JP2010163332A - マグネシウムを用いた水素発生方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マグネシウムと水を反応させて水素を発生し、使用後の酸化マグネシウムを還元して容易に再使用できる水素発生方法及びその装置を提供する。
【解決手段】水素発生容器内にマグネシウム薄膜を生成した基板の複数枚を組込み配置する。この容器内に、水を封入して基板のマグネシウム薄膜と水とを反応させて水素を発生させる。基板のマグネシウム薄膜は、パルスプラズマ溶射装置を用いて生成し、また水と反応後の基板の酸化マグネシウム薄膜は、パルスプラズマ溶射装置のパルスアークにより還元して繰り返し使用する。
【選択図】図1
【解決手段】水素発生容器内にマグネシウム薄膜を生成した基板の複数枚を組込み配置する。この容器内に、水を封入して基板のマグネシウム薄膜と水とを反応させて水素を発生させる。基板のマグネシウム薄膜は、パルスプラズマ溶射装置を用いて生成し、また水と反応後の基板の酸化マグネシウム薄膜は、パルスプラズマ溶射装置のパルスアークにより還元して繰り返し使用する。
【選択図】図1
Description
本発明はマグネシウムを用いた水素発生方法及びその装置に係り、特に基板に生成したマグネシウム薄膜を繰り返して使用できるマグネシウムを用いた水素発生方法及びその装置に関する。
最近、二酸化炭素を発生しない再生可能エネルギーサイクルを構築するため、無尽蔵ではあるが定常的でない太陽光エネルギを有効に活用し、マグネシウム(Mg)をエネルギ貯蔵媒体とする大規模エネルギ貯蔵技術が提案されている(非特許文献1参照)。マグネシウムは、加水分解反応(Mg+H2O→MgO+86kcal)によって水素を発生し、しかも重量当りで発生する水素の重量比が他のものより大きいため注目されている。マグネシウムを使用して発生した水素は、燃料電池や自動車の燃料として使用する。
そして、上記の非特許文献1では、水との反応時の反応性生物である酸化マグネシウム(MgO)を、触媒を用いずにマグネシウムに還元して再利用可能にするため、特に太陽光等の自然エネルギを利用するための検討を行っている。この場合、酸化マグネシウムは、太陽光励起レーザーの出力でマグネシウムに還元しており、定常的でない太陽光を利用し、再生可能エネルギーサイクルとする。
一方、セラミック等の基板の表面に薄膜を形成するため、プラズマ溶射装置が使用されている。この種のプラズマ溶射装置は、プラズマを発生させるため電源と接続する電極対を備えており、外側電極部分に作動ガスを吹き付けるガス吹付け部と粉末状の金属等を供給する供給口、更に射出ノズルを設けている。
上記した構造のプラズマ溶射装置では、外側及び内側電極間に発生したプラズマの熱で、供給口から供給した粉末状の金属等を加熱溶融し、射出ノズルからプラズマジェットと共に液状微粒子を基板に向けて溶射し、基板面に皮膜を形成させている(例えば特許文献1、2参照)。
Jounal of Plasma and Fusion Research Vol.83 No.6 June2007 p578−p582
しかしながら、上記非特許文献1に記載のように、マグネシウムは一度水と反応させて水素を発生させると酸化マグネシウムとなるから、これを太陽光励起レーザーの出力で、マグネシウムに還元して利用可能にする場合、集光装置を含めたレーザーの全体構成が大規模なものとなる。しかも、現在の太陽光励起レーザーでは、酸化マグネシウムからマグネシウムへの還元を、簡単かつ容易に行えないという欠点があった。
本発明の目的は、マグネシウムを水と反応させて水素を発生し、使用後の酸化マグネシウムを還元して容易に再使用でき、経済的にできるマグネシウムを用いた水素発生方法及びその装置を提供することにある。
本発明のマグネシウム薄膜を用いた水素発生方法は、容器内にマグネシウム薄膜を生成した基板の複数枚を配置し、前記容器内に水を封入して前記マグネシウム薄膜と水とを反応させて水素を発生し、水と反応後の前記基板の酸化マグネシウム薄膜は、パルスプラズマ溶射装置のパルスアークにより還元して繰り返し使用することを特徴としている。
好ましくは、前記基板のマグネシウム薄膜は、酸化マグネシウム粉末及び作動ガスをパルスプラズマ溶射装置に供給し、前記パルスプラズマ溶射装置のパルスアークにより溶解したマグネシウムを基板に溶射して生成したことを特徴としている。
更に好ましくは、前記基板のマグネシウム薄膜は、前記基板を配置するチャンバ内を酸化防止環境にして生成することを特徴としている。
また、本発明のマグネシウム薄膜を用いた水素発生装置は、酸化マグネシウム粉末及び作動ガスを供給して、パルスアークにより溶解したマグネシウムを溶射して基板にマグネシウム薄膜を生成するパルスプラズマ溶射装置と、マグネシウム薄膜を生成した複数枚の基板と水を封入する水素発生容器とを備えたことを特徴としている。
本発明のマグネシウム薄膜を用いた水素発生方法によれば、マグネシウムを用いて容易に水素を発生させることができるし、使用後の酸化マグネシウムはパルスプラズマ溶射装置のパルスアークにより還元して繰り返し使用できるため、簡単で安全な水素発生が効率良く行える利点がある。
また、本発明の如くマグネシウム薄膜を用いた水素発生装置よれば、基板にマグネシウム薄膜を生成するパルスプラズマ溶射装置と、マグネシウム薄膜を生成した複数枚の基板と水を封入する水素発生容器とで簡単に構成できるため、装置全体を経済的に製作することができる。
本発明のマグネシウム薄膜を用いた水素発生方法は、容器内にマグネシウム薄膜を生成した基板の複数枚を配置し、しかも容器内に水を封入し、マグネシウム薄膜と水とを反応させて水素を発生させる。基板に生成するマグネシウム薄膜は、パルスプラズマ溶射装置を用いて生成し、また水と反応後の各基板の酸化マグネシウムは、パルスプラズマ溶射装置のパルスアークにより還元して繰り返し使用している。
以下、本発明のマグネシウム薄膜を用いた水素発生方法及びその装置について、図1〜図5を用いて説明する。本発明の水素発生方法は、図1に示すような工程S0からS3によって効果的に水素を発生する。
先ず、水素発生材料を作成の工程S0では、予めパルスプラズマ溶射装置により水素発生に用いるマグネシウム薄膜を、セラミック板等の耐熱性のある基板に生成し、このマグネシウム薄膜付の複数枚の基板を水素発生材料として準備をしておいて使用する。
水素発生材料を作成工程S0でのマグネシウム薄膜は、パルスプラズマ溶射装置を使用し、予め基板に生成しておいて使用する。パルスプラズマ溶射装置は、図3及び図4に示すように外側電極2の中心位置に絶縁物4を介して内側電極3を配置してプラズマ吹付けノズル1を構成し、両電極2、3間にパルス電源5を接続するものを使用する。
そして、外側電極2に設けた開閉弁7を備える原料注入口6から、酸化マグネシウム粉末を供給してパルスプラズマで溶融し、同時にガス注入口8からアルゴンガスやヘリウムガス等の作動ガスを供給して、プラズマ吹付けノズル1の先端部からセラミック板等の基板10に向けて放出させ、マグネシウム薄膜11を生成する。
図3のパルスプラズマ溶射装置は、大気中で基板10にマグネシウム薄膜11を生成するものであり、また図4のパルスプラズマ溶射装置は、プラズマ吹付けノズル1の先端部及び基板10をチャンバ9により密閉し、このチャンバ9内部を真空や不活性ガスの雰囲気中の如き酸化防止環境9Aに維持し、基板10にマグネシウム薄膜11を生成するときに、マグネシウムが酸化するのを防止している。
水素を発生させるための第1の工程S1では、上記の如く予め作成した水素発生材料となるマグネシウム薄膜11付の基板10を、図2に示すように水注入口21を設けた水素発生容器20内に枠体(図示せず)等を使用し、基板10の複数枚を組込んで準備する。なお、マグネシウム薄膜11付の基板10は、基板一枚当りの水素発生量を考慮して組込み枚数を設定する。
続く第2の工程S2では、基板10を配置した水素発生容器20内に、水注入口21から水22を注入して封入する。そして、基板10のマグネシウム薄膜11を水と反応させて水素を発生させ、水素発生容器20の上部に設けた水素抽出口23から水素を取り出し、所定の水素貯蔵場所で保管する。
水と反応した後の基板10の酸化マグネシウム薄膜は、図1に示す水素発生材料の還元を行う第3の工程S3で、マグネシウム薄膜11に還元する。具体的には、パルスプラズマ溶射装置のパルスアークにより、酸化マグネシウム薄膜をマグネシウム薄膜11に還元し、水素発生材料として工程S1から繰り返し使用して水素を発生させる。
酸化マグネシウム薄膜の還元に使用するパルスプラズマ溶射装置を図5に示しており、この装置は上記した図3や図4に示したものと同様な構造のものである。このパルスプラズマ溶射装置で酸化マグネシウム薄膜の還元する際には、図5に示す原料注入口6の開閉弁7を閉じて酸化マグネシウム粉末の供給を止めた状態にする。
そして、パルスプラズマ溶射装置の外側電極2と内側電極3間にパルスアークを発生させると共に、ガス注入口8から作動ガスを供給する。これにより、パルスアークをプラズマ吹付けノズル1の先端部から、基板10の酸化マグネシウム薄膜に向けて吹き付けて処理を行い、マグネシウム薄膜11に還元する。
なお、パルスプラズマ溶射装置のパルスアークによる還元処理時の電力としては、エネルギの有効活用面から、望ましくは余剰の夜間電力、また風力発電や太陽光発電等の出力変動のある不安定電源、更には離島や山奥の小水力発電等の電力を使用すると、より効果的である。
本発明の水素発生方法では、パルスプラズマ溶射装置を使用して基板に生成したマグネシウム薄膜を水素発生材料に用い、水と反応させて水素を発生させた後の酸化マグネシウム薄膜もパルスプラズマ溶射装置を使用して容易に還元できるし、水素発生容器に組込んで再使用できるから、簡単でかつ安全に水素発生に活用することができる。
10…基板、11…マグネシウム薄膜、20…水素発生容器、21…水注入口、22…注入水。
Claims (4)
- 容器内に、マグネシウム薄膜を生成した基板の複数枚を配置し、前記容器内に水を封入して前記基板のマグネシウム薄膜と水とを反応させて水素を発生し、水と反応後の前記基板の酸化マグネシウム薄膜は、パルスプラズマ溶射装置のパルスアークにより還元して繰り返し使用することを特徴とするマグネシウム薄膜を用いた水素発生方法。
- 請求項1において、前記基板のマグネシウム薄膜は、酸化マグネシウム粉末及び作動ガスをパルスプラズマ溶射装置に供給し、前記パルスプラズマ溶射装置のパルスアークにより溶解したマグネシウムを基板に溶射して生成したことを特徴とするマグネシウム薄膜を用いた水素発生方法
- 請求項2において、前記基板のマグネシウム薄膜は、前記基板を配置するチャンバ内を酸化防止環境にして生成することを特徴とする酸化マグネシウム還元形水素発生方法。
- 酸化マグネシウム粉末及び作動ガスを供給して、パルスアークにより溶解したマグネシウムを溶射して基板にマグネシウム薄膜を生成するパルスプラズマ溶射装置と、マグネシウム薄膜を生成した複数枚の基板と水を封入する水素発生容器とを備えたことを特徴とするマグネシウム薄膜を用いた水素発生装置。
Priority Applications (1)
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JP2009008463A JP2010163332A (ja) | 2009-01-19 | 2009-01-19 | マグネシウムを用いた水素発生方法及びその装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013151408A1 (en) * | 2012-04-03 | 2013-10-10 | Uab "Inovatas" | Method of hydrogen extraction from water, employing water interaction with the surfaces of metals or their alloys activated in plasma |
JPWO2015011846A1 (ja) * | 2013-07-26 | 2017-03-02 | 隆 竹原 | 水素生成器、及び、水素生成容器 |
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2009
- 2009-01-19 JP JP2009008463A patent/JP2010163332A/ja active Pending
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