JP2010167348A - 放電装置及び放電方法 - Google Patents

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雄二 麻生
Katsunori Ishii
克典 石井
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Abstract

【課題】電源の大型化を必要とせずに、設計の自由度が高い、気相および液相の浄化や改質を可能とした放電装置及び放電方法を提供する。
【解決手段】パルス電源101と、前記パルス電源101の端部に接続された一対の電極102,103とを有し、前記電極のうち一方の電極102の少なくとも一部の領域が誘電体105で覆われてなる放電装置100であって、前記誘電体105と前記他方の電極103との間に、前記誘電体105に液面が接するように液体を介在させ、前記一方の電極102が第一の平面を、前記一方の電極102が備えている複数の突出部を前記複数の突出部の一方を第一の点、他方を第二の点と定め、前記第一の点から前記他方の電極103までの最短距離である第一距離と、前記第二の点から前記他方の電極までの最短距離である第二距離とが異なるよう、前記一対の電極102,103を配置させ、パルス電圧を印加することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、設計の自由度が高い、気相および液相の浄化や改質を可能とした放電装置及び放電方法に関する。
従来から、高電圧を電極間に印加して、水中で発生させた放電を利用して水の改質を行う技術が知られている(例えば、特許文献1乃至特許文献2参照)。
特許文献1に記載の水の改質装置は、水溶液中において2個の電極間にパルス電界を発生させて生じる水中放電により水溶液を処理するようになっている。具体的には、少なくとも1個の電極を誘電材料層で被覆し、この装置の作動中誘電材料によって少なくとも1個の電極を水溶液から完全に隔離する。これによって、従来の水中放電装置において許容できる電界強度よりも高い電界強度の使用を可能にし、水の改質を行うようになっている。
特許文献2に記載の水の改質装置は、水中での放電によりこの水を改質するようになっており、その具体的な構成として、放電容器内の水に非接触状態で対向配置された電極に正負反転の非対称な波形を有する交流パルス電圧を印加し、電位反転の際に誘起されて放電容器内に発生する電場により水中放電を行うようになっている。そして、この構成によって水の改質を行うようになっている。
特表2001−507274号公報(10−11頁、Fig.1) 特開2001−9463号公報(4−5頁、図1)
特許文献1に記載の技術は水中放電の技術であり、印加する電圧をパルス波形の先行する一方の極性の持続時間を水分子の双極子モーメントの応答に合わせて比較的長く、それに続く他方の極性への反転時間を分極磁場の保存のため、比較的短い時間で急峻に変化するような非対称波形にすることが必要である。したがって、原理的には電極の単位面積あたりの水中放電量を効率良く発生させようとすると、電場が均一に存在する必要があり、一対の電極はそれぞれの平面が平行でなければならない。例えば、一対の電極のそれぞれの平面が非平行な場合には、電場が不均一(密な部分と疎な部分が発生する)になり、広範囲に水中放電が発生せず、エネルギーの熱損失が発生する可能性がある。最悪の場合には水中放電が発生しなくなる可能性がある。
また、特許文献2に関しても同様に電極の単位面積あたりの水中放電量を効率良く発生させようとすると、電場が均一に存在する必要がある。そのため、電極に複数の突出部を備え、それらが同電場になるよう、電極上の複数の突出部のそれぞれから他方の電極までの最短距離を等距離としている。例えば、電極上の複数の突出部のうち1点のみ他方の電極までの距離が短い場合には、その点での水中放電が発生し、その他の突出部では電場が不均一なために水中放電が発生しなくなる可能性がある。最悪の場合には全ての点で水中放電が発生しなくなる可能性がある。
すなわち、従来技術では電極の設置位置や形状に制限がかかり、放電装置の大型化や複雑化を必要とするため、製品化する際の汎用性に欠けていた。
本発明の目的は、電源の大型化を必要とせずに、設計の自由度が高い、気相および液相の浄化や改質を可能とした放電装置及び放電方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の放電装置は、
パルス電源と、
前記パルス電源の端部に接続された一対の電極とを有し、
前記電極のうち一方の電極の少なくとも一部の領域が誘電体で覆われてなる放電装置であって、
前記誘電体と前記他方の電極との間に、
前記誘電体に液面が接するように液体を介在させ、
前記一方の電極が第一の平面を、前記他方の電極が第二の平面を備えている場合は、
前記第一の平面と前記第二の平面とが非平行となるよう、
前記一対の電極を配置させ、
前記一方の電極が複数の突出部を備えている場合は、
前記複数の突出部の一方を第一の点、他方を第二の点と定め、
前記第一の点から前記他方の電極までの最短距離である第一距離と、
前記第二の点から前記他方の電極までの最短距離である第二距離とが異なるよう、
前記一対の電極を配置させ、
前記一対の電極間に、
パルス電圧を印加する
ことを特徴としている。
また、本発明の放電方法は、
パルス電源と、
前記パルス電源の端部に接続された一対の電極とを有し、
前記一対の電極ののうち一方の少なくとも一部の領域が誘電体で覆われてなる放電装置を用いた放電方法であって、
前記双方の誘電体に液面が接するように液体を介在させ、
前記一方の電極が第一の平面を、前記他方の電極が第二の平面を備えている場合は、
前記第一の平面と前記第二の平面とが非平行となるよう、
前記一対の電極を配置させ、
前記一方の電極が複数の突出部を備えている場合は、
前記複数の突出部の一方を第一の点、他方を第二の点と定め、
前記第一の点から前記他方の電極までの最短距離である第一距離と、
前記第二の点から前記他方の電極までの最短距離である第二距離とが異なるよう、
前記一対の電極を配置させ、
前記一対の電極間に、
パルス電圧を印加する
ことを特徴としている。
また、本発明の放電装置の他の態様は、
パルス電源と、
前記パルス電源の端部に接続された一対の電極とを有し、
前記一対の電極の少なくとも一部の領域が誘電体で覆われてなる放電装置であって、
前記誘電体同士の間に、誘電体が液面に接するように液体を介在させ、
前記一方の電極が第一の平面を、前記他方の電極が第二の平面を備えている場合は、
前記第一の平面と前記第二の平面とが非平行となるよう、
前記一対の電極を配置させ、
前記一方の電極が複数の突出部を備えている場合は、
前記複数の突出部の一方を第一の点、他方を第二の点と定め、
前記第一の点から前記他方の電極までの最短距離である第一距離と、
前記第二の点から前記他方の電極までの最短距離である第二距離とが異なるよう、
前記一対の電極を配置させ、
前記一対の電極間に、
パルス電圧を印加する
ことを特徴としている。
また、本発明の放電方法の他の態様は、
パルス電源と、
前記パルス電源の端部に接続された一対の電極とを有し、
前記一対の電極の少なくとも一部の領域が誘電体で覆われてなる放電装置を用いた放電方法であって、
前記誘電体同士の間に、誘電体が液面に接するように液体を介在させ、
前記一方の電極が第一の平面を、前記他方の電極が第二の平面を備えている場合は、
前記第一の平面と前記第二の平面とが非平行となるよう、
前記一対の電極を配置させ、
前記一方の電極が複数の突出部を備えている場合は、
前記複数の突出部の一方を第一の点、他方を第二の点と定め、
前記第一の点から前記他方の電極までの最短距離である第一距離と、
前記第二の点から前記他方の電極までの最短距離である第二距離とが異なるよう、
前記一対の電極を配置させ、
前記一対の電極間に、
パルス電圧を印加する
ことを特徴としている。
本発明によると、装置の大型化を必要とせずに、様々な放電装置の形状や電極の形状・設置位置でも、液体と誘電体(固相)との間の気相で放電を発生させて、気相、液相、又は固相の浄化や改質を可能とした放電装置及び放電方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る放電装置の概略的な構成を示す概念図である。 図1に示した放電装置の作用を説明する概念図である。 図1に示した放電装置の第1変形例を示す図1に対応する概念図である。 図1に示した放電装置の第2変形例を示す図1に対応する側方断面図である。 図1に示した放電装置の第3変形例を示す図1に対応する平面図(図5(a))及び側方断面図(図5(b))である。 本発明の第2の実施形態に係る放電装置の概略的な構成を示す概念図である。 図6に示した放電装置の第1変形例を示す概念図である。 図6に示した放電装置の第2変形例を示す側方断面図である。 図6に示した放電装置の第3変形例を示す平面図(図9(a))及び側方断面図(図9(b))である。 図9に示した第3変形例の更なる変形例を示す平面図(図10(a))及び側方断面図(図10(b))である。 図6に示した放電装置の第4変形例を示す端面図(図11(a))及び斜視図(図11(b))である。 図11に示した第4変形例の更なる変形例を示す端面図である。 図6に示した放電装置の第5変形例を示す側方断面図である。 図6に示した放電装置の第6変形例を示す側方断面図である。 図14に示した第6変形例の更なる変形例を示す側方断面図である。 図6に示した放電装置の第7変形例を示す側方断面図である。 図16に示した第7変形例の更なる変形例を示す側方断面図である。 本発明に係る放電装置のその他の変形例を示す側方断面図である。 本発明に係る放電装置のその他の変形例を示す側方断面図(図19(a))及び上面図(図19(b))である。 本発明に係る放電装置のその他の変形例を示す上面図である。 本発明の有用性を立証するための第1変形例の評価試験結果である。 本発明の有用性を立証するための第2変形例の評価試験結果である。
以下、本発明の各実施形態及びその実施例に係る放電装置及び放電方法について図面に基づいて説明する。ここで、図1は、本発明の第1の実施形態に係る放電装置の概略的な構成を示す概念図であり、図2は図1に示した放電装置の作用を説明するための概念図である。なお、これらの図においては、構成の理解の容易化を図るために断面ハッチングを省略している(以下、他の図も同様とする)。
本発明の第1の実施形態に係る放電装置100は、パルス電源101と、パルス電源101の各端部に接続された円弧状の電極102と板状の電極103の電極として作用する平面を非平行(それぞれの平面を無限遠に広げた場合に一部でも平面同士が交わる部分があること)に設置し、これら電極102,103のうち、一方の電極102の全表面が誘電体105で覆われ、この誘電体105と他方の電極103との間に一塊の液体として水Wが介在している。そして、パルス電源101を介して各電極102,103に印加される電圧によって、水Wが電極103と同電位になり、電極102との間に電位差が生じるため、誘電体105と水Wの水面とが接する部分において誘電体105と水Wとの間をその周囲の空気Aを介して放電させるようになっている(図1の点線で示す放電AD(Atmospheric discharge)参照)。なお、パルス電源101には、高圧パルス電源が用いられている。
このように、誘電体105と水W間の角度を大きくすることにより、放電により生成されるミストの拡散範囲が広くなる。そのため、空気Aに届けられるミストの量が増加する。また、一対の電極はどんな曲率でも良く、例えば本装置を他の装置に組み込む場合において、形状の自由度が高い。
ここで、本発明で使用する形状に関する語句の説明を行なう。
(電極が非平行)
それぞれの電極が平面を有している場合は、それぞれの平面を無限遠に広げた場合に一部でも平面同士が交わる部分があることを、電極が非平行であるとする。ただし、それぞれの電極が平面を成し、それらが同一平面上に存在している場合は、それぞれの電極は平行であるとする。また、一方の電極が複数の突出部を有している場合は、それぞれの突出部と他方の電極との距離が一部でも同一でないことを、電極が非平行であるとする。
(電極が非対向)
それぞれの電極において、一方の電極の面の法線ベクトルと、他方の電極の面の法線ベクトルとが交わらない、あるいは重ならないない部分を有することを、電極が非対向であるとする。
水Wは純水に限らず、水道水、汚水等どのような水でも良い。また、水以外の液体でも良い。空気Aも同様に、純空気に限らず、臭気物質や汚染物質、水蒸気を含んだ空気でも良く、また、空気以外の気体でも良い。なお、図1及び図2は本発明の本質的構成を示す概念図であるため、一方の円弧上の電極102を覆う誘電体105と他方の板状の電極103との間に一塊の水Wを図示するように介在させる具体的手段については示していないが、これを具体化した態様については第1の実施形態の後述する変形例で明らかにする。
続いて、このような構成を有する放電装置100を用いた放電方法について説明する。この放電方法を実施するに当って、最初に放電装置100のパルス電源101を介して各電極間にパルス電圧を印加する。これによって、一方の円弧上の電極102を覆った誘電体105と水Wの水面とが接する部分において、図2に示すように、この接する部分の周囲の空気Aを介して放電が生じる(図2の点線で示す放電AD参照)。この放電により、例えば気体が空気や酸素の場合、酸素の一部がオゾン(O)や酸素原子(O)、スーパーオキサイドアニオン(O )等反応性に富んだ物質(活性種と呼ぶ)になる。また、液体が水の場合、それらの活性種が水と反応したり、或いは水分子が直接放電の作用を受け、ヒドロキシラジカル(・OH)や過酸化水素(H)等の活性種も生成される。それらの活性種は気相に漂ったり、液相に溶け込んだりして、気相、液相の物質を酸化(分解)や殺菌をし、気相、液相の浄化、改質が可能となると考えられる。特に、誘電体(固相)が放電の作用を直接受けたり、気相や液相で生成した活性種により、付着している物質(例えば汚れ)が除去(浄化)されたり、表面が親水化等の改質をされると考えられる。また、気相や液相に含まれている臭気物質や汚染物質、黴菌が放電の作用を直接受け、他の物質に変化したり、殺菌をし、気相、液相の浄化、改質が行われることもあると考えられる。
また、この放電により、ヒドロキシラジカル(・OH)や過酸化水素(H)等の活性種を含むミストが生成される(図2の点線で示す放電AD部の周辺参照)。それらのミストが気相を漂うことにより、気相の黴菌が殺菌される。また、ミストが活性種を含むため、気相の臭気物質も変質されると考えられる。
また、気体が空気の場合、放電により窒素酸化物(NOx)が生成し、それらが液(水)に溶け込むことで硝酸(HNO)になり、水が酸性水になる(水のpHが下がる)効果も期待できる。
気相が空気、液相が水以外の場合でも、それらを形成する分子が放電により解離され、反応性に富んだ物質(例えばラジカル)となり、気相、液相の浄化、改質が可能となる。
また、水に浸した電極103から放電することはないので、電極表面の腐食や消耗、それに伴う液体への溶解(液体の汚染)を避けることができる。
このように、電極の表面を誘電体で被覆することにより、放電による電極の劣化を防ぐことができ、一対の電極を非平行に設置しているため、放電により生成されるミストの拡散範囲が広くなる。そのため、生成されるミストの量が増加する。
また、このように、1つのデバイスで活性種を生成し、ミストとして飛散させることができるため、装置の小型化が可能になり、部品点数が少なくて済むため、メンテナンス性も向上する。
さらに、電極や誘電体の形状が単純で良いため、防汚性及び清掃性が高い。
また、電極の表面を誘電体で被覆するため、放電による電極の劣化が生じず、殺菌ミスト生成能力の劣化が生じない。
続いて、上述した第1の実施形態に係る放電装置100の第1変形例について説明する。図3は、図1に示した放電装置100の第1変形例に係る放電装置110を概略的に示す概念図である。なお、上述の第1の実施形態に係る放電装置100と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。また、この変形例に係る放電装置110の各構成要素の材質等については、上述の第1の実施形態に係る放電装置100と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
この第1変形例に係る放電装置110は、第1の実施形態に係る放電装置100とは異なり、一方の円弧上の電極112が誘電体115で全体的に覆われておらず、他方の板状の電極113と対向する面であってその両端部を除く領域のみが誘電体115で覆われている。そして、この一方の電極112の誘電体115と他方の電極113との間に一塊の水Wが介在している。なお、この変形例においても水Wを電極間に介在させる具体的手段については図示省略する。
このような一方の電極112を全て誘電体115で覆わず、液面が接する部分だけを覆う簡単な構成によっても第1の実施形態に係る放電装置100と同等の作用効果を生じる。
具体的には、高圧パルス電源からなるパルス電源111を介して放電装置110の各電極112,113にパルス電圧を印加することで、一方の電極112の一部を覆う誘電体115と水Wの水面とが接する部分において誘電体115との水Wとの間に空気Aを介して放電を生じさせ(図3における点線で示す放電AD参照)、第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。
続いて、本発明の第1の実施形態の第2変形例について説明する。図4は図1に示した放電装置100の第2変形例に係る放電装置120を概略的に示す側方断面図であり、図1に比べてより実際の使用形態に近づけた構成を示している。なお、上述の第1の実施形態及びその第1変形例に係る放電装置100,110と同等の構成については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この第2変形例に係る放電装置120は、第1の実施形態に係る放電装置100をより実際の使用態様に適した形で具現化した変形例である。この第2変形例に係る放電装置120は、水Wが容器124内に溜められ、誘電体125で覆われた一方の電極122の一部と、誘電体で周囲が覆われていない他方の電極123の一部が水Wに浸されている。第2変形例に係る放電装置120がこのような構成を有していても、上述した第1の実施形態及びその第1の変形例と同等の作用効果を発揮することができる。
具体的には、高圧パルス電源からなるパルス電源121を介して各電極122,123にパルス電圧を印加することで、一方の電極122の一部を覆う誘電体125と水Wの水面とが接する部分において誘電体125との水Wとの間に空気Aを介して放電を生じさせる(図4における点線で示す放電AD参照)。この放電によって、第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、このような作用効果に加えて、水面に接した空気Aに漂っている活性種によって容器124の水面から突出した容器内壁124aの酸化や殺菌が行われ、容器内壁124aを浄化や改質することができる。また、水中に溶け込んだ活性種やHNOにより水中の容器内壁124bを酸化や殺菌して、容器内壁124bも浄化や改質をされることが期待できる。その結果、この変形例による放電装置120を用いることで、容器内124の水Wや空気A、誘電体125の改質や浄化を行うだけでなく、容器内壁124a,124bの容器内壁の浄化も期待できる。
続いて、本発明の第1の実施形態の第3変形例について説明する。図5は、図1に示した片側のみ誘電体で被覆する放電装置の第3変形例を概略的に示す放電装置130で、図5(a)は装置上面図、図5(b)は装置側方断面図であり、図1に比べてより実際の使用形態に近づけた構成を示している。なお、上述の実施形態及びその各種変形例と同等の構成については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この第3変形例に係る放電装置130は、具体的には、円筒状の電極容器133内に水Wを入れ、外周を誘電体134を被覆した直方体電極132を水Wに入れる。この場合も、円筒状の電極133と直方体電極132は非平行となる。そして、高電圧パルスを一対の電極132,133に印加することにより、誘電体134と水Wの間の空気Aを介して放電が生じる(図5における点線で示す放電AD参照)。
このような構成によって、容器134の周囲と水Wの水面とが接する部分で空気Aを介して放電するため、上述した容器内の水Wや空気A、誘電体134、即ち反応容器内部の改質、浄化が可能となる。
続いて、本発明の第2の実施形態に係る放電装置について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る放電装置200の概略的な構成を示す概念図である。なお、上述の実施形態及びその各変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。この第2の実施形態に係る放電装置200は、図1に示した第1の実施形態に係る放電装置100と基本的構成が共通するが、高圧パルス電源からなるパルス電源201の両端に接続された電極202,203の双方が誘電体205,206で完全に覆われている点で構成が異なっている。なお、図6は本発明の本質的構成を示す概念図であるため、誘電体205と誘電体206との間に一塊の水Wを図示するように介在させる具体的手段については示していないが、これを具体化した態様については第2の実施形態の後述する変形例で明らかにする。
このように電極202,203をそれぞれ誘電体205,206で覆うことで、パルス電源201の両端に接続された各電極202,203にパルス電圧を印加すると、水Wの電位が電極202と203の間の電位となり、電極202と水Wとの間、及び電極203と水Wとの間に電位差が生じるため、各誘電体205,206と水Wの水面とが接する部分において誘電体205,206と水Wとの間で空気Aを介して放電を生じさせる(図6の点線で示す放電AD参照)。
第2の実施形態に係る放電装置200がこのような構成を有することで、水Wと誘電体205,206との間であって空気Aを介して生じる放電の箇所をより増やすことができ、短時間の放電によってより多くの活性種を発生させ、それらにより、或いは放電により直接、液相、気相、固相の浄化、改質を行うことができ、より効率良く浄化、改質を進めることができる。
続いて、第2の実施形態の第1変形例に係る放電装置について説明する。図7は、図6に示した放電装置200の第1変形例に係る放電装置210を概略的に示す概念図である。なお、上述の第1及び第2の実施形態並びに第1の実施形態の各種変形例に係る放電装置と同等の構成については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。また、この変形例においても一塊の水Wを電極間に介在させる具体的手段については図示省略する。
この第1変形例に係る放電装置210は、図3に示す第1の実施形態の第1変形例に係る放電装置110に対応した構成を有しているが、双方の電極212,213の一部にそれぞれ誘電体215,216が密着した状態で備わり、各誘電体間に一塊の水Wが介在する構成を有することで第1の実施形態の第1変形例110と構成が異なっている。この第1変形例に係る放電装置210によっても、上述した第2の実施形態に係る放電装置200と同様に2つの誘電体215,216と水Wの水面とが接する部分で両者間に空気Aを介してより広い領域で放電(図7の点線で示す放電AD参照)を生じさせることができるので、液相、気相、固相の浄化、改質をより効率良く進めることができる。
続いて、第2の実施形態の第2変形例に係る放電装置について説明する。図8は、図6に示した放電装置200の第2変形例に係る放電装置220を示す側方断面図であり、図6に比べてより実際の使用形態に近づけた構成を示している。なお、この変形例に係る放電装置220は、上述の第1の実施形態の第2変形例に係る放電装置120に対応した構成を有しているので、同等の構成については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この第2の実施形態の第2変形例に係る放電装置220は、第1の実施形態の第2変形例に係る放電装置120とは異なり、双方の電極222,223が誘電体225,226で覆われ、この双方の誘電体225,226の一部がそれぞれ容器224に溜まった水Wに浸されている。この第2変形例に係る放電装置220がこのような構成を有することで、上述の第2の実施形態及びその第1変形例に係る放電装置200,210と同様に、誘電体225,226と水Wの水面とが接する部分で空気Aを介して生じさせる放電の領域を広めることができ(図8における点線で示す放電AD参照)、第1の実施形態の第2変形例に係る放電装置120に比べて液相、気相、固相の浄化、改質をより効率良く進めることができる。
続いて、第2の実施形態の第3変形例に係る放電装置について説明する。図9は、図6に示した一対の電極を誘電体で被覆した放電装置200の第3変形例230を示す図であり、図6に比べてより実際の使用形態に近づけた構成を示している。そして、図9(a)が装置上面図、図9(b)が装置側方断面図である。なお、上述の第1、第2実施形態及びその各種変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この第3変形例に係る放電装置230は、図9(b)に示すように高圧パルス電源からなるパルス電源231の両端に接続された円弧状電極232,233が、誘電体からなる円筒状容器234の側壁外側であって周方向に端部232a,233a(図9(a)参照)が互いに若干離間した位置に密着させて一対の電極が非平行に取り付けられている。端部232aと233aの間は、電極232と233の間で沿面放電が発生するのを防ぐために、絶縁体236で絶縁している。なお、端部232aと233aが十分離れている場合等、電極232と233の間で沿面放電が起こらない場合は、絶縁体236は必ずしも必要ではない。また、人等が電極に接触する危険を防ぐために、電極232と233の外周全体を絶縁体で覆っても良い。
この第3変形例に係る放電装置230の各電極232,233が容器周方向をそれぞれ半分程度覆う構成を有することで、図9(a)の放電ADに示すように容器内壁234aの水Wの水面とが接する部分全体に亘って放電を生じさせることができるようになる。これによって、容器内の広い領域に亘って放電を生じさせることができるようになるので、液相、気相、固相、即ち反応容器内部の浄化、改質をより効率良く進めることができる。
続いて、上述した第2の実施形態の第3変形例の更なる変形例について説明する。なお、この第3変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。この更なる変形例に係る放電装置230’は、上述した図9に示す第3変形例の放電装置230と基本的構成が共通するが、ここでは詳細には示さない傾斜アクチュエータを特別に有しており、図10(b)に示すように一方の電極232’に対応する容器内壁部の接水面積が他方の電極233’に対応する容器内壁部の接水面積より小さくなるようにしている。
本発明では液相を電極とみなすことができ、液相と電極の間の誘電体をコンデンサとみなすことができる。図10のように容器234’を積極的に傾けることで、一方の電極232’と水Wとの間で形成されるコンデンサの静電容量が、他方の電極233’と水Wとの間で形成されるコンデンサの静電容量よりも小さくなる。これによって、静電容量の小さい一方の電極232’側で水Wとの電位差を大きくできるので、電極232’側で容器内壁と水Wの接触する部分の近傍であって容器234’と水Wの水面とが接する部分に空気Aを介して放電を生じさせることができる(図10(a),(b)の放電AD参照)。
その結果、各電極232’,233’が接続されるパルス電源231’の電圧を上述した第2の実施形態及びその変形例のように高くしなくて済む。即ち、第1の実施形態及びその各変形例に係る放電装置のパルス電源と同程度のパルス電源で放電を生じさせることができるようになる。
続いて、上述した第2の実施形態の第4変形例について説明する。図11は、図6に示した放電装置200の第4変形例に係る放電装置240を示し、図11(a)が放電装置240の管路長手方向から見た端面図、図11(b)が放電装置240の斜視図である。なお、上述した各実施形態及びその各種変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この第4変形例に係る放電装置240は、上述した各放電装置とは異なり、誘電体でできた管路244と、管路244の側方外周壁244aであって管路半径方向にそれぞれ対向して密着状態で取り付けられた2つの電極242,243と、電極242,243にパルス電圧を印加する高圧パルス電源からなるパルス電源241を備えている。そして、パルス電源241を介して電極242,243にパルス電圧を印加することで、図11(a)に示すように各電極242,243に対応する管路244と流れている水Wの水面とが接する部分に空気Aを介して放電を生じさせる(図10(a)における放電AD参照)。
誘電体からなる管路244は、図11(b)に示すように、一方から水Wが流入し、他方に水Wが流出するようになっているので、この放電によって生じる活性種によって、或いは放電により直接、流れている液相、気相、固相即ち管路244の内壁の浄化、改質をすることができる。
この第2の実施例の第4変形例に係る放電装置240と第3変形例230の装置構成からわかるように、一対の電極間に一塊の液体が存在すれば、縦置き,横置き,斜め置きに設置しても、また水位が変化しても、液相、気相、固相の浄化や改質を行なうことができる。一対の電極を円筒状の容器に平行に設置しようとすると、電極の面積が極端に小さくなり、気相・液相・固相の浄化、改質の効率が低下する。よって、円筒状・管状の容器に一対の電極を平行に取り付けつつ、処理効率を維持することはできない。また、図11のように、一対の電極が非平行(円弧状)なため、一般的な配管で起こりうる水位の変化に対応できる。
続いて、上述した第2の実施形態の第4変形例に係る放電装置240の更なる変形例に係る放電装置240’について説明する。図12は、図11に示した第4変形例の更なる変形例に係る放電装置240’を示す図11(a)に対応する端面図である。この更なる変形例に係る放電装置240’について第4の実施形態に係る放電装置240と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この更なる変形例に係る放電装置240’は、図10に示した第3変形例に係る放電装置240と基本的に同等の構成を有するが、図10に示す第3変形例の更なる変形例と同様に特別なアクチュエータを備えている。このアクチュエータは、図12では詳細には示さないが、管路244’を軸線廻りに回転させる回転アクチュエータであり、この回転アクチュエータで管路244’の外周壁に密着した一方の電極242’に対応する管路244’の接水面積を他方の電極243’に対応する管路244’の接水面積よりも小さくさせる。
この回転アクチュエータの作用によって、一方の電極242’と水Wとの間に形成されるコンデンサの静電容量が他方の電極243’と水Wとの間で形成されるコンデンサの静電容量よりもかなり小さくなる。これによって、一方の電極242’と水Wとの電位差を大きくできるので、電極242’に対応する管路244’と水Wの水面とが接する部分において空気Aを介して放電が起こり易くなる(図12における放電AD参照)。
この更なる変形例がこのような構成を有することで、上述した第2の実施形態の第3変形例の更なる変形例と同様に第1の実施形態及びその変形例に用いたパルス電源と同程度の小型のパルス電源で放電を効率的に起こさせることができる。
続いて、上述した第2実施形態の第5変形例について説明する。図13は、図11に示した一対の電極に誘電体を被覆した放電装置240の第5変形例に係る放電装置250を示す。なお、上述した各実施形態及びその各種変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この第5変形例に係る放電装置250は、基本構成は図9の第2の実施形態の第3変形例230と基本的に同等であるが、高圧パルス電源からなるパルス電源261の両端に接続された円弧状の電極252,253を誘電体からなる容器254の側壁内側に有しており、一対の電極上の誘電体に一塊の水Wが接するように容器255内に水Wを介在させる。すなわち、一対の電極の作用する面が非対向に設置されている構成となっている。
これによって、図9の第2の実施形態の第3変形例230と同等の効果を得ることが出来る。また、この場合も、一対の電極間に一塊の水Wが存在すれば、縦置き,横置き,斜め置きに設置しても、また水位が変化しても、液相、気相、固相の浄化や改質を行なうことができる。このように、容器255に投げ込む形の電極でも、非平行に設置することができ、放電により生成されるミストの拡散範囲が広くなる。すなわち、空気Aに届けるミスト量を増加することができる。
続いて、第2実施形態の第6変形例について説明する。図14は、図6に示した放電装置200の第5変形例に係る放電装置260を示す。なお、上述した各実施形態及びその各種変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この第6変形例に係る放電装置260は、高圧パルス電源からなるパルス電源261の両端に接続された板状の電極262,263を誘電体からなるV字型の容器264の側壁外側に一対の電極が非平行になるようにそれぞれ有しており、一対の電極と接する誘電体に一塊の水Wが接するように容器264内に水Wを介在させる。
これによって、V字型の様な水量が極端に少なくなった場合でも一塊の水Wを形成できる容器においても効率良く電極を設置することができる。図9の第2の実施形態の第3変形例230と同等の効果を得ることが出来る。また、この場合も、一対の電極間に一塊の水Wが存在すれば、三角柱の形状として縦置き,横置き,斜め置きに設置しても、また水位が変化しても、液相、気相、固相の浄化や改質を行なうことができる。
続いて、上述した第2実施形態の第6変形例の更なる変形例について説明する。図15は、図14に示した放電装置260の更なる変形例に係る放電装置260’を示す。なお、上述した各実施形態及びその各種変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この第6変形例に係る放電装置260’は、基本構成は第2の実施形態の第6変形例と基本的に同等であるが、電極263’の下端がV字型容器の凸部に接するよう、電極263’を移動させた形状をしており、一対の電極262’,263’が非対向に設置されている。
これによって、図9の第2の実施形態の第3変形例230と同等の効果を得ることが出来る。また、この場合も、一対の電極間に一塊の水Wが存在すれば、三角柱の形状として縦置き,横置き,斜め置きに設置しても、また水位が変化しても、液相、気相、固相の浄化や改質を行なうことができる。図14、図15からわかるように、製造時の電極設置位置の精度を厳密にする必要がない。
続いて、第2実施形態の第7変形例について説明する。図16は、図6に示した一対の電極に誘電体を被覆する放電装置200の第7変形例に係る放電装置270を示す。なお、上述した各実施形態及びその各種変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この第7変形例に係る放電装置270は、高圧パルス電源からなるパルス電源271の両端に接続された板状の電極272,273を誘電体からなるコの字型の容器274(開放部を上とする)の外側に有しており、電極272は側壁、電極273は底部と側壁に設置されL字型となっている。さらに、一対の電極と接する誘電体に一塊の水Wが接するように容器264内に水Wを介在させる。
これによって、図9の第2の実施形態の第3変形例230と同等の効果を得ることが出来る。また、この場合も、一対の電極間に一塊の水Wが存在すれば、縦置き,横置き,斜め置きに設置しても、また水位が変化しても、液相、気相、固相の浄化や改質を行なうことができる。
続いて、上述した第2実施形態の第7変形例の更なる変形例について説明する。図17は、図16に示した放電装置270の更なる変形例に係る放電装置270’を示す。なお、上述した各実施形態及びその各種変形例と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
この第7変形例に係る放電装置270’は、基本構成は第2の実施形態の第7変形例と基本的に同等であるが、電極263’、262’が底部と側壁に設置されL字型となっている。
これによって、図9の第2の実施形態の第3変形例230と同等の効果を得ることが出来る。また、この場合も、一対の電極間に一塊の水Wが存在すれば、縦置き,横置き,斜め置きに設置しても、また水位が変化しても、液相、気相、固相の浄化や改質を行なうことができる。
本発明に係る放電装置のその他の変形例として、図18の一方の電極のみを誘電体で被覆した放電装置について説明する。容器285内に高圧パルス電源からなるパルス電源281の両端に接続された誘電体に覆われた円筒状の電極282と、電極282の周囲を螺旋状の電極283とを有しており、円筒状の電極282と螺旋状の電極283との距離が一定に保たれていない部分を有する(図18の両端を矢印で示す距離αと距離β)。また、一対の電極と接する誘電体に一塊の水Wが接するように容器285内に水Wを介在させる。
このように、板状や円弧状の電極だけでなく、線状の電極においても、図9の第2の実施形態の第3変形例230と同等の効果を得ることが出来る。また、この場合も、一対の電極間に一塊の水Wが存在すれば、縦置き,横置き,斜め置きに設置しても、また水位が変化しても、液相、気相、固相の浄化や改質を行なうことができる。
続いて、本発明に係る放電装置のその他の変形例として、図19の一対の電極を誘電体で被覆した放電装置について説明する。図19(b)は放電装置の上面図、図19(a)は図19(b)の断面Aから矢印の方向に見たときの放電装置の断面図を示す。円筒状の容器294は誘電体でできており、容器294の外周に高電圧パルスからなるパルス電源231の両端に接続された、くし歯状(上面図)且つ円弧状(断面図)の電極292,293をくし歯が円筒状誘電体294の外周で容器294の底部に向かって噛み合うように設置する。
水Wが円筒状誘電体294内で留まっている、または流水しているときに、高電圧パルスを印加すると、くし歯状電極292,293上の円筒状誘電体294と水Wの間の空気Aで放電する(図19の点線で示すAD)。
これにより、極端に水量が少なく、残水で水滴ができる状態でも、くし歯状に電極が配置されているため、水滴が一対の電極上の誘電体に存在すれば放電させることができる。
続いて、本発明に係る放電装置のその他の変形例として、図20の一対の電極を誘電体で被覆した放電装置について説明する。図20は放電装置の上面図を示す。一対の板状電極302,303はコの字型に誘電体304,305に被覆されており、残りの1面は絶縁体306,307で被覆されている。このとき、電極302,303の位置関係はT字に設置されており、平面を無限遠に広げた場合に平面が交わるため、電極302,303は非平行である。水WはT字の横側から流れる(図20の矢印の方向)。
水Wが円筒状誘電体294内で留まっている、または流水しているときに、高電圧パルスを印加すると、くし歯状電極292,293上の円筒状誘電体294と水Wの間の空気Aで放電する(図19の点線で示すAD)。さらに、水Wの流量が多い場合には、T字の電極302,303に水Wが衝突することにより、水Wの速度を一定速度に制御することができる。
なお、上述した各実施形態及びその変形例で使用する電極の材料は、導体であれば何れでも良く、例えば金属であれば銅、銀、アルミニウム、チタンやそれらの合金等の何れも使用でき、非金属であっても、使用する液体よりも電気伝導度が低いものであれば、例えば導電性のセラミックスや樹脂等でも使用可能である。
また、上述した各実施形態及びその変形例で使用する誘電体としての材料として、アルミナ等の非導電性のセラミックス、又はガラス、樹脂等の材料を使用しても良い。
誘電体の厚さは、用いる材料やパルス電源の電圧にもよるが、0.1μmから10mmが良い。
液体の容器又は流路は全体を誘電体で構成されても良く、或いは容器又は流路の少なくとも一部、即ち液面近傍を誘電体で構成されても良い。
また、上述した各実施形態及びその変形例で使用する、安全面や電極間での放電を防止するために用いる絶縁体の材料としては、樹脂や絶縁性のセラミックス、ガラス等絶縁性を有していればどのような材料でも使用可能である。
また、本発明における液体の種類としては、上述した実施形態では液体として水を用いたが、純水や水道水や汚水等の水の他、有機溶媒や油等、どのような液体を用いても良い。
上述した各実施形態及びその変形例では気体として通常の空気を用いたが、臭気物質等不純物を含んだ空気や、空気に限らず、酸素、窒素、水蒸気、ヘリウム等如何なる気体であっても良い。
また、第2の実施形態の第2変形例、第3変形例の更なる変形例のような特別なアクチュエータを備えることなく、単に一方の電極側の静電容量を他方の電極側の静電容量より小さくしても、一方の電極側においてのみ放電を生じさせることができ、小型のパルス電源を用いた簡単な構成の放電装置とすることが可能となる。この場合の電極と液体との間に生じる電位差の変化のさせ方は、2つのコンデンサを構成する、各電極に対応する誘電体と水Wとの接触面積をそれぞれ異なるようにしたり、各誘電体の誘電率をそれぞれ異なるようにしたり、各誘電体の厚みをそれぞれ異なるようにしたり何れの方法をとることも可能である。
本発明で使用するパルス電圧に関する語句の説明を行う。
(パルス電圧)
ある一定パルス周期をもって変化する電圧であり、その波形は、正弦波、ノコギリ波、矩形波も含む。電圧が正極性もしくは負極性に偏った直流電圧でも良く、電圧が正極性と負極性を行き来する交流電圧であっても良い。また、一定電圧を保持する時間が存在しても良く、パルス上昇時間T1とパルス下降時間T2が同じでも、異なっていても良い。
パルス周波数は、電圧や誘電体の材質、厚さにもよるが、50Hzから1MHzが良く、好ましくは100Hzから500kHz、より好ましくは1kHzから100kHzが良い。
(パルス電源)
パルス電圧を発生することができる電源。
(パルス電圧値Vp−p)
パルス電圧における最大電位と最小電位との電位差である。
電極に印加するパルス電圧値Vp−pは、誘電体の材質、厚さにもよるが、300Vp−pから300kVp−pが良く、好ましくは1kVp−pから100kVp−p、より好ましくは3kVp−pから30kVp−pが良い。
(パルス上昇時間T1)
パルス電圧が連続して増加している時間のことを指し、電圧が増加に転ずる変曲点から、極大点までの時間である。
パルス上昇時間T1は、電圧や誘電体の材質、厚さにもよるが、
3マイクロ秒から10ミリ秒が良く、
好ましくは、4マイクロ秒から5ミリ秒、
より好ましくは、5マイクロ秒から0.5ミリ秒が良い。
(パルス下降時間T2)
パルス電圧が連続して減少している時間のことを指し、電圧が減少に転ずる変曲点から次の極小点までの時間である。
パルス下降時間T2は、電圧や誘電体の材質、厚さにもよるが、
3マイクロ秒から10ミリ秒が良く、
好ましくは、4マイクロ秒から5ミリ秒、
より好ましくは、5マイクロ秒から0.5ミリ秒が良い。
(パルス周期T3)
パルス電圧の最大値から次の最大値までの時間である。
(パルス周波数)
パルス周期T3の逆数である。
続いて、上述した実施形態及びその各種変形例に関連して本発明の有用性を立証する評価試験を行ったので、その評価試験結果を説明する。
図21に評価試験結果を示す第1実施例について説明する。この第1実施例では、本発明を実施するにあたって、上述した第2実施形態の第4変形例に係る放電装置240(図11参照)を用いて測定データを取り、水を流した状態でヨウ化カリウム(KI)の酸化反応を行った。
この評価試験の条件としては、0.1mol/LのKI水溶液を図11に相当する放電装置に流し、反応後の I 濃度を可視紫外分光光度計で測定した。放電装置の概略スペックは、電極材料として銀を使用し、誘電体として厚さ1mmのガラスを用い、放電部をなす電極の長さを250mmとし、印加したパルス電圧は、パルス周波数を28kHzの正弦波で、パルス上昇速度およびパルス下降速度は、18マイクロ秒とし、パルス電圧値Vp−pを18kVp−pとした。
図21に示す評価試験結果から分かるように、電極にパルス電圧を印加することで、ヨウ化カリウムの酸化反応が進み、本発明の放電装置によって液相での物質の酸化が可能なことが立証できた。
続いて、図22に評価試験結果を示す第2実施例について説明する。この第2実施例では、本発明を実施するにあたって、上述した第2実施形態の第3変形例に係る放電装置230(図9参照)を用いて測定データを取り、有機塩素化合物の分解を行った。
この評価試験の条件としては、2mmol/Lの有機塩素化合物(クロロベンゼン)水溶液2.5mlを図9に相当する放電装置に入れて電圧を印加し、分解生成物の塩素イオン(Cl)濃度をイオンクロマトグラフィシステムで測定した。放電装置の概略スペックは、電極材料として銀を使用し、誘電体として厚さ1mm、内径14mmのガラス容器を用い、印加したパルス電圧は、パルス周波数を28kHzの正弦波で、パルス上昇速度およびパルス下降速度は、18マイクロ秒とし、パルス電圧値Vp−pを18kVp−pとした。
図22に示す評価試験結果から分かるように、電極にパルス電圧を印加していくことでクロロベンゼンが分解され、本発明の放電装置によって液相での分解が可能なことが立証できた。
以上の2つの評価試験結果から分かるように、本発明による放電装置を用いた放電方法を実施すると、気相での放電で生成して液相に溶け込んだ活性種や、液相へ放電が直接作用することにより、液相での酸化や分解反応が進むことが立証でき、液相と誘電体(固相)との間の気相で発生する放電により、気相のみならず、その周辺(液相や固相)も作用を受けることが示された。
続いて、第3実施例について説明する。この第3実施例では、本発明を実施するにあたって、上述した第2実施形態の第4変形例に係る放電装置240(図11参照)を用いて測定データを取り、水を流した状態で、オゾンガス生成量を評価した。
この評価試験の条件としては、水道水を図11に相当する放電装置に流しながら、空気を3L/分で混入し、放電装置の出口側から排出されるオゾンガスの濃度を検知管で測定した。放電装置の概略スペックは、電極材料として銀を使用し、誘電体として厚さ1mmのガラスを用い、放電部をなす電極の長さを250mmとし、印加したパルス電圧は、パルス周波数を28kHzの正弦波で、パルス上昇速度およびパルス下降速度は、18マイクロ秒とし、パルス電圧値Vp−pを18kVp−pとした。
評価試験結果、放電装置の出口側から排出されるオゾンガスの濃度は480ppmであった。評価試験結果から分かるように、電極にパルス電圧を印加することで、空気中の酸素が電離・結合し、酸化力の強いオゾンガスが生成され、本発明の放電装置によって液相での物質の酸化が可能なことが立証できた。
以上説明したように、本発明によると、簡易の構成で液相と誘電体(固相)との間の気相で放電を発生させて、気相、液相、固相の浄化、改質を可能とした放電装置及び放電方法を提供することができる。
特に、汚れなどが付着しやすい配管や排水口の内面と液面とが接する部分の浄化や改質を可能とした放電装置及び放電方法を提供することができる。
本発明は、汚れなどが付着しやすい配管や排水口の内面と液面とが接する部分の浄化や改質、水処理プラントや水処理装置等における浄水処理や排水処理、液体の工業的な製造、脱臭や気体清浄機、気体の工業的な製造等に利用することができる。
100 放電装置
101 パルス電源
102,103 電極
105 誘電体
A 空気
W 水
AD 空中放電
T1 パルス上昇時間
T2 パルス下降時間
T3 パルス周期
Vp−p パルス電圧値

Claims (6)

  1. パルス電源と、
    前記パルス電源の端部に接続された一対の電極とを有し、
    前記電極のうち一方の電極の少なくとも一部の領域が誘電体で覆われてなる放電装置であって、
    前記誘電体と前記他方の電極との間に、
    前記誘電体に液面が接するように液体を介在させ、
    前記一方の電極が第一の平面を、前記他方の電極が第二の平面を備えている場合は、
    前記第一の平面と前記第二の平面とが非平行となるよう、
    前記一対の電極を配置させ、
    前記一方の電極が複数の突出部を備えている場合は、
    前記複数の突出部の一方を第一の点、他方を第二の点と定め、
    前記第一の点から前記他方の電極までの最短距離である第一距離と、
    前記第二の点から前記他方の電極までの最短距離である第二距離とが異なるよう、
    前記一対の電極を配置させ、
    前記一対の電極間に、
    パルス電圧を印加する
    ことを特徴とする放電装置。
  2. パルス電源と、
    前記パルス電源の端部に接続された一対の電極とを有し、
    前記一対の電極の少なくとも一部の領域が誘電体で覆われてなる放電装置であって、
    前記誘電体同士の間に、誘電体が液面に接するように液体を介在させ、
    前記一方の電極が第一の平面を、前記他方の電極が第二の平面を備えている場合は、
    前記第一の平面と前記第二の平面とが非平行となるよう、
    前記一対の電極を配置させ、
    前記一方の電極が複数の突出部を備えている場合は、
    前記複数の突出部の一方を第一の点、他方を第二の点と定め、
    前記第一の点から前記他方の電極までの最短距離である第一距離と、
    前記第二の点から前記他方の電極までの最短距離である第二距離とが異なるよう、
    前記一対の電極を配置させ、
    前記一対の電極間に、
    パルス電圧を印加する
    ことを特徴とする放電装置。
  3. パルス電源と、
    前記パルス電源の端部に接続された一対の電極とを有し、
    前記一対の電極のうち一方の少なくとも一部の領域が誘電体で覆われてなる放電装置であって、
    前記誘電体と前記他方の電極との間に、
    前記誘電体に液面が接するように液体を介在させ、
    前記一方の電極が第一の平面を、前記他方の電極が第二の平面を備えている場合は、
    前記第一の平面と前記第二の平面とが非平行となるよう、
    前記一対の電極を配置させ、
    前記一方の電極が複数の突出部を備えている場合は、
    前記複数の突出部の一方を第一の点、他方を第二の点と定め、
    前記第一の点から前記他方の電極までの最短距離である第一距離と、
    前記第二の点から前記他方の電極までの最短距離である第二距離とが異なるよう、
    前記一対の電極を配置させ、
    前記一対の電極間に、
    パルス電圧を印加する
    ことを特徴とする放電方法。
  4. パルス電源と、
    前記パルス電源の端部に接続された一対の電極とを有し、
    前記一対の電極の少なくとも一部の領域が誘電体で覆われてなる放電装置であって、
    前記誘電体同士の間に、誘電体が液面に接するように液体を介在させ、
    前記一方の電極が第一の平面を、前記他方の電極が第二の平面を備えている場合は、
    前記第一の平面と前記第二の平面とが非平行となるよう、
    前記一対の電極を配置させ、
    前記一方の電極が複数の突出部を備えている場合は、
    前記複数の突出部の一方を第一の点、他方を第二の点と定め、
    前記第一の点から前記他方の電極までの最短距離である第一距離と、
    前記第二の点から前記他方の電極までの最短距離である第二距離とが異なるよう、
    前記一対の電極を配置させ、
    前記一対の電極間に、
    パルス電圧を印加する
    ことを特徴とする放電方法。
  5. 前記一方の電極が第一の面を、前記他方の電極が第二の面を備えている時、
    前記第一の面の法線ベクトルと、前記第二の面の法線ベクトルとが交差しないよう、
    前記一対の電極を配置させる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の放電装置。
  6. 前記一方の電極が第一の面を、前記他方の電極が第二の面を備えている時、
    前記第一の面の法線ベクトルと、前記第二の面の法線ベクトルとが交差しないよう、
    前記一対の電極を配置させる
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の放電方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014511758A (ja) * 2011-03-24 2014-05-19 エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー 水を処理するために流れ発生器を使用する流体処理方法およびシステム

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