JP2010185075A - 異種金属含有亜鉛フレークの製造方法およびそれを用いた自己犠牲型防錆防食剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 異種金属含有亜鉛フレークの製造方法においては、亜鉛粒子と、他の金属粒子および/または無機顔料粒子とを、ビーズミルを使用して有機溶剤、潤滑剤と共に混合し、粉砕することにより、亜鉛粒子をフレーク化しつつ、フレーク化された亜鉛粒子の表面に他の金属粒子および/または無機顔料粒子を付着せしめる。また、自己犠牲型防錆防食剤の製造方法においては、その材料として該異種金属含有亜鉛フレークが用いられる。
【選択図】なし
Description
また、関連する特許文献としては以下の文献が公開されている。
本発明はこの様な従来技術に存在する問題点に着目し、当該課題を解決することを課題とするものである。
上記構成において、亜鉛は他の金属と比較して、脆くはあるものの、粘着性を有している。従って、ビーズミル中に亜鉛粒子と、アルミニウム等といった亜鉛粒子以外の金属粒子(異種金属)および/または無機顔料粒子と、さらに有機溶剤、潤滑剤を入れ、混合、粉砕を繰り返した場合、亜鉛粒子の中へ異種金属の粒子片および/または無機顔料粒子片が埋没し、粉砕されて、異種金属および/または無機顔料を含有する異種金属含有亜鉛フレークが製造される。さらに、無機顔料として、酸化鉄、酸化マンガン、酸化ニッケル等の黒色顔料を亜鉛フレークに含有させた場合、自己犠牲性防錆防食作用と、通電性とを有する黒色の異種金属含有亜鉛フレークを製造することができる。その結果、異種金属含有亜鉛フレークにおいて、多岐にわたる性能を発揮するおよび/または所望とする色相に着色することができるようになる。なお、他の金属粒子および/または無機顔料粒子の混入割合については、亜鉛粒子と、他の金属粒子および/または無機顔料粒子との比率を変えることで簡易に調節可能である。さらに、他の金属粒子としてスズ、インジウム、金等を使用したうえで異種金属含有亜鉛フレークを製造し、該異種金属含有亜鉛フレークを溶融等させれば、簡単かつ安全に各種の亜鉛合金を製造することも出来る。
上記構成においては、所望する種々の物質を好適に混入することができる。
上記構成においては、各物質が有する種々の特異な性能を異種金属含有亜鉛フレークに付与することができる。
上記構成においては、亜鉛粒子に、他の金属粒子および/または無機顔料粒子を好適に混入することができる。
上記構成においては、自己犠牲型防錆防食剤において、所望する種々の物質を混入することができ、また混入した物質に応じて多岐にわたる性能を発揮することができる。
上記構成において、亜鉛金属は他の金属と比較して、脆くはあるものの、粘着性を有している。従ってビーズミル中に亜鉛粒子とアルミニウム粒子、有機溶剤及び潤滑剤を入れて混合、粉砕を繰り返した場合、亜鉛粒子の中へアルミニウム粒子が埋没し、そして粉砕されて高輝度の銀白色のアルミニウム含有亜鉛フレークが製造される。そしてこのフレークは自己犠牲防錆防食作用と通電性とを有する新しい防錆顔料である。
〔第1発明〕
亜鉛粒子と、他の金属粒子および/または無機顔料粒子とを、ビーズミルを使用して有機溶剤、潤滑剤と共に混合し、粉砕することにより、亜鉛粒子をフレーク化しつつ、フレーク化された亜鉛粒子の表面に他の金属粒子および/または無機顔料粒子を付着せしめることを特徴とする異種金属含有亜鉛フレークの製造方法。
〔第2発明〕
該亜鉛粒子は、アトマイズ法あるいは蒸発法により製造されたものであり、該亜鉛粒子の粒径は、0.1μm以上である、前記第1発明に記載の異種金属含有亜鉛フレークの製造方法。
〔第3発明〕
該他の金属粒子は、アルミニウム、マグネシウム、鉄、アンチモン、イリジウム、カルシウム、金、銀、ケイ素、コバルト、ジルコニウム、スズ、タングステン、炭素、タンタル、チタン、銅、ニッケル、白金、バナジウム、パラジウム、ホウ素、マンガン、モリブデンのうちから選ばれる少なくとも1つである前記第1発明又は前記第2発明に記載の異種金属含有亜鉛フレークの製造方法。
〔第4発明〕
該他の金属粒子および/または無機顔料粒子の粒径は、0.1μm以上である前記第1〜3発明の何れか一に記載の異種金属含有亜鉛フレークの製造方法。
〔第5発明〕
前記第1〜4発明の何れか一に記載の異種金属含有亜鉛フレークを使用して製造されることを特徴とする自己犠牲型防錆防食剤の製造方法。
〔使用するビーズミルについて〕
使用するビーズミルは、完全密閉、水平型のマイクロビーズミルであり、湿式粉砕、分散に用いる。水平型では、分散メディアが重力の影響をほとんど受けないため、シリンダー内で理想に近い均一な分布を得ることが可能である。また、分散メディアを80〜85%という高密度で充填することが可能である。また分散メディアは、処理物の粘度、比重及び水分枠、分散の要求粒度に応じて、ガラスビーズ、ジルコンビーズ、ジルコニアビーズ、スチールボール等を使用することができる。本発明においては、処理金属の硬度、着色顔料の硬度に応じて使用する分散メディアは異なるが、一般的にはジルコンビーズ乃至ジルコニアビーズを使用する。特に亜鉛粒子にアルミニウム粒子を添加する場合には、ジルコンビーズ乃至ジルコニアビーズを使用する。分散メディアのサイズは、希望するフレークの大きさに応じて0.1mmφから3.0mmφまでの球径のものが使用可能であるが、一般的には0.1mmφ〜1.5mmφのものを使用する。特に亜鉛粒子にアルミニウム粒子を添加する場合には、0.5mmφ〜1.0mmφのものを使用する。
本発明で使用する有機溶剤は、安価であり、水分を含有しておらず、その沸点が好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上であって250℃位までの非水性の有機溶剤である。このような非水性の有機溶剤としては、石油ベンジン、灯油、軽油、ケロシン、ミネラルスピリット、ミネラルターペント等が挙げられる。本発明において使用される有機溶剤の処理金属粉末量に対する割合は、使用するビーズミルのシリンダー容積によっても異なるが、一般的には処理金属粉末量1kgに対して1.2〜5L(リットル)である。
本発明で使用される亜鉛粉末は、不純物を含む総量が99%以上であって、亜鉛含有量が97%以上であり、不純物として鉛が0.1%以下、ガドミウムが0.05%以下、鉄が0.02%以下のものである。また該亜鉛粉末の平均粒径は、目的とする異種金属含有亜鉛フレークの大きさによって異なるが、本発明で所望する異種金属含有亜鉛フレークの平均粒径D50を10μmとする場合、処理時に使用される亜鉛粒子の平均粒径は2〜10μmであり、そこに含まれる亜鉛粒子の最大粒径は40μm以下のものが好ましい。最少処理時間でD50:10μmのフレーク化を望むのであれば、処理粉末の平均粒径が5μm以下であり、そこに含まれる亜鉛粒子の最大粒径が15μm以下のものが最も好ましい。
本発明で使用されるアルミニウム粉末は、活性アルミニウムが98%以上であり、不純物は銅が0.015%以下、鉄が0.2%以下、ケイ素が0.2%以下、水分が0.1%以上のものである。また該アルミニウム粉末の平均粒径は、4.0±1.5μm〜45±5μmである。平均粒径の大きなアルミニウム粉末を使用して、アルミニウム含有の異種金属含有亜鉛フレークを製造した場合、非常に美しいアルミニウム色(白銀色)の異種金属含有亜鉛フレークを得ることが出来るが、フレーク自体の粒径が大きくなるため、所望する大きさのフレークにする為には長時間、ビーズミルを稼動しなくてはならなず、また解砕、分級して平均粒径D50:10μmの異種金属含有亜鉛フレークを得た場合に全体にやや白味がかったネズミ色(白灰色)となってしまう。従って、アルミニウム色の異種金属含有亜鉛フレークを得るには、処理アルミニウム粉末(即ち使用するアルミニウム粉末)の粒径を6μm以下とすることが好ましい。また、分級は有機溶剤中で篩によってする方が高輝度の銀白色のアルミニウム含有亜鉛フレークを得ることができる。また、亜鉛に対するアルミニウムの割合が多くなるにつれ、アルミニウム色が濃くなる。即ち、亜鉛粒子に対するアルミニウム粒子の配合割合が多くなるに従って、アルミニウム色が強く現れてくる。
本発明において、着色された異種金属含有亜鉛フレークを製造する場合には、無機顔料を使用することも考えられる。無機顔料としては、金属、金属酸化物、金属硫化物等の単体あるいは混合物が挙げられる。
異種金属含有亜鉛フレークを白色調とする場合の無機顔料としては、亜鉛華、アルミニウム、ホワイトカーボン(シリカ)、リトポン、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン等が挙げられる。特にアルミニウムと酸化チタンは、亜鉛粉末に対して1〜40重量%の範囲の割合で混入すれば、異種金属含有亜鉛フレークの色相は灰ネズミ色からアルミニウム色まで変化する、特にアルミニウム色(白色)は、亜鉛粉末に対して10〜20重量%の混入で得ることが出来る。無機顔料として酸化チタンを使用した場合、異種金属含有亜鉛フレークの色相は、光沢のない白色となる。酸化チタンの混入割合は、亜鉛粒子に対し10〜25重量%である。
異種金属含有亜鉛フレークを黒色調とする場合の無機顔料としては、カーボンブラック、黒鉛、四酸化三鉄、四酸化三鉄と酸化マンガン混合物等が挙げられる。特に、四酸化三鉄、四酸化三鉄と酸化マンガン混合物を使用した場合、異種金属含有亜鉛フレークは、美しい黒色のものとなる。四酸化三鉄、四酸化三鉄と酸化マンガン混合物の添加量は、亜鉛粒子に対し10〜40重量%であり、防錆力の良い割合は10〜30重量%である。
異種金属含有亜鉛フレークを黄色調とする場合の無機顔料としては、黄色酸化鉄、黄土、チタン黄等を挙げることが出来る。特に、チタン黄(チタンイエロー)を使用した場合、耐熱性の良い異種金属含有亜鉛フレークが得られる。チタンイエローの添加量は、亜鉛粒子に対して10〜40重量%である。
異種金属含有亜鉛フレークを褐色調とする場合の無機顔料としては、酸化鉄(Fe2 O3 +FeO)、アンバー(Fe2 O3 +MnO2 +Mn3 O4 )が挙げられる。特に酸化鉄が良く、その添加量は、亜鉛粒子に対して8〜30質量%である。
異種金属含有亜鉛フレークを赤色調とする場合の無機顔料としては、ベンガラ(三酸化二鉄)、アンチモン赤(2Sb2 O3 ・Sb2 O3 またはSb2 S2 ・Sb2 O3 )が挙げられる。特に、ベンガラの場合、異種金属含有亜鉛フレークの粒径が大きい程赤味が強く、また添加される量は12〜35重量%の内39重量%以上で粒径が大きい程、ベンガラ色に近い異種金属含有亜鉛フレークが得られる。
異種金属含有亜鉛フレークを青色調又は緑色調とする場合の無機顔料としては、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、呉須、コバルトグリーン、ジンクグリーン等が挙げられる。なお、これら無機顔料を使用した場合、一般的に暗い色目の青色、緑色となる。
また、無機顔料として銅粉を使用した場合には、亜鉛粒子との配合割合により、黄金色から黄色に近い異種金属含有亜鉛フレークを得ることが出来る。無機顔料として錫粉を使用した場合には、黄味かかった灰色から白色に近い異種金属含有亜鉛フレークを得ることが出来る。銅粉、錫粉のいずれの場合も防錆防食用としては、亜鉛粒子に対して10〜40重量%の範囲とすることが好ましい。
本発明おいては、異種金属含有亜鉛フレークの使用目的に応じて異なる滑剤(即ち「潤滑剤」。以下同じ)および抗酸化剤 (酸化防止剤)が使用される。また、滑剤および抗酸化剤としては、耐水性を有し、粒状粉末をフレーク状とするべく潤滑性を有し、かつ酸化等を防止するべくフレーク表面を覆うとともに、所定の温度以上になればフレーク表面から飛散する性質を有する化合物が望ましい。具体的に、耐水性を有する抗酸化剤あるいは滑剤としては、高級脂肪酸と高級脂肪属アルコールが挙げられる。抗酸化剤および滑剤の添加量は、処理する金属粉末の総重量に対し、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
また、使用目的に応じて、異種金属含有亜鉛フレークの表面を樹脂コートしたり、カップリン剤等で特殊加工処理したりする場合もある。異種金属含有亜鉛フレークの表面を樹脂コートしたり、カップリン剤等で特殊加工処理をする場合、滑剤および抗酸化剤で処理された異種金属含有亜鉛フレーク表面に付着した滑剤および抗酸化剤をミネラルスピリットや他の有機溶剤で洗浄除去し、樹脂コート処理、カップリング処理等をする。樹脂コート処理の場合、洗浄された異種金属含有亜鉛フレークを有機溶剤中に分散させ、樹脂モノマーと重合開始剤とを少量ずつ添加し、攪拌しながら樹脂コートする。樹脂モノマーの使用量は、処理金属に対して好ましくは0.5〜20重量%であり、より好ましくは1〜5重量%である。そして、有機溶剤を除去し、乾燥することによって樹脂コートされた異種金属含有亜鉛フレークが得られる。
カップリング剤による処理の場合には、例えばプロピルアルコール、ブチルアルコール、ブチルセロソルブ等のアルコール系有機溶剤で滑剤および抗酸化剤を洗浄除去し、該アルコール系有機溶剤中に異種金属含有亜鉛フレークを分散させ、カップリング剤のアルコキシ基をヒドロキシ基としたうえで該アルコールに溶解させ、攪拌下、60〜80℃でカップリング剤を添加し、1〜2時間攪拌をして異種金属含有亜鉛フレーク表面にカップリング剤を反応させ、該アルコールを除去し、乾燥してフレーク状粉末を得る。カップリング剤の使用量は、処理金属に対して、好ましくは0.5〜10重量%であり、より好ましくは1〜5重量%である。
本発明において使用される金属粉末は、本明細書に記載の異種金属含有亜鉛フレークである。また、金属防錆防食剤をアルミニウム色とする場合には、アルミニウムぺーストを添加する。この場合、アルミニウムペーストの添加量は、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1〜4重量%である。なお、金属防錆防食剤をアルミニウム色としない場合は、異種金属含有亜鉛フレークをそのまま使用する。このとき、異種金属含有亜鉛フレークの使用量は、好ましくは10〜45重量%であり、より好ましくは15〜35重量%である。
本発明において使用される接着剤は、シランカップリング剤である。シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポオキシシクロヘキシル)、エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。処理液の安定性、接着力から見ると、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。その添加量は、好ましくは2〜20重量%であり、より好ましくは2.5〜10重量%である。
本発明の金属防食剤においては、水に金属粉末を分散させるために界面活性剤が添加される。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンブチル・エーテル、ポリオキシエチレンオクチル・エーテル、ポリオキシエチレンラウリル・エーテル、ポリオキシエチレンオレイル・エーテル、ポリオキシエチレンステアリル・エーテル等のアルキル・エーテル型非イオン活性剤、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のアルキルエステル型非イオン活性剤、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールエーテルのようなエチレンオキシサイド・プロピレンオキシサイド・ブロック共重合型非イオン活性剤等が挙げられる。界面活性剤としては、分子中に環境ホルモン汚染のおそれのある芳香族を含まないものが望ましく、またH.L.B.(Hydophile−Lipophile Balance)が7以上で18以下の非イオン活性剤は、本発明の界面活性剤として好ましい。更に好ましい界面活性剤のH.L.B.は11〜14の範囲である。該界面活性剤の添加量は、好ましくは0.05〜8重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の金属防食剤の処理液において、防錆剤、界面活性剤と相乗して処理液中の金属粉末の分散を良好ならしめるため、更に溶剤として水溶性の有機溶剤が添加されることが望ましい。該水溶性有機溶剤としては、例えば1−プロパノール、2−プロパノール、一級ブタノール、二級ブタノール、三級ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジアセトンアルコール、1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。更に好ましい水溶性有機溶剤としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールがあり、該水溶性有機溶剤の添加量は、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは10〜45重量%である。
本発明の金属防錆防食剤においては、処理液の被処理金属表面に対する塗布層の厚みを確保するために、増粘剤を添加することが好ましい。本発明において用いられる増粘剤としてはメチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシメチルセルローズ、エチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ポリビニルアルコール、澱粉、カラギーナン、ペクチン等の水溶性増粘剤が挙げられる。更に好ましい増粘剤としては、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズである。上記増粘剤の添加量は、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
本発明の金属防錆防食剤の処理液を調製するには、蒸留水や脱イオン交換水を使用するが、煮沸処理した水道水でも良い。
本発明の金属防錆防食剤においては、使用に際して金属粉末、界面活性剤、水溶性有機溶剤、水、増粘剤を配合し、よく混合攪拌して金属粉末を分散させて処理液を調整するが、該処理液の粘度は、通常は岩田式フォードカップ#4で40±5秒の間に調整される。該処理液を用いて被処理金属表面を処理するには、まず該金属表面をショットブラスト、サンドブラスト等によって研磨し、更に所望なればn−ヘキサン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤で洗浄し、乾燥後、上記処理液を浸漬、スプレー、カーテンフローコーター、回転ブラシコーター、静電塗装等によって該金属表面に塗布する。処理液塗布後は室温に放置し、必要あれば空気を送って乾燥し、そして150〜160℃で少なくとも10分間予備加熱乾燥し、続いて230℃〜240℃で少なくとも10分加熱処理を行なう。該加熱処理によって、該金属表面には本発明の金属防錆防食剤の自己犠牲型金属防錆防食被膜が形成される。この金属防錆防食被膜上には所望なれば、更にオーバーコート剤による被覆が施されてもよい。
以下に示す各実施例に記載の処理を行い、亜鉛フレークに異種金属または無機顔料を含有させてなる異種金属含有亜鉛フレークを製造した。
表1の[材料]欄に記載の材料を容積1.4Lのビーズミルに入れ、ミネラルスピリット中、液の流量10L/分、シリンダー内の羽根の周速110m/分、液温20〜30℃、粉砕混合時間7時間で処理をした。その後、粉砕混合液を蒸発させて、異種金属を含有させてなる異種金属含有亜鉛フレークを得た。この異種金属含有亜鉛フレークを解砕分級し、該異種金属含有亜鉛フレークのうちD50:10μmとなるように分級したものを水系無公害の金属防錆防食剤の原料とした。なお、金属防錆防食剤の原料とする場合には、シランカップリング剤を接着剤として用いた。この実験例1を表1の実験1〜実験3に示した。
表1の[材料]欄に記載の材料を容積1.4Lのビーズミルに入れ、ミネラルスピリット中、液の流量10L/分、シリンダー内の羽根の周速110m/分、液温21〜23℃、粉砕、混合時間6時間で処理した。その後、粉砕混合液を蒸発させて、無機顔料を含有させてなる異種金属含有亜鉛フレークを解砕分級して得た。そして、シランカップリング剤を接着剤として用いることにより、該異種金属含有亜鉛フレークを水系無公害の金属防錆防食剤の試料とする。この実験例2を表1の実験4、実験5に示した。
下記の材料を充分に攪拌混合する。
亜鉛粉末*1) 28.0重量部
アルミニウムペースト*2) 3.0 〃
エチレングリコール 28.5 〃
ポリオキシエチレンオクチルアルコールエーテル*3) 0.5 〃
シランカップリング剤*4) 5.0 〃
イオン交換水 35.0 〃
ヒドロキシエチルセルロース 0.2 〃
*1) 亜鉛粉末は本発明の実験3に記載のものである。
*2) アルミニウペースト(厚み:0.5μm、径:10.0μm)65%品を使用した。
*3) ポリオキシエチレンオクチルアルコールエーテルは、H.L.B.が12.7のものを用いた。
*4) シランカップリング剤は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いた。
この実験例3の液を200メッシュの篩(ふるい)で濾過し処理液Aとする。該処理液Aの粘度は、岩田式フォードカップ#4で41秒であった。
下記の材料を充分に攪拌混合する。
亜鉛粉末*5) 30.0重量部
プロピレングリコール 25.0 〃
ポリオキシエチレンオクチルアルコールエーテル*3) 0.1 〃
シランカップリング剤*4) 5.0 〃
イオン交換水 39.9 〃
ヒドロキシエチルセルロース 0.26〃
*5) 亜鉛粉末は本発明の実験4に記載のものであり、四酸化三鉄により着色された四酸化三鉄含有亜鉛フレークである。
この実施例4の液を200メッシュの篩(ふるい)で濾過し処理液Bとする。該処理液Bの粘度は、岩田式フォードカップ#4で35秒であった。
1.試料
(1)鋼板:SS−41鋼板(150×70×2.3mm)を使用した。該鋼板はn−ヘキサンで洗浄し、乾燥後、ショットブラストによって表面を研磨し、次いでn−ヘキサン→エーテルで洗浄し、乾燥した。
(2)ねじ:長さ75mm、径2mm、頭部8mm、ねじ部50mmのプラスねじを使用した。該ねじは、n−ヘキサンで洗浄し、乾燥後ショットブラストによって表面を研磨し、次いでn−ヘキサンで洗浄し、乾燥した。
2.塗布および熱処理
(1)鋼板:上記鋼板に上記処理液A,Bを加熱処理後に膜厚が8〜10μmになるように塗布し、1分間風乾後150℃の乾燥機に入れ10分間予備加熱乾燥し、その後240℃で10分間加熱処理を行った。
(2)ねじ:上記ねじを上記処理液A,Bの各々に浸漬し、引上げた後、脱水機(カゴの径200mm、深さ200mm、回転速度330回/分)にて、正回転5秒、逆回転5秒で脱水処理を行ない、1分間風乾後150℃で10分間予備加熱乾燥し、その後240℃で10分加熱処理を行った。
1.鋼板の塗膜の外観
塗膜の外観を目視観察した。結果は以下の通りである。
(1)処理液Aによる処理試料:銀白色の美しい滑らかな表面塗膜である。
(2)処理液Bによる処理試料:黒いつや消しの滑らかな表面塗膜である。
2.塗膜の密着性
(1)試験方法
鋼板:処理液A,Bで処理した鋼板について、ゴバン目試験を行った。
ねじ:処理液A,Bで処理した「ねじ」の頭部を手の指先で強く3回摩擦する。指先に付着物が存在するかどうかを調べる。
(2)試験結果
上記試験の結果を表2に示す。
上記防錆処理した鋼板および「ねじ」についてJIS−Z−23717に準じて塩水噴霧試験を行なった。鋼板の結果を表3に、「ねじ」の結果を表4に示す。なお、鋼板はクロスに切れ目を入れた。また「ねじ」は5本1組とした。
(1)試験方法
処理液A,Bを鋼板上に塗布することにより、20μm程度の塗膜を形成した。そして、該塗膜の電気抵抗値をHIOKI製テスター(KITHI Tester 3021)を用い、テスター針300g圧として測定した。
(2)試験結果
処理液Aによる塗膜の電気抵抗値は1〜2Ω/cmであった。処理液Aによる塗膜の電気抵抗値は5〜6Ω/cmであった。この結果から、本発明の金属防食剤は、良好な導電性を有していることが示された。
Claims (7)
- 亜鉛粒子と他の金属粒子とを、ビーズミルを使用して有機溶剤、潤滑剤と共に混合し、粉砕することにより、亜鉛粒子をフレーク化しつつ、フレーク化された亜鉛粒子の表面に他の金属粒子を付着せしめる異種金属含有亜鉛フレークの製造方法であって、
該亜鉛粒子は、アトマイズ法あるいは蒸発法により製造されたものであって、その粒径は、0.1μm以上であり、
該他の金属粒子は、アルミニウム、マグネシウム、鉄、アンチモン、イリジウム、カルシウム、金、銀、ケイ素、コバルト、ジルコニウム、スズ、タングステン、炭素、タンタル、チタン、銅、ニッケル、白金、バナジウム、パラジウム、ホウ素、マンガン、モリブデンのうちから選ばれる少なくとも1つであって、その粒径は、0.1μm以上であることを特徴とする異種金属含有亜鉛フレークの製造方法。 - 前記他の金属粒子は、球形および涙形を含む粒状に形成されている、請求項1に記載の異種金属含有亜鉛フレークの製造方法。
- 請求項1または2に記載の異種金属含有亜鉛フレークを使用して製造されることを特徴とする自己犠牲型防錆防食剤の製造方法。
- アトマイズ法あるいは蒸発法で製造された亜鉛粒子と、アトマイズ法で製造されたアルミニウム粒子とを、ビーズミルを使用して有機溶剤、潤滑剤と共に混合し、粉砕することにより、亜鉛粒子とアルミニウム粒子を混合、粉砕、挿入、フレーク化して、アルミニウム粒子単独で製造されたアルミニウムペースト中のアルミニウムフレークと同等の高輝度のアルミニウム含有亜鉛フレークを製造する事を特徴とする、自己犠牲型防錆防食剤の製造方法。
- 前記亜鉛粒子およびアルミニウム粒子の粒径は0.1μm以上である請求項3又は4に記載の自己犠牲型防錆防食剤の製造方法。
- 前記亜鉛粒子の配合量は50〜95質量%、前記アルミニウム粒子の配合量は5〜50質量%である請求項3〜5の何れか一項に記載の自己犠牲型防錆防食剤の製造方法。
- 亜鉛粒子とアルミニウム粒子とからなる自己犠牲型防錆防食剤であって、亜鉛粒子中にアルミニウム粒子が埋没していることを特徴とする、自己犠牲型防錆防食剤。
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