JP2010205704A - 光電変換素子およびその製造方法、光センサならびに太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】色素増感太陽電池などの光電変換素子において、ヨウ化物イオンによる封止剤の劣化を低減して、耐久性を向上する。
【解決手段】半導体層103および色素を含む半導体電極108、対電極109ならびに半導体電極108と対電極109との間に設けられた電解質層104を有する光電変換素子100であって、電解質層104中に環状ニトロキシルラジカル化合物とオキソアンモニウム塩を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は光電変換素子およびその製造方法、光センサならびに太陽電池に関するものである。
従来、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子として、種々の太陽電池が提案されている。かかる太陽電池の中で色素増感太陽電池は、1991年にスイスのローザンヌ工科大学のグレッツェルらによって開発されたものである。この太陽電池は、一般に、導電性基材上に色素を吸着した半導体からなる光電変換層を持つ半導体電極と、該半導体電極に相対向して設けられた導電性基材からなる対極と、これら半導体電極と対極との間に保持された電解質層(電荷輸送層)とを備えてなる。色素が吸着された半導体層を有する半導体電極、電解質層、対電極などから形成される光電変換素子は、色素増感太陽電池などのエネルギーデバイスや、光センサなどへの応用が期待されている。その中でも色素増感太陽電池は、有機系太陽電池の中で高変換効率を示すため、広く注目されている。
この色素増感太陽電池で用いられている光電変換材料からなる半導体層には、半導体表面に可視光領域に吸収を持つ分光増感色素を吸着させたものが用いられている。たとえば特許文献1には、遷移金属錯体からなる分光増感色素を半導体層の表面に吸着させた金属酸化物半導体層を用いた色素増感太陽電池が記載されている。
一方、電解質層としては、半導体電極と対極との間に、有機溶媒にヨウ素/ヨウ化物イオンが溶解した電解液を注入することにより形成されていた。しかしながら、全固体のシリコン系太陽電池と異なり、色素増感太陽電池は有機溶媒にヨウ素が溶解した電解液を用いるため、溶媒の揮発、溶液の膨張−収縮による封止剤やTiOの剥離などが起こる懸念があった。また、基板にガラスを用いた場合、ガラスが破損すると、電解液が流出して液漏れする可能性があった。
このような液状の電解質層からの液漏れを防止するため、電解質層をゲル状または固体状の電解質で形成することが提案されている(たとえば、特許文献2、3)。ところが、このようなゲル状または固体状の電解質においては、電解質が黄変化することによって可視光の吸収が妨げられ、性能が劣化する場合があった。また、ゲル化剤や固体化剤からなる網目構造体が酸化により劣化することにより、電解質の液状化が生じる懸念があった。
また、その他の擬固体技術としては、p型導電性高分子であるポリピロール(非特許文献1)、トリフェニレンジアミン(非特許文献2)、スピロ型トリフェニルジアミン誘導体(非特許文献3)を固体電解質層として利用することが報告されている。ところが、こうした技術においては、変換効率が低く、実用できるレベルには至っていないのが実情であった。
さらに近年、グレッツェルらは2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル(TEMPO)ラジカルのレドックス反応を用いることを提唱した(非特許文献4)。ところが、上記ラジカルを用いて動作させるためには、同時に劇物の試薬であるニトロソニウムテトラフルオロボレート(NOBF)を添加しなければならず、簡便で安全に取り扱うという観点からは、実用的ではなかった。
特開平11−345991号公報 特開2002−289271号公報 特開2002−289272号公報
Murakoshi, K.; Kogure, R.; Wada, Y.; Yanagida, S. Chem. Lett. 1997, 471-472 M. Thelakkat, J. Hagen, D. Haarer and H. W. Schmidt Synth. Met. 1999, 102, 1125-1128 U. Bach, D. Lupo, P. Comte, J. E. Moser, F. Weissortel, J. Salbeck, H. Spreitzer, M. Gratzel, Nature 1998, vol395, 583-585 Z. Zhang, P. Chen, T. N. Murakami, S. M. Zakeeruddin, M. Gratzel, Adv. Funct. Mater. 2008, 18, 341-346
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れる光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明によれば、
半導体層および色素を含む半導体電極と、
対電極と、
前記半導体電極と前記対電極との間に設けられた電解質層と、
を含み、
前記電解質層が、下記一般式(1)に示される環状ニトロキシルラジカル化合物と下記一般式(2)で表されるオキソアンモニウム塩とを含む、光電変換素子が提供される。
Figure 2010205704
(上記一般式(1)において、Aは、窒素を含む複素環を構成する2価の基であって、置換基を有してもよく、前記複素環は5〜7員環を形成する。R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。)
Figure 2010205704
(上記一般式(2)において、Aは、窒素を含む複素環を構成する2価の基であって、置換基を有してもよく、前記複素環は5〜7員環を形成する。R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。Xは、金属塩化物、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、BF、PF、CFSO、N(SOCF、N(SOF)、CFCOO、N(CSO)およびClOからなる群から選択される一種を示す。)
本発明によれば、前記光電変換素子を含む、光センサが提供される。
また、本発明によれば、前記光電変換素子を含む、太陽電池が提供される。
また、本発明によれば、
多孔質半導体材料に、色素を吸着させて、半導体電極を得る工程と、
前記半導体電極に、電解質を含浸させる工程と、
前記電解質を含浸させた前記半導体電極に対向して対電極を配置する工程と、
を含み、
前記電解質が、上記一般式(1)に示される環状ニトロキシルラジカル化合物と上記一般式(2)で表されるオキソアンモニウム塩とを含む、光電変換素子の製造方法が提供される。
本発明によれば、光電変換素子の電解質としてニトロキシルラジカルを用いることにより、長期安定性を向上させることができる。
実施形態における光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 実施形態における太陽光発電システムの構成を示す図である。 実施形態における光電変換素子スタックの構成を示す断面図である。 実施形態における光電変換素子スタックの構成を示す断面図である。 実施形態における光電変換素子スタックの構成を示す断面図である。 実施形態における光電変換素子スタックの構成を示す断面図である。 実施形態における光センサの回路の構成例を示す図である。 実施例における光電変換素子のI−V曲線を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態における光電変換素子の構成を示す断面図である。図1に示した光電変換素子100は、半導体電極108と、対電極109と、両極間に保持された電解質層104とを備え、光エネルギーをラジカルで受けて、半導体を経由して外部に取り出す素子である。光電変換素子100は、さらに具体的には、導電性基材上に色素を吸着した半導体(たとえばn型半導体)からなる光電変換層を持つ半導体電極108と、半導体電極108に相対向して設けられた導電性基材からなる対極(対電極109)と、半導体電極108と対電極109との間に保持された電解質層104とを備えてなる色素増感型光電変換素子である。
以下、光電変換素子100を例に各構成要素について詳述する。
(i)半導体電極
半導体電極108は、たとえば、導電性基板(透明基板101、透明導電膜102)と、その上に形成された半導体層103とからなり、導電性基板および半導体層103が素子の外側から内側に向かってこの順に積層している。半導体層103には、光増感剤として機能する色素(不図示)が吸着している。
(i−1)導電性基板
導電性基板は、基板自体が導電性を有しているものであってよく、基板上に導電層を形成することによって基板に導電性を持たせたものであってもよい。基板としては、たとえば、ガラス基板、プラスチック基板、金属板などが挙げられ、中でも透明性の高い基板(透明基板101)が特に好ましい。
また、基板に形成される導電層の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば酸化インジウムスズ(Indium-Tin-Oxide:ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(Fluorine doped Tin Oxide:FTO)、インジウム−亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)、酸化スズ(SnO2)などの透明材料から構成された導電層(透明導電膜102)が好ましい。透明導電層は基板の全面または一部の面に膜状に形成されていてもよい。透明導電層は基板の全面または一部の面に膜状に形成されていてもよい。導電層の作製方法および膜厚などは、適宜選択することができるが、たとえば0.1〜5μm程度のものを用いることができる。
(i−2)半導体層
(1−2−1)半導体層の材料・構造
半導体層103を構成する材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウムなどの公知の半導体材料が挙げられる。これらの半導体材料は単独で用いることも2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中でも、変換効率、安定性、安全性の観点からは、半導体層103が、酸化チタンを含む半導体材料により構成されていることが好ましい。酸化チタンとして、さらに具体的には、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの種々の酸化チタン、含酸化チタン複合体などが挙げられる。その中でも、光電変換の安定性をさらに向上させる観点からは、アナターゼ型酸化チタンであることが好ましい。また、半導体層103が、多孔性のチタニアであってもよい。
半導体層103の形状としては、半導体微粒子などを焼結することにより得られる多孔性半導体層、ゾルーゲル法・スパッタ法・スプレー熱分解法などにより得られる薄膜状半導体層などが挙げられる。また、その他繊維状半導体層や針状晶からなる半導体層103としてもよい。半導体層103の形状は、光電変換素子100の使用目的に応じて、適宜選択することができる。
このうち、色素吸着量などの観点からは、多孔性半導体層、針状晶からなる半導体層など比表面積の大きな半導体層103が好ましい。さらに、半導体微粒子の粒径により入射光の利用率などを調整できる観点からは、半導体層103として半導体微粒子から形成される多孔性半導体層を用いることが好ましい。
また、半導体層103は、単層であっても多層であってもよい。多層にすることによって、充分な厚さの半導体層をさらに容易に形成することができる。
また、半導体微粒子から形成される多孔性の多層半導体層は、半導体微粒子の平均粒径の異なる複数の半導体層からなってもよい。たとえば、光入射側に近い方の半導体層(第1半導体層)の半導体微粒子の平均粒径を、光入射側から遠い方の半導体層(第2半導体層)より小さくすることにより、第1半導体層で多くの光を吸収させるとともに、第1半導体層を通過した光を第2半導体層で効率よく散乱させて第1半導体層に戻し、第1半導体層で吸収させることにより、全体の光吸収率をより一層向上させることができる。
半導体層103の膜厚は、特に限定されるものではないが、透過性、変換効率などの観点より、たとえば0.5μm以上45μm以下とする。
半導体層103の比表面積は、多量の色素を吸着させる観点から、たとえば10m2/g以上200m2/g以下とすることができる。
また、多孔性の半導体層103に色素を吸着させた構成として、電解質中のイオンがさらに充分に拡散して電荷輸送が行われるためには、多孔性の半導体層103空隙率をたとえば40%以上80%以下とする。なお、空隙率とは、半導体層103の体積のうち、半導体層中の細孔が占める体積の割合を%で示したものである。
(i−2−2)半導体層の形成方法
次に、上記半導体層の形成方法について、多孔性半導体層を例にとって説明する。多孔性半導体層は、たとえば、半導体微粒子を高分子などの有機化合物および分散剤とともに、有機溶媒や水などの分散媒に加えて懸濁液を調製する。そしてこの懸濁液を導電性基板(図1では透明導電膜102)上に塗布し、これを乾燥、焼成することによって形成する。
半導体微粒子とともに分散媒に有機化合物を添加しておくと、焼成時に有機化合物が燃焼して多孔性半導体層内にさらに充分な隙間を確保することが可能となる。また焼成時に燃焼する有機化合物の分子量や添加量を制御することで空隙率を変化させることができる。なお、有機化合物の種類や量は、使用する微粒子の状態、懸濁液全体の総重量等により適宜選択し調整することができる。ただし、半導体微粒子の割合が懸濁液全体の総重量に対して10wt%以上のときは、作製した膜の強度をより一層充分に強くすることができ、半導体微粒子の割合が懸濁液全体の総重量に対して40wt%以下であれば、空隙率が大きな多孔性半導体層をより一層安定的に得ることができるため、半導体微粒子の割合は懸濁液全体の総重量に対して10wt%以上40wt%以下であることが好ましい。
半導体微粒子としては、適当な平均粒径、たとえば、1〜500nm程度の平均粒径を有する単一または化合物半導体の粒子などが用いられる。その中でも比表面積を大きくするという点からは、1〜50nm程度の平均粒径のものが望ましい。また入射光の利用率を高めるために、200〜400nm程度の平均粒径の比較的大きな半導体粒子を添加してもよい。
また、半導体微粒子の製造方法としては、水熱合成法などのゾルーゲル法、硫酸法、塩素法などが挙げられ、目的の微粒子を製造できる方法であればどんな方法を用いてもよいが、結晶性の観点からは、水熱合成法により合成することが好ましい。
有機化合物は、懸濁液中に溶解し、焼成するときに燃焼して除去できるものであれば何でも用いることができる。たとえば、ポリエチレングリコール、エチルセルロース等の高分子が挙げられる。懸濁液の分散媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグライム系溶媒;
イソプロピルアルコール等のアルコール類;および
イソプロピルアルコール/トルエン等の混合溶媒;ならびに
水等が挙げられる。
懸濁液の塗布方法としては、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、スクリーン印刷法等公知の方法が挙げられる。その後、塗膜の乾燥、焼成を行う。乾燥と焼成の条件は、たとえば大気下または不活性ガス雰囲気下、50〜800℃程度の範囲内で、10秒から12時間程度とする。この乾燥および焼成は、単一の温度で1回または温度を変化させて2回以上行うことができる。
なお、ここでは、多孔性半導体層の形成方法について詳述したが、他の種類の半導体層103も種々の公知の方法を用いて形成することができる。
(i−3)色素
本実施形態において、色素は、光増感剤として機能する。具体的には、色素は種々の可視光領域および赤外光領域に吸収を持つものであって、半導体層に強固に吸着させるために、色素分子中にCOOH基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基などのインターロック基を有するものが好ましい。この中でも、色素を多孔質半導体表面にさらに安定的に吸着させる観点からは、COOH基を有するものが特に好ましい。
インターロック基は、励起状態の色素と半導体の導電帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を供給するものである。これらインターロック基を含有する色素としては、たとえば、ルテニウム金属錯体色素(ルテニウムビピリジン系金属錯体色素、ルテニウムターピリジン系金属錯体色素、ルテニウムクォーターピリジン系金属錯体色素など)、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素、クマリン系色素などが挙げられる。その中でも、光電変換反応の安定性の観点からは、ルテニウム金属錯体色素が好ましい。
半導体層103に色素を吸着させる方法としては、たとえば基板上に形成された半導体層103を、色素を溶解した溶液に浸漬する方法が挙げられる。
色素を溶解するために用いる溶媒は、エタノールなどのアルコール類;
アセトンなどのケトン類;
ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;
アセトニトリルなどの窒素化合物;
クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素;
ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素;
酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。またこれらの溶媒は2種類以上を混合して用いてもよい。
溶液中の色素濃度は、使用する色素および溶媒の種類は適宜調整することができ、吸着機能を向上させる観点からは、ある程度高濃度である方が好ましい。たとえば5×10−5mol/L以上の濃度であればよい。
色素を溶解した溶液中に半導体を浸漬する際、溶液および雰囲気の温度および圧力は特に限定されるものではなく、たとえば室温程度、かつ大気圧下が挙げられ、浸漬時間は使用する色素、溶媒の種類、溶液の濃度などにより適宜調整することができる。なお、効果的に行うには加熱下にて浸漬を行えばよい。これにより、半導体層103に色素をさらに効率よく吸着させることができる。
また色素を吸着する際に、色素およびその吸着状態や、多孔性半導体層を構成するTiO等の微粒子表面などを制御するために、色素を溶解した溶液にDeoxychlic AcidやGuanidine Thiocyanate、tert-ブチルピリジン、エタノールなどの有機化合物を加えてもよい。
(ii)対電極
対電極109としては、たとえば図1に示したように、支持基板(透明導電膜106、透明基板107)上に白金等の金属触媒またはカーボンを含む層(触媒層105)が存在するものなどが挙げられる。
光電変換素子100において、対電極109は、素子の外側から電解質層104側に向かって、透明基板107、透明導電膜106および触媒層105がこの順に積層されてなる。
触媒層105は、透明導電膜106の全面または一部に膜状に形成されていてもよい。触媒層105の構成材料として、触媒機能に優れる点から、白金が好ましい。このとき、触媒層105は触媒機能を発現できる厚さであればよく、具体的には1〜2000nm程度とする。
支持基板としては、ガラスや高分子フィルム等の透明基板107、金属板(箔)などが挙げられる。特に対電極109の抵抗値を低下させるために、支持基板としては導電性基板が好ましい。
なお、対電極109は、半導体層電極(半導体電極108)と同一基板上に形成してもよい。この場合、対電極109と半導体電極108の間の導電層をレーザースクライブなどにより切断するなどにより、同一基板上に二つ以上の電極を形成することができる。
(iii)電解質層
電解質層104は、半導体層103と対電極109との間の電荷輸送を行う機能を有する。電解質層104は、具体的には、ニトロキシルラジカルを有する有機化合物を含む固体状またはゲル状電解質からなり、下記一般式(1)に示される環状ニトロキシルラジカル化合物と下記一般式(2)で表されるオキソアンモニウム塩とを含む。
Figure 2010205704
(上記一般式(1)において、Aは、窒素を含む複素環を構成する2価の基であって、置換基を有してもよく、前記複素環は5〜7員環を形成する。R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。)
Figure 2010205704
(上記一般式(2)において、Aは、窒素を含む複素環を構成する2価の基であって、置換基を有してもよく、前記複素環は5〜7員環を形成する。R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。Xは、AlCl4 、All7 などの金属塩化物、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、BF、PF、CFSO、N(SOCF、N(SOF)、CFCOO、N(CSO)およびClOからなる群から選択される一種を示す。)
なお、上記固体状電解質とは、上記ニトロキシルラジカル化合物で形成された固体電解質である。ゲル状電解質とは、ニトロキシルラジカルのポリマーにより形成された網目構造体に、有機溶媒が保持されているものである。なお、ニトロキシルラジカルを有するポリマーは有機溶媒に不溶な架橋構造であってもよい。
上記一般式(1)および(2)において、Aは2価の基であって、窒素を含む複素環を構成している。Aおよび窒素を含む上記複素環は5〜7員環であり、Aは、環骨格に結合する置換基を有していてもよい。
上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、下記式(5)〜(12)で表される化合物が挙げられる。
また、上記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、下記式(5)〜(12)で表される化合物のオキソアンモニウム塩が挙げられる。
Figure 2010205704
Figure 2010205704
Figure 2010205704
Figure 2010205704
Figure 2010205704
Figure 2010205704
Figure 2010205704
Figure 2010205704
また、上記一般式(1)に示した環状ニトロキシルラジカル化合物は、下記一般式(3)に示される重合体または下記一般式(4)に示される共重合体であってもよい。
Figure 2010205704
(上記一般式(3)において、A、R、R、RおよびRは、前記一般式(1)と同じである。R5は、酸素原子またはカルボニルオキシ基を示す。R6は水素またはメチル基を示す。nは10以上10000以下の整数を表す。)
Figure 2010205704
(上記一般式(4)において、A、R、R、RおよびRは、前記一般式(1)と同じである。R、R、R、R10は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。RおよびR11は、それぞれ独立して酸素原子またはカルボニルオキシ基を示す。RおよびR12はそれぞれ独立して水素またはメチル基を示す。nおよびmは、それぞれ独立して10〜10000の整数を表す。Xは、金属塩化物、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、BF、PF、CFSO、N(SOCF、N(SOF)、CFCOO、N(CSO)およびClOからなる群から選択される一種を示す。)
(iii−1)液体電解質
電解質層104は、液体電解質により構成されていてもよい。液体電解質としては、先に示したニトロキシルラジカルを有する有機化合物および溶媒を含有し、液体状態のものであればよい。上記溶媒としては、たとえば、有機溶媒として、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物;
メトキシプロピオニトリルやアセトニトリルなどのニトリル化合物;
γ−ブチロラクトンやバレロラクトンなどのラクトン化合物;
エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテルなどのエーテル類;
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;さらには
イミダゾール類などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上混合して使用することができる。
また、上記溶媒としては、イオン液体、即ち溶融塩を用いることもできる。また、液体電解質が、常温溶融塩を含んでもよい。イオン液体としては、「Inorg. Chem.」1996, 35, p1168-1178、「Electrochemistry」2002.2, p130-136、特表平9−507334号公報、特開平8−259543号公報などに開示されている公知の電池や太陽電池などにおいて一般的に使用することができるものであれば、特に限定されない。このうち、室温(25℃)より低い融点を有する塩か、または室温よりも高い融点を有しても、他の溶融塩や溶融塩以外の添加物を溶解させることにより室温で液状化する塩が好ましく用いられる。
具体的には、溶融塩のカチオンとしては、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、イソオキサゾリウム、チアジアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピリダジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム、およびこれらの誘導体が好ましく、特に好ましくは、アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、スルホニウムである。
また、溶融塩のアニオンとしては、AlCl 、AlCl などの金属塩化物、PF 、BF 、CFSO 、N(CFSO 、CFCOOなどのフッ素含有物、NO 、CHCOO、C11COO、CHOSO 、CHOSO 、CHSO 、CHSO 、(CHO)2PO などの非フッ素化合物、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン化物などが挙げられる。
溶融塩は、各種文献や公報で公知の方法により合成することができる。4級アンモニウム塩を例に挙げると、第一段階として3級アミンにアルキル化剤としてアルキルハライドを用いてアミンの4級化を行い、第二段階としてハライドアニオンから目的のアニオンへイオン交換を行うという方法を用いることができる。もしくは、3級アミンを目的のアニオンを有する酸と反応させて一段階で目的の化合物を得る方法がある。
溶媒としては、上記の中でも、ニトリル化合物もしくは常温溶融塩を用いることがより好ましい。
(iii−2)固体電解質
電解質層104は、固体電解質により構成されていてもよい。固体電解質としては、有機溶媒を高分子化合物に浸透させることにより固体化した高分子電解質、溶融塩を含む液体電解質を微粒子により固体化した電解質などが挙げられる。用いる高分子化合物としてはニトロキシルラジカルを有するポリマー自身を用いる場合と、ニトロキシルラジカルポリマー以外を用いる場合がある。
ニトロキシルラジカルポリマー以外で、液体電解質を固体化するための高分子化合物としては、液体電解質を保持できる高分子化合物であればよく、ポリオキシアルキレン鎖を持つ化合物を含み、電解質をゲル化または固体化できるものであれば特に限定されず、通常はポリオキシアルキレン鎖を持つポリマー前駆体(ポリマーゲル化剤)が用いられる。
たとえば、(イ)特開平5−109311号公報や特開平11−176452号公報に開示された、三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキサイド重合体や、四官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキサイド重合体などのアルキレンオキサイド重合体鎖を有するアクリロイル変性高分子化合物が挙げられる。
また、(ロ)少なくとも一種類のイソシアネート基を有する化合物Aと、少なくとも一種のイソシアネート基と反応性のある化合物Bとを含み、化合物Aと化合物Bのうち少なくとも一種類がポリオキシアルキレン鎖を持つものが挙げられる(上記特許文献2、3参照)。ポリオキシアルキレン鎖を持つ化合物としては、分子量500〜50,000の高分子構造を有する化合物が好ましく用いられる
上記(イ)の三官能性または四官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキサイド重合体は、たとえば、三官能性の場合にはグリセロールやトリメチロールプロパン等を、四官能性の場合にはジグリセリンやペンタエリスリトール等を、それぞれ出発物質として、これらにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させ、さらにアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和有機酸をエステル化反応させるか、またはアクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等の酸クロリド類を脱塩酸反応させることによって得られる化合物である。
上記(ロ)の化合物Aとしては、たとえば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;
イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネートが挙げられ、これらの2量体、3量体などの多量体または変性体であってもよい。また、低分子アルコールとこれらイソシアネートのアダクト体、さらには、ポリオキシアルキレンとこれらイソシアネートをあらかじめ付加反応させた化合物が挙げられる。
また、上記(ロ)の化合物Bとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基などの活性水素基を有する化合物が挙げられる。より具体的には、カルボキシル基を有する化合物としては、ヘキサン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸などのカルボン酸;
ヒドロキシル基を有する化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖などのアルコール;
アミノ基を有する化合物としては、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミンなどのアミンなどがそれぞれ挙げられる。
また、化合物Bとしては、上記のような活性水素基を一分子中に一つ以上有し、かつポリオキシアルキレン鎖を有する化合物も挙げられる。
(iii−3)添加剤
電解質層中の上記一般式(1)に示したニトロキシドラジカルは、下記式(13)に示すように、ラジカル状態とカチオン状態で酸化還元している。
Figure 2010205704
この発生するカチオン状態を安定化させるために、電解質中に塩を添加することも可能である。
用いる塩としては、カチオンとして、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、イソオキサゾリウム、チアジアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピリダジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム、およびこれらの誘導体が好ましく、特に好ましくは、アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、スルホニウムである。また、アニオンとしては、PF 、BF 、CFSO 、N(CFSO 、F(HF) 、CFCOOなどのフッ素含有物、NO 、CHCOO、C11COO、CHOSO 、CHOSO 、CHSO 、CHSO 、(CHO)2PO 、SbCl などの非フッ素化合物、ヨウ素、臭素などのハロゲン化物などが挙げられる。
光電変換素子100は、たとえば以下の手順で製造される。
ステップ11:多孔質半導体材料に、色素を吸着させて、半導体電極108を得る工程、
ステップ12:半導体電極108に、電解質を含浸させる工程、および
ステップ13:電解質を含浸させた半導体電極108に対向して対電極109を配置する工程。
ステップ11で用いられる電解質は、上記一般式(1)および(2)に示した化合物を含む。
得られた光電変換素子100は、電解質層104の電解質としてヨウ化物イオンが溶解した液体の有機溶媒を用いるかわりに、上記一般式(1)に示した環状ニトロキシルラジカル化合物と上記一般式(2)に示したオキソアンモニウム塩を同時に用いる。このため、ヨウ化物イオンによる封止剤の劣化を低減することができる。これにより、耐久性に優れ実用性の高い光電変換素子を安定的に実現することができる。
(第二の実施形態)
第一の実施形態に記載の光電変換素子100(図1)は、たとえば色素増感太陽電池として好適に用いられる。
このとき、光電変換素子100の透明基板101側から太陽光が照射されると、太陽光は、透明基板101および透明導電膜102をこの順に透過して、半導体層103に吸着している色素(不図示)に照射される。色素は光を吸収して励起する。この励起によって発生した電子は、半導体層103から透明導電膜102に移動する。透明導電膜102へ移動した電子は、外部回路を通じて対電極109に移動し、対電極109から電解質層104を経由して色素に戻る。このようにして電流が流れ、太陽電池を構成することができる。
また、本発明における光電変換素子を複数組み合わせて用い、光電変換素子スタックとして太陽光発電システムに用いることもできる。
図2は、太陽光発電システムの具体例を示す図である。図2に示した太陽光発電システム150においては、光電変換素子スタック151で生じた電子が、充放電制御装置152を経由して蓄電池154に移動する。充放電制御装置152には負荷153が接続されている。また、蓄電池154からの直流電流は、インバーター155でDA変換されて、負荷156に流れる。
光電変換素子スタック151の構成に特に制限はないが、たとえば図3〜図6のようにしてもよい。図3〜図6は、光電変換素子スタック151の構成を示す断面図である。
図3は、W型のスタックモジュールである。
図3においては、透明基板163と透明基板164との間に、光電極167、電解質168および対向極(対電極)169により構成された光電変換素子が複数配置されている。光電極167は、たとえば第一の実施形態に記載の半導体層103とする。透明基板163と光電極167との間、および透明基板164と対向極169との間には、それぞれ、透明導電性膜166および透明導電性膜165が設けられている。これらの透明導電性膜は、1つの素子の光電極167と隣接する素子の対向極169とに共通に設けられ、隣接する素子間が接続されている。また、複数の透明導電性膜165間および透明導電性膜166間は、絶縁材料により構成されたシール材170によりシールされている。透明基板163は、両端においてそれぞれアノード(マイナス極)161およびカソード(プラス極)162に接続する。
図4は、S型のスタックモジュールである。
図4においては、透明導電性膜166上に光電極167が設けられ、光電極167の上面から側面にわたって光電極167を覆うセパレータ171およびセパレータ171の全面を覆う対向極169が設けられて、素子を構成している。図4においても、隣接する一方の素子の光電極167と他方の対向極169とが共通の透明導電性膜166を介して1つの透明基板163上に配置されている。
図5は、Z型のスタックモジュールである。
図5の基本構成は図3に示したW型と共通するが、図5においては、複数の透明導電性膜165および透明導電性膜166が素子ごとに設けられている。隣接する一方の素子の光電極167は、透明導電性膜166、導電性シール材172および他方の素子の透明導電性膜165を介して他方の素子の対向極169に接続する。導電性シール材172の側面外周は、透明導電性膜165および透明導電性膜166に接する領域をのぞいてシール材170に被覆されている。
図3〜図5に示したW、SおよびZ型は小型セルを直列に接続したスタックモジュールであるが、図6に示すように、グリッド配線型のモジュールとしてもよい。
図6においては、電解質168、透明導電性膜165および透明導電性膜166が複数の素子に共通に設けられており、透明導電性膜165および透明導電性膜166上の所定の位置に金属集電配線174が配置されている。金属集電配線174は絶縁膜173に覆われ、電解質168との間が絶縁されている。
グリッド配線型のモジュールは、1つのセルを大面積化した場合の集電ロスをさらに低減することができるモジュールである。なお、グリッド配線型をZ、WまたはS型でスタック化することもできる。
なお、図3〜図6において、光は光電極167の側から入射する。また、図3に示したW型では、光は両面入射となる。対向極169の側の基板に光透過性の高い基板を用いることで両面から光入射させることができる。
また、図3〜図6においては、基板として透明基板163および透明基板164を用いる例を示したが、たとえばW、Sおよびグリッド配線型の対向極側の基板には、透過性がない材料も利用できる。このような材料としては、たとえばPEEK、SUS、Siなどが挙げられる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、本実施形態における光電変換素子は、太陽電池だけでなく、光センサに用いることもできる。図7は、光電変換素子100(図1)を含む光センサの回路の構成例を示す図である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
以下の実施例では、第一の実施形態に記載の光電変換素子100からなる色素増感太陽電池(図1)を次のようにして作製した。
(実施例1)
1.半導体電極の作製
半導体層は以下の手順で作製した。まず溶剤として濃度15vol%の酢酸水溶液20mLを用い、そこに市販の多孔質酸化チタン粉末5g(P25、日本アエロジル社製)、界面活性剤0.1ml(Triton X-100、シグマアルドリッチ社製)、ポリエチレングリコール0.3g(分子量20000)を加え、攪拌ミキサーで約1時間攪拌(1回10分間)することで、酸化チタンペーストを作製した。次いで、この酸化チタンペーストをITOガラス基板(6cm×4cm、シート抵抗:20Ω/□)にドクターブレード法で膜厚が20μm程度となるように適量塗布(塗布面積:3cm×3cm)した。この電極を電気炉に挿入し、大気雰囲気にて450℃で約30分間焼成して半導体電極108を得た。
2.色素の吸着
次に、ルテニウム色素Ru(2,2'−bipyridine−4,4'−dicarboxylic acid)(NSC)(小島化学株式会社製、商品名:ルテニウム錯体)を無水エタノールに濃度4×10−4mol/Lで溶解させ、吸着用色素溶液を調製した。この吸着用色素溶液と、上述で得られた光電変換層(半導体層103)と透明導電膜102とを具備した透明基板101とを容器に入れ、12時間静置し、色素を吸着させた。その後、無水エタノールで数回洗浄し、50℃で約30分間自然乾燥させた。
3.電解質の注入
次に電解液を調製した。電解液としては、TEMPOとTEMPO・PFの両方が溶解したメトキシプロピオニトリルを用いた。まず、透明導電膜102を具備した透明基板101上の光電変換層(半導体層103)にTEMPOとTEMPO・PFの両方を含むメトキシプロピオニトリル溶液を滴下し、さらにロータリーポンプで約10分間真空引きして溶液を光電変換層に十分浸みこませた。その後、白金触媒層(触媒層105)を具備した対極(対電極109)を設置し、治具にて固定した。その後、50℃で60分間放置することにより、TEMPO/TEMPO・PF電解質層(電解質層104)を具備した素子を作製した。その後、エポキシ樹脂にて外界との接触を避ける封止を実施し光電変換素子を作製した。
(実施例2)
実施例2では、実施例1において有機溶媒に溶解したTEMPOの代わりに上記式(11)で示したラジカルポリマーを用いた以外は、実施例1に準じて光電変換素子を作製した。
(実施例3)
実施例2では、実施例1において有機溶媒に溶解したTEMPOの代わりに電気化学的に作製した上記式(12)で示したラジカルとカチオンを有するポリマーを用いた以外は、実施例1に準じて光電変換素子を作製した。
(比較例)
比較例では、実施例1においてTEMPOとTEMPO・PFの両方が溶解した液体電解質の代わりに、TEMPOのみを用いた以外は、実施例1に準じて光電変換素子を作製した。
(太陽電池特性の安定性評価)
各実施例および比較例にて作製した光電変換素子の評価として、ソーラーシュミレーターを用いてAM1.5、100mW/cm2照射条件下でのI−V測定を行った。ここで、光電変換素子の両端を電子負荷装置に接続して、開放電圧から取り出し電圧がゼロになるまで5mV/secステップの電位走査を繰り返して行った。図8に得られたI−V曲線を示した。
図8に示した通り、実施例1〜3の太陽電池では、比較例よりも短絡電流が大きく向上している。これは、実施例1〜3で用いたTEMPOカチオンが、白金表面においてスムーズな電子授受を行うためである。これに対し、TEMPOのみを用いた比較例では、TEMPOラジカルが白金表面において円滑な電子授受を行うことができず、観測された電流値は小さくなった。
100 光電変換素子
101 透明基板
102 透明導電膜
103 半導体層
104 電解質層
105 触媒層
106 透明導電膜
107 透明基板
108 半導体電極
109 対電極
150 太陽光発電システム
151 光電変換素子スタック
152 充放電制御装置
153 負荷
154 蓄電池
155 インバーター
156 負荷
161 アノード
162 カソード
163 透明基板
164 透明基板
165 透明導電性膜
166 透明導電性膜
167 光電極
168 電解質
169 対向極
170 シール材
171 セパレータ
172 導電性シール材
173 絶縁膜
174 金属集電配線

Claims (11)

  1. 半導体層および色素を含む半導体電極と、
    対電極と、
    前記半導体電極と前記対電極との間に設けられた電解質層と、
    を含み、
    前記電解質層が、下記一般式(1)に示される環状ニトロキシルラジカル化合物と下記一般式(2)で表されるオキソアンモニウム塩とを含む、光電変換素子。
    Figure 2010205704
    (上記一般式(1)において、Aは、窒素を含む複素環を構成する2価の基であって、置換基を有してもよく、前記複素環は5〜7員環を形成する。R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。)
    Figure 2010205704
    (上記一般式(2)において、Aは、窒素を含む複素環を構成する2価の基であって、置換基を有してもよく、前記複素環は5〜7員環を形成する。R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。Xは、金属塩化物、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、BF、PF、CFSO、N(SOCF、N(SOF)、CFCOO、N(CSO)およびClOからなる群から選択される一種を示す。)
  2. 請求項1に記載の光電変換素子において、前記一般式(1)に示した環状ニトロキシルラジカル化合物が、下記一般式(3)に示される重合体である、光電変換素子。
    Figure 2010205704
    (上記一般式(3)において、A、R、R、RおよびRは、前記一般式(1)と同じである。R5は、酸素原子またはカルボニルオキシ基を示す。R6は水素またはメチル基を示す。nは10以上10000以下の整数を表す。)
  3. 請求項1に記載の光電変換素子において、前記一般式(1)に示した環状ニトロキシルラジカル化合物が、下記一般式(4)に示す共重合体である、光電変換素子。
    Figure 2010205704
    (上記一般式(4)において、A、R、R、RおよびRは、前記一般式(1)と同じである。R、R、R、R10は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。RおよびR11は、それぞれ独立して酸素原子またはカルボニルオキシ基を示す。RおよびR12はそれぞれ独立して水素またはメチル基を示す。nおよびmは、それぞれ独立して10〜10000の整数を表す。Xは、金属塩化物、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、BF、PF、CFSO、N(SOCF、N(SOF)、CFCOO、N(CSO)およびClOからなる群から選択される一種を示す。)
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の光電変換素子において、前記電解質層が、液体電解質により構成されている、光電変換素子。
  5. 請求項4に記載の光電変換素子において、前記液体電解質が、常温溶融塩を含む、光電変換素子。
  6. 請求項1乃至3いずれかに記載の光電変換素子において、前記電解質層が、固体電解質により構成されている、光電変換素子。
  7. 請求項1乃至6いずれかに記載の光電変換素子において、前記半導体層が、多孔性のチタニアである、光電変換素子。
  8. 請求項1乃至7いずれかに記載の光電変換素子において、前記色素がルテニウム金属錯体色素である、光電変換素子。
  9. 請求項1乃至8いずれかに記載の光電変換素子を含む、光センサ。
  10. 請求項1乃至8いずれかに記載の光電変換素子を含む、太陽電池。
  11. 多孔質半導体材料に、色素を吸着させて、半導体電極を得る工程と、
    前記半導体電極に、電解質を含浸させる工程と、
    前記電解質を含浸させた前記半導体電極に対向して対電極を配置する工程と、
    を含み、
    前記電解質が、下記一般式(1)に示される環状ニトロキシルラジカル化合物と下記一般式(2)で表されるオキソアンモニウム塩とを含む、光電変換素子の製造方法。
    Figure 2010205704
    (上記一般式(1)において、Aは、窒素を含む複素環を構成する2価の基であって、置換基を有してもよく、前記複素環は5〜7員環を形成する。R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。)
    Figure 2010205704
    (上記一般式(2)において、Aは、窒素を含む複素環を構成する2価の基であって、置換基を有してもよく、前記複素環は5〜7員環を形成する。R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。Xは、金属塩化物、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、BF、PF、CFSO、N(SOCF、N(SOF)、CFCOO、N(CSO)およびClOからなる群から選択される一種を示す。)
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