JP2010207531A - Mri装置及びデータ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】動脈瘤の破裂リスクを正確かつ容易に判定する。
【解決手段】被検体の動脈瘤を含む診断対象部位に対し所定のMRI撮影を行なって3次元形態データと3次元流速データを収集し、輪郭抽出部15及び剪断応力計測部16は、3次元形態データに基づいた動脈瘤の輪郭抽出と3次元流速データに基づいた動脈瘤内壁における剪断応力の計測を行なう。次いで、パラメータ算出部17は、動脈瘤の輪郭情報及び剪断応力の計測結果に基づいて各種の診断パラメータを算出し、破裂リスク判定部18及び高リスク部位検出部19は、前記診断パラメータと所定閾値との比較により動脈瘤の破裂リスク判定と高リスク部位の位置検出を行なう。そして、表示部20は、前記3次元形態データを用いて生成された3次元画像データに高リスク部位の位置情報と破裂リスクの判定結果を付加して自己のモニタに表示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、MRI装置及びデータ処理装置に係り、特に、動脈瘤や静脈瘤に対する破裂リスクの判定を可能にするMRI装置及びデータ処理装置に関する。
磁気共鳴イメージング法(MRI)は、静磁場中に置かれた物体の原子核スピンを、そのラーモア周波数をもつ高周波パルス(RFパルス)で励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号(MR信号)に基づいて画像データを生成するイメージング法である。
MRI装置は、生体内から検出されるMR信号に基づいて画像データを生成する画像診断装置であり、解剖学的診断情報のみならず生化学情報や機能診断情報など多くの情報を得ることができるため、今日の画像診断の分野では不可欠なものとなっている。
このようなMRI装置を使用して血管内の狭窄部位や血管壁に生じた動脈瘤等の診断を行なう場合、血管内を流れている血液を画像化することによって血管の形状を観測する方法が一般に行なわれており、例えば、Gd-DTPA等の造影剤を注入することにより血液からのMR信号を高いコントラスト比で収集する造影MRA撮影やTOF(time of flight)法のパルスシーケンスを適用した非造影MRA(magnetic resonance angiography)撮影等が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
又、傾斜磁場中を流れる物体が発生したMR信号の位相変化量はその移動速度に略比例するという事実に基づき、血管内を流れる血液が発生したMR信号の位相変化量を計測することによりその速度情報を画像化するPC(phase contrast)法も開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
そして、上述の造影MRA撮影あるいは非造影MRA撮影により3mm以上のサイズを有した動脈瘤の検出が可能となり、特に、5mm以上の動脈瘤は早期治療の対象とされてきた。
特開平08−206091号公報 特開2002−165771号公報
上述のように動脈瘤に対する治療は、MRI撮影によって得られた形態画像データにおいて5mm以上の大きさを有するものに対して行なわれてきた。しかしながら5mm以下の動脈瘤であっても極めて高い破裂リスクを有している場合があり、従来のような形態情報に基づいたMRI診断ではその破裂リスクを正確に判定することができないという問題点を有していた。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、動脈瘤等の破裂リスクを正確かつ容易に判定することが可能なMRI装置及びデータ処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のMRI装置は、所定のパルスシーケンスを適用したMRA撮影により被検体の動脈瘤を含む診断対象部位が発生するMR信号を収集するMR信号収集手段と、前記MR信号を処理して前記診断対象部位の3次元形態データを生成する形態データ生成手段と、前記3次元形態データに基づいて前記動脈瘤の輪郭を抽出し、輪郭データを生成する輪郭抽出手段と、前記MR信号を処理して前記診断対象部位の3次元流速データを生成する流速データ生成手段と、前記輪郭データと前記3次元流速データに基づいて前記動脈瘤における剪断応力を計測する剪断応力計測手段と、前記剪断応力の計測結果あるいはこの剪断応力の計測結果と前記輪郭データに基づいて前記動脈瘤の破裂リスクを判定する破裂リスク判定手段と、前記破裂リスクの判定結果を表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
又、請求項10に係る本発明のデータ処理装置は、MRI装置によって収集された動脈瘤を含む診断対象部位の3次元形態データ及び3次元流速データを保管するデータ保管手段と、前記3次元形態データに基づいて前記動脈瘤の輪郭を抽出し、輪郭データを生成する輪郭抽出手段と、前記輪郭データと前記3次元流速データに基づいて前記動脈瘤における剪断応力を計測する剪断応力計測手段と、前記剪断応力の計測結果あるいはこの剪断応力の計測結果と前記輪郭データに基づいて前記動脈瘤の破裂リスクを判定する破裂リスク判定手段と、前記破裂リスクの判定結果を表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
本発明によれば、動脈瘤等の破裂リスクを正確かつ容易に判定することができる。このため、破裂リスクの高い動脈瘤等を早期に治療することが可能となる。
本発明の第1の実施例におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図。 同実施例のMRI装置が備えるMR信号収集部の具体的な構成を示すブロック図。 同実施例における剪断応力の算出方法を示す図。 同実施例のMRI装置が備えるパラメータ算出部の機能ブロック図。 同実施例における動脈瘤の破裂リスク判定基準と破裂リスクのレベルを説明するための図。 同実施例における破裂リスク判定結果の表示手順を示すフローチャート。 本発明の第2の実施例におけるデータ解析装置の全体構成を示すブロック図。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
以下に述べる第1の実施例のMRI装置は、先ず、被検体の動脈瘤を含む診断対象部位(脳動脈)に対し所定のパルスシーケンスを適用したMRI撮影を行なって3次元形態データと3次元流速データを収集し、3次元形態データに基づいた動脈瘤の輪郭抽出と3次元流速データに基づいた動脈瘤内壁における剪断応力の計測を行なう。次いで、動脈瘤の輪郭情報及び剪断応力の計測結果に基づいて各種の診断パラメータを算出し、これらの診断パラメータと所定の閾値との比較によって動脈瘤の破裂リスク判定と高リスク部位の位置検出を行なう。そして、前記3次元形態データを処理して生成した3次元画像データに高リスク部位の位置情報を重畳し、更に、破裂リスクの判定結果を付加して表示部に表示する。
尚、以下の実施例では、TOF法のパルスシーケンスを適用した非造影MRA撮影によって動脈瘤を含む血管の3次元形態データを収集し、PC法のパルスシーケンスを適用した非造影MRA撮影によって動脈瘤内の3次元流速データを収集する場合について述べるが、他の方法によって3次元形態データや3次元流速データを収集してもよい。例えば、血管の3次元形態データは、Gd-DTPA等の造影剤を注入した状態で行なわれる造影MRA撮影や磁化の定常状態を利用したTrueSSFP(true steady-state free precession)法あるいは特開2000−5144号公報等に記載されているFBI(fresh blood imaging)法のパルスシーケンスを適用した非造影MRA撮影によって収集してもよい。
又、頭部の脳動脈を診断対象部位とし、この脳動脈に発生した動脈瘤に対して破裂リスクの判定を行なう場合について述べるが、他の部位に発生した動脈瘤あるいは静脈瘤に対する破裂リスクの判定であっても構わない。
(装置の構成)
本発明の第1の実施例におけるMRI装置の構成につき図1乃至図5を用いて説明する。尚、図1は、本実施例におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図であり、図2及び図4は、このMRI装置が備えるMR信号収集部及びパラメータ算出部の具体的な構成を示すブロック図である。
図1に示すMRI装置100は、被検体の動脈瘤を含む頭部の診断対象部位(脳動脈)に対し静磁場及び各種の傾斜磁場を印加し、このとき前記診断対象部位から発生するMR信号を収集するMR信号収集部10と、TOF法のパルスシーケンスを適用した傾斜磁場を用いて得られる形態計測モードのMR信号を処理して前記診断対象部位の3次元形態データを生成する形態データ生成部11と、PC法のパルスシーケンスを適用した傾斜磁場を用いて得られる血流速度計測モードのMR信号を処理することにより3次元流速データを生成する流速データ生成部12と、得られた3次元形態データ及び3次元流速データを保存するデータ記憶部13と、このデータ記憶部13に一旦保存された3次元形態データをレンダリング処理して3次元画像データを生成する画像データ生成部14を備えている。
又、MRI装置100は、3次元形態データにおける動脈瘤の輪郭を抽出する輪郭抽出部15と、データ記憶部13に保存された3次元流速データ及び3次元形態データに基づいて動脈瘤の内壁における剪断応力を計測する剪断応力計測部16と、剪断応力の計測結果及び動脈瘤の輪郭情報に基づいて各種の診断パラメータを算出するパラメータ算出部17と、これらの診断パラメータと予め設定された閾値との比較により動脈瘤に対する破裂リスクを判定する破裂リスク判定部18と、上述の診断パラメータに基づいて前記動脈瘤における高リスク部位を検出する高リスク部位検出部19を備え、更に、画像データ生成部14が生成した診断対象部位の3次元画像データに高リスク部位検出部19が検出した高リスク部位の位置情報と破裂リスク判定部18による破裂リスクの判定結果を付加して表示する表示部20と、被検体情報の入力、MRI撮影条件の設定、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部21と、被検体の心拍時相を計測する心拍時相計測部22と、MRI装置100が備えた上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部23を備えている。
次に、上述のMR信号収集部10の具体的な構成につき図2のブロック図を用いて説明する。
図2に示すMR信号収集部10は、被検体150の診断対象部位に対して静磁場を発生する静磁場発生部1と、TOF法のパルスシーケンスを適用した形態計測モードの傾斜磁場及びPC法のパルスシーケンスを適用した血流速度計測モードの傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生部2と、被検体150に対してRFパルスの照射とMR信号の受信を行なう送受信部3と、形態計測モード及び血流速度計測モードにおける上述のパルスシーケンスを制御するシーケンス制御部4と、被検体150を載置する天板5とを備えている。
静磁場発生部1は、常伝導磁石あるいは超電導磁石等によって構成される主磁石101と、この主磁石101を駆動するための静磁場電源102を備え、静磁場電源102は、主磁石101に対して所定の電流を供給することにより図示しないガントリの撮影野に配置された被検体150の診断対象部位に対して強力な静磁場を形成する。尚、上述の主磁石101は、永久磁石によって構成されていてもよい。
一方、傾斜磁場発生部2は、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に対して傾斜磁場を形成する複数の傾斜磁場コイル201と、傾斜磁場コイル201の各々に対してパルス電流を供給する傾斜磁場電源202を備えている。
傾斜磁場電源202は、被検体150の診断対象部位が配置されたガントリの撮影野に対して符号化を行なう。即ち、傾斜磁場電源202は、シーケンス制御部4から供給される形態計測モード及び血流速度計測モードのシーケンス制御信号に基づいてX軸方向,Y軸方向及びZ軸方向の傾斜磁場コイル201に供給するパルス電流を制御することにより各々の方向に対して傾斜磁場を形成する。そして、X軸方向,Y軸方向及びZ軸方向の傾斜磁場は合成されて互いに直交するスライス選択傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場及び読み出し(周波数エンコード)傾斜磁場が所望の方向に形成される。
又、PC法が適用された本実施例の血流速度計測モードでは、移動体からのMR信号に対して位相変化を発生させるためのフローエンコード傾斜磁場が上述のスライス選択傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場及び読み出し傾斜磁場の方向に対して更に印加される。即ち、スライス選択傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、読み出し傾斜磁場及びフローエンコード傾斜磁場は、主磁石101によって形成された静磁場に重畳されて被検体150の診断対象部位に印加される。
次に、送受信部3は、被検体150に対してRFパルスを照射する送信コイル301及び送信部302と、被検体150にて発生したMR信号を受信する受信コイル303及び受信部304を有している。但し、送信コイル301の機能と受信コイル303の機能を1つのコイルで兼ね備えた送受信コイルを用いてもよい。
送信部302は、シーケンス制御部4から供給されるシーケンス制御信号に基づき、主磁石101の静磁場強度によって決定される水素原子核スピンの磁気共鳴周波数(ラーモア周波数)と同じ周波数の搬送波を有し所定の選択励起波形で変調されたパルス電流を生成する。即ち、送信部302は、例えば、水組織の磁気共鳴周波数を中心周波数とし所定の周波数帯域を有するRFパルスを発生させるためのパルス電流を生成する。
送信コイル301は、送信部302から供給されるパルス電流によって駆動され、被検体150の診断対象部位に対してRFパルスを照射する。一方、受信コイル303は、前記RFパルスの照射によって被検体150の診断対象部位における組織から発生したMR信号を検出する。又、TOF法が適用された本実施例の形態計測モードでは、撮影スライス断面に隣接した領域に対する前飽和パルス(pre-saturation pulse)の照射がMR信号の収集に先立って行なわれる。尚、受信コイル303は、通常、MR信号を高感度で検出するために小口径のコイルが複数個(N個)配列された所謂アレイコイルによって構成されている。
受信部304は、図示しないNチャンネルの増幅回路、中間周波変換回路、検波回路、フィルタリング回路及びA/D変換器を備え、受信コイル303が検出した微小なMR信号に対し増幅、中間周波変換、位相検波、フィルタリング等の信号処理を行なった後A/D変換する。但し、前記増幅回路は、受信コイル303が検出したMR信号を高いS/Nで増幅するために受信コイル303の近傍に設けられている。
尚、本実施例の形態計測モードでは、例えば、特許文献1に記載されているようなTOF法のパルスシーケンスに基づいた傾斜磁場の印加とRFパルスの照射によってMR信号の収集を行ない、血流速度計測モードでは、例えば、特許文献2に記載されているようなPC法のパルスシーケンスに基づいた傾斜磁場の印加とRFパルスの照射によってMR信号の収集を行なう。
そして、上述の主磁石101、傾斜磁場コイル201、送信コイル301及び受信コイル303は、MRI装置100の図示しないガントリに設けられ、このガントリの中央部には撮影野が形成される。即ち、ガントリの中心部には天板4と共に被検体150が挿入される撮影野が設けられ、この撮影野の周囲には受信コイル303、送信コイル301、傾斜磁場コイル201及び主磁石101がZ軸(体軸)を共軸として同心円状に配置されている。
次に、シーケンス制御部4は、図示しないCPUを備え、システム制御部23から供給されるシーケンス情報に基づいてTOF法が適用された形態計測モードのシーケンス制御信号及びPC法が適用された血流速度計測モードのシーケンス制御信号を生成する。そして、これらのシーケンス制御信号を傾斜磁場発生部2の傾斜磁場電源202及び送受信部3の送信部302へ供給することにより、傾斜磁場コイル201及び送信コイル301に供給されるパルス電流を制御する。
一方、天板5は、ガントリの近傍に設置された図示しない寝台の上面においてZ軸方向にスライド自在に取り付けられ、天板5に載置された被検体150を体軸方向(Z軸方向)に移動することにより被検体150の診断対象部位を撮影野の所望位置に配置する。この場合、診断対象部位が撮影野の近傍に設けられた受信コイル303に対向するような天板5の移動が図示しない天板移動機構部及び天板移動制御部によって行なわれる。
図1へ戻って、形態データ生成部11は、図示しないMR信号記憶部と高速演算部を備えている。そして、TOF法が適用された形態計測モードのパルスシーケンスに基づいて診断対象部位から収集されたMR信号は、受信部304によって中間周波変換、位相検波、更には、A/D変換された後シーケンス制御部4から供給される撮像位置情報を付帯情報として前記MR信号記憶部に保存される。一方、前記高速演算部は、前記MR信号記憶部に一旦保存されたMR信号及び撮像位置情報を読み出し、フーリエ変換による再構成処理を行なって3次元形態データを生成する。
同様にして、流速データ生成部12は、図示しないMR信号記憶部と高速演算部を備え、PC法が適用された血流速度計測モードのパルスシーケンスに基づいて前記診断対象部位から収集されたMR信号は、受信部304において上述の信号処理が行なわれた後撮像位置情報を付帯情報として前記MR信号記憶部に保存される。そして、前記高速演算部は、前記MR信号記憶部に一旦保存されたMR信号及び撮像位置情報を読み出し、フーリエ変換による再構成処理を行なうことにより動脈瘤を含む診断対象部位の内部を流れる血流の3次元流速データを生成する。
尚、PC法では、血流のような移動体から得られるMR信号に対して位相変化を生じさせるために、互いに逆方向の勾配を有した1対のフローエンコード傾斜磁場をスライス選択傾斜磁場方向、位相エンコード傾斜磁場方向及び読み出し傾斜磁場方向の各々に対して印加し、順方向のフローエンコード傾斜磁場を印加して得られたMR信号と逆方向のフローエンコード傾斜磁場を印加して得られたMR信号との差分処理によって新たに得られる差分MR信号を再構成処理することによりフローエンコード傾斜磁場方向に対する血流の流速成分を得ることができる。
この場合、1対からなる上述のフローエンコード傾斜磁場をスライス選択傾斜磁場方向、位相エンコード傾斜磁場方向及び読み出し傾斜磁場方向の各々に対して順次印加して得られたMR信号を差分処理する。そして、得られた差分MR信号を再構成処理することにより3次元形態データの各ボクセルに対応したスライス選択傾斜磁場方向の流速成分Is、位相エンコード傾斜磁場方向の流速成分Ip及び読み出し傾斜磁場方向の流速成分Irを算出し、これらの流速成分に基づいて3次元流速データを生成する。即ち、前記3次元流速データは、3次元形態データの各ボクセルに対応する複数の位置にて算出されたスライス選択傾斜磁場方向の流速成分Is、位相エンコード傾斜磁場方向の流速成分Ip及び読み出し傾斜磁場方向の流速成分Irによって構成される。
データ記憶部13は、形態データ記憶領域と流速データ記憶領域を有し、上述の形態データ生成部11から供給される3次元形態データは前記形態データ記憶領域に、又、流速データ生成部12から供給される3次元流速データは前記流速データ記憶領域に夫々保存される。この場合、心拍時相計測部22において計測された当該被検体の心拍時相情報も3次元形態データ及び3次元流速データの付帯情報として上述の記憶領域に保存される。
一方、画像データ生成部14は、図示しない不透明度・色調設定部とレンダリング処理部を備えている。前記不透明度・色調設定部は、データ記憶部13の形態データ記憶領域に保存された3次元形態データを読み出し、この3次元形態データのボクセル値に基づいて不透明度や色調をボクセル単位で設定する。一方、前記レンダリング処理部は、前記不透明度・色調設定部が設定した不透明度や色調の情報に基づいて上述の3次元形態データをレンダリング処理し、ボリュームレンダリング画像データ等の3次元画像データを生成する。
輪郭抽出部15は、図示しない演算処理部を備え、例えば、領域拡張(region growing)法を適用して動脈瘤内壁の輪郭を抽出する。即ち、前記演算処理部は、データ記憶部13の形態データ記憶領域に保存された3次元形態データを読み出し、更に、表示部20に表示された前記3次元画像データの動脈瘤に対して入力部21が設定する中心位置の情報を受信する。そして、3次元形態データに対し動脈瘤の中心位置を基準とした領域拡張法を適用させて動脈瘤の輪郭を抽出する。例えば、前記演算処理部は、動脈瘤の中心位置を基準とする所定サイズの3次元関心領域を3次元形態データに対して設定し、この3次元関心領域を順次拡大させながらその表面と交叉する3次元形態データのボクセル値と所定の閾値γとを比較する。そして、閾値γより大きなボクセル値を有する3次元形態データのボクセルを動脈瘤の内壁として認識することによりその輪郭を抽出する。
尚、ここでは、領域拡張法を用いて動脈瘤の輪郭を抽出する場合について述べたが、輪郭抽出法は上述の領域拡張法に限定されるものではなく、例えば、marching-cube法のような他の輪郭抽出法を用いて動脈瘤の輪郭を抽出してもよい。
次に、剪断応力計測部16は、図示しない流速値算出部と剪断応力算出部を備えている。前記流速データ算出部は、先ず、上述の3次元形態データのボクセルB(x、y、z)に対応した3次元流速データを構成するスライス選択傾斜磁場方向の流速成分Is(x、y、z)、位相エンコード傾斜磁場方向の流速成分Ip(x、y、z)及び読み出し傾斜磁場方向の流速成分Ir(x、y、z)をデータ記憶部13の流速データ記憶領域から読み出す。次いで、これらの流速成分Is(x、y、z)、Ip(x、y、z)及びIr(x、y、z)を下式(1)へ代入して3次元流速データの絶対値(以下では、3次元流速値と呼ぶ。)Io(x、y、z)を算出する。
Figure 2010207531
一方、前記剪断応力算出部は、動脈瘤の内壁に沿って流れる血液の流速値を上述の3次元流速値Io(x、y、z)に基づいて計測し、更に、この内壁に対して垂直な方向における前記流速値の変化率に基づいて動脈瘤の内壁における剪断応力を算出する。図3は剪断応力の算出方法を示したものであり、動脈流の内壁に与える剪断応力τwは次式(2)によって表すことができる。
Figure 2010207531
ここで、αは血液の粘性係数、uは動脈瘤の内壁に沿った血液の流速値、hは前記内壁からの距離を示している。
次に、図1に示したパラメータ算出部17の具体例につき図4の機能ブロック図を用いて説明する。このパラメータ算出部17は、アスペクト比、平均剪断応力、最小剪断応力及び最大剪断応力を診断パラメータとして算出あるいは抽出する機能を有し、図4に示すようにアスペクト比算出部171、平均剪断応力算出部172、最小剪断応力抽出部173及び最大剪断応力抽出部174を備えている。
アスペクト比算出部171は、輪郭抽出部15から供給される動脈瘤の輪郭データに基づき、動脈瘤の最大内径と最小内径との比(アスペクト比)を算出する。一方、平均剪断応力算出部172は、輪郭抽出部15から供給される前記動脈瘤の輪郭データと剪断応力計測部16から供給される剪断応力の算出結果を受信し、動脈瘤の輪郭データに囲まれた3次元領域(即ち、動脈瘤の内部)にて得られた複数からなる剪断応力の算出結果を加算平均して平均剪断応力を算出する。又、最小剪断応力抽出部173は、前記複数からなる剪断応力の算出結果の中から最小剪断応力を抽出し、最大剪断応力抽出部174は、前記複数からなる剪断応力の算出結果の中から最大剪断応力を抽出する。
尚、上述の最小剪断応力は、通常、図3に示すように動脈瘤の血液流入口Paに対向した頂点Pbの近傍において発生し、この領域における最小剪断応力が小さい程他の領域(動脈瘤の内壁)において大きな剪断応力が発生することが知られている。
再び図1へ戻って、破裂リスク判定部18は、パラメータ算出部17によって算出あるいは抽出されたアスペクト比、平均剪断応力及び最小剪断応力と所定の閾値とを比較することにより動脈瘤に対する破裂リスクを判定する。図5(a)は、破裂リスクの判定に用いる判定基準1乃至判定基準3を示したものであり、これらの判定基準の何れかに該当する動脈瘤は高リスク候補として判定される。即ち、判定基準1に示すように動脈瘤のアスペクト比が閾値β1(β1=1.6)以上である場合、判定基準2に示すように心臓収縮末期(peak systole)の動脈瘤内部にて算出される平均剪断応力が閾値β2(β2=2.96N/m:低リスク動脈瘤が有する平均剪断応力1.48N/mの2倍)以上である場合、あるいは、判定基準3に示すように動脈瘤内壁の頂点近傍にて抽出される最小剪断応力が閾値β3(β3=0.5N/m)以下である場合、この動脈瘤は高リスク候補として判定される。
そして、図5(b)に示すように、上述のアスペクト比、平均剪断応力及び最小剪断応力と閾値β1乃至閾値β3との比較において判定基準1乃至判定基準3の何れにも該当しない場合、この動脈瘤の破裂リスクは低レベル(即ち、破裂の可能性は極めて小さいレベル)にあると判定される。
一方、判定基準1乃至判定基準3の何れか1つに該当する場合の破裂リスクは中レベルにあると判定され、2つ以上の判定基準に該当する場合の破裂リスクは高レベルにあると判定される。
図1へ戻って、高リスク部位検出部19は、動脈瘤の内壁にて得られた複数からなる剪断応力の算出結果の中からパラメータ算出部17の最大剪断応力抽出部174が抽出した最大剪断応力の位置情報に基づいて動脈瘤における高リスク部位を検出する。
一方、表示部20は、図示しない表示データ生成部、データ変換部及びモニタを備え、前記表示データ生成部は、画像データ生成部14にて生成された当該診断対象部位の3次元画像データに高リスク部位検出部19が検出した最大剪断応力を有する高リスク部位の位置情報を重畳し、更に、破裂リスク判定部18によって判定された破裂リスクのレベル情報や入力部21からシステム制御部23を介して供給される当該被検体の被検体情報等を付加して表示データを生成する。そして、前記データ変換部は、得られた表示データを所定の表示フォーマットに変換し前記モニタに表示する。
尚、上述の3次元画像データに重畳される高リスク部位の位置情報は、破裂リスク判定部18による破裂リスクの低レベル、中レベル及び高レベルに対応させてカラー表示される。カラー表示された上述の位置情報を観測することにより、操作者は、破裂リスクが高い部位とその程度を容易に把握することが可能となる。
次に、入力部21は、被検体情報や個人健康情報の入力、計測モードの選択、3次元形態データ収集条件及び3次元流速データ収集条件の設定、3次元画像データ生成条件の設定、高リスク候補の判定に用いる閾値β1乃至閾値β3の設定、輪郭抽出に用いる閾値γの設定、3次元画像データの動脈瘤に対する中心位置の設定、表示データ生成条件の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう。尚、上述の被検体情報として、被検体の氏名、ID、性別、年齢等があり、個人健康情報として、被検体の血圧、喫煙暦及び病歴や家族の病歴等がある。
心拍時相計測部22は、被検体の心電波形に基づいて心拍時相を設定する機能を有し、被検体体表面に装着され心電波形を計測する計測用電極と、この計測用電極によって計測された心電波形を所定の振幅に増幅する増幅回路と、増幅された心電波形をデジタル信号に変換するA/D変換器と、デジタル変換された心電波形に基づいて、例えば、心臓の拡張末期を基準とする1心拍周期に対して心拍時相を設定する心拍時相設定部(何れも図示せず)を備えている。
システム制御部23は、図示しないCPUと記憶回路を備え、MRI装置100を統括して制御する機能を有している。前記記憶回路には、形態計測モードのTOF法及び血流速度計測モードのPC法に適用可能なパルスシーケンスデータが保管され、更に、入力部21にて入力/設定/選択された各種の情報が保存される。そして、前記CPUは、前記記憶回路に保存された上述の情報に基づいてMRI装置100の各ユニットを制御し、当該被検体150の動脈瘤に対する破裂リスクの判定を行なう。
(破裂リスク判定結果の表示手順)
次に、本実施例における破裂リスク判定結果の表示手順につき図6のフローチャートを用いて説明する。
被検体150のMRI撮影に先立ちMRI装置100の操作者は、天板5に載置した被検体150をZ軸方向へ移動することによりその診断対象部位(脳動脈)をガントリの撮影野に配置し、入力部21において被検体情報や個人健康情報の入力、3次元形態データ収集条件及び3次元流速データ収集条件の設定、3次元画像データ生成条件の設定、高リスク候補の判定に用いる閾値β1乃至閾値β3の設定、表示データ生成条件の設定等を行なう(図6のステップS1)。
次いで、操作者は、入力部21において形態計測モードを選択し撮影開始コマンドを入力する。そして、このコマンド信号を受信したシステム制御部23は、MR信号収集部10のシーケンス制御部4に対して形態計測モードに適用されるTOF法のシーケンス情報を供給し、シーケンス制御部4は、このシーケンス情報に基づいて生成したシーケンス制御信号を傾斜磁場発生部2の傾斜磁場電源202及び送受信部3の送信部302へ供給することにより、当該診断対象部位に対するMR信号の収集を、例えば、1心拍周期において行なう。
一方、形態データ生成部11は、自己のMR信号記憶部に一旦保存された形態計測モードのMR信号を再構成処理して3次元形態データを生成し、得られた1心拍周期分の時系列的な3次元形態データは心拍時相計測部22から供給される当該被検体の心拍時相情報と共にデータ記憶部13の形態データ記憶領域に保存される。(図6のステップS2)。
診断対象部位に対する3次元形態データの生成と保存が終了したならば、操作者は、入力部21において血流速度計測モードを選択し撮影開始コマンドを再度入力する。そして、このコマンド信号を受信したシステム制御部23は、MR信号収集部10のシーケンス制御部4に対して血流速度計測モードに適用されるPC法のシーケンス情報を供給し、シーケンス制御部4は、このシーケンス情報に基づいて生成したシーケンス制御信号を傾斜磁場発生部2の傾斜磁場電源202及び送受信部3の送信部302へ供給することにより1心拍周期におけるMR信号の収集を行なう。そして、流速データ生成部12は、自己のMR信号記憶部に一旦保存された血流速度計測モードのMR信号を再構成処理して3次元流速データを生成し、得られた1心拍周期分の時系列的な3次元流速データは当該被検体の心拍時相情報と共にデータ記憶部13の流速データ記憶領域に保存される。(図6のステップS3)。
診断対象部位に対する時系列的な3次元形態データ及び3次元流速データの収集が終了したならば、画像データ生成部14は、データ記憶部13の形態データ記憶領域から読み出した所定心拍時相の3次元形態データをレンダリング処理して3次元画像データを生成し、表示部20のモニタに表示する。
表示部20に表示された3次元画像データを観測した操作者は、この3次元画像データに示された動脈瘤の中心位置を入力部21に設けられた入力デバイスを用いて設定する。次いで、輪郭抽出部15は、データ記憶部13の形態データ記憶領域に保存されている3次元形態データを読み出し、更に、入力部21からシステム制御部23を介して供給される動脈瘤の中心位置情報を受信する。そして、3次元形態データに対し動脈瘤の中心位置を基準とする領域拡張法を適用させて動脈瘤の輪郭を抽出する(図6のステップS4)
一方、剪断応力計測部16は、所定心拍時相における3次元形態データのボクセルに対応した3次元流速データをデータ記憶部13の流速データ記憶領域から読み出し、この3次元流速データを構成するスライス選択傾斜磁場方向、位相エンコード傾斜磁場方向及び読み出し傾斜磁場方向の流速成分に基づいて3次元流速値を算出する。そして、この3次元流速値に基づき動脈瘤の内壁に沿って流れる血液の流速値を計測し、更に、この内壁に対して垂直な方向における前記流速値の変化率に基づいて動脈瘤の内壁における剪断応力を算出する(図6のステップS5)。
次に、パラメータ算出部17は、輪郭抽出部15から供給される動脈瘤の輪郭データに基づいて動脈瘤のアスペクト比を算出し、前記輪郭データに囲まれた領域にて得られた複数からなる剪断応力の算出結果を加算平均して平均剪断応力を算出する。更に、前記複数からなる剪断応力の算出結果の中から最小剪断応力及び最大剪断応力を抽出する(図6のステップS6)。
そして、破裂リスク判定部18は、パラメータ算出部17によって算出あるいは抽出されたアスペクト比、平均剪断応力及び最小剪断応力と所定の閾値とを比較することにより動脈瘤に対する破裂リスクを判定し(図6のステップS7)、高リスク部位検出部19は、パラメータ算出部17が複数からなる剪断応力の算出結果の中から抽出した最大剪断応力の位置情報に基づいて動脈瘤における高リスク部位を検出する(図6のステップS8)。
一方、画像データ生成部14は、データ記憶部13の形態データ記憶領域から読み出した1心拍周期分の3次元形態データをレンダリング処理して時系列的な3次元画像データを生成する(図6のステップS9)。
そして、表示部20は、画像データ生成部14にて生成された時系列的な3次元画像データの各々に高リスク部位検出部19が検出した最大剪断応力を有する高リスク部位の位置情報を重畳し、更に、破裂リスク判定部18によって判定された破裂リスクのレベル情報や入力部21からシステム制御部23を介して供給される当該被検体の被検体情報等を付加して表示データを生成し自己のモニタに表示する(図6のステップS10)。
以上述べた本発明の実施例によれば、動脈瘤に対するMRI撮影によって収集した3次元形態データ及び3次元流速データに基づいて破裂リスクの判定を行なっているため、動脈瘤の破裂リスクを正確かつ容易に判定することができる。このため、破裂リスクの高い動脈瘤を早期に治療することが可能となる。
特に、上述の実施例では、3次元流速データの流速分布情報を用いて動脈瘤内壁に発生する剪断応力を計測し、この剪断応力に基づいて破裂リスクの判定を行なっているため、従来のような形態情報からは得られなかった動脈瘤の機能情報を正確に得ることができる。又、最大剪断応力の発生部位を検出することにより高い破裂リスクを有する動脈瘤の内壁を特定することが可能となる。
更に、上述の3次元形態データ及び3次元流速データは、TOF法及びPC法のパルスシーケンスを適用した非造影MRA撮影によって収集しているため、非侵襲的な検査が可能となり被検体に対する負担を軽減することができる。
次に、本発明の第2の実施例におけるデータ解析装置について説明する。このデータ解析装置は、先ず、別途設置されたMRI装置によって収集され、ネットワーク等を介して供給された当該被検体の動脈瘤を含む診断対象部位(脳動脈)の3次元形態データ及び3次元流速データを一旦保存する。次いで、3次元形態データに基づいた動脈瘤の輪郭抽出と3次元流速データに基づいた動脈瘤内壁における剪断応力の計測を行ない、動脈瘤の輪郭情報及び剪断応力の計測結果に基づいて各種の診断パラメータを算出する。そして、これらの診断パラメータと所定の閾値との比較によって動脈瘤の破裂リスク判定と高リスク部位の位置検出を行ない、前記3次元形態データを処理して生成した3次元画像データに高リスク部位の位置情報と破裂リスクの判定結果を付加して表示部に表示する。
(装置の構成)
本発明の第2の実施例におけるデータ解析装置の構成につき図7を用いて説明する。尚、図7は、前記データ解析装置の全体構成を示すブロック図であり、図1に示した第1の実施例におけるMRI装置100のユニットと同一の構成及び機能を有するユニットは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
即ち、図7に示すデータ解析装置200は、当該被検体の動脈瘤を含む診断対象部位(脳動脈)から予め収集された3次元形態データ及び3次元流速データを保管するデータ保管部24と、このデータ保管部24に保管された3次元形態データをレンダリング処理して3次元画像データを生成する画像データ生成部14と、3次元形態データにおける動脈瘤の輪郭を抽出する輪郭抽出部15と、データ記憶部13に保存された3次元流速データ及び3次元形態データに基づいて動脈瘤の内壁における剪断応力を計測する剪断応力計測部16と、剪断応力の計測結果及び動脈瘤の輪郭情報に基づいて各種の診断パラメータを算出するパラメータ算出部17を備えている。
更に、データ解析装置200は、パラメータ算出部17において算出された診断パラメータと予め設定された閾値との比較により動脈瘤に対する破裂リスクを判定する破裂リスク判定部18と、上述の診断パラメータに基づいて前記動脈瘤における高リスク部位を検出する高リスク部位検出部19と、画像データ生成部14が生成した診断対象部位の3次元画像データに高リスク部位検出部19が検出した高リスク部位の位置情報を重畳し、更に、破裂リスク判定部18による破裂リスクの判定結果を付加して表示する表示部20と、被検体情報の入力や各種コマンド信号の入力等を行なう入力部21aと、データ解析装置200が備える上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部23aを備えている。
データ解析装置200は、別途設置されたMRI装置によって予め収集され、ネットワーク25あるいは図示しない大容量の記憶媒体等を介して供給された当該被検体の診断対象部位に対する3次元形態データ及び3次元流速データを保管する。この場合、3次元形態データ及び3次元流速データの収集時における当該被検体の心拍時相情報も付帯情報として保存される。
一方、入力部21aは、3次元画像データ生成条件の設定、高リスク候補の判定に用いる閾値β1乃至閾値β3の設定、輪郭抽出に用いる閾値γの設定、3次元画像データの動脈瘤に対する中心位置の設定、表示データ生成条件の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう。
システム制御部23aは、図示しないCPUと記憶回路を備え、データ解析装置200を統括して制御する機能を有している。前記記憶回路には、入力部21aにて入力あるいは設定された各種の情報が保存される。そして、前記CPUは、前記記憶回路に保存された上述の入力情報や設定情報に基づいてデータ解析装置200の各ユニットを統括的に制御し、当該被検体150の動脈瘤に対する破裂リスクの判定を行なう。
尚、本実施例における破裂リスク判定結果の表示手順は、図6のフローチャートに示したステップS4乃至ステップ10の手順と同様であるため説明は省略する。
以上述べた本発明の実施例によれば、動脈瘤に対するMRI撮影によって予め収集された3次元形態データ及び3次元流速データに基づいて破裂リスクの判定を行なっているため、動脈瘤の破裂リスクを正確かつ容易に判定することができる。このため、破裂リスクの高い動脈瘤を早期に治療することが可能となる。
特に、3次元流速データの流速分布情報を用いて動脈瘤内壁に発生する剪断応力を計測し、この剪断応力に基づいて破裂リスクの判定を行なっているため、従来のような形態情報からは得られなかった動脈瘤の機能情報を正確に得ることができる。又、最大剪断応力の発生部位を検出することにより高い破裂リスクを有する動脈瘤の内壁を特定することが可能となる。
更に、別途設置されたMRI装置からネットワークあるいは記憶媒体等を介して供給される3次元形態データ及び3次元流速データを用いて動脈瘤の破裂リスクを判定することができるため、操作者は、時間や場所の制約をあまり受けることなく当該被検体の動脈瘤に対する診断を効率よく行なうことができる。
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例では、TOF法のパルスシーケンスを適用した非造影MRA撮影によって動脈瘤を含む血管の3次元形態データを収集し、更に、PC法のパルスシーケンスを適用した非造影MRA撮影によって動脈瘤内の3次元流速データを収集する場合について述べたが、他の方法によって3次元形態データや3次元流速データを収集してもよい。例えば、血管の3次元形態データは、Gd-DTPA等の造影剤を注入した状態で行なわれる造影MRA撮影や磁化の定常状態を利用したTrueSSFP法あるいは特開2000−5144号公報等に記載されているFBI法のパルスシーケンスを適用した非造影MRA撮影によって収集してもよい。
又、頭部の脳動脈を診断対象部位とし、この脳動脈に発生した動脈瘤に対して破裂リスクの判定を行なう場合について述べたが、他の部位に発生した動脈瘤あるいは静脈瘤に対する破裂リスクの判定であっても構わない。
更に、領域拡張法を用いて動脈瘤の輪郭抽出を行なう場合について述べたが、例えば、maching-cube法のような他の輪郭抽出法を用いてもよい。又、独立したユニット(即ち、形態データ生成部11と流速データ生成部12)によって3次元形態データと3次元流速データを生成する場合について述べたが、同一のユニットによってこれらのデータを生成してもよい。
一方、上述の実施例では、3次元形態データの各ボクセルに対応させて3次元流速データを生成する場合について述べたが、これに限定されるものではなく、3次元流速データは任意の位置において生成してもよい。又、破裂リスクの判定に使用される閾値β1乃至β3の値は、図5に示した数値に限定されない。
更に、上述の実施例における画像データ生成部14は、3次元形態データをレンダリング処理して3次元画像データを生成する場合について述べたが、MIP(maximum intensity projection)画像データであっても構わない。この場合、表示部20は、画像データ生成部14が生成した診断対象部位のMIP画像データに高リスク部位検出部19が検出した高リスク部位の位置情報を重畳し、更に、破裂リスク判定部18による破裂リスクの判定結果を付加して表示する。
又、上述の実施例では、診断パラメータとしてパラメータ算出部17が算出あるいは抽出した動脈瘤のアスペクト比や動脈瘤内壁の平均剪断応力及び最小剪断応力と所定の閾値β1乃至閾値β3とを比較することによって動脈瘤が有する破裂リスクのレベルを判定する場合について述べたが、破裂リスクのレベル判定に用いる診断パラメータの数は上述の3つに限定されない。
10…MR信号収集部
11…形態データ生成部
12…流速データ生成部
13…データ記憶部
14…画像データ生成部
15…輪郭抽出部
16…剪断応力計測部
17…パラメータ算出部
171…アスペクト比算出部
172…平均剪断応力算出部
173…最小剪断応力抽出部
174…最大剪断応力抽出部
18…破裂リスク判定部
19…高リスク部位検出部
20…表示部
21、21a…入力部
22…心拍時相計測部
23、23a…システム制御部
24…データ保管部
100…MRI装置
200…データ解析装置

Claims (10)

  1. 所定のパルスシーケンスを適用したMRA撮影により被検体の動脈瘤を含む診断対象部位が発生するMR信号を収集するMR信号収集手段と、
    前記MR信号を処理して前記診断対象部位の3次元形態データを生成する形態データ生成手段と、
    前記3次元形態データに基づいて前記動脈瘤の輪郭を抽出し、輪郭データを生成する輪郭抽出手段と、
    前記MR信号を処理して前記診断対象部位の3次元流速データを生成する流速データ生成手段と、
    前記輪郭データと前記3次元流速データに基づいて前記動脈瘤における剪断応力を計測する剪断応力計測手段と、
    前記剪断応力の計測結果あるいはこの剪断応力の計測結果と前記輪郭データに基づいて前記動脈瘤の破裂リスクを判定する破裂リスク判定手段と、
    前記破裂リスクの判定結果を表示する表示手段とを
    備えたことを特徴とするMRI装置。
  2. 前記破裂リスク判定手段は、前記輪郭データに基づいた前記動脈瘤のアスペクト比、前記剪断応力の計測結果に基づいた前記動脈瘤における平均剪断応力及び最小剪断応力の少なくとも何れかと所定の閾値とを比較することにより前記動脈瘤の破裂リスクを判定することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  3. 前記剪断応力の計測結果から抽出された最大剪断応力の位置情報に基づいて前記動脈瘤の高リスク部位を検出する高リスク部位検出手段と、前記3次元形態データを処理して画像データを生成する画像データ生成手段を備え、前記表示手段は、前記画像データに前記破裂リスクの判定結果と前記高リスク部位の位置情報を付加して表示することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  4. パラメータ算出手段を備え、前記パラメータ算出手段は、前記破裂リスクの判定に必要な前記アスペクト比、前記平均剪断応力及び前記最小剪断応力を前記輪郭データ及び前記剪断応力の計測結果に基づいて算出あるいは抽出することを特徴とする請求項2記載のMRI装置。
  5. パラメータ算出手段を備え、前記パラメータ算出手段は、前記高リスク部位の検出に必要な前記最大剪断応力を前記剪断応力の計測結果の中から抽出することを特徴とする請求項3記載のMRI装置。
  6. 前記画像データ生成手段は、前記3次元形態データを処理して3次元画像データあるいはMIP(maximum intensity projection)画像データの何れかを生成することを特徴とする請求項3記載のMRI装置。
  7. 前記形態データ生成手段は、TOF(time of flight)法のパルスシーケンスが適用されたMRA撮影によって得られるMR信号に基づいて前記3次元形態データを生成することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  8. 前記流速データ生成手段は、PC(phase contrast)法のパルスシーケンスが適用されたMRA撮影によって得られるMR信号に基づいて前記3次元流速データを生成することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  9. 前記輪郭抽出手段は、前記3次元形態データに対し領域拡張法を適用して前記動脈瘤の輪郭を抽出することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
  10. MRI装置によって収集された動脈瘤を含む診断対象部位の3次元形態データ及び3次元流速データを保管するデータ保管手段と、
    前記3次元形態データに基づいて前記動脈瘤の輪郭を抽出し、輪郭データを生成する輪郭抽出手段と、
    前記輪郭データと前記3次元流速データに基づいて前記動脈瘤における剪断応力を計測する剪断応力計測手段と、
    前記剪断応力の計測結果あるいはこの剪断応力の計測結果と前記輪郭データに基づいて前記動脈瘤の破裂リスクを判定する破裂リスク判定手段と、
    前記破裂リスクの判定結果を表示する表示手段とを
    備えたことを特徴とするデータ処理装置。
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