JP2010159695A - 波エネルギー利用装置および該波エネルギー利用装置を使用した波エネルギー利用プラント - Google Patents

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Abstract

【課題】波のエネルギーを利用して電気分解を行って水素ガスを得る波エネルギー利用装置を提供する。
【解決手段】波エネルギー利用装置1は、波のある水域に浮遊させる本体10に電気分解装置400と波によって回転する水車16を備え、水の電気分解に使用する電気を供給する発電機12、電気分解装置400の電気分解槽へ水を給水する給水ポンプPおよび電気分解によって発生した水素を圧縮する圧縮機431のそれぞれを水車16の回転によって駆動する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水面に浮かせたときに水面下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面を有するとともに中心部に開口を有する本体と、該本体の中心部から傾斜面上を周縁に向かって放射状に立設した、波を収斂するための収斂提とを備え、中心部が水面上に出るように本体を水面に浮かせて、波の動きにともなって中心部の開口から進入する水を利用する波エネルギー利用装置に関する。
従来から地球温暖化や様々な地球環境破壊などが叫ばれてきたが、これらの問題は近年になってますます大きくなっている。これらは、化石エネルギー資源の使用による二酸化炭素排出問題とも密接に関連している。その化石エネルギー資源には、枯渇問題などエネルギー資源そのものの量的問題と電力の貯蔵問題等がある。これらの問題に対して省エネルギー、省資源が叫ばれる一方で、クリーンな自然エネルギーの早期導入、早期実用化が全世界的な課題になっている。
また、原子力発電による電気エネルギーの供給が行われているが、原子力利用に関する問題としては、原子力発電所などの原子炉の老朽化や地震、天災、人災などに伴って発生し得る放射能漏れ事故がある。周知のように放射能は生態環境への悪影響が大きく、放射能漏れ事故が発生したときには地域住民の生活環境への悪影響が大きく、被害も甚大になる虞がある。
そして、特に原子力発電等は、一度核燃料を燃やし始めると簡単には停止させることができないことが欠点となり、深夜電力等の余剰電力を貯蔵しなくてはならないという問題があった。すなわち、大規模な蓄エネルギー技術ならびに蓄電池の開発が待たれている。
また、地球表面積の71パーセントが海であり、現在は人の住めないような無人島、例えば尖閣諸島や沖ノ鳥島、竹島、小笠原諸島などの島々への居住を可能にし、釣り場や観光地としての可能性を高めるために、離島における石油などの運搬費とエネルギー資源の節約や観光、水産業などの拡大による島民の生活向上や利便性の向上、或いは国民の広域活動と都市集中型人口の分散化などを図るために、波エネルギー資源を効率よく、有効に利用する装置が望まれている。
この波エネルギーを利用した装置としては、例えば消波装置などがある。また、波力発電など波エネルギー変換装置がある。さらに、波のエネルギーで送水する波力ポンプなど(特許文献1)がある。
特公平6−72594号公報
しかしながら、消波装置は、一旦海に設置すると大波時、小波時に区別なく波を消波することだけを目的として稼動させなくてはならないために、多様性に乏しくその割りには製造コストや維持コストが高いために、費用対効果の割合が非常に高くついてしまうという問題点がある。
また、これまでの波力発電などの波エネルギー変換装置は、波エネルギーを空気エネルギーに変換して発電するために非常に効率の悪い装置となっている。
また、波力ポンプにおいても、特許文献1に開示されているように一基で送水できる水量は少ない。
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、波のエネルギーを利用して水の電気分解を行って水素ガスを得ると共に、この水素にCOを反応させればメタンを生成できることから、これらを貯蔵することにより、COの削減とエネルギー資源の貯蔵ひいては電力の貯蔵を可能とする波エネルギー利用装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]水面(S)下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面(3b)を有し、前記中心部に開口(3a)を有する本体(10)と、該本体(10)の前記傾斜面(3b)上に前記中心部から前記傾斜面(3b)上を前記周縁に向かって放射状に立設した、波(W)を収斂するための収斂堤(11)とを備え、前記中心部が水面(S)上に出るように前記本体(10)を水面(S)に浮かせて、波(W)の動きにともなって前記中心部の開口(3a)から進入する水を利用する波エネルギー利用装置(1)において、
水の電気分解によって水素を発生させる電気分解装置(400)および発電機(12)と、前記中心部の開口(3a)よりも下方に設けられ、水中側に連通する連通部(15)を有するプール(6)と、前記連通部(15)に配設された水車(16)と、貯蔵タンク(410、420)と、を備え、
前記発電機(12)は、前記水車(16)の回転に連動して発電するものであり、
前記収斂提(11)に区切られた前記傾斜面(3b)を遡上して前記開口(3a)から前記プール(6)内に進入した水の水位と本体(10)外部の水の水位との水位差によって前記水車(16)を回転させ、該水車(16)の回転によって前記発電機(12)を駆動して、該発電機(12)が発電した電気を前記電気分解装置(400)に供給して水を電気分解することによって水素を発生させることを特徴とする波エネルギー利用装置(1)。
[2]水面(S)下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面(3b)を有し、前記中心部に開口(3a)を有する本体(10)と、該本体(10)の前記傾斜面(3b)上に前記中心部から前記傾斜面(3b)上を前記周縁に向かって放射状に立設した、波(W)を収斂するための収斂堤(11)とを備え、前記中心部が水面(S)上に出るように前記本体(10)を水面(S)に浮かせて、波(W)の動きにともなって前記中心部の開口(3a)から進入する水を利用する波エネルギー利用装置(1)において、
水の電気分解によって水素を発生させる電気分解装置(400)および発電機(12)と、前記中心部の開口(3a)よりも下方に設けられ、水中側に連通する連通部(15)を有するプール(6)と、前記連通部(15)に配設された水車(16)と、前記収斂提(11)の内部に設けた、貯蔵タンクを兼ねる浮力室(511)と、を備え、
前記発電機(12)は、前記水車(16)の回転に連動して発電するものであり、
前記収斂提(11)に区切られた前記傾斜面(3b)を遡上して前記開口(3a)から前記プール(6)内に進入した水の水位と本体(10)外部の水の水位との水位差によって前記水車(16)を回転させ、該水車(16)の回転によって前記発電機(12)を駆動して、該発電機(12)が発電した電気を前記電気分解装置(400)に供給して水を電気分解することにより、水素を発生させて、これを前記浮力室(511)に貯蔵することを特徴とする波エネルギー利用装置(1)。
[3]水面(S)下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面(3b)を有し、前記中心部に開口(3a)を有する本体(10)と、該本体(10)の前記傾斜面(3b)上に前記中心部から前記傾斜面(3b)上を前記周縁に向かって放射状に立設した、波(W)を収斂するための収斂堤(11)とを備え、前記中心部が水面(S)上に出るように前記本体(10)を水面(S)に浮かせて、波(W)の動きにともなって前記中心部の開口(3a)から進入する水を利用する波エネルギー利用装置(1)において、
水の電気分解によって水素を発生させる電気分解装置(500)および発電機(12)と、前記中心部の開口(3a)よりも下方に設けられ、水中側に連通する連通部(15)を有するプール(6)と、前記連通部(15)に配設された水車(16)と、前記収斂提(11)の内部に設けた、貯蔵タンクを兼ねる浮力室(511)と、を備え、
前記電気分解装置(500)は、前記プール(6)内に配設した電気分解槽(501)と、該電気分解槽(501)と前記浮力室(511)とを連通し、前記電気分解槽(501)で発生した水素を前記浮力室(511)に送るためのガス回収管(502)とを有し、
前記発電機(12)は、前記水車(16)の回転に連動して発電するものであり、
前記収斂提(11)に区切られた前記傾斜面(3b)を遡上して前記開口(3a)から前記プール(6)内に進入した水の水位と本体(10)外部の水の水位との水位差によって前記水車(16)を回転させ、該水車(16)の回転によって前記発電機(12)を駆動して、該発電機(12)が発電した電気を前記電気分解装置(500)に供給して水を電気分解することにより、水素を発生させて、これを前記浮力室(511)に貯蔵することを特徴とする波エネルギー利用装置(1)。
[4]水面(S)下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面(3b)を有し、前記中心部に開口(3a)を有する本体(10)と、該本体(10)の前記傾斜面(3b)上に前記中心部から前記傾斜面(3b)上を前記周縁に向かって放射状に立設した、波(W)を収斂するための収斂堤(11)とを備え、前記中心部が水面(S)上に出るように前記本体(10)を水面(S)に浮かせて、波(W)の動きにともなって前記中心部の開口(3a)から進入する水を利用する波エネルギー利用装置(1)において、
水の電気分解によって水素を発生させる電気分解装置(500)および発電機(12)と、前記中心部の開口(3a)よりも下方に設けられ、水中側に連通する連通部(15)を有するプール(6)と、前記連通部(15)に配設された水車(16)と、前記収斂提(11)の内部に設けた、貯蔵タンクを兼ねる浮力室(511)と、を備え、
前記電気分解装置(500)は、前記プール(6)内に該プール(6)内の水から隔離して設けた隔離空間内に配設した電気分解槽(501)を有し、
前記隔離空間は、前記電気分解槽(501)を配設した余剰空間が前記電気分解槽(501)の保守点検作業を可能にする保守点検空間(520)であり、
前記発電機(12)は、前記水車(16)の回転に連動して発電するものであり、
前記収斂提(11)に区切られた前記傾斜面(3b)を遡上して前記開口(3a)から前記プール(6)内に進入した水の水位と本体(10)外部の水の水位との水位差によって前記水車(16)を回転させ、該水車(16)の回転によって前記発電機(12)を駆動して、該発電機(12)が発電した電気を前記電気分解装置(500)に供給して水を電気分解することにより、水素を発生させて、これを前記浮力室(511)に貯蔵することを特徴とする波エネルギー利用装置(1)。
[5] 前記プール(6)内の水もしくは装置外部の水を前記電気分解装置(400、500)に給水するための給水ポンプ(P、503)を備え、
前記給水ポンプ(P、503)は、前記水車(16)の回転によって駆動することを特徴とする請[1]から[4]のいずれか一項に記載の波エネルギー利用装置(1)。
[6]水面(S)下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面(3b)を有し、前記中心部に開口(3a)を有する本体(10)と、該本体(10)の前記傾斜面(3b)上に前記中心部から前記傾斜面(3b)上を前記周縁に向かって放射状に立設した、波(W)を収斂するための収斂堤(11)とを備え、前記中心部が水面(S)上に出るように前記本体(10)を水面(S)に浮かせて、波(W)の動きにともなって前記中心部の開口(3a)から進入する水を利用する波エネルギー利用装置(1、1A)を配置した波エネルギー利用プラントであって、
前記波エネルギー利用装置(1、1A)と海底に固定した少なくとも一部が水中にある複数の貯蔵タンク(T)を有し、
前記複数の貯蔵タンク(T)は、波(W)の来る方向に交差する方向に延びる波状に配列し、来る波が前記波状配列の山部(H)に当たってから収斂されながら向かう前記波状配列の谷部(L)ないし該谷部(L)の後方に前記波エネルギー利用装置(1、1A)を配置し、
前記波エネルギー利用装置(1、1A)は、水の電気分解によって水素を発生させる電気分解装置(400、500)および発電機(12)と、前記中心部の開口(3a)よりも下方に設けられ、水中側に連通する連通部(15)を有するプール(6)と、前記連通部(15)に配設された水車(16)と、を備え、
前記発電機(12)は、前記水車(16)の回転に連動して発電するものであり、
前記収斂提(11)に区切られた前記傾斜面(3b)を遡上して前記開口(3a)から前記プール(6)内に進入した水の水位と本体(10)外部の水の水位との水位差によって前記水車(16)を回転させ、該水車(16)の回転によって前記発電機(12)を駆動して、該発電機(12)が発電した電気を前記電気分解装置(400、500)に供給して水を電気分解することによって発生した水素を前記貯蔵タンク(T)に貯蔵することを特徴とする波エネルギー利用プラント。
[7]項[1]から[5]のいずれか一項に記載の波エネルギー利用装置(1、1A)から前記水車(16)に連動する発電機(12)によって発電された電気を、地上に設置された水の電気分解装置の電力としての供給ないし地上への配電をすることを特徴とする波エネルギー利用プラント。
前記本発明は次のように作用する。
波エネルギー利用装置(1)は、海洋や湖沼のような水域で用いる際に、例えば海洋では海底のような水底(SG)に設置した係留装置の係留チェーン(2)により本体(10)を係留して水面(S)上に浮遊させておく。この浮遊する波エネルギー利用装置(1)に寄せて来た波(W)は、収斂堤(11)で区切られた傾斜部(3)の傾斜面(3b)に乗り上がり、本体(10)の中心部に向かって進む。隣り合う収斂堤(11)同士の間隔は中心部に向かって狭くなっているので、波(W)は、中心部に近付くにつれて収斂堤(11)によって収斂されて、波高が大きくなる。波(W)は、最も波高が大きくなったところで開口(3a)からプール(6)内に落ちる。
プール(6)内に入った水は、傾斜部(3)の傾斜面(3b)を上がった水位と本体(10)の外部の水の水位との水位差によって、プール(6)の底部(8)に設けた連通部(15)に配設した水車(16)を回転させる。
水車(16)は、その下方に、水底(SG)に向けて垂下する放水ホース(13)が設けられており、水車(16)を回転させた水は、この放水ホース(13)を通して水中に放水される。
開口(3a)からプール(6)内に入った水は、水車(16)を回転させる。水車(16)の回転力は、給水ポンプ(P)を駆動して、プール(6)内の水を汲み上げて電気分解装置(400)に給水する。また、電気分解によって発生した水素ないし酸素をそれぞれ貯蔵タンク(410、420)に貯蔵する際にそれらを圧縮する圧縮機(431、432)を設けた場合には、圧縮機(431、432)を水車(16b)に連結して、水車(16b)の回転力によって圧縮機の駆動部(431a、432a)を駆動するようにしてもよい。
電気分解装置(400)がバッテリー(402)を備えたものの場合には、前記バッテリー(402)に蓄電した電気を水の電気分解のための補助に使用することができるので、水面が凪いでいるときにも電気分解を行って水素を得ることができる。また、前記給水ポンプ(P、503)や圧縮機(431、432)に補助モータを付けて、その補助モータに給電してそれらの駆動を補助するようにしてもよい。
収斂提(11)の内部に貯蔵タンクを兼ねる浮力室(511)を設けたものの場合には、電気分解によって発生した水素をこの浮力室(511)内に貯蔵することにより、浮力室(511)を貯蔵タンクとしても有効に利用することができる。
電気分解装置(500)の電気分解槽(501)をプール(6)内に配設し、この電気分解槽(501)と浮力室(511)とをガス回収管(502)で連通して、電気分解によって発生した水素をこの浮力室(511)内に貯蔵するようにしてもよい。
なお、水の電気分解によって水素のほかに発生した酸素ならびに窒素シール用の窒素等を貯蔵タンクに貯蔵してもよい。
また、波エネルギー利用装置(1、1A)で電気分解して発生させた水素や酸素を貯蔵するために複数の貯蔵タンク(T)をそれぞれの少なくとも一部が水中にあるように海底に固定し、かつ波(W)の来る方向に交差する方向に延びる波状に少なくとも一列に配列し、来る波が波状配列の山部(H)に当たってから収斂されながら向かう谷部(L)ないし該谷部(L)の後方に波エネルギー利用装置(1、1A)を配置することにより、波エネルギー利用装置(1、1A)の受ける波が大きくなる。これにより、波エネルギー利用装置(1、1A)による発電量が大きくなるとともに、より安定して発電することができ、もって、より大量にかつコンスタントに水素を発生させて貯蔵することができる。
また、波エネルギー装置(1、1A)が水車(16)に連動する発電機(12)によって発電した電気を地上に設置された水の電気分解装置に給電したり、地上への配電をしたりしてもよい。
本発明にかかる波エネルギー利用装置によれば、水面に浮かんだ本体外部の水位と本体の傾斜面の上端の開口からプール内に進入した水の水位との水位差によって水車を回転させ、その回転力で発電機を駆動して発電した電気を水の電気分解に使用して水素ないし酸素を発生させるようにしたので、波のエネルギーを有効に利用して、水素や酸素を得ることができる。
また、複数の貯蔵タンクをそれぞれの少なくとも一部が水中にあるように海底に固定し、かつ波の来る方向に交差する方向に延びる波状に少なくとも一列に配列し、来る波が波状配列の山部に当たってから収斂されながら向かう谷部ないし該谷部の後方に波エネルギー利用装置を配置した波エネルギー利用プラントによれば、波状に配列した貯蔵タンクによって波を収斂させることができるので、波エネルギー利用装置の受ける波が大きくなり、波エネルギー利用装置による発電量が大きくなるとともに、より安定して発電することができ、もって、より大量にかつコンスタントに水素を発生させて貯蔵することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る波エネルギー利用装置の構成を示す図である。 図1の波エネルギー利用装置の本体を示す平面図である。 図1の波エネルギー利用装置による海洋での海水の電気分解を説明する説明図である。 図1の波エネルギー利用装置に設けた水車およびその周囲の構成を示す断面図である。 図4の水車の上流支持部と回転部付近の外観を示す側面図である。 図4の水車内の案内羽を示す平面図である。 図6のB−B断面図である。 図6のC−C断面図である。 円筒管内を流れる水の一般的な流速分布を示す図である。 水の通過面積の広狭と水の流れの方向を説明する図である。 図4の水車の変形例を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る波エネルギー利用装置の構成を示す図である。 図12の波エネルギー利用装置の本体を示す平面図である。 波エネルギー利用装置を用いた波エネルギー利用プラントの一例を示す説明図である。 波エネルギー利用装置を用いた波エネルギー利用プラントの他の例を示す説明図である。
以下、図面に基づき本発明の好適な各種実施の形態を説明する。
図1から図11は本発明の第1の実施の形態を示している。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る波エネルギー利用装置の構成を示す図であり、図2は、図1の波エネルギー利用装置の本体を示す平面図であり、図3は、図1の波エネルギー利用装置による海洋での海水の電気分解を説明する説明図である。
波エネルギー利用装置1は、海や湖沼等の波の発生する水域に浮遊するように設置して波のエネルギーを変換して利用するとともに、消波もすることができるものである。以下の説明では、波エネルギー利用装置1を海において使用するものとして説明する。
図1に示したように、本発明の波エネルギー利用装置1は、本体10が水底SGから係留チェーン2により係留されており、水面S上に浮遊している。水面Sに浮遊した本体10は、中心部が水面Sよりも上方に突き出すように浮力が調整されている。中心部には後述するように水が入り込む開口3aが形成されている。本体10には、この開口3aよりも上方に水を電気分解して水素ないし酸素を発生させるための電気分解装置400が配設されている。また、本体10は、中心部から下向に傾斜した傾斜面3bを有する板状の傾斜部3を有しており、傾斜部3の下端側周縁は、水面下となるように構成されている。
図2は、電気分解装置400を省略した本体10の平面図であるが、図示したように、本体10は、上から見たときに傾斜部3の下端側周縁がほぼ均等な長さの複数の辺からなるほぼ正多角形をなしている。この上から見た形状は、多角形に限らず、円形、楕円形などにしてもよい。
波エネルギー利用装置1のほぼ中心部、すなわち、傾斜部3の中心部に形成された前記の開口3aの周縁からは、傾斜面3b上を傾斜部3の下端側周縁に向かってほぼ均等の角度をもって放射状に延びる板状の収斂堤11が立設されている。収斂堤11は、その上端部が開口3a側から傾斜部3の下端側周縁側まで傾斜することなく延びている。すなわち、傾斜部3が開口3a側から下端側周縁に向かって低くなるに従って、傾斜部3から収斂提11の上端部までの高さが高くなっている。
この収斂堤11の内部には、波エネルギー利用装置1に浮力を与えるための不図示の浮力室が形成されている。この浮力室は、後述する第2の実施の形態の説明において浮力室511として図12に示して説明するように水の電気分解によって発生した水素ないし酸素を貯蔵する貯蔵タンクとしてもよい。
傾斜部3の傾斜面3b上に立設されている収斂堤11の各々には、傾斜部3の下端側周縁に近い端部にバランス浮体Bが取り付けられている。このバランス浮体Bは、波エネルギー利用装置1に浮力を与えるためのものである。したがって、バランス浮体Bの浮力の大きさによっては前記した収斂堤11の内部の浮力室は、ある程度小さくしてもよい。
バランス浮体Bは、約半分程度が水面S上に出て、残りの約半分は水面S下に没する程度に設定されている。これにより、設置水域に大波などが発生しても波エネルギー利用装置1全体が転倒することを防止することができる。また、バランス浮体Bは、船などに衝突された場合の緩衝装置の役目も果たしている。
傾斜部3の下端側周縁は屈曲して側壁4を成している。この側壁4は、波浪などによる動揺性などを改善するための重りを兼ねるものであり、肉厚の厚い鋼板や鋼材等の比較的しっかりとした、重量の稼げる素材によって作られている。この側壁4は、波エネルギー利用装置1全体の合成重心の位置を低くする役目を果たしているので、波エネルギー利用装置1全体の安定性を保つことができる。
波エネルギー利用装置1の全体に亘って側壁4を囲むようにスカート5が取り付けられている。このスカート5は、格子状に組んだ骨組みと各格子を覆う網目状の金網やプラスチック網から成っており、可動或いは着脱可能なものである。スカート5は、波エネルギー利用装置1の運搬時には邪魔にならないように上方に吊り上げたり、取り外したりしておくことができる。
このスカート5は、水面Sに浮遊している稼動時には本体10の側壁4から水中に吊り下げておくことにより、波による動揺や振動、傾きなどを抑制して本体10の安定性を向上させることができる。また、スカート5の網目を通過しようとする波を消波できるので、波エネルギー利用装置1全体による消波効果等を高めることができる。波エネルギー利用装置1による消波の例としては、波の来る側で傾斜部3の傾斜面3bを遡上する波の収斂、波打ち作用、砕波現象などの繰り返しによって成される消波がある。
また、スカート5は網目形状を有しているので、外側で運動している波の水粒子の運動を波エネルギー利用装置1内に進入することを防止すると共に、水の流通を良くすることができる。なお、波エネルギー利用装置1の姿勢の安定性を向上させるためにスカート5の下方に重り5bを設けてもよい。
このスカート5に囲まれた内側には、本体10の中心部に設けた開口3aの下方に位置するプール6が配設されている。このプール6は、開口3aの周縁近傍から下方に延びるプール側壁7と該プール側壁7から続く底部8とによって形成されており、開口3aとほぼ同心に配設されている。プール6の底部8は、その中央に向かって低くなるコニカル状などにして、波エネルギー利用装置1の下方から来る波の揚圧力を減ずるようにすることが好ましい。
プール6のプール側壁7の外側には、このプール側壁7を囲むように浮力室9が形成されている。この浮力室9は、プール側壁7と傾斜部3の下面(裏面)と底部9aとによって密閉可能な空間として形成されている。この浮力室9には浮力の調整のためのバラスト水が出入りする、不図示のノズルや通気配管ならびにポンプ装置、波浪の大小による装置の浮沈コントロール設備などが設けられている。
このように波エネルギー利用装置1は、水面S下となる傾斜部3の周縁や側壁4、スカート5、重り5bなどの「重り」と、水面S上に設けられたバランス浮体B、本体10の中心部近くに設けられ、比較的水面S近くに位置する浮力室9や、収斂堤11内でほぼ水面S上に位置する浮力室511など浮力を生じるものとの関係から、浮心と重心の位置を算出し、起き上がりこぼしの原理や、やじろべえの原理などを踏まえた上で、波エネルギー利用装置1全体が転倒しないように設計されている
プール6の底部8は、その複数個所に海中側まで貫通孔が穿設された連通部15が設けられている。そのうちの1つの連通部15は、プール6の底部8の中央に設けられている。プール6の底部8の中央は、プール6の最も深い所である。このプール6の底部8の中央に穿設された連通部15には送水ホースまたは放水ホース13が取り付けられている。この放水ホース13の代わりに送水ホースを取り付ける場合には、送水ホースは、フレキシブルなものを連通部15から垂下して水底SGに届くようにし、送水ホースの先端は、送水をしたい所望の地点に置くようにする。
他の連通部15にも放水ホース13が取り付けられている。これら放水ホース13は、サクションホースのような骨材が組み込まれているので、波エネルギー利用装置1の外部の波浪の影響などを比較的受けにくい。この放水ホース13は、連通部15から垂下して水底SG近くまで、或いは水底SGをある程度横這いになるように延びている。
複数の連通部15それぞれには、プール6の内側に水車16が配設されている。これら水車16は、それぞれの回転軸がそれぞれの連通部15の中心と同心となるように配設されている。図1には、3つの水車16a、16b、16cを例示してある。
これら水車16(16a、16b、16c)は、発電をするための発電機用水車16aと、後述する圧縮機431、432を駆動するための圧縮機駆動用水車16bと、同じく後述する給水ポンプPを駆動するためのポンプ駆動用水車16cである。発電機用水車16aは、その回転軸17aの上部に変速機18aが連結されており、変速機等の回転伝達手段18aを介して発電機12に連結されている。同様に圧縮機駆動用水車16bは、変速機等の回転伝達手段18bを介して圧縮機431、432に連結されている。また、同様にポンプ駆動用水車16cは、変速機等の回転伝達手段18cを介して給水ポンプPに連結されている。
発電機12は、電気分解装置400で水を電気分解する際に必要な電気を得るためのものであり、給水ポンプPは、電気分解をする水をプール6から電気分解装置400に給水するためのものであり、圧縮機431、432は、電気分解装置400で発生させ分離した水素を水素貯蔵タンク410にないし酸素を酸素貯蔵タンク420に貯蔵する際に水素ないし酸素を圧縮するためのものである。
電気分解装置400は、本体10の上にハウジングまたは枠体で作られたベース401の上に配設されている。ベース401の中段には、発電機12、回転伝達手段18a、18b、18cが配設されている。さらに、ベース401中段には、発電機12によって発電された電気を蓄電しておくことのできるバッテリー402が配設されている。
ポンプ駆動用水車16cが回転伝達手段18cを介して駆動する給水ポンプPは、本体10の中心部の開口3aの近くに設けてあるように図示してあるが、その取水口がプール6内の水中にあればよく、ベース401の中段やその他の場所に設けてもよい。発電機12やバッテリー402もその設置場所は水がかからなければどこでもよいが、ベース401の中段をプール6側および波エネルギー利用装置1の外部から隔離して水が侵入しない防水空間として画成し、その防水空間中に設けることが好ましい。
しかし、給水ポンプPは、基本的に電力を用いないで水車の回転で駆動するので、水中に設けた場合でも漏電等の電気事故の発生はない。
ベース401の上段には、水を電気分解するための電気分解装置400と、電気分解装置400が水を電気分解して発生した水素ないし酸素を貯蔵する水素貯蔵タンク410と酸素貯蔵タンク420が配設されている。電気分解装置400と水素貯蔵タンク410とを連通するパイプには、貯蔵する水素を圧縮する圧縮機431が配設されている。同様に、電気分解装置400と酸素貯蔵タンク420とを連通するパイプにも圧縮機432が配設されている。
図1に示すように、電気分解装置400の電気分解槽に給水される水は、プール6からストレーナを通して給水ポンプPによって汲み上げられたものである。また、電気分解槽の不図示の電極に供給される電気は、発電機12によって発電した電気ないしバッテリー402に蓄電された電気である。
なお、波エネルギー利用装置1を海洋で使用して海水を電気分解する場合には、水素と塩素が発生する。しかしながら、陽極で発生する塩素は、陰極で水素とともに発生する水酸化ナトリウムと瞬時に反応して次亜塩素酸ナトリウムとなるので、水素と塩素とが混合することがない。発生した水素は、ガス分離器を通して次亜塩素酸ナトリウムと分離して取り出して貯蔵することができる。分離した水素は、圧縮機431によって圧縮した状態で水素貯蔵タンク410に貯蔵することができる。
一方、次亜塩素酸ナトリウムは、電気分解装置400から排水管403を通して波エネルギー利用装置1の周囲に排出する。次亜塩素酸ナトリウムには殺菌作用があるので、波エネルギー利用装置1の周囲に排出することにより、波エネルギー利用装置1への海洋生物の付着を防止することができる。
海水を電気分解する場合には、酸素は単体では発生しないので、酸素貯蔵タンク420にも水素を貯蔵することができるようにしてもよい。なお、電気分解槽に設けられている電極のうち、陽極を高活性酸化物とすることにより、塩素ガスが発生しないようにして、酸素を取り出すようにすることができる。この場合は、ガス分離器を通して水素と酸素とを分離し、水素は圧縮機431を通して水素貯蔵タンク410に貯蔵し、酸素は圧縮機432を通して酸素貯蔵タンク420に貯蔵することができる。
次に、波エネルギー利用装置1に用いる水車であって、高効率な回転が可能な水車16(16a、16b、16c)の構成を説明する。
図4に示すように、連通部15は、プール6の底部8に穿設した貫通孔Aによって水中側に連通する部分であり、貫通孔Aが穿設されたプール6の底部8にはプール6側に折り曲げられた取付部24が形成されている。
この取付部24の上には、該取付部24にボルトで固定された取付座240を介して発電機用水車16aが配設されている。この発電機用水車16aは、水を受けて回転する筒状の回転部160と、この回転部160を両側で支持する筒状の上流支持部230と筒状の下流支持部231とを有して成る。
上流支持部230は、回転部160が水を受ける側(図4上では回転部160の上方)で回転部160を支持し、下流支持部231は、回転部160の受けた水が回転部160から流れ出る側(図4上では回転部160の下方)で回転部160を支持している。これら上流支持部230と、回転部160と、下流支持部231とは全体が1つのケーシング
となるように構成されている。
プール6の底部8の取付部24には、下流支持部231が取付座240を介して固設されている。図5に示すように、上流支持部230と下流支持部231とは、それぞれの外周面側を複数のアーム28によって連結されている。
図4に示すように、回転部160は、その回転中心と同心に配設されたボス部20の周りから外側に等間隔に延びる複数枚のプロペラ状の羽162と、これら複数のプロペラ状の羽162の先端部が内壁に接合している筒状の囲繞部161とから成っている。プロペラ状の羽162の先端部と囲繞部161とは例えば鋳込みで固着され一体化されているが、その他、溶接やボルト締めなどで固着し、一体化してもよい。
回転部160は、金属やプラスチックなど硬質な素材であればよいが、特に囲繞部161は金属等の比重の大きい素材のものとすることが好ましい。囲繞部161を比重の大きい素材のものとすることにより、回転部160は、回転を始めるとその慣性によって安定した回転をするので、フライホイールのような役目を果たすことができる。これにより、不規則な波による不規則な大きさのエネルギーの入力に対しても、エネルギーの蓄積と回転力をある程度均一化することができる。
この発電機用水車16aの回転部160の回転軸17aは、プロペラ状の羽162の内側でボス部20を貫通してほぼ鉛直上方に延設されている。回転軸17aの下端部は、キー21によってボス部20に固定されている。回転軸17aの上端部には、変速機等の回転伝達手段18aが配設されている。この回転伝達手段18aは、発電機12の駆動軸に連結されている。これにより、発電機用水車16aの回転を発電機12に伝達して、発電機12を駆動させて発電することができる。また、回転軸17aの外側に回転軸の保護管19等も設けられている。
同様にして、圧縮機駆動用水車16bは、回転軸17bの上端部が回転伝達手段18bに連結されており、この回転伝達手段18bを介して圧縮機431、432の駆動部431a、432aに回転を伝達して圧縮機431、432を駆動するようになっている。また、ポンプ駆動用水車16cは、回転軸17cの上端部が回転伝達手段18cに連結されており、この回転伝達手段18cを介してポンプ駆動用水車16cに回転を伝達して給水ポンプPを駆動するようになっている。同様にして回転軸17b、17cの外側にも回転軸の保護管19が設けられている。
回転部160の下方に配設されている下流支持部231には、囲繞部161の下部を受ける下流軸受26が設けられている。この下流軸受26は、囲繞部161の下端部をスラスト方向に受ける下流スラスト軸受部26aと、該下流スラスト軸受部26aよりも下方に延びて囲繞部161の外側面をラジアル方向に受ける下流ラジアル軸受部26bとからなっている。下流スラスト軸受部26aは、回転部160による鉛直方向の荷重を受けている。
当然のことながら、このスラスト軸受は、回転軸17a、17b、17c上端の装置1の中程で水中には没しない程度の位置に設けた回転伝達手段18a、18b、18cの下部付近にもしっかりと設けられ、水車に対する水圧や回転部160、回転軸等の鉛直方向の力は、ほとんどスラスト軸受で支えられ、スラストベアリング等も設けられる。
一方、回転部160の上方に配設されている上流支持部230には、囲繞部161の上部を受ける上流軸受27が設けられている。この上流軸受27は、囲繞部161の上部をスラスト方向に受ける上流スラスト軸受部27aと、囲繞部161の内側面をラジアル方向に受ける上流ラジアル軸受部27bとからなっている。これら下流軸受26と上流軸受27にはそれぞれカラー33が設けられており、回転部160はスムーズに回転することができる。
発電機用水車16aの回転部160が回転している最中に水中に浮遊する砂や貝殻、異物などが下流軸受26および上流軸受27にできる限り入り難くするために、下流スラスト軸受部26aおよび上流スラスト軸受部27aそれぞれの水平面部分はできる限り小さくし、その外側は傾斜面232、233としてこれらの異物が溜まり難いようにしてある。また、上流ラジアル軸受部27bの付近は、できる限りその縦断面の内側面が縦方向にストレートになる形状として異物などがたまりにくい構造になっている。
上流支持部230の上端はプール6の水が入り込む入口29として開口している。この入口29は、網30によって覆われている。これにより、水中に含まれる海草や魚介類、その他、発電機用水車16aに付着し易い物が進入しにくくなっている。また、波エネルギー利用装置1の外部の波Wが傾斜部3を越波して開口3aからプール6内に入った水は、気泡が多量に含まれていることが多いが、この気泡は網30を通過する際にある程度消滅させることができる。
上流支持部230の内部には、入口29の下方で回転部160の羽162よりも上方に、入口29から入って来る水の流れ22を案内するガイド部31が配設されている。このガイド部31は、図6に示すように、回転軸17aが貫通する中央部の内リング32から外側の外リング34まで放射状に延びる複数枚の案内羽311と、図4に示すように、内リング32の上部に配設されて回転軸17aが貫通し、回転軸17a側から下方の回転部160の囲繞部161に向かって末広がりに拡がる案内面313を有した案内部材312とを有している。ガイド部31としては、案内羽311および案内部材312の何れか一方だけでもよいし、例示したように双方を備えるようにしてもよい。
外リング34は、その外側面が上流支持部230の入口29の内壁に密着するように装着されている。ガイド部31の案内羽311は、上流支持部230の中心付近の水の流れ22を回転部160の囲繞部161の内壁付近に向けて誘導して、回転部160の羽162に効率よい角度で水が当たるとともに羽162と囲繞部161との接合部付近に水が当たるようにしたものである。また、案内部材312は、保護管19ならびに内リング32を貫通する回転軸17aと内リング32の内側との間隙に水中を浮遊する異物が入らないようにするカバーの役目も果たすものである。
図4では、案内部材312の下端部は内リング32の外側面よりも僅かに外側に延びているように示したが、案内羽311の近傍あるいは案内羽311の隣り合う隙間に至る程度まで下端部を延ばしてもよい。この案内部材312によっても上流支持部230の中心付近の水の流れ22を回転部160の囲繞部161の内壁付近に向けることができる。
図9および図10に示すように、一般的に円筒管内を流れる水の流速分布からすれば、管の中心部の流速が速く、管壁部は摩擦抵抗があるため流速が遅い。したがって、管中心部近くを流れる水に比べ、管壁部の近くを流れる水の流れには、水車を回転させるエネルギーが小さいことになる。円筒管内において、一定の水量を流す場合に、円筒管内に設けた水車の回転トルクの点から見れば、管中心部にたくさんの水を流すよりは管壁部近くにたくさん水を流した方が水車の回転トルクが大きくなる。
図7および図8に示すように、ガイド部31は、内リング32に近い所よりも外リング34に近い所の方が隣接する案内羽311同士の間隔が広く、水が流れ易くなっている。このため、回転部160の囲繞部161に近い所ほど流れる水の量が多く、効率よく回転部160を回転させることができる。さらに、案内羽311によって誘導される水は、案内羽311の角度によって回転部160の羽162に当たる角度が異なるので、案内羽311は、誘導した水が効率よい角度で回転部160の羽162に当たるようになっている。
このガイド部31は、図4に例示したものでは、外リング34の下端部が回転部160の囲繞部161の上端部に至っており、その下端部は軸受27に受けられている。内リング32には、発電機用水車16aの回転軸17aが通り抜けて上方に延びている。
回転軸17aの下端は、ナット35、割りピン36などによって回転部160に取り付けられている。ナット35等の全体はカバー37によって覆われている。
前記案内部材312は、保護管19ならびに回転軸17aに沿って流れてきた水の流れ22が内リング32の内部穴を通過できにくいようにしてあり、同時に回転軸17aは、この内部穴の中で自由に回転できるようになっている。また、案内部材312は、砂や貝殻など水中の不純物が内リング32の内部穴に進入することを防いでいる。
なお、図11に示すように、回転部160を支持する下流支持部231の高さを高くするとともに、その内壁から回転部160の回転軸17aの直下まで腕部90を延設し、この腕部90に回転部160の回転軸17aを受ける軸受91を設けてもよい。
次に第1の実施の形態の作用を説明する。
波エネルギー利用装置1は、水面S上に浮かぶ浮遊物体であると同時に、傾斜部3の傾斜面3bが渚と同様の作用をする浮遊渚と言えるものであり、波の発生する水域に設置される。波エネルギー利用装置1の本体10は、海底のような水底SGから係留装置の係留チェーン2により係留してある。波エネルギー利用装置1の平面形状は、傾斜部3が均等なリング状の多角形をなしているために、波がどの方向から来てもほぼ同様の作動ができ、ほぼ同様の効果が得られる。したがって、波エネルギー利用装置1を設置する際に、原理的に特定の設置方向を定める必要はない。
波エネルギー利用装置1に寄せて来た波Wは、先ず、バランス浮体Bに当たるか直接に傾斜部3の傾斜面3bに乗り上げる。バランス浮体Bは前記したとおり、所定の間隔を保ちながら収斂堤11の延長線上に配置されているので、バランス浮体Bに当たった波Wはバランス浮体Bの両側に分かれて進み、側壁4の上を通過して収斂堤11で仕切られた傾斜部3の傾斜面3bに乗り上げる。
傾斜面3bに乗り上げた波Wは、本体10の中心部に向かって進む。隣り合う収斂堤11同士の間隔は中心部に向かって狭くなっているので、波Wは、中心部に近付くにつれて収斂堤11によって絞り上げられるような収斂作用によって収斂されるとともに波高が高くなる。
波は、各々の傾斜部3の傾斜面3b上で収斂、波打ち作用、砕波現象などを繰り返しながら最後に傾斜部3の頂点を越波して開口3aからプール6内に落ちる。波の進行方向に対して正面の傾斜面3bに入った波Wと、収斂堤11を境にした隣りの傾斜面3bに入った波Wとでは、入射時に時間差があると同時に波Wの入射角度(屈折角度)が異なることから、越波時に時間差が生じる。
波エネルギー利用装置1の作動を一定の時間で区切り、その間の水の流れを見れば、時計の針が回るようにある程度の均等な角速度をもって時計回りの流れと反時計回りの流れとが同時に起こるような現象でプール6内に波が入ることになる。このような現象はある程度の平滑化された入力とみなすこともできる。
これにより、例えば大海にぽっかり浮かんだ小島のように、大海全体としてはある程度一定の方向に波が進行している場合でも、小島の中に立って小島そのものの波打ち際を見ればある程度の方向性はあるものの、全周囲からその小島に波が押し寄せてくる。例えば、大海の波の進行方向とは全く逆方向の下手側においても、波はある程度小波にはなっているものの、その下手側からもその小島に対して廻り波、返し波のような現象でその海岸線に打ち寄せてくる。この現象を本発明の波エネルギー利用装置1に利用して、どのような方向からどのような状況で入射してくる波であっても、効率よく収斂堤11で区切られた傾斜部3の傾斜面3b上に、すなわち本装置1内に有効に取り入れ、次々と越波してくる波を効率良くプール6内に取り入れることができる。
プール6内に入った水は、傾斜部3の傾斜面3bを遡上した水の水位と本体10の外部の水の水位との水位差によって、プール6の底部8に設けた連通部15内の発電機用水車16aや圧縮機駆動用水車16bやポンプ駆動用水車16cを回転させる。発電機用水車16aと圧縮機駆動用水車16bとポンプ駆動用水車16cとを回転させる水は、それぞれの水車16a、16b、16cの上方に設けた網30によって水中に含まれる海草類や魚介類、その他、水車16a、16b、16cの回転部160等に目詰まりするような物が取り除かれる。
各水車16a、16b、16cの回転部160を回転させる水は、回転部160の上流側に設けたガイド部31を通過する際に、囲繞部161の内壁近傍の流速が速くなるように整流されて回転部160を効率よく回転させてから、開状態の開閉弁14を通過して放水ホース13を通って水中に放水される。
囲繞部161は、その下部を下流軸受26の下流スラスト軸受部26aおよび下流ラジアル軸受部26bが受けており、上部を上流軸受27の上流スラスト軸受部27aおよび上流ラジアル軸受部27bが受けており、さらにこれら軸受部26a、26b、27a、27bにはカラー33を設けてあるので発電機用水車16a、圧縮機駆動用水車16bおよびポンプ駆動用水車16cは、スムーズに回転することができる。
発電機用水車16aの回転部160が回転すると、発電機用水車16aから上方に向けて延設されている回転軸17aが回転する。回転軸17aの保護管19が設けられているために波浪現象等による水撃から回転軸17aの回転を保護することができる。これにより、回転軸17aの上部に連結されている回転伝達手段18aを介して発電機12が駆動する。発電機12の駆動によって発電された電気は、電気分解装置400に給電して海水の電気分解に使用したり、バッテリー402に蓄電したりすることができる。
同様にポンプ駆動用水車16cの回転は、回転伝達手段18cを介して給水ポンプPに伝達され、給水ポンプPを駆動する。給水ポンプPの取水口は、プール6内の水中に有るので、給水ポンプPが駆動するとプール6内の水が汲み上げられて電気分解装置400の電気分解槽に給水される。
また、同様に圧縮機駆動用水車16bの回転は、回転伝達手段18bを介して圧縮機431、432に伝達され、圧縮機431、432を駆動する。これにより、圧縮機431、432は、電気分解装置400によって発生して分離された水素ガスを水素貯蔵タンク410に圧縮して貯蔵し、また、酸素ガスを分離できるものの場合には酸素ガスを酸素貯蔵タンク420に圧縮して貯蔵することができる。電気分解槽の水に浸す陽極を高活性酸化物とすることにより、塩素を気体として発生させずに酸素を気体として取り出すことができる。
電気分解槽に給水された海水は、発電機12からの給電により電気分解される。これにより、陰極では水素とともに水酸化ナトリウムが発生し、陽極では塩素が発生する。この塩素は、電気分解槽内で水酸化ナトリウムと瞬時に反応して次亜塩素酸ナトリウムとなる。
次亜塩素酸ナトリウムは、排水管403を通して波エネルギー利用装置1の周辺に排出される。次亜塩素酸ナトリウムには殺菌作用があるので、波エネルギー利用装置1の周辺に排出することにより、フジツボやその他の海洋生物が波エネルギー利用装置1に付着することを防止することができる。
一方、水素は、水素ガスとなって電気分解槽内の海水よりも上方に溜まる。この水素ガスは、ガス分離器を経て圧縮機431に導かれて圧縮され、水素貯蔵タンク410に圧縮された状態のままで貯蔵することができる。
また、電気分解槽に設けられている電極のうちの陽極を高活性酸化物とすることにより、塩素が発生しないようにして、酸素を取り出すようにすることができる。この場合には、ガス分離器によって水素ガスと分離された酸素ガスを圧縮機432に導いて圧縮し、酸素貯蔵タンク420に圧縮した状態で貯蔵することができる。
発電機用水車16a、圧縮機駆動用水車16bおよびポンプ駆動用水車16cの回転部160の回転を止めるには、それぞれの水車16a、16b、16cごとに設けてある開閉弁14を閉状態にすればよい。この各開閉弁14を適宜に開状態または閉状態にしておくことにより、必要に応じて水車16a、16b、16cを稼動させることができる。
なお、波が小さくてプール6内への水の進入量が小さい場合には、発電機12による発電量が小さくなるので、バッテリー402から電気分解装置400に補助的に給電してもよい。また、給水ポンプPや圧縮機431、432に補助モータを取り付けておき、これらの補助モータに給電して給水や圧縮の補助ができるようにしてもよい。
なお、水車16は、基本的には発電機用水車16a、圧縮機駆動用水車16bおよびポンプ駆動用水車16cのいずれも僅かな違い、例えば、羽をそれぞれに最適な形状とするなど、設計上の僅かな違いを除いて、基本構成は前記した構成とほぼ同様のものである。
また、本発明の実施の形態に係る波エネルギー利用装置1の使用は、海水域の他にも汽水域や湖沼等の淡水域で使用することもできる。
図12および図13は、本発明の第2の実施の形態を示している。
本実施の形態では、波エネルギー利用装置1が備える電気分解装置400を電気分解槽装置500としたものである。
なお、第1の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
本実施の形態に係る波エネルギー利用装置1Aでは、本体10の上に作られたベース401には電気分解装置400の電気分解槽と貯蔵タンクとが配設されておらず、電気分解槽501はプール6内に配設されており、水素ないし酸素の貯蔵タンクとして収斂提11内に形成された浮力室511が使用されている。
電気分解装置500の電気分解槽501は、プール6内に配設されている。ベース401からは、下方のプール6内に向かって隔離空間520が延設されている。この隔離空間520は、プール6の上方の開口3aの周縁に沿うように配置されており、その内部はプール6内の水が浸入しないように隔離されていると同時に、屋根等を設けて雨水流入防止対策等も施されているものとする。この隔離空間520内に電気分解槽501が配設されている。
隔離空間520は、電気分解槽501を配設したときに余剰空間が残る大きさを有している。この余剰空間は、電気分解槽501の保守点検作業をするための保守空間として確保してあるものである。隔離空間520には、底まで降りることができるように不図示の梯子階段等が設置されている。また、隣り合う隔離空間520の境には仕切壁508が設けられており、この仕切壁508によって隣り合う隔離空間520相互間での水の流入を完全に遮断している
図13においては、6組の電気分解槽501が設けられており、各電気分解槽501からは、一対のガス回収管502がそれぞれ隣り合う浮力室511まで延設されており、電気分解槽501と浮力室511とを連通している。一対のガス回収管502は、水の電気分解によって発生した水素および酸素を浮力室511に貯蔵するときに水素および酸素を通すものである。一対のガス回収管502のうち一方は、水素ガスを貯蔵するための浮力室511に連結されており、もう一方は、酸素ガスを貯蔵するための隣の浮力室511に連結されている。
電気分解装置500に供給する電気は、第1の実施の形態の場合と同様に、発電機用水車16aの回転によって駆動される発電機12によって発電されたものが被覆電線507によって供給される。発電機12によって発電された電気は、被覆電線506によって例えば地上に設置した水の電気分解装置の電力として給電してもよい。
本実施の形態では、電気分解装置500の電気分解槽501へ給水する水はプール6内の水ではなく、波エネルギー利用装置1Aの外部の水である。この給水のための給水ポンプ503がポンプ駆動用水車16cに連結されている。給水ポンプ503の取水側には取水管504が接続されている。取水管504は、波の大きいときでも取水端が確実に水面S下になる位置まで延ばされている。取水端にはストレーナ504aが取り付けられている。
給水ポンプ503の給水側には、取水管504を通して取水した水を電気分解装置500に給水するための給水管505が接続されている。
次に第2の実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態が第1の実施の形態と異なる構成は、電気分解装置500の電気分解槽501がプール6内に配設されている点、電気分解装置500に給水する水がプール6内の水ではなく、波エネルギー利用装置1Aの外部の水である点であるので、この相違による本実施の形態に特有の作用を中心に説明する。
発電機12に駆動力をもたらす発電機用水車16aおよび給水ポンプ503に駆動力をもたらすポンプ駆動用水車16cは、第1の実施の形態について説明したように波エネルギー利用装置1Aの収斂提11に区切られた傾斜面3bを遡上して開口3aからプール6内に進入した水の水位と本体10外部の水の水位との水位差によって回転する。この回転がそれぞれ発電機12および給水ポンプ503に伝達されてそれぞれの駆動力となる。
給水ポンプ503が駆動すると、波エネルギー利用装置1Aの外部の水を取水管504の取水端部から取水する。取水された水は、取水端部に設けられたストレーナ504aによって漉される。
給水ポンプ503は、取水して漉した水を給水管505内に押し出す。給水管505を通った水は、電気分解槽501に給水される。
電気分解槽501では、発電機12によって給電された電気によって水の電気分解が行われる。電気分解によって発生した水素と酸素はそれぞれ別々のガス回収管502を通して異なる浮力室511に送られて貯蔵される。貯蔵は不図示の圧縮機によって圧縮された状態で貯蔵される。
次に、波エネルギー利用装置1、1Aを用いた波エネルギー利用プラントについて説明する。
図14は、波エネルギー利用装置1、1Aを用いた波エネルギー利用プラントの一例を示す説明図である。
図14に示したように、波エネルギー利用プラントは、複数の波エネルギー利用装置1、1Aと海底に固定した少なくとも一部が水中にある複数の貯蔵タンクTとから構成されている。複数の貯蔵タンクTは、波エネルギー利用装置1、1Aの電気分解装置400、500によって電気分解して得られた水素ガスないし酸素ガスを貯蔵するものである。複数の波エネルギー利用装置1、1Aのそれぞれにおいて水の電気分解によって得られた水素ガスないし酸素ガスは、配管された不図示のガス管によって複数の貯蔵タンクTに送られるようになっている。また、複数の貯蔵タンクTは、貯蔵した水素ガスないし酸素ガスを地上等の他所へ送るための送出管Eが連結されている。
複数の貯蔵タンクTは、波Wの来る方向Dに交差する方向に波状に延設されている。図示した例では、複数の貯蔵タンクTが3列に配列されている。来る波Wは、複数の貯蔵タンクTの波状配列の山部Hに当たると、収斂されながら波状配列の谷部Lに向かう。
各谷部Lには3機の波エネルギー利用装置1、1Aが配置されている。各波エネルギー利用装置1、1Aは、第1の実施の形態について説明したように本体10が水底SGから係留チェーン2により係留されており、水面S上に浮遊している。
このように、来る波Wが複数の貯蔵タンクTの波状配列によって収斂されながら波状配列の谷部Lに向かって進むので、谷部Lでは波高が高くなる。すなわち、谷部Lに向かって波エネルギーが集中する。これにより、この谷部Lに配置した波エネルギー利用装置1、1Aは、波エネルギーを有効に利用することができる。また、この波エネルギー利用プラントよりも遠方では波高が低いときであっても、波状配列された貯蔵タンクTによって収斂されて波高が高くなるので、波エネルギー利用装置1、1Aにおける電気分解装置400、500の稼働を安定して行わせることができる。
波力等自然エネルギーのほとんどは、希薄的、散逸的な性質を有するが、時には台風時のような集中的な性質を現すこともある。このような性質を有する自然エネルギーは、利用するには扱い難いものであるが、今後の地球環境やエネルギー事情等を勘案すると、安定して利用できるようにすることが強く望まれる。本発明によれば、べた凪等の極小エネルギーを安定吸収することと、台風時等の過大な集中的エネルギーを安定吸収することとを両立させることができる。
また、貯蔵タンクTを水中に設けることにより、水中の設置水深の深さに応じて貯蔵タンクTに外圧をかけることが出来る。すなわち、波浪の現象はあるものの、水素を貯蔵する場合に貯蔵タンクTに水の外圧が働き、その分だけ内容物の圧力を高く設定しても強度的には差し支えない。
また、海水による腐食問題等は、近年では塗装やコーティング等で十分に対処することができる。
そして、貯蔵タンクTや配管等から水素ガスや酸素ガスが漏れ出した場合においても、周囲は水であるために、引火、爆発等の危険性は極めて低い。また、陸上の装置の場合には夏場の太陽の輻射熱等によるタンクの温度上昇が水素の貯蔵量に影響するが、本発明に係る波エネルギー利用装置1、1Aは、周囲が水である環境化で使用されるので、周囲の水による自然冷却によってタンクの温度上昇が抑えられる。これにより、水素の貯蔵量の減少を抑えることができる。
また、水中に水素ガスが漏れ出した場合であっても公害等を引き起こす心配がなく、水を電気分解して得た水素が元の水に戻るだけのことであり、水封シールの効果は大きい。
そして、貯蔵タンクTを二重タンクあるいは多重タンク構造にし、その中間タンクには加圧水を順次に注入することにより、強度的には、その分だけ内容物の圧力を高く設定することができる。
それと同時にタンクの輸送時には、中間タンクの加圧水を抜き取って浮力室とすることにより、水上を簡単に曳航できて、設置場所で水を注入することにより、簡単に沈下設置ができる。造船所等の内作工場では、大型の重機や機械設備等も自由に使えることから、大規模な量産体制と海上曳航方式を採用することにより、著しいトータルコストの低減と、蓄エネルギー、蓄資源、蓄電力ならびにCOの削減効果が見込める。
図15は、波エネルギー利用装置を用いた波エネルギー利用プラントの他の例を示す説明図である。
この例では、水を電気分解するための電気分解装置を地上Mに設置し、この地上Mに設置した電気分解装置に波エネルギー利用装置1、1Aで発電した電気を給電するものである。
図示したように、複数の波エネルギー利用装置1、1Aと地上Mの水素製造プラントの電気分解槽とは被覆電線506によって接続されている。なお、第1の実施の形態として説明した、図1に示した波エネルギー利用装置1には被覆電線506が図示されていないが、図15に示した波エネルギー利用プラントに波エネルギー利用装置1を使用する場合は、図12に示した波エネルギー利用装置1Aと同様に被覆電線506を設ければよい。
前記のように、複数の波エネルギー利用装置1、1Aでは、波エネルギーを利用してそれぞれの発電機用水車16aに連動する発電機12が発電する。この発電された電気は、被覆電線506によって地上Mに設置された水の電気分解装置に給電することができる。
A…貫通孔
B…バランス浮体
E…送出管
H…山部
L…谷部
P…給水ポンプ
S…水面
SG…水底
T…貯蔵タンク
W…波
1、1A…波エネルギー利用装置
2…係留チェーン
3…傾斜部
3a…開口
3b…傾斜面
4…側壁
5…スカート
5b…重り
6…プール
7…プール側壁
8…プールの底部
9…浮力室
9a…底部
10…本体
11…収斂堤
12…発電機
13…放水ホース
14…開閉弁
15…連通部
16…水車
16a…発電機用水車
16b…圧縮機駆動用水車
16c…ポンプ駆動用水車
17a、17b、17c…回転軸
18a、18b、18c…回転伝達手段
19…保護管
20…ボス部
21…キー
22…水の流れ
24…取付部
26…下流軸受
27…上流軸受
26a…下流スラスト軸受部
26b…下流ラジアル軸受部
27a…上流スラスト軸受部
27b…上流ラジアル軸受部
28…アーム
29…入口
30…網
31…ガイド部
32…内リング
33…カラー
34…外リング
35…ナット
36…割りピン
37…カバー
90…腕部
91…軸受
160…回転部
161…囲繞部
162…羽
230…上流支持部
231…下流支持部
232…傾斜面
233…傾斜面
240…取付座
311…案内羽
312…案内部材
313…案内面
400…電気分解装置
401…ベース
402…バッテリー
403…排水管
410…水素貯蔵タンク
420…酸素貯蔵タンク
431、432…圧縮機
431a、432a…圧縮機の駆動部
500…電気分解装置
501…電気分解槽
502…ガス回収管
503…給水ポンプ
504…取水管
504a…ストレーナ
505…給水管
506、507…被覆電線
508…仕切壁
511…浮力室

Claims (7)

  1. 水面下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面を有し、前記中心部に
    開口を有する本体と、該本体の前記傾斜面上に前記中心部から前記傾斜面上を前記周縁に
    向かって放射状に立設した、波を収斂するための収斂堤とを備え、前記中心部が水面上に
    出るように前記本体を水面に浮かせて、波の動きにともなって前記中心部の開口から進入
    する水を利用する波エネルギー利用装置において、
    水の電気分解によって水素を発生させる電気分解装置および発電機と、前記中心部の開口よりも下方に設けられ、水中側に連通する連通部を有するプールと、前記連通部に配設された水車と、貯蔵タンクと、を備え、
    前記発電機は、前記水車の回転に連動して発電するものであり、
    前記収斂提に区切られた前記傾斜面を遡上して前記開口から前記プール内に進入した水
    の水位と本体外部の水の水位との水位差によって前記水車を回転させ、該水車の回転によって前記発電機を駆動して、該発電機が発電した電気を前記電気分解装置に供給して水を電気分解することによって水素を発生させることを特徴とする波エネルギー利用装置。
  2. 水面下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面を有し、前記中心部に
    開口を有する本体と、該本体の前記傾斜面上に前記中心部から前記傾斜面上を前記周縁に
    向かって放射状に立設した、波を収斂するための収斂堤とを備え、前記中心部が水面上に
    出るように前記本体を水面に浮かせて、波の動きにともなって前記中心部の開口から進入
    する水を利用する波エネルギー利用装置において、
    水の電気分解によって水素を発生させる電気分解装置および発電機と、前記中心部の開口よりも下方に設けられ、水中側に連通する連通部を有するプールと、前記連通部に配設された水車と、前記収斂提の内部に設けた、貯蔵タンクを兼ねる浮力室と、を備え、
    前記発電機は、前記水車の回転に連動して発電するものであり、
    前記収斂提に区切られた前記傾斜面を遡上して前記開口から前記プール内に進入した水
    の水位と本体外部の水の水位との水位差によって前記水車を回転させ、該水車の回転によって前記発電機を駆動して、該発電機が発電した電気を前記電気分解装置に供給して水を電気分解することにより、水素を発生させて、これを前記浮力室に貯蔵することを特徴とする波エネルギー利用装置。
  3. 水面下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面を有し、前記中心部に
    開口を有する本体と、該本体の前記傾斜面上に前記中心部から前記傾斜面上を前記周縁に
    向かって放射状に立設した、波を収斂するための収斂堤とを備え、前記中心部が水面上に
    出るように前記本体を水面に浮かせて、波の動きにともなって前記中心部の開口から進入
    する水を利用する波エネルギー利用装置において、
    水の電気分解によって水素を発生させる電気分解装置および発電機と、前記中心部の開口よりも下方に設けられ、水中側に連通する連通部を有するプールと、前記連通部に配設された水車と、前記収斂提の内部に設けた、貯蔵タンクを兼ねる浮力室と、を備え、
    前記電気分解装置は、前記プール内に配設した電気分解槽と、該電気分解槽と前記浮力室とを連通し、前記電気分解槽で発生した水素を前記浮力室に送るためのガス回収管とを有し、
    前記発電機は、前記水車の回転に連動して発電するものであり、
    前記収斂提に区切られた前記傾斜面を遡上して前記開口から前記プール内に進入した水
    の水位と本体外部の水の水位との水位差によって前記水車を回転させ、該水車の回転によって前記発電機を駆動して、該発電機が発電した電気を前記電気分解装置に供給して水を電気分解することにより、水素を発生させて、これを前記浮力室に貯蔵することを特徴とする波エネルギー利用装置。
  4. 水面下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面を有し、前記中心部に
    開口を有する本体と、該本体の前記傾斜面上に前記中心部から前記傾斜面上を前記周縁に
    向かって放射状に立設した、波を収斂するための収斂堤とを備え、前記中心部が水面上に
    出るように前記本体を水面に浮かせて、波の動きにともなって前記中心部の開口から進入
    する水を利用する波エネルギー利用装置において、
    水の電気分解によって水素を発生させる電気分解装置および発電機と、前記中心部の開口よりも下方に設けられ、水中側に連通する連通部を有するプールと、前記連通部に配設された水車と、前記収斂提の内部に設けた、貯蔵タンクを兼ねる浮力室と、を備え、
    前記電気分解装置は、前記プール内に該プール内の水から隔離して設けた隔離空間内に配設した電気分解槽を有し、
    前記隔離空間は、前記電気分解槽を配設した余剰空間が前記電気分解槽の保守点検作業を可能にする保守点検空間であり、
    前記発電機は、前記水車の回転に連動して発電するものであり、
    前記収斂提に区切られた前記傾斜面を遡上して前記開口から前記プール内に進入した水
    の水位と本体外部の水の水位との水位差によって前記水車を回転させ、該水車の回転によって前記発電機を駆動して、該発電機が発電した電気を前記電気分解装置に供給して水を電気分解することにより、水素を発生させて、これを前記浮力室に貯蔵することを特徴とする波エネルギー利用装置。
  5. 前記プール内の水もしくは装置外部の水を前記電気分解装置に給水するための給水ポンプを備え、
    前記給水ポンプは、前記水車の回転によって駆動することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の波エネルギー利用装置。
  6. 水面下となる周縁から上向きに中心部に向かって傾斜した傾斜面を有し、前記中心部に
    開口を有する本体と、該本体の前記傾斜面上に前記中心部から前記傾斜面上を前記周縁に
    向かって放射状に立設した、波を収斂するための収斂堤とを備え、前記中心部が水面上に
    出るように前記本体を水面に浮かせて、波の動きにともなって前記中心部の開口から進入
    する水を利用する波エネルギー利用装置を配置した波エネルギー利用プラントであって、
    前記波エネルギー利用装置と海底に固定した少なくとも一部が水中にある複数の貯蔵タンクを有し、
    前記複数の貯蔵タンクは、波の来る方向に交差する方向に延びる波状に配列し、来る波が前記波状配列の山部に当たってから収斂されながら向かう前記波状配列の谷部ないし該谷部の後方に前記波エネルギー利用装置を配置し、
    前記波エネルギー利用装置は、水の電気分解によって水素を発生させる電気分解装置および発電機と、前記中心部の開口よりも下方に設けられ、水中側に連通する連通部を有するプールと、前記連通部に配設された水車と、を備え、
    前記発電機は、前記水車の回転に連動して発電するものであり、
    前記収斂提に区切られた前記傾斜面を遡上して前記開口から前記プール内に進入した水
    の水位と本体外部の水の水位との水位差によって前記水車を回転させ、該水車の回転によって前記発電機を駆動して、該発電機が発電した電気を前記電気分解装置に供給して水を電気分解することによって発生した水素を前記貯蔵タンクに貯蔵することを特徴とする波エネルギー利用プラント。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の波エネルギー利用装置から前記水車に連動する発電機によって発電された電気を、地上に設置された水の電気分解装置の電力としての供給ないし地上への配電をすることを特徴とする波エネルギー利用プラント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102433864A (zh) * 2011-10-14 2012-05-02 罗俊亚 制氢水电站
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JP2018178231A (ja) * 2017-04-20 2018-11-15 株式会社神鋼環境ソリューション 水素・酸素発生装置

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