以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明を適用した遊技機の代表例としてパチンコ機PMの正面図を図1に示すとともに、パチンコ機PMの背面斜視図を図2に示しており、この図を参照してパチンコ機PMの全体構成について概要説明する。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3a,3bにより横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面側上部には、前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス扉5および球皿ユニット6が正面左側部に設けられたヒンジ機構7a,7b,7cを利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。球皿ユニット6の正面右側下部には遊技球の発射操作を行う操作ハンドル8が設けられ、操作ハンドル8の正面左側には効果音を発生するスピーカ9が設けられている。ガラス扉5の背後に位置する前枠上部には、遊技盤10を着脱可能に収容する収容枠(図示しない)が設けられており、この収容枠に所定のゲージ設定で構成された遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉5を通して遊技盤10の正面の遊技領域PAを臨ませるようになっている。
遊技盤10は、積層合板の表面に所定意匠のセルを貼り付けた化粧板11(ベニヤ板とも称される)を基板として構成される。化粧板11の前面には、内外の案内レール12が円弧状に固設されてこの案内レール12で囲まれた内側に略円形の遊技領域PAが区画され、この遊技領域PAに多数本の遊技釘や風車13とともに、一般入賞具や始動具並びに大入賞口を備えたアタッカー等の各種入賞具14、および遊技の進行状況に応じて所定の図柄を表示させる画像表示装置15が設けられている。遊技領域PAの下端には、入賞具14に入賞せずに遊技領域PAの下端まで落下した遊技球(「アウト球」という)を、遊技盤10の裏面に排出させるアウト口16が設けられている。各入賞具14に落入した遊技球(「セーフ球」という)は、これらの入賞具14に設けられた入賞口スイッチ又は始動口スイッチにより検出され、化粧板11を貫通するセーフ球通路(図示せず)を通って遊技盤10の裏面に排出される。また、アウト口16に集められたアウト球は、化粧板11を貫通するアウト球通路(図示せず)を通って遊技盤10の裏面側に排出される。ガラス扉5および遊技盤10の各部には、遊技展開を視覚的に演出するLEDやランプ等の光源を用いた電飾装置17が設けられている。
以上のように構成されたパチンコ機PMは、前枠2、ガラス扉5、および球皿ユニット6がともに閉止され施錠された状態で遊技に供され、球皿ユニット6に遊技球を貯留させて操作ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。操作ハンドル8が回動操作されると、球皿ユニット6に貯留された遊技球が遊技球発射装置(図示せず)により1球ずつ遊技盤10の遊技領域PAに打ち出され、以降パチンコゲームが展開される。
遊技盤10の裏面側には、パチンコ機PM全体の制御を行う主制御基板31(図3を参照)が収容された主基板アッセンブリ30や、画像表示装置15に表示される画像の制御を行う画像制御基板(図示せず)が収容された画像制御基板アッセンブリ40が取り付けられている。なお、以降の説明においては、図2の状態を基準にして前後左右、および、上下を定義する。
遊技盤10の中央部には画像表示装置15を取り付けるための開口部18が形成されており、この開口部18を挟むように遊技盤10の裏面側の左右縁部に画像アセンブリ取付部19a,19bが配設されている。画像制御基板アッセンブリ40の左右両縁部の上下には取付突起部40a,40bが形成されており、この取付突起部40a,40bがネジ締結等で画像アッセンブリ取付部19a,19bに取り付けられて画像制御基板アッセンブリ40が遊技盤10に固定される。
また、遊技盤10の下部における裏面側の左右縁部には、主基板取付部20a,20bが配設されており、この主基板取付部20a,20bに主基板アッセンブリ30が取り付けられている。なお、主基板取付部20a,20bは、画像アッセンブリ取付部19a,19bよりも後方に突出するように形成されており、主基板アッセンブリ30の上部が、後面視において、画像制御基板アッセンブリ40の下部を後方から覆うように遊技盤10に取り付けられている。このように、主基板アッセンブリ30が画像制御基板アッセンブリ40の一部を覆う(後面視において一部が重なる)ように配置することにより、画像制御基板アッセンブリ40の大型化に対して遊技盤10の上下方向寸法を大きくすることなく、これらのアッセンブリ30,40をこの遊技盤10の裏面側に配設することができる。
次に、主基板アッセンブリ30について図3〜図7を参照して説明する。ここで、図3は主基板アッセンブリ30の分解斜視図であり、図4は主基板アッセンブリ30の平面図であり、図5は主基板ケース70を構成するケース本体部材50を示す図であり、図6はケース本体部材50の要部を拡大した図であり、図7は主基板ケース70を構成するケース蓋部材60を示す図である。
主基板アッセンブリ30は、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御基板31と、主制御基板31を内部に収容する主基板ケース70(図4を参照)とから構成される。さらに、主基板ケース70は、遊技盤10の裏面側に着脱されるケース本体部材50と、このケース本体部材50に着脱自在に取り付けられるケース蓋部材60とから構成される。この主基板アッセンブリ30は、主制御基板31がケース蓋部材60の内面側に取り付けられた状態で、このケース蓋部材60をケース本体部材50に装着可能に構成される。
主制御基板31は、図3に示すように、矩形板状の形状を有しており、中央部に配設されたROMやRAMを内蔵のCPU等の電子デバイス32や左右に配設された接続コネクタ33等の電子部品、および両面に配設された複数の配線パターン(図示せず)を有して構成される。この制御基板31の四隅には、基板取付孔34が形成されており、基板取付ネジ35をこの基板取付孔34に挿入し、図7に示すケース蓋部材60の基板取付部(ネジ孔)67に対して螺挿してネジ締結するように構成されている。
ケース本体部材50は、主基板ケース70が遊技盤10に取り付けられた状態で後面側に開口を有する矩形箱状の形状を有しており、ABS樹脂やポリカーボネート(PC)等の透明な樹脂材料を用いて射出成形等の成形手段により一体的に成形される。このケース本体部材50の内面側底部51には、図3に示すように、補強リブ51aが縦横に格子状に形成されており、ケース本体部材50の強度を向上させている。
ケース本体部材50の側壁部(図3においては、底部51の上下の縁部から後方に延びる後壁部)53,53のそれぞれには、複数の蓋部材取付溝54が形成されている。図6を用いて詳細に説明すると、側壁部53は、底部51から後方に延びる第1壁部53aと、この第1壁部53aより外側に広がり、この第1壁部53aの後端部から後方に延びる第2壁部53bとからなり、ケース本体部材50の内面側が階段状に形成されている。そして、蓋部材取付溝54は、第2壁部53bに形成されており、後方およびケース本体部材50の内面側が開口するように形成されている。この蓋部材取付溝54は、後方および内面側に開口する挿入溝部54aと、左方に延びて内面側に開口する係止溝部54bとから構成されており、図2の状態で下方もしくは上方から見たときに側壁部53に対してL字状の溝として形成されている。
また、第1壁部53aの内側の壁面と平行に、蓋部材取付溝54のそれぞれと対向するように、蓋部材押圧壁52が底部51から後方に板状に延びて形成されている。この蓋部材押圧壁52の左右方向幅は、蓋部材取付溝54の左右方向幅と略同一大きさに形成されており、図2の状態において上方もしくは下方から見たときに、蓋部材押圧壁52と蓋部材取付溝54とは重なるように配置されている。
ケース蓋部材60は、ケース本体部材50の開口を覆う矩形箱状の形状を有しており、ABS樹脂やポリカーボネート(PC)等の透明な樹脂材料を用いて射出成形等の成形手段により一体的に成形される。図3に示すように、このケース蓋部材60の上下方向縁部から前方に延びる側壁部69には、外方(図7においては上下方向)に突出する係止突起部62が複数形成されている。この係止突起部62は、上述の蓋部材取付溝54と同じ数だけ形成されており、その配置間隔も蓋部材取付溝54と対応している。また、この側壁部69の内面側には、図7に示すように、各々の係止突起部62と対応して、内方に突出する押圧突起部61が形成されている。この押圧突起部61は、係止突起部62に対して、ケース本体部材50にケース蓋部材60を取り付けるときにスライド移動させる方向と反対方向にずれて形成されている。
そのため、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60を取り付けるときは、図2の状態で、後方から蓋部材取付溝54の挿入溝部54aに係止突起部62を挿入し、その後、ケース蓋部材60を左右方向(この実施形態においては左方向)にスライド移動させて係止突起部62を係止溝部54bに挿入させることで、係止突起部62と蓋部材取付溝54とを嵌合させる。
このとき、係止突起部62を蓋部材取付溝54の挿入溝部54aに挿入した状態では、押圧突起部61は、蓋部材押圧壁52の右方に位置するが、この状態からケース蓋部材60をケース本体部材50に対して左方にスライド移動させ係止突起部62が係止溝部54bに挿入されるにしたがって、側壁部69が外方に押し出される。そして、係止突起部62が係止溝部54aに完全に挿入された状態では、側壁部69の外側面と第2壁部53bの内側面とが密接し、押圧突起部61は第2壁部53bと蓋部材押圧壁52とに挟持される。
ケース本体部材50とケース蓋部材60とを以上のように構成すると、このケース本体部材50にケース蓋部材60を取り付けたときに、係止突起部62が蓋部材取付溝54と嵌合するため、ケース蓋部材60はケース本体部材50に対して後方への移動(ケース本体部材50からケース蓋部材60を外すための移動)が規制される。また、ケース蓋部材60の側壁部69は、押圧突起部61と蓋部材押圧壁52とによりケース本体部材50の第2壁部53bの内側面に押し付けられて密接しているため、側壁部69を内側に押し込むことができず、係止突起部62を蓋部材取付溝54から外すことができない。また、側壁部69と第2壁部53bとの間のクリアランスがほとんどないため、ドライバ等を挿入して内部の主制御基板31を操作することや、係止突起部62または蓋部材取付溝54を削ることもできない。
ここで、ケース本体部材50の左端部には本体側仮止部55が形成されており、ケース蓋部材60の左端側には蓋側仮止部63が形成されている。ケース本体部材50にケース蓋部材60が取り付けられたとき、すなわち、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60が左方向にスライド移動して取り付けられたときに、これらの本体側仮止部55と蓋側仮止部63との位置は一致して係合し、ケース蓋部材60がケース本体部材50に対して右方向にスライド移動するのを規制する。なお、ケース本体部材50およびケース蓋部材60は、上述のように、樹脂材料で形成されており、これらの本体側仮止部55および蓋側仮止部63は薄く形成されているため、容易に撓めることができる。そのため、蓋側仮止部63の左端側を本体側仮止部55から離すように撓めることにより、本体側仮止部55と蓋側仮止部63との係合は解除され、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60を右方にスライド移動して、このケース蓋部材60をケース本体部材50から取り外すことができる。
このように、主制御基板31が収容される主基板ケース70を、互いに分離できるケース本体部材50とケース蓋部材60とに分けて構成することにより、主制御基板31をケース蓋部材60に取り付けるときは、このケース蓋部材60の開口部を上方に向けて作業机等に載置した状態で行うことができるので、取り付け作業が容易になり組み立ての作業効率が向上する。また、ケース蓋部材60をケース本体部材50に取り付けるときも、スライド移動だけで取り付けることができるので、この作業も容易である。また、このようにケース本体部材50にケース蓋部材60をスライドして取り付ける構成にすると、ケース本体部材50側に蓋部材取付溝54を形成し、ケース蓋部材60に係止突起部62を形成することで取り付け構造ができるため、主基板ケース70の構造を簡単にすることができる。
以上のように、主制御基板31は、主基板ケース70(ケース本体部材50およびケース蓋部材60)内に収容されているため、主制御基板31に対する不正行為を防止することができる。しかしながら、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60が取り付けられた状態にあるときは、本体側仮止部55と蓋側仮止部63とが係合しているだけであり、ケース本体部材50からケース蓋部材60を取り外すことは容易である。そこで、閉止状態にあるケース蓋部材60をケース本体部材50に対してスライド移動できなくして不正操作を防止するために、主基板アッセンブリ30の主基板ケース70には不正開放防止機構80が設けられている。そこで、図8〜図14を追加参照して主基板アッセンブリ30に設けられた不正開放防止機構80について以下に詳しく説明する。
ここで、図8は不正開放防止機構80の分解斜視図であり、図9はストッパ部材110を示す斜視図であり、図10はキャップ部材120を示す斜視図であり、図11はケース蓋部材100がケース本体部材90に係合した状態を示す平面図であり、図12は図11中の矢印IV−IVおよび矢印V−Vに沿った断面図であり、図13はケース蓋部材100がケース本体部材90に係合した状態を示す斜視図であり、図14はケース本体部材90にストッパ部材110およびキャップ部材120を収納した状態を示す斜視図である。
不正開放防止機構80は、図3等に示すように、ケース本体部材50の左端側に連結して一体に形成された4つの本体側係合部90と、ケース蓋部材60の左端側に連結して形成された4つの蓋側係合部100と、本体側係合部90および蓋側係合部100に挿入されて、ケース本体部材50にケース蓋部材60を固定保持するストッパ部材110と、ケース蓋部材100と係脱可能なキャップ部材120とから構成される。
本体側係合部90は、図8等に示すように、後面側に開口を有する略矩形箱状の形状を有して構成されており、ケース本体部材50にケース蓋部材60が取り付けられたときに蓋側係合部100に覆われる底面部91と、この底面部91の上下方向縁部および左方向縁部から後方に延び、ケース本体部材50にケース蓋部材60が取り付けられたときに蓋側係合部100の外周部の周りを外側から覆う壁面部92とを備えている。本体側係合部90は、底面部91から後方に段差状に突出した段部93を有しており、この段部93の略中央部には後方に開口し略筒状に凹設された本体側開口部94(挿通孔)が形成されている。本体側開口部94の開口縁部には、テーパー状に拡径された溝部94aが形成されている。
また、本体側係合部90の内部には、底面部91、壁面部92、および段部93に囲まれて収容空間95が形成されており、この収容空間95内には、所定の間隔を隔てて互いに対向するとともに底面部91から後方に向かって延設された一対の係止アーム96,96が形成されている。各係止アーム96の先端部には、対向方向に延びる係止突起97が弾性変形可能に形成されており、ストッパ部材110およびキャップ部材120と係合可能になっている。これにより、ストッパ部材110またはキャップ部材120を係止アーム96に係合させて収容空間内95に収納することで、これらの部材110,120を予備品・付属品として主基板ケース70内に備えておくことができる。また、収容空間95内において、上下の壁面部92の内側の左隅部には、ケース本体部材50にケース蓋部材60が取り付けられたときに蓋側係合部100を抑えるための対向方向に延びる平板状の一対の係止リブ98,98がそれぞれ形成されている。
一方、蓋側係合部100は、ケース蓋部材60をケース本体部材50に取り付けたときに本体側係合部90に対向して重なるように構成されており、略矩形板形状に形成されたプレート部101と、このプレート部101の外周部を囲む略コ字状の枠部102とを有して構成される。プレート部101には、ケース蓋部材60をケース本体部材50に取り付けたときに本体側開口部94に対向して位置する蓋側開口部104が形成されている。
蓋側開口部104には、プレート部101から後方に突出したリング形状の円環部105が形成されており、この円環部105の中央において挿通孔106がプレート部101を前後方向に貫通して設けられている。円環部105上には、扇形状の位置決め突起107,107が互いに対向して(180度間隔で対称に)一対形成されており、この位置決め突起107は挿通孔106の外周側の一部を塞ぐように内方に突出して形成されている。挿通孔106内には、この挿通孔106の内壁面から内方に突出する一対の係合爪部108,108が一対の位置決め突起107,107と周方向に略90度ずれて形成されている。係合爪部108には挿通孔106の内壁面に沿って湾曲状に切り込まれた切り欠き部108a(図12を参照)が形成されており、係合爪部108が弾性変形により内外へ揺動可能になっている。
枠部102の後端面からは、L字状に折曲して延びる3つの突片103(103a,103b,103c)が形成されており、この後端面の周縁に沿って左側および上側の突片103a,103bの間と、左側および下側の突片103a,103cの間とには、上述の一対の係止リブ98に嵌合可能な係合面102aが形成されている。
なお、ケース蓋部材60において主制御基板31を収納する領域を形成する左側の側壁部69と蓋側係合部100との間に跨って、ケース蓋部材60と蓋側係合部100とを連結する蓋側連結部109が形成されている。この蓋側連結部109は切断可能に構成されており、ケース蓋部材60から蓋側係合部100を分離可能である。
ストッパ部材110は、図9に示すように、ABS樹脂やポリカーボネート(PC)等の樹脂材料を用いて、射出成等の成形手段により略円筒形状に一体的に成形されており、中空円筒状のピン部111と、ピン部111の基端側を塞ぐ円盤状の頭部112と、頭部112から凸状に突出した摘み部113と、ピン部111の中間位置において拡径して上述の係合爪部108と係合可能な係合突起114とを主体に構成される。頭部112の外周部には、蓋側係合部100における一対の位置決め突起107,107を通過させる略凹状の一対の位置決めスリット115,115が180度間隔で対称に形成されている。また、係合突起114の外周部には、本体側係合部90における本体側開口部94の溝部94aの形状に合わせて面取り部114aが形成されている。
キャップ部材120は、図10に示すように、ストッパ部材110と同じくABS樹脂やポリカーボネート(PC)等の樹脂材からなるもので、その外周部が蓋側開口部104における内周部の形状に合わせて形成されている。キャップ部材120の外周部には、一対の係合スリット121,121が互いに対向して(180度間隔で対称に)形成されており、蓋側開口部104の係合爪部108,108とそれぞれ係合するようになっている。また、キャップ部材120には、外周部から外側に突出する一対の係止爪122,122が互いに対向して(180度間隔で対称に)形成されており、外周部を貫通する一対の切れ込み部123,123がこの係止爪122を挟むように形成されているため、係止爪122が弾性変形により内外へ揺動可能になっている。
このように構成される不正開放防止機構80において、ケース蓋部材60をケース本体部材50に対して閉じた状態で本体側係合部90と蓋側係合部100とを連結するには、ケース本体部材50に取り付けられたケース蓋部材60の右方向へのスライドを規制するために、ストッパ部材110を蓋側開口部104および本体側開口部94に挿入して係合させることで行われる。ストッパ部材110をこれら開口部94,104に挿入するには、まず、ストッパ部材110の位置決めスリット115を蓋側開口部104の位置決め突起107に位置合わせした状態で、ストッパ部材110のピン部111を円環部105から内部へ挿入し、ピン部111を一対の係合爪部108,108の間に通過させるようにする。
続いて、ストッパ部材110の係合突起114が挿通孔106内において係合爪部108まで到達すると、係合爪部108が係合突起114(面取り部114a)の外周部に当接して外方へ弾性変形することで、係合突起114を一対の係合爪部108,108の間を通過させることができる。そして、蓋側開口部104の位置決め突起107にストッパ部材110の位置決めスリット115を通過させ、ストッパ部材110の係合突起114が係合爪部108から脱して本体側開口部94の溝部94a内まで達すると、ストッパ部材110の頭部112が係合爪部108の基端部に突き当たって当接されるとともに、外方へ拡開された係合爪部108が内方へ復元してストッパ部材110の係合突起114と係合する。すなわち、ストッパ部材110(係合突起114)が係合爪部108と係合することにより、本体側係合部90と蓋側係合部100とが係止保持された状態になる。
この状態になると、ケース蓋部材60をケース本体部材50に対して開放させようとしても(右方向にスライド移動させようとしても)、係合突起114が係合爪部108と係合した状態でストッパ部材110のピン部111および係合突起114が本体側開口部94の内壁面に当接しているため上方に押し上げられることはなく、ストッパ部材110が本体側係合部90から離脱することはない。そのため、本体側係合部90と蓋側係合部100とは固定され、ケース本体部材50に対してケース蓋部材60を固定保持(係止状態にする)ことができる。
このようにして、ケース蓋部材60をケース本体部材50に対してスライド移動させて、蓋側係合部100が本体側係合部90と対向して重なる状態でストッパ部材110を蓋側開口部103および本体側開口部93に挿入して係合させると、本体側係合部90と蓋側係合部100とが係止保持され、ケース本体部材50に対するケース蓋部材60の右方向へのスライド移動が規制される。そのため、ケース本体部材50にケース蓋部材60が装着された状態、すなわち、係止状態が保持される。これにより、本体側係合部90と蓋側係合部100とをストッパ部材110を介して容易に連結させることができ、ケース本体部材50とケース蓋部材60とを閉止状態で容易に結合保持することができる。
そして、このような不正開放防止機構80によりケース本体部材50とケース蓋部材60とが閉止状態で結合保持されれば、本体側係合部90および蓋側係合部100とストッパ部材110との係合を解除するのは非常に困難であり、主基板ケース70(主基板アッセンブリ30)を開くためには、蓋側連結部109を切断して蓋側係合部100をケース蓋部材60から切り離す必要がある。そのため、主基板ケース70の開放後は、蓋側連結部109の切断痕跡が明確に残るため、不正な開放を早期に発見することができるとともに、不正行為を効果的に抑止できる。
また、蓋側係合部100が本体側係合部90と連結された状態では、蓋側係合部100の突片103が本体側係合部90の壁面部92に当接するとともに、本体側係合部90の係合リブ98が蓋側係合部100の係合面102aと対向して重なっていることで、本体側係合部90の壁面部92と蓋側係合部100の枠部102との間の隙間(クリアランス)は完全に覆われている。そのため、壁面部92と枠部102との隙間からドライバ等を挿入して蓋側係合部100をこじ開けるのは困難であり、主基板ケース70が不正に開放されるのをより確実に防止することができる。
さらに、ストッパ部材110は係合爪部108に離脱不能に係合され引き抜く方向への移動が規制されているものの、本体側および蓋側開口部94,104内において回転することは許容されているため、不正な手段によりストッパ部材110が開口部94,104から強制的に引き抜かれて、その後、再び戻されたような場合には、その不正行為の事実を容易に発見できるようになっている。すなわち、ストッパ部材110を強制的に引き抜いた場合には、蓋側係合部100の係合爪部108およびストッパ部材110の係合突起114の少なくとも一方が破断されている可能性が高いため、その後、不正行為を隠すために再びストッパ部材110を蓋側開口部94および本体側開口部104に挿入して戻したとしても、係合爪部108と係合突起114とが再度係合することはない。このため、ストッパ部材110を回転させて位置決めスリット115が蓋側係合部100の位置決め突起107に重なった状態で、ストッパ部材110を引き抜くことができるか否かを確認することで、不正な開封の有無を容易に発見することができる。一方、不正行為を隠すためにストッパ部材110を蓋側開口部104および本体側開口部94に再び戻して、ストッパ部材110をこれらの開口部94,104内に接着剤等で固定することで本体側係合部90と蓋側係合部100とを本来の係合状態に見せかけた場合には、摘み部113を持ってストッパ部材110を回転させようとしても固着されて回転できないため、このようにストッパ部材110の回転確認をすることで不正な開封の有無を容易に発見することができる。また、このようにストッパ部材110には、頭部112に摘み部113が形成されているため、蓋側開口部104内に頭部112まで沈めて開口を塞いでも、この摘み部112を掴むことでストッパ部材110を容易に回転させることができるため、この確認作業を容易にすることができる。
なお、前述したように、主基板ケース70(ケース本体部材50およびケース蓋部材60)の材料として透明な樹脂材料を使用しているが、その中でもABS樹脂を使用することが好ましい。これにより、上記のような部材に対して切断操作を行うと、ABS樹脂の成分であるブタジエンがゴム性を有して伸び、部材が割れずに白色化しやすいため、その切断痕跡が明確に残りやすいという効果が得られる。
次に、以上のようにしてケース本体部材50とケース蓋部材60とが閉止状態で係止保持された主基板アッセンブリ30において、その内部に収容された主制御基板31の保守点検作業や検査等を行う場合について説明する。
主制御基板31の検査等を行うときには、例えば、ニッパ等の工具を用いて、本体側係合部90に係合された蓋側係合部100の蓋側連結部109を切断する。これにより、蓋側係合部100とケース蓋部材60とが切り離されるので、主基板ケース70を開放することができ、ケース蓋部材60に覆われた主制御基板31の検査等を行うことができる。
なお、このとき、蓋側連結部109が切断されて、ケース蓋部材60から切り離された蓋側係合部100とともにストッパ部材110を本体側係合部90から離脱させようとしても、本体側係合部90の係止リブ98と蓋側係合部100の係合面102aとが対向して重ねられた状態にあるため、本体側係合部90に対する蓋側係合部100の移動が規制される。そのため、本体側係合部90から蓋側係合部100およびストッパ部材110を取り外す(引き離す)ことはできない。これにより、使用済みの本体側係合部90および蓋側係合部100については検査後も連結状態のまま放置しておけばよいため、主制御基板31の検査等の際に、この使用済みの蓋側係合部100およびストッパ部材110を取り外して処分する等の手間が省けて作業効率が向上する。
ところで、本体側係合部90および蓋側係合部100は、ケース本体部材50およびケース蓋部材60の左端側にそれぞれ4つずつ設けられているが、本体側係合部90と蓋側係合部100とを連結させてケース本体部材50とケース蓋部材60とを閉止状態で結合保持するときには、本体側係合部90および蓋側係合部100のいずれか一組がストッパ部材110により連結されていればよい。そのため、本体側係合部90と係合した蓋側係合部100の蓋側連結部109が切断されても他の三組はまだ使用可能であり、主制御基板31を検査等するために、閉止状態(係止状態)の主基板ケース70が開放されても、別の不正開放防止機構80の組を用いて再び主基板ケース70を閉止状態(係止状態)にすることができる。
ここで、ストッパ部材110が挿入されて係合状態にある本体側係合部90および蓋側係合部100では、図13に示すように、蓋側開口部(挿入孔)104の開口端部がストッパ部材110の頭部112により完全に閉塞されているため、蓋側開口部104および本体側開口部94に工具等を侵入させて不正を施すことが防止される。しかしながら、ストッパ部材110により係合されていない本体側係合部90および蓋側係合部100の組(未使用の組)については、本体側開口部94および蓋側開口部104が開口状態となっている。このため、前もってこれら開口部94,104をヤスリ類の工具で削るなどの不正を施してストッパ部材110を予め挿抜可能にしておくことで、正規に当該組の不正開放防止機構80が用いられた場合に、ストッパ部材110を簡単に引き抜いて主基板ケース70が開放されることで、主制御基板31が不正にアクセスされてしまうという問題がある。そこで、本実施形態では、未使用の組の本体側係合部90と蓋側係合部100については、前述のキャップ部材120を蓋側開口部104内に装着することによって、ストッパ部材110を挿入せずともこれら開口部94,104を閉塞可能なように構成されている。
蓋側開口部104にキャップ部材120を装着するには、ケース蓋部材60をケース本体部材50から取り外した状態で、まず、蓋側開口部104内の一対の係合爪部108,108にキャップ部材120の一対の位置決めスリット121,121を通過させるように、キャップ部材120を蓋側係合部100の裏面側(ストッパ部材110を挿入する面とは逆側の面)から挿入する。そして、キャップ部材120の先端面が蓋側開口部104の位置決め突起107の裏面側に当接する位置まで挿入されたところで、キャップ部材120が蓋側開口部104に装着される。このとき、キャップ部材120が挿通孔106に挿入されると、キャップ部材120の係合爪部108が挿通孔106を形成する内壁面に押し付けられて弾性で外方に付勢するため、この蓋側係合部100の裏面側が下方を向けられても、キャップ部材120は容易に脱落しないようになっている。
そして、再び、ケース蓋部材60をケース本体部材50に取り付けて主基板ケース70を閉止状態にする際は、まず、未使用のいずれか一組の蓋側係合部100にはキャップ部材120を装着せずに、他の組の蓋側係合部100にのみキャップ部材120を装着しておく。
ケース蓋部材60をケース本体部材50に取り付けて蓋側係合部100を本体側係合部90と対向して重なる状態にすると、使用しない組の本体側係合部90と蓋側係合部100との開口部94,104はキャップ部材120によって閉塞されるため、前述したようなストッパ部材110を挿抜可能にする目的で前もってこれら開口部94,104に不正が施されるのが防止され、不正行為をより効果的に抑止することが可能になる。そして、キャップ部材110により開口部94,104を塞がなかった未使用の一組の本体側係合部90および蓋側係合部100に対しては、その後ストッパ部材110を挿入して係合させることで、ケース本体部材50とケース蓋部材60とを再び係止保持状態にすることができる。
また、ケース本体部材50とケース蓋部材60とが一旦係止保持されれば、キャップ部材120を蓋側係合部100から取り外そうとしても、このキャップ部材120は蓋側係合部100に内側から装着されて一対の位置決め突起107により抜け止めがなされているため、蓋側開口部104からのキャップ部材120の離脱が規制されるようになっている。そのため、蓋側開口部104および本体側開口部94に不正が施こされるのをより確実に防止することができる。
なお、本実施形態では、主基板ケース70の閉止および開封を計4回可能なように、最初の閉止で用いられる1つのストッパ部材110と3つのキャップ部材120(最初の閉止では、1組がストッパ部材110により係合され、他の3組がキャップ部材120により閉塞される)との他、更に2回目以降に用いられる3つのストッパ部材110が必要となる。よって、1つの主基板ケース70に対して計4回の閉止および開封を行うには、ストッパ部材110を計4つ、キャップ部材120を計3つ備える必要があるが、使用の際にこれらの部材を迅速に取り出せるようにするために、本体側係合部90内には、ストッパ部材110およびキャップ部材120を収納保持可能な前述の収容空間95が形成されている。
そのため、最初の閉止の際は、キャップ部材120を挿入して非係合状態になる本体側係合部90および蓋側係合部100の3つの組には、各収容空間95内において次回以降に使用されるストッパ部材110を係止アーム96に係合させて収納保持すればよい。そして、2回目以降の閉止の際には、未使用のいずれか一組において、それまで収容空間95に収納されたストッパ部材110を取出すとともに、キャップ部材120を蓋側係合部100から離脱させた後、今度はこのキャップ部材120を係止アーム96に係合させて収容空間95内に収納する。そして、取り出したストッパ部材110を用いて当該一組の本体側係合部90と蓋側係合部100とを係合させることで、再び主基板ケース70を閉止状態にすることができる。これにより、主基板ケース70の閉止・開封作業の際には、ストッパ部材110とキャップ部材120とを入れ替えるだけで必要な部材を容易に取り出して作業を行うことができるため、作業の効率化を図ることができる。
また、主基板ケース70の開封・閉止作業の際には、切り取られた蓋側係合部100の数により主基板ケース70が何回開放されたかを容易に確認することができる。反対に、蓋側開口部104に挿入されたキャップ部材120の数により未使用の不正開放防止機構80があと何組あるかを容易に確認することができる。
なお、主基板アッセンブリ30は、前述のように、主制御基板31がケース蓋部材60の内面側に取り付けられた状態で、このケース蓋部材60をケース本体部材50に装着可能に構成されているが、主基板アッセンブリ30の主基板取付部20a,20bに対する取付けは、ケース本体部材50の左側部から外方に延びる左側固定部58に取り付けられた左ナイラッチ(登録商標)36と、ケース蓋部材60の右側部から外方に延びる右側固定部68に取り付けられた右ナイラッチ(登録商標)37とが用いられる。
以上に説明した本実施形態による不正開放防止機構80によれば、合計四組の本体側係合部90および蓋側係合部100に対して、少なくとも一組についてはストッパ部材110を介して蓋側係合部100が本体側係合部90に係合されることで、ケース本体部材50にケース蓋部材60を閉止して装着された状態のまま係合保持することが可能になるとともに、その他の組については上記係合保持状態のときにキャップ部材120が蓋側開口部104内で抜け止め状態で係合され両開口部94,104を封止するので、外部からこれらの開口部94,104にヤスリ等の工具を侵入させて不正を施すのが防止される。このように、これら四組全てをストッパ部材110を用いて係合状態にせずとも、非係合状態の係合部90,100の組についてはキャップ部材120を用いて外部から開口部94,104への不正アクセスが抑止されるため、ケース蓋部材60をケース本体部材50から開放もしくは取り出すことができなくなり、主基板ケース70の不正開放を確実に防止することが可能になる。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態においては、ケース本体部材50およびケース蓋部材60に本体側係合部90および蓋側係合部100が四組設けられているが、これに限定されるものではなく、二組以上の複数組設けられていればよいものである。また、上述の実施形態においては、本体側係合部90と蓋側係合部100とが一度に一組だけ連結されているが、これに限定されるものではなく、一度に複数組連結させてもよい。
また、上述の実施形態においては、不正開放防止機構80が主基板アッセンブリ30に構成される主基板ケース70に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、画像制御基板アッセンブリ40に構成される基板ケースや、電源基板アッセンブリに構成される基板ケースに設けられてもよい。
さらに、上述の実施形態においては、不正開口防止機構80を備えた主基板アッセンブリ30がパチンコ機PMに設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、スロットマシンや雀球遊技機等の遊技機に設けてもよい。