JP2010219746A - 伝送制御方法および通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】他のネットワークや衛星を利用することなく無線局同士のコヒーレント性を実現する伝送制御方法を得ること。
【解決手段】本発明は、複数の無線局がコヒーレント送信で必要な同期確立を行うための伝送制御方法であって、第1の無線局(基地局A)が第2の無線局(基地局B)に対してパイロット信号を送信し、基地局Bがチャネル推定を行う第1のチャネル推定ステップと、基地局Bが基地局Aに対してパイロット信号を送信し、基地局Aがチャネル推定を行う第2のチャネル推定ステップと、基地局Aまたは基地局Bが、第1のチャネル推定ステップおよび第2のチャネル推定ステップにおけるそれぞれのチャネル推定結果に基づいてキャリア位相を補正するキャリア位相補正ステップと、を含む。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、複数の無線局がコヒーレント送信で必要な同期確立を行うための伝送制御方法であって、第1の無線局(基地局A)が第2の無線局(基地局B)に対してパイロット信号を送信し、基地局Bがチャネル推定を行う第1のチャネル推定ステップと、基地局Bが基地局Aに対してパイロット信号を送信し、基地局Aがチャネル推定を行う第2のチャネル推定ステップと、基地局Aまたは基地局Bが、第1のチャネル推定ステップおよび第2のチャネル推定ステップにおけるそれぞれのチャネル推定結果に基づいてキャリア位相を補正するキャリア位相補正ステップと、を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、コヒーレント送信を行う複数の無線局間で一定のキャリア位相関係(コヒーレント性)を実現するための伝送制御方法および通信装置に関する。
高速無線通信では伝送速度の向上に伴い無線端末(無線局)に大きな送信電力が要求されている。しかしながら、無線局の送信電力には限界があるため、その解決策としてコヒーレント送信に期待が寄せられている。コヒーレント送信では、複数の無線局から送信された信号が受信局(受信側の無線局)において同じキャリア位相で受信されるように、各無線局が位相調整して同じ信号を送信する。その結果、複数無線局からの信号が位相レベルで強めあい、高い電力で受信できることが研究において理論的に明らかにされている。このことは、たとえば下記非特許文献1に記載されている。
P.Larsson and R.Hu,"Large-scale cooperative relaying network with optimal coherent combining under aggregate relay power constraints.",Proc. of FTC,2003.
上記のコヒーレント送信を実現するためには、複数無線局が一定のキャリア位相関係を維持することが重要となる。これは複数無線局で異なる位相回転が生じると互いのコヒーレント性が維持できないためである。しかし、現実には無線局ごとに独立に発振器を用いており、発振器は個別のキャリア周波数と位相雑音をもつ。
コヒーレント性を維持する手法としては、有線専用網または衛星を通して同じキャリアを利用する手法が知られている。しかしながら、宅用基地局やリレー局などの無線局では有線専用網を利用できない場合が多い。また、衛星を利用する手法では見通し外環境での安定動作に問題が生じる。そのため、他のネットワーク(有線専用網)や衛星を用いずに無線リンクのみで無線局間のコヒーレント性を維持できる技術の構築が課題となる。
また、そのような技術を既存の無線通信システムにおいて実現するための手法も重要となる。すなわち、無線通信システムの運用に影響を与えない制御が要求される。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、他のネットワークや衛星を利用することなく複数無線局同士のコヒーレント性維持を実現する伝送制御方法および通信装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の無線局がコヒーレント送信で必要な同期確立を行うための伝送制御方法であって、前記複数の無線局の中の第1の無線局が他の無線局(第2の無線局)に対してパイロット信号を送信し、当該第2の無線局がチャネル推定を行う第1のチャネル推定ステップと、前記第2の無線局が前記第1の無線局に対してパイロット信号を送信し、当該第1の無線局がチャネル推定を行う第2のチャネル推定ステップと、前記第1の無線局または前記第2の無線局が、前記第1のチャネル推定ステップおよび第2のチャネル推定ステップにおけるそれぞれのチャネル推定結果に基づいてキャリア位相を補正するキャリア位相補正ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、複数の無線局が、伝搬路利得が一定とみなせる程度に短い区間内において既知信号の送受信を相互に行い、双方の無線局でチャネル推定を行い、各無線局で得られた複数のチャネル推定値を用いて、一方の無線局がキャリア位相を補正することとしたので、コヒーレント送信を行うために必要なキャリア位相同期を、従来必要であった他のネットワークや衛星を利用することなく獲得できる、という効果を奏する。
以下に、本発明にかかる伝送制御方法および通信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
本実施の形態では、複数の無線局が他のネットワークや衛星を利用することなく局間キャリア位相同期を実現する手法について説明する。図1は、本実施の形態にかかる伝送制御方法を適用するシステムの基本構成を示した図であり、一例として、無線局である基地局AおよびBからなるシステムについて示している。なお、基地局は無線局の一例であり、無線局を基地局に限定するものではない。ここでは、説明を簡単化するために、無線局(基地局)が2局の場合について示しているが、本発明は、3局以上の場合にも適用可能である。3局以上の場合については、実施の形態2以降で説明する。
本実施の形態では、複数の無線局が他のネットワークや衛星を利用することなく局間キャリア位相同期を実現する手法について説明する。図1は、本実施の形態にかかる伝送制御方法を適用するシステムの基本構成を示した図であり、一例として、無線局である基地局AおよびBからなるシステムについて示している。なお、基地局は無線局の一例であり、無線局を基地局に限定するものではない。ここでは、説明を簡単化するために、無線局(基地局)が2局の場合について示しているが、本発明は、3局以上の場合にも適用可能である。3局以上の場合については、実施の形態2以降で説明する。
既に述べたように、コヒーレント送信を実現するためには、複数の無線局が一定のキャリア位相関係(コヒーレント性)を維持することが重要となる。複数無線局で一定のキャリア位相関係を維持できれば、FDD(Frequency Division Duplex)方式では受信局からのプレコーディング情報のフィードバックを用いて協調コヒーレント送信を行える。また、TDD(Time Division Duplex)方式では、受信局からのパイロット信号(送信側と受信側でその内容が既知の信号、既知信号と記載する場合もある)を用いて送信局が受信伝搬路を測定し、伝搬路可逆性により送信伝搬路を予測して適切に位相調整することも可能となる。その結果、大幅な伝送特性の向上が期待できる。しかし、現実には無線局ごとに独立に発振器を用いており、発振器は個別のキャリア周波数と位相雑音をもつ。従って、無線リンクのみで複数無線局で一定のキャリア位相関係を維持する技術が重要となる。
そこで、本実施の形態では、最も基本的な制御動作である、2局間の双方向チャネル推定値(伝搬路推定値と記載する場合もある)の比から局間キャリア位相差を観測し、一方の局がキャリア位相を補正する場合の動作について説明する。
(基本構成)
まず、図1を用いて、2つの無線局(基地局)がコヒーレント性を維持する手法の基本構成について説明する。
まず、図1を用いて、2つの無線局(基地局)がコヒーレント性を維持する手法の基本構成について説明する。
時刻tにおける基地局Aのキャリア信号をexp(jφA(t)),基地局Bのキャリア信号をexp(jφB(t))と表す。このとき、基地局Bのキャリア信号の位相φB(t)は次式で表される。
φB(t)=2πfBt+φB+ωB(t)
φB(t)=2πfBt+φB+ωB(t)
ここで、fBは基地局Bのキャリア周波数、φBは基地局Bの初期位相、ωB(t)は位相雑音成分を表す。なお、キャリア周波数は自動周波数制御(AFC:Automatic Frequency Control)を含むアナログ・デジタル処理部における周波数変換の等価値である。発振器のキャリア周波数は温度特性によってゆっくり時間変化するが、制御時間が十分短い場合には一定とみなせる。一方、位相雑音は短時間(例えば1ms又はそれ以下の場合)においても位相変化する。
一方、基地局Aでは、時刻t=tn(n=0,1,…,N)において基地局Bのキャリア位相と一定の位相差を保つようキャリア位相の調整を行う。このとき、基地局Aのキャリア信号の位相φA(t)は次式で表される。
φA(t)=2πfA (n)(t-tn-1)+φA (n)+ωA (n)(t)
φA(t)=2πfA (n)(t-tn-1)+φA (n)+ωA (n)(t)
ここで、fA (n)はtn-1+δ≦t≦tnにおける基地局Aのキャリア周波数、φA (n)はt=tn-1+δにおける基地局Aのキャリア位相設定値、ωA (n)(t)は基地局Aにおけるtn-1+δ≦t≦tnでの位相雑音成分、δはδ<<1である微小時間を表すパラメータである。なお、位相雑音の変動特性は、発振器およびPLL(Phase Locked Loop)の構成や利用周波数等に依存する。典型的な例として、位相雑音ωA (n)(t),ωB(t)はそれぞれ、平均0分散σω 2|t-tn|、平均0分散σω 2|t|のガウス分布としてモデル化されるが、他の位相雑音変動であっても構わない。
従来の周波数同期方法(従来から使用されていた一般的な周波数同期技術)を使用した場合でも、基地局Aは基地局Bとのキャリア周波数差|fA (0)−fB|を平均ドップラー周波数程度に抑えることができる。そこで、本実施の形態では、|fA (0)−fB|がフェージングのコヒーレント帯域よりも十分小さく保持され、双方向の伝搬路で可逆性が成り立つ状態を想定し、従来の方法を利用して獲得した同期状態からさらに局間のキャリア位相差を一定に合わせこむ制御動作(局間キャリア位相同期制御)について説明する。
(基本原理)
本実施の形態における同期獲得方法(同期確立方法)の基本原理を説明する。図1に示すように基地局A,Bはある周波数において送信アナログ利得TA,TB、および受信アナログ利得RA,RBを有する。通常、TA,TB,RA,RBは十分長い時間単位で温度特性に応じて変動する。以下では、基地局Aから基地局Bへの経路を経路AB,基地局Bから基地局Aへの経路を経路BAと呼ぶ。
本実施の形態における同期獲得方法(同期確立方法)の基本原理を説明する。図1に示すように基地局A,Bはある周波数において送信アナログ利得TA,TB、および受信アナログ利得RA,RBを有する。通常、TA,TB,RA,RBは十分長い時間単位で温度特性に応じて変動する。以下では、基地局Aから基地局Bへの経路を経路AB,基地局Bから基地局Aへの経路を経路BAと呼ぶ。
基本原理(制御動作)では、時刻t=tnに基地局Aが既知信号s(p)(|s(p)|=1)をキャリア信号exp(jφA(t))でアップコンバートして送信し、基地局Bがキャリア信号exp(jφB(t))でダウンコンバートしたのち相関検出すると、その伝搬路推定値αAB (n)は次式(1)で与えられる。
ここで、PAは基地局Aの送信電力、gAB(t)は時刻tにおける経路ABの実伝搬路利得、zB(t)は基地局Bにおける雑音成分(E[|zB(t)|2]=PB,z)、*は複素共役を表す。
時刻tn+δにおいて、基地局Bが既知信号d(p)(|d(p)|=1)をキャリア信号exp(jφB(t))でアップコンバートして送信し、基地局Aにおいてキャリア信号exp(jφA(t))でダウンコンバートしたのち相関検出すると、その伝搬路推定値αBA (n)は次式(2)で与えられる。
ここで、PBは基地局Bの送信電力、gBA(t)は時刻tにおける経路BAの実伝搬路利得、zA(t)は基地局Aにおける雑音成分(E[|zA(t)|2]=PA,z)を表す。電波伝搬理論によれば実伝搬路では可逆性が成り立ちgBA(t)=gAB(t)となる。この関係はアンテナのカップリングや種々の反射のある無線通信環境で成り立つ。
そのため、上式(1)および(2)において十分小さい時間δを想定するとgAB(tn)とgBA(tn+δ)はほぼ等しく、またφB(tn+δ)−φA(tn+δ)とφB(tn)−φA(tn)もほぼ等しくなる。すなわち、gAB(tn)≒gBA(tn+δ),φB(tn+δ)−φA(tn+δ)≒φB(tn)−φA(tn)が成り立つ。よって、次式(3)の関係が得られる。
上式(3)において、ハット(^)付きのzA (n)およびzB (n)は、どちらも分散1の複素ガウス分布に従う確率変数であり、γAB (n),γBA (n)はそれぞれ経路AB,BAにおける信号対雑音電力比を表す。さらに、t=tn,tmにおけるr(n),r(m)の比は次式(4)で与えられる。
上式(4)より、γAB (n),γBA (n),γAB (m),γBA (m)>>1の場合には、γ(n)/γ(m)を用いて局間キャリア位相差の時間変化分を観測できる。このキャリア位相差の変動分を基地局Aが位相補正することで局間のキャリア位相差を一定に保つことができる。
なお、従来のキャリア位相同期技術は受信信号のキャリア位相に同期するための技術であり、ドップラー周波数とキャリア位相を区別しない。これに対して、本実施の形態の手法では伝搬路推定値αAB (n),αBA (n)に含まれる実伝搬路の項を可逆性によって相殺することでキャリア位相差のみを観測できる。このように、本手法は従来の(局間でない受信用の)キャリア位相同期技術とは利用目的およびその機能が異なる。また本手法は、微小時間δにおいてgAB(tn)≒gBA(tn+δ)とみなせる低速時変チャネルであれば適用できる。
なお、γAB (n),γBA (n)は伝搬路推定に用いるパイロット信号のSNRであり、データ信号のSNRとは異なる。データ信号のSNRが低い環境においても、パイロット信号のみをデータ信号より十分大きな電力で送信して高いSNRを得ることは可能である。基地局(無線局)では1つのキャリア周波数で局間キャリア位相差を維持できれば、逓倍することで全伝送帯域にわたって局間キャリア位相差を安定的に維持できる。従って、本制御は1つのキャリア周波数のみを対象とすればよく、同期用パイロットシンボルが基地局の総送信電力に占める割合は小さくできる。
(制御手順の詳細)
本実施の形態にかかるシステム(図1に示したシステム)の基地局間において、キャリア位相同期を確立する場合の制御手順を説明する。なお、基地局Aがキャリア信号の位相を調整する場合について説明する。
本実施の形態にかかるシステム(図1に示したシステム)の基地局間において、キャリア位相同期を確立する場合の制御手順を説明する。なお、基地局Aがキャリア信号の位相を調整する場合について説明する。
(1−1)n=0とする。
(1−2)時刻tn=nTにおいて、基地局Aは既知信号s(p)をアップコンバートして送信し、基地局Bでは基地局Aからの受信信号をダウンコンバートして得られた信号と信号s(p)の相関検出によりチャネル推定値αAB (n)を得る。
(1−3)時刻tn+δにおいて、基地局Bは既知信号d(p)をアップコンバートして送信し、基地局Aでは基地局Bからの受信信号をダウンコンバートした信号と信号d(p)の相関検出によりチャネル推定値αBA (n)を得る。また基地局Bは、上記手順(1−2)で得られたαAB (n)を基地局Aへ通知する。なお、既知信号d(p)を送信する際にαAB (n)も併せて通知するようにしてもよい。
(1−4)n≧1であれば、時刻tn+δにおいて基地局Aはキャリア位相を次式のとおり設定する。
φA (n+1)=φA (n)(tn)+θ(n), θ(n)=(1/2)・∠(γ(n)/γ(0))
(1−5)n<Nであれば、nを1増やして上記手順(1−2)に戻る。それ以外は終了する。ただし、Nは2以上の所定の整数。
(1−2)時刻tn=nTにおいて、基地局Aは既知信号s(p)をアップコンバートして送信し、基地局Bでは基地局Aからの受信信号をダウンコンバートして得られた信号と信号s(p)の相関検出によりチャネル推定値αAB (n)を得る。
(1−3)時刻tn+δにおいて、基地局Bは既知信号d(p)をアップコンバートして送信し、基地局Aでは基地局Bからの受信信号をダウンコンバートした信号と信号d(p)の相関検出によりチャネル推定値αBA (n)を得る。また基地局Bは、上記手順(1−2)で得られたαAB (n)を基地局Aへ通知する。なお、既知信号d(p)を送信する際にαAB (n)も併せて通知するようにしてもよい。
(1−4)n≧1であれば、時刻tn+δにおいて基地局Aはキャリア位相を次式のとおり設定する。
φA (n+1)=φA (n)(tn)+θ(n), θ(n)=(1/2)・∠(γ(n)/γ(0))
(1−5)n<Nであれば、nを1増やして上記手順(1−2)に戻る。それ以外は終了する。ただし、Nは2以上の所定の整数。
図2は、上記手順(1−1)〜(1−5)で示した制御動作において送信されるパイロット信号(既知信号s(p),d(p))の時間位置関係を示した図であり、「A→B」と記載された部分に対応する区間では基地局Aがパイロット信号(既知信号s(p))を送信し、「B→A」と記載された部分に対応する区間では基地局Bがパイロット信号(既知信号d(p))を送信する。図示したように、上述した手順(1−2)および(1−3)はフェージング変動の小さい極めて短時間に実行する。なお、本実施の形態および後述する各実施の形態では、特に言及のない限りfA (n)=fA (0)とする。
また、図示したように、パイロット信号の送受信は一定周期T毎に実行する。すなわち、基地局Aが周期的にキャリア位相を補正することによって、t=t0での局間キャリア位相差を常に維持するように動作する。特にフェージングのない直接波環境ではチャネルを安定的に測定できるため動作は極めて良好となる。例えば、2つの基地局がビルの屋上に設置され、互いに見通し内環境にある場合などがこの場合に相当する。
なお、上記説明では、キャリア位相を調整する基地局Aから基地局Bへのパイロット信号送信を先に実行するようにしているが、基地局Bから基地局Aへのパイロット信号送信を先に行うようにしてもよい。また、基地局A,Bがそれぞれ送信するパイロット信号は同一であってもよい(基地局A,Bは、同じ既知系列を含んだパイロット信号をそれぞれ送信するようにしてもよい)。
このように、本実施の形態のシステムでは、無線による直接通信が可能な複数(本実施の形態では2つの場合の例を示した)の無線局が、伝搬路利得が一定とみなせる程度に短い区間内において既知信号の送受信を相互に行い、得られたチャネル推定値を用いて、一方の無線局がキャリア位相を補正することとした。これにより、複数の無線局は、コヒーレント送信を行うために必要なキャリア位相同期を、従来必要であった他のネットワークや衛星を利用することなく獲得できる。
また、上記複数の無線局は上記の一連の動作を周期的に実行し、定期的にキャリア位相を補正することとしたので、キャリア位相同期状態を、他のネットワークや衛星を利用することなく維持できる。
実施の形態2.
つづいて、実施の形態2について説明する。本実施の形態では実施の形態1とは異なる手順で局間キャリア位相同期を実現する方法(局間キャリア位相同期方法)について説明する。図2は、本実施の形態の局間キャリア位相同期を実現する動作におけるパイロット信号送信方法を示した図である。
つづいて、実施の形態2について説明する。本実施の形態では実施の形態1とは異なる手順で局間キャリア位相同期を実現する方法(局間キャリア位相同期方法)について説明する。図2は、本実施の形態の局間キャリア位相同期を実現する動作におけるパイロット信号送信方法を示した図である。
本実施の形態1で説明した局間キャリア位相同期方法は直接波環境などにおいて極めて良好な動作を示すが、1つの周波数のみでチャネル測定を行うとフェージング環境では伝搬利得の落ち込みによって位相推定精度が十分得られない場合も発生しうる。そのため、本実施の形態の局間キャリア位相同期方法では、図3に示すような広帯域なOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)方式において、L≧1個の離散サブキャリアにパイロット信号を配置してチャネル測定を行う。図3は、実施の形態2の局間キャリア位相同期方法の制御におけるパイロット信号配置例を示す図である。
本実施の形態にかかるシステムの無線局において、キャリア位相同期を確立する場合の制御手順を説明する。なお、システム構成は、実施の形態1と同様とする(図1参照)。
(2−1)n=0とする。
(2−2)時刻tn=nTにおいて、基地局Aは、図3に示したように、複数の離散サブキャリア(l=1,…,L)に既知信号を配置し、得られた時間波形をアップコンバートして送信する。一方、基地局Bではダウンコンバートした受信信号と既知信号の相関検出をサブキャリアごとに行い、離散サブキャリア(l=1,…,L)でのチャネル測定値αAB (n,l)を得る。なお、図3では、既知信号(Pilot signal)をWサブキャリア毎に配置する場合の例を示している。
(2−3)時刻tn+δにおいて、基地局Bは、図3に示したように複数の離散サブキャリア(l=1,…,L)に既知信号を配置し、得られた時間波形をアップコンバートして送信する。一方、基地局Aではダウンコンバートした受信信号と既知信号の相関検出をサブキャリアごとに行い、離散サブキャリア(l=1,…,L)でのチャネル測定値αBA (n,l)を得る。また基地局Bは、上記手順(2−2)で得られたαAB (n,l)を基地局Aへ通知する。なお、既知信号を送信する際にαAB (n,l)も併せて通知するようにしてもよい。
(2−4)n≧1であれば、時刻tn+δにおいて基地局Aはキャリア位相をφA (n+1)=φA (n)(tn)+θ(n)と設定する。ここで、θ(n)は局間キャリア位相差(φB(tn)−φA(tn))−(φB(t0)−φA(t0))の推定値であり、これを得るための推定方法が種々存在するが、それについては後述する。
(2−5)n<Nであれば、nを1増やして上記手順(2−2)に戻る。それ以外は終了する。ただし、Nは2以上の所定の整数。
(2−2)時刻tn=nTにおいて、基地局Aは、図3に示したように、複数の離散サブキャリア(l=1,…,L)に既知信号を配置し、得られた時間波形をアップコンバートして送信する。一方、基地局Bではダウンコンバートした受信信号と既知信号の相関検出をサブキャリアごとに行い、離散サブキャリア(l=1,…,L)でのチャネル測定値αAB (n,l)を得る。なお、図3では、既知信号(Pilot signal)をWサブキャリア毎に配置する場合の例を示している。
(2−3)時刻tn+δにおいて、基地局Bは、図3に示したように複数の離散サブキャリア(l=1,…,L)に既知信号を配置し、得られた時間波形をアップコンバートして送信する。一方、基地局Aではダウンコンバートした受信信号と既知信号の相関検出をサブキャリアごとに行い、離散サブキャリア(l=1,…,L)でのチャネル測定値αBA (n,l)を得る。また基地局Bは、上記手順(2−2)で得られたαAB (n,l)を基地局Aへ通知する。なお、既知信号を送信する際にαAB (n,l)も併せて通知するようにしてもよい。
(2−4)n≧1であれば、時刻tn+δにおいて基地局Aはキャリア位相をφA (n+1)=φA (n)(tn)+θ(n)と設定する。ここで、θ(n)は局間キャリア位相差(φB(tn)−φA(tn))−(φB(t0)−φA(t0))の推定値であり、これを得るための推定方法が種々存在するが、それについては後述する。
(2−5)n<Nであれば、nを1増やして上記手順(2−2)に戻る。それ以外は終了する。ただし、Nは2以上の所定の整数。
ここで、上記手順(2−2)および(2−3)は、実施の形態1で示した手順(1−2)および(1−3)と同様に、フェージング変動の小さい極めて短時間に実行する(図2参照)。すなわち、各基地局は、信号の伝送方向を切り替える直前と直後に配置されたパイロット信号を用いて、上記手順(2−2)および(2−3)を実行してチャネル推定を行う。また、上記手順(2−1)〜(2−5)を周期的に実行して、無線局Aがキャリア位相を補正する。
このように、本実施の形態の本実施の形態のシステムでは、無線による直接通信が可能な2つの無線局が、伝搬路利得が一定とみなせる程度に短い区間内において既知信号の送受信を相互に行うにあたって、離散したサブキャリアに既知信号を配置することとした。そして、各無線局で得られたチャネル推定値を用いて、一方の無線局がキャリア位相を補正することとした。これにより1つの周波数でフェージングの落ち込みが発生しても、他のフェージングの良好な周波数でのチャネル測定結果を利用できるため、フェージング環境においても、安定的に局間キャリア位相同期を維持することができる。
実施の形態3.
つづいて、実施の形態3について説明する。なお、システム構成は、実施の形態1と同様とする(図1参照)。
つづいて、実施の形態3について説明する。なお、システム構成は、実施の形態1と同様とする(図1参照)。
実環境では基地局ごとに独立に発振器を用いており、局間キャリア位相差φB(t)−φA(t)には周波数オフセット|fA (0)−fB|と位相雑音が含まれる。このうち、位相雑音の変動は時間的に無相関に近いが、周波数オフセットは一定の割合で増加する。従って、キャリア位相差の時間変化度から基地局Aは局間周波数オフセットを推定可能である。そこで、本実施の形態では、キャリア周波数を補正することでさらなる性能改善を実現する局間キャリア位相同期方法について説明する。以下、本実施の形態にかかるシステムの無線局において、キャリア位相同期を確立する場合の制御手順を説明する。
(3−1)n=0とする。
(3−2)実施の形態2で示した手順(2−2)〜(2−4)を実行し、基地局Aがキャリア位相を補正する。
(3−3)時刻tn+δにおいて、基地局Aは、更新されたキャリア位相φA (n+1)を維持しつつ、以下に示す式(5)に従いキャリア周波数をfA (n)からfA (n+1)に変更する。
(3−4)n<Nであれば、nを1増やして上記手順(3−2)に戻る。それ以外は終了する。
(3−2)実施の形態2で示した手順(2−2)〜(2−4)を実行し、基地局Aがキャリア位相を補正する。
(3−3)時刻tn+δにおいて、基地局Aは、更新されたキャリア位相φA (n+1)を維持しつつ、以下に示す式(5)に従いキャリア周波数をfA (n)からfA (n+1)に変更する。
(3−4)n<Nであれば、nを1増やして上記手順(3−2)に戻る。それ以外は終了する。
式(5)では、0≦t≦tnでの全位相回転から次フレームでのキャリア周波数を算定している。この方法により、局間キャリア周波数オフセットを小さくでき、キャリア位相差φB(tn)−φA(tn)の時間変動を低減できる。
このように、本実施の形態では、無線局が周期的にキャリア位相を補正する動作に加え、さらにキャリア周波数も補正することとした。これにより、無線局間のキャリア周波数も高精度に合わせることができる。局間のキャリア周波数を高精度に合わせることができれば、局間キャリア位相関係を長時間維持できる。また、実施の形態1および2で示した制御動作のように瞬時のキャリア位相のみを補正する場合に比べて、補正後に時間が経過しても局間キャリア位相差を安定的に保つことができる。
実施の形態4.
つづいて、実施の形態4について説明する。本実施の形態では、実施の形態2で示した手順(2−4)で使用する局間キャリア位相差φB(t)−φA(t)の具体的な推定方法について説明する。
つづいて、実施の形態4について説明する。本実施の形態では、実施の形態2で示した手順(2−4)で使用する局間キャリア位相差φB(t)−φA(t)の具体的な推定方法について説明する。
ここでは、r(n,l)≡αBA (n,l)/αAB (n,l)とし、実施の形態2で示した制御手順において、局間キャリア位相差(φB(tn)−φA(tn))−(φB(t0)−φA(t0))の推定値θ(n)を算出する場合の例を示す。
推定値θ(n)は、たとえば、チャネル状態の良いサブキャリアlを選定し、これと次式(6)を用いて推定する(方法1)。
また、次式(7)を用い、r(n,l)/r(0,l)(l=1,…,L)を複素平面上で重み付け平均することにより推定する(方法2)。
このように、チャネル状態の良いサブキャリアを選択して推定したり、複数サブキャリアでのチャネル測定情報を重み付け加算して推定したりすることにより、1つのサブキャリアのみのチャネル測定結果を用いる場合と比較して、より高精度に局間キャリア位相差φB(t)−φA(t)を推定できる。
以下では、さらにγAB (n),γBA (n),γAB (m),γBA (m)>>1を想定し、上記の(方法2)のウエイト(wl)を最適化する手法について説明する。
時刻tn、サブキャリアlでのζ(n)をζ(n,l)と表す。γAB (n),γBA (n),γAB (m),γBA (m)>>1の場合には、上記の式(4)に含まれるζ(n,l)/ζ(m,l)に関して、近似的に次式(8)が成り立つ。
したがって、上式(7)に含まれるyに関して次式(9)が成り立つ。
式(9)において、ハット(^)付きのzlは分散1の複素ガウス変数を表し、またcおよびσlは、次式(10)で表される。
そして、上式(9)に含まれるcの電力と雑音電力の比γoutを最大とするウエイトが最適ウエイトとなる。上式(9)においてハット(^)付きのz1〜zLは互いに独立であるので、その比は次式(11)で表される最大比合成ウエイトwlを用いた場合に最大となる。
ここでは理論上の最適ウエイトを導いたが、実環境において基地局は瞬時の伝搬路測定値しか有さない場合も多い。その場合には、次式(12)で表される近似ウエイトを用いることもできる。
式(12)において、PA,z,PB,zはそれぞれ、基地局A,Bにおける雑音電力を表す。
上記の手法で導いた最適ウエイトを用いれば、各サブキャリアでのチャネル測定結果を最大限有効に使用できる。その結果、局間キャリア位相同期の精度をさらに高めることができる。
実施の形態5.
つづいて、実施の形態5について説明する。本実施の形態および以降の実施の形態では、実施の形態1〜4で説明した局間キャリア位相同期方法を無線通信システムに適用する場合の制御動作について説明する。
つづいて、実施の形態5について説明する。本実施の形態および以降の実施の形態では、実施の形態1〜4で説明した局間キャリア位相同期方法を無線通信システムに適用する場合の制御動作について説明する。
図4は、上述した局間キャリア位相同期方法をマルチキャリア伝送方式に適用する場合のフレーム構成例および制御動作例を示した図である。また、図5および図6は、上述した局間キャリア位相同期方法をFDD(Frequency Division Duplex)方式に基づく無線通信システムに適用する場合のフレーム構成例を示す図である。ここで、図4では、基地局Bから基地局Aへ制御情報として送信される情報についても例示している。図4において測定チャネル情報は、基地局Bにおけるチャネル推定結果である。同期情報は、局間キャリア位相同期方法を実行するにあたって必要な各種情報を示しており、たとえば、次回のパイロット信号送受信タイミングを示す情報や使用するサブキャリアの情報である。連携制御情報は、後述するプレコーディング情報など、基地局Aと基地局Bが連携して動作を行う際に必要な各種情報を示している。なお、図4では、測定チャネル情報、同期情報および連携制御情報を制御情報として既知情報(パイロットシンボル)とともに送信するかのように記載しているが、実際には、制御情報のうちの一部を既知情報とともに送信するようにしてもよいし既知情報とは別に送信するようにしてもよい。すなわち、既知情報と制御情報の組み合わせについての制限はない。
図4に示した制御動作について説明する。この制御動作(基地局AとBとの間で局間キャリア位相を同期する動作)では、まず、下りリンク周波数を用いて基地局Aが基地局Bにパイロット信号を送信し、基地局Bはチャネル推定を行う。その後、基地局Bが基地局Aにパイロット信号を送信して基地局Aはチャネル推定を行う。加えて基地局Bは基地局Aへチャネル推定結果を通知する。このような一連の制御により、実施の形態1〜4で示した局間キャリア位相同期を実現できる。この一連の制御において、基地局Aが信号を送信している間、基地局Bは信号の送信を停止する必要がある。これは、基地局Bが信号を送信するとその信号が干渉となり基地局Bの受信が円滑に行えないためである。同様に、基地局Bが送信している間、基地局Aは送信を停止する必要がある。このように、基地局A,Bは互いに送信を停止して相手局からの信号を受信する。
このような制御(パイロット信号の受信側では送信を停止する制御)を行うために、基地局AとBの間では、局間キャリア位相同期を確立する制御で必要なパイロット信号伝送用のフレームフォーマット(フレームに配置されたパイロット信号の位置)の情報を事前に制御信号として相手局に通知する。このように相互にフレームフォーマットを認識した上で、基地局AおよびBはパイロット信号を送信する。このように、複数の無線局が連携して、連続する時間帯において信号を交互に停止することも局間キャリア位相同期を確立する制御動作(局間キャリア位相同期方法)の特徴の一つである。
また、このパイロット信号のやり取りは伝搬路の状態が変化しない短時間の間に行うことが強く望まれる。これは、実施の形態1で示した手順(1−2)や(1−3)などで示したように、本発明にかかる局間キャリア位相同期制御(局間キャリア位相同期を確立するための制御)が、双方向のチャネル状態が同一である性質を利用しているためである。従って、A→Bへの送信と、B→Aへの信号伝送は短時間に切り替えることが望ましい。また、基地局が多くのサブフレームの間、下りリンクの送信を停止すると、下りリンクでのデータ伝送効率が劣化する。従って、無線局A→Bへの信号伝送とB→Aへの信号伝送はサブフレーム時間内に行われることが望ましい。ここで、サブフレームとは1つのデータを送信する最小時間単位を表しており、例えば文献「3GPP TS36.211 V8.5.0」に記載された3GPP規格において用いられているサブフレームと同じ意味を持つ。
このように、事前に制御信号によってフレームフォーマット(どのサブフレームを用い、どのようにパイロット信号を配置して送信するのか)を認識し、サブフレーム内で複数の無線局が交互にかつ短時間で信号送信を行うことにより、局間キャリア位相同期を維持することができる。
このような信号送信は例えばFDD方式では図5に示すように下りリンク周波数で行うことができる。下りリンク周波数では基地局は通常、下りリンク信号を継続的に送信するが、その一部を停止して、局間キャリア位相同期制御のためのパイロット信号の送受信を行う。なお、基地局では下りリンク周波数で信号受信できる装置が必要となるがコスト的には大きな負荷とならない。また、信号の受信方法自体は、信号受信のための既存の構成と同じ構成を適用することができ、チャネル測定は従来から使用されている公知の手法を用いて容易に実現できる。
また、図6に示すようにFDD方式において上りリンク周波数を用いて局間キャリア位相同期制御のためのパイロット信号の送受信を行う構成も可能である。この場合には、基地局は上りリンクで信号を送信するための装置を備える必要があるが、上述した下りリンク周波数を使用する場合と同様に、公知の方法を利用して容易に実現できる。
なお、基地局が下りリンク信号を一定期間停止する場合には、そのセルに属する端末(下りリンク信号を停止する基地局が管理するセルに属する端末)はその期間基地局からの信号を受信できない。下りリンク信号にはパイロット信号や制御信号など多くの信号が含まれており、それらの信号が欠落すると端末が誤動作を起こす可能性がある。従って、図4で示されるように、基地局は、下りリンク信号の送信を一時的に停止することをセル内の端末に事前に通知する。この通知は、たとえば、従来から制御信号送信で使用されていたサブフレームのヘッダ内に未使用の領域があればそれを利用して行うなど、いかなる形式で行ってもよい。また、明示的な制御信号の通知でなくても、信号停止を行うことを端末が判別できる特定形式のフレームを基地局が用いる形態も考えられる。この場合、基地局がその特定形式のフレームを用いた場合には、その次の時間(サブフレーム)において下りリンク信号が停止されることを端末は認識する。このような制御を行うと、端末は下りリンク信号が停止されることを予め認識できるため、誤動作の発生を回避できる。
また、基地局が上りリンク周波数を用いて局間キャリア位相同期制御のためのパイロット信号の送受信を行う場合にも、当該基地局が管理しているセルに属する端末はその期間上りリンクの信号を送信できない。これは、基地局が上りリンクで信号を送信する間、この基地局は信号受信を行えなくなるためである。従って、この場合にも基地局はあらかじめ端末に上りリンク送信が一定期間行えないことを制御情報として通知する。その制御情報を認識した端末は、該当する上りリンク周波数では信号送信を停止する。その場合、送信すべき信号は次のサブフレームの特定の無線リソースへ事前の規定に従い収容する。
このように、基地局が、局間キャリア位相同期制御のために送信を停止するサブフレームの情報を、制御信号によって端末に通知し、端末が誤動作するのを回避可能とすることも局間キャリア位相同期を確立する制御動作(局間キャリア位相同期方法)の特徴の一つである。
なお、図5および図6では、一例としてFDD方式の場合について示したが、TDD(Time Division Duplexing)方式のシステムにおいても、通常、隣接セルの基地局は同時に下りリンクを送信する。この場合、上述の概念はTDD方式に対してもそのまま適用可能である。
また、本実施の形態では、2つの基地局の間での局間キャリア位相同期を扱ったが、基地局以外の無線局であっても構わない。例えば、基地局と端末との間などで信号を中継する(リレー伝送する)リレー局と基地局の間で局間キャリア位相同期を実現する場合にも、上述した局間キャリア位相同期方法を適用可能である。
このように、本実施の形態のシステムでは、局間キャリア位相同期を確立する制御を実行する場合、2つの基地局は、同期確立動作でのパイロット信号送受信時に使用するサブフレームの情報を予め交換し、また、自身が管理しているセル内の端末に対して、下りリンク信号の送信を停止するサブフレーム、または、上りリンク信号の送信を禁止するサブフレーム(上りリンク信号を受信できないサブフレーム)を通知することとした。これにより、基地局間でキャリア位相同期を確立できるとともに、各基地局は、管理しているセル内の端末が誤動作してしまうのを防止できる。
実施の形態6.
つづいて、実施の形態6について説明する。実施の形態5では、2つの基地局間での局間キャリア位相同期を扱ったが、基地局は2つ以上の他の無線局との間で局間キャリア位相同期を同時に行うこともできる。本実施の形態では、そのような場合の制御動作について説明する。
つづいて、実施の形態6について説明する。実施の形態5では、2つの基地局間での局間キャリア位相同期を扱ったが、基地局は2つ以上の他の無線局との間で局間キャリア位相同期を同時に行うこともできる。本実施の形態では、そのような場合の制御動作について説明する。
図7は、基地局が複数の無線局と同時に局間キャリア位相同期を確立する場合のフレーム構成および制御手順の一例を示す図である。図7では、複数の他の無線局がリレー局R1,R2である場合の例を示している。
図7に示したように、基地局Bが複数の無線局(リレー局R1,R2)と同時にキャリア位相同期を確立する場合、リレー局R1から基地局Bへの信号送信(パイロット信号送信)とリレー局R2から基地局Bへの信号送信は、同時に異なる周波数帯を用いて行う。同様に、基地局Bからリレー局R1への信号送信と基地局Bからリレー局R2への信号送信も異なる周波数を用いて行う。
なお、図7にも示しているように、各リレー局から基地局Bへのパイロット信号送信および基地局Bから各リレー局へのパイロット信号送信は、これまでの実施の形態で説明してきた制御動作(局間キャリア位相同期を実現するための動作)と同様に、短時間の間に行う。
このように、本実施の形態のシステムでは、基地局は、複数の無線局(リレー局)との間で局間キャリア位相同期を確立する場合、各無線局との間のパイロット信号送受信を、異なる周波数帯を用いて同時に行うこととした。これにより、複数のリレー局は、基地局との局間キャリア位相同期を同時に確立することができる。本制御を行うことにより、複数のリレー局はそれぞれ、基地局との間で一定のキャリア位相差を保持し、その結果、リレー局の間でも一定のキャリア位相差を保持できる。すなわち、基地局と各リレー局との間で局間キャリア位相同期を直接確立できるとともに、基地局と多くのリレー局間で局間キャリア位相同期を間接的に確立することもできる。
なお、本実施の形態では複数のリレー局と1つの基地局の間での局間キャリア位相同期を扱ったが、基地局、リレー局以外のいかなる無線局に対しても、上記の制御と同様の制御を適用できる。
実施の形態7.
つづいて、実施の形態7について説明する。図8は、実施の形態7の制御動作におけるパイロット信号送信タイミングの一例を示す図である。実施の形態5,6では、説明を簡単化するため、無線局間での1回分の双方向チャネル測定に関して説明したが、実際には、実施の形態1で示した手順(1−5)などで説明したように、局間キャリア位相同期制御では、双方向チャネル測定および測定結果を用いたキャリア位相補正を繰り返し行う。このようにキャリア位相補正を繰り返し行うことで、局間キャリア位相誤差を小さくできる。
つづいて、実施の形態7について説明する。図8は、実施の形態7の制御動作におけるパイロット信号送信タイミングの一例を示す図である。実施の形態5,6では、説明を簡単化するため、無線局間での1回分の双方向チャネル測定に関して説明したが、実際には、実施の形態1で示した手順(1−5)などで説明したように、局間キャリア位相同期制御では、双方向チャネル測定および測定結果を用いたキャリア位相補正を繰り返し行う。このようにキャリア位相補正を繰り返し行うことで、局間キャリア位相誤差を小さくできる。
通常、複数の無線局ではそれぞれ独立の位相雑音を有する。そのため、例えばキャリア周波数を完全に合わせても、時間の経過と共に局間キャリア位相差は次第に変化する。従って、無線通信システムでは、図8に示したように、周期的に局間キャリア位相同期制御用の特殊サブフレーム(パイロット信号の送受信で使用するサブフレーム)を通常のサブフレーム間に挿入し、キャリア位相補正を繰り返し実行する。これにより、局間キャリア位相同期を安定的に維持できる。
また、上記の特殊サブフレームが挿入される位置は、事前に制御情報として一方の局から他方の局へ通知されることにより、基地局間で認識する。また、この挿入位置を基地局から端末に制御情報として通知し、端末は、通知された特殊サブフレームの挿入位置を想定して動作することにより、誤動作してしまうのを回避する。制御情報の通知方法としては、例えば特殊サブフレームが挿入されるサブフレーム周期を通知する手法などがある。
また、上述した実施の形態3では基地局Aがキャリア位相のみでなくキャリア周波数も補正する制御を示した。この場合、2つの基地局の間では制御の初期段階では局間キャリア周波数差は大きいが、時間の経過と共に局間キャリア周波数差を小さくできる。特に制御の初期の段階では広い範囲で局間キャリア周波数差を推定することが望まれる。局間キャリア周波数差は2つの時刻での位相差データを用いて推定されるが、2つの時刻の間隔が長くなるにつれ、推定可能なキャリア周波数差の範囲は狭くなる。これは、同じ位相差データであっても複数の周波数差が候補となりうるアンビギュイティが近い周波数間隔で発生するためである。
従って、周波数差を広範囲に推定するためには、短い時間でキャリア位相差データを測定する必要がある。そこで、キャリア位相に加えてキャリア周波数も補正する場合、無線通信システムでは、図9に示すように異なる複数の周期を持つ特殊サブフレームを通常のサブフレーム間に挿入する。なお、図9は、キャリア位相およびキャリア周波数を調整(補正)する場合の制御動作におけるパイロット信号送信タイミングの一例を示す図である。この方法では周期の短い2つの特殊サブフレームでの位相回転から、局間キャリア周波数差を広範囲で推定でき、基地局Aはキャリア周波数を補正できる。一旦基地局Aがキャリア周波数を補正すると、局間キャリア周波数差は小さくなるため、特殊サブフレームを長周期で配置する。また、局間キャリア周波数同期が誤動作によって外れる場合もありえるので、定期的に短周期の特殊サブフレームを挿入する。
このように、異なる複数の周期で特殊サブフレームを配置することにより、より広範囲な局間キャリア周波数差を補正できる。
また、図9では特殊サブフレームを挿入する周期を変更したが、図10に示すように、1つのサブフレーム内で双方向へのパイロット信号伝送を複数回行う特殊サブフレームを構築することも可能である。本構成によっても広範囲な局間キャリア周波数差を観測することができる。
このように、本実施の形態の無線通信システムでは、パイロット信号送受信のための特殊サブフレームを周期的に配置し、定期的にキャリア位相補正を行うこととしたので、局間キャリア位相同期を安定的に維持できる。
また、キャリア位相補正に加えてキャリア周波数補正も行う場合、キャリア周波数補正で必要な2つの時刻でのキャリア位相差を得るための特殊サブフレームをその時間間隔が短くなるように配置することとした。これにより、局間キャリア周波数差を広範囲で推定できる。
実施の形態8.
つづいて、実施の形態8について説明する。本実施の形態では局間キャリア位相同期を確立した場合に実現できる伝送制御について説明する。
つづいて、実施の形態8について説明する。本実施の形態では局間キャリア位相同期を確立した場合に実現できる伝送制御について説明する。
上述した各実施の形態に従って局間キャリア位相同期を確立すると、複数の基地局又はリレー局間では常に同じキャリア位相差を維持することができコヒーレント性を保つことができる。その結果、同じキャリア位相差を維持している複数の無線局は、受信側(受信局)において同じキャリア位相で受信されるように、位相調整を行った上で同じ信号を送信するコヒーレント送信が可能となる。コヒーレント送信では複数の無線局が受信局で同じキャリア位相となり強めあうように位相を調整して信号を送信する。その結果、受信局では、複数の信号がコヒーレントに重ね合わされ強い受信電力となる。
図11は、下りリンクにおいて複数の基地局が端末に向けて同じ信号をコヒーレントに送信する様子を示した図である。複数の基地局(基地局A,B)が端末Nに対してコヒーレント送信を行う場合、まず、基地局A,B間では、例えば実施の形態5に示した方法により、一定のキャリア位相差を維持する。さらに基地局A,Bが端末Nに向けてパイロット信号を送信し、端末Nは各基地局からの受信信号の位相差を測定する。そして、端末Nは、位相差の測定情報に基づいて、各基地局からの信号が同相となるために必要な送信位相情報(プレコーディング情報と呼ぶ)を上りリンクで各基地局へ通知する。図11の例では、端末Nは、上記の手順で取得したプレコーディング情報を基地局Bに送信し、基地局Bは、受信したプレコーディング情報を制御情報として基地局Aに通知する。
なお、この制御情報(プレコーディング情報)は、基地局AとBが局間キャリア位相同期確立のためのパイロット信号送信位置(特殊サブフレーム)の情報を交換する際に、一緒に通知するようにしてもよい。このようにした場合、プレコーディング情報と局間キャリア位相同期確立動作で必要な関連情報が一つの同じサブフレームで通知されるようになり、制御情報を効率的に通知できる。
従来は、複数の基地局が連携してコヒーレント送信を行う場合、有線網を通してプレコーディング情報などの制御情報を通知するなど、基地局同士がプレコーディング情報を直接交換することはしていなかった。これに対して、本実施の形態のシステムでは、無線リンクで制御情報(プレコーディング情報)を直接通知することにより、連携する他の無線局に少ない遅延時間で制御情報を通知できる。
図11では、複数の基地局が連携してコヒーレント送信を行う場合について示しているが、図12に示すように、基地局Bから端末Nに向けて送信された信号をリレー伝送する複数のリレー局(リレー局R1,R2)が連携してコヒーレント送信を行うことも同様に可能である。この場合、複数リレー局間では、例えば実施の形態6に示した方法により、一定のキャリア位相差を保持する。次に、各リレー局は端末Nに向けてパイロット信号を送信し、端末Nでは各リレー局からの信号の位相差を測定する。そして、端末Nは各リレー局からの信号が同相となるために必要な送信位相情報(プレコーディング情報)を上りリンクでいずれか一つのリレー局(図12の例ではリレー局R2)へ送信する。リレー局R2はそのプレコーディング情報を制御情報として基地局Bに通知する。この制御情報は既に説明を行った図7に示したような構成のシステムにおいて、基地局とリレー局が局間キャリア位相同期確立のためのパイロット信号送信位置(特殊サブフレーム)の情報を交換する際に、一緒に通知するようにしてもよい。制御情報としてプレコーディング情報の通知を受けた基地局は、さらにそのプレコーディング情報を、当該情報の通知元ではないリレー局に対して制御情報として通知する。基地局は、この制御情報を、リレー局が基地局に対してプレコーディング情報を通知する場合と同様に、パイロット信号送信位置(特殊サブフレーム)の情報を交換する際に、一緒に通知するようにしてもよい。
このように、本実施の形態の通信システムにおいて、局間キャリア位相同期を確立した状態の無線局(基地局,リレー局)同士がコヒーレント送信を行う場合、まず、送信元の各無線局はそれぞれ、送信先の無線局に対してパイロット信号を送信し、パイロット信号を受信した無線局(受信局)は、各受信信号の位相差の情報であるプレコーディング情報を生成し、いずれかの無線局へ通知することとした。また、プレコーディング情報の通知を受けた無線局は、通知を受けなかった他の無線局に対してプレコーディング情報を通知することとした。さらに、プレコーディング情報の通知を受けた無線局は、所定の制御信号を他の無線局へ通知する際に、同じサブフレームにてプレコーディング情報も併せて通知することとした。これにより、信号伝送を効率化できる。また、制御遅延を少なくすることができ、コヒーレント送信を効率的に行うことができる。
実施の形態9.
つづいて、実施の形態9について説明する。本実施の形態でも実施の形態8と同様に、局間キャリア位相同期を確立した場合に実現できる伝送制御について説明する。
つづいて、実施の形態9について説明する。本実施の形態でも実施の形態8と同様に、局間キャリア位相同期を確立した場合に実現できる伝送制御について説明する。
図13は、本実施の形態のシステム構成とシステム内の各装置の動作例を示した図であり、本実施の形態では、基地局A,B,Cが図示したように配置されている場合の制御動作について説明する。
実施の形態5では基地局間で下りリンク周波数または上りリンク周波数を用いて局間キャリア周波数同期を確立する手法(図4,図5,図6参照)を示したが、基地局は隣接する他の基地局から大きな干渉を受ける場合もある。例えば、図13に示すように基地局Aと基地局Bが下りリンク周波数で局間キャリア位相同期を確立しようとしても他の隣接基地局Cからの下りリンク送信信号が大きな干渉となる場合がある。これは設置条件など環境に依存するものであり、環境に応じて局間キャリア位相同期が保持できる場合とできない場合が発生しうる。
そこで、図13に示したような環境においては、基地局Aはその干渉状態を測定し、干渉状態の測定結果に応じて、局間キャリア位相の同期確立が可能な状態(干渉が同期確立動作に影響を与えないレベル)であるか否かを制御信号にて基地局Bに通知する。仮に、局間キャリア位相同期が可能な状態であれば、実施の形態1〜8に示す局間キャリア位相同期制御のうちのいずれかを実行する。同期が可能か否かは、例えば、同期用パイロット信号の信号対干渉雑音電力比(SINR:Signal to Interference and Noise Ratio)または受信干渉電力などに基づいて判定できる。また、局間キャリア位相の同期確立が不可能であれば、同期確立動作は行わず、局間での連携コヒーレント送信も行わない。なお、局間キャリア位相同期は主に連携コヒーレント送信のために必要となる同期であり、局間キャリア位相同期が行えなくても連携コヒーレント送信を行わない限りは通常の伝送制御は行える。
なお、上記説明では、基地局Aが干渉状態を測定し、局間キャリア位相の同期確立が可能かどうかを判定する場合について示したが、基地局Bも同様に、干渉状態を測定し、局間キャリア位相の同期確立が可能か否かの判定結果を基地局Aに対して通知する。
このように、本実施の形態では、局間キャリア位相同期を確立する制御を行う無線局(基地局)は、周囲の干渉状態を確認し、局間キャリア位相同期の確立が可能な程度に干渉レベルが低いと判断した場合に同期確立制御を実行することとした。これにより、干渉の多い環境における同期の誤動作及び不適切な伝送制御を避けることができ、安定した通信品質を提供できる。
なお、本実施の形態では、基地局間で下りリンク周波数を使用して局間キャリア位相同期の確立制御を行う場合の例について説明したが、上りリンク周波数を使用して局間キャリア位相同期の確立制御を行う場合には、基地局A,Bからのパイロット信号が他の周辺基地局への干渉信号となりうる可能性がある(図14参照)。図14は、本実施の形態のシステムにおいて、基地局が上りリンクを利用してキャリア位相同期の確立制御を行う場合の動作例を示した図である。
そこで、上りリンク周波数を使用して局間キャリア位相同期の確立制御を行う場合には、周辺基地局Cが基地局Aに受信干渉レベルが大きいことを通知し、基地局AとBの間での局間キャリア同期制御を中止するように制御してもよい。また、別の方法として基地局Aが周辺基地局Cとの平均的な伝搬損失を測定し、大きな干渉を及ぼさない送信電力範囲で局間キャリア位相同期を行えるか否かを判別する。そして、その送信電力範囲で行える場合に、局間キャリア位相同期を実行する適応制御を行うことも可能である。基地局Aが周辺基地局Cとの平均的な伝搬損失を測定する手段としては、例えば、周辺基地局Cからの下りリンク信号強度を測定して、基地局Aの規定送信電力との相対比として伝搬損失係数を測定する方法が可能である。なお、他のいかなる伝搬測定方法であっても構わない。
実施の形態10.
つづいて、実施の形態10について説明する。本実施の形態では実施の形態1〜9で示した局間キャリア位相同期制御(局間キャリア位相同期を確立するための制御)を多くの基地局が存在するセルラ環境で用いる場合について説明する。
つづいて、実施の形態10について説明する。本実施の形態では実施の形態1〜9で示した局間キャリア位相同期制御(局間キャリア位相同期を確立するための制御)を多くの基地局が存在するセルラ環境で用いる場合について説明する。
実施の形態2では、局間キャリア位相同期制御を行う無線局同士が離散サブキャリアを用いてパイロット信号を送受信する場合の動作について説明したが、隣接セルで同じサブキャリアを用いて同期用パイロット信号を同時に送信した場合、互いにセル間で大きな干渉が発生する。
そのため、隣接するセル同士では互いに異なるサブキャリアを用いて双方向のパイロット信号送信を行う。このようにセルごとに用いるサブキャリアの位置が隣接するセル同士で同じ周波数とならないように配置することにより、セル間での干渉を抑えることができる。より具体的な例として、各セルの有するセルIDに応じてそのセルで同期用パイロット信号の送信に利用するサブキャリアを決定される構成を用いることができる。その結果、異なるセルIDを持つ隣接セルでは、異なるサブキャリアを利用することになり、セル間での同一チャネル干渉を低減できる。
また、基地局間で局間キャリア位相同期制御を行う場合には、たとえば、そのメインとなる基地局(キャリア位相の調整を行わない側の基地局)のセルIDに対応したサブキャリアを利用する。このような構成によって、異なる基地局間での局間キャリア位相同期制御においても互いの与干渉を低減できる。
このように、本実施の形態では、基地局が多数存在する環境において、特定の基地局同士が局間キャリア位相同期制御でパイロット信号を送信するサブキャリアを、隣接する基地局が局間キャリア位相同期制御でパイロット信号を送信するサブキャリアと重ならないように割り当てることとした。これにより、安定した通信品質を実現できる。
実施の形態11.
つづいて、実施の形態11について説明する。実施の形態1〜10では主に局間キャリア位相同期制御についての説明を行ったが、局間キャリア位相同期制御以外のデータ伝送においても図4〜図10で示したような特殊サブフレーム構成(通常のサブフレーム内に特殊サブフレームを配置すること)は有効である。例えば、図4〜図10で示した特殊サブフレーム構成を用いて、無線局間では制御信号のみを通知することもできる。このような特殊サブフレーム構成を用いると、有線系で制御信号を通知する場合よりも、短時間で制御情報を通知することができる。また、セル内の端末には、基地局が送信または受信停止する期間が制御信号として通知されるため、端末の誤動作も生じない。
つづいて、実施の形態11について説明する。実施の形態1〜10では主に局間キャリア位相同期制御についての説明を行ったが、局間キャリア位相同期制御以外のデータ伝送においても図4〜図10で示したような特殊サブフレーム構成(通常のサブフレーム内に特殊サブフレームを配置すること)は有効である。例えば、図4〜図10で示した特殊サブフレーム構成を用いて、無線局間では制御信号のみを通知することもできる。このような特殊サブフレーム構成を用いると、有線系で制御信号を通知する場合よりも、短時間で制御情報を通知することができる。また、セル内の端末には、基地局が送信または受信停止する期間が制御信号として通知されるため、端末の誤動作も生じない。
このように、上記の特殊サブフレーム構成は、局間キャリア位相同期を行わず、局間で制御信号またはデータ信号のやりとりのみを行う場合にも端末の誤動作を生じることなく低遅延での通知ができるという観点で有効である。
なお、上述した、実施の形態1〜10で示した各同期制御動作(局間キャリア位相同期制御動作,局間キャリア周波数制御動作)は、適宜組み合わせて使用することが可能である。また、各実施の形態では便宜的に基地局、リレー局などの言葉を用いて説明を行ったが、無線端末などを含むいかなる無線局に対しても同様の手法は適用可能である。
以上のように、本発明にかかる伝送制御方法は、無線通信システムに有用であり、特に、コヒーレント送信を行う無線局同士が局間キャリア位相同期を獲得・維持するための制御方法に適している。
A,B,C 基地局
N 端末
R1,R2 リレー局
N 端末
R1,R2 リレー局
Claims (16)
- 複数の無線局がコヒーレント送信で必要な同期確立を行うための伝送制御方法であって、
前記複数の無線局の中の第1の無線局が他の無線局(第2の無線局)に対してパイロット信号を送信し、当該第2の無線局がチャネル推定を行う第1のチャネル推定ステップと、
前記第2の無線局が前記第1の無線局に対してパイロット信号を送信し、当該第1の無線局がチャネル推定を行う第2のチャネル推定ステップと、
前記第1の無線局または前記第2の無線局が、前記第1のチャネル推定ステップおよび第2のチャネル推定ステップにおけるそれぞれのチャネル推定結果に基づいてキャリア位相を補正するキャリア位相補正ステップと、
を含むことを特徴とする伝送制御方法。 - 前記第1および第2のチャネル推定ステップを伝搬路利得が一定とみなせる程度に短い時間間隔で実行することを特徴とする請求項1に記載の伝送制御方法。
- OFDMA方式を適用し、前記第1および第2のチャネル推定ステップでは、離散した複数のサブキャリアにパイロット信号を配置して送信することを特徴とする請求項1または2に記載の伝送制御方法。
- 前記キャリア位相補正ステップでは、チャネル状態の良いサブキャリアにおけるチャネル推定結果、または、各サブキャリアにおけるチャネル推定結果の重み付け加算結果を用いてキャリア位相補正を行うことを特徴とする請求項3に記載の伝送制御方法。
- 前記第1および第2の無線局が、データを伝送する最小時間単位であるサブフレーム内でパイロット信号を交互に送信することによって、前記第1および第2のチャネル推定ステップを実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の伝送制御方法。
- 前記第1および第2のチャネル推定ステップを実行する場合、
前記第1および第2の無線局は、前記第1および第2のチャネル推定ステップにかかるパイロット信号送受信で使用するサブフレームを他の無線局に通知する
ことを特徴とする請求項5に記載の伝送制御方法。 - 前記第1および第2の無線局は、パイロット信号送受信で使用するサブフレームでは、パイロット信号の受信中に信号送信処理を停止することを特徴とする請求項5または6に記載の伝送制御方法。
- 前記第1および第2の無線局のうち、一方を単一の無線局、他方を2つ以上の無線局とし、
前記単一の無線局と前記2つ以上の無線局の各々は、それぞれ異なる周波数を使用して、前記第1および第2のチャネル推定ステップを各々実行し、
前記2つ以上の無線局が前記キャリア位相補正ステップを実行する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の伝送制御方法。 - パイロット信号を交互に送信するためのサブフレームを周期的に配置し、
前記第1および第2のチャネル推定ステップと、前記キャリア位相補正ステップとを周期的に実行する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の伝送制御方法。 - 前記第1および第2の無線局は、他の無線局からの干渉状態を監視し、監視結果に基づいて、前記第1/第2のチャネル推定ステップおよび前記キャリア位相補正ステップを実行するかどうか決定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の伝送制御方法。
- 前記第1または第2の無線局に隣接する第3の無線局が、第4の無線局との間で前記第1/第2のチャネル推定ステップおよび前記キャリア位相補正ステップに相当する処理を実行してキャリア位相補正を行う機能を有する場合、
前記第1および第2の無線局は、前記第3および第4の無線局におけるキャリア位相補正で使用されるサブキャリアと異なるサブキャリアを使用して、前記第1/第2のチャネル推定ステップを実行する
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の伝送制御方法。 - 前記第1の無線局および前記第2の無線局のうち、前記キャリア位相補正ステップを実行した無線局が、前記チャネル推定結果に基づいてキャリア周波数を補正するキャリア周波数補正ステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の伝送制御方法。 - 前記キャリア周波数補正ステップを実行する場合、
パイロット信号を交互に送信するためのサブフレームである特殊サブフレームを異なる複数の周期で配置し、
短い周期で配置されている特殊サブフレームで前記第1および第2のチャネル推定ステップを実行するとともに、前記キャリア位相補正ステップおよび前記キャリア周波数補正ステップを実行する
ことを特徴とする請求項12に記載の伝送制御方法。 - 前記キャリア周波数補正ステップを実行する場合、
パイロット信号を交互に送信するためのサブフレームである特殊サブフレームで前記第1および第2のチャネル推定ステップを複数回にわたって実行するとともに、前記キャリア位相補正ステップおよび前記キャリア周波数補正ステップを実行する
ことを特徴とする請求項12に記載の伝送制御方法。 - 前記第1および第2のチャネル推定ステップと、前記キャリア位相補正ステップとを実行した後、
前記第1および第2の無線局が、隣接する他の無線局である受信局に対してパイロット信号を送信し、その結果当該受信局で算出される、受信パイロット信号の位相差の情報であるプレコーディング情報に基づいて、当該第1および第2の無線局が、当該第3の無線局における各受信信号の位相が同じになるように同一の信号を送信する信号送信ステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の伝送制御方法。 - 請求項1〜15のいずれか一つに記載の第1の無線局または第2の無線局として動作することを特徴とする通信装置。
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