JP2010183009A - 有機電界発光素子用組成物、有機薄膜、有機電界発光素子、有機el表示装置および有機el照明 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2種以上の有機電界発光素子材料および溶剤を含有する有機電界発光素子用組成物であって、該有機電界発光素子材料のうち、少なくとも1種は発光材料、少なくとも1種は正孔輸送性材料であり、下記式(1)を満たす。
0≦{Ip(H)−Ip(D)}/C(D)≦10 ・・・(1)
(Ip(H):該組成物中に含有される正孔輸送性材料のイオン化ポテンシャルの絶対値、Ip(D):該組成物中に含有される発光材料のイオン化ポテンシャルの絶対値、C(D):該組成物中に含有される全固形分の含有量に対する、発光材料の含有重量比)
【選択図】図1
Description
本発明はまた、この有機電界発光素子用組成物を用いた有機薄膜および有機電界発光素子と、この有機電界発光素子を用いた有機EL表示装置および有機EL照明に関する。
その結果、発光層を形成するために組成物中に混合される複数成分のうち、陽極側から注入された正孔を輸送するために添加する材料(以下、「正孔輸送性材料」と表記する場合がある)と、正孔−電子の再結合を経由して光を放射する発光材料のそれぞれのイオン化ポテンシャルの差と、組成物中の全固形分に対する発光材料の含有比との関係が、最終的に得られる有機電界発光素子の発光効率や寿命に対してある一定の相関性を示すことを見出した。
(式(1)中、Ip(H)、Ip(D)およびC(D)はそれぞれ以下の通り定義される。
Ip(H):該組成物中に含有される正孔輸送性材料のイオン化ポテンシャルの絶対値
Ip(D):該組成物中に含有される発光材料のイオン化ポテンシャルの絶対値
C(D):該組成物中に含有される全固形分の含有量に対する、発光材料の含有重量比)
本発明の有機電界発光素子用組成物は、2種以上の有機電界発光素子材料および溶剤を含有する有機電界発光素子用組成物であって、該有機電界発光素子材料のうち、少なくとも1種は発光材料、少なくとも1種は正孔輸送性材料であり、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
0≦{Ip(H)−Ip(D)}/C(D)≦10 ・・・(1)
Ip(H)は、該組成物中に含有される正孔輸送性材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を表す。
Ip(D)は、該組成物中に含有される発光材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を表す。
C(D)は、該組成物中に含有される全固形分の含有量に対する発光材料の含有重量比を表す。
また、「含有重量比」とは、組成物中の全固形分の含有量を1とした場合の含有量の重量比率であって、例えば、組成物中の全固形分の全量が当該発光材料である場合(全固形分の100%が発光材料)、含有重量比は1であり、組成物中の全固形分の10wt%が発光材料の場合は含有重量比は0.1となる。即ち、本発明の有機電界発光素子用組成物中の全固形分と発光材料との含有重量比が全固形分:発光材料=a:bで表される場合、C(D)=b/aである。
まず、本発明の有機電界発光素子用組成物に含まれる有機電界発光素子材料について説明する。
本発明における有機電界発光素子材料とは、有機電界発光素子の陽極と陰極の間の層に含有される材料である。有機電界発光素子材料としては、例えば、正孔輸送性材料や電子輸送性材料などの電荷輸送性材料、発光材料、電子受容性化合物などが挙げられる。
有機電界発光素子材料の分子量が小さ過ぎると、ガラス転移温度や融点、分解温度等が低くなりやすく、有機電界発光素子材料および形成される有機薄膜の耐熱性が著しく低下し、再結晶化や分子のマイグレーションなどに起因する膜質の低下や、材料の熱分解に伴う不純物濃度の上昇などを引き起こし、素子性能の低下を引き起こす場合がある。
一方、分子量が大きすぎると、有機電界発光素子材料の構造や組成物(インク)の調製に使用する溶剤の種類によっては溶剤に対する有機電界発光素子材料の溶解度が小さくなりすぎる場合があり、例えば材料製造工程における精製が困難となる場合がある。また、成膜時に薄膜が形成されない部分が生じたり、形成された有機薄膜の膜厚が薄くなりすぎるなどの問題が生じ、素子としたときに、黒点の発生や短絡の原因となる場合がある。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される2種以上の有機電界発光素子材料のうち、少なくとも1種は発光材料であり、本発明の有機電界発光素子用組成物は、通常、有機電界発光素子の発光層を形成するために使用される。
有機電界発光素子用組成物中の発光材料の含有量がこの下限を下回ると、有機電界発光素子用組成物中の固形分含有量が不足することにより成膜時に薄膜が形成されない部分が生じる、あるいは形成された薄膜の膜厚が薄くなりすぎるなどの問題が生じ、最終的に得られた素子の黒点の発生や短絡の原因となる等、所望の機能を十分に得ることが出来ない場合がある。また、有機電界発光素子用組成物に通常含まれる電荷輸送性材料に対する濃度の相対値が低下してしまい、電荷輸送性材料からの電荷あるいはエネルギーの移動が不十分となり、無効電流の増大による消費電力の低下や電荷輸送性材料そのものからの発光による色ずれなどが生じる場合もある。
一方、有機電界発光素子用組成物中の発光材料の含有量がこの上限を上回ると、成膜時に得られる薄膜の膜厚が厚くなりすぎ素子の駆動電圧が上昇する、薄膜の不均一性(塗布ムラ)が生じやすくなり素子発光面の輝度ムラの原因となる等、やはり所望の機能を十分に得られない場合がある。また、一般に濃度消光と呼ばれる発光材料分子間の相互作用の増大による消光現象や、乾燥時の発光材料の凝集、発光材料が発光層へ注入された電荷のトラップとして作用することによる駆動電圧の上昇や素子の耐久性の低下などが起こりやすくなる場合もある。
該含有量は、本発明の有機電界発光素子用組成物中に含まれる発光材料が複数ある場合には、その合計量を表す。
有機電界発光素子において、発光材料は、電荷輸送性のホスト材料から電荷またはエネルギーを受け取って発光することが好ましい。従って、発光材料以外に本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される有機電界発光素子材料としては、例えば、このホスト材料として使用されるような、電荷輸送性材料であることが好ましい。電荷輸送性材料としては、正孔輸送性の化合物(正孔輸送性材料)や電子輸送性の化合物(電子輸送性材料)が挙げられる。
電荷輸送性材料の分子量が小さ過ぎると、発光材料の場合と同様に、ガラス転移温度や融点、分解温度等が低くなりやすく、有機電界発光素子材料および得られた有機薄膜の耐熱性が著しく低下し、再結晶化や分子のマイグレーションなどに起因する膜質の低下や、材料の熱分解に伴う不純物濃度の上昇などを引き起こし、素子性能の低下を引き起こす場合がある。
一方、電荷輸送性材料の分子量が大きすぎると、有機電界発光素子材料の構造や組成物の調製に使用する溶剤の種類によっては溶剤に対する材料の溶解度が小さくなりすぎ、例えば材料製造工程における精製が困難となるため不純物濃度が高くなり、有機電界発光素子の発光効率や耐久性の低下の原因となる、あるいは湿式成膜時に薄膜が形成されない部分が生じる、形成された薄膜の膜厚が薄くなりすぎるなどの問題が生じ、最終的に得られた素子の黒点の発生や短絡の原因となる等、所望の機能を十分に得ることが出来ない場合がある。
本発明の有機電界発光素子用組成物は溶剤を含有する。ここで、本発明における溶剤とは、20℃、1気圧の雰囲気において液体であり、本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される発光材料や電荷輸送性材料を溶解することが可能な化合物である。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、その他、レベリング剤、消泡剤、増粘剤等の塗布性改良剤、電子受容性化合物や電子供与性化合物などの電荷輸送補助剤、バインダー樹脂などを含有していてもよい。これらのその他の成分の有機電界発光素子用組成物中の含有量は、形成される薄膜の電荷移動を著しく阻害しないこと、発光材料の発光を阻害しないこと、薄膜の膜質を低下させないことなどの観点から、通常50wt%以下である。
本発明の有機電界発光素子用組成物を、後述の本発明の有機電界発光素子の発光層を形成するための発光層形成用組成物として用いる場合、有機電界発光素子用組成物中の溶剤の含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常50wt%以上、通常99.9999wt%以下、である。なお、溶剤として2種以上の溶剤を混合して用いる場合には、これらの溶剤の合計がこの範囲を満たすようにする。
また、発光材料、電荷輸送性材料等の全固形分濃度としては、通常0.01wt%以上、通常70wt%以下である。この濃度が高すぎると形成される薄膜の膜厚ムラが生じる可能性があり、また、低すぎると形成される薄膜に欠陥が生じる可能性がある。
次に、本発明の特徴である式(1)について説明する。
0≦{Ip(H)−Ip(D)}/C(D)≦10 ・・・(1)
式(1)中、Ip(H)、Ip(D)およびC(D)はそれぞれ以下の通り定義される。
Ip(D)は該組成物中に含有される発光材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を表す。
C(D)は該組成物中に含有される全固形分の含有量に対する発光材料の含有重量比を表す。
なお、有機電界発光素子用組成物中の正孔輸送性材料とは、当該有機電界発光素子用組成物の用途(これを用いて形成する薄膜の用途)によっても異なるが、前述の電荷輸送性材料のうち、後述の正孔注入層に含まれる正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。
また、有機電界発光素子用組成物中に発光材料が2種以上ある場合、各々の発光材料が上記式(1)を満たすようにする。
本発明の有機薄膜は、上述の本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて、好ましくは湿式成膜法により形成されたものであり、通常、有機電界発光素子の陰極と陽極との間の層として使用される。
ここで、湿式成膜法とは、後述の通りである。
本発明の有機電界発光素子は、陽極および陰極の間に発光層を有し、この発光層が、上述の本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて、好ましくは湿式成膜法により形成された本発明の有機薄膜よりなることを特徴とするものである。
図1は本発明の有機電界発光素子10の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
陽極2は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形成される。
湿式成膜法により正孔注入層3を形成する場合、通常は、正孔注入層3を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物および溶剤を含有する。
また、正孔輸送性化合物は、以下、正孔輸送層に用いられる化合物として例示されている架橋性化合物や熱による構造変換型化合物を用いることも好ましい。
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、正孔輸送性化合物と共に電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよいが、陽極からの正孔注入性および陰極側への正孔輸送性を確保する点から、その正孔注入層中の含有量は、80wt%以下であることが好ましい。
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があり、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜法により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成することができる。
真空蒸着法により正孔注入層3を形成する場合には、正孔注入層3の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合はそれぞれ独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極2上に正孔注入層3を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
本発明の有機電界発光素子は正孔輸送層4を有することが好ましい。
S1、S2、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいへテロアリールアミノ基または置換基を有していてもよいアシルアミノ基を表す。
式(U2)中、環B0は熱解離可溶性基が結合する芳香族炭化水素環を表す。該芳香族炭化水素環は置換基を有していてもよい。また、該置換基同士が直接または2価の連結基を介して環を形成していてもよい。
S11〜S14、R11〜R16は、それぞれ独立に、上記S1、S2、R1〜R6として示したものと同様である。)
正孔注入層3の上、または正孔輸送層4を設けた場合には正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入された正孔と、陰極9から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
発光層5は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性材料)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性材料)などの電荷輸送性材料を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性材料や電子輸送性材料などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。更に、発光層5は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層5を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接するように積層される層である。
発光層5と後述の電子注入層8の間に、電子輸送層7を設けてもよい。
電子注入層8は、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
電子注入層8の形成方法に制限はなく、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法を採用することができる。
陰極9は、発光層5側の層(電子注入層8または発光層5など)に電子を注入する役割を果たすものである。
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極9との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
電子阻止層は、正孔注入層3または正孔輸送層4と発光層5との間に設けられ、発光層5から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層5内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層5内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は、電子阻止層を設けることが効果的である。
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
図1に示す有機電界発光素子を製造した。
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を厚さ150nmに成膜したもの(スパッタ成膜品、シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術により2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。陽極2を形成した基板1を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄等の処理を行った。
正孔注入層に用いる正孔輸送性化合物として、以下に示す繰り返し構造の芳香族アミン系高分子化合物PB−1(重量平均分子量:29400、数平均分子量:12600)、以下に示す構造の電子受容性化合物PI−1、および溶剤として安息香酸エチルを含有する正孔注入層形成用組成物を調製した。該正孔注入層形成用組成物における、芳香族アミン系高分子化合物PB−1および電子受容性化合物PI−1の合計の濃度は2wt%であり、芳香族アミン系高分子化合物PB−1および電子受容性化合物PI−1の重量比は、(芳香族アミン系高分子化合物PB−1):(電子受容性化合物PI−1)=10:4であった。
以上の操作により膜厚30nmの均一な正孔注入層3の薄膜が形成された。
架橋性化合物として、以下に示す繰り返し構造の高分子化合物HT−1(重量平均分子量:17000、数平均分子量:9000)および溶剤としてシクロヘキシルベンゼンを含有する正孔輸送層形成用組成物を調製した。該正孔輸送層形成用組成物における、該高分子化合物HT−1の濃度は1.4wt%であった。
以上の操作により、膜厚20nmの均一な正孔輸送層4の薄膜が形成された。
発光層5の形成には、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いた。すなわち、まず、発光材料(ドーパント材料)として以下に示す構造の化合物D−1、2種類の正孔輸送性材料(ホスト材料)として以下に示す構造の化合物H−1およびH−2、溶剤としてシクロヘキシルベンゼンを含有する有機電界発光素子用組成物を調製した。
以上の操作により、膜厚50nmの均一な発光層5の薄膜が形成された。
この素子を用い、室温条件下、初期輝度4000cd/m2で定電流駆動の駆動試験を実施した結果、正面輝度が半減するまでに要した時間(輝度半減寿命)は500時間と長寿命であり、正面輝度1000cd/m2時の電流効率は26.5cd/Aと高い値を示した。
結果を表1に示す。
発光層5を形成する際に用いた有機電界発光素子用組成物に含有される正孔輸送性材料として化合物H−1を用いず、発光材料(化合物D−1)と正孔輸送性材料(化合物H−2)の重量比を、(化合物D−1):(化合物H−2)=1:20としたこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
この素子を用い、室温条件下、初期輝度4000cd/m2で定電流駆動の駆動試験を実施した結果、正面輝度が半減するまでに要した時間(輝度半減寿命)は42時間と非常に短く、正面輝度1000cd/m2時の電流効率も19.3cd/Aと低かった。
結果を表1に示す。
発光層5を形成する際に用いた有機電界発光素子用組成物に含有される発光材料(化合物D−1)と正孔輸送性材料(化合物H−1および化合物H−2)の重量比を、(化合物D−1):(化合物H−1):(化合物H−2)=1:15:5としたこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
この素子を用い、室温条件下、初期輝度4000cd/m2で定電流駆動の駆動試験を実施した結果、正面輝度が半減するまでに要した時間(輝度半減寿命)は497時間、正面輝度1000cd/m2時の電流効率は33.1cd/Aと、実施例1と同様に長寿命かつ高効率であり、得られる有機電界発光素子の寿命及び効率は正孔輸送性材料H−1およびH−2の組成比によらず、本発明の{Ip(H)−Ip(D)}/C(D)の値に依存することが分かった。
結果を表1に示す。
発光層5を形成する際に用いた有機電界発光素子用組成物に含有される発光材料(化合物D−1)と正孔輸送性材料(化合物H−1および化合物H−2)の重量比を、(化合物D−1):(化合物H−1):(化合物H−2)=1:5:15としたこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
この素子を用い、室温条件下、初期輝度4000cd/m2で定電流駆動の駆動試験を実施した結果、正面輝度が半減するまでに要した時間(輝度半減寿命)は504時間、正面輝度1000cd/m2時の電流効率は30.6cd/Aと、実施例1と同様に長寿命かつ高効率であり、得られる有機電界発光素子の寿命及び効率は正孔輸送性材料H−1およびH−2の組成比によらず、本発明の{Ip(H)−Ip(D)}/C(D)の値に依存することが分かった。
これらの結果を、表1に示す。
正孔輸送層4を形成する際に用いた高分子化合物HT−1の代わりに、下記の高分子化合物HT−2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
この素子を用い、室温条件下、初期輝度4000cd/m2で定電流駆動の駆動試験を実施した結果、正面輝度が半減するまでに要した時間(輝度半減寿命)は507時間、正面輝度1000cd/m2時の電流効率は31.8cd/Aと、実施例1と同様に長寿命かつ高効率であり、得られる有機電界発光素子の寿命及び効率は正孔輸送性材料H−1およびH−2の組成比によらず、本発明の{Ip(H)−Ip(D)}/C(D)の値に依存することが分かった。
表1には、用いた化合物の種類およびイオン化ポテンシャルの絶対値と、式(1):{Ip(H)−Ip(D)}/C(D)の値を示す。
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
Claims (10)
- 2種以上の有機電界発光素子材料および溶剤を含有する有機電界発光素子用組成物であって、
該有機電界発光素子材料のうち、少なくとも1種は発光材料、少なくとも1種は正孔輸送性材料であり、下記式(1)を満たすことを特徴とする、有機電界発光素子用組成物。
0≦{Ip(H)−Ip(D)}/C(D)≦10 ・・・(1)
(式(1)中、Ip(H)、Ip(D)およびC(D)はそれぞれ以下の通り定義される。
Ip(H):該組成物中に含有される正孔輸送性材料のイオン化ポテンシャルの絶対値
Ip(D):該組成物中に含有される、発光材料のイオン化ポテンシャルの絶対値
C(D):該組成物中に含有される全固形分の含有量に対する、発光材料の含有重量比) - 発光材料が、分子量10000以下の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子用組成物。
- 請求項1または2に記載の有機電界発光素子用組成物を用いて形成されたことを特徴とする、有機薄膜。
- 陽極および陰極の間に発光層を有する有機電界発光素子において、該発光層が、請求項3に記載の有機薄膜であることを特徴とする、有機電界発光素子。
- 該発光層に隣接して正孔輸送層を有し、該正孔輸送層が湿式成膜法で形成された層であることを特徴とする、請求項4に記載の有機電界発光素子。
- 該正孔輸送層が、下記式(U1)または(U2)で表される構造を有する、熱による構造変換型化合物を用いて形成された層であることを特徴とする、請求項5に記載の有機電界発光素子。
S1、S2、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいへテロアリールアミノ基または置換基を有していてもよいアシルアミノ基を表す。
式(U2)中、環B0は熱解離可溶性基が結合する芳香族炭化水素環を表す。該芳香族炭化水素環は置換基を有していてもよい。また、該置換基同士が直接または2価の連結基を介して環を形成していてもよい。
S11〜S14、R11〜R16は、それぞれ独立に、上記S1、S2、R1〜R6として示したものと同様である。) - 該陽極と該発光層との間に、正孔注入層を有し、該正孔注入層が、湿式成膜法により形成された、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含有する層であることを特徴とする、請求項4ないし7のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
- 請求項4ないし8のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を用いることを特徴とする、有機EL表示装置。
- 請求項4ないし8のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を用いることを特徴とする、有機EL照明。
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