JP2010180153A - エストロジェン代替組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エストロジェン様作用を有し、抗骨粗鬆症剤、更年期障害の改善・治療剤、前立腺癌・前立腺肥大症・乳癌及び子宮癌の予防・治療剤あるいは女性の思春期後発症のざ瘡改善・治療剤に有用な食品、医薬などを提供すること。
【解決手段】ツバキ花粉エタノール抽出物を含有するエストロジェン代替組成物、これを含む抗骨粗鬆症剤、更年期障害の改善・治療剤、前立腺癌・前立腺肥大症・乳癌及び子宮癌の予防・治療剤、女性の思春期後発症のざ瘡改善・治療剤、食品、医薬、化粧料。
【選択図】図1

Description

本発明は、エストロジェン様作用を有するエストロジェン代替組成物に関する。また、本発明のエストロジェン代替組成物は、骨粗鬆症予防・治療剤、更年期障害の改善・治療剤、前立腺癌・前立腺肥大症・乳癌及び子宮癌の予防・治療剤あるいは女性の思春期後発症のざ瘡改善・治療剤、経口用組成物、皮膚外用組成物又は食品、医薬、化粧料に利用可能である。
エストロジェンは女性ホルモンの一種であり、発情作用を示すホルモン及び類似の作用を持つ物質の総称である。天然に存在するステロイド系のエストロジェンとしては、エストラジオールが主要なものであるが、その他のステロイド系のエストロジェンとしては、例えばエストロン、エストリオール、エリキン、ホモエストロン、エチニルエストラジオール等が知られている。また、非ステロイド系のエストロジェンとしては、例えばジエチルスチルベストロール、ヘキセストロール等が知られている。
これらのエストロジェン作用物質のうち、ステロイド系エストロジェンは、例えばエストロジェンの減少に起因する無月経、無排卵周期症、機能性子宮出血、子宮発育不全等を適応症とする医薬として用いられており、更年期障害の治療や乳汁分泌抑制などにも用いられている。また、非ステロイド系エストロジェンは、主として、前立腺癌、前立腺肥大症等の疾患の治療薬として用いられている。
一方、植物にもエストロジェン作用物質が含まれていることが知られており、これらは植物エストロジェンと総称されている。このような植物エストロジェンとしては、例えばゲニステイン、ダイゼイン、ミロエストロール等のイソフラボン類が比較的強いエストロジェン様活性を示すことが報告されている(非特許文献1)。更に最近、これらの植物エストロジェンを含む植物を日常的に摂取することが、骨粗鬆症や婦人科疾患、乳癌、子宮癌、前立腺癌、前立腺肥大症等の疾患の発現の減少、さらには血中コレステロール量の減少に寄与する可能性が指摘されている。又特開2005−139150号にはとうもろこし、ライ麦、チモシーの花粉の混合物をエタノール抽出したのちセファデックスを分離用担体として用いてクロロフォルム−メタノール(1:1)の溶媒で溶出した画分にエストロジェン様活性が存在することが開示されている(特許文献1)。一方特開2006−241044号には、植物由来の精油であるタイムオイル、ゼラニウムオイル、クラリセージオイル、ニアウリオイル、ローズオイルにエストロゲン依存性細胞であるMCF-7を増殖させ、エストロジェンレセプターを用いた拮抗阻害試験で陽性を示すことが開示されている(特許文献2)。
更に最近になって、ある種の微生物の代謝産物の中から、5,7−ジヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルクロマン−4−オンが単離され、エストロジェン様活性を有することが報告されている(特許文献3:特開平2−218678号公報、特許文献4:特開平2−300181号公報)。
現在治療目的で使用されているエストロジェン作用物質は、いずれも、胃腸障害、血栓症、子宮出血、肝障害等の副作用を有するという問題があり、長期間投与すると子宮癌や乳癌等が発現する場合があることが知られている。したがって、これらの副作用が軽減されたエストロジェン代替組成物が望まれている。
エストロジェンが関与する疾患のうち、更年期障害は、女性における生殖期の終結に起こる内分泌、体性および生理学上の変化の症候群と定義される。月経不順は、排卵の喪失によって引き起こされる長期月経出血の症状の出現である。排卵の喪失は、卵胞の発生の障害によって引起こされる。最近、更年期障害の治療のための最も一般的な方法は、受胎調節ピルの投与、エストロジェンおよびプロゲステロン製剤の経口投与またはプロゲステロンのみの製剤の経口投与を含めたホルモン置換法である(Shaaban、1996年)。更年期障害の症状を緩和させる一方で、これらの治療法は、多くの関連した危険および副作用を示す。ホルモン治療に関連した危険としては、子宮内膜癌、高血圧、高脂血症、胆石症(胆石)、乳癌、および深部静脈血栓症が挙げられる(Barentsen、1996年)。
また、尋常性ざ瘡(ニキビ)は思春期になって初めて発症してくるため、性ホルモンの分泌増加に伴う内分泌機能の変調が本症の発症と密接に関係していることは明らかである。すなわち、男女共にアンドロゲンの分泌量がエストロジェンの分泌量と比較して、相対的に増加していることが基本となっている(非特許文献2)。また、ニキビは思春期に好発するとされているが、最近、思春期後に発症する女性ニキビ患者が増加している。こうした女性の多数で、テストステロンやジヒドロテストステロンなどのアンドロゲンの血中濃度が上昇していることが報告されている(非特許文献3)。このように、思春期以後に発症する女性のニキビはホルモンバランスの乱れが関与している。
こうしたニキビ治療としては、抗生物質、P3ビタミン剤、ホルモン剤などの内服薬や、サリチル酸やイオウなどを含んだ角層溶解作用、殺菌作用、抗炎症作用を持つ外用薬の処方がなされている。しかし、月経前症候群と同様、医師の管理下で行われているものであり、医師のもとに通わなければならない煩わしさが伴う。また、一般医薬品でニキビを適用とした内服薬としてはビタミンB・B製剤や、殺菌、抗炎症作用を持つ外用薬が市販されているが、いずれもホルモンバランスに注目したものではない。
さらにまた、近年骨粗鬆症の問題が大きくなっている。骨粗鬆症は、骨量が減少することによって起こる骨が脆くなる病態である。この疾患もエストロジェンが関係している。
正常の骨においては、骨吸収(骨盤の溶解)と骨形成が交互にバランスよく行われて、代謝回転しつつも一定の骨量に保たれている。ところが、このバランスが崩れて、吸収が促進すると骨重量が減少し、骨が細くなって骨折しやすくなり、また疼痛を伴う場合もある。このような状態を骨粗鬆症と呼んでおり、特に閉経後の女性に多いことが特徴である。統計によっても異なるが、この年代の女性においては約1/4に認められるとも報告されている。さらに、老人の寝たきりの原因ともなるため、高齢化社会における生活の質(Quality of Life)の向上という観点からも、有効性の高い治療薬が求められている。さらに治療は長期に亘るため、高い安全性も必要である。
骨粗鬆症の発生メカニズムはまだ完全に明らかにはなっていないが、治療にあたっては、骨吸収を抑制するか、または骨形成を促進することが必要と考えられている。このような考えに基づき、骨粗鬆症の治療には、エストロジェンが臨床に導入されてきた。
エストロジェンは、骨吸収抑制作用と骨形成促進作用を併せ持ち、骨粗鬆症の進行を抑制する。しかし長期投与にあたっては、腹部膨満感・悪心などの消化器症状に加え、乳癌・子宮内膜癌の発生を始め、子宮内膜出血・帯下の増加・乳房痛など、女性ホルモンに特有の重篤な副作用が発現する恐れがあり、さらに糖代謝・脂質代謝異常、静脈血栓などの副作用も認められている。したがって、長期投与した際の安全性に問題がある。このように、骨粗鬆症の予防、あるいは治療効果が優れた安全な食品や医薬の開発が望まれているにも係らず、現状では有効性と安全性をともに解決した製品が開発されていない。
特開2005−139150号 特開2006−241044号 特開平2−218678号公報 特開平2−300181号公報
梅原千治、佐藤武雄著、ステロイドホルモン、製剤生理臨床、卵胞ホルモン、南江堂発行、昭和41年 フレグランスジャーナル74号4−7頁1985年 日本香粧品科学会誌21巻4号337−340頁1997
本発明の課題は、エストロジェン様作用を有し、長期間服用あるいは塗布しても安全で尚且つ確実な治療を行うのに充分満足できるようなエストロジェン代替組成物を提供することである。そして、エストロジェン代替組成物を含む医薬、食品、化粧料を提供することである。
本発明者は、前述した問題点を解決するために鋭意研究を行った結果、ツバキ花粉のエタノール抽出物が、強いエストロジェン様作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ツバキ花粉のエタノール抽出物を有効成分として含有するエストロジェン代替組成物に関する。
本発明のツバキ花粉のエタノール抽出物は、βエストラジオールの依存性細胞であるヒト乳癌由来細胞MCF-7の増殖を促進する。また、本発明のツバキ花粉のエタノール抽出物は、エストロジェンレセプターβに結合してアゴニストとして作用する。本発明のツバキ花粉のエタノール抽出物がエストロジェン様作用を有することから、これらを含有する食品、医薬又は化粧料は、エストロジェン欠乏または不足に由来する疾病又は女性ホルモン異常に伴う疾患の治療、改善、予防に用いることができる。
図1はヒト乳癌由来細胞(MCF-7)を用いたツバキ花粉のエタノール抽出物による細胞増殖効果をMTTアッセイ法で測定した試験結果をグラフ化したものである。
本発明で使用されるツバキは、ツバキ科ツバキ属の常緑樹であり、花が観賞される他、種子から得られる椿油は薬用、食用、化粧料として使用される。本発明ではツバキの花粉を使用する。本発明で使用されるツバキ花粉抽出物は、ツバキ科ツバキ属のツバキ(Camellia japonica L)、ユキツバキ(Camellia rusticana)、ワビスケ(Camellia wabisuke)、サザンカ(Camellia sasanqua)、カンツバキ(Camellia×hiemalis)またはハルサザンカ(Camellia×vernalis)の花粉から得ることができる。
ツバキ花粉抽出物としてはツバキの花粉をそのまま粉砕し、あるいは乾燥させた後に粉砕して、水あるいはエタノール等のアルコール、エーテル、アセトン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、プロピレングリコール、酢酸エチルなどの有機溶媒により抽出した粗抽出物、および粗抽出物を分配抽出やカラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで段階的に精製して得られた抽出物画分を含む。これらは単独で用いても良く、また2種以上混合して用いても良い。ツバキの花粉を生のまま抽出操作に供しても良いが、細切、乾燥、粉砕等の処理を行なった後、抽出を行なう方が効率がよい。抽出は抽出溶媒に浸漬して行なうことができる。抽出効率を上げる為に、抽出溶媒を攪拌したり、抽出溶媒中で破砕均一化したり、抽出溶媒中で圧力をかけることもできる。抽出温度は5〜100℃程度が適切であり、抽出時間は5分〜1ヶ月程度である。これらの条件は適宜設定することができる。
前記ツバキ花粉の抽出物はそのまま、また、水、エタノール等の有機溶媒にけんだくさせた状態で、エストロジェン代替組成物として使用できる。また、必要に応じて抽出溶媒を留去し、その乾燥物を用いてもよい。
ツバキ花粉の抽出物は、乾燥物として、0.0001〜1000mg/日の範囲で適用することができ、さらに、この範囲に限らず、対象、適用形態、症状に応じてその量を適宜設定することができる。
本発明のツバキ花粉抽出物の配合量としては、0.0001〜10重量%程度が好ましいが、用いる剤型、使用対象等の様々の条件に応じて、100重量%までの広範囲でその配合量を適宜設定できる。
本発明のツバキ花粉抽出物が、エストロジェン様作用を有することは、従来、全く知られておらず、本発明により得られた新知見である。
ツバキ花粉抽出物を有効成分として含有するエストロジェン代替組成物を、抗骨粗鬆症剤、更年期障害の改善・治療剤、前立腺癌・前立腺肥大症・乳癌及び子宮癌の予防・治療剤あるいは女性の思春期後発症のざ瘡改善・治療剤のような医薬に適用する方法としては、経口投与又は非経口投与のいずれも採用することができる。投与に際しては、有効成分を経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥製剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
ツバキ花粉抽出物を有効成分として含有するエストロジェン代替組成物を、食品として利用する場合は、そのまま、又は種々の栄養成分を加えて、若しくは飲食品中に含有せしめて、抗骨粗鬆症剤、更年期障害の改善・治療剤、前立腺癌・前立腺肥大症・乳癌及び子宮癌の予防・治療剤あるいは女性の思春期後発症のざ瘡改善・治療剤に有用な保健用食品又は食品素材として食される。例えば、前述した適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、茶、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。
本発明のツバキ花粉抽出物の有効投与量は、患者の年齢、体重、症状、患者の程度、投与経路、投与スケジュール、製剤形態、素材の阻害活性の強さなどにより、適宜選択・決定されるが、例えば、経口投与の場合、一般に1日当たり、乾燥重量として、通常成人換算で0.01g/体重kg以上であり、1日に数回に分けて投与してもよい。
また、本発明のツバキ花粉抽出物を含有する化粧料または化粧料素材として使用する場合、特に限定されるものではないが、一例としてあげると、小麦胚芽油あるいはオリーブ油の重量に対して0.001重量%以上10重量%以下、好ましくは0.005重量%以上5重量%以下が適当である。
また、前記のツバキ花粉抽出物を直接、化粧料成分として使用し、エストロジェン様作用を有する化粧料を製造することができる。化粧料には、植物油のような油脂類、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子、増粘剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤、乾燥剤等を含有させることができる。ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、抗癌剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
化粧料としては、化粧水、乳液、クリーム、パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップクリーム、乳液状又はクリーム状あるいは軟膏型のファンデーション、口紅、アイカラー、チークカラーといったメイクアップ化粧料、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション等の身体用化粧料等、入浴剤、口腔化粧料、毛髪化粧料とすることができる。本発明の方法で得られるエストロジェン代替組成物含有組成物を含有せしめた化粧料としては、機能面からは、例えば乳液、化粧液、フェイスクリーム、ハンドクリーム、ローション、エッセンス、シャンプー、リンスなどが好ましい。
このような化粧料は、常法に従って製造することができる。化粧料における本発明のツバキ花粉抽出物の添加量は、特に限定されるものではないが、全重量の0.01重量%以上1重量%以下程度が適当である。
本発明のツバキ花粉抽出物は、天然物であるためその毒性は低い。
以下に実施例、試験例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1(ツバキ花粉エタノール抽出物の製造)
(株)丸栄から入手したツバキ(Camellia japonica)の花粉10gをカラムに充填し、70%エタノール(和光純薬工業社製)60mLを用いて、ASE200 Accelerated solvent Extractor (DIONEX社製)を使用して自動抽出(温度;室温、加圧;1,500psi、パージ;60秒)を行った。得られたサンプルをエッペンに分けて遠心エバポレータでエタノールを飛ばした後、凍結乾燥機で一晩乾燥させて、221.4mgのツバキ花粉エタノール抽出物を得た。
<ヒト乳癌細胞MCF−7細胞を用いたエストロジェン様作用に関する試験>
MCF−7細胞はエストロジェンに対して感受性を示し、エストロジェン濃度に依存して増殖する癌細胞であることから、エストロジェン様活性を評価する方法として広く利用されている。本試験では、MCF−7細胞にサンプルを添加しMCF−7細胞の増殖または抑制効果を測定することにより、サンプルのエストロジェン様活性を評価した。MCF−7細胞の増殖または抑制効果は、サンプルを添加した後のMCF−7細胞の代謝活性を、MTTアッセイ法(培養細胞III 、4477−4482(1984))で測定した吸光度の結果から評価した。MTTとは(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)のことで水溶性の黄色の溶液であるが、細胞内に取り込まれると細胞内のミトコンドリアにある脱水素によって青色の非水溶性のホルマザン(Formazan)に変化する。このホルマザンは生成後に結晶化し沈殿するので、これを有機溶媒で溶解させて赤紫色の溶液とし、690nmを対象波長として570nmにおける吸光度を測定することで、ホルマザン産生量(=ミトコンドリア酵素活性≒細胞のviability)を測定できる。本実験ではこの原理を利用して、MTTアッセイ法によりMCF−7細胞の増殖または抑制効果を評価した。
本試験のサンプルは、実施例1のツバキ花粉エタノール抽出物を25μg/mL、5μg/mL、100μg/mLに調製した3サンプルと、ポジティブコントロールとしてのβ-estradiol (Wako社製、100nM、500 nM)と、ネガティブコントロールとしてのエタノール(和光純薬社製、0.1%)である。
尚、本実験のすべての培地には、ツバキ花粉エタノール抽出物を希釈するために用いたDMSO(ジメチルスルホキシド)0.5%とβ-estradiolを溶解するために用いたエタノール0.1%が含まれるが、予備的試験においていずれもMCF−7細胞の増殖および抑制に影響を与えない濃度であることを確認した。
以下に試験の詳細を示す。
MCF−7細胞の継代培養
大日本製薬株式会社(現DSファーマバイオメディカル株式会社)から購入し、液体窒素で凍結保存されたMCF−7細胞(1.0×106 cells/mL DMSO)をウォーターバス(37℃)にて解凍し、これを45〜50mLの培地に添加し、3,000 rpmで10分間遠心し、上清を吸い取り、すぐに10mLの培地を添加して、10mL(FALCON 35-3003)細胞培養ディッシュに蒔くか、20mLの培地を添加して、組織培養用フラスコ(FALCON 35-3810)に蒔いて培養した。ここで培地(MCF−7細胞の継代培養用培地)とは、MEM培地;1×MINIMUM ESSENTIAL MEDIUM EAGLE (MOD.) WITH EARLE’S SLATSWITHOUTに、FBS(Final 10%;FETAL BOVINE SERUM (JRH Biosciences Inc.)と、ピルビン酸ナトリウム(Final 1mM;SODIUM PYRUVATE 100mM (MP Biomedical Inc.)と、非必須アミノ酸(Final 1%;100×NON-ESSENTIAL AMINO ACIDS FOR MEM EAGLE(MP Biomedical Inc.)と、グルタミン酸(Final 2mM;L-GLUTAMINE(MP Biomedical Inc.)と、Penicillin-streptmycin(Final 1%)とを添加したものである。培地はディッシュの場合は2日に1回、フラスコの場合は5日に1回の割合で交換し、70%コンフレントになるまで増殖培養した。継代の方法として、まず培地を吸い取った後PBS(-)(ダルベッコ 9.6g/L 日水製薬株式会社)を少量添加して洗った。PBSを吸い取った後に、1%トリプシンを少量加えて1分間37℃のインキュベータに入れて反応させて細胞を剥がし、これを直ぐにクリーンベンチ内に入れ、トリプシンの10倍量の培地を添加して反応を止めた。それを更に培地で1.0×103cells/mLになるように薄めて、新しいフラスコやディッシュに蒔いて5%CO2,37℃で継代培養した。
本実験培養
70%コンフレントまで継代培養したMCF−7細胞をトリプシンにて剥がし細胞培養懸濁液(MEM増殖用通常培地にて懸濁)としたものを、96 wellプレートに1,000〜2,000cells/wellの細胞濃度になるように分注し、細胞接着の為5%CO2,37℃で24時間培養した。 次に、実施例1のツバキ花粉エタノール抽出物(70%エタノール抽出エキスを凍結乾燥して冷凍庫に保管)を、20mg/mLになるようにDMSOで溶かし、Final 100μg/mL,50μg/mL,25μg/mLになるようにDMEMで調製してサンプルとした。24時間培養後のwellから培地を除いた後に、各サンプルを含む本実験用の培地(いずれも0.5%DMSOおよび0.1%エタノールを含む)を分注し、5日〜7日, 5% CO2, 37℃で培養した。
ここで、本実験用の培地とは、DMEM培地(フェノールレッドフリー;DULBECO’S MODIFIED EAGLE’S MEDIUM (SICMA社製))に、CD処理済FBS(Final 10%;CHAECOAL/DEXTRAN TREATED FBS (HyClone社製))と、 ピルビン酸ナトリウム(Final 1mM;SODIUM PYRUVATE 100mM (MP Biomedical Inc.)と、Penicillin-streptmycin(Final 1%)とを添加したものである。本実験培養は (n=4)で行った。ポジティブコントロール(β-estradiol :Wako社製、100nM(あるいは500nM )+エタノール0.1%+0.5%DMSO)、ネガティブコントロール(エタノール0.1%+0.5%DMSO)も同様の方法で培養した。
MTTアッセイ法による細胞増殖効果の測定
本実験培地で培養終了後、wellから培地を除き、100μLのMTTを分注し、そのまま3時間室温に静置した。MTTを静かに吸引除去した後、2-イソプロパノールを100μL分注し、20分振とうさせた。続いてマイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス社製)SPECTRA MAX 190を用いて測定波長(570nm)と対照波長(690nm)での吸光度を測定し、その吸光度の差(570nm-690nm)を求めてMCF−7細胞の増殖効果を評価した。試験は各固形分濃度について4点とって、ポジティブコントロール(β-estradiol 100nM)に対するt−検定を行って危険率10%未満を有意差ありとした。サンプルを添加した時の結果(吸光度の差(570nm-690nm))をグラフ化したものを図1に示す。図中の*は危険率10%未満を示す。
図1に示すように、実施例1のツバキ花粉エタノール抽出物は、β-estradiolの依存性細胞であるヒト乳癌由来細胞MCF−7細胞を、濃度依存的に増殖させることができた。また、ポジティブコントロールであるβ-estradiol 100nMと、比較した場合、本発明組成物25μg/mLの濃度で5倍以上の高活性をを示した。
<RCASによるβアゴニストとしての作用確認>
前記のツバキ花粉エタノール抽出物のMCF−7細胞に対する増殖促進効果が、エストロジェン受容体を介したエストロジェン様作用に基づくもの、すなわち、ツバキ花粉エタノール抽出物がアゴニスト(作動物質)であることを確認する為にRCAS(Receptor/Coactivator Ligand Binding Assay system)を用いた試験を行った。RCASとは、受容体(レセプター)が化学物質(リガンド)依存的に転写を活性化したり抑制したりする(つまり作用を発現する)には、受容体と化学物質の結合だけでなく、さらにコアチベータなどの転写共益因子(コファクターと呼ばれるタンパク質)が結合する必要があることを利用したスクリーニングシステムである。RCASでは、受容体に被験物質がアゴニストとして結合した場合は、さらにプレートに固相化した転写因子(コアチベータ)と特異的に結合して複合体を形成できるが、受容体に被験物質がアンタゴニスト(拮抗物質)として結合した場合は、その後プレートに固相化した転写因子と結合することができないので複合体は形成されない。複合体が形成された場合にのみ、その後に添加する酵素標識抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ:HRP)で被験物質が結合した受容体は標識されるので、HRPの基質であるTMB(テトラメチルベンジン)を加えて酵素反応を行い反応液の吸光度を450nmで測定することにより、被験物質がアゴニスト(作動物質)であることが定量的に確認できる。複合体が形成されない場合はTMBを加えても吸光度の上昇は生じないので、被験物質がアゴニストではなく、その被験物質の作用点はエストロジェン受容体以外にあることが推察できる。
具体的には、被験物質がエストロジェンレセプターに結合し、ついでこの複合体が細胞内の転写因子に結合して細胞内にシグナルが伝達される反応を確認するため市販のRCASキット(EnBio製 RCAS for ERβキット:コスモバイオ社)を用いて評価した。すなわち、以下のとおりに調製した被験サンプルをキットに同封された指示書(試験方法)に従って試験した。被験サンプルとして、実施例1のツバキ花粉エタノール抽出物を100μg/mL、ポジティブコントロールとしてβ-estradiol (和光純薬社製)を100nM、ネガティブコントロールとしてエタノール(和光純薬社製)を0.1%の濃度でキットに添加して所定の試験を行い、マイクロプレートリーダーで450nmの吸光度を測定して発色を確認した。その結果、ポジティブコントロールであるβ-estradiol 100nMとほぼ同じ発色を示した。
以上の結果から、 ツバキ花粉エタノール抽出物は、ポジティブコントロールであるβ-estradiolと同様に、エストロジェンβ受容体の強いアゴニストであることを確認することができた。つまり、本発明のツバキ花粉のエタノール抽出物は、エストロジェンレセプターβに結合してアゴニストとして作用するものであるということができる。
ツバキ花粉エキスによるMCF−7細胞の増殖促進効果は、エストロジェンβ受容体を介した作用によるものであることが確認された。本発明のツバキ花粉のエタノール抽出物はβ-estradiolと同等以上の強いエストロジェン様作用を呈したことから、本発明の組成物を含有する食品、医薬又は化粧料は、エストロジェン欠乏または不足に由来する疾病又は女性ホルモン異常に伴う疾患の治療、改善、予防に用いることが期待できる。
例1[錠剤の製造]
実施例1で得られたツバキ花粉エタノール抽出物を用いて、常法に従って下記の組成の錠剤を製造した。
(組 成) (配合:重量%)
ツバキ花粉エタノール抽出物 10
乳糖 77
コーンスターチ 12
グァーガム 1
例2[ジュースの製造]
実施例1で得られたツバキ花粉エタノール抽出物を用いて、常法に従って下記の組成のジュースを製造した。
(組 成) (配合:重量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁 5.0
果糖ブドウ糖液糖 11.0
クエン酸 0.2
L−アスコルビン酸 0.02
香料 0.2
色素 0.1
ツバキ花粉エタノール抽出物 0.2
水 83.28
例3[フェイスクリームの製造]
実施例1で得られたツバキ花粉エタノール抽出物を用いて、常法に従って下記の組成のフェイスクリームを製造した。
(組 成) (配合:重量%)
イソステアリン酸イソプロピル 8.0
ホホバ油 6.0
セタノール 8.0
ステアリルアルコール 2.0
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1.5
プロピレングリコール 6.0
ソルビトール 1.0
パラベン 0.4
ツバキ花粉エタノール抽出物 0.5
ビタミンE 0.5
香料 0.1
精製水 66.0
本発明によるツバキ花粉のエタノール抽出物は、卓越したエストロジェン様作用を有しており、エストロジェン代替組成物として使用可能である。また、ツバキ花粉のエタノール抽出物を含むエストロジェン代替組成物は、抗骨粗鬆症剤、更年期障害の改善・治療剤、前立腺癌・前立腺肥大症・乳癌及び子宮癌の予防・治療剤あるいは女性の思春期後発症のざ瘡改善・治療剤を目的とした食品、医薬又は化粧料として使用可能である。

Claims (1)

  1. ツバキ花粉のエタノール抽出物を有効成分として含有するエストロジェン代替組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010105970A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Nof Corp エストロゲン様作用剤およびそれを含む皮膚外用剤

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