JP2010203523A - 電磁誘導電圧予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】極めて高い精度で埋設金属導体又は架空金属導体に発生する電磁誘導電圧を予測することができ、従来の理論式を適用することができなかった環境においても電磁誘導電圧を予測することが可能な電磁誘導電圧予測方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、交流架空送電線または交流式電気鉄道による磁束密度に起因して、交流架空送電線または交流式電気鉄道に隣接して敷設される埋設金属導体または架空金属導体に発生する電磁誘導電圧を、敷設前に予測する電磁誘導電圧予測方法であって、埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設予定ルートの地表面に、電気的に連続した導体を敷設し、任意の地点における前記地表面に敷設した連続導体と大地との間の電位差を測定することに基づいて、敷設後の埋設金属導体又は架空金属導体に発生する電磁誘導電圧を予測する。
【選択図】図1

Description

本発明は、交流架空送電線または交流式電気鉄道による磁束密度に起因して、前記交流架空送電線または前記交流式電気鉄道に隣接して敷設される埋設金属導体または架空金属導体に発生する電磁誘導電圧予測方法に関する。
ガス、水道、石油などの輸送または供給手段として、金属製パイプラインを埋設して使用することが一般的となっている。埋設された金属製パイプラインは、通常、土壌中における腐食を防止するために、絶縁性能を有する塗覆装を施す。しかし、塗覆装に欠陥が生じて金属製パイプラインの表面が土壌と接する可能性があり、こうした塗覆装欠陥部において、腐食の進行が懸念される。
ここで、金属製パイプラインが、交流架空送電線または交流電気鉄道に近接して埋設されている場合、送電している交流電流が周囲に形成する磁場の影響を受けて、金属製パイプラインの管軸方向に電磁誘導電圧が発生する。発生した電磁誘導電圧により、金属製パイプラインと大地との間に電位差、すなわち、対地交流電位が発生する。その結果、上記の塗覆装欠陥部において交流電流が流れることとなる。塗覆装欠陥部における交流電流が高い場合に、交流電流による腐食、すなわち交流迷走電流腐食が発生する。また、金属製パイプラインに発生した対地交流電位があるレベルまで上昇すると、現場作業中において、作業者が金属製パイプラインに触れることで感電してしまうという可能性が生じる。
こうした交流迷走電流腐食や感電への対策の一例として、低接地措置が挙げられる。具体的には、マグネシウム電極などを分散して金属製パイプラインに接続して分散的にアースを取ることが挙げられる。これにより、交流電流はマグネシウム電極を流れるようになり、塗覆装欠陥部に流れる交流電流を低減して、交流迷走電流腐食を防止するとともに、金属製パイプラインの対地交流電位を低減して、感電を防止する。
通信ケーブルや電話線が、交流架空送電線あるいは交流電気鉄道に近接して敷設されている場合、同様に送電している交流電流による電磁誘導の影響を受けて、ノイズが発生する。そこで、離隔を十分確保したり、遮蔽ケーブルを適用したりといった対策が実施されている。
他方、金属製パイプラインを埋設する前に、金属製パイプラインに発生するであろう電磁誘導電圧、さらには対地交流電位を予測するために、予測に用いる理論式やコンピュータシミュレーションの手法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、簡易な近似式を用いて金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧、さらには対地交流電位を予測することが提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
また、金属製パイプラインの敷設予定ルートの地表面近傍の磁束密度を測定して、金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧、さらには対地交流電位を予測することが提案されている(例えば、非特許文献3参照。)。
磯貝浩、雨谷昭弘、細川裕司、電気学会論文誌B、126巻1号、pp.43〜50、2006 細川裕司、古賀隆二、磯貝浩、雨谷昭弘、高接地状態に保持した埋設パイプラインの交流誘導評価、第53回材料と環境討論会、B−306、pp.241〜244(2006) 細川裕司、古賀隆二、雨谷昭弘、磁気センサを用いた埋設パイプラインの電磁誘導レベル予測、第28回防錆防食技術発表大会、209、pp.117〜120(2008)
しかしながら、非特許文献1に記載のように、理論式を用いて電磁誘導電圧を予測する場合には、交流架空送電線が多数ある場合や、金属製パイプラインや通信ケーブルと交流架空送電線との位置関係が一定でない場合には、計算が煩雑になるという問題がある。さらに、鋼製シールド内に敷設される金属製パイプライン等の周囲が磁性材料で覆われた特殊な環境においては、計算が極めて困難である。たとえ、理論式を用いて金属製パイプラインや通信ケーブルに発生する電磁誘導電圧を予測したとしても、金属製パイプラインや通信ケーブルの敷設後に実際に発生している電磁誘導電圧を測定すると、予測値と大きく異なるケースも少なくない。
また、非特許文献2に記載のように簡易な近似式を用いる方法では、電磁誘導に寄与する見かけの送電電流を推定して設定しなければならず、実際の送電電流が見かけの送電電流と異なる場合には、誤差が大きくなるという問題があった。
また、非特許文献3に記載のように敷設予定ルート近傍の磁束密度を測定して電磁誘導電圧を予測する方法では、磁束密度を測定したり、測定した磁束密度を演算したり、幾何学的位置関係を測定するといった多くの過程を経て電磁誘導電圧を評価しなければならず、高度な測定技術や演算技術が必要となるという問題があった。
そこで、金属製パイプラインや通信ケーブルに電磁誘導電圧の発生が予測される箇所については、予め金属製パイプラインや通信ケーブルの敷設時に低接地物の設置や遮蔽ケーブルの使用といった電磁誘導の低減対策を実施することが一般的である。しかし、上述のように、金属製パイプラインや通信ケーブルに発生する電磁誘導電圧を予測することについては多くの課題がある。そのため、接地物の適正な接地抵抗値や接地物の配置をすることができず、過度の安全側の設計であったり、あるいは、対策が不十分で接地物を追加したりするケースもあり、電磁誘導の低減対策費用が必要以上に大きくなるという問題があった。
以上のような背景から、金属製パイプラインや通信ケーブルに発生する電磁誘導電圧、さらには対地交流電位を、高い精度で簡便に予測可能な方法が希求されていた。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、極めて高い精度で金属製パイプラインや通信ケーブル等の埋設金属導体または架空金属導体に発生する電磁誘導電圧を予測することができ、従来の理論式を適用することができなかった環境においても電磁誘導電圧を予測することが可能な、新規かつ改良された電磁誘導電圧予測方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本願発明者らが鋭意研究を行なった結果、埋設金属導体または架空金属導体の敷設前に、これら埋設金属導体または架空金属導体の敷設予定ルートに沿って地表面に連続した導体を敷設し、端部の大地間との電位差を測定することで、埋設金属導体または架空金属導体の敷設後にこれら埋設金属導体または架空金属導体に発生する電磁誘導電圧を容易に予測することが可能であることに想到した。
本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、本発明がその要旨とするところは、以下の通りである。
(1)交流架空送電線または交流式電気鉄道による磁束密度に起因して、前記交流架空送電線または前記交流式電気鉄道に隣接して敷設される埋設金属導体または架空金属導体に発生する電磁誘導電圧を、前記埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設前に予測する電磁誘導電圧の予測方法であって、前記埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設予定ルートの地表面に、電気的に連続した導体である連続導体を敷設し、前記地表面に敷設した連続導体の任意の地点と大地との間の電位差を測定し、得られた測定値に基づいて前記埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設予定ルートの電磁誘導電圧を評価する
ことを特徴とする、電磁誘導電圧予測方法。
(2)前記敷設予定ルートを複数の区間に区分して、当該区分毎に前記連続導体を敷設し、互いに隣接する前記区間に敷設された前記連続導体について、一方の区間に敷設された前記連続導体の端部と、他方の区間に敷設された前記連続導体の前記一方の区間に敷設された連続導体側に位置する端部との間に生じた電位差の振幅および位相差を測定することを特徴とする、(1)に記載の電磁誘導電圧予測方法。
(3)前記敷設予定ルートを複数の区間に区分して、当該区分毎に前記連続導体を敷設し、前記区間に敷設されたある一つの前記連続導体の端部と大地との間の電位差の振幅および位相差を測定するとともに、互いに隣接する前記区間に敷設された各連続導体の互いに相対する側の端部と大地との間の電位差の振幅および位相差を測定することを特徴とする、(1)に記載の電磁誘導電圧予測方法。
(4)前記敷設予定ルートのいずれか一方の端部に位置する前記連続導体の端部を接地することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の電磁誘導電圧予測方法。
(5)前記交流架空送電線または前記交流式電気鉄道の近傍に参照信号測定手段を固定し、前記電位差測定手段により測定される電位差と、前記参照信号測定手段により測定される信号との位相差をあわせて測定することを特徴とする、(2)〜(4)のいずれかに記載の電磁誘導電圧予測方法。
(6)前記連続導体と大地との間の電位差を、車輪電極を用いて連続的に測定することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の電磁誘導電圧予測方法。
(7)交流架空送電線または交流式電気鉄道による磁束密度に起因して、前記交流架空送電線または前記交流式電気鉄道に隣接して敷設される埋設金属導体または架空金属導体に発生する電磁誘導電圧を、前記埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設前に予測する電磁誘導電圧予測方法であって、前記埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設予定ルートの地表面に、電気的に連続した導体である連続導体を敷設し、前記連続導体の任意の点に低接地物を接続した状態で、前記地表面に敷設した連続導体と大地との間の電位差を測定し、敷設後の前記埋設金属導体または前記架空金属導体に生じる対地交流電位の前記低接地物による低減の度合いを予測することを特徴とする、埋設金属導体または架空金属導体に発生する電磁誘導電圧の予測方法。
本発明によれば、金属製パイプラインや通信ケーブル等の埋設金属導体または架空金属導体に発生する電磁誘導電圧を煩雑な計算を行うことなく予測することができ、従来の理論式を適用することができなかった環境においても電磁誘導電圧を極めて高い精度で予測することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。 片端接地の現象を説明するための説明図である。 片端接地の現象を説明するための説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。 本発明の第4の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。 交流電圧計の参照信号として磁気センサを使用する例を説明するための説明図である。 ベクトル表記した際の対地交流電位の加算を説明するための説明図である。 ベクトル表記した際の対地交流電位の加算を説明するための説明図である。 本発明の第5の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。 本発明の第6の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。 本発明の第7の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。 高圧架空送電線と金属製パイプラインの位置関係を説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、以下に示す本発明の各実施形態においては、埋設される金属製パイプラインが交流架空送電線から電磁誘導の影響を受ける場合について説明するが、架空される金属製パイプラインの場合や、埋設または架空される金属製パイプラインが交流電気鉄道からの影響を受ける場合や、埋設または架空される通信ケーブルが交流架空送電線または交流電気鉄道から影響を受ける場合についても同様であることは言うまでもない。
(本発明の各実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法の概要について)
まず、送電鉄塔に単相交流方式の交流架空送電線が設けられている場合について、図11を参照しながら説明し、本発明の各実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法の概要について詳細に説明する。図11は、交流架空送電線と金属製パイプラインの位置関係を説明するための説明図である。
図11に示したように、交流架空送電線A(図中の白抜きの三角印)と、金属製パイプラインの敷設予定ルートP(図中の白抜きの丸印)の位置関係を定義する。また、金属製パイプラインの敷設予定ルート(すなわち、金属製パイプラインの軸方向)をx方向、水平方向をy方向、鉛直方法をz方向とする。
ここで、図11において、
:交流架空送電線Aの地表面からの高さ
:金属製パイプラインの敷設予定ルートPの深度
:金属製パイプラインの敷設予定ルートPの交流架空送電線Aからの水平離隔距離
a :交流架空送電線Aと金属製パイプラインの敷設予定ルートPとの直線距離
である。
また、電磁誘導電圧を予測するための演算に際しては、交流架空送電線Aおよび金属製パイプラインの敷設予定ルートPの鏡像を考慮する必要がある。鏡像を考慮する際には、地表面を鏡面とするのではなく、地表面から大地透過深度と呼ばれる深さだけ下方の位置を鏡面とする。この鏡面を対称面として、交流架空送電線Aの鏡像A’および金属製パイプラインの敷設予定ルートPの鏡像P’を考え、交流架空送電線Aの鏡像A’に関して、以下のようにパラメータを定義する。
:大地透過深度
b :交流架空送電線Aと金属製パイプラインの敷設予定ルートPの鏡像P’との直線距離
同様に、地表面に敷設する連続導体Qおよび連続導体Qの鏡像Q’を考え、交流架空送電線Aとの位置関係を、以下のように定義する。
a’:交流架空送電線Aと地表面に敷設する連続導体Qとの直線距離
b’:交流架空送電線Aと地表面に敷設する連続導体Qの鏡像Q’との直線距離
上記のように交流架空送電線A、金属製パイプラインの敷設予定ルートPの位置関係を定義し、交流架空送電線Aに流れる送電電流をIとすると、金属製パイプラインの軸方向に誘導される電磁誘導電圧Vは、送電電流Iと金属製パイプラインと交流架空送電線との間の大地帰路相互インピーダンスZとを用いて、以下の式101で表される。
Figure 2010203523
・・・(式101)
ここで、上記の大地帰路相互インピーダンスZは、Pollaczekにより厳密解が与えられているが、本実施形態に係る方法では、Deriらによる架空導体間の近似式を変形した雨谷らによる近似式(式102)を用いる。
Figure 2010203523
・・・(式102)
ここで、上記式102において、jは虚数単位であり、ωは送電電流Iの角周波数(=2πf、関東地区ではf=50Hzであり、関西地区ではf=60Hzである。)であり、μは真空の透磁率(=4π×10−7)である。また、aは、上述のように交流架空送電線Aと金属製パイプラインPとの直線距離であり、bは、交流架空送電線Aと金属製パイプラインPの鏡像P’との直線距離である。上記aおよびbは、それぞれ、以下の式103および式104で表される。
Figure 2010203523
・・・(式103)
Figure 2010203523
・・・(式104)
また、上記式104において、hは、上述のように大地透過深度であるが、このhは、以下の式105で表される。
Figure 2010203523
・・・(式105)
ここで、ρは大地抵抗率であり、例えば、大地抵抗率ρを50Ωmとすると、hの絶対値として356(m)が得られる。なお、hは、複素数あるいはその絶対値のどちらを用いてもよい。以下では、絶対値を用いた場合を例にとり、説明する。
ここで、式101および式102より、電磁誘導電圧Vを表す式として、以下の式106が得られる。
Figure 2010203523
・・・(式106)
ここで、上記式106において、a、b、h、hは、式103および式104を用いて、金属製パイプラインの幾何学的位置関係から決まる定数であり、hは、大地抵抗率や真空の透磁率等から算出可能な値である。
また、式106を用いて算出された電磁誘導電圧Vを、金属製パイプラインの延長方向に積算することにより、以下の式107のように対地交流電位EACを算出することができる。
Figure 2010203523
・・・(式107)
地表面に敷設した連続導体Qに誘導される電磁誘導電圧V’mも同様の考え方で求めることができるが、ここで、交流架空送電線Aと金属製パイプラインの敷設予定ルートPとの直線距離a、b、および、交流架空送電線Aと連続導体Qとの直線距離a’、b’が金属製パイプラインの敷設予定ルートPの深度hpに比べて大きく、a≒a’、b≒b’とみなすと、式108が導出される。すなわち、金属製パイプラインの敷設ルートP上の地表面に敷設した連続導体Qに誘導される電磁誘導電圧V’mは、金属製パイプラインに誘導される電磁誘導電圧Vに近似することができる。さらには、式108を用いて算出された電磁誘導電圧V’を、連続導体Qの延長方向に積算することにより、以下の式109のように対地交流電位E’ACを算出することができる。
Figure 2010203523
・・・(式108)
Figure 2010203523
・・・(式109)
以上説明したように、金属製パイプラインへの電磁誘導電圧Vに寄与するのは、幾何学的位置関係、周波数、および、大地抵抗率であり、交流架空送電線との位置関係がほぼ同じであれば、地中に埋設された金属製パイプラインであっても、地表面に敷設した連続導体であっても、式106および式107で示したような同じ大きさの電磁誘導電圧が発生する。従って、金属製パイプラインの敷設予定ルート近傍の地表面に、例えばケーブルのような連続導体を敷設して、連続導体に発生する電磁誘導電圧V’、すなわち対地交流電位E’ACを測定することで、敷設後の金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧V、さらには対地交流電位EACを予測することが可能となる。
なお、金属製パイプラインや通信ケーブルへの交流架空送電線からの影響として静電誘導も挙げられるが、金属製パイプラインや通信ケーブルが埋設されている場合は、導体である大地に周囲を覆われているため静電誘導の影響は受けず、また、地表面に敷設した場合も静電誘導の影響は無視できるレベルにある。
上述の説明では、単相の交流架空送電線に近接した金属製パイプラインにおける電磁誘導電圧V、および対地交流電位EACについて説明した。実際の交流架空送電線のほとんどは、多相、具体的には三相交流方式であるが、取り扱いは基本的に単相と同じである。
以上説明したような、電磁誘導電圧予測方法の概略を踏まえ、以下では、本発明の各実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法の具体例について、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。
金属製パイプラインは、一般に、絶縁性の高い塗覆装により周囲土壌と電気的に絶縁されており、この金属製パイプラインが、図1に示すように、交流架空送電線に近接して埋設される場合について、以下で説明する。
本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法は、隣接する送電鉄塔10と送電鉄塔11との間に張られた交流架空送電線12に近接して金属製パイプラインの敷設予定ルート14が設定される場合に、敷設後の金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧、さらには対地交流電位を、金属製パイプラインの敷設前に予測する方法である。
本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法では、図1に示したように、地表面Sに敷設した連続導体101と交流電圧計102とを用いて、連続導体101と大地間の交流電位差、すなわち連続導体101の対地交流電位を測定し、電磁誘導電圧の予測を行なう。
連続導体101は、金属や導電率の大きい物質で製造された連続した導体であり、具体例としては、銅やアルミニウムで製造されたケーブルなどが挙げられる。連続導体101として、例えば鉄板などの帯状のものも採用可能であるが、取扱いの容易さを考慮すると、連続導体としては金属性のケーブルが好適である。
また、連続導体101は、大地と電気的に接触することのないように、絶縁性の高い被覆で覆うことが望ましい。
本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法では、図1に示したように、金属製パイプラインの敷設予定ルート14に沿って、上述のような連続導体101を敷設する。
交流電圧計102は、連続導体101と大地間の電位差、すなわち連続導体101の対地交流電位を計測する電圧計である。交流電圧計102の内部抵抗は大きい方が望ましく、例えば、1MΩ以上であればよい。
照合電極103は、大地に設置し、大地の電位を計測するための電極である。このような照合電極103の例として、例えば、飽和硫酸銅照合電極や鋼製接地棒などを挙げることができる。
図1に示したように、本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法では、連続導体101の端部と大地に設置した照合電極103との間に交流電圧計102を挿入する。このように交流電圧計102および照合電極103を設置することで、連続導体101の端部と照合電極103との間の電位差、すなわち、連続導体101の対地交流電位を交流電圧計102にて計測することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法では、金属製パイプラインの敷設予定ルート14に沿って、地表面Sに電気的に連続した導体101を敷設し、連続導体101と大地との間の電位差、すなわち連続導体101の対地交流電位を交流電圧計102で測定する。これにより、敷設後の金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧、さらには対地交流電位を、金属製パイプラインの敷設前に予測することが可能となる。
これにより、金属製パイプラインや通信ケーブルに対して、電磁誘導対策の要否の評価、および、対策が必要な場合については適正な対策の設計を行なうことで金属製パイプラインや通信ケーブルの敷設と同時に適切な電磁誘導の低減対策を実施することができ、電磁誘導対策の費用を大幅に削減することが可能となる。
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法について、図2、図3Aおよび図3Bを参照しながら、以下に詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図であり、図3Aおよび図3Bは、片端接地の現象を説明するための説明図である。
本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法は、本発明の第1の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法と同様に、隣接する送電鉄塔10と送電鉄塔11との間に張られた交流架空送電線12に近接して金属製パイプラインの敷設予定ルート14が設定される場合に、敷設後の金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧、さらには対地交流電位を、金属製パイプラインの敷設前に予測する方法である。
本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法では、例えば図2に示したように、地表面Sに敷設した連続導体101の一方の端部を接地(以下、「片端接地」と称する。)することで、敷設後の金属製パイプラインに発生する対地交流電位を予測する。なお、図2では、連続導体101の左端を接地している場合について図示しているが、接地する端部は、図2に示した例に限定されるわけではない。
連続導体101を片端接地した場合、片端接地した側の端部の対地交流電位が0となる。そのため、連続導体101の接地していないもう一方の端部の対地交流電位を測定するだけで、連続導体101全長に発生する電磁誘導電圧、さらには対地交流電位を評価することができる。
なお、本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法において、連続導体101の一方の端部を接地するために用いられる接地物の接地抵抗は、交流電圧計102の内部抵抗よりも小さいことが望ましい。例えば、交流電圧計102の内部抵抗が1MΩとすると、接地物の接地抵抗は、1kΩ以下であることが望ましい。交流電圧計102に対する接地物の接地抵抗の比率が小さいほど、対地交流電位の測定の精度が向上する。
続いて、図3Aおよび図3Bを参照する。
送電鉄塔10と送電鉄塔11との間に張られた交流架空送電線12に並行して連続導体101を長さL[m]にわたって敷設し、かつ、交流架空送電線12と連続導体101との離隔がこの区間の全ての地点において一定であるとすると、連続導体101の任意の点に発生する電磁誘導電圧も一定の値となる。この時の単位長さ当たりの電磁誘導電圧をVとすると、連続導体101全長に発生する電磁誘導電圧は、VLである。
この時、図3Aに示したように、連続導体101を接地せずに大地から絶縁させた場合、連続導体101の対地交流電位は、中央(すなわち、図3AにおけるL/2の位置)で0となり、連続導体101の端部に行くにしたがって増加していき、連続導体101の両端部でVL/2[V]となるような分布となる。なお、図3Aに示した分布は、本発明の第1の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法における測定結果の分布に相当するものである。
一方、図3Bに示したように、連続導体101を片端接地した場合、連続導体101の対地交流電位は、片端接地した地点の対地交流電位が0となり、もう一方の端部に行くにしたがって単調増加し、もう一方の端部ではVL[V]となるような分布となる。
実際に、交流架空送電線近傍に埋設された金属製パイプラインの対地交流電位と、地表面に敷設されたケーブルの対地交流電位を測定し、比較したものを以下に示す。金属製パイプラインについては、金属製パイプラインに設けられた2箇所のターミナルボックスTおよびTにおける対地交流電位を測定した。ここで、ターミナルボックスとは、金属製パイプラインに接続されたリード線が地表面まで立ち上がっており、対地交流電位が測定可能な箇所である。また、ケーブルについては、ケーブルを金属製パイプライン近傍の地表面のターミナルボックスTからTまでの間に敷設し、さらに、T近傍の端部を片端接地した状態で、T近傍の端部の対地交流電位を測定した。ここで、ターミナルボックスTとT間の距離は484mである。
測定結果を、以下の表1および表2に示す。表1より、金属製パイプラインの2箇所のターミナルボックスTおよびTにおける対地交流電位の差は、3.8Vであった。他方、T近傍の端部を片端接地したケーブルのT近傍の端部の対地交流電位は、3.6Vであった。この結果から明らかなように、金属製パイプラインの2箇所のターミナルボックスTおよびTにおける対地交流電位の差と、金属製パイプライン近傍の地表面に敷設して片端接地したケーブルの対地交流電位とは、ほぼ一致していることがわかる。
Figure 2010203523
Figure 2010203523
このように、金属製パイプライン近傍の地表面に敷設したケーブルの対地交流電位が、実際に金属製パイプラインに発生している対地交流電位と良い一致を示していることが判る。
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法について、図4を参照しながら、以下に詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。
本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法では、連続導体101の途中の点にリード線を取り付け、リード線を取り付けた点の連続導体101と大地との間の電圧、すなわち対地交流電位を測定する方法である。より詳細には、例えば図4に示したように、地表面Sに敷設した連続導体101の一方の端部を接地し、連続導体101の途中の任意の点(図4中のP、1≦i≦n)にリード線を取り付け、リード線を交流電圧計102に接続する。また、リード線を取り付けた点の近傍には、照合電極103を設置し、交流電圧計102に接続する。
この方法により、連続導体101の端部のみならず、連続導体101の任意の点Pの対地交流電位を測定でき、連続導体101の任意の地点における対地交流電位の分布の詳細を知ることができる。
(第4の実施形態)
続いて、本発明の第4の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法について、図5、図6、図7Aおよび図7Bを参照しながら、以下に詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図であり、図6は、交流電圧計の参照信号として磁気センサを使用する例を説明するための説明図であり、図7Aおよび図7Bは、ベクトル表記した際の対地交流電位の加算を説明するための説明図である。
本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法では、複数の連続導体101を使用するか、または、連続導体101を複数回使用して、連続導体101の対地交流電位を測定する。
金属製パイプラインの敷設予定ルートの延長が長い場合、金属製パイプラインの敷設予定ルート全延長を1本の連続導体101で測定しようとすると、連続導体101が大量に必要となったり、敷設した連続導体101の管理が難しくなったりする等の問題が生じる。そのため、金属製パイプラインの敷設予定ルートを複数の短い区間に区切り、複数の連続導体101、または、連続導体101を複数回使用することで、連続導体101の対地交流電位の測定を容易に行うことが可能となる。
図5は、金属製パイプラインの敷設予定ルートをn個の短い区間に区分し、各区間の地表面にn個の連続導体101を敷設して、金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧、さらには対地交流電位の予測を行う場合について示している。金属製パイプラインの敷設予定ルート上には、各区間に連続導体101が1個ずつ、計n個の連続導体101が敷設されている。区間1について、連続導体101のP点の端部を接地し、連続導体101の他方P点の端部を交流電圧計102とリード線で接続し、かつ、交流電圧計102と地面に設置した照合電極103とをリード線にて接続する。
区間1に隣接する区間2については、連続導体101の区間1の連続導体101に相対する側P点の端部を照合電極103と直接接続する。この照合電極103は、連続導体101を接地することを目的として使用されている。図5において、区間2のP点で連続導体101の端部は、区間1の連続導体101に接続された交流電流計102に接続された照合電極103に接続されているが、近傍にもう一つ別の照合電極103あるいは低接地物を設置してもよい。更に、区間2の連続導体101の他方P点の端部をリード線にて交流電圧計102と接続し、さらに、地面に設置した照合電極103と接続する。同様にして、区間3から区間nまでの連続導体101について、回路を形成させる。
まず、区間1に敷設した連続導体101を使用してP点を基準とした時のP点の連続導体101の対地交流電位EAC1を測定する。次に、区間2に敷設した連続導体101を使用してP点を基準とした時のP点の連続導体101の対地交流電位EAC2を測定する。同様の測定を区間nまで繰り返し行って、分割した各区間の連続導体101の対地交流電位EACiを順次測定する。こうした測定によって得られた各区間の連続導体101の対地交流電位EACiを加算することにより、敷設後の金属製パイプライン全延長について発生する対地交流電位EACを予測する。
さらに、例えば、区間1から区間3までについて、各区間の連続導体101の対地交流電位EACiを加算することにより、P点を基準としたときのP3点の連続導体101の対地交流電位等のように、金属製パイプラインの任意の点を基準点として、他の任意の点に発生する金属製パイプラインの対地交流電位を求めることもできる。
この際に使用する交流電圧計102は、同期検波機能を有する。ここで、同期検波とは、検波する信号の周期に合わせた信号(同期信号)を受信信号に乗算することで相関を検出する方法をいう。同期信号は参照信号とも呼ばれ、交流電圧計102内部において水晶振動子等から生成する場合と、交流電圧計102の外部から信号を入力して使用する場合とがある。この同期検波機能を有する交流電圧計102を使用することで、連続導体101の対地交流電位の振幅に加えて、位相もあわせて測定する。
図6に、同期検波機能を有する交流電圧計102に外部から入力する参照信号として、交流架空送電線12から発生する磁束密度を用いる場合の例を示す。交流電圧計102において、交流架空送電線12近傍に設置された参照信号測定手段の一例である参照用磁気センサ106からの交流電圧を、参照信号として入力する。交流電圧計102においては、連続導体101の対地交流電位の中で、参照用磁気センサ106から入力された交流電圧の波形に同期する成分を同期検波により計測し、連続導体101の対地交流電位の振幅および参照用磁気センサ106からの交流電圧との位相差を求める。これにより、交流架空送電線12から発生している磁束密度を基準とした位相の測定を行なうことが可能となる。
ここで、上記参照用磁気センサ106からの交流電圧は、参照信号の一例である。本実施形態で使用可能な参照信号は、上記参照用磁気センサ106からの交流電圧に限定されるわけではなく、交流架空送電線に設置した電流計からの出力信号や、交流架空送電線に沿って地表面に敷設したケーブルに誘起される対地交流電位等の、交流架空送電線を流れる交流電流を起因として生成される信号であれば、任意のものを使用することが可能である。
各区間の連続導体101の対地交流電位EAC1〜EACnの位相が同じである場合、対地交流電位の振幅|EACi|を順次加算することにより、P点を基準としたときの金属製パイプラインの敷設予定ルートの終端Pn点における連続導体101の対地交流電位EACnを求めることができる。すなわち、P点を基準としたときの金属製パイプラインの敷設予定ルートの終端Pn点における金属製パイプラインに発生する対地交流電位を、予測することができる。
他方、各区間の連続導体101の対地交流電位EAC1〜EACnの位相が異なる場合、対地交流電位EACiの振幅と位相からベクトルを求め、それぞれのベクトルを加算することで、P点を基準としたときの金属製パイプラインの敷設予定ルートの終端Pn点における連続導体101のEACnを求めることができる。すなわち、P点を基準としたときの金属製パイプラインの敷設予定ルートの終端Pn点における金属製パイプラインに発生する対地交流電位を、予測することができる。
例として、区間1において得られた連続導体101の対地交流電位EAC1と、区間2において得られた連続導体101の対地交流電位EAC2とを加算して導出した連続導体101の対地交流電位Eに対して、EAC1とEAC2との位相差が与える影響について、図7Aおよび図7Bを用いて説明する。
図7Aは、EAC1の位相θとEAC2の位相θの位相差が小さい場合において、EAC1とEAC2とを加算して導出した対地交流電位Eを示したものである。ここで、位相θ、θは、ベクトルと実軸Reとのなす角である。図7Aに示すように、EAC1の位相θとEAC2の位相θの位相差が小さい場合、Eの振幅はEAC1の振幅とEAC2の振幅を加算した値に近くなる。すなわち、|E|≒|EAC1|+|EAC2|となる。
一方、図7Bは、E’AC1の位相θ’とE’AC2の位相θ’の位相差が大きい場合において、E’AC1とE’AC2とを加算して導出した対地交流電位E’を示したものである。ここで、E’AC1の振幅と位相は、図7Aに示したEAC1と等しく(すなわち、|E’AC1|=|EAC1|、θ’11)、かつ、E’AC2の振幅は、図7Aに示したEAC2と等しい(すなわち、|E’AC2|=|EAC2|)としている。図7Bに示すように、E’AC1の位相θ’とE’AC2の位相θ’の位相差が大きい場合、E’の振幅はE’AC1や振幅とE’AC2の振幅よりも小さくなることがある。
このように、各区間における連続導体101の対地交流電位の位相差が小さい場合は、金属製パイプラインの敷設予定ルートの終端に向けて連続導体101の対地交流電位EACは単調増加傾向となる。すなわち、金属製パイプラインの敷設予定ルートの終端に向けて金属製パイプラインに発生する対地交流電位は、単調増加傾向となる。一方、各区間における連続導体101の対地交流電位の位相差が大きい場合は、金属製パイプラインの敷設予定ルートの終端に向けて連続導体101の対地交流電位EACは増加せず、減少することもある。すなわち、金属製パイプラインの敷設予定ルートの終端に向けて金属製パイプラインに発生する対地交流電位は増加せず、減少することもある。
本実施形態において、照合電極103は、連続導体101の対地交流電位測定用の照合電極、および、片端接地用の接地電極の両者の役割を兼ねている。そのため、照合電極103の接地抵抗は、交流電圧計102の内部抵抗よりも小さいことが望ましい。例えば、交流電圧計102の内部抵抗が1MΩとすると、照合電極103の接地抵抗は1kΩ以下であることが望ましい。交流電圧計102に対する照合電極103の接地抵抗の比率が小さいほど、連続導体101の対地交流電位の測定の精度が向上するとともに、片端接地の接地物としての役割を果たす。
このように、連続導体101の対地交流電位の振幅とあわせて位相も測定することにより、金属製パイプラインに発生する対地交流電位の分布を正確に予測することが可能となる。
(第5の実施形態)
続いて、本発明の第5の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法について、図8を参照しながら、以下に詳細に説明する。図8は、本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。
本発明の第2の実施形態のように連続導体101の一方を接地するかわりに、図8に示したように、金属製パイプラインの敷設予定ルートを複数の短い区間に区分して複数の連続導体101を敷設し、各連続導体101の両端部の対地交流電位を測定することで、金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧、さらには、対地交流電位を予測することが可能である。
この場合、図8に示したように、各連続導体101の両端部に交流電圧計102を設置し、互いに隣接する連続導体101の端部それぞれに設けられた交流電圧計102の間に、照合電極103を設置する。
ここで、図8に示した方法で連続導体101の対地交流電位を測定した場合、連続導体101の対地交流電位は、図3Aに示したように、連続導体101の両端部で高くなるような分布を示す。従って、全区間の連続導体101の対地交流電位は、各区間の連続導体101の両端部の対地交流電位を全て加算して求める。
(第6の実施形態)
続いて、本発明の第6の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法について、図9を参照しながら、以下に詳細に説明する。図9は、本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。
上述の本発明の各実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法のように照合電極103を大地に挿入して設置するかわりに、図9のような車輪電極104を用いることが可能である。以下に、照合電極103のかわりに車輪電極104を用いる方法について、説明する。
本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法では、例えば図9に示したように、連続導体101の一端を接地しておき、連続導体101の他端を車輪電極104に接続する。また、連続導体101と車輪電極104との間に、交流電圧計102を配置する。その後、車輪電極104の移動に合わせて連続導体101を敷設してゆく。これにより、任意の地点の連続導体101の対地交流電位を連続して測定することが可能となる。また、この方法を用いることで、連続導体101の対地交流電位分布を、きめ細かく把握することができる。
ここで、車輪電極104には、例えば、導電性ゴム等を用いる。また、大地に水を散布し、車輪電極104と大地との接触抵抗を小さくすることで、連続導体101の対地交流電位の測定精度を向上させることが可能である。
また、連続導体101をケーブルリール等に巻いて移動させることで、地表面Sへの連続導体101の敷設が容易となる。ケーブルリールを使用した場合、連続導体101の端部と車輪電極104をケーブルで接続すると、ケーブルにねじれが生じる可能性がある。これを防ぐために、例えばスリップリング等を用いると、ケーブルのねじれを生じさせることなく、連続導体101と車輪電極104とを容易に電気的に接続することができる。
(第7の実施形態)
続いて、本発明の第7の実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法について、図10を参照しながら、以下に詳細に説明する。図10は、本実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法を説明するための説明図である。
上述の各実施形態に係る電磁誘導電圧予測方法により、連続導体101に大きい対地交流電位が観測された場合、敷設予定の金属製パイプラインには、電磁誘導の低減対策として低接地物を接続する措置を施す必要がある。
例えば、金属製パイプラインの一例として、鋼製パイプラインに電磁誘導の低減対策を施す場合、低接地物としてMg陽極を鋼製パイプラインの近傍に埋設して、このMg陽極を鋼製パイプラインとリード線を用いて接続する方法が一般に行われている。Mg陽極は、本来、鋼製パイプラインに電気防食を施すための犠牲陽極として鋼製パイプラインに接続するためのものであるが、同時に電磁誘導の低減対策のための低接地物としても活用できる。例えば、鋼製パイプラインに数百m間隔でターミナルボックスが設置されている場合、複数個のターミナルボックスの近傍にMg陽極を埋設し、各々を鋼製パイプラインと接続することで、分散的に接地が確保され、鋼製パイプラインの対地交流電位を効果的に低減することができる。
しかしながら、Mg陽極を接地したにもかかわらず鋼製パイプラインの対地交流電位が十分低下しなかったり、Mg陽極を接地した近傍のターミナルで鋼製パイプラインの対地交流電位が低下しても他のターミナルの鋼製パイプラインの対地交流電位が増加したりする現象が起こることがある。これは、鋼製パイプラインが埋設されている土壌の抵抗率が場所によって異なるために、同じMg陽極を使用してもMg陽極の接地抵抗がばらついたり、交流架空送電線と鋼製パイプラインとの離隔が一定でないために電磁誘導の影響の大きさが場所によって異なったりするなどの原因が考えられている。そのため、鋼製パイプラインを始めとして、金属製パイプラインの敷設前に、電磁誘導の低減対策に必要な低接地の条件を定量的に予測することは困難であった。
そこで、金属製パイプラインの敷設予定ルート上の地表面に敷設した連続導体101の任意の地点を低接地物と接続して、低接地物を接続した状態の連続導体101の対地交流電位を測定することにより、敷設後の金属製パイプラインに低接地物を接続したときの金属製パイプラインの対地交流電位を予測する。
より詳細には、例えば図10に示したように、地表面Sに敷設した連続導体101の任意の点(図10中のPRi、1≦i≦n)にリード線を取り付け、抵抗値rを持つ低接地物を接続する。更に、連続導体101の任意の点(図10中のPVj、1≦j≦m)にリード線を取り付け、リード線を取り付けた点の近傍に設置された照合電極103との間に交流電圧計102を接続し、連続導体101の対地交流電位を測定する。この状態で、測定された連続導体101の対地交流電位は、金属製パイプラインを敷設後に、同じ場所に同じ抵抗値で設置された低接地物105を金属製パイプラインに接続した時の金属製パイプラインの対地交流電位に相当する。すなわち、金属製パイプラインを敷設前に、低接地物105を金属製パイプラインに接続した時の金属製パイプラインの対地交流電位の低減効果を予測することが可能となる。
この方法を用いて、低接地物105を接続した際の低接地物105の接続位置や抵抗値r等を変更しながら、連続導体101の対地交流電位の測定を繰り返すことで、連続導体101の対地交流電位分布が最も小さくなるような、最適な低接地物105の接地条件を見出す。すなわち、この時の接地条件が、敷設予定の金属製パイプラインにおける最適な接地条件であると言える。このような方法により、金属製パイプラインの敷設前に、金属製パイプラインの最適な接地条件を予測することができる。
(まとめ)
以上説明したように、本発明に係る電磁誘導電圧の予測方法によれば、交流架空送電線が複数存在し、交流架空送電線と金属製パイプラインとの位置関係が複雑である場合にも、煩雑な計算を行うことなく、金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧、さらには対地交流電位を高い精度で予測することができる。
また、大深度地下の鋼製シールド内といった特殊環境内に敷設する金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧を予測することは、従来の予測方法では極めて困難であったが、本発明に係る電磁誘導電圧の予測方法を用いることで、特殊環境内に敷設される金属製パイプラインに発生する電磁誘導電圧、さらには対地交流電位を予測することが可能である。
また、本発明に係る電磁誘導電圧の予測方法は、日本国内においては主に、50Hzおよび60Hzの商用周波数の交流架空送電線を対象としたものであるが、本発明は商用周波数に限定されるものではなく、商用周波数以外の他の交流周波数にも適用可能であることは言うまでもない。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態においては、金属製パイプラインの場合について説明したが、架空または埋設される通信ケーブルや、大深度地下シールドに設けられる通信ケーブル等であっても、同様に電磁誘導電圧、さらには対地交流電位の予測値を算出することが可能である。
10、11 送電鉄塔
12 交流架空送電線
14 金属製パイプラインの敷設予定ルート
101 連続導体
102 交流電圧計
103 照合電極
104 車輪電極
105 低接地物
106 磁気センサ
S 地表面

Claims (7)

  1. 交流架空送電線または交流式電気鉄道による磁束密度に起因して、前記交流架空送電線または前記交流式電気鉄道に隣接して敷設される埋設金属導体または架空金属導体に発生する電磁誘導電圧を、前記埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設前に予測する電磁誘導電圧の予測方法であって、
    前記埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設予定ルートの地表面に、電気的に連続した導体である連続導体を敷設し、
    前記地表面に敷設した連続導体の任意の地点と大地との間の電位差を測定し、
    得られた測定値に基づいて前記埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設予定ルートの電磁誘導電圧を評価する
    ことを特徴とする、電磁誘導電圧予測方法。
  2. 前記敷設予定ルートを複数の区間に区分して、当該区分毎に前記連続導体を敷設し、
    互いに隣接する前記区間に敷設された前記連続導体について、一方の区間に敷設された前記連続導体の端部と、他方の区間に敷設された前記連続導体の前記一方の区間に敷設された連続導体側に位置する端部との間に生じた電位差の振幅および位相差を測定する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の電磁誘導電圧予測方法。
  3. 前記敷設予定ルートを複数の区間に区分して、当該区分毎に前記連続導体を敷設し、
    前記区間に敷設されたある一つの前記連続導体の端部と大地との間の電位差の振幅および位相差を測定するとともに、互いに隣接する前記区間に敷設された各連続導体の互いに相対する側の端部と大地との間の電位差の振幅および位相差を測定する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の電磁誘導電圧予測方法。
  4. 前記敷設予定ルートのいずれか一方の端部に位置する前記連続導体の端部を接地する
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電磁誘導電圧予測方法。
  5. 前記交流架空送電線または前記交流式電気鉄道の近傍に参照信号測定手段を固定し、
    前記電位差測定手段により測定される電位差と、前記参照信号測定手段により測定される信号との位相差をあわせて測定する
    ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の電磁誘導電圧予測方法。
  6. 前記連続導体と大地との間の電位差を、車輪電極を用いて連続的に測定する
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電磁誘導電圧予測方法。
  7. 交流架空送電線または交流式電気鉄道による磁束密度に起因して、前記交流架空送電線または前記交流式電気鉄道に隣接して敷設される埋設金属導体または架空金属導体に発生する電磁誘導電圧を、前記埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設前に予測する電磁誘導電圧予測方法であって、
    前記埋設金属導体または前記架空金属導体の敷設予定ルートの地表面に、電気的に連続した導体である連続導体を敷設し、前記連続導体の任意の点に低接地物を接続した状態で、前記地表面に敷設した連続導体と大地との間の電位差を測定し、敷設後の前記埋設金属導体または前記架空金属導体に生じる対地交流電位の前記低接地物による低減の度合いを予測する
    ことを特徴とする、電磁誘導電圧予測方法。
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