JP2010193765A - スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関与する一塩基多型を検出することに基づく、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクを予測する技術を提供する。
【解決手段】スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無の判定方法を提供し、被検者由来のサンプルにおいて、特定の塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程A、ならびに、工程Aで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、特定の塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程Bを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、スティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型、又は、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクが高い一塩基多型の存在の検出方法、及び該検出方法に用いるキットに関する。
スティーブンス・ジョンソン症候群は、突然に高熱を伴って全身の皮膚、眼、口腔および陰部に諸種病変が現れる症候群であり、あらゆる年齢に性差なく発症する。眼では重篤な結膜炎を生じ、角膜障害を併発した場合には次第に角膜混濁、瞼球癒着を生じ、高度の視力障害とドライアイが後遺症となる。原因として、薬物、ウイルス、自己免疫疾患が考えられている。なお、中毒性表皮壊死症はスティーブンス・ジョンソン症候群とは、皮膚所見などは異なるものの、病態的には共通のものと考えられており、眼科的所見も共通しているため、一括して論じられることが多い。従って、本明細書においては、両者をまとめて「スティーブンス・ジョンソン症候群」と記載する。また、スティーブンス・ジョンソン症候群はその発生頻度が極めて稀であることが特徴の1つである。
スティーブンス・ジョンソン症候群における眼障害に対する治療は、重症度により異なる。軽症例では、軽度の涙液分泌低下や点状表層角膜症を認めるのみが多いことから、人工涙液やヒアルロン酸製剤の投与、涙点プラグなどの処置が行われる。一方、重症例では、輪部機能不全、涙液分泌低下、睫毛乱生や眼瞼の角化・瘢痕化、マイボーム腺機能不全による眼表面の炎症や障害が繰り返し生じる。その結果、結膜侵入、新生血管侵入、眼表面上皮の角化を伴う瘢痕性角結膜上皮症の状態となり、角膜実質の混濁や眼表面の角化(皮膚化)をきたし、時に両眼とも失明状態となる。この時期に至ると、視機能の回復のためには、羊膜移植、輪部移植、培養上皮シート移植などの最新の技術を駆使した眼表面再生術が必要となるが、成功しても発症前の視力に戻ることは不可能である。涙液分泌が全くなく角膜表面が皮膚のように角化した例、および睫毛乱生や眼瞼の異常を伴う例では治療が極めて困難である。
スティーブンス・ジョンソン症候群の病態発現に少なくとも一部、遺伝的な要素が関与していることが過去の報告から明らかになっている。例えば、インターロイキン4受容体(非特許文献1参照)、トール様受容体3(非特許文献2参照)などの免疫関連遺伝子がスティーブンス・ジョンソン症候群に関連することが報告されている。これらは、スティーブンス・ジョンソン症候群と免疫異常が示唆されている背景から、見出された結果である。しかしながら、スティーブンス・ジョンソン症候群の病態が十分解明されていない現状では、これまで報告されている遺伝子以外の関連遺伝子(免疫関連分子以外も含む)の存在が予想される。
一方、一塩基多型とは、個体のゲノムの塩基配列において、一つの塩基が別の塩基に変化する置換変異が見られ、当該変異がその生物種の集団においてある程度の頻度、一般的に約1%以上の頻度で存在する。一塩基多型は遺伝子上のイントロン、エクソン、あるいはこれら以外のゲノムの領域のいずれにも存在する。
Ueta, M 他5名、 Journal of Allergy and Clinical Immunology, 2007 Vol. 120, No. 6, pp. 1457-1459. Ueta M 他6名、 British journal of ophthalmology, 2007年 Vol. 91, No. 7, pp.962-965
多くの場合、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症は、薬剤摂取が関与していると考えられている。原因薬剤としては、非ステロイド系抗炎症剤、サルファ剤、抗生剤などが多いとされているが、どのような種類の薬剤でも発症しうると考えられている。現状では、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症予測はほぼ不可能であることが課題である。
一方、前述のように、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症には遺伝的要因の関与が強く疑われているが、決定的な原因遺伝子は同定されていない。一方、単一の遺伝子の変異又は多型で疾患への関与が説明できなくとも、スティーブンス・ジョンソン症候群への関与が比較的穏やかな遺伝子の変異又は多型が多数存在する場合には、それぞれが組み合わせられて作用することによってスティーブンス・ジョンソン症候群発症への遺伝的要因の関与が説明できると考えられる。
発明者らは、スティーブンス・ジョンソン症候群に関連する遺伝子を見出すため、ゲノム上の多型、特に一塩基多型に着目した。
スティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関与する多型を見出すことにより、当該多型であってスティーブンス・ジョンソン症候群患者で頻度の高い型を有する者は、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクが高いことを予知することができる。即ち、スティーブンス・ジョンソン症候群発症リスクを知ることによりサンプル提供者はスティーブンス・ジョンソン症候群の発症予防措置を講ずることが可能であるため、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関与する多型を見出すことは、意義深い。
本発明の課題は、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関与する一塩基多型を検出することに基づく、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクを予測する技術を提供することにある。
発明者らは、スティーブンス・ジョンソン症候群患者と非患者のゲノム(常染色体)上に存在する公知の多型部位を網羅的に解析し、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型を見出し、さらに、当該一塩基多型においてスティーブンス・ジョンソン症候群患者に高頻度に認められるアレルとその対立アレル、各アレルの組み合わせであるスティーブンス・ジョンソン症候群患者に高頻度に認められる遺伝子型を見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は
〔1〕被検者由来のサンプルにおいて、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程A)、ならびに
前記工程Aで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号1〜164、165〜194、195〜240又は241〜244で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程(工程B)
を含み、
前記工程Aで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程Aで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程Aで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクが有ると判定される、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無の判定方法。
〔2〕被検者由来のサンプルにおいて、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる核酸分子における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程C1)、又は、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号245〜338で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号339〜355で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号356〜379で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号380〜381で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる塩基配列を含む核酸分子を用い、前記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程C2)、ならびに
前記工程C1又はC2で検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号1〜164、165〜194、195〜240又は241〜244で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型を含む少なくとも1つの核酸分子と比較する工程(工程D)
を含み、
前記工程C1又はC2で検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクが有ると判定される、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無の判定方法。
〔3〕HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子、及び/又は、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号245〜338で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号339〜355で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号356〜379で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号380〜381で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる塩基配列を含む核酸分子を含有する、被検者由来のサンプルにおいて前記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出するための、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無の判定キット。
〔4〕以下の工程を含む、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無の判定方法。
工程(i):被検者由来のサンプルから核酸分子を抽出する工程
工程(ii):前記工程(i)で抽出された核酸分子に対し、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される塩基配列又はこれらの相補的配列から選択される少なくとも1つの塩基配列について、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルを検出する工程
工程(iii):前記工程(ii)で検出されたアレルに基づき、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無を判定する工程
〔5〕配列番号HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型を含む核酸分子の、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの判定のための使用。
〔6〕被検者由来のサンプルにおいて、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程E)、ならびに
前記工程Eで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号1〜164、165〜194、195〜240又は241〜244で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程(工程F)
を含み、
前記工程Eで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合にスティーブンス・ジョンソン症候群であると診断され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程Eで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群であると診断され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程Eで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群であると診断される、スティーブンス・ジョンソン症候群の診断方法。
〔7〕以下の工程を含む、スティーブンス・ジョンソン症候群発症リスクの判定方法。
工程(I):〔1〕記載の判定方法を用いて、スティーブンス・ジョンソン症候群発症リスクの有無判定を行う工程
工程(II):前記工程(I)において、少なくともいずれか一つの一塩基多型について発症リスクがあると判定された場合に、さらなるリスク判定が必要であると判定される工程
工程(III):前記工程(II)において、さらなるリスク判定が必要であると判定された場合に、請求項3記載の判定方法を用いて、さらにスティーブンス・ジョンソン症候群発症リスクの有無判定を行う工程
に関する。
本発明の方法により、サンプル中に存在するゲノム由来の核酸分子に含まれる本発明の一塩基多型のアレル又は遺伝子型を分析することにより、サンプル提供者におけるスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの有無を判定し、さらには、リスクの高低を予測することができる。このリスクに基づきサンプル提供者はスティーブンス・ジョンソン症候群の予防措置を講じることができる。また、本発明の方法により、スティーブンス・ジョンソン症候群患者で高頻度に認められる一塩基多型を含むアレル又は遺伝子型をゲノムに有するスティーブンス・ジョンソン症候群の発症が疑われるサンプル提供者は、医師の指導の下、薬剤服用に十分な注意を事前に払うことができ、またスティーブンス・ジョンソン症候群が発症した場合に速やかに治療を開始することができる。
本発明は、特定の塩基配列からなる群より選択される塩基配列又はその相補的配列に含まれる少なくとも1つの一塩基多型(以下、SNPと記載することもある)を用いて、前記一塩基多型を少なくとも1つ有するアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程を含む、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクを判定する方法において、被検者由来のサンプルにおいて、前記工程により検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、特定の塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程をさらに含み、前記検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクが有ると判定される、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無の判定方法である。本発明は、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型を見出し、さらに、当該一塩基多型においてスティーブンス・ジョンソン症候群患者に高頻度に認められるアレルとその対立アレル、各アレルの組み合わせであってスティーブンス・ジョンソン症候群患者に高頻度に認められる遺伝子型を見出し、これらを用いることに大きな特徴を有する。なお、本明細書において多型とは、ある生物種におけるゲノムの特定の位置の配列に多様性が認められることを言い、多型が存在する部位(以下、多型部位ともいう)とは、一塩基多型が認められるゲノム上の部位を言う。
また、本明細書においてアレルとは、ある多型部位において取りうる、互いに異なる塩基を有するそれぞれの型を言う。本明細書において遺伝子型とは、ある多型部位において、対立するアレルの組み合わせを言う。さらに、ある多型部位において、対立するアレルの組み合わせである遺伝子型には3つの型があり、同じアレルの組み合わせをホモ型とよび、異なるアレルの組み合わせをヘテロ型とよぶ。
本明細書において、対立するアレルとは、ある一塩基多型を構成するアレルのうち、特定されたものに対応する他のアレルを言う。
本発明において、スティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型とは、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型のことを言う。即ち、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型とは、当該一塩基多型におけるそれぞれのアレル又は遺伝子型の頻度が、スティーブンス・ジョンソン症候群患者と非患者で統計学的にあるp値で有意に異なる一塩基多型を言う。
本発明において、ハイリスクアレルとは、前記スティーブンス・ジョンソン症候群と関連する一塩基多型の各アレルのうち、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において非患者群より頻度が高いアレルをいう。一方、本発明においてローリスクアレルとは、ある多型部位においてハイリスクアレルに対立するアレルをいう。
また、遺伝子型についてのホモ型及びヘテロ型は、ハイリスクアレルとローリスクアレルに関して同様に定義される。即ち、ある多型部位において、ハイリスクアレル同士又はローリスクアレル同士の組み合わせをホモ型とよび、ハイリスクアレルとローリスクアレルとの組み合わせをヘテロ型とよぶ。
スティーブンス・ジョンソン症候群患者群と非患者群のアレル頻度を統計学的に比較する態様をアレルモデルといい、遺伝子型の頻度を比較する態様を遺伝子型モデルという。なお、遺伝子型モデルには、優性遺伝モデルと劣性遺伝モデルがあり、前者はハイリスクアレルのホモ型とヘテロ型が共に発症リスクに関与する態様を意味し、後者はハイリスクアレルのホモ型が発症リスクに関与する態様を意味する。
本発明においてスティーブンス・ジョンソン症候群リスクとは、スティーブンス・ジョンソン症候群に関するリスクを言う。スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクとは、疾患感受性によって決まる将来的なスティーブンス・ジョンソン症候群発症の可能性を言う。本発明において、リスクの予測とは、将来のリスクの有無を現時点で判定し、又は、将来のリスクの大小を現時点で決定することを言う。
以下に、スティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型の同定方法を説明する。
本発明において、スティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型は、具体的に、スティーブンス・ジョンソン症候群と診断されたスティーブンス・ジョンソン症候群患者、及び、スティーブンス・ジョンソン症候群ではないと診断された非患者(対照者と記載することもある)それぞれの血液から総DNAを抽出し、ヒトゲノム上の公知の一塩基多型約50万個を指標として、個々の一塩基多型のアレル又は遺伝子型のスティーブンス・ジョンソン症候群患者及び非患者における頻度を比較することにより、候補となる一塩基多型を選択した。さらに、候補として選択された前記一塩基多型について個々の一塩基多型のアレル又は遺伝子型の頻度をスティーブンス・ジョンソン症候群患者及び非患者において取得し、頻度の差が統計学的に高い有意性で認められる一塩基多型を見出した。また、スティーブンス・ジョンソン症候群患者からなる群をスティーブンス・ジョンソン症候群患者群、非患者からなる群を非患者群とした。これらの解析により見出されたスティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型を有するアレル又は遺伝子型を用いることにより、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの有無の判定、及び発症リスクの大小の予測が可能となる。詳細は実施例の項にて説明するが、以下のような方法により、本発明で開示されたスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型を同定することができる。
(スティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型の同定)
まず、スティーブンス・ジョンソン症候群と診断された患者、及び非患者、それぞれの血液から総DNAを抽出する。血液中の総DNAは公知の任意の方法によって抽出することができるが、例えば細胞を溶解して溶出させたDNAを、シリカでコーティングした磁性ビーズの表面に結合させ、磁気を利用して分離、回収することによってDNAを抽出することができる。
抽出したDNAサンプル中の一塩基多型における塩基の種類、すなわち一塩基多型を有するアレルの同定は、例えば後述の固層化プローブを用いる方法など、任意の方法で行うことができる。その際、検出に用いるプローブは、目的とする一塩基多型及びその周辺の配列情報を基に設計することができる。設計に当たっては、dbSNPのような公知の一塩基多型のデータベースを用い、そこから得られる配列情報を参考にすることもできる。一塩基多型の検出に用いるプローブは、ゲノムのセンス鎖に相補的なプローブであっても、アンチセンス鎖に相補的なプローブであっても、いずれによっても検出できる。詳細は後述するが、ヒトのゲノム上に存在する一塩基多型を検出できるプローブを大量に固層化し、同一操作で多数の一塩基多型のアレルを決定可能なキットも市販されており、このようなキットを用いて効率よくサンプル中のアレルを決定することも可能である。また、このようなキットの多くは、一つのサンプルに含まれる対立する各々のアレルを同一操作で検出する構成になっており、遺伝子型を決定することができる。
スティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型は、前述のような方法によって、スティーブンス・ジョンソン症候群患者及び非患者由来のDNAに存在するアレルを同定しておき、各アレルの頻度及び遺伝子型の頻度をスティーブンス・ジョンソン症候群患者群対非患者群で統計学的に比較し、アレル頻度又は遺伝子型頻度の少なくとも一方に、p値がある基準によって定められた有意水準を下回るような差が生じるか否かをもって判定することができる。差が生じる場合には、これらの因子についてアレル頻度又は遺伝子型頻度をスティーブンス・ジョンソン症候群患者群と非患者群で比較し、いずれのアレル又は遺伝子型がスティーブンス・ジョンソン症候群患者群で高頻度に認められるかを決定する。
統計学的な解析には、例えばカイ二乗検定を用いることができる。また、比較を繰り返し行うことに起因する第一種の過誤は公知の補正方法、例えばボンフェローニの方法やFalse Discovery Rate (FDR)によって補正することができる。ボンフェローニの補正に基づく場合、例えば5×10-2のp値を、検定の繰り返し回数、即ち、カイ二乗検定の比較対象となる多型の個数で割って有意水準とすることができる。FDRは有意と判断した一塩基多型の中で、誤りである割合を一定に抑える手法である。FDRの1つであるBH法は、p値の小さい順にn個の一塩基多型を並び替え、有意水準(例えば5×10-2)とi/nの積(i=1〜n)より小さい一塩基多型に対し、有意と判断する(Benjamini Y et al.: J Royal Stat Soc B85 289-300, 1995、 鎌谷直之: 遺伝統計学入門、岩谷書店, 2007)。このようにして求めた有意水準を下回る一塩基多型をより好ましい一塩基多型として選択することができ、また、他の公知の多重性の補正に用いられる方法、例えばパーミューテーション法も好ましい一塩基多型の選択に用いてもよい。但し、ボンフェローニの補正は、公知の多重性の補正方法は繰り返し解析を行う事象が完全独立を前提とした方法であるため、連鎖不平衡状態にある、すなわち完全独立とは言えない一塩基多型に適用することは過剰補正となるため適切でない。一方、上述のFDR法はボンフェローニの補正法よりも非保守的であるため、完全独立でない場合に用いる方法としてはボンフェローニの補正よりも好ましい。上述のようにして見出されたスティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型の複数が連鎖不平衡状態にある場合、LDブロック内に存在する任意の一塩基多型は同様にスティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型であると考えられる。このようなLDブロックはタイピング結果を基に公知のアルゴリズムによって計算し、または、後述のGenome Browserなど公知のLDブロックを用いることができる。尚、連鎖不平衡及びLDブロックについては後述するが、簡単には、ある集団において交配による組み換えが行われているにも関わらず連鎖が保持されている状態を連鎖不平衡と呼び、連鎖が保持されている単位をハプロタイプブロック又はLDブロックと呼ぶ。
さらに、このようなLDブロック内の一塩基多型を詳細に解析するために二次解析(ファイン・マッピング解析)を行うことができる。
二次解析の方法は、LDブロック内の一塩基多型を詳細に解析できるものであれば一次解析と同じでも異なっていても良く、一塩基多型と疾患の関連を解析する方法であればいかなるものでも用いられる。解析に用いる検体は、一次解析と二次解析で同じであっても異なっても良く、一次解析の検体にさらに検体を追加して二次解析に用いても良い。LDブロック内の一塩基多型は連鎖不平衡状態にあることから、二次解析において、スティーブンス・ジョンソン症候群と関連する一塩基多型を選択する際の有意水準は多重性を考慮する必要はなく、その選択には、例えばカイ二乗検定におけるp値が0.05以下のものなどの一般的な有意水準が用いられる。一方で、LDブロック内の一塩基多型のうち、よりp値が低いもの、例えばp値が0.01以下のもの、より好ましくはp値が0.005以下のものを選択することにより、LDブロック内の一塩基多型のうち、より関連の高い特に好ましい一塩基多型を見出すことができる。
本発明においては、スティーブンス・ジョンソン症候群との関連が認められる一塩基多型を2段階で解析している。すなわち、全ゲノムに亘る一塩基多型の解析によってスティーブンス・ジョンソン症候群との関連が認められる一塩基多型を見出す第1段階の解析においては、FDR法による有意水準の調整を行った。具体的には、p値の小さい順にn個の一塩基多型を並び替え、有意水準(例えば5×10-2)とi/nの積(i=1〜n)より小さいp値を示した一塩基多型を有意とした。このようにして見出されたスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型は4つのLDブロックに局在していたことから、前記4つのLDブロック内でさらに疾患と関連する一塩基多型を詳細に解析するための二次解析 (ファインマッピング解析)においては、有意水準の補正を行うことは著しい過剰補正になると考えられる。よって、二次解析では多重性の補正は行わず、カイ二乗検定におけるp値が0.05以下のものをスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型とした。
解析にあたり、信頼性の高い結果を得るためには、十分な数の一塩基多型を解析することが望ましい。例えば全サンプルに対する各一塩基多型の判定率、すなわちコールレートが低い多型部位はタイピングエラーが発生している率が高く、信頼性が高くない。このため、コールレートが十分に高い一塩基多型部位を用いて解析することが望ましい。一塩基多型の採否の基準とするコールレートとしては、例えば好ましくは70%、より好ましくは75%、さらに好ましくは80%、さらに好ましくは85%、さらに好ましくは90%以上のコールレートを示す一塩基多型を採用することが望ましい。
その他、解析に際し考慮され得る因子としては、ハーディー・ワインバーグ平衡とマイナーアレル頻度がある。
ハーディー・ワインバーグ平衡とは、変異や淘汰圧がなく、任意交配により形成された十分な個体数を持つ遺伝的に均一な集団においては、ある遺伝子座における各対立遺伝子の分布頻度は世代を重ねても一定であることを言う。ハーディー・ワインバーグ平衡が成立しているか否かは、いくつかの公知の方法、例えばカイ二乗検定やフィッシャーの直接確率計算法によって確認することができる。十分な数の集団では、1回の任意交配によってハーディー・ワインバーグ平衡が成立する、すなわち、近親交配が存在しない限りハーディー・ワインバーグ平衡は成立していると考えられる。このため、一般的には、母集団におけるハーディー・ワインバーグ平衡の成立を前提に、標本の遺伝子型判定のエラーを検出する目的でハーディー・ワインバーグ平衡の検討が用いられる。しかし、全体としてハーディー・ワインバーグ平衡が成立していたとしても、ある遺伝子座において疾患群又は対照群において特定の遺伝子型が偏って存在する場合、例えば、特定の遺伝子型が疾患に対して支配的な影響を有する場合などがあるため、疾患関連遺伝子の探索を行う場合には、本検討を省略することも可能である。
マイナーアレル頻度とは、2つのアレルに含まれる一塩基多型の場合では、2つのアレルの頻度の内、頻度が低い方のアレルの頻度のことを言う。閾値は任意に設定することが可能である。前述のように一塩基多型の概念は、マイナーアレル頻度が約1%を上回るものであるから、マイナーアレル頻度が1%を下回る一塩基多型は棄却することが望ましい。一方、疾患群においてアレル頻度が極めて高い、又は極めて低いアレルは疾患に対して支配的な影響を持つ可能性がある。多因子疾患の原因となる多型の探索においては疾患への相対的な関与が比較的低い多型が複数個関与していると考えられることから、このような多型を探索する目的では、一定以下の頻度、例えば5%未満のマイナーアレルを除外して解析することも望ましい手段となり得る。逆に、疾患に支配的影響を有する多型の探索を行うには、マイナーアレル頻度による棄却を行わないことも有効である。
このようにして得たスティーブンス・ジョンソン症候群に関連するアレル型又は遺伝子型は、Genbankのような公知配列のデータベース、又は、dbSNPのような公知一塩基多型のデータベースを参照することにより、その一塩基多型が存在するゲノム上の位置、配列情報、一塩基多型が存在する遺伝子又は近傍に存在する遺伝子、遺伝子上に存在する場合にはイントロン又はエクソンの区別やその機能、他の生物種における相同遺伝子などの情報を得ることができ、これらの情報を元に本発明において用いる核酸分子を取得し、本発明に用いるプローブなどを設計することができる。
このようにして決定されたスティーブンス・ジョンソン症候群と関連する一塩基多型においてリスクの有無を判断する基準として、ハイリスクアレルが定義される。前述のように、本発明において、ハイリスクアレルとは、スティーブンス・ジョンソン症候群と関連する一塩基多型の各アレルのうち、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において非患者群より頻度が高いアレルをいい、本発明においてローリスクアレルとは、ある多型部位においてハイリスクアレルに対立するアレルをいう。
発症リスクの有無の判定は、アレル又は遺伝子型によって行うことができる。
アレルによって判定を行う場合、ハイリスクアレルを持つことにより、当該一塩基多型について発症リスクを有すると判断される。
遺伝子型によって判定を行う場合には、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従うか、又は劣性遺伝モデルに従うかを考慮して発症リスクが判断される。ある多型部位において、ハイリスクアレルのホモ型とヘテロ型の頻度が非患者群に比べてスティーブンス・ジョンソン症候群患者群において有意に高い場合、これらの遺伝子型は優性遺伝モデルに従うという。ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型の場合に当該一塩基多型について発症リスクを有すると判断される。一方、ハイリスクアレルのホモ型の頻度が非患者群に比べてスティーブンス・ジョンソン症候群患者群において有意に高い場合、これらの遺伝子型は劣性遺伝モデルに従うという。ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型の場合に当該一塩基多型について発症リスクを有すると判断される。
発症リスクの有無の判定は、ローリスクアレルによっても行うことができる。前述のようにローリスクアレルは、ハイリスクアレルに対立するアレルであり、即ち、非患者群において高頻度に認められるアレルである。アレルによって判定を行う場合、ローリスクアレルを持たないことにより、当該一塩基多型について発症リスクを有すると判断される。
遺伝子型の場合も同様に考えられる。遺伝子型によって判定を行う場合には、ローリスクアレルが優性遺伝モデルに従うか、又は劣性遺伝モデルに従うかを考慮して発症リスクが判断される。ある多型部位において、ローリスクアレルのホモ型とヘテロ型の頻度がスティーブンス・ジョンソン症候群患者群に比べて非患者群において有意に高い場合、これらの遺伝子型は優性遺伝モデルに従うという。ローリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合には、ローリスクアレルがホモ型又はヘテロ型でない場合に当該一塩基多型について発症リスクを有すると判断される。一方、ローリスクアレルのホモ型の頻度がスティーブンス・ジョンソン症候群患者群に比べて非患者群において有意に高い場合、これらの遺伝子型は劣性遺伝モデルに従うという。ローリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、ローリスクアレルのホモ型でない場合に当該一塩基多型について発症リスクを有すると判断される。
アレル、優性遺伝モデル、劣性遺伝モデルのいずれの手法を用いて判定を行うかは、有意であると判断されたp値が求められた手法と同じ手法を用いることができる。有意であると判断されたp値が求められた手法が1つの一塩基多型について複数存在する場合には、いずれを用いても良いが、好ましくは最も低いp値が計算された手法と同じ手法を用いる。
一般に、疾患と関連する一塩基多型において、一方のアレル又は遺伝子型と疾患の有無の間にどの程度強い関連が存在するかの指標として、相対危険度又はオッズ比が用いられる。
一般に相対危険度(relative risk)とは、危険因子を持つ群での発症率と危険因子を持たない群での発症率の比である。一方、オッズ比とは、一般に患者群における危険因子を持つ人の割合と持たない人の割合の比、即ちオッズを、非患者群において同様に求めたオッズで除したものであり、本発明のようなケース・コントロール研究において用いられることが多い。本発明においてオッズ比はアレル頻度と遺伝子型頻度に基づいて求められる。即ち、発症に関連する一塩基多型のオッズ比とは、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群における、あるアレル又は遺伝子型の頻度と他のアレル又は遺伝子型の頻度の比を、非患者群において同様にして得られる頻度の比で除したものである。本発明においては、これらの指標により、あるアレル又は遺伝子型を有すると、それ以外のアレル又は遺伝子型を有する場合に比べて、スティーブンス・ジョンソン症候群が発症するリスクがどの程度増加するかを予測することができる。例えば、ある一塩基多型の特定のアレルのオッズ比が1より大きい場合には、当該アレルはスティーブンス・ジョンソン症候群患者群において高頻度に認められるアレルであり、オッズ比が大きいほど当該アレルを有するサンプル提供者のスティーブンス・ジョンソン症候群発症のリスクは高い。一方、アレルのオッズ比が1より小さい場合には、当該アレルは疾患において高頻度に認められるアレルの対立アレルであり、オッズ比が小さいほど当該アレルを有するサンプル提供者のスティーブンス・ジョンソン症候群発症のリスクは低い。遺伝子型についても同様に疾患のリスクを予測することができる。
本発明において、ハイリスクアレルを基準にオッズ比を求めることにより、オッズ比の値が常に1より大となる。このようにハイリスクアレルを持つ場合に1より大になるようにオッズ比を定義することにより、複数の一塩基多型を組み合わせてリスク予測することが容易になる。
詳細は実施例の項にて数式で示されるが、アレルについてオッズ比を求める場合、オッズ比はスティーブンス・ジョンソン症候群患者群におけるハイリスクアレルの頻度とローリスクアレルの頻度の比を、非患者群におけるハイリスクアレルの頻度とローリスクアレルの頻度の比で除したものとして求めればよい。遺伝子型におけるオッズ比を求めるには、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従うか、又は劣性遺伝モデルに従うかを考慮してオッズ比が求められる。即ち、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型及びヘテロ型が危険因子となり、ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型が危険因子となる。よって、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合のオッズ比は、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群におけるハイリスクアレルのホモ型の頻度とヘテロ型の頻度の和を求め、前記の和とローリスクアレルのホモ型の頻度の比を、非患者群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群における、ローリスクアレルのホモ型の頻度とヘテロ型の頻度の和を求め、ハイリスクアレルのホモ型の頻度と前記和の比を、非患者群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。
また、本発明の一塩基多型の組み合わせによってスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクを予測する場合にも、オッズ比の大小を用いてそのリスクの大小を予測することができる。
アレルによるオッズ比は、以下の式により、2つ以上の一塩基多型を組み合わせた際のオッズ比を求めることができる。
(RA1combRA2comb)/(RA3combRA4comb)
ただし、
RA1comb:スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において、少なくとも一つのアレルがハイリスクアレルである場合のアレル頻度
RA2comb:スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において、いずれのアレルもローリスクアレルである場合のアレル頻度
RA3comb:非患者群において、RA1combに対応するアレル頻度
RA4comb:非患者群において、いずれのアレルもローリスクアレルである場合のアレル頻度
例えば、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクに関連する2つの一塩基多型を組み合わせる場合を考えると、それぞれの一塩基多型のハイリスクアレルを共に保有する、又は、いずれか一つを保有するスティーブンス・ジョンソン症候群患者群の頻度を、いずれのハイリスクアレルも保有しないスティーブンス・ジョンソン症候群患者群の頻度で除することでオッズが求められる。同様に求めた非患者群におけるオッズとの比を算出することにより、一塩基多型の組み合わせの場合のオッズ比を求めることができる。
遺伝子型の場合の組み合わせによるオッズ比を求めるには、単独の場合と同様に、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従うか、あるいは劣性遺伝モデルに従うかを考慮してオッズ比が求められる。
優性遺伝モデルによるオッズ比は、以下の式により、2つ以上の一塩基多型を組み合わせた際のオッズ比を求めることができる。
(RGd1combRGd2comb)/(RGd3combRGd4comb)
ただし、
RGd1comb:スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において、少なくとも一つの遺伝子型がハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型の頻度
RGd2comb:スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻度
RGd3comb:非患者群において、RGd1combに対応する遺伝子型の頻度
RGd4comb:非患者群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻度
例えば、2つの一塩基多型のハイリスクアレルが共に優性遺伝モデルに従う場合のオッズ比は、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において、2つの一塩基多型のいずれかがハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型である頻度と2つの一塩基多型のローリスクアレルが共にホモ型である頻度の比を、非患者群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。
劣性遺伝モデルによるオッズ比は、以下の式により、2つ以上の一塩基多型を組み合わせた際のオッズ比を求めることができる。
(RGr1combRGr2comb)/(RGr3combRGr4comb)
ただし、
RGr1comb:スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において、少なくとも一つの遺伝子型がハイリスクアレルのホモ型の頻度
RGr2comb:スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻度
RGr3comb:非患者群において、RGr1combに対応する遺伝子型の頻度
RGr4comb:非患者群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻度
例えば、2つの一塩基多型のハイリスクアレルが共に劣性遺伝モデルに従う場合のオッズ比は、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において、2つの一塩基多型のいずれかのハイリスクアレルがホモ型である頻度と2つの一塩基多型のローリスクアレルが共にホモ型である遺伝子型の頻度の比を、非患者群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。なお、一塩基多型の組み合わせのオッズ比は、異なる遺伝形式を持つ一塩基多型を組み合わせて算出することもできる。
一般に、2つ以上の一塩基多型を組み合わせることにより、これらを単独で用いた場合に比べてオッズ比は増加する。したがって、2つ以上の一塩基多型の組み合わせにより、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクのより高いサンプル提供者を同定することとなり、一塩基多型を単独で用いた場合に比べて予測精度の向上が可能となる。
また、十分に遺伝的に近い場所に存在する一塩基多型部位同士は独立に遺伝するのではなく、連鎖して遺伝することがある。ある集団において、交配による組み換えが行われているにも関わらずこのような連鎖が保持されている状態を連鎖不平衡と呼び、連鎖が保持されている単位をハプロタイプブロック又はLDブロックと呼ぶ。
本発明者らの実験結果では、スティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型は、実際にゲノム上の比較的近傍に集中して存在することが見出されている。これらの領域はスティーブンス・ジョンソン症候群に関連するLDブロックに属していると考えられる。スティーブンス・ジョンソン症候群に関連するLDブロックを決定するためには、その領域に存在する一塩基多型をなるべく多数前述の方法にて解析し、LDブロックを決定するためのアルゴリズム、例えばEMアルゴリズムを適用することによって決定できる。又は、公知のLDブロックに本発明のスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型が属している場合、そのLDブロックをスティーブンス・ジョンソン症候群に関連するLDブロックとすることができる。公知のLDブロックは、カルフォルニア大学サンタクルーズ校がインターネットのウェブ上で提供するGenome Browserなどで閲覧することができる。
スティーブンス・ジョンソン症候群に関連するLDブロックに属する一塩基多型は、本発明者らの実験によって同定されたスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型と連鎖平衡状態にあることから、同様にスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型と考えられ、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症の予測に用いられる。また、スティーブンス・ジョンソン症候群に関連するLDブロック内、又は、本発明者らの実験によって同定されたスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型の周辺の配列を再決定することにより、当該一塩基多型と連鎖する、即ちスティーブンス・ジョンソン症候群の発症と関連する未知の一塩基多型が見出される可能性もある。見出された一塩基多型が実際にスティーブンス・ジョンソン症候群の発症と関連するか否かは、これまでの説明と同様にそのアレル又は遺伝子型の頻度を疾患群と対照群で比較することにより判定することができる。
本発明において、イントロン型一塩基多型(iSNP)とはイントロンに一塩基多型が認められることをいう。翻訳領域型一塩基多型(cSNP)とは、タンパクに翻訳される領域に一塩基多型が存在するもののうち、当該一塩基多型を含むコドンが他のアミノ酸をコードするコドンや終止コドンに変異するなど、アミノ酸配列に変化を伴うものをいう。サイレント型一塩基多型(sSNP)とは、翻訳領域に一塩基多型が認められるもののうち、アミノ酸配列の変化を伴わないものをいう。ゲノム型一塩基多型(gSNP)とは、ゲノム上の遺伝子をコードしない領域に一塩基多型が存在することをいう。転写調節型多型(rSNP)とは、転写調節に関与すると考えられる部位に存在する一塩基多型をいう。
このように、一塩基多型はゲノム上のどのような位置にも存在することがあり、いずれの場合も疾患との関連を有し得る。イントロン又は非翻訳領域に一塩基多型が存在する場合は、遺伝子発現制御に影響する場合や、遺伝子の転写後に起こるスプライシングやmRNAの安定性に影響することがある。翻訳領域に一塩基多型が存在する場合は、その塩基の置換によってあるアミノ酸に対応するするコドンが別のアミノ酸に対応するコドンに変化する、又は、終止コドンに変化するなどの変化が生じ、これによってコードされるタンパク質の構造に変化が生じることがある。これらの変化によって遺伝子の発現量や機能、ひいては当該遺伝子がコードするタンパクの発現量又は機能に変化が生じ、種々の疾患の原因になり得る。ゲノム型一塩基多型が疾患と関連する場合は、当該多型部位を含む領域が実際には翻訳され、他の遺伝子の発現に何らかの影響を及ぼしている可能性がある。サイレント型一塩基多型が疾患と関連している場合、その一塩基多型の周辺に疾患と関連する別の多型が存在し、当該多型とサイレント型一塩基多型が連鎖している場合に疾患との関連が認められることが考えられる。同様に、サイレント型一塩基多型以外の一塩基多型であっても、当該一塩基多型自体は直接的なスティーブンス・ジョンソン症候群の原因ではなく、周辺に存在するスティーブンス・ジョンソン症候群の真の原因である多型と連鎖している場合にも、これらの一塩基多型とスティーブンス・ジョンソン症候群の関連が認められることがある。このような場合には、後述のように、本発明の一塩基多型の周辺を再シークエンスすることによって、スティーブンス・ジョンソン症候群の原因である多型を見出すこともできる。しかしながら、疾患の真の原因となるか否かに関わらず、いずれの場合も、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクを予測する目的でこれらの一塩基多型を使用することができる。
(スティーブンス・ジョンソン症候群に関連するアレルを含む核酸分子)
本発明のある態様では、スティーブンス・ジョンソン症候群と関連する一塩基多型を含む核酸分子、及び、スティーブンス・ジョンソン症候群と関連する一塩基多型を含む核酸分子に相補的な配列を有する核酸分子が提供される。
これらのスティーブンス・ジョンソン症候群と関連する一塩基多型を含む核酸分子又は当該核酸分子に相補的な配列を有する核酸分子はスティーブンス・ジョンソン症候群発症リスクの高低を判定するマーカーとして用いることが出来る。さらにこれらの核酸分子は、当該一塩基多型における、スティーブンス・ジョンソン症候群患者において高頻度に認められるアレル若しくはその対立アレルを検出し、又は、遺伝子型を決定するためのプローブとして用いることができる。また、当該一塩基多型がエクソン上又はその近傍に存在する場合には、これらの核酸分子は遺伝子の転写物の検出に用いることができる。
真核生物のゲノムを構成する核酸分子はセンス鎖と、センス鎖に相補的なアンチセンス鎖の二重鎖で構成されている。即ち、一塩基多型もセンス鎖とアンチセンス鎖に存在しており、いずれの鎖の一塩基多型を検出することも同じ意味を持つから、本発明の核酸分子はこれらのいずれをも含む。
後述の表1〜4に記載された一塩基多型のいずれかを含む核酸分子、及び、HPSE2、NT5E、EP3、LOC440057の各遺伝子座上またはその近傍に存在し本発明の一塩基多型と連鎖不平衡状態にある任意の一塩基多型を含む核酸分子、ならびに、これらの核酸分子に相補的な核酸分子は全て本発明の核酸分子に含まれる。ここで、表1、表2、表3、表4はそれぞれHPSE2, NT5E, EP3, LOC440057の各遺伝子座またはその近傍に存在するLDブロックに属する一塩基多型のリストである。本明細書において、近傍とは、遺伝子座の近傍を意味し、好ましくはそれぞれのLDブロックに属する本発明の一塩基多型のうち、その物理的位置が上流側末端に位置する一塩基多型と下流側末端に位置する一塩基多型によって挟まれる領域であって、遺伝子座上でないものを言う。
本発明のある態様では、好ましくは、本発明の核酸分子は、後述の表1〜4に記載された一塩基多型を含む核酸分子又はその相補的な核酸分子であり、かつ、当該一塩基多型がgSNPの場合には、センス鎖の上流側の公知の一塩基多型の次の塩基から下流側の公知の一塩基多型の一塩基前の塩基までの配列からなる核酸分子又はその相補的配列からなる核酸分子であり、当該一塩基多型がiSNP、sSNP又はcSNPの場合には、当該一塩基多型を含むゲノム上の遺伝子全長からなる核酸分子、その相補的配列からなる核酸分子、当該一塩基多型を含む相補DNA(cDNA)分子又はその相補的配列からなる核酸分子であり、当該一塩基多型がrSNPの場合には、センス鎖の上流側の公知の一塩基多型の次の塩基から、当該一塩基多型が存在するプロモーター領域の下流に存在する遺伝子全長からなる核酸分子又はその相補的配列からなる核酸分子である。
本発明における核酸分子は、デオキシリボ核酸、リボ核酸、又は、ペプチド核酸であるかを問わず、これらの混合配列を含む核酸分子もまた本発明に含まれる。本発明の核酸分子にリボ核酸を用いる場合には、本発明の核酸分子の配列(相補的配列を含む)において、チミンはウラシルに読み替えてもよいものとする。また、これらの核酸分子に、本発明に用いるための機能を損なわない範囲で、必要に応じ化学修飾を施すことができる。この場合の機能とは、核酸分子を使用する目的を達成する機能を言う。
本発明における核酸分子は、本明細書に開示された配列情報、又は、本明細書に開示された情報をデータベースで検索して得られる配列情報に基づき、公知の方法、例えばホスホロアミダイト法を用いて合成することができる。市販のDNA合成機を用いて合成することも可能である。また、本発明の核酸分子はヒト由来のDNAを含むサンプルから、PCR法などの公知の方法により、又は、一部の核酸分子についてはヒト由来のRNAを含むサンプルから、RT-PCR法などの公知の方法により取得することができる。取得に必要なプライマーは当業者であれば本明細書に開示された配列情報、又は、本明細書に開示されたデータベースのIDから検索可能な配列情報に基づき設計することができる。例えばPCR法を用いる場合には、目的とする核酸分子の一部の配列と相同な配列を有するような約10〜30塩基のプライマーが使用可能であり、RT-PCR法を用いる場合には、オリゴdTプライマー、又はランダムヘキサマーなどを用い、逆転写反応を行ってcDNAを作成し、当該cDNA中の目的の配列を前述のPCR法で増幅することによって得ることができる。
核酸分子は、好ましくは16〜55塩基、より好ましくは23〜27塩基又は47〜53塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含む核酸分子であることが望ましい。
スティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型を含む核酸分子を選択する場合、公知の多重性の補正方法を用いて有意水準を調整することができる。本発明における核酸分子は、例えば50万個の核酸分子が1回の操作で検出されるマイクロアレイを用い1回の解析で得られた結果に基づく場合、例えばFDRを用いてp値の小さい順にn個の一塩基多型を並び替え、有意水準(例えば0.05)とi/nの積(i=1〜n)より小さい核酸分子を選択することができる。
好ましい核酸分子を選択する別の手段としては、公知の多重性の補正方法によって有意水準を設定し、好ましい核酸分子を選択することができる。例えば、ボンフェローニの補正に基づく場合、5×10-2のp値を、検定の繰り返し回数、即ち、カイ二乗検定の比較対象となる多型の個数で割って有意水準とすることができる。このようにして求めた有意水準を下回る一塩基多型を持つ核酸分子をより好ましい核酸分子として選択してもよい。他の公知の多重性の補正に用いられる方法、例えばパーミューテーション法を好ましい核酸分子の選択に用いてもよい。
このようにして見出されたスティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型を持つ核酸分子の複数が連鎖不平衡状態にある場合、LDブロック内に存在する任意の一塩基多型を持つ核酸分子は同様にスティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型を持つ核酸分子であると考えられる。LDブロックはタイピング結果を基に公知のアルゴリズムによって計算し、または、上述のGenome Browserなど公知のLDブロックを用いることができる。
さらに、このようなLDブロック内の一塩基多型を詳細に解析するために二次解析を行うことができる。
二次解析の方法は、LDブロック内の一塩基多型を詳細に解析できるものであれば一次解析と同じでも異なっていても良く、一塩基多型と疾患の関連を解析する方法であればいかなるものでも用いられる。用いる検体は、一次解析と二次解析で同じであっても異なっていても良く、一次解析の検体にさらに検体を追加して二次解析に用いても良い。LDブロック内の一塩基多型は連鎖不平衡状態にあるため、二次解析において、スティーブンス・ジョンソン症候群と関連する一塩基多型を持つ核酸分子を選択する際の有意水準は多重性を考慮する必要はなく、その選択には、例えばカイ二乗検定におけるp値が0.05以下のものなどの一般的な有意水準が用いられる。一方で、LDブロック内の一塩基多型を持つ核酸分子のうち、よりp値が低いもの、例えばp値が0.01以下のもの、より好ましくはp値が0.005以下のものを選択することにより、LDブロック内の一塩基多型を持つ核酸分子のうち、より関連の高い特に好ましいものを見出すことができる。
本発明のスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型を含む核酸分子は、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子であり、中でも表1〜4に記載された二次解析におけるp値が0.01以下、好ましくは0.005以下である一塩基多型を含む核酸分子が望ましい。
また、これらの一塩基多型を含む核酸分子の中でも、それぞれの多型部位におけるハイリスクアレルを含む核酸分子が好ましい。
(スティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型の検出方法及びスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測方法)
本発明の別の態様では、ゲノム由来の核酸分子を含むサンプル中に、スティーブンス・ジョンソン症候群患者において頻度が高いアレル又は遺伝子型を有するか否かの検出方法が提供される。サンプルとしては、ゲノム由来の核酸分子を抽出可能なものであれば何でも良いが、例えば、血液、白血球、毛根、毛髪、唾液、口腔粘膜細胞、皮膚、生検によって得た筋肉又は臓器などの組織等が用いられる。
前述のように、真核生物のゲノムを構成する核酸分子は互いに相補的なセンス鎖とアンチセンス鎖で構成されており、本発明の一塩基多型のアレルの決定は、当該多型部位のセンス鎖、アンチセンス鎖のいずれの塩基を検出することによっても行うことができる。
前述のように、核酸分子を含むサンプル中に当該アレル又は遺伝子型が含まれるか否かの判定方法は如何なるものでも用いうるが、例えば本発明で開示された配列情報に基づき設計した、各アレルに特異的なプローブ、好ましくは後述の本発明のプローブを用いてハイブリダイズし、そのシグナルを検出することによりそれぞれのアレルを検出することができる。また、対立する各々のアレル、即ち、ある一塩基多型について疾患との関連が高いアレル及び低いアレルにそれぞれ異なる標識を施し、それらを多型部位にハイブリダイズさせるプローブ又は、対立する各々のアレルを固層化したマイクロアレイなどの固層化プローブを用いることにより、同一サンプルに含まれる対立する各々のアレルを検出することができる。このような構成では、サンプルのアレルのみならず遺伝子型を決定することも可能である。また、対立する各々のアレルを同一担体上に固層化したマイクロアレイなどの固層化プローブを用いる場合には、同一操作でハイブリダイズを行い、同一操作で検出する構成とすることもできる。
その他の本発明の一塩基多型を検出する方法としては、次のようなものが利用可能である。プローブを用いてハイブリダイズする方法の例としてはタックマン法、インベーダー(Invader (登録商標))法、ライトサイクラー法、サイクリンプローブ法、MPSS法、ビーズアレイ法などがあり、これらのいずれも用い得る。同一のアレルを検出するためのプローブであっても、検出に用いる方法によってより好ましいプローブが異なる場合がある。本発明の一塩基多型のアレル又は遺伝子型の判定は検出方法に依存しないが、検出方法に応じて適するプローブを使用することが望ましい。
タックマン法とは、5'側に蛍光物質を結合させ、その3'側には消光物質を結合させた任意の長さのオリゴプローブを用いることにより遺伝子多型を検出する方法である。目的とする多型を有する核酸分子にプローブがハイブリダイズし、PCR反応により5'側のプローブの一部が切り離され、蛍光物質が発する蛍光量を測定することにより多型の有無を判定する。
インベーダー法とは、多型を有する核酸分子の3'側と共通配列を有するが、5'側の配列が全く異なっているプローブ(レポーター)と、5'側の共通配列のみを有するプローブ(インベーダー)を用いて遺伝子多型を検出する方法である。目的とする核酸分子とこれらの2本のプローブをハイブリダイズさせた後、ヌクレアーゼで処理し、切り出されたレポータープローブの一部が蛍光物質と消光物質を有する検出用プローブとハイブリダイズした後にヌクレアーゼで処理すると、蛍光物質が遊離するので、この蛍光量により多型の有無を判定する。
ライトサイクラー法とは、蛍光物質を有する多型検出プローブ及び消光物質を有するアンカープローブを、あらかじめPCRで増幅した多型を有する核酸分子にハイブリダイズさせることにより多型を検出する方法である。ハイブリダイズしたDNAに徐々に熱を加えていくと、ある一定の温度になると多型検出プローブが遊離するので、この蛍光量を測定することにより多型の有無を判定する。
サイクリンプローブ法とは、目的とする核酸分子の多型部位と相補な配列を持つRNA配列の両端を挟むようにDNA配列を結合させ、それぞれのDNA端に蛍光物質又は消光物質を有するプローブ(DRDプローブ)を利用した多型解析法である。あらかじめPCRなどで増幅した目的とする核酸分子にDRDプローブをハイブリダイズさせ、この複合体にRNaseを作用させると蛍光色素が遊離するので、この蛍光量を測定することにより多型の有無を判定する。
MPSS法とは、エンコードアダプター及びデコーダープローブを用いて多型解析を行う方法である。エンコードアダプタープローブとは、5'側に4塩基の突出末端、それに続いて制限酵素であるBbvIの認識配列、ならびに3'側にデコーダープローブが結合する一本鎖配列を有するオリゴDNAである。一方、デコーダープローブは、3'側に蛍光物質を有する一本鎖オリゴDNAであり、4種類の異なる配列からなり、各配列が一つのエンコードアダプタープローブと特異的にハイブリダイズする。多型を有する核酸分子をビーズに固定しておき、BbvIの認識配列を含む開始アダプターを結合させ、BbvIで4塩基突出末端となるよう消化する。突出した4塩基の3'末端から順次エンコードアダプタープローブとライゲーションし、結合したエンコードアダプターの配列を特定のデコーダープローブで検出する。
ビーズアレイ法とは、アレル検出用プローブ、及び、アレル検出用プローブにより検出されるシグナルのアレイ上の位置情報を特定するオリゴヌクレオチド(アドレス配列)が結合したビーズを組み合わせて遺伝子型判定を行う方法である。例えば、イルミナ社のアドレス配列(23塩基)のみが固定されたビーズを使用するゴールデンゲートアッセイ、及び、アドレス配列(30塩基)にアレル検出用のプローブ(50塩基)が結合したビーズを使用するInfinium(登録商標)アッセイがある。いずれの方法においても、アドレス配列を基に、アレイ上に任意に配置されたそれぞれのビーズに対して、アレル検出用のプローブがアレイ上のどの位置に結合しているのかを知ることができる。
ゴールデンゲートアッセイの方法を以下に示す。一塩基多型の検出には、各アレルに特異的にハイブリダイズする2種のプローブ(アレル特異的プローブ)、及び一塩基多型の3'側の1〜20塩基下流の配列に特異的にハイブリダイズするプローブ(下流配列認識プローブ)を用いる。下流配列認識プローブには、アレイ上の位置特定用のアドレス配列が付与されている。また、これらの3つのプローブには後述するユニバーサルプライマーが結合する配列が含まれている。3つのプローブをゲノムDNAにアニーリングさせた後、DNAポリメラーゼとリガーゼを添加する。伸長反応とライゲーション反応により、アレル特異的プローブと下流配列認識プローブ間のギャップを連結するアレル特異的な産物が生成される。このアレル特異的産物を鋳型とし、各アレルに特異的な2種の蛍光標識ユニバーサルプライマーと下流配列認識プローブに結合するユニバーサルプライマーを用いてPCR反応を行う。標識されたPCR産物をビーズ上に固定されたオリゴヌクレオチドとアドレス配列を介してハイブリダイズする。ビーズ上の蛍光を共焦点レーザースキャナーで検出することによりアレルと遺伝子型の判定を行う。
Infiniumアッセイの方法を以下に示す。後述するイルミナ社のアレイ[イルミナ社 アイセレクト ジェノタイピング ビーズチップ(iSelectTMGenotyping BeadChip)]は本手法に従っている。本アレイによるアレルの検出には2つの方法が存在する。1つ目の方法には、3'末端が一塩基多型を検出する部位である3'末端の塩基のみ異なる2種のプローブ(50塩基のアレル検出用プローブ、Infinium Iタイプ)を用いる。あらかじめ、ゲノムDNAの全ゲノム増幅を行い、酵素による断片化を行う。プローブと断片化ゲノムDNAのハイブリダイズ後、アレル特異的伸長反応が起こり、1種類の蛍光色素で標識された多型部位の1塩基分下流(3'側)の塩基がプローブに対応して取り込まれる。もう一つの方法には、プローブ内に一塩基多型のアレル特異的な配列を持たない1種のプローブを用いる(50塩基のアレル検出用プローブ、Infinium IIタイプ)。このプローブの3'末端は多型部位から1塩基分上流(5'側)までの配列になっている。プローブと断片化ゲノムDNAをハイブリダイズさせ、一塩基伸長反応により、2種類の蛍光色素のいずれかで標識された塩基が目的とする一塩基多型部位に対応して取り込まれる。どちらの方法でも、蛍光を共焦点レーザースキャナーで検出することによりアレルと遺伝子型の判定を行う。
なお、上記のハイブリダイズ方法で用いられるプローブの長さや修飾などの特性の詳細については後述する。
また、プローブによるハイブリダイズを行わない方法としては、PCR-RFLP法、SSCP法、質量分析法及びダイレクトシークエンス法が挙げられる。
PCR-RFLP法とは、多型を有する核酸分子において、多型が制限酵素の切断部位に存在するため、酵素消化により異なるDNA断片が生成され、その電気泳動パターンの違いから多型の有無を判定する方法である。目的とする核酸分子をPCRにて増幅し、この増幅断片を制限酵素で切断して、電気泳動で生成した断片を解析する。増幅される多型を含む核酸分子の長さは、通常、50〜10,000塩基対であり、好ましくは100〜1,000塩基対である。
SSCP法とは、多型を有する核酸分子をPCRで増幅し、一本鎖DNAにした後、電気泳動を行い、その電気泳動パターンの違いから多型の有無を判定する方法である。目的とする核酸分子をPCRにて増幅し、この増幅断片を熱やアルカリ処理により一本鎖DNAにする。この一本鎖DNAは塩基配列特異的な高次構造を形成するため、これらの増幅断片を電気泳動すると、その構造の違いにより電気泳動度に差が見られる。PCRに使用するプライマーは、放射性同位元素又は蛍光物質で標識されている。また、増幅される多型を含む核酸分子の長さは、通常、50〜10,000塩基対であり、好ましくは100〜1,000塩基対である。
質量分析法とは、高分子をマトリクスとレーザーなどでイオン化し、高電界場の中を加速して検出器まで飛行させ、その飛行時間の違いなどにより質量を同定する方法である。この質量分析法を、上記のプライマーエクステンション法などと組み合わせて多型を検出する。具体的には、多型を有する核酸分子の多型部位の一塩基上流までの配列と相補的なプライマー、4種のジデオキシリボヌクレオチドのいずれか、及び、それに対応するもの以外のデオキシリボ核酸を用いて一塩基の伸長反応を行い、3'末端に取り込まれた配列の異なる核酸生成物の質量の違いを測定することにより多型を同定することができる。
ダイレクトシークエンス法とは、多型を有する核酸分子の塩基配列を直接読み取る方法である。代表的な方法は、サンガー法(ジデオキシ法)と呼ばれる。無標識、又は、放射性同位元素若しくは蛍光物質で標識したプライマーを目的とする核酸分子に結合させ、クレノー酵素などによる伸長反応を、無標識、又は放射性同位元素若しくは蛍光物質で標識した4種のジデオキシリボヌクレオチドで停止させた後、制限酵素で消化し、生じたDNA断片を電気泳動で分離する。電気泳動像を基に、低分子量の断片から順に3'末端の塩基配列を読み取ることにより、多型を含む前後の塩基配列を決定する。この変法として、プライマーエクステンション法と呼ばれるものがある。これは、多型を有する核酸分子の多型部位の一塩基上流までの配列と相補的なプライマーを用いて一塩基の伸長反応を行い、3'末端に取り込まれた4種のジデオキシリボヌクレオチドのいずれかの配列を読み取る方法である。このジデオキシリボヌクレオチドの同定には様々な方法があるが、たとえば、4種のヌクレオチドを異なる蛍光物質で標識し、電気泳動により分離・同定する。また、伸長反応の際に生成されるピロリン酸をATPに変換し、そのATPをルシフェラーゼの発光により同定する手法も用いられる。伸長反応に使用するプライマーの長さは、通常、10〜300塩基対であり、好ましくは15〜25塩基対である。
本発明において、ハイブリダイズとは、ある配列を有する核酸分子と、その核酸分子の少なくとも一部分に対し相補的な核酸分子が互いに相補的な塩基配列に基づき水素結合を介して会合することを意味する。元の核酸分子と会合する相補的な核酸分子の種類は同じでも異なっても良く、これらの核酸分子を構成する核酸はデオキシリボ核酸、リボ核酸又はペプチド核酸であり得る。これらの核酸分子において、リボ核酸について言う場合には、核酸分子の配列(相補的配列を含む)において、チミンはウラシルに読み替えてもよいものとする。
本発明においてストリンジェントな条件とは、ある配列を有する核酸分子に、前記核酸分子の部分配列と相補的な配列を有する核酸分子が特異的にハイブリダイズする条件を意味する(Fred M. Ausuble et al., Current Protocols in Molecular Biology、p2.10.1‐2.10.16、John Wiley and Sons, Inc)。このような条件の具体例としては、ある配列を有する核酸分子と、当該核酸分子にハイブリダイズさせる相補的な核酸分子の複合体の融解温度(Tm)より好ましくは約5〜約30℃、より好ましくは約10℃〜約25℃低い温度、0.01〜6倍濃度のSSC(塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム混合溶液)、SSPE(塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及びEDTA混合溶液)又はMES(2-(N-Morpholino)ethanesul fonic Acid及び塩化テトラメチルアンモニウム混合溶液)緩衝液のようなハイブリダイズ用の反応溶液、及び、pH6〜8の水素イオン濃度のような条件が挙げられる。例えば、25bp のDNAプローブを固層化した固層化プローブの場合のストリンジェントな条件は、1倍濃度のMES緩衝液中(水素イオン濃度は6.5〜6.7)49℃でハイブリダイズし、6倍濃度のSSC(水素イオン濃度は8.0)、25℃、次いで0.6倍濃度のSSC(水素イオン濃度は8.0)、45℃で順次洗浄するような条件が挙げられる。
本発明においてアレル特異的(又は、アレルに特異的)とは、当該多型部位を含むゲノム由来の配列若しくは調製された核酸分子において当該アレルを含むこと、又は、ある核酸分子が当該多型部位において、当該アレルを含む配列を有する核酸分子にストリンジェントな条件下で特異的に、即ち、当該アレルと対立するアレルを識別可能なようにハイブリダイズすることを言う。
本発明で開示された、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型を含む61塩基長の核酸配列は、その中央(即ち、31番目)の塩基のみが異なる2組の塩基配列の組(配列番号が奇数番目と偶数番目の組)からなり、当該31番目の塩基が多型部位である。多型部位におけるハイリスクアレルは後述の表1〜4に記載されている。これらの任意の一塩基多型について、スティーブンス・ジョンソン症候群の患者において高頻度に存在するアレルの存在を判定する場合、サンプル中のハイリスクアレルを検出することにより、スティーブンス・ジョンソン症候群の患者に高頻度に存在するアレルの存在を判定することができる。
また、上記で同定した任意のスティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型について、一つのサンプルに含まれる対立する各々のアレルの有無を検出し、遺伝子型を決定することができる。即ち、あるアレルのみが検出される場合は当該アレルのホモ型であり、2つのアレルが検出される場合には当該2つのアレルを持つヘテロ型である。これらの一塩基多型の少なくとも1つについて、遺伝子型を検出することにより、サンプル中に、非患者群よりもスティーブンス・ジョンソン症候群患者群で高頻度に認められる遺伝子型が存在するか否かを判定できる。即ち、前記一塩基多型において、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、ハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型が非患者群よりもスティーブンス・ジョンソン症候群患者群で高頻度に認められる遺伝子型であり、ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、ハイリスクアレルのホモ型が非患者群よりもスティーブンス・ジョンソン症候群患者群で高頻度に認められる遺伝子型である。対立する各々のアレルを同一操作で測定することは、判定の誤差を低減する観点からも望ましい。
このようにしてサンプルの分析を行い、サンプル中に非患者群よりもスティーブンス・ジョンソン症候群患者群で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型が存在する場合、当該サンプルを提供した現時点でスティーブンス・ジョンソン症候群に罹患していない者はスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクが高いと予測され、当該サンプルを提供したスティーブンス・ジョンソン症候群が疑われる者はスティーブンス・ジョンソン症候群と診断されるべき蓋然性が高い。
本発明のスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型の検出方法及びスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測方法において、検出に用いられる一塩基多型は、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型であり、中でも表1〜4に記載された二次解析におけるp値が0.01以下、好ましくは0.005以下である一塩基多型が望ましい。
また、これらの一塩基多型の中でも、それぞれの多型部位におけるハイリスクアレルが好適に用いられる。
さらに、一つのサンプルを用いて、本発明のスティーブンス・ジョンソン症候群に関連するアレル又は遺伝子型の二つ以上を組み合わせて検出することにより、将来的なスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの判定の精度を向上することもできる。
組み合わせる一塩基多型は、本発明の一塩基多型であれば用いられるが、好ましくは、p値が低い一塩基多型である。また、別の観点からは、異なるLDブロックに属する一塩基多型を用いることも好ましい。一方、前述の連鎖不平衡状態にある一塩基多型は同じ挙動を示すことから、連鎖不平衡状態にある一塩基多型を複数組み合わせた場合には、同じ領域に基づくスティーブンス・ジョンソン症候群リスクを必要以上に重く評価する場合がある。本発明の一塩基多型を組み合わせて疾患のリスク予測を行う場合であって、全てのリスクを均等な重み付けで評価したい場合には、必要に応じ各領域に属する一塩基多型の数を調整してもよい。
また、本発明で同定された、スティーブンス・ジョンソン症候群と関連する一塩基多型と連鎖不平衡状態にある任意の一塩基多型、好ましくは、HPSE2、NT5E、EP3、LOC440057の各遺伝子座に存在するLDブロック上に存在し本発明の一塩基多型と連鎖不平衡状態にある任意の一塩基多型は、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測に用いられる。このような一塩基多型はこれまでに説明した方法で同定でき、本発明のハイリスクアレルと連鎖不平衡状態にあるアレルを用いてスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測を行うことができる。
(スティーブンス・ジョンソン症候群に関連するアレルを検出可能なプローブ)
本発明の別の態様では、スティーブンス・ジョンソン症候群に関連するアレルを検出可能なアレル特異的な核酸分子又はプローブ(以下、プローブと記載)、及び、前記プローブを用いてスティーブンス・ジョンソン症候群に関連するアレル又は遺伝子型を検出する方法が提供される。
プローブは、本発明のスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型の多型部位における、アレル特異的な配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし得るものであればいかなるものでも用いられる。多型部位のアレルの決定は、ゲノムのセンス鎖、アンチセンス鎖のいずれの多型部位を検出することによっても行うことができるため、本発明のプローブはセンス鎖のアレルに特異的な配列の相補的配列及びアンチセンス鎖のアレルの特異的な配列に相補的な配列、すなわちセンス鎖のアレルに特異的な配列のいずれも含まれる。本発明のプローブは本発明の一塩基多型を含むcDNA又はmRNAの検出に用いることもできる。cDNA又はmRNAの検出に用いる場合、当該一塩基多型はエクソン又はその近傍に存在するものが用いられる。
後述の表1〜4に記載された一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を検出可能なプローブ、及び、HPSE2、NT5E、EP3、LOC440057の各遺伝子座上またはその近傍に存在し本発明の一塩基多型と連鎖不平衡状態にある任意の一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブは全て本発明のプローブに含まれる。
本発明におけるプローブは、好ましくはアレル特異的な配列又はその相補鎖を含み、さらに好ましくは、本発明におけるプローブにおいて、アレル特異的なハイブリダイズに寄与する配列はアレル特異的な配列又はその相補鎖のみからなる。本発明におけるプローブには、アレル特異的な配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし得る範囲において、末端にスペーサー又は安定化等に供する目的で当該配列に由来しない任意の数塩基の配列を付加することができる。付加される配列は、好ましくはヘアピン構造等の三次元構造を取らない配列である。
プローブには検出に用いるための任意の標識を施すことができる。プローブに施す標識は通常用いられるいかなるものでも用いうるが、一般的にはFITCやCy3などの蛍光標識、ビオチン、又は、アルカリホスフォターゼや西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素標識などが用いられる。ビオチン標識を用いる場合には、ビオチンに特異的に結合するストレプトアビジンにさらに検出可能な標識を施しておき、当該標識ストレプトアビジンを二次標識として使用する。標識ストレプトアビジンの代わりに標識抗ビオチン抗体を使用することもできる。プローブに標識を施す方法は公知の如何なる方法でも用いられ、その方法は当業者にとって周知である。プローブに前述のスペーサーとなる任意の配列を付加し、スペーサーに標識を施すこともできる。プローブの標識化用の試薬、標識ストレプトアビジン、標識抗ビオチン抗体などは試薬として市販されており、購入することもできる。
本発明におけるプローブは、目的とするアレルを有する核酸分子に特異的にハイブリダイズし得るかぎり、デオキシリボ核酸、リボ核酸、又は、ペプチド核酸であるかを問わず、これらの混合配列を含むプローブもまた本発明に含まれる。ここで、本発明のプローブにリボ核酸を含むプローブを用いる場合には、本発明のプローブの配列(相補的配列を含む)において、チミンはウラシルに読み替えてもよいものとする。また、本発明におけるプローブには、目的とするアレルを有する核酸分子にストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズし得る限り、必要に応じ化学修飾を施すこともできる。化学標識を施す方法は公知のいかなる方法も用いられる。
検出用のプローブは、溶液状態でサンプルと反応させ公知の方法で検出することも、あらかじめ担体上に固層化しておくことも可能である。数個乃至数十万個の異なる一塩基多型のそれぞれのアレルに対応するプローブを、一つの一塩基多型あたり一個乃至十数個ずつあらかじめ固体の担体上の定められた位置に固層化しておき、サンプルをこれに反応させ、ハイブリダイズしたプローブから生じるシグナルをスキャンしコンピューターを用いて解析する固層化プローブ、いわゆるマイクロアレイの形態を取ることも可能である。固層化プローブの形態を取る場合には、固層化するプローブの最大数はプローブの固層化密度と固層化部位の面積によって制限される。
このような固層化プローブの形態を取る場合、サンプル中の核酸分子を公知の方法で標識化しておき、固層化された本発明の非標識プローブと結合させることにより、又は、検出すべきアレルを持つ核酸分子を固層化された本発明の非標識プローブと結合させた後に公知の方法で標識化することにより、標識された標的アレルを持つ核酸分子由来の固層上のシグナルを検出することができる。
固層化は公知のいかなる方法によっても行うことができるが、例えば合成オリゴプリント、スポッティングフォトリソグラフなどの方法を用いることができる。また、担体の材質には制限がなく、一般的に用いられる材質、例えばポリカーボネートやポリスチレンなどの高分子、ガラス、シリコン結晶等が用いられる。また、核酸の接着力を高めるために、固層化の前に担体にあらかじめ陽イオン化などのコーティングを施しても良い。また、非特異的な核酸の担体への吸着を防ぐため、固層化を行った後に公知のブロッキング剤によりブロッキングを行うこともできる。このようなブロッキング剤には、非特異的な核酸の担体への吸着を抑制できるものであれば何でも用いられるが、例えばサケ精子DNA、デンハルト溶液、ヒト胎盤から抽出したCot-I DNA、ドデシル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどの非イオン性界面活性剤などを用いることができる。
また、プローブを固層化する場合には、同一担体上に対立する各々のアレルに特異的なプローブを固層化することにより、一つのサンプル中に含まれる対立する各々のアレルを同一操作で検出する構成とすることもできる。このような構成では、サンプルのアレルのみならず遺伝子型を決定することも可能である。
アレルの検出に用いるプローブは、好ましくは16〜55塩基、より好ましくは23〜27塩基又は47〜53塩基、さらに好ましくは前述の多型部位とその前後各計25塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、若しくはこれに相補的な配列を含むプローブであること、前述の多型部位とその5'上流側、好ましくは49塩基の配列(50塩基の配列)を有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、若しくはこれに相補的な配列を含むプローブであること、又は、前述の多型部位の5'上流側50塩基の配列を有し、かつ、前述の多型部位に隣接する配列、若しくはこれに相補的な配列を含むプローブであることが望ましい。
アレルの検出に用いるさらに好ましいプローブは、
1) 前述の多型部位とその前後各12塩基の配列、即ち、25塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、若しくはこれに相補的な配列を含む、当該一塩基多型のアレルを特異的に検出可能なプローブ、又は、
2a) 前述の多型部位とその5'上流側49塩基の配列(50塩基の配列)を有し、かつ、前述の多型部位を含む配列若しくはこれに相補的な配列からなる、当該一塩基多型のアレルを特異的に検出可能なプローブ、若しくは、
2b) 前述の多型部位の5'上流側50塩基の配列を有し、かつ、前述の多型部位に隣接する配列、又はこれに相補的な配列からなる、当該一塩基多型のアレルを特異的に検出可能なプローブ
である。
本発明のスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型の検出方法及びスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測方法において、検出に用いられるプローブは、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号245〜338で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号339〜355で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号356〜379で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号380〜381で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブであり、中でも表1〜4に記載された二次解析におけるp値が0.01以下、好ましくは0.005以下である一塩基多型を含むプローブが望ましい。
また、これらのプローブの中でも、それぞれの多型部位におけるハイリスクアレルを検出可能なプローブが好適に用いられる。
本発明のスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型の検出方法及びスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測方法において、任意の2つ以上の一塩基多型を検出可能なプローブを組み合わせて使用してもよい。
アレルの検出にタックマン法を用いる場合のプローブは、通常、好ましくは10〜300塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含み、かつ、蛍光物質及び消光物資を含む。より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含み、かつ、蛍光物質及び消光物資を含む。
アレルの検出にインベーダー法を用いる場合のプローブは、前述の多型部位の3'側と共通配列を有するが、5'側の配列が全く異なっているプローブ(レポーター)と、5'側の共通配列のみを有するプローブ(インベーダー)からなる。これらのプローブは、通常、好ましくは10〜300塩基の長さを有し、より好ましくは20〜60塩基の長さを有する。
アレルの検出にライトサイクラー法を用いる場合のプローブは、通常、好ましくは10〜300塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含み、かつ、蛍光物質及び消光物資を含む。より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含み、かつ、蛍光物質及び消光物資を含む。
アレルの検出にサイクリンプローブ法を用いる場合のプローブは、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を有するRNA配列の両端を挟むようにDNA配列を結合させ、それぞれのDNA端に蛍光物質又は消光物質を有する。これらのプローブは、通常、好ましくは10〜300塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含む。より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含む。
アレルの検出にMPSS法を用いる場合のプローブは、5'側に4塩基の突出末端、それに続いて制限酵素であるBbvIの認識配列、ならびに3'側にデコーダープローブが結合する一本鎖配列を有するオリゴDNA(エンコードアダプタープローブ)、ならびに、3'側に蛍光物質を有する一本鎖オリゴDNAであり、4種類の異なる配列からなり、各配列が一つのエンコードアダプタープローブと特異的にハイブリダイズするオリゴDNA(デコーダープローブ)である。前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を有するRNA配列の両端を挟むようにDNA配列を結合させ、それぞれのDNA端に蛍光物質又は消光物質を有する。エンコードアダプタープローブの長さは、通常、好ましくは10〜300塩基対であり、より好ましくは15〜40塩基対である。また、デコーダープローブの長さは、通常、好ましくは10〜300塩基対であり、より好ましくは5〜30塩基対である。
(スティーブンス・ジョンソン症候群に関連するアレルを検出するためのキット)
本発明の別の態様では、スティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型を検出するためのキットが提供される。
本発明のキット(又はリスク予測用の組成物)には、サンプル中の核酸分子に本発明で開示されたスティーブンス・ジョンソン症候群に関連するいずれかの一塩基多型のアレル又は遺伝子型を検出することができるものであれば全て含まれる。前述のように、本発明のキットは一塩基多型のセンス鎖、アンチセンス鎖のいずれの塩基を検出するものであっても良く、これらの両者を検出するものであっても良い。後述の表1〜4に記載された一塩基多型の各アレル又は遺伝子型を検出可能なキット、及び、HPSE2、NT5E、EP3、LOC440057の各遺伝子座上またはその近傍に存在し本発明の一塩基多型と連鎖不平衡状態にある任意の一塩基多型の各アレル又は遺伝子型を検出可能なキットは全て本発明のキットに含まれる。
前述のスティーブンス・ジョンソン症候群において高頻度に認められるアレルと、当該アレルと対立するアレルの両方を検出するキットも本発明の実施態様の一つである。このようなキットを用いる場合、既に説明したように各アレルの遺伝子型を決定することも可能である。
本発明のキットを用いて、サンプル中にスティーブンス・ジョンソン症候群患者において高頻度に認められるアレル又は遺伝子型が存在することを検出することにより、現時点でスティーブンス・ジョンソン症候群に罹患していない者の将来的なスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクを予測し、スティーブンス・ジョンソン症候群を誘発するとされている薬剤などに対して十分な配慮を行うことができる。
また、前述のように、対立するアレルにそれぞれ特異的なプローブを用い、かつ、プローブの標識を異なるものとすることにより、又は、前述のマイクロアレイ若しくはビーズアレイの形態とすることにより、対立するアレルを同一操作で測定するキットとすることもできる。
一つのサンプルを用いてこれらのアレル又は遺伝子型の複数を検出する構成のキットとすることにより、スティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測の精度を向上させることもできる。このような構成においても、異なる標識を施したプローブ又は前述のマイクロアレイ若しくはビーズアレイの形態とすることにより、検出を同一操作で行う構成とすることもできる。
本発明のスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型の検出方法及びスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測方法において、検出又はリスク予測に用いられるキットは、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いてスティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型を検出又はスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測を行うキット、及び/又は、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号245〜338で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号339〜355で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号356〜379で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号380〜381で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いてスティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型を検出又はスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測を行うキットであり、中でも表1〜4に記載された二次解析におけるp値が0.01以下、好ましくは0.005以下である一塩基多型を検出可能なキットが望ましい。
また、これらの中でも、ハイリスクアレルを含む核酸分子を用いてスティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型を検出又はスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測を行うキットが好適に用いられる。
本発明のスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型の検出方法及びスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測方法において、任意の2つ以上の一塩基多型を組み合わせて検出するキットとしてもよい。
(2段階又は多段階にリスク予測を行う、スティーブンス・ジョンソン症候群発症リスクの予測方法)
本発明の一塩基多型を用いてスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの予測を行う際に、スティーブンス・ジョンソン症候群発症リスクの精密な予測が必要と考えられる候補者を選択し、次いで前記候補者にリスク詳細なリスク予測を行うような、2段階又はそれ以上の多段階のリスク予測を行うことができる。
2段階又はそれ以上の多段階のリスク予測を行う場合、まず、本発明の一塩基多型の少なくとも1個、好ましくはいずれか1個ないし数個について前述のスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスク予測を行い、次いで、前述の本発明の一塩基多型の組み合わせを用いて詳細なリスク予測を行えばよい。必要に応じてさらに組み合わせの個数を増やし、リスク予測の精度を向上することもできる。このように2段階又はそれ以上の多段階にリスク予測を行うことにより、リスク予測に行う費用の低減化と高精度のリスク予測の両立が可能となる。
最初の段階のリスク予測は、簡便なリスク予測方法でよい。例えば、本発明の一塩基多型の少なくとも1つを検出可能なように、前記一塩基多型の少なくとも1つ、好ましくはいずれか1個ないし数個を検出可能なプローブを固層化した固層化プローブを用いるようなリスク予測方法は簡便であり、低コストで実現できる。なお、この場合の核酸抽出方法は、公知技術で実現可能な、又は市販の簡便な核酸抽出キットを用いることができる。このようなリスク予測に用いる固層化プローブは、例えば酵素標識したプローブを用い、比色法にて検出するような方法が簡便である。検出に用いるサンプルも、唾液、口腔粘膜細胞、尿、毛根、血液又は白血球等の比較的低侵襲で得られるものが好ましい。
次の段階のリスク予測は、精度を重視するリスクの予測方法が良い。例えば、前述の本発明の一塩基多型の2つ又はそれ以上を組み合わせてスティーブンス・ジョンソン症候群の発症に関連する一塩基多型の検出を行い、高精度のリスク予測を行えばよい。
このように2段階又は多段階にリスク予測を行うことで、コストを低減し、又は、最初の段階での被験者の負担を最低限としつつ、リスク予測の精度を向上することができる。
本発明の方法により、本発明で開示されたスティーブンス・ジョンソン症候群患者で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型をゲノム上に有する者は、将来的にスティーブンス・ジョンソン症候群を発症するリスクが高く、スティーブンス・ジョンソン症候群患者で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型を有さない者は、将来的にスティーブンス・ジョンソン症候群を発症するリスクが低いと判断することが可能となる。
また、本発明で開示されたスティーブンス・ジョンソン症候群患者で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型をゲノム上に有するものは、将来スティーブンス・ジョンソン症候群を発症する恐れがあるため、本発明の一塩基多型の検出を行うことにより、薬剤服用などスティーブンス・ジョンソン症候群を誘発すると考えられる要因に対して十分な配慮を行うことができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、実施例は本発明をより良く理解するために例示するものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されることを意図するものではない。なお、以下の実施例では、特に詳細な説明がない一般的に用いられる分子生物学的手法については、モレキュラークローニング (Joseph Sambrook et al., Molexular Cloning - A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)などの成書に記載された方法及び条件が用いられ、統計学的手法については、遺伝統計学入門(鎌谷直之, 岩波書店, 2007)などの成書に記載された方法および条件が用いられる。
本発明では、スティーブンス・ジョンソン症候群と診断された患者、及び、スティーブンス・ジョンソン症候群ではないと診断された非患者それぞれの血液から総DNAを抽出し、ヒトゲノム上の公知の一塩基多型約50万個を指標として疾患に関連する遺伝子座を解析し、疾患との関連の確認を行った。
〔実施例1 検体からのDNAの抽出〕
検体からのDNAの抽出は市販の自動核酸抽出機 (キアゲン(QUIAGEN)社、バイオロボット (BIOROBOT(登録商標)) EZ1)を使用し、同抽出機に適合する、磁気ビーズに吸着させた核酸を磁気によって回収する核酸抽出キット(EZ1 DNA B lood 350μl Kit)を用いた。総DNAの抽出は機器及びキットの取扱説明書に従い実施した。本方法により、血液検体350μLから約5μgの総DNAを得た。
〔実施例2 一塩基多型の分析〕
一塩基多型の分析は、ヒトゲノム上の公知の一塩基多型約50万個の分析が可能な市販のマイクロアレイ型の一塩基多型分析キット(アフィメトリックス社 ジーンチップ ヒューマンマッピング500K(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K))(以下、マイクロアレイと記載)を使用した。一塩基多型の検出は同キットに適合するスキャン装置(アフィメトリックス社ジーンチップスキャナー3000(GeneChip(登録商標) Scanner 3000))を使用した。一塩基多型の分析は専用の分析ソフトウェア(アフィメトリックス社 ジータイプ(GTYPE(商標)))を使用した。
実施例1にて抽出した総DNAをキット及び機器の説明書に従って処理し、マイクロアレイ上に適用して検体から抽出したDNAに存在する一塩基多型を解析した。簡単に説明すると、総DNA 250ngを制限酵素NspIで処理したサンプルとStyI処理したサンプルを調製し、それぞれのサンプルの突出末端にアダプターを結合させ、PCR法にて増幅した。PCR産物を回収してDNaseIで断片化し、キットに含まれるラベリング試薬を用い、断片化したPCR産物の末端をビオチン標識した。標識済みの両断片化済みPCR産物にハイブリダイゼーション用の緩衝液を加え、99℃で10分間熱処理した後、49℃で1分間インキュベートし、最初に処理した制限酵素に応じてNspI処理サンプル用マイクロアレイ又はStyI処理サンプル用マイクロアレイ上に注入し、49℃で16〜18時間ハイブリダイズした。ハイブリダイズ終了後マイクロアレイをストレプトアビジン-フィコエリスリンにより染色した。前述のスキャン装置を用い、固層化されたアレル特異的プローブとハイブリダイズしたサンプル中のDNA末端にビオチン及びストレプトアビジンを介して結合したフィコエリスリンに由来する蛍光を読み込み、前述のソフトウェアで解析した。NspI処理サンプル用マイクロアレイ及びStyI処理サンプル用マイクロアレイにはそれぞれ約25万個の一塩基多型に対応するプローブがあらかじめ固層化されており、両者の結果を統合して1サンプルあたり約50万個の一塩基多型に対する解析結果とした。本方法によって、各々の一塩基多型の対立するアレルが同一操作で読み取られるため、この結果から遺伝子型を決定した。この場合、一塩基多型を構成する各々のアレルの両方のシグナルが検出されればヘテロ、いずれか一方のシグナルのみが検出されれば、当該検出されたアレルをホモに持つ遺伝子型とした。
なお、同キットの説明書に拠れば、同キットに固層化されているプローブは、ゲノムのセンス鎖に対するプローブ又はアンチセンス鎖に対するプローブが使用されている。また、同キットのデータシートに拠れば、HapMapプロジェクトで報告された一塩基多型と本キットで重複する一塩基多型について、270サンプルを用い本キットの判定結果とHapMapの判定結果を比較したところ、99%以上の一致率を示すことが記載されている。
〔実施例3 スティーブンス・ジョンソン症候群患者と非患者の一塩基多型の比較〕
疾患関連一塩基多型の比較は、クラインらが加齢黄斑変性症の原因遺伝子検討に用いた方法 (Science、308巻、385ページ、2005年) に準じて行った。
「重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省 平成18年発行)」に記載された「スティーブンス・ジョンソン症候群診断基準2005および中毒性表皮壊死症診断基準2005」に基づき診断されたスティーブンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症の患者を患者群とし、健常者を非患者群に割り付けた。スティーブンス・ジョンソン症候群患者群60例、非患者群300例から、研究内容について十分に説明した上で参加者の自由意志で得た同意の下に提供された血液を検体とし、実施例1に記載の方法で総DNAを抽出し、実施例2に記載の方法で一塩基多型の分析を行った。それぞれの患者について得られた一塩基多型の分析結果はリレーショナルデータベースを採用したLaboratory Information Management System(ワールドフュージョン社、LaboServer)に格納した。そのシステム内に一塩基多型の解析専用プログラムを作成、実装し、以下に述べる解析を行った。即ち、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群及び非患者群のいずれにおいてもコールレートが90%未満の一塩基多型、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群と非患者群のコールレートの差が5%以上の一塩基多型、マイナーアレル頻度が5%未満の一塩基多型を棄却することにより、実験的な信頼性が高いと考えられる一塩基多型を抽出し、当該一塩基多型について、群間のアレル頻度及び遺伝子型の頻度を比較した。アレル頻度及び遺伝子型の頻度はカイ二乗検定によって統計学的に比較を行った。次いで上述の通りFDRによる多重補正を行い、有意となった一塩基多型については、遺伝子型判定の基となるクラスター画像の確認を行った。クラスターの分離が不明瞭にも関わらず遺伝子型判定がなされていた場合はその一塩基多型は解析対象外とした。すなわち、遺伝子型判定の誤りを本作業により除外した。クラスターの評価にあたり、一塩基多型名及び危険率の値は伏せて実施した。
上記検討によってアレル又は遺伝子型とスティーブンス・ジョンソン症候群の関連がFDR法下で有意となる一塩基多型を4個見出した(rs11189842, rs1325975, rs17131450, rs11238074)。HapMapプロジェクトの日本人と中国人を併せた連鎖不平衡データを基にしたところ、これら4個の一塩基多型は異なるLDブロック(それぞれHPSE2、NT5E、EP3、LOC440057の各遺伝子座上またはその近傍)に認められた。
〔実施例4 カスタムアレイの設計〕
実施例3の一次解析にて有意となった4個の一塩基多型の各々について、上述のHapMapプロジェクトLDブロックデータを基に、それらと連鎖不平衡状態にあると考えられる領域を決め、その範囲に含まれる公知の一塩基多型を搭載した独自の一塩基多型解析用アレイ(以下、カスタムアレイ)を用いて、二次解析を行った。
カスタムアレイには、イルミナ社の市販の一塩基多型分析キット〔イルミナ社 アイセレクト ジェノタイピング ビーズチップ(iSelectTM Genotyping BeadChip)〕を使用した。上述領域内の一塩基多型を特異的に検出するプローブの設計を試みた。これらのプローブはビーズを介して基板上に任意に固定されるため、ビーズの位置を特定する工程(デコーディング)が必要である。デコーディングの過程で位置の特定が不可であった一塩基多型検出用プローブについては解析対象から除外した。なお、ビーズアレイ法のInfinium(登録商標)アッセイの項で記載したように、本アッセイ法には1種類のプローブを用いる方法と2種類のプローブを用いる方法の2通りの方法がある。基本的に1つの一塩基多型の検出に1種類のプローブの使用であるが、一部の一塩基多型に対しては2つのプローブを使用した。
〔実施例5 カスタムアレイを用いた一塩基多型の分析〕
実験は、イルミナ社のカスタムアレイキット及び解析機器の説明書に従い、キットに含まれる専用試薬を用いて行った。以下に、簡単に実験手順を説明する。実施例1にて抽出した総DNA 150〜300ngにゲノム処理専用試薬と水酸化ナトリウム溶液を加えた。次いで、全ゲノム増幅酵素を加え、37℃で20〜24時間インキュベーションして全ゲノムを増幅させた。さらに、断片化酵素を加え、37℃で1時間インキュベーションした。イソプロパノールによりDNAを沈殿させた後、可溶化試薬を添加し、48℃、1時間懸濁した。95℃で20分間熱変性させ、カスタムアレイにこの溶液を注入し48℃で16〜24時間ハイブリダイズした。
ハイブリダイズ終了後、各プローブについてアレル特異的伸長反応又は一塩基伸長反応を行い、蛍光シグナルの増幅を行った。シグナルは、同キットに適合するスキャン装置(イルミナ社 BeadArray Reader)により読み取った。また、一塩基多型の分析には専用のソフトウェア(イルミナ社 BeadStudio 3.1)を使用した。本分析方法によって、各一塩基多型の対立するアレルが同時に判定可能であり、この分析結果を基に遺伝子型を決定した。各一塩基多型を構成するそれぞれのアレルのシグナルが両方検出されればヘテロ、いずれか一方のシグナルのみが検出されれば、当該検出されたアレルのホモ型とした。
イルミナ社の解析マニュアルであるInfinium(登録商標) Genotyping Data Analysisに従い、解析対象となる全ての一塩基多型について、蛍光シグナルの分布を示すクラスター画像を基に遺伝子型判定の正確性を確認した。正確に決定された一塩基多型の遺伝子型に対しては、蛍光シグナルは各々が完全に分離された3つのクラスター(2種のホモ型とヘテロ型)となって画像上に表示される。一方、正確に判定されなかった一塩基多型に対しては、3つのクラスターの境界線は不明瞭になる。解析ソフトウェアによってクラスター分離度が高くないと判定された場合、その一塩基多型のクラスター画像を再度確認した。クラスターが不明瞭にも関わらず遺伝子型の判定がなされている場合はそのサンプルは以後の解析作業より除外した。なお、クラスター画像を確認する際は、マスキング下にて、すなわち一塩基多型名ならびにp値を当該一塩基多型と照合できない状態で実施した。なお、二次解析に用いた本カスタムアレイと一次解析に用いたアフィメトリックス社 ジーンチップ ヒューマンマッピング500Kで重複する一塩基多型について、104サンプルを用いて遺伝子型判定の一致率を比較したところ、99%以上の一致率を示した。
〔実施例6 スティーブンス・ジョンソン症候群患者と非患者の遺伝子型判定〕
「重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省 平成18年発行)」に記載された「スティーブンス・ジョンソン症候群診断基準2005および中毒性表皮壊死症診断基準2005」に基づき診断されたスティーブンス・ジョンソン症候群患者をスティーブンス・ジョンソン症候群患者群、健常者を非患者群に割り付けた。本解析に対しては、非患者群は一次解析で使用したサンプルは用いず、新たな448例を収集した。スティーブンス・ジョンソン症候群患者群は、一次解析で用いた60例に加え新たに収集した15例を追加した合計75例を用いた。研究内容について十分に説明した上で参加者の自由意志で得た同意の下に提供された血液をサンプルとし、実施例1に記載の方法で総DNAを抽出し、実施例5に記載の方法で一塩基多型の分析を行った。それぞれの患者について得られた一塩基多型の分析結果はリレーショナルデータベースを採用したLaboratory Information Management System(ワールドフュージョン社、LaboServer)に格納した。そのシステム内に一塩基多型の解析専用プログラムを作成、実装し、以下に述べる解析を行った。即ち、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群及び非患者群のいずれにおいてもコールレートが90%未満の一塩基多型、マイナーアレル頻度が5%未満の一塩基多型を棄却することにより、実験的な信頼性が高いと考えられる一塩基多型を抽出した。
上記検討によってアレル又は遺伝子型とスティーブンス・ジョンソン症候群の関連がp値5×10-2以下となる一塩基多型を計122個見出した。その内訳は、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に82個、NT5E遺伝子座上またはその近傍に15個、EP3遺伝子座上またはその近傍に23個、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に2個であった。
前記実験によって抽出された一塩基多型のうち、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する一塩基多型を表1(表1AおよびB)に、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する一塩基多型を表2(表2AおよびB)に、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する一塩基多型を表3(表3AおよびB)に、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する一塩基多型を表4(表4AおよびB)に記載した。当該一塩基多型を特定するdbSNP ID、一塩基多型が存在する染色体番号、一塩基多型の物理的位置、エクソン・イントロン情報(一塩基多型が遺伝子上に存在する場合は遺伝子名及び一塩基多型が存在するエクソン又はイントロンを示し、一塩基多型が遺伝子上に存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺伝子と当該一塩基多型の間の距離を示す)、アレル1及びアレル2を構成するそれぞれの塩基、ハイリスクアレルの塩基、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群及び非患者群のハイリスクアレル頻度を、表1A〜表4Aに示し、当該一塩基多型を特定するdbSNP ID、検定種類(検定モデル)、p値、オッズ比、それぞれの多型部位におけるアレル1を含む配列の配列番号及びアレル2を含む配列の配列番号、ならびに、二次解析の際に用いたプローブの核酸配列を示す配列番号(基本的に同一プローブによって両方のアレルを検出するが、2種類のプローブを用いてアレルを識別する場合は2つの配列番号を併記)を、表1B〜表4Bに示す。なお、前記dbSNP ID番号を用い、当業者は当該一塩基多型の配列やアレルの情報等、必要な情報を入手することができる。
Figure 2010193765
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また、各表におけるそれぞれのアレルと疾患の関連のオッズ比、遺伝子型と疾患の関連のオッズ比は以下の式(1)〜(5)に基づいて算出した。
アレル頻度=その群における当該アレルの検出数/その群における全アレル検出数 式(1)
遺伝子型頻度=その群における当該遺伝子型の検出数/その群における全遺伝子型の検出数 式(2)
アレルのオッズ比=[(スティーブンス・ジョンソン症候群患者群における、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群にて高頻度に認められるアレルの検出数)/( スティーブンス・ジョンソン症候群患者群における、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群にて高頻度に認められるアレルと対立するアレルの検出数)]/ [(非患者群における、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群にて高頻度に認められるアレルの検出数)/(非患者群における、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群にて高頻度に認められるアレルと対立するアレルの検出数)] 式(3)
優性遺伝モデルのオッズ比=[(スティーブンス・ジョンソン症候群患者群における、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数とスティーブンス・ジョンソン症候群患者群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数の和)/( スティーブンス・ジョンソン症候群患者群における、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)]/ [(非患者群における、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数と非患者群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数の和)/(非患者群における、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)] 式(4)
劣性遺伝モデルのオッズ比=[(スティーブンス・ジョンソン症候群患者群における、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)/( スティーブンス・ジョンソン症候群患者群における、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数とスティーブンス・ジョンソン症候群患者群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数の和)]/ [(非患者群における、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)/(非患者群における、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数と非患者群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数の和)] 式(5)
表1〜4に記載された一塩基多型について、そのアレル又は遺伝子型を決定することにより、サンプル中に、非患者群よりもスティーブンス・ジョンソン症候群患者群で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型が存在するか否かを判定できる。また、これらの一塩基多型について、スティーブンス・ジョンソン症候群患者群において高頻度に認められるアレル(即ちハイリスクアレル)又は遺伝子型(即ち、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、ハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型、ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合はハイリスクアレルのホモ型)はスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクが高いことを示すマーカーとして用いることが可能となる。一方、当該アレルに対立するアレル又は当該遺伝子型以外の遺伝子型はスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクが低いことを示すマーカーとして用いることが可能となる。
表1〜4に記載された一塩基多型が属するLDブロック中に存在する一塩基多型は本発明の一塩基多型と連鎖不平衡状態にあると考えられる。即ちこれらの領域中に存在する任意の一塩基多型は当該領域内に存在する表1〜4に記載された一塩基多型と同様にスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスク予測に用いることができる。
〔実施例7 本発明の一塩基多型の周辺の配列決定法による新規一塩基多型の確認〕
表1〜4に記載された一塩基多型の周辺の再シークエンスを行い、各一塩基多型が検出されることの確認、及び存在する可能性がある未知の一塩基多型の同定を行うことができる。再シークエンスは公知の如何なる方法でも実施し得るが、例えばダイレクトシークエンス法によって行うことができる。
〔実施例8〕
実施例3にて同定されたスティーブンス・ジョンソン症候群に関連する一塩基多型、又は、表1〜4に記載された一塩基多型の周辺に存在する公知の一塩基多型のアレルならびに遺伝子型を判定するために固層化プローブを作成することができる。公知の一塩基多型は例えば、dbSNPやJ SNPのデータベースから引用できる。固層化プローブには、例えば数個乃至数十万個程度の感度、特異性、再現性を最大化するようにデザインされたオリゴヌクレオチドプローブを搭載できる。固層化プローブは、例えば、固体の担体上でオリゴヌクレオチド合成する方法や、オリゴヌクレオチドを合成してから固体の担体上に高密度に固定していく方法などで製造することができる。
〔実施例9〕
実施例8にて製造した固層化プローブを使い、スティーブンス・ジョンソン症候群発症の有無を精度よく判定することができる。疾患に関連する一塩基多型を検出するプローブを複数組み合わせることにより、スティーブンス・ジョンソン症候群を発症するリスクがどの程度増加するかを評価する。ある閾値を超える場合は、スティーブンス・ジョンソン症候群を発症すると判定する。
また、実施例8にて製造した固層化プローブを使い、スティーブンス・ジョンソン症候群患者と非スティーブンス・ジョンソン症候群患者のゲノムに存在する一塩基多型を比較できる。距離が近い場所に存在する一塩基多型同士は、連鎖不平衡により連鎖して遺伝している可能性がある。固層化プローブにより表1〜4に示した一塩基多型と連鎖不平衡状態にある塩基多型を同定することが出来る可能性があり、よりスティーブンス・ジョンソン症候群と関連の強い一塩基多型を見出すことが期待できる。
以上、本発明で開示されたスティーブンス・ジョンソン症候群患者で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型をゲノム上に有する者は、将来的にスティーブンス・ジョンソン症候群を発症するリスクが高く、スティーブンス・ジョンソン症候群患者で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型を有さない者は、将来的にスティーブンス・ジョンソン症候群を発症するリスクが低い。
本発明の方法により、サンプル上の本発明の一塩基多型のアレル又は遺伝子型を分析することにより、サンプル提供者のスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクの高低を判定することができる。このリスクに基づきサンプル提供者はスティーブンス・ジョンソン症候群の予防措置を講じ、又は適切な治療を受けることができる。また、本発明の一塩基多型のスティーブンス・ジョンソン症候群患者で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型をゲノムに有するサンプル提供者は、医師の指導の下、スティーブンス・ジョンソン症候群を誘発すると考えられる薬剤の服用などに関して十分配慮することができ、またスティーブンス・ジョンソン症候群と診断された場合に早期に治療を開始することができるため、有用である。

Claims (24)

  1. 被検者由来のサンプルにおいて、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程A)、ならびに
    前記工程Aで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号1〜164、165〜194、195〜240又は241〜244で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程(工程B)
    を含み、
    前記工程Aで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程Aで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程Aで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクが有ると判定される、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無の判定方法。
  2. スティーブンス・ジョンソン症候群リスクがスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクである、請求項1記載の判定方法。
  3. 塩基配列が配列番号1〜124, 165〜190、195〜214及び241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、請求項2記載の判定方法。
  4. さらに、発症リスクの大小の予測を行う工程を含む、請求項2記載の判定方法。
  5. 被検者由来のサンプルにおいて、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる核酸分子における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程C1)、又は、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号245〜338で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号339〜355で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号356〜379で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号380〜381で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる塩基配列を含む核酸分子を用い、前記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程C2)、ならびに
    前記工程C1又はC2で検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号1〜164、165〜194、195〜240又は241〜244で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型を含む少なくとも1つの核酸分子と比較する工程(工程D)
    を含み、
    前記工程C1又はC2で検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群リスクが有ると判定される、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無の判定方法。
  6. スティーブンス・ジョンソン症候群リスクがスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクである、請求項5記載の判定方法。
  7. 工程C1及びDにおける塩基配列が配列番号1〜124, 165〜190、195〜214及び241〜244で示される塩基配列からなる群より選択され、又は、工程C2における塩基配列が配列番号245〜306、329〜333、339〜351、354〜355、356〜365、379及び380〜381からなる群で示される塩基配列からなる群より選択される、請求項6記載の判定方法。
  8. さらに、発症リスクの大小の予測を行う工程を含む、請求項6記載の判定方法。
  9. 核酸分子をプローブとして用いる、請求項5〜8いずれか記載の判定方法。
  10. 核酸分子が23塩基〜55塩基である、請求項9記載の判定方法。
  11. プローブが固定化されてなる、請求項9記載の判定方法。
  12. HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子、及び/又は、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号245〜338で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号339〜355で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号356〜379で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号380〜381で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる塩基配列を含む核酸分子を含有する、被検者由来のサンプルにおいて前記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出するための、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無の判定キット。
  13. スティーブンス・ジョンソン症候群リスクがスティーブンス・ジョンソン症候群の発症リスクである、請求項12記載のキット。
  14. 塩基配列が配列番号1〜124, 165〜190、195〜214及び241〜244で示される塩基配列からなる群、及び/又は、配列番号245〜306、329〜333、339〜351、354〜355、356〜365、379及び380〜381からなる群からなる群より選択される、請求項13記載のキット。
  15. 発症リスクの大小の予測をさらに行うための、請求項13記載のキット。
  16. 核酸分子をプローブとして用いる、請求項12〜15いずれか記載のキット。
  17. 核酸分子が23塩基〜55塩基である、請求項16記載のキット。
  18. プローブが固定化されてなる、請求項16記載のキット。
  19. 以下の工程を含む、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無の判定方法。
    工程(i):被検者由来のサンプルから核酸分子を抽出する工程
    工程(ii):前記工程(i)で抽出された核酸分子に対し、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される塩基配列又はこれらの相補的配列から選択される少なくとも1つの塩基配列について、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルを検出する工程
    工程(iii):前記工程(ii)で検出されたアレルに基づき、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの有無を判定する工程
  20. 工程(iii)が、工程(ii)で検出されたアレルに基づき、遺伝子型を決定する工程を含む、請求項19記載の判定方法。
  21. 工程(iii)が、工程(ii)で検出されたアレルが、ハイリスクアレルであるか否かを判定する工程を含む、請求項19又は20記載の判定方法。
  22. 工程(iii)が、工程(ii)で検出されたアレルがハイリスクアレルである場合に、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクが高いと判定される工程を含む、請求項21記載の判定方法。
  23. HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型を含む核酸分子の、スティーブンス・ジョンソン症候群リスクの判定のための使用。
  24. 被検者由来のサンプルにおいて、HPSE2遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号1〜164で示される塩基配列からなる群、NT5E遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号165〜194で示される塩基配列からなる群、EP3遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号195〜240で示される塩基配列からなる群、及び、LOC440057遺伝子座上またはその近傍に存在する配列番号241〜244で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程E)、ならびに
    前記工程Eで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号1〜164、165〜194、195〜240又は241〜244で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程(工程F)
    を含み、
    前記工程Eで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合にスティーブンス・ジョンソン症候群であると診断され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程Eで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群であると診断され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程Eで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合にスティーブンス・ジョンソン症候群であると診断される、スティーブンス・ジョンソン症候群の診断方法。
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