JP2010190826A - 電波反射装置、及び、光軸調整方法 - Google Patents

電波反射装置、及び、光軸調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーダ装置の光軸を調整するための作業スペースを縮小する。
【解決手段】電波反射装置2は、レーダ装置1と対向させて配設され、レーダ装置1から送出された電波信号を反射するものであって、レーダ装置1から送出された電波信号を反射する反射板214と、レーダ装置1の光軸と直行する方向に延設され、回動可能に配設された回転軸212と、回転軸212を回転駆動するモータ211と、を備え、反射板214が、回転軸212と直交する方向に立設されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えば、車両に搭載されたレーダ装置の光軸を調整する際に、該レーダ装置と対向させて配設され、該レーダ装置から送出された電波信号を反射する電波反射装置に関する。また、本発明は、例えば、車両に搭載されたレーダ装置の光軸を調整する光軸調整方法に関する。
従来、レーダ装置を介して検出された相対位置及び相対速度は、対向車両等の物体との衝突判断等に利用されるため、レーダ装置の光軸(又は、電波軸)を予め設定した所定の向きに正しく向けて配設する必要がある。一方、レーダ装置の光軸を調整するためには、その検出原理から、レーダ装置と基準反射体との距離が充分に大きい(例えば、5m以上離れている)必要がある(詳細は、図4等を用いて後述する)。また、基準反射体の周囲に、他の物体が存在しないことが要求される。
そこで、レーダ装置の光軸を調整するためには、広大な作業スペースが必要となるが、広大な作業スペースが確保できない場合がある。そこで、レーダ装置の光軸を調整するために必要な作業スペースを縮小するための種々の方法、装置等が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の検知軸調整方法では、基準反射体Rの更に前方に電磁波吸収体としての複数のタイヤTを積み重ね、レーダ装置から電磁波を放射して基準反射体Rがレーダ装置の検知エリアの基準位置となるようにレーダ装置の物体検知軸Arを調整する。そこで、電磁波を反射する物体が存在しない広い作業スペースを基準反射体Rの前方に確保する必要がなくなり、充分な広さの作業スペースが確保できない場合にも正確な調整作業を行うことが可能となる。
特開2003−240837号公報
しかしながら、特許文献1に記載の検知軸調整方法では、電磁波吸収体を配設によって基準反射体の周囲に存在する他の物体の影響が軽減されるが、依然として、レーダ装置と基準反射体との距離が充分に離間している必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、レーダ装置の光軸を調整するための作業スペースを縮小することの可能な電波反射装置、及び、光軸調整方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有している。第1の発明は、車両に搭載されたレーダ装置の光軸を調整する際に、該レーダ装置と対向させて配設され、該レーダ装置から送出された電波信号を反射する電波反射装置であって、前記レーダ装置から送出された電波信号を反射する反射手段と、前記反射手段を、前記レーダ装置と近接及び離間する向きの少なくともいずれか一方に移動させる駆動手段と、を備える。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記駆動手段が、予め設定された閾値速度以上の速度で、前記反射手段を移動させる。
第3の発明は、上記第2の発明において、前記閾値速度が、前記レーダ装置によって検出可能な物体との最短距離に基づいて設定される。
第4の発明は、上記第1の発明において、前記レーダ装置と前記反射手段との間に配設され、前記レーダ装置から送出された電波信号の内、前記反射手段によって反射されるべき電波信号を除く電波信号を吸収する電波吸収体を備える。
第5の発明は、上記第1の発明において、前記駆動手段が、前記レーダ装置の光軸と直行する方向に延設され、回動可能に配設された回転軸と、前記回転軸を回転駆動するモータと、を備え、前記反射手段が、前記回転軸に直交する方向に立設された少なくとも1枚の反射板を備える。
第6の発明は、上記第5の発明において、前記反射板が、平面状に形成された電波信号を反射する反射面を備え、前記反射面が、前記回転軸を含む平面の内、いずれか1つの平面内に含まれるべく配設される。
第7の発明は、上記第5の発明において、前記反射手段が、前記回転軸に直交する方向に立設された複数枚の反射板を備え、前記複数の反射板が、それぞれ、前記回転軸の軸中心から放射状に配設され、前記回転軸の軸中心を中心として点対称に配設される。
第8の発明は、上記第7の発明において、前記複数の反射板が、隣接する反射板のなす角を略同一とするべく配設される。
第9の発明は、上記第7の発明において、前記反射手段が、4枚以上の枚数の反射板を備える。
第10の発明は、上記第5の発明において、前記駆動手段が、前記回転軸に直交する方向に立設された支持部材を備え、前記反射板が、前記支持部材を介して前記回転軸に支持されている。
第11の発明は、上記第5の発明において、前記レーダ装置と前記反射板との間に配設され、前記レーダ装置から送出された電波信号を吸収する電波吸収体を備え、前記電波吸収体が、前記反射板が予め設定された所定の位置に存在する場合に限って、前記レーダ装置から送出された電波信号を通過させると共に、前記反射板によって反射された電波信号を通過させる切欠部を有する。
第12の発明は、上記第1の発明において、前記レーダ装置が、前記反射手段の移動によって発生するドップラー効果を検出可能に構成されたレーダ装置である。
第13の発明は、上記第12の発明において、前記レーダ装置が、FMCW(Frequency Modulation Continuous Wave)方式のレーダ装置である。
第14の発明は、車両に搭載されたレーダ装置の光軸を調整する光軸調整方法であって、前記レーダ装置に、請求項1〜請求項13のいずれかに記載の電波反射装置に向けて電波信号を送出させ、前記レーダ装置に、前記電波反射装置から送出される信号を反射信号として受信させ、該反射信号に基づいて前記レーダ装置の光軸を調整する。
上記第1の発明によれば、反射手段によって、前記レーダ装置から送出された電波信号が反射される。また、駆動手段によって、前記反射手段が、前記レーダ装置と近接及び離間する向きの少なくともいずれか一方に移動される。従って、該レーダ装置の光軸を調整するための作業スペースを縮小することができる。
すなわち、前記反射手段を前記レーダ装置と近接(又は離間)する向きに移動させる速度を適正な値に設定することによって、ドップラー効果を介して、前記レーダ装置にて受信される反射波を、前記レーダ装置から適正な距離(例えば、5m)だけ離間した反射体からの反射波と略同一の特性(例えば、周波数特性等)を有する反射波とすることができるため、前記電波反射装置を前記レーダ装置から充分な距離(例えば、5m)だけ離間させる必要がなくなるのである。
例えば、前記レーダ装置が、FMCW(Frequency Modulation Continuous Wave)方式のレーダ装置である場合には、送信波と受信波とのビート信号がノイズ(DCノイズ等)に埋もれないために(=正確な検出をするために)、該ビート信号が、所定の周波数以上である必要がある。そこで、前記反射手段を前記レーダ装置と近接(又は離間)する向きに移動させる速度を適正な値に設定することによって、ドップラー効果を介して、送信波と受信波とのビート信号の周波数を適正な値とすることができる(図8参照)ので、前記電波反射装置を前記レーダ装置から充分な距離(例えば、5m)だけ離間させる必要がなくなるのである。
上記第2の発明によれば、前記駆動手段によって、予め設定された閾値速度以上の速度で、前記反射手段が移動されるため、前記閾値速度を適正な値に設定することによって、ドップラー効果を介して、前記レーダ装置にて受信される反射波を、前記レーダ装置から適正な距離(例えば、5m)だけ離間した反射体からの反射波と略同一の特性(例えば、周波数特性等)を有する反射波とすることができる。従って、該レーダ装置の光軸を調整するための作業スペースを縮小することができる。
上記第3の発明によれば、前記閾値速度が、前記レーダ装置によって検出可能な物体との最短距離に基づいて設定されるため、前記閾値速度を適正な値に設定することができる。従って、該レーダ装置の光軸を調整するための作業スペースを縮小することができる。
すなわち、例えば、前記レーダ装置が、FMCW(Frequency Modulation Continuous Wave)方式のレーダ装置である場合には、送信波と受信波とのビート信号がノイズ(DCノイズ等)に埋もれないために(=正確な検出をするために)、該ビート信号が、所定の周波数以上である必要がある。そこで、前記レーダ装置によって検出可能な物体との最短距離に基づいて前記閾値速度を設定することによって、送信波と受信波とのビート信号の周波数を適正な値とすることができる(図8参照)のである。
上記第4の発明によれば、前記レーダ装置と前記反射手段との間に配設された電波吸収体によって、前記レーダ装置から送出された電波信号の内、前記反射手段によって反射されるべき電波信号を除く電波信号が吸収される。従って、該レーダ装置の光軸を更に正確に調整することができる。
すなわち、前記電波吸収体によって、前記レーダ装置から送出された電波信号の内、前記反射手段によって反射されるべき電波信号を除く電波信号(=不要な電波信号)が吸収されるため、不要な電波信号の反射等に伴うノイズの発生が抑制されるのである。
上記第5の発明によれば、前記レーダ装置の光軸と直行する方向に延設され回転軸が、モータによって回転駆動される。また、少なくとも1枚の反射板が、前記回転軸に直交する方向に立設されている。従って、簡素な構成で、前記反射板を前記レーダ装置と近接(又は離間)する向きに移動することができる。
上記第6の発明によれば、前記反射板が、平面状に形成された電波信号を反射する反射面を備え、前記反射面が、前記回転軸の軸中心を含む平面の内、いずれか1つの平面内に含まれるべく配設される。従って、前記反射面を適正な向きに移動することができる。
すなわち、前記回転軸が、前記レーダ装置の光軸と直行する方向に延設され、且つ、前記反射面が、前記回転軸の軸中心を含む平面の内、いずれか1つの平面内に含まれるべく配設されるため、前記反射面が前記回転軸と直交する回転位置において、前記反射面によって、前記レーダ装置から送出された電波信号が前記レーダ装置に向けて反射される。
上記第7の発明によれば、複数枚の反射板が、前記回転軸に直交する方向に立設される。また、前記複数の反射板が、それぞれ、前記回転軸の軸中心から放射状に配設され、前記回転軸の軸中心を中心として点対称に配設される。従って、前記回転軸をスムーズに回動させることができる。
すなわち、前記複数の反射板が、それぞれ、前記回転軸の軸中心から放射状に配設されるため、各反射板が回転することによって、前記回転軸に加わる遠心力は、前記回転軸に対してトルクを発生することがない。また、前記複数の反射板が、前記回転軸の軸中心を中心として点対称に配設されるため、回転することによって、各反射板からの遠心力が点対称に前記回転軸に加わる。そこで、前記複数の反射板からの遠心力による前記回転軸の軸振れの発生が抑制される。従って、前記回転軸をスムーズに回動させることができるのである。
上記第8の発明によれば、前記複数の反射板が、隣接する反射板のなす角を略同一とするべく配設される。そこで、各反射板からの遠心力が前記回転軸に均等に加わる。従って、前記回転軸を更にスムーズに回動させることができる。
上記第9の発明によれば、4枚以上の枚数の反射板を備えるため、前記レーダ装置から送出された電波信号を前記レーダ装置に向けて効率的に反射することができる。
上記第10の発明によれば、支持部材が、前記回転軸に直交する方向に立設され、前記反射板が、前記支持部材を介して前記回転軸に支持されている。従って、簡素な構成で、前記反射板を前記レーダ装置と近接(又は離間)する向きに効率的に移動することができる。
すなわち、前記回転軸の回転速度が一定であっても、前記支持部材が長い程、前記反射板が前記レーダ装置と近接(又は離間)する向きに移動する速度を大きくすることができるのである。
上記第11の発明によれば、前記レーダ装置と前記反射板との間に配設された電波吸収体によって、前記レーダ装置から送出された電波信号が吸収される。また、前記電波吸収体に形成された切欠部によって、前記反射板が予め設定された所定の位置に存在する場合に限って、前記レーダ装置から送出された電波信号が通過されると共に、前記反射板によって反射された電波信号が通過される。従って、該レーダ装置の光軸を更に正確に調整することができる。
すなわち、前記電波吸収体に形成された切欠部によって、前記レーダ装置から送出された電波信号の内、前記反射板が予め設定された所定の位置に存在する場合に前記反射板によって反射される電波信号(=光軸の調整に使用する電波信号)が通過される。一方、前記電波吸収体によって、その他の電波信号(=不要な電波信号)が吸収されるため、不要な電波信号の反射等に伴うノイズの発生が抑制されるのである。
上記第12の発明によれば、前記レーダ装置が、前記反射手段の移動によって発生するドップラー効果を検出可能に構成されたレーダ装置であるため、該レーダ装置の光軸を調整するための作業スペースを縮小することができる。
すなわち、前記反射手段を前記レーダ装置と近接(又は離間)する向きに移動させる速度を適正な値に設定することによって、ドップラー効果を介して、前記レーダ装置にて受信される反射波を、前記レーダ装置から適正な距離(例えば、5m)だけ離間した反射体からの反射波と略同一の特性(例えば、周波数特性等)を有する反射波とすることができるため、前記電波反射装置を前記レーダ装置から充分な距離(例えば、5m)だけ離間させる必要がなくなるのである。
上記第13の発明によれば、前記レーダ装置が、FMCW(Frequency Modulation Continuous Wave)方式のレーダ装置であるため、該レーダ装置の光軸を調整するための作業スペースを縮小することができる。
すなわち、前記レーダ装置が、FMCW(Frequency Modulation Continuous Wave)方式のレーダ装置であるため、送信波と受信波とのビート信号がノイズ(DCノイズ等)に埋もれないために(=正確な検出をするために)、該ビート信号が、所定の周波数以上である必要がある。そこで、前記反射手段を前記レーダ装置と近接(又は離間)する向きに移動させる速度を適正な値に設定することによって、ドップラー効果を介して、送信波と受信波とのビート信号の周波数を適正な値とすることができる(図8参照)ので、前記電波反射装置を前記レーダ装置から充分な距離(例えば、5m)だけ離間させる必要がなくなるのである。
上記第14の発明によれば、前記レーダ装置によって、請求項1〜請求項13のいずれかに記載の電波反射装置に向けて電波信号が送出される。また、前記レーダ装置によって、前記電波反射装置から送出される信号が反射信号として受信される。更に、この反射信号に基づいて前記レーダ装置の光軸が調整される。従って、前記レーダ装置の光軸を調整するための作業スペースを縮小することができる。
すなわち、前記電波反射装置において、前記反射手段を前記レーダ装置と近接(又は離間)する向きに移動させる速度を適正な値に設定することによって、ドップラー効果を介して、前記レーダ装置にて受信される反射波を、前記レーダ装置から適正な距離(例えば、5m)だけ離間した反射体からの反射波と略同一の特性(例えば、周波数特性等)を有する反射波とすることができるため、該レーダ装置の光軸を調整するための作業スペースを縮小することができるのである。
レーダ装置によって検出される相対位置及び相対速度の一例を示す平面図 レーダ装置が、距離R0及び相対速度Vd0を検出する方法の一例を説明するグラフ レーダ装置の光軸を調整する光軸調整方法の一例を示す平面図 電波反射装置に換えて反射板が配設されている場合に、レーダ装置によって検出される検出信号の一例を示すグラフ 電波反射装置の構成の一例を示す斜視図 図5に示す電波反射装置の平面図 図5に示す電波反射装置の側面図 図3に示すレーダ装置によって検出される検出信号の一例を示すグラフ レーダ装置において対向車両VR2の相対位置を規定する角θを検出する方法の一例を示す概念図
以下、図面を参照して本発明に係る電波反射装置の実施形態について説明する。本発明に係る電波反射装置は、車両に搭載されたレーダ装置の光軸を調整する際に、該レーダ装置と対向させて配設され、該レーダ装置から送出された電波信号を反射する電波反射装置である。まず、図1、図2を用いて、車両に搭載されたレーダ装置の検出方法の一例について説明する。
図1は、レーダ装置によって検出される相対位置及び相対速度の一例を示す平面図である。レーダ装置1は、図の上側へ走行している自車両VR1に搭載されており、その検出範囲内に、対向車両VR2が存在している。対向車両VR2は、自車両VR1の進行方向(図の上向き)に対して、角θだけ右側の位置を、ベクトルVの向き(図の左下向き)に走行している。
レーダ装置1から送出された電波信号は、直線WLに沿って空気中を伝搬して、対向車両VR2の捕捉点DPで反射する。そして、反射波が、再度、直線WLに沿って空気中を伝搬して、レーダ装置1で検出される。この場合に、レーダ装置1で検出される対向車両VR2(捕捉点DP)の相対位置を規定する距離R0は、図に示すように、レーダ装置1と、捕捉点DPとの間の距離である。なお、レーダ装置1で検出される対向車両VR2(捕捉点DP)の相対位置を規定する角θは、図9を用いて後述する方法で検出される。
また、レーダ装置1で検出される対向車両VR2(捕捉点DP)の相対速度Vd0は、次の(1)式で規定される。
Vd0=V×cosφ (1)
ここで、速度Vは、自車両VR1に対する対向車両VR2の相対速度であり、角φは、対向車両VR2の進行方向(速度ベクトルVの向き)と、直線WLとのなす角である。
図2は、レーダ装置1が、距離R0及び相対速度Vd0を検出する方法の一例を説明するグラフである。本実施形態では、レーダ装置1が、FMCW(Frequency Modulation Continuous Wave)方式のレーダ装置である場合について説明する。図2(a)は、レーダ装置1によって送信及び受信される信号の周波数の一例を示すグラフであり、横軸は時間Tであって、縦軸は周波数Fである。図2(b)は、受信信号及び送信信号によって生成されるビート信号の周波数の一例を示すグラフG10であり、横軸は時間Tであって、縦軸はビート信号の周波数FBである。
図2(a)において実線で示すグラフG0は、レーダ装置1から送出される送信波の一例を示すグラフである。図に示すように、レーダ装置1から送出される送信波は、周波数Fが直線状に増加及び減少を繰り返す変調波である。図2(a)において破線で示すグラフG10は、物体(ここでは、対向車両VR2:図1参照)によって反射された反射波の一例を示すグラフである。図に示すように、反射波(=受信波)は、距離R0だけ離間した位置にある物体(ここでは、対向車両VR2:図1参照)から反射された場合には、送信波に対して、2R0/c(ここで、光速c)だけ遅延するため、両者を混合すると、ビート波が生じる。そのビート波の周波数Frは、次の(2)式で求められる。
Fr0=2R0/c×a (2)
ただし、変調度aは、単位時間当たりの周波数の変化量である周波数変調度の絶対値であって、三角波で上下に変調する周波数差Fm、及び、その周波数差だけ掃引するのに要する時間Tmを用いて、次の(3)式で与えられる。
a=Fm/Tm (3)
一方、物体(ここでは、対向車両VR2:図1参照)が、レーダ装置1(自車両VR1)に対して相対的に移動している場合には、上記(2)式で示す距離R0による周波数ズレに加えて、ドップラー効果によって周波数シフトFv0が生じ、周波数シフトFv0は次の(4)式で与えられる。
Fv0=2Vd0/c×Fc (4)
ただし、Vd0:相対速度、Fc:送信波の中心周波数である。従って、三角波で周波数変調された送信波と受信波とを混合することによって、(2)式及び(4)式で、それぞれ、表される距離R0と相対速度Vd0とによるビート波を生じる。
例えば、三角波の上り勾配のとき(図2の時間T2〜時間T3の期間)のビート周波数Fu0は、次の(5)式で与えられる。
Fu0=Fr0−Fv0 (5)
一方、三角波の下り勾配のとき(図2の時間T0〜時間T1の期間)のビート周波数Fd0は、次の(6)式で与えられる。
Fd0=Fr0+Fv0 (6)
上記(2)〜(6)式を、距離R0及び相対速度Vd0について解くことによって、次の(7)式、(8)式が求められる。
R0=(Fd0+Fu0)/4/a×c (7)
Vd0=(Fd0−Fu0)/4/Fc×c (8)
そこで、レーダ装置1は、三角波による周波数変調の上り勾配と下り勾配との、それぞれのビート波の周波数Fu0、Fd0を検出することによって、それぞれ、(7)式及び(8)式を用いて、距離R0及び相対速度Vd0を求めることができる。
また、受信信号及び送信信号によって生成されるビート波の周波数Fu0、Fd0は、ビート波をDFT(Discrete Fourier Transform)法等を用いて周波数解析することによって求められる。図2(c)は、受信信号及び送信信号によって生成されるビート信号の周波数特性の一例を示すグラフG30であり、横軸はビート信号の周波数FBであって、縦軸は信号強度である。
図2(c)に示すように、ビート周波数Fu0及びFd0は、それぞれ、ビート信号の周波数特性におけるピークPu0、Pd0の周波数として検出される。なお、図2(c)に示すように、ビート信号には、いわゆるDC(直流)ノイズと呼ばれる、低周波のノイズ信号D0が含まれている。
このように、レーダ装置1が、FMCW方式のレーダで装置であるため、簡素な構成で物体(ここでは、対向車両VR2)との距離R0、及び、相対速度Vd0を検出することができる。また、本実施形態においては、レーダ装置1が、FMCW方式のレーダ装置である場合について説明するが、レーダ装置1が、物体(ここでは、対向車両VR2)の移動によって発生するドップラー効果を検出可能に構成された他の方式(例えば、パルス方式等)のレーダ装置である形態でも良い。
図3は、レーダ装置1の光軸を調整する光軸調整方法の一例を示す平面図である。図3(a)は側面図であり、図3(b)は平面図である。図に示すように、レーダ装置1からは、上下方向の拡がり角θ1、左右方向の拡がり角θ2の電波信号が前方(図の右側)に照射される。すなわち、レーダ装置1の検出範囲DAは、上下方向に拡がり角θ1、左右方向に拡がり角θ2で規定されるレーダ装置1を頂点とする四角錐状の領域である。図の一点鎖線で示すレーダ装置1の光軸は、拡がり角θ1、θ2の中心軸である。
また、図に示すように、本発明に係る光軸調整方法を行う場合には、レーダ装置1の前方に、レーダ装置1と対向する位置に、本発明に係る電波反射装置2が配設される。なお、電波反射装置2は、レーダ装置1から送出された電波信号を反射する装置である。ここでは、電波反射装置2が、レーダ装置1から距離R1の位置に配設されている。また、電波反射装置2の高さ方向の位置、及び、左右方向の位置は、レーダ装置1の光軸の基準位置と一致する位置に予め調整されて、配設されている。すなわち、図の一点鎖線で示すレーダ装置1の光軸上に、電波反射装置2が配設される。
そして、レーダ装置1に、電波反射装置2に向けて電波信号を送出させ、レーダ装置1に、電波反射装置2から送出される信号を反射信号として受信させ、この反射信号に基づいてレーダ装置1の光軸を調整する。すなわち、光軸の基準位置に配設された電波反射装置2からの反射信号が最大となるように、レーダ装置1の送出する電波信号の向きを調整するのである。
図4は、図3に示す電波反射装置2の位置に電波反射装置2に換えて、レーダ装置1(自車両VR1)に対して固定された反射板が配設されている場合に、レーダ装置1によって検出される検出信号の一例を示すグラフである。図4(a)は、レーダ装置1によって送信及び受信される信号の周波数の一例を示すグラフであり、横軸は時間Tであって、縦軸は周波数Fである。図4(b)は、受信信号及び送信信号によって生成されるビート信号の周波数の一例を示すグラフG21であり、横軸は時間Tであって、縦軸はビート信号の周波数FBである。
図4(a)において実線で示すグラフG0は、レーダ装置1から送出される送信波の一例を示すグラフである。図4(a)において破線で示すグラフG11は、反射板によって反射された反射波の一例を示すグラフである。図に示すように、反射波(=受信波)は、レーダ装置1から距離R1だけ離間した位置にある反射板(図3参照)で反射された場合には、送信波に対して、2R1/c(ここで、光速c)だけ遅延するため、両者を混合すると、ビート波が生じる。そのビート波の周波数Fr1は、次の(9)式で求められる。
Fr1=2R1/c×a (9)
ただし、変調度aは、単位時間当たりの周波数の変化量である周波数変調度の絶対値であって、三角波で上下に変調する周波数差Fm、及び、その周波数差だけ掃引するのに要する時間Tmを用いて、次の(10)式(便宜上、上記(3)式を再掲)で与えられる。
a=Fm/Tm (10)
一方、反射板は、レーダ装置1(自車両VR1)に対して固定されているため、ドップラー効果による周波数シフトは発生しない。従って、三角波で周波数変調された送信波と受信波とを混合することによって、上記(9)式で表される距離R1によるビート波を生じる。
また、三角波の上り勾配のときのビート周波数Fu1、三角波の下り勾配のときのビート周波数Fd1は、次の(11)式で与えられる。
Fu1=Fd1=Fr1 (11)
そこで、レーダ装置1は、三角波による周波数変調の上り勾配と下り勾配との、それぞれのビート波の周波数Fu1、Fd1を検出することによって、距離R1を求めることができる。
図4(c)は、受信信号及び送信信号によって生成されるビート信号の周波数特性の一例を示すグラフG31であり、横軸はビート信号の周波数FBであって、縦軸は信号強度である。図4(c)に示すように、ビート周波数Fu1及びFd1は、それぞれ、ビート信号の周波数特性におけるピークPu1、Pd1に対応している。しかしながら、図4(c)に示すように、ビート信号には、いわゆるDC(直流)ノイズと呼ばれる、低周波のノイズ信号D0が含まれており、ノイズ信号D0の影響を受けてピークPu1、Pd1を検出することができない。
すなわち、距離R1が、検出可能な最短距離(例えば、5m)より小さい(例えば、2mである)ため、ビート周波数Fu1及びFd1が小さく(=低周波数であり)、ノイズ信号D0が存在することに起因して、ピークPu1、Pd1を検出することができない。このため、従来は、レーダ装置1の光軸を調整するためには、広大な作業スペースが必要であった。すなわち、従来は、レーダ装置1と反射体との距離が充分に大きい(例えば、5m以上離れている)必要があったのである。
次に、図5〜図7を用いて本発明に係る電波反射装置2の構成の一例を説明する。図5は、電波反射装置2の構成の一例を示す斜視図である。図6は、図5に示す電波反射装置2の一例を示す平面図である。図7は、図5に示す電波反射装置2の一例を示す側面図である。また、図5〜図7には、それぞれ、説明に用いる3軸直交座標系を示している。図5〜図7で、右向きがX軸の正方向である。また、Y軸の正方向は、図5では、左上向きであって、図6では、上向きであって、図7では、紙面の裏面側向きである。更に、Z軸の正方向は、図5では、上向きであって、図6では、紙面の手前側向きであって、図7では、上向きである。
図に示すように、電波反射装置2は、電波反射装置本体21及び電波吸収体22を備えている。まず、図5〜図7を用いて電波反射装置本体21の構成について説明する。電波反射装置本体21は、レーダ装置1から送出された電波信号を反射するものであって、モータ211、回転軸212、支持部材213、及び、反射板214を備えている。
モータ211(駆動手段の一部に相当する)は、直流モータ等からなり、回転軸212を図に示す向き(図6では、時計回り)に角速度ωで回転駆動するものである。なお、ここでは、モータ211の駆動軸が回転軸212と直結されている場合について説明するが、モータ211の駆動軸と、回転軸212との間に、ギア、プーリ等が介設されている形態でも良い。
回転軸212(駆動手段の一部に相当する)は、レーダ装置1の光軸と直行する方向に延設され、回動可能に配設された円柱状の部材である。ただし、図6に示すように、回転軸212の軸心は、レーダ装置1の光軸とは交差していない(いわゆる、「ねじれ」の位置にある)ため、厳密にいうと、回転軸212の軸心は、図レーダ装置1の光軸と側面視(側面図である図7に示すように)直行する方向に延設されている。また、回転軸212の下端は、モータ211の駆動軸に連結され、モータ211によって駆動されて角速度ωで回動する。更に、回転軸212の上端近傍には、支持部材213を介して複数の(ここでは、4枚の)反射板214が放射状に立設されている。
支持部材213(駆動手段の一部に相当する)は、回転軸212に直交する方向に立設され、反射板214を支持する略円柱状の部材である。また、支持部材213は、一方端が回転軸212に固定され、他方端が、反射板214の端部に固定されている。図6に示すように、支持部材213は、回転軸212の軸中心から放射状に配設され、隣接する支持部材213は、互いに90度の方向に配設されている。
反射板214(反射手段に相当する)は、レーダ装置1から送出された電波信号を反射する部材であって、例えば、アルミニウム等の金属から形成されている。また、反射板214は、支持部材213を介して、回転軸212に直交する方向に立設されている。更に、ここでは、反射板214は、4枚の平板状の反射板214A、214B、214C、214Dからなる。加えて、図6に示すように、反射板214は、回転軸212の軸中心から放射状に立設され、反射板214は、回転軸212の軸中心を中心として点対称に配設されている。また、隣接する反射板214は、互いに90度の方向に配設されている。
また、各反射板214の中心位置から回転軸212の中心軸までの距離Rは、各反射板214が回転軸212の回転に伴ってレーダ装置1に対して近接する向きの速度V(図6、図7参照)を、予め設定された閾値速度Vsh以上とするべく設定されている。ここで、速度Vは、図6に示すように、各反射板214(ここでは、反射板214A)がレーダ装置1からの電波信号と直交する位置にあるときの、レーダ装置1に対する反射板214(正確には、反射板214の中心)の移動速度であって、次の(12)式で求められる。なお、例えば、距離Rは、0.5mに設定されている。
V=R×ω (12)
また、反射板214は、平面状に形成された電波信号を反射する反射面を備えている。
ここでは、反射面は、反射板214の回転方向前方側の面であって、例えば、図6に示す反射板214Aでは、左側の面である。また、図6に示す反射板214Bでは、下側の面であって、反射板214Cでは、右側の面であって、反射板214Dでは、上側の面である。各反射面は、回転軸212の軸中心を含む平面の内、いずれか1つの平面内に含まれるべく配設される。
このようにして、レーダ装置1の光軸と直行する方向に延設され回転軸212が、モータ211によって回転駆動され、反射板214が、回転軸212に直交する方向に立設されているため、簡素な構成で、反射板214をレーダ装置1と近接(又は離間)する向きに移動することができる。
本実施形態では、反射板214が回転軸212に直交する方向に立設されている場合について説明するが、反射板214が無端ベルト等に立設されている形態でも良い。この場合には、無端ベルトを、互いに平行に配設された2本の円筒状の回転軸に張架し、モータ等を用いて回転軸を回転駆動することによって、反射板214をレーダ装置1から送出される電波の進行方向と略平行に移動させることが可能となる。
また、回転軸212が、レーダ装置1の光軸と直行する方向に延設され、且つ、反射面(例えば、図6に示す反射板214Aの左側の面)が、回転軸212の軸中心を含む平面の内、いずれか1つの平面内に含まれるべく配設されるため、反射面が回転軸212と直交する回転位置(例えば、図6に示す反射板214Aの位置)において、反射面によって、レーダ装置1から送出された電波信号がレーダ装置1に向けて反射される。
本実施形態においては、反射面が、平板状の反射板214における一方側の面である場合について説明するが、反射板214は、平板状である必要はなく、その他の形状(例えば、三角錐状等)に形成されている形態でも良い。
更に、複数の(ここでは、4枚の)反射板214が、それぞれ、回転軸212の軸中心から放射状に配設されるため、各反射板214が回転することによって、回転軸212に加わる遠心力は、回転軸212に対してトルクを発生することがない。また、複数の(ここでは、4枚の)反射板214が、回転軸212の軸中心を中心として点対称に配設されるため、回転することによって、各反射板214からの遠心力が点対称に回転軸212に加わる。そこで、複数の(ここでは、4枚の)反射板214からの遠心力による回転軸212の軸振れの発生が抑制される。従って、回転軸212をスムーズに回動させることができる。
加えて、複数の(ここでは、4枚の)反射板214が、隣接する反射板のなす角を略同一とするべく配設されるため、各反射板214からの遠心力が回転軸212に均等に加わる。従って、回転軸212を更にスムーズに回動させることができる。
また、4枚以上の枚数の(ここでは、4枚の)反射板214を備えるため、レーダ装置1から送出された電波信号をレーダ装置1に向けて効率的に反射することができる。すなわち、回転軸212がモータ211によって回転駆動されることによって、図6に示すように、レーダ装置1から送出される電波信号の光軸の位置(=図6では、反射板214Aの位置)に、反射板214B、反射板214C、反射板214Dの順に、順次、各反射板214が移動される。そこで、レーダ装置1から送出された電波信号を、連続的に(又は断続的に)レーダ装置1に向けて反射することができるのである。
本実施形態では、4枚の反射板214が配設される場合について説明したが、反射板214の枚数は4枚以上であれば良い。反射板214の枚数が多い程、レーダ装置1から送出された電波信号を連続的にレーダ装置1に向けて反射することができるので、レーダ装置1から送出された電波信号をレーダ装置1に向けて効率的に反射することができる。ただし、反射板214の枚数が多い程、レーダ装置1から送出された電波信号が同時に複数枚の反射板214で反射されることになり、ノイズの原因となる場合がある。
更に、支持部材213が、回転軸212に直交する方向に立設され、反射板214が、支持部材213を介して回転軸212に支持されているため、簡素な構成で、反射板214をレーダ装置1と近接(又は離間)する向きに効率的に移動することができる。すなわち、上記(12)式に示すように、回転軸212の回転速度ωが一定であっても、支持部材213が長い程(=距離Rが大きい程)、反射板214がレーダ装置1と近接(又は離間)する向きに移動する速度Vを大きくすることができるのである。
本実施形態では、反射板214が、支持部材213を介して回転軸212に支持されている場合について説明するが、反射板214が、直接、回転軸212に立設されている形態でも良い。この場合には、電波反射装置2の構造が更に簡略化される。
次に、図5〜図7を用いて電波吸収体22の構成について説明する。電波吸収体22は、ゴム等からなり、レーダ装置1と電波反射装置本体21との間に配設されて、レーダ装置1から送出された電波信号を吸収するものであって、切欠部221を備えている。ここでは、電波吸収体22は、電波反射装置本体21の近傍のレーダ装置1側に配設されている。
切欠部221は、電波吸収体22が略方形状に切り欠かれて構成されている。また、切欠部221は、反射板214が予め設定された所定の位置(ここでは、図6に示す反射板214Aの位置)に存在する場合に限って、レーダ装置1から送出された電波信号を通過させると共に、反射板214(ここでは、図6に示す反射板214A)によって反射された電波信号を通過させる。
このようにして、電波吸収体22に形成された切欠部221によって、レーダ装置1から送出された電波信号の内、反射板214が予め設定された所定の位置(ここでは、図6に示す反射板214Aの位置)に存在する場合に反射板214(ここでは、反射板214A)によって反射される電波信号(=光軸の調整に使用する電波信号)が通過される。一方、電波吸収体22によって、その他の電波信号(=不要な電波信号)が吸収されるため、不要な電波信号の反射等に伴うノイズの発生が抑制される。
本実施形態では、電波吸収体22が、電波反射装置本体21近傍に配設されている場合について説明するが、電波吸収体22が、レーダ装置1と電波反射装置本体21との間に配設されている形態であれば良い。例えば、電波吸収体22が、レーダ装置1近傍に配設されている形態でも良い。この場合には、電波吸収体22の大きさを小さくすることができる。
また、本実施形態では、切欠部221が、反射板214と略同一のサイズに形成されている場合について説明するが、切欠部221が、反射板214と比較して小さく形成されている形態でも良い。すなわち、本実施形態では、レーダ装置1からの電波信号の内、該切欠部221を通過した電波信号が、図6に示す反射板214Aの全面で反射される。そして、反射板214Aの全面で反射された反射波の全てが、該切欠部221を通過してレーダ装置1に到達するべく形成されている。
切欠部221は以下に述べるように、反射板214と比較して小さく形成されている形態でも良い。すなわち、例えば、切欠部221が、レーダ装置1からの電波信号の内、光軸近傍の電波信号だけを通過させるサイズに形成されている形態でも良い。つまり、切欠部221が、図6に示す反射板214Aの位置に存在する反射板214の略中心部によって反射される一部の電波信号を通過させるサイズに形成されている形態でも良い。この場合には、レーダ装置1によって受信される反射波が、略同一の条件(略同一の移動速度の反射板214)で反射されたものとなるため、更に正確に光軸を調整することができる。
図8は、図3に示すレーダ装置1によって検出される検出信号の一例を示すグラフである。図8(a)は、レーダ装置1によって送信及び受信される信号の周波数の一例を示すグラフであり、横軸は時間Tであって、縦軸は周波数Fである。図8(b)は、受信信号及び送信信号によって生成されるビート信号の周波数の一例を示すグラフG22であり、横軸は時間Tであって、縦軸はビート信号の周波数FBである。
図8(a)において実線で示すグラフG0は、レーダ装置1から送出される送信波の一例を示すグラフである。図8(a)において太い破線で示すグラフG12は、図5〜図7に示す電波反射装置2によって反射された反射波の一例を示すグラフである。図8(a)において細い破線で示すグラフG11は、図4(a)に示す反射板によって反射された反射波の一例を示すグラフである。図に示すように、反射波(=受信波)は、距離R1だけレーダ装置1から離間した位置にある電波反射装置2(図3参照)で反射された場合には、送信波に対して、(2R1/c)(ここで、光速c)だけ遅延するため、両者を混合すると、ビート波が生じる。そのビート波の周波数Fr2は、次の(13)式で求められる。
Fr2=(2R1/c)×a (13)
ただし、変調度aは、単位時間当たりの周波数の変化量である周波数変調度の絶対値であって、三角波で上下に変調する周波数差Fm、及び、その周波数差だけ掃引するのに要する時間Tmを用いて、次の(14)式(便宜上、上記(3)式を再掲)で与えられる。
a=Fm/Tm (14)
一方、物体(ここでは、反射板214:図5〜図7参照)が、レーダ装置1(自車両VR1)に対して相対的に移動しているため、上記(13)式で示す距離R1による周波数ズレに加えて、上記(12)式で与えられる速度Vによるドップラー効果によって周波数シフトFv2が生じ、周波数シフトFv2は次の(15)式で与えられる。
Fv2=2V/c×Fc (15)
ただし、V:反射板214との相対速度、Fc:送信波の中心周波数である。従って、三角波で周波数変調された送信波と受信波とを混合することによって、(13)式及び(15)式で、それぞれ、表される距離R1と相対速度Vとによるビート波を生じる。
例えば、三角波の上り勾配のときのビート周波数Fu2は、次の(16)式で与えられる。
Fu2=Fr2−Fv2 (16)
一方、三角波の下り勾配のときのビート周波数Fd2は、次の(17)式で与えられる。
Fd2=Fr2+Fv2 (17)
図8(c)は、受信信号及び送信信号によって生成されるビート信号の周波数特性の一例を示すグラフG32であり、横軸はビート信号の周波数FBであって、縦軸は信号強度である。図8(c)に示すように、ビート周波数Fu2及びFd2は、それぞれ、ビート信号の周波数特性におけるピークPu2、Pd2に対応している。また、図4に示す場合とは異なり、ピークPu1、Pd1の周波数Fu2及びFd2が充分に高いので、ノイズ信号D0によって、その検出が妨げられることはない。
すなわち、距離R1が、検出可能な最短距離(例えば、5m)より小さい(例えば、2mである)場合であっても、電波反射装置2によるドップラー効果によって、周波数シフトFv2だけ反射波の周波数がシフトされるため、ビート周波数Fu2及びFd2が充分大きく、ノイズ信号D0によってピークPu2、Pd2の検出が妨げられることはない。従って、反射板に換えて電波反射装置2を用いることによって、レーダ装置1の光軸を調整するため必要な作業スペースを狭くすることができる。
ここで、周波数シフトFv2は、レーダ装置1によって検出可能な物体との最短距離RM(例えば、5m)に基づいて設定される。例えば、光軸調整時にレーダ装置1で検出されるビート波の周波数Fd2(上記(17)式参照)が、最短距離RMだけ離間した物体を検出する場合にレーダ装置1で検出されるビート波の周波数Fr以上となるように設定すれば良い。すなわち、次の(18)式を満たすべく、周波数シフトFv2を設定すれば良い。
(2R1/c)×a+2V/c×Fc≧
(2RM/c)×a (18)
上記(18)式を速度Vについて解くことによって、次の(19)式が得られる。
V≧(RM−R1)×a/Fc (19)
更に、上記(12)式を上記(19)式へ代入して、角速度ωについて解くことによって、次の(20)式が得られる。
ω≧(RM−R1)×a/(Fc×R) (20)
そこで、上記(20)式を満たすべく、角速度ωを設定すれば良い。
このように、角速度ω(又は、速度V)を、レーダ装置1によって検出可能な物体との最短距離RM(例えば、5m)に基づいて設定することによって、角速度ω(又は、速度V)を適正な値に設定することができる。すなわち、レーダ装置1によって検出可能な物体との最短距離RMに基づいて角速度ω(又は、速度V)を設定することによって、図8に示すように、送信波と受信波とのビート信号の周波数(ビート周波数Fu2及びFd2)を適正な値とすることができるのである。
図8は、レーダ装置1において対向車両VR2の相対位置を規定する角θ(図1参照)を検出する方法の一例を示す概念図である。図に示すように、レーダ装置1には、特性が略同一である受信アンテナ111、112が、図3に示す光軸と直交する方向に間隔Δd1だけ離間した状態で並べて配設されている。すなわち、受信アンテナ111、112は、略鉛直方向(又は、略水平方向)に並べて配設されている。ここでは、図1に示す角θを検出する場合について説明するため、受信アンテナ111、112は、略水平方向に並べて配設されている。
受信アンテナ111、112には、図の一点鎖線で示す光軸から角θをなす左側上方から対向車両VR2からの反射波が入射される。この場合には、受信アンテナ112に入射される反射波は、受信アンテナ111に入射される反射波に対して距離Δd2だけ遅れて入射される。ここで、距離Δd2は、受信アンテナ111、112の間隔Δd1を用いて次の(17)式で表される。
Δd2=Δd1×sinθ (21)
また、受信アンテナ112に入射される反射波は、受信アンテナ111に入射される反射波に対して、上記距離Δd2及び反射波の波長λを用いて、次の(22)式で表される位相差Δψだけ遅延して入射される。
Δψ=2π×Δd2/λ (22)
上記(21)式を(22)式に代入することによって、次の(23)式が得られる。
Δψ=2π×Δd1×sinθ/λ (23)
そこで、受信アンテナ112に入射される反射波の、受信アンテナ111に入射される反射波に対する位相差Δψを検出することによって、上記(23)式を用いて角θを求めることができる。なお、この方式は、位相比較モノパルス方式と呼ばれている。
なお、本発明に係る電波反射装置2及びレーダ装置1の光軸調整方法は、上記実施形態に限定されず、下記の形態でも良い。
(A)本実施形態においては、電波反射装置2が反射板214をレーダ装置1から接近する向きに移動させる場合(図5〜図7参照)について説明したが、電波反射装置2が反射板214をレーダ装置1に離間する向きに移動させる形態でも良い。
(B)本実施形態においては、レーダ装置1が、車両VR1の前方にある物体(ここでは、対向車両VR2)を検出する場合について説明したが、レーダ装置1が、車両VR1の周囲にある物体を検出する形態であれば良い。例えば、レーダ装置1が、車両VR1の後方にある物体を検出する形態でも良いし、レーダ装置1が、車両VR1の側方にある物体を検出する形態でも良い。
(C)本実施形態においては、レーダ装置1がFMCW方式のレーダ装置である場合について説明したが、レーダ装置1がドップラー効果を検出可能に構成されたその他の方式(例えば、ドップラー方式等)のレーダ装置である形態でも良い。
本発明は、例えば、車両に搭載されたレーダ装置の光軸を調整する際に、該レーダ装置と対向させて配設され、該レーダ装置から送出された電波信号を反射する電波反射装置に適用することができる。また、本発明は、例えば、車両に搭載されたレーダ装置の光軸を調整する光軸調整方法に適用することができる。
1 レーダ装置
111、112 受信アンテナ
2 電波反射装置
21 電波反射装置本体
211 モータ(駆動手段の一部)
212 回転軸(駆動手段の一部)
213 支持部材(駆動手段の一部)
214 反射板(反射手段)
214A、214B、214C、214D 反射板(反射手段)
22 電波吸収体
221 切欠部

Claims (14)

  1. 車両に搭載されたレーダ装置の光軸を調整する際に、該レーダ装置と対向させて配設され、該レーダ装置から送出された電波信号を反射する電波反射装置であって、
    前記レーダ装置から送出された電波信号を反射する反射手段と、
    前記反射手段を、前記レーダ装置と近接及び離間する向きの少なくともいずれか一方に移動させる駆動手段と、を備える電波反射装置。
  2. 前記駆動手段は、予め設定された閾値速度以上の速度で、前記反射手段を移動させる、請求項1に記載の電波反射装置。
  3. 前記閾値速度は、前記レーダ装置によって検出可能な物体との最短距離に基づいて設定される、請求項2に記載の電波反射装置。
  4. 前記レーダ装置と前記反射手段との間に配設され、前記レーダ装置から送出された電波信号の内、前記反射手段によって反射されるべき電波信号を除く電波信号を吸収する電波吸収体を備える、請求項1に記載の電波反射装置。
  5. 前記駆動手段は、
    前記レーダ装置の光軸と直行する方向に延設され、回動可能に配設された回転軸と、
    前記回転軸を回転駆動するモータと、を備え、
    前記反射手段は、前記回転軸に直交する方向に立設された少なくとも1枚の反射板を備える、請求項1に記載の電波反射装置。
  6. 前記反射板は、平面状に形成された電波信号を反射する反射面を備え、
    前記反射面は、前記回転軸の軸中心を含む平面の内、いずれか1つの平面内に含まれるべく配設される、請求項5に記載の電波反射装置。
  7. 前記反射手段は、前記回転軸に直交する方向に立設された複数枚の反射板を備え、
    前記複数の反射板は、それぞれ、前記回転軸の軸中心から放射状に配設され、前記回転軸の軸中心を中心として点対称に配設される、請求項5に記載の電波反射装置。
  8. 前記複数の反射板は、隣接する反射板のなす角を略同一とするべく配設される、請求項7に記載の電波反射装置。
  9. 前記反射手段は、4枚以上の枚数の反射板を備える、請求項7に記載の電波反射装置。
  10. 前記駆動手段は、
    前記回転軸に直交する方向に立設された支持部材を備え、
    前記反射板は、前記支持部材を介して前記回転軸に支持されている、請求項5に記載の電波反射装置。
  11. 前記レーダ装置と前記反射板との間に配設され、前記レーダ装置から送出された電波信号を吸収する電波吸収体を備え、
    前記電波吸収体は、前記反射板が予め設定された所定の位置に存在する場合に限って、前記レーダ装置から送出された電波信号を通過させると共に、前記反射板によって反射された電波信号を通過させる切欠部を有する、請求項5に記載の電波反射装置。
  12. 前記レーダ装置は、前記反射手段の移動によって発生するドップラー効果を検出可能に構成されたレーダ装置である、請求項1に記載の電波反射装置。
  13. 前記レーダ装置は、FMCW(Frequency Modulation Continuous Wave)方式のレーダ装置である、請求項12に記載の電波反射装置。
  14. 車両に搭載されたレーダ装置の光軸を調整する光軸調整方法であって、
    前記レーダ装置に、請求項1〜請求項13のいずれかに記載の電波反射装置に向けて電波信号を送出させ、
    前記レーダ装置に、前記電波反射装置から送出される信号を反射信号として受信させ、
    該反射信号に基づいて前記レーダ装置の光軸を調整する、光軸調整方法。
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WO2021181981A1 (ja) * 2020-03-10 2021-09-16 住友電気工業株式会社 電波センサを調整する方法、処理装置及びコンピュータプログラム

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