JP2010195346A - タイヤ空気圧低下検出装置及び方法、並びにタイヤ空気圧低下検出プログラム - Google Patents

タイヤ空気圧低下検出装置及び方法、並びにタイヤ空気圧低下検出プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤの共振周波数の推定に悪影響を及ぼすノイズを除去することで、走行条件においても安定して正確にタイヤの減圧を検出することができるタイヤ空気圧低下検出装置を提供する。
【解決手段】車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段と、この回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報又はこの回転速度情報から演算される回転加速度情報から、当該回転速度情報又は回転加速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段と、推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と、空気圧状態に依存しない共振ノイズのピーク周波数に共振点をもつ2次システムから得られる逆フィルタ手段とを備えている。前記周波数特性推定手段は、前記逆フィルタ手段によって前記共振ノイズが除去された信号に基づいて周波数特性を推定するように構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、走行中の車両のタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置及び方法、並びにタイヤ空気圧低下検出プログラムに関するものである。
自動車が安全に走行できるための要素の1つとして、タイヤの空気圧をあげることができる。空気圧が適正値よりも低下すると、操縦安定性や燃費が悪くなり、タイヤバーストの原因となる場合がある。このため、タイヤ空気圧の低下を検出し、運転者に警報を出して適切な処置を促すタイヤ空気圧警報装置(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)は、環境の保護や運転者の安全性の確保という見地から重要な技術である。
従来の警報装置は、直接検知型と間接検知型の2つに分類することができる。直接検知型は、タイヤホイール内部に圧力センサを組み込むことでタイヤの空気圧を直接計測するものである。空気圧の低下を高精度に検出することができる一方で、専用のホイールが必要となることや実環境での耐故障性能に問題があることなど、技術的、コスト的な課題を残している。
一方、間接検知型はタイヤの回転情報から空気圧を推定する方法であり、動荷重半径(Dynamic Loaded Radius;DLR)方式と、共振周波数(Resonance Frequency Mechanism;RFM)方式に細分類することができる。DLR方式は、減圧したタイヤが走行時につぶれることで動荷重半径が小さくなり、その結果正常圧のタイヤよりも速く回転する現象を利用し、4つのタイヤの回転速度を比較することで圧力低下を検出する方式である。車輪速センサから得られる車輪の回転速度信号だけを用いて比較的簡単に演算処理できることから、主に一輪のパンクを検出することを目的として広く研究が進められてきた。しかし、車輪の回転速度を相対比較しているに過ぎないため、4輪が同時に減圧する場合(自然漏れ)は検知することができない。また、車両の旋回、加減速や荷重の偏りなどの走行条件によっても車輪速差が生じるため、全ての走行状態を通じて精度良く減圧を検知できないという問題がある。
他方、RFM方式は、減圧によって車輪速信号の周波数特性が変化することを利用して正常圧との差異を検出する方式である。DLR方式と異なり、あらかじめ保持しておいた各輪の正常値との絶対比較であるため、4輪同時減圧にも対応でき、より良い間接検知方式として注目されている。しかし、走行条件によっては強いノイズなどが原因で、目的とする領域の周波数の推定値が車両速度や路面状況に頑健でないなどの課題がある。本発明は、RFM方式に基づくタイヤの状態検知装置において、共振周波数の推定に悪影響を及ぼすノイズを除去する技術に関するものである。以下、RFM方式の基本原理についてより詳しく述べる。
車両が走行すると、タイヤが路面から力を受けることで現れる前後方向のねじれ運動と、サスペンションの前後の運動とが連成共振を起こす。この共振現象は、車輪の回転運動にも影響を及ぼすため、アンチロックブレーキングシステム(Anti−Lock Braking System;ABS)に搭載された車輪センサから取得される車輪速信号にも共振現象に関する情報が含まれる。また、連成共振はタイヤのねじれ剛性に起因した固有の振動モードであるため、その励起状態はタイヤの物理特性を構成する空気圧の変化にのみ依存して変化し、車両速度や路面の変化に依存することはほとんどない。すなわち、空気圧が低下するとタイヤのねじれ運動のダイナミクスが変化するため、車輪速信号を周波数解析すると、連成共振が作るピーク(以下、「共振ピーク」という)は減圧時では正常圧時よりも低周波数側に現れる。
図9は、空気圧の状態が、正常圧(221kPa)、正常圧から15%減圧(188kPa)、25%減圧(166kPa)、40%減圧(133kPa)の各場合において、タイヤに発生する振動を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform; FFT)により解析した結果を表わしている。25〜30Hz付近に存在するピーク値に対応する周波数(以下、「共振周波数」という)が、内圧の変化によってより低周波側に移動していることが分かる。この現象は、前述の特性からタイヤや車両の種類、走行速度や路面の状況などから独立して現れるため、RFM方式ではこの共振周波数に着目し、初期化時に推定した基準周波数よりも相対的に低いと判断される場合に警報を出す。ここで、ABSから取得される車輪速信号から共振周波数を推定する必要があるが、計算資源が限られる車載の計算機では必要な時系列データを記憶させておくことが難しいため、FFTによる周波数分析を行うことは困難である。このため、従来の手法においては、以下に述べるオンライン手法を用いて共振周波数を推定している。
車輪速信号は各時刻における時系列データとして取得されるため、これをK次の自己回帰(Antoregressive;AR)モデルに基づいて時系列解析を行う。具体的には、次の式(1)で示されるモデルにおけるパラメータθ={a1、・・・、aK}をカルマンフィルタ(逐次最小二乗法)で推定する。
Figure 2010195346
ここで、y(t)は時刻tにおける車輪速信号の値、εは白色ノイズを表しており、Kはモデルの次数である(振動のような現象を表現するために2次モデルを仮定する場合は、K=2とすることができる)。ARモデルを表わす伝達関数の極に対応する周波数が共振周波数として推定されるため、前記モデルにより共振ピークが正しく抽出できれば、正確に共振周波数を得ることができる。
しかし、このような従来の推定方法には次の二つの問題点がある。
第一に、例えば路面が滑らかな道路を走行する場合などは、タイヤに加わる力が弱く、共振現象も小さくなるため、目的とする信号とは独立に混入するノイズの影響が相対的に大きくなる。すなわち、信号ノイズ(SN)比が悪くなるため、前記の従来手法のみに基づいては共振周波数を正確に推定することが困難となる場合がある。また、このような場合に共振ピークが現れる近傍の周波数領域に強いノイズがピークを作ると、その影響を受けて共振周波数の推定値が不安定になる。このような状況下において得られた走行データに対してFFTを適用した結果、及び前記の時系列解析(K=8とした場合)を行った結果を図10に示す。本データにおいて装着されたタイヤの共振周波数は44Hz程度であることが他の実験等から経験的に分かっているが、この走行条件においては36Hz付近に強いノイズが存在すると考えられ(図10のFFTによる解析結果を参照)、これに影響を受けて適正な共振周波数よりも低く推定されることにより、システムの側からはノイズの影響によって低く出たピークであるか、減圧時において低くなった真の共振周波数であるかを判断することができない。
第二に、本出願人が先に提案した手法(例えば、特願2008−129055において提案した手法。車両の各輪のタイヤの回転速度情報から当該回転速度情報の周波数特性を推定する工程が、前記回転速度情報を含む時系列信号に対し、3次以上の線形モデルのパラメータを時系列推定する第1の工程、推定された線形モデルと、線形モデルの出力信号である前記回転速度情報とから、当該線形モデルに対する入力信号を推定する第2の工程、推定された入力信号と、前記回転速度情報とから、2次に低次元化した線形モデルのパラメータを同定する第3の工程、及び2次に低次元化して同定されたパラメータからタイヤのねじり方向の共振周波数を推定する第4の工程を含んでいる。)では、こうしたノイズが作る不必要なピークと共振ピークとを区別するために、モデルの表現能力を上げなければならない。すなわち、モデルの次数が低いほど、ノイズの影響によるピークに引きずられて共振周波数の推定値が安定しない、又は妥当な推定値が得られないため、車輪速信号に含まれるすべての振動現象を分離して表現するために、時系列モデルの次数Kを高く設定する必要がある。しかし、高次元モデルのパラメータの計算は負荷が大きく、計算資源の制約が大きい実車環境では実装が困難である。すなわち、ノイズの存在は推定精度を悪化させるだけでなく、無駄な計算資源を費やす原因にもなる。
ところで、こうしたノイズの影響を排除するために、従来では極めて狭い範囲の帯域通過フィルタなどによるフィルタ処理を施すなどの方法で対処していた。すなわち、例えば特許文献1記載の方法のように、共振周波数が現れる周波数領域があらかじめ分かっている場合は、その領域のみを通過させる強いフィルタを適用することでノイズの影響を極力排除する手法である。しかし、帯域通過フィルタの適用範囲は、いかなる空気圧状態においても共振ピークがフィルタの影響を受けないよう設定する必要があるため、共振周波数に極めて近接する領域にノイズの影響が現れる場合には対処できない。また、共振周波数の値はタイヤの構造やパターンなどによっても異なるため、装着されるタイヤの種類によってフィルタの適用範囲を変える必要があるが、一般に車輪速信号のみからタイヤの種類を一意に識別することは非常に困難であることから、現実には適用の難しい手法である。
特開2001−91390号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも少ない計算量で、従来の手法では異常の検出が困難とされている走行条件においても安定して正確に共振周波数の推定を行うために、推定に悪影響を及ぼすノイズを除去することができるタイヤ空気圧低下検出装置及び方法、並びにタイヤ空気圧低下検出プログラムを提供することを目的としている。
本発明のタイヤ空気圧低下検出装置(以下、単に「検出装置」ともいう)は、車両の各輪に装着されたタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧の低下を検出する装置であって、
車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段と、
この回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報又はこの回転速度情報から演算される回転加速度情報から、当該回転速度情報又は回転加速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段と、
推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と、
空気圧状態に依存しない共振ノイズのピーク周波数に共振点をもつ2次システムから得られる逆フィルタ手段と
を備えており、前記周波数特性推定手段は、前記逆フィルタ手段によって前記共振ノイズが除去された信号に基づいて周波数特性を推定するように構成されていることを特徴としている。
本発明の検出装置は、空気圧状態に依存しない共振ノイズのピーク周波数に共振点をもつ2次システムから得られる逆フィルタ手段によって、車両のタイヤの回転速度情報又は回転加速度情報から当該共振ノイズを除去している。そして、周波数特性推定手段は、この共振ノイズが除去された信号に基づいて周波数特性を推定するように構成されているので、タイヤの空気圧の低下を安定して正確に検出することができる。
また、本発明のタイヤ空気圧低下検出方法(以下、単に「検出方法」ともいう)は、車両の各輪に装着されたタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧の低下を検出する方法であって、
車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する検出工程と、
この検出工程において得られる回転速度情報又はこの回転速度情報から演算される回転加速度情報から、当該回転速度情報又は回転加速度情報の周波数特性を推定する推定工程と、
推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定工程と、
空気圧状態に依存しない共振ノイズのピーク周波数に共振点をもつ2次システムから得られる逆フィルタ工程と
を含んでおり、前記推定工程は、前記逆フィルタ工程において前記共振ノイズが除去された信号に基づいて周波数特性を推定することを特徴としている。
さらに、本発明のタイヤ空気圧低下検出プログラムは、車両の各輪に装着されたタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧の低下を検出するためにコンピュータを、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報又はこの回転速度情報から演算される回転加速度情報から、当該回転速度情報又は回転加速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段、推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段、及び空気圧状態に依存しない共振ノイズのピーク周波数に共振点をもつ2次システムから得られる逆フィルタ手段として機能させ、前記周波数特性推定手段は、前記逆フィルタ手段によって前記共振ノイズが除去された信号に基づいて周波数特性を推定するように構成されていることを特徴としている。
本発明のタイヤ空気圧低下検出装置及び方法、並びにタイヤ空気圧低下検出プログラムによれば、タイヤの共振周波数の推定に悪影響を及ぼすノイズを除去ことで、従来よりも少ない計算量で、従来の手法では異常の検出が困難とされている走行条件においても安定して正確にタイヤの減圧を検出することができる。
本発明の検出装置の一実施の形態を示すブロック図である。 図1に示される検出装置の電気的構成を示すブロック図である。 共振現象とノイズ発生源との関係を模式的に表す図である。 ノイズの影響をキャンセルすることにより時系列解析に基づく共振周波数の推定が適切に行なえることを表す図である。 推定した共振周波数とその推定分散を示す図である。 ノイズの影響により時系列解析に基づく共振周波数の推定が適切に行えない場合を示す図である。 ノイズの影響をキャンセルすることにより時系列解析に基づく共振周波数の推定が適切に行なえることを表す図である。 推定した共振周波数とその推定分散を示す図である。 減圧することによりタイヤの共振周波数が変化することを表す図である。 ノイズの影響により時系列解析に基づく共振周波数の推定が適切に行えない場合を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のタイヤ空気圧低下検出装置及び方法、並びにタイヤ空気圧低下検出プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
図1に示されるように、本発明の一実施の形態に係る検出装置は、4輪車両に備えられた4つのタイヤの左前輪(FL)、右前輪(FR)、左後輪(RL)および右後輪(RR)の回転速度情報を検出するため、各タイヤに関連して設けられた通常の車輪速度検出手段(回転速度情報検出手段)1を備えている。
前記車輪速度検出手段1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させ、パルスの数から回転角速度及び車輪速度を測定するための車輪速センサや、ダイナモのように回転を利用して発電を行い、この電圧から回転角速度及び車輪速度を測定するためのものを含む角速度センサなどを用いることができる。前記車輪速度検出手段1の出力は、ABSなどのコンピュータである制御ユニット2に与えられる。この制御ユニット2には、例えばタイヤが減圧していることを表示するための液晶表示素子、プラズマ表示素子またはCRTなどで構成された表示器3、ドライバーによって操作することができる初期化ボタン4、及びタイヤの減圧をドライバーに知らせる警報器5が接続されている。
制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェース2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、このCPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行う際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータが読み出されたりするRAM2dとから構成されている。
前記車輪速度検出手段1では、タイヤの回転数に対応したパルス信号(以下、「車輪速パルス」ともいう)が出力される。そして、この車輪速パルスを所定のサンプリング周期ΔT(秒)、例えばΔT=0.005秒毎にサンプリングすることで、車輪速信号の時系列データを得ることができる。
本実施の形態に係る検出装置は、車輪速度検出手段(回転速度情報検出手段)1、この車輪速度検出手段により得られる回転速度情報又はこの回転速度情報から演算される回転加速度情報から当該回転速度情報又は回転加速度情報の周波数特性を推定する周波数推定手段と、推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と、空気圧状態に依存しない共振ノイズのピーク周波数に共振点をもつ2次システムから得られる逆フィルタ手段とで主に構成されている。そして、前記周波数特性推定手段は、前記逆フィルタ手段によって前記共振ノイズが除去された信号に基づいて周波数特性を推定するように構成されている。また、タイヤの空気圧低下検出プログラムは、前記制御ユニット2を周波数特性推定手段、判定手段及び逆フィルタ手段として機能させる。
本発明では、前記「逆フィルタ手段」によって、回転速度又は回転加速度の信号に混入する不必要な影響のみを選択的に排除しており、このような手法はいわゆる「ノイズキャンセリング法」として知られている。ノイズ発生源に関するモデルをあらかじめ保持又は推定し、当該モデルに基づく逆フィルタを構成することで、観測信号からノイズ成分を抜き取るというのが基本的な原理であり、本発明は、このノイズキャンセリング法に関する基本原理をタイヤ空気圧低下検出装置及び方法に応用するものである。
本発明では、システム全体に路面から未知の白色入力が与えられ、これが共振現象やノイズ発生源など各要素を直列に通過することにより、最終的に車輪速信号が観測されると仮定する。図3は、これらの関係を模式的に表している。ここで、システム全体としては線形性を仮定しているため、各要素の前後が入れ替わっても結果は変わらない。
いま、事前にノイズの性質、例えば、不必要なピークが現れる周波数帯域やその強度などがある程度分かっているとする。このとき、その性質をもつシステムを設計しておき、得られた観測信号から入力を推定すれば、ノイズの影響を受ける前の信号(以下、「原信号」という)を得ることができる。すなわち、設計したシステムに基づく逆フィルタを適用することで、ノイズ成分を抜き取ることができる。より詳細には、以下のステップ(1)〜(5)に基づいて共振周波数の推定を行うことができる。
(1) 実験などにより、キャンセルしたいノイズが現れる周波数を特定する。ここで、キャンセルの対象となる周波数は複数でもよい。その場合は、以下のステップを複数回実行することにより各周波数に発生するノイズを除去できる。
(2) 特定した周波数にピークをもつ連続時間における2次の伝達関数を設計する。ここで、減衰係数は観測される各ノイズの強度に基づいて適切に設定する。所望の周波数にピークをもつ伝達関数の設計方法は公知であり、例えば、足立修一、「Matlabによる制御のためのシステム同定」、東京電機大学出版局などの文献に記載されている。
(3) 台形公式などの離散化手法により、前記連続時間における伝達関数を離散時間における伝達関数に変換し、そのシステムパラメータを得る。離散化手法により離散化誤差が異なるが、どのような手法を用いても本発明における最終的な性能は変化しないため、当該手法の選択は本発明において本質的なものではない。これは、誤差が性能に与える影響が極めて小さいことによる。
(4) 以下の式(2)で定義される逆フィルタを適用し、原信号u(t)を復元する。
Figure 2010195346
ここで、biは前ステップで得られた離散時間伝達関数における分母パラメータを表す。伝達関数の分子の要素を無視しているのは、設計したモデルが実際の現象と乖離していることによる弊害を緩和するためである。すなわち、図3に示すシステム全体の仮定が実際のシステムと一致し、設計したシステムが未知のノイズ源と完璧に一致すれば、逆フィルタを適用することでノイズのみを適切に抜き取ることができるが、実環境においてこれらの条件を満たすことは困難である。そして、仮定するモデルが複雑であるほど実際の現象と乖離したときに生じる弊害が大きく、この場合、無用なフィルタ効果によって逆に性能を劣化させることになる。そこで、ピーク周波数を規定する分母のみを用いることにより、離散化後の伝達関数がもつ自由度を下げ、前記の弊害を回避する。この方法は、理論的に妥当でない部分が含まれるが、ノイズをキャンセルするという目的のもとでは指定する周波数が一致するだけでよく、実際、本発明者らが実施した実験によって望ましい結果が得られることが分かっている。
(5) 以上のステップにより復元された原信号u(t)を用いて共振周波数の推定を行う。この推定は、例えば前述したカルマンフィルタ(逐次最小二乗法)で行うことができる。
[実施例及び比較例]
つぎに本発明の検出方法の実施例を説明するが、本発明は以下に記載する実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1及び比較例1〕
図4は、図10に示されるデータに対して本発明を適用した結果を示す。前述したとおり、図10では36Hz付近に車両の特性に由来すると考えられる強いノイズが発生しており、共振周波数の推定を阻害する原因となっている。加えて、車両のばね下共振と考えられるピークが10〜20Hzに、タイヤの周方向共振と考えられるピークが90〜100Hzに発生しており、さらに、その他のノイズが広い周波数領域に亘ってまんべんなく分布していることが原因で、状況によっては突発的に鋭いピークを形成する場合がある。本実施例では、15Hz、36Hz、70Hz、80Hz、110Hzを前述したステップ(1)における対象の周波数とした。なお、この条件ではサンプリング周波数を4ミリ秒としているため、ナイキスト周波数は125Hzであることに注意する。本発明を適用することで、ノイズによる影響が軽減され、時系列解析の結果が示す共振ピークは本発明を適用しない場合と比べて明瞭に立ち上がっていることが分かる。また、本発明を適用した場合の時系列モデルは、より低次元に抑えられていることにも注意する。
図5は推定した共振周波数とその推定分散を示す図である。本発明を適用しない場合は、モデルの次数を落として共振ピークを抽出する過程において、ノイズが作るピークに影響を受けるため、実際の共振周波数(44Hzであることが他の実験により分かっている)よりも低く推定されている。また、その推定分散も大きく、推定が不安定であることが分かる。一方、本発明によりノイズの影響を低減させると、前記の問題が解決され、安定して適切に共振周波数を求めることができる。
〔実施例2及び比較例2〕
図6及び図7は、図10及び図4とは別の走行条件におけるデータに対して本発明を適用した結果を示す。実施例1と同様に、本発明を適用することによりノイズの影響が軽減され、時系列解析の結果が示す共振ピークは明瞭である。また、本発明を適用した場合の時系列モデルは、より低次元に抑えられていることにも注意する。
図8は、推定した共振周波数とその推定分散を示す。図5と同様の傾向を示すことが分かる。
1 車輪速度検出手段
2 制御ユニット
2a インターフェース
2b CPU
2c ROM
2d RAM
3 表示器
4 初期化ボタン
5 警報器

Claims (3)

  1. 車両の各輪に装着されたタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧の低下を検出する装置であって、
    車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段と、
    この回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報又はこの回転速度情報から演算される回転加速度情報から、当該回転速度情報又は回転加速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段と、
    推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段と、
    空気圧状態に依存しない共振ノイズのピーク周波数に共振点をもつ2次システムから得られる逆フィルタ手段と
    を備えており、前記周波数特性推定手段は、前記逆フィルタ手段によって前記共振ノイズが除去された信号に基づいて周波数特性を推定するように構成されていることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出装置。
  2. 車両の各輪に装着されたタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧の低下を検出する方法であって、
    車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する検出工程と、
    この検出工程において得られる回転速度情報又はこの回転速度情報から演算される回転加速度情報から、当該回転速度情報又は回転加速度情報の周波数特性を推定する推定工程と、
    推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定工程と、
    空気圧状態に依存しない共振ノイズのピーク周波数に共振点をもつ2次システムから得られる逆フィルタ工程と
    を含んでおり、前記推定工程は、前記逆フィルタ工程において前記共振ノイズが除去された信号に基づいて周波数特性を推定することを特徴とするタイヤ空気圧低下検出方法。
  3. 車両の各輪に装着されたタイヤの共振周波数に基づいて当該タイヤの空気圧の低下を検出するためにコンピュータを、車両の各輪のタイヤの回転速度情報を定期的に検出する回転速度情報検出手段により得られる回転速度情報又はこの回転速度情報から演算される回転加速度情報から、当該回転速度情報又は回転加速度情報の周波数特性を推定する周波数特性推定手段、推定された周波数特性に基づいて前記タイヤの空気圧の低下を判定する判定手段、及び空気圧状態に依存しない共振ノイズのピーク周波数に共振点をもつ2次システムから得られる逆フィルタ手段として機能させ、前記周波数特性推定手段は、前記逆フィルタ手段によって前記共振ノイズが除去された信号に基づいて周波数特性を推定するように構成されていることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出プログラム。
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