JP2010214640A - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布液の経時安定性が良好で、該塗布液によって形成されるインク受容層のインク吸収性および強度に優れるインクジェット記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】インクジェット記録媒体の製造方法に、支持体上に、無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジルコニウム化合物、および塩基性化合物を含む第1の塗布液を塗布して塗布層を形成する工程と、前記塗布層上に酸性化合物を含む第2の塗布液を付与する工程と、を備えせしめる。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録媒体の製造方法に関する。
インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
また、近年のインクジェットプリンターの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなハード(装置)の進歩に伴って、インクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。
このインクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)等が挙げられる。
上記した諸特性の向上を目的として、近年ではインク受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用シートが開発され実用化されている。このようなインクジェット記録用シートは多孔質構造を有することで、インク受容性(速乾性)に優れたものとなる。
さらに、これらのインク受容層の被膜強度を向上させ、ひび割れを防止する手段として、水溶性樹脂を硬化剤により硬化させる技術が広く知られている。
このような硬化剤の具体例としては従来、エポキシ化合物、アルデヒド類、ポリイソシアネート類、メチロール尿素、活性ハロゲン化化合物、ホウ素およびその塩、硼砂、ミョウバン等が知られており、これらの硬化剤のうちホウ酸およびその塩が最も好ましいとされている。
しかしながら、ホウ素化合物は排水規制物質であるために環境問題を考慮して、その代替品の使用が望まれている。ホウ素化合物を使用しないインクジェット記録用シートとして、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールとジルコニウム塩とを用いたインクジェット記録用シートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含む塗布液の粘度が、塗布液のpHに依存することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特開2006−256156号公報
「紙パ技協誌」、第58巻第11号、2004年、p61〜68
本発明は、塗布液の経時安定性が良好で、該塗布液によって形成されるインク受容層のインク吸収性および強度に優れるインクジェット記録媒体の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1>支持体上に、無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジルコニウム化合物、および塩基性化合物を含む第1の塗布液を塗布して塗布層を形成する工程と、前記塗布層上に酸性化合物を含む第2の塗布液を付与する工程と、を備えたインクジェット記録媒体の製造方法。
<2>前記第1の塗布液は、pHが4以上である前記<1>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
<3>前記酸性化合物は、pKaが2〜5である前記<1>1または<2>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
<4>前記無機微粒子は、カチオン性無機微粒子である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
本発明によれば、塗布液の経時安定性が良好で、該塗布液によって形成されるインク受容層のインク吸収性および強度に優れるインクジェット記録媒体の製造方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、支持体上に、無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジルコニウム化合物、および塩基性化合物を含む第1の塗布液を塗布して塗布層を形成する工程と、前記塗布層上に酸性化合物を含む第2の塗布液を付与する工程と、を備える。
かかる構成であることにより、インク受容層のインク吸収性および強度に優れるインクジェット記録媒体を、経時安定性が良好な塗布液で製造することができる。
[第1の塗布液]
本発明における第1の塗布液は、無機微粒子と、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールと、ジルコニウム化合物と、塩基性化合物とを少なくとも含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成することができる。
本発明において第1の塗布液は、経時安定性の観点から、pHが4以上であることが好ましく、pHが4〜7であることがより好ましく、4.5〜6.5であることがさらに好ましい。
第1の塗布液のpHは、例えば、必須構成要件であるジルコニウム化合物と塩基性化合物の含有量で所望の値に調整することができる。
具体的には、例えば、塩基性化合物としてアンモニア等を用いる場合、無機微粒子に対する含有率として、0.001〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜0.2質量%である。
塩基性化合物の含有量を上記範囲とすることで、塗布液の安定性がより良好になる。
(無機微粒子)
本発明における第1の塗布液は、無機微粒子の少なくとも1種を含有する。無機微粒子を含有することで多孔質構造を形成することができ、これによりインクの吸収性能が向上し、形成される画像の安定性も良好になる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これらの中でも良好な多孔質構造を形成する観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子又は擬ベーマイトがより好ましい。
また、一般的なインクジェット記録に用いられる染料がアニオン性であることから、印画濃度、印画後の耐水性、湿熱にじみの観点から、前記無機微粒子がカチオン性無機微粒子であることもまた好ましい。
尚、無機微粒子は1次粒子のまま用いても、又は2次粒子を形成した状態で使用してもよい。これら無機微粒子の平均一次粒径は2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
更に、平均一次粒径が20nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、特にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
このうち、シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明に用いるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
上記気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmで多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmであり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
上記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録媒体に適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
上記気相法シリカの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
また、シリカ微粒子は、前述の他の微粒子と併用してもよい。該他の微粒子と上記気相法シリカとを併用する場合、全微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
本発明に用いる無機微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。この内、アルミナ水和物は、インクを良く吸収し定着することなどから好ましく、特に、擬ベーマイト(Al・nHO)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/gが好ましく、0.5〜1.5cc/gがより好ましい。ここで、上記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が、比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
更に、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカも好ましいものとして挙げられる。
本発明に用いる無機微粒子としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
上述の無機微粒子をインクジェット記録媒体に用いる場合は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
前記第1の塗布液中における無機微粒子の含有率としては、インク受容層の固形分量に対して50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
ここでインク受容層の固形分量とは、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分量である。
(アセトアセチル変性ポリビニルアルコール)
前記第1の塗布液はアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの少なくとも1種を含む。前記アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール分子内のヒドロキシ基の少なくとも1部がアセトアセチル基で置換されていればよく、アセトアセチル基以外の置換基(例えば、アセチル基等)で置換されたヒドロキシ基や、未置換のヒドロキシ基を含んでいてもよい。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、アセトアセチル基を含む単量体を(共)重合することで得ることができる。このような単量体としてはアセトアセトキシビニル等を挙げることができる。あるいはポリビニルアルコールにアセトアセチル基を高分子反応を用いて導入してもよい。
本発明におけるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとしては、インク受容層の塗膜強度の観点から、重合度が500〜2500であることが好ましく、1000〜1500であることがより好ましい。
本発明に好適に用いることができるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、ゴーセファイマーZシリーズ(日本合成化学工業(株)製)等を挙げることができる。
前記第1の塗布液中におけるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの含有量としては、インク受容層の全固形分量に対して、9〜40質量%であることが好ましく、12〜33質量%であることがより好ましい。
また、前記アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは1種単独でも2種以上を併用してもよい。
本発明において、前記第1の塗布液はアセトアセチル変性ポリビニルアルコールに加えて、その他の水溶性樹脂を含んでいてもよい。その他の水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(カルボキシ変性、イタコン酸変性、マレイン酸変性、シリカ変性及びアミノ基変性等のアセトアセチル変性以外の変性ポリビニルアルコールを含む)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類(変性デンプンを含む)、ゼラチン、アラビヤゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体のケン化物等が挙げられる。また、スチレン・ブタジエン共重合物、酢酸ビニル共重合物、アクリロニトリル・ブタジエン共重合物、アクリル酸メチル・ブタジエン共重合物、ポリ塩化ビニリデン等の合成高分子のラテックス系のバインダーが挙げられる。を挙げることができる。
(無機微粒子と水溶性樹脂の含有比)
無機微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
本発明におけるインク受容層は、上記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5〜10が好ましい。
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録媒体に応力が加わることがあるので、インク受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x/y)としては5以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2以上であることがより好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下のアルミナ微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとを、質量比(x/y)2〜5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、アルミナ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が25nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
(ジルコニウム化合物)
前記第1の塗布液は、ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含む。前記ジルコニウム化合物は、ジルコニウムを含む塩であれば特に制限はない。具体的には例えば、酢酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニル、塩基性炭酸ジルコニル、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニル・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム等を挙げることができる。
本発明においては、塗膜強度の観点から、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニルが好ましい。
ジルコニウム化合物は1種単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
本発明における第1の塗布液における、上記ジルコニウム化合物の含有量としては、全固形分の0.05〜5.0質量%が好ましく、0.1〜3.0質量%がより好ましく、特に0.2〜2.0質量%が最も好ましい。ジルコニウム化合物の含有量が0.05〜5.0質量%の範囲にあるとインクの吸収性を低下させることなく塗膜強度を向上させることが可能である。
(塩基性化合物)
前記第1の塗布液は、塩基性化合物の少なくとも1種を含む。前記塩基性化合物としては、その水溶液が塩基性を示す化合物であれば特に制限はなく、無機塩基であっても、有機塩基であってもよい。
塩基性化合物としては、弱酸のアンモニウム塩、弱酸のアルカリ金属塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、弱酸のアルカリ土類金属塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウムなど)、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニル・アンモニウム、ヒドロキシアンモニウム、アンモニア、1〜3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリへキシルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミンなど)、1〜3級アニリン(例えば、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、エチルアニリン、アニリンなど)、置換基を有してもよいピリジン(例えば、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−アミノピリジンなど)、等が挙げられる。
なお塩基性化合物は、2種以上を併用することができる。
(その他の成分)
本発明における第1の塗布液は、上記必須成分に加え、必要に応じてその他の添加剤、例えば、媒染剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含んで構成することができる。
−媒染剤−
本発明においては、形成画像の耐水性及び耐経時ニジミの向上を図るために、第1の塗布液に媒染剤の少なくとも1種が含有されていることが好ましい。
上記媒染剤としては有機媒染剤としてカチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)、又は無機媒染剤が好ましい。該媒染剤をインク受容層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用し色材を安定化し、耐水性や耐経時ニジミを向上させることができる。有機媒染剤および無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用しても良いし、有機媒染剤および無機媒染剤を併用してもよい。
有機媒染剤としては、例えば、特開2006−167466号公報の段落番号[0019]〜[0026]に記載の有機媒染剤を挙げることができる。
本発明における有機媒染剤としては、特に経時滲みの防止の観点から、自己乳化性のカチオン性ポリウレタン粒子が好ましい。
無機媒染剤としては、水溶性多価金属塩等が挙げられる。無機媒染剤の具体例としては、例えば、特開2003−335043号公報の段落番号[0059]〜[0060]に記載の無機媒染剤を挙げることができる。
本発明において、無機媒染剤としては、塩基性ポリ水酸化アルミニウムなどのアルミニウム含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩または錯体)が好ましい。
また本発明においてインク受容層に含まれる上記媒染剤量は、0.01g/m〜5g/mが好ましく、0.1g/m〜3g/mがより好ましい。
さらに本発明における第1の塗布液が含むことができるその他の成分としては、例えば、特開2003−335043号公報の段落番号[0062]〜[0079]に記載された「その他の成分」を挙げることができる。
[第2の塗布液]
本発明における第2の塗布液は、酸性化合物の少なくとも1種を含み、必要に応じて、溶媒やその他の成分を含んで構成される。
前記酸性化合物としては、特に制限はなく、無機酸であっても有機酸であってもよい。本発明においては、インク受容層の塗膜強度の観点から、pKaが2〜5の酸性化合物であることが好ましい。
前記酸性化合物の具体例としては、無機酸としては例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ほう酸、ボロン酸、スルファニル酸、スルファミン酸等を挙げることができきる。また有機酸としては例えば、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、サリチル酸金属塩(Zn、Al、Ca、Mg等の塩)、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸等を挙げることができる。
また、pKaが2〜5の酸性化合物の具体例としては、ギ酸(pKa=3.75)、酢酸(pKa=4.76)、クエン酸(pKa=3.13)、乳酸(pKa=3.86)、マロン酸(pKa=2.85)、コハク酸(pKa=4.19)、リンゴ酸(pKa=3.40)、酒石酸(pKa=3.04)、フマル酸(pKa=3.03)、安息香酸(pKa=4.20)、アスコルビン酸(pKa=4.10)、ベンゼンスルホン酸(pKa=2.55)、2,4−ジニトロフェノール(pKa=4.10)、ナフタレンジスルホン酸(pKa=2.40)等を挙げることができる。
本発明における酸性化合物としては、インク受容層の塗膜強度の観点から、pKaが2〜5の有機酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、クエン酸等)であることが好ましく、pKaが2〜5の芳香族有機酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等)であることがより好ましい。
本発明において、前記酸性化合物は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明において第2の塗布液中の酸性化合物の添加量としては、特に制限はなく、例えば0.001〜1質量%とすることができ、0.005〜0.5質量%であることが好ましい。
(溶媒)
本発明における第2の塗布液は、溶媒の少なくとも1種を含むことが好ましい。第2の塗布液に用いられる溶媒としては、通常用いられる溶媒を特に制限なく適用することができる。前記溶媒としては、例えば、水、有機溶剤等を挙げることができ、水と必要に応じて添加される親水性有機溶剤とを含んで構成されることが好ましい。
(その他の成分)
本発明における第2の塗布液は、前記酸性化合物の少なくとも1種を含むが、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。
その他の成分としては、前記第1の塗布液におけるその他の成分と同様である。
[支持体]
本発明における支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、例えば、特開2003−335043号公報の段落番号[0083]〜[0094]に記載の支持体が挙げられる。
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられ、例えば、特開2003−335043号公報の段落番号[0095]〜[0096]に記載の成分が挙げられる。
[インクジェット記録媒体の製造方法]
本発明におけるインクジェット記録媒体のインク受容層は、例えば、支持体表面に無機微粒子とアセトアセチル変性水溶性樹脂とジルコニウム化合物とを含有する第1の塗布液を塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前、又は(3)前記塗布層を乾燥して塗膜を形成した後、のいずれかに酸性化合物を含む第2の塗布液を付与して得られる。
この様にして架橋硬化させたインク受容層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
媒染剤を第2の塗布液に添加すると、媒染剤がインク受容層の表面近くに多く存在するので、インクジェットの色材が十分に媒染され、印字後の文字や画像の耐水性が向上するので好ましい。媒染剤の一部は上記第1の塗布液に含有させてもよく、その場合は、第1の塗布液と第2の塗布液の媒染剤は同じものでも異なっていてもよい。
本発明において第1の塗布液(以下、「インク受容層形成用塗布液」ということがある)は、例えば、以下のようにして調製することができる。即ち、
気相法シリカ等の無機微粒子と分散剤を水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、ジルコニウム化合物、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)の水溶液(例えば、上記気相法シリカの1/3程度の質量の水溶性樹脂となるように)を加え、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。
また、上記無機微粒子と分散剤とからなる水分散物の調製は、無機微粒子水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を無機微粒子水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、無機微粒子水分散液ではなく、粉体の無機微粒子を用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
上記の無機微粒子と分散剤とを混合した後、該混合液を、分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの無機微粒子の水分散液を得ることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的におこなうという点から、媒体撹拌型分散機、コロイドミル分散機または高圧分散機が好ましい。
また、各工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
また、上記分散剤としてはカオチン性のポリマーを用いることができる。カオチン性のポリマーとしては、前述の媒染剤の例などが挙げられる。また、分散剤としてシランカップリング剤を用いることも好ましい。
上記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。
第1の塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
第1の塗布液の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に第2の塗布液が付与されるが、該第2の塗布液は、塗布後の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与してもよい。即ち、第1の塗布液を塗布して塗布層を形成後、この塗布層が恒率乾燥速度を示す間に酸性化合物を導入することで好適に製造される。
ここで、前記「塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥速度」の現象を示す。この「恒率乾燥速度」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
上記の通り、第1の塗布液の塗布後、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
上記第1塗布液によって形成される塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与する方法としては、(a)第2の塗布液を前記塗布層上に更に塗布する方法、(b)スプレー等の方法により噴霧する方法、(c)塗布液B中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
前記方法(a)において、第1の塗布液を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
第2の塗布液の付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥および硬化がおこなわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
また、第2の塗布液を、第1の塗布液を塗布すると同時に付与する場合、第1の塗布液および第2の塗布液を、第1の塗布液が支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることによりインク受容層を形成することができる。
上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターによりおこなった場合、同時に吐出される2種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、第1の塗布液および第2の塗布液Bの塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
上記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。上記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、上記媒染剤を含有させることもできる。
支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定しておこなう必要がある。
カレンダー処理をおこなう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
上記インク受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mmで、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。
この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
また、インク受容層の細孔径は、平均細孔径で0.005〜0.025μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
上記空隙率および細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ボアサイザー9320−PC2」を用いて測定することができる。
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、インク受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
本発明におけるインクジェット記録媒体の構成層(例えば、インク受容層あるいはバック層など)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。このポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。尚、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を、前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。
また、本発明におけるインクジェット記録媒体は、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号の各公報に記載の方法でも作製可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(支持体の作製)
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/mの原紙を抄造した。
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)を0.04%添加し、これを絶乾質量換算で0.5g/mとなるように上記原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05g/cmに調整された基紙を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/mとなるように塗布した。
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有し、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように押し出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、支持体とした。
<実施例1>
(第1の塗布液の調製)
下記組成の混合液をホモミキサーで攪拌し、「塗布液A1」を調製した。得られた塗布液A1のpHを測定したところ、4.9(25℃)であった。
−塗布液A1の組成−
・アルミナゾル : 62.6部
(カチオン性無機微粒子、平均粒径0.07μm、固形分20%)
・アセトアセチル変性ポリビニルアルコール水溶液 : 31.3部
(10%、ゴーセファイマーZ−200、日本合成化学工業(株)製)
・ヒドロキシ塩化ジルコニウム : 0.84部
(固形分30%)
・アンモニア水溶液(25%) : 0.5部
・ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 : 0.13部
・イオン交換水 : 5.2部
得られた塗布液A1(第1の塗布液)について、調液してから1時間経過後と120時間経過後に粘度を測定した。粘度の測定は30℃で行なった。結果を表1に示す。
(第2の塗布液の調製)
下記組成の混合物を攪拌し、「塗布液B1」を調製した。
−塗布液B1の組成−
・ナフタレンジスルホン酸 : 0.2部
(pKa2.40)
・イオン交換水 : 99.8部
(インクジェット記録媒体の作製)
上記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、上記で得た第1の塗布液A1を、支持体のオモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて200ml/m2の塗布量で塗布し、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この期間は恒率乾燥速度を示した。その直後、上記で得た第2の塗布液B1に30秒間浸漬して該塗布層上にその20g/m2を付着させ、更に80℃下で10分間乾燥させた。これにより、乾燥膜厚32μmのインク受容層が設けられた本発明のインクジェット記録媒体(1)を作製した。
<実施例2>
実施例1における第2の塗布液の調製において、ナフタレンジスルホン酸の代わりに、ベンゼンスルホン酸(pKa2.55)を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体(2)を作製した。
<実施例3>
実施例1における第2の塗布液の調製において、ナフタレンジスルホン酸の代わりに、クエン酸(pKa3.13)を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体(3)を作製した。
<実施例4>
実施例1における第1の塗布液の調製において、アンモニア水溶液の代わりに、炭酸ジルコニル・アンモニウム水溶液(ジルコゾールAC−7、第1稀元素化学工業(株)製)を0.5部用いて塗布液A2を調製した。塗布液A2のpHは4.8(25℃)であった。
また、実施例1における第2の塗布液の調製において、ナフタレンジスルホン酸の代わりに、クエン酸(pKa3.13)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗布液B3を調製した。
塗布液A2と塗布液B3を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体(4)を作製した。
<実施例5>
実施例1における第1の塗布液の調製において、アンモニア水溶液の代わりに、トリエチルアミンを0.5部用いて塗布液A3を調製した。塗布液A3のpHは3.6(25℃)であった。
塗布液A3を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体(5)を作製した。
<実施例6>
実施例1における第2の塗布液の調製において、ナフタレンジスルホン酸の代わりに、塩酸(pKa−1.5)を用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体(6)を作製した。
<実施例7>
実施例1における第1の塗布液の調製において、アルミナゾルの代わりに気相法シリカを用いて、以下のようにして第1の塗布液を調製し、これを用いたこと以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体(7)を作製した。
(第1の塗布液の調製)
下記組成中の(1)気相法シリカと(2)イオン交換水と(3)水溶性ポリマーを混合し、吸引分散機((株)ダルトン製「Conti−TDS」)にて粗分散を行なった。このようにして得られた粗分散液を高圧ホモジナイザー((株)スギノマシン製「アルティマイザー」)を用いて圧力120MPaでさらに微細に分散させた。このようにして得られた微分散液を45℃の液温下で20時間保管した。次いで、下記(4)アセトアセチル変性ポリビニルアルコール水溶液と(5)ヒドロキシ塩化ジルコニウム、(6)アンモニア水溶液、(7)ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤を含む溶液を加え撹拌して、第1の塗布液として気相法シリカ塗布液を調製した。
−気相法シリカ塗布液の組成−
(1)気相法シリカ : 12.2部
(日本アエロジル(株)製「アエロジル300SF75」、平均一次粒子径7nm)
(2)イオン交換水 : 49.33部
(3)水溶性ポリマー51.5%水溶液(分散剤) : 1.07部
(第一工業製薬(株)製 シャロールDC902P)
(4)アセトアセチル変性ポリビニルアルコール水溶液 : 31.3部
(10%、ゴーセファイマーZ−200、日本合成化学工業(株)製)
(5)ヒドロキシ塩化ジルコニウム : 0.84部
(固形分30%)
(6)アンモニア水溶液(25%) : 0.5部
(7)ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 : 0.13部
(8)イオン交換水 : 5.2部
得られた気相法シリカ塗布液のpHを測定したところ、5.0(25℃)であった。また、得られた気相法シリカ塗布液について、調液してから1時間経過後と120時間経過後に粘度を測定した。粘度の測定は30℃で行なった。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1における第1の塗布液の調製において、ヒドロキシ塩化ジルコニウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体(8)を作製した。
<比較例2>
実施例1における第1の塗布液の調製において、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの代わりに、完全ケン化のポリビニルアルコール(PVA117、(株)クラレ製)を用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体(9)を作製した。
<比較例3>
実施例1における第1の塗布液の調製において、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの代わりにゼラチン(ゼラチン21、新田ゼラチン製)を用い、ヒドロキシ塩化ジルコニウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体(10)を作製した。
<比較例4>
実施例1における第2の塗布液の調製において、ナフタレンジスルホン酸を用いなかった以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体(11)を作製した。
<比較例5>
実施例1における第1の塗布液の調製において、アンモニア水溶液の代わりにイオン交換水を用いて塗布液A6を調製した。得られた塗布液A6のpHは3.0であった。
塗布液A6は調液後の粘度上昇が大きく、塗布することができなかった。
[評価]
上記で得られたインクジェット記録媒体について、以下の評価を行なった。結果を表1に示す。
(ひび割れ)
インク受容層の塗膜強度をインク受容層のひび割れで以下のようにして評価した。塗層のひび割れの有無は、作製したインクジェット記録媒体の表面を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A:全くひび割れが観察されなかった。
B:極めて小数の細かいひび割れが観察されたが、実用上問題ないレベルであった。
C:ひび割れが多数発生して実用上問題があるレベルであった。
(インク吸収性)
インク吸収性は、PM-A820(セイコーエプソン社製インクジェットプリンタ)を用いてベタ印画および白抜き文字を印画した。印画したサンプルについて、ベタ印画部分の均一性、隣り合ったベタ印画部の境界部や白抜き文字の鮮鋭性などを目視で観察し、評価結果を1〜10の数値で表した。1は最もインクの吸収性が悪いことを表し、数値が大きくなるほどインクの吸収性が良好で、10は最もインクの吸収性が良好なことを示す。6以下であれば実用上問題があるレベルである。
Figure 2010214640
表1から、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法で製造されたインクジェット記録媒体は、塗膜強度とインク吸収性に優れることが分かる。また、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法に用いる第1の塗布液は粘度の経時安定性に優れることが分かる。

Claims (4)

  1. 支持体上に、
    無機微粒子、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジルコニウム化合物、および塩基性化合物を含む第1の塗布液を塗布して塗布層を形成する工程と、
    前記塗布層上に酸性化合物を含む第2の塗布液を付与する工程と、
    を備えたインクジェット記録媒体の製造方法。
  2. 前記第1の塗布液は、pHが4以上である請求項1に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  3. 前記酸性化合物は、pKaが2〜5である請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  4. 前記無機微粒子は、カチオン性無機微粒子である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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