JP2010185363A - ターボファンエンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン本体とは別に設けられた出力部における出力を向上させることができるターボファンエンジンを提供すること。
【解決手段】本発明に係るターボファンエンジン1では、高圧タービン14と低圧タービン15との間から分岐されたダクトDが、エンジン本体部10とは別に設けられたリフトファン部20に接続されており、また、このダクトDにはバルブ25が設けられている。このバルブ25によってダクトDにガスが流れるよう調整することにより、燃焼器13で燃焼した高温高圧の燃焼ガスが高圧タービン14を通過した後、ダクトDを流れてリフトファン部20へ供給される。よって、リフトファン部20へ供給されるガスは燃焼後の高温のガスであるため、航空機のリフトファン部20における出力を向上させることができる。
【選択図】図3
【解決手段】本発明に係るターボファンエンジン1では、高圧タービン14と低圧タービン15との間から分岐されたダクトDが、エンジン本体部10とは別に設けられたリフトファン部20に接続されており、また、このダクトDにはバルブ25が設けられている。このバルブ25によってダクトDにガスが流れるよう調整することにより、燃焼器13で燃焼した高温高圧の燃焼ガスが高圧タービン14を通過した後、ダクトDを流れてリフトファン部20へ供給される。よって、リフトファン部20へ供給されるガスは燃焼後の高温のガスであるため、航空機のリフトファン部20における出力を向上させることができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、ターボファンエンジンに関する。
従来、航空機等に用いられるターボファンエンジンとして、例えば特開2003−206806号公報に記載されたターボファンエンジンがある。このターボファンエンジンでは、エンジン本体の圧縮機で圧縮された空気の一部を、エンジン本体とは分離して設けた出力部に供給することにより、この出力部にて例えば垂直離陸用の出力を得ている。
しかしながら、特許文献1に記載されたターボファンエンジンでは、その出力部を駆動するための空気を圧縮機の出口から抽気しているため、出力部へ供給される空気の温度が低く、得られる出力が小さいという問題があった。
そこで本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、エンジン本体とは別に設けられた出力部における出力を向上させることができるターボファンエンジンを提供することを目的とする。
すなわち本発明に係るターボファンエンジンは、エンジン本体部に高圧タービンと低圧タービンとを有するターボファンエンジンであって、エンジン本体部とは別に設けられた出力部と、高圧タービンと低圧タービンとの間から分岐されて出力部へ接続されるガス流路と、ガス流路に設けられ、ガス流路を流れるガスの流量を調整する流量調整手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るターボファンエンジンによれば、高圧タービンと低圧タービンとの間から分岐されたガス流路が、エンジン本体部とは別に設けられた出力部に接続されており、また、このガス流路には流量調整手段が設けられている。この流量調整手段によってガス流路にガスが流れるよう調整することにより、エンジン本体部で燃焼したガスが高圧タービンを通過した後、ガス流路を流れて出力部へ供給される。よって、出力部へ供給されるガスは燃焼後の高温のガスであるため、出力部における出力を向上させることができる。
また、本発明に係るターボファンエンジンは、航空機のエンジンとして用いられ、出力部は航空機のリフトファンであり、流量調整手段は、航空機の離陸時には、航空機の巡航時よりも開度を大きくすることが好ましい。
この発明によれば、航空機のリフトファンにおいて出力を向上させることができる。また、航空機の離陸時には、巡航時よりも流量調整手段の開度が大きくされてリフトファンへ供給されるガスの流量が増えるため、巡航速度が小さい状態でも揚力を得ることができ、短距離離陸や垂直離陸が可能となる。
また、本発明に係るターボファンエンジンにおいて、低圧タービンは、その前段に開閉可能な可変静翼を有し、可変静翼によって低圧タービンを流れるガスの流量を調整することが好ましい。
この発明によれば、低圧タービンの前段に設けられた可変静翼の開閉によって低圧タービンを流れるガスの流量を調整できるため、流量調整手段によるガス流路の流量調整と合わせて、エンジン本体部や出力部における出力をより好適に制御できる。
本発明に係るターボファンエンジンによれば、エンジン本体とは別に設けられた出力部における出力を向上させることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、実施形態に係るターボファンエンジンを示す概略断面図である。図1に示すように、ターボファンエンジン1は、航空機に搭載されてそのエンジンとして用いられるものであり、エンジン本体部10と、リフトファン20とを備えて構成されている。
エンジン本体部10は、航空機の主翼に取り付けられて航空機の推力源となるものであり、フロントファン11、高圧コンプレッサ12、燃焼器13、高圧タービン14、低圧タービン15、及び噴出ノズル16を主要な構成要素として有している。高圧コンプレッサ12、燃焼器13、高圧タービン14、及び低圧タービン15は、エンジンケーシング17の内部に取り付けられており、ガスタービンとしての機能を有している。
フロントファン11は、エンジン本体部10の前部に配置されており、エンジン本体部10の後部に設けられた低圧タービン15と低速軸18により連結され、低圧タービン15と共に回転可能な構成とされている。このフロントファン11は、低圧タービン15により駆動されて、その回転によって空気をエンジン本体部10に取り込み、また、後方に排気することで推力を生じる機能を有している。
高圧コンプレッサ12は、フロントファン11の後方に配置された圧縮機であり、低圧タービン15の前段に設けられた高圧タービン14と、低速軸18の周りに回転可能に配置された高速軸19により連結され、高圧タービン14と共に回転可能な構成とされている。この高圧コンプレッサ12は、高圧タービン14により駆動されて、エンジンケーシング17内に流入した空気を圧縮し、その圧縮空気を後段の燃焼器13へ供給する機能を有している。
燃焼器13は、高圧コンプレッサ12と高圧タービン14との間に配置されており、燃料噴射部や燃焼室等を備えて構成されている。この燃焼器13は、高圧コンプレッサ12からの圧縮空気に燃料を混合させ、その混合気を燃焼させることにより、高温高圧の燃焼ガスを高圧タービン14へ供給する機能を有している。
高圧タービン14は、燃焼器13の後段に配置された複数段のタービンであり、回転可能な本体の外周面上に、動翼としての高圧タービンロータ14aを備えている。また、エンジンケーシング17の内側に、高圧タービンロータ14aに対応する静翼としての高圧タービンノズル14bを備えている。この高圧タービン14は、燃焼器13から供給された高温高圧の燃焼ガスを導入し、その圧力により高圧タービンロータ14aが回転すると共に高速軸19を回転させ、高圧コンプレッサ12を駆動する機能を有している。
低圧タービン15は、高圧タービン14の後段に配置された複数段のタービンであり、回転可能な本体の外周面上に、動翼としての低圧タービンロータ15aを備えている。また、エンジンケーシング17の内側に、低圧タービンロータ15aに対応する静翼としての低圧タービンノズル15bを備えている。この低圧タービン15は、高圧タービン14から排出された高温の燃焼ガスを導入し、その圧力により低圧タービンロータ15aが回転すると共に低速軸18を回転させ、フロントファン11を駆動する機能を有している。
さらに、この低圧タービン15は、その低圧タービンノズル15bの最前段に、可変静翼を有している。図2には、低圧タービンノズル15bの可変静翼15ba及び低圧タービンロータ15aを示している。図2に示すように、可変静翼15baは、回転軸15bcに対して所定の範囲を回動することにより、開閉可能とされている。
この可変静翼15baは、「開」の状態(図2の実線)では、低圧タービンノズル15bと低圧タービンロータ15aとの間隙に、高圧タービン14から排出された高温の燃焼ガスが流入することを許容する。また、「閉」の状態(図2の仮想線)では、低圧タービン15のガス流路を閉じることによりその燃焼ガスの流入を遮断する。この可変静翼15baの開度は、適宜制御可能とされている。このように、可変静翼15baは、低圧タービン15を流れる燃焼ガスの流量を調整する機能を有している。
図1に戻り、噴出ノズル16は、エンジンケーシング17の最後部に設けられた静翼であり、低圧タービン15から排出された排気ガスを整流し、後方に向けて噴出する。
リフトファン部20は、エンジン本体部10とは別に設けられた出力部であり、ガス流路であるダクトDによってエンジン本体部10に接続されている。このリフトファン部20は、例えば機体や主翼の下部等に取り付けられて、下方向に向けて空気を送ることにより、垂直方向の推力、すなわち揚力を生じるものである。リフトファン部20は、リフトファン駆動タービン21及びリフトファン22を主要な構成要素として有している。これらは、リフトファンケーシング23の内部に取り付けられている。
リフトファン駆動タービン21は、回転可能な本体の外周面上に、動翼としてのリフトファン駆動タービンロータ21bを備えている。また、リフトファンケーシング23の内側に、リフトファン駆動タービンロータ21bに対応する静翼としてのリフトファン駆動タービンノズル21aを備えている。このリフトファン駆動タービン21は、ダクトDを通してエンジン本体部10から供給される燃焼ガスを導入し、その圧力によりリフトファン駆動タービンロータ21bが回転することにより、リフトファン22を駆動する機能を有している。
リフトファン22は、リフトファン駆動タービン21と共に回転可能に連結されている。このリフトファン22は、リフトファン駆動タービン21により駆動されて、その回転によって空気を下方に向けて排出することにより、揚力を生じる機能を有している。
ここで、エンジン本体部10とリフトファン部20とを接続するダクトDの入口部Daは、エンジン本体部10の高圧タービン14と低圧タービン15との間の部分に設けられている。言い換えれば、ダクトDは、高圧タービン14と低圧タービン15との間から分岐されて設けられている。さらに言い換えれば、ダクトDは、低圧タービン15をバイパスして設けられている。一方、ダクトDの出口部Dbは、リフトファン部20のリフトファンケーシング23内に挿入されている。
また、ダクトDには、ダクトDを流れる燃焼ガスの流量を調整する流量調整手段としてのバルブ25が設けられている。このバルブ25の開度は、適宜制御可能とされている。このバルブ25は、ダクトDを流れる燃焼ガスの流量を調整する機能を有している。
このようなリフトファン部20では、バルブ25を開けることにより、高圧タービン14から排出された高温の燃焼ガスがダクトDを通してリフトファン駆動タービン21へ供給され、その圧力によりリフトファン駆動タービンロータ21bが回転することにより、リフトファン22が駆動され、揚力が発生する。
以上の構成を備えたターボファンエンジン1の動作について、以下に説明する。図3はターボファンエンジン1の離陸時の状態を、図4はターボファンエンジン1の巡航時の状態を示している。
まず、図3に示す離陸時の状態では、可変静翼15baを全閉とし、バルブ25を全開とする。この状態でエンジン本体部10を稼働させると、エンジン本体部10は、燃焼器13において燃料を燃焼し、高温高圧の燃焼ガスを高圧タービン14へ供給する。なお、図3では、全閉状態である可変静翼15baは、黒く塗りつぶして示している。
高圧タービン14は、燃焼器13から供給された高温の燃焼ガスを導入し、高圧タービンロータ14aを回転すると共に高速軸19を回転させ、高圧コンプレッサ12を駆動する。高圧コンプレッサ12は、高圧タービン14により駆動されて、エンジンケーシング17内に流入した空気を圧縮して燃焼器13へ供給する。
一方、高圧タービン14から排出された高温の燃焼ガスは、可変静翼15baが全閉とされているために低圧タービン15へは流入せず、ダクトDを通してリフトファン部20のリフトファンケーシング23内に流入する。この高温の燃焼ガスにより、リフトファン駆動タービン21が回転すると共にリフトファン22が回転し、機体を垂直方向に離陸させる揚力が発生する。この揚力によって、機体は垂直方向に離陸可能となる。
さらに、可変静翼15baを漸次開けると共に、バルブ25は漸次閉じるように制御する。こうして、高圧タービン14から排出された高温の燃焼ガスは、低圧タービン15へも流入するようになり、低圧タービン15が回転すると共にフロントファン11が回転する。このフロントファン11の回転によって、機体を前方に加速する推力が発生して巡航速度が増大すると共に、主翼における揚力も増大する。一方、リフトファン22において発生する揚力は減少する。
そして、航空機が所定の高度に到達して図4に示す巡航状態となると、可変静翼15baは全開とし、バルブ25は全閉とする。このようにすると、高圧タービン14から排出された高温の燃焼ガスは低圧タービン15へすべて流入し、フロントファン11で発生する推力が増大する。なお、図4では、全閉状態であるバルブ25は、黒く塗りつぶして示している。
また、この巡航時において航空機の推力を調整する場合、可変静翼15baの開度を適宜調整し、低圧タービン15を流れる燃焼ガスの流量を調整することにより、低圧タービン15及びフロントファン11の回転を制御し、空力要素を高効率に維持して巡航することができ、燃費を改善できる。また、推力の損失を無くすことができる。
このように、本実施形態のターボファンエンジン1では、高圧タービン14と低圧タービン15との間から分岐されたダクトDが、エンジン本体部10とは別に設けられたリフトファン部20に接続されており、また、このダクトDにはバルブ25が設けられている。このバルブ25によってダクトDにガスが流れるよう調整することにより、燃焼器13で燃焼した高温高圧の燃焼ガスが高圧タービン14を通過した後、ダクトDを流れてリフトファン部20へ供給される。よって、リフトファン部20へ供給されるガスは燃焼後の高温のガスであるため、航空機のリフトファン部20における出力を向上させることができる。
また、本実施形態のターボファンエンジン1では、バルブ25は、航空機の離陸時には、航空機の巡航時よりも開度が大きくされる。これにより、航空機の離陸時には、巡航時よりもバルブ25の開度が大きくされてリフトファン部20へ供給される燃焼ガスの流量が増えるため、巡航速度が小さい状態でも揚力を得ることができ、短距離離陸や垂直離陸が可能となる。
また、上記作用効果に伴って、離陸時の滑走距離を短くすることができる。さらには、着陸時においても、着陸進入速度が速くなりすぎることを抑制できる。
また、本実施形態のターボファンエンジン1では、低圧タービン15の前段に設けられた可変静翼15baの開閉によって低圧タービン15を流れる燃焼ガスの流量を調整できるため、バルブ25によるダクトDの流量調整と合わせて、エンジン本体部10やリフトファン部20における出力をより好適に制御できる。
従来のリフトファンには、エンジン本体部10のファンの排気をリフトファンへ導入することによりリフトファンでの出力を得るものもあった。しかしながら、このようなリフトファンでは、ファンの排気は圧力が低く、ダクトを流れる流体の体積が非常に大きいため、ダクトが極めて大きくなるという問題があった。本実施形態のターボファンエンジン1によれば、従来のリフトファンよりも高圧で体積の小さい燃焼ガスを利用するため、ダクトDを小さくでき、ダクトDの取り回しが容易になる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明に係るターボファンエンジンは、上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、離陸時には可変静翼15baを全閉としバルブ25を全開とする場合について説明したが、これらの開度は機体の状態に応じて適宜調整すればよく、例えば両方を半開としてフロントファン11とリフトファン22とを両方駆動してもよい。
また、上記実施形態では、航空機の機体や主翼の下部等にリフトファン部20を設ける場合について説明したが、図5に示すように主翼の後部にフラップ型高揚力装置40を設け、ダクトDをフラップ型高揚力装置40に接続することにより揚力を得てもよい。さらには、本発明の出力部は、揚力を生じるものに限られず、例えば姿勢制御用の出力部であってもよいし、フロントファンとは異なる飛行速度に最適化された別の推進用ファンであってもよい。
また、上記実施形態では、航空機のエンジンとして用いられる場合について説明したが、本発明のターボファンエンジンは他の輸送機器等に用いられてもよく、輸送機器以外の産業用として用いられてもよい。
1,30…ターボファンエンジン、10…エンジン本体部、14…高圧タービン、15…低圧タービン、15ba…可変静翼、20…リフトファン部(出力部)、25…バルブ(流量調整手段)、40…フラップ型高揚力装置(出力部)、D…ダクト(ガス流路)。
Claims (3)
- エンジン本体部に高圧タービンと低圧タービンとを有するターボファンエンジンであって、
前記エンジン本体部とは別に設けられた出力部と、
前記高圧タービンと低圧タービンとの間から分岐されて前記出力部へ接続されるガス流路と、
前記ガス流路に設けられ、前記ガス流路を流れるガスの流量を調整する流量調整手段と、
を備えることを特徴とするターボファンエンジン。 - 航空機のエンジンとして用いられ、
前記出力部は前記航空機のリフトファンであり、
前記流量調整手段は、前記航空機の離陸時には、前記航空機の巡航時よりも開度を大きくする、
請求項1記載のターボファンエンジン。 - 前記低圧タービンは、その前段に開閉可能な可変静翼を有し、
前記可変静翼によって前記低圧タービンを流れるガスの流量を調整する、
請求項1又は2記載のターボファンエンジン。
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