JP2010195750A - 両親媒性物質、界面活性剤、および、界面活性剤の使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の両親媒性物質は、A−(CH2)n−Bで表される両親媒性物質であって、Aが蛍光発色団を基として有する疎水部であり、Bが、水に溶けたとき親水部がアニオンになるアニオン性親水部、水に溶けたとき親水部がカチオンになるカチオン性親水部、水に溶けたとき親水部がイオンにならないノニオン性親水部、またはアニオンとカチオンを有する両性親水部であり、
nが0から6までの整数である。
【選択図】図2
Description
本発明の両親媒性物質は、A−(CH2)n−Bで表される両親媒性物質である。
本発明の界面活性剤は、本発明の両親媒性物質を含む。本発明の界面活性剤は、本発明の両親媒性物質のみからなっていても良いし、他の任意の適切な界面活性剤と本発明の両親媒性物質とを含むものでも良い。本発明の界面活性剤中の本発明の両親媒性物質の含有割合は、好ましくは0.1〜100重量%、より好ましくは1〜100重量%、さらに好ましくは2〜100重量%である。本発明の界面活性剤中の本発明の両親媒性物質の含有割合が0.1重量%より少ないと、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがある。
本発明は、また、界面活性剤の使用方法を提供する。本発明の使用方法は、界面活性剤の使用方法であって、該界面活性剤が接触した物体に紫外線を照射することにより該物体上の該界面活性剤の存在を検知する(以下、使用方法Aと称することがある)。本発明の別の使用方法は、界面活性剤の使用方法であって、濃度の異なる該界面活性剤を含む液体それぞれに紫外線を照射することにより観察される蛍光発光の色の変化に基づいて該界面活性剤の臨界ミセル濃度を検出する(以下、使用方法Bと称することがある)。
1H NMR(CDCl3):δ1.91(m、 2H)、2.23(t、2H)、2.99(t、2H)、7.68−7.88(m、8H)、8.12(d、1H)
13C NMR(CDCl3):δ27.1、33.9、38.4、123.0、124.9、125.0、125.7、126.1、126.3、126.4、126.2、126.6、126.9、128.3、132.1、133.4、136.2、178.0
ESIMS Calcd for 310.1:Found m/z 311.5(M+1(+H+))
1H NMR(CDCl3):δ2.14−2.35(m、4H)、3.40(t、2H)、5.23(bs、2H)、7.82−8.19(m、8H)、8.29(d、1H)
13C NMR(CDCl3):δ27.1、32.6、35.0、123.3、124.7、124.9、124.9、125.8、126.7、127.3、127.4、127.4、174.9
ESIMS Calcd for 287.1:Found m/z 288.3(M+1(+H+))
1H NMR(DMSO−d6):δ1.63−1.95(m、4H)、2.84(t、2H)、3.36(m、2H)、7.83−8.42(m、11H)
13C NMR(CDCl3):δ26.9、28.1、31.9、36.6、123.4、124.0、124.7、124.8、124.9、126.1、126.5、127.2、127.4、128.0、129.2、130.8、136.3
ESIMS Calcd for 273.1:Found m/z 274.2(M+1(+H+))
1H NMR(DMSO−d6):δ1.72−1.95(m、4H)、3.09(s、9H)、3.37−3.47(m、4H)、7.98−8.32(m、8H)、8.40(d、1H)
13C NMR(DMSO−d6):δ22.6、28.1、31.9、52.2、65.0、123.3、124.7、124.9、124.9、126.1、126.5、127.2、127.3
ESIMS Calcd for 443.1:Found m/z 316.2(M−126.9(−I−))
1H NMR(CD3OD):δ1.27(t、1H)、1.69(m、2H)、1.89(m、2H)、3.32(t、2H)、3.60(t、2H)、7.80−8.16(m、8H)、8.26(d、1H)
13C NMR(CD3OD):δ29.3、33.6、34.1、62.8、124.4、125.6、125.8、125.8、126.8、128.3、128.5、129.8、131.1、132.3、132.8、138.1
ESIMS Calcd for 274.1:Found m/z 285.3(M+1(+H+))
1H NMR(CDCl3):δ1.73−1.93(m、4H)、2.35(s、3H)、3.30(t、2H)、4.08(t、2H)、7.23(m、2H)、7.69−7.82(m、3H)、7.94−8.26(m、8H)
13C NMR(CDCl3):δ21.4、27.4、28.7、32.6、70.3、123.1、124.7、124.9、125.8、126.7、127.1、127.3、127.4、127.8、129.7、130.8、132.1、144.6
ESIMS Calcd for 428.1:Found m/z 429.0(M+1(+H+))
1H NMR(CDCl3):δ1.76(m、2H)、1.91(m、2H)、2.04(bs、1H)、3.34(t、2H)、3.47−3.73(m、29H)、7.82−8.16(m、8H)、8.26(d、1H)
13C NMR(CDCl3):δ28.3、29.6、33.2、61.6、70.0、70.2、70.4、71.1、72.5、123.4、124.5、124.7、124.9、125.0、125.6、127.0、127.1、127.4、128.5、129.6、130.8、131.3、136.8
ESIMS Calcd for 494.3+44n(n=1−9):Found m/z 517.5+44n(n=1−9)(M+23(+Na+))
ラウリン酸ナトリウムをそのまま両親媒性物質(C1)のNa塩とした。
両親媒性物質(1)を用い、濃度が10−1Mから10−5Mの蛍光性界面活性剤水溶液を調製した。各種濃度の界面活性剤溶液の表面張力をWilhelmy法(使用機器:協和界面科学表面張力計CBVP−A3)で測定した。界面活性剤濃度(横軸)に対して表面張力(縦軸)をプロットしたグラフを作成し、直線が折れ曲がる点の濃度から臨界ミセル濃度を算出したところ、8.5mMであった。
両親媒性物質(1)を用い、濃度が20μMの蛍光性界面活性剤水溶液を調製した。この水溶液のUVスペクトルを光路長1cmの角型UVセルで測定した(使用機器:日本分光JASCO V−560)。この結果からLambert−Beerの式(A=εcl、A:吸光度、ε:吸光係数、c:濃度、l:光路長)を用いてモル吸光係数を算出したところ、ε245=6.1×105M−1cm−1であった。
両親媒性物質(1)を用い、濃度が1.0mM、2.0mM、2.5mM、5.0mM、8.0mM、10mM、15mM、20mM、40mMの蛍光性界面活性剤水溶液を調製した。この水溶液のUVスペクトルを平均光路長0.52μmの石英セルを用いて測定した(使用機器:日本分光JASCO V−560)。得られたUVスペクトルを図3に示す。図3に示すように、両親媒性物質(1)を用いた蛍光性界面活性剤水溶液は、波長400nmまでUV吸収帯を有した。これは、一般的な石鹸などの界面活性剤が250nm以上にUV吸収を有さないことと対照的である。
両親媒性物質(C1)を用い、濃度が20mMの界面活性剤水溶液を調製した。この水溶液のUVスペクトルを平均光路長0.52μmの石英セルを用いて測定した(使用機器:日本分光JASCO V−560)。得られたUVスペクトルを図4に示す。図4に示すように、一般的な石鹸などの界面活性剤と同様、250nm以上にUV吸収を有さなかった。
両親媒性物質(1)を用い、濃度が0.2mM、1.0mM、2.0mM、2.5mM、5.0mM、7.5mM、10mM、15mM、20mM、40mMの蛍光性界面活性剤水溶液を調製した。この水溶液を光路長1cmの二面透過セルに入れ、励起光330nmによる表面反射蛍光測定法(プレートや濃度が高く通常の直交法で測定できない試料の蛍光発光を測定する手法)で蛍光スペクトルを測定した(使用機器:日立F−4500)。得られた蛍光スペクトルを図5に示す。図5に示すように、波長330nmの紫外線照射により可視光領域(波長380〜750nm)に蛍光発光が観測された。
両親媒性物質(1)を用い、濃度が1.0mM、2.0mM、5.0mM、10mM、15mM、20mM、40mMの蛍光性界面活性剤水溶液を調製した。この水溶液をサンプル管に入れ、ブラックライトによって波長365nmの紫外線を照射しながら、蛍光発光の色の変化を暗室にて写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、濃度が1.0mMから40mMへと濃くなるにしたがって、青色系から緑色系へと変化している様子が観察された。特に、濃度5.0mMのサンプル管と濃度10mMのサンプル管との間において青色系から緑色系への蛍光発色の色の変化が顕著であった。このこと、および、両親媒性物質(1)の蛍光性界面活性剤水溶液における臨界ミセル濃度(実施例4で測定)が8.5mMであることから、濃度の異なる該界面活性剤を含む液体それぞれに紫外線を照射することにより観察される蛍光発光の色の変化に基づいて該界面活性剤の臨界ミセル濃度を検出することが可能であることが判った。
(1)両親媒性物質(1)のNa塩(ピレンブチル酸ナトリウム)1.25gと水酸化ナトリウム273mgを水250mLに溶解させた(A液、pH=12)
(2)A液を用い、汚染布および白布を、撹拌式洗浄力試験機(TM−4、大栄科学精器製作所)を用いて洗浄した(10分、30℃)。
(3)洗浄後の汚染布および白布に波長365nmの紫外線を照射しながら写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、A液で洗浄した汚染布および白布には強い蛍光発光が観察され、いずれの布にも界面活性剤が残存していることが判った。蛍光発光の色は緑色系であり、臨界ミセル濃度以上の濃度であることも判った。
(4)上記洗浄後の汚染布および白布を、撹拌式洗浄力試験機(TM−4、大栄科学精器製作所)を用いて1回目のすすぎ洗いを行った(250mL、3分、30℃)。1回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布に波長365nmの紫外線を照射しながら写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、1回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布には蛍光発光が観察され、いずれの布にも界面活性剤がまだ残存していることが判った。蛍光発光の色は青色系であり、臨界ミセル濃度以下の濃度であることも判った。
(5)上記1回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布を、撹拌式洗浄力試験機(TM−4、大栄科学精器製作所)を用いて2回目のすすぎ洗いを行った(250mL、3分、30℃)。2回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布に波長365nmの紫外線を照射しながら写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、2回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布には弱いながらも蛍光発光が観察され、いずれの布にも界面活性剤がまだ残存していることが判った。蛍光発光の色は青色系であり、臨界ミセル濃度以下の濃度であることも判った。
(6)上記2回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布を陰干し(30分)して、アイロン処理した。アイロン後の汚染布および白布の写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。アイロン後の汚染布および白布における界面活性剤の残存の有無は、通常の目視では判らなかった。次に、アイロン後の汚染布および白布に波長365nmの紫外線を照射しながら写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、アイロン後の汚染布および白布には弱いながらも蛍光発光が観察され、いずれの布にも界面活性剤がまだ残存していることが判った。蛍光発光の色は青色系であり、臨界ミセル濃度以下の濃度であることも判った。また、アイロン後の汚染布における上記蛍光発光にはムラが観察され、すすぎムラがあったことが判った。
(7)上記1回目および2回目のすすぎ洗いに使用した水(使用後)に波長365nmの紫外線を照射しながら写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、1回目のすすぎ洗いに使用した水および2回目のすすぎ洗いに使用した水のいずれにおいても、弱いながらも蛍光発光が観察され、界面活性剤が含まれていることが判った。
(8)用いた汚染布および白布について、洗浄前後の光反射率を、Spectro Color Meter(SE2000、日本電色工業)を用いて測定した。洗浄前後の光反射率を比較することにより、汚染布に対する洗浄力と、白布に対する再汚染率を算出した。結果を表1に示した。
(1)ラウリン酸ナトリウム2.5gと水酸化ナトリウム100mgを水250mLに溶解させた(B液、pH=12)
(2)B液を用い、汚染布および白布を、撹拌式洗浄力試験機(TM−4、大栄科学精器製作所)を用いて洗浄した(10分、30℃)。
(3)洗浄後の汚染布および白布に波長365nmの紫外線を照射しながら写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、B液で洗浄した汚染布および白布には蛍光発光は観察されず、いずれの布においても界面活性剤が残存しているか否かは判らなかった。
(4)上記洗浄後の汚染布および白布を、撹拌式洗浄力試験機(TM−4、大栄科学精器製作所)を用いて1回目のすすぎ洗いを行った(250mL、3分、30℃)。1回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布に波長365nmの紫外線を照射しながら写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、1回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布には蛍光発光は観察されず、いずれの布においても界面活性剤が残存しているか否かは判らなかった。
(5)上記1回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布を、撹拌式洗浄力試験機(TM−4、大栄科学精器製作所)を用いて2回目のすすぎ洗いを行った(250mL、3分、30℃)。2回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布に波長365nmの紫外線を照射しながら写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、2回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布には蛍光発光は観察されず、いずれの布においても界面活性剤が残存しているか否かは判らなかった。
(6)上記2回目のすすぎ洗い後の汚染布および白布を陰干し(30分)して、アイロン処理した。アイロン後の汚染布および白布の写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。アイロン後の汚染布および白布における界面活性剤の残存の有無は、通常の目視では判らなかった。次に、アイロン後の汚染布および白布に波長365nmの紫外線を照射しながら写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、アイロン後の汚染布および白布には蛍光発光は観察されず、いずれの布においても界面活性剤が残存しているか否かは判らなかった。
(7)上記1回目および2回目のすすぎ洗いに使用した水(使用後)に波長365nmの紫外線を照射しながら写真撮影(カメラ:SONY DCR−IP55)を行い観察した。その結果、1回目のすすぎ洗いに使用した水および2回目のすすぎ洗いに使用した水のいずれにおいても蛍光発光は観察されず、界面活性剤が含まれているか否かは判らなかった。
(8)用いた汚染布および白布について、洗浄前後の光反射率を、Spectro Color Meter(SE2000、日本電色工業)を用いて測定した。洗浄前後の光反射率を比較することにより、汚染布に対する洗浄力と、白布に対する再汚染率を算出した。結果を表1に示した。
2 疎水基
3 蛍光発色団
10 単分散状態
20 ミセル
Claims (7)
- A−(CH2)n−Bで表される両親媒性物質であって、
Aが蛍光発色団を基として有する疎水部であり、
Bが、水に溶けたとき親水部がアニオンになるアニオン性親水部、水に溶けたとき親水部がカチオンになるカチオン性親水部、水に溶けたとき親水部がイオンにならないノニオン性親水部、またはアニオンとカチオンを有する両性親水部であり、
nが0から6までの整数である、
両親媒性物質。 - 前記Aが1−ピレニル基である、請求項1に記載の両親媒性物質。
- 請求項1または2に記載の両親媒性物質を含む、界面活性剤。
- 波長245nmの紫外線照射におけるモル吸光係数が105M−1cm−1以上である、請求項3に記載の界面活性剤。
- 紫外線照射により可視光領域で蛍光発光を生じる、請求項3または4に記載の界面活性剤。
- 界面活性剤の使用方法であって、
濃度の異なる該界面活性剤を含む液体それぞれに紫外線を照射することにより観察される蛍光発光の色の変化に基づいて該界面活性剤の臨界ミセル濃度を検出する、
界面活性剤の使用方法。 - 界面活性剤の使用方法であって、
該界面活性剤が接触した物体に紫外線を照射することにより該物体上の該界面活性剤の存在を検知する、
界面活性剤の使用方法。
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