JP2010214098A - 椎間板負荷の測定装置および測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】人体の動作に起因して椎間板に加わる負荷を推定する方法であって、動作中の被験者の背中を撮影して、脊柱を構成する脊椎骨の動作を測定し、測定された脊椎骨の動作に基づいて脊柱の変形を算出し、算出された脊柱の変形に基づいて、椎間板に加わる負荷を推定する。よって、椎間板への負荷を求めるときに、筋肉等の情報等の不明確な情報を使用する必要がないので、椎間板に加わる負荷を精度良く推定することができる。しかも、脊椎骨の動作に関する情報は体表面を撮影することによって計測しているので、測定において外科的な処置が不要であり、被験者の負担を少なくすることができる。
【選択図】図1
Description
人間の脊柱(背骨)は複数の脊椎骨(椎骨)で構成されている。各脊椎骨は、人体の腹側に位置する椎体と背側に位置する椎弓とを備えており、隣接する脊椎骨の椎体間には椎間板がそれぞれ存在している。この椎間板は、椎体間の緩衝材として機能している。
現在、生活環境や労働環境の変化に伴って、日本では多数の人が腰痛で悩まされるようになっている。かかる腰痛の代表的な原因の一つとして、椎間板ヘルニアがある。椎間板ヘルニアは、脊椎骨間の椎間板に負荷が加わり椎間板が変形して神経を圧迫することにより発症する。また、椎間板ヘルニア以外でも椎間板への負荷が原因で発生する発症する腰痛は多い。このため、人が動作しているときにおける椎間板への負荷が把握できれば、椎間板ヘルニアやその他の腰痛の原因究明や予防法、治療法を検討する際に、非常に有用な情報となる。
本発明は、かかる椎間板への負荷を求める椎間板負荷の測定装置および測定方法に関する。
しかし、上記方法の場合、センサを埋め込むためには外科的な処置が必要であるため、この処置の際や動作中に被験者の脊髄などを損傷するリスクがある上、センサをつけた状態で測定を行うので被験者への負担が大きいという問題がある。
筋骨格モデルは、人体を構成する複数の骨および複数の筋肉を詳細にモデル化したものであるが、筋骨格モデルを用いて内力(椎間板への負荷)を正確に推定する場合には、各被験者について、各部の力学的な特性や随意筋の状況などの情報が必要である。しかし、これらの情報は計測が困難な不明確な情報であるため、筋骨格モデルを用いて椎間板への負荷を推定しても、上述した侵襲的な方法に比べて大幅に精度が低くなる。
第1発明の椎間板負荷の測定方法は、人体の動作に起因して椎間板に加わる負荷を推定する方法であって、所定の姿勢の被験者の背中を撮影し、この撮影によって得られた画像情報に基づいて脊椎骨の位置情報を算出し、該脊椎骨の位置情報に基づいて脊柱の変形を算出し、算出された脊柱の変形に基づいて、椎間板に加わる負荷を推定することを特徴とする。
第2発明の椎間板負荷の測定方法は、第1発明において、前記脊柱の形状を、測定された脊椎骨の動作から算出される脊椎骨の位置情報に基づいて曲線近似によって算出し、前記脊柱の変形を、基準姿勢における被験者の脊柱の形状と、基準姿勢から姿勢を変更したときにおける脊柱の形状と、に基づいて算出することを特徴とする。
第3発明の椎間板負荷の測定方法は、第1発明において、脊柱を構成する各脊椎骨を剛体としかつ隣接する脊椎骨間に柔軟性を有する椎間板が配置された脊柱モデルであって、基準姿勢における被験者の脊柱の形状に基づいて形成される基準脊柱モデルを使用し、前記脊柱の変形を、基準姿勢から姿勢を変更したときに測定された被験者の脊椎骨の動作を強制変位入力として、脊柱モデルの変形を解析して求めることを特徴とする。
第4発明の椎間板負荷の測定方法は、第2または第3発明において、前記基準姿勢が、椎間板に負荷が加わらない姿勢であることを特徴とする。
(測定装置)
第5発明の椎間板負荷の測定装置は、人体の動作に起因して椎間板に加わる負荷を推定する装置であって、被験者の体表面における脊椎骨の後端と対応する位置に取り付けられた複数のマーカーと、該複数のマーカーを撮影する撮影手段と、該撮影手段が撮影した画像を解析する解析手段とからなり、該解析手段は、前記撮影手段が撮影した画像に基づいて脊椎骨の位置情報を算出し、算出した脊椎骨の位置情報に基づいて脊柱の変形を算出する変形解析部と、該変形解析部によって算出された脊柱の変形に基づいて、椎間板に加わる負荷を推定する負荷推定部とからなることを特徴とする。
第6発明の椎間板負荷の測定装置は、第5発明において、前記変形解析部は、前記脊椎骨の位置情報に基づいて曲線近似によって算出し、前記脊柱の変形を、基準姿勢における被験者の脊柱の形状と、基準姿勢から姿勢を変更したときにおける脊柱の形状と、に基づいて算出することを特徴とする。
第7発明の椎間板負荷の測定装置は、第5発明において、前記解析手段は、脊柱を構成する各脊椎骨を剛体としかつ隣接する脊椎骨間に柔軟性を有する椎間板が配置された脊柱モデルであって、基準姿勢における被験者の脊柱の形状に基づいて形成される基準脊柱モデルを記憶する基準脊柱モデル記憶部を備えており、前記変形解析部は、前記基準脊柱モデルを用いて、前記基準姿勢から姿勢を変更したときに測定された被験者の脊椎骨の動作を強制変位入力として、前記基準脊柱モデルの変形を解析して求めるものであることを特徴とする。
第8発明の椎間板負荷の測定装置は、第6または第7発明において、前記基準姿勢が、椎間板に負荷が加わらない姿勢であることを特徴とする。
第1発明によれば、椎間板を構成要素として含む脊柱の変形から椎間板への負荷を求めており、しかも、脊柱の変形は、その構成要素である脊椎骨の動作を測定した結果に基づいて算出されている。よって、椎間板への負荷を求めるときに、筋肉の情報等の不明確な情報を使用する必要がないので、椎間板に加わる負荷を精度良く推定することができる。しかも、脊椎骨の動作を、被験者の体表面を撮影することによって計測しているので、測定において外科的な処置が不要であり、被験者の負担を少なくすることができる。
第2発明によれば、姿勢変更後の脊柱の形状を曲線で近似しているので、個々の脊椎骨の位置を測定する精度が低かったり、測定されたデータに基づく位置推定精度が低かったりしても、椎間板に加わる負荷をある程度高い精度で推定することができる。
第3発明によれば、基準脊柱モデルに対して、脊柱の構成要素である脊椎骨の動作を強制変位として入力して基準脊柱モデルの変形を算出しているので、算出される基準脊柱モデルの変形の精度を高くすることができる。
第4発明によれば、椎間板に負荷が加わっていない状態の脊柱の形状に基づいて脊柱の変形を算出するので、推定により得られる椎間板に加わる負荷の誤差を小さくすることができる。
(測定装置)
第5発明によれば、負荷推定部は、椎間板を構成要素として含む脊柱の変形から椎間板への負荷を求めており、しかも、変形解析部は、脊柱の変形を、撮影手段が撮影した画像に基づいて算出される脊椎骨の位置情報に基づいて算出している。よって、椎間板への負荷を求めるときに、筋肉の情報等の不明確な情報を使用する必要がないので、椎間板に加わる負荷を精度良く推定することができる。しかも、脊椎骨の動作を、被験者の体表面を撮影することによって計測しているので、測定において外科的な処置が不要であり、被験者の負担を少なくすることができる。
第6発明によれば、姿勢変更後の脊柱の形状を曲線で近似しているので、個々の脊椎骨の位置を測定する精度が低かったり、測定されたデータに基づく位置推定精度が低かったりしても、椎間板に加わる負荷をある程度高い精度で推定することができる。
第7発明によれば、基準脊柱モデルに対して、脊柱の構成要素である脊椎骨の動作を強制変位として入力して基準脊柱モデルの変形を算出しているので、算出される基準脊柱モデルの変形の精度を高くすることができる。
第8発明によれば、椎間板に負荷が加わっていない状態の脊柱の形状に基づいて脊柱の変形を算出するので、推定により得られる椎間板に加わる負荷の誤差を小さくすることができる。
本発明の椎間板負荷測定方法は、非侵襲的な方法によって椎間板の負荷を測定する方法であって、脊椎骨の動き、つまり、脊柱の変形に基づいて椎間板の負荷を推定するようにしたことに特徴を有している。
図6(カイロプラクティック概論、鈴木正教著から引用)は腰椎を含む脊柱を示しているが、図6に示すように、脊柱は複数の脊椎骨から構成されており、隣接する脊椎骨の椎体間にそれぞれ椎間板が存在している。
このため、脊柱の姿勢が変化して隣接する脊椎骨の椎体間の隙間が変化すれば、椎間板に加わる負荷が変化する。具体的には、椎体間の隙間が狭くなれば、椎体間に位置している椎間板は圧縮されるので、椎間板に加わる圧縮方向の負荷が大きくなる。逆に、椎体間の隙間が広くなれば、椎間板に加わっていた圧縮力が弱くなるので、椎間板に加わる圧縮方向の負荷は小さくなる。
したがって、脊柱の形状の変化、つまり、脊柱のたわみ曲線の変化を見れば、椎骨の隙間がどのように変化したかを推定できるので、椎間板への負荷の変化も推定することができるのである。
図2に示すように、椎間板負荷測定方法に使用する装置(以下、椎間板負荷測定装置という)は、撮影手段10と、解析手段20とを備えている。
この解析手段20は、変形解析部21、データ記憶部22、負荷推定部25、および基準脊柱モデル記憶部30とを備えている。
例えば、椎間板の物性がわかっている場合には、非線形の有限要素法で椎間板をモデル化し椎間板の変形量を強制変位として与えて解析する。すると、椎間板に加わる負荷として、数値的に応力や反力を求めることが可能である。この場合には、椎間板にねじり変形がある場合でも、ねじれ応力を数値的に求めることもできる。
例えば、基準姿勢における脊柱に対して、ある姿勢における脊柱の曲率がどの程度変化したか、つまり、脊柱の曲率の変化量を算出し、この曲率の変化量を用いて負荷を評価することも可能である。この場合、圧力値を負荷として算出する場合のように負荷を絶対値として把握することはできないが、基準姿勢において椎間板に加わる負荷に対する相対値として、ある姿勢における椎間板に加わる負荷を把握することができる。なお、脊柱の曲率の変化量によって椎間板に加わる負荷を推定できる理由は後述する。
ここで、基準脊柱モデルとは、被験者の基準姿勢における脊柱の形状を再現したものである。つまり、基準脊柱モデルの情報は、被験者の基準姿勢おける各脊椎骨の相対的な位置の情報(位置情報)や各脊椎骨の大きさ、形状等を含んでいる。
(測定方法)
被験者が標準姿勢をとると、その状態で、撮影手段10によって被験者の背中、つまり、被験者の背中に貼り付けられている複数のマーカーMを撮影する。撮影された画像の情報は、撮影手段10から解析手段20のデータ記憶部22に送信されて記録される。
例えば、変形解析部21は、各画像における撮影した個々についてマーカーMの3次元位置情報(絶対座標上における座標値)を算出する。マーカーMの3次元位置情報を算出する方法はとくに限定されず公知の方法を採用できる。例えば、マーカーMの座標値を算出する場合には、画像情報から各マーカーMの座標を算出する市販のソフトを、変形解析部21における座標算出手段として使用することも可能である。座標算出を行う市販のソフトとしては、例えば、Motion Analysis社製のEva RT 5.0.4Post Processinや、Vicon Motion Systemsなどを採用することができる。
また、脊柱の変形として、標準姿勢時の脊柱の曲率と、負荷測定姿勢時の脊柱の曲率を算出し、これらに基づいて算出される脊柱の曲率の変化量から椎間板に加わる負荷を評価することもできる。脊柱の曲率は、例えば、曲率を求めたい部分の脊椎骨の形状にフィットする曲線(円や2次曲線等)を求めて、この曲線から曲率半径を推定して算出することが可能である。かかる曲率半径を推定する方法の具体例については、後述する。
しかも、脊椎骨の動作は、体表面(背中)に貼り付けられたマーカーMを撮影手段10によって撮影した画像情報から算出しているので、負荷測定において外科的な処置が不要であり、被験者の負担を少なくすることができる。
つまり、本発明の椎間板負荷測定方法は、現存する方法により椎間板への負荷を測定する場合に問題となる、被験者の安全性・利便性と、測定の精度を両立させることができるのである。
つぎに、解析手段20の変形解析部21において、脊柱の変形を算出する方法を説明する。
梁モデルに基づく方法では、脊柱を曲がりはりと仮定して、標準姿勢における状態からの変形を算出する。この梁モデルでは、脊柱の曲率の変化量によって椎間板に加わる負荷を推定することができる。
よって、脊柱の曲率の変化量によって椎間板に加わる負荷を推定は可能である。
なお、曲げ以外に梁の軸方向の引っ張り圧縮が加わる場合であって、その引っ張り圧縮が計測できる場合には、その効果も加えて脊柱の曲率の変化量を算出すれば、椎間板に加わる負荷を推定は可能である。
各マーカーMの座標点が算出されれば、この座標データを基に、最小2乗法を用いて関数の式を求める。つまり、脊柱の形状を関数として求めるのである。
このため、各姿勢における各マーカーMの座標点に基づいて、最小2乗法を用いて2次関数の式を求めれば、各姿勢(標準姿勢や負荷測定姿勢)での腰椎部分の形状を曲線近似により求めることができるから、標準姿勢に対する負荷測定姿勢時の腰椎部分の形状を求めることができる。
また、腰椎部分の形状や脊柱の他の部分の形状を近似する関数は2次関数に限られず、円弧でもよいし、より多くのマーカーMの座標点(例えば、6個以上)を用いる場合には、次数を増加させた関数によって形状を表してもよい。
つぎに、各マーカーMの座標点に基づいて、曲線近似により脊柱の曲率を算出し、その曲率変化を求める具体的方法を説明する。
以下では、選択した脊椎骨に円をフィットさせて曲率半径を推定する方法(円弧フィット)と、2次曲線などによってカーブフィットする方法を採用することができる。
まず、円弧フィットにより脊柱の曲率を算出する方法を説明する。
また、符号θは、解析に採用する複数のマーカーM(図7では5個)のうち、もっとも距離の離れたマーカーM間(以下、両端のマーカーM間)の部分を円弧とする扇形の中心角を示している。
まず、撮影された画像に基づいて計測された、両端のマーカーM間の距離をmとする。すると、以下の関係が成り立つので、中心角θを算出することができる。
つぎに、撮影された画像から得られるマーカーMの座標に基づいて、曲率半径rを算出することができる。
具体的には、撮影手段10が撮影した画像を解析して得られるマーカーMの位置データから、その姿勢における曲率半径rを、最小2乗法を用いて次式のような円弧の式(3)により求めることができる。
一方、曲率半径rの算出に使用するマーカーMの数が少なければ、算出される曲率半径rの誤差は大きくなるが、局所的な曲率半径rの値を得ることができる。
中心角θと曲率半径rがわかれば、以下のような方法で、椎間板の位置におけるマーカーMが取り付けられている椎骨間の距離を求めることができる。
なお、以下において、円弧とは、椎間板の位置を通る円弧、つまり、椎間板の中心を通る円(図7ではC1が相当する)の一部を意味している。つまり、円C1において、もっとも距離の離れたマーカーMが取り付けられている椎骨間に位置する円弧を意味しており、符号lはその円弧の長さを示している。(図7参照)。
また、標準姿勢から負荷測定姿勢に姿勢を変更した際に、脊椎骨におけるジョイント部が弾性変形すれば,腰椎系が全体的に圧縮され脊椎骨間の隙間も狭くなるので、ジョイント部が弾性変形したことによる負荷も椎間板に加わる。つまり、脊椎骨におけるジョイント部が弾性変形した場合には、脊柱の曲率変化に起因して椎間板に加わる負荷に加えて、ジョイント部が弾性変形したことに起因して椎間板に加わる負荷も求めなければならない。よって、椎間板に加わる負荷pを正確に算出するには、姿勢変更の際に、ジョイント部が変形するか否かを把握する必要がある。
このジョイント部の変形は、以下の方法により確認することができる。
姿勢を変更した場合において、各姿勢におけるジョイント部の長さLiは式(12)で表現することができる。なお、riおよびθiは、各姿勢での曲率半径および中心角を示している。
また、負荷pが、椎骨間の隙間だけでなく、椎骨間の隙間が変化する速度の影響を受ける場合には、以下の式(18)で負荷pを表現することができる。ただし、cは、個々の被験者における椎間板の減衰定数と等価な減衰定数であり、αはc/kである。
一方、α、つまり、ばね定数や減衰係数は、被験者ごとに求めることができれば好ましいが、被験者の値を計測することが困難であれば、公表されたデータを用いるなど、別途定数を準備すればよい。
上述した例では、腰椎部分の形状を円弧でフィットする場合について示したが、以下では、2次関数あるいは3次関数でフィットさせる場合を説明する。
円弧の場合には、静止座標系でカーブフィットすればよいが、2次関数あるいは3次関数の場合には、図3に示すように局所座標系への座標変換が必要である。
また、各脊椎骨にマーカーMを一つだけ設け、各マーカーMの移動によって脊椎骨の移動を代表させてもよいが(図2(B)参照)、脊椎骨を剛体と見なせば、以下の方法を採用することによって脊椎骨の3次元的な移動を正確に把握することができる。
よって、各脊椎骨についてそれぞれマーカーを3点設ければ、画像情報に基づいて各脊椎骨の3次元的な動きを推定することも可能である。
また、上述した方法では、マーカーMを背中に取り付け、このマーカーMを撮影することによって脊柱の変形を算出した。
しかし、マーカーMを使用せず、人体に取り付けられる傾斜計と、この傾斜計の間の距離を計測する距離計の組み合わせても、脊柱の変形を把握することができる。
例えば、装置が、人体と密着させることができるような部材(例えば、衣類(例えば、体にフィットするような衣類等)や、椅子の背もたれ等)を備えていれば、かかる部材に傾斜計を設けておけば、簡単に脊柱の変形を測定することが可能となるのである。
図示しないが、距離計は、2つの傾斜計31間の距離mが測定できるように配置する。
なお、傾斜計や距離計には、市販されているものを使用することができ、例えば、傾斜計であれば、ウアエラブルな姿勢センサであってジャイロセンサと加速度計と地磁気センサ(それぞれ3軸)を組み合わせたものなどを使用することが可能である。
また、距離計には、接触型であれば、差動トランスを用いた変位計,非接触型であれば、レーザ変位計や超音波変位計などを使用することが可能である。
すると、図8のように、脊柱が外に凸となっている状態では、θは、φ1、φ2を用いて、以下の式(24)、(25)で表すことできる。
そして、脊柱にフィットする円弧の曲率半径rと中心角θが得られれば、円弧フィットの場合と同様の方法により、椎間板の変形および負荷を求めることができる。
なお、上述した梁モデルに基づく方法を採用する場合には、標準姿勢における状態からの変形を算出するので、試験開始時に標準姿勢での撮影を行う場合には、基準脊柱モデルは必ずしも必要ないので、基準脊柱モデル記憶部30は設けなくてもよい。
また、マーカーMの3次元位置情報を入力として、数値解析によって脊柱の変形を算出してもよい。この場合、脊椎骨と椎間板とを有する脊柱モデルを作成して、この脊柱モデルの変形を、脊柱の変形として算出する。例えば、剛体の脊椎骨がピン結合され、かつ隣接する脊椎骨間に柔軟性を有する椎間板が配置された脊柱モデルを作成する。この脊柱モデルに対する強制変位入力として各マーカーMの3次元位置情報を使用すれば、数値シミュレーションによって測定された各姿勢における脊柱モデルの変形を求めることができる。そして、数値シミュレーションによる解析では、各脊椎骨の位置を個別に算出することができるので、各脊椎骨間の隙間を個別に算出することができる。
(a) 立位と座位の中で最も腰椎への負担が小さいとされている姿勢
(b) (a)から上半身を20度前に倒した姿勢
(c) 背もたれの無い椅子に真っ直ぐに座った姿勢
(d) (b)から上半身を20度前に倒した姿勢
マーカーの位置座標の計測には、Hawk digital Camera(HWK-200RT: Motion Analysis社製)を6台用いて、一画像に全てのマーカー(5個)が入るように撮影を行った。各マーカーの座標点の算出には、市販の解析ソフトであるEva RT 5.0.4Ρost Ρrocessing(Motion Analysis社製) を用いた。
なお、各姿勢における曲率の変化量比は、基準姿勢(図4(B)(a)の姿勢)を100とし、この基準姿勢に対する相対的な変化量比として表している。
図5(A)に示すように、数値誤差はあるものの、被験者全員について、全体の傾向は、Nachemsonの実験結果に類似していることが確認できる。このことから本発明の方法は、各姿勢における椎間板に掛かる負荷の計測に有効である考えられる。
10 撮影手段
20 解析手段
21 変形解析部
25 負荷推定部
M マーカー
Claims (8)
- 人体の動作に起因して椎間板に加わる負荷を推定する方法であって、
所定の姿勢の被験者の背中を撮影し、
この撮影によって得られた画像情報に基づいて脊椎骨の位置情報を算出し、
該脊椎骨の位置情報に基づいて脊柱の変形を算出し、
算出された脊柱の変形に基づいて、椎間板に加わる負荷を推定する
ことを特徴とする椎間板負荷の測定方法。 - 前記脊柱の形状を、
測定された脊椎骨の動作から算出される脊椎骨の位置情報に基づいて曲線近似によって算出し、
前記脊柱の変形を、
基準姿勢における被験者の脊柱の形状と、
基準姿勢から姿勢を変更したときにおける脊柱の形状と、に基づいて算出する
ことを特徴とする請求項1記載の椎間板負荷の測定方法。 - 脊柱を構成する各脊椎骨を剛体としかつ隣接する脊椎骨間に柔軟性を有する椎間板が配置された脊柱モデルであって、基準姿勢における被験者の脊柱の形状に基づいて形成される基準脊柱モデルを使用し、
前記脊柱の変形を、
基準姿勢から姿勢を変更したときに測定された被験者の脊椎骨の動作を強制変位入力として、基準脊柱モデルの変形を解析して求める
ことを特徴とする請求項1記載の椎間板負荷の測定方法。 - 前記基準姿勢が、椎間板に負荷が加わらない姿勢である
ことを特徴とする請求項2または3記載の椎間板負荷の測定方法。 - 人体の動作に起因して椎間板に加わる負荷を推定する装置であって、
被験者の体表面における脊椎骨の後端と対応する位置に取り付けられた複数のマーカーと、
該複数のマーカーを撮影する撮影手段と、
該撮影手段が撮影した画像を解析する解析手段とからなり、
該解析手段は、
前記撮影手段が撮影した画像に基づいて脊椎骨の位置情報を算出し、算出した脊椎骨の位置情報に基づいて脊柱の変形を算出する変形解析部と、
該変形解析部によって算出された脊柱の変形に基づいて、椎間板に加わる負荷を推定する負荷推定部とからなる
ことを特徴とする椎間板負荷の測定装置。 - 前記変形解析部は、
前記脊椎骨の位置情報に基づいて曲線近似によって算出し、
前記脊柱の変形を、
基準姿勢における被験者の脊柱の形状と、
基準姿勢から姿勢を変更したときにおける脊柱の形状と、に基づいて算出する
ことを特徴とする請求項5記載の椎間板負荷の測定装置。 - 前記解析手段は、
脊柱を構成する各脊椎骨を剛体としかつ隣接する脊椎骨間に柔軟性を有する椎間板が配置された脊柱モデルであって、基準姿勢における被験者の脊柱の形状に基づいて形成される基準脊柱モデルを記憶する基準脊柱モデル記憶部を備えており、
前記変形解析部は、
前記基準脊柱モデルを用いて、前記基準姿勢から姿勢を変更したときに測定された被験者の脊椎骨の動作を強制変位入力として、前記基準脊柱モデルの変形を解析して求めるものである
ことを特徴とする請求項5記載の椎間板負荷の測定装置。 - 前記基準姿勢が、椎間板に負荷が加わらない姿勢である
ことを特徴とする請求項6または7記載の椎間板負荷の測定装置。
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