JP2010183782A - 管路挿線装置及びそれを用いた挿線方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】管路3内へのケーブル敷設用の引き込み線6を少ない動力で容易に挿線すること。
【解決手段】引き込み線6の先端に設けられる管路挿線装置として、少量の空気が封入された樹脂フィルム製の密閉長袋62を用いる。この密閉長袋62は変形自由であり、かつ、摩擦や引っかかりが少なく、引き込み線6を良好に牽引する。
【選択図】図1

Description

本発明は、管路内へのケーブルの挿線作業に好適に用いられる管路挿線装置及びこの管路挿線装置を用いた挿線方法に関する。
空又は既にケーブルが敷設された管路にケーブルを敷設する場合、管路に予め挿通した引き込み線の先端にケーブルの先端を固定してこの引き込み線を引き戻すことにより、ケーブルを管路内へ挿線するのが一般的である。
この引き込み線挿通作業において、管路内に気流を形成し、引き込み線の先端に推進部材を固定することにより、又は、気流が推進部材に与える流体抵抗力(ドラッグフォース)又は推進部材前後の静圧差により、推進部材を引き込み線挿通方向へ付勢する引き込み線挿通技術が公知となっている。その他、空気を吸い込む代わりに、圧縮空気により管路内の管路挿線装置を押し込む押し込み式引き込み線挿通技術も公知となっている。
たとえば、本出願人により所有されている下記の特許文献1は、引き込み線の先端部に大きな流体抵抗力(ドラッグフォース)を発生するテープ状の管路挿線装置を多数設けることを提案している。各テープは、既設ケーブルや管路の角部などの障害があってもも柔軟に変形してそれを回避しつつ前進することができる。かつ、これらの障害によりテープが曲がるとそのドラッグフォースすなわちテープ推進スラストが一層増大するという利点がある。また、前後の差圧によりスラストを発生するパラシュート型の管路挿線装置も公知となっている。つまり、従来の挿線方式としては、流体抵抗利用推進方式と差圧利用推進方式とが知られている。
吸い込み式引き込み線挿通技術において、管路内に気流を形成したり、管路挿線装置前後に差圧を形成したりするために管路の引出口側から管路内の空気を吸引する空気吸引装置が用いられる。
特許文献1は、テープ状の管路挿線装置を採用する。このテープ状の管路挿線装置は、気流内にて旗のようにはためくことにより流体抵抗力を発生するとともに、気流に乗って管路内の障害を良好に回避し、また、管路内面や既設ケーブルとの間に気流が存在するため接触摩擦抵抗も小さくなる。しかしながら、テープは管路に形成される気流の運動エネルギーすなわちその動圧の一部しか吸収しないため、テープ状の管路挿線装置のスラストが比較的小さいという問題があった。
公知のパラシュート型の挿線技術は、たとえば樹脂フィルムなどで形成された柔らかいパラシュート状の管路挿線装置を採用する。このパラシュート状の管路挿線装置は、その後端開口がほとんど管路の開口いっぱいに開くため、パラシュート状の管路挿線装置の前後の差圧(静圧差)により大きなスラストを発生する。しかしながら、このパラシュート状の管路挿線装置は、管路の曲がり部などで気流方向が急変してパラシュート状の管路挿線装置の後端開口がしぼんでしまうと、気流がパラシュート状の管路挿線装置の周縁部を迂回して流れる。
その結果、このパラシュート状の管路挿線装置が再び開きにくくなり、パラシュート状の管路挿線装置が管路の内面の一部領域に押しつけられて、スラストが消失する場合があった。更に、このパラシュート状の管路挿線装置の後端は、多数のパラシュート紐により挿線用予備線の先端に接続されているが、パラシュート紐が管路の内面の曲がり部や内面に生じた錆などの突起や既設ケーブルに引っ掛かったり、切れたり、自転により捻れてパラシュートの後端開口を狭めたり、管路挿線装置の推進が停止したりする可能性があった。
特許第4117861号公報
(課題)
管路内には、錆、水、既設ケーブルなどの種々の障害物がある。数百メートルに達する長い管路中を引き込み線を引きずるために、推進部材は大きなスラストを発生する必要がある。この大きなスラストに耐えるために、推進部材はこの大きなスラストに耐える引っ張り強度をもつ必要がある。推進部材は、上記障害物との摩擦により破損しない擦過強度とこれらの障害物に引っかからない円滑な表面をもつ必要がある。上記障害物による管路断面形状の変化や管路の曲がりや分岐にもかかわらず大きな差圧や流体抵抗を発生するために、推進部材は、管路断面の変化に応じて柔軟に変形し、空気漏れを極力減らす必要がある。
しかしながら、上記した従来提案されている種々の引き込み線牽引方式はこれらの課題をすべて解決していない。このため、現状の当該市場においては人力によるワイヤ線押し込みによる極めて大きなに労力負担を要するワイヤ挿通作業がいまだに採用されている。
(目的)
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、管路挿線装置と管路内面や既設ケーブルとの間の摩擦抵抗や引っ掛かりなどの飛行妨害力を軽減しつつ、大きなスラストを発生可能な管路挿線装置を提供することをその目的としている。
(解決手段)
上記課題を解決する本発明の管路挿線装置は、ケーブルを管路内に敷設するための引き込み線と、前記引き込み線の先端部に固定されるとともに前記管路内の空気により付勢されて前記引き込み線を牽引する差圧推進部材とを有する管路挿線装置において、前記差圧推進部材は、前記管路の内面に密着可能な外径と、前記外径よりも長い管路方向の軸長とを有して略魚雷形状に形成されて内部に空気が部分的に封入された軟質薄層素材製の密閉長袋を有することをその特徴としている。なお、ここで言う「部分的に」とは、密閉長袋の最大容積未満で少なくともその5%以上の体積(1気圧にて)の空気量を言う。
空気(ガスでもよい)が注入された密閉長袋は、変形性に優れているため、管路内に種々の障害物が存在してもそれに応じて変形することができるので、良好な管路閉塞性と小さい摩擦抵抗とをもつので、密閉長袋と管路内面との間の空気漏れを良好に防ぐ。このため、管路内に種々の障害物が存在してもそれに応じて変形して空気漏れ通路を塞ぎ、引き込み線に大きな推進与えることができる。
好適な態様において、前記引き込み線の先端部は、前記密閉長袋の後端部に連結されている。これにより、密閉長袋各部に掛かる差圧を良好に引き込み線引っ張りスラストに変更することができる。また、密閉長袋と引き込み線との接続を簡単に行うことができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、樹脂製の軟質薄層素材により形成されて所定の最大容積をもち、前記密閉長袋は、大気圧にて前記最大容積の5〜70%、更に好適には10〜60%の体積を前記密閉長袋に与える量の空気又はガスを収容する。
つまり、密閉長袋には、通常は空気からなるガスは密閉状態にて部分的にしか注入されない。密閉長袋に封入されるガス(好適には空気)の量は重要である。空気量が大きすぎると密閉長袋は管路内の狭隘な部分を通り抜けることができず、また密閉長袋の頭部が管路内面に広く密着して摩擦抵抗が増大する。空気量が小さすぎると密閉長袋の頭部は管路内面にその全周にわたって良好に略密着することができないため、空気漏れの増大により引き込み線を牽引する能力が低下する。
この態様の重要な特徴は、密閉された密閉長袋の最大容積が密閉長袋内の空気量(大気圧下の体積)よりかなり大きくされる点にある。これにより、管路内を進行する密閉長袋に良好な管路閉塞性と、良好な変形性と、比較的小さい摩擦抵抗とを与えることができる。
この点について、以下、更に詳しく説明する。
直線状の管路内において、前方から吸引される場合、密閉長袋周辺の気流及び気圧により、密閉長袋内の封入空気は、密閉長袋の頭部に集まる。これは、密閉長袋の頭部前面に隣接する管路部位の気圧が上記吸い込みにより低下するものの、密閉長袋の中央部及び尾部に隣接する管路部位の気圧は略大気圧に保たれるためである。このため、密閉長袋の中央部及び尾部の封入空気は前方へ移動し、その結果として、密閉長袋の中央部及び尾部は萎んで紐状となり、密閉長袋の頭部は膨らむ。結局、密閉長袋は、大きな頭から後方へ紐状部が伸びる略オタマジャクシ状となる。膨らんだ密閉長袋の頭部は管路内面に密着して管路を塞ぎ、密閉長袋の頭部には吸い込み圧力が良好に作用して、この密閉長袋は、引き込み線に大きなスラストを与える。
次に、この略オタマジャクシ状の密閉長袋からなる管路挿線装置は、全体として長いにもかかわらず、引き込み線を引く際にはその頭部だけが膨らむので、管路内面との総接触面積は比較的小さく、摩擦抵抗の増大を抑止することができる。
更に、この密閉長袋は、管路の曲がりや口径変化に追従して柔軟に変形することができる。すなわち、管路の曲がりや口径変化により前方から見た頭部の断面積が小さくなる(端的に言えば細くなる)結果、密閉長袋の頭部容積が小さくなる場合には、頭部内の封入空気は、その後方の密閉長袋の中央部や尾部に移動し、その結果としてたとえ管路が急に曲がったり、細くなったりしても問題なく、頭部形状はそれに応じた形に変形することができる。その後、管路が元の形状に戻った場合には頭部の中央部や尾部の空気が再度頭部に移動して、頭部形状は元の大きな形状に回復する。管路内に既設ケーブルが存在する場合でも、同様に、頭部形状はそれに合わせて変形することができる。更に、この密閉長袋は、非常に軽量である上、安価に製造することができ、更に、引き込み線への接続や交換も容易であるという効果も奏する。
また更に、本発明の密閉長袋は、たとえば管路の所定部位にて既設ケーブルなどにより狭隘となった通路などを良好に通過することができる。すなわち、密閉長袋の頭部は、この狭隘部位に達すると内部の空気が後方へ移動することにより、この狭隘部位の形状に合わせて細くなってこの狭隘部位を通過する。その後、内部の空気は、この狭隘部を通過した密閉長袋の頭部に移動し、頭部は再び膨らむ。その後、密閉長袋の細くなった中央部や尾部が順次この狭隘部を通過する。管路の狭隘部を通過するための密閉長袋の上記変形動作は、従来のパラシュート型の管路挿線装置やテープ状の管路挿線装置のそれに比べて圧倒的に優れている。
好適な態様において、前記密閉長袋は、樹脂フィルムにより形成されている。たとえば、密閉長袋は、厚さ1〜100μmの樹脂フィルムにより形成されるが、その柔軟性が確保できれば厚さは変更可能である。好適には、耐摩耗性及び引っ張り強度に優れた樹脂材料たとえば熱可塑性の樹脂フィルムを採用することが好適である。経済的には、密閉長袋として使い捨ての買い物袋や使い捨ての傘袋と同様の樹脂フィルム素材を採用することができる。
密閉長袋は、所望展開形状に切断された1枚の樹脂フィルムを折り、端部の内、長手方向一端部を除いて熱溶着して製造されることができる。その他、密閉長袋は、必要展開形状に切断された2枚の樹脂フィルムの端部の内、長手方向一端部を除いて熱溶着して製造されることができる。密閉長袋は、たとえばフランスパンを包む袋と同様の形状をもつことができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、内部に空気を封入可能な樹脂フィルム製の樹脂袋部と、柔軟性を有するとともに少なくとも前記樹脂袋部よりも優れた長さ方向引っ張り強度をもつ補強部とを有し、前記補強部は、前記樹脂袋部の樹脂フィルムよりも厚肉で多く隙間を有して前記樹脂袋部の全周に密着する樹脂部材からなる。
たとえば、この密閉長袋の素材として、繊維層が接着又は又は一体化された樹脂フィルムを採用することができる。この繊維層としては薄い布や網が考えられる。布としては、織布や不織布を採用することができる。このようにすれば、密閉長袋の引っ張り強度を増大することができる。その他、補強部と密閉長袋とを別体構成とし、二重に重ねて使用してもよい。
好適な態様において、前記補強部は、前記樹脂袋部の外表面に密着する。このようにすれば、補強部は、密閉長袋が管路内面や管路内の障害物とこすれて破損するのを良好に防止することができる。
好適な態様において、前記補強部は、前記樹脂袋部の前端部から前記樹脂袋部の外表面に沿って延在して前記引き込み線と前記密閉長袋との連結部に達し、前記補強部の後端部は、前記引き込み線の先端部と力を伝達可能に連結される。これにより、密閉長袋に掛かる引き込み線引っ張りスラストを軽減することができるため、樹脂袋部を構成する樹脂フィルムが疲労して破損するのを抑止することができる。
好適な態様において、前記補強部は、網状又は籠状に形成されて前記樹脂袋部を覆う。たとえば、補強部は、果物収容ネットなどで構成することができる。これにより、補強部は、密閉長袋を構成する樹脂フィルムが管路内面や管路内の障害物とこすれて破損するのを良好に防止することができる。また、網状又は籠状の補強部は、管路内面と補強部との間をすり抜ける空気漏れを良好に防止しつつ、管路内面などとの接触面積が小さいために推進部材の摩擦抵抗を低減することができる。
好適な態様において、前記補強部は、互いに周方向所定ピッチで前記樹脂袋部の外表面に接合される複数のスレッド状又はテープ状の樹脂部材により構成される。このようにすれば、樹脂袋部の長手方向の変形性が抑制され、長手方向と直角方向(すなわち周方向)の変形性は確保されるため、たとえば、管路がスパイラル管やコルゲート(波)管であっても、密閉長袋がこれらの管路内面の径大部に膨らむことにより、推進に対して大きな抵抗が発生するのを良好に防止することができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、前記空気又はガスが封入されない扁平状態において略長方形の形状をもつ。これにより、密閉長袋を容易に製造することができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、扁平状態における前記密閉長袋の幅の2〜20倍、更に好適には4〜10倍の長さを有する。これにより、密閉長袋と管路内面との間の隙間の空気抵抗を増大して空気漏れを減らすことができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、半球状の先端部を有する。これにより、管路挿線装置の移動を容易とし、摩擦抵抗も減らすことができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、扁平状態で長方形の樹脂袋の先端部をその幅方向中央に寄り合わせて縛るか熱接合した後、前記樹脂袋を裏返して形成されている。これにより、密閉長袋の製造費用を減らしつつ、密閉長袋の前端部を略半球状に形成することができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、前記空気又はガスを注入するための開口部を後端部に有する。これにより、この開口から長袋内に空気を適量注入した後、長袋を縛ったり、結んだりすることにより密閉することができる。この態様によれば、密閉長袋を安価に製造することができ、密閉長袋内の封入空気量を、管路径に合わせて容易に調節することができる。
好適な態様において、密閉長袋は、長手方向一端のみが開口された樹脂フィルムにより作製された袋からなる。これにより、密閉長袋を安価で容易に製造することができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、前記開口部を脱着可能に閉鎖する螺子付きのキャップとを有する。これにより、封入空気量の調節が容易となる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、前記開口部を閉鎖した部位よりも更に後方にて前記引き込み線に連結される。更に、閉鎖部よりも下流側の長袋の部分は紐状となるため、容易かつ好適に引き込み線の前端部に接続することができる。
好適な態様において、大気圧において前記密閉長袋の前記最大容積の所定比率の体積を前記密閉長袋に与える量の空気又はガスを前記密閉長袋に注入した後で前記密閉長袋を密閉した後、前記引き込み線に連結された前記密閉長袋を前記管路の一端から挿入するとともに前記管路の他端から前記管路内の空気を吸引し、前記所定比率は5〜70%、更に好適には10〜60%であり、前記管路は、空気又はガスが注された後の前記密閉長袋の外周面が密着可能な内径をもつ。
このようにすれば、既述した理由により比較的小動力の吸引装置により従来公知の管路挿線装置に比べて格段に優れた引き込み線牽引効果を奏することができる。
好適な態様において、挿線すべき前記管路の内径に合わせて少なくとも前記密閉長袋の外周面が前記管路の内周面の全面に密着可能な量の前記空気又はガスを前記密閉長袋に注入する。これにより、優れたスラストを得ることができる。
実施形態1の挿線装置の要部拡大断面図である。 図1の密閉長袋の拡大側面図である。 図1の密閉長袋を扁平化した状態を示す平面図である。 障害を通過する場合の密閉長袋の変形状態を示す側面図である。 実施形態1の密閉長袋の変形態様を示す模式側面図である。 実施例2の密閉長袋の模式側面図である。 図6の密閉長袋の一部拡大側面図である。 実施例3の密閉長袋62の模式側面図である。 実施例3の密閉長袋の変形態様を示す一部拡大側面図である。
(実施形態1)
本発明の挿線装置の好適な実施形態を図面を参照して説明する。図1は、この実施例の挿線装置の模式断面図である。
1は、真空吸引装置であり、モータにより駆動される空気吸い込み装置により構成されている。2はゴム筒製又は樹脂筒製のエアホースである。真空吸引装置1としては、たとえば電気掃除機やブロワを採用することができる。この種の真空吸引装置1は、周知であるため、これ以上の説明は省略する。エアホース2は、真空吸引装置1の吸い込み側の開口を覆うように固定されている。これにより、真空吸引装置1はエアホース2を通じて空気を吸引する。
3は道路下に埋設されたケーブル敷設管をなす管路であり、6はスチール撚り線からなる引き込み線である。7、8はマンホール、9は道路の舗装部である。マンホール7、8は道路に沿いつつ所定距離たとえば200メートル程度離れている。地中に埋設された管路3の挿入口はマンホール8の壁面に開口し、管路3の引出口31はマンホール7の壁面に開口している。引き込み線6の先端には差圧推進部材をなす密閉長袋62の尾部が固定されている。
エアホース2の先端部すなわち吸い込み側の開口には椀状空気吸入端部である入口側円筒部材22が固定されている。入口側円筒部材22はエアホース2の一部をなす。ゴム製の入口側円筒部材22は、椀状に形成されて、内部の負圧により壁面に良好に密着している。すなわち、管路3が開口する壁面等に入口側円筒部材22の先端周縁部を密着させた場合、真空吸引装置1の吸引により入口側円筒部材22の周縁部が管路周囲の壁面に吸着し、入口側円筒部材22は容易に壁面に保持される。更に、入口側円筒部材22の先端周縁部が壁面の凹凸に沿いつつ弾性変形するため、空気漏れは良好に防止される。
エアホース2の先端部である入口側円筒部材22は管路3の引出口31を覆っており、入口側円筒部材22の先端周縁部はマンホール8の側壁面に密着している。真空吸引装置1を駆動することにより管路3内の空気をエアホース2を通じて吸引すると、密閉長袋62に作用する圧力差により引き込み線6は管路3内をその引出口31側へ移動する。
この実施形態の特徴をなす密閉長袋62をその断面図であある図2を参照して詳しく説明する。
この密閉長袋62は密閉長袋により構成されている。この密閉長袋62の尾部64は、ケーブルを管路3内に敷設するための引き込み線6の先端部に結合されており、管路3内の空気により付勢されて引き込み線6を牽引する。密閉長袋すなわち密閉長袋62は、たとえば厚さ数〜数十μmのポリエチレンフィルムにより長筒状に形成されている。密閉長袋62は少量の空気が封入されて密閉されており、密閉長袋62の尾部64に設けられた空気注入用の開口は接着用のテープ63をきつく巻き付けるなどの方法で閉鎖されており、同時に引き込み線6の先端部に固定されている。
密閉長袋62の製造例を図3を参照して説明する。図3に示されるマッチ棒状に予め切断された2枚のポリエチレンフィルムが準備される。次に、この2枚のポリエチレンフィルムの周縁部のうち尾部64を除く周縁部分(図3に示す破線部分)を熱溶着して尾部64が開口した密閉長袋62が製造される。空気が注入されることにより、この密閉長袋62は少し膨らんだ頭部65を有する魚雷形状をもつことができる。
その他、折り曲げられた1枚の樹脂フィルムの周縁部を尾部64の開口を除いて熱溶着してこの頭部65が膨らんだ魚雷状の密閉長袋62を製造してもよい。
更に、この実施形態では、耐久性向上のため、密閉長袋62を形成するためのポリエチレンフィルムのうち、頭部65となる部位に予め網状の樹脂ネット66が接着されている。もちろん、ポリエチレンフィルムの全面に予めこの樹脂ネット66を接着したり、樹脂ネット66を内蔵する多層の網入り樹脂フィルムを採用してもよい。この樹脂ネットとしては、たとえばミカンを入れる樹脂ネットに類似するものでよい。もちろん、この樹脂ネットの使用を省略することもできる。
このようにすると、密閉長袋62のうち最も管路3の内面などとの摩擦が大きい密閉長袋62の頭部65の部分の破れを良好に防止することができる。また、樹脂ネット66をポリエチレンフィルムの外側に設けることにより、空気漏れを防止しつつ管路3の内面と密閉長袋62との摩擦抵抗を大幅に低減することができるため、引き込み線6の牽引性能を更に向上することができる。その他、密閉長袋62は、たとえばフランスパンを入れるような単純な長い長方形の袋でもよい。
密閉長袋62の尾部64は、締結などの方法により密閉され、内部に空気が封入されている。密閉長袋62への封入空気量は、大気圧にてその最大容積の5〜70%、更に好適には10〜60%の体積を前記密閉長袋に与える量に設定される。これにより、管路封鎖機能と形状変形機能とを良好に両立させることができる。つまり、密閉長袋62には、通常は空気からなるガスは密閉状態にて部分的にしか注入されない。封入空気量が多すぎると密閉長袋62は管路3内の狭隘な部分を通り抜けることができず、更に密閉長袋62の頭部が管路3の内面に広く密着して摩擦抵抗が増大する。封入空気量が少なすぎると密閉長袋62の頭部は管路3の内面にその全周にわたって良好に略密着することができないため、空気漏れが増大して引き込み線6の牽引能力が低下する。
密閉長袋62の扁平状態における長さはその幅の2〜20倍、更に好適には4〜10倍とされる。これにより、密閉長袋と管路内面との間の隙間の空気抵抗を増大して空気漏れを減らすことができる。
密閉長袋62を構成する樹脂フィルムとしては、引っ張り強度に優れたポリプロピレン樹脂フィルムなどが好適である。樹脂フィルムの厚さは、1〜100μmたとえば50μmとされるが、柔軟性が確保できれば厚さは変更可能である。密閉長袋62は、扁平状態における密閉長袋の幅の2〜20倍、更に好適には、4〜10倍の長さを有することが好適である。これにより、空気漏れを低減することができる。
上記密閉長袋62からなる密閉長袋62を用いた挿線工程を以下に説明する。長手方向一端のみが開口された種々のサイズの密閉長袋62を引き込み線6や真空吸引装置1及びエアホース2とともに工事現場に携行する。引き込み線6はリール(ドラム)に巻き取っておくことが好適である。工事現場では、管路3の径に合わせて選択された最適なサイズの密閉長袋62にその開口から空気を適量吹き込み、開口を閉鎖して密閉袋とする。
次に、この密閉長袋62を引き込み線の先端部に固定し、管路3の一端側に配置する。次に、管路3の他端側に真空吸引装置1から伸びるエアホース2を取り付け、真空吸引装置1を起動する。その後、管路3の一端側に密閉長袋62をなす密閉長袋62の頭部を挿入する。密閉長袋62は真空吸引装置1により形成される空気管路3内の空気流により管路3内に吸い込まれる。管路3内にて密閉長袋62の頭部が選択的に膨らむ。
その結果、真空吸引装置1により形成される差圧のほとんどは、この密閉長袋62の頭部の前後に作用する。これにより、密閉長袋62は、引き込み線6を強力に牽引する。引き込み線6が管路3を貫通したら、密閉長袋62を引き込み線6から取り外し、その代わり引き込み線6の先端にケーブルを取り付け、引き込み線6を逆方向に牽引して、管路へのケーブル挿線を完了する。
(効果)
この挿線方法によれば、既述した理由により比較的小動力の吸引装置により従来公知の各種の管路挿線装置に比べて格段に優れた引き込み線牽引効果を奏することができる。
密閉長袋62の封入空気量は、密閉長袋62の最大容積に対して少なくされる。このため、この密閉長袋62を管路3内に入れて吸引すると、密閉長袋62内の封入空気は、密閉長袋62の前後の気圧差により密閉長袋62の頭部に押し込まれる。その結果、密閉長袋62の頭部は膨らみ、密閉長袋62の中央部や尾部は萎む。このため、密閉長袋62は、この気圧差により引き込み線6を牽引して良好に移動する。
密閉長袋62は、管路の曲がりや口径変化に追従して柔軟に変形することができる。たとえば、既設ケーブルや錆又は異物により、管路3が所定位置で狭搾されている場合を図4を参照して説明する。ハッチングした部分は異物である。狭搾された管路3の部位を通過する時、密閉長袋62の頭部内の空気は後方へ移動し、それにより、密閉長袋62の頭部は良好にこの狭搾部位を通過することができ、通過後、密閉長袋62の頭部は再び元の形に膨らむことができる。管路の狭隘部を通過するための密閉長袋の上記変形動作は、従来のパラシュート型の管路挿線装置やテープ状の管路挿線装置のそれに比べて圧倒的に優れている。
(その他の態様)
管路3の径や管路3内の既設ケーブル本数に合わせて、密閉長袋62に封入する空気量を調節することができる。これにより、口径が異なる複数種類に対する推進部材として一種類の密閉長袋62を用いることができる。ただし、密閉長袋62の最大径は、引き込み線6が挿線される各種管路3の内径よりも大きい必要がある。
その他、工事現場で密閉長袋62に空気を封入して密閉長袋62の尾部621の開口を閉鎖する代わりに、管路径ごとに最適量に調節された空気が予め封入された密閉長袋62を用いても良い。
また、密閉長袋62の頭部は、膨らませた状態にて略半球状に形成することが管路3の内面との接触面積を減ら観点から好適であるが、その代わりにして摩擦抵抗を低減することができる。
密閉長袋62は、所望展開形状に切断された1枚の樹脂フィルムを折り、長手方向一端部を除いて熱溶着して製造されることができる。その他、密閉長袋62は、必要展開形状に切断された2枚の樹脂フィルムの端部の内、長手方向一端部を除いて熱溶着して製造されることができる。
密閉長袋62の形状の変形例を図5を参照して説明する。
図5(A)は、密閉長袋62に用いる一端が開口された長封筒状の樹脂袋620を示す。扁平状態において、長方形に形成されている。この樹脂袋620の後端(図中、右端)のみが開口されている。この樹脂袋620に適切な空気を注入し、開口を紐で縛ったり、アルミリング621を嵌めてかしめたりすることにより、密閉長袋62が完成される(図5(B))。
ただし、図5(B)は、内部の空気は前方に移動した状態を示す。この開口閉鎖作業により、同時に引き込み線6の先端を密閉長袋62の後端部に結合してもよい。
密閉長袋62の他例を図5(C)を参照して説明する。図5(C)では、両端が開口する長方形の長袋が準備され、この長袋の前端が縛るなどの方法により密閉される。次に、この長袋を裏返して、縛った部分が密閉長袋62の内部に入るようにする。このようにすると、密閉長袋62の先端部を略半球状に形成することができる。
その他の密閉長袋62の例を図5(D)を参照して説明する。図5(D)では、密閉長袋62の後端部に空気吹き込み用の小筒部623が設けられ、この小筒部623にキャップ624を螺着することにより、密閉長袋62内の空気漏れが防止される。これにより、封入空気量の調節を難解でも容易に行うことができる。
(実施形態2)
本発明の挿線装置の他の実施形態を図6を参照して説明する。図6は、この実施例の推進部材をなす密閉長袋62の模式側面図である。ただし、密閉長袋62は、断面図示する管路3内にて差圧を受けているものとする。
密閉長袋62は、内部に空気を封入可能な樹脂フィルム製の樹脂袋部625と、柔軟性を有するとともに樹脂袋部625よりも優れた長さ方向引っ張り強度をもつ補強部626とを有する。補強部626は、樹脂袋部625を構成する樹脂フィルムよりも厚肉の樹脂ネットにより構成されており、樹脂袋部625に被せられている。なお、図6では、理解を容易とするために、外側の補強部626と内側の樹脂袋部625との間に隙間が設けられているが、実際には両者は密着している。
樹脂ネットである補強部626は、たとえばミカン袋などにより容易にイメージされる。図7は、補強部626の一部を拡大図示した模式部分拡大側面図であり、ネットを構成する各スレッド6260は斜行している。もちろん格子状のネットを採用したり、籠状に編んだネットを採用してもよい。
補強部626の図略の後端部は、樹脂袋部625の後端部(図示せず)とともに図略の引き込み線6の先端に連結されている。なお、補強部626だけを引き込み線6の先端に連結し、樹脂袋部625は引き込み線6に連結しないことも可能である。その他、補強部626をなす樹脂ネットを樹脂袋部625の表面に加熱などにより接合してもよい。
このようにすれば、以下の効果を奏することができる。
まず、補強部626は、樹脂袋部625の所定部位が障害物などとの接触しても、補強部626が応力を分散させるためこの所定部位により大きな応力が集中することがない。また、補強部626は密閉長袋62に掛かるスラストの一部又は全部を負担することができるため、密閉長袋62が疲労したり破れたりすることがない。更に、密閉長袋62を包むネット状又は籠状の補強部626は、多くの隙間をもつため、管路3の内面との間の摩擦抵抗が比較的小さいにもかかわらず、管路3の長手方向において管路3の内面と樹脂袋部625の外周面との間の隙間は、補強部626を構成するネットのスレッドにより何回も遮断されるため、空気漏れを減らすことができる。
(実施形態3)
本発明の挿線装置の他の実施形態を図8を参照して説明する。図8は、推進部材をなす密閉長袋62の模式径方向断面図である。ただし、密閉長袋62は、断面図示する管路3内にて差圧を受けているものとする。
この密閉長袋62は、内部に空気を封入可能な樹脂フィルム製の樹脂袋部625と、柔軟性を有するとともに樹脂袋部625よりも優れた長さ方向引っ張り強度をもつ補強部626とを有する。補強部626は、樹脂袋部625を構成する樹脂フィルムよりも厚肉の樹脂ネットにより構成されており、樹脂袋部625の外表面に熱又は接着剤により接合されている。
補強部626は、樹脂袋部625の前端部(頭部)の中央から半球状の頭部上を放射状に広がり、その後、樹脂袋部625の外周面上を後方へ互いに平行に延在する多数の樹脂テープ6261からなる。管路3内で差圧を受けることにより、樹脂袋部625内の空気は樹脂袋部625の前方に偏在するため、樹脂袋部625の後端部はすぼまっている。そのため、後側の各樹脂テープ6261の間の間隔(周方向)は次第に縮小している。各樹脂テープ6261の間に位置して露出する樹脂袋部625は薄く、柔軟なため、管路3の内径に密着するが、余った分は、管路3の径方向内側に曲がって収容されている。
樹脂テープ6261の幅や長さや配置パターンは、適宜選択することができる。たとえば、図9に示すように、長さが短い多数の樹脂テープ6261を千鳥状(市松状)に分散配置してもよい。その他、樹脂テープ6261をストローのような細径の樹脂チューブとしてもよい。樹脂テープ6261を樹脂袋部625の内表面に接合しても良い。密閉長袋62の前端部(頭部)には樹脂テープ6261を設けなくてもよい。密閉長袋62の後端部(尾部)には樹脂テープ6261を設けなくてもよい。樹脂テープ6261が樹脂袋部625よりも相対的に硬ければ、樹脂テープ6261の厚さは自由であり、たとえば樹脂袋部625と同程度でもよい。樹脂テープ6261をたとえば金属箔のような樹脂以外の素材で構成してもよい。樹脂テープ6261と樹脂袋部625とを一体に成形してもよい。
この実施例の密閉長袋62は、薄い樹脂テープ6261の外表面に接合された多数の樹脂テープ6261をもち、各樹脂テープ6261は、密閉長袋62の全周にわたって密閉長袋62の長手方向へ互いに略平行に延在するため、管路3が断面波形のコルゲート管やスパイラル管により構成されている場合でも、柔軟な樹脂袋部625が管路3の波形の凹部に密着して大きな抵抗力を発生することがない。すなわち、樹脂テープ6261が密閉長袋62のこのような変形を抑止する。
また、この樹脂テープ6261は、薄い樹脂袋部625の摩耗を防止する。樹脂テープ6261の後端部は、引き込み線6に達しており、密閉長袋62に掛かる推進力(スラスト)の多くは樹脂テープ6261を通じて引き込み線6に伝達される。このため、薄い樹脂袋部625の疲労を防止することができる。
(変形態様)
管路3からエアホース2側に到達した密閉長袋62の認識を容易とするため、エアホース2を光透過性とし、密閉長袋62を着色することが好適である。その他、エアホースの所定部位又は管路3の出口に密閉長袋62のそれ以上の前進を規制するストッパ用のネットを設けることが好適である。また、相対回転自在な自在継ぎ手を介して密閉長袋62と引き込み線6とを連結してもよい。
その他、密閉長袋62及び/又は樹脂ネット66の後端部から後方にテープ状の連結テープ部を複数延設してもよい。各連結テープ部の両端は、たとえば手提げバッグのように密閉長袋62及び/又は樹脂ネット66の本体部に連結されていることが好ましい。このようにすれば、引き出し線6の先端を密閉長袋62又は樹脂ネット66に締結しやすくなる。
1 真空吸引装置
2 エアホース
3 管路(ケーブル敷設管)
6 引き込み線
7 マンホール
8 マンホール
62 密閉長袋
63 密閉長袋の開口を緊縛するためのテープ
64 密閉長袋の尾部
65 密閉長袋の頭部
66 樹脂ネット(補強部)
623 空気吹き込み用の小筒部
624 キャップ
625 密閉長袋の一部としての樹脂袋部
626 密閉長袋の他の一部としての補強部
6261 補強部としての樹脂テープ
空気(ガスでもよい)が注入された密閉長袋は、変形性に優れているため、管路内に種々の障害物が存在してもそれに応じて変形することができるので、良好な管路閉塞性と小さい摩擦抵抗とをもつので、密閉長袋と管路内面との間の空気漏れを良好に防ぐ。このため、管路内に種々の障害物が存在してもそれに応じて変形して空気漏れ通路を塞ぎ、引き込み線に大きな推進力を与えることができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、内部に空気を封入可能な樹脂フィルム製の樹脂袋部と、柔軟性を有するとともに少なくとも前記樹脂袋部よりも優れた長さ方向引っ張り強度をもつ補強部とを有し、前記補強部は、前記樹脂袋部の樹脂フィルムよりも厚肉で多く隙間を有して前記樹脂袋部の外表面又は内表面の全周に密着する樹脂部材からなる。
たとえば、この密閉長袋の素材として、繊維層が接着又は一体化された樹脂フィルムを採用することができる。この繊維層としては薄い布や網が考えられる。布としては、織布や不織布を採用することができる。このようにすれば、密閉長袋の引っ張り強度を増大することができる。その他、補強部と密閉長袋とを別体構成とし、二重に重ねて使用してもよい。
好適な態様において、前記補強部は、前記樹脂袋部の外表面の全周に密着する。このようにすれば、補強部は、密閉長袋が管路内面や管路内の障害物とこすれて破損するのを良好に防止することができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、内部に空気を封入可能な樹脂フィルム製の樹脂袋部と、柔軟性を有するとともに少なくとも前記樹脂袋部よりも優れた長さ方向引っ張り強度をもつ補強部とを有し、前記補強部は、前記樹脂袋部の前端部から前記樹脂袋部の外表面に沿って延在して前記引き込み線と前記密閉長袋との連結部に達し、前記補強部の後端部は、前記引き込み線の先端部と力を伝達可能に連結される。これにより、密閉長袋に掛かる引き込み線引っ張りスラストを軽減することができるため、樹脂袋部を構成する樹脂フィルムが疲労して破損するのを抑止することができる。
上記課題を解決する本発明の管路挿線装置は、ケーブルを管路内に敷設するための引き込み線と、前記引き込み線の先端部に固定されるとともに前記管路内の空気により付勢されて前記引き込み線を牽引する差圧推進部材とを有する管路挿線装置において、前記差圧推進部材は、前記管路の内面に密着可能な外径と、前記外径よりも長い管路方向の軸長とを有して略魚雷形状に形成されて内部に空気又はガスが部分的に封入された軟質薄層素材製の密閉長袋を有し、前記密閉長袋は、大気圧にて前記密閉長袋の最大容積の5〜70%の体積を前記密閉長袋に与える量の空気又はガスを収容することを特徴としている。
空気(ガスでもよい)が注入された密閉長袋は、変形性に優れているため、管路内に種々の障害物が存在してもそれに応じて変形することができるので、良好な管路閉塞性と小さい摩擦抵抗とをもつので、密閉長袋と管路内面との間の空気漏れを良好に防ぐ。このため、管路内に種々の障害物が存在してもそれに応じて変形して空気漏れ通路を塞ぎ、引き込み線に大きな推進力を与えることができる。
つまり、密閉長袋には、通常は空気からなるガスは密閉状態にて部分的にしか注入されない。密閉長袋に封入されるガス(好適には空気)の量は重要である。空気量が大きすぎると密閉長袋は管路内の狭隘な部分を通り抜けることができず、また密閉長袋の頭部が管路内面に広く密着して摩擦抵抗が増大する。空気量が小さすぎると密閉長袋の頭部は管路内面にその全周にわたって良好に略密着することができないため、空気漏れの増大により引き込み線を牽引する能力が低下する。
本発明の重要な特徴は、密閉された密閉長袋の最大容積が密閉長袋内の空気量(大気圧下の体積)よりかなり大きくされる点にある。これにより、管路内を進行する密閉長袋に良好な管路閉塞性と、良好な変形性と、比較的小さい摩擦抵抗とを与えることができる。
この点について、以下、更に詳しく説明する。
直線状の管路内において、前方から吸引される場合、密閉長袋周辺の気流及び気圧により、密閉長袋内の封入空気は、密閉長袋の頭部に集まる。これは、密閉長袋の頭部前面に隣接する管路部位の気圧が上記吸い込みにより低下するものの、密閉長袋の中央部及び尾部に隣接する管路部位の気圧は略大気圧に保たれるためである。このため、密閉長袋の中央部及び尾部の封入空気は前方へ移動し、その結果として、密閉長袋の中央部及び尾部は萎んで紐状となり、密閉長袋の頭部は膨らむ。結局、密閉長袋は、大きな頭から後方へ紐状部が伸びる略オタマジャクシ状となる。膨らんだ密閉長袋の頭部は管路内面に密着して管路を塞ぎ、密閉長袋の頭部には吸い込み圧力が良好に作用して、この密閉長袋は、引き込み線に大きなスラストを与える。
次に、この略オタマジャクシ状の密閉長袋からなる管路挿線装置は、全体として長いにもかかわらず、引き込み線を引く際にはその頭部だけが膨らむので、管路内面との総接触面積は比較的小さく、摩擦抵抗の増大を抑止することができる。
更に、この密閉長袋は、管路の曲がりや口径変化に追従して柔軟に変形することができる。すなわち、管路の曲がりや口径変化により前方から見た頭部の断面積が小さくなる(端的に言えば細くなる)結果、密閉長袋の頭部容積が小さくなる場合には、頭部内の封入空気は、その後方の密閉長袋の中央部や尾部に移動し、その結果としてたとえ管路が急に曲がったり、細くなったりしても問題なく、頭部形状はそれに応じた形に変形することができる。その後、管路が元の形状に戻った場合には頭部の中央部や尾部の空気が再度頭部に移動して、頭部形状は元の大きな形状に回復する。管路内に既設ケーブルが存在する場合でも、同様に、頭部形状はそれに合わせて変形することができる。更に、この密閉長袋は、非常に軽量である上、安価に製造することができ、更に、引き込み線への接続や交換も容易であるという効果も奏する。
また更に、本発明の密閉長袋は、たとえば管路の所定部位にて既設ケーブルなどにより狭隘となった通路などを良好に通過することができる。すなわち、密閉長袋の頭部は、この狭隘部位に達すると内部の空気が後方へ移動することにより、この狭隘部位の形状に合わせて細くなってこの狭隘部位を通過する。その後、内部の空気は、この狭隘部を通過した密閉長袋の頭部に移動し、頭部は再び膨らむ。その後、密閉長袋の細くなった中央部や尾部が順次この狭隘部を通過する。管路の狭隘部を通過するための密閉長袋の上記変形動作は、従来の弾性ボール体型の差圧推進部材やパラシュート型の差圧推進部材やテープ状の差圧推進部材のそれに比べて圧倒的に優れている。
好適な態様において、前記引き込み線の先端部は、前記密閉長袋の後端部に連結されている。これにより、密閉長袋各部に掛かる差圧を良好に引き込み線引っ張りスラストに変更することができる。また、密閉長袋と引き込み線との接続を簡単に行うことができる。
好適な態様において、前記密閉長袋は、樹脂製の軟質薄層素材により形成されて所定の最大容積をもつ。
好適な態様において、前記密閉長袋は、大気圧にて前記最大容積の10〜60%の体積を前記密閉長袋に与える量の空気又はガスを収容する。
上記課題を解決する本発明の管路挿線装置は、ケーブルを管路内に敷設するための引き込み線と、前記引き込み線の先端部に固定されるとともに前記管路内の空気により付勢されて前記引き込み線を牽引する差圧推進部材とを有する管路挿線装置において、前記差圧推進部材は、前記管路の内面に密着可能な外径と、前記外径よりも長い管路方向の軸長とを有して略魚雷形状に形成されて内部に空気が部分的に封入された軟質薄層素材製の密閉長袋を有し、前記密閉長袋は、大気圧にて前記最大容積の5〜70%の体積を前記密閉長袋に与える量の空気又はガスを収容し、前記密閉長袋は、前記管路内にて前方から吸引されることにより前記密閉長袋の中央部及び尾部内の前記空気またはガスが前方へ移動する結果として、前記密閉長袋の頭部が膨らみ、かつ、前記密閉長袋の中央部及び尾部が萎む形状として定義される略オタマジャクシ形状となって前記引き込み線にスラストを与えることを特徴としている。

Claims (22)

  1. ケーブルを管路内に敷設するための引き込み線と、前記引き込み線の先端部に固定されるとともに前記管路内の空気により付勢されて前記引き込み線を牽引する差圧推進部材とを有する管路挿線装置において、
    前記差圧推進部材は、前記管路の内面に密着可能な外径と、前記外径よりも長い管路方向の軸長とを有して略魚雷形状に形成されて内部に空気又はガスが部分的に封入された軟質薄層素材製の密閉長袋を有することを特徴とする管路挿線装置。
  2. 前記引き込み線の先端部は、前記密閉長袋の後端部に連結されている請求項1記載の管路挿線装置。
  3. 前記密閉長袋は、樹脂製の軟質薄層素材により形成されて所定の最大容積をもち、
    前記密閉長袋は、大気圧にて前記最大容積の5〜70%の体積を前記密閉長袋に与える量の空気又はガスを収容する請求項1記載の管路挿線装置。
  4. 前記密閉長袋は、大気圧にて前記最大容積の10〜60%の体積を前記密閉長袋に与える量の空気又はガスを収容する請求項3記載の管路挿線装置。
  5. 前記密閉長袋は、樹脂フィルムにより形成されている請求項3記載の管路挿線装置。
  6. 前記密閉長袋は、内部に空気を封入可能な樹脂フィルム製の樹脂袋部と、柔軟性を有するとともに少なくとも前記樹脂袋部よりも優れた長さ方向引っ張り強度をもつ補強部とを有し、
    前記補強部は、前記樹脂袋部の樹脂フィルムよりも厚肉で多く隙間を有して前記樹脂袋部の全周に密着する樹脂部材からなる請求項5記載の管路挿線装置。
  7. 前記補強部は、前記樹脂袋部の外表面に密着する請求項6記載の管路挿線装置。
  8. 前記補強部は、前記樹脂袋部の前端部から前記樹脂袋部の外表面に沿って延在して前記引き込み線と前記密閉長袋との連結部に達し、
    前記補強部の後端部は、前記引き込み線の先端部と力を伝達可能に連結される請求項6記載の管路挿線装置。
  9. 前記補強部は、網状又は籠状に形成されて前記樹脂袋部を覆う請求項6記載の管路挿線装置。
  10. 前記補強部は、互いに周方向所定ピッチで前記樹脂袋部の外表面に接合される複数のスレッド状又はテープ状の樹脂部材により構成される請求項8記載の管路挿線装置。
  11. 前記密閉長袋は、前記空気又はガスが封入されない扁平状態において略長方形の形状をもつ請求項2記載の管路挿線装置。
  12. 前記密閉長袋は、扁平状態における前記密閉長袋の幅の2〜20倍の長さを有する請求項8記載の管路挿線装置。
  13. 前記密閉長袋は、扁平状態における前記密閉長袋の幅の4〜10倍の長さをもつ請求項8記載の管路挿線装置。
  14. 前記密閉長袋は、半球状の先端部を有する請求項2記載の管路挿線装置。
  15. 前記密閉長袋は、扁平状態で長方形の樹脂袋の先端部をその幅方向中央に寄り合わせて縛るか熱接合した後、前記樹脂袋を裏返して形成されている請求項2記載の管路挿線装置。
  16. 前記密閉長袋は、前記空気又はガスを注入するための開口部を後端部に有する請求項2記載の管路挿線装置。
  17. 前記密閉長袋は、長手方向一端のみが開口された樹脂フィルムにより作製された袋からなる請求項16記載の管路挿線装置。
  18. 前記密閉長袋は、前記開口部を脱着可能に閉鎖する螺子付きのキャップとを有する請求項2記載の管路挿線装置。
  19. 前記密閉長袋は、前記開口部を閉鎖した部位よりも更に後方にて前記引き込み線に連結される請求項2記載の管路挿線装置。
  20. 請求項1乃至19のいずれか記載の管路挿線装置を用いる挿線方法において、
    大気圧において前記密閉長袋の前記最大容積の所定比率の体積を前記密閉長袋に与える量の空気又はガスを前記密閉長袋に注入した後で前記密閉長袋を密閉した後、前記引き込み線に連結された前記密閉長袋を前記管路の一端から挿入するとともに前記管路の他端から前記管路内の空気を吸引し、
    前記所定比率は、5〜70%であり、
    前記管路は、空気又はガスが注された後の前記密閉長袋の外周面が密着可能な内径をもつことを特徴とする挿線方法。
  21. 前記所定比率は、10〜60%である請求項20記載の挿線方法。
  22. 挿線すべき前記管路の内径に合わせて少なくとも前記密閉長袋の外周面が前記管路の内周面の全面に密着可能な量の前記空気又はガスを前記密閉長袋に注入する請求項20記載の挿線方法。
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