JP2010165869A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】歪多重量子井戸型半導体レーザにおいて、臨界膜厚の限界内において、量子井戸層の層数Nの増加と、歪量ε及び層厚Lの増加を両立しつつ、微分利得をも向上させることによって、高い特性を有する半導体レーザを提供する。
【解決手段】量子井戸層と障壁層の組の一部が、小さい値もしくは符号が逆となっている平均歪で形成されることにより、他方に、大きな値の平均歪を有する量子井戸層と障壁層の組が形成されていても、多重量子井戸層全体としての歪量を低下させる。小さい歪量の量子井戸層において、電子とホールのエネルギー差を、大きい歪量の量子井戸層におけるそれより小さくする。
【選択図】図5

Description

本発明は、光通信用レーザや光ディスク用レーザ等に用いられる半導体レーザ素子に関する。
[従来技術1]
多重量子井戸型半導体レーザにおいて、レーザ素子の特性を向上させるために、量子井戸層に、引張り若しくは圧縮の歪を意図的に印加した歪多重量子井戸型半導体レーザが知られている。多重量子井戸層を形成している量子井戸層に歪を印加すると、価電子帯のライトホール(以下、LHと記す)とヘビーホール(以下、HHと記す)が分裂することにより、内部ロスを減少させ、また、微分利得を向上させることが可能となり、高速化や低チャープ化など、半導体レーザの性能を向上させる。
歪を入れた多重量子井戸構造の場合、この歪のために、結晶成長の際、歪を入れない多重量子井戸構造よりも、結晶性の観点から、臨界膜厚には厳しい条件が課されることとなる。この条件を緩和するために、量子井戸層のそれぞれの間に位置する障壁層を、量子井戸層の歪とは逆の符号の歪を入れて形成させる。これにより、多重量子井戸層全体としての歪量(全体平均歪)が小さくなるので、臨界膜厚は大きくなる。よって、全体としての歪量(全体平均歪)が、臨界膜厚を決める主な要因となる。
ここで、歪の歪量εは、基板の格子定数をa、歪層の格子定数をaとすると、ε=(a−a)/aで定義される。さらに、量子井戸層と障壁層の歪量を、それぞれε、εと、量子井戸層と障壁層の層厚を、それぞれL、Lとすると、多重量子井戸層全体としての歪量(全体平均歪)εは、ε=(Σε・L)/(ΣL)で定義される。ここで、εは、各量子井戸層若しくは各障壁層の歪量を、Lは、各量子井戸層若しくは各障壁層の層厚を表している。各量子井戸層において、及び、各障壁層において、それぞれ同じ歪量や層厚を有する通常の歪多重量子井戸構造の場合、全体平均歪εは、近似的に、ε=(ε・L+ε・L)/(L+L)で表され、一般には平均歪と呼ばれている。
従来の歪多重量子井戸型半導体レーザでは、この平均歪によって定められる限界膜厚を超えないように多重量子井戸層の設計がなされている。
[従来技術2]
従来技術による多重量子井戸型半導体レーザの一つとして、異なる歪量の量子井戸層を積層し、異なる量子井戸層において異なるバンドギャップを有する半導体レーザが、特許文献1に開示されている。ここでいう半導体レーザとは、例えば、Fabry-Perot半導体レーザであり、この異なるバンドギャップを有する量子井戸層において、電子とホールのエネルギー差を、発振波長と同じにすることで、発振波長の光出力を向上させている。
特許第2867819号
しかし、従来技術1において説明した通り、歪多重量子井戸型半導体レーザにおいて、レーザの特性を向上させるために、量子井戸層の層数Nを大きくしようとすると、限界膜厚により、歪量ε及び層厚Lに制限がかかる。すなわち、上述の平均歪において、障壁層の歪量ε及び層厚Lを固定した場合、層数Nを大きくすると、限界膜厚と平均歪の観点から、歪量と層厚の積であるε・Lを小さくしなければならなくなる。
引張り歪を印加した半導体結晶において、価電子帯のLHとHHの縮退は解け、価電子帯端はLHとなる。量子井戸構造では量子化されたエネルギーは、層厚Lの2乗及び有効質量に、それぞれ、ほぼ反比例する。それゆえ、引張り歪量子井戸層において、層厚Lを大きくすると、LHとHHの分裂量は大きくなる。歪量子井戸層において、LHとHHの分裂がレーザの特性を向上させるので、量子井戸層に引張り歪を印加した多重量子井戸型半導体レーザにおいては、レーザ特性を向上させるためには、歪量εと層厚Lをともに大きくする必要がある。しかし、上述の通り、レーザ特性の向上のため、層数Nを大きくすると、歪量と層厚の積ε・Lを、小さくせざるを得ず、なおかつ、εとLをともに大きくすることは出来ないという課題が生じる。
一方、圧縮歪を印加した半導体結晶ではHHが価電子帯端となり、量子井戸構造では、逆に、層厚Lを小さくすると、LHとHHの分裂量が大きくなるので、上述の引張り歪の場合と比べると、層数Nの増加に伴う歪量と層厚の積ε・Lを小さくしなければいけない問題は重要にならない。しかし、層厚Lの最適値が存在し、それ以下の層厚Lでは、レーザの特性が劣化してしまうので、その最適値におけるLにおいて、レーザの特性を向上させるためには、層数Nを大きくすると、歪量εを小さくせざるを得ないという課題が生じる。
これらの課題を解決するために、一部の量子井戸層の歪量を異ならせることで、多重量子井戸層全体としての歪量(全体平均歪)εは抑えつつ、一部の量子井戸層においては、歪量εを大きくしたり、層厚Lを大きくすることが考えられる。
しかし、この場合、歪量εの小さい量子井戸層においては、価電子帯のLHとHHのエネルギー差が小さくなってしまうため、微分利得が小さくなるという問題が生じる。一般的には、微分利得は、利得のピークよりも高エネルギー側の方が大きくなるが、従来技術2のように、歪量εの小さい一部の量子井戸層においても、電子とホールのエネルギー差が残りの量子井戸層と同じであるならば、この一部の量子井戸層の微分利得が残りの量子井戸層の微分利得よりも小さくなってしまう。これは、分布帰還型レーザ(Distributed Feedback Laser:以下、DFBレーザと記す)のように、微分利得がレーザの特性を決める主な要因となるレーザ素子においては、課題となる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、歪多重量子井戸型半導体レーザにおいて、臨界膜厚の限界内において、量子井戸層の層数Nの増加と、歪量ε及び層厚Lの増加を両立しつつ、微分利得をも向上させることによって、高い特性を有する半導体レーザを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために、本発明に係る半導体レーザ素子は、引張り、若しくは、圧縮のいずれかの符号の歪を有する量子井戸層、及び、前記量子井戸層に隣接し、前記符号とは反対の符号の歪を有し、前記量子井戸層より広いバンドギャップを有する障壁層、とで、対をなしてそれぞれ構成される複数の量子井戸層と障壁層との組と、前記量子井戸層より広いバンドギャップを有し、かつ、前記量子井戸層より屈折率が小さい光導波路層、とを備える歪多重量子井戸型半導体レーザ素子において、前記複数の量子井戸層と障壁層の組のうち、一部の組の歪量の平均が、残りの組の歪量の平均と、異なり、かつ、前記一部の組に属する前記量子井戸層における電子とホールの第1準位のエネルギー差が、前記残りの組に属する前記量子井戸層における電子とホールの第1準位のエネルギー差と、異なる、ことを特徴とする。
(2)上記(1)に記載の半導体レーザ素子において、前記一部の組に属する前記量子井戸層の数が、前記残りの組に属する前記量子井戸層の数より小さく、前記一部の組に属する前記量子井戸層の歪量が、前記残りの組に属する前記量子井戸層の歪量より小さくてもよい。
(3)上記(2)に記載の半導体レーザ素子において、前記一部の組に属する前記量子井戸層における電子とホールの第1準位のエネルギー差が、前記残りの組に属する前記量子井戸層における電子とホールの第1準位のエネルギー差より、小さくてもよい。
(4)上記(3)に記載の半導体レーザ素子において、前記量子井戸層の歪が引張りであり、価電子帯端がヘビーホールとライトホールのうちライトホールであってもよい。
本発明により、歪多重量子井戸型半導体レーザにおいて、臨界膜厚の限界内において、量子井戸層の層数Nの増加と、歪量ε及び層厚Lの増加を両立しつつ、微分利得をも向上させる、高い特性を有する半導体レーザを提供することが出来た。
本実施形態に係る半導体レーザの斜視図である。 本実施形態に係る半導体レーザの断面斜視図である。 本実施形態に係る半導体レーザの断面図である。 本実施形態に係る半導体レーザの断面図である。 本実施形態に係る半導体レーザ及び従来技術による半導体レーザそれぞれの活性層におけるバンド構造を表す図である。
本発明の実施形態に係る半導体レーザ素子を図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係る半導体レーザ素子は、たとえば、波長1.3μm帯のInGaAlAs量子井戸を用いたDFBレーザである。
図1は、本実施形態に係る半導体レーザ素子の斜視図であり、図2は、本レーザ素子の断面斜視図である。図3は、図1のA−A断面図であり、図4は、図1のB−B断面図である。
本実施形態に係るレーザ素子は、図2及び図4に示す通り、光導波路部分がメサストライプ状に加工され、埋込みヘテロ型(Burried Hetero:以下、BH型と記す)構造を有している。BH構造において、メサストライプ状の光導波路となる領域の両側には、鉄(Fe)をドープした高抵抗の半絶縁性InP層6が埋め込まれている。また、共振器長300μmに劈開して半導体レーザチップを形成している。これらの構造は、一般的な半導体レーザとしてよく用いられている。
次に、本実施形態に係るレーザ素子の製造工程について説明する。
まず、レーザ本体部分の構造を形成する。n型InP基板1の上に、InGaAlAs活性層2を形成する。ここで、InGaAlAs活性層2は、下方より順に、n型InGaAlAs光閉じ込め層28、及び、InGaAlAs歪多重量子井戸層、p型InGaAlAs光閉じ込め層29が積層されることによって構成される。InGaAlAs歪多重量子井戸層は、引張り歪を印加した量子井戸層25,26と、圧縮歪を印加した障壁層27によって構成される(図5(a)参照)。
InGaAlAs活性層2の上方に、InGaAsPからなる回折格子層3を積層する。さらに、その上方に、p型InPクラッド層4、p型InGaAsコンタクト層5を順に形成する。ドーピングによるキャリア濃度は、n型及びp型ともに、1018atom/cm程度にしている。
次に、レーザ本体部分をエッチングにより切り出すことにより、光導波路が次のようにして形成される。まず、この多層構造を有するInP基板上に、二酸化珪素(以下、SiOと記す)膜を被覆して保護マスクを形成する。そして、このSiOマスクを用いて、上方より順に、p型InGaAsコンタクト層5、p型InPクラッド層4、回折格子層3、InGaAlAs活性層2、そして、n型InP基板1の一部まで、光導波路となる領域の両側を、エッチングにより切り出し、光導波路を形成する。
ここで、エッチングには、例えば塩素系ガスによる反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)等のドライエッチング、あるいは、臭素系溶液等によるウェットエッチング、又は、それらの併用、いずれの手法を用いてもよい。
さらに、上記エッチングを施したInP基板を、結晶成長炉に搬入してMOVPE法を用いて600℃にてFeをドープした高抵抗の半絶縁性InP層6を埋め込み成長させる。上記のエッチング工程と埋め込み工程により、BH構造が形成される。ここで、BH構造は、上述の通り、光導波路の光の進行方向の両側を別の半導体層で埋め込み、光導波路領域に光を閉じ込めるようにした構造である。埋め込みに用いる半導体は、通例では、高抵抗のものがもちいられる。
最後に、p型InGaAsコンタクト層5の上部にp型電極11を蒸着する。さらに、InP基板の下面を研磨した後、下面側にn型電極12を蒸着する。その後、このInP基板をバー状に劈開し、前方端面に無反射コーティング膜13を、後方端面に70%の高反射コーティング膜14を積層し、さらに、チップ化することで、本レーザ素子が形成される。
以上の製造工程によって形成された本レーザ素子のInGaAlAs活性層2の構造を、図5(a)を用いて説明する。図5(a)は、本レーザ素子のInGaAlAs活性層2におけるバンド構造を説明した図である。図2(a)の図中左から右へ横方向は、InP基板の下方から上方への位置を示し、図中縦方向は、バンド構造を表している。図2(a)には、上側に伝導帯端21が、下側にLHバンド端22が、示されている。
上述の通り、InGaAlAs活性層2は、図5(a)の左から順に、n型InGaAlAs光閉じ込め層28、及び、InGaAlAs歪多重量子井戸層、p型InGaAlAs光閉じ込め層29が積層している。
また、InGaAlAs歪多重量子井戸層は、引張り歪を印加した量子井戸層25,26と、圧縮歪を印加した障壁層27によって構成されている。すなわち、InGaAlAs歪多重量子井戸層において、層厚Lが10nm、歪量εが0.5%の圧縮歪障壁層27と、層厚Lが13nm、歪量εが−0.3%の引張り歪量子井戸層25の組が2組、図5(a)中の左側より、n型InGaAlAs光閉じ込め層28の図中右側に積層され、その図中右側に、順に、層厚Lが10nm、歪量εが0.5%の圧縮歪障壁層27と、層厚Lが11nm、歪量εが−1.15%の引張り歪量子井戸層26の組が6組、積層されている。さらに、その図中右側に、層厚Lが10nm、歪量εが0.5%の圧縮歪障壁層27と、p型InGaAlAs光閉じ込め層29が積層している。この際に、引張り歪量子井戸層25,26において、量子化されたLHが価電子帯端となるよう設計されており、レーザ素子として十分な特性を実現出来るようにしてある。
また、歪量εが−0.3%である引張り歪量子井戸層25において、量子化された電子とホールのエネルギー差が、歪量εが−1.15%である引張り歪量子井戸層26の量子化された電子とホールのエネルギー差よりも、5meV小さくなるように形成している。
以上のことの概略を、簡単に説明すると、以下のようになる。隣り合う1組の量子井戸層と障壁層の歪量を、その量子井戸層の歪量ε、層厚L、及び、その障壁層の歪量ε、層厚Lを用いて、組平均歪ε=(ε・L+ε・L)/(L+L)と定義する。
本発明において、量子井戸層と障壁層の組の一部が、小さい値もしくは符号が逆となっている組平均歪εで形成されることにより、他方に、大きな値の組平均歪εを有する量子井戸層と障壁層の組が形成されていても、多重量子井戸層全体としての歪量(全体平均歪)εを低下させることが可能となる。これにより、全体平均歪εによって定まる臨界膜厚内において、本発明を用いない場合よりも、大きな層数Nで、部分的に、大きなεや大きなLを有する量子井戸層を実現させることが可能となっている。
本実施形態に係るレーザ素子において、InGaAlAs歪多重量子井戸層には、n型InP基板1側に、歪量εの小さい量子井戸層25が形成されており、量子井戸層25を含む組の組平均歪εは、0.048%と、大きい歪量εを有する量子井戸層26を含む組の組平均歪εである−0.36%と符号が逆になっている。大きい歪量εを有する量子井戸層26をすべて量子井戸層に用いたInGaAlAs多重量子井戸層の場合は、全体平均歪εが大きくなるため、臨界膜厚を超えてしまい、結晶に転移が生じてしまうところ、歪量εの小さい量子井戸層25を一部に用いることにより、全体平均歪εを小さくし、臨界膜厚を大きくなったことにより、転移のない結晶を形成することが可能となっている。
さらに、上述の通り、歪量εの小さい量子井戸層においては、価電子帯のLHとHHのエネルギー差が小さくなってしまうため、微分利得が小さくなる。一般的には、微分利得は、利得のピークよりも高エネルギー側の方が大きくなることが多いため、歪量εの小さい量子井戸層において、電子とホールのエネルギー差を、歪量εの大きい量子井戸層における電子とホールのエネルギー差より小さくする。
本実施形態に係るレーザ素子の場合、歪量εが−0.3%と小さい歪量の引張り歪量子井戸層25においては、量子化された電子とホールのエネルギー差を、歪量εが−1.15%と大きい歪量の引張り歪量子井戸層26の量子化された電子とホールのエネルギー差よりも、小さくなるよう形成している。図5(a)において、量子化された電子のエネルギーとして、伝導帯の第1準位を23に、量子化されたホールのエネルギーとして、価電子帯の第1準位を24に、記してある。図5(a)には、量子井戸層25におけるこれらのエネルギー差が、量子井戸層26におけるこれらのエネルギー差より、小さくなっていることが示されている。
歪量の小さい量子井戸層では価電子帯のLHとHHのエネルギー差が、歪量の大きい量子井戸層よりも小さくなっているため、歪量の小さい量子井戸層の量子化された電子とホールのエネルギー差を歪量の大きい量子井戸層の量子化された電子とホールのエネルギー差よりも小さくすることにより、発振波長における歪量の小さい量子井戸層の微分利得を大きくすることができ、多重量子井戸層全体の微分利得を向上させることが可能となった。
実際、本実施形態に係るレーザ素子と同様の構造において、図5(b)のようにInGaAlAs歪多重量子井戸層に、層厚Lが10nm、歪量εが0.5%の圧縮歪障壁層27の各層の間に、層厚Lが11nm、歪量εが−1.15%の引張り歪量子井戸層26を5層設けた歪多重量子井戸型半導体レーザを形成して、比較した。この半導体レーザにおいては、85℃における緩和振動周波数の閾値を引いた電流値の平方根の傾きが1.8GHz/√mAであり、本実施形態に係るレーザ素子では、この傾きが1.95GHz√mAと、およそ1.1倍向上している。
本説明においては、歪多重量子井戸層を構成する量子井戸層と障壁層の組の一部が、他の組平均歪εの符号が逆となる組となっている例を説明したが、この一部の組平均歪εの符号が他の組の組平均歪εと同じで、絶対値が小さい値を有する場合であっても、全体平均歪εを小さくすることが出来、本発明の目的が達成される。
また、本説明においては、同じ障壁層の構造を有する例を説明しているが、障壁層の構造が組によって変化する場合であっても、全体平均歪εを小さくすることが出来、本発明の目的が達成される。
さらに、本発明においては、量子井戸層に引張り歪を印加し、障壁層に圧縮歪を印加した例を説明したが、符号を逆にして、量子井戸層に圧縮歪を印加し、障壁層に引張り歪を印加した歪多重量子井戸層が形成されたレーザ素子であってもよい。
本説明においては、本構造において、微分利得は、利得のピークよりも高エネルギー側の方が大きくなっているので、小さい歪量εの量子井戸層25において、電子とホールのエネルギー差を、大きい歪量εの量子井戸層26における電子とホールのエネルギー差より小さく設けている。しかし、逆の特性を有している場合には、小さい歪量εの量子井戸層において、電子とホールのエネルギー差を、大きい歪量εの量子井戸層における電子とホールのエネルギー差より大きく形成すればよい。
なお、本実施形態に係るレーザ素子において、InGaAlAs歪多重量子井戸層を挟んで設けられるn型InGaAlAs光閉じ込め層28及びp型InGaAlAs光閉じ込め層29は、引張り歪量子井戸層25,26における光の閉じ込めを強めるために設けられている。光導波路機能は、コア領域である量子井戸層を、これより屈折率の低いクラッド層で挟み込むことによって生じるものである。しかし、実際の具体的形態においては、本実施形態のように、量子井戸層において、さらに光の閉じ込めを強めるために、量子井戸層を挟んで光閉じ込め層を設けられている。
よって、クラッド層となるn型InP基板1及びp型InPクラッド層4の屈折率は、光閉じ込め層であるn型InGaAlAs光閉じ込め層28及びp型InGaAlAs光閉じ込め層29の屈折率よりも、それぞれ小さい値になるよう形成されている。
InGaAlAs歪多重量子井戸層および回折格子層3の構造は、室温でのDFBレーザの発振波長が1310nmとなるように形成されている。また、本レーザ素子においては、回折格子層3の極性をp型とした。このような構造は、光の伝播方向に屈折率のみが周期的に変化するので屈折率結合型DFBレーザと呼ばれる。
本実施形態に係るレーザ素子においては、回折格子がDFBレーザの全領域で均一に形成されているが、必要に応じて、領域の一部に回折格子の位相をずらして構成した、いわゆる位相シフト構造を設けても良い。
上記説明において、InP基板上に形成された波長帯1.3μmのInGaAlAs引張歪量子井戸型レーザについて説明したが、基板材料や活性層材料や歪の符号、そして発振波長はこの例に限定されるものではない。本発明は、例えば1.55μm帯InGaAsP圧縮歪量子井戸型レーザ等のその他の材料系にも同様に適用可能である。
1 n型InP基板、2 InGaAlAs活性層、3 回折格子層、4 p型InPクラッド層、5 p型InGaAsコンタクト層、6 半絶縁性InP層、11 p型電極、12 n型電極、13 無反射コーティング膜、14 高反射コーティング膜、21 伝導帯端、22 LHバンド端、23 伝導帯の第1準位、24 価電子帯の第1準位、25 量子井戸層、26 量子井戸層、27 障壁層、28 n型InGaAlAs光閉じ込め層、29 p型InGaAlAs光閉じ込め層。

Claims (4)

  1. 引張り、若しくは、圧縮のいずれかの符号の歪を有する量子井戸層、及び、前記量子井戸層に隣接し、前記符号とは反対の符号の歪を有し、前記量子井戸層より広いバンドギャップを有する障壁層、とで、対をなしてそれぞれ構成される複数の量子井戸層と障壁層との組と、
    前記量子井戸層より広いバンドギャップを有し、かつ、前記量子井戸層より屈折率が小さい光導波路層、
    とを備える歪多重量子井戸型半導体レーザ素子において、
    前記複数の量子井戸層と障壁層の組のうち、一部の組の歪量の平均が、残りの組の歪量の平均と、異なり、かつ、
    前記一部の組に属する前記量子井戸層における電子とホールの第1準位のエネルギー差が、前記残りの組に属する前記量子井戸層における電子とホールの第1準位のエネルギー差と、異なる、
    ことを特徴とする歪多重量子井戸型半導体レーザ素子。
  2. 請求項1に記載の歪多重量子井戸型半導体レーザ素子において、
    前記一部の組に属する前記量子井戸層の数が、前記残りの組に属する前記量子井戸層の数より小さく、
    前記一部の組に属する前記量子井戸層の歪量が、前記残りの組に属する前記量子井戸層の歪量より小さい
    ことを特徴とする歪多重量子井戸型半導体レーザ素子。
  3. 請求項2に記載の歪多重量子井戸型半導体レーザ素子において、
    前記一部の組に属する前記量子井戸層における電子とホールの第1準位のエネルギー差が、前記残りの組に属する前記量子井戸層における電子とホールの第1準位のエネルギー差より、小さい、
    ことを特徴とする歪多重量子井戸型半導体レーザ素子。
  4. 請求項3に記載の歪多重量子井戸型半導体レーザ素子において、
    前記量子井戸層の歪が引張りであり、価電子帯端がヘビーホールとライトホールのうちライトホールである、
    ことを特徴とする歪多重量子井戸型半導体レーザ素子。
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