JP2010197718A - 駆動モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ光を走査させて光学的に情報を読み取る光情報用駆動モジュールは、従来の共振駆動方式を用いた場合、走査開始時は走査角が定常動作時より常に小さく、走査開始から過渡期を経て定常動作時の走査角に至るまでは、正常な読み取りが実行できない。
【解決手段】走査ミラー21は、シャーシ2a上に植立される軸24に軸受け部23を嵌合するすべり軸受けによる軸摺動方式を採用し、走査ミラー21の背部とシャーシ2aにとの間を連結するばね26を設ける。ばね26の形状、材質及び厚さを調整して、往復回動によるレーザ光の走査を開始させる際に、共振周波数、駆動周波数及び信号周波数を調整して、意図的に起動時の過渡期における走査の振幅を大きくして起動時の走査角が定常駆動状態を上回るように走査ミラーの駆動部22を駆動し、走査開始直後から情報の読み取りを行うための光情報用駆動モジュールである。
【選択図】図1A

Description

本発明は、電子機器等に搭載され、情報の読み取り対象物にレーザ光を走査して照射させて光学的に情報を読み取るために用いる駆動モジュールに関する。
一般に、物品やタグに印刷されたバーコード等のキャラクタ記号に走査するレーザ光を照射し、その反射光(戻り光)から記載される情報を読み取る情報読み取り装置が普及している。
この情報読み取り装置の読み取り部として、光源となるレーザダイオード、読み取り対象物上で光を走査させるための駆動機構、輝度値情報を取得するための光検出器、及びバーコード等の復号用のIC等を一体化した駆動モジュールがある。
このような駆動モジュールとしては、例えば、特許文献1、特許文献2に記載された装置が提案されている。この駆動モジュールは、駆動コイルと永久磁石間に働く電磁力を利用して走査光学系を構成し、走査ミラーを支持するばね部材として、板状の樹脂を用いている。さらに、ばね部材と駆動部分による共振現象を利用した共振駆動方式とすることで、小型のモジュール化を実現している。
米国特許第6,360,949号明細書 米国特許第6,981,645号明細書 米国特許第7,004,391号明細書
従来の共振駆動方式では、立ち上がり時は、駆動パルスの投入に対して、時間経過と共に徐々に走査角が増大する。通常、ユーザが、手持ちタイプや小型機器に搭載された読み取り装置により、バーコードを読み取ろうとする場合、バーコードに走査光が照射されるように定めた後、読み取り開始のトリガを引く又は、操作ボタンを押すため、その照射開始前に、すでにバーコードの読み取り幅(走査しなければならない距離)は定まっている。従来の共振駆動方式においては、走査開始時は、走査角が定常動作時より常に小さく、通常、トリガを引いた直後の1スキャン目は、定常時の走査角に対して50%以下程度しか振れておらず、定常動作時の走査角に至るのは、4〜5スキャン目となっている場合が多い。言い換えると、従来の走査光学系は、起動後に走査角が次第に増大して、定常時の走査角まで単調に漸近する特徴がある。
従って、定常時の走査角で読み取り可能な範囲であって、バーコードまでの距離が近い程、必要な走査角に至るまで、スキャンを繰り返さなければならないため、そのスキャン回数までに掛かる時間分は、読み取りが遅れることになる。また、正常な読み取りが行われるまでの間に、誤読み出しされた情報に対して無駄な演算処理が繰り返し行われることとなる。
そこで本発明は、小型軽量で携帯可能な小型電子機器への搭載に好適し、起動時の光学的な読み取り性能や応答性が改善された駆動モジュールを提供することを目的とする。
本発明に従う実施形態は、駆動周波数ν1で変動する駆動電圧を生成する駆動回路と、
前記駆動電圧を印加する駆動コイルと、前記駆動コイルに電磁力を生じさせるための永久磁石と、前記駆動コイル及び前記永久磁石を所定の駆動量で移動可能に接続するばね部材と、を具備し、駆動開始から定常的な状態に至る過渡的な状態における前記駆動量を、駆動開始直後に定常的な状態を越えるように前記駆動量が調整される駆動モジュールを提供する。
本発明によれば、小型軽量で携帯可能な小型電子機器への搭載に好適し、起動時の光学的な読み取り性能や応答性が改善された駆動モジュールを提供することができる。
図1Aは、第1の実施形態に係る駆動モジュールの斜め上から見た外観を示す斜視図である。 図1Bは、第1の実施形態に係る駆動モジュールの斜め下から見た外観を示す斜視図である。 図1Cは、図1Aに示すシールドを取り外した外観構成を示す図である。 図1Dは、駆動モジュールの内部構成を示す図である 図1Eは、駆動部となる走査ミラーとシャーシに固定されている軸の部分について、背部から示した図である。 図1Fは、駆動モジュールにおける光学系を取り出して概念的に示す図である。 図2は、駆動モジュールの制御部のブロック構成を示す図である。 図3Aは、駆動回路におけるDSP等から駆動回路に与えられる信号を示す図である。 図3Bは、駆動回路の概念的な回路構成を示す図である。 図4は、ばね部材の縦弾性係数の温度変動を説明するための示す図である。 図5は、光情報用駆動モジュールにおける起動時の走査角の変動特性を示す図である。 図6Aは、本実施形態の駆動モジュールに対して、ばね定数と粘性係数を増減した時の走査角の変動特性を示す図である。 図6Bには、従来の共振駆動方式に対して、ばね定数と粘性係数を増減した時の走査角の変動特性を示す図である。 図7は、図5Aと比較するために、ばね定数の変動比を20%に変えた場合における変動量の関係を示す図である。 図8Aは、共振周波数と駆動周波数の調整結果から得られる走査角の特性の一例を示す図である。 図8Bは、共振周波数と駆動周波数の調整結果から得られる走査角の特性の一例を示す図である。 図8Cは、共振周波数と駆動周波数の調整結果から得られる走査角の特性の一例を示す図である。 図8Dは、共振周波数と駆動周波数の調整結果から得られる走査角の特性の一例を示す図である。 図8Eは、共振周波数と駆動周波数の調整結果から得られる走査角の特性の一例を示す図である。 図8Fは、共振周波数と駆動周波数の調整結果から得られる走査角の特性の一例を示す図である。 図8Gは、共振周波数と駆動周波数の調整結果から得られる走査角の特性の一例を示す図である。 図8Hは、共振周波数と駆動周波数の調整結果から得られる走査角の特性の一例を示す図である。 図9は、本発明の光情報用駆動モジュールをレーザ走査型顕微鏡に搭載した例の外観構成を示す図である。 図10は、本発明の光情報用駆動モジュールをカプセル型内視鏡に搭載した例の外観構成を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1A乃至図1Fを参照して、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの構成について説明する。図1A、図1Bは、第1の実施形態に係る駆動モジュールの外観を示す斜視図である。図1Cは、図1Aのシールドを取り外した図である。図1Dは、上部の基板ユニットをシャーシから取り外した状態の駆動モジュールの構成を示す図である。図1Eは、駆動部となる走査ミラーとシャーシに固定されている軸の部分について、背部から示した図である。図1Fは、駆動モジュールにおける光学系を取り出して概念的に示す図である。
尚、以下に説明する実施形態において、本発明の駆動モジュールを、対象物にレーザ光を走査するように照射し、その反射光を受光して、反射光から情報を生成する情報読み取り装置に搭載する光情報用駆動モジュールとして説明を行う。
まず、本発明の第1の実施形態に係る光情報用駆動モジュールの外観について説明する。
図1Aに示した光情報用駆動モジュール1において実現された外形寸法は、例えば、20mm×15mm×10mmに収まる程度となっている。勿論、これらの外形寸法の数値は、一例であり、これら以下の数値で実現することも可能である。また、ある程度の範囲であれば、電子機器の搭載スペースに応じて外形寸法を変更することもできる。
図1A乃至図1Dに示したように、光情報用駆動モジュール1は、シャーシ2aに支柱を設けて基板ユニット2bが取りつけられ、さらに、基板ユニット2bを覆うようにシールド33を取りつけた箱構造になっている。シールド33は、入出射する電磁波や外乱光の影響等を改善するためのものであり、また、外装のデザインも兼ねている。
図1Bに示すように、シャーシ2aの下面には、複数の固定用ねじ穴34が設けられている。ユーザは、これらの固定用のねじ穴34を使って、光情報用駆動モジュール1を光学的な読み取りの機能を追加したい任意の電子機器や携帯機器の内部等にねじ止めすることができる。勿論、ネジ止め以外に、例えば、シャーシ2aに一体的に形成された係止用爪を用いて、嵌め込みによる固定方法を選択してもよい。基板ユニット2bの上面には、他の機器と接続するためのコネクタ31が設けられている。ここでは、搭載した機器のコンピュータ等と光情報用駆動モジュール1のコネクタ31をケーブル(図示せず)で接続することを想定している。
次に、機器のコンピュータの制御により、光情報用駆動モジュール1に外部電源から電源電圧が供給され、駆動用のコマンドを送信する。コマンドを受信すると、光情報用駆動モジュール1が起動して、自在に制御できるようになっている。例えば、製品仕様にしたがって、バーコードの読み取り開始のコマンドを光情報用駆動モジュール1に送信する。コマンドを受信すると起動して、走査ミラーが遥動を開始し、レーザ光が往復して走査するように出射される。ユーザがこの走査光にバーコードをかざすと、バーコードを読み取るようになっている。読み取ったバーコードデータは、外部のコンピュータに送信されて所望の処理がなされる。本実施形態の光情報用駆動モジュール1は、搭載するスペースを設けるだけで、所望する機器にバーコードの読み取りの機能を追加でき、入力作業の省力化や物品処理の自動化等が容易に実現できる。
図1Dは、第1の実施形態に係る光情報用駆動モジュール1の内部構成を示している。
本実施形態では、シャーシ2aは、亜鉛ダイキャストによる金属材料により形成されている。勿論、金属材料は限定されるものではなく、他にも、鉄、ステンレス、アルミニウム等、又はそれらの合金であってもよい。また、硬質な樹脂素材やセラミックスでも可能である。金属以外の材料により形成した場合に、帯電等による影響が発生する場合には、電気的に接地する処置を行えばよい。
シャーシ2a上には、レーザ光を発光させるためのレーザダイオード11と、レーザ光を走査ミラー21に反射させるための折り返しミラー5が設けられている。さらに、シャーシ2aには、ヨーク28を介して2つの永久磁石29が対向して固定され、ほぼ中央に軸24が植立されている。2つの永久磁石29は、例えばネオジム磁石が好適する。基板ユニット2bは、シャーシ2aに植立された複数の支持部材2cにビス2dにより固定されている。基板ユニット2bには、コネクタ31、制御部等の電子部品が実装されている。
図1Eには、背部から見た走査ミラー21の駆動部の主要部の構造を示している。走査ミラー21の背部には、軸受け部(軸穴23a)23が開口されており、さらに駆動コイル25が設けられている。シャーシ2aに取り付けられた軸24に、軸受け部23が嵌合して、すべり軸受けを構成し、軸24を中心として回動可能となっている。走査ミラー21は、軸24を中心に回動しながら、レーザ光を反射させて、ハウジング2の外部に走査されるレーザ光を照射する。
さらに、走査ミラー21の背部とシャーシ2aにとの間を連結する後述するばね(金属ばね)26が設けられている。具体的には、シャーシ2aに設けられたばね保持部材27に、ばね26の一端が固定され、他端が走査ミラー21の背部と連結している。このばね26の弾性に応じて、所定の角度を中心に、走査ミラー21が往復回動する。走査ミラー21が往復回動させるための駆動部22は、駆動コイル25と、ばね26と、ばね保持部材27、ヨーク28上に配置された磁石29とにより構成される。駆動コイル25にはシャーシ2aを経由して、フレキシブルケーブル20が接続され、駆動コイル25に基板ユニット2bから駆動パルスが供給される。
この駆動パルスは、例えば、正負の矩形の電圧信号であり、駆動パルスが駆動コイル25に印加されると、永久磁石29と駆動コイル25の間に電磁力が生じて駆動部22に繋がれる走査ミラー21が一体的に揺動する。駆動パルスは、電圧が駆動周波数ν1で変動し、この駆動パルスに応じて走査ミラー21が揺動される。その結果、光情報用駆動モジュール1前面の走査開口面から照射されたレーザ光は、その揺動に対応した走査光を形成する。
本実施形態における駆動周波数は、例えば、40Hzに調整されている。即ち、1秒間に80回の走査が可能であって、高速でバーコードの読み取りが可能である。勿論、この駆動周波数ν1は、走査ミラー21の大きさや発生される磁界等の仕様に応じて、設計において好適する周波数が設定されるものであり、限定されるものではない。
次に図1Fを参照して、光情報用駆動モジュール1の光学系について説明する。
図1Fは、図1Dから主な光学系を構成する構成部位を抜粋した図である。シャーシ2a上には、主たる構成部位として、光源ユニット3と、折り返しミラー5と、光学走査装置4と、光検出ユニット6とが実装される。レーザダイオード11は、基板ユニット2bの光源回路(図2に示す)に接続され、所定の駆動電圧が与えられると、波長650nmのレーザ光を出射する。このレーザ光は、コリメータレンズ12と出射アパーチャ13を経由する。
本実施形態において、コリメータレンズ12は、出射アパーチャ13から約160mmの距離に、走査方向におけるビームウェストが形成されるように、予め位置が微調整されている。この距離は、光情報用駆動モジュール1の寸法に対して格段に大きい。従って、光情報用駆動モジュール1の内部において、出射アパーチャ13から出たレーザ光はほぼ平行光として、以後の折り曲げミラー5や走査ミラー21(出射ミラー21b)に入反射する。また、出射アパーチャ13の形状及び寸法は、所望するバーコード等の読み取りが最適となるように調整されている。
走査ミラー21の前面は、出射ミラー21bと集光ミラー21aにより構成され、樹脂成型により一体的に形成されている。また、出射ミラー21bと集光ミラー21a、前述した折り返しミラー5の表面には、例えば、真空蒸着により金の薄膜が形成されており、波長650nmのレーザ光に対して、約90%の反射率となっている。前述したように、走査ミラー21はシャーシ2aに対して回動可能であるが、その他のレーザダイオード11、コリメータレンズ12、出射アパーチャ13、折り返しミラー5等は、図示するように、シャーシ2a上に固定されている。
出射アパーチャ13を通過したレーザ光は、折り返しミラー5に入反射し、走査ミラー12の略中央に設けられた出射ミラー21bに入反射する。出射ミラー21bに入反射したレーザ光は、前述した走査開口面から外部の読み取り対象物に向かって照射され、走査ミラー21の回動動作に対応した走査光を形成する。走査ミラー21が所定の角度を中心に往復回動すると、この回動に対応して走査光が進む向きが変化する。この走査光のなす角度を走査角という。
走査光をバーコードに当てると、そのバーコード面にレーザ光のスポットが形成される。そして駆動部の回動に伴って、バーコードの各バーを横切り、その時の反射率に対応した反射散乱光が生じる。尚、携帯型の電子機器に読み取り装置が搭載されている場合には、バーコードにレーザ光が照射される位置まで近づけて照準した後、トリガ操作を行い、レーザ光を照射して読み取りを行う。
バーコードから戻る反射散乱光(戻り光)の強度は、走査の対象物の反射率に対応している。即ち、バーコードの情報は、時間的な反射散乱光の強弱へと変換される。反射散乱光は、出射したレーザ光とまったく同一の経路を広がりつつ戻る。出射ミラー21bの周辺には集光ミラー21aが設けられており、出射ミラー21bに対して所定の位置・角度に固定されている。反射散乱光は、集光ミラー21aに入反射して、光検出器17(図2に示す)の光電変換面の近傍に集光される。
出射ミラー21bと集光ミラー21aは、一体的に形成されている。従って、走査角が変動しても、その戻り光の入射・反射角は、出射光の走査角に追従して増減する。この性質を利用して、走査ミラーが回動しても、戻り光は光検出器の位置近傍に戻るよう予め光学系が設計されている。
光検出ユニット6は、シャーシ2a上に実装されており、バンドパスフィルタ15と受光開口部16と、光検出器17により構成される。また、バンドパスフィルタ15は、集光ミラー21aと光検出器17の間に配置されている。バンドパスフィルタ15の表面には、真空蒸着により誘電体多層膜が形成され、波長650nm近傍の光を透過させるが、それ以外の波長の光は、遮断するよう膜厚が調整されている。
従って、バーコードからの反射散乱光(戻り光)は、光検出器17に良好に取り込まれるが、それ以外の波長の光は、外光ノイズとして遮断される。これにより、屋外や倉庫内のように、光学的に劣悪な外光環境下においても、バーコードの読み取りが良好に機能する。
次に、図1Aに示した基板ユニット2bによる駆動制御について、図2、図3A及び図3Bを用いて説明する。図2は、光情報用駆動モジュールの制御部のブロック構成を示す図である。
図2に示したように、基板ユニット2bの制御部は、駆動処理部41と信号処理部42に大別できる。駆動処理部41は起動時の初期化や、駆動部22及び走査光の照射等の制御を行うものである。これに対して、信号処理部42は、戻り光からバーコードの復号等の情報処理を行うものである。これらは互いに関わり合って機能するが、駆動部の動作中に復号処理ができるというように、同時並行して実行できるようになっている。
駆動処理部41は、レーザダイオード11からレーザ光を出射させる光源回路52と、駆動部22を駆動する駆動回路52とで構成される。信号処理部42は、電流/電圧変換回路61と、増幅回路62、微分回路63、アナログ/デジタル(A/D)変換回路64、ピーク検出回路65、二値化回路66、復号回路67等で構成される。さらに、制御部には、外部の機器に対するインターフェース機能や各種演算処理を行うCPU43が設けられている。
これらのうち、駆動回路51、A/D変換回路64、ピーク検出回路65、二値化回路66等の処理の一部は、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)68により、ソフトウェア的に実現されている。DSP68は、連続的に入出力する信号について特定の処理を高速・連続的に行うことに特化して開発されたマイクロプロセッサである。本実施形態の走査光学系における駆動パルスの生成や光走査の信号処理のように定型的な信号を繰り返して生成・処理する用途に好適する。具体的には、マイクロチップ社製の DSPIC33(商品名)シリーズ等が適用できる。
まず、ユーザが、図示しない外部のコンピュータ(例えば、情報読み取り装置を搭載する電子機器)を操作して、バーコードの読み取りを開始させるコマンドを光情報用駆動モジュール1に送信する。この開始コマンドは、制御部のCPU43により受信され、駆動回路51により生成された駆動電圧が駆動部22に印加され、走査ミラー21が揺動される。この駆動電圧は、電圧値±3Vの矩形状のパルスであり、CPU(又は、DSP)によりパルス幅を設定することで、駆動力やタイミング等が微調整されている。
その駆動後、光源回路52からレーザダイオード11に電圧が供給されてレーザ光を出射する。前述したように、レーザ光は、コリメータレンズ12や出射ミラー21b等の出射光学系を経由して、走査対象物44に照射される。
走査対象物44において反射散乱した戻り光の強弱は、バーコード等の外部の陰影情報に対応しており、光検出器17で取り込まれる。従って、光検出器17で取り込まれた光は、例えばバーコードの情報に対応した光電流を生成する。この光電流は、電流/電圧変換回路61と増幅回路62を経由することで、適切な電圧信号に変換される。さらに電圧信号は、微分回路63による微分処理により、バーコード等の陰影のエッジに対応した微分信号に変換される。
次に、微分信号は、A/D変換回路64、ピーク検出回路65、二値化回路66を構成しているDSP68に取り込まれる。このDSP68で取得された微分信号は、所定のサンプリングの後、10ビットのデジタル値に変換される。このデジタル化された微分信号について、ピーク検出が行われ、検出されたピークとサンプリング座標から、バーコード等の対象物に対応した情報を取得して、所定の閾値判定等により、陰影情報のパターンに対応した二値化信号を生成する。
二値化信号は、復号回路67に送られて、バーコードのデータに復号される。即ち、復号回路67は、二値化信号を一旦内部のメモリに取り込み、その二値化信号のパターンと、各種のバーコードとのパターンを順次比較していく。その結果、バーコードとして復号ができた場合は、コネクタを介して外部にバーコードのデータを出力する。一方、復号ができなかった場合には、取得した信号を棄却して内部を初期化する。この後、復号処理は、外部のコンピュータからのコマンド待ちの初期の状態に戻る。
次に、本実施形態に係る駆動回路51について説明する。図3Aは、駆動回路51におけるDSP等から駆動回路に与えられる信号を示す図、図3Bは、駆動回路51の概念的な回路構成を示す図である。
図3Aに示すように、矩形状の信号電圧S1を与え、信号S2、S4に示されるように、複数の矩形のパルスの幅を増減させることで、駆動コイル25に印加される電圧信号が調整される。これにより、前述した走査ミラー21の回動が適切に調整される。前述した摩擦係数等の変動があっても、挙動に大きな影響が出ない程度に出力が調整されている。
また前述したとおり、第1の実施形態では、強制駆動方式を採用しており、DSPから生成される駆動パルスは、基板モジュール上のクロックにより生成される周波数に基づいて生成される。したがって、変動量が数%以下の精度で正確な駆動信号が生成される。
次に、図1Eに示したすべり軸受けの構造について説明する。
図1Eに示したように、本実施形態においては、軸摺動方式を採用しており、金属ばね26により走査中心が規定されている。金属ばね26は、ばね用ベリリウム銅 C1720の薄板のエッチング加工又は、プレス加工により形成される。軸摺動方式を採用しているため、外部から衝撃が加わったときに、その衝撃力を軸部分(23,24)で支える構成となる。これにより、光学部品である走査ミラー21の損傷や金属ばね部材の塑性変形が生じないように軸受け部近傍の各形状が設計されている。
金属ばね26は、横方向から見て上下方向にS字を組み合わせた形状となっており、軸に対して軸受け部を一定方向に押し当てるための付勢力を与えている。また、付勢力は駆動部22に働く遠心力を上回る程度に調整されている。尚、このS字形状のバネを上から見ると、直線となって見えるが、これをL字型に屈曲させてもよい。また、板状ばねをL字型に屈曲してもよい。
前述した駆動パルスによる駆動力(電磁力)は、駆動部22に加速が与えられる程度に調整しており、軸24と軸受け部(軸穴23a)23との軸摺面に生じる摩擦力より大きくなるように調整されている。すなわち、温湿度の変動があったとき、軸24と軸受け部23間の摩擦・粘性係数の変動は駆動部の運動に強く影響しない。また、詳細は後述するが、温湿度変動による駆動部の金属ばね等の材質の変動に対して、走査角(駆動量)の変動が小さくなるような設計が実現されている。
尚、従来技術では軸受け部に潤滑油やグリース等の潤滑剤を用いるものがある。しかしながら、潤滑剤を用いて駆動を安定化させようとすると、詳細は後述するQ値における粘性係数η1は、潤滑剤の粘性係数や軸摺動面の状態により強く支配される。この場合、温度及び湿度等の外部環境の変動や経年変化により、潤滑剤や塗布面の状態が変わって、挙動が大きく変化することになる。
そこで、第1の実施形態では、潤滑剤は塗布せず、ばねの付勢力の増減によりすべり軸受のすべり面の調整を行っている。即ち、上述したように、駆動の際に発生するガタツキを抑える程度に金属ばね26の付勢力を調整する。駆動力に比較して付勢力を小さくすることで、摺動面に起因する摩擦や粘性の影響を小さくしている。さらに、詳細は後述するように、駆動量の温度・湿度変動を粘性係数の温湿度変動より小さくして、温度・湿度変動が低減された光情報用駆動モジュール1が実現されている。
次に、金属ばね26におけるばね部材の縦弾性係数の温度・湿度変動について説明する。
図4は、ばね部材の縦弾性係数の温度変動について目安を示している。ここでは、比較のために、樹脂の変動についても列挙した。尚、縦弾性係数の温度変化については、評価方法や形状、製造・加工ロットによるバラツキが大きく、単純な比較は難しい。そこで、測定データから推測した目安を相対比で示す。
温度50℃の増減に対し、縦弾性係数の変動は、金属で2%前後、樹脂で7%前後と見積もられる。即ち、金属ばね26は、樹脂ばねに比較すると、温度変動が約1/3程度に低減されている。また一般に、金属は樹脂に比較して重量吸水率が無視できるほどに低い。したがって、温度に加え湿度を考慮すると、変動の差異は、図4に示した以上に大きくなる。
ここで、後の説明のため、共振周波数について説明及び定義を行う。一般に、共振周波数ν0は、式(1)で定義される。
Figure 2010197718
ここで、ν0:共振周波数、k1:ばね定数、I1:駆動部の慣性モーメントとする。
特許文献2に記載される共振駆動方式の場合には、駆動周波数ν1は、共振周波数ν0に一致することになる。従って、本実施形態のように、駆動周波数ν1を電気回路により規定すると、駆動周波数ν1と共振周波数ν0は、必ずしも一致しない。
ここで、ばね材質の縦弾性係数の変動は、式(1)のばね定数k1の変動として影響する。従って、温湿度変動により縦弾性係数が変動すると、共振周波数ν0が変動する。例えば、前述した特許文献2の場合、走査角(振幅、ゲイン及び、駆動量)に加え、駆動周波数が変動することになる。
この駆動周波数が変動するということは、一定期間におけるスキャン回数が変動してしまうということであり、共振駆動方式とした場合、読み取りの応答性が温度変動することになる。例えば、実際の製品仕様から環境の温度変動を±50℃の範囲とし、このときの樹脂の縦弾性係数の変動量、及び、ばね定数の変動量が±20%程度と見積もると、式(1)から駆動周波数は±10%程度増減することになる。
図5は、光情報用駆動モジュールにおける起動時の走査角の変動について説明するための図である。図5において、横軸に時間を示し、縦軸に光学的な走査角を示す。但し、縦軸は、標準状態(温度23℃、湿度50%)における定常動作時の走査角の最大値でスケールしてある。また、駆動コイル25には、サイン型の駆動電圧を前述した駆動パルスとして与えたものである。すなわち、以後の図5乃至図8Hに示した特性図では、駆動電圧を同一として駆動部分の設計の優劣を比較できるように記載してある。
また、標準状態(温度23℃、湿度50%)において、起動時の過渡的な状態における複数の走査角のうち、最大値をθ1max、定常的な状態における複数の走査角のうち、最大値をθ2maxとすると、つぎのような関係が成り立つように調整されている。
Figure 2010197718
たとえば、図5において、起動時の走査角は、A0からA1、A1からA2、…、A7からA8とそれぞれ変動しており、時間経過に伴って増減しうる。そして、起動時の複数の走査角のうち最大となる走査角は、A1からA2に至る場合となっている。θ1maxは、起動時における複数の走査角のうち最大値を与える角度であるから、θ1maxとしてはA1からA2に相当する角度を測定すればよい。
同様に、θ2maxは、定常的な状態における複数の走査角のうち最大値を与える角度であるから、θ2maxとしては定常的な状態となるのを待ってから測定すればよい(たとえば、AnからAn+1に至る場合)。
ここで、定常的な状態とは、時間の経過に伴い、観測される物理量(たとえば、走査角)の変化が駆動系の制御のバラツキ(電圧変動)や測定精度・測定ノイズ程度以下となって、有意な変化が観測されなくなっている状態を示唆する。
さらに、過渡的な状態とは、異なる2つの定常的な状態があったとき、1つの定常的な状態から他の定常的な状態に遷移する中間の状態を示唆する。本実施形態では、停止状態の駆動部22に最初に駆動パルスが印加された起動時から、駆動部22の走査角が安定する状態(設計による仕様を満たした状態)に達するまでの中間的な一過性の状態を示唆し、図5においてピーク値が変動するA0〜A8までの間を指す。
本実施形態では、意図的に起動時の過渡的な状態における振幅を大きくしている。即ち、起動時の最初の走査角が定常駆動状態を上回るように調整している。詳細は後述するが、このような調整とすることで、読み取り性能のバラツキや温度変動及び湿度変動等の低減された光情報用駆動モジュール1が実現できる。
本実施形態では、このような駆動モジュールを実現するために、駆動周波数ν1を以下のように設定している。すなわち、共振周波数ν0は25Hzであるのに対し、駆動周波数ν1を40Hzとした。比率を取ると、ν1/ν0=1.6程度としている。この比率ν1/ν0 を調整することで、過渡的な状態における走査角の増減の程度を適宜設定できる。たとえば、図5におけるA1からA2に至る走査角と、A4からA5に至る走査角は、それぞれ過渡的な状態における走査角の最大値を与える部分と走査角の最小値を与える部分とを示しているが、この増減の程度を設定することができる。
Figure 2010197718
Figure 2010197718
図5において、走査角A0は、走査角0度の停止位置であって駆動直前の状態である。A0からA1に至る走査角は、駆動部22が左スキャン、A1からA2に至る走査角は駆動部22が右スキャンの時に相当する。A0からA8までは、起動時の過渡的な状態であり、以後は定常動作の状態となる。
起動時の過渡的な状態における走査角の挙動について、以下に具体的に説明する。
図5に示すように、起動初期時のA1からA2に至る走査角は、定常状態のAnからAn+1に至る走査角に比較して、大きくなるよう調整されている。以後、A2からA3、A3からA4に至る走査角についても、定常動作時のAnからAn+1に至る走査角に対して、同等かそれを超える程度に調整してある。
また、起動時におけるA4からA5に至る走査角は、AnからAn+1に至る走査角に比較して小さくなっているが、これは式(2)が成り立つ調整を実施したことによる。即ち、式(2)が成りたつように起動時に過渡的な現象を利用すると、定常動作時の走査角θ2maxをやや越える位置(角度)を中心として、起動時の走査角を増減させることができる(A1からA2は最大値:増、A4からA5は最小値:減)。
図5には、さらに、温度変動が生じた場合の走査角についても併記してある。図4においては、50℃程度の金属ばねの縦弾性係数の変動量を2%程度と見積もっていたが、安全をみて、また、説明のため、ばね定数を3倍程度、すなわち、±6%程度に大きく変動させた場合について併記してある。
図5に示したとおり、±6%程度の縦弾性係数の変動では、定常動作時の走査角はほとんど変動しないことがわかる。すなわち、定常動作時の走査角の温湿度変動の比率が、縦弾性係数の温湿度変動の比率を下回るように設定されている。
また、本実施形態は、起動時における過渡的な状態を読み取りに利用することで、起動時の走査角が定常状態の走査角を上回る程度となるように設計されている。これにより、読み取りの性能という観点で、図5を見ると、温度・湿度変動の影響をほぼ受けず、尚且つ、読み取りの性能が改善した走査光学系が実現できている。
以下、読み取りの性能が改善する理由についてさらに詳細に説明する。
前述したように、本実施形態において、走査角A1から走査角A2までの変動量が、定常状態における走査角をすでに上回り、且つ温度変動の変動幅を超えている。従って、バーコードの読み取りを開始した1スキャン目(A1〜A2)及び2スキャン目(A2〜A3)を行った時点で、すでに走査角はバーコード等の読み取りを行うのに十分な程度となっており、過渡応答の期間に数回の走査を行っている状態となっている。
図5を横軸の時間軸で見ると、過渡的な状態が始まった10ms〜20ms前後ですでに走査角が定常状態を超える程度となっている。そのため、実質、この過渡状態となっている時点で読み取りが完了しうることになる。すなわち、前述した読み取りのコマンドを受け取って、最初の駆動パルス(走査)を与えた時点で、すでに読み取りが完了し得る状態となっている。また、それ以後の100ms程度までの過渡的な期間においても、定常駆動状態の走査角程度を中心に走査角が増減する。具体的には、6回程度の読み取り(走査)を試みることが可能となっている。
図5から読み取れるように、この過渡的な変動量の比率は、すでに温度等による変動量±6%の比率を超えている。従って、事実上、温度・湿度変化の影響を受けない走査光学系が実現されている。特に、現状よりも読み取りが改善されている。
さらに、図5に示す走査角A4〜A5、走査角A5〜A6のように、所定の走査角に達しないものも複数存在する。しかしながら、この走査角も定常動作時の走査角近辺で増減する。これにより、実際の光情報用駆動モジュール1の読み取り性能は改善されている。
これは、バーコードの読み取り装置には、5milのバーコードように印刷密度の高い形式であっても、読み取りすることが要求される。従って、走査角がやや小さい状態が存在するということは、スポットのスピードは、定常動作時を下回っていることになる。信号周波数という観点で、この状態を見ると、信号周波数は下がって、13milバーコードのように標準的なものの信号周波数に近づくことになる。即ち、電気回路における信号処理は容易となる。
過渡応答時の信号周波数が、定常動作時の信号周波数の近傍で増減するため、過渡的な状態下で読み取りが容易となる状態が生じるのである。従って、印刷密度や距離の増減により信号周波数が高く又は低くなって、あるいは、前述したサンプリング周波数を超える等により、従来製品において想定されている限界を超えるような場合であっても、読み取りが可能となる。言い換えると、回路設計が定常動作として想定している限界を超えて、読み取りが改善される。
また、バーコード等の幅についても、読み取りが改善する。即ち、機械設計上の走査角が例えば、45度であったとき、前述したように、起動時には、過渡的な状態となるため、走査角が45度をやや上回る走査が複数回存在する。この時に、読み取りが完了する場合もあり、機械設計が定常動作として想定している限界を超えて、読み取りが改善されることとなる。
言い換えると、従来の設計(特許文献1、特許文献2等)においては、性能を改善しようとして駆動システムが安定となるように設計していた(共振駆動方式)。これに反し、本発明は、意図的に駆動系が不安定となるよう設計しているのである。これにより、信号周波数という観点からは、性能を大幅に向上させることができる。従来の特許文献2等では利用されていなかった過渡的な状態を読み取りに活用することができる。
以上のグラフ等は、ばね定数についての温度変動について述べたが、以下に例を挙げるように、粘性係数や摩擦係数についても同様となっている。
粘性係数や摩擦係数の比較のために、図5に対して、図6Aには、ばね定数と粘性係数を同時に20%程度増減した場合について示している。さらに、これと比較するために、図6Bには、従来の共振駆動方式について、ばね定数と粘性係数を増減した場合について示している。
図6Bから読み取れるように、共振駆動方式において、定常状態での温度変動が非常に大きくなっている。これは、以下に示すQ値の式に、ばね定数k1や粘性係数η1が入っているからである。
Figure 2010197718
ここで、η1は粘性係数を示し、Q1は所謂Q値で共振の鋭さを示すものである。一方、本実施形態では、走査角のゲインが0dBを下回る領域を使っており、共振状態を使っていない。従って、式(5)より、ミラー部品の成型部品等の慣性によって駆動が強く支配された状態となっている。即ち、本実施形態は、特許文献2等の従来技術と比較すると、応答性が格段に改善されていると共に、定常動作時における温度変動等によるばね定数や粘性係数の変動の影響が少なくなるように改善されている。
さらに、従来の共振駆動方式では、図6Bに示すように駆動パルスの投入に対して、定常状態に至までに徐々に走査角が増大する。通常、ユーザがバーコードの読み取りを実施しようとする時点で、すでにバーコードの幅は固定されている。
従って、従来の共振駆動方式によれば、走査開始時は走査角が定常動作時より、つねに小さくなるため、必要な走査角に至るまで読み取りは遅れることになる。図6Bでは、最初の1スキャン目は、定常時の走査角に対して50%程度しかない。定常動作時の走査角に至るのは、4〜5スキャン目となっている。言い換えると、従来の走査光学系では、起動時の走査角が次第に増大し、定常時の走査角に単調に漸近する。つまり、最初から4スキャン目までに読み込んだバーコード情報は、誤った情報の可能性があり、無駄な演算処理を繰り返し行っていることとなる。
これに対し、第1の実施形態によれば、図6Aに示したように、過渡的な状態(1スキャン目)で、すでに走査角の大小関係を逆転させて起動時の過渡的な挙動を意図的に利用している。即ち、定常時の走査角に単調に漸近しない。すると、1回目のスキャンでもバーコード情報を読み取っているため、その応答性は、従来のものとスキャン回数で比較して、4倍〜5倍程度の高速化が実現する。
さらに、本実施形態では、強制駆動方式を採用したことにより、駆動周波数の変動も解消されている。本実施形態の図6Aに示す特性と、図6Bに示す従来例による特性を比べると、本実施形態の方が横軸方向の変動をほとんど生じていない。従って、本実施形態の図6Aに示す特性によれば、走査角と駆動周波数が温度・湿度の影響を受けることなく、安定化しており、且つ応答性も格段に改善されていることとなる。
また、図6Bの従来例では、読み取りの環境下で温度変動等が発生すると、走査角が大きく変動するため、定常動作時であっても、温度の増減によって、所定の走査角に達しない場合が生じる。従って、標準環境下では読み取りが実施できたにも関わらず、何らかの環境変化が発生すると、読み取りができなくなるバーコードが必ず存在することになる。
さらに、図6Aと図6Bの定常動作時の温度・湿度による変動を比較すると、図6Aの変動を低減できていることがわかる。これは、定常動作時のゲインが1倍を下回る程度に調整していることで、縦弾性係数や粘性係数の変動が強く影響しなくなったことによる。
本発明の第1の実施形態によれば、走査角の過渡的な応答を大きくして温湿度変動を超える程度に逆転させたことで、温湿度や経年変化が生じた場合であっても、過渡的な応答時の走査角が変動量を上回っており、且つ温度・湿度変動による粘性係数等の変動による影響が低減しているので、読み取りの性能や安定性が格段に改善される。
次に、本実施形態において、変動比(増減の比率)という観点から、さらに説明する。図7は、図5Aと比較するために、ばね定数の変動比を20%に変えた場合における変動量の関係を示す図である。図5においては、ばね定数の変動比(増減の比率)を±6%増減させたものであるが、図7は、例えば、ばね定数の変動比±Δk1をΔk1=20%に設定した特性を示す図である。
このとき、本願発明の第1の実施形態に係る増減は、図7のようになっている。即ち、起動時の過渡的な状態における走査角の増減の比率±Δθ1は、Δθ1=60%程度となっている。
さらに、定常動作時の状態において、ばね定数を増減させたとき(温度変動があったとき)の増減の比率は、Δθ2=10%程度となっている。この関係を数式で表すと以下のようになる。
Figure 2010197718
Figure 2010197718
即ち、定常状態においては、定常動作時の増減の比率Δθ2は、ばね定数の増減の比率Δk1を下回るように設計されている。尚且つ、過渡的な状態における走査角の増減の比率Δθ1は、定常動作時の増減の比率Δθ2を上回っている。言い換えると、定常的な状態については、走査角の変動がばね定数の増減を下回るように低減することで、温度変動等の少ない安定した光情報用駆動モジュールが実現でき、さらに、過渡的な状態においては、走査角の増減が定常的な状態に対して、走査角の増減を大きく越えている。
従って、温度変動等の影響を受けにくく、且つ仮に温度変動等が発生しても、過渡的な変動量の比率が、その変動量の比率をカバーしているため、実質的に温度変動の影響を受けない光情報用駆動モジュールが実現できている。
尚、図7においては、ばね定数の変動を例として説明したが、図6Aで説明した粘性係数や摩擦係数についても同様な作用効果が得られる。
具体的な調整方法は後述するが、図7においては、式(7)が成り立つように調整されている。つまり、過渡的な状態における増減Δθ1が、定常状態における増減Δθ2を超えるように調整する。この調整により、ばね部材がどのようなものであろうと、ばね部材の幅を変えると、ばね定数k1の値が変わり、Δθ1の値を増減させることができる。従って、必ずしも金属ばねである必要はなく、例えば、樹脂ばねであったとしても、図7に示した特性が得られるように調整することも可能である。
但し、増減Δθ2は、図4に示したように、ばね部材の縦弾性係数の変動に起因するものである。金属ばねを使用すると、Δθ2の値を小さくすることができ、式(7)となるような調整が容易となる。従って、樹脂ばねを採用してもよいが、金属ばねの方がより調整が容易である。
次に、図8A乃至図8Hを参照して、本発明による実施形態にかかる光情報用駆動モジュールの調整の方法について説明する。図8A乃至図8Hは、共振周波数と駆動周波数の調整結果から得られる走査角の特性を示す図である。図8A乃至8Hにおいては、駆動周波数ν1を40Hzで固定した状態で、ばね定数k1を変えて、共振周波数ν0を変えていった場合の例を示している。具体的には、金属ばねの幅を変えて増減させる。
ここで、図8A乃至図8Hに示した特性の調整値は、
図8Aは共振周波数ν0=50Hz、駆動周波数ν1=40Hz、ν1/ν0=0.8
図8Bは共振周波数ν0=40Hz、駆動周波数ν1=40Hz、ν1/ν0=1.0
図8Cは共振周波数ν0=35Hz、駆動周波数ν1=40Hz、ν1/ν0=1.1
図8Dは共振周波数ν0=30Hz、駆動周波数ν1=40Hz、ν1/ν0=1.3
図8Eは共振周波数ν0=25Hz、駆動周波数ν1=40Hz、ν1/ν0=1.6
図8Fは共振周波数ν0=20Hz、駆動周波数ν1=40Hz、ν1/ν0=2.0
図8Gは共振周波数ν0=15Hz、駆動周波数ν1=40Hz、ν1/ν0=2.7
図8Hは共振周波数ν0=10Hz、駆動周波数ν1=40Hz ν1/ν0=4.0である。
図8A,8B,8Cは、駆動周波数ν1/ν0<1.3となる範囲とした場合の比較例を示す。これらの特性では、温度変動が大きくなり、且つ立ち上がり(定常状態に至るパルス数)に遅れが生じている。共振駆動方式のデメリットが顕在している。よって、本実施形態の目的を達成することができない。
次に、図8Dに示すように、共振周波数ν0=30Hzとすると図8A〜図8Cに比較して、初期パルスに対する走査角が大きくなって、温度変動は改善される。 図8Eに示すように、ばね定数を小さくして、共振周波数ν0=25Hzにする。この設定においては、初期の走査角が定常状態の走査角を上回る程度で増減が生じて、読み取りが改善できる。
さらに、図8Fに示すように、ばね定数をさらに小さくして、共振周波数ν0=20Hzにすると、温度変動はさらに低減できる。図8D乃至図8Fのうち、特に図8Eに示す設定によれば、温度変動が少なく、且つ応答性(駆動)にも優れた前述した実施形態の特性を示している。
さらに、図8G,8Hは、駆動周波数ν1/ν0>2.0 となる範囲とした場合の比較例を示している。これらの特性においては、温度変動は小さくなるが、過渡応答期間での走査角の変動量が大きくなり、挙動が不安定となりすぎる。この図8G、8Hの例では、過渡応答時の走査角が安定時に比較して、2.5倍以上となっている。電気回路側からこれを見ると、信号周波数の変動が2.5倍以上となるため、信号処理の観点では不利となる。現在の設計の実力上、変動が大きすぎて読み取りに使えない。すなわち、ばね定数を小さくすると、過渡的な応答時の走査角の変動が大きくなる。信号周波数という観点で見ると、図8Hの場合、走査角が定常駆動時の2倍を超えるので、走査ごとに信号周波数が2倍〜1/2倍程度に大きく増減する。従って、電気回路の復号処理等が過渡的な挙動に追従しきれなくなり、読み取り性能が劣化する。
以上説明した調整値の設定は、過渡応答時の振幅を小さくし過ぎると、温度・湿度変動の影響が大きくなって応答性も劣化する。他方、過渡応答時の振幅を大きくし過ぎると、信号周波数の変動に電気回路の信号処理が追従しきれなくなる。従って、これらの範囲内に読み取りの性能が最大となる状態が図8Eに示すように、少なくとも1つ存在することになる。本実施形態においては、共振周波数ν0に対する駆動周波数ν1の比(ν1/ν0)が1.3〜2.0の範囲内が最も所望する効果を得ることができる。上述した手順によれば、金属ばねの設計を変えつつ性能を最大化することは実現可能である。
本実施形態では、金属ばねを用いることで、温度変動を極力小さくすることができ、ばね幅等の調整は、過渡的な状態における振幅変動が大きくなるようにする。すると、信号周波数という観点からは信号周波数の変動が小さくなって、性能が向上する。
このように共振周波数及び駆動周波数数値の調整は、製品の設計時において、金属ばねの形状を変更して微調整を行い、量産時には、前述したエッチング加工又はプレス加工により、外形寸法や加工精度を図面等で規定して画一化することで行う。
さらに、共振周波数、駆動周波数、及び信号周波数という観点から見ると、以下のように説明できる。
共振周波数ν0は、式(1)で示したように、ばねの幅を変更してばね定数k1を変更すれば調整できる。従って、起動時の応答性という点からは、必ずしも、金属ばねを用いなくても、増減の比率Δθ1を調整できる。
しかしながら、図7における増減の比率Δθ2による変動比は、材質によって決定されている。つまり、増減の比率Δθ1は、ばねの形状に強く依存しているが、増減の比率Δθ2はばねの材質に強く依存している。他方、図2に示した復号回路の側からみた信号周波数の変動量は、起動時については増減の比率Δθ1程度、定常動作時については増減の比率Δθ2程度、増減するものと見積もられる。従って、復号回路の側からは、Δθ1とΔθ2を同時に低減させておくことが望ましい。
そこで金属ばねを使用すると、図4に示したようにΔθ2を低減することができる。すると、式6、式7を満たす範囲でΔθ1も同時に下げることができる。このように、機械設計を行った時点でΔθ1とΔθ2を低減しておくことができれば、電気回路における信号処理は安定することになって、読み取りの性能は改善する。
よって、以上の調整方法において、応答性という観点からは、必ずしも金属ばねを使わなくても可能であるが、温度変動や読み取りの安定性という点も考慮すると、金属ばねを使うことで改善が可能であるため、より望ましい。共振周波数ν0の値でいえば、式(8)に示す範囲で調整すると温湿度変動と応答性に関し良好とすることができる。
Figure 2010197718
加えて、温湿度変動や信号周波数の安定性という観点からは、以下の式(9)による程度とするのがよい。
Figure 2010197718
この場合、レーザ走査光学系のような精密光学機器にとくに好適である。このような手順によれば、従来技術に比較して、読み取りの性能や安定性が改善した光情報用駆動モジュールを提供できる。図6Bの従来技術と比較すると、図6Aは応答性が改善されているのみならず、温度変動も格段に改善されている。
前述した調整方法においては、金属ばね26の形状を変えることで調整を行うこととしたが、金属ばね26の形状は、形、幅、長さ、厚みを変更することで調整できる。また、金属ばね26の材質を変更することでも調整できる。例えば、金属ばね26の材質としては、ばね用ベリリウム銅(C1720)としたが、他にも、ばね用ベリリウム銅(C1700)、ばね用チタン銅(C1990)、ばね用りん青銅(C5210)、ばね用洋白(C7701)、ばね用ステンレス鋼帯などを使うこともできる。また、ばね用ステンレス鋼帯(SUS301CSP、SUS304−CSP、SUS631−CSP)も使用できる。
ばね形状だけではなく、金属ばね26の材質を組み合わせて変更することにより、より微調整ができる。特に、金属材料の変更による調整は、金属ばね26を配置するスペース等の制約が強く、金属ばねの厚みや寸法等の形状を大きく変えられない場合に好適する。このように、金属ばねにおいても、形状及び材質を適宜選択することにより、同等以上の機能を実現する上に、さらに超小型の光情報用駆動モジュールを実現することができる。
また、前述した使用現場の環境等に影響される温度変動の範囲は、本実施形態では、±50℃の例を想定したが、必ずしもこれに限られるものではない。即ち、樹脂ばねと異なり金属ばねを使うことで、より高温状態での使用に耐える精密光学系に搭載してもよい。また、第1の実施形態によれば、潤滑剤の使用が不要となるので、より低温での使用に適した光情報用駆動モジュールを提供できる。
尚、第1の実施形態は、バーコードの読み取り装置に用いられる光情報用駆動モジュールとして提案したが、適用できる装置は、この限りでない。発明によれば、温湿度変動等が格段に少ない光情報用駆動モジュールを構成できるため、後述するような、所望する精密光学機器及び携帯電子機器に搭載して、光学的な情報読み出しに利用することができる。
図9は、本発明の光情報用駆動モジュールをレーザ走査型顕微鏡に搭載した例の外観構成を示す図である。前述した第1の実施形態における光情報用駆動モジュールをガルバノミラー等に変えて使用して、観察対象物に対して、2次元的な走査を行う構成である。
さらに、第1の実施形態における図2に示した復号回路の代わりに、輝度値信号を画像データとして直接出力させる。即ち、階調値データや二値化データを画像データとして、直接出力させることで、バーコードの読み取りに限らず、精密測定器や検出器等を構成することができる。
図9に示す走査光学顕微鏡71は、顕微鏡ベース部72と、3次元(XYZ方向)に移動可能な試料テーブル73と、倍率の異なる複数の対物レンズ74と、走査対象75に走査する観察光を照射し観察する走査光学系を含む鏡筒本体76と、鏡筒本体76内に配置される信号生成回路77とで構成される
また、レーザ走査型顕微鏡に、バーコードの読み取り機能を追加して、測定サンプルに刻印された凹凸形状に応じて自動処理を行う機能を追加してもよい。これにより、作業の自動化・高速化や作業ミスの解消を図ることができる。
さらに、本発明の光情報用駆動モジュールは、所望する電子機器に搭載できる。特に、起動及び停止を繰り返しても迅速に動作、応答し、温度・湿度変動や経年変動等の周囲環境の影響を低減できることから、精密光学機器、精密医療機器、屋外・移動用機器、モバイル機器等への搭載に好適である。
例えば、光情報用駆動モジュールは、レーザ走査光学系、バーコードリーダ、レーザプリンタ、レーザ走査型顕微鏡、レーザプロジェクタ、駆動モータ、精密医療機器、カプセル型内視鏡、携帯情報端末、補償光学系、録音再生機、無線装置、デジタルカメラ、搬送装置、内視鏡、情報入力装置、情報出力装置、画像形成装置、車間センサ、防犯センサ、三次元スキャナ、ハンドヘルド機器、自動車、船舶、航空機、半導体製造装置、カード認識装置、自動販売機、MEMS素子、2次元マイクロミラー素子、軸摺動装置、照明装置、超音波モータ、超小型モータ、及び耐熱駆動機構等への搭載に好適する。
さらに、本発明の光情報用駆動モジュールを図10に示すようなカプセル型内視鏡に搭載してもよい。このモジュールを搭載することにより、カプセル型内視鏡の内部に任意の駆動部を構成できる。そして、人体内のように高湿度な環境下や、温度変動の生じる環境下であっても前述したとおり駆動系を応答性よく精密に動作・停止させることができる。これにより、無駄な電力消費を低減することができる。これにより、バッテリ及びカプセル型内視鏡本体をさらに小型化して、患者の苦痛や使用時の違和感等を改善できる。
また例えば、本発明の光情報用駆動モジュールをUSBタイプのボイスレコーダに搭載して、バーコードやパターンのキャラクタに対する認識機能を追加してもよい。そして、配布資料と音声データ、録音日時のデータ、文字データ、画像データを連携して活用するようにしてもよい。バーコードを読み取ると、何万という情報のなかから、対応する音声データや文字データ、画像データを検索して選択し、再生するようにしてもよい。
本発明の光情報用駆動モジュールによれば、応答性や温湿度依存性が格段に改善された光情報用駆動モジュールを提供できる。従って、屋内外や移動中を問わず、訪問先において大量の資料・音声等を迅速に参照する必要のある用途において好適である。
また、本発明の光情報用駆動モジュールは、周知なバーコードに対応して、読み取りすることに好適する。例えば、JAN、EAN、UPC、Code39、ITF(Interleaved 2 of 5)、Codabar、Code128、UCC/EAN 128、Bookland EAN、MSI Plessey、Code93、Reduced Spaced Symbology(RSS)、PDF417等のバーコードの読み取りに好適する。
また、線画、ドット、線分等の組み合わせや記号、刻印された凹凸形状等の特殊なパターンを走査する用途であっても好適する。本発明の光情報用駆動モジュールは、復号回路に搭載されたソフトウェアを書き換えることで、容易に物体検出等に用いることができる。また、自動車へ車載して運転者を制限するために用いて、その人物を認識して、登録者に対して運転許諾の認定を行うことができる。さらに、移動物体やその有無についても検出することができることから、走査光を赤外光として防犯装置を構成してもよい。
また、本発明の光情報用駆動モジュールを用いて、三次元形状を読み取るための三次元スキャナを構成して、人体の内外を走査対象としてもよい。また、高精細のレーザプロジェクタとして、スクリーンや壁面を走査対象としてもよい。
本発明により、温度や湿度、及び経年変化の影響の少ない光情報用駆動モジュールを構成することができる。しかし、その他の光学系等の改善を併用してよいことはいうまでもない。例えば、前述したバンドパスフィルタとして、特許文献3に記載された光学的ゲイン補正フィルタを搭載してもよい。この光学的ゲイン補正フィルタは、入射角が変わると光量が増減するという多層膜部品であるが、この部品を搭載することで、走査等にともなう周辺光量落ちを低減するなど、さらに性能を改善できる。
また、本実施形態のレーザ光は、650nmの波長としたが、必ずしも、この限りでなく、400nm近辺の光源を用いてもよいし、800nm以上の赤外光を用いてもよい。赤外光を用いる場合には、前述したバンドパスフィルタの透過波長を変更すればよい。
また、レーザ光を用いて補償光学系を構成してもよい。例えば、カプセル型内視鏡81の内部に、本発明の光情報用駆動モジュール1を搭載して、レーザ光をν1=1Hz前後で走査させて、同時に別の撮像素子により画像を順次撮影する。そして、撮影した画像に対して、屈折率変動や収差を補償する補償光学系を追加する。これにより、人体内のように光学的には条件が悪い環境下においても、格段に画質が向上することができる。また、温度・湿度変動があっても、観察領域を正確に位置決めして、ブレの少ない高精細な画像・動画像を得るように構成してもよい。
以上のように、本発明によれば、起動時の読み取り性能や応答性が改善した駆動モジュールを提供することができる。とくに走査光学系等の精密光学機器に好適な光情報用駆動モジュールを提供することができる。
以上説明した光情報用駆動モジュールは、以下の発明を含んでいる。
(1)駆動周波数ν1で変動する電圧が印加される駆動コイルと、
前記駆動コイルに電磁力を生じさせるための永久磁石と、
前記駆動コイル及び前記永久磁石を所定の駆動量で移動可能に接続するばね部材と、を有する光情報用駆動モジュールにおいて、
温度変動による定常動作時の前記駆動量の変動比が該温度変動による前記ばね部材の縦弾性係数の変動比を下回るように該ばね部材の形状または材質が調整されていることを特徴とする駆動モジュール。
(2)駆動周波数ν1で変動する電圧が印加される駆動コイルと、
前記駆動コイルに電磁力を生じさせるための永久磁石と、
前記駆動コイル及び前記永久磁石を所定の駆動量で移動可能に接続するばね部材と、
を有する駆動モジュールにおいて、
温度変動による定常動作時の前記駆動量の変動比が起動時の過渡的な前記駆動量の変動比を下回るように前記ばね部材の形状または材質が調整されていることを特徴とする駆動モジュール。
1…光情報用駆動モジュール、2…ハウジング、2a…シャーシ、2b…基板ユニット、2c…支持部材、2d…ビス、3…出射光学系、4…光走査系、5…折り返しミラー、6…光検出ユニット、11…レーザダイオード、12…コリメータレンズ、13…出射アパーチャ、14…、15…バンドパスフィルタ、16…受光開口部、17…光検出器、20…フレキシブルケーブル、21…走査ミラー、21a…集光ミラー、21b…出射ミラー、22…駆動部、23…軸受け部、23…軸穴、24…軸、25…駆動コイル、26…ばね(金属ばね)、27…ばね保持部材、28…ヨーク、29…永久磁石、31…コネクタ、33…シールド、34…固定用ねじ穴、41…駆動処理部、42…信号処理部、43…CPU、44…走査対象物、51…駆動回路、52…光源回路、61…電流/電圧変換回路、62…増幅回路、63…微分回路、64…アナログ/デジタル(A/D)変換回路、65…ピーク検出回路、66…二値化回路、67…復号回路、68…デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)。

Claims (9)

  1. 駆動周波数ν1で変動する駆動電圧を生成する駆動回路と、
    前記駆動電圧を印加する駆動コイルと、
    前記駆動コイルに電磁力を生じさせるための永久磁石と、
    前記駆動コイル及び前記永久磁石を所定の駆動量で移動可能に接続するばね部材と、を具備し、
    駆動開始から定常的な状態に至る過渡的な状態における前記駆動量を、駆動開始直後に定常的な状態を越えるように前記駆動量が調整されることを特徴とする駆動モジュール。
  2. 駆動周波数ν1で変動する駆動電圧を生成する駆動回路と、
    前記駆動電圧が印加される駆動コイルと、
    前記駆動コイルに電磁力を生じさせるための永久磁石と、
    前記駆動コイル及び前記永久磁石を所定の駆動量で移動可能に接続するばね部材と、
    を有する駆動モジュールにおいて、
    駆動開始から定常的な状態に至る過渡的な状態における前記駆動量を、駆動開始直後に定常的な状態を越えるように、前記ばね部材の形状が形成されていることを特徴とする駆動モジュール
  3. 前記駆動周波数ν1を前記ばね部材に起因する共振周波数ν0に対して、
    1.3ν0 < ν1 < 2.0ν0
    の範囲内になるように設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動モジュール。
  4. 温度変動による定常動作時の前記駆動量の変動比が、該温度変動による前記ばね部材の縦弾性係数の変動比を下回るように、前記ばね部材の形状又は材質の何れか一方、又はこれらの組み合わせにより調整されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の前記駆動モジュール。
  5. レーザ光を出射する光源と、
    前記光源から出射されたレーザ光を走査して照射し、その反射光の受光を行う走査ミラーと、
    駆動周波数ν1で変動する駆動電圧を生成する駆動回路と、
    前記駆動電圧の印加により前記走査ミラーを回動する駆動コイルと、
    前記駆動コイルに電磁力を生じさせるための永久磁石と、
    前記駆動コイル及び前記永久磁石を所定の駆動量で移動可能に接続し、弾性に起因して、駆動周波数ν1に対する共振周波数ν0で、前記走査ミラーを回動させるばね部材と、
    を具備し、
    前記走査ミラーを回動させる駆動開始から定常的な状態に至る過渡的な状態における前記駆動量を、駆動開始直後に定常的な状態を越えるように前記駆動量が調整されることを特徴とする駆動モジュール。
  6. 前記駆動周波数ν1を前記ばね部材に起因する共振周波数ν0に対して、
    1.3ν0 < ν1 < 2.0ν0
    の範囲内になるように設定し、前記過渡的な状態の時に、読み取りを実施する予め定めた定常的な走査角を越えた走査角で、前記走査ミラーを回動させることを特徴とする請求項5に記載の駆動モジュール。
  7. 前記走査ミラーは、軸受け穴が設けられて、固定された軸に摺動可能に嵌装され、前記走査ミラーが回動時に、前記ばね部材による付勢力が前記軸受け穴を軸に一定方向に押し当てて、回動時に働く遠心力を上回るように、前記ばね部材のばね定数が設定されていることを特徴とする請求項6に記載の駆動モジュール。
  8. 駆動周波数ν1で変動する駆動電圧を生成する駆動回路と、
    前記駆動電圧を印加する駆動コイルと、
    前記駆動コイルに電磁力を生じさせるための永久磁石と、
    前記駆動コイル及び前記永久磁石を所定の駆動量で移動可能に接続するばね部材と、
    を具備し、
    過渡的な状態における前記駆動量が定常的な状態における前記駆動量を越えるように調整されていることを特徴とする駆動モジュール。
  9. 駆動周波数ν1で変動する駆動電圧を生成する駆動回路と、
    前記駆動電圧を印加する駆動コイルと、
    前記駆動コイルに電磁力を生じさせるための永久磁石と、
    前記駆動コイル及び前記永久磁石を所定の駆動量で移動可能に接続するばね部材と、
    を具備し、
    ある状態から所定の駆動量で駆動を繰り返す定常的な状態に至るまでの過渡的な状態における前記駆動量が、前記定常的な状態における所定の駆動量を越えるように調整されることを特徴とする駆動モジュール。
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