JP2010176143A - ゴムローラ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性に優れると共に一層低いゴム硬度のゴムローラを実現する。
【解決手段】本発明では、中空円筒状のウレタンスポンジを所定の長さに切断し、その内周に金属のシャフトを挿入してウレタンゴムローラを製造する(ステップ1,2)。次に、ウレタンスポンジに液状シリコンを含浸し、円筒状の金型に装着し、高速回転させる。高速回転させることにより液状シリコンが外周側に材料移動し、金型の内周面とウレタンスポンジの外周面との間に液状シリコンの膜が形成される(ステップ4)。その後、加硫処理を行い、ウレタンスポンジの外周面にシリコン皮膜を形成する(ステップ5)。ウレタンスポンジの外周面には平滑なシリコン皮膜が形成されるので、ウレタンゴムローラは、表面が平滑でシリコンゴムローラに匹敵する耐熱性を有するゴムローラに変換される。
【選択図】図2

Description

本発明は、ローラの外周面がシリコンゴム皮膜により被覆されたゴムローラに関するものである。
複写機やプリンタにおいては、未定着トナー像を定着するためヒートロール定着装置が広く使用されている。このヒートロール定着装置は、内側にヒータを有するヒートローラと弾性ゴム層を有する加圧ローラとを有し、ヒートローラと加圧ローラは圧着機構を介して相互に圧接されている。加圧ローラは、金属のシャフトと、その外周に形成した弾性ゴム層と、弾性ゴム層の外周面を被覆するフッ素樹脂のチューブとを有している。加圧ローラは高温のヒートローラと接触回転するため、弾性ゴム層は耐熱性を必要とし、シリコンゴム層で構成されている(例えば、特許文献1参照)。
ヒートロール定着装置において、記録紙上に転写された未定着トナー像は、ヒートローラと加圧ローラとが接触するニップを通過する時間中に溶融されて記録紙上に定着される。従って、ヒートロール定着装置の定着性能を向上させるためには、ヒートローラと加圧ローラとが接触する幅であるニップ幅をできるだけ広くすることが望ましい。この場合、ヒートローラと加圧ローラとを圧着する圧着機構の圧着力を大きくすれば、ニップ幅を広くできる。しかし、圧着力を大きくすると、加圧ローラがベンディングしてしまい、ローラの軸線方向にそって均一な幅のニップが形成されない不具合が生じてしまう。一方、加圧ローラのシリコンゴム層のゴム硬度を低くすれば、比較的小さな圧接力でも広いニップ幅を形成することが可能であり、加圧ローラの弾性ゴムとして発泡性シリコンゴムを用いることも既知である(例えば、特許文献1参照)
さらに、低硬度の加圧ローラとして、弾性ゴム層として発泡ウレタンを用い、発泡ウレタンの外周面上にフッ素樹脂チューブの離型剤層を設けた加圧ローラも既知である(特許文献2参照)。
特開2003−177623号公報 特許第2966360号公報
定着装置の加圧ローラに用いられているシリコンゴム層の硬度を一層低くする方策として、発泡性のシリコンゴム材料を用いることが既知である。発泡性シリコンゴムは、内部に多数の気泡を有するため、ソリッドのシリコンゴム材料に比べてゴム硬度を相当低くすることが可能である。しかし、発泡性シリコンゴム材料は、単泡性であるため、高温のヒートローラと接触回転した場合、加圧ローラが昇温し気泡内の気体が膨張するため、使用中にローラ径が増大してしまう。加圧ローラのローラ径が変化すると、紙送り速度が変化し、通紙性能が著しく低下する不具合が生じてしまう。また、ローラ径の増大に伴い、シリコンゴム層の外周に形成したフッ素樹脂チューブの径も増大する。一方、定着装置の使用後に加圧ローラの温度が常温まで低下すると、加圧ローラの各気泡内の気体の体積が減少し、加圧ローラの外形寸法が小さくなるため、最外周のフッ素樹脂チューブにしわが生じてしまう。しかし、加圧ローラのフッ素樹脂層ないしチューブにしわが生じると、定着装置の定着性能及び通紙性能が大幅に低下してしまう。
従って、本発明の目的は、耐熱性に優れると共に一層低いゴム硬度のゴムローラ及び加圧ローラを実現することことにある。
さらに、本発明の別の目的は、一層低いゴム硬度を有すると共にフッ素樹脂チューブにしわが生じない加圧ローラを実現することにある。
本発明によるゴムローラは、金属のシャフトと、その外周に形成された連泡性の弾性ゴム層と、前記弾性ゴム層の外周に形成されると共に平滑な外周面を有し、前記連泡性の弾性ゴム層の外周面を平滑なローラ表面に変換するシリコンゴム皮膜とを具えることを特徴とする。
本発明者が種々のゴム材料について実験及び解析を行った結果、各種ローラのゴム硬度を一層低下させるためには、連泡性ゴム材料を用いることが有益であるとの結論に至った。すなわち、発泡性ゴム材料は、単位体積当たりのゴム材料が占める割合が小さいため、それ自体でゴム硬度を低下させることができる。しかし、発泡性シリコンゴムのように、各気泡が独立している単泡性ゴム材料に押圧力が作用した場合、気泡内に存在する気体からの弾性反発力が大きいため、ゴム硬度を低下させるためには限界がある。一方、連泡性のゴム材料に押圧力が作用した場合、気泡内の気体は、隣接する気泡間を連通させる孔等を介して外部に放出されるため、作用する押圧力に応じて自在に弾性変形することができ、ゴム硬度が大幅に低下する。しかしながら、従来のシリコンゴムの製造技術では、連泡性のシリコンゴムを製造することは製造上極めて困難であり、製造コストが大幅に高価になってしまう。
そこで、本発明では、加圧ローラの弾性ゴム材料として、ウレタンスポンジを用いる。ウレタンスポンジは、低硬度のゴム材料であるから、加圧ローラの弾性ゴム層として用いれば、相当低い硬度のゴムローラが実現される。しかも、連泡性ゴム材料であるからゴム層内の各空孔はウレタンスポンジの側面を介して外部と連通し、ヒートローラと接触して温度が高くなっても、空孔が膨張してローラ径が増大するする不具合が発生せず、常時一定のローラ径を維持することが可能である。
他方において、ウレタンスポンジを弾性ゴム層として用いた場合、第1の欠点として、ウレタンスポンジの外周面には多数の凹凸が存在し、金属のシャフトの外周にウレタンスポンジ層を形成してウレタンゴムローラを形成した場合、ローラの外周面に無数の凹凸が形成され、表面の平滑性に難点がある。よって、ウレタンスポンジローラの外周面に離型剤層としてフッ素樹脂チューブを装着しても、フッ素樹脂チューブの厚さは比較的薄いため、下地のウレタンゴムの凹凸がそのまま現れてしまい、外周面に無数の凹凸のある加圧ローラとなってしまう。第2の欠点として、ウレタンゴム自体の耐熱温度が比較的低いことである。ウレタンゴムの耐熱性温度は、シリコンゴムの耐熱性温度よりも低いため、ウレタンゴムローラの外周面に高い耐熱性を有するフッ素樹脂チューブを装着しても、長期間にわたって使用すると、熱劣化が進行し、耐久性に難点がある。
上述した欠点を解消するため、本発明では、ウレタンスポンジの外周面にシリコンの皮膜を形成する。シリコン皮膜を形成するに際し、ウレタンゴムローラを作成し、当該ウレタンゴムローラのウレタンスポンジの内部まで液状シリコンを含浸させ、その状態で円筒状の金型内に配置する。そして、ウレタンゴムローラと金型とを一緒にして高速回転させる。金型と共にウレタンゴムローラが高速回転することにより、内部に含浸された液状シリコンは外周側に材料移動し、ウレタンスポンジの外周面の凹部は液状シリコンによりほぼ均一に充填され、金型の内周面とウレタンゴムの表面との間に液状シリコンの薄い膜が形成される。そして、その状態で加硫処理を行う。この状態で加硫処理を行えば、ウレタンスポンジの外周面の凹部内にシリコンが充填され、金型の内周面に対応した平滑なシリコン皮膜が形成される。この結果、ウレタンスポンジの外周面は平滑な外周面に変換される。尚、金型を高速回転させることにより、ウレタンスポンジの外周面の凹部内に存在していた空気は、液状シリコンの材料移動によりウレタンスポンジの側面から外部に放出されるので、シリコン皮膜に気泡の痕跡が形成される不具合は解消される。
さらに重要なこととして、ウレタンスポンジの内部特に外周面付近は、液状シリコンが充填された状態で加硫処理されるため、ウレタンスポンジのゴムの隔壁はシリコンで被覆された状態となり、シリコンの耐熱性にほぼ匹敵する耐熱性が得られることである。この結果、ウレタンゴムの比較的低い耐熱性はシリコンの耐熱性まで改善され、熱劣化の問題も解消する。
本発明において用いられる液状シリコンは、比較的低い温度で加硫できるRTV型の液状シリコン又は110〜180℃程度の温度で加硫するLTV型の液状シリコンを用いることができる。また、液状シリコンの粘度として、ウレタンスポンジの内部まで侵入でき、且つウレタンスポンジの隔壁表面に保持される程度の粘度、例えば10000〜50000cs程度の比較的高粘度の液状シリコンが用いられる。
さらに、本発明では、表面が平滑なシリコン皮膜の外周面について下地処理を行った後、フッ素ラテックス、ウレタンゴム、又はシリコンレジンをコーティングすることも可能である。例えば、シリコン皮膜の外周面についてフッ素ラテックス処理(FLC処理)を行えば、ローラ外周面の強度が一層改善されたゴムローラや加圧ローラが実現される。特に、本発明によるゴムローラ及び加圧ローラは、常温環境下と加熱環境下で交互に用いられても、ローラ自体に熱膨張及び収縮が生じないため、フッ素ラテックス皮膜の耐久性が大幅に改善される。従って、加圧ローラとして用いる場合、フッ素樹脂チューブを装着する代わりに、シリコン皮膜上にフッ素ラテックス皮膜を形成して加圧ローラとして用いることも可能である。さらに、ウレタン樹脂は、ゴム材料として汚染物を発生しない特性があるため、シリコン皮膜上にウレタンゴムをコーティングすれば、ローラから汚染物が発生しないゴムローラとして最適である。
参考として記載する本発明によるゴムローラの製造方法は、中空円筒状の連泡性のウレタンスポンジゴムのチューブを所定の寸法に切断する工程と、
ウレタンスポンジゴムのチューブの内周に金属のシャフトを装着してウレタンゴムローラを製造する工程と、
ウレタンゴムローラの外周面からウレタンスポンジゴムの内部に液状シリコンを含浸させる工程と、
液状シリコンが含浸されたウレタンゴムローラを円筒状の金型内に配置する工程と、
前記ウレタンゴムローラをローラ軸線の周りで回転させて、金型の内周面とウレタンスポンジゴムの外周面との間に液状シリコンの膜を形成する工程と、
前記ウレタンゴムローラを前記金型内に配置した状態で加硫処理を行い、前記ウレタンゴムローラを、外周面にシリコンゴム皮膜が形成され平滑な外周面を有するゴムローラに変成する工程と、
前記シリコンゴム皮膜の外周面にフッ素樹脂チューブを装着する工程とを有する。
本発明によるゴムローラは、電子写真式プリンタや複写機の加熱定着装置に用いられる加圧ローラだけでなく、種々のゴムローラとして用いることも可能である。特に、外周面が平滑であると共にシリコンゴムの特性を有するので、不活性な特性が要求されるローラや、耐熱性或いは粘着性が要求される各種ゴムローラとして用いることが可能である。さらに、使用目的に応じて、シリコン皮膜の外周面にウレタン樹脂皮膜、フッ素ラテックス皮膜等の各種皮膜をコーティングすれば、所望の特性のゴムローラが実現される。
本発明によるゴムローラは、加熱定着装置に用いられるゴムローラであって、金属のシャフトと、その外周に形成された連泡性の弾性ゴム層と、弾性ゴム層の外周に形成されると共に平滑な外周面を有し、前記連泡性の弾性ゴム層の表面を平滑な耐熱性表面に変換するシリコンゴム皮膜とを具え、前記連泡性の弾性ゴム層は、ウレタンスポンジと、ウレタンスポンジの隔壁を被覆するシリコンゴム皮膜との二重構造体により構成されることを特徴とする。本発明によるゴムローラは、動作時と非動作時との間においてローラ径の変化がないため、最外周のフッ素樹脂チューブにしわが形成される等の不具合が解消される。
本発明によれば、ウレタンゴムローラのウレタンスポンジ内に液状シリコンを含浸させ、円筒状の金型内で加硫処理を行っているので、ウレタンスポンジの表面は、耐熱性を有する平滑な表面に変換される。この結果、低硬度の加圧ローラが実現される。
本発明による加圧ローラを用いたヒートロール定着装置の構成を示す線図的断面図である。 本発明による加圧ローラの一例を示す線図的断面図である。 本発明によるゴムローラの製造方法の一連の工程を示すフロートチャートである。
図1は本発明による加圧ローラを具えるヒートロール定着装置の一例を示す線図的断面図である。ヒートロール定着装置は、ヒートローラ1と加圧ローラ2とを有する。ヒートローラ1の内部空間にヒータ3を配置し、ヒートローラ1を所定の温度に加熱する。ヒートローラ1と加圧ローラ2とは圧着機構(図示せず)を介して相互に圧接してニップを形成し、このニップを通過する期間中に記録紙4に転写されたトナーを溶融して定着する。ヒートローラ1は、アルミニウムの中空パイプ5を有し、アルミニウムのパイプの外周面全体にわたってフッ素樹脂をコーティングする。
図2は本発明による加圧ローラの一例を示す線図的断面図であり、図2Aはローラの全体を示す線図的断面図、図2Bは加圧ローラの表面領域の構造形態を示す線図的断面図である。本発明による加圧ローラは、金属のシャフト10を有し、シャフトの外周を連泡性の弾性ゴム層11で被覆する。連泡性の弾性ゴム層11として、ウレタンスポンジゴムを用いることができる。ウレタンスポンジは、連泡性であると共に周密なシリコンゴムの硬度と比較して相当低いゴム硬度を有するので、低硬度の加圧ローラの弾性ゴム層として好適である。弾性ゴム層11の外周面には薄いシリコン皮膜12を形成する。本発明によるゴムローラは、ウレタンスポンジに液状シリコンを含浸させ、その後液状シリコンを加硫してシリコン皮膜を形成するので、シリコン皮膜12はウレタンスポンジ11の外周面だけでなく、ウレタンスポンジの内部にまで浸透した皮膜である。シリコン皮膜12の外周面にフッ素樹脂のチューブ13を装着する。尚、フッ素樹脂チューブは加圧ローラとして用いられる場合に装着される。他の用途のゴムローラとして用いられる場合には、使用目的に応じて、シリコン皮膜12の外周面に下地処理を行った後、フッ素ラテックス処理を行うことも可能であり、或いはウレタン樹脂をコーティングすることもできる。
図2Bは、フッ素樹脂チューブ13を取り除いた状態のローラ表面領域の構造を拡大して示す線図である。ウレタンスポンジは連泡性のゴム材料であり、ウレタンスポンジ層11の外周面には無数の凹凸が存在する。従って、ウレタンスポンジ層11の外周面上に直接薄いフッ素樹脂チューブを装着したのでは、ローラの外周面に無数の凹凸が形成され、加圧ローラとして利用することはできない。そこで、本発明では、ウレタンスポンジ層11に液状シリコンを含浸させ、その状態で円筒状の金型内に配置して加硫処理を行う。ウレタンスポンジに液状シリコンを含浸した状態で加硫処理により、液状シリコンはウレタンスポンジの内部に存在するだけでなく、ウレタンスポンジの外周面に存在する凹部内にも充填され、この状態でシリコンゴム皮膜に変成される。この際、シリコン皮膜の外周面は金型の表面精度に対応した平滑な皮膜12が形成される。従って、シリコン皮膜を形成することにより、ウレタンスポンジの凹凸ある表面は、平滑なローラ表面に変換される。平滑なローラ外周面に薄いフッ素樹脂チューブを装着すれば、平滑なローラ表面を有する加圧ローラが実現される。
さらに、ウレタンスポンジの内部に含浸された液状シリコンは、ウレタンスポンジの隔壁表面を被覆した状態で加硫されるので、ウレタンスポンジの隔壁(ゴムの構造体)は、薄いシリコンゴムで被覆された二重構造体に変成され、シリコンの耐熱性を有する連泡性のシリコンゴムとほぼ等価な弾性ゴム層に変換される。この結果、比較的耐熱性の低いウレタンスポンジ層は、シリコンの耐熱性にほぼ匹敵する耐熱性を有する弾性ゴム層11となる。よって、本発明による加圧ローラは、耐熱性が要求され加熱定着装置の加圧ローラとして十分に機能できるものである。
さらに重要なこととして、本発明による加圧ローラの弾性ゴム層11は、連泡性であるため、一方の側面11aから他方の側面11bとの間に空気の流通経路が形成される。この結果、動作中、ヒートローラから熱が伝達されるが、伝達された熱は弾性ゴム層(シリコンにより変成されたウレタンスポンジ)内の空気流通経路を介して外部に排出され、加圧ローラ自体が高温になるのが阻止される。この結果、シリコンゴムで構成される加圧ローラよりも耐熱性が若干低くても熱劣化は発生しにくいものである。
図2は本発明によるゴムローラの製造方法の工程を示すフローチャートである。初めに、中空円筒状のウレタンスポンジチューブを用意し、当該チューブを所定のローラ長に切断する(ステップ1)。
次に、金属のシャフトを用意し、その外周面に接着剤を塗布する。接着剤が塗布されたシャフトを所定長のウレタンスポンジの内周に挿入して連泡性のウレタンゴムローラを製造する(ステップ2)。
次に、ウレタンゴムローラのウレタンスポンジ層内に液状シリコンを含浸させる(ステップ3)。ウレタンスポンジは多数の空孔を有し、各空孔が相互に連通する連泡性ゴム材料であるから、ウレタンスポンジの外周面側から液状シリコンを含浸させることが可能である。液状シリコンを含浸させる方法として、例えばディピング法を用いることができ、或いは塗布ローラを用いてウレタンゴムローラの外周面側から液状シリコンを塗布することにより含浸させることも可能である。尚、液状シリコンとして各種の液状シリコンを用いることができ、室温で加硫するRTV型の液状シリコンや110〜180℃で加硫するLTV型の液状シリコンを用いることができる。
次に、円筒状の金型を用意し、金型内に液状シリコンが含浸されたウレタンゴムローラを装着する。続いて、当該金型をウレタンゴムローラと一体的に高速回転させる(ステップ4)。金型を高速回転することにより遠心力が作用し、ウレタンスポンジ内に含浸された液状シリコンが外周面側に材料移動する。そして、ウレタンスポンジの外周面の凹部内に液状シリコンが充填され、金型の内周面とウレタンスポンジ表面との間に薄い液状シリコンの膜が形成される。この際、気泡が形成されても、液状シリコンの材料移動によりウレタンスポンジの側面を介して外部に排出される。また、ウレタンスポンジの内部において、ウレタンスポンジの隔壁表面に液状シリコンが薄い膜状に残存し、隔壁の表面は液状シリコン膜が形成された状態となる。尚、金型を静止状態に維持し、配置されたウレタンゴムローラだけを高速回転させて液状シリコンを外周面側に材料移動させることも可能である。
次に、加硫処理を行い、液状シリコンをシリコンゴムに変成する(ステップ5)。加硫処理により、ウレタンスポンジの表面と金型の内周面との間に形成された液状シリコン膜はシリコン皮膜に変成され、ウレタンゴムローラは、平滑なローラ表面を有するゴムローラに変換される。同時に、ウレタンスポンジの内部の隔壁表面に存在する液状シリコン膜も加硫されてシリコン皮膜となる。よって、ウレタンスポンジのほぼ全体がシリコン皮膜により被覆されたゴムローラに変成される。この結果、シリコンローラとほぼ匹敵する耐熱性を有するゴムローラが完成する。
最後に、加圧ローラとして用いる場合、フッ素樹脂チューブを装着する。或いは、使用目的に応じて、ウレタンゴムやフッ素ラテックスをコーティングする(ステップ6)。尚、加圧ローラを製造する場合、フッ素樹脂チューブを装着する代わりに、フッ素樹脂ラテックスをコーティングすることも可能である。
本発明は上述した実施例だけに限定されず種々の変形や変更が可能である。上述した実施例では、加熱定着装置としてヒートロール定着装置を用いたが、ベルト定着装置にも適用され、ベルト定着装置に使用される加圧ローラとしても使用することができる。加圧ローラだけでなく、各種搬送ローラや給紙ローラとしても使用することができる。
1 ヒートローラ
2 加圧ローラ
3 ヒーター
4 記録紙
10 シャフト
11 ウレタンスポンジ層
12 シリコン皮膜
13 フッ素樹脂チューブ

Claims (9)

  1. 金属のシャフトと、その外周に形成された連泡性の弾性ゴム層と、前記弾性ゴム層の外周に形成されると共に平滑な外周面を有し、前記連泡性の弾性ゴム層の外周面を平滑なローラ表面に変換するシリコンゴム皮膜とを具えることを特徴とするゴムローラ。
  2. 請求項1に記載のゴムローラにおいて、前記連泡性の弾性ゴム層は、ウレタンスポンジと、ウレタンスポンジの隔壁を被覆するシリコンゴム皮膜との二重構造体により構成されていることを特徴とするゴムローラ。
  3. 請求項2に記載のゴムローラにおいて、前記弾性ゴム層の外周に形成したシリコンゴム皮膜と前記ウレタンスポンジの隔壁を被覆するシリコンゴム皮膜とは、ウレタンスポンジに含浸した液状シリコンを金型内で加硫処理することにより同時に形成されることを特徴とするゴムローラ。
  4. 請求項3に記載のゴムローラにおいて、前記弾性ゴム層の外周に形成されたシリコンゴム皮膜の外周に、フッ素樹脂チューブが装着されていることを特徴とするゴムローラ。
  5. 請求項3に記載のゴムローラにおいて、前記弾性ゴム層の外周に形成されたシリコンゴム皮膜の外周面に、フッ素樹脂ラテックス又はウレタンゴムがコーティングされていることを特徴とするゴムローラ。
  6. 加熱定着装置に用いられるゴムローラであって、金属のシャフトと、その外周に形成された連泡性の弾性ゴム層と、弾性ゴム層の外周に形成されると共に平滑な外周面を有し、前記連泡性の弾性ゴム層の表面を平滑な耐熱性表面に変換するシリコンゴム皮膜とを具え、
    前記連泡性の弾性ゴム層は、ウレタンスポンジと、ウレタンスポンジの隔壁を被覆するシリコンゴム皮膜との二重構造体により構成されることを特徴とするゴムローラ。
  7. 請求項6に記載のゴムローラにおいて、当該ゴムローラは、シリコンゴムの耐熱性にほぼ匹敵する耐熱性を有することを特徴とするゴムローラ。
  8. 請求項6又は7に記載のゴムローラにおいて、前記弾性ゴム層の外周に形成したシリコンゴム皮膜と前記ウレタンスポンジの隔壁を被覆するシリコンゴム皮膜とは、ウレタンスポンジに含浸した液状シリコンを金型内で加硫処理することにより同時に形成されることを特徴とするゴムローラ。
  9. 請求項6、7又は8に記載のゴムローラにおいて、前記弾性ゴム層の外周に形成したシリコンゴム皮膜の外周面にフッ素樹脂チューブが装着されていることを特徴とするゴムローラ。
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