JP2010185222A - 浸透管付き側溝 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ないスペースで施工することができ、かつ大量の雨水にも確実に対応できるようにした、より改良された浸透管付き側溝を得る。
【解決手段】雨水を受け入れる側溝20と側溝内に雨水流入部32を持つ垂直方向に伸びる浸透管30とを備えた浸透管付き側溝10において、浸透管付き側溝10は側溝20内の雨水が流入可能な浸透槽40をさらに備える。そして、側溝20と浸透槽40とは雨水流入管50により接続されており、雨水流入管50の側溝20への接続部51は、側溝20に接続する浸透管30の雨水流入部32よりも上位に位置している。
【選択図】図1

Description

本発明は、浸透管付き側溝に関する。
車道や駐車場、グランドなどに溜まる雨水を処理するために、道路端部等に側溝を設置することが行われる。また、側溝に流入した雨水等を河川に運び込むだけでなく、側溝付近の地中に雨水を浸透させるようにした側溝も知られており、特許文献1には、側溝の一部である集水桝の底部に、周壁に複数の浸透孔を有する浸透管を地中垂直方向に配置した浸透管付き側溝が記載されている。また、特許文献2には、集水桝と雨水を貯留する槽とを備え、雨水を貯留槽に導入する際、水平方向に配置した浸透管を経由して導入するようにした浸透管付き槽が記載されている。
また、地中に比較的中小規模の浸透貯水槽を構築する場合や、浸透貯水槽を設置する場所の地盤が軟弱地盤の場合に、樹脂材料からなる貯水空間形成部材を多段に積み上げ、その周囲を透水シートで覆って浸透槽とすることも知られている(例えば、特許文献3,4等)。
特開2006−118265号公報 特開2002−266414号公報 特開平11−36383号公報 特開2008−8075号公報
特許文献1に記載される形態の浸透管付き側溝は、雨水の一部を地中に浸透させることで、街路樹への給水等も行うことができる利点がある。しかし、浸透管の浸透量を超える雨水を処理することができないので、短時間で大量の雨が降ったようなときに、多くの雨水を下流へ流し出してしまうか、もしくは雨水が側溝から溢れ出るのを避けられない。特許文献2に記載の浸透管付き槽構造を側溝に用いる場合には、雨水を槽内に一時的に貯留できる利点がある。しかし、浸透管を水平方向に配置するための広い設置面積を必要とするので、道路脇に設置する側溝構造としては適切でない。また、一時的に大量の雨水が浸透管内に流入したときに、浸透管内にすでに堆積している砂等を槽内へ押し流す恐れもあり、その場合、槽内に堆積した砂等の堆積物を除去するための困難なメンテナンス作業が必要となる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、短時間で大量の雨が降った場合でも、雨水を下流に流し出すことなく適切に処理することができ、かつ砂等の堆積物が内部に堆積した場合でも、容易にそれを除去することができ、それによりメンテナンス作業を簡素化することもできる、より改良された浸透管付き側溝を提供することを課題とする。
本発明による浸透管付き側溝は、雨水を受け入れる側溝と前記側溝内に雨水流入部を持つ垂直方向に伸びる浸透管とを備えた浸透管付き側溝であって、前記側溝内の雨水が流入可能な浸透槽をさらに備え、前記側溝と前記浸透槽とは雨水流入管により接続されており、前記雨水流入管の前記側溝への接続部は前記側溝に接続する浸透管の前記雨水流入部よりも上位に位置していることを特徴とする。
本発明による浸透管付き側溝では、雨水の量が少ない場合には、側溝に流入する雨水は浸透管に入り込み、そこから地中に浸透していく。大量の雨水が側溝に流入し、浸透管での処理量を超えたときには、超えた分の雨水は、雨水流入管を通って浸透槽内に流入する。それにより、大量の雨水が下流に流れること、あるいは側溝を超えて溢れ出ることを回避することができる。
また、本発明による浸透管付き側溝では、前記雨水流入管の側溝への接続部は、側溝に接続する前記浸透管の雨水流入部よりも上位に位置しているので、結果的に浸透管を溢流した雨水(溢流水)が浸透槽に流入することとなる。そのために、雨水中に含まれる砂等が雨水とともに浸透槽に流入するのを効果的に阻止することができる。
浸透管内に砂等の堆積物が堆積し、雨水が地中へ浸透する機能が低下したときには、垂直方向に伸びる浸透管内に真空引きできる吸引管を挿入することで、容易に浸透管内を清掃することができる。前記のように、雨水を一時的に貯留する浸透槽内に砂等が入り込むのは抑制されるので、浸透槽の清掃作業はほぼ不必要であり、全体としてのメンテナンス作業は容易である。
さらに、本発明による浸透管付き側溝では、施工に際して、側溝と当該側溝内の雨水が流入可能な浸透槽とを設置するスペースを実質的に確保できればよく、スペース的にも有利である。
本発明による浸透管付き側溝の好ましい態様において、前記雨水流入管は、前記側溝への接続部から上方に向かう部分と前記上方に向かう部分の端部から下方に向かう部分とで構成されていることを特徴とする。この態様では、雨水中の砂等が前記浸透槽内に入り込むのを一層確実に阻止することができる。
本発明による浸透管付き側溝の好ましい態様において、前記浸透管は雨水流入側が二重管構造となっており、内側の管は周壁に浸透孔のないめくら管であることを特徴とする。浸透管には周壁に複数の浸透孔を有する管が用いられるが、上記の態様では、二重管を構成する内側管は周壁に浸透孔のない管を用いる。この態様では、砂等を含んだ雨水をそのまま内側管下端まで送り込むことができ、浸透管の入り口部分の周壁に砂等が堆積するのを回避することができる。それにより、雨水中の砂等が前記浸透槽内に入り込むのを一層確実に阻止することができる。
本発明による浸透管付き側溝の好ましい態様において、前記浸透管および雨水流入管の雨水入り口にはフィルタが取り付けられる。フィルタはビニール袋や落ち葉などの大きなゴミが浸透管および雨水流入管に入り込むのを阻止するのを主たる目的とするものであり、雨水の流れに対して大きな抵抗とならないメッシュのものが望ましい。フィルタが水の流れに対して大きな抵抗を持つと、浸透管および雨水流入管への雨水の流入が滞ってしまい、雨水が溢れ出る恐れがあるので好ましくない。
なお、本発明において「浸透槽」とは、槽内に一旦貯留した水が周囲の浸透性シートを通過して地中に自然排出される構成の槽を総称しており、浸透槽の内部構造は任意である。一例として、樹脂製の貯水空間形成部材を多段に積み上げて形成し、全体を不織布のような浸透シートで覆ったものが挙げられる。なお、前記した樹脂製の貯水空間形成部材には、例えば上記した特許文献3あるいは4に記載されるような、従来の地中貯水槽を形成するのに用いられている樹脂製の貯水空間形成部材を適宜用いることができる。
本発明によれば、少ないスペースで施工することができ、かつ大量の雨水にも確実に対応できるようにした、より改良された浸透管付き側溝が得られる。
本発明による浸透管付き側溝の一形態を示す模式的図。 本発明による浸透管付き側溝の他の形態を示す模式的図。 本発明による浸透管付き側溝のさらに他の形態を示す模式的図。 浸透管付き側溝をメンテナンスするときの作業態様の一例を説明する図。 浸透槽を構成する樹脂製の貯水空間形成部材の一例を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。図1〜図3は本発明による浸透管付き側溝の異なる形態をそれぞれ示しており、図4は浸透管付き側溝をメンテナンスするときの作業態様の一例を示している。また、図5は浸透槽を構成する樹脂製の貯水空間形成部材の一例を示している。
図1に示す浸透管付き側溝10において、浸透管付き側溝10は、断面U字状の側溝20と、前記側溝20内に雨水流入部としての開口部32を持つ垂直方向に伸びる浸透管30と、浸透槽40と、前記側溝10と前記浸透槽40とを接続する雨水流入管50とを備える。
断面U字状の側溝20は従来知られたものであってよい。周囲の環境によっては、透水性のコンクリートで作られた側溝を用いることもできる。側溝20の底部には、側溝の路線方向(図1で紙面に垂直な方向)に沿い所定の間隔をおいて、前記した複数本の浸透管30が取り付けられている。各浸透管30は、周壁に多数の浸透孔31を有しており、浸透管30内に入り込んだ雨水は、該浸透孔31を通って地中に浸透していく。各浸透管30の雨水流入部としての上端側の開口部32は、U字型側溝20の流水空間内、すなわち側溝20の底面から所要距離Sだけ上昇した箇所に位置している。
前記浸透管30は、耐食性と所要の耐圧縮性を備えることを条件に適宜の材料で作ることができる。例として、樹脂管、繊維強化樹脂管、ステンレス等の金属管などが挙げられる。
前記浸透槽40は、雨水を一時的に貯留でき、かつ時間とともに貯留水を地中に浸透させることができる形態のものであれば任意のものを用いることができる。この例では、図5に示すように、樹脂製の貯水空間形成部材41の多数枚を積層した積層体45を用い、その周囲を不織布のような透水性シート46で覆うことによって、浸透槽40を形成している。なお、図1において、47は浸透槽40を安定させるための砕石等からなる基礎材である。また、前記浸透槽40は、側溝20に近接した場所に、側溝20の路線方向に所定の間隔をおいて必要個数が地中に設置される。
図示の例において、前記貯水空間形成部材41は、多数枚の縦方向構造体42が断面ハ字状にかつ山形をなすようにして連続した形状をなしている。貯水空間形成部材41は、全体としての上面と下面は実質的に平行をなしており、隣接する縦方向構造体42の上端縁同士は、長手方向に凹部と凸部を有する上端面43で接続し、下端縁同士は、上端面43に形成された凸部の領域が入り込むことのできる開口を有する下端面で連続している。貯水空間形成部材41は、図5に示すように、90度向きを変えながら多段に積み上げられて積層体45とされ、積層体45における各縦方向構造体42の間に存在する空間が貯水空間として利用される。
前記側溝20と前記した各浸透槽40とは前記雨水流入管50により接続される。その際に、雨水流入管50が前記側溝20に接続する接続部51が、図1に示すように、側溝20に接続した前記浸透管30の雨水流入部である上端開口部32よりも上位に位置するように接続する。雨水流入管50の他方端は各浸透槽40の上面の適宜位置に接続すればよい。
図1に示す例において、雨水流入管50は、側溝20への接続部51から上方に向かう部分52と該上方に向かう部分52の端部から下方に向かう部分53とで構成されており、下方に向かう部分53の下端が浸透槽40の上面に接続している。
次に、図1に示した浸透管付き側溝10を例にとり、雨水の処理態様を説明する。この浸透管付き側溝10において、路面等から側溝20内へ流れ込む雨水の量がわずかの場合には、側溝20の底面を這うようにして下流に流れていく。雨水の量が多くなり、水位が浸透管30の上端開口部32を超えると、その溢流水は、浸透管30内に流入し、浸透管30の周壁に形成した浸透孔31を通って、および浸透管30の開放した下端から、地中に浸透していく。雨水に入り込んでいる砂のような固形物は、側溝20の底部に堆積するか、前記浸透管30の内周壁に堆積する。
浸透管30の処理量よりも多くの量の雨水が側溝20に流入すると、側溝20内の水位レベルはさらに上昇していく。水位が前記雨水流入管50の最上位レベルを超えると、側溝20内の雨水における、前記雨水流入管50が側溝20に接続する接続部51を超える雨水は、雨水流入管50を通って浸透槽40内に流入し、そこに貯留される。それにより、大量の雨水が下流側に流下すること、あるいは側溝20を溢流して路面に流出することを回避することができる。また、浸透槽40内には溢流水のみが流入するので、雨水中に混じっている砂等の固形物が浸透槽40内に入り込むことはない。そして、浸透槽40内に貯留された雨水は、透水性シート46を通って時間をかけて徐々に地中に浸透していき、浸透槽40内は空の状態となり、次の降雨に備える。
長日数が経過することにより、雨水に含まれる砂やゴミ等の固形物が、前記した浸透管30内に多く堆積した状態となり、浸透管30としての機能を喪失する。そのときには、そのような堆積物を除去する作業、すなわち、浸透管付き側溝10のメンテナンス作業が必要となる。本発明による浸透管付き側溝10では、浸透管30がほぼ垂直方向に地中に延出していること、さらに雨水中の砂等の固形物はそのほとんどが浸透管30の内周壁に堆積物として付着していることから、図4に示すように、例えばバキュームカー60の真空引きパイプ61を浸透管30内に挿入して吸引することにより、容易に堆積物の除去を行うことができる。
図2は、本発明による浸透管付き側溝の他の態様であり、この浸透管付き側溝10Aでは、雨水流入管50が、側溝20への接続部51から上方に向かう部分52を有しない点でのみ、図1に示した浸透管付き側溝10と異なっている。同じ部材には同じ符号を付して説明は省略する。この態様では、側溝20内の水位レベルが、雨水流入管50が側溝20へ接続する接続部51のレベルに達すると、それを超える雨水は、雨水流入管50を通って浸透槽40内に流入して浸透槽40に貯留されるようになる。
図3は、本発明による浸透管付き側溝のさらに他の態様であり、この浸透管付き側溝10Bでは、浸透管30は雨水流入側が二重管構造となっており、外側の管33は浸透孔31(図3で図示を省略している)を備えるが、内側の管34は周壁に浸透孔のないめくら管となっている。浸透管には周壁に複数の浸透孔を有する管が用いられるが、上記の態様では、二重管を構成する内側管は周壁に浸透孔のない管を用いる。この態様では、砂等を含んだ雨水をそのまま内側管34の下端まで送り込むことができるので、浸透管30の入り口部分の周壁に砂等が堆積するのを回避することができる。それにより、雨水中の砂等が浸透槽40内に入り込むのを一層確実に阻止することができる。
図示しないが、本発明による浸透管付き側溝の好ましい態様において、前記浸透管30および雨水流入管50の雨水入り口、すなわち、雨水流入管50が側溝20に接続する接続部51に、ビニール袋や落ち葉などの大きなゴミが入り込むのを防止する目的で、適宜のフィルタを取り付けるようにしてもよい。
10、10A、10B…浸透管付き側溝、
20…側溝、
30…浸透管、
31…浸透管の周壁に形成した浸透孔、
32…浸透管の雨水流入部としての開口部、
40…浸透槽、
41…貯水空間形成部材、
46…透水性シート、
50…雨水流入管、
51…雨水流入管と側溝との接続部、
52…雨水流入管の上方に向かう部分。

Claims (4)

  1. 雨水を受け入れる側溝と前記側溝内に雨水流入部を持つ垂直方向に伸びる浸透管とを備えた浸透管付き側溝であって、
    前記側溝内の雨水が流入可能な浸透槽をさらに備え、前記側溝と前記浸透槽とは雨水流入管により接続されており、前記雨水流入管の前記側溝への接続部は前記側溝に接続する浸透管の前記雨水流入部よりも上位に位置していることを特徴とする浸透管付き側溝。
  2. 前記雨水流入管は、前記側溝への接続部から上方に向かう部分と前記上方に向かう部分の端部から下方に向かう部分とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の浸透管付き側溝。
  3. 前記浸透管は雨水流入側が二重管構造となっており、内側の管は周壁に浸透孔のないめくら管であることを特徴とする請求項1または2に記載の浸透管付き側溝。
  4. 前記浸透管および雨水流入管の雨水入り口にはフィルタが取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の浸透管付き側溝。
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