JP2010203457A - 斜板式ピストンモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダブロック16の後端面に穴部36を凹設し、この穴部36にハウジングカバー11の前端面から突設されたボス部38を軸受37を介して係合させた斜板式ピストンモータにおいて、軸受37の摺動面に形成される油膜を適正な厚さに保つことができ、軸受37の耐久性等を向上させることのできる斜板式ピストンモータを提供する。
【解決手段】穴部36とボス部38との間隙部39に作動油を導入する作動油導入孔40をハウジングカバー11に設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、たとえば建設機械の旋回体駆動用モータとして用いられる斜板式ピストンモータに関する。
従来、この種の斜板式ピストンモータは、図4に示されるように、後端を開口させて筒状に形成されたハウジング10と、このハウジング10の後端開口を閉塞するハウジングカバー11とを備えており、ハウジング10の内部には斜板12、ピストン14、シリンダブロック16、バルブプレート18、モータ軸23等が設けられている。
斜板12はその前面がボルト等によりハウジング10の内面に固定されており、この斜板12の背面にはシュー13が摺動可能に当接されている。
ピストン14は、ハウジング10内に複数設けられている。また、各ピストン14は球状頭部15を有しており、この球状頭部15を介してシュー13と揺動可能に係合している。
シリンダブロック16は円柱状に形成されており、このシリンダブロック16内には、ピストン14を摺動可能に保持する複数のシリンダ室17が形成されている。
バルブプレート18は環状に形成されている。また、バルブプレート18はシリンダブロック16とハウジングカバー11との間に設けられ、このバルブプレート18には、シリンダブロック16のシリンダ室17に対して圧油を給排する三日月形の圧油給排ポート19,19が設けられている。
モータ軸23はリテーナ部24を有しており、このリテーナ部24には、リターンプレート25を介してシュー13を斜板12に押圧するリング状の板ばね26が取付けられている。また、モータ軸23は斜板12の中心孔を貫通し、ハウジング10の前端部に形成されたボス部27に軸受28を介して回転可能に支持されている。さらに、モータ軸23はシリンダブロック16の前端面から延出するようにシリンダブロック16と一体に形成されている。
ハウジングカバー11はボルト等によりハウジング10に固定されており、このハウジングカバー11には、バルブプレート18の圧油給排ポート19,19に対して圧油を給排する圧油供給ポート20,20と圧油排出ポート21,21が設けられていると共にハウジング10内でリークした作動油(以下、リーク油と称す)を外部へ排出するリーク油排出ポート22が設けられている。
このような構成において、ハウジングカバー11の圧油供給ポート20からシリンダブロック16のシリンダ室17に圧油がバルブプレート18の圧油給排ポート19を介して供給され、シリンダ室17に供給された圧油によりピストン14がシリンダ室17から押し出される方向に移動し、これに伴ってシュー13が斜板12に押し付けられると、そのときの反力がピストン14を介してシリンダブロック16に回転方向の分力として作用するので、シリンダブロック16およびモータ軸23が回転を始める。
ところで、このような斜板式ピストンモータでは、前述したようにモータ軸23がシリンダブロック16の前端面から延出するようにシリンダブロック16と一体に形成されているため、モータ軸23の後端部を軸受で支持する代わりにシリンダブロック16を軸受で支持する必要がある。そこで、従来ではシリンダブロック16の後端面に穴部36を凹設し、この穴部36にハウジングカバー11の前端面から突設された円柱状のボス部38を軸受37を介して係合させている。
しかしながら、上述した斜板式ピストンモータでは、軸受28,37の潤滑に供される運転中の内部油は始動前にハウジング10内に注入された作動油と運転中の内部リーク油である。穴部36とボス部38との間隙部39に注目すると、間隙部39内の作動油は内部リークによる多少の流動はあるものの、その大部分は間隙部39内で滞留する。従って、今後モータの更なる高速回転要求に対応しようとする際に、作動油温やハウジング温度が高温になった場合には、軸受37の摺動面に形成される油膜を適正な厚さに保持することが難しくなるという難点があった。
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、その目的は、シリンダブロックの後端面に穴部を凹設し、この穴部にハウジングカバーの前端面から突設されたボス部を軸受を介して係合させた斜板式ピストンモータにおいて、穴部とボス部との間に介在する軸受の摺動面に形成される油膜を適正な厚さに保つことができ、軸受の耐久性等を向上させることのできる斜板式ピストンモータを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は、後端を開口させて筒状に形成されたハウジングと、このハウジングの後端開口を閉塞するハウジングカバーと、前記ハウジング内に設けられた斜板と、この斜板にシューを介して揺動可能に係合する複数のピストンと、これらのピストンを摺動可能に保持する複数のシリンダ室を有するシリンダブロックと、このシリンダブロックと前記ハウジングカバーとの間に設けられた環状のバルブプレートと、このバルブプレートと反対側のシリンダブロックの前端面から延出するようにシリンダブロックと一体に形成されたモータ軸とを備えてなり、前記シリンダブロックの後端面に穴部を凹設し、この穴部にハウジングカバーの前端面から突設されたボス部を軸受を介して係合させた斜板式ピストンモータにおいて、前記穴部とボス部との間隙部に作動油を導入する作動油導入手段を、前記ハウジングカバー若しくは前記モータ軸に設けたことを特徴とする。
この場合、間隙部に導入された作動油は軸受内を流れ、さらにバルブプレートとハウジングカバーとの間を通流した後にハウジング内から排出されるように構成してもよい。また、間隙部に導入された作動油をハウジングカバーとバルブプレートとの間を通流させるための溝部を、バルブプレートおよびハウジングカバーのいずれか一方若しくは両方に設けることが好適である。さらに、本発明に係る斜板式ピストンモータは、モータ軸にブレーキ力を作用させるメカニカルブレーキ機構と、このメカニカルブレーキ機構のブレーキ力を油圧力により解除するブレーキ解除用油圧タイマとをさらに備え、間隙部に導入される作動油がブレーキ解除用油圧タイマへの供給油であってもよい。
以上説明したように、本発明によれば、シリンダブロックの後端面に穴部を凹設し、この穴部にハウジングカバーの前端面から突設されたボス部を軸受を介して係合させた斜板式ピストンモータにおいて、穴部とボス部との間に介在する軸受の摺動面に形成される油膜を適正な厚さに保つことができ、軸受の耐久性等を向上させることのできる斜板式ピストンモータを提供できる。
本発明の第1実施形態に係る斜板式ピストンモータの内部構造を示す断面図である。 本発明の第2実施形態を説明するための図で、バルブプレートの背面図である。 本発明の第3実施形態に係る斜板式ピストンモータの内部構造を示す断面図である。 従来の斜板式ピストンモータの内部構造を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る斜板式ピストンモータの内部構造を示す断面図である。同図において、本実施形態に係る斜板式ピストンモータは後端を開口させて筒状に形成されたハウジング10と、このハウジング10の後端開口を閉塞するハウジングカバー11とを備えており、ハウジング10の内部には斜板12、ピストン14、シリンダブロック16、バルブプレート18、モータ軸23、メカニカルブレーキ機構29等が設けられている。
斜板12はその前面がボルト等によりハウジング10の内面に固定されており、この斜板12の背面にはシュー13が摺動可能に当接されている。
ピストン14は、ハウジング10内に複数設けられている。また、各ピストン14は球状頭部15を有しており、この球状頭部15を介してシュー13と揺動可能に係合している。
シリンダブロック16は円柱状に形成されており、このシリンダブロック16内には、ピストン14を摺動可能に保持する複数のシリンダ室17が形成されている。
バルブプレート18は環状に形成されている。また、バルブプレート18はシリンダブロック16とハウジングカバー11との間に設けられ、このバルブプレート18には、シリンダブロック16のシリンダ室17に対して圧油を給排する三日月形の圧油給排ポート19,19が設けられている。
モータ軸23はリテーナ部24を有しており、このリテーナ部24には、リターンプレート25を介してシュー13を斜板12に押圧するリング状の板ばね26が取付けられている。また、モータ軸23は斜板12の中心孔を貫通し、ハウジング10の前端部に形成されたボス部27に軸受28を介して回転可能に支持されている。さらに、モータ軸23はシリンダブロック16の前端面から延出するようにシリンダブロック16と一体に形成されている。
メカニカルブレーキ機構29はシリンダブロック16に固定された固定ブレーキ板30と、この固定ブレーキ板30に対向してシリンダブロック16の外周に設けられた可動ブレーキ板31と、この可動ブレーキ板31をシリンダブロック16の軸方向に進退駆動するブレーキピストン32と、このブレーキピストン32を介して可動ブレーキ板31を固定ブレーキ板30に押圧する複数の圧縮コイルばね33とを備えている。また、メカニカルブレーキ機構29はブレーキピストン室34を有しており、このブレーキピストン室34に圧油がブレーキ解除用油圧タイマ35から供給され、これによりブレーキピストン32および可動ブレーキ板31が圧縮コイルばね33のばね力に抗して図中右方へ後退移動すると、固定ブレーキ板30と可動ブレーキ板31との間に発生している摩擦ブレーキ力が解除されるようになっている。従って、メカニカルブレーキ機構29のブレーキピストン室34に圧油がブレーキ解除用油圧タイマ35から供給され、これにより可動ブレーキ板31およびブレーキピストン32が圧縮コイルばね33のばね力に抗して図中右方へ移動すると、モータ軸23に対するブレーキ力が解除され、シリンダブロック16およびモータ軸23が回転可能な状態となる。
ハウジングカバー11はボルト等によりハウジング10に固定されており、このハウジングカバー11には、バルブプレート18の圧油給排ポート19,19に対して圧油を給排する圧油供給ポート20,20と圧油排出ポート21,21が設けられていると共にハウジング10内でリークした作動油を外部へ排出するリーク油排出ポート22が設けられている。そして、ハウジングカバー11の前端面には、シリンダブロック16の後端面に凹設された穴部36に軸受37を介して係合する円柱状のボス部38が突設されている。
圧油供給ポート20,20および圧油排出ポート21,21はバルブプレート18に向かって開口する大径孔部と、この大径孔部の後端に連設された小径孔部とから形成されており、各ポート20,21の大径孔部には、リング状のブッシュ44が摺動可能に設けられていると共にブッシュ44をバルブプレート18の背面に当接させる弾性体、好ましくは皿ばね等のばね45が設けられている。
各ブッシュ44はその前端面をハウジングカバー11の前端面から僅かに突出させて前記大径部に設けられており、従ってハウジングカバー11とバルブプレート18との間には油を通流させるための隙間が形成されている。
また、ハウジングカバー11には前述した穴部36とボス部38との間隙部39に作動油を導入する作動油導入手段としての作動油導入孔40が設けられている。この作動油導入孔40は作動油供給管路41および絞り43を介してブレーキ解除用油圧タイマ35に連通しており、従って作動油導入孔40にはブレーキ解除用油圧タイマ35に供給された作動油が絞り43および作動油供給管路41を介して常時供給されるようになっている。
このように構成される斜板式ピストンモータでは、ブレーキ解除用油圧タイマ35から分岐され、絞り43により減圧された後、作動油供給管路41に供給された作動油が作動油導入孔40を介して間隙部39に導入されると、間隙部39内の油が間隙部39に導入された作動油と共に軸受37内を流れ、さらにハウジングカバー11とバルブプレート18との間を通流した後、ハウジングカバー11のリーク油排出ポート22から外部に排出される。
従って、本実施形態では軸受37の潤滑に供される油が間隙部39内で滞留して高速運転時に高温となることがないので、軸受37の摺動面に形成される油膜の厚さを適正な厚さに保つことが可能となり、これにより軸受37の摩耗を抑制することができる。また、軸受37の潤滑に供される油が間隙部39内で滞留せず、常にリーク油排出ポート22より外部に排出されるため、コンタミ等の異物によって軸受37の摺動面が損傷したりすることを抑制できる。このようにして本実施形態では、軸受37の耐久性を向上させることができる。さらに、メカニカルブレーキ機構29のブレーキ力を油圧力により解除する油圧タイマ35への供給油の一部を作動油導入孔40より間隙部39に供給しているため、作動油導入孔40に作動油を供給するための油圧ポンプ等を新たに設けることなく軸受37の摺動面に形成される油膜の厚さを適正な厚さに保つことができる。
なお、上述した実施形態では作動油導入手段としての作動油導入孔40をハウジングカバー11に設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば作動油導入孔40をシリンダブロック16と一体に形成されたモータ軸23に設けてもよい。また、上述した実施形態では油圧タイマ35をハウジング10と別体に設けたが、油圧タイマ35をハウジング10と一体に設けても良く、その場合には油圧タイマ35からの作動油を作動油導入孔40に供給するための通路をハウジング10およびハウジングカバー11内に形成する必要があることは言うまでもない。さらに、上述した実施形態ではリーク油排出ポート22をハウジングカバー11に設けた斜板式ピストンモータに本発明を適用した場合について説明したが、リーク油排出ポート22をハウジング10に設けた斜板式ピストンモータについても本発明を適用することができる。
また、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。たとえば図2に示す第2実施形態あるいは図3に示す第3実施形態のように、間隙部39に導入された作動油をハウジングカバー11とバルブプレート18との間を通流させるための溝部42をバルブプレート18およびハウジングカバー11のいずれか一方若しくは両方に設けても良い。
このように間隙部39に導入された作動油をハウジングカバー11とバルブプレート18との間を通流させるための溝部42をバルブプレート18およびハウジングカバー11のいずれか一方若しくは両方に設けることにより、間隙部39に導入された作動油が軸受37により流れ易くなるので、軸受37の摺動面に形成される油膜の厚さをより確実に適正な厚さに保つことができる。
10 ハウジング
11 ハウジングカバー
12 斜板
13 シュー
14 ピストン
16 シリンダブロック
17 シリンダ室
18 バルブプレート
23 モータ軸
29 メカニカルブレーキ機構
35 ブレーキ解除用油圧タイマ
36 穴部
37 軸受
38 ボス部
39 間隙部
40 作動油導入孔
42 溝部

Claims (3)

  1. 後端を開口させて筒状に形成されたハウジングと、このハウジングの後端開口を閉塞するハウジングカバーと、前記ハウジング内に設けられた斜板と、この斜板にシューを介して揺動可能に係合する複数のピストンと、これらのピストンを摺動可能に保持する複数のシリンダ室を有するシリンダブロックと、このシリンダブロックと前記ハウジングカバーとの間に設けられた環状のバルブプレートと、このバルブプレートと反対側のシリンダブロックの前端面から延出するようにシリンダブロックと一体に形成されたモータ軸とを備えてなり、前記シリンダブロックの後端面に穴部を凹設し、この穴部にハウジングカバーの前端面から突設されたボス部を軸受を介して係合させた斜板式ピストンモータにおいて、
    前記穴部とボス部との間隙部に作動油を導入する作動油導入手段を、前記ハウジングカバー若しくは前記モータ軸に設けたことを特徴とする斜板式ピストンモータ。
  2. 前記モータ軸にブレーキ力を作用させるメカニカルブレーキ機構と、
    前記メカニカルブレーキ機構はブレーキピストン室を有しており、このブレーキピストン室に圧油を供給するブレーキ解除用油圧タイマを備え、これによりブレーキピストンおよび可動ブレーキ板が圧縮コイルばねのばね力に抗して図中右方へ後退移動すると、固定ブレーキ板と可動ブレーキ板との間に発生している摩擦ブレーキ力が解除される請求項1に記載の斜板式ピストンモータ。
  3. 前記間隙部に導入される作動油が前記ブレーキ解除用油圧タイマへの供給油である請求項2記載の斜板式ピストンモータ。
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