と置換する場合に為され得る。ここで、以下:
Figure 2010223966
は、アミノ酸残基(米国特許番号第4,554,101号において詳説され、本明細書により参考として援用される)に割り当てられたTyr(−1.3)、またはPro(−1.6)などの約−1.6のヒドロパチー指数を有するアミノ酸であり得る。
代替的な実施形態において、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似のヒドロパチー指数を有する別のアミノ酸残基と置換される場合に、為され得る(例えば、プラス2もしくはマイナス2、またはプラス1.5もしくはマイナス1.5、またはプラス1もしくはマイナス1、プラス0.5もしくはマイナス0.5の値の範囲内)。このような実施形態によれば、各アミノ酸残基は、以下:
Figure 2010223966
の通り、疎水性および荷電特性を基礎にヒドロパチー指数を割り当てられ得る。
別の実施形態において、保存的アミノ酸置換は、市販の類似マトリックスファミリーを使用して為され得る。
Figure 2010223966
Figure 2010223966
PAMマトリックスは進化モデルに由来する計数に基づく一方で、Blosumマトリックスは、アライメント内の高度に保存されたブロックに由来する計数に基づく。PAMマトリックスまたはBlosumマトリックスのいずれかにおける、ゼロを超える類似性スコアが、保存的アミノ酸置換を作製するために使用され得る。
別の実施形態において、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が同じ種類の別のアミノ酸残基と置換する場合に、為され得る。この場合に、このアミノ酸は、以下:
Figure 2010223966
のように、非極性種、酸性種、塩基性種および中性種に区別される。
保存的アミノ酸変更は、L−アミノ酸の保存的置換だけでなく、その対応するD−アミノ酸による、保守性D−アミノ酸による、または天然に存在しない、遺伝的にコードされない形態のアミノ酸による、L−アミノ酸の置換を含み得る。天然に存在しない、遺伝的にコードされないアミノ酸としては、β−アラニン、3−アミノ−プロピオン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、アルファ−アミノイソ酪酸、4−アミノ−酪酸、N−メチルグリシン(サルコシン)、ヒドロキシプロリン、オルニチン、シトルリン、t−ブチルアラニン、t−ブチルグリシン、N−メチルイソロイシン、フェニルグリシン、シクロへキシルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、2−ナフチルアラニン、ピリジルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニン、4−フルオロフェニルアラニン、ペニシラミン、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボン酸、ベータ−2−チエニルアラニン、メチオニンスルフォキシド、ホモアルギニン、N−アセチルリジン、2−アミノ酪酸、2,4−ジアミノ酪酸、p−アミノフェニルアラニン、N−メチルバリン、ホモシステイン、ホモセリン、システイン酸、イプシロン−アミノ−ヘキサン酸、デルタ−アミノバレリアン酸、または2,3−ジアミノ酪酸が挙げられる。
別の実施形態において、保存的アミノ酸変更は、親水性もしくは疎水性、サイズもしくは量、または荷電の考慮に基づく変更を含む。アミノ酸は、一般にアミノ酸側鎖の特性に主に依存して、疎水性または親水性と特徴付けられ得る。Eisenbergら(J.Mol/Bio.179:125−142,184)の正規化されたコンセンサス疎水性スケールに基づいて、疎水性アミノ酸は、ゼロより大きい疎水性を示し、そして親水性アミノ酸は、ゼロより小さい親水性を示す。遺伝的にコードされた疎水性アミノ酸としては、Gly、Ala、Phe、Val、Leu、Ile、Pro、MetおよびTrpが挙げられ、そして遺伝的にコードされた疎水性アミノ酸としては、Thr、His、Glu、Gln、Asp、Arg、SerおよびLysが挙げられる。遺伝的にコードされない疎水性アミノ酸としてはt−ブチルアラニンが挙げられ、遺伝的にコードされない親水性アミノ酸としては、シトルリンおよびホモシステインが挙げられる。
疎水性アミノ酸、または親水性アミノ酸は、それらの側鎖の特徴に基づいてさらに再区分され得る。例えば、芳香族アミノ酸は、側鎖が少なくとも1つの芳香環、または芳香族複素環を含有する疎水性アミノ酸である。この芳香環または芳香族複素環は、−OH、−SH、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−NO、−NH、−NHR、−NRR、−C(O)R、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NRRなどの1つ以上の置換基を含み得、ここでRは、独立して(C−C)アルキル、置換(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、置換(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、置換(C−C)アルキニル、(C−C20)アリール、置換(C−C20)アリール、(C−C26)アルカリル、置換(C−C26)アルカリル、5員〜20員のヘテロアリール、5員〜20員の置換ヘテロアリール、6員〜26員のアルクヘテロアリール、6員〜26員の置換アルクヘテロアリールである。遺伝的にコードされた芳香族アミノ酸としてはPhe、TyrおよびTrpが挙げられ、遺伝的にコードされない芳香族アミノ酸としては、フェニルグリシン、2−ナフチルアラニン、β−2−チエニルアラニン、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボン酸、4−クロロフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニンおよび4−フルオロフェニルアラニンが挙げられる。
非極性アミノ酸は、生理学的pHにおいて荷電されておらず、そして、2つの原子によって共有される電子の対が、一般に、その2つの原子の各々によって同等に保有される結合を有する側鎖(すなわち、その側鎖は極性ではない)を有する、疎水性アミノ酸である。遺伝的にコードされた非極性アミノ酸としては、Gly、Leu、Val、Ile、AlaおよびMetが挙げられ、遺伝的にコードされない非極性アミノ酸としてはシクロへキシルアラニンが挙げられる。非極性アミノ酸は、脂肪性アミノ酸(脂肪性炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸)を含むようにさらに再区分され得る。遺伝的にコードされた脂肪性アミノ酸としてはAla、Leu、ValおよびIleが挙げられ、遺伝的にコードされない脂肪性アミノ酸としては、ノルロイシンが挙げられる。
極性アミノ酸は、生理学的pHにおいては荷電されていないが、2つの原子によって共有される電子の対が、その電子の1つによってより密接に保有される1つの結合を有する側鎖を有する、親水性アミノ酸である。遺伝的にコードされた極性アミノ酸としてはSer、Thr、AsnおよびGlnが挙げられ、遺伝的にコードされない極性アミノ酸としては、シトルリン、N−アセチルリジンおよびメチオニンスルフォキシドが挙げられる。
酸性アミノ酸は、7未満の側鎖pKa値を有する親水性アミノ酸である。酸性アミノ酸は、代表的に、水素イオンの喪失に起因して、生理学的pHにおいて負に荷電した側鎖を有する。遺伝的にコードされた酸性アミノ酸としては、AspおよびGluが挙げられる。塩基性アミノ酸は、7より大きい側鎖pKa値を有する親水性アミノ酸である。塩基性アミノ酸は、代表的にはヒドロニウムイオンの付随に起因して、生理学的pHにおいて正に荷電した側鎖を有する。遺伝的にコードされた塩基性アミノ酸としてはArg、LysおよびHisが挙げられ、遺伝的にコードされない塩基性アミノ酸としては、非環式アミノ酸オルニチン、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ酪酸およびホモアルギニンが挙げられる。
上述の分類は、絶対的なものではなく、そして、アミノ酸は、1つ以上のカテゴリーに分類され得るということが、当業者によって認識される。さらに、アミノ酸は、既知の挙動、および/または特定のアッセイに基づくかもしくは以前に同定されたアミノ酸と比較して、特徴的な化学的特性、物理的特性または生物学的特性に基づいて、分類され得る。アミノ酸はまた、アミノ酸類似側鎖を有する二官能基部分を含み得る。
保存的変更はまた、例えば、アミノ酸の機能的側鎖基の反応によって、非誘導体化残基に対する化学的に誘導体化された部分の置換を含み得る。従って、これらの置換は、遊離アミノ基が塩酸アミン、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−臭化オキシカルボニル基、クロロアセチル基、またはホルミル基に誘導体化された化合物を含み得る。同様に、遊離カルボキシル基は、誘導体化されて、塩、メチルエステルおよびエチルエステル、もしくは多くの型のエステル、またはヒドラジドを形成し得、そして側鎖は、誘導体化されて、遊離ヒドロキシル基に対するO−アシルもしくはO−アルキル、またはヒスチジンのイミダゾール窒素に対するN−イミ−ベンジルヒスチジンを形成し得る。ペプチドアナログはまた、例えば、メチル化によって、アルキルアミン(例えば、エチルアミン、エタノールアミン、またはエチレンジアミン)によるC末端アミノ酸のアミド化によって、またはアミノ酸側鎖のアシル化もしくはメチル化(例えば、リジンのεアミノ基のアシル化など)によって、化学的に改変されたアミノ酸を含む。ペプチドアナログはまた、置換アミド(例えば、式−C(O)−NRの基、ここでRは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、置換(C−C)アルキル、置換(C−C)アルケニル、または置換(C−C)アルキニルである)、またはアミド結合の同配体(例えば、−CHNH−、−CHS、−CHCH−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−C(O)CH−、−CH(OH)CH−、もしくは−CHSO−)とのペプチドにおけるアミド結合の置換を含み得る。
上記化合物は、例えばポリマー化または結合体化によって共有結合され、ホモポリマーまたはヘテロポリマーを形成し得る。代表的に中性の低分子からなるスペーサーまたはリンカー(例えば、生理学的条件の下で非荷電であるアミノ酸)が使用され得る。結合は、多数の様式で達成され得る。例えば、システイン残基がペプチド末端に付加され得、そして複数のペプチドが制御された参加によって共有結合され得る。あるいは、ヘテロ二機能性因子(例えば、ジスルフィド/アミド形成因子またはチオエーテル/アミド形成因子)が使用され得る。この化合物はまた、例えば癌細胞を標的とし得るかまたは癌細胞の成長もしくは増殖を阻害し得る別の化合物に連結され得る。この化合物はまた、例えば環状部分を有することによって束縛され得る。
ペプチドまたはペプチドアナログは、標準的な化学技術(例えば、液相または固相合成法を使用する自動合成による)によって合成され得る。自動ペプチド合成器は事犯されており、当該分野で周知の技術を使用する。ペプチドおよびペプチドアナログはまた、例えばSambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)またはAusubelら(Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,1994)に記載されているもののような標準的な方法を使用する組換えDNA技術を使用して調製され得る。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、COP1、MDM2、p21またはp53核酸分子もしくはそれらのフラグメントと実質的に同一の核酸分子を含むか、またはCOP1、MDM2、p21またはp53核酸分子もしくはそれらのフラグメントに相補的な核酸分子を含む。そのような核酸分子は、例えば、本発明のアッセイおよび方法におけるプローブまたはプライマーとして使用され得る。「プローブ」または「プライマー」は、相補的な配列を含有する第2DNAまたはRNA分子(標的)と対合し得る規定された配列の一本鎖DNAまたはRNA分子である。生じるハイブリッド分子の安定性は、生じた対合の程度に依存し、プローブと標的分子との間の相補性の程度、およびハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーの程度のようなパラメーターによって影響される。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーの程度は、温度、塩濃度、および有機分子(例えば、ホルムアミド)の濃度のようなパラメーターによって影響され、そして当業者に周知の方法によって決定される。本明細書に記載される核酸配列またはその一部に特異的なプローブまたはプライマーは、そのプローブまたはプライマーが使用される目的および条件に依存して、少なくとも8ヌクレオチド〜500ヌクレオチド超(その間の任意の値を含む)の任意の整数の長さで変動し得る。例えば、プローブまたはプライマーは、8ヌクレオチド長、10ヌクレオチド長、15ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長または25ヌクレオチド長であり得るか、あるいは少なくとも30ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長または60ヌクレオチド長であり得るか、あるいは100ヌクレオチド長以上、200ヌクレオチド長以上、500ヌクレオチド長以上、または1000ヌクレオチド長以上であり得る。本明細書中に記載される核酸分子に特異的なプローブまたはプライマーは、本明細書中に記載される核酸配列に対して、20〜30%の配列同一性、または少なくとも55〜75%の配列同一性、または少なくとも75〜85%の配列同一性、または少なくとも85〜99%の配列同一性、または100%の配列同一性を有する。
プローブまたはプライマーは、例えば増幅によってゲノムDNAまたはcDNAから、あるいはクローニングされたDNAセグメントから由来し得、単一の個体由来の単一遺伝子の全てまたは一部を代表するゲノムDNA配列またはcDNA配列のいずれかを含有し得る。プローブは、固有の配列(例えば、COP1もしくはp53核酸分子に100%の同一性)を有し、かつ/または公知の配列を有し得る。プローブまたはプライマーは、化学的に合成され得る。
プローブまたはプライマーは、当該分野で公知の方法によって、放射性または非放射性のいずれかで、検出可能に標識され得る。プローブまたはプライマーは、核酸ハイブリダイゼーションに関する方法(例えば、核酸配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応による増殖、一本鎖立体多型(SSCP)分析、制限酵素フラグメント多型(RFLP)分析、サザンハイブリダイゼーション、ノザンハイブリダイゼーション、インサイチュハイブリダイゼーション、電気泳動移動度変動アッセイ(EMSA)、および当業者に公知の他の方法)のために使用され得る。
核酸分子はまた、例えば細胞における標的分子の発現を減少させるために使用され得る、アンチセンス分子、siRNA分子、またはトリプルヘリックス分子であり得る。核酸に関して本明細書中で使用される場合、「アンチセンス」により、核酸分子(例えば、COP1遺伝子、mdm2遺伝子、p21遺伝子またはp53遺伝子のような遺伝子)のコード鎖に相補的な核酸配列を意味する。いくつかの実施形態において、アンチセンス核酸分子は、いずれもが細胞内で発現される場合に、相補的遺伝子によってコードされるポリペプチドのレベルを低下させ得るものである。いくつかの実施形態において、このポリペプチドレベルは、その遺伝子のみを発現し、相補的核酸分子を発現していない細胞におけるポリペプチドと比較して、少なくとも10%〜少なくとも25%の任意の値、または少なくとも25%〜少なくとも50%の任意の値、または少なくとも50%〜少なくとも75%の任意の値、または少なくとも75%〜100%の任意の値、または少なくとも2倍〜少なくとも10倍の任意の値、または少なくとも100倍低下される。
「siRNA」分子または「RNAi」分子とは、二本鎖RNAを形成する核酸をいい、この二本鎖RNAは、そのsiRNAが遺伝子または標的遺伝子と同じ細胞において発現された場合に、その遺伝子または標的遺伝子の発現を減少させるかまたは阻害する能力を有する。したがって、「siRNA」とは、相補鎖によって形成される二本鎖RNAをいう。ハイブリダイズして二本鎖分子を形成するsiRNAの相補部分は、代表的に、実質的または完全に同一である。一実施形態において、siRNAとは、標的遺伝子に対して実質的または完全な同一性を有し、二本鎖siRNAを形成する核酸をいう。このsiRNAの配列は、全長標的遺伝子またはその部分配列に対応し得る。代表的に、このsiRNAは、少なくとも15〜50ヌクレオチド長(例えば、二本鎖siRNAの各相補配列が、15〜50ヌクレオチド長であり、そしてその二本鎖siRNAは約15〜50塩基対の長さであり、好ましくは約20〜30塩基ヌクレオチド長であり、好ましくは約20〜25ヌクレオチド長または約24〜29ヌクレオチド長であり、例えば20ヌクレオチド長、21ヌクレオチド長、22ヌクレオチド長、23ヌクレオチド長、24ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、26ヌクレオチド長、27ヌクレオチド長、28ヌクレオチド長、29ヌクレオチド長または30ヌクレオチド長)である。PCT/US03/07237(本明細書中にその全体が参考として援用される)もまた参照のこと。siRNAまたはRNAiが標的核酸を発現する細胞において発現されるときに少なくとも約10%その標的核酸の発現を減少させる場合、そのsiRNAまたはRNAi分子はその標的核酸に対して「特異的」である。
本明細書中で説明される治療剤(核酸分子を含む)は、その生物学的利用可能特性、薬物動態学特性、および薬力学的特性を向上させるように、改変または合成され得る。例えば、治療的核酸分子は、当該分野で公知の技術を使用して、1つ以上のホスホロチオエートと一緒に合成され得る。
いくつかの実施形態において、試験化合物は、有機低分子を包含する。「有機低分子」とは、約50ダルトンより大きく、かつ約2500ダルトン未満の分子量、好ましくは約2000ダルトン未満の分子量、好ましくは約100ダルトンと約1000ダルトンとの間の分子量、より好ましくは約200ダルトンと約500ダルトンとの間の分子量を有する、天然に存在するかまたは合成的かのいずれかの、有機分子をいう。有機低分子は、ユビキチンリガーゼインヒビター(例えば、Ro106−9920およびそのアナログ)であり得る44
本発明のいくつかの実施形態において、試験化合物は、COP1/p53相互作用または結合に干渉し得る抗体を包含する。試験化合物としてはまた、COP1/p53相互作用または結合に干渉し得、かつ/またはCOP1活性(例えば、COP1酵素活性)を阻害し得る、ペプチド、核酸分子または低分子が挙げられ得る。
候補化合物または試験化合物は、当該分野で公知の方法に従って、天然産物または合成(または半合成)抽出物の両方の大きなライブラリあるいは化学ライブラリから同定され得る。薬物探索および開発の分野の当業者は、試験抽出物または化合物の正確な供給源は本発明の方法には重要でないことを理解する。したがって、実質的に任意の数の化学抽出物または化合物が、本明細書中に記載される例示的な方法を使用してスクリーニングされ得る。そのような抽出物または化合物の例としては、植物ベースの抽出物、真菌ベースの抽出物、原核生物ベースの抽出物もしくは動物ベースの抽出物、醗酵ブロス、および合成化合物、ならびに既存の化合物の修飾物が挙げられるが、これらに限定されない。多数の方法もまた、任意の数の化合物(例えば、サッカリドベースの化合物、ペプチドベースの化合物、および核酸ベースの化合物)のランダム合成または指向性合成(例えば、半合成または総合成)の生成のために利用可能である。合成化合物ライブラリは、市販されている。あるいは、細菌抽出物、真菌抽出物、植物抽出物、および動物抽出物の形態の天然化合物のライブ拉致は、多数の供給元から市販されている。この供給元としては、Biotics(Sussex,UK)、Xenova(Slough,UK)、Harbor Branch Oceanographic Institute(Ft.Pierce,FL,USA)、およびPharmaMar,MA,USAが挙げられる。さらに、所望される場合は、当該分野で公知の方法(例えば、標準的な抽出および分画法によって)に従って、天然産物ライブラリおよび合成産物ライブラリが作製される。さらに、所望される場合は、任意のライブラリまたは化合物は、標準的な化学的方法、物理的方法、または生化学的方法によって容易に改変される。
粗抽出物が例えばCOP1/p53相互作用を阻害することが見出された場合は、陽性のリード抽出物のさらなる画分が、観察された効果を担う化学的構成成分を単離するために必要であり得る。したがって、抽出、分画および精製プロセスのゴールは、COP1/p53結合阻害活性を有する粗物質内の化学的実体の注意深い特徴付けおよび同定である。化合物の混合物における活性の検出のための、本明細書中で記載される同じアッセイが、活性成分を精製するため、およびその誘導体を試験するために使用され得る。そのような異種抽出物の分画および精製の方法は、当該分野で公知である。所望される場合は、処置のために有用であることが示された化合物が、当該分野で公知の方法に従って化学的に改変される。治療的価値、予防的価値、診断的価値または他の価値があるものと同定された化合物は、その後、例えば癌のための動物モデルを使用して、分析される。
(診断的、治療的、予防的および/またはスクリーニング用の使用、アッセイおよび試薬)
本発明に従う化合物、組成物(例えば、薬学的組成物)および方法は、癌を診断するため、または被験体における癌を処置もしくは予防するため、または癌を処置もしくは予防するのに有用な試験化合物をスクリーニングするために使用され得る。
本明細書中で使用される場合、被験体は、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ハエ、蠕中などであり得る。この被験体は、臨床患者、治験ボランティア、実験動物などであり得る。この被験体は、癌を有する疑いがあるかもしくは癌を有する危険がある疑いがあるか、癌を有すると診断されたか、または癌を有さないことが確認されたコントロールの被験体であり得る。1つの好ましい実施形態において、この被験体はヒトである。
癌の診断法および癌診断の臨床的描写は、当業者に公知である。本明細書中で考察されるように、種々の癌が、COP1発現レベルを測定することによって診断または検出され得、ここでCOP1の過剰発現が癌の診断を示す。「過剰発現」により、コントロールに対する(例えば、非癌性細胞によって正常に産生される発現のレベルに対する)、特定の分子(例えば、COP1)のmRNAまたはポリペプチド発現の増加を意味する。COP1分子の過剰発現を示す癌はまた、p53分子(例えば、p53ポリペプチド)の発現低下、またはp21分子(例えば、p21 mRNA)の発現低下を示し得る。「発現レベルにおける低下」によって、コントロールに対する(例えば、非癌性細胞によって正常に産生される発現のレベルに対する)、特定の分子(例えば、p53またはp21)のmRNA発現またはポリペプチド発現における低下を意味する。そのような増加または低下は、コントロールと比較した場合、10%と90%との間の任意の値、または30%と60%との間の任意の値、または100%以上であり得、あるいは2倍と10倍との間の任意の値(2倍および10倍を含む)またはそれ以上(例えば、100倍)の変化であり得る。過剰発現もしくは増加、または低下または減少の正確な量は、その過剰発現または低下が統計的に有意である限り、重要ではない。
本発明にしたがう試薬は、本明細書中に記載される化合物を包含する。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書中に記載される化合物を含む細胞(例えば、哺乳動物細胞)を包含する。例えば、哺乳動物細胞は、組換えp53分子、組換えPirh2分子、組換えMDM2分子、および/もしくは組換えCOP1分子を含むように、または内因
性のタンパク質発現を低下もしくはノックアウトするように、またはそれらのタンパク質をコードする遺伝子を改変することによってそれらのタンパク質を変異させるように、例えば組換え技術によって設計され得る。これらの分子の発現レベルまたは活性は、例えばこれらの分子に対して特異的に指向されるsiRNAを使用して、低下され得る。そのような哺乳動物細胞は、p53/COP1結合に干渉するかまたはp53もしくはCOP1活性を阻害する試験化合物についてスクリーニングするために使用される。
例えば、癌または細胞増殖性障害の処置においける使用のための試験化合物をスクリーニングするために、コントロール細胞は、低下したレベルまたはゼロレベルのp53を発現し、そして正常または増加したレベルのCOP1を発現し得る。そのような細胞は、試験化合物とインキュベートされ、そして、細胞周期、p21発現、p53誘導性アポトーシス、p53依存性トランス活性化、COP1リガーゼ活性などにおける変化についてアッセイされる。p21−ルシフェラーゼのようなレポーターベースの構築物が、バックグラウンドとしての内部ルシフェラーゼと一緒に、ならびにRT−PCR技術と一緒に、使用され得る。そのような哺乳動物細胞は、例えば、COP1分子を過剰発現するように設計され得るp53野生型細胞株(U2−OS細胞)またはp53ヌル細胞株(H1299)のような、既存の細胞株において設計され得る。
本発明に従うアッセイは、標準的な供給源から標準的な手順によって得られたサンプルを使用して、インビボ、インビトロ、またはエキソビボで実施され得る。「サンプル」は、被験体から単離された任意の臓器、組織、細胞または細胞抽出物であり得る。例えば、サンプルとしては、患者(ヒトまたは動物)、試験被験体、または実験動物から得られた、骨、脳、乳房、結腸、筋肉、神経、卵巣、前立腺、網膜、皮膚、呼格菌、腸、精巣、心臓、肝臓、腎臓、胃、膵臓、子宮、副腎、扁桃、脾臓、軟部組織、末梢血、全血、赤血球濃縮液、血小板濃縮液、白血球濃縮液、血球たんぱく質、血漿、血小板リッチの血漿、血漿濃縮液、血漿の任意の画分由来の沈殿物、血漿の任意の画分由来の上清、血漿タンパク質画分、精製もしくは部分精製された血液タンパク質もしくは他の成分、漿液、精液、哺乳動物初乳、乳、尿、糞、唾液、脳脊髄液、心膜液、腹膜液、胎盤抽出物、羊水、寒冷沈降物、寒冷上清、細胞溶解物、血球中に存在するタンパク質、固形主要、もしくは任意の他の標本、またはそれらの任意の抽出物が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、サンプルにおいて、非癌性細胞から癌性細胞を単離することが所望され得る。
サンプルはまた、限定されずに、正常細胞または形質転換細胞(例えば、組換えDNA技術またはモノクローナル抗体技術による)によって細胞培養において産生された産物を含み得る。サンプルとしてはまた、非哺乳動物被験体(例えば、昆虫または蠕虫)から単離された任意の臓器、組織、細胞または細胞抽出物が挙げられ得るが、これらに限定されない。「サンプル」はまた、被験体から直接単離されたものではない、実験条件下で作製された細胞または細胞株でもあり得る。サンプルはまた、細胞を含まないものであってもよいし、人工的に誘導されたものでもよいし、合成されたものでもよい。サンプルはまた、癌性であることが既知の、癌性であることが疑われる、または癌性でないと考えられている(例えば、正常またはコントロール)細胞または組織に由来し得る。
「コントロール」は、ベースラインの発現または活性を決定するのに使用するために得られたサンプルを含む。従って、コントロールサンプルは、多数の手段によって得られ得る。この手段としては、非癌性細胞または組織(例えば、被験体の腫瘍または癌性細胞を囲んでいる細胞)から;癌を有さない被験体から;癌の危険があると疑われない患者から;またはそのような患者由来の細胞または細胞株から、が挙げられる。コントロールはまた、既に確立された標準も含む。従って、本発明に従って実施される任意の試験またはアッセイは、その確立された標準と比較され得、各回において比較のためにコントロールサンプルを得る必要はない、インビトロユビキチン化アッセイにおいて、コントロールは、p53分子をユビキチン化する能力が低下しているCOP1分子(例えば、COP1ΔRingのようなそのリガーゼドメインに欠損を有する分子)であり得る。
例えば、COP1またはp53分子は、癌細胞、組織または細胞溶解物において提供されてもよいし、組換え技術を使用して構築されてもよい。マイクロアレイ(例えば、組織マイクロアレイ)が使用され得る。組換えタンパク質、細胞および/または細胞株は、商業的な供給元(例えば、細胞または細胞株については、ATCC,Manassas,VA,USA)から得ることができる。
癌のための適した動物モデルは、例えば、The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME,USAから得ることができる。いくつかの実施形態において、COP1またはp53の発現または活性を有する動物モデルが、使用され得る。
COP1またはp53の核酸分子またはポリペプチド発現または活性、あるいはCOP1/p53結合は、種々の技術を使用してアッセイされ得る。この技術としては、免疫組織化学(IHC)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、ノザンブロッティング、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、リアルタイム定量PCRまたはRT−PCR)、抗体ベースのアッセイ(例えば、免疫沈降)、免疫蛍光、ウェスタンブロッティング、核酸配列決定などが挙げられる。例えば、サンプル由来のPCR産物の配列決定、一本鎖立体構造多型(SSCP)分析、または制限酵素フラグメント長多型(RFLP)分析が、COP1またはp53遺伝子における変異の検出に使用され得;免疫沈降、RIA、ELISAまたはウェスタンブロッティングが、COP1またはp53ポリペプチドまたは結合のレベルを測定するために使用され得;COP1またはp53の遺伝子またはmRNAの発現が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、または三本鎖形成オリゴヌクレオチドを使用してダウンレギュレートされて、転写または翻訳を阻害し得;ノザンブロッティングがCOP1またはp53 mRNAレベルを測定するために使用され得、あるいはPCRがCOP1またはp53核酸分子のレベルを測定するために使用され得る。そのようなアッセイは、COP1またはp53の任意の形態または全ての形態(前駆体、フラグメント(例えば、内部タンパク質分解酵素の分解によって作製されたもの)、翻訳後修飾形態など)の検出を含む。本発明の方法は、COP1に関連する生物学的活性(例えば、p53の分解、p53のユビキチン化、p53のトランス活性化の阻害、p53誘導性アポトーシスの阻害、p21 mRNAの減少など)についてアッセイする工程を包含する。
いくつかの実施形態において、被験体における細胞は、インビボで、必要に応じて検出可能に標識(例えば、放射性同位体)された抗体(例えば、COP1抗体またはp53抗体、またはその両方)に曝露され得、そしてその抗体のその細胞への結合が、例えば放射能についての外部走査または生検の分析によって評価され得る。
上記アッセイは、検出可能に標識された分子、すなわち分子(例えば、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー、遺伝子またはそのフラグメント、ペプチド、またはcDNA分子)の存在をマークまたは同定するための任意の手段を使用して、実施され得る。分子を検出可能に標識するための方法は、当該分野で周知であり、この方法としては、放射能標識(32Pまたは35Sのような同位体による)および非放射性標識、例えば、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼを使用する)、化学発光標識、蛍光標識(例えば、フルオレセインを使用する)、生物発光標識、またはプローブに結合されたリガンドの抗体検出が挙げられるが、これらに限定されない。間接的な手段によって検出可能に標識された分子もまた、この定義内に含まれる。この分子は、第一部分(例えば、ビオチン)に結合され、次いで、観察またはアッセイされ得る第2部分(例えば、フルオレセイン標識されたストレプトアビジン)に結合された分子である。標識としてはまた、ジゴキシゲニン、ルシフェラーゼおよびエクオリンが挙げられる。
「検出する」によって、物質の存在または非存在を決定すること、または物質の量を定量することを包含することが意図される。従って、この用語は、定性的決定および定量的決定のための本発明の物質、組成物、および方法の使用をいう。一般的に、検出のために使用される具体的な技術は、本発明の実施のために重要ではない。例えば、本発明に従う「検出する」は当該分野で公知の方法または以下に記載される方法を使用して、以下:COP1、mdm2、p21、もしくはp53遺伝子、ゲノムもしくは核酸分子またはCOP1、mdm2、p21、もしくはp53ポリペプチドの存在もしくは非存在;COP1、mdm2、p21、もしくはp53遺伝子における変異;COP1、mdm2、p21、もしくはp53の核酸分子(例えば、mRNA)もしくはポリペプチドの発現レベルにおける変化;COP1ポリペプチドの生物学的機能/活性(例えば、COP1リガーゼ活性、p53代謝回転、p53依存性トランス活性化活性)またはp53ポリペプチドの生物学的機能/活性(例えば、p53結合、p53依存性トランス活性化、COP1結合、p21のトランス活性化など)における変化、を検出することを包含する。いくつかの実施形態において、「検出する」は、野生型p53を検出することを包含する。いくつかの実施形態において、「検出する」は、変異p53を検出することを包含する。検出することは、コントロールと比較した場合に、10%と90%との間の任意の値の変化(増加または減少)、または30%と60%との間の任意の値の変化、または100%以上の任意の値の変化を定量することを包含する。検出することは、2倍と10倍との間(2倍および10倍を含む)、またはそれ以上(例えば、100倍)の任意の値の変化を定量することを含む。
(薬学的および獣医学的組成物、投薬量および投与)
本発明の化合物は、単独で、あるいはリポソーム、アジュバント、または任意の薬学的に受容可能なキャリアの存在下で、哺乳動物(例えば、ヒト、マウスなど)への投与に適した形態で、他の化合物(例えば、核酸分子、低分子、ペプチド、またはペプチドアナログ)と組み合わせて、提供され得る。所望される場合、本発明に従う化合物での処理は、化学療法のような癌のためのより慣習的かつ既存の治療(例えば、アルキル化剤、代謝拮抗物質、抗生物質、抗微小管化合物(例えば、Avastin、CPT11、オキサリプラチン(oxaliplatin)、放射線治療(例えば、電離放射線)など))と組み合わされ得る。いくつかの実施形態において、本発明に従う治療的化合物は、COP1、p53、p21、MDM2またはPirh2分子に対して指向されるsiRNA分子を含む。本発明に従う化合物は、慢性的または断続的に提供され得る。「慢性的」投与とは、最初の治療効果(活性)を維持するように、急性の短期間の用量を投与するのではなく長期間の連続的な化合物の投与をいう。「断続的」投与とは、その特定の化合物の処置がない期間が介在する処置をいう。
慣習的な薬学的実施は、上記化合物を、癌に罹患している患者または癌の診断前の患者に投与するのに適した処方物または組成物を提供するように採用され得る。任意の適切な投与経路が採用され得る。この経路は、例えば、非経口投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、頭蓋内投与、眼窩内投与、眼内投与、心室内投与、嚢内投与、脊髄内投与、くも膜下投与、槽内投与、腹腔内投与、鼻内投与、局所的投与、または経口投与である。治療的処方物は、液体溶液または懸濁液の形態であり得;経口投与のためには、処方物は錠剤またはカプセルの形態であり得;そして鼻内投与のためには、粉末、点鼻薬、またはエアロゾルの形態であり得る。
処方物を作製するための当該分野で周知の方法は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(第19版)A.Gennaro編、1995、Mack Publishing Company,Easton,Paにおいて見出される。非経口投与のための処方物は、例えば、賦形剤、滅菌水または生理食塩水、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)、植物由来のオイル、または水素化ナフタレンを含有し得る。生体適合性の、生物分解性のラクチド(lactide)ポリマー、ラクチド/グリコールコポリマー、またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、上記化合物の放出を制御するために使用され得る。他の潜在的に有用な非経口送達系としては、エチレン−酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、移植可能注入系、およびリポソームが挙げられる。吸入のための処方物は、賦形剤(ラクトース)を含んでもよいし、例えばポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココレート、およびデオキシコレートを含む水溶液であってもよいし、点鼻薬の形態における投与のための油性溶液(すなわち、ゲルとして)であってもよい。治療的または予防的または防止的組成物のために、上記化合物は、癌に依存して、癌の増殖または進行を予防、阻害または遅くするのに十分な量で、個体に投与される。この化合物の有効性の指標としては、以下の1つ以上の観察可能かつ/または測定可能な減少、または非存在が挙げられる:癌細胞の数における減少または癌細胞の非存在、腫瘍サイズにおける減少;周辺器官への癌細胞の浸潤の阻害(すなわち、予防する、阻害する、遅くする、または停止させる);ある程度の腫瘍増殖の阻害;ならびに/あるいはある程度の具体的な癌に付随する1つ以上の症状の軽減、ならびに罹病率および死亡率の低下。
本発明に従う化合物の「有効量」は、治療有効量または予防有効量を含む。「治療有効量」とは、必要とされる投薬および期間において、所望の治療的結果を得るために有効な量をいう。この所望の治療的結果は、例えば以下のうちの1つ以上の観察可能および/もしくは測定可能な減少、または以下のうちの1つ以上の非存在である:癌細胞の数における減少または癌細胞の非存在、腫瘍サイズにおける減少;周辺器官への癌細胞の浸潤の阻害(すなわち、予防する、阻害する、遅くする、または停止させる);ある程度の腫瘍増殖の阻害;ならびに/あるいはある程度の具体的な癌に付随する1つ以上の症状の軽減、ならびに罹病率および死亡率の低下。化合物の治療的有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびにその化合物のその個体において所望の応答を惹起する能力のような要因に従って変わり得る。投薬レジメンは、最適の治療的応答を提供するように調整され得る。治療有効量はまた、その化合物の任意の毒性効果または有害な効果よりも、その治療的に有益な効果がまさる量でもある。「予防有効量」とは、必要とされる投薬および期間において、所望の予防的結果を得るために有効な量をいう。この所望の予防的結果は、例えば以下のうちの1つ以上の観察可能および/もしくは測定可能な減少、または以下のうちの1つ以上の非存在である:癌細胞の数における減少または癌細胞の非存在、腫瘍サイズにおける減少;周辺器官への癌細胞の浸潤の阻害(すなわち、予防する、阻害する、遅くする、または停止させる);ある程度の腫瘍増殖の阻害;ならびに/あるいはある程度の具体的な癌に付随する1つ以上の症状の軽減、ならびに罹病率および死亡率の低下。代表的に、予防的用量は、疾患の前または疾患の早期段階において被験体において使用され、その結果、予防有効量は、治療有効量よりも少ないものであり得る。化合物の治療有効量または予防有効量のための好ましい範囲は、0.1nM〜0.1M、0.1nM〜0.05M、0.05nM〜15μM、または0.01nM〜10μMの任意の整数であり得る。
用量の値は、軽減されるべき状態の重篤度によって変わり得ることに注意されたい。任意の特定の被験体について、特異的な投薬レジメンは、個々の必要性および上記化合物を投与しているかまたはその化合物の投与を管理している専門家の判断に従って、経時的に調整され得る。本明細書中に記載される用量範囲は、単なる例示であり、医療実務者によって選択され得る用量範囲を限定しない。組成物中の活性化合物の量は、被験体の疾患状態、年齢、性別および体重に従って変わり得る。投薬レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整され得る。例えば、単回ボーラスが投与されてもよいし、分割された用量が経時的に投与されてもよいし、またはその用量は、治療的状況の緊急性によって示されるように比例的に減少もしくは増加されてもよい。投与が容易なため、および用量の均一性のために、単位投薬形態において非経口組成物を処方するのが有利であり得る。
ワクチン処方物の場合、免疫学的に有効量の本発明の化合物が、単独で、あるいは他の化合物、免疫学的アジュバント(例えば、Freund不完全アジュバント)、水酸化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、または水酸化アルミニウムと組み合わせて、提供され得る。この化合物はまた、免疫原性を高めるために、キャリア分子(例えば、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)に連結され得る。
一般的に、本発明の化合物は、実質的な毒性を引き起こすことなく使用されるべきである。本発明の化合物の毒性は、標準的な技術によって、例えば、細胞培養または実験動物において試験し、そして治療指数(すなわち、LD50(集団の50%に致死である用量)とLD100(集団の100%に致死である用量)との間の比)を決定することによって、決定され得る。しかしながら、いくつかの状況(例えば、重篤な疾患状態)では、実質的に過剰量の組成物を投与することが必要とされ得る。
(実施例1 材料および方法)
(発現ベクター、組換えタンパク質および抗体)
Flag−COP1は、以前に説明されている33。HA−COP1は、PCRによってCOP1をpcDNA3.1+(Invitrogen)へサブクローニングすることにより生成し、そしてGST−COP1は、COP1をpGEX6P1(Pharmacia)へサブクローニングすることにより生成した。pcDNA3.1+53、pG13−Luc、p21−Luc、bax−Luc、NS−LucおよびpCMV−MDM2は、以前に説明されている21,22、35
全長COP1は、HEK293T細胞に由来するcDNAから増幅した。HA−COP1を、PCRによりpcDNA3.1+(Invitrogen)へサブクローニングし、GST−COP1は、PCRにより、pGEX6P1(Pharmacia)へサブクローニングすることによって生成した。COP1−LucおよびCOP1mut−Lucは、pGL3−プロモーター(Promega)へのCOP1プロモーターに由来する2つのコピーのp53コンセンサス部位の含むか、またはコンセンサス部位の突然改変体を含むオリゴヌクレオチドのライゲーションによって生成した。
すべてのGST組換えタンパク質は、E.coli株BL21(DF3)コドン+(Stratagene)において発現させ、1mg/mlのリゾチームと一緒に超音波分解し、プロテアーゼインヒビターミックス(Roche)を含有するPBS中で1%のトリトンX−100で可溶化し、続いて、グルタチオンセファロース4Bバッチ法を使用して精製し、還元グルタチオンか、またはPreScissionプロテアーゼ(Pharmacia)で切断されたグルタチオンのいずれかで溶出した。組換えタンパク質のインビトロ転写/翻訳は、TnTキット(Promega)と組み合わせたT7/T3か、またはRapid Translation System(RTS)(Roche)のいずれかを使用して実行した。
抗p53(DO−1;Calbiochem)、抗p53(1801;BD Pharmingen)、抗p53(FL−393;Santa Cruz Biotechnology)、抗p21(Ab−1;Calbiochem)、抗MDM2(2A10;Calbiochem)、抗Flag(M2;Sigma)、抗Myc(9E10;Roche)、抗His−HRP(Roche)、抗アクチン(ICN)、抗GST(B−14;Santa Cruz Biotechnology)、および抗HA(Roche)は、製造業者の推奨に従って使用した。抗COP1は、ヒトCOP1のアミノ酸71位から270位に対して惹起されたモノクローナル抗体である。
(細胞、トランスフェクション、レポーター分析およびアポトーシスアッセイ)
U2−OS、Saos−2、HEK293TおよびBJ細胞は、American Type Culture Collection(ATCC)から購入し、そして、
McCoy’s 5A(Invitrogen)、またはDMEM(Sigma)媒体において維持した。p53−/−MDM2−/−MEFは、10%のFBSおよび1×L−グルタミン含有DMEMにおいて増殖させた。H1299細胞は、RPMIで増殖させた。
全てのトランスフェクションは、製造業者の推奨に従って、Lipofectamine2000(Invitrogen)、Oligofetamine(Invitrogen)、またはGeneporter(Gene Therapy Systems)を使用して実行した。COP1のp53の定常状態レベルについての影響を評価するために、Saos−2細胞を、250ngもしくは500ngのpcDNA3.1+p53を含有する増加量のFLAG−COP1もしくはFLAG−COP1ΔRINGでトランスフェクションしたか、またはU2−OS細胞を、増加量(0.5μg、1μgおよび2μg)のpCMV−FLAG−COP1もしくはpCMV−FLAG−COP1ΔRINGとともに、またはそれらを伴わずにトランスフェクションし、そして、示される場合には、細胞を収集する前に6時間50μMのALLNで処理した。
レポーター分析のために、Saos−2細胞またはH1299細胞を、増加量(0.5μg、1μgおよび2μg)のpCMV−FLAG−COP1もしくはpCMV−FLAG−COP1ΔRINGとともに、またはそれらを伴わずに、150ng、または250ngのpcDNA3.1+p53、またはpcDNA3.1+p53R175H、100ngのp21−Luc、bax−Luc、COP1−Luc、COP1mut−Luc、またはNS−Lucおよび10ngのpCMVβ−Galで、一時的にトランスフェクションした。ルシフェラーゼ分析は、製造業者の指示に従って実行し、そして、β−ガラクトシダーゼ活性(Promega)に対して正規化した。
p53依存性細胞死アッセイのために、Saos−2細胞を、1μgの強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)および5μgのpcDNA3.1+、pcDNA3.1+p53、pCMV−FLAG−COP1またはpcDNA3.1+p53、およびpCMV−FLAG−COP1で48時間、一時的にトランスフェクションした。細胞を収集し、そして蛍光細胞分析分離装置(FACS)による分析のためにヨウ化プロピジウムで染色した。トランスフェクションされた細胞を選択し、その後、細胞周期プロファイルを、DNA含量に従って決定した。
30ベースのdTdTオーバーハングを有する
Figure 2010223966
を、GenentechまたはDharmaconにより合成した。実験におけるコントロールsiRNAは、逆方向siRNAオリゴヌクレオチドの混合物をいう。U2−OS、H1299、Saos−2およびBJ細胞を、24時間から36時間間隔で3回、siRNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクションし、そして、接触阻害を防止するのに必要な程度まで増殖させた。
(免疫沈降およびGSTプルダウンアッセイ)
細胞を、免疫沈降(IP)溶解緩衝液(1%のTriton X−100、150mMのNaCl、50mMのTris(pH7.4)およびプロテアーゼインヒビターミックス)または放射性免疫沈降(RIPA)緩衝液(0.1%のSDS、1%のNP−40、150mMのNaCl、0.5%のデオキシコレート、50mMのTris(pH7.4)およびプロテアーゼインヒビターミックス)において溶解し、予備洗浄し、標的抗体およびタンパク質A/G PLUSビーズ(Pierce)で免疫沈降した。COP1と相互作用するタンパク質の同定は、Flag−COP1を安定して発現するU2−OS細胞が生成されたことを除いて、以前に説明されたように実行した33
GSTプルダウンアッセイは、PBST(0.1%のTween20を含有するPBS)におけるインビトロで翻訳されたHA−COPと合わせ、そして1時間氷上でインキュベートされた5μgのGSTまたはGST−p53を用いて実行した。次いで、グルタチオンセファロース4Bビーズをその混合物に添加し、1時間インキュベートし、その後、PBSTで5回洗浄した。GST結合タンパク質を、SDS−PAGE、ならびに抗HAおよび抗GSTを用いる免疫ブロットに供した。IPを、必要に応じて高濃度の塩で、溶解緩衝液において洗浄した。パルスチェイス実験を、HEK293T細胞を24時間pCMV−Flag6a、またはpCMV−Flag−COP1でトランスフェクションし、そしてU2−OS細胞を示されるようにsiRNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクションしたことを除いては、以前に説明されたように、実行した
(インサイチュハイブリダイゼーション、リアルタイムPCRおよびノザンブロット)
同位体インサイチュハイブリダイゼーションを、COP−1特異的688bp33P標識アンチセンスリボプローブを使用して、以前に説明されたように、パラフィン包埋組織および組織マイクロアレイ(TMA)の区画上で実施した23。このプローブは、ヌクレオチド364において始まるCOP−1に対する翻訳配列の5’側の半分のほとんどを含む。同じテンプレートから転写され、かつ各ハイブリダイゼーション実験に含まれるセンスコントロールプローブは、いかなる上記組織においても、バックグラウンドを超えるシグナルを示さなかった。正常組織および卵巣腫瘍を代表するTMAを、以前に説明されたように構築した24。子宮腫瘍TMAは、78上皮腫瘍とともに、正常卵巣、輸卵管および子宮のサンプルから構成される。全RNAを、Qiagen RNAeasyキットを使用して、細胞または組織から抽出し、そしてプローブは、COP1、p21、RPL19およびβアクチンmRNAのリアルタイムPCRのために設計した。全ての反応を、ABI7700配列検出器を使用して、製造業者の推奨に従って実行した。
Mouse Multiple Tissue Northern Blot(Clontech)を、完全長の、32P標識されたマウスCOP1 cDNAに、Church緩衝液(35.5g/L NaHPO、0.17%(v/v)のHPO、1%(w/v)のウシ血清アルブミン、1mMのEDTA、7%(w/v)のSDS)中、65℃で一晩ハイブリダイズした。濾過器を、40mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)/1%(w/v)SDSで65℃にて洗浄し、−70℃でフィルムに曝露した。
(インビトロユビキチン化アッセイおよびインビボユビキチン化アッセイ)
インビトロユビキチン化アッセイのために、インビトロで翻訳されたp53を、抗p53(DO−1および1801)で免疫沈降し、PBSTで5回洗浄し、そして反応を、タンパク質A/Gビーズ上で実行した。室温で30分間、20μMのZnClでプレインキュベートした、10μgのHis−ユビキチン(Boston Biochem)もしくはFLAG−ユビキチン(Sigma)、20ngのUbc5Hb(A.G.Scientific)、20ngのウサギE1(Sigma)および500ngのGST−COP1(E3)を、総量30μlで、50mMのTris(pH7.5)、2mMのATP、5mMのMgClおよび2mMのDTTを含む緩衝液中でインキュベートした。30℃で2時間のインキュベーション後に、反応物を、5分間1%のSDSを含むPBSTでボイルし、次いで抗p53(DO−1およびFL−393)との再免疫沈降のためにSDSを0.2%に減らした。最後に、2−メルカプトエタノールと一緒に、SDSサンプル緩衝液中95℃でインキュベートし、そしてSDS−PAGEに供し、その後抗His−HRP(Roche)または抗FLAG−HRP(M2)との免疫ブロットを行ってユビキチン化された種のp53を検出した。
インビボアッセイのために、H1299、またはp53−/−/MDM2−/−MEFを、100ngのHA−Ub、500ngのpcDNA3.1+p53、2μgのpCMV−FLAG6a、pCMV−FLAG−COP1、またはpCMV−FLAG−COP1ΔRINGでトランスフェクションし、そして収集および抗HAでの免疫沈降および抗p53(DO−1)でのウェスタンブロットの前に、50μMのALLNで2時間処理した。
(COP1と相互作用するタンパク質の同定)
pcDNA3.1+で共トランスフェクションし、G418(Invitrogen)耐性について選択することにより、pCMV−FLAG−COP1またはpCMV−FLAG6aを発現するU2−OS安定細胞株を、生成した。FLAGまたはFLAG−COP1発現クローンを増殖させ、そして、低張性溶解緩衝液(10mMのKCl、1.5mMのMgCl、10mMのHEPES(pH7.9)、1mMのDTT、プロテアーゼインヒビターミックス)で収集する前に、50μMのALLNで2時間処理し、その後ホモジナイズした。次いで、遠心分離により浄化した溶解物を、抗FLAG M2ビーズ(Sigma)とのインキュベーションに供した。一晩のインキュベーション後、ビーズを、洗浄緩衝液1(20mMのHEPES(pH7.9)、420mMのNaCl、1.5mMのMgCl、0.2mMのEDTA、25%のグリセロールおよびプロテアーゼインヒビターミックス)で1回洗浄し、洗浄緩衝液2(0.1%のNP−40、20mMのTris(pH7.5)、300mMのNaClおよびプロテアーゼインヒビターミックス)で5回洗浄した。結合したタンパク質を、300μg/mlのFLAGペプチド(Sigma)で溶出し、その後、SDSおよび銀染色によって分析した。目的のバンドを切り出し、インサイチュでトリプシン消化し、得られたペプチドをキャピラリー液体クロマトグラフィー−イオントラップタンデム型質量分析により配列決定した。
(p53遺伝子配列決定、リアルタイムPCRおよびウェスタンブロッティング)
腫瘍サンプルを、単離し、激しくボルテクスしながら溶解緩衝液(1%のSDS、20mMのTris(pH7.5)、2mMのEDTAおよび400mMのNaCl)中に再懸濁し、500μg/mlのタンパク質分解酵素K(Sigma)を補充し、そしてサンプルが完全に消化されるまで一晩55℃でインキュベートした。このサンプルを、次いで、1:1の割合でフェノールークロロフォルムーイソアミルアルコール(25:24:1)に再懸濁し、そして室温で30分間インキュベートし、その後14,000rpmで10分間遠心分離した。次いで、上部の水相を、等量のイソプロパノールに再懸濁し、そしてさらに15分間遠心分離した。得られたペレットを、70%エタノールで洗浄し、そしてヌクレアーゼを含まないHO中に再懸濁した。上記パラフィン包埋組織のマイクロアレイサンプルについては、DNAを、30μlのPicoPure Proteinase K抽出緩衝液(Arcturus,Mountainview,CA)中で顕微解剖した腫瘍組織を65℃で48時間インキュベートすることによって抽出した。この消化物を、10分間95℃で熱不活性化し、そしてPCR反応(Expand High PCR systems、Roche Molecular Biochemicals Indianapolis、IN)へ直接添加した。単離されたゲノムDNAを、M13特異的配列を組み込んだp53遺伝子のエキソン5〜8に対する以下:
Figure 2010223966
のプライマーによるPCRに供した。
PCR産物は、M13F配列決定プライマーおよびM13R配列決定プライマーを用いて蛍光色素ターミネーター化学(fluorescent−dye terminator chemistry)(Applied BioScience、Foster City、CA)を使用して、配列決定した。
リアルタイムPCRは、正常サンプルおよび腫瘍サンプルから単離された総RNAから、以下のCOP1、p21、Pirh2、β−アクチンおよびRPL19に対する特異的プローブを用いて実行した。全ての反応は、ABI7700配列検出器を使用して製造業者の推奨に従って実行した。
RT−PCRプライマー配列:(すべてのプライマーは、各遺伝子に対する3’UTRセグメントを増幅する)
Figure 2010223966
RPL19配列:
Figure 2010223966
組織を、TLB(0.5%のNP40、20mMのTris pH7.5、5mMのEDTA、プロテアーゼインヒビターミックス(Roche))で収集し、その後ホモジナイズした。溶解物を、20、000×gにおける60分間の遠心分離により浄化し、その後SDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析に供した。膜は、COP1、p53(DO−1および1801、Santa Cruz Biotechnology)およびアクチン(ICN)に対する抗体でブローブした。
(COP1およびp53についての免疫組織化学)
組織を収集し、10%中性緩衝ホルマリンにおいて固定し、そしてパラフィンで包埋した。ガラススライド上の5μ切片を脱パラフィンし、蒸留水で水和した。p53染色のために、スライドを、99℃のDako Target Retrieval(Dako,S1700)溶液において20分間インキュベートし、次いで、スライドを、TBSTでリンスした。内因性ペルオキシターゼ、アビジンおよびビオチンを、各々、KPLブロッキング緩衝液(KPL,37−00−84)およびVectorアビジン/ビオチンキット(Vector,SP2001)を使用してクエンチし、次いでTBSTでリンスした。スライドを、3%BSA/PBS中で、10%正常ウマ血清と一緒に30分間インキュベートした。次いで、スライドを、室温で60分間、5μg/mlの抗p53抗体(Novus Biologicals,NB200−104)中でインキュベートした。TBSTでの洗浄後、スライドを、室温で30分間、2.5μg/mlのビオチン化ウマ抗マウス二次抗体(Vector,BA2001)と一緒にインキュベートした。TBST洗浄の後、スライドを、室温で30分間、Vectastain ABC Elite Reagent(Vector,PK6100)と一緒にインキュベートした。次いで、スライドをTBSTでリンスし、Pierce Metal Enhanced DABと一緒に4分間インキュベートし、そして水でリンスした。次いで、スライドを、Mayerのヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、マウントし、そして明視野観察のためにカバーガラスを載せた。COP1染色については、スライドを、99℃で、Dako Target Retrieval High pH溶液(Dako、S3308)中で20分間インキュベートし、次いで、スライドを、TBST中でリンスした。内因性ペルオキシターゼ、アビジンおよびビオチンを、KPLブロッキング緩衝液およびVectorアビジン/ビオチンキットを使用してクエンチし、その後TBSTでリンスした。スライドを、3%のBSA/PBS中で、10%正常ウマ血清と一緒に30分間インキュベートした。次いで、スライドを、室温で60分間、1μg/mlの抗COP1(クローン1D5)抗体中でインキュベートした。TBST洗浄後、スライドを、室温で30分間、2.5μg/mlのビオチン化ウマ抗マウス二次抗体と一緒にインキュベートした。TBST洗浄後、スライドは、室温で30分間、Vectastain ABC Elite Reagentと一緒にインキュベートした。次いで、スライドを、ビオチン化チラミド試薬(Perkin Elmer,NEL700)中で3分間インキュベートし、その後、TBSTで洗浄し、次いで、Vectastain ABC Elite Reagentと一緒に30分間インキュベートした。TBST洗浄後、スライドを、Pierce Metal Enhanced DABと一緒に4分間インキュベートし、そして、水でリンスし、Mayerのヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、マウントし、そしてカバーガラスを載せた。
(実施例2:p53は、COP1に対する基質である)
COPがどのように細胞プロセスを調節し得るかの理解を得るために、FLAGタグの付いたCOP1または空ベクターを安定して発現するU2−OS細胞由来の溶解物を、抗FLAGを用いる免疫沈降に供し、そして結合したタンパク質を、FLAGペプチドによって溶出し、SDS−PAGEによって分析して、特異的なバンドを質量分析によって配列決定した(図1A)。約53キロダルトンにおけるバンドの質量分析により、腫瘍抑制タンパク質p53由来の5個の適合するペプチドが明らかになった。この相互作用が正真正銘のものであることを確認するために、p53を有さないSoas−2細胞を、p53およびMyc−COP1でトランスフェクションし、抗p53(DO−1)で免疫沈降し、そして抗Mycで免疫ブロットした(図1B)。COP1は、p53が存在する場合にのみ免疫沈降された。このことによって、COP1はp53と相互作用し得ることが示された。この相互作用はまた、トランスフェクションしたp53および内因性p53においても見られた(図1C)。さらに、U2−OS細胞の内因性タンパク質レベルにおいて、p53とCOP1との間に、相互作用が存在した(図1D)。そして、インビトロで翻訳された赤血球凝集素(HA)−COP1は、インビトロで、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)−p53と相互作用し得た(図1E)。
COP1がp53タンパク質の定常状態レベルに影響する潜在能力を、一定量のp53を、増加量のFLAG−COP1、または、RINGフィンガードメインを欠くCOP1の突然改変体(すなわち、FLAG−COP1ΔRING)でトランスフェクションすることによって、評価した。COP1のトランスフェクションは、外因性p53タンパク質の定常状態レベルにおける減少をもたらした。これは、RINGフィンガードメインの欠失において解消された(図2A)。COP1が内因性p53の定常状態レベルに影響するかどうかを評価するために、U2−OS細胞を、FLAG−COP1、またはFLAG−COP1ΔRINGでトランスフェクションした(図2B)。内因性p53の場合のように、COP1は、内因性p53の定常状態レベルを減少し得、これはCOP1のRINGフィンガードメインに依存した。
p53タンパク質レベルのこの減少の機構へのさらなる洞察を得るために、リアルタイムPCRをp53遺伝子について実行し、COP1がp53遺伝子転写を阻害したかどうかを決定した(図2C)。U2−OS細胞におけるFlag−COP1またはFlag−COP1ΔRINGのトランスフェクションは、p53メッセンジャーRNAレベルにおける重要な変化をもたらさなかった。しかしながら、パルスチェイス分析を使用して、ヒト胎芽腎臓HEK293TにおけるCOP1のトランスフェクションは、空ベクターコントロールと比較してp53の半減期における明確な減少を示した。このことはCOP1活性がp53代謝回転を増加させることを示している。p53の半減期がCOP1の過剰発現によってかなり短縮され、かつこの短縮が、p53 mRNA効果、またはMDM2のタンパク質レベルに関するいかなる直接的な効果からも独立したものであることを考慮すると、この効果は、翻訳後のものであり得る。
上記仮説を試験するために、U2−OS細胞を、FLAG−COP1またはFLAG−COP1ΔRINGでトランスフェクションし、そして、DMSOまたはプロテアソームインヒビターALLNで処理した(図2E)。ALLNの添加は、p53タンパク質のレベル(これは、Flag−COP1のトランスフェクションによって以前に減少された)を増加させ、このことは、COP1がプロテアソーム媒介性の分解についてp53を指向することを示している。
上記プロテアソームによるp53のCOP1媒介性分解が、p53ユビキチン化の結果であるか否かを決定するために、H1299またはSaos−2細胞を、p53、FLAG−COP1、またはFLAG−COP1ΔRINGおよびHA−ユビキチンでトランスフェクションした(図2F)。抗HAを用いた免疫沈降および抗p53を用いた免疫ブロッティングは、FLAG−COP1を共トランスフェクションした場合にのみ、p53のユビキチン化種の存在を明らかにした。これらのデータは、COP1が、ユビキチン化によって、プロテアソームによる分解のためにp53を標的にすることを示唆する。
COP1がp53分解を調節するためにMDM2またはPirh2を介して作用するか否かを確認するために、p53およびCOP1、またはCOP1ΔRINGでの一時的なトランスフェクションを、p53−/−/MDM2−/−マウス胚線維芽細胞(MEF)において、またはsiRNAによりPirh2を欠損したSaos−2細胞において実行し、そして、定常状態レベルに影響を与える能力を評価した(図2J、図2K)。本質的に、COP1は、MDM2およびPirh含有細胞において達成したp53の負の制御を反復し得た。これらの結果は、COP1が、p53の制御においてMDM2から独立して機能し得ることを示唆する。
COP1はインビボでp53のユビキチン化を調節する(図2F)ので、本発明者らは、p53がインビトロでCOP1に対する直接的な基質であるかを決定することを望んだ。GSTおよびGST−COP1を、E.coliで発現させ、精製し、その後、インビトロで翻訳されたp53を用いるユビキチン化アッセイのために使用した(図2G)。全ての反応成分およびp53の存在にとともにのみ、COP1は、p53を直接的にユビキチン化し得た。それゆえ、これらのデータは、COP1が、p53に対するE3−リガーゼとして機能していることを示す。
(実施例3)
p53依存トランス活性化に対するCOP1の過剰発現の効果を測定するために、Saos−2細胞を、p53およびCOP1またはCOP1ΔRING、およびp21−ルシフェラーゼ(Luc)またはbax−Lucでトランスフェクションした(図2H、図2L)。COP1の添加は、p21およびbaxプロモーターからトランス活性化するp53の能力を顕著に減少させた。さらに、DNA損傷により誘導されたものとともに、内因性p53のトランス活性化能力は、同じ様式において、COP1の過剰発現により解消された(図2M)。p53を負に制御するCOP1の能力をさらに評価するために、本発明者らは、Saos−2細胞におけるp53誘導細胞死をCOP1が阻害し得るか否かを確認した(図2I)。p53のトランスフェクションは、SubG1集団における細胞の個体数を顕著に増加させた;それにもかかわらず、この増加は、COP1の共トランスフェクションにより著しく阻害された。このことは、COP1がp53誘導性細胞しを阻害することを示唆している。COP1のトランスフェクションのみでは、細胞周期の分布に対して意味のある影響はなかった。
より生理学的な設定においてCOP1の役割を明らかにするために、内因性COP1を、siRNAによる抑制に供し、そして内因性p53の定常状態レベルに関する任意の効果を評価した(図3A)。COP1のノックダウンを、リアルタイムPCRおよび免疫ブロッティングにより評価した。U2−OS細胞におけるsiRNAによるCOP1の欠失は、p53タンパク質の著しい蓄積を引き起こした。これらの結果は、2種のさらなる独立したsiRNAオリゴヌクレオチドでも再現可能であり(図3D)、このことはCOP1がストレスのない細胞において、p53を負に制御することを示している。p53タンパク質レベルのそのような劇的な蓄積について、次いで、本発明者らは、p53がその下流の標的遺伝子であるp21およびPirh2を誘導し得るか否かを確認した。リアルタイムPCRを使用して、本発明者らは、COP1の抑制に応答して、p21 mRNAおよびPirh2 mRNAにおける顕著な増加を観察した。このことは、p53依存転写における増加を示す。さらに、総p21タンパク質レベルは、COP1 siRNAの導入により劇的に増加した。対照的に、p53を含まない細胞株H1299へのCOP1 siRNAオリゴヌクレオチドのトランスフェクションは、p21タンパク質レベル、またはp21 mRNAレベルおよびPirh2 mRNAレベルに対して全く影響がなかった。さらに、U2−OS細胞におけるCOP1の欠失は、G1/S比率(1.82対3.71)における顕著な増加を引き起こしたが、H1299細胞にはいかなる影響も有さなかった。このことは、G1停止がp53依存性様式で引き起こされることを示す。
COP1がストレスのない細胞においてp53代謝回転を媒介することを確認するために、パルスチェイス分析を、COP1を欠失したU2−OS細胞において実行した(図4A)。COP1タンパク質の抑制は、p53の半減期をコントロールと比較して2倍増加させた。Pirh2およびMDM2もまた、パルスチェイス分析のためにsiRNAにより抑制し、COP1と比較した。Pirh2の欠失はp53の半減期を1.5倍に増加させ、MDM2の欠失はp53の半減期をコントロールと比較して2倍に増加させた。COP1をMDM2およびPirh2の状況下にすると、siRNAによるCOP1およびPirh2の共切除は、p53の半減期のさらなる増強(コントロールに対して3.5倍)をもたらした。驚くべきことに、COP1およびMDM2を共に抑制することは、p53の半減期の相乗的な8倍の増加をもたらした。これは、同時にPirh2を欠失することによっては増強されなかった。このことは、p53の半減期がその具体的な系における最大値に達したことを示している。レポーターアッセイを、p53のトランス活性化機能を測定するために実行した(図4B)。p53の半減期における増加と一致して、COP1、Pirh2、またはMDM2の抑制に関してp21プロモーターからのトランス活性化における中程度の増加が存在し、最高の刺激はMDM2の抑制に由来した。これらの観察はまた、タンパク質レベルでも確認された(図4C)。上記p21プロモーターからの顕著な刺激およびCOP1およびMDM2の共抑制に応答したタンパク質レベルにおける増加もまた存在した(図4A、図4B)。全てのE3リガーゼの抑制に応答して、p53タンパク質レベルもしくはp21タンパク質レベルのさらなる増強(図4C)、またはプロモーター活性のさらなる増強(図4B)は存在せず、このことは、増殖する細胞が、p21および/またはp53に対する限界閾値を有し得ることを示している。さらに、COP1、Pirh2、またはMDM2の抑制は、正常BJ線維芽細胞におけるp53定常状態レベルおよびp21定常状態レベルにおける増加を引き起こし(図4D)、このことは各リガーゼが正常細胞においてp53を負に制御することにおいて役割を有することを示している。
COP1およびMDM2の抑制がp53応答を引き起こしたという観察で、本発明者らは、COP1および/またはMDM2の欠失が、U2−OS細胞における通常のDNA損傷応答を回復させるか否かを試験した。なぜなら、それらは、電離放射線(IR)誘導細胞死に対する高度の耐性がある31ことが知られているからである。U2−OS細胞を、COP1および/またはMDM2に対するsiRNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクションし、その後、20 Gy IRで処理し、細胞死をヨウ化プロピジウム染色により評価した(図4E)。コントロールsiRNAで前処理したU2−OS細胞は、IRをによる処理後、細胞死に対して高度に耐性であった;しかしながら、COP1またはMDM2 siRNAで前処理された細胞は、IR誘導細胞死に感受性である細胞の部分集団をもたらした。より著しく、siRNAによるCOP1およびMDM2の同時抑制は、IRによる細胞死に対して協働的な感作をもたらした。
(COP1は、負のフィードバックループに参加するp53誘導性遺伝子である)
MDM2およびPirh2が自己調節的フィードバックループを形成することを考慮して、本発明者らは、COP1もまたこの調節機構の一部であり得る可能性について調査した。COP1遺伝子のプロモーター領域を走査することにより、転写開始部位(+1)に対して、−2094〜−2073にp53コンセンサス結合部位32の存在が明らかになった(図5A)。この2コピーのコンセンサス部位(COP1−Luc)、またはこのコンセンサス部位の変異体(COP1mut−Luc)を、最小のプロモーターを含むルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流に挿入し、pcDNA3.1+、p53もしくはDNA結合変異体のp53R175HでH1299細胞にトランスフェクションした(図5B)。p53のトランスフェクションは、COP1−Lucのルシフェラーゼ活性を増加させたが、COP1mut−Lucレポーター構築物のルシフェラーゼ活性は増加させず、p53R175H変異体は、COP1−LucにもCOP1mut−Lucにも意味のある影響を有さなかった。さらに、p53のトランスフェクションは、リアルタイムPCRにより評価された場合、H1299細胞内のCOP1 mRNAレベルを実質的に増加させた(図5C)。総COP1タンパク質における増加はまた、抗COP1を用いたウェスタンブロットにより検出した(図5D)。さらに、p53依存転写を活性化し、かつp53を安定させる、IRで処理されたU2−OS細胞は、未処理細胞と比較してCOP1タンパク質レベルにおける増加を生じた(図5E)。コントロールとして、p21タンパク質レベルおよびp53タンパク質レベルもまた、免疫ブロッティングにより評価し、IR傷害がp53応答を惹起することを証明した。合わせて考慮すると、これらのデータは、COP1が負のフィードバックループに関与するp53誘導性遺伝子であることを示唆する。
(COP1は、癌細胞において過剰発現される)
COP1発現を、リアルタイムPCRおよびインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)技術により、哺乳動物細胞/組織において試験した。本発明者らは、ISH(図6A)、RT−PCR(図6B)およびノーザンブロット(図6C)により、正常マウス組織における発現分析を実施した。ISH分析は、cop1が、正常マウス骨格筋、腸および精巣で発現されることを示した。精巣において、顕著な発現がライディヒ細胞においては明白であったが、中程度のシグナルもまた、生殖細胞に存在した(図6A)。ノザンブ
ロットパネルにより、cop1が心臓、肝臓および腎臓、ならびに精巣において発現されたことを確認した(図6C)。cDNAパネルRT−PCRはまた、cop1が脳、胃、小腸、膵臓、副腎、子宮および前立腺において発現されたことを示した。RT−PCRおよびノザンブロットパネルは、完全長のcop1 mRNA発現の組織分布に対して良好な一致にあった。マウスの組織に加えて、本発明者らは、ISHによってヒト組織を評価し、正常ヒト扁桃腺、脾臓、精巣、膵臓および結腸においてcop1発現を同定した。このことは、正常ヒト精巣、胸腺、結腸、心臓、前立腺、脾臓、腸および肝臓における、ノザンブロットによる顕著なcop1発現を示す以前の発見36と一致する。
癌においてCOP1遺伝子発現が改変されたかどうかを決定するために、総RNAを、種々の通常サンプルおよび腫瘍サンプルから収集し、そして、相対的cop1発現を、リアルタイムPCRおよびRPL19 mRNAに対する正規化によって決定した。正常コントロールに対して、cop1 mRNAにおいて2倍から8倍の著しい増加が存在した(図7A)。従って、本発明者らは、三連で、67種の卵巣腺癌事例の0.6mmコアから成る卵巣組織マイクロアレイ(TMA)に対して、ISHのためのcop1特異的プローブを使用して、より大規模な研究を実行した。漿液性腺癌の30%(8/27)の事例が、悪性細胞内においてのみ陽性シグナルを示した一方で、支質区画内(図7B)または正常卵巣組織内においては、シグナルは観察されなかった。さらに、類内膜腺癌の16%(3/19)の事例および明細胞腺癌の27%(3/11)の事例は、mRNAコードCOP1.に対する陽性シグナルを示した(表1)。
(表1:組織マイクロアレイについての卵巣腺癌事例の概要。COP1発現は、ISHおよびIHCによって実証された。)
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COP1がタンパク質レベルでこれらの腫瘍において発現されることを確認するために、COP1に対する特異的抗体を使用したIHC分析を、上述のものと同じ卵巣TMAならびに図7AにおけるRT−PCRのために使用された卵巣サンプルに対して行った。このTMAに対する結果は、表1に要約され、漿液性腺癌の47%(11/27)、類内膜腺癌の63%(12/19)、明細胞腺癌の36%(4/11)および粘液性腺癌の50%(5/10)が、悪性細胞の核区画および細胞質区画においてロバストなCOP1免疫反応を示した;しかしながら、支質においてはシグナルは検出されなかった(図7C)。さらに、正常組織は、COP1抗体とのいかなる反応に対しても陰性であった。集合的に、これらのデータは、COP1 mRNAおよびCOP1タンパク質が、悪性細胞において特異的に過剰発現されていることを示す。ISHデータおよびIHCデータとの良好な一致が存在し;類内膜腺癌および粘液性腺癌は、ISHデータと比較して、IHCデータによってより高いパーセンテージのCOP1陽性サンプルを示した。このことは、COP1の転写後調節を示唆している。
次に、本発明者らは、COP1を過剰発現する腫瘍サンプルのいずれかが、p53依存反応における欠陥を有するか否かを決定することを望んだ。この問題に取り組むために、本発明者らは、p53標的遺伝子およびサイクリン依存性キナーゼインヒビター(p21/WAF1)に特異的なプローブを使用して、COP1を過剰発現する卵巣腫瘍に対してリアルタイムPCRを実行した(図7A)。ここで、正常コントロールサンプルと比較す
ることによってmRNAにおける変化倍数が評価された。COP1を過剰発現するサンプルの大多数は、適合する正常コントロールに対して、p21m RNAにおける著しい増加を示した(図7D)。これらの結果は、COP1がp21の転写を活性化するp53の能力を負に制御することと一致する。
p53が卵巣癌において突然変異され得ることを考慮すると、これらのサンプルにおけるp53遺伝子の状態を測定することが重要である。なぜなら、p53の特異的変異体は、p21プロモーターからトランス活性化する固有の能力を喪失するからである。例えば、COP1が過剰発現されるサンプルにおいてp53が突然変異される場合、観察されたp21 mRNAのダウンレギュレーションは、p53から独立したものであるかもしれない。それゆえ、本発明者らは、p53突然変異がしばしば同定されるエキソン5〜8およびイントロン−エキソン境界を配列決定し、これらのサンプルの7/8は野生型であり、1/8はR249S突然変異を有したことを見出した。この突然変異は、p53DNA結合領域に位置し、かつ正常乳房上皮細胞を不死化することが示されている37。さらに、上記R249S突然変異卵巣サンプル(番号8)は、正常レベルのp21 mRNAを有し、COP1による野生型p53依存性転写の抑制と一致した。
COP1特異的抗体を使用して、1mmコアに整列された、乳房腺癌の32事例を特徴付けるTMAにおいて、IHCを実行した。著しく、81%(25/32)の事例が、悪
性細胞にのみ存在するCOP1抗体と強い免疫反応を示した(図8Aおよび8B)が、支質細胞または上皮細胞内では免疫反応は示さなかった。タンパク質リン酸化により影響されない、1801 p53特異的抗体38を使用したIHC分析は、陽性シグナルを伴う3/32のみの事例を明らかにした(図8Eおよび図8F)。対照的に、COP1に対して陽性であるほとんどの事例は、p53に対しては陰性であった(図8Cおよび図8D)。DNA損傷剤または遺伝子突然変異により安定化されていなければ、p53はIHCによって組織において検出をすることが困難であることを考慮して、乳房TMA由来のp53遺伝子を配列決定し、その具体的なサンプルが、確かに突然変異p53であったことを確認した(図8G)。3つの事例の各々で同定された突然変異は、C242F、P278SおよびR175Hのアミノ酸置換をもたらした。
乳癌サンプルにおけるp53およびCOP1のタンパク質レベルをより定量的に比較するために、本発明者らは、腫瘍溶解物のウェスタンブロット分析を実施した(図9A、図9B)。抗COP1を用いた免疫ブロッティングは、正常乳房組織においては極めて弱いシグナルを示したが、COP1における顕著な増加が、67%(10/15)の事例で検出され、このことによって、COP1が真に乳房腺癌で過剰発現される乳房TMAでの以前の観察(図8Aおよび8B)を確認した。p53レベルは、53%(8/15)におい
て減少したが、正常乳房組織と比較した場合に、この事例の20%(3/15)で著しく増加した。
p53に対するCOP1の過剰発現の結果をさらに解明するために、これらのサンプル内のp53遺伝子の状態を決定することが必要であった。それゆえ、エキソン5〜8を配列決定し、そして、エキソンの突然変異とともに、イントロン−エキソン境界における突然変異について分析した。事例の27%(4/16)が、エキソン8内に突然変異を有し(図9B);サンプルT6およびT12は、R290H突然変異を含み、一方、サンプルT7およびT10は、R273H突然変異を有した。COP1が乳房腫瘍において過剰発現された場合のp53の定常状態タンパク質レベルは、野生型p53レベルが劇的に減少される事例の75%(6/8)において、COP1が過剰発現されたことを示した。わずか25%(6/8)の事例のみが、p53レベルにおける減少を示した。COP1が過剰発現され、かつp53レベルにおける付随する減少は観察されなかった場合には、p53遺伝子の状態は突然変異であり、それによりCOP1が、野生型p53を負に制御する能力を有することを示した。
この結果は、卵巣腺癌の少なくとも45%および乳房腺癌の80%が、COP1のロバストな過剰発現を有し、そしてp53機能または定常状態のタンパク質レベルにおける欠陥は野生型p53および過剰発現したCOP1を含んだ幾つかのサンプルにおいては見られたが、突然変異p53および過剰発現したCOP1を含んだサンプルにおいては見ることができなかったことを実証する(図7A〜Dおよび図9A〜B)。COP1の過剰発現を野生型p53含有癌においては主に(しかし排他的ではない)検出した。このことはCOP1の主要な役割の1つが、p53依存性腫瘍抑制を抑圧することであることを示す。
種々の癌におけるCOP1レベルおよびp53レベルの試験から、以下の結果を得た:結腸腺癌については、12/38の事例がp53陽性であり、この12事例のp53陽性事例の中の5事例はCOP1にもまた陽性であり、8事例はCOP1陽性P53陰性であった;乳房腺癌については、3/32事例がp53陽性であり、3事例のp53陽性事例中2事例はIHCによりCOP1にも陽性、23/32事例はCOP1陽性p53陰性であった;移行上皮癌(腎臓、前立腺、膀胱)については、3/3がp53陽性かつCOP1陽性であった;肺腺癌に対しては、1/3がp53陽性かつCOP1陽性であった;リンパ腫に対しては、1/3がp53陽性かつCOP1陽性であった;卵巣腺癌に対しては、32/67がCOP1陽性であり、COP1陽性サブタイプは以下:漿液性腺癌では、11/27が陽性;類内膜腺癌では、12/19が陽性;明細胞腺癌では、4/11が陽性;粘液性腺癌では、5/10、であった。
このように、COP1は、乳癌、卵巣癌などを含む多くの癌において過剰発現され、そしてこれは、野生型p53定常状態タンパク質レベルまたはp53依存性転写における減少を伴う。本発明者らはまた、卵巣漿液性腺癌、類内膜腺癌および粘液性腺癌の幾つかの事例において、IHCによりCOP1を検出した。ここで、ISHによるmRNAレベルにおいては、検出可能なシグナルは観察されず、このことは、COP1タンパク質の定常状態レベルにおける増加はまた、転写の増加よりもむしろ翻訳後レベルにおいて起こり得ることも示す。
(参考文献)
以下の刊行物は、本明細書により参考として援用される。
Figure 2010223966
Figure 2010223966
Figure 2010223966
Figure 2010223966
(他の実施形態)
本発明の種々の実施形態は、本明細書中に開示されるが、多くの適用および改変を、当業者の一般的な知識に従って、本発明の範囲内で行い得る。これらの改変は、実質的に同じ方法において同じ結果を達成するための、本発明の任意の局面に対する公知の等価物による置き換えを含む。本発明で使用されるアクセッション番号は、多数のデータベースからのアクセッション番号をいう。このデータベースとしては、ヌクレオチド配列については、GenBank、the European Molecular Biology
Laboratory(EMBL)、DNA Database of Japan(DDBJ)、またはGenome Sequence Data Base(GSDB)が挙げられ、ポリペプチド配列については、Protein Information Resource(PIR)、SWISSPROT、Protein Research
Foundation(PRF)、Protein Data Bank(PDB)(解明された構造由来の配列)、ならびにGenbank、EMBL、DDBJ、またはRefSeqにおけるヌクレオチド配列由来のアノテーションが付けられた翻訳からのものが挙げられる。数字の範囲は、その範囲を規定する数を含む。本明細書において、「含む(comprising)」という語は、実質的に「を含むが、それに限定されない」という句に相当する無制限の用語として使用され、そして「含む(comprises)」という語は、対応する意味を有する。本明細書中の参考文献の引用は、これらの参考文献が本発明の先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。すべての刊行物は、あたかも各個別の刊行物が、本明細書により参考として援用されることを明示的に別個に示されたかのように、そしてあたかも本明細書中に完全に記載されたかのように、本明細書によって参考として援用される。本発明は、実質的に本明細書中で以上で説明された全ての実施形態およびバリエーション、およびそれらの実施例および図面を参照した実施形態およびバリエーションの全てを包含する。

Claims (1)

  1. 明細書中に記載の、被験体における癌の診断方法。
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