JP2010215614A - 親水性物質含有油性化粧料 - Google Patents

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正人 吉岡
Yasuko Matsui
康子 松井
Naoko Otani
直子 大谷
Eriko Kobayashi
恵理子 小林
Keiichi Uehara
計一 植原
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Abstract

【課題】 油性化粧料への安定配合が難しい親水性物質、例えば、水、ペプチド類、多価アルコール、水溶性植物抽出物などを、安定に、容易に均一に配合でき、保湿性や使用感触などに優れる油性化粧料を提供する。
【解決手段】 シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を親水性物質と共に油性成分を主剤とする化粧料に含有させることによって親水性物質を容易にかつ安定に配合できる。親水性物質とシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の配合割合は質量比で、親水性物質1に対して0.05〜20の範囲が好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は油性化粧料に関し、更に詳しくは、口紅、リップグロス、コンシーラー、油性マスカラ、油性美容液、パウダーファンデーション、ヘアスティック等の油性化粧料に親水性物質を含有させた、荒れた皮膚や口唇等への改善効果が高く、塗布時の使用感触が良好で、安定性に優れた親水性物質を含有する油性化粧料に関する。
油性化粧料は、肌や口唇等の塗布部位の閉塞性に優れる剤形として、液状油性成分やキャンデリラロウ、カルナウバロウ等のワックスエステルを配合した口紅、リップクリーム、コンシーラー、パウダ−ファンデーション、油性のヘアスティックなどがあり、水や多価アルコールなどの親水性物質を配合し、乾燥などによって荒れた肌や口唇の改善、皮膚や睫への伸展性、色落ちしにくいなど使用感触の向上、油性化粧料の発汗を防止し、経時安定性の向上などを目指した技術が提案されている。例えば、半固形油分および/または固形油分と流動油分中に水を非乳化状態で分散させる技術や、水溶性高分子を併用して水を油性化粧料に配合する技術がある。
しかしながら、油性化粧料(皮膚外用剤及び毛髪化粧料)へ親水性物質を配合することは実施されているものの、工程的に複雑であったり、困難であったり、色変化などの経時安定性の問題があったり、油性成分が限定されるなどの問題点があり、必ずしも満足すべきものではなかった。
また、毛髪化粧料においては、ヘアカラー、パーマなどの化学処理によって毛髪が損傷を受け、経時的な退色や毛髪の強度の低下が起こるが、これらを改善すると共に保湿性も付与できる化粧料が望まれているが、このような問題の解決を目指した毛髪用油性化粧料は見当たらない。
特公平4−40324 特開2005−263674 特開2005−255639
従って、本発明は、親水性物質を均一に配合し、荒れた皮膚や口唇等への改善効果が高く、塗布時の感触(滑らかさ、伸展性など)が良好であり、経時による色変化も少ない油性化粧料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を用いることによって、水溶性植物抽出物などの親水性物質を口紅、リップグロス、コンシーラー、油性マスカラ、ヘアスティックなどの油性化粧料に容易に配合することができ、それらを配合した油性化粧料は、荒れた皮膚や口唇、毛髪への改善効果が高く、かつ色変化などの経時安定性が向上し、使用感触も良好であり、潤いを付与・持続する機能が発揮されるこを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、油性物質を主剤とする化粧料に、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物および親水性物質を含有させたことを特徴とする油性化粧料である(請求項1)。
本発明において、油性化粧料とは、前記した口紅、リップグロス、コンシーラー、油性マスカラ、パウダーファンデーション、ヘアスティックなど油性物質が主構成成分であるものを言い、本発明の油性化粧料は、主剤となる油性物質と、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物および親水性物質で構成されるが、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物とは下記のようなものである。すなわち、下記の一般式(I)
Figure 2010215614
〔式中、Rは水酸基または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く側鎖の残基を示し、RはRが結合するアミノ酸以外のアミノ酸側鎖を示し、Aは結合手で、メチレン、プロピレン、−(CHOCHCH(OH)CH−、−(CHS−、−(CHNH−および−(CHOCOCHCH−からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表し、xは0〜50、yは1〜100、x+yは1〜100である(ただし、xおよびyはアミノ酸の数を示すのみで、アミノ酸配列の順序を示すものではない)〕で表されるシリル化ペプチドの1種以上と、下記の一般式(II)
Si(OH)(4−p−m) (II)
〔式中、mは0から2の整数で、pは2から4の整数、m+p≦4で、Rは炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、m個のRは同じでもよく、異なっていてもよい。(4−p−m)個のYはアルコキシ基または水素原子である〕で表されるシラン化合物の1種以上とを、反応モル比がシリル化ペプチド:シラン化合物=1:20〜1:80の範囲で水溶液中で縮重合させた後、下記の一般式(III)
Si(OH) (III)
〔式中、3個のRは炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、3個のRは同じでもよく、異なっていてもよい〕で表されるシラン化合物を水溶液中で付加させることにより得られるものである。
本発明で用いられる親水性物質とは、水、多価アルコール、トレハロースなどの糖類、ペプチド、水溶性植物抽出物、アミノ酸、アミノ酸塩、ピロリドンカルボン酸塩、乳酸ナトリウム、ヒアルロン酸またはその塩など水に可溶な物質である。
上記の親水性物質のうち、水溶性植物抽出物、多価アルコール、ペプチドは保湿性、肌荒れ防止効果などに優れ、これらの物質の一種以上を配合した油性化粧料は皮膚に保湿性を付与し、肌荒れ防止効果発揮するので、より好ましい態様である(請求項2)。
本発明で用いられる水溶性植物抽出物としては、例えば、ジオウエキス、アロエエキス、シャクヤクエキス、オウゴンエキス、クララエキス、シソエキス、セージエキス、チョウジエキス、ノバラエキス、ビワ葉エキス、フユボダイジュ花エキス、ボタンピエキス、モモ葉エキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ラベンダーエキス、ローズウォーター、ドクダミエキス、ラベンダーエキス、トウヒエキス、ヤグルマキクエキス、ウ−ロン茶エキス、セイヨウニワトコエキス、カンカエキスなどが挙げられ、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
これらの水溶性植物抽出物のうち、ジオウエキス、アロエエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、甘草エキス、カンカエキスは、保湿性の付与や使用感触の点で特に好ましい(請求項3)。
本発明で用いられる多価アルコールとは、2価以上のアルコールを言い、化粧品に用いられるものなら特に制限はない。2価アルコールの代表的なものとしては、例えば、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンタンジオールなどが挙げられる。また、3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、マルチトール、ラクチトール、オリゴ糖の還元物などが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独あるいは混合して用いることができる。
上記の多価アルコールのうち、特に好ましいのは3価以上の多価アルコールであり、保湿性や使用感触の点で、グリセリン、エリスリトール、ソルビトールが特に好ましい。そのため、多価アルコールとして、グリセリン、エリスリトール、ソルビトールから選ばれる1種以上の多価アルコールを親水性物質として含有する態様を請求項4とする。
本発明で用いられる親水性物質のペプチドは、下記の一般式(IV)
Figure 2010215614
(式中、Rはアミノ酸側鎖で、xはアミノ酸の平均重合度を示す)で表されるが、タンパク質を加水分解したペプチド(タンパク質加水分解物)、天然ペプチド、合成ペプチドなどが挙げられる。そのうち、入手のしやすさ、分子量のコントロールのしやすさから、タンパク質を加水分解したペプチドが好ましい態様である(請求項5)。
親水性物質とシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の混合割合は、質量比で、親水性物質1に対してシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が0.05〜15の範囲である(請求項6)。
これは、親水性物質1に対してシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の割合が、質量比で0.05以下になると親水性物質を油性化粧料中に均一に配合しにくくなるからであり、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の割合が、質量比で15以上になっても量に見合う親水性物質の均一分散効果が得られないからである。
本発明の油性化粧料は、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を使用することにより、親水性物質を油性成分中に均一に配合できていて、荒れた皮膚や口唇等への改善効果が高く、塗布時の使用感触(滑らかさ、伸展性など)が良好であり、さらに、経時による色変化も少ない。
本発明の油性化粧料の主剤となる油性物質としては、炭化水素類、天然ロウ類、エステル油類、油脂類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、フッ素系油など、通常化粧品に使用できるものなら制限はなく、これらの油性物質を単独或いは二種以上混合して用いる。
炭化水素類としては、例えば、パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、セレシンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、オゾケライト、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマーなどが挙げられ、天然ロウ類としては、例えば、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリン、ゲイロウ、モクロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、オレンジラフィー油、ホホバ油、水添ホホバ油、モンタンロウ、パームロウ、サトウキビロウなどが挙げられる。
エステル油類としては、例えば、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、(水添ロジン/ジイソステアリン酸)グリセリル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジカプリン酸プロピレングリコール、トリウンデシル酸グリセリル、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、クエン酸トリオクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセリル、テトラオクタン酸ペンタエリトリトール、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、ステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンセチルエーテルなどが挙げらる。
油脂類としては、例えば、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、大豆油、ヒマシ油、水添ヒマシ油、ククイナッツ油、小麦胚芽油、米胚芽油、シアバター、アボガド油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、パーム核油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ヤシ油、エミュー油、硬化油、馬油、ミンク油、卵黄脂肪油、月見草油、マンゴーバター、ローズヒップ油などが挙げられ、脂肪酸類としては、例えば、オレイン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸などが挙げられる。また、高級アルコール類としては、例えば、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、キミルアルコール、コレステロール、シトステロール、セタノール、セトステアリルアルコール、セラキルアルコール、デシルテトラデカノール、バチルアルコール、フィトステロール、ヘキシルデカノール、ラウリルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、ミリスチルアルコールなどが挙げられ、フッ素系油としては、例えば、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロオクタンなどが挙げられる。
さらに、高重合ジメチルポリシロキサン、低重合ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン油、アミノ変性シリコーンなどのシリコーン油類も用いることができる。
油性化粧料中での主剤となる油性物質の含有量は、油性化粧料が液状、固体状、群末状など種々あり、化粧料によって大きく異なるため限定はできず、本発明の油性化粧料は、油性物質が主構成成分であるものを言う。
本発明の油性化粧料に用いるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は、前記のように、シリル化ペプチドとシラン化合物を水溶液中で縮重合させて合成するが、例えば、特開2001−48732号公報や特開2001−48775号公報などに開示の方法で製造できる。また、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の構成成分であるシリル化ペプチドは、例えば、特開平8−59424号公報および特開平8−67608号公報に開示の方法で合成できる。
シリル化ペプチドのペプチド部分としては、天然ペプチド、合成ペプチド、タンパク質加水分解物などが挙げられるが、入手の容易さやペプチド部分の数平均分子量のコントロールしやすさから、タンパク質加水分解物を用いるのが好ましい。
前記タンパク質加水分解物は、タンパク質を酸、アルカリ、酵素、又はそれらの併用によって部分加水分解することで得られ、このタンパク源としては、動物性タンパク質、植物性タンパク質、及び微生物由来のタンパク質などが挙げられるが、動物性タンパク質としては、コラーゲン(その変性物であるゼラチンも含む)、ケラチン、フィブロイン、セリシン、カゼイン、コンキオリン、エラスチン、プロタミン、鶏などの卵黄タンパク質や卵白タンパク質などを挙げることができ、植物性タンパク質としては、大豆、小麦、米(米糠)、ゴマ、エンドウ、トウモロコシ、イモ類などに含まれるタンパク質を挙げることができ、微生物由来のタンパク質としては、サッカロミセス属、カンディダ属、エンドミコプシス属の酵母菌、ビール酵母や清酒酵母といわれる酵母菌より分離した酵母タンパク質、キノコ類(担子菌)やクロレラより分離したタンパク質、海藻由来のスピルリナタンパク質などを挙げることができる。
シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は、上記シリル化ペプチドと、下記一般式(I)
R6SiX(4−n) (V)
〔式中、nは0から2の整数で、R6は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基で、n個のR1は同じでもよく、異なっていてもよい。(4−n)個のXは水酸基、アルコキシ基およびハロゲン基から選ばれる少なくとも一種の基である〕で表されるシラン化合物を水溶液中で加水分解することで得られる下記一般式(II)
R4Si(OH)(4−p−n) (II)
〔式中、mは0から2の整数、pは2から4の整数で、m+p≦4であり、R4は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基で、m個のR1は同じでもよく、異なっていてもよい。(4−p−n)個のYはアルコキシ基または水素原子である〕で表されるシラン化合物の加水分解物を縮重合させ、さらに、下記の一般式(III)
Si(OH) (III)
〔式中、3個のRは炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、3個のRは同じでもよく、異なっていてもよい〕で表されるシラン化合物を水溶液中で付加させたものであり、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は1種のみに限らず、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の油性化粧料に用いることができるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の市販品としては、(株)成和化成製のPROTESIL FN、PROTESIL F、PROTESIL LH、PROTESIL GLH(いずれも商品名)などを挙げることができる。
本発明の油性化粧料で用いる親水性物質としては、水、多価アルコール、トレハロースなどの糖類、ペプチド、水溶性植物抽出物、アミノ酸、アミノ酸塩、ピロリドンカルボン酸塩、乳酸ナトリウム、ヒアルロン酸またはその塩など水に可溶な物質で、化粧品に用いられるものなら特に制限はなく、1種または2種以上を混合して用いることができる。特に、水溶性植物抽出物、多価アルコール、ペプチドは、保湿性の付与作用や肌荒れ防止効果などに優れることから好ましい。
水溶性植物抽出物の中では、ジオウエキス、アロエエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、甘草エキス、カンカエキスが、保湿性の付与や使用感触の点で特に好ましく、多価アルコールの中では、保湿性や使用感触の点で、グリセリン、エリスリトール、ソルビトールが特に好ましい。
親水性物質のペプチドとしては、入手のしやすさ、分子量のコントロールのしやすさから、タンパク質を加水分解したペプチドが好ましいが、タンパク質加水分解物のタンパク源としては、コラーゲン(その変性物であるゼラチンも含む)、ケラチン、絹フィブロイン、セリシン、コンキオリン、エラスチン、卵タンパク、大豆タンパク、エンドウ豆タンパク、小麦タンパク、トウモロコシタンパク、米(米糠)タンパク質等が挙げられ、アミノ酸重合度が2〜50にまで分解されたタンパク質加水分解物が、水への溶解性、保湿作用の付与効果、保存安定性などの面から好ましい。
シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と親水性物質は、混合してから油性物質またはそれを主剤とする溶液に添加するのが好ましい。親水性物質は、水と混合してからシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と混合してもよい。
親水性物質とシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の混合割合は、質量比で、親水性物質1に対してシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が0.05〜15の範囲が好ましく、0.1〜10の範囲がより好ましい。
親水性物質1に対するシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の質量割合が、上記範囲以下では、親水性物質を油性化粧料中に均一に配合することができなくなる恐れがあり、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の割合が、質量比で上記範囲以上になっても使用量に見合う親水性物質の均一分散効果が期待できない。
本発明の油性化粧料は、通常、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と親水性物質を混合し、ついで、主剤の油性物質を含む他の成分を加えて加熱混合し、冷却することによって製造できる。
本発明の油性化粧料は、主剤の油性物質とシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物および親水性物質を必須成分とするが、本発明の効果を損なわない範囲で、通常化粧料に配合されるその他の成分を配合してもよい。そのような成分としては、例えば、保湿剤、界面活性剤や美白剤、抗炎症剤、酸化防止剤などの効果成分、増粘剤、高分子化合物、無機粉末、色材、主剤以外の油性物質などが挙げられる。
保湿剤としては、例えば、グリシン、アラニン等のアミノ酸類、トリメチルグリシン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、トレハロースなどの糖類、グルコサミンなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、、アルキルポリグリコシド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセリル、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸ナトリウム、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アシル化アミノ酸塩、アシル化ペプチド塩などが挙げられる。また、両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムなどが挙げられる。
効果成分としては、例えば、アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビルリン酸マグネシウム、グリチルリチン酸またはその塩、グリチルレチン酸またはその塩、ビタミンA類、カロチン、リコピン、ニコチン酸類、パントテン酸類、ユビキノン類、γ−アミノ酪酸などが挙げられる。
高分子(増粘剤)類としては、例えば、メチルセルロース、キサンタンガム、グアガム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、キチン、キトサン、クインスシード、ヒアルロン酸及びその塩、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマーなどが挙げられ、無機粉末、色材としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカ、酸化鉄などが挙げられる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例中で表記されている%はいずれも質量%であり、実施例や比較例の処方を示す表では、各成分の配合量はいずれも質量部によるものであり、配合量が固形分量でないものについては、成分名の後ろに括弧書きで固形分濃度を示している。なお、実施例に先立って、実施例で用いたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の製造例を参考例として示す。
参考例1:シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物−Aの製造
容量2リットルの丸底円筒形ガラス製反応容器に、N−[2−ヒドロキシ−3−[3−(ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ]プロピル]加水分解シルク(加水分解シルクの分子量は数平均分子量で約500)の20%水溶液240gと17%塩酸24gを加えて、約60℃に加温した。攪拌しながら、ジメチルジエトキシシラン134.0gとオクチルトリエトキシシラン250.0gの混液を滴下した。次に、攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液を徐々に滴下してpHを約6に調整し攪拌した。この反応液を約60℃で攪拌しながら、トリメチルクロロシラン20.0gを加えた。ついで水酸化ナトリウム水溶液144.0gを滴下し、pHを約6に調整した後、反応液の温度を80℃に上げ約1時間攪拌した。その後、反応液をロータリーエバポレーターにて減圧濃縮して固形分濃度を70%に調整し、N−[2−ヒドロキシ−3−[3−(ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ]プロピル]加水分解シルク−ジメチルジエトキシシラン−オクチルトリエトキシシラン共重合組成物(シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物−Aと略す)を370g得た。
実施例1〜2および比較例1〜4:口紅
表1に示す組成の口紅を下記の調製法で調製し、調製した口紅の安定性(油や顔料の分離の有無、発汗、ブルーミング、色の変化)、使用感触、保湿性を評価した。また口紅の一部をとり、顕微鏡で親水性物質の分散状態を観察した。
実施例1〜2ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と親水性物質としてグリセリンまたは1,3−ブチレングリコールを用い、比較例1〜2はシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を用いず、親水性物質としてグリセリンまたは1,3−ブチレングリコールを用いている。比較例3〜4はシリル化ペプチド−シラン化合物共重合の代わりにPEG−10ジメチコンを用いたものである。なお、シリル化ペプチド−シラン化合物の配合・無配合による全量の差異はリンゴ酸ジイソステアリルで調整し、各調製品とも全量が100になるようにした。
Figure 2010215614
表1中、*1は(株)成和化成製のPROTESIL FN(商品名)〔(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマー〕で、*2は、赤色202号、黄色4号、青色1号、酸化チタン各々のリンゴ酸ジイソステアリル分散液(各色素分散液とも50%濃度)を14:50:1:30の割合(質量比)で混合し、3本ローラーにより十分練ったものである。また、*3のパール剤は、酸化チタンにマイカを被覆したシルバー系とゴールド系の5:2の混合物(質量比)である。
<調製法>
A部を撹拌釜に投入してよく混合した後、B部を投入し90℃にて撹拌・混合した。次に、D部を投入し、生じる気泡を減圧状態にして取り除きながら、色調が均一になるまで混合・撹拌を繰り返した。次いでC部を投入し、溶解したのを確認後、混合物を撹拌釜から取り出し、口紅型に充填して冷却した。
(1)安定性の評価
上記のように調製した口紅について、調製直後、及び、40℃で1カ月間保管後、室温に戻した時の、油や顔料の分離の有無、発汗の有無、ブルーミング、色の変化について5名の試験者で目視により、あり・なしで判定し、その結果をもとに下記の安定性評価基準に基づいて調製した口紅を評価した。なお、調製時にすでに分離しているものについては分離の有無についてのみ評価した。それらの結果を表2および表3に示すが、「40℃で1カ月保存後」の語句は、表のスペースの関係で、「40℃で保管後」と略して記す。
〔評価基準〕
油及び/又は顔料の分離の有無
○:分離なし(3名以上が分離なしと判断)
×:分離あり(3名以上が分離ありと判断)
発汗の有無
○:発汗なし(3名以上が発汗なしと判断)
×:発汗あり(3名以上が発汗ありと判断)
ブルーミングの有無
○:ブルーミングなし(3名以上がブルーミングなしと判断)
×:ブルーミングあり(3名以上がブルーミングありと判断)
色の変化の有無
○:色の変化なし(3名以上が色の変化なしと判断)
×:色の変化あり(3名以上が色の変化ありと判断)
Figure 2010215614
Figure 2010215614
表2および表3から分かるように、実施例1および実施例2の口紅は、油及び/又は顔料の分離、発汗、ブルーミング有無および色の変化のいずれの評価項目においても優れた結果であり、比較例1〜4の結果と比較して明らかなように、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は、親水性物質を油性物質中に配合できる高い能力を有している。
(2)使用感触の評価
被験者10名に手のひらの親指付け根部分に口紅を塗布させ、しっとり感、密着感、発色性について良い・悪いで判定させ、その結果をもとに下記評価基準で口紅を評価した。
使用感触の評価基準
◎:10人中8人以上が、各評価項目について、良いと判定した。
○:10人中5〜7人が、各評価項目について、良いと判定した。
△:10人中2〜4人が、各評価項目について、良いと判定した。
×:10人中0〜1人が、各評価項目について、良いと判定した。
(3)保湿性の評価
被験者の前腕内部の6cm(2cm×3cm)の範囲に約6mg塗布し、塗布後10,20,30,45,60,90,120分の角質水分量をCORNEOMETER CM825(Courage+Khazaka electronic GmbH社製)で測定した。被験者10名で測定を行い、塗布直後の値を基準として、30分後の変化率を求め、保湿性は10名の平均値で評価した。
保湿性の評価基準
◎:変化率が20%以上
○:変化率が10〜20%
△:変化率が5〜10%
×:変化率が5%以下
これら、使用感触の評価および保湿性の評価の結果を表4に示すが、調製時にすでに分離しているもの(比較例1および2)についてはこれらの評価は行わなかった。
Figure 2010215614
表4から明らかなように、実施例1および2の口紅は使用感触や保湿性のいずれの評価項目でも評価値が高く、これは、親水性物質が口紅中に均一に分散配合されているためでないかと考えられる。
(4)顕微鏡による分散状態の観察
親水性物質の分散状態を確認するため、グリセリンにフルオレセイン(蛍光試薬)を微量添加し、実施例1および比較例3の処方の口紅をスライドガラスに塗布し、蛍光顕微鏡により、分散状態を評価した。その結果を図1に示すが、実施例1の口紅では、親水性物質であるグリセリンが均一に分散されているのに対して、比較例3の口紅では、グリセリンの分布が不均一で、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が親水性物質を油性成分中に均一分散させているのが明らかであった。
実施例3および比較例5〜6:液状グロス
表5に示す組成の液状グロスを下記の調製法で調製し、調製した液状グロスについて、調製直後及び40℃で1ヶ月保管後の外観および色の変化、および、使用感触について評価した。実施例3ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と親水性物質としてアロエエキスを用い、比較例5ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を用いず、親水性物質としてアロエエキスを用い、比較例6ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合の代わりにPEG−10ジメチコンを用いて親水性物質にアロエエキスを用いたものである。なお、シリル化ペプチド−シラン化合物の配合・無配合による全量の差異は水添ポリイソブテンで調整し、各調製品とも全量が100になるようにした。
Figure 2010215614
表中*4は、赤色202号、黄色4号、青色1号各々のリンゴ酸ジイソステアリル分散液(各色素分散液とも50%濃度)を14:50:1の割合(質量比)で混合し、3本ローラーで十分練ったものである。また、*5は、シルバー系のパール剤で、酸化チタンにマイカを被覆したものである。
<調製法>
A部を撹拌釜に投入してよく混合した後、B部を投入し、90℃で撹拌・混合した。次に、D部を投入し、色調が均一になるまで混合・撹拌を繰り返した。同時に、減圧にして生じた気泡を取り除いた。次いでC部を投入し、溶解したことを確認後、撹拌釜から取り出し、容器に充填して冷却した。
(1)安定性の評価
上記のように調製した液状グロスについて、調製直後及び40℃で1ヶ月保管後、室温に戻して、液状グロスの油や顔料が分離しているか、色が変化しているかについて実施例1と同じ評価方法、評価基準で評価した。
(2)使用感触の評価
被験者10名に手のひらの親指付け根部分に液状グロスを塗布させ、しっとり感、発色について、実施例1と同じ判定基準、評価方法で評価した。
これら安定性および使用感触の評価の結果を表6に示すが、調製時にすでに分離していた比較例5は、安定性や使用感触の評価は行わなかった。また、表中「40℃で保管後」は「40℃で1カ月保管後」の意味である。
Figure 2010215614
実施例3の液状グロスは、安定性評価の油や顔料の分離、色の変化、使用感触の評価のしっとり感、発色のすべての項目で優れた評価値であり、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物−A(参考例1)を配合することで、油性成分を主剤とする処方に水溶性成分を配合使用でき、安定性、使用感触に優れた液状グロスが調製できることが明らかであった。
実施例4および比較例7〜8:固形グロス
表7に示す組成の固形グロスを下記の調製法で調製し、安定性を評価し、さらに、連用による肌荒れ改善効果を評価した。実施例4ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と親水性物質としてジオウエキスを用い、比較例7はシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を用いず、親水性物質としてジオウエキスを用いている。また、比較例8はシリル化ペプチド−シラン化合物共重合の代わりにPEG−10ジメチコンを用い、親水性物質にジオウエキスを用いたものである。なお、シリル化ペプチド−シラン化合物の配合・無配合による全量の差異はミネラルオイルで調整し、各調製品とも全量が100になるようにしてある。
Figure 2010215614
表7中、*1は実施例1の表1に同じ、*4、*5は実施例3の表5に同じである。
<調製法>
A部を撹拌釜に投入してよく混合した後、B部を投入して90℃で撹拌・混合した。次に、D部を投入し、減圧下生じた気泡を取り除きながら、色調が均一になるまで混合・撹拌を繰り返した。次いでC部を投入し、溶解したことを確認後、混合物を撹拌釜から取り出し、容器に充填して冷却した。
(1)安定性の評価
実施例1と同様の評価方法、評価基準でに評価した。
(2)連用による皮膚の荒れ改善効果の評価
被験者10名に試料を口唇の代わりに前腕内側部分に1ヵ月間連用させ、皮膚の荒れ改善効果について下記の5段階の評価基準に従って評価させた。その評価点をもとに平均点を算出し、下記の3段階の判定基準に従って、調製した固形グロスの皮膚の荒れ改善効果を評価した。
連用試験被験者用5段階評価
2点:非常に良い
1点:良い
0点:どちらとも言えない
−1点:やや悪い
−2点:悪い
連用試験の3段階評価
10名の平均値が、
1.5点以上:◎(非常に良好)
0〜1.5点未満:○(良好)
0点未満:×(不良)
安定性の評価および連用による皮膚の荒れ改善効果の評価結果を表8に示すが、調製時にすでに分離していた比較例7は、安定性や使用感触の評価は行わなかった。また、表中「40℃で保管後」は「40℃で1カ月保管後」の意味である。
Figure 2010215614
表8から明らかなように、実施例4の固形グロスは油や顔料の分離有無、発汗の有無、ブルーミングの有無、色の変化のすべての項目で優れた結果であり、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を配合することで、親水性物質を油性成分を主体とする処方に配合でき、安定性に優れた固形グロスを調製可能であった。また、この固形グロスを連用することで皮膚の荒れが改善されるのが認められた。
実施例5および比較例9〜10:コンシーラー
表9に示す組成のコンシーラーを下記の調製法で調製し、安定性および使用感触を評価した。実施例5ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と親水性物質として水とアルブチンを用い、比較例9ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を用いず、親水性物質の水とアルブチンのみを用い、比較例10はシリル化ペプチド−シラン化合物共重合の代わりにPEG−10ジメチコンを用いて親水性物質に水とアルブチンを用いたものである。なお、シリル化ペプチド−シラン化合物の配合・無配合による全量の差異はリンゴ酸ジイソステアリルで調整し、各調製品とも全量が100になるようにした。
Figure 2010215614
*1は表1の実施例1に同じで、*6は、酸化チタン、黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄を2940:436:88:35の割合(質量比)で混合した混合顔料である。
<調製法>
A部を撹拌釜に投入してよく混合した後、B部を投入しホモミキサーで均一に撹拌・混合した。次にC部を投入し、減圧下生じた気泡を取り除きながら、90℃で撹拌・混合し、色調が均一になるまで混合・撹拌を繰り返した。充分に溶解したことを確認後、混合物を撹拌釜から取り出し、容器に充填して冷却した。
(1)安定性の評価
上記のように調製したコンシーラーについて、調製直後及び40℃で1ヶ月保管後、室温に戻した時の、油や顔料の分離の有無、発汗の有無、ブルーミング有無について実施例1と同様の評価方法で評価した。
(2)使用感触の評価
被験者10名に前腕内側にコンシーラーを塗布させ、塗り広げやすさ、密着感、なじみやすさについて、実施例1の使用感触の評価と同じ評価方法、評価基準で評価した。
(3)連用による美白効果の評価
被験者10名に試料をシミ等が気になる部分に1ヶ月間連用させ、美白効果について実施例4の連用による皮膚の荒れ改善効果と同様の評価方法、評価基準で評価した。
安定性、使用感触および美白効果の評価結果を表10に示すが、調製時にすでに分離していた比較例9は、これらの評価を行わなかった。また、表中「40℃で保管後」は「40℃で1カ月保管後」の意味である。
Figure 2010215614
表10から明らかなように、実施例6のコンシーラーは油や顔料の分離、発汗、ブルーミングなどの安定性に優れ、また、塗り広げやすさ、密着感、なじみやすさなどの使用感触も良好との評価であり、また、連用することで美白効果が認められた。シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を用いることで、親水性物質を油性成分を主体とする処方に安定に配合でき、使用感触に優れたコンシーラーを調製できることが明らかであった。
実施例6および比較例11〜12:油性マスカラ
表11に示す組成の油性マスカラを下記の調製法で調製し、安定性および使用感触を評価した。実施例6ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と親水性物質としてペプチドであるケラチン加水分解物の水溶液を用い、比較例11ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を用いず、親水性物質としてケラチン加水分解物の水溶液を用い、比較例12はシリル化ペプチド−シラン化合物共重合の代わりにPEG−10ジメチコンを用いて親水性物質にケラチン加水分解物の水溶液を用いたものである。なお、シリル化ペプチド−シラン化合物の配合・無配合による全量の差異はジカプリン酸ネオペンチルグリコールで調整し、各調製品とも全量が100になるようにした。
Figure 2010215614
表11中、*1は表1の実施例1に同じで、*7は(株)成和化成製のプロモイスWK(商品名)である。
<調製法>
A部を撹拌釜に投入してよく混合した後、B部を投入し、次いで、予め90℃で溶解しておいたC部にA部およびB部の混合物に添加し、減圧下生じた気泡を取り除きながら、均一になるまで混合・撹拌を繰り返した。充分に全ての添加物が溶解・混合されていることを確認後、混合物を撹拌釜から取り出し、容器に充填して冷却した。
(1)安定性の評価
上記のように調製した油性マスカラについて、調製直後及び40℃で1カ月保管後、室温に戻した時の、油や顔料の分離の有無について、実施例1の安定性の評価と同じ評価方法、評価基準で評価した。
(2)使用感触の評価
被験者10名にまつげに油性マスカラを塗布させ、塗り広げやすさ、落ちにくさ、塗布後12時間のカールの持ちについて、実施例1の使用感触の評価と同じ評価方法、評価基準で評価した。
これら安定性および使用感触の評価結果を表12に示すが、調製直後から油や顔料が分離していた比較例11はこれらの評価は行わなかった。また、表中「40℃で保管後」は「40℃で1カ月保管後」の意味である。
Figure 2010215614
表12から明らかなように、実施例6の油性マスカラは、油や顔料の分離がなく、カールの持ち、塗り広げやすさ、落ちにくさのすべての項目で優れた結果であった。この結果から、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を使用することで、油性マスカラに親水性物質を配合することができ、安定性、使用感に優れた油性マスカラにすることができることが明らかとなった。
実施例7および比較例13〜14:ヘアスティック
表13に示す組成のヘアスティックを、下記の調製法で調製し、調製品の安定性、使用感触および連用によるカラー毛髪の褪色防止効果を評価した。実施例7ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と親水性物質としてエリスリトール、水および甘草エキスを用い、比較例13ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を用いず、同じ親水性物質のエリスリトール、水および甘草エキスを用い、比較例14ではシリル化ペプチド−シラン化合物共重合の代わりにPEG−10ジメチコンを用いて親水性物質にエリスリトール、水および甘草エキスを用いている。なお、シリル化ペプチド−シラン化合物の配合・無配合による全量の差異はリンゴ酸ジイソステアリルで調整し、各調製品とも全量が100になるようにした。
Figure 2010215614
表13中、*1は表1の実施例1に同じである。
<調製法>
A部を撹拌釜に投入し、よく混合した後、B部を投入し、減圧下で生じる気泡を取り除きながら90℃で撹拌・混合し、次いでC部を投入して溶解したことを確認後、混合物を撹拌釜から取り出し、容器に充填して冷却した。
(1)安定性の評価
上記のように調製したヘアスティックについて、調製直後、及び、40℃で1カ月保管後室温に戻した時の、油や顔料の分離の有無、発汗の有無について、実施例1の安定性の評価と同じ評価方法、評価基準で評価した。
(2)使用感触の評価
調製直後のヘアスティックについて、被験者10名に前腕内側部分にヘアスティックを塗布させ、塗り広げやすさ、べたつきのなさについて、実施例1の使用感触の評価と同じ評価方法、評価基準で評価した。
(3)連用によるカラー毛髪の褪色防止効果の評価
カラーリングをしている被験者10名に調製したヘアスティックを1ヶ月間連用させ、カラー毛髪の褪色防止効果について、実施例4の連用による皮膚の荒れ改善効果の評価と同様の評価方法、評価基準で評価した。
調製したヘアスティックの安定性、使用感触および連用によるカラー毛髪の褪色防止効果の評価結果を表14に示すが、比較例13は、調製直後から分離してヘアスティックの体をなさなかったので評価はしていない。また、表中「40℃で保管後」は「40℃で1カ月保管後」の意味である。
Figure 2010215614
実施例7のヘアスティックは 油や顔料の分離、発汗、塗り広げやすさ、べたつきのなさのすべての評価項目で優れた結果であり、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を配合することで、水溶性成分を油性成分を主剤とする処方に配合でき、安定性、使用感に優れたヘアスティックの調製が可能であることが明らかであった。また、実施例7のヘアスティックを連用することでカラー毛髪の褪色防止効果も認められた。
実施例8:リップスティック
表15に示す組成のリップスティックを、A部を撹拌釜に投入してよく混合した後、B部を投入し、減圧下生じた気泡を取り除きながら、温度を90℃で撹拌・混合し、C部を投入して、溶解したことを確認後、混合物を撹拌釜から取り出し、容器に充填し、冷却することで調製した。
Figure 2010215614
表15中、*1は表1の実施例1に同じでである。
得られたリップスティックは使用感に優れ、唇の荒れ改善効果のあるものであった。
実施例9:パウダーファンデーション
表16に示す組成物のパウダーファンデーションを、A部をジューサーミキサーで均一混合し、A部にB部を添加し、ジューサーミキサーで均一混合した後、金皿に量りとり、プレスすることで調製した。
Figure 2010215614
表16中、*1は表1の実施例1に同じである。
得られたパウダーファンデーションは、保湿感に優れたものであった。
実施例1および比較例3の顕微鏡による観察の結果である。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(I)
    Figure 2010215614
    〔式中、Rは水酸基または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く側鎖の残基を示し、RはRが結合するアミノ酸以外のアミノ酸側鎖を示し、Aは結合手で、メチレン、プロピレン、−(CHOCHCH(OH)CH−、−(CHS−、−(CHNH−および−(CHOCOCHCH−からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表し、xは0〜50、yは1〜100、x+yは1〜100である(ただし、xおよびyはアミノ酸の数を示すのみで、アミノ酸配列の順序を示すものではない)〕で表されるシリル化ペプチドの1種以上と、下記の一般式(II)
    Si(OH)(4−p−m) (II)
    〔式中、mは0から2の整数で、pは2から4の整数、m+p≦4で、Rは炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、m個のRは同じでもよく、異なっていてもよい。(4−p−m)個のYはアルコキシ基または水素原子である〕で表されるシラン化合物の1種以上とを、反応モル比がシリル化ペプチド:シラン化合物=1:20〜1:80の範囲で水溶液中で縮重合させた後、下記の一般式(III)
    Si(OH) (III)
    〔式中、3個のRは炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、3個のRは同じでもよく、異なっていてもよい〕で表されるシラン化合物を水溶液中で付加させることにより得られるシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と、親水性物質を含有することを特徴とする油性化粧料。
  2. 親水性物質が、水溶性植物抽出物、多価アルコール、ペプチドからなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の油性化粧料。
  3. 水溶性植物抽出物が、ジオウエキス、アロエエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、甘草エキス、カンカエキスからなる群から選ばれる1種以上である請求項2に記載の油性化粧料。
  4. 多価アルコールが、グリセリン、エリスリトール、ソルビトールからなる群から選ばれる1種以上である請求項2に記載の油性化粧料。
  5. ペプチドが、タンパク質の加水分解物であることを特徴とする請求項2に記載の油性化粧料。
  6. 親水性物質とシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の混合割合が、質量比で、親水性物質:シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物=1:0.05〜15であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の油性化粧料。
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