以下、添付図面に従って本発明に係る複眼撮像装置を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、複眼デジタルカメラ1を正面からみた図であり、図2は、複眼デジタルカメラ1を背面からみた図である。複眼デジタルカメラ1は、複数(図1では二つを例示)の撮像系を備えた複眼デジタルカメラ1であって、同一被写体を複数視点(図1では左右二つの視点を例示)からみた立体画像を撮影可能である。また、複眼デジタルカメラ1は、立体画像のみでなく、単視点画像(2次元画像)も撮影可能であり、さらに動画、静止画、音声の記録再生も可能である。
複眼デジタルカメラ1のカメラボディ10は、略直方体の箱状に形成されており、その正面には、図1に示すように、主として、右撮像系11、左撮像系12、フラッシュ13等が設けられている。また、カメラボディ10の上面には、レリーズスイッチ20等が設けられている。
一方、カメラボディ10の背面には、図2に示すように、モニタ14、ズームボタン21、再生ボタン22、ファンクションボタン23、十字ボタン24、MENU/OKボタン25、DISPボタン26、BACKボタン27等が設けられている。
右目用の画像を撮影する右撮像系11及び左目用の画像を撮影する左撮像系12は、沈動式のズームレンズを含み、そのレンズ光軸が平行となるように、あるいは所定角度をなすように並設される。複眼デジタルカメラ1の電源をONすると、右撮像系11および左撮像系12の前面に各々配設されたカバー(図示せず)が開くことにより右撮像系11および左撮像系12に被写体光が入射される。
フラッシュ13は、キセノン管で構成されており、暗い被写体を撮影する場合や逆光時などに必要に応じて発光される。
モニタ14は、4:3の一般的なアスペクト比を有し、カラー表示が可能なパララックスバリア式、あるいはレンチキュラーレンズ式の3Dモニタであり、各種設定操作を行なう際の撮影者インターフェース表示パネルとして利用され、画像撮影時には電子ビューファインダとして利用され、画像再生時には撮影によって得られた画像データの立体表示を行う。なお、モニタ14の構成は、スリットアレイシートを用いるパララックス方式やレンチキュラーレンズシートを用いるレンチキュラー方式に限られる必然性はなく、マイクロレンズアレイシートを用いるインテグラルフォトグラフィ方式、干渉現象を用いるホログラフィー方式などが採用されてもよい。
レリーズスイッチ20は、いわゆる「半押し」と「全押し」とからなる二段ストローク式のスイッチで構成されている。複眼デジタルカメラ1は、静止画撮影時(例えば、メニューから静止画撮影モード選択時)、このレリーズスイッチ20を半押しすると撮影準備処理、すなわち、AE(Automatic Exposure:自動露出)、AF(Auto Focus:自動焦点合わせ)、AWB(Automatic White Balance:自動ホワイトバランス)の各処理を行い、全押しすると、画像の撮影・記録処理を行う。また、動画撮影時(例えば、メニューから動画撮影モード選択時)、このレリーズスイッチ20を全押しすると、動画の撮影を開始し、再度全押しすると、撮影を終了する。なお、設定により、レリーズスイッチ20を全押している間、動画の撮影を行い、全押しを解除すると、撮影を終了するようにすることもできる。なお、静止画撮影専用のシャッタボタン及び動画撮影専用のシャッタボタンを設けるようにしてもよい。
ズームボタン21は、右撮像系11及び左撮像系12のズーム操作に用いられ、望遠側へのズームを指示するズームテレボタン21Tと、広角側へのズームを指示するズームワイドボタン21Wとで構成されている。
再生ボタン22は、再生モードへの切り替え指示に用いられる。すなわち、デジタルカメラ1は、撮影中、この再生ボタン22が押されると、再生モードに切り替えられる。また、電源OFFの状態でこの再生ボタン22が押されると、再生モードの状態でデジタルカメラ1が起動する。
ファンクションボタン23は、撮影及び再生機能の各種設定画面の呼び出しに用いられる。すなわち、撮影時にこのファンクションボタン23が押されると、モニタ14に画像サイズ(記録画素数)、感度等の設定画面が表示され、再生時にこのファンクションボタン23が押されると、モニタ14に画像の消去、プリント予約(DPOF)の設定画面等が表示される。
十字ボタン24は、各種のメニューの設定や選択あるいはズームを行うためのボタンであり、上下左右4方向に押圧操作可能に設けられており、各方向のボタンには、カメラの設定状態に応じた機能が割り当てられる。たとえば、撮影時には、左ボタンにマクロ機能のON/OFFを切り替える機能が割り当てられ、右ボタンにストロボモードを切り替える機能が割り当てられる。また、上ボタンにモニタ14の明るさを替える機能が割り当てられ、下ボタンにセルフタイマのON/OFFを切り替える機能が割り当てられる。また、再生時には、右ボタンにコマ送りの機能が割り当てられ、左ボタンにコマ戻しの機能が割り当てられる。また、上ボタンにモニタ14の明るさを替える機能が割り当てられ、下ボタンに再生中の画像を削除する機能が割り当てられる。また、各種設定時には、モニタ14に表示されたカーソルを各ボタンの方向に移動させる機能が割り当てられる。
MENU/OKボタン25は、メニュー画面の呼び出し(MENU機能)に用いられるとともに、選択内容の確定、処理の実行指示等(OK機能)に用いられ、複眼デジタルカメラ1の設定状態に応じて割り当てられる機能が切り替えられる。メニュー画面では、たとえば露出値、色合い、ISO感度、記録画素数などの画質調整やセルフタイマの設定、測光方式の切り替え、デジタルズームを使用するか否かなど、複眼デジタルカメラ1が持つ全ての調整項目の設定が行われる。複眼デジタルカメラ1は、このメニュー画面で設定された条件に応じて動作する。
DISPボタン26は、モニタ14の表示切り替えを指示するボタンとして機能し、撮影中、このDISPボタン26が押されると、モニタ14の表示が、ON→フレーミングガイド表示→OFFに切り替えられる。また、再生中、このDISPボタン26が押されると、通常再生→文字表示なし再生→マルチ再生に切り替えられる。
BACKボタン27は、入力操作のキャンセルや一つ前の操作状態に戻すことを指示するボタンとして機能する。
図3は、複眼デジタルカメラ1の内部構成を示すブロック図である。複眼デジタルカメラ1は、主として、CPU100、操作部(十字ボタン24、MENU/OKボタン25、レリーズスイッチ20等)101、ROM102、DRAM103、AE/AWB検出回路104、AF検出回路105、クロックジェネレータ106、電源部107、レンズ群111、121、撮像素子112、122、CDS/AMP/AD変換部113、123、レンズ駆動部114、124、撮像素子駆動部115、125、タイミングジェネレータ(TG)130、画像入力コントローラ131、画像信号処理部132、立体画像信号処理部133、圧縮伸張処理部134、ビデオエンコーダ135、メディア記録制御部136、記録メディア137、ステレオマイクアンプ138、音入力処理部139、音出力処理部140とで構成される。
CPU100は、複眼デジタルカメラ1の全体の動作を統括的に制御する。CPU100は、各種制御用のプログラムや設定情報などを格納するメモリ領域を含む。CPU100は、右撮像系11と左撮像系12の動作を制御する。右撮像系11と左撮像系12とは、基本的に連動して動作を行うが、各々個別に動作させることも可能である。
ROM102には、このCPU100が実行する制御プログラムであるファームウェア、制御に必要な各種データ、カメラ設定値、撮影された画像データ等が記録されている。また、ROM102には、右メカシャッタ111d及び左メカシャッタ121dのメカ遅れパラメータ(後述)が記憶される。
DRAM103は、CPU100の作業用領域として利用されるとともに、画像データの一時記憶領域として利用される。
AE/AWB検出回路104は、CPU100からの指令に従い、入力された画像信号からAE制御及びAWB制御に必要な物理量を算出する。たとえば、AE制御に必要な物理量として、1画面を複数のエリア(たとえば16×16)に分割し、分割したエリアごとにR、G、Bの画像信号の積算値を算出する。CPU100は、このAE/AWB検出回路104から得た積算値に基づいて被写体の明るさ(被写体輝度)を検出し、撮影に適した露出値(撮影EV値)を算出する。そして、算出した撮影EV値と所定のプログラム線図から絞り値とシャッタスピードを決定する。また、AWB制御に必要な物理量として、1画面を複数のエリア(例えば、16×16)に分割し、分割したエリアごとにR、G、Bの画像信号の色別の平均積算値を算出する。CPU100は、得られたRの積算値、Bの積算値、Gの積算値から分割エリアごとにR/G及びB/Gの比を求め、求めたR/G、B/Gの値のR/G、B/Gの色空間における分布等に基づいて光源種判別を行う。そして、判別された光源種に適したホワイトバランス調整値に従って、たとえば各比の値がおよそ1(つまり、1画面においてRGBの積算比率がR:G:B≒1:1:1)になるように、ホワイトバランス調整回路のR、G、B信号に対するゲイン値(ホワイトバランス補正値)を決定する。
AF検出回路105は、CPU100からの指令に従い、入力された画像信号からAF制御に必要な物理量を算出する。AF検出回路105は、右撮像系11から入力された画像信号に基づいてAF制御を行う右撮像系AF制御回路と、左及び左撮像系12から入力された画像信号に基づいてAF制御を行う左撮像系AF制御回路とで構成される。本実施の形態のデジタルカメラ1では、撮像素子112、122から得られる画像のコントラストによりAF制御が行われ(いわゆるコントラストAF)、AF検出回路105は、入力された画像信号から画像の鮮鋭度を示す焦点評価値を算出する。CPU100は、このAF検出回路105で算出される焦点評価値が極大となる位置を検出し、その位置にフォーカスレンズ群を移動させる。すなわち、フォーカスレンズ群を至近から無限遠まで所定のステップで移動させ、各位置で焦点評価値を取得し、得られた焦点評価値が最大の位置を合焦位置として、その位置にフォーカスレンズ群を移動させる。
クロックジェネレータ106は、共振回路とアンプを内蔵しており、CPU100を含む各構成要素にタイミング信号を供給する。これにより、各構成要素の動作が同期する。
電源部107は、主として、バッテリーと電源制御回路とで構成される。電源制御回路は、バッテリーの消費電力を抑制するために、デジタルカメラ1がONされていない場合には、バッテリーからCPU100にのみ電源を供給し、デジタルカメラ1がONされた場合には、バッテリーから各ブロックに電力が供給されるように制御する。
レンズ群111、撮像素子112、CDS/AMP/AD変換部113、レンズ駆動部114、撮像素子駆動部115は右撮像系11を構成し、レンズ群121、撮像素子122、CDS/AMP/AD変換部123、レンズ駆動部124、撮像素子駆動部125は左撮像系12を構成する。右撮像系11及び左撮像系12の構成は同一であるため、以下、右撮像系11についてのみ説明し、左撮像系12の説明は省略する。
レンズ群111は、レンズ光軸に沿って配列されたズームレンズ111a、絞り111b、フォーカスレンズ111c、及びメカシャッタ111dによって構成される。
ズームレンズ111aは、レンズ駆動部114のズームモータに駆動されることにより、光軸上を前後移動して、焦点距離を可変する。
フォーカスレンズ111cは、レンズ駆動部114のフォーカスモータに駆動されることにより、光軸上を前後移動して、焦点位置を可変する。
絞り111bは、レンズ駆動部114のアイリスモータに駆動されることにより、その開口量を可変して、撮像素子112への入射光量を調整する。
メカシャッタ111dは、レンズ駆動部114のシャッタモータに駆動されることにより開閉して、撮像素子112への露光/遮光を行う。
撮像素子112は、CCD型やCMOS型のイメージセンサであり、ズームレンズ、絞り、及びフォーカスレンズによって結像された被写体光を受光し、受光素子に受光量に応じた光電荷を蓄積する。撮像素子112、122の光電荷蓄積・転送動作は、撮像素子駆動部115、125からそれぞれ入力される電荷排出パルスに基づいて電子シャッタ速度(光電荷蓄積時間)が決定される。
すなわち、撮像素子112、122に電荷排出パルスが入力されている場合には、撮像素子112、122に電荷が蓄えられることなく排出される。それに対し、撮像素子112、122に電荷排出パルスが入力されなくなると、電荷が排出されなくなるため、撮像素子112、122において電荷蓄積、すなわち露光が開始される。撮像素子112、122で取得された撮像信号は、撮像素子駆動部115から与えられる駆動パルスに基づいてCDS/AMP/AD変換部113に出力される。
CDS/AMP/AD変換部113は、撮像素子112から出力された画像信号に対して相関二重サンプリング処理(撮像素子の出力信号に含まれるノイズ(特に熱雑音)等を軽減することを目的として、撮像素子の1画素毎の出力信号に含まれるフィードスルー成分レベルと画素信号成分レベルとの差をとることにより正確な画素データを得る処理)を行い、増幅してR、G、Bのアナログの画像信号を生成する。そして、R、G、Bのアナログの画像信号デジタルの画像信号に変換する。
TG130は、主として、右撮像系シャッタ信号生成部130a、左撮像系シャッタ信号生成部130b、右撮像系撮像信号生成部130c、左撮像系撮像信号生成部130dとで構成される。
右撮像系シャッタ信号生成部130aは、メカシャッタ駆動パルス(メカシャッタを閉じるための駆動パルスをいう)をレンズ駆動部114のシャッタモータに出力し、左撮像系シャッタ信号生成部130bは、メカシャッタ駆動パルスをレンズ駆動部124のシャッタモータに出力する。右撮像系シャッタ信号生成部130aからレンズ駆動部114にメカシャッタ駆動パルスを出力する制御線と、左撮像系シャッタ信号生成部130bからレンズ駆動部124にメカシャッタ駆動パルスを出力する制御線とが別である。したがって、メカシャッタ111d、メカシャッタ121dを略同時に又は別々のタイミングで動作させることができる。
右撮像系撮像信号生成部130cは、撮像素子112へのクロック及び同期信号を撮像素子駆動部115に出力する。左撮像系撮像信号生成部130dは、撮像素子122へのクロック及び同期信号を撮像素子駆動部125に出力する。右撮像系撮像信号生成部130cから撮像素子駆動部115クロック及び同期信号を出力する制御線と、左撮像系撮像信号生成部130dから撮像素子駆動部125にクロック及び同期信号を出力する制御線とが別である。したがって、撮像素子112、撮像素子122をそれぞれ任意のタイミングで露光制御することができる。
画像入力コントローラ131は、所定容量のラインバッファを内蔵しており、CPU100からの指令に従い、CDS/AMP/AD変換部113から出力された1画像分の画像信号を蓄積して、DRAM103に記録する。
画像信号処理部132は、同時化回路(単板CCDのカラーフィルタ配列に伴う色信号の空間的なズレを補間して色信号を同時式に変換する処理回路)、ホワイトバランス補正回路、ガンマ補正回路、輪郭補正回路、輝度・色差信号生成回路等を含み、CPU100からの指令に従い、入力された画像信号に所要の信号処理を施して、輝度データ(Yデータ)と色差データ(Cr,Cbデータ)とからなる画像データ(YUVデータ)を生成する。
立体画像信号処理部133は、右撮像系11及び左撮像系12で得られた2つの画像データを合成して立体画像データを生成する。
圧縮伸張処理部134は、CPU100からの指令に従い、入力された画像データに所定形式の圧縮処理を施し、圧縮画像データを生成する。また、CPU100からの指令に従い、入力された圧縮画像データに所定形式の伸張処理を施し、非圧縮の画像データを生成する。
ビデオエンコーダ135は、モニタ14への表示を制御する。すなわち、記録メディア137などに保存された画像信号をモニタ14に表示するための映像信号(たとえば、NTSC信号やPAL信号、SCAM信号)に変換してモニタ14に出力するとともに、必要に応じて所定の文字、図形情報をモニタ14に出力する。
メディア記録制御部136は、圧縮伸張処理部134で圧縮処理された各画像データを記録メディア137に記録する。
記録メディア137は、複眼デジタルカメラ1に着脱自在なxDピクチャカード(登録商標)、スマートメディア(登録商標)に代表される半導体メモリカード、可搬型小型ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等、種々の記録媒体である。
音入力処理部139は、ステレオマイク16に入力され、ステレオマイクアンプ138で増幅された音声信号が入力され、この音声信号の符号化処理を行う。
音出力処理部140は、スピーカ15への出力信号生成処理を行う。
以上のように構成された複眼デジタルカメラ1の作用について説明する。まず、本発明に係る複眼デジタルカメラ1の製造時(例えば、検査工程)において、右撮像系11の露出時間と左撮像系12の露出時間とを一致させるため、各撮像系のメカ遅れパラメータをROM102に保存する。
まず、メカ遅れと露光時間との関係について説明する。図4に示すように、右撮像系11の撮像素子112の露光時間は、撮像素子駆動部115から電荷排出パルスの出力が停止し撮像素子112に電荷排出パルスが入力されなくなることにより撮像素子112の電子シャッタが開いてから、レンズ駆動部114から出力されるメカシャッタ駆動パルスによりレンズ駆動部114のシャッタモータが駆動されてメカシャッタ111dが閉じることにより撮像素子112が遮光されるまでの時間として定義される。また、左撮像系12の撮像素子122の露光時間は、撮像素子駆動部125から電荷排出パルスの出力が停止し撮像素子122に電荷排出パルスが入力されなくなることにより撮像素子122の電子シャッタが開いてから、レンズ駆動部124から出力されるメカシャッタ駆動パルスによりレンズ駆動部124のシャッタモータが駆動されてメカシャッタ121dが閉じることによりメカシャッタ121dにより撮像素子122が遮光されるまでの時間として定義される。
図4に示すように、メカシャッタ駆動パルスをレンズ駆動部114のシャッタモータに印加してから実際にメカシャッタ111dが閉じるまでには時間差があり、メカシャッタ駆動パルスをレンズ駆動部124のシャッタモータに印加してから実際にメカシャッタ121dが閉じるまでにも時間差がある。これがメカ遅れである。このメカ遅れは、シャッタモータのトルク、メカシャッタの大きさ、重さ等のメカ的な要素が各撮像系毎に異なることなどにより発生する。
したがって、電子シャッタ終了、すなわち露光開始タイミングは撮影同期信号により同期できるが、メカ遅れが各撮像系で異なるため、メカシャッタ駆動パルスを同期させてもメカシャッタが閉じるタイミング(露光終了タイミング)は同期できない。これにより、各撮像系の露光時間が異なることとなる。また、露光時間が異なることにより、移動している被写体(例えば、撮影シャッタスピードの期間中に画角内を1〜3%以上動いてしまう被写体)などの場合には、撮影された被写体の位置が右撮像系11と左撮像系12とで異なることとなる。
そのため、全ての撮像系の露光時間を同じにするためには、メカ遅れを各撮像系毎に把握しておく必要がある。
次に、メカ遅れパラメータをROM102に記憶する方法について、図5を用いて説明する。以下の処理は、主としてCPU100により行われる。
まず、CPU100は、メカシャッタを使用しない理論的な露光時間を右撮像系11について算出する(ステップS10)。理論的な露光時間は、電子シャッタ開のタイミング信号を印加した時間(撮像素子112の電子シャッタが開いた時間と略一致)と、メカシャッタ駆動パルスを印加した時間との差として算出可能である。
CPU100は、右撮像系シャッタ信号生成部130a及び右撮像系撮像信号生成部130cを介して、ステップS10と同じタイミングで電子シャッタ開のタイミング信号とメカシャッタ駆動パルスとをそれぞれ撮像素子駆動部115と右メカシャッタ111dのシャッタモータとに印加し、実際の露光時間を実測する(ステップS11)。
CPU100は、ステップS10で算出された理論的な露光時間と、ステップS11で実測された実際の露光時間との差をメカ遅れ量として算出し(ステップS12)、ステップS12で算出された値を、右メカシャッタ111dのメカ遅れパラメータとしてROM102に記憶する(ステップS13)。
次に、CPU100は、ステップS10と同様に、メカシャッタを使用しない理論的な露光時間を左撮像系12について算出する(ステップS14)。
CPU100は、左撮像系シャッタ信号生成部130b及び左撮像系撮像信号生成部130dを介して、ステップS14と同じタイミングで電子シャッタ開のタイミング信号とメカシャッタ駆動パルスとをそれぞれ撮像素子駆動部125と左メカシャッタ121dのシャッタモータに印加し、実際の露光時間を実測する(ステップS15)。
CPU100は、ステップS14で算出された理論的な露光時間と、ステップS15で実測された実際の露光時間との差をメカ遅れとして算出し(ステップS16)、ステップS12で算出された値を、左メカシャッタ121dのメカ遅れパラメータとしてROM102に記憶する(ステップS17)。
このように、複眼デジタルカメラ1の製造時、すなわち出荷前にメカ遅れパラメータを各撮像系毎に測定し、記憶しておくことにより、複眼デジタルカメラ1の出荷後、ユーザが撮影する時の露光時間の調整が可能となる。
次に、撮影及び記録動作について説明する。電源ボタンを押下し、複眼デジタルカメラ1の電源を投入すると、複眼デジタルカメラ1は、撮影モードの下で起動して単眼モード又は複眼モードで駆動される。
単眼モードに設定されている場合には、右撮像系11又は左撮像系12(本実施の形態では左撮像系12)を選択する。そして、撮像素子122によってライブビュー画像用の撮影を開始する。すなわち、撮像素子122で連続的に画像が撮像され、その画像信号が連続的に処理されて、ライブビュー画像用の画像データが生成される。生成された画像データは、順次表示用の信号形式に変換されて、モニタ14に出力される。
複眼モードに設定されている場合には、撮像素子112及び撮像素子122によってライブビュー画像用の撮影を開始する。すなわち、撮像素子112及び撮像素子122で連続的に画像が撮像され、その画像信号が連続的に処理されて、ライブビュー画像用の画像データが生成される。生成された画像データは、順次表示用の信号形式に変換されて、それぞれモニタ14に出力される。
ユーザは、モニタ14に表示されたライブビュー画像を見ながら、ズームボタン21を操作することにより画角の調整を行う。
シャッタボタンが半押しされたか、すなわちCPU100にS1ON信号が入力されたかを判断する。S1ON信号が入力されると、このS1ON信号に応動して、撮影準備処理、すなわち、AE、AF、AWBの各処理を実行する。
シャッタボタンが全押しされたか、すなわちCPU100にS2ON信号が入力されたかを判断する。S2ON信号が入力されると、このS2ON信号に応動して、以下のような撮影処理及び記録処理を実行する。
まず、上記のAE処理で求めた絞り値、シャッタスピード(露光時間)で撮像素子112及び撮像素子122を露光し、記録用の画像を撮像する。
本実施の形態では、右撮像系11、左撮像系12のメカ遅れ及びその差異を考慮して、右撮像系11と左撮像系12の撮影開始タイミング及び撮影終了タイミングを一致させる。図6は、右撮像系11と左撮像系12の露光時間を一致させる場合の右撮像系11と左撮像系12のパルス印加のタイミングを示すタイミングチャートである。
右撮像系撮像信号生成部130c及び左撮像系撮像信号生成部130dは、CPU100の指令に従い、撮像素子駆動部115及び撮像素子駆動部125へ駆動信号を同時に出力し、撮像素子駆動部115及び撮像素子駆動部125は電荷排出パルスの出力を同時に停止する。これにより、撮像素子112の電子シャッタと撮像素子122の電子シャッタとが同時に開き、撮像素子112の露光と撮像素子122の露光とが略同時に開始する。
CPU100は、ROM112に記憶されている右メカシャッタ111dのメカ遅れパラメータと、左メカシャッタ121dのメカ遅れパラメータとを参照し、各撮像素子毎に、露光開始時点からS1ON時にAE/AWB検出回路104で算出された露光時間が経過した時点より、対応するメカシャッタのメカ遅れパラメータ分だけ早くメカシャッタ駆動パルスを出力するように、右撮像系シャッタ信号生成部130a及び左撮像系シャッタ信号生成部130bに指令を出す。
すなわち、右撮像系シャッタ信号生成部130aは、撮像素子駆動部115が電荷排出パルスの出力を停止時点から露光時間が経過した時点より、右メカシャッタ111dのメカ遅れパラメータだけ早い時点で、右メカシャッタ111dにメカシャッタ駆動パルスを出力する。また、左撮像系シャッタ信号生成部130bは、撮像素子駆動部125が電荷排出パルスの出力を停止時点から露光時間が経過した時点より、左メカシャッタ121dのメカ遅れパラメータだけ早い時点で、左メカシャッタ121dにメカシャッタ駆動パルスを出力する。
その結果、図6に示すように、まず、メカ遅れが大きい右メカシャッタ111d用のシャッタモータにメカシャッタ駆動パルスが出力され、右メカシャッタ111dのメカ遅れと左メカシャッタ121dのメカ遅れとの差の時間経過後、メカ遅れが小さい左メカシャッタ121d用のシャッタモータにメカシャッタ駆動パルスが出力される。
右メカシャッタ111dは、シャッタモータにメカシャッタ駆動パルスが印加されてから右メカシャッタ111dのメカ遅れ経過後に閉じ、左メカシャッタ121dは、シャッタモータにメカシャッタ駆動パルスが印加されてから左メカシャッタ121dのメカ遅れ経過後に閉じる。これにより、右メカシャッタ111dと左メカシャッタ121dとが略同時に閉じる。
これにより、右撮像系11と左撮像系12の撮影開始タイミング及び撮影終了タイミングを完全に一致させることができる。そのため、右撮像系11と左撮像系12とで露出や被写体の位置を同等とすることができる。
このようにして露光された撮像素子112及び撮像素子122は、露光により蓄積された記録用の画像信号をそれぞれCDS/AMP/AD変換部113、123に出力する。CDS/AMP/AD変換部113、123は、入力された画像信号に所定の信号処理を施して、輝度データと色差データとからなる2枚の画像データ(YUVデータ)を生成する。
CDS/AMP/AD変換部113、123で生成された2枚の画像データは、一旦DRAM103に格納されたのち、メディア記録制御部136に加えられる。メディア記録制御部136は、入力された2枚の画像データに対して所定の圧縮処理を施し、圧縮画像データを2個生成する。
圧縮された2枚の画像データは、メモリ部104に格納され、所定フォーマットの静止画像ファイル(たとえば、Exif)として、メディア記録制御部136を介して記録メディア137に記録される。
複眼デジタルカメラ1のモードを再生モードに設定すると、CPU100は、メディア記録制御部136にコマンドを出力し、記録メディア137に最後に記録された画像ファイルを読み出させる。
読み出された画像ファイルの圧縮画像データは、圧縮・伸張回路148に加えられ、非圧縮の輝度/色差信号に伸張され、立体画像信号処理部133で立体画像とされたのち、ビデオエンコーダ135を介してモニタ14に出力される。これにより、記録メディア137に記録されている画像がモニタ14に再生表示される(1枚画像の再生)。
画像のコマ送りは、十字ボタン24の左右のキー操作によって行なわれ、十字ボタン24の右キーが押されると、次の画像ファイルが記録メディア137から読み出され、モニタ14に再生表示される。また、十字ボタンの左キーが押されると、一つ前の画像ファイルが記録メディア137から読み出され、モニタ14に再生表示される。
モニタ14に再生表示された画像を確認しながら、必要に応じて、記録メディア137に記録された画像を消去することができる。画像の消去は、画像がモニタ14に再生表示された状態でMENU/OKボタン25が押下されることによって行われる。
本実施の形態によれば、複眼デジタルカメラ購入後、ユーザは調整や複雑な操作を行うことなく、すなわちメカ遅れを意識することなく、右撮像系と左撮像系と撮影開始タイミング及び撮影終了タイミングを完全に一致した、同時性の高い立体視画像を撮影することができる。
なお、本実施の形態では、右メカシャッタ111dのメカ遅れパラメータ及び左メカシャッタ121dのメカ遅れパラメータをROM112に記憶したが、メカ遅れパラメータの記憶のさせ方はこれに限定されない。例えば、右メカシャッタ111dのメカ遅れパラメータと左メカシャッタ121dのメカ遅れパラメータとの差分を記憶するようにしてもよい。この場合には、CPU100は、同時に露光を開始した後で、メカ遅れが大きいメカシャッタ(差分が記憶されているメカシャッタ)に駆動パルスを出力し、記憶された差分の時間が経過した後でメカ遅れが小さいメカシャッタ(差分が記憶されていないメカシャッタ)に駆動パルスを出力するような制御をすればよい。これにより、S1ON時に算出された露光時間と、実際の露光時間とは、メカ遅れが小さいメカシャッタのメカ遅れ分異なることとなるが、2つの撮像系の露光時間を一致させることはできる。
また、本実施の形態では、電子シャッタを同期させ、メカシャッタ駆動パルスをずらすことで撮影開始タイミングと撮影終了タイミングとを一致させ、右撮像系11と左撮像系12とで露出や被写体の位置を同等としたが、本実施の変形例として、電子シャッタの駆動パルスをずらし、メカシャッタ駆動パルスを略同時に出力するようにしてもよい。これにより、撮影開始タイミングと撮影終了タイミングとがずれるため、被写体の位置は同等とならないが、露光時間は一致させ、露出を同等とすることは可能である。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、メカシャッタ同時動作に起因するバッテリー電圧低下、電圧変動によるノイズ重畳の影響を回避すべく、メカシャッタ駆動パルスを意図的にずらす制御を実施する形態である。以下、第2の実施の形態の複眼デジタルカメラ2について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
ROM108には、このCPU100が実行する制御プログラムであるファームウェア、制御に必要な各種データ、カメラ設定値、撮影された画像データ等が記録されている。また、ROM108には、メカシャッタ駆動パルスを意図的にずらす制御を実施するか否かを決める各種閾値が記録されている。
電源部109は、主として、図示しないバッテリー、電源制御回路及びバッテリー残量検出部109aで構成される。電源制御回路は、バッテリーの消費電力を抑制するために、デジタルカメラ1がONされていない場合には、バッテリーからCPU100にのみ電源を供給し、デジタルカメラ1がONされた場合には、バッテリーから各ブロックに電力が供給されるように制御する。
バッテリー残量検出部109aは、バッテリーの端子電圧をバッテリー残量指数として計測するアナログデジタル回路である。待機状態では、複眼デジタルカメラ2の内部抵抗による電圧降下を加味して、計測された端子電圧を補正し、補正した電圧をバッテリー残量指数とする。バッテリー残量検出部109aは、計測又は算出された電圧をデジタル信号に変換してCPU100に出力する。なお、バッテリー残量検出部109aとして、バッテリーの残容量そのものを計測する回路を用いてもよい。
以上のように構成された複眼デジタルカメラ2の作用について説明する。再生処理については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
電源ボタンを押下し、複眼デジタルカメラ1の電源を投入すると、複眼デジタルカメラ1は、撮影モードの下で起動して単眼モード又は複眼モードで駆動される。
単眼モードに設定されている場合には、右撮像系11又は左撮像系12(本実施の形態では左撮像系12)を選択する。そして、撮像素子122によってライブビュー画像用の撮影を開始する。すなわち、撮像素子122で連続的に画像が撮像され、その画像信号が連続的に処理されて、ライブビュー画像用の画像データが生成される。生成された画像データは、順次表示用の信号形式に変換されて、モニタ14に出力される。
複眼モードに設定されている場合には、撮像素子122及び撮像素子122によってライブビュー画像用の撮影を開始する。すなわち、撮像素子112及び撮像素子122で連続的に画像が撮像され、その画像信号が連続的に処理されて、ライブビュー画像用の画像データが生成される。生成された画像データは、順次表示用の信号形式に変換されて、それぞれモニタ14に出力される。
ユーザは、モニタ14に表示されたライブビュー画像を見ながら、ズームボタン21を操作することにより画角の調整を行う。
シャッタボタンが半押しされたか、すなわちCPU100にS1ON信号が入力されたかを判断する。S1ON信号が入力されると、このS1ON信号に応動して、撮影準備処理、すなわち、AE、AF、AWBの各処理を実行する。
シャッタボタンが全押しされたか、すなわちCPU100にS2ON信号が入力されたかを判断する。S2ON信号が入力されると、このS2ON信号に応動して、以下のような撮影処理及び記録処理を実行する。
まず、上記のAE処理で求めた絞り値、シャッタスピード(露光時間)で撮像素子112及び撮像素子122を露光し、記録用の画像を撮像する。本実施の形態では、撮影に際し、被写体の状況やバッテリー電圧に応じて、右撮像系11と左撮像系12のメカシャッタ駆動パルスを略同時に印加するか、意図的にずらして印加するかを切り替える点に特徴がある。
(1)被写体の動きに応じて切り替えを行う場合
比較的静止している被写体の場合には、右撮像系11と左撮像系12で略同時に撮影を行うことはそれほど重要でなく、メカシャッタ同時動作に起因するバッテリー電圧低下、電圧変動によるノイズ重畳の影響を回避すべきである。
図8は、被写体の動きに応じて右撮像系11と左撮像系12のメカシャッタ駆動パルスを略同時に印加するか、意図的にずらして印加するかを切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
CPU100は、撮像素子112又は撮像素子122から連続した2フレームの画像データを取得し、フレームのある領域(例えば、中央近傍)の動きベクトルを検出する(ステップS20)。動きベクトルの検出方法としては、代表点マッチング法や、ブロックマッチング法等を用いることができる。2フレームの画像データは、S2ON時に新たに取得してもよいし、S1処理中に取得してもよいし、ライブビュー画像用の画像データを用いてもよい。ライブビュー画像用の画像データを用いる場合には、ライブビュー画像用の画像データをDRAM103などに保存しておき、それを使用してもよいし、ライブビュー画像撮影時に常時動きベクトルを検出し、その動きベクトルを使用するようにしてもよい。また、2フレームの画像データは、連続していてもよいし、連続していなくてもよい。
CPU100は、ステップS20で検出された動きベクトルが所定の閾値より小さいかどうかを判断する(ステップS21)。
ステップS20で検出された動きベクトルが所定の閾値より大きい場合(ステップS21でYES)は、被写体の動きが大きい場合(例えば、撮影シャッタスピードの期間中に被写体が画角内を1〜3%以上動いてしまう場合)であり、右撮像系11と左撮像系12とで撮影開始タイミング及び撮影終了タイミングが異なると、右撮像系11で撮影された被写体の位置と、左撮像系12で撮影された被写体の位置とが異なることとなるため、完全同期モードで撮影を行う(ステップS22)。図9は、完全同期モードにおけるパルス印加のタイミングを示すタイミングチャートである。
CPU100は、右撮像系撮像信号生成部130c及び左撮像系撮像信号生成部130dに指令を出し、右撮像系撮像信号生成部130c及び左撮像系撮像信号生成部130dは、撮像素子駆動部115及び撮像素子駆動部125へ駆動信号を同時に出力する。これにより、撮像素子駆動部115及び撮像素子駆動部125は電荷排出パルスを同時に停止し、撮像素子112の電子シャッタと撮像素子122の電子シャッタとが同時に開き、撮像素子112の露光と撮像素子122の露光とが略同時に開始する。
AEにより算出された露光時間経過後、CPU100は、右撮像系シャッタ信号生成部130a及び左撮像系シャッタ信号生成部130bに指令を出し、右撮像系シャッタ信号生成部130a及び左撮像系シャッタ信号生成部130bは、右メカシャッタ111dのシャッタモータ及び左メカシャッタ121dのシャッタモータへメカシャッタ駆動パルスを同時に出力する。これにより、右メカシャッタ111dと左メカシャッタ121dとが同時に閉じ、撮像素子112の露光と撮像素子122の露光とが略同時に終了する。
ステップS20で検出された動きベクトルが所定の閾値より大きくない場合(ステップS21でNO)には、比較的静止している被写体の場合であり、右撮像系11と左撮像系12とで撮影開始タイミング及び撮影終了タイミングが異なることによる影響は小さいため、メカシャッタ駆動パルスを意図的にずらした露光時間ずらしモードで撮影を行う(ステップS23)。図10は、露光時間ずらしモードにおけるパルス印加のタイミングを示すタイミングチャートである。
まず、CPU100は右撮像系撮像信号生成部130cに指令を出し、右撮像系撮像信号生成部130cが撮像素子駆動部115へ駆動信号を出力する。これにより、撮像素子駆動部115は電荷排出パルスを停止し、撮像素子112の電子シャッタが開き、撮像素子112の露光が開始する。
所定の時間(露光ずらし時間)経過後、CPU100は左撮像系撮像信号生成部130dに指令を出し、左撮像系撮像信号生成部130dは撮像素子駆動部125へ駆動信号を出力する。これにより、撮像素子駆動部125は電荷排出パルスを停止し、撮像素子122の電子シャッタが開き、撮像素子122の露光が開始する。
CPU100は、右撮像系シャッタ信号生成部130aに指令を出し、右撮像系シャッタ信号生成部130aは、右撮像系撮像信号生成部130cが撮像素子駆動部115へ駆動信号を出力してから、S1ON時にAE/AWB検出回路104が算出した露光時間が経過した後に右メカシャッタ111dが閉じるように、右メカシャッタ111dのシャッタモータへメカシャッタ駆動パルスを出力する。これにより、AE/AWB検出回路104が算出したシャッタスピードで撮像素子112が露光される。
CPU100は、左撮像系シャッタ信号生成部130bに指令を出し、左撮像系シャッタ信号生成部130bは、左撮像系撮像信号生成部130dが撮像素子駆動部125へ駆動信号を出力してから、S1ON時にAE/AWB検出回路104が算出した露光時間が経過した後に左メカシャッタ121dが閉じるように、左メカシャッタ121dのシャッタモータへメカシャッタ駆動パルスを出力する。これにより、撮像素子112の露光時間と所定の時間(露光ずらし時間)だけずれて、AE/AWB検出回路104が算出したシャッタスピードで撮像素子121が露光される。
本実施の形態では、露光ずらし時間を、メカシャッタ駆動パルスの出力時間より長くすることで、右メカシャッタ111dと左メカシャッタ121dとが同時に動作しないようにする。
メカシャッタの同時動作は、ピーク電力が大きくなり、電源への負荷、電源起因ノイズの観点からは好ましくない。そこで、被写体の動きが小さく、露光タイミングをずらしても問題ない場合には、露光時間ずらしモードにすることで、メカシャッタ同時動作に起因するバッテリー電圧低下、電圧変動によるノイズ重畳の影響を回避できる。
また、高速被写体の場合には撮像手段間の同時性(撮影開始タイミングや撮影終了タイミングが略同時であること)を優先し、そうでない場合はノイズや電力を優先するという切り替えを、ユーザが行うことなく、自動的に行うことができる。
(2)AE処理の結果(シャッタスピード)に応じて切り替えを行う場合
露光時間(シャッタスピード)が長い場合には、右撮像系11と左撮像系12との撮影開始タイミングや撮影終了タイミングが異なることで露光時間が異なったとしても、右撮像系11で撮影された被写体の位置と左撮像系12で撮影された被写体の位置との差は目立たず、影響は小さい。したがって、右撮像系11と左撮像系12で撮影開始タイミング及び撮影終了タイミング一致させることはそれほど重要でなく、メカシャッタ同時動作に起因するバッテリー電圧低下、電圧変動によるノイズ重畳の影響を回避すべきである。
図11は、シャッタスピードに応じて右撮像系11と左撮像系12のメカシャッタ駆動パルスを略同時に印加するか、意図的にずらして印加するかを切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
CPU100は、S1ON時にAE/AWB検出回路104が算出したシャッタスピードが所定の閾値より短いかどうかを判断する(ステップS24)。
S1ON時にAE/AWB検出回路104が算出したシャッタスピードが所定の閾値(例えば、1ミリ秒)より短い場合(ステップS24でYES)は、図9に示す完全同期モードで撮影を行う(ステップS22)。
S1ON時にAE/AWB検出回路104が算出したシャッタスピードが所定の閾値より短くない場合(ステップS24でNO)には、図10に示す露光時間ずらしモードで撮影を行う(ステップS23)。
これにより、シャッタスピードが十分長く、露光タイミングをずらしても問題ない場合には、露光タイミングをずらすことでメカシャッタ同時動作に起因するバッテリー電圧低下、電圧変動によるノイズ重畳の影響を回避できる。特に、露光時間が長い、すなわち高感度になりやすい被写体である場合にノイズ低減効果が高い。
また、露光時間が長い場合には撮像手段間の同時性(撮影開始タイミングや撮影終了タイミングが略同時であること)を優先し、そうでない場合はノイズや電力を優先するという切り替えを、ユーザが行うことなく、自動的に行うことができる。
(3)バッテリー残量に応じて切り替えを行う場合
右メカシャッタ111dと左メカシャッタ121dとを略同時に駆動すると、図9に示すように、右メカシャッタ111d、左メカシャッタ121dを1個だけ駆動する場合(図10参照)と比較して、メカシャッタ駆動による消費電力が倍になり、バッテリー電圧の変動幅(電圧降下)は倍以上となる。
そのため、バッテリー残量が少ないとき(例えば、バッテリーとしてリチウムイオン二時電池を用いる場合には、3.3V程度の低電圧の場合)に右メカシャッタ111dと左メカシャッタ121dとを略同時に駆動すると、複眼デジタルカメラ2の動作に支障をきたす虞がある。このような不具合は、低温時に顕著に現れる。
したがって、バッテリー残量が少ない場合には、メカシャッタ同時動作に起因する影響を回避すべきである。
図12は、バッテリー残量に応じて右撮像系11と左撮像系12のメカシャッタ駆動パルスを略同時に印加するか、意図的にずらして印加するかを切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
CPU100は、バッテリー残量検出部109aが出力した電圧を取得し(ステップS25)、ステップS25で取得した電圧が所定の閾値より高いかどうかを判断する(ステップS26)。
ステップS25で取得した電圧が所定の閾値より高い場合(ステップS26でYES)は、メカシャッタ同時動作が可能な場合であるため、図9に示す完全同期モードで撮影を行う(ステップS22)。
ステップS25で取得した電圧が所定の閾値より高くない場合(ステップS26でNO)には、メカシャッタ同時動作が可能でない場合であるため、図10に示す露光時間ずらしモードで撮影を行う(ステップS23)。
これにより、バッテリー残量が少なくメカシャッタ同時動作が可能でない場合には、露光タイミングをずらすことで、バッテリー電圧低下、電圧変動によるノイズ重畳の影響を回避できる。また、バッテリーを限界ぎりぎりまで使うことができる。
また、バッテリー残量が十分である場合には撮像手段間の同時性(撮影開始タイミングや撮影終了タイミングが略同時であること)を優先し、そうでない場合はノイズや電力を優先するという切り替えを、ユーザが行うことなく、自動的に行うことができる。
(1)〜(3)のようにして露光された撮像素子112及び撮像素子122は、露光により蓄積された記録用の画像信号をそれぞれCDS/AMP/AD変換部113、123に出力する。CDS/AMP/AD変換部113、123は、入力された画像信号に所定の信号処理を施して、輝度データと色差データとからなる画像データ(YUVデータ)を生成する。
CDS/AMP/AD変換部113、123で生成された画像データは、一旦DRAM103に格納されたのち、メディア記録制御部136に加えられる。メディア記録制御部136は、入力された画像データに対して所定の圧縮処理を施し、圧縮画像データを生成する。
圧縮された画像データは、メモリ部に格納され、所定フォーマットの静止画像ファイル(たとえば、Exif)として、メディア記録制御部136を介して記録メディア137に記録される。
本実施の形態によれば、複眼デジタルカメラの動作状況、被写体の状況、バッテリーの状況等に応じて、完全同期モード、露光時間ずらしモードを自動選択することができる。これにより、撮影状況を適切に判断し、可能な場合にはバッテリー電圧低下、電圧変動によるノイズ重畳の影響を低減した撮影動作をすることができる。
なお、本実施の形態において、完全同期モードと露光時間ずらしモードとを切り替える場合において、(1)〜(3)に記載のいずれかのみを用いるようにしてもよいし、複数の方法を組み合わせて用いるようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、メカ遅れは無いものとして説明したが、完全同期モードの場合には、第1の実施の形態に記載した方法を用いて、右撮像系11と左撮像系12の撮影開始タイミング及び撮影終了タイミングを一致させるようにしてもよい。
なお、本発明の適用は、撮像系が2つの複眼デジタルカメラに限定されるものではなく、2つ以上の撮像系をもつデジタルカメラ、ビデオカメラなどの各種撮像装置、携帯電話などに適用することができる。また、複眼デジタルカメラ等に適用するプログラムとして提供することもできる。