JP2010175208A - 多管式貫流ボイラ - Google Patents

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【課題】熱吸収用フィンの焼損などの不具合が発生することは防止しながら、熱の吸収量をさらに増加する。
【解決手段】中心部を燃焼室10とし、燃焼室の周囲に多数の水管5・6を2重の環状に配置して内側水管列及び外側水管列としておき、まず燃焼室に面している水管を燃焼ガスによって加熱し、その後燃焼ガスを前記内側水管列及び外側水管列の間にできるガス通路9内へ燃焼ガス送るようにしているボイラにおいて、内側水管5の燃焼室10に面している部分と、外側水管6のガス通路9に面している部分には、水管の長手方向に対して垂直方向に延びる熱吸収用フィンを多数段設けており、内側水管の燃焼室に面している部分設けた燃焼室用熱吸収フィン7は、ガス通路9に面している部分に設けたガス通路熱吸収フィン8よりも水管表面からの高さが低く、かつ厚さが厚いものであって、ボイラ起動時におけるボイラ内水位よりも低い位置にのみ設置する。
【選択図】図1

Description

本発明は燃焼室に面している内側水管に熱吸収フィンを設けている多管式貫流ボイラに関するものである。
特許第3413107号公報にあるように、ボイラの中央部に燃焼室を設け、燃焼室周囲には、縦方向に伸びる水管を2列環状に設置した構成の多管式貫流ボイラが広く普及している。このようなボイラでは、隣り合う水管の間を閉塞用フィンで繋ぐことで水管壁としておき、燃焼室内で燃焼を行うことでまず内側水管列の燃焼室に面した側を加熱する。内側水管列と外側水管列の間に燃焼ガス通路を設け、閉塞用フィンは一部を開口しておくことで、内側水管列の閉塞用フィンの無い開口部から燃焼ガス通路へ燃焼ガスが流れ込むようにしておき、燃焼ガス通路を流れる燃焼ガス流によっても水管を加熱するようにしている。
特許第3413107号公報では、燃焼ガス通路に面している水管表面に熱吸収用フィンを設置することで、水管が吸収する熱量を増加させている。水管に熱吸収用フィンを設置すると、燃焼ガス流に乱流を発生させることになり、燃焼ガスに乱流を発生させることで水管との熱伝達の効率が向上するため、水管が吸収する熱量が増加する。また、熱を吸収する面積が増加することでも熱吸収量が増加することになる。特開昭58−12910号公報では、内側水管にも熱吸収用フィンを設けることで燃焼ガスが接触する面積を増やし、熱吸収量を増加することが行われている。この場合、燃焼ガスは熱吸収用フィンの間を抜くようにして流すものであり、乱流の発生ではなく伝熱面積の増加で熱吸収量を増加させるようにしている。
このように、従来から熱吸収量を増加するための工夫が行われてきたが、燃料消費量を削減するために熱吸収効率のさらなる増加が望まれている。しかし、特開昭58−12910号公報に記載のように、熱吸収面積を増加していくと熱吸収量は増加するが、小型高負荷化の進んだ近年のボイラでこのように水管の全周に接続する大型の熱吸収用フィンを設けた場合、熱吸収用フィンが過熱されて焼損が発生するという問題があった。
特許3413107号公報
本発明が解決しようとする課題は、熱吸収用フィンの焼損などの不具合が発生することは防止しながら、熱の吸収量をさらに増加することのできる多管式貫流ボイラを提供することにある。
中心部を燃焼室とし、燃焼室の周囲には上下方向に延びる多数の水管を2重の環状に配置し、内側に配置している内側水管同士と外側に配置している外側水管同士を連結することでそれぞれ内側水管列及び外側水管列としておき、まず内側水管列の燃焼室に面している部分を燃焼ガスによって加熱し、その後燃焼ガスを前記内側水管列及び外側水管列の間にできるガス通路内へ送り、ガス通路内を流動させるようにしているボイラにおいて、
内側水管の燃焼室に面している部分と、外側水管のガス通路に面している部分には、水管の長手方向に対して垂直方向に延びる熱吸収用フィンを多数段設けており、内側水管の燃焼室に面している部分設けた燃焼室用熱吸収フィンは、ガス通路に面している部分に設けたガス通路熱吸収フィンよりも水管表面からの高さが低く、かつ厚さが厚いものであって、ボイラ起動時におけるボイラ内水位よりも低い位置にのみ設置する。燃焼室用熱吸収フィンは、水管表面からの高さが10mm以下、厚さは4.5mm以上とすることが好ましい。
燃焼室に面している水管表面に燃焼室用熱吸収フィンを設けることで、燃焼室内の水管表面に沿って流れている燃焼ガス流に乱流を発生することができ、水管による熱吸収量を増加することができる。燃焼室用熱吸収フィンはガス通路用熱吸収フィンより高さが低く、厚さは厚いものであって、ボイラ起動時の水位より低い位置に設置することで、水管の上部や熱吸収用フィンの部分が過熱されて焼損することを防止することができる。
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施しているボイラの縦断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1の水管部分を抜き出した一部断面図、図4・図5は他の実施例における水管部分を抜き出した一部断面図である。
ボイラは、缶体上部には環状の上部管寄せ1、下部にも環状の下部管寄せ2を設ける。上下の管寄せ間には、多数の垂直水管を2列の環状に配置しており、内外2列の水管列で上下の管寄せを連結している。各垂直水管はすきまを開けて配置しており、内側水管5と外側水管6では、それぞれ隣り合う水管の間を閉塞用フィン4で閉塞することで、水管壁としている。水管列内側のボイラ中心部分には燃焼室10を設け、燃焼室10の上部に燃焼装置3を配置している。内側水管列と外側水管列の間には環状の空間ができており、環状の空間をガス通路9として燃焼ガスが流れるようにしておく。内側水管5と外側水管6のガス通路9に面している部分には、水管表面から水平方向に延びるガス通路用熱吸収フィン8を多数設けておく。熱吸収フィンは内側水管5の燃焼室に面している表面にも設けており、燃焼室側の熱吸収フィンは燃焼室用熱吸収フィン7としている。
内側水管間をつなぐ閉塞用フィン4は、水管途中までの設置とし、内側水管の下部には閉塞用フィン4を設けないことで内側水管の間に開口部を設けている。内側水管列下部の開口部は全周に設けており、燃焼室10の下部に達した燃焼ガスは、放射状に分散して開口部を抜けるようにしている。また、外側水管6に設ける閉塞用フィン4も設置位置は水管途中までとしており、外側水管上部には閉塞用フィンを設けないことで上部の外側水管の間に開口部を設けている。外側水管列上部の開口部も全周に設けているため、ガス通路9の上部に達した燃焼ガスも周方向へ流れる。
ボイラ内では、蒸気とともにボイラ水の沸き上がりが発生し、上部管寄せ1から取り出される蒸気にはボイラ水が含まれているため、蒸気から液体分を分離する気水分離器12を設けており、気水分離器12で分離したボイラ水は下部管寄せ2へ戻すようにしている。ボイラ内の水位は気水分離器12と接続している水位検出装置11にて検出しており、ボイラ内で一定の水位を保つように給水の制御を行う。
水管のガス通路9側に設置するガス通路用熱吸収フィン8は、水管表面からの高さが13mm、厚さが4mmのものを多数段設置する。内側水管5に設置する燃焼室用熱吸収フィン7は、ボイラ起動時の水位よりも低い位置に設ける。燃焼室用熱吸収フィン7は、水管表面からの高さが10mm以下、厚さが4.5mm以上のように、ガス通路用熱吸収フィン8よりも水管表面からの高さが低く、厚さが厚いものを使用する。

これは、ガス通路9部分を流れる燃焼ガス流は、内側水管5との熱交換を行うことで温度の低下したもの、燃焼室内を流れる燃焼ガス流は、燃焼装置3で燃焼を行うことで非常に高温となった燃焼ガスがそのまま流れるためである。ガス通路9での燃焼ガスは熱吸収用フィンを焼損させ難いものため、ガス通路用熱吸収フィン8は伝熱効率を重視したものを使用するが、燃焼室用熱吸収フィン7は焼損し難いものとする必要がある。また、燃焼室用熱吸収フィン7が水管の全周にわたるものであった場合には、燃焼ガスは水管表面から離れた部分を流れ、燃焼室用熱吸収フィンのみを強く加熱することになるため、燃焼室用熱吸収フィンの円周方向の角度θは45°よりも小さくすることで、燃焼室用熱吸収フィン7と閉塞用フィン4の間にフィンのない部分が存在するようにしている。なお、燃焼室用熱吸収フィン7は図2・図3では扇紙形状としているが、図4のようにピン形状とするなど別の形状としてもよく、図5のように熱吸収用フィンの厚さが高さより大きなものであってもよい。
燃焼装置3で燃焼を行うと、燃焼室10内で高温の燃焼ガスが発生する。燃焼ガスは、まず内側水管5の燃焼室10に面している部分を加熱する。燃焼ガスは内側水管5の表面に沿って下方へ向けて流れ、その際に内側水管5の燃焼室に面している部分を加熱する。内側水管5は表面に燃焼室用熱吸収フィン7を設けているため、内側水管5の燃焼室側表面に沿って下向きに流れる燃焼ガスは乱流を発生しながら流れる。燃焼ガス流に乱流が発生すると、燃焼ガスから水管への伝熱効率が高くなるため、内側水管5へ効率よく熱を伝えることができる。内側水管5の表面は燃焼室用熱吸収フィン7を設けているものであるため、たんに内側水管の表面を加工することによって凹凸を設けている場合に比べて、より効果的に乱流を発生することができる。
燃焼ガスが燃焼室10の下部に達すると、内側水管列の下部には開口部を設けているため、燃焼ガスは内側水管列下部の開口部を抜けてガス通路9内に入る。ガス通路9の出口は外側水管列の上部であるため、ガス通路9内に入った燃焼ガスは、ガス通路9内を上向きの流れとなって流れていく。ガス通路9内に入った燃焼ガスは、それまでの熱交換によって温度が低下しているが、内側水管5と外側水管6のガス通路9に面している部分には、多数のガス通路用熱吸収フィン8を設けているため、ガス通路9でも燃焼ガス流に乱流が発生し、燃焼ガスと水管の間で盛んに熱交換が行われる。
燃焼室10内での燃焼ガスは、燃焼装置3で燃焼を行った直後の非常に温度の高い燃焼ガスであるため、内側水管5の燃焼室10に面している部分では高い熱負荷を受ける。燃焼室内の燃焼ガスとガス通路での燃焼ガスでは温度条件が異なるため、ガス通路9に設ける場合と同じように燃焼室内に熱吸収用フィンを設置すると、燃焼室内の熱吸収用フィンに焼損等の不具合が発生するおそれがある。そのため、燃焼室10内に設ける熱吸収用フィンには、高さが10mm以下であって、厚さは4.5mm以上のものを使用するようにしている。そして、内側水管5に設ける燃焼室用熱吸収フィン7の設置位置は、ボイラ起動時の水位より低い位置のみとし、ボイラ起動時の水位より高い位置には設置しないでおく。
内側水管5のボイラ起動水位より高い部分では、ボイラ起動時には水管の内側表面にボイラ水がないため、水管からボイラ水への熱伝達が滞ることになる。そのため、燃焼室用熱吸収フィン7を内側水管5の上部にまで設置していると、燃焼室用熱吸収フィン7が吸収した熱は水管部分に蓄積され、水管が過熱されることになって燃焼室用熱吸収フィン7が焼損するということになる。
本発明での燃焼室用熱吸収フィン7は、高さを低くし、厚さを厚くしたうえで、設置位置はボイラ起動時の水位より低い位置としており、燃焼室用熱吸収フィン7が吸収した熱は速やかに内側水管5内のボイラ水に伝えられるようにしているため、内側水管部分の過熱を防止することができ、燃焼室用熱吸収フィンの焼損を防止できる。
本発明を実施しているボイラの概要を示した縦断面図 図1のA−A断面図 図1の水管部分を抜き出して拡大した一部断面図 第二の実施例における水管部分を抜き出して拡大した一部断面図 第三の実施例における水管部分を抜き出して拡大した一部断面図
1 上部管寄せ
2 下部管寄せ
3 燃焼装置
4 閉塞用フィン
5 内側水管
6 外側水管
7 燃焼室用熱吸収フィン
8 ガス通路用熱吸収フィン
9 ガス通路
10 燃焼室
11 水位検出装置
12 気水分離器

Claims (2)

  1. 中心部を燃焼室とし、燃焼室の周囲には上下方向に延びる多数の水管を2重の環状に配置し、内側に配置している内側水管同士と外側に配置している外側水管同士を連結することでそれぞれ内側水管列及び外側水管列としておき、まず内側水管列の燃焼室に面している部分を燃焼ガスによって加熱し、その後燃焼ガスを前記内側水管列及び外側水管列の間にできるガス通路内へ送り、ガス通路内を流動させるようにしているボイラにおいて、内側水管の燃焼室に面している部分と、外側水管のガス通路に面している部分には、水管の長手方向に対して垂直方向に延びる熱吸収用フィンを多数段設けており、内側水管の燃焼室に面している部分設けた燃焼室用熱吸収フィンは、ガス通路に面している部分に設けたガス通路熱吸収フィンよりも水管表面からの高さが低く、かつ厚さが厚いものであって、ボイラ起動時におけるボイラ内水位よりも低い位置にのみ設置していることを特徴とする多管式貫流ボイラ。
  2. 請求項1に記載の多管式貫流ボイラにおいて、燃焼室用熱吸収フィンは、水管表面からの高さが10mm以下、厚さを4.5mm以上としていることを特徴とする多管式貫流ボイラ。
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