JP2010182610A - 有機el素子の製造方法および有機el素子 - Google Patents

有機el素子の製造方法および有機el素子 Download PDF

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Abstract

【課題】インク同士の混色を防ぐことが可能な有機EL素子およびその製造方法等を提供する。
【解決手段】支持体上に、下部電極と、有機薄膜層と、上部電極とを該順に有する有機EL素子の製造方法であって、支持体上の下部電極の周囲の少なくとも一部に多孔質層を設けることを含む、有機EL素子の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機EL素子の製造方法、電極付き基板および有機EL素子に関する。特に、製造の際にインクの拡散を防止可能にした電極付き基板およびそれを用いた有機EL素子に関する。
従来から、有機EL素子をインクジェット法などの湿式法によって製造することが検討されている。フルカラーの有機EL素子の場合、インク同士の混色が問題となる。
インク同士の混色を防止する方法として、電極同士の間に隔壁を設けることが開示されている(特許文献1)。この方法では、隔壁で区切られた1つの領域に、一色のインクを塗布して、インク同士の混色を防いでいる。しかしながら、該方法では、製造工程が多くなり、工程も煩雑になる。
特開2008−84740号公報
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、インク同士の混色を防ぐことが可能な有機EL素子の製造方法およびインク同士の混色が抑制された有機EL素子を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本願発明者が鋭意検討を行った結果、有機EL素子の支持体の下部電極の周囲の少なくとも一部に多孔質層を設けることにより、上記課題を解決しうることを見出した。具体的には、以下の手段により、達成された。
(1)支持体上に、下部電極と、有機薄膜層と、上部電極とを該順に有する有機EL素子の製造方法であって、支持体上の下部電極の周囲の少なくとも一部に多孔質層を設けることを含む、有機EL素子の製造方法。
(2)前記有機薄膜層の少なくとも一層は、塗布により設けることを特徴とする、(1)に記載の有機EL素子の製造方法。
(3)前記支持体が、ガスバリアフィルムである、(1)または(2)に記載の有機EL素子の製造方法。
(4)前記多孔質層の少なくとも一層が金属酸化物を含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
(5)前記多孔質層の少なくとも一層を、反応性スパッタリング装置を用いて、金属ターゲットをスパッタし、酸化物モードにて成膜して形成することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
(6)前記多孔質層の少なくとも一層がアルミナまたはシリカを含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
(7)支持体と多孔質層の間に、有機高分子化合物層を設けることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
(8)前記多孔質層は、下部電極と支持体の間および下部電極と有機薄膜層の間には設けられていないことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
(9)下部電極の形成は、支持体上に電極材料からなる層を設け、該電極材料からなる層上にレジストを設け、露光し、さらに、所望の電極パターン部分に相当するレジストのみを残した状態で、エッチングを行い、電極をパターニングした後、レジストを残したまま前記多孔質層を設け、残りのレジストを除去することを特徴とする、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
(10)前記有機高分子化合物層が酸性の層であって、有機薄膜層の少なくとも一層を弱酸塩を含む塗液を用いて成膜するか、前記有機高分子化合物層がアルカリ性の層であって、有機薄膜層の少なくとも一層を弱アルカリ塩を含む塗液を用いて成膜することを特徴とする、(7)〜(9)のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
(11)支持体上に、下部電極と、有機薄膜層と、上部電極とを該順に有し、さらに、支持体上の下部電極の周囲の少なくとも一部に多孔質層を有する電極付き基板。
(12)前記支持体が、ガスバリアフィルムである、(11)に記載の電極付き基板。
(13)前記多孔質層の少なくとも一層が金属酸化物を含む、(11)または(12)に記載の電極付き基板。
(14)前記多孔質層の少なくとも一層がアルミナまたはシリカを含む、(11)または(12)に記載の電極付き基板。
(15)支持体上に、下部電極と、有機薄膜層と、上部電極とを該順に有し、さらに、支持体上の下部電極の周囲の少なくとも一部に多孔質層を有する、有機EL素子。
(16)前記支持体が、ガスバリアフィルムである、(15)に記載の有機EL素子。
(17)前記多孔質層の少なくとも一層が金属酸化物を含む、(15)または(16)に記載の有機EL素子。
(18)前記多孔質層の少なくとも一層がアルミナまたはシリカを含む、(15)または(16)に記載の有機EL素子。
(19)前記多孔質層は、下部電極と支持体の間および前記下部電極と有機薄膜層の間には設けられていないことを特徴とする、(15)〜(18)のいずれか1項に記載の有機EL素子。
本発明により、インク同士の混色が防がれ発光性に優れた有機EL素子を提供可能になった。
本発明の製造方法の好ましい態様の一例を示す。 多孔質層の態様の例を示す。
1 支持体
2 下部電極
3 レジスト
4 多孔質層
5 インク
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。
本発明の有機EL素子の製造方法は、支持体上に、下部電極と、有機薄膜層と、上部電極とを該順に有する有機EL素子において、支持体上の下部電極の周囲の少なくとも一部に多孔質層を設けることを含む。このように、支持体上の下部電極の周囲の少なくとも一部に多孔質層を設けることにより、下部電極の上にインクを塗布しても、他の電極上に設けられたインクとの混色を防ぐことが可能になる。ここで、支持体上の下部電極の周囲とは、支持体を土台として考えたときの、下部電極の周囲をいう。したがって、下部電極の上下側、すなわち、下部電極の支持体側または有機薄膜層側の面上は、下部電極の周囲ではない。しかしながら、本発明の趣旨を逸脱しない限り、下部電極の上下側にも、多孔質層が設けられていることを排除するものではない。本発明では、下部電極の周囲を覆うように多孔質層が設けられていることが好ましく、また、下部電極と支持体の間および前記下部電極と有機薄膜層の間には多孔質層が設けられていないことが好ましい。
以下、本発明の好ましい製造方法の態様を図1に従って説明する。本発明の好ましい実施態様は、レジストを用いて下部電極を形成する際に、多孔質層を形成する方法である。図1および図2中、1は支持体を、2は電極材料からなる層または下部電極を、3はレジストを、4は多孔質層をそれぞれ示している。
(0)支持体1の上に下部電極材料からなる層2を設ける
最初の工程は、支持体の上に下部電極材料からなる層2を設ける工程である。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、支持体と下部電極の間に、他の構成層を有していても良い。例えば、後述する下地層が挙げられる。支持体の好ましい例および下部電極の態様の詳細については、後述する。
(1)レジスト3を設ける
下部電極材料からなる層2の表面にレジスト3を設ける。レジストの設ける方法、材料等は、「光リソグラフィ技術-実践的基礎と課題-」東木達彦 EDリサーチ社の記載等を参酌することができる。
(2)レジストの露光および現像
レジストを設けた後、所望の下部電極パターンに応じて露光し、現像する。露光条件、現像方法等についても、「光リソグラフィ技術-実践的基礎と課題-」東木達彦 EDリサーチ社の記載等を参酌することができる。
(3)エッチング
レジストを除去した後、エッチングを行い、下部電極2を形成する。エッチングの方法は公知の手段を採用することができ、「光リソグラフィ技術-実践的基礎と課題-」東木達彦 EDリサーチ社の記載等を参酌することができる。
(4)多孔質層4の形成
支持体1およびレジスト3の上に多孔質層を設ける。多孔質層を設ける方法や材料等については、後述する。
(5)多孔質層の除去
多孔質層を設けた後、レジスト3を剥離することにより、下部電極2の上面の多孔質層4が除去され、下部電極の周囲にのみ多孔質層が存在する。すなわち、下部電極と支持体の間および前記下部電極と有機薄膜層の間には多孔質層が設けられていない構成とすることができる。
本発明の製造方法では、特に、下部電極の下面に多孔質層を設けない構成とすることができるため、下部電極の平滑性が向上し、有機EL素子としての性能をより向上させることができる。
これにより電極付き基板が作成されたことになる
(6)有機薄膜層等の作製
更に、下部電極上に、有機薄膜層、上部電極等を設けることができる。これらの形成方法は、公知の方法を採用できるので詳しくは後述する。本発明の方法では多孔質層を設けることにより、インクジェットなど湿式法によるフルカラーの有機EL素子を作製しても、インクが混色しない。さらに、本発明の方法は、製造工程が簡易であるという利点もある。
多孔質層
以下、図2にしたがって、本発明の多孔質層を詳細に示す。図2(1)は、多孔質層を設けない場合の状態を示したものであって、支持体1の上に下部電極2が設けられ、その上に、有機薄膜層を構成する材料(インク5)が塗布された状態を示している。この場合、図2(1)に示すように、インク5が下部電極から外側に広がってしまう。そこで、本発明では、図2(2)に示すように、多孔質4を設けて、インクの広がりを抑制している。
多孔質層は、通常、無機化合物からなる。無機化合物としては、金属酸化物が挙げられ、アルミナまたはシリカであることが好ましい。このような金属酸化物の層は、スパッタリング装置を用いて形成したり、金属のゾルゲル法によって形成することができる。スパッタリング装置を用いて形成する場合、下地層として有機高分子化合物層を設け、その上に金属ターゲットを用いて反応性スパッタにより酸化物モードにて成膜して形成することが好ましい。有機高分子化合物層としては特に規定はなく、(メタ)アクリレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリビニルなどが挙げられる。
また、多孔質層は1層であってもよいし、2層であってもよい。多孔質層に含まれる多孔質物質の孔径は、好ましくは、10nm〜1μmである。
本発明では、下地層としての有機高分子化合物層が酸性の層であり、有機薄膜層の少なくとも一層を成膜する際、その塗液が弱酸塩を含むか、下地層としての有機高分子化合物層がアルカリ性の層であり、有機薄膜層の少なくとも一層を成膜する際、その塗液が弱アルカリ塩を含むことが好ましい。このような層構成とすることにより、インクの広がりをさらに抑制することができる。
ここで、下地層としての有機高分子化合物層を酸性の層とするには、例えば、多孔質性の有機高分子化合物層に酸を添加する方法が挙げられる。この場合の酸としては、特に定めるものではないが、低分子化合物(分子量が例えば、100〜10000)より高分子化合物(分子量が例えば、10000〜1000000)の方が好ましく、例えば、アクリル酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)や下記化合物等の樹脂が挙げられ架橋性高分子がより好ましい。
Figure 2010182610
樹脂としては、ポリイミド、ポリエステル、ポリビニルが挙げられるが共重合できる(メタ)アクリレート重合物が好ましい。
多孔質層をアルカリ性の層とするには、例えば、多孔質性の有機高分子化合物層にアルカリを添加する方法が挙げられる。この場合のアルカリとしては、特に定めるものではないが、低分子化合物(分子量が例えば、100〜10000)より高分子化合物(分子量が例えば、10000〜1000000)の方が好ましく、例えば、アクリル酸2(ジメチルアミノ)エチル(DMAEA)が挙げられる。この場合の樹脂としては、ポリイミド、ポリエステル、ポリビニルが挙げられるが共重合できる(メタ)アクリレートが好ましい。
支持体
本発明における支持体は、公知の支持体を用いることができ、ガラス基板、プラスチックフィルム、ガスバリアフィルム等が挙げられ、ガスバリアフィルムが好ましい。
以下、本発明で好ましく用いられるガスバリアフィルムについて説明する。
ガスバリアフィルムは、基材フィルムと、該基材フィルム上に形成されたバリア性積層体とを有するフィルムである。ガスバリアフィルムにおいて、バリア性積層体は、基材フィルムの片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。バリア性積層体は、基材フィルム側から無機層、有機層の順に積層していてもよいし、有機層、無機層の順に積層していてもよい。最上層は無機層でも有機層でもよい。
基材フィルム
本発明で好ましく用いられるガスバリアフィルムは、通常、基材フィルムとして、プラスチックフィルムを用いる。フィルムは、有機層、無機層等の積層体を保持できれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックとして具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
特に、本発明では、プラスチックフィルムは耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上および/または線熱膨張係数が40ppm/℃以下で耐熱性の高い透明な素材からなることが好ましい。Tgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。このような熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン(株)製 ゼオノア1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学(株)ネオプリム:260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の化合物:300℃以上)が挙げられる(括弧内はTgを示す)。特に、透明性を求める場合には脂環式ポレオレフィン等を使用するのが好ましい。
本発明において、支持体としてガスバリアフィルムを用いる場合、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の透明である。光線透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
ガスバリアフィルムに用いられるプラスチックフィルムの厚みは、通常、1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。
バリア性積層体
バリア性積層体は、少なくとも1つの有機領域と、少なくとも1つの無機領域、好ましくは、少なくとも1層の有機層と少なくとも1層の無機層を含むものであり、より好ましくは、少なくとも2層の有機層と少なくとも2層の無機層とが交互に積層しているものである。
また、本発明におけるバリア性積層体は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、バリア性積層体を構成する組成が膜厚方向に有機領域と無機領域が連続的に変化するいわゆる傾斜材料層を含んでいてもよい。前記傾斜材料の例としては、キムらによる論文「Journal of Vacuum Science and Technology A Vol. 23 p971−977(2005 American Vacuum Society) ジャーナル オブ バキューム サイエンス アンド テクノロジー A 第23巻 971頁〜977ページ(2005年刊、アメリカ真空学会)」に記載の材料や、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機領域と無機領域が界面を持たない連続的な層等が挙げられる。以降、簡略化のため、有機層と有機領域は「有機層」として、無機層と無機領域は無機層として記述する。
バリア性積層体を構成する層数に関しては特に制限はないが、典型的には2層〜30層が好ましく、3層〜20層がさらに好ましい。また、有機層および無機層以外の他の構成層を含んでいてもよい。
有機層
本発明における有機層とは有機ポリマーを主成分とする、有機層であることが好ましい。ここで主成分とは、有機層を構成する成分の第一の成分が有機ポリマーであることをいい、通常は、有機層を構成する成分の80重量%以上が有機ポリマーであることをいう。
有機ポリマーとしては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステルおよびアクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン等の有機珪素ポリマーなどが挙げられる。有機層は単独の材料からなっていても混合物からなっていてもよいし、サブレイヤーの積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、上述したとおり、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように無機層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であってもよい。
本発明における有機層は、好ましくは、重合性化合物を含む重合性組成物を硬化してなるものである。
(重合性化合物)
重合性化合物は、好ましくは、ラジカル重合性化合物および/またはエーテル基を官能基に有するカチオン重合性化合物であり、より好ましくは、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物、および/または、エポキシまたはオキセタンを末端または側鎖に有する化合物である。これらのうち、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物の例としては、(メタ)アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、無水マレイン酸等が挙げられ、(メタ)アクリレート系化合物および/またはスチレン系化合物が好ましく、(メタ)アクリレート系化合物がさらに好ましい。
(メタ)アクリレート系化合物としては、(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートやポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が好ましい。
スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、4−ヒドロキシスチレン、4−カルボキシスチレン等が好ましい。
以下に、本発明で好ましく用いられる(メタ)アクリレート系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010182610
Figure 2010182610
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Figure 2010182610
Figure 2010182610
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(重合開始剤)
本発明における有機層を、重合性化合物を含む重合性組成物を塗布硬化させて作成する場合、該重合性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤を用いる場合、その含量は、重合性化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。光重合開始剤の例としてはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、サートマー(Sartomer)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZTなど)、同じくオリゴマー型のエザキュアKIPシリーズ等が挙げられる。
有機層の形成方法
有機層の形成方法としては、特に定めるものではないが、例えば、溶液塗布法や真空成膜法により形成することができる。溶液塗布法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストル−ジョンコート法により塗布することができる。真空成膜法としては、特に制限はないが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましい。本発明においてはポリマーを溶液塗布しても良いし、特開2000−323273号公報、特開2004−25732号公報に開示されているような無機物を含有するハイブリッドコーティング法を用いてもよい。
本発明では、通常、重合性化合物を含む組成物を、光照射して硬化させるが、照射する光は、通常、高圧水銀灯もしくは低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは0.1J/cm以上が好ましく、0.5J/cm以上がより好ましい。重合性化合物として、(メタ)アクリレート系化合物を採用する場合、空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で0.5J/cm以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うのが特に好ましい。
有機層の膜厚については特に限定はないが、薄すぎると膜厚の均一性を得ることが困難になるし、厚すぎると外力によりクラックを発生してバリア性が低下する。かかる観点から、有機層の厚みは50nm〜2000nmが好ましく、200nm〜1500nmがより好ましい。
また、有機層は先に記載したとおり平滑であることが好ましい。有機層の平滑性は1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満が好ましく、0.5nm未満であることがより好ましい。有機層の表面にはパーティクル等の異物、突起が無いことが要求される。このため、有機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
有機層の硬度は高いほうが好ましい。有機層の硬度が高いと、無機層が平滑に成膜されその結果としてバリア能が向上することがわかっている。有機層の硬度はナノインデンテーション法に基づく微小硬度として表すことができる。有機層の微小硬度は100N/mm以上であることが好ましく、150N/mm以上であることがより好ましい。
(無機層)
無機層は、通常、金属化合物からなる薄膜の層である。無機層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも用いることができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。無機層に含まれる成分は、上記性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物または金属酸化炭化物であり、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTaから選ばれる1種以上の金属を含む酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物または酸化炭化物などを好ましく用いることができる。これらの中でも、Si、Al、In、Sn、ZnおよびTiから選ばれる金属の酸化物、窒化物または酸化窒化物が好ましく、特にSiまたはAlの金属酸化物、窒化物または酸化窒化物が好ましい。これらは、副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
本発明により形成される無機層の平滑性は、1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm以下がより好ましい。無機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nmである。無機層は複数のサブレイヤーから成る積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、上述したとおり、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であってもよい。
有機層と無機層の積層
有機層と無機層の積層は、所望の層構成に応じて有機層と無機層を順次繰り返し製膜することにより行うことができる。無機層を、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などの真空製膜法で形成する場合、有機層も前記フラッシュ蒸着法のような真空製膜法で形成することが好ましい。バリア性積層体を作製する間、途中で大気圧に戻すことなく、常に1000Pa以下の真空中で有機層と無機層を積層することが特に好ましい。圧力は100Pa以下であることがより好ましく、50Pa以下であることがより好ましく、20Pa以下であることがさらに好ましい。
特に、本発明は、少なくとも2層の有機層と少なくとも2層の無機層を交互に積層した場合に、高いバリア性を発揮することができる。交互積層は支持体側から有機層/無機層/有機層/無機層の順に積層していても、無機層/有機層/無機層/有機層の順に積層していても良い。
電極
本発明にかかる電極の一方は、本発明の有機EL素子の陰極となるものである。このような電極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうちの2つ以上の合金;或いはそれらのうちの1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1つ以上との合金;グラファイト又はグラファイト層間化合物が用いられる。これらの合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
このような電極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
このような電極を形成させる方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が挙げられる。なお、このような電極を2層以上の積層構造としてもよい。また、電極と有機薄膜層との間に、導電性高分子からなる層、或いは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚10nm以下の層を設けてもよい。
本発明にかかる他方の電極は、透明電極又は半透明電極からなる電極であって、本発明の有機EL素子の陽極となるものである。このような電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜を用いることができ、透過率が高いものが好適に利用でき、用いる有機薄膜層により適宜選択して用いることができる。このような電極の材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラス(NESA等)、金、白金、銀、銅が用いられる。これらの中でも、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。
このような電極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
なお、このような電極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体等の有機物の透明導電膜を用いてもよい。また、有機薄膜層への電荷注入を容易にするという観点から、このような第二の電極の有機薄膜層側の表面上に、フタロシアニン誘導体、ポリチオフェン誘導体等の導電性高分子、Mo酸化物、アモルファスカーボン、フッ化カーボン、ポリアミン化合物等の1〜200nmの層、或いは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚10nm以下の層を設けてもよい。
このような電極を形成させる方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、このような第二の電極を電気的に分離された複数のセルに仕切る方法としては、例えば、第二の電極を形成した後に、フォトレジストを用いたエッチング法によりパターン形成する方法が挙げられる。
有機薄膜層
有機薄膜層は、通常、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を有する。以下、これらの層について、説明する。
正孔輸送層は、陽極から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔輸送層に用いられる正孔輸送性材料としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、等が挙げられる。
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子との再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。また、発光層は、発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でもよい。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であってもよく、ドーパントは1種であっても2種以上であってもよい。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料とを混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
前記蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
前記燐光発光材料は、例えば、遷移金属原子またはランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。
前記遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、および白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、および白金である。
前記ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、およびガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, PergamonPress社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
また、発光層に含有されるホスト材料としては、例えば、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するものおよびアリールシラン骨格を有するものや、後述の正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層の項で例示されている材料が挙げられる。
電子輸送層は、陰極から電子を受け取り陽極に輸送する機能を有する層である。電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
本発明の有機EL素子において、有機薄膜層の製造は、塗布により設けられることが好ましい。通常は、溶液を塗布し、硬化させて製膜する方法が用いられる。
溶液からの製膜には、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。これらの中でも、パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
上記の溶液からの製膜には、通常、インクが用いられる。このインクは、正孔輸送性材料、電子輸送性材料、または発光材料と、重合開始剤等の添加剤と、溶媒とを含んでなるものである。この溶媒は、特に制限されないが、前記インクを構成する溶媒以外の成分、即ち、正孔輸送性材料等を均一に分散できるものが好ましい。前記溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。なお、前記溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
これらのうち、正孔輸送性材料等の溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトンが好ましく、キシレン、アニソール、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシルのうち少なくとも1種類を含むことがより好ましい。
また、インク中の溶媒の割合は、溶質(即ち、正孔輸送性材料、電子輸送性高分子材料、及び発光材料の全重量)に対して1重量%〜99.9重量%であり、好ましくは60重量%〜99.5重量%であり、さらに好ましくは80重量%〜99.0重量%である。
インクの粘度は印刷法によって異なるが、インクジェットプリント法等のようにインクが吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために、粘度が25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
上述したとおり、本発明では、下地層としての有機高分子化合物層が酸性の層である場合、有機薄膜層を成膜する際の塗液が弱酸塩を含むことが好ましく、下地層としての有機高分子化合物層がアルカリ性の層である場合、有機薄膜層を成膜する際の塗液が弱アルカリ塩を含むことが好ましい。ここで、多孔質層が酸性の場合、インクには、弱酸塩であれば何でもよいが、例えばポリアクリル酸テトラメチルグアニジン塩を用いることができる。
その他、本発明の有機EL素子および有機EL素子の製造方法において、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、特開2008−084837号公報、特開2008−098619号公報、特開2007−110067号公報、特開2007−080677号公報、特開2006−078941号公報、特開2004−039297号公報に記載の技術を採用できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1 インク拡散防止基板の作製
<ガスバリアフィルムの作製>
ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、帝人デュポン社製、商品名:テオネックスQ65FA)を20cm角に裁断し、その平滑面側に、下記の手順に従って、有機層および無機層を形成した。
有機層の形成
PENフィルム上に、ジベンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬製)(20g)、紫外線重合開始剤(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名:Cibaイルガキュアー907)0.6g、2−ブタノン180gからなる重合性組成物を液厚が5μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布し、窒素置換法により酸素濃度が0.1%となったチャンバー内にて高圧水銀ランプの紫外線を照射(積算照射量約1J/cm)して有機層を硬化させ、膜厚が600nm±50nmの有機層を形成した。
無機層の形成
スパッタリング装置を用いて、前記有機層の上に無機層(酸化アルミニウム層)を形成した。ターゲットとしてアルミニウムを、放電ガスとしてアルゴンを、反応ガスとして酸素を用いた。製膜圧力は0.1Pa、到達膜厚は60nmであった。
ガスバリアフィルムのMOCON法による水蒸気透過率の測定
上記で得られたガスバリアフィルムについて、水蒸気透過率測定器(MOCON社製、PERMATRAN−W3/31)を用いて、40℃/相対湿度90%における水蒸気透過率を測定したところ、検出限界(0.01g/m/day)以下であった。
<電極層の作製>
上記で作製したガスバリアフィルムをスパッタ装置に搬入した。Arガスを導入し、ITOターゲットに、ULVAC社製DC/RF重畳電源を、基板に高周波電源(RF電源)を用いて電力を印加しプラズマ放電させガラス基板上に下部電極としてITO膜をスパッタ成膜した。
<ITOのパターニング>
前記ITO膜を製膜したガスバリアフィルムにレジスト(クラリアント社製、AZ3100)を塗布し、ピッチ100μm、幅40μmのマスクと、ピッチ70μm、幅40μmのマスクを用いてそれぞれUV露光した。アルカリ液にて現像し、ドライエッチング処理を行うことでITO膜の上にのみレジストが成膜された基板S−100−0とS−70−0を作製した。
<多孔質アルミナの作製>
下記化合物1(DPHA、日本化薬製)20gと紫外線重合開始剤(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名:Cibaイルガキュアー907)0.6gとメチルエチルケトン(MEK)180gを混合し重合性組成物を調整した。基板S−100−0とS−70−0に重合性組成物を塗布し紫外線露光し硬化させた。次に、この基板をスパッタ装置に搬入し、ターゲットとしてAlを、放電ガスとしてArを、反応性ガスとしてOを用い、酸化物モードの条件にて反応性スパッタ法にて基板上に多孔質アルミナ層を成膜した。ここでレジスト剥離液にてレジストを除去し、インク拡散防止基板S−100−1とS−70−1を作製した。
実施例2 インク拡散防止基板の作製
<多孔質アルミナの作製>
実施例1において、重合性組成物を、下記化合物1(DPHA、日本化薬製)10g及び下記化合物2(PM−21、日本化薬製)10gと紫外線重合開始剤(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名:Cibaイルガキュアー907)0.6gとメチルエチルケトン180gで構成し、他は同様に行ってインク拡散防止基板S−100−2とS−70−2を作製した。
比較例1 ITO基板の作製
実施例1と同様に、ガスバリアフィルムの作製、電極層の作製およびITOのパターニングを行った後、レジスト除去液にてレジストを除去することで、比較用ITO基板S−100−3とS−70−3を作製した。
実施例3 有機EL素子の作製
赤色発光インクである下記化合物3と、青色発光インクである下記化合物4をそれぞれ別々に有機溶剤に溶解させインクジェット法にて上記で作製した上記で作製した基板上のITO膜に対し交互に打滴した。次に基板を蒸着機に搬入し、ITOと、発光画素上にて垂直に交差するようにマスクを装着させ上部電極としてMgを成膜した。
得られた有機EL素子について、以下のとおり発光テストを行った。
<発光テスト>
上記にて作製した有機EL素子に、7.5Vの電圧を印加し(株)島津製作所製Multispec1500型発光スペクトル測定システムにセットし、発光スペクトルを測定した。混色があるかどうか青色部分のみを発光させたときに赤色部分の発光スペクトルがないかによって確認し以下のように評価した。
○:インクの混色が全く認められなかった。
△:インクの混色が若干認められた。
×:インクが混色しているのが相当に認められた。
実施例4 有機EL素子の作製
赤色発光インクである下記化合物3および弱酸塩である下記化合物5の混合物と、緑色発光インクである下記化合物4および弱酸塩である下記化合物5の混合物をそれぞれ別々に有機溶剤に溶解させインクジェット法にて、上記で作製した基板上のITO膜に対し交互に打滴した。次に基板を蒸着機に搬入し、ITOと、発光画素上にて垂直に交差するようマスクを装着させ上部電極としてMgを成膜した。実施例3と同様に、発光テストを行った。
上記で用いた化合物の詳細を下記に示す。
化合物1:多孔質下地材料(ジベンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA))
化合物2:多孔質下地酸性材料(PM−21)
化合物3:赤色発色インク(ポリパラフェニレンビニレン(PPV)(Aldrich社製)+ローダミン101(Aldrich社製)
化合物4:緑色発色インク(ポリパラフェニレンビニレン(PPV)(Aldrich社製)
化合物5:弱酸塩(ポリアクリル酸テトラメチルグアニジン塩)(ポリアクリル酸(Aldrich社製)とテトラメチルグアニジン(Aldrich社製)を1:1で混合して精製)
実施例3および実施例4で作製した有機EL素子の発光テストの結果を下記に示す。
Figure 2010182610

Claims (19)

  1. 支持体上に、下部電極と、有機薄膜層と、上部電極とを該順に有する有機EL素子の製造方法であって、支持体上の下部電極の周囲の少なくとも一部に多孔質層を設けることを含む、有機EL素子の製造方法。
  2. 前記有機薄膜層の少なくとも一層は、塗布により設けることを特徴とする、請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記支持体が、ガスバリアフィルムである、請求項1または2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記多孔質層の少なくとも一層が金属酸化物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記多孔質層の少なくとも一層を、反応性スパッタリング装置を用いて、金属ターゲットをスパッタし、酸化物モードにて成膜して形成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  6. 前記多孔質層の少なくとも一層がアルミナまたはシリカを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  7. 支持体と多孔質層の間に、有機高分子化合物層を設けることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 前記多孔質層は、下部電極と支持体の間および下部電極と有機薄膜層の間には設けられていないことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  9. 下部電極の形成は、支持体上に電極材料からなる層を設け、該電極材料からなる層上にレジストを設け、露光し、さらに、所望の電極パターン部分に相当するレジストのみを残した状態で、エッチングを行い、電極をパターニングした後、レジストを残したまま前記多孔質層を設け、残りのレジストを除去することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  10. 前記有機高分子化合物層が酸性の層であって、有機薄膜層の少なくとも一層を弱酸塩を含む塗液を用いて成膜するか、前記有機高分子化合物層がアルカリ性の層であって、有機薄膜層の少なくとも一層を弱アルカリ塩を含む塗液を用いて成膜することを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  11. 支持体上に、下部電極と、有機薄膜層と、上部電極とを該順に有し、さらに、支持体上の下部電極の周囲の少なくとも一部に多孔質層を有する電極付き基板。
  12. 前記支持体が、ガスバリアフィルムである、請求項11に記載の電極付き基板。
  13. 前記多孔質層の少なくとも一層が金属酸化物を含む、請求項11または12に記載の電極付き基板。
  14. 前記多孔質層の少なくとも一層がアルミナまたはシリカを含む、請求項11または12に記載の電極付き基板。
  15. 支持体上に、下部電極と、有機薄膜層と、上部電極とを該順に有し、さらに、支持体上の下部電極の周囲の少なくとも一部に多孔質層を有する、有機EL素子。
  16. 前記支持体が、ガスバリアフィルムである、請求項15に記載の有機EL素子。
  17. 前記多孔質層の少なくとも一層が金属酸化物を含む、請求項15または16に記載の有機EL素子。
  18. 前記多孔質層の少なくとも一層がアルミナまたはシリカを含む、請求項15または16に記載の有機EL素子。
  19. 前記多孔質層は、下部電極と支持体の間および前記下部電極と有機薄膜層の間には設けられていないことを特徴とする、請求項15〜18のいずれか1項に記載の有機EL素子。
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