JP2010212386A - 周辺露光方法、周辺露光装置並びにデバイス製造方法。 - Google Patents

周辺露光方法、周辺露光装置並びにデバイス製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】
投影光学系内に設置された光学素子の劣化を防止できる周辺露光装置等を提供する。
【解決手段】
基板(ウエハ)Wに設けられた複数の露光領域30のうち、ウエハWの周辺にある周辺領域32を露光する周辺露光装置において、位相シフトレチクル70(光学部材)のパターン形成領域71の全面に形成された複数のパターン群72A〜72Fを、光学系を介して、ウエハWの周辺領域32に露光する周辺露光装置を提供する。
複数のパターン群72A〜72Fは、位相シフタ部77と光透過部78によって構成され、位相シフタ部77と光透過部78のピッチ(繰り返し周期)が、パターン群72A〜72F毎にピッチP1〜P6となり、互いに異なる。
【選択図】図4

Description

本発明は、基板に設けられた複数の露光領域のうち、基板の周辺にある周辺領域を露光する周辺露光技術に関する。
半導体デバイス又は液晶表示素子等の各種デバイスを製造するためのリソグラフィ工程において、レチクル又はフォトマスク等に形成されたデバイス用の回路パターンを、レジストが塗布された基板(ウエハ又はガラスプレート等)の上に露光するために、ステッパー等の一括露光型の投影露光装置又はスキャニングステッパ等の走査露光型の投影露光装置などの露光装置が使用されている。
露光装置で露光されたウエハには、上述した回路パターンの露光が行われるショット領域と、回路パターンの露光が行われない領域(ウエハの周辺領域)とが形成される。
最近のデバイス製造工程中では、パターンが形成されたウエハの表面を平坦化するために、化学機械的研磨であるCMP(Chemical & Mechanical Polishing)プロセスが適用されることがある。このとき、ショット領域の露光が行われ、かつ周辺領域の露光が行われていないウエハに対して、CMPプロセスを適用すると、ウエハの中央部と周辺部とで研磨後の平坦度が異なる場合がある。
そこで、露光装置のレチクルステージに、ラインアンドスペースパターンが形成された補助パターン板を設置しておき、その補助パターン板のパターンを介してウエハの周辺領域を露光する露光装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この露光装置では、周辺領域を露光している間、デバイス用の回路パターンの露光を行うことができないため、スループットが低下する恐れがある。そこで、デバイス用の回路パターンの露光と、ウエハの周辺領域の露光とを別々の装置で行う露光システムが望まれている。
特開2006−278820号公報
このようなウエハの周辺領域を露光する専用の露光装置として、上述のラインアンドスペースパターンが形成されたレチクルと、レチクルを照明する照明光学系と、レチクルのラインアンドスペースパターンをウエハの周辺領域に投影する投影光学系とを備えた周辺露光装置が考えられる。しかし、レチクルに形成されたラインアンドスペースパターンを、投影光学系を介してウエハの周辺領域に投影する場合、ラインアンドスペースパターンから発生する0次、±1次の3つの回折光が、常に投影光学系内の同じ経路を辿って、ウエハに照射される。
そのため、投影光学系の瞳面の近傍に配置されるミラーやレンズ等の光学素子には、常に同じ箇所に、0次、±1次の3つの回折光が照射されることとなり、その光学素子が劣化する恐れがあった。
本発明はこのような事情に鑑み、光学系内に設置された光学素子の劣化を防止できる露光技術及びデバイス製造技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、基板に設けられた複数の露光領域のうち、その基板の周辺にある周辺領域を露光する周辺露光方法において、互いに異なる複数のパターン群が全面に形成されたパターン形成領域を有する光学部材に露光光を照射し、そのパターン形成領域のうち、少なくとも一部の領域を周辺領域に転写することを特徴とする。
また、本発明の第2の態様は、基板に設けられた複数の露光領域のうち、その基板の周辺にある周辺領域を露光する周辺露光装置において、互いに異なる複数のパターン群が全面に形成されたパターン形成領域を有する光学部材と、そのパターン形成領域に露光光を照射する照明光学系と、露光光が照射されたそのパターン形成領域のうち、少なくとも一部の領域を周辺領域に転写する光学系とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、光学系の瞳面における光強度分布を分散することができる。例えば、光学系の瞳面近傍に光学素子が配置されていた際は、その光学素子の劣化を防止することができる。
本発明の実施例1にかかる露光システム100の概略構成を示す図である。 ショット領域31への露光後のウエハWの平面図である。 本発明の実施例1にかかる周辺露光装置150の概略構成を示す図である。 本発明の実施例1にかかる位相シフトレチクル70の平面図である。 本発明の実施例2にかかる位相シフトレチクル80の平面図である。 本発明の実施例3にかかる位相シフトレチクル90の平面図である。 図6の1)〜11)におけるパターン群の拡大図である。
以下、実施例1に係る形態について、図1から図4を参照して説明する。図1は、本実施例に係る露光システム100の全体構成を概略的に示す。露光システム100は、露光装置140と、周辺露光装置150と、露光装置140と周辺露光装置150との間で基板(ウエハ)Wの受け渡しを行うウエハローダ5と、を備えている。露光装置140は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置である。また、周辺露光装置150は、ステップ・アンド・リピート方式の一括露光型の投影露光装置である。
以下、図1において、投影光学系の光軸に平行な方向にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で、紙面に平行な方向にX軸、紙面に垂直な方向にY軸を取って説明する。なお、走査露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向は、Y方向(Y軸に平行な方向)である。
図1に示されるように、露光装置140は、光源を含み露光光ILを射出する照明光学系10と、デバイス用の回路パターンが形成されたレチクル(又はマスク)Rを保持するレチクルステージRSTと、投影光学系PLと、ウエハWを保持する不図示のウエハホルダを有するウエハステージWSTと、を備えている。
照明光学系10は、オプティカルインテグレータを備える照明均一化光学系、リレーレンズ系、レチクルブラインド(視野絞り)、及びコンデンサレンズ系を含んで構成されている。照明光学系10は、レチクルブラインドで規定されたX方向に延びるスリット状の照明領域でレチクルRを照明する。なお、光源は、色収差を低減するために狭帯化されたArFエキシマレーザ光(193nm)を射出する。
レチクルステージRSTは、真空吸着(又は電磁吸着)により、回路パターンが形成されたレチクルRを保持する。レチクルステージRSTは、不図示のレチクルベース上のガイド面に載置されて、リニアモータ等を含むレチクルステージ駆動部(不図示)により、Y方向に所定の走査速度で駆動されるとともに、X方向、Z方向、及びZ軸に平行な軸の周りの回転方向(θZ方向)に微小駆動される。レチクルステージRSTのガイド面上の位置は、レチクル干渉計(不図示)によって例えば0.1〜0.5nm程度の分解能で常時計測されている。その位置情報に基づいて、レチクルステージ制御部(不図示)が上記のレチクルステージ駆動部を介してレチクルステージRSTの位置及び速度を制御する。
投影光学系PLは、複数の光学素子(レンズ)を有する屈折光学系で構成され、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率(例えば1/4倍又は1/5倍)を有し、照明光学系10によって照明されたレチクルRのパターン像をウエハW上に投影する。なお、ウエハWは、例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の直径が200〜450mm程度の円板状の基材の表面に、露光光ILに感光するレジスト(感光剤)を塗布したものである。
ウエハステージWSTは、ウエハWを真空吸着(又は電磁吸着)する不図示のウエハホルダを備えている。ウエハステージWSTは、投影光学系PLの下方に、水平に配置された不図示のウエハベース上のZ軸に垂直なガイド面(XY平面)上に複数のエアベアリングを介して非接触で浮上支持されるXYステージ13と、Zチルトステージ12とを備えている。Zチルトステージ12は、例えばZ方向に変位可能な3箇所のZ駆動部を個別に駆動して、Zチルトステージ12のZ方向の位置、及びX軸に平行な軸の周りの回転方向(θX方向)、Y軸に平行な軸の周りの回転方向(θY方向)、θZ方向の回転角を調整する。なお、ウエハベースは、複数の防振台を介して床部材に支持されている。
また、ウエハステージWSTは、ウエハベース上でリニアモータ又は平面モータ等の駆動部(不図示)によってX方向、Y方向、Z方向、θX方向、θY方向及びθZ方向に駆動される。なお、ガイド面上のX方向、Y方向、Z方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも1方向の位置は、ウエハ干渉計(不図示)によって、例えば0.1〜0.5nm程度の分解能で常時計測されている。その位置情報に基づいて、ステージ制御部(不図示)が駆動部を介してウエハステージWSTの位置及び速度を制御する。
次に、露光装置140によって行われる露光動作について説明する。ウエハW上の一つのショット領域31にレチクルRに形成されたパターンを露光する場合、照明光学系10による照明領域でレチクルRを照明した状態で、レチクルステージ制御部の制御によって、レチクルステージRを−Y方向側から+Y方向側(図1では紙面奥側から紙面手前側)に所定ストローク毎に移動させるとともに、ウエハステージ制御部の駆動によって、投影光学系PLの縮小倍率に応じた速度比でウエハステージWSTを+Y方向側から−Y方向側に同期移動して露光する。そして、一つのショット領域31へのパターンの形成が終了した場合、ウエハWの他のショット領域31に対するパターンの形成が連続して行われる。
上記の露光動作によってウエハWの表面には、図2に示すように、デバイス用の回路パターンが露光された複数のショット領域31が形成されている。このショット領域31は、矩形状の区画領域である。また、ウエハWの周辺部には、矩形状の区画領域から一部が欠落した区画領域(欠けショット領域)が複数存在する。この欠けショット領域は、
直交する2方向(例えば、X方向及びY方向)のいずれかに平行な直線と、ウエハWのエッジ(外縁)とにより囲まれた領域である。なお、欠けショット領域は、ウエハWの周辺部に形成されているため、周辺領域32と称する。
露光装置140によって、各ショット領域31に、回路パターンが露光されたウエハWは、ウエハローダ5によって、周辺露光装置150に移動される。
次に、周辺露光装置150について、図3を用いて説明する。周辺露光装置150は、露光ユニット40とウエハステージWSTAを備える。露光ユニット40は、光源を含み、露光光ILAを射出する照明光学系41と、互いに異なる複数のパターン群72A〜72Fが全面に形成されたパターン形成領域71(図4参照)を有する位相シフトレチクル70(光学部材)と、位相シフトレチクル70を保持する周辺露光用のレチクルステージRSTAと、位相シフトレチクル70のパターンをウエハWに投影する投影光学系PLAとを備える。
照明光学系41は、露光装置140の光源と同じ波長の露光光ILA(ArFエキシマレーザ光)を射出する光源を備える。照明光学系41は、位相シフトレチクル70のパターン形成領域71を照明する照明領域の大きさを変更するためのレチクルブラインドを備える。このレチクルブラインドによって、パターン形成領域71の全面又は一部を露光光ILAで照明することができる。照明光学系41の瞳面又はその近傍の面には、円板状部材から成る照明系開口絞り板(不図示)が配置されている。この照明系開口絞り板には、等角度間隔で、例えば通常の円形開口で形成された第1開口絞り、第1開口絞りより小さな円形開口で形成された第2開口絞り、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り、及び変形光源法用に複数の開口(2つもしくは4つ)を偏心させて配置して成る変形開口絞り等が配置されている。この照明系開口絞り板は、駆動装置(不図示)により回転され、いずれかの開口絞りが露光光ILAの光路上に選択的に配置される。第2開口絞りは、コヒーレンスファクタであるσ値(σ値=照明光学系のレチクル側開口数(NAIL)/投影光学系のレチクル側開口数(NAPO))を小さくするために用いられる。
なお、本実施例では、第2開口絞りを用いて位相シフトレチクル70を照明するときのσ値は、例えば、0.003に設定される。このような十分小さいσ(以下、極小σと称する)を用いることによって、周辺領域32を露光する場合に、投影光学系PLの焦点深度を深くすることができる。そのため、投影光学系PLAに対するウエハWの位置合わせに必要な合焦時間を短時間で行うことができるためスループットを向上することができる。なお、σ値は、0.003以下あるいは0.003以上に設定できることは勿論である。
周辺露光用のレチクルステージRSTAは、真空吸着や電磁吸着、又は機械的な固定(例えば、ネジ等を用いる)により、位相シフトレチクル70を保持する。なお、レチクルステージRSTAは、不図示のレチクルベース上のガイド面に載置され、ウエハWの周辺領域32に対する位置合わせのために、レチクルステージ駆動部(不図示)により、θZ方向に微小駆動される。
投影光学系PLAは、例えば、ダイソン型の等倍結像光学系で構成される。位相シフトレチクル70を介して投影光学系PLAに入射した露光光ILAは、レンズ51a、反射平面ミラー52a、レンズ51bを介して反射球面ミラー53に入射する。反射球面ミラー53で反射した露光光ILAは、再びレンズ51bを透過した後、反射平面ミラー52b、レンズ51cを介してウエハWに照射される。投影光学系PLAの瞳面は、反射球面ミラー53の反射面内またはその近傍の面内に設定される。すなわち、投影光学系PLAの瞳面またはその近傍には、光学素子として反射球面ミラー53が配置される。なお、本実施例における投影光学系の実効的な開口数(NA)は、例えば0.15である。また、投影光学系内のNAの値は0.15以下あるいは0.15以上に設定してもよい。
ウエハステージWSTAは、露光装置140に比べて簡素なステージ機構を備える。例えば、不図示のウエハベースに対して、ボールベアリング又はエアベアリングを介して支持されるXYステージ15と、XYステージ15に対して、Z方向に変位可能な3箇所のZ駆動部を介して取り付けられるZチルトステージ14と、Zチルトステージ14に固定され、ウエハWを真空吸着(又は電磁吸着)する不図示のウエハホルダとを備える。
次に、周辺領域32を露光するための位相シフトレチクル70について、図4を用いて説明する。図4は、露光光ILAの照射方向からみた位相シフトレチクル70の平面図とその特徴的な箇所における拡大図を示している。
位相シフトレチクル70には、ショット領域31と略同じ大きさのパターン形成領域71が設けられている。また、パターン形成領域71の全面には、複数のパターン群(本実施例では、6個のパターン群)72A〜72Fが形成されている。これらの6つのパターン群72A〜72Fによって、パターン形成領域71は、例えば、Y方向が3つの領域に分割され、X方向が2つの領域に分割されている。なお、位相シフトレチクル70には、さらに、パターン形成領域71の周りに設けられた不図示の複数のアライメント用マークを備える。
複数のパターン群72A〜72Fには、位相シフタ部77と光透過部78がY方向に繰り返して形成されている。位相シフタ部77は、レチクルブランクの表面の一部を掘込み加工した凹部によって形成される。なお、位相シフタ部77を通過する光の位相と、光透過部78を通過する光の位相とは、180°ずれている。
パターン群72Aには、位相シフタ部77と光透過部78がピッチ(繰り返し周期)P1で繰り返して形成されており、パターン群72Bには、位相シフタ部77と光透過部78がピッチP2で繰り返して形成されており、パターン群72Cには、位相シフタ部77と光透過部78がピッチP3で繰り返して形成されており、パターン群72Dには、位相シフタ部77と光透過部78がピッチP4で繰り返して形成されており、パターン群72Eには、位相シフタ部77と光透過部78がピッチP5で繰り返して形成されており、パターン群72Fには、位相シフタ部77と光透過部78がピッチP6で繰り返して形成されている。
なお、ピッチP1〜P6には、次のような関係がある。
P1>P2>P3>P4>P5>P6 ・・・・(1)
また、これらの複数のパターン群72A〜72Fに形成される位相シフタ部77の線幅は、光透過部78の線幅と同じであり、露光装置140で用いられるレチクルRの回路パターンの線幅と比較すると、数倍から数十倍大きい。
例えば、ArFエキシマレーザ光の光源を用いた場合、回路パターンの線幅は0.04μm〜0.2μm程度である。このとき、パターン群72Aに形成される位相シフタ部77の線幅は、光透過部78の線幅と同じ0.42μmであり、位相シフタ部77と光透過部78がピッチ0.84μmで繰り返して形成され、パターン群72Bに形成される位相シフタ部77の線幅は、光透過部78の線幅と同じ0.45μmであり、位相シフタ部77と光透過部78がピッチ0.9μmで繰り返して形成され、パターン群72Cに形成される位相シフタ部77の線幅は、光透過部78の線幅と同じ0.48μmであり、位相シフタ部77と光透過部78がピッチ0.96μmで繰り返して形成され、パターン群72Dに形成される位相シフタ部77の線幅は、光透過部78の線幅と同じ0.51μmであり、位相シフタ部77と光透過部78がピッチ1.02μmで繰り返して形成され、パターン群72Eに形成される位相シフタ部77の線幅は、光透過部78の線幅と同じ0.55μmであり、位相シフタ部77と光透過部78がピッチ1.1μmで繰り返して形成され、パターン群72Fに形成される位相シフタ部77の線幅は、光透過部78の線幅と同じ0.6μmであり、位相シフタ部77と光透過部78がピッチ1.2μmで繰り返して形成されている。
次に、周辺露光装置150によって、位相シフトレチクル70を用いた周辺領域32の露光動作について説明する。
まず、レチクルステージRSTAに、位相シフトレチクル70を搬送する。そして、照明光学系41は、位相シフトレチクル70のパターン形成領域71の全面又は一部に露光光ILAを照射できるように、照明領域を調整するとともに、第2開口絞りを露光光ILAの光路内に配置する。
照明光学系41は、第2開口絞りを介した極小σの露光光ILAにより、位相シフトレチクル70のパターン形成領域71の全面又は一部を照明する。このとき、照明光学系41は、パターン形成領域71に対して露光光ILAを垂直方向から照射する。なお、照明光学系41は、周辺領域32の大きさや形状に応じて、レチクルブラインドを制御し、パターン形成領域71を照明する照明領域の大きさや形状を変更することができる。
パターン形成領域71に照射された露光光ILAは、パターン形成領域71に形成された複数のパターン群72A〜72Fを透過する。この時、露光光ILAは、複数のパターン群72A〜72Fに形成された位相シフタ部77と光透過部78のピッチP1〜P6に応じて、互いに異なった回折角で回折される。回折された露光光ILAのうち、±1次回折光DRは、ピッチP1〜P6に応じて複数発生し、投影光学系PLAに入射する。さらに、投影光学系PLAに入射した複数の±1次回折光DRは、レンズ51a、反射平板ミラー52a、レンズ51bを介して、反射球面ミラー53の反射面またはその近傍で集光する。その後、複数の±1次回折光DRは、レンズ51b、反射平板ミラー52b、レンズ51cを介して、複数のパターン群72A〜72FをウエハWの周辺領域32に転写(露光)する。
ここで、投影光学系PLAの瞳面76において、複数のパターン群72A〜72Fを透過した複数の±1次回折光DRは、12箇所に分散する。さらに、上述したσ値の露光光ILAを用いて、上述したピッチを有する複数のパターン群72A〜72Fを照明すると、露光光ILAが複数の±1次回折光DRに回折され、複数の±1次回折光DRのうち、+1次回折光同士が、投影光学系PLAの瞳面76で、互いに隣接するとともに、−1次回折光同士が、投影光学系PLAの瞳面76で、互いに隣接する。
このように、投影光学系PLAの瞳面76又はその近傍で複数の±1次回折光DRが分散しているため、露光光ILAが複数のパターン群72A〜72Fを介した場合と、介さない場合とで比較すると、瞳面76内における単位面積当たりの露光光ILAの強度を低下させることができる。このことは、従来技術のような単一周期のラインアンドスペースを有するレチクルを照明した場合と比較しても、瞳面76内における単位面積当たりの露光光ILAの強度を低下させることができるのは勿論である。
すなわち、投影光学系PLAの瞳面76又はその近傍に配置される反射球面ミラー53の劣化を防止することができる。
ここで、複数のパターン群72A〜72Fを転写(露光)するウエハWの周辺領域32は、ウエハWの中央部のショット領域31に対して、一部が欠落しており、その欠落箇所もウエハWの周辺位置によって異なっている。しかしながら、位相シフトレチクル70のパターン形成領域71がショット領域31と同じ大きさで形成され、かつパターン形成領域71の全面に複数のパターン群72A〜72Fが形成され、さらに、照明光学系41がパターン形成領域71を照明する照明領域を任意に変更できるため、欠落箇所が異なる周辺領域32に対しても、パターン形成領域71上の複数のパターン群72A〜72Fの少なくとも一部のパターンで周辺領域32の全面を露光することができる。
次に、本実施例2に係る光学部材としての位相シフトレチクルについて説明する。図5は、露光光ILAの照射方向からみた位相シフトレチクル80の平面図とその特徴的な箇所における拡大図を示している。なお、実施例1と相違する部分について主に説明するものとし、実施例1と同じ構成については説明を省略するものとする。
位相シフトレチクル80には、ショット領域31と略同じ大きさのパターン形成領域81が設けられている。また、パターン形成領域81の全面には、複数のパターン群(本実施例では、20個のパターン群)82A〜82Tが形成されている。これらの複数のパターン群82A〜82Tによって、パターン形成領域81は、例えば、Y方向が5つの領域に分割され、X方向が4つの領域に分割されている。
複数のパターン群82A〜82Tは、位相シフタ部87と光透過部88によって構成されている。位相シフタ部87は、レチクルブランクの表面の一部を掘込み加工した凹部によって形成される。なお、位相シフタ部87を通過する光の位相と、光透過部88を通過する光の位相とは、180°ずれている。
また、複数のパターン群82A〜82Tにおける位相シフタ部87と光透過部88は、同じピッチP´で繰り返して形成されているが、互いに異なった方向へ配列されている。XY平面内のY軸に対する反時計回りの傾斜角度をφ°とすると、複数のパターン群82A〜82Tにおける位相シフタ部87と光透過部88の配列方向は、互いに異なる傾斜角度φA〜φTを有する。なお、図5では、パターン群81A、82C、82E、82J、82K、82P、82R、82Tについてのみ、位相シフタ部87と光透過部88の配列方向及び傾斜角度を図示している。
例えば、位相シフタ部87と光透過部88のピッチP´は1.0μmに設定し、それらの傾斜角度φA〜φJは、Y軸周りの回転角で20°すなわち−20°≦φ≦20°の範囲で4°刻みに、φK〜φTは、X軸周りの回転角で20°すなわち70°≦φ≦110°の範囲で4°刻みに設定する。
すなわち、パターン群82Aでは、位相シフタ部87と光透過部88が、φA=−20°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Bでは、位相シフタ部87と光透過部88がφB=−16°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Cでは、位相シフタ部87と光透過部88がφC=−12°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Dでは、位相シフタ部87と光透過部88がφD=−8°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Eでは、位相シフタ部87と光透過部88がφE=−4°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Fでは、位相シフタ部87と光透過部88がφF=0°すなわち+Y軸に対して平行に形成されており、パターン群82Gでは、位相シフタ部87と光透過部88がφG=4°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Hでは、位相シフタ部87と光透過部88がφH=8°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Iでは、位相シフタ部87と光透過部88がφI=12°だけ傾斜して形成されており、
パターン群82Jでは、位相シフタ部87と光透過部88がφJ=16°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Kでは、位相シフタ部87と光透過部88がφK=70°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Lでは、位相シフタ部87と光透過部88がφL=74°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Mでは、位相シフタ部87と光透過部88がφM=78°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Nでは、位相シフタ部87と光透過部88がφN=82°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Oでは、位相シフタ部87と光透過部88がφO=86°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Pでは、位相シフタ部87と光透過部88がφP=90°すなわち+X軸に平行な方向に形成されており、パターン群82Qでは、位相シフタ部87と光透過部88がφQ=94°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Rでは、位相シフタ部87と光透過部88がφR=98°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Sでは、位相シフタ部87と光透過部88がφS=102°だけ傾斜して形成されており、パターン群82Tでは、位相シフタ部87と光透過部88がφT=106°だけ傾斜して形成されている。
なお、−20°≦φ≦20°の範囲及び70°≦φ≦110°の範囲は、複数のパターン群82A〜82Jをレチクルブランクに加工する場合、一つのパターン群、例えば、傾斜角度φP=0°のパターンを用意し、このパターンの長さや形状、数を変えずに、単にパターンの角度を変えるだけで加工できる範囲である。したがって、これらの傾斜角度範囲に設定することによって、位相シフトレチクルを加工する手間が省けるため、複数のパターン群82A〜82Tを容易に形成できるほか、複数のパターン群82A〜82Tを効率的に形成することができる。
次に、周辺露光装置150によって、実施例1と同様に、照明光学系41は、極小σの露光光ILAにより、位相シフトレチクル80のパターン形成領域81の全面又は一部を照明する。
パターン形成領域81を照射した露光光ILAは、パターン形成領域81に形成された複数のパターン群82A〜82Tを透過する。この時、露光光ILAは、複数のパターン群82A〜82Tに形成された位相シフタ部87と光透過部88のそれぞれの配列方向に応じて、回折角は同じであるが互いに異なった方向へ回折される。回折された露光光ILAのうち、±1次回折光DRは、傾斜角度φA〜φTに応じて、複数発生し、投影光学系PLAに入射する。さらに、投影光学系PLAに入射した複数の±1次回折光DRは、レンズ51a、反射平板ミラー52a、レンズ51bを介して、反射球面ミラー53の反射面またはその近傍で集光する。その後、複数の±1次回折光DRは、レンズ51b、反射平板ミラー52b、レンズ51cを介して、複数のパターン群82A〜82TをウエハWの周辺領域32に転写(露光)する。
ここで、投影光学系PLAの瞳面76において、複数のパターン群82A〜82Tを透過した複数の±1次回折光DRは、40箇所で分散する。さらに、上述したσ値の露光光ILAを用いて、上述したピッチと傾斜角度を有する複数のパターン群82A〜82Tを照明すると、露光光ILAが複数の±1次回折光DRに回折され、複数の±1次回折光DRのうち、+1次回折光同士が、投影光学系PLAの瞳面76で、互いに隣接するとともに、−1次回折光同士が、投影光学系PLAの瞳面76で、互いに隣接する。
このように、投影光学系PLAの瞳面76又はその近傍で複数の±1次回折光DRが分散しているため、露光光ILAが複数のパターン群72A〜72Fを介した場合と、介さない場合とで比較すると、瞳面76内における単位面積当たりの露光光ILAの強度を低下させることができる。さらに、従来技術のような単一周期のラインアンドスペースを有するレチクルを照明した場合と比較しても、瞳面76内における単位面積当たりの露光光ILAの強度を低下させることができる。その結果、投影光学系PLAの瞳面76又はその近傍に配置される反射球面ミラー53の劣化を防止することができる。
次に、実施例3に係る光学部材としての位相シフトレチクルについて説明する。図6は、露光光ILAの照射方向からみた位相シフトレチクル90の平面図を示している。なお、実施例1、2と相違する部分について主に説明するものとし、実施例1、2と同じ構成については説明を省略するものとする。
位相シフトレチクル90は、ショット領域31と略同じ大きさのパターン形成領域91が設けられている。また、パターン形成領域91の全面には、複数のパターン群(本実施例では、120個のパターン群)92(1,1)〜92(12,10)が設けられている。これらの複数のパターン群92(1,1)〜92(12,10)によって、パターン形成領域91は、例えば、Y方向が10個の領域に分割され、X方向が12個の領域に分割されている。なお、位相シフトレチクル90には、さらに、パターン形成領域91の周りに設けられた不図示の複数のアライメント用マークを備える。
ここで、パターン群92(m、n)とは、パターン形成領域91の、m行n列目の領域におけるパターン群を示している。例えば、パターン形成領域91の最上段でかつ左端は、パターン群92(1,1)となり、パターン形成領域91の最下段でかつ右端は、パターン群92(12,10)となる。
図7は、図6において1)で示されたパターン群92(2,6)、2)で示されたパターン群92(4,6)、3)で示されたパターン群92(6,6)、4)で示されたパターン群92(8,6)、5)で示されたパターン群92(10,6)、6)で示されたパターン群(12,6)、7)で示されたパターン群92(1,2)、8)で示されたパターン群92(1,4)、9)で示されたパターン群92(1,6)、10)で示されたパターン群92(1,8)
、11)で示されたパターン群92(1,10)の拡大図を示している。
複数のパターン群92(1,1)〜92(12,10)は、位相シフタ部97と光透過部98によって構成されている。位相シフタ部97は、レチクルブランクの表面を掘り込み加工した凹部によって形成される。なお、位相シフタ部97を通過する光の位相と、光透過部98を通過する光の位相とは180°ずれている。
また、パターン群92(1,1)〜92(12,10)は、位相シフタ部97と光透過部98のピッチまたは配列方向の少なくとも1つが互いに異なって形成されている。すなわち、実施例1におけるパターン群72A〜82Fと実施例2におけるパターン群82A〜82Tの特徴を組み合わせて併用することにより、120通りのパターン群92(1,1)〜92(12,10)を形成することができる。
例えば、パターン群92(1,1)〜92(2,10)には、位相シフタ部97と光透過部98が同一のピッチP1で形成されているが、互いに異なった傾斜角度φA〜φTで形成されている。すなわち、パターン群92(1,1)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmの繰り返しで、かつ傾斜角度φA=−20°で形成され、パターン群92(1,2)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmの繰り返しで、かつ傾斜角度φB=−16°で形成され、パターン群92(1,3)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φC=−12°で形成され、パターン群92(1,4)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φD=−8°で形成され、パターン群92(1,5)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φE=−4°で形成され、パターン群92(1,6)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φF=0°(Y軸に平行)で形成され、パターン群92(1,7)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φG=4°で形成され、パターン群92(1,8)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φH=8°で形成され、パターン群92(1,9)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φI=12°で形成され、パターン群92(1,10)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φJ=16°で形成され、パターン群92(2,1)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φK=70°で形成され、パターン群92(2,2)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φL=74°で形成され、パターン群92(2,3)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φM=78°で形成され、パターン群92(2,4)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φN=82°で形成され、パターン群92(2,5)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φO=86°で形成され、パターン群92(2,6)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φP=90°(X軸に平行)で形成され、パターン群92(2,7)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φQ=94°で形成され、パターン群92(2,8)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φR=98°で形成され、パターン群92(2,9)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φS=102°で形成され、パターン群92(2,10)には、位相シフタ部97と光透過部98がピッチ0.84μmで繰り返して、かつ傾斜角度φT=106°で形成されている。
さらに、パターン群92(3,1)〜92(4,10)には、位相シフタ部97と光透過部98が同じピッチ0.9μmで繰り返して形成されているが、それらの配列方向が傾斜角度φA〜φTと、互いに異なっており、パターン群92(5,1)〜92(6,10)には、位相シフタ部97と光透過部98が同じピッチ0.96μmで繰り返して形成されているが、それらの配列方向が傾斜角度φA〜φTと、互いに異なっており、パターン群92(7,1)〜92(8,10)には、位相シフタ部97と光透過部98が同じピッチ1.02μmで繰り返して形成されているが、それらの配列方向が傾斜角度φA〜φTと、互いに異なっており、パターン群92(9,1)〜92(10,10)には、位相シフタ部97と光透過部98が同じピッチ1.1μmで繰り返して形成されているが、それらの配列方向が傾斜角度φA〜φTと、互いに異なっており、パターン群(11,1)〜92(12,10)には、位相シフタ部97と光透過部98が同じピッチ1.2μmで繰り返して形成されているが、それらの配列方向が傾斜角度φA〜φTと、互いに異なっている。
次に、周辺露光装置150によって、位相シフトレチクル90を用いた周辺領域32の露光動作について説明する。実施例1、2と同様に、照明光学系41は、極小σの露光光ILAにより、位相シフトレチクル90のパターン形成領域91の全面又は一部を照明する。
パターン形成領域91を照射した露光光ILAは、パターン形成領域91に形成された複数のパターン群92(1,1)〜92(12,10)を透過する。この時、露光光ILAは、複数のパターン群92(1,1)〜92(12,10)に形成された位相シフタ部97と光透過部98のピッチと配列方向に応じて、互いに異なった角度と方向へ回折される。
回折された露光光ILAのうち、±1次回折光DRは、ピッチP1〜P6と傾斜角度φA〜φTの組み合わせに応じて、複数発生し、投影光学系PLAに入射する。さらに、投影光学系PLAに入射した複数の±1次回折光DRは、レンズ51a、反射平板ミラー52a、レンズ51bを介して、反射球面ミラー53の反射面またはその近傍で集光する。その後、複数の±1次回折光DRは、レンズ51b、反射平板ミラー52b、レンズ51cを介して、複数のパターン群92(1,1)〜92(12,10)をウエハWの周辺領域32に転写(露光)する。
ここで、投影光学系PLAの瞳面76において、複数のパターン群92(1,1)〜92(12,10)を透過した複数の±1次回折光DRは、120箇所で分散する。さらに、上述したσ値の露光光ILAを用いて、上述したピッチと傾斜角度を有する複数のパターン群92(1,1)〜92(12,10)を照明すると、露光光ILAが複数の±1次回折光DRに回折され、複数の±1次回折光DRのうち、+1次回折光同士が、投影光学系PLAの瞳面76で、互いに隣接するとともに、−1次回折光同士が、投影光学系PLAの瞳面76で、互いに隣接する。
このように、投影光学系PLAの瞳面76又はその近傍で複数の±1次回折光DRが分散しているため、露光光ILAが複数のパターン群92(1,1)〜92(12,10)を介した場合と、介さない場合とで比較すると、瞳面76内における単位面積当たりの露光光ILAの強度を低下させることができる。さらに、従来技術のような単一周期のラインアンドスペースを有するレチクルを照明した場合と比較しても、瞳面76内における単位面積当たりの露光光ILAの強度を低下させることができる。その結果、投影光学系PLAの瞳面76又はその近傍に配置される反射球面ミラー53の劣化を防止することができる。また、本実施例では、瞳面76内における単位面積当たりの露光光ILAの強度を100分の1以下に低下させることができるため、反射球面ミラー53の劣化防止効果を飛躍的に高めることができる。
上記各実施例において上述した周辺露光装置150は、ステップ・アンド・リピート方式の一括露光型の投影露光装置としたが、これに限定されることなく、位相シフトレチクル70、80、90を−Y方向から+Y方向に所定ストローク毎に移動させるとともに、ウエハWを+Y方向から−Y方向に同期して移動するステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置でもよい。このとき、露光光ILAは、位相シフトレチクル70、80、90上のパターン形成領域71、81、91の一部を照明できれば十分である。また、周辺露光装置150の投影光学系PLAとして、等倍結像光学系を例に説明したが、この構成に限定されるものではない。投影光学系PLAとして縮小型の投影光学系を用いてもよい。この場合、位相シフトレチクル70、80、90のパターン形成領域71、81、91の大きさを投影光学系の縮小倍率分だけ拡大し、位相シフトレチクル70、80、90とウエハWの両方を縮小倍率に応じた速度比で移動すればよい。
周辺露光装置150の光源は、露光装置140と同一光源から発せられた光をハーフミラー等により導いて用いてもよい。また、必ずしも周辺露光装置150の内部に光源を設ける必要はなく、外部から光源を供給する機構を備えてもよい。
また、投影光学系PLAとして、ダイソン型の光学系を例に説明したが、これに限定されるものではなく、屈折光学系を用いても良い。この場合、投影光学系PLAの瞳面近傍に配置される光学素子としてレンズの劣化を防止することができる。
周辺露光装置150により形成されるパターン像の解像度は、露光装置140により形成されるパターン像の解像度よりも数倍から数10倍程度に粗くてもよい。そこで、露光光ILAを射出する光源として、露光光ILよりも波長幅が広いArFエキシマレーザ光を使用することが可能である。これによって、露光光ILAの強度を大きくできるため、ウエハW上のレジストを短時間で感光できる。
さらに、ウエハWのレジストは、ArFエキシマレーザ光に感度を持つが、そのレジストがKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等にも感度を有する場合には、露光光ILAとして露光光ILよりも長波長のKrFエキシマレーザ光等を使用することもできる。
また、各実施例における周辺露光装置150は、レチクルステージRSTAを備える構成について説明したが、常に同じパターンをウエハWの周辺領域32に露光する場合には、レチクルステージRSTAに位相シフトレチクル70、80、90を固定してもよい。また、ウエハステージWSTAは、露光装置140で使用されるウエハステージWSTと同じステージ機構を用いてもよい。
位相シフトレチクル70、80、90のパターン形成領域71、81、91に形成されるパターン群の個数としては、複数個存在すれば良く、パターン群72A〜72F、82A〜82T、92(1,10)〜92(12,10)の面積、形状等は任意に形成することができる。なお、パターン形成領域71、81、91に形成されるパターン群の個数が多ければ多いほど、投影光学系PLAの瞳面内において回折光をより多く分散させることができるため、反射球面ミラー53の劣化をより顕著に防止することができる。
また、位相シフトレチクル80、90のパターン形成領域81、91に形成される位相シフタ部87、97と光透過部88、98との配列方向としては、上述した範囲に限定されることはなく、0°≦φ≦360°すなわち、あらゆる方向に形成することができる。なお、形成する配列方向の種類が多ければ多いほど、反射球面ミラー53の劣化をより顕著に防止できることは、勿論である。
さらに、位相シフトレチクル70、80、90のパターン形成領域71、81、91に形成されるパターン群は、ピッチが互いに異なる位相シフタ部77、87、97と光透過部78、88、98との組み合わせ、すなわち、ランダムなパターン配列によって形成されていてもよい。配列方向も任意の傾斜角度で形成することができるのは、言うもでもない。なお、この場合、±1次回折光DRは、投影光学系PLAの瞳面76で不等間隔に分散する。
位相シフトレチクル70、80、90のパターン形成領域71、81、91に形成されるパターン群の種類としては、位相シフタ部77、87、97の代わりに遮光部(例えば、クロム膜)を用い、遮光部と光透過部との繰り返しパターンで構成されたフォトレチクル(又はフォトマスク)としてもよい。この際、照明光学系の瞳面又はその近傍の面で、変形照明用開口絞り又は輪帯状開口絞りを用い、パターン形成領域71、81、91に対して斜め方向から露光光ILAを照射する。これによって、回折された0次回折光又は±1次回折光は、投影光学系PLAに対して斜めに入射するため、投影光学系PLA内の瞳面76の中央付近で、集光するのを防ぐことができる。
位相シフトレチクル又はフォトレチクルのパターン形成領域に形成されるパターン群の構成としては、位相シフタ部77、87、97と光透過部78、88、98又は遮光部と光透過部の組み合わせに限るものではない。例えば、位相シフタ部77、87、97と光透過部78、88、98と遮光部の3つを組み合わせることにより、パターン群を構成してもよい。また、位相シフタ部77、87、97と光透過部78、88、98又は遮光部と光透過部の線幅は、必ずしも同じである必要はない。例えば、個々の線幅は異なるが、パターン形成領域71、81、91に照射される露光光ILAの照明領域内で、位相シフタ部77、87、97と光透過部78、88、98又は遮光部と光透過部との受光面積の比が等しければよい。さらに、位相シフタ部77、87、97の掘込みは、様々な加工が考えられる。例えば、位相シフタ部77、87、97の掘込み深さや形状を任意に加工することができる。すなわち、位相シフタ部77、87、97又は光透過部78、88、98又は遮光部は、投影光学系PLA内の瞳面76の中央付近における0次回折光又は±1次回折光の集光を防止できるように、構成されていればよい。
光学部材としては、位相シフトレチクル又はフォトレチクルに限ることはなく、例えば、電子データに基づいて、所定のパターンを形成する可変パターン形成部材を用いることができる。このような可変パターン形成部材として、複数の反射ミラーを含むDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を用いることができる。
上述したパターン群は、パターン形成領域71、81、91において組み合わせて構成してもよいことは、勿論である。
本発明における露光動作としては、位相シフタ部77、87、97を有する位相シフトレチクル70、80、90を極小σで照明したが、位相シフトレチクル70、80、90を遮光部(例えば、クロム膜)と光透過部78、88、98との繰り返しパターンで構成されたフォトレチクルとし、第1開口絞り、変形照明用開口絞り、輪帯状開口絞りを介した露光光ILAで照明してもよい。
なお、位相シフタ部77、87、97と光透過部78、88、98の繰り返しパターンを有する位相シフトレチクル70、80、90又は遮光部と光透過部78、88、98の繰り返しパターンを有するフォトレチクルを照明する際、これらの開口絞りを必ずしも備えている必要はなく、照明光学系によって照射したい露光光ILAをパターン形成領域71、81、91に照射できれば、十分である。
また、露光装置140で、二枚目のウエハWのショット領域31の露光を行っている間、露光装置140で既に露光された一枚目のウエハWの周辺領域32を周辺露光装置150で露光することができるので、スループットを向上することができる。このような露光装置システム100によれば、周辺領域32を含むウエハWの露光を効率的に行うことができ、後工程においてCMPプロセスを良好に実行できるため、電子デバイス等を高い歩留まり高スループットに製造できる。
さらに、各実施例は、半導体デバイスの製造プロセスへの適用に限定されることはなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置の製造プロセスや、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスの製造プロセスにも広く適用できる。更に、本発明の態様は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)を、フォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の製造工程にも適用することができる。
上述の実施例の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、各実施例は、要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることができる。
R…レチクル RST…レチクルステージ PL…投影光学系 W…基板(ウエハ) WST…ウエハステージ PLA…周辺露光用の投影光学系 P1〜P6、P′…繰り返し周期(ピッチ) φA〜φT…傾斜角度 ILA…周辺露光用の露光光 40…露光ユニット 41…照明光学系 70、80、90…位相シフトレチクル(光学部材) 30…露光領域 31…ショット領域 32…周辺領域 51a、51b、51c…レンズ系 52a、52b…反射平面ミラー 53…反射球面ミラー 71、81、91…パターン形成領域 72A〜72F、82A〜82T,92(1,1)〜92(12,10)…パターン群 DR…±1次回折光(露光光ILA) 76…瞳面 77、87,97…位相シフタ部 78,88,98…光透過部 100…露光システム 140…露光装置 150…周辺露光装置

Claims (19)

  1. 基板に設けられた複数の露光領域のうち、前記基板の周辺にある周辺領域を光学系を介して露光する周辺露光方法において、
    互いに異なる複数のパターン群が全面に形成されたパターン形成領域を有する光学部材に露光光を照射し、
    前記パターン形成領域のうち、少なくとも一部の領域を前記光学系を介して前記周辺領域に転写することを特徴とする周辺露光方法。
  2. 前記複数のパターン群は、前記露光光が透過する第1透過部と、前記露光光が透過する第2透過部とを含み、前記第1透過部を透過した前記露光光の位相と前記第2透過部を透過した前記露光光の位相とが異なる位相パターンで形成され、かつ前記第1透過部と前記第2透過部との繰り返し周期又は配列方向の少なくとも一方が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載に周辺露光方法。
  3. 前記パターン形成領域に対して垂直方向から前記露光光を照射することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の周辺露光方法。
  4. 前記露光光が前記複数のパターン群を透過することにより複数の±1次回折光に回折され、
    前記複数の±1次回折光のうち、+1次回折光同士が、前記光学系内の瞳面内で、互いに隣接するとともに、前記複数の±1次回折光のうち、−1次回折光同士が、前記光学系内の瞳面内で、互いに隣接することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の周辺露光方法。
  5. 前記複数のパターン群は、前記露光光が透過する透過部と、前記露光光を遮光する遮光部との繰り返しパターンで形成され、かつ前記透過部と前記遮光部との繰り返し周期又は配列方向の少なくとも一方が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の周辺露光方法。
  6. 前記パターン形成領域に対して斜め方向から前記露光光を照射することを特徴とする請求項5に記載の周辺露光方法。
  7. 前記複数のパターン群を透過することにより、前記露光光が複数の±1次回折光に回折され、
    前記複数の±1次回折光のうち、+1次回折光同士が、前記光学系内の瞳面内で、互いに隣接するとともに、前記複数の±1次回折光のうち、−1次回折光同士が、前記光学系内の瞳面内で、互いに隣接することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の周辺露光方法。
  8. 前記パターン形成領域は、前記複数のパターン群によって、所定方向に沿った複数の第1分割領域、及び前記所定方向と交差する方向に沿った複数の第2分割領域に分割されることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の周辺露光方法。
  9. 前記複数のパターン群は、前記光学系内の瞳面内における前記露光光の強度を、前記複数のパターン群を介した場合と、前記複数のパターン群を介さない場合とで比較した場合、前記複数のパターン群を介した前記瞳面内における単位面積当たりの前記露光光の強度が、前記複数のパターン群を介さない前記瞳面内における単位面積当たりの前記露光光の強度に比べて低くすることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の周辺露光方法。
  10. 前記複数のパターン群を介した前記瞳面内における単位面積当たりの前記露光光の強度は、前記複数のパターン群を介さない前記瞳面内における単位面積当たりの前記露光光の強度に比べて100分の1以下に低下することを特徴とする請求項9に記載の周辺露光方法。
  11. 前記複数のパターン群は、前記光学系内の瞳面またはその近傍に配置される光学素子を介して、前記周辺領域に転写されることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載の周辺露光方法。
  12. 基板に設けられた複数の露光領域のうち、前記基板の周辺にある周辺領域を露光する周辺露光装置において、
    互いに異なる複数のパターン群が全面に形成されたパターン形成領域を有する光学部材と、
    前記パターン形成領域に露光光を照射する照明光学系と、
    前記露光光が照射された前記パターン形成領域のうち、少なくとも一部の領域を前記周辺領域に転写する光学系と、を備えることを特徴とする周辺露光装置。
  13. 前記複数のパターン群は、前記露光光が透過する第1透過部と、前記露光光が透過する第2透過部とを含み、前記第1透過部を透過した前記露光光の位相と前記第2透過部を透過した前記露光光の位相とが異なる位相パターンで形成され、かつ前記第1透過部と前記第2透過部との繰り返し周期又は配列方向の少なくとも一方が互いに異なることを特徴とする請求項12に記載の周辺露光装置。
  14. 前記照明光学系は、前記パターン形成領域に対して垂直方向から前記露光光を照射することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の周辺露光装置。
  15. 前記複数のパターン群は、前記露光光が透過する透過部と、前記露光光を遮光する遮光部との繰り返しパターンで形成され、かつ前記透過部と前記遮光部との繰り返し周期又は配列方向の少なくとも一方が互いに異なることを特徴とする請求項12に記載の周辺露光装置。
  16. 前記照明光学系は、前記パターン形成領域に対して斜め方向から前記露光光を照射することを特徴とする請求項15に記載の周辺露光装置。
  17. 前記パターン形成領域は、前記複数のパターン群によって、所定方向に沿った複数の第1分割領域、及び前記所定方向と交差する方向に沿った複数の第2分割領域に分割されることを特徴とする請求項12から請求項16の何れか一項に記載の周辺露装置。
  18. 前記光学系は、瞳面またはその近傍に配置される光学素子を有することを特徴とする請求項12から請求項17の何れか一項に記載の周辺露光装置。
  19. リソグラフィ工程を含む、デバイス製造方法であって、
    前記リソグラフィ工程では、請求項12から請求項18の何れか一項に記載の周辺露光装置を用いて露光するデバイス製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017010061A (ja) * 2011-02-22 2017-01-12 株式会社ニコン 保持装置、露光装置、及びデバイスの製造方法

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