JP2010178958A - 生体吸収性インプラント及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】迅速に分解して優れた骨癒合性を発揮する損壊しにくい生体吸収性インプラント、及び、その製造方法を提供すること。
【解決手段】生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスを含有する複合体と、この複合体に形成された、平均気孔径が300μm以上の気孔及び平均気孔径が1μm以下の微細孔とを有する多孔体から成る生体吸収性インプラント、並びに、生体吸収性ポリマーを第1溶媒に溶解した溶液と生体活性セラミックスとを混合する懸濁液調製工程及び第1溶媒と相溶性を有する生体吸収性ポリマーの非溶媒と前記懸濁液とを混合する複合体析出工程を有する複合体調製工程と、この複合体の顆粒と可溶性物質の顆粒とを混合する顆粒調製工程と、この顆粒混合物を10MPa以下で加熱成形する成形工程と、この成形体を溶媒に浸漬する溶出工程とを含有する生体吸収性インプラントの製造方法。
【選択図】 図1

Description

この発明は、生体吸収性インプラント及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、迅速に分解して優れた骨癒合性を発揮する損壊しにくい生体吸収性インプラント及びその製造方法に関する。
骨又は歯等が欠損した場合に骨又は歯等を再生させるための治療方法に用いられる生体インプラントとして、例えば、金属材料、セラミックス、ポリマーとセラミックスとの複合体等を材料とした生体インプラントが盛んに開発されている。
このような生体インプラントの一例を挙げると、例えば、「微細な連続した空孔が全体に亙って均一に分布し、かつ実用上に十分に高い強度を有するリン酸カルシウム多孔体」が特許文献1([発明が解決しようとする問題点]欄参照。)に、また、「気孔を有する支持部と、前記気孔内に形成した環状部とを有し、前記環状部は複数の微細孔が形成した網目構造を有することを特徴とするリン酸カルシウムセラミックス多孔体」が特許文献2に、それぞれ、記載されている。
他の例として、例えば、「有機ポリマー中に無機粉粒が実質的に均一に分散し、内部に連続気孔を有し、表面と気孔内面に無機粉粒の一部が露出している有機−無機複合多孔体」が特許文献3に記載されている。
特許第2597355号公報 特開2005−154373号公報 特開2003−159321号公報
前記生体インプラントは、骨又は歯等が欠損した場合の治療方法に用いられるものであるから、骨欠損部又は歯欠損部等に補填されたときに、気孔内に骨芽細胞等の生体組織が侵入しやすく、優れた骨癒合性を発揮することが要求されると共に、例えば生体への補填作業時等に損壊しにくいことも要求されている。ところが、これらの特性を高い水準で両立する生体インプラントは、あまり知られていない。
例えば、特許文献1に記載された「リン酸カルシウム多孔体」及び特許文献2に記載された「リン酸カルシウムセラミックス多孔体」は、セラミックスであるが故に脆く、補填作業時及び/又は生体内への補填後に、カケ等が発生するなど損壊しやすいという問題がある。
一方、特許文献3に記載された「有機−無機複合多孔体」は、「有機ポリマーに無機粉粒が実質的に均一に分散して成る」から、一般に、前記「リン酸カルシウム多孔体」及び前記「リン酸カルシウムセラミックス多孔体」と比較すると、強度が高く、補填作業時及び/又は生体内への補填後に損壊しやすいという前記問題が深刻ではないと推測される。
この発明は、迅速に分解して優れた骨癒合性を発揮する損壊しにくい生体吸収性インプラント、及び、その製造方法を提供することを、目的とする。
前記課題を解決するための手段としてのこの発明は、多孔体から成る生体吸収性インプラントであって、前記多孔体は、生体吸収性ポリマーと前記生体吸収性ポリマーに分散した生体活性セラミックスとを含有する複合体と、前記複合体に形成された、平均気孔径が300μm以上の気孔及び平均気孔径が1μm以下の微細孔とを有して成ることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための手段としてのこの発明は、生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックスとの複合体を調製する複合体調製工程と、前記複合体の顆粒と可溶性物質の顆粒とを混合して顆粒混合物を調製する顆粒調製工程と、前記顆粒混合物を加圧下で加熱成形して成形体を得る成形工程と、前記成形体を前記可溶性物質が溶解する溶媒に浸漬して前記可溶性物質を溶出させる溶出工程とを含有することを特徴とする生体吸収性インプラントの製造方法であって、前記複合体調製工程は、前記生体吸収性ポリマーを第1溶媒に溶解した溶液と前記生体活性セラミックスとを混合して懸濁液を調製する懸濁液調製工程と、前記懸濁液と前記第1溶媒と相溶性を有し前記生体吸収性ポリマーを実質的に溶解しない第2溶媒とを混合して複合体を析出させる複合体析出工程とを有し、前記成形工程は10MPa以下の成形圧で加熱成形することを特徴とする。
この発明に係る生体吸収性インプラントは、前記複合体に形成された、平均気孔径が300μm以上の気孔及び平均気孔径が1μm以下の微細孔を有する多孔体から成るので、迅速に分解して優れた骨癒合性を発揮するにもかかわらず、補填作業時及び/又は生体内への補填後に損壊しにくい。したがって、この発明によれば、迅速に分解して優れた骨癒合性を発揮する損壊しにくい生体吸収性インプラントを提供することができる。
また、この発明に係る生体吸収性インプラントの製造方法は、前記工程を有する方法において、前記複合体調製工程が前記懸濁液調製工程と前記複合体析出工程とを備え、前記成形工程を10MPa以下の成形圧で実施するので、複合体に前記気孔及び前記微細孔が形成された多孔体を製造することができる。したがって、この発明によれば、迅速に分解して優れた骨癒合性を発揮する損壊しにくい生体吸収性インプラントの製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1の生体吸収性インプラントにおける孔径分布を示す測定チャートである。 図2は、比較例3の生体吸収性インプラントにおける孔径分布を示す測定チャートである。
この発明に係る生体吸収性インプラントは、生体吸収性ポリマーとこの生体吸収性ポリマーに分散した生体活性セラミックスとを含有する複合体と、平均気孔径が300μm以上の気孔と、平均気孔径が1μm以下の微細孔とを有して成る多孔体から形成される。この多孔体は、生体吸収性ポリマーとこの生体吸収性ポリマーに分散した生体活性セラミックスとを含有して成る複合体に、平均気孔径が300μm以上の気孔と平均気孔径が1μm以下の微細孔とがそれぞれ多数形成されて成る多孔体であり、換言すると、前記複合体を主骨格とする多孔体である。そして、この発明に係る生体吸収性インプラントは、この多孔体のまま、又は、この多孔体を成形等して、形成される。
前記生体吸収性ポリマーは、生体吸収性インプラントを生体内に補填後、徐々に分解及び/又は生体に吸収されうるポリマーであればよく、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−ε−カプロラクトン及びポリブチルサクシネートの重合体、並びに、乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、及び、コハク酸/ブタンジオールからなる群より選択される少なくとも二種の単量体を共重合してなる共重合体等が挙げられる。この発明において、前記生体吸収性ポリマーは、前記重合体の群より選択される少なくとも一種の重合体、及び/又は、前記少なくとも二種の単量体を共重合してなる共重合体であるのが好ましい。前記少なくとも二種の単量体を共重合してなる共重合体において、共重合する前記単量体のモル比、ブロック共重合体又はランダム共重合体等の単量体の重合様式等は特に限定されない。前記生体吸収性ポリマーは、一種単独で使用することもできるし、また、二種以上を併用することもできる。なお、この発明において、ポリ乳酸には、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸及びポリ−DL−乳酸が含まれ、乳酸には、L−乳酸、D−乳酸及びDL−乳酸が含まれる。
前記生体吸収性ポリマーは、より生体吸収性に優れ、生体内でより容易に分解・吸収されより速やかに生体組織に置換される生体吸収性インプラントとすることができる点で、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びポリ−ε−カプロラクトンの少なくとも一種の重合体であるのが好ましく、補填時の損壊等が生じにくい生体吸収性インプラントとすることができる点で、ポリ−L−乳酸が特に好ましい。
前記生体吸収性ポリマーは、使用する目的に応じて、使用するポリマーの種類及び平均分子量等によって生体吸収性インプラントの分解速度及び強度等を適宜に調整することができる。例えば、前記生体吸収性ポリマーがポリ−L−乳酸である場合には、その重量平均分子量は、30,000〜300,000であるのが好ましい。前記範囲内で重量平均分子量を調整することにより分解速度を調整することができるから、生体内で適度な速度で分解・吸収され、生体組織への置換が十分かつ速やかな生体吸収性インプラントとすることができる。また、ポリ−L−乳酸の結晶化度は、前記重量平均分子量と同様の理由から、30〜70%であるのが好ましく、30〜65%であるのがさらに好ましく、30〜55%であるのが特に好ましい。前記重量平均分子量はゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された標準ポリスチレン換算分子量であり、前記結晶化度は示差走査熱量計により測定される結晶融解に伴う吸熱量及び結晶生成に伴う発熱量から算出された値である。
前記生体活性セラミックスは、生体吸収性インプラントを生体内に補填後、生体組織に結合され、置換されるセラミックスであればよく、リン酸カルシウム系セラミック、炭酸カルシウム系セラミック、バイオガラス等が挙げられる。前記生体活性セラミックスは、リン酸カルシウム系セラミック及び炭酸カルシウム系セラミック、バイオガラスからなる群より選択される少なくとも一種であるのが好ましく、これらの中でも、生体内で速やかに分解・吸収され、生体組織に置換される生体吸収性インプラントとすることができる点で、リン酸カルシウム系セラミックが好ましい。リン酸カルシウム系セラミックとしては、例えば、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム、水酸アパタイト、リン酸四カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等が挙げられ、生体内で特に速やかに分解・吸収される生体吸収性インプラントとすることができる点で、β−リン酸三カルシウムが特に好ましい。前記炭酸カルシウム系セラミックとしては、例えば、炭酸カルシウム等が挙げられ、前記バイオガラスとしては、例えば、SiO−CaO−NaO−P系ガラス、SiO−CaO−NaO−P−KO−MgO系ガラス、及び、SiO−CaO−Al−P系ガラス等が挙げられる。前記生体活性セラミックスは、一種単独で使用することもできるし、また、二種以上を併用することもできる。
前記セラミックスは、前記生体吸収性ポリマーと実質的に均一に混合可能な点で、前記セラミックスを粉砕又は破砕等して成るセラミックス粉末であるのがよい。セラミックス粉末の形態及び平均粒径は、前記生体吸収性ポリマーと実質的に均一に混合可能な形状及び平均粒径であればよく、例えば、球状、楕円状、扁平球状及び多面体状等の形状が挙げられ、例えば、その平均粒径は0.1〜100μmの範囲内にあるのがよい。なお、前記の平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(商品名「LA−750」、株式会社堀場製作所製)によって測定することができる。
前記複合体は、前記生体吸収性ポリマーと前記生体活性セラミックスとに加えて、この発明の目的を損なわない範囲で、これら以外の成分例えば分散剤等を含有してもよい。
前記複合体において、前記生体活性セラミックスは、前記生体吸収性ポリマーと前記生体活性セラミックスとの合計質量に対して、20〜70質量%含有されているのが好ましい。前記範囲で生体活性セラミックスが生体吸収性ポリマーに含有されると生体吸収性インプラントが高い骨癒合性を発揮する。
前記複合体において、前記生体吸収性ポリマー中における前記生体活性セラミックスの分散状態は、その表面及び内部に実質的に均一に分散しているのが好ましい。前記生体活性セラミックスが前記生体吸収性ポリマー中に「実質的に均一に分散している」とは、前記複合体の表面及び内部を複数観察したときに、各観測点において、この発明の目的を達成することができる限りにおいて前記生体活性セラミックスが不均一な存在率等で分散していてもよく、前記生体活性セラミックスが正確に一定の存在率等で分散していることを要するものではない。
前記多孔体は、前記複合体を主骨格とし、前記複合体の表面及び内部に複数の前記気孔及び前記微細孔が形成された多孔質構造を有している。この多孔質構造は、複数の前記気孔が連通した連通部が形成された連通気孔を有している。この多孔体は、前記連通気孔に加えて、複数の前記微細孔が連通した連通部が形成された連通微細孔を有していてもよい。多孔質構造が連通気孔、連通微細孔を有していると、生体吸収性インプラントとされた多孔体内に生体組織が侵入可能になる。気孔同士又は微細孔同士の連通は規則的であっても不規則的であってよい。また、一部の気孔又は微細孔は独立して、すなわち、他の気孔又は微細孔と連通していなくてもよく、一部の気孔又は微細孔は数個の他の気孔又は微細孔と連通していてもよい。なお、微細孔は、複合体の表面又は内表面に開口しているので、通常、気孔に連通しているが、一部の微細孔は気孔に連通していなくてもよい。
前記多孔体が有する気孔の平均気孔径は、300μm以上である。前記気孔径が300μm未満であると、連通気孔の連通部の径が著しく小さくなって生体吸収性インプラントとされたときに高い骨癒合性を発揮することができないことがある。一方、前記平均気孔径が大きすぎると、多孔体の主骨格を形成する複合体量が少なくなって強度が低下することがあるので、実用的な前記平均気孔径の上限は、例えば、800μmである。前記平均気孔径は、前記多孔体の断面を電子顕微鏡等で観察し、電子顕微鏡写真における各気孔について気孔の直径を円相当直径として測定し、それらを算術平均することによって、算出することができる。なお、前記平均気孔径は多孔体の内部に形成された気孔の平均直径であるから、通常、後述する可溶性物質の平均粒径と略同一の値となる。
前記多孔体が有する微細孔の平均孔径は、1μm以下である。前記微細孔径が1μmを超えると、生体吸収性インプラントとされたときに迅速に分解される反面、前記気孔に侵入したタンパク質、骨芽細胞等の生体組織が微細孔に吸着、保持されにくくなって、優れた骨癒合性を発揮することができなくなることがあると共に、多孔体の主骨格を形成する複合体が細くなって強度が低下し、生体吸収性インプラントとされたときに損壊しやすくなることがある。より一層優れた骨癒合性と前記損壊しにくい特性とを高い水準で両立することができる点で、前記平均孔径は、0.5μm以下であるのが好ましく、0.1μm以下であるのが特に好ましい。一方、前記平均孔径が小さくなりすぎると、生体吸収性インプラントとされたときに迅速に分解されにくく、また、生体組織が微細孔に吸着、保持されにくくなって生体吸収性インプラントとされたときに高い骨癒合性を発揮することができないことがあるので、実用的な前記平均孔径の下限は、例えば、0.01μmである。前記平均孔径は、前記多孔体の断面を電子顕微鏡等で観察し、電子顕微鏡写真における各微細孔について微細孔の直径を円相当直径として測定し、それらを算術平均することによって、算出することができる。
前記多孔体は、前記平均気孔径及び前記平均孔径が前記範囲にあればよく、好ましくは、前記気孔が連通してなる連通気孔の連通部の径(以下、気孔連通径と称することがある。)が150μm以上であり、より好ましくは200μm以上である。前記連通径が150μm以上であると、生体吸収性インプラントとされたときに迅速に高い骨癒合性を発現させることができる。気孔連通径の上限は、特に限定されないが、多孔体の高い強度を大きく低下させない点で、例えば、350μmであるのが好ましく、300μmであるのが特に好ましい。前記気孔連通径は、隣接する気孔が連通して形成された、前記平均気孔径よりも径の小さな部分、通常、最も径の小さくなる部分であり、水銀ポロシメーターによって平均換算直径として測定される。
前記多孔体の気孔率は、40〜80%であるのが好ましく、45〜75%であるのがより好ましく、50〜70%であるのが特に好ましい。前記気孔率が前記範囲にあると、生体吸収性インプラントとされたときに高い骨癒合性と損壊しにくい特性とを発揮することができる。多孔体の気孔率は、多孔体に含有される生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスの各質量割合とそれぞれの密度とから算出される真密度と、多孔体の質量及び体積から算出される見掛け密度とから、式 (1−見掛け密度/真密度)×100(%)により、算出される。
前記多孔体において、微細孔の体積は、前記気孔の体積と前記微細孔の体積との合計体積に対して、0.2以上であるのが好ましく、0.3以上であるのが特に好ましい。微細孔の体積が前記範囲内にあると、多孔体の表面積が大きくなり、また、微細孔に吸着、保持される生体組織が多くなり、生体吸収性インプラントとされたときに迅速に分解されて高い骨癒合性を発現させることができる。微細孔の体積の上限は、特に限定されないが、前記気孔と前記微細孔とをバランスよく有し、生体吸収性インプラントとされたときに迅速に分解されるにもかかわらず損壊しにくくなる点で、0.5であるのが好ましく、0.4であるのが特に好ましい。前記微細孔の体積及び前記気孔の体積は、それぞれ、水銀ポロシメーター(マイクロメリティックス社製、型式「オートポアIV 9510」)を用いて、測定圧力2〜207MPaの条件にて前記多孔体の孔径分布を測定した場合の、孔径が1μm以下の領域に存在するピークの面積、及び、孔径が1μmより大きい領域に存在するピークの面積によって、算出される。なお、前記微細孔の体積及び気孔の体積は、測定部分に形成されている気孔及び微細孔それぞれの合計体積である。
前記多孔体は、その圧縮強度が1MPa以上であるのが好ましく、5MPa以上であるのが好ましい。多孔体の圧縮強度が1MPa以上であると、生体吸収性インプラントとされたときに生体内に補填される部位及び多様な用途等にかかわらず損壊しにくくなる。すなわち、圧縮強度が1MPa以上である多孔体は、優れた骨癒合性に加えて損壊しにくいという特性を有する。このような多孔体で形成される生体吸収性インプラントは、多様な補填部位及び多様な用途に問題なく使用することができる。圧縮強度は、直径10mm×高さ10mmの円柱体を成す多孔体又は測定対象の多孔体と同様にして前記寸法の円柱体を成す試験体を作製し、この多孔体又は試験体をロードセルを用いて1mm/minの速さで圧縮応力を負荷して、応力−ひずみ曲線を作成し、この曲線において応力が最大となった点から算出される。
前記生体吸収性インプラントは、前記平均気孔径及び前記平均孔径が前記範囲にある前記多孔体のままとされ、又は、前記多孔体を所望の形状に成形して製造される。したがって、この発明に係る生体吸収性インプラントもこの多孔体と同様に前記特性を満足している。前記所望の形状は、補填される部位の形状と同様の形状、又は、この形状に相当する形状例えば相似形等が挙げられ、具体的には、顆粒状、粉末状、繊維状、ブロック状又はフィルム状等が挙げられる。
この発明に係る生体吸収性インプラントは、前記多孔体から形成され、前記特性を有し、特に、前記範囲内にある前記平均気孔径及び前記平均孔径の気孔及び微細孔を有しているから、生体内に埋設されると、生体組織等が気孔に容易に侵入し、侵入した生体組織が微細孔に吸着、保持されて速やかに置換されると共に、複合体を形成している生体吸収性ポリマーが迅速に分解され、その結果、迅速に癒合することができる。また、この発明に係る生体吸収性インプラントは、前記のように前記多孔体から形成されているから、補填作業時及び補填後にも、また多様な補填部位及び用途等に使用されても、損壊しにくい。したがって、この発明に係る生体吸収性インプラントは、生体内に補填される生体インプラントとして非常に有用であり、骨又は歯等が欠損した部位に用いられ、特に、早期に分解吸収させ、迅速に骨又は歯を再生する必要のある部位に好適に用いられる。そして、前記特性を満足する前記多孔体は、優れた骨癒合性を発揮する損壊しにくい生体吸収性インプラント又はその材料として好適に用いられ、特に、迅速に分解して優れた骨癒合性を発揮する損壊しにくい生体吸収性インプラント又はその材料として好適に用いられる。
この発明に係る生体吸収性インプラントの製造方法(以下、この発明に係る製造方法と称することがある。)は、生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックスとの複合体を調製する複合体調製工程と、前記複合体の顆粒と可溶性物質の顆粒とを混合して顆粒混合物を調製する顆粒調製工程と、前記顆粒混合物を加圧下で加熱成形して成形体を得る成形工程と、前記成形体を前記可溶性物質が溶解する溶媒に浸漬して前記可溶性物質を溶出させる溶出工程とを含有することを特徴とする生体吸収性インプラントの製造方法であり、この製造方法において、前記複合体調製工程は、前記生体吸収性ポリマーを第1溶媒に溶解した溶液と前記生体活性セラミックスとを混合して懸濁液を調製する懸濁液調製工程と、前記第1溶媒と相溶性を有し前記生体吸収性ポリマーを実質的に溶解しない第2溶媒と前記懸濁液とを混合して複合体を析出させる複合体析出工程とを有し、前記成形工程は10MPa以下の成形圧で加熱成形することを特徴とする。この発明に係る製造方法は、前記特徴を有する多孔体及び生体吸収性インプラントを製造するのに特に好適な方法である。
この発明に係る製造方法においては、まず、生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスを準備する。生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスは、前記した、この発明に係る生体吸収性インプラントにおける生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスと基本的に同様である。生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスは、顆粒(粉末)、ペレット等の形態であってもよいが、これらを容易に混合することができる点で、顆粒であるのがよく、生体吸収性ポリマーよりも生体活性セラミックスの方が小さな粒径を有しているのがよい。生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスは、例えば、凍結粉砕等の公知の粉砕方法又は破砕方法等で顆粒とされ、この顆粒を所望により例えば篩等によって分級することができる。生体吸収性ポリマーの顆粒は、その粒径が、例えば、100〜500μmに、生体活性セラミックスの粒径は、その粒径が、例えば、0.1〜100μm程度、好ましくは0.5〜10μm程度にすることができる。
また、この発明に係る製造方法においては、生体吸収性ポリマーを溶解させ、生体活性セラミックスを実質的に溶解させない第1溶媒と、第1溶媒と相溶性を有し、生体吸収性ポリマーを実質的に溶解させない第2溶媒とを準備する。前記第1溶媒としては、前記生体吸収性ポリマーを溶解させる有機溶媒を、用いる生体吸収性ポリマーに応じて、選択することができる。例えば、生体吸収性ポリマーとしてポリ−L−乳酸を用いる場合には、第1溶媒として、1,4−ジオキサン、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等の有機溶媒が挙げられる。前記第2溶媒としては、前記生体吸収性ポリマーを実質的に溶解させず、かつ前記第1溶媒と相溶性を有する非溶媒であればよく、例えば、第1溶媒として有機溶媒を選択する場合には、例えば、水、アルコール、アルコール−水混合溶媒等の水系溶媒等が挙げられる。ここで、前記第1溶媒とは、生体吸収性ポリマーの大部分を溶解させ、生体活性セラミックスの大部分を溶解させない溶媒をいい、この発明の目的を達成することができる限り、生体活性セラミックスの一部を溶解する溶媒であってもよい。また、第1溶媒と相溶性を有する第2溶媒とは、第1溶媒と第2溶媒とを混合したときに、これらの溶媒が完全に分離することなく混合溶媒を形成することができる溶媒をいい、この発明の目的を達成することができる限り、第1溶媒又は第2溶媒が分離しても混合溶媒系が存在する溶媒であればよい。また、生体吸収性ポリマーを実質的に溶解させない第2溶媒とは、生体吸収性ポリマーの大部分を溶解させない溶媒をいい、この発明の目的を達成することができる限り、生体吸収性ポリマーの一部を溶解する溶媒であってもよい。
この発明に係る製造方法においては、このようにして準備した生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスを混合して、複合体を調製する。この複合体調製工程は、下記工程を経て、実施される。
複合体調製工程における第1工程として、生体吸収性ポリマーを第1溶媒に溶解した溶液と生体活性セラミックスとを混合して懸濁液を調製する懸濁液調製工程を、実施する。例えば、生体吸収性ポリマーを第1溶媒に投入して溶解させて生体吸収性ポリマーの溶液を調製する。この溶液の調製は、生体吸収性ポリマーを任意の条件で常法に従って第1溶媒に溶解することにより、実施される。次いで、この溶液と生体活性セラミックスとを混合して懸濁液を調製する。例えば、前記溶液に生体活性セラミックスを投入して生体活性セラミックスが実質的に均一に分散するまで攪拌し、生体活性セラミックスの懸濁液を調製することができる。懸濁液の調製は任意の条件で実施される。懸濁液調製工程において、生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックスとの混合割合は、これらの合計質量に対して生体活性セラミックスが20〜70質量%であるのがよい。この範囲で生体活性セラミックスが生体吸収性ポリマーと混合されると、製造される生体吸収性インプラントが高い骨癒合性を発揮する。このようにして、懸濁液を調製することができる。
この懸濁液調製工程において調製される懸濁液の生体吸収性ポリマーの濃度は、例えば、1〜1000g/Lであればよい。調製される懸濁液における生体吸収性ポリマーの濃度によって多孔体及び生体吸収性インプラントに形成される微細孔の平均孔径を調整することができる。すなわち、懸濁液における生体吸収性ポリマーの濃度を高くすると形成される微細孔の平均孔径が小さくなる傾向があり、多孔体の微細孔の平均気孔径を1μm以下にするには、生体吸収性ポリマーの濃度を、例えば、100〜1000g/L程度に設定する方法を採用することができる。
この発明に係る製造方法においては、次いで、複合体調製工程における第2工程として、第1工程で調製した懸濁液と、第1溶媒と相溶性を有し生体吸収性ポリマーを実質的に溶解しない第2溶媒とを混合して、複合体を析出させる複合体析出工程を、実施する。例えば、攪拌されている第2溶媒に前記懸濁液を一度に又は徐々に投入し、所望により攪拌を継続して、懸濁液と第2溶媒とを混合することができる。このようにして懸濁液と第2溶媒とを混合すると、第2溶媒に投入、混合された懸濁液は、懸濁液と第2溶媒との界面(例えば懸濁液が液滴状に第2溶媒に投入された場合にはその液滴の外表面)に第2溶媒が接触して、溶解していた生体吸収性ポリマーが生体活性セラミックスを内包した状態で速やかに析出して複合体から成る外殻を形成する。その後、第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒中において、形成された前記外殻の形状が保たれたまま、前記外殻内に閉じ込められた第1溶液が徐々に第2溶液で置換され、前記外殻の内部に微細な気孔を有するカプセル状の複合体が形成される。
この第2工程で使用する第2溶媒は、第1工程で使用した第1溶媒と相溶性を有し、かつ、第1工程で使用した生体吸収性ポリマーを実質的に溶解させない溶媒、例えば、前記した第2溶媒から1種又は2種以上の溶媒、を適宜選択して用いることができる。適宜選択する第1溶媒及び第2溶媒として、例えばクロロホルムと水及び塩化メチレンと水のように、第2溶媒が第1溶媒と相溶性を有していないと、懸濁液と第2溶媒とを混合しても第1溶媒と第2溶媒とがほとんど混合されないから、前記のようなカプセル状の複合体が形成されないことがある。また、第2溶媒が生体吸収性ポリマーを溶解させることができると、生体吸収性ポリマーによって前記外殻が成形されなくなる。この複合体析出工程において、第2溶媒は、前記懸濁液に対して10〜100倍(体積比)を使用することができる。前記複合体調製工程において、好適な第1溶媒と第2溶媒との組み合わせとしては、例えば、1,4−ジオキサンと水、1,4−ジオキサンと各種アルコール、1,4−ジオキサンと各種アルコール水等が挙げられる。
このようにして懸濁液調製工程と複合体析出工程とを順次行い、析出物を固液分離し、所望により乾燥させることによって、複合体を調製することができる。
この発明に係る製造方法においては、所望により、調製した複合体を粉砕又は破砕等して顆粒状にする。複合体は、凍結粉砕等の公知の粉砕方法又は破砕方法等で粉砕又は破砕されて顆粒とされ、この顆粒を所望により例えば篩等によって分級することができる。複合体の顆粒の粒径は、例えば、355〜500μmにすることができる。複合体の顆粒は、篩による分級でその粒径を調整することができる。
この発明に係る製造方法においては、このようにして調製した複合体の顆粒と可溶性物質の顆粒とを混合して顆粒混合物を調製する。混合方法は、複合体の顆粒と可溶性物質の顆粒とを混合できれば特に限定されず、ドライブレンド法等の乾式混合等が挙げられる。
前記可溶性物質は、複合体と容易に混合することができる点で、粉砕又は破砕等して顆粒にされる。可溶性物質は、凍結粉砕等の公知の粉砕方法又は破砕方法等で粉砕又は破砕されて顆粒にされ、この顆粒を所望により例えば篩等によって分級することができる。可溶性物質の顆粒は、その粒径を355〜500μmの範囲内にすることができる。可溶性物質の顆粒は、篩による分級でその粒径を調整することができる。
このときに混合される可溶性物質の顆粒は、複合体の顆粒と可溶性物質の顆粒との合計体積に対して、40〜80体積%の割合であるのが好ましく、45〜75体積%の割合で混合されるのが特に好ましい。前記割合でこれらの顆粒が混合されると、製造される多孔体及び生体吸収性インプラントの骨癒合性及び強度を高い水準で両立することができる。
この顆粒調製工程で用いられる可溶性物質は、後述する第3溶媒に溶解する物質であればよく、例えば、前記第3溶媒が水系溶媒である場合には水溶性化合物、前記第3溶媒が有機溶媒である場合には有機化合物等が挙げられる。前記水溶性化合物としては、例えば、糖類、セルロース類、タンパク質、無機化合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、スルホン化ポリイソプレン、スルホン化ポリイソプレン共重合体等が挙げられる。前記糖類としては、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、デキストリン及び澱粉等の多糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖及びマンニット等が挙げられ、前記セルロース類としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及びメチルセルロース等が挙げられ、前記無機化合物としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩類が挙げられる。前記有機化合物としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等の樹脂等が挙げられる。これらの可溶性物質は、後述する顆粒混合物の成形時において、成形温度下で溶着する程度のガラス転移点又は融点を有していると、成形体中に気孔の連通部となる可溶性物質の溶着部である気孔形成部分が容易に形成されるので前記可溶性物質は成形時の成形温度を考慮して選択されるのが好ましい。可溶性物質は、一種単独で使用することもできるし、また、二種以上を併用することもできる。
この発明に係る製造方法においては、次いで、得られた顆粒混合物を加熱下で加圧成形して、成形体を得る。成形方法は、特に限定されず、例えば、金型プレス等を用いる方法が挙げられる。成形温度は、複合体に形成された微細孔を消滅又は閉塞させることのない温度であればよく、例えば、複合体の顆粒が溶融する温度未満であって、前記生体吸収性ポリマーのガラス転移点Tg以上である。前記生体吸収性ポリマーとしてポリ−L−乳酸(Tg60℃、融点180℃(示差走査熱量計(DSC)による測定値))を用いる場合には、成形温度は、60〜70℃に設定することができる。なお、生体吸収性ポリマーのガラス転移点Tgは、JIS K7121により測定することができる。成形圧力は、複合体に形成された微細孔を消滅又は閉塞させることのない圧力であればよく、具体的には、1MPaを超え10MPa以下の範囲に設定される。
このようにして成形された成形体は、複合体からなり微細孔を有する骨格部分と、可溶性物質からなる気孔形成部分とから成り、前記骨格部分の内部又は表面に前記生体活性セラミックスが実質的に均一に分散されている。
この発明に係る製造方法においては、次いで、得られた成形体を前記可溶性物質が溶解する第3溶媒に浸漬して、前記可溶性物質を溶出させる。成形体の浸漬方法は、特に限定されず、前記第3溶媒の中に成形体をそのまま浸漬させてもよく、また、前記第3溶媒を攪拌してもよい。このとき、第3溶媒に浸漬させる成形体は、前記可溶性物質を溶出することができる程度の量であればよく、例えば、第3溶媒の質量に対して1〜10質量%の割合である。浸漬条件は特に限定されず、例えば室温下で前記可溶性物質が溶出するまで行うことができる。
この溶出工程において用いられる第3溶媒は、前記可溶性物質の種類に応じて選択される。例えば、可溶性物質として水溶性化合物を用いる場合には、この水溶性化合物を溶解させる水系溶媒、例えば、水、アルコール、アルコール−水混合溶媒等が挙げられる。一方、可溶性物質として有機化合物を用いる場合には、この有機化合物を溶解させ、かつ前記生体吸収性ポリマーを溶解させない有機溶媒、例えば、前記生体吸収性ポリマーとしてポリ−L−乳酸を用いる場合には、アセトン、イソプロパノール等が挙げられる。生体吸収性インプラントは生体内に補填されるから、前記第3溶媒は、水系溶媒であるのが好ましく、水であるのが特に好ましい。
成形体を前記第3溶媒に浸漬させると、成形体を構成する可溶性物質すなわち前記気孔形成部分が徐々に溶出して三次元的に連通した連通孔が形成され、微細孔を有する複合体からなる骨格部分が残存した多孔質構造を有する多孔体となる。すなわち、この多孔体は、主骨格としての複合体と、平均気孔径が300μm以上の気孔と、平均気孔径が1μm以下の微細孔とから成っている。
この発明に係る製造方法においては、所望により、浸漬処理の後に、得られた多孔体の洗浄工程、乾燥工程等の後処理を行うこともできる。乾燥工程は、例えば、20〜60℃での減圧乾燥、加熱乾燥を採用できる。
この発明に係る製造方法においては、このようにして製造された多孔体又は乾燥した多孔体をそのまま、この発明に係る生体吸収性インプラントとすることができる。また、この発明に係る製造方法においては、所望により、前記のようにして製造された多孔体又は乾燥した多孔体を、補填部等の形状と同様の形状等に整形して、この発明に係る生体吸収性インプラントとすることもできる。
この発明に係る製造方法においては、前記懸濁液調製工程と前記複合体析出工程とを順次実施して複合体を調製し、顆粒混合物を10MPa以下の成形圧で加熱成形するので、得られる成形体の可溶性物質を溶出させると、気孔の平均気孔径及び微細孔の平均孔径がいずれも前記範囲内にある多孔体及び生体吸収性インプラントを製造することができる。
この発明に係る生体吸収性インプラント及びその製造方法は、前記開示内容に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
(実施例1)
重量平均分子量240,000、結晶化度70%のポリ−L−乳酸(PLLAと表記することがある。)7gを30mLの1,4−ジオキサンに溶解させて溶液を調製した。この溶液に、平均粒径約1μmのβ−リン酸三カルシウム(以下、β−TCPと表記することがある。)の顆粒3gを投入して、β−TCPをほぼ均一に分散させ、懸濁液を調製した。この懸濁液を、攪拌されている1000mLの純水に一挙に投入してしばらく攪拌を続けた。析出物を個液分離した後に乾燥させて複合体を調製した。
この複合体を凍結粉砕にて粉砕し、355〜500μmの粒径を有する顆粒を篩分けして複合体の顆粒を得た。得られた複合体の顆粒と、355〜500μmの粒径を有するショ糖(商品名「ノンパレル−103」、フロイント産業製)の略球状顆粒とを、体積比で50:50となるように混合して、顆粒混合物を調製した。
次いで、この顆粒混合物を70℃で加熱しながら10MPaの成形圧で加圧成形して成形体を得た。そして、この成形体1gを100mLの純水に12時間浸漬してショ糖を溶出させ、ポリ−L−乳酸/β−TCPからなる複合体を主骨格とする多孔体を得た。この多孔体を乾燥して、実施例1の生体吸収性インプラントを製造した。
(比較例1)
前記成形圧を、60MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の生体吸収性インプラントを製造した。
(比較例2)
前記1,4−ジオキサンに代えてクロロホルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の生体吸収性インプラントを製造した。
(比較例3)
重量平均分子量240,000、結晶化度70%のPLLAの顆粒7gを200℃に加熱して溶融させ、溶融したPLLAに平均粒径約1μmのβ−TCPの顆粒を添加して、β−TCPがほぼ均一に分散するまで混練して、PLLAにβ−TCPが分散してなる複合体を作製した。この複合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の生体吸収性インプラントを製造した。
このようにして製造した実施例1及び比較例1〜3の生体吸収性インプラントにおける、気孔の平均気孔径、気孔連通径、微細孔の平均孔径、気孔率及び圧縮強度を前記測定方法により測定し、その結果を第1表に示した。なお、気孔連通径は水銀ポロシメーターを用いて前記条件に従い測定した。
また、実施例1及び比較例3の生体吸収性インプラントにおける孔径分布を前記方法及び前記条件に従い測定した。得られた測定チャートを図1及び図2にそれぞれ示す。なお、実施例1及び比較例1〜3の生体吸収性インプラントにおける微細孔の体積を前記方法に従って算出したところ、前記体積はそれぞれ、気孔の体積と微細孔の体積との合計体積に対して、0.31、0、0及び0であった。
Figure 2010178958
実施例1は、前記懸濁液調製工程と前記複合体析出工程とを順次実施して複合体を調製し、顆粒混合物を10MPa以下の成形圧で加熱成形して、生体吸収性インプラントを製造した。したがって、第1表及び図1に示されるように、実施例1の生体吸収性インプラントは、平均気孔径が300μm以上の気孔及び平均気孔径が1μm以下の微細孔を有していた。このように、この生体吸収性インプラントは、前記気孔と前記微細孔とが形成された多孔体から成るから、生体内に補填されると、速やかに分解されると共に、前記気孔に侵入した生体組織が微細孔に吸着、保持されて優れた骨癒合性を迅速に発揮することが容易に推測される。また、これらの生体吸収性インプラントは、生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックスとの複合体を主骨格としているから、補填作業時及び/又は生体内への補填後に損壊しにくいことが容易に推測される。
これに対して、比較例1は、60MPaもの成形圧で成形工程を実施して、生体吸収性インプラントを製造した。したがって、第1表に示されるように、複合体調製工程で複合体に形成した微細孔が成形工程で消滅又は閉塞したと推測され、比較例1の生体吸収性インプラントは、微細孔の存在を確認することができず、その平均孔径を測定することができなかった。
比較例2は、互いに相溶しないクロロホルムと水とをそれぞれ第1溶媒及び第2溶媒として用いて、生体吸収性インプラントを製造した。したがって、第1表に示されるように、複合体調製工程で複合体に微細孔が形成されず、比較例2の生体吸収性インプラントは、微細孔の存在を確認することができず、その平均孔径を測定することができなかった。
比較例3は、生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックスとを加熱溶融混合して複合体を調製して、生体吸収性インプラントを製造した。したがって、第1表及び図2に示されるように、この複合体には微細孔が形成されることはなく、比較例3の生体吸収性インプラントは、微細孔の存在を確認することができず、その平均孔径を測定することができなかった。
このように、前記平均孔径の微細孔を有していない生体吸収性インプラントは、微細孔を有している生体吸収性インプラントに比して、その表面積が小さく、かつ、生体組織を吸着、保持しにくいから、徐々に分解され長時間をかけて骨癒合性を発揮することが推測される。

Claims (2)

  1. 多孔体から成る生体吸収性インプラントであって、
    前記多孔体は、生体吸収性ポリマーと前記生体吸収性ポリマーに分散した生体活性セラミックスとを含有する複合体と、前記複合体に形成された、平均気孔径が300μm以上の気孔及び平均気孔径が1μm以下の微細孔とを有して成ることを特徴とする生体吸収性インプラント。
  2. 生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックスとの複合体を調製する複合体調製工程と、
    前記複合体の顆粒と可溶性物質の顆粒とを混合して、顆粒混合物を調製する顆粒調製工程と、
    前記顆粒混合物を加圧下で加熱成形して、成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を前記可溶性物質が溶解する溶媒に浸漬して、前記可溶性物質を溶出させる溶出工程とを含有することを特徴とする生体吸収性インプラントの製造方法であって、
    前記複合体調製工程は、
    前記生体吸収性ポリマーを第1溶媒に溶解した溶液と前記生体活性セラミックスとを混合して、懸濁液を調製する懸濁液調製工程と、
    前記懸濁液と、前記第1溶媒と相溶性を有し前記生体吸収性ポリマーを実質的に溶解しない第2溶媒とを混合して、複合体を析出させる複合体析出工程とを有し、
    前記成形工程は、10MPa以下の成形圧で加熱成形する
    ことを特徴とする生体吸収性インプラントの製造方法。
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