JP2010205903A - 利得平坦化されたカスケード型光ファイバ増幅器、該増幅器の利得等化器を設計する装置、および、該増幅器の利得等化器を設計する方法 - Google Patents

利得平坦化されたカスケード型光ファイバ増幅器、該増幅器の利得等化器を設計する装置、および、該増幅器の利得等化器を設計する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、石英系EDFA以外のカスケード型増幅器に利得等化器を設置する場合の当該利得増幅器の設計方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の設計方法は、カスケード型増幅器の利得等化器の設計方法であり、i)利得等化器の設置位置に可変光減衰器を挿入して利得スペクトルを測定すること、ii)所定要件を満たす利得等化器の損失スペクトルを導出すること、iii)計算上の利得等化帯域を導出すること、iv)導出された計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対して所望の利得等化帯域より狭い場合には該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広い場合には可変光減衰器の損失を低下させること、v)目的の利得等化帯域が得られるまで上記i)〜iv)の過程を繰り返し、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を決定することを含む。
【選択図】図11

Description

本発明は、利得平坦化されたカスケード型光ファイバ増幅器、前記利得平坦型光ファイバ増幅器に組み込まれる利得等化器を設計するための設計装置、および、前記利得等化器を設計するための方法に関する。
近年、光ファイバ通信の伝送容量は急速に増加し、波長分割多重(WDM)信号の伝送帯域は増加している。それに伴い中継器として用いられる光ファイバ増幅器の増幅帯域の拡大が検討されている。現行の光伝送システムでは、C帯(1530〜1565nm)およびL帯(1565−1625nm)を増幅可能であり、石英系ガラスを増幅用ファイバのホストガラスとするエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)が主流である。CおよびL帯以外の光ファイバ増幅器として、O帯(1260〜1360nm)のプラセオジム添加フッ化物光ファイバ増幅器(PDFA)、S帯(1460〜1530nm)のツリウム添加フッ化物光ファイバ増輻器(TDFA)等があり、次世代の信号帯域の光ファイバ増幅器として期待されている。
広帯域且つ多中継伝送を行う場合には、光ファイバ増幅器の利得偏差に起因して伝送特性が劣化するため、利得等化器を用いて各段の光ファイバ増幅器の利得スペクトルを平坦化する必要がある。利得等化器を光ファイバ増幅器の前段に設置する場合には高雑音となり、また後段に設置する場合には低効率である。このため、光ファイバ増幅器の増幅媒体を二分して、カスケード型(直列多段型)の構成にし、その多段の増幅器の中間に利得等化器を設置し、低雑音と高効率を同時に実現する方法を取ることが多い。例えば、非特許文献1には、多段の増幅器の中間に利得等化器を挿入した光増幅器の例が記載されている。
H Masuda, A Mori, K. Shikano, K. Oikawa, K. Kato, M. Shimizu, "Ultra-wide-band hybrid tellurite/silica fiber Raman amplifier", Optical Fiber Communication Conference and Exhibit 2002 (OFC 2002:光ファイバ通信に関する国際会議および展示会)予稿集,pp. 388-390, 2002年3月発行 「エルビウム添加光ファイバ増幅器」p222〜223、編者:須藤昭一、オプトロニクス社 「エルビウム添加光ファイバ増幅器」p33、編者:須藤昭一、オプトロニクス社 B. R. Judd, "Optical absorption intensities of rare-earth ions," Phys. Rev., vol. 127, no.3, pp.750-761 (1962) G. S. Oflet, "Intensities of crystal spectra of rare-earth ions," J. Chem. Phys., vol. 37, no.3, pp. 511-520 (1962)
石英系EDFAのカスケード型増幅器に利得等化器を設置する場合、利得等化器の設計方法は確立されている。しかし、添加するイオンやホストガラスの種類を変えると、この確立されている方法をそのまま適用できないことが多い。石英系EDFA以外のカスケード型増幅器(例えば、イオン密度を考慮すべき準位が3つ以上である希土類イオンを含有する増幅媒体を用いたカスケード型光ファイバ増幅器)においては、上記設計方法をそのまま用いたとしても、利得スペクトルの平坦化は実現できない。
そこで、本発明は、石英系EDFA以外のカスケード型増幅器に利得等化器を設置する場合の当該利得増幅器の設計方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記設計方法を用いて設計された利得等化器と該利得等化器を組み込んだ光増幅器を提供することを目的とする。
更に、本発明は、上記設計方法に用いられる設計装置を提供することを目的とする。
上記目的は、以下の本発明により解決される。
本発明の第一は、複数の増幅媒体もしくは増幅器と、それらの中間位置の少なくとも1つの位置に設けられた利得等化器を備えた、利得平坦化されたカスケード型(直列多段型)希土類添加光ファイバ増幅器に関する。このカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器は、前記利得等化器が、以下の過程で設定された損失スペクトルの形状と利得等化帯域を有することを特徴とする。
i) 前記利得等化器の設置位置に該利得等化器に代えて可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の信号光入力部よりWDM信号光を入力し、利得スペクトルを測定すること、
ii) 所望の波長帯域において、i)で測定した利得スペクトルのスペクトル形状を有すること、前記可変光減衰器を通過する時のWDM信号光の総パワーに対する損失が、前記利得等化器を通過する時の損失と等しくなること、の2条件を満たす利得等化器の損失スペクトルを導出すること、
iii) (a)計算上の利得等化後の利得スペクトルを、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和(dB換算)にii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差(dB換算)をとった値として定義し、この定義により導出された利得等化後の利得スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、または、
(b)前記ii)で導出された損失スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、
のいずれかにより、計算上の利得等化帯域を導出し、導出された計算上の利得等化帯域を、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と比較し、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するか否かを判定すること、
iv)前記iii)の比較の結果として、導出された計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域より狭い場合には該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広い場合には該可変光減衰器の損失を低下させること、
v)目的の利得等化帯域が得られるまで上記i)〜iv)の過程を繰り返し、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を決定すること。
本発明の上記カスケード型光ファイバ増幅器では、iii)の利得等化後の利得スペクトルを導出する際に補正関数を組み込むことができる。
更に、本発明の上記カスケード型光ファイバ増幅器では、励起状態もしくは増幅状態にある場合に増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、イオン密度をゼロに近似できないエネルギー準位を3つ以上有することを特徴とする。
本発明の上記カスケード型光ファイバ増幅器では、励起状態もしくは増幅状態にある場合に増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、緩和率(発光緩和率と非発光緩和率の合計)がl×10−1以下であるエネルギー準位を3つ以上有することを特徴とする。
本発明の第二は、カスケード型希土類添加光ファイバ増幅器を構成する複数の増幅媒体もしくは増幅器の中間位置の少なくとも1つの位置に挿入する利得等化器の設計方法に関する。本発明の設計方法は、以下の過程を具備する。
i) 前記利得等化器の設置位置に該利得等化器に代えて可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の信号光入力部よりWDM信号光を入力し、利得スペクトルを測定すること、
ii) 所望の波長帯域において、i)で測定した利得スペクトルのスペクトル形状を有すること、前記可変光減衰器を通過する時のWDM信号光の総パワーに対する損失が、前記利得等化器を通過する時の損失と等しくなること、の2条件を満たす利得等化器の損失スペクトルを導出すること、
iii) (a)計算上の利得等化後の利得スペクトルを、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和(dB換算)にii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差(dB換算)をとった値として定義し、この定義により導出された利得等化後の利得スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、または、
(b)前記ii)で導出された損失スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、
のいずれかにより、計算上の利得等化帯域を導出し、導出された計算上の利得等化帯域を、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と比較し、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するか否かを判定すること、
iv)前記iii)の比較の結果として、導出された計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域より狭い場合には該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広い場合には該可変光減衰器の損失を低下させること、
v)目的の利得等化帯域が得られるまで上記i)〜iv)の過程を繰り返し、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を決定すること。
本発明の利得等化器の設計方法では、iii)の利得等化後の利得スペクトルを導出する際に補正関数を組み込むことができる。
更に、本発明の利得等化器の設計方法では、励起状態もしくは増幅状態にある場合に増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、イオン密度をゼロに近似できないエネルギー準位を3つ以上有することを特徴とする。
本発明の利得等化器の設計方法では、励起状態もしくは増幅状態にある場合に増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、緩和率(発光緩和率と非発光緩和率の合計)がl×10−1以下であるエネルギー準位を3つ以上有することを特徴とする。
本発明の第三は、カスケード型希土類添加光ファイバ増幅器を構成する複数の増幅媒体もしくは増幅器の中間位置の少なくとも1つの位置に挿入する利得等化器を設計するための装置に関する。本発明の設計装置は、可変光減衰器、WDM信号光の利得を測定する光検出器、計算回路、可変光減衰器制御回路から構成される。
本発明の設計装置では、下記過程により目的の利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を算出する。
i) 前記利得等化器の設置位置に該利得等化器に代えて可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の信号光入力部よりWDM信号光を入力し、利得スペクトルを測定すること、
ii) 所望の波長帯域において、i)で測定した利得スペクトルのスペクトル形状を有すること、前記可変光減衰器を通過する時のWDM信号光の総パワーに対する損失が、前記利得等化器を通過する時の損失と等しくなること、の2条件を満たす利得等化器の損失スペクトルを導出すること、
iii) (a)計算上の利得等化後の利得スペクトルを、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和(dB換算)にii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差(dB換算)をとった値として定義し、この定義により導出された利得等化後の利得スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、または、
(b)前記ii)で導出された損失スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、
のいずれかにより、計算上の利得等化帯域を導出し、導出された計算上の利得等化帯域を、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と比較し、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するか否かを判定すること、
iv)前記iii)の比較の結果として、導出された計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域より狭い場合には該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広い場合には該可変光減衰器の損失を低下させること、
v)目的の利得等化帯域が得られるまで上記i)〜iv)の過程を繰り返し、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を決定すること。
本発明の利得等化器の設計装置では、iii)の利得等化後の利得スペクトルを導出する際に補正関数を組み込んだ回路を備えていてもよい。
本発明の利得等化器の設計装置は、励起状態もしくは増幅状態にある場合に増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、イオン密度をゼロに近似できないエネルギー準位を3つ以上有することを特徴とする。
本発明の利得等化器設計装置において、励起状態もしくは増幅状態にある揚合に増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、緩和率(発光緩和率と非発光緩和率の合計)がl×10−1以下であるエネルギー準位を3つ以上有することを特徴とする。
本発明の方法を用いて作製した利得等化器を用いることで、石英系EDF以外の増幅媒体(例えば、イオン密度を考慮すべき準位が3つ以上である希土類イオンを含有する増幅媒体)を用いたカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器においても容易に利得等化器を設計することが可能となる。また、本発明の設計方法は容易に装置化が可能であり、設計の自動化が可能であるという特徴を有する。
石英系EDFAのカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の利得等化器の設計方法を説明するための図である。 石英系EDFAのカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の利得等化器の設計方法を、TDFAのカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器に適用した場合の挙動を説明するための図である。 TDFAのカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器に石英系EDFAのカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の利得等化器の設計方法を適用できない理由を説明するための図である。 仮想利得等化器(GEQ)として可変光減衰器用いた場合の利得スペクトルを示すグラフである。 石英系EDFAとフッ化物EDFAのイオン密度分布の相違を説明するための図である。 本発明の利得等化器の設計方法を説明するためのフロー図である。 本発明の利得等化器の設計方法を説明するための図である。 本発明の利得等化器の等化利得の最大値と補正値の相関関係を示すグラフである。 利得偏差の緩和率依存性を示すグラフである。 変換効率の緩和率依存性を説明するための図である。 本発明のカスケード型増幅器の一例を示す概略図である。 本発明による利得等化器の設計装置の概要図である。 本発明による利得等化器の別の設計装置の概略図である。 利得等化器の損失スペクトルを示したグラフである。 本発明の設計方法により設計した利得等化器を用いた場合の、利得等化後の利得および雑音指数スペクトルを示すグラフである。
石英系EDFAでは、カスケード型(直列多段型ともいう)希土類添加光ファイバ増幅器の利得等化器の設計方法は確立されている。しかし、添加するイオンやホストガラスの種類を変えるとその方法を適用できないことが多い。本発明は、従来の設計方法が適用できないカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の利得等化器の設計方法を提供し、併せて、この設計方法に基づいて設計された利得等化器を含むカスケード型希土類添加光ファイバ光増幅器、および該利得等化器の設計装置を提供する。
本明細書では、まず、石英系EDFAのカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器(本明細書では、簡略化のため、カスケード型石英系EDFAとも称する)の利得等化器の設計方法を説明する。次に、その設計方法が適用できない例として、添加希土類イオンがツリウムであるS帯のツリウム添加光ファイバ増幅器(TDFA)、およびフッ化物EDFAのカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器(本明細書では、従来の設計方法が適用できないカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器を簡略化のため、「カスケード型増幅器」とも称する)について説明する。この後、本発明の利得等化器の設計方法を説明し、この設計方法で設計された利得等化器を含む本発明のカスケード型増幅器、および該利得等化器の設計装置について説明する。
1.カスケード型石英系EDFAの利得等化器の設計方法
現在、カスケード型石英系EDFAで用いられている利得等化器の設計は、利得等化器を介在させずに複数の石英系EDFAを接続し、多段増幅器の利得スペクトルを測定して所望の利得等化帯域の過剰利得部分を利得等化器の損失スペクトルとして設定することで実現される。
2段型カスケード光ファイバ増幅器の場合を例に取り、図1を参照して、具体的に2段カスケード型石英系EDFAの利得等化器の設計方法について説明する。その設計の手順は以下の通りである。
まず、図1(a)に示すように、EDFAを2段に接続し、利得等化器を中間に挿入しない増幅器を準備する。
(1)この増幅器の利得スペクトル(I)を測定する。
(2)目的の利得等化スペクトル(II)と(1)で測定した利得スペクトル(I)の差((I)−(II))で表される利得等化器の損失スペクトル(III)を算出する。ここで、算出された利得等化器の損失スペクトル(III)は、図1(a)で、EDFAの後段に仮想的に記載されている利得等化器(GEQ)と同じ損失スペクトルの形状および波長帯域を有する。
(3)算出された利得等化器の損失スペクトル(III)を有する利得等化器(GEQ)を作製し、この利得等化器をカスケード型光ファイバ増幅器の中間段へ挿入して利得スペクトル(IV)を測定する。
この測定された利得等化後の利得スペクトル(IV)は、上記(2)で算出した、目的の利得等化後のスペクトル(II)と一致する。
このように、カスケード型石英系EDFAの利得等化器の上記設計方法により得られた利得等化器は、設計時と実際に増幅器に組み込んだ場合で同じ利得等化スペクトルを与える(但し、損失媒体である利得等化器は、仮想的に記載した挿入位置と実際に挿入する中間段で位置が異なるため、利得等化器設計時(図1(a))と実際に組み込んだ時(図1(b))の励起光パワーは異なる。)。
2.カスケード型増幅器の利得等化器の設計に上記1.の方法を適用した場合
2−1.カスケード型TDFA
カスケード型石英系EDFAの利得等化器の設計方法を適用することができない増幅器の例として、カスケード型TDFAの例を挙げる。TDFAにおいて石英系EDFAの方法を適用した場合の概念図を図2に示す。上記1.の方法に従い、2段型TDFAに対する利得等化器を作製し(図2(a))、得られた利得等化器をカスケード型増幅器の中間段に挿入すると、目的の利得平坦化された利得スペクトルが得られない(図2(b))。
上記のように、TDFAで平坦化された利得スペクトルが得られない理由を、図3を参照しながら説明する。
利得等化器を設計するためには目的の利得スペクトルを設定し、一定に保持することが必要であるが、そのためには増幅作用を発生する希土類イオンの増幅始準位および終準位のイオン密度を一定に保持する必要がある。即ち、増幅始準位のイオン密度をNとし、増幅終準位のイオン密度をNとした場合、N=一定およびN=一定となる必要がある。カスケード型石英系EDFAの利得等化器の設計方法で設計し、作製した利得等化器をカスケード型増幅器の増幅媒体または増幅器の間の位置に挿入すると後段の増幅媒体または増幅器への入力信号光パワーが変化し、各準位のイオン密度に変化が生じる。石英系EDFAの場合、図3(a)に示すように利得スペクトルを決定する上でイオン密度を考慮すべき準位(イオン密度をゼロに近似できない準位)が増幅始準位(13/2)と増幅終準位(15/2)の2つのみであるので、入力信号パワーが変化(図3(a)では増加した場合を示した)して各準位のイオン密度が変化したとしても(図3(a)(1)〜(2))、後段の増幅媒体または増幅器の励起光パワーを調整することにより1つの準位のイオン密度を所望値にすれば、もう1つの準位のイオン密度も所望値となる(図3(a)(2)〜(3))。例えば、励起光パワーを調整することにより増幅終準位のイオン密度Nが所望値に設定されれば、増幅始準位のイオン密度Nが所望の値に設定される(図3(a)、式(1))。
Figure 2010205903
一方、TDFAの場合、図3(b)に示すように、イオン密度を考慮すべき準位として、増幅始準位()と増幅終準位()の他にもう1つの準位()が存在する。このため、石英系EDFAで用いられるような励起光パワーの調整では各準位のイオン密度を一定に保持することができない。詳細に説明すると、入力信号光パワーが変化(図3(b)では増加した場合を示した)した場合(図3(b)(1)〜(2))、所望のNになるように励起光パワーを調整すると、アップコンバージョン励起の一段目()の励起速度も同時に変化し、基底準位のイオン密度(N)が変化する(図3(b)(2)〜(3))。その結果、増幅始準位()と増幅終準位()のイオン密度の総和(N+N)に変化が生じ、増幅終準位の所望値のイオン密度Nを得ることができない(図3(b)、式(2))。
Figure 2010205903
図4は、2段のカスケード型TDFAにおいて波長無依存の可変光減衰器(ATT)をTDFAの中間段に挿入し、可変光減衰器の損失値を変えることで後段の増幅器への入力信号光パワーを変化させたときに、前段と後段のそれぞれのツリウム添加光ファイバ単体での利得を合算した利得スペクトルである。1482nmの利得が一致するように後段光ファイバへの励起光パワーを調整した。石英系EDFAのようにイオン密度を考慮すべき準位が2つのみであれば、励起光パワーを調節すれば測定した波長帯域(1480〜1510nm)で可変光減衰器の損失値を変えても同一の利得スペクトルが得られる。しかしながら、カスケード型TDFAでは、図4から分かるように可変光減衰器の損失値が増加するに従い、長波長側の利得が減少しており、同一の利得スペクトルが得られなかった。これは、カスケード型TDFAでは、カスケード型石英系EDFAの設計方法により得られた利得等化器を用いて、増幅始準位および増幅終準位のイオン密度を所望値にすることができないことを表している。つまり、カスケード型TDFAにカスケード型石英系EDFAの利得等化器の設計方法は適用できないのである。
2−2.カスケード型フッ化物EDFA
次に、カスケード型石英系EDFAの利得等化器の設計方法を適用することができない増幅器の例として、カスケード型フッ化物EDFAの例を挙げる。この例において、カスケード型石英系EDFAの方法を適用した場合について図5を参照して説明する。カスケード型フッ化物EDFAについての、図2に示した利得等化器設計時の利得スペクトルの挙動については、カスケード型TDFAと同じであるので、ここでは増幅状態におけるイオン密度についてのみ対比させる。図5は、0.98μmの励起光を用いた場合に、基底準位の15/2から11/2へ励起したときの結果を示す。石英系EDFAでは11/2から13/2への緩和率が非常に高いためNはほぼゼロになる。そのため、イオン密度を考慮すべき準位は2つ(12/315/2)である。一方、フッ化物EDFAでは11/2から13/2への緩和率が小さいため、Nのイオン密度を無視できなくなる。つまり、フッ化物EDFAではイオン密度を考慮すべき準位は3つ(11/212/3および15/2)となる。従って、カスケード型フッ化物EDFAはカスケード型TDFAと同様に、カスケード型石英系EDFAの利得等化器設計方法を適用することができない。
3.本発明のカスケード型増幅器の利得等化器の設計方法
上述のように、カスケード型増幅器の励起状態や増幅状態においてイオン密度を考慮すべき準位(イオン密度を0に近似できない準位)が3つ以上あるカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器では、後段の増幅媒体または増幅器への入力信号光パワーが変化すると、増幅始準位と終準位のイオン密度の総和量が変化する。このため、利得等化器を挿入しない状態の利得スペクトルから利得等化器を設計するのは困難である。そこで、本発明は、利得等化器の設計時と利得等化器の挿入時で後段の増幅媒体または増幅器への入力信号光パワーが変化しないようにすることで上記問題を解決した新たな利得等化器の設計方法を提案するものである。
本発明では、利得等化器を設計する際に、カスケード型増幅器の利得等化器の設置位置に利得等化器に代えて可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器を用いる。このような可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器で、以下の過程i)〜v)を実施し、利得等化器の損失スペクトルの形状と波長帯域を求める。
i) 前記利得等化器の設置位置に該利得等化器に代えて可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の信号光入力部よりWDM信号光を入力し、利得スペクトルを測定すること、
ii) 所望の波長帯域において、i)で測定した利得スペクトルのスペクトル形状を有すること、前記可変光減衰器を通過する時のWDM信号光の総パワーに対する損失が、前記利得等化器を通過する時の損失と等しくなること、の2条件を満たす利得等化器の損失スペクトルを導出すること、
iii) (a)計算上の利得等化後の利得スペクトルを、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和(dB換算)にii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差(dB換算)をとった値として定義し、この定義により導出された利得等化後の利得スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、または、
(b)前記ii)で導出された損失スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、
のいずれかにより、計算上の利得等化帯域を導出し、導出された計算上の利得等化帯域を、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と比較し、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するか否かを判定すること、
iv)前記iii)の比較の結果として、導出された計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域より狭い場合には該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広い場合には該可変光減衰器の損失を低下させること、
v)目的の利得等化帯域が得られるまで上記i)〜iv)の過程を繰り返し、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を決定すること。
ここで、上記過程iii)において目的の利得等化帯域を算出する際の、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和は、dB換算による場合であり、透過率換算による場合は積となる。また、上記和とii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差は、dB換算による場合であり、透過率換算による場合は除となる。本明細書の説明では、dB換算による場合を説明するが、本発明は透過率換算による場合も包含する。
上記各過程について図6および図7を参照して詳述する。図6は本発明の設計方法の概念を示すフロー図である。また、図7はその設計の手順(上記i)〜v))を説明するための概略図である。図7は2段型の場合を示す。
まず、図7(a)に示すように、カスケード型増幅器の増幅媒体または増幅器(図7でアンプと表示した)の間に利得等化器を仮想した可変光減衰器(当技術分野ではATTまたはVOAとも称される)を挿入した増幅器を準備する(本明細書では、このカスケード型増幅器の増幅媒体の間に可変光減衰器(ATT)を挿入したものをATT挿入増幅器とも称する。)。
次に、図6に示すように、設計を開始(S602)し、ATT挿入増幅器のATT値および励起光パワーを調製する(S604)。ATTの最初の損失スペクトルとして、所望の損失スペクトル(I)を設定する。このATTの損失スペクトル(I)は、所望のカスケード型増幅器の利得等化帯域から所望値が任意に設定される。
(A)過程i)
ATTの損失スペクトル(I)を調整した後のATT挿入増幅器に信号光入力部よりWDM信号光を入力し、利得スペクトル(II)を測定する(図6、S606)。
(B)過程ii)
過程ii)は、利得等化器の損失スペクトルの形状を特定する。
具体的には、所望の波長帯域において、i)で測定した利得スペクトルのスペクトル形状を有すること、可変光減衰器を通過する時のWDM信号光の総パワーに対する損失が、設計される利得等化器を通過する時の損失と等しくなること、の2条件を満たす、利得等化器の損失スペクトル(III)を導出する(図6、S608)。利得等化器の損失スペクトルは、以下の手順により算出される。
可変光減衰器を使用したときの可変光減衰器から出力されるn波のWDM信号の総出力信号光パワーをPtotal−ATT(図7(a)のA点の総出力信号光パワー。実測またはATTの損失から求められる。)、利得等化器を使用したときの利得等化器から出力されるn波のWDM信号の総出力信号光パワーをPtotal−GEQとすると、下式(3)〜(5)となる。これにより、WDM信号が可変光減衰器を通過時に発生する総信号パワーに対する損失が、利得等化器を通過時の損失と一致しかつ、上記i)で測定した利得スペクトル(II)の所望の波長帯域のスペクトル形状と等しくなるように利得等化器の損失スペクトル(III)を導出できる。
Figure 2010205903
Figure 2010205903
Figure 2010205903
ここでP(λ)は可変光減衰器もしくは利得等化器に入力されるi番目のWDM信号光のパワー(単位:dBm)、Lは波長無依存の可変光減衰器の損失(単位:dB)、M(λ)はi番目のWDM信号波長位置における利得等化器の損失(単位:dB)、Gflatは利得等化後の各信号波長の利得、G(λ)は設計段階で可変光減衰器を挿入したときのカスケード型増幅器全体におけるi番目のWDM信号の利得(単位;dB)である。
M(λ)の算出は、上記設計手順i)でL(可変光減衰器の損失値。図7(a)の(I))を設定後、任意に設定したGflatより得られるM(λ)がPtotal−ATT=Ptotal−GEQを成立させるまでGflatを調整することで算出される。ここで、G(λ)は手順i)で測定される可変光減衰器を挿入したときのカスケード型増幅器全体におけるi番目のWDM信号の利得(図7(a)の(II)のi番目のWDM信号の利得)に相当する。上記の算出結果のM(λ)それぞれから、利得等化器の損失スペクトル(III)が算出さ、利得等化器の損失スペクトルの形状が特定できる。
本発明において、総信号パワーに対する損失を対象とするのは、利得スペクトルの形状を反映する利得等化器の損失スペクトルと波長無依存の可変光減衰器の波長無依存の損失とでは損失スペクトル形状が異なるので、単純に損失の積分値を等しくしても後段アンプへ出力される総信号光パワーは等しくならないことによる。
可変光減衰器から出力するWDM信号光のパワーの代わりに、可変光減衰器に入力するWDM信号光パワー(P(λ))を測定し、式(3)〜(5)を用いて本発明の利得等化器を設計することが可能である。また、上記の本発明の説明では、可変光減衰器の損失特性が波長無依存のものを用いているが、可変時の損失特性を把握することができるならば、式(5)のL値を波長ごとに設定して、本発明の利得等化器を設計することも可能である。
(C)過程iii)
過程iii)では、利得等化器の波長帯域を導出する(図6、S610)。本発明では波長帯域の導出に2つの手法を用いることができる。
第一の手順では、(a)計算上の利得等化後の利得スペクトルを、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和(dB換算)にii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差(dB換算)をとった値として定義し、この定義により導出された利得等化後の利得スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出する。
具体的な導出手順を、図7により説明する。上記過程i)で測定した利得スペクトル(II)に可変光減衰器の損失スペクトル(I)を加算(dB換算)し、可変光減衰器の損失を含まない利得スペクトル((I)+(II))を算出する。この(I)+(II)で得られる利得スペクトルは、可変光減衰器を除いた前段と後段の増幅媒体または増幅器の利得スペクトルを足したもの(dB換算)に相当する。次に、この(I)+(II)で表される可変光減衰器の損失を含まない利得スペクトルと上記過程ii)で導出した利得等化器の損失スペクトル(III)から、予想される利得等化後の利得スペクトルを下式(6)として定義する。
利得等化後の利得スペクトル(dB)=(I)+(II)−(III) (6)
この式(6)は、図7(b)の利得等化後の利得スペクトル(IV)を導き出すことに相当する。即ち、図7に示されるように、可変光減衰器の損失を含まない利得スペクトル((I)+(II))から利得等化器の損失スペクトル(III)を差し引くことにより、利得等化後の利得スペクトル(IV)を求める。この利得スペクトル(IV)の平坦化された部分の波長の下限および上限値から利得等化帯域を求める。
なお、本明細書において、「利得等化帯域」とは、利得等化を行う波長の下限値から上限値の波長範囲を含めた概念をいう。具体的に、例えば1480〜1510nmの利得等化帯域といった場合、「利得等化帯域」は、30nmの帯域幅に加えて、下限値1480nmと上限値1510nmの間の波長範囲を含めた概念をいう。
第二の手順では、(b)上記ii)で導出された損失スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出する。具体的には、上記ii)で導出された利得等化器の損失スペクトル(例えば、図7(a)の(III)の損失スペクトル)は、上記式(3)〜(5)からわかるように、その損失スペクトルの形状と、利得等化を行う波長範囲、即ち利得等化帯域を有している。従って、ii)で得られた損失スペクトルから、利得等化器の利得等化帯域を求めることができる。
上述の第一または第二の手順のいずれかで求めた計算上の利得等化帯域を、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と比較し、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するか否かを判定する(図6、S612)。カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域とは、設計したい利得等化器に求められる利得等化帯域であり、カスケード型増幅器に設定する利得等化器の特性として予め設定される目標値である。
(D)過程iv)
前記iii)の比較の結果、比較した計算上の利得等化帯域がカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と一致する場合は、上記ii)で得られた利得等化器の損失スペクトルの形状と、上記iii)で得られた利得等化帯域を、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域とする(図6、S614)。
一方、所望の利得等化帯域と一致しない場合は、比較した計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域より狭ければ該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広ければ可変光減衰器の損失を低下させる。
(E)過程v)
可変光減衰器の損失を調整したATT挿入増幅器により上記i)〜iv)を、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するまで繰り返す(図6、S612のNO)。
本発明では、上記i)〜v)の過程により得られた損失スペクトルの形状および利得等化帯域を有する利得等化器を作製する。
目的の利得等化帯域を有する利得等化器の作製は、従来の方法を適用すればよい。例えば、(非特許文献2)などに開示された方法を用いることができ、これらの方法に上記過程により得られた損失スペクトルの形状と利得等化帯域を有するように設定すればよい。
作製された利得等化器を用いることでカスケート型希土類添加光ファイバ増幅器の利得平坦化を実現する。また、本発明の方法で利用可能な可変光減衰器は、計算の容易性から波長特性が平坦なものが望ましい。例えば、使用可能な可変光減衰器には以下のものを挙げることができる。機械式の可変光減衰器の例として、ファイバ間の光ビーム結合中に透過損失分布のついた減衰板を挿入し、減衰版を移動させる方式のもの、ファイバ間のギャップを可変させる方式のもの等がある。また、非機械式の例として、電気光学効果を用いたもの、磁気光学効果を用いたもの、熱光学効果を用いたもの等がある。
また、上記過程iii)で利得等化後の利得スペクトルを導出する際に補正関数を組み込むことで、更に設計精度を高めることが好ましい。補正関数は、例えば図8に示すような関数を上げることができ、実験値より導き出すことができる。具体的には、利得等化器の損失スペクトルがずれた場合に、すれが生じた値を測定しておき、補正関数としてプロットしておけばよい。なお、図8に示した補正関数は1例であり、条件等により様々に変化する。
上述した本発明の設計方法においては、自動化が可能である。例えば、可変光減衰器としてコンピュータ制御が可能な光アッテネータ(ATT)を用い、利得スペクトルの検出器として光スペクトラムアナライザを用い、および、利得等化後の利得スペクトルを導出するためにコンピュータを用いることで設計を自動化することが可能である。また、上記補正関数をコンピュータや電子回路へ組み込んで自動化することもできる。
上記の説明は、カスケード型増幅器が2段であり、この2段の間に利得等化器が設置される例であったが、本発明の設計方法は、3段以上の多段カスケード型増幅器、即ち3以上の増幅媒体または増幅器を含み、複数の利得等化器を含む場合であっても適用することができる。例えば、WDM信号入力側の利得等化器から順に上記設計方法を適用して、所望の利得等化帯域を有する利得等化器を設計すればよい。
本発明において、増幅媒体または増幅器には、上述のように、カスケード型増幅器の励起状態や増幅状態においてイオン密度を考慮すべき準位(イオン密度を0に近似できない準位)が3つ以上あるものであれば、本発明の方法を適用することができる。カスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の例としては、例えば、非特許文献3に記載のものを挙げることができ、具体的には、例えば以下のホストガラスと希土類イオンの組み合わせにおいて、励起状態もしくは増幅状態でイオン密度を考慮すべき準位(イオン密度を0に近似できない準位)が3つ以上あるものを挙げることができる。
ホストガラスの種類:テルライトガラス、ゲルマン酸塩ガラス、フッ化物ガラス、カルコゲナイドガラス、フツ燐酸ガラス。
希土類イオンの種類:Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+等。
更に、後述する表1に示す増幅媒体を含むものを挙げることができる。
なお、本発明のカスケード型増幅器には、増幅媒体を励起するための励起手段、光アッテネータ(利得等化器設計時に用いるものとは役割の異なるもの)、アイソレータ、波長多重カプラ、励起光源等の従来の手段を含むことができる。
次に、イオン密度を考慮すべき準位について更に詳細に説明する。励起状態や増幅状態におけるイオン密度は、各準位の緩和率に大きく影響を受ける。緩和率が非常に大きい準位ではイオンが下準位へすぐ緩和するため、その準位のイオン密度がほぼ0(ゼロ)になり、その準位のイオン密度を無視して増幅器の増幅特性を議論することができる。一方、緩和率の小さい準位では、その準位にイオンが留まる時間が長くなり、イオン密度が高くなる。そのため、その準位のイオン密度を考慮して議論しなければならない。そこで、本明細書では、後者の場合を、イオン密度を考慮すべき準位(本明細書内で、イオン密度を0に近似できない準位、あるいは、増幅に関与する準位とも称する。)として定義している。緩和率は希土類イオンの種類、遷移準位のエネルギー間隔、ホストガラスの種類等によっても大きく異なる。このため、上述したように、同じEDFA(0.98μm励起時)であっても、ホストガラスが石英ガラスの場合にはイオン密度を考慮すべき準位は2つ(13/215/2)であるのに対し、フッ化物ガラスの場合には3つ(11/213/215/2)となる。図9に0.98μm励起EDFAにおいて、11/2の緩和率に対して石英系EDFAの利得等化器の設計方法を適用して作製した利得等化器を、カスケード型光ファイバ増幅器に組み込んで測定した利得偏差(所望帯域の利得平坦性を示す。設計では利得偏差0になるようにしているので設計値からのずれに相当する。)をプロットした図を示す。緩和率は発光緩和率(自然放出率ともいう)と非発光緩和率の合計で定義され、測定可能な場合、実測値の蛍光寿命の逆数に等しい。以下に緩和率の式(7)を示す。
Figure 2010205903
τは、実測値の蛍光寿命を表し、τはJ−O解析(非特許文献4または非特許文献5)で得られる蛍光寿命(この値の逆数は、発光緩和率を示す)であり、WNRは非発光緩和率である。図9から分かるように緩和率が1.0×10−1より小さくなると利得偏差が急激に大きくなっている(例:フッ化物ガラスでは2dB程度)。これは、11/2のイオン密度を無視できない状態であることによる。従って、1.0×10−1より小さい緩和率では石英系EDFAの利得等化器の設計方法を適用できない。これは、エルビウム(Er)以外の希土類イオンで緩和率が高い遷移(エネルギー間隔等に依存)が増幅に関与する場合や非発光緩和率の低いガラス(フォノンエネルギーの低いガラス、例:カルコゲナイドガラス、フッ化物ガラス等)をホストガラスに用いるような光ファイバ増幅器、即ち、励起状態及び増幅状態のときにイオン密度を考慮すべき準位が3つ以上となる光ファイバ増幅器においても同様の傾向になる。例えば、先の例で説明したTDFAの場合(フッ化物ガラスをホストガラスに用いた場合)は、増幅の始準位()が700s−1、増幅の終準位が100s−1程度の緩和率であり、増幅始準位、増幅終準位、基底準位の3つ準位にイオン密度が分布する。本発明の設計方法は、上記のような緩和率を有するカスケード型増幅器の利得等化器の設計方法として期待される。
更に、図10に信号光から励起光への変換効率の緩和率依存性(TDFAの場合)を示す。緩和率が1×10−1付近までは変換効率が上昇している。従って、1×l0−1以下の増幅媒体、例えばツリウム添加フッ化物ファイバなどの本発明のカスケード型増幅器に対応した利得等化器の設計方法として、本発明の方法は期待される。
4.本発明のカスケード型増幅器
本発明のカスケード型増幅器は、複数の増幅媒体もしくは増幅器と、それらの中間位置の少なくとも1つの位置に設けられた利得等化器を備える。具体的には、図11(A)に示すように、本発明のカスケード型増幅器(1100A)は、WDM信号入力側から、第一の増幅媒体もしくは増幅器(1102)、第一の利得等化器(1104)、第二の増幅媒体もしくは増幅器(1106)を少なくとも含む。本発明のカスケード型増幅器は、更に出力側に利得等化器と増幅媒体もしくは増幅器をこの順に複数含むことができ、多段型のカスケード型増幅器とすることができる(図11(1100B))。上記の例では、増幅媒体もしくは増幅器の間の位置にすべて利得等化器を導入する場合を説明したが、必ずしも利得等化器をすべての増幅媒体もしくは増幅器の間の位置に導入する必要はない。例えば、図11(1100C)に例示されるように、三段の増幅媒体もしくは増幅器を有する場合、利得等化器は第一の増幅媒体もしくは増幅器と第二の増幅媒体もしくは増幅器の間にのみ設置することもできる。
本発明では、複数の増幅媒体もしくは増幅器には励起手段、光アッテネータ(利得等化器設計時に用いるものとは役割の異なるもの)、アイソレータ、波長多重カプラ、励起光源等の従来の手段を含むことができる。
本発明のカスケード型増幅器の利得等化器は、先に説明した、カスケード型増幅器の利得等化器の設計方法により設計される。即ち、本発明のカスケード型増幅器の利得等化器は、以下の過程で設定された利得等化器の損失スペクトルの形状および利得等化帯域を有する。
i) 前記利得等化器の設置位置に該利得等化器に代えて可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の信号光入力部よりWDM信号光を入力し、利得スペクトルを測定すること、
ii) 所望の波長帯域において、i)で測定した利得スペクトルのスペクトル形状を有すること、前記可変光減衰器を通過する時のWDM信号光の総パワーに対する損失が、前記利得等化器を通過する時の損失と等しくなること、の2条件を満たす利得等化器の損失スペクトルを導出すること、
iii) (a)計算上の利得等化後の利得スペクトルを、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和(dB換算)にii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差(dB換算)をとった値として定義し、この定義により導出された利得等化後の利得スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、または、
(b)前記ii)で導出された損失スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、
のいずれかにより、計算上の利得等化帯域を導出し、導出された計算上の利得等化帯域を、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と比較し、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するか否かを判定すること、
iv)前記iii)の比較の結果として、導出された計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域より狭い場合には該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広い場合には該可変光減衰器の損失を低下させること、
v)目的の利得等化帯域が得られるまで上記i)〜iv)の過程を繰り返し、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を決定すること。
本発明のカスケード型増幅器が複数の利得等化器を含む場合、WDM信号入力側の利得等化器から順に上記設計方法を適用して、所望の利得等化帯域を有する利得等化器を設計すればよい。
本発明の利得等化器は、従来の方法を適用して作製すればよい。例えば、(非特許文献2)などに開示された方法を用いて作製することができ、これらの方法に上記過程により得られた損失スペクトルの形状と利得等化帯域を有するように設定すればよい。
また、本発明のカスケード型増幅器の利得等化器は、上記過程iii)の利得等化後の利得スペクトルを導出する際に補正関数を組み込むことで、更に設計精度を高めていることが好ましい。補正関数は、上述した通りである。
本発明のカスケード型増幅器は、増幅媒体として、上述のように、カスケード型増幅器の励起状態や増幅状態においてイオン密度を考慮すべき準位(イオン密度を0に近似できない準位)が3つ以上あるものであれば、どのようなものでもよい。カスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の例としては、例えば、非特許文献3に記載のものを挙げることができ、具体的には、例えば以下のホストガラスと希土類イオンの組み合わせにおいて、励起状態もしくは増幅状態でイオン密度を考慮すべき準位(イオン密度を0に近似できない準位)が3つ以上あるものを挙げることができる。
ホストガラスの種類:テルライトガラス、ゲルマン酸塩ガラス、フッ化物ガラス、カルコゲナイドガラス、フツ燐酸ガラス。
希土類イオンの種類:Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+等。
更に、後述する表1に示す増幅媒体を含むものを挙げることができる。
更に、本発明のカスケード型増幅器は、励起状態もしくは増幅状態にある場合に増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、緩和率(発光緩和率と非発光緩和率の合計)がl×10−1以下であるエネルギー準位を3つ以上有する。
5.本発明のカスケード型増幅器の利得等化器設計装置
本発明のカスケード型増幅器の利得等化器を設計するための装置を図12および図13を参照して説明する。図12に示すように、本発明の設計装置(1200)は、増幅媒体もしくは増幅器(図12および図13でアンプと記載)(1202、1204)、可変光減衰器(1206)、検出器(1208)、並びに、計算回路および可変光減衰器制御回路(1210)を含む。なお、設計装置を駆動する際には、WDM光源(1212)を入力側に接続する。検出器は、図13に示すように、WDM信号波長に対応した光検出器(1302)を用いることも可能である。
本発明のカスケード型増幅器の利得等化器の設計を自動化する場合には、コンピュータ制御が可能な光アッテネータ、光スペクトラムアナライザおよびコンピュータを用いて本発明の設計装置を構成することが可能である。
また、コンピュータを電子回路化して、光スペクトラムアナライザに組み込んだ装置とすることもできる。更に、図8で示した補正関数をコンピュータや電子回路へ組み込んで、補正関数を用いた設計装置を構成することもできる。
本発明の利得等化器設計装置で利用可能な可変光減衰器は、計算の容易性から波長特性が平坦なものが望ましい。例えば、使用可能な可変光減衰器には以下のものを挙げることができる。機械式の可変光減衰器の例として、ファイバ間の光ビーム結合中に透過損失分布のついた減衰板を挿入し、減衰版を移動させる方式のもの、ファイバ間のギャップを可変させる方式のもの等がある。また、非機械式の例として、電気光学効果を用いたもの、磁気光学効果を用いたもの、熱光学効果を用いたもの等がある。
本発明の利得等化器設計装置では、増幅媒体として、上述のように、カスケード型増幅器の励起状態や増幅状態においてイオン密度を考慮すべき準位(イオン密度を0に近似できない準位)が3つ以上あるものであれば、どのようなものでも利用することができる。カスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の例としては、例えば、非特許文献3に記載のものを挙げることができ、具体的には、例えば以下のホストガラスと希土類イオンの組み合わせにおいて、励起状態もしくは増幅状態でイオン密度を考慮すべき準位(イオン密度を0に近似できない準位)が3つ以上あるものを挙げることができる。
ホストガラスの種類:テルライトガラス、ゲルマン酸塩ガラス、フッ化物ガラス、カルコゲナイドガラス、フツ燐酸ガラス。
希土類イオンの種類:Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+等。
更に、後述する表1に示す増幅媒体を含むものを挙げることができる。
本発明の利得等化器設計装置は、下記過程により目的の利得等化器の損失スペクトルの形状および利得等化帯域を求める。下記の過程は、本発明の利得等化器の設計方法で説明した通りである。
i) 前記利得等化器の設置位置に該利得等化器に代えて可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の信号光入力部よりWDM信号光を入力し、利得スペクトルを測定すること、
ii) 所望の波長帯域において、i)で測定した利得スペクトルのスペクトル形状を有すること、前記可変光減衰器を通過する時のWDM信号光の総パワーに対する損失が、前記利得等化器を通過する時の損失と等しくなること、の2条件を満たす利得等化器の損失スペクトルを導出すること、
iii) (a)計算上の利得等化後の利得スペクトルを、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和(dB換算)にii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差(dB換算)をとった値として定義し、この定義により導出された利得等化後の利得スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、または、
(b)前記ii)で導出された損失スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、
のいずれかにより、計算上の利得等化帯域を導出し、導出された計算上の利得等化帯域を、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と比較し、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するか否かを判定すること、
iv)前記iii)の比較の結果として、導出された計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域より狭い場合には該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広い場合には該可変光減衰器の損失を低下させること、
v)目的の利得等化帯域が得られるまで上記i)〜iv)の過程を繰り返し、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を決定すること。
本発明では、上記過程iii)の利得等化後の利得スペクトルを導出する際に補正関数を組み込むことで、更に設計精度を高めることが好ましい。補正関数は、上述した通りである。
更に、本発明のカスケード型増幅器の利得等化器設計装置は、励起状態もしくは増幅状態にある場合に増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、緩和率(発光緩和率と非発光緩和率の合計)がl×10−1以下であるエネルギー準位を3つ以上有する。
図11に示すような本発明のカスケード型増幅器(増幅媒体もしくは増幅器が2または3基のもの)を作製した。このカスケード型増幅器は、表1に示す添加イオン、ホストガラス、カスケード型増幅器の構成を有する。一般的な可変光減衰器を用い、図12または図13に示すような設計装置を構築し、利得等化器の損失スペクトルの形状および利得等化帯域を求め、この値を利得等化器に設定した。利得等化器は、求めた設定値に基づいて非特許文献2に記載の手順で得た。また、カスケード型石英系EDFAで適用可能な従来の利得等化器の設計方法により設計した利得等化器を設置した場合の利得偏差も併せて表1に示した。
本発明の方法を用いて作製した利得等化器を使用した場合、従来の石英系EDFAの利得等化器の設計方法を用いて利得等化器を作製した場合のカスケード型増幅器の特性について表1に対比して示した。
一例としてカスケード型増幅器として表1内の実施例1で作製した利得等化器の損失スペクトルとその利得等化器をカスケード型光ファイバ増幅器に組み込んで測定した利得スペクトルを、図14および図15に示す。また表1内の実施例9には補正関数を組み込むことで実施例1の光ファイバ増幅器の利得等化の精度を高めた結果を示した。補正関数は図8で表され、縦軸の補正値を実施例1で算出された利得等化器の損失スペクトルに加算することで補正が可能となる。なお、図8に示した補正関数は実験値より導出した。但し、図8に示した補正関数は1例であり、条件等により様々に変化する。実施例1〜9に示したいずれのカスケード型増幅器も、本発明の方法により作製した利得等化器を使用することで、0.5dB以下の利得偏差を実現しており、本方法の有効性を実証した。
Figure 2010205903
以上説明したように、本発明の方法を用いて作製した利得等化器を用いることで、イオン密度を考慮すべき準位が3つ以上である希土類イオンを含有する増幅媒体を用いたカスケード型光ファイバ増幅器においても容易に利得等化器を設計可能である。また、本発明の設計方法は容易に装置化が可能であり、設計の自動化が可能であるという特徴を有する。本発明の方法を用いずに設計する場合には、実際に利得等化器を作製し、光ファイバ増幅器に搭載して増幅特性を評価し、所望特性が得られるまで、何度も利得等化器を作製し直す必要があることが予想され、本発明はこのような利得等化器を繰り返して作製する必要がない。
1100 本発明のカスケード型増幅器
1102 増幅媒体もしくは増幅器
1104 利得等化器
1106 増幅媒体もしくは増幅器
1200 本発明の利得等化器設計装置
1202 増幅媒体もしくは増幅器
1204 増幅媒体もしくは増幅器
1206 可変光減衰器
1208 検出器
1210 計算回路および可変光減衰器制御回路
1212 WDM光源
1302 検出器

Claims (10)

  1. 複数の増幅媒体もしくは増幅器と、それらの中間位置の少なくとも1つの位置に設けられた利得等化器を備えた、利得平坦化されたカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器であって、前記利得等化器が、
    i) 前記利得等化器の設置位置に該利得等化器に代えて可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の信号光入力部よりWDM信号光を入力し、利得スペクトルを測定すること、
    ii) 所望の波長帯域において、i)で測定した利得スペクトルのスペクトル形状を有すること、前記可変光減衰器を通過する時のWDM信号光の総パワーに対する損失が、前記利得等化器を通過する時の損失と等しくなること、の2条件を満たす利得等化器の損失スペクトルを導出すること、
    iii) (a)計算上の利得等化後の利得スペクトルを、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和(dB換算)にii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差(dB換算)をとった値として定義し、この定義により導出された利得等化後の利得スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、または、
    (b)前記ii)で導出された損失スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、
    のいずれかにより、計算上の利得等化帯域を導出し、導出された計算上の利得等化帯域を、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と比較し、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するか否かを判定すること、
    iv)前記iii)の比較の結果として、導出された計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域より狭い場合には該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広い場合には該可変光減衰器の損失を低下させること、
    v)目的の利得等化帯域が得られるまで上記i)〜iv)の過程を繰り返し、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を決定すること
    の過程で設定された利得等化器の損失スペクトルの形状および利得等化帯域を有することを特徴とする利得平坦化されたカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器。
  2. 前記iii)の利得等化後の利得スペクトルを導出する際に補正関数を組み込むことを特徴とする請求項1に記載のカスケード型光ファイバ増幅器。
  3. 増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、励起状態もしくは増幅状態にある場合にイオン密度をゼロに近似できないエネルギー準位を3つ以上有することを特徴とする請求項1または2に記載のカスケード型光ファイバ増幅器。
  4. 励起状態もしくは増幅状態にある場合に増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、緩和率(発光緩和率と非発光緩和率の合計)がl×10−1以下であるエネルギー準位を3つ以上有することを特徴とする請求項3に記載のカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器。
  5. カスケード型希土類添加光ファイバ増幅器を構成する複数の増幅媒体もしくは増幅器の中間位置の少なくとも1つの位置に挿入する利得等化器の設計方法であって、
    i) 前記利得等化器の設置位置に該利得等化器に代えて可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の信号光入力部よりWDM信号光を入力し、利得スペクトルを測定すること、
    ii) 所望の波長帯域において、i)で測定した利得スペクトルのスペクトル形状を有すること、前記可変光減衰器を通過する時のWDM信号光の総パワーに対する損失が、前記利得等化器を通過する時の損失と等しくなること、の2条件を満たす利得等化器の損失スペクトルを導出すること、
    iii) (a)計算上の利得等化後の利得スペクトルを、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和(dB換算)にii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差(dB換算)をとった値として定義し、この定義により導出された利得等化後の利得スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、または、
    (b)前記ii)で導出された損失スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、
    のいずれかにより、計算上の利得等化帯域を導出し、導出された計算上の利得等化帯域を、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と比較し、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するか否かを判定すること、
    iv)前記iii)の比較の結果として、導出された計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域より狭い場合には該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広い場合には該可変光減衰器の損失を低下させること、
    v)目的の利得等化帯域が得られるまで上記i)〜iv)の過程を繰り返し、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を決定すること
    の過程を含むことを特徴とする設計方法。
  6. iii)の利得等化後の利得スペクトルを導出する際に補正関数を組み込むことを特徴とする請求項5に記載の設計方法。
  7. カスケード型希土類添加光ファイバ増幅器を構成する複数の増幅媒体もしくは増幅器の中間位置の少なくとも1つの位置に挿入する利得等化器を設計するための設計装置であって、可変光減衰器、WDM信号光の利得を測定する光検出器、計算回路および可変光減衰器制御回路を含み、前記設計装置が
    i) 前記利得等化器の設置位置に該利得等化器に代えて可変光減衰器を挿入したカスケード型希土類添加光ファイバ増幅器の信号光入力部よりWDM信号光を入力し、利得スペクトルを測定すること、
    ii) 所望の波長帯域において、i)で測定した利得スペクトルのスペクトル形状を有すること、前記可変光減衰器を通過する時のWDM信号光の総パワーに対する損失が、前記利得等化器を通過する時の損失と等しくなること、の2条件を満たす利得等化器の損失スペクトルを導出すること、
    iii) (a)計算上の利得等化後の利得スペクトルを、i)で測定した利得スペクトルと前記可変光減衰器の損失スペクトルの和(dB換算)にii)で導出した利得等化器の損失スペクトルとの差(dB換算)をとった値として定義し、この定義により導出された利得等化後の利得スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、または、
    (b)前記ii)で導出された損失スペクトルから計算上の利得等化帯域を導出すること、
    のいずれかにより、計算上の利得等化帯域を導出し、導出された計算上の利得等化帯域を、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域と比較し、計算上の利得等化帯域とカスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域が一致するか否かを判定すること、
    iv)前記iii)の比較の結果として、導出された計算上の利得等化帯域が、カスケード型増幅器に対してあらかじめ設定された所望の利得等化帯域より狭い場合には該可変光減衰器の損失を増加させ、所望の利得等化帯域より広い場合には該可変光減衰器の損失を低下させること、
    v)目的の利得等化帯域が得られるまで上記i)〜iv)の過程を繰り返し、利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を決定すること
    により利得等化器の損失スペクトルの形状と利得等化帯域を求めることを特徴とする設計装置。
  8. 前記iii)の利得等化後の利得スペクトルを導出する際に補正関数を組み込むことを特徴とする請求項7に記載の設計装置。
  9. 増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、励起状態もしくは増幅状態にある場合にイオン密度をゼロに近似できないエネルギー準位を3つ以上有することを特徴とする請求項7または8に記載の設計装置。
  10. 励起状態もしくは増幅状態にある場合に増幅媒体に添加された増幅に関与する希土類イオンが、緩和率(発光緩和率と非発光緩和率の合計)がl×10−1以下であるエネルギー準位を3つ以上有することを特徴とする請求項9に記載の設計装置。
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