JP2010158546A - 遊技機 - Google Patents

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高明 市原
Yuji Hasegawa
有史 長谷川
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Abstract

【課題】 遊技意欲を高めることができる遊技機を提供する。
【解決手段】 パチンコ機1は、その遊技様態として通常状態および確率変動状態のいずれか一方に繰り返し切り替えて遊技を進行する。また、この遊技の進行に伴って装飾ランプが点灯・点滅・消灯され、様々な演出を行う。特に大当りなどの特別な遊技状態になると、装飾ランプが特別なパターンで点灯・点滅するので、演出的な効果が高まることで遊技意欲の向上につなげることができる。
【選択図】 図1

Description

従来の遊技機では、遊技者に利益が与えられるか否かは抽選で決定されるが、なかでも大当り確率変動機は、特定の当りに当選すると抽選の確率を通常よりも高くするものである。このため遊技者にとっては、通常確率の状態(以下「通常状態」と呼称する)から抽選確率が高くなった状態(以下「確率変動状態」と呼称する)で遊技することができれば、それだけ当たりやすくなり、結果的に大当り回数を増やすことで大量の利益が得られる可能性が高くなるといえる。
このため大当り確率変動機では、いわゆる確変大当り等によって確率変動状態になると、その旨を遊技者に大々的にアピールすることで、続けて大当りの利益が得られることへの期待感を高める手法が採用されている。この場合、確率変動状態であることを知った遊技者が次の大当りへの期待感を抱きつつ遊技を継続する。その反面、最初の大当りによって確率変動状態にならない(いわゆる通常大当り)ことが遊技者にわかってしまうと、大当り遊技の終了後に遊技者が次の大当りへの期待感や遊技意欲を失ってしまい、そこで遊技をやめてしまう傾向にあり、結果、遊技機の稼働率の低下に結び付く。
このように、確変大当りの場合はよいが、そうでない場合はかえって遊技意欲の減退を招き、結果的に遊技機の稼働を低下させてしまうという問題点が生じる。
このような問題点を解消すべく、遊技中の現在の遊技様態を表示しない遊技機が考えられる。
例えば、遊技様態が確率変動状態であることを遊技者に知らせることをできるだけ遅らせる遊技機が知られている(特許文献1参照。)。
この公知の遊技機においては、大当り終了後に特別図柄変動の停止がある度に確変報知遅延カウンタをデクリメントし、この確変報知遅延カウンタが0になると現在の遊技様態を表示するものとなっている。つまり、この公知の遊技機では、現時点での遊技様態が確率変動状態であるか否かに関して遊技機外部に報知しない期間が存在しており、この期間内においてはその遊技者が遊技様態を知ることができないようになっている。このような遊技機によれば、確率変動状態への移行を遊技者が知るまでの間に遊技を自主的に継続させて遊技機の稼働を上げることができると考えられる。
特開2000−271297号公報
しかしながら、このような公知の遊技機では、遊技様態を外部に出力しない期間内において次のような問題点が生ずるおそれがある。すなわち、例えばホール従業員が遊技者の意に反して不正に遊技機の内部状態である遊技様態を変更しようとした際に、その遊技者がこの不正行為に気付かないおそれがあるのである。具体的には、例えばホールの従業員が遊技機の不具合対処を装って、遊技様態が内部的に確率変動状態となっている遊技機に対していわゆるRAMクリア処理(初期化処理)を行うことで、遊技者にとって不利な低確率状態に変更されてしまうおそれがある。このような不正が行われたのでは、遊技していた遊技者は全く知らないうちに大当たりにより本来享受することができたはずの利益を享受することができなくなってしまうおそれがあった。
そこで本発明は、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されたことを容易に発見することができる技術の提供を課題としたものである。
(解決手段1)
本発明の遊技機は、所定の確率で遊技者に利益を付与すべきか否かの抽選を行うとともに、当選の場合は遊技者に対していかなる利益を付与すべきかを判別する利益判別手段を備え、この利益判別手段の判別結果に基づいて遊技者に所定の利益を付与することが可能な遊技機において、前記抽選の実行に際し、前記所定の確率を相対的に低く設定した第1遊技様態と、この低確率遊技様態よりも前記所定の確率を高く設定した第2遊技様態とのいずれかに変更可能とする当選確率変更手段と、前記当選確率変更手段によって遊技様態が前記第2遊技様態に変更されたか否かに関する遊技様態情報を電力供給が停止された際に記憶する記憶手段と、電力供給の開始操作を契機として初期化信号を発生するとともに、この初期化信号の発生によって前記記憶手段に記憶されている前記遊技様態情報の初期化を実行させる初期化操作手段と、前記初期化信号の発生を契機として前記遊技様態が前記第2遊技様態であるか否かに関する情報を遊技機が外部に向けて教示する情報教示手段とを具備するものである。
ここでまず、本発明の遊技機において、例えばホールの従業員が遊技者の意に反して不正に遊技様態を操作しようとしているケースを想定する。まず、本発明の遊技機では、遊技の進行に応じてその内部状態である遊技様態が第1遊技様態に変更されたり或いは第2遊技様態に変更されるときがある。遊技様態が第2遊技様態である場合には抽選確率が第1遊技様態よりも高く設定されていることから、第2遊技様態を想定している遊技者であれば、いずれ近いうちに大当りにより利益を享受することができるとの期待感を抱きつつ遊技を続けていくことができる。
ここで、例えば遊技中に本発明の遊技機に不具合が生じた場合には、ホール従業員がその不具合に対して対処を行うが、この際、ホール従業員が、遊技者の知らないうちに遊技様態を変更してしまう(第2遊技様態から第1遊技様態に戻してしまう)おそれがある。具体的には、ホール従業員が遊技機に生じた不具合に対して対処することを装って、いわゆるRAMクリアのような初期化処理を行うことにより、遊技様態を不正に変更しようとすることが挙げられる。
遊技様態が第1遊技様態であった場合には、もともと抽選確率が相対的に低く設定された状態であるため、初期化処理されても抽選確率に変更はなく遊技者はさほどの影響を受けないと考えられる。
その一方で、遊技様態が第2遊技様態であった場合には、抽選確率が相対的に高く設定された状態であるため、このような初期化処理がなされると遊技様態が内部的に第2遊技様態から第1遊技様態へと変更され、抽選確率が相対的に低く設定されてしまう。本発明の遊技機においては、遊技様態を直接的に外部に対して開示せず、遊技者に遊技機の挙動を観察させたり遊技者の経験則を当てはめたりしながら遊技様態を詮索したり、推測したりしながら遊技を楽しませるものである。このため本発明の遊技機では、一見すると、このような不正が行われても遊技様態の変更を遊技者に気づかせにくく、遊技者においては抽選確率が変更されてしまったことを認識することができないようにも思われる。
しかしながら、本発明の遊技機においては、例えばホール従業員が初期化操作手段を操作した際に初期化信号が出力され、この初期化信号の発生を契機として遊技様態が第2遊技様態であるか否かに関する情報を遊技機が外部に向けて教示する。このため遊技者は、意に反して不正に抽選確率が相対的に低く設定されようとしていることを認識することができる。したがって、本発明の遊技機によれば、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを遊技者が容易に発見することができる。
(解決手段2)
以上の構成をより詳細に規定すると、本発明の遊技機は、所定の確率で遊技者に利益を付与すべきか否かの抽選を実行するとともに、当選の場合は遊技者に対していかなる利益を付与すべきかを判別する利益判別手段を備え、この利益判別手段の判別結果に基づいて遊技者に所定の利益を付与することが可能な遊技機において、前記抽選の実行に際し、前記所定の確率を相対的に低く設定した第1遊技様態と、この第1遊技様態よりも前記所定の確率を倍以上(または2倍以上)高く設定した第2遊技様態とのいずれかに変更可能とする当選確率変更手段と、遊技者に利益を付与するための1つの動作として、所定の可動体を作動させて遊技球の受け入れを容易化させる球入賞手段と、前記利益判別手段の判別結果が基礎的な条件を満たす場合、前記可動体の作動による前記球入賞手段での遊技球の受け入れの容易化を提供することで遊技者に基礎的な利益を付与する基礎的利益付与手段と、前記利益判別手段の判別結果が特別の条件を満たす場合、前記当選確率変更手段による前記第2遊技様態への変更と、前記可動体の作動による前記球入賞手段での遊技球の受け入れの容易化とを合わせて提供することで遊技者に高付加価値利益を付与する高付加価値利益付与手段と、前記利益判別手段の判別結果に基づいて前記当選確率変更手段による前記第2遊技様態への変更と、前記可動体の作動による前記球入賞手段での遊技球の受け入れの容易化とを合わせて提供するとともに、前記高付加価値利益付与手段の場合と比較すると相対的に前記球入賞手段での遊技球の受け入れ度合が低くなる態様で前記可動体を作動させることにより、前記高付加価値利益よりも価値の低い低付加価値利益を遊技者に付与する低付加価値利益付与手段と、前記利益判別手段の判別結果が特定の条件を満たす場合、前記当選確率変更手段による前記第2遊技様態への変更を伴うことなく、前記低付加価値利益付与手段と同一か、もしくは近似した態様で前記可動体の作動による前記球入賞手段での遊技球の受け入れの容易化を提供することにより、前記低付加価値利益とは異
なる小価値利益を遊技者に付与する小価値利益付与手段と、前記当選確率変更手段によって遊技様態が前記第2遊技様態に変更されたか否かに関する遊技様態情報を電力供給が停止された際に記憶する記憶手段と、電力供給の開始操作を契機として初期化信号を発生するとともに、この初期化信号の発生によって前記記憶手段に記憶されている前記遊技様態情報の初期化を実行させる初期化操作手段と、前記初期化信号の発生を契機として前記遊技様態が前記第2遊技様態であるか否かに関する情報を遊技機が外部に向けて教示する情報教示手段とを備えたものである。
解決手段2では、単に基礎的な利益とそれに特典を付加した付加価値利益の2つがあるだけでなく、大きく分けて4種類の利益(基礎的な利益、高付加価値利益、低付加価値利益、小価値利益)を遊技者に付与するものであるが、いずれの利益を付与するかは抽選に当選した場合の判別結果で異なったものとなる。このうち、基礎的な利益が遊技者の獲得できる出玉量に直接関係する内容であり、そして高付加価値利益は、基礎的な利益に加えて、その後の抽選確率を高く変更(第2遊技様態へ変更)する特典付きの内容であるが、低付加価値利益は高付加価値利益よりも価値が低く、出玉量の増加には直接関係しないものとなっている。ただし、低付加価値利益によってそれほど多くの出玉量が得られなくても、その後の抽選確率が高く変更される内容であるため、それによって遊技者は次の当選に対する期待感を高めることができる。
ここでも解決手段1と同様に、当選によって基礎的な利益、高付加価値利益、低付加価値利益、小価値利益のいずれかが付与されたとしても、果たしていずれに当選したかを遊技者に対して明確に告知(例えば、抽選図柄による明確な表示等)する要素は必須となっていない。さらに、高付加価値利益または低付加価値利益によって抽選確率が高く変更(第2遊技様態に変更)された場合であっても、その旨を遊技者に対して明確に告知(例えば「確変中」等の文字情報による告知等)する要素は必須となっていない。このため遊技者は、高付加価値利益または低付加価値利益によって自己に有利な抽選確率に変更されていることを明確に知らされていないまま遊技を行うことになる。その反面、単に基礎的な利益が付与されただけであっても、もしかしたら有利な抽選確率になったかもしれないとの期待感を抱き続けることができる。このような効果は、通常時に遊技様態が変更されたか否かの情報が秘匿されていることで一層顕著となり、遊技者は注意して遊技機の挙動を観察したり、自己の経験則を当てはめたりしながら遊技様態を詮索したり、推測したりしながら遊技を楽しむことができる。
その一方で、低付加価値利益のように抽選確率を高く変更するものは確かに遊技者にとって価値あるものには違いないが、出玉量の増加を伴わずに内部的な抽選確率が高く変更されるだけでは遊技者に目に見えて恩恵が感じられにくく、ややもすると存在自体があまり意味をなさなくなるため、そこに何らかの挙動(役物の作動や演出の実施等)が組み合わされることが好ましい。したがって、低付加価値利益を付与する場合、遊技者がそれと分かるような挙動を示すことで遊技者に期待感がもたらされる。このような挙動を通じて低付加価値利益が付与されていることを遊技者が認識(推測)すると、その場では目立った出玉量を獲得できなくても、いずれ早いうちに高付加価値利益に当選することで多くの出玉が獲得できることを期待しながら遊技を継続することができる。
ただし、低付加価値利益は抽選確率そのものを高くする内容であるため、あまり頻繁に低付加価値利益を遊技者に付与することは遊技仕様からみて現実的でない。そうかといって、低付加価値利益が極希にしか付与されないのであれば、それは遊技者にとってレアな特典として存在そのものが希薄化してしまい、かえって期待感を遠ざけることとなる。
そこで、この点を高次元に解決する手段として、本発明の遊技機では小価値利益を遊技者に付与するものとし、この小価値利益の内容を低付加価値利益と同等のものか、もしくは近似した内容としている。具体的には、低付加価値利益では抽選確率を高く変更することに加えて、何らかの挙動(役物の作動や演出動作)が提供されることとなるが、小価値利益では抽選確率の変更(第2遊技様態への変更)は行われずに、低付加価値利益の場合と同じか、または、これに似通った挙動が示されるだけとなっている。このような小価値利益は、抽選確率そのものを高くする内容のものではないため、これを適度な頻度で出現させても遊技仕様を大きく歪めることはない。しかしながら、小価値利益が付与された場合に遊技者に目に見える挙動は低付加価値利益の場合と区別が付きにくいため、遊技者が小価値利益に接した場合、果たしてそれが小価値利益によるものであるのか、あるいは低付加価値利益によるものであるのかを直ちに見極めることはできないし、遊技様態が変更されたか否かは遊技様態秘匿手段によって秘匿されているため、遊技者に明確な情報として提供されるものは特にない。
したがって、遊技者が低付加価値利益によって抽選確率が高くなることを知っていた場合、実際には小価値利益が付与されていた場合であっても、それが低付加価値利益であった(確率が高くなった)かもしれないという期待感を抱くことで、次の当選が得られるまでの期待感や遊技意欲を高く維持し続けることができる。あるいは、しばらくの間は高付加価値利益や低付加価値利益が得られず、次第に諦めかけていたとしても、そのまま僅かな期待感をもって遊技を継続しているうちに小価値利益に当選することがあり、この場合は「今度こそ低付加価値利益が付与されたかもしれない」との期待感が沸々と復活してきて、なかなか遊技意欲が減退しにくくなる。
以上のように解決手段2では、いずれの種類であるかの見分けが付きにくい利益(低付加価値利益、小価値利益)を遊技者に付与することができる。このため、遊技様態が変更された可能性があると遊技者に思わせる機会を数多く設けておきながら、実際に遊技様態が変更されたか否かを秘匿し続けることで、遊技者があれこれと詮索しながら遊技を続けることになり、長時間にわたって遊技意欲を高く維持し続けることができる。
本発明の遊技機においては、高付加価値利益または低付加価値利益によって抽選確率が高く変更(第2遊技様態に変更)された場合であっても、その旨を遊技者に対して明確に告知(例えば「確変中」等の文字情報による告知等)する要素は必須となっていない。これにより本発明の遊技機は、遊技者に遊技機の挙動を観察させたり遊技者の経験則を当てはめたりしながら遊技様態を詮索したり、推測したりしながら遊技を楽しませるものである。このため本発明の遊技機においては、一見すると、例えば遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されるという不正行為があっても遊技様態の変更を遊技者に気づかせにくく、遊技者においては抽選確率が変更されてしまったことを認識することができないようにも思われる。
しかしながら、本発明の遊技機においては、例えばホール従業員が初期化操作手段を操作した際に遊技様態が第2遊技様態であるか否かに関する情報を遊技機が外部に向けて教示する。このため遊技者は、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを認識することができる。したがって、本発明の遊技機によれば、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを遊技者が容易に発見することができる。
(解決手段3)
上記の解決手段1または2のいずれかにおいて、前記初期化操作手段の操作によって前記記憶手段が初期化されてから、次回電力供給が開始されるまでの期間を計時する計時手段と、電力供給が開始された際に前記初期化操作手段が操作されたことを契機として、前記記憶手段から退避させた前記遊技様態情報を記憶するレジスタとをさらに備え、前記記憶手段は、電力供給が停止された際に前記遊技様態情報を記憶する遊技様態記憶領域と、前記記憶手段の初期化後に、前記レジスタに退避した前記遊技様態情報を記憶する履歴記憶領域とをさらに有し、前記情報教示手段は、電力供給が開始された際に前記計時手段による計時期間が所定時間以上となっているときは、前記レジスタに退避した前記遊技様態情報に基づいて遊技機が外部に向けて教示し、前記計時手段による計時期間が前記所定時間となっていないときは、前記履歴記憶領域に記憶されている前記遊技様態情報に基づいて遊技機が外部に向けて教示するのが望ましい。
まず、電力供給が開始された際に初期化操作手段が操作されると、記憶手段の遊技様態情報がレジスタに退避されるので、不正に記憶手段の初期化が実行された場合であっても遊技様態情報をレジスタに残すことができる。
ここでさらに、もう1度繰り返し記憶手段の初期化が実行された際には、記憶手段の遊技様態が既に初期化されていることから、一見すると、記憶手段の遊技様態情報がレジスタに退避されるとこのレジスタには初期化済みの遊技様態情報が退避されてしまうことになりそうである。
ところが本発明の遊技機では、記憶手段の初期化後に、レジスタに退避したその遊技様態情報が記憶手段の履歴記憶領域に記憶されるようになっている。このため、本発明の遊技機では、もう1度繰り返し記憶手段の初期化が実行された際には記憶手段の履歴記憶領域に元々の遊技様態情報を確実に残すことができる。したがって本発明の遊技機によれば、確実に残した元々の遊技様態情報に基づいて遊技様態が第2遊技様態であるか否かを外部に対して教示することができる。
(解決手段4)
上記の解決手段1または2のいずれかにおいて、前記初期化操作手段の操作によって前記記憶手段が初期化されてから、次回電力供給が開始されるまでの期間を計時する計時手段と、電力供給が開始されたことを契機として、前記記憶手段から退避させた前記遊技様態情報を記憶するレジスタとをさらに備え、前記記憶手段は、電力供給が停止された際に前記遊技様態情報を記憶する遊技様態記憶領域と、前記記憶手段の初期化後に、前記レジスタに退避した前記遊技様態情報を記憶する履歴記憶領域とをさらに有し、前記情報教示手段は、電力供給が開始された際に前記計時手段による計時期間が所定時間以上となっているときは、前記レジスタに退避した前記遊技様態情報に基づいて遊技機が外部に向けて教示し、前記計時手段による計時期間が前記所定時間となっていないときは、前記履歴記憶領域に記憶されている前記遊技様態情報に基づいて遊技機が外部に向けて教示するのが望ましい。
まず、電力供給が開始された際に初期化操作手段が操作されると、記憶手段の遊技様態情報がレジスタに退避されるので、不正に記憶手段の初期化が実行された場合であっても遊技様態情報をレジスタに残すことができる。
ここでさらに、もう1度電源が再投入され電力供給が繰り返し開始された際には、記憶手段の遊技様態が既に1度初期化されていることから、一見すると、記憶手段の遊技様態情報がレジスタに退避されると、このレジスタには初期化済みの遊技様態情報が退避されてしまうことになりそうである。
ところが本発明の遊技機では、記憶手段の初期化後に、レジスタに退避したその遊技様態情報が記憶手段の履歴記憶領域に記憶されるようになっているため、もう1度繰り返し電源投入がされた際でも記憶手段の履歴記憶領域に元々の遊技様態情報を確実に残すことができる。したがって本発明の遊技機によれば、確実に残した元々の遊技様態情報に基づいて遊技様態が第2遊技様態であるか否かを外部に対して教示することができる。
(解決手段5)
上記の解決手段1から4のいずれかにおいて、前記第1遊技様態において記判別結果が前記特別の条件を満たす態様で前記抽選に当選する確率に比較して、前記判別結果が前記特定の条件を満たす態様で前記抽選に当選する確率が倍以上(または2倍以上)に高く設定されているとともに、前記当選確率変更手段により前記第1遊技様態から前記第2遊技様態に変更された場合、前記第1遊技様態において前記判別結果が前記特定の条件を満たす態様で前記抽選に当選する確率が変更されることなく、前記第1遊技様態において前記判別結果が前記特別の条件を満たす態様で前記抽選に当選する確率が倍以上(または2倍以上)に高く変更されることが望ましい。
この場合、相対的に当選確率が低い方の第1遊技様態においては、遊技者に高付加価値利益が付与される確率よりも小価値利益が付与される確率が倍以上(または2倍以上)高く設定されることになるため、小価値利益の出現率が相対的に高くなり、たとえ低確率時(第1遊技様態)であっても次の当選までの期待感を維持し続ける機会に多く接することができる。
あるいは、相対的に当選確率が高い第2遊技様態に変更されると、小価値利益が付与される確率はそのままで、高付加価値利益が付与される確率が倍以上に高く設定されることになるため、実際に遊技者は高付加価値利益によって多くの出玉を得る機会に多く接することができ、期待したとおりの抽選結果を実感することができる。
本発明の遊技機においては、内部状態である遊技様態が第1遊技様態であるか或いは第2遊技様態であるかが遊技者にとってわかりにくくしつつ、小価値利益の出現によって遊技意欲を損なわないようにしている。本発明の遊技機では、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとした場合、一見すると遊技者にはわかりにくそうである。しかしながら、本発明の遊技機によれば、不正に初期化操作手段が操作された場合にも遊技様態が第2遊技様態であるか否かに関する情報が外部に教示されるため、遊技者は、その意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを認識することができる。したがって、本発明の遊技機によれば、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを遊技者が容易に発見することができる。
(解決手段6)
上記の解決手段1から5のいずれかにおいて、前記抽選確率変更手段により遊技様態が変更されて前記第2遊技様態になっている間、前記第2遊技様態を維持し続けるための抽選を特定の確率で実行する様態維持抽選手段と、前記様態維持抽選手段による抽選に落選した場合、遊技様態を前記第2遊技様態から前記第1遊技様態に変更させる遊技様態変更手段とをさらに備えることが望ましい。
上記のように、本発明の遊技機では抽選確率変更手段によって第2遊技様態(抽選確率が相対的に高い遊技様態)に変更されることが一つの魅力であるが、解決手段5では第2遊技様態の間に次の当選が得られる前にそこから転落する可能性も残されている。このため、たとえ一度は第2遊技様態に変更されたとしても、そこから高確率で当選する可能性もあれば、逆に第2遊技様態の維持抽選で落選し、そこから第1遊技様態に降格させられる可能性もあるといえる。したがって、たとえ第2遊技様態に変更されていることが予想される場合であっても、常に当選への期待感と背中合わせに転落の危険性を身近に感じながら遊技を行うことができ、そこにスリリングな興趣性が付加されることとなる。
また、本発明の遊技機では第2遊技様態から転落する可能性を秘めているからこそ、第2遊技様態への変更をより高い頻度で実現できるといえる。すなわち、遊技者にとっては抽選確率の高い遊技様態で遊技を行う機会が増えれば、それだけ長期間にわたって期待感を維持できるし、ホール運営者からみれば、高い頻度で第2遊技様態に移行したとしても、遊技者が常に当選を得られるとは限らず、そこから転落して第1遊技様態に戻る可能性があるため、遊技者だけが一方的に有利にならずに長期間稼働を高く維持できるといえるため、遊技者およびホール運営者の双方にとって利点が生じる。
本発明の遊技機では、このような維持抽選の要素が付加されており、第2遊技様態から転落する可能性を秘めているからこそ、上記のように第2遊技様態への変更をより高い頻度で実現できるといえる。これにもかかわらず、本発明の遊技機においては、遊技者の意に反して不正に遊技様態が第2遊技様態から第1遊技様態へと操作されたのでは、一見するとこのような第2遊技様態への変更を高い頻度とした意味がなくなってしまいそうにも思える。
しかしながら、本発明の遊技機においては、不正に初期化操作手段が操作された場合にも遊技様態が第2遊技様態であるか否かに関する情報を遊技機が外部に向けて教示する。このため遊技者は、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを容易に発見することができる。したがって、本発明の遊技機によれば、このような維持抽選の要素が付加されることにより第2遊技様態への変更をより高い頻度で実現することに意義があるといえ、遊技者は、抽選確率の相対的に高く設定された第2遊技様態において大当りとなることで利益を享受することができる機会が多くなる。
(解決手段7)
上記の解決手段1から6、およびこれ以降の解決手段において、前記利益判別手段は、遊技媒体の入賞(例えば始動入賞)を契機として取得された当り判定用乱数値が予め用意された当り値(数値的な範囲を有していてもよい)に該当するか否かを判断することで抽選を行う。また前記利益判別手段は、当選の場合は予め用意された複数の当選種類のうちのいずれに該当するかを判別し、その判別の結果、前記高付加価値利益(または付加価値利益)に対応した当選種類に該当している場合に前記特別の条件が満たされる。あるいは、前記利益判別手段による判別の結果、前記小価値利益に対応する当選種類に該当している場合に前記特定の条件が満たされる。
(解決手段8)
上記の解決手段1から7において、本発明の遊技機は弾球式遊技機(またはパチンコ機)である。弾球式遊技機の構成例としては、所定の操作に応じて遊技球を遊技盤内の遊技領域に発射する発射手段と、その遊技領域に配置された入賞口に遊技球が入賞したことを検出する入賞検出手段と、遊技球の入賞に応じた賞球を払い出す賞球払出手段と、その遊技球の入賞を契機として所定時間にわたり図柄を変動させた後に停止させて、停止した図柄の状態を表示する図柄変動手段と、停止した図柄が特定の図柄表示態様であった場合に特別遊技状態に移行させる特別遊技状態移行手段とを備えている。この特別遊技状態では、遊技領域の所定位置に配置されている可動体(特定の入賞口を開閉する部材等)が開放されて遊技球の入賞が可能となり、その遊技球の入賞個数に応じて遊技者に利益が付与される。遊技者に付与される利益としては、遊技者に遊技媒体を払い出す(賞球を与える)ことを挙げることができる。またこの場合、特別遊技状態に移行することが前記基礎的な利益となる。
(解決手段9)
上記の解決手段1から7において、本発明の遊技機としては、例えば回胴式遊技機(またはスロットマシン)を挙げることができる。この回胴式遊技機の構成例としては、遊技媒体の掛け数を決定した後(遊技媒体の投入の他に、ベット操作が含まれる)、始動用操作手段(例えばレバー)の操作を契機として図柄を変動させるとともに、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作あるいは所定時間の経過を契機としてその図柄の変動を停止させて停止した図柄の状態を表示する図柄表示手段と、停止した図柄の状態が所定の条件を満たす場合に遊技媒体を払い出す払出手段と、停止した図柄の状態が特定の条件を満たす場合に特別遊技状態に移行させる特別遊技状態移行手段とを備えている。この特別遊技状態では、所定の時間あるいは所定の条件にわたり図柄の停止状態が遊技者に有利な状態で、遊技者が遊技を続けることができる。
(解決手段10)
上記の解決手段1から7において、本発明の遊技機は遊技媒体として遊技球を用いる回胴式遊技機(またはパロット機、パチスロット機等)であってもよい。遊技球を用いて遊技を行う回胴式遊技機は、メダルの代わりに遊技球を取り込むことで遊技価値の掛け数を決定することができる。その他の基本的な構成は、解決手段9と同様であり、始動用操作手段(例えばレバー)の操作を契機として図柄を変動させるとともに、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作あるいは所定時間の経過を契機としてその図柄の変動を停止させて停止した図柄の状態を表示する図柄表示手段と、停止した図柄の状態が所定の条件を満たす場合に遊技媒体を払い出す払出手段と、停止した図柄の状態が特定の条件を満たす場合に特別遊技状態に移行させる特別遊技状態移行手段とを備えている。この特別遊技状態では、所定の時間あるいは所定の条件にわたり図柄の停止状態が遊技者に有利な状態で、遊技者が遊技を続けることができる。
(解決手段11)
上記の解決手段9,10において、図柄表示装置は、図柄が付されたリールの回転により図柄を変動させて図柄を変動させるリール装置を採用してもよいし、そのリールとは別に設けられ、図柄に対応するあるいは相当する擬似的な図柄を表示可能な表示装置(例えば液晶表示装置)を採用しても良い。
本発明の遊技機は、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されたことを容易に発見することができる。
パチンコ機の正面図である。 パチンコ機の前面枠や本体枠を開放した状態を示す斜視図である。 遊技盤の正面図である。 特別図柄の全表示パターンを一覧表にして示した図である。 パチンコ機の制御構成を概略的に示したブロック図である。 始動入賞処理のフローチャートである。 遊技作動処理のフローチャートである。 特図変動設定処理Aのフローチャートである。 当り時変動設定処理のフローチャートである。 特図変動実行処理Bのフローチャートである。 当り判定処理のフローチャートである。 大当り処理のフローチャートである。 遊技様態維持/降格判定処理のフローチャートである。 電源遮断時処理の手順の一例を示すフローチャートである。 電源投入時処理の手順の一例を示すフローチャートである。 電源投入時処理の手順の一例を示すフローチャートである。 電源投入時処理の手順の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明をパチンコ機に適用した一実施形態について、次に掲げる項目に沿って各対応図面を参照しながら説明する。
1.パチンコ機の概要(図1,図2)
2.盤面構成(図3)
3.特別図柄表示装置(図4)
4.当りの態様
5.維持抽選
6.制御構成(図5)
6−1.主基板
6−2.周辺基板
7.制御処理の例
7−1.始動入賞処理(図6)
7−2.遊技作動処理(図7)
7−3.特図変動設定処理A(図8)
7−4.可変変動設定処理(図8)
7−5.当り時変動設定処理(図9)
7−6.特図変動実行処理B(図10)
7−7.当り判定処理(図11)
7−8.大当り処理(図12)
8.遊技様態/抽選確率変更手段
9.一実施形態の特徴
10.遊技様態維持/降格判定処理
11.電源遮断時処理(図14)
12.電源投入時処理(図15,図16)
13.メインループ処理(図17)
14.本実施形態の有用性についての言及
15.演出処理
16.第2実施形態
17.その他の実施形態への言及
(1.パチンコ機の概要)
図1および図2は、一実施形態(第1実施形態)となるパチンコ機1の構成を具体的に示している。パチンコ機1は枠体および遊技盤4から構成され、枠体には外枠2をはじめ本体枠3、前面枠5等が含まれている。このうち外枠2は、上下左右の枠材を矩形に組み合わせて構成されており、その前側下部には、本体枠3の下面を受けるための下受板6が備えられている。外枠2の一側縁部(この例では左側縁部)には、ヒンジ機構7を介して本体枠3の一側端部(この例では左側端部)が装着されており、図示のように本体枠3は外枠2の手前側にて開閉可能となっている。この本体枠3は、前枠体8と遊技盤装着枠9、機構装着枠10を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。このうち前枠体8は、本体枠3の前面側に位置して形成されており、その外形は、下受板6を除く外枠2の外郭形状に合致する大きさを有している。
遊技盤装着枠9は前枠体8の後部に一体的に形成されており、この遊技盤装着枠9には遊技盤4が前方から嵌め込むようにして装着されている。ここでは図示されていないが、遊技盤4もまたヒンジ機構を介して本体枠3より前面側へ開閉可能となっており、この開閉動作に伴って遊技盤4は本体枠3に対して着脱可能となっている。
遊技盤4の盤面(前面)には、環状に成形された案内レール11が配設されており、この案内レール11は外レールと内レールとから構成されている。そして遊技盤4の盤面には、案内レール11の内側にほぼ円形状の遊技領域12が区画して形成されている。なお、遊技領域12内の構成(盤面構成)については後述する。
図2に示されているように、前枠体8の下部で左寄りの位置には低音用スピーカ14が設けられており、この低音用スピーカ14は装着板13を介して前枠体8に装着されている。また、前枠体8の下部で中央から右寄りの位置には発射レール15が設けられており、この発射レール15は遊技盤4の発射通路に向けて遊技球を導く役割を果たしている。そして前枠体8には、発射レール15や低音用スピーカ14よりも下方の位置に下前面部材16が装着されている。この下前面部材16のほぼ中央位置に下皿17が形成されており、さらにその右寄り位置に発射ハンドル18が設けられている。
図2に一部が示されているように、本体枠3(前枠体8)の裏面側には、ちょうどヒンジ機構7と反対側に位置して施錠装置19が装着されている。この施錠装置19は、外枠2に対して本体枠3全体を施錠したり、あるいは、本体枠3に対して前面枠5を施錠したりする機能を備えている。施錠装置19は2種類の枠施錠ラッチ21および扉施錠ラッチ23を有しており、このうち一方の枠施錠ラッチ21は外枠2の閉止具20に対応している。例えば、図2に示されている状態から本体枠3を外枠2に対して押し込むと、上下で2つの枠施錠ラッチ21がそれぞれ対応する閉止具20に係合し、これにより本体枠3が外枠2に施錠した状態で固定される。
もう一方の扉施錠ラッチ34は、前面枠5の後面に設けられた閉止具22に対応しており、例えば図2に示されている状態から前面枠5を本体枠3に対して押し込むと、上下で3つの扉施錠ラッチ34がそれぞれ対応する閉止具22に係合し、これにより前面枠5が本体枠3に施錠した状態で固定される。
施錠装置19はまたシリンダー錠24を有しており、本体枠3および前面枠5が閉止された状態で、例えばホールの管理者・従業員等がシリンダー錠24の鍵穴に所定の鍵を挿入して一方向に回すと、枠施錠ラッチ21と外枠2の閉止具20との係合が解除されて本体枠3が解錠される。また、これとは逆方向に鍵を回すと、扉施錠ラッチ23と前面枠5の閉止具22との係合が解除されて前面枠5が解錠されるようになっている。なお、シリンダー錠24の前端部は、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作が行えるように、前枠体8および下前面部材16を貫通して下前面部材16の前面に露出するようにして配置されている。
また、本体枠3(前枠体8)の裏面側には図示しない電源スイッチが設けられており、例えばホールの従業員が、閉止されている本体枠3を必要に応じて開放し、この電源スイッチを操作することでパチンコ機1の電源投入や遮断を行うようになっている。
前面枠5はガラス枠やガラス扉とも称され、この前面枠5はヒンジ機構25を介して本体枠3の前面側に開閉可能に装着されている。前面枠5は、その裏側に扉本体フレーム26を有するほか、前側にサイド装飾装置27や上皿28、音響電飾装置29を備えている。扉本体フレーム26は、プレス加工された金属製フレーム部材によって構成されており、この扉本体フレーム26は前枠体8の上端から下前面部材16の上縁に亘る部分を覆う大きさに形成されている。前面枠5を閉止すると、遊技盤4を含む前枠体8の前面側が前面枠5によって覆われることとなるが、扉本体フレーム26の中央にはほぼ円形の開口窓30が形成されており、この開口窓30を通じて遊技盤4の遊技領域12を前方から視認することができる。また、扉本体フレーム26の後側には、開口窓30よりも大きい矩形枠状をなす窓枠31が設けられており、この窓枠31には透明なガラス板32が前後に2重をなして装着されている。
図1に示されているように、前面枠5には開口窓30の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置27が配設されているほか、その下部に上皿28が配設されており、さらには上部に音響電飾装置29が配設されている。これらサイド装飾装置27や音響電飾装置29、上皿28等は全体として前面枠5の外形を構成するべく一体をなし、相互に外観上の一体感を想起させるデザインが施されている。
このうちサイド装飾装置27は、ランプ基板を内蔵したサイド装飾体33を主体として構成されており、サイド装飾体33はちょうど開口窓30の左右で一対をなしている。サイド装飾体33には、横方向に長いスリット状の開口孔(参照符号なし)が上下方向に複数配列されており、個々の開口孔には、ランプ基板に配置された光源(例えばLED)に対応するレンズ34が組み込まれている。
また音響電飾装置29は、透明カバー体35やスピーカ36、スピーカカバー37、リフレクタ体(図示しない)等を備えており、これらの構成部材が相互に組み付けられた状態でユニット化されている。
(2.盤面構成)
図3は、上記の遊技盤4を単独で示している。図3に示されているように、遊技領域12内には多数の障害釘(参照符号なし)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車40が設けられている。遊技領域12のほぼ中央位置には、ひときわ大きく目を引くセンター役物42が配設されており、このセンター役物42のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
センター役物42は全体として額縁状の装飾体から構成されており、その上縁部には競走馬の頭部をデザインしたキャラクタ体42aが一体的に取り付けられている。さらに、キャラクタ体42aの左右には競走馬の前足をデザインした装飾体42b,42cが配設されており、このうち右側の装飾体42cは可動役物として機能することができる。
センター役物42の左右側縁部には、アルファベット文字をデザインした装飾が施されており、ここではアルファベット文字が図示しない装飾ランプ(LED)によって発光するものとなっている。また、センター役物42の上縁部または左右側縁部には、図示しないワープ入口とともにワープ通路が形成されており、遊技盤面に沿って流下する遊技球がワープ入口に入り込むと、ワープ通路を通じてセンター役物42の内側に取り込まれる。
センター役物42の内側には、その下縁部に球受け棚42dが形成されており、この球受け棚42dは前後方向に一定の奥行きを有している。ワープ通路を通って取り込まれた遊技球はセンター役物42の内側へ放出され、球受け棚42dに誘導される。球受け棚42dはその上面にて遊技球を転動させ、その動きにいろいろな変化を与えて遊技に面白みを付加することができる。あるいは、球受け棚42dには可動体(図示されていない)が配設されており、この可動体によって遊技球の動きに変化を与えることもできる。
また、センター役物42の下縁部には、その中央位置に球誘導路42eが形成されており、この球誘導路42eへの入口(図示されていない)は球受け棚42dの上面に形成されている。球受け棚42dから球誘導路42eの入口に落下した遊技球は、そのまま球誘導路42eを通じて下方に案内される。
一方、球誘導路42eの出口は正面に向けて開口しており、この出口から放出された遊技球は、ほぼ真下に向かって落下する。遊技領域12には、球誘導路42eの直ぐ下方位置に入球装置44が配置されており、この入球装置44に遊技球が入球すると始動入賞となる。したがって、球誘導路42eから放出された遊技球は、相当高い確率で始動入賞することができるものとなっている。入球装置44は左右一対の可動片44aを有しており、これら可動片44aを左右に拡開させて入球確率を高くすることができる。
また遊技領域12には、上記の入球装置44のさらに下方位置にアタッカ装置46が配設されており、このアタッカ装置46は開閉部材46aを前後方向に開閉動作させて大入賞口を開閉することができる。
その他、遊技領域12には始動ゲート口48や一般入賞口50等が配設されている。また、センター役物42の内側には液晶表示装置51が配設されており、この液晶表示装置51では、例えば映像による演出表示が行われる。
また、本実施形態では、さらにセンター役物42の下縁部には2つの多色LED63が配列されており、これらLED65の配列が普通図柄表示装置として機能することができる。普通図柄表示装置の機能はLED65の点灯・消灯によって実現することができる。本実施形態では、さらにセンター役物42の下縁部には2つの多色LED63が配列されており、これらLED63の配列が遊技様態表示装置として機能することができる。本実施形態において、パチンコ機1の内部状態である遊技様態を表示する遊技様態表示装置の機能はLED63の点灯・消灯によって実現することができる。
(3.特別図柄表示装置)
また、本実施形態では、センター役物42の上縁部のうち、上記のキャラクタ体42aの左側に4つの多色LED52が配列されており、これらLED52の配列が特別図柄表示装置として機能することができる。また、キャラクタ体42aの右側にある4つのLED54の配列は、始動保留ランプとなっている。
本実施形態において、特別図柄表示装置の機能はLED52の点灯・消灯によって実現することができる。例えば、始動入賞を契機として4つのLED52をいろいろなパターンで点滅させることにより、特別図柄の変動状態を表示することができる。そして、一定の変動時間が終了すると、4つのLED52の点灯・消灯表示パターンによって特別図柄の確定した停止状態を表示することができる。これにより、抽選が行われると、その結果情報がLED52の点灯・消灯によって表示される(表示手段)。またLED52の点灯・消灯による特別図柄の変動表示および停止表示の制御は、後述の主制御基板により行われる(表示制御手段)。
具体的には、個々のLED52には2色(例えば赤色・緑色)ずつの点灯色が用意されており、これにより各LED52は「消灯」、「点灯色1で点灯」、「点灯色2で点灯」の3通りに点灯・消灯表示パターンを切り替えることができる。したがって、4つのLED52を配列した場合の点灯・消灯表示パターンは、全部で81通り(34=81)のものを用意することができる。なお、ここでは説明の便宜のために2色だけとしているが、LED52の点灯色は3色以上(7色程度が好ましい)であってもよい。また、LED52の配置は1箇所にまとまっている必要はなく、ばらばらに配置されていてもよいし、特に盤面上に配置されている必要もない。あるいは、特別図柄を5つ以上のLEDによって表示してもよいし、7セグメントLEDを用いて表示してもよい。
図4は、全81通りの点灯・消灯表示パターンを一覧表にして示している。図4の表中、シンボル「○」はLED52の「消灯」を表し、シンボル「◎」は「点灯色1で点灯」を表し、そして、シンボル「●」は「点灯色2で点灯」を表している。このため例えば、パターン番号0では全てのLED52が「消灯」している状態であるが、パターン番号1では右端に位置する1個のLED52が「点灯色1で点灯」しており、その他の3つは「消灯」している状態であることが理解される。
一方で、本実施形態のパチンコ機1では、遊技者に利益が付与される態様として4つの当り態様が用意されており、これらは(1)「通常(非確変)大当り」、(2)「確変大当り」、(3)「短開放確変当り」、(4)「短開放当り」の4つに区別される。一例として、図4の表中、パターン番号15,30,41,46,47,48,49,54,59,73,76,79は「確変大当り」に対応する表示パターン(停止時の表示目)であり、これら表示パターンで特別図柄が停止表示されると遊技者に「確変大当り」の利益(高付加価値利益)が付与される。
以下同様に、パターン番号35,53は「短開放確変当り」に対応し、パターン番号40(35),61(53),50,56,69,75は「短開放当り」に対応し、パターン番号63(73),70(54)は「通常(非確変)大当り」に対応している。なお、パターン番号が括弧付きで標記されているのは、「短開放確変当り」と「短開放当り」とで酷似した表示パターンが設けられていることを意味する。例えば、パターン番号40と35とは互いに点灯・消灯表示の組み合わせが酷似しており、これらの表示態様からは一見して表示パターンの区別が付きにくくなっている。ここでは同様にパターン番号61と53とが酷似している。
また、「通常(非確変)大当り」に対応するパターン番号63,70と「確変大当り」に対応するパターン番号73,54とがそれぞれ酷似しており、これらの表示態様からは一見して表示パターンの区別が付きにくくなっている。
以上のように図4に示されている表示パターンは、特別図柄表示装置60の確定停止時おける図柄表示態様(表示目)を表したものであるが、この図4から見てわかるとおり、本実施形態のパチンコ機1では、基本的に特別図柄表示装置60の図柄表示態様からは抽選結果やその後の内部状態が容易には判別できない仕様となっている。すなわち、本実施形態では特別図柄について多種多様の表示パターンや、複数の当選種類の間で酷似した表示パターンを用意することにより、遊技者にとって特別図柄の表示態様から抽選結果を読み取るよりも、その他の液晶表示装置51による演出表示や、アタッカ装置46等の挙動から抽選結果や内部状態を推測可能とする点に重点が置かれている。
したがって、遊技中に「確変大当り」または「通常大当り」に当選したとしても、いずれに当選したかは演出上も遊技者に明確に報知されない。さらに、「確変大当り」や「短開放確変当り」によって抽選確率が高く変更された場合であっても、例えば「確変中」等の文字情報によって内部状態が明確に報知されることはない。また、内部状態が通常状態(低確率時)であるか、確変状態(高確率時)であるかによって特別図柄の変動表示の態様(変動時間等)に特段の違いが設けられていないため、特別図柄の変動表示を見ても遊技者が「確変中」であることを判別できない。このため遊技者は、基本的に当選結果の種類や、内部確率状態についての明確な情報を提供されないまま遊技を行うことになる。
ただし、例えば図4中のパターン番号15,30のように、4つのLED52が全点灯した場合は見た目上の判断がしやすいため、本実施形態ではこれらの点灯パターンを「確変大当り」に対応するものとして割り当てている(いわゆる「鉄板パターン」)。これにより、遊技者が特別図柄表示装置60の停止時の表示パターン(表示目)によって明らかに当選種類を読みとれる可能性を残している。
(4.当りの態様)
次に、各当り態様の詳細は以下の通りである。
(1)「通常(非確変)大当り」は、例えば最大30秒間にわたってアタッカ装置46を一定パターンで開閉させるラウンド動作を10ラウンドまで繰り返すものであり、このようなラウンド動作の繰り返しは「大当り遊技」と称されている。遊技者は、大当り遊技の間に遊技球を大入賞口に入賞させることで、多くの賞球を獲得することができる。なお、各ラウンド動作は30秒間が経過するか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。また大当り遊技は、ラウンド動作が10回終わると終了となる。
(2)「確変大当り」は、上記(1)と同様の大当り遊技を可能とするものであるが、大当り遊技の終了後、次回大当りの抽選確率を通常時よりも高く設定(例えば、通常の大当り確率が320分の1のところ、5倍の64分の1に変更)する特典が付加される。このため遊技者が確変大当りを引き当てると、次の大当り確率が高くなって大当りを連続的に引き当てる(いわゆる連荘)ことが可能となる。
(3)「短開放確変当り」は、例えば0.3秒間だけ大入賞口を開放するラウンド動作を2回行うものであり、ラウンド間のインターバルは2秒となっている。この短開放確変当りは、アタッカ装置46が比較的短い時間(0.3秒間)、2回だけ開放されて終了となる。この間に大入賞口に入賞すると、規定数(例えば15個)の賞球払い出しが得られるが、大当り遊技のようにまとまって多くの入賞機会が与えられるわけではない。ただし、遊技者が短開放確変当りを引き当てると、次の大当り抽選確率が高く設定(64分の1)される特典があるので、確変大当りの場合と同様に大当り遊技の連続性に期待できることとなる。
(4)「短開放当り」は、アタッカ装置46の作動こそ「短開放確変当り」と同じ態様であるが、大当り抽選確率の変動特典は付加されない。すなわち、短開放当りになると、アタッカ装置46が比較的短い時間(0.3秒間)、2回だけ開放されるだけで終了となる。ただし、この間に大入賞口に入賞すると規定数(例えば15個)の賞球払い出しが得られる。
なお、以上の(1)〜(4)でいう具体的な数値は、本発明の実施において最良のものである。その上で、これら数値については各種の変更が可能であり、最良の数値によって限定されることはない。
遊技中の抽選によって上記(1)〜(4)の各当り態様に当選する確率は例えば以下の表1で表される。
Figure 2010158546
(5.維持抽選)
本実施形態では、上記(2)の「確変大当り」、または(3)の「短開放確変当り」によって確率変動状態(高確率状態)になると、毎回の始動入賞を契機として確率変動状態の維持抽選(転落抽選)が行われるものとなっている。維持抽選は一定確率(例えば640分の1)で行われ、この維持抽選で落選すると、内部的に高確率状態から低確率状態(通常確率)へ引き戻される処理が行われる。
(6.制御構成)
図5は、パチンコ機1の動作を制御するための制御構成を概略的に示している。なお、この図5においては電源に関係する構成(電源基板など)の図示を省略している。パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板のグループと周辺基板のグループとで分担されており、このうち主基板のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。この他にも、パチンコ機1には、電源基板や発射制御基板、インタフェース基板等が装備されているが、いずれも公知のものを適用できるため、ここでは図示とともに詳細な説明を省略する。
(6−1.主基板)
主基板は、主制御基板56と払出制御基板58とからなり、このうち主制御基板56は遊技盤4の裏面側に配設されている。もう一方の払出制御基板58は、賞球装置とともに本体枠3の裏面側に配設されている。主制御基板56は、CPU56cをはじめROM56eやRAM56d等の電子部品を装備しており、これら電子部品によって各種の遊技制御プログラムを実行する。このCPU56cは、ROM56eやRAM56dを内蔵した構成となっている。一方、払出制御基板58は、CPU58cをはじめROM58eやRAM58d等の電子部品を装備しており、これら電子部品によって各種の払出制御プログラムを実行する。このCPU58cは、ROM58eやRAM58dを内蔵した構成となっている。主制御基板56と払出制御基板58との間では、それぞれの入出力インタフェース56a,58aを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板56が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板58から主制御基板56にACK信号が返される。
主制御基板56には、遊技盤4に設けられている特別図柄表示装置60(LED52)、普通図柄表示装置65および遊技様態表示装置63が接続されているほか、入球装置44、アタッカ装置46等を駆動するソレノイド62や入賞球を検出する入賞スイッチ64、始動保留ランプ(図5に示さず)等が接続されている。一方の払出制御基板58には、払出装置を駆動する払出モータ66が接続されているほか、これに付随してモータインデックスセンサや賞球カウントスイッチ等(いずれも図示されていない)が接続されている。
(6−2.周辺基板)
周辺基板には、サブ統合基板68のほかに例えば複数の電飾制御基板70,72や波形制御基板74等が含まれる。上記の主制御基板56とサブ統合基板68との間では、それぞれの入出力インタフェース56aと入力インタフェース68aとの間で一方向だけの通信が行われており、例えば主制御基板56からサブ統合基板68へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板68もまた、CPU68cをはじめROM68eやRAM68d等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。このCPU68cは、ROM68eやRAM68dを内蔵した構成となっている。サブ統合基板68とその他の電飾制御基板70,72や波形制御基板74との間では、それぞれの入出力インタフェース68b,70a,72a,74aとの間で双方向に通信が行われる。電飾制御基板70もまた、CPU70cをはじめROM70eやRAM70d等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。このCPU70cは、ROM70eやRAM70dを内蔵した構成となっている。一方、電飾制御基板72もまた、CPU72cをはじめROM72eやRAM72d等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。このCPU72cは、ROM72eやRAM72dを内蔵した構成となっている。また、この電飾制御基板72は、さらにRAM72fやROM72g(図面上「CROM」と図示する)を有している。
例えば、1つ目の電飾制御基板70には主に装飾用のランプ(LED)76が接続されており、サブ統合基板68から電飾制御基板70に対してランプ76の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板70がランプ76を点灯させる処理を行う。あるいは、2つ目の電飾制御基板72には液晶表示装置51とともに装飾用のランプ78が接続されており、サブ統合基板68から液晶表示装置51に対する表示コマンドが電飾制御基板72に送信されると、これを受けて電飾制御基板72は実際に液晶表示装置51を作動させる処理を行う。またこれ以外にも、例えばドラムやキャラクタ体等の可動体によって演出動作を行う役物が盤面上に設けられている場合、これらを駆動するモータ、ソレノイド等の負荷が電飾制御基板70,72等に接続される。
波形制御基板74は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行している。この波形制御基板74もまた、CPU74cをはじめROM74eやRAM74d等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。このCPU74cは、ROM74eやRAM74dを内蔵した構成となっている。また、この波形制御基板74は、さらにROM74g(図面上「OROM」と図示する)を有している。例えば、サブ統合基板68から音響出力コマンドが波形制御基板74に送信されると、これを受けて波形制御基板74は上記のスピーカ14,36を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板74には超音波送受装置80が接続されており、この超音波送受装置80は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受装置80を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
(7.制御処理の例)
次に、主制御基板56(CPU)で実行される制御処理の例について説明する。
(7−1.始動入賞処理)
先ず図6は、始動入賞処理のルーチンを示している。この始動入賞処理では、遊技中に始動入賞が有るか否かが判断される(ステップS101)。具体的には、上記の入球装置44に対応する入賞スイッチ64(始動口スイッチ)から検出信号が入力されると、始動入賞有りと判断され(YES)、特に検出信号の入力がなければ、始動入賞は無いものと判断される(NO)。
始動入賞が有りと判断された場合(ステップS101=YES)、次に始動保留数が最大の4より少ないか否かが判断される(ステップS102)。このとき既に始動保留数が4に達していれば(NO)、そのまま始動入賞処理のルーチンがリターンされる。一方、始動保留数が4より少なければ(YES)、次に保留格納処理が行われる(ステップS103)。この保留格納処理では、例えばRAM内に確保されている保留数カウンタに「1」が加算され、合わせて始動保留ランプ54の点灯個数が1つ増加される。
また保留格納処理では、合わせて乱数値の取得が行われる。このとき取得される乱数値には、例えば当り判別用乱数、当り図柄用乱数、可変変動用乱数(可変変動カウンタ)等の使用目的別のものが含まれている。このうち当り判定用乱数は、抽選結果が当選であるか否かを決定するとともに、当選の場合は上記の「通常大当り」であるか、「確変大当り」であるか、「短開放確変当り」であるか、それとも「短開放当り」であるかを判別するための乱数である。なお、本実施形態では「通常大当り」、「確変大当り」、「短開放確変当り」および「短開放当り」の取得について共通の乱数(0〜65535)をベースとしているが、内部的な条件装置の作動に関係しない「短開放当り」の抽選については、別途専用の乱数を用いるようにしてもよい。
次の当り図柄用乱数は、当り判定用乱数によって当りと判別された場合に使用されるものであり、具体的には、特別図柄表示装置60によって停止表示される表示パターン(図4中にある当り表示のパターン番号)を特定するための乱数である。そして可変変動用乱数(可変変動カウンタ)は、例えば外れ変動時に特別図柄表示装置60による図柄の変動時間を可変させるための乱数である。以上の各乱数値が取得され、これらが例えばRAMに格納されると、保留格納処理を終えて本ルーチンがリターンされる。
(7−2.遊技作動処理)
次に図7は、始動入賞に伴う遊技作動処理のルーチンを示している。この遊技作動処理では、最初に始動保留が有るか否かが判断される(ステップS201)。具体的には、保留数カウンタの数値が0でない場合、始動保留が有ると判断され(YES)、次に特別図柄が未変動状態か否かが判断される(ステップS202)。このとき特別図柄表示装置60にて未だ変動表示(LED52の点滅による変動表示)が開始されていなければ(YES)、次に保留シフト処理が実行される(ステップS203)。
保留シフト処理では、保留数カウンタの値が「1」だけ減算されるとともに、RAMの保留格納領域に記憶されている各乱数値の内容をシフトする処理が行われる。そして、これに続いて図柄変動処理が実行され(ステップS204)、ここでは特別図柄の変動時間の設定や、変動停止時の表示パターンの設定等が行われる。なお、図柄変動処理の内容については、さらに別のフローチャート(図8,図10)を用いて詳しく後述する。
上記の図柄変動処理(ステップS204)が終了すると、次に情報出力処理(ステップS205)が実行され、ここでは主制御基板56からサブ統合基板68に対して制御情報コマンドの生成・送信が行われる。サブ統合基板68は、受信した制御情報コマンドに基づいて主制御基板56の制御情報(始動入賞・保留の有無、特別図柄の変動・停止表示態様、当り判定結果、確率変動の有無等)を解釈し、所定の演出動作を制御する。
図7の遊技作動処理では、最後に当り判定処理(ステップS206)が実行される。なお、遊技作動処理の開始時に保留数カウンタの値が0であったり(ステップS201=NO)、保留数カウンタの値が0でなくとも特別図柄表示装置60が変動中であったり(ステップS202=NO)した場合は、いずれも保留シフト処理(ステップS203)および図柄変動処理(ステップS204)を迂回して情報出力処理(ステップS205)および当り判定処理(ステップS206)が実行される。
当り判定処理(ステップS206)では、特別図柄の変動開始時にセットされた当りフラグ(1または2)を参照し、当りフラグがセットされていればさらに別の処理(図11)を実行する。なお、当りフラグをセットする処理や、当り判定処理の内容については、それぞれ別のフローチャート(図9,図11)を用いて詳しく後述する。
(7−3.特図変動設定処理A)
次に、図7の遊技作動処理で行われる図柄変動処理(ステップS204)の詳細について説明する。
図8は、上記の図柄変動処理に含まれる特図変動設定処理Aの内容を示している。この特図変動設定処理Aでは主に、抽選結果によって特別図柄表示装置60による変動時間の設定や停止時の表示パターンの選択が行われる。具体的には、既に取得されている当り判定用乱数に基づいて抽選の結果が判断され(ステップS301)、当選(当り)であった場合(YES)は当り時変動設定処理(ステップS302)が実行される。なお、ここでいう「当選」は、上記(1)通常大当りや(2)確変大当り、(3)短開放確変当り、(4)短開放当りのいずれかに該当していることを意味する。
これに対し、抽選の結果が外れ、つまり、(1)〜(4)のいずれの当りにも該当してないと判断された場合(NO)、既に取得されている可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値が所定値(例えば1024)と比較される(ステップS303)。可変変動用乱数は例えば0〜65535の範囲内で取得されており、この乱数値が1024未満であれば(YES)、可変変動設定処理(ステップS304)が実行される。逆に、可変変動用乱数の値が1024以上であれば(NO)、ステップS305またはステップS306の各判断を経て変動タイマがセットされる。変動タイマは、特別図柄表示装置60による変動時間を設定するためのタイマであり、具体的には、現在の始動保留数が0であれば(ステップS305=YES)、所定の変動タイマが比較的長めの10秒にセットされる(ステップS307)。同様に、始動保留数が1であれば(ステップS306=YES)、変動タイマが比較的中程度の8秒にセットされ、そして始動保留数が2以上でれば(ステップS306=NO)、変動タイマが比較的短めの6秒にセットされる(いわゆる保留時短)。いずれにしても、変動タイマがセットされると、続いて特別図柄の停止パターンが選択される(ステップS310〜S312)。停止パターンは、図4中でいずれの当り態様にも該当しない点灯・消灯表示パターンの中から適宜選択される。
以上の特図変動設定処理Aをまとめると、抽選結果がいずれかの当りに該当している場合は、別の当り時変動設定処理(ステップS302)が実行された後に特別図柄の変動表示が開始される(ステップS313)。一方、抽選結果がいずれの当りにも該当しない(外れ)場合は、取得済みの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値によって64分の1の振り分け率で別の可変変動設定処理(ステップS304)が実行されるが、それ以外(64分の63)の場合は始動保留数に応じて変動タイマの時間が3段階に設定された後に特別図柄の変動表示が開始(ステップS313)されることとなる。
(7−4.可変変動設定処理)
ここで、ステップS304の可変変動設定処理は、従来の「外れリーチ変動」の考え方に基づくものである。すなわち、基本的に抽選で外れた場合は特別図柄の変動時間が始動保留数に応じて次第に短縮されるが(ステップS307〜S309)、外れの場合であっても、ときには始動保留数に関係なく変動時間を長短に変更したり、特別図柄の停止パターンを変更したりすることで、あからさまに外れ変動であることを遊技者に気付かせにくくするものである。この可変変動設定処理では、例えば以下の表2で表されるテーブルによって変動時間が振り分けられている。
Figure 2010158546
本実施形態のパチンコ機1では、特別図柄の変動・停止に同期した演出(例えば、従来の装飾図柄の変動・停止表示等)が行われないことから、本来は変動毎に遊技者の期待感を高めるための「外れリーチ変動」を行う必要性はない。このため、基本的に特別図柄の変動時間の設定は「保留時短」の考え方に基づけばよいが、常に変動時間の設定が固定されていると遊技者に「外れ」を意識させやすくなる。
この点を考慮して、以上の可変変動設定処理が実行されることにより、抽選結果が外れの場合にも64分の1の出現率で「外れリーチ変動」が行われることとなる。この点、従来の「外れリーチ変動」が約11分の1の比較的高い出現率で行われていたことに鑑みると、本実施形態では遊技者の間を持たせることを目的とした長時間変動は64分の1の低い出現率に抑えられているといえる。したがって、遊技者からみれば、当りに関係のない「外れリーチ変動」を長々と見せられることが少なくなるし、ホール運営者からみれば、「外れリーチ変動」の多様によって稼働が下がる事態が回避されるため、双方にとって利点がある。
(7−5.当り時変動設定処理)
図9は、上記の当り時変動設定処理(図8中のステップS302)の内容を示している。ここでは抽選結果が当りである場合に、大きく分けて「通常大当り」の場合と「確変大当り」の場合とで変動時間の設定が共通化されるとともに、「短開放確変当り」の場合と「短開放当り」の場合とで変動時間の設定が共通化されるものとなっている。
すなわち、ステップS401で「短開放当り」に該当する(YES)と判断されるか、あるいはステップS402で「短開放確変当り」に該当する(YES)と判断されると、いずれの場合も共通の短開放当り変動設定処理(ステップS403)が実行される。このステップS403では、可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値を用いて、例えば以下の表3で表されるテーブルによって変動時間が4通りに振り分けられる。
Figure 2010158546
可変変動カウンタの値は0〜65535の範囲内で取得されるので、この短開放当り変動設定処理では、ほとんどの場合(出現率256分の255)に通常変動が適用されることになる。これにより、相当高い出現率で始動保留数に応じた通常の変動タイマが設定されることとなるので、遊技者からは通常の外れ変動とほとんど見分けが付かなくなる。以上の短開放当り変動設定処理が実行されると、内部的な当りフラグに「2」がセットされて(ステップS405)、本ルーチンがリターンされる。
一方、「通常大当り」または「確変大当り」に該当する場合、ステップS401およびステップS402の判断がいずれも否定(NO)されるので、この場合は共通の大当り変動設定処理(ステップS404)が実行される。このステップS404では、0〜65535までの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値を用いて、例えば以下の表4で表されるテーブルによって変動時間が6通りに振り分けられる。この大当り変動設定処理が実行されると、内部的な当りフラグに「1」がセットされて(ステップS406)、本ルーチンがリターンされる。
Figure 2010158546
(7−6.特図変動実行処理B)
次に図10は、上記の図柄変動処理(図7中のステップS204)に含まれる特図変動実行処理Bの内容を示している。先の特図変動設定処理Aによって特別図柄の変動が開始されると、ここでは変動期間中であるか否かが判断される(ステップS501)。具体的には、変動期間中であるか否かは上記の変動タイマを参照することで判断可能であり、変動タイマが作動していると、それによって変動期間中である(YES)と判断され、逆に変動タイマが停止していれば、変動期間中でない(NO)と判断される。
ステップS501で特別図柄の変動期間中であると判断されると、次に変動表示制御処理(ステップS502)が実行される。ここでは、特別図柄表示装置60を構成する4つの2色LED52について、例えば0〜15のカウンタ値を取得しながらこれらを8ビットの値に割り当て、この値を用いて合計8つのスイッチ(2色LED×4個分)のON/OFFを40ms毎に切り替える処理が行われる。これにより、4つの2色LED52が点滅しながら特別図柄表示装置60による高速変動が実現される。なお、ここではカウンタ値を参照してLED52の点灯・消灯を制御しているが、例えば所定の変動パターンテーブルを用いてLED52の点灯・消灯パターンを切り替えることもできる。
この後、変動タイマがカウントアップして変動期間が終了すると、特別図柄の変動期間中ではない(NO)と判断されて、次に停止パターン表示制御(ステップS503)が実行される。この停止パターン表示制御では、先の特図変動設定処理A(図8)や当り変動設定処理(図9)等で既に選択されている停止パターンの点灯・消灯表示パターンデータが特別図柄表示装置60に送信される。なお、パターンデータの送信は毎回の割込周期(例えば4ms)で行う必要はなく、適宜サンプリングすることでLED52の発光輝度を調整することが好ましい。
(7−7.当り判定処理)
図11は、上記の遊技作動処理に含まれる当り判定処理(図7中のステップS206)の内容を示している。この当り判定処理は、抽選結果が当選の場合に実行され、抽選に外れた場合は実行されない。ここでは抽選結果が当りである場合に、その当りの種類に応じてアタッカ装置46の動作パターンが設定されるものとなっている。
処理順に見ると、抽選の結果が「短開放当り」であるか否かが判断され(ステップS601)、ここでの判断が否定(NO)されると、次に抽選の結果が「短開放確変当り」であるか否かが判断される(ステップS602)。したがって、抽選の結果が「通常大当り」か、あるいは「確変大当り」である場合、ここでも判断が否定(NO)されるため、次にステップS603が実行される。ステップS603では、アタッカ装置46の動作パターンに関して設定最大期間が30秒にセットされるとともに、設定最大継続回数(最大ラウンド数)が10ラウンドにセットされ、そして、設定インターバルが2秒にセットされる。
一方、抽選の結果が「短開放確変当り」である場合、ステップS602の判断が肯定(YES)されて、次にステップS604が実行される。ステップS604では、アタッカ装置46の動作パターンに関して設定最大期間が0.3秒にセットされるとともに、設定最大継続回数(最大ラウンド数)が2ラウンドにセットされ、そして、設定インターバルが2秒にセットされる。上記のステップS603またはステップS604が実行された場合は内部的に条件装置を作動させることで、大当り処理(ステップS605)が実行される。
これに対し、抽選の結果が「短開放当り」である場合、ステップS601の判断が肯定(YES)されて短開放当り処理(ステップS606)が実行される。この短開放当り処理では、内部的に条件装置を作動させないが、見た目上は「短開放確変当り」と同じか、もしくは近似した内容となる挙動を実現するため、単にアタッカ装置46を作動させて大入賞口を最初に0.3秒間だけ開放させるとともに、これを閉止して2秒間のインターバルをおいた後、再度0.3秒間だけ大入賞口を開放させて元どおり閉止する処理が行われる。
(7−8.大当り処理)
図12は、上記の当り判定処理に含まれる大当り処理(図11中のステップS605)の内容を示している。内部的に条件装置が作動して大当り処理が実行されると、先ず所定のラウンドカウンタが初期化される(ステップS701)。このラウンドカウンタは例えばRAM内に確保されており、この初期化に伴ってラウンドカウンタの値はリセットされる。なお、ラウンドカウンタは大当り遊技中のラウンド数をカウントするためのものであり、その値が設定最大回数に達すると大当り処理が終了となる。
上記のラウンドカウンタが初期化された後、所定の入賞球数カウンタに「0」がセットされると(ステップS702)、続いて大入賞口が開放される(ステップS703)。そして、次のステップS704では大入賞口の開放期間が設定最大期間内であるか否かが判断される。ここでの設定最大期間には、先の当り判定処理中のステップS603またはステップS604でセットされた時間(30秒または0.3秒)が適用される。開放期間が設定最大期間内であれば(YES)、次に入賞球カウンタの値が10未満であるか否かが判断される(ステップS705)。このとき入賞球カウンタの値が10に満たなければ(YES)、大入賞口に対応するカウントセンサの検出信号がONになったか否かが判断される(ステップS706)。大入賞口への入賞によりカウントセンサがONになると(YES)、次のステップS707で入賞球数カウンタに「1」が加算され、再度ステップS704の判断が行われる。あるいは、ステップS706で大入賞口への入賞がなく、カウントセンサがONになっていなければ(NO)、入賞球数カウンタが加算されることなくステップS704の判断が行われる。
「通常大当り」、または「確変大当り」の場合、通常は設定最大期間である30秒が経過するか、あるいは入賞球が10カウントに達するかのいずれかの条件が満たされると1ラウンドが終了となる。これら2つの条件のいずれかが満たされると、ステップS704またはステップS705の判断が否定(NO)されるので、ラウンド終了のために大入賞口が閉止(ステップS708)される。そして、次のステップS709でラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(10ラウンド)に達したか否かが判断される。
これに対し「短開放確変当り」の場合、設定最大期間が0.3秒と短期間である。このため、通常は入賞球数カウンタが10に達することはなく、先に0.3秒の設定最大期間が経過してステップS709の判断、つまり、ラウンドカウンタが設定最大回数(2ラウンド)に達したか否かが判断される。
いずれにしても、ラウンドカウンタの値が設定最大回数(10または2)に達していなければ(ステップS709=NO)、次にラウンドカウンタの値に「1」が加算(ステップS710)されて入賞球数カウンタが「0」にリセットされる(ステップS702)。
以上の処理は「通常大当り」、「確変大当り」または「短開放確変当り」中における1ラウンド目の処理に相当する内容である。この後、ラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(10または2)に達したと判断されると(ステップS709=YES)、そこで大当り処理は終了となる。
(8.遊技様態/抽選確率変更手段)
既に述べたように本実施形態のパチンコ機1では、「確変大当り」、または「短開放確変当り」による大当り遊技が終了すると、そこからの遊技様態がいわゆる「確変(高確率時)」に変更されるものとなっている(第1遊技様態→第2遊技様態)。遊技様態が「確変」にある間は、大当りの抽選確率が通常(低確率時)の5倍になるため、遊技者は次の大当りを高確率で連続的に引き当てることが可能となっている。
この点、従来の確率変動タイプのパチンコ機では、大当り時の特別図柄(装飾図柄)の種類によって「確変大当り」であるか否かを遊技者に報知するとともに、大当り遊技後に「確変中」等の文字情報を表示することによって「確変」であることを遊技者に報知するものがほとんどであった。これに対し本実施形態のパチンコ機1では、たとえ「確変大当り」または「短開放確変当り」によって内部的に「確変」に移行されたとしても、そのときの内部状態は遊技者に対して明確に告知されない。しかも、特別図柄表示装置60による表示パターンが多種多様(81通り)にわたっているため、遊技者は特別図柄表示装置60による停止時の表示態様(LED52の点灯・消灯の組み合わせ態様)を一見しただけでは「確変大当り」を引き当てたのか、それとも「通常(非確変)大当り」を引き当てたのか、あるいは単に「外れ」だったのかを直ちに判別することが困難な仕様となっている。もちろん、「通常大当り」または「確変大当り」になると、条件装置の作動によって大当り遊技が可能となるため、それによって遊技者はいずれかの「大当り」が得られたことは察知できるが、明確にいずれの「大当り」であるかは容易に認識できない。
これに加えて本実施形態では、大入賞口が0.3秒間の開放を2回だけ行い、その後の遊技様態を「確変」に移行する「短開放確変当り」の態様があるが、この場合、ほとんどの遊技者はアタッカ装置46の開閉アクションに全く気付かないか、あるいは気付いても、「短開放確変当り」の開放期間内に大入賞口に入賞させることは容易でない。たまたまアタッカ装置46の開閉アクションに遊技者が気付けば、それによって「短開放確変当り」になったかもしれないという一応の予測は可能であるが、一方で、これと同じようなアタッカ装置46の開閉アクションが行われる「短開放当り」も本実施形態には存在するため、単にアタッカ装置46の動きや関連する演出動作に着目しただけでは「短開放確変当り」と「短開放当り」とを判別することは容易でない。
(9.一実施形態の特徴)
以上をまとめると、一実施形態のパチンコ機1における遊技には以下の特徴が見出される。
(1)通常の遊技様態(低確率時)で初めて「大当り」になったとしても、その旨が明確に報知されていないので、特別図柄の停止時の表示を見ただけでは、遊技者には果たしてそれが「通常大当り」であるか、「確変大当り」であるかの判別が容易に付かない。そして、その後も通常状態(低確率時)と確変状態(高確率時)で特別図柄の変動表示の態様(変動時間等)が同様であるため、特別図柄の変動表示を見ても遊技者が「確変中」であることを判別できない。このため遊技者は、大当り遊技の終了後に遊技様態が「確変」に移行したことを期待しつつ、次の「大当り」を引き当てるまでの期待感や遊技意欲を高く維持することができる。なお、パチンコ機1の仕様上、「確変大当り」の振り分け率が16分の12であり、「通常大当り」の振り分け率が16分の2であることに鑑みると、多くの場合は大当り後に「確変」に移行したことを期待しやすいと考えられる。
(2)「確変大当り」以外にも、「短開放確変当り」を契機として遊技様態が「確変」に移行する可能性があるため、遊技者がアタッカ装置46の開閉アクションや関連する演出動作に気付いた場合は、たとえ未だ大当りを引き当てていなくても、通常の遊技様態から「確変」に移行したことを期待しつつ、そこから「大当り」を引き当てるまでの期待感や遊技意欲を高く維持することができる。
(3)ただし、パチンコ機1の仕様上、条件装置の作動を伴う「短開放確変当り」の振り分け率は「通常大当り」と同程度(16分の2)に抑えられており、そのままでは出現率が低く、遊技者に対するアピール度が相対的に低くなる。この点を補うものとして、条件装置を作動させないで「短開放確変当り」と同等の挙動(アタッカ装置46の開閉アクションや関連する演出動作)を示す「短開放当り」が別途用意されており、この「短開放確変当り」の当り確率(128分の1)と「短開放確変当り」の出現率との合成により、遊技者は比較的高い頻度でいずれかの当りに接する機会が与えられる。
(4)このため遊技者は、例えば通常の遊技様態(低確率時)でアタッカ装置46の開閉アクションや関連する演出動作等の挙動に接した場合、「短開放確変当り」によって「確変」に移行した可能性があることを期待しつつ、次に「大当り」を引き当てるまでの期待感や遊技意欲を高く維持することができる。
(5)また、ある時点で遊技者がアタッカ装置46の開閉アクションや関連する演出動作等に接したときに、実際にはそれが単に「短開放当り」によるものであったとしても、しばらく遊技を続けている間に次の開閉アクションや関連する演出動作が発生することもあるため、「確変」に移行したことに対する遊技者の期待感はなかなか減退しない。
(6)あるいは、なかなか「確変」に移行する機会に恵まれなかったとしても、遊技者が一度でも「大当り」を引き当てると、上記の(1)に戻って「確変」に移行したことへの期待感が沸々とわき出てくるため、そこから次の大当りを期待しつつ、ますます遊技意欲が高まることになる。
以上のとおり、本実施形態のパチンコ機1では遊技者の期待感や遊技意欲が途切れるポイントが少なく、常に大当り等の利益が得られることへの期待感を高く維持しながら長時間にわたって熱心に遊技に取り組むことができる。
逆に、ホールでの遊技者の立ち回りにおいて、従来は釘調整の具合を読んだり、台ごとの回転数や当り回数等のデータをみて台選びをするだけであったが、本実施形態の仕様では、たまたま前の遊技者が内部的に「確変」に入っていることに気付かず、そのまま放棄してしまった台を探し出すといった面白みも新たに加わる。
(10.遊技様態維持/降格判定処理)
以上のように、いつの間にか遊技様態が「確変」に移行することがパチンコ機1の興趣性を高める要因となっているが、本実施形態ではさらに別の趣向が凝らされている。具体的には、内部的に遊技様態が「確変」に移行した場合、例えば毎回の始動入賞を契機として「確変」から通常の遊技様態に引き戻すか否かの抽選(いわゆる降格・転落等の抽選)が行われる(様態維持抽選手段)。
図13は、上記の抽選を実行するための遊技様態維持/降格判定処理の内容を示している。上記のように遊技様態が「確変」に移行した場合、主制御基板56では図13の処理が実行される。ここでは先ず、始動入賞を契機として取得した乱数値を用いて遊技様態を「確変」のまま維持するべきか否かの抽選が行われる(ステップS801)。遊技様態が維持される方の抽選確率は、例えば640分の639と比較的高く設定されており、相当低い確率640分の1でしか落選しないものとなっている。ここでの抽選に落ちなければ(NO)、そのまま本ルーチンはリターンされるが、逆に抽選に落ちると(YES)、通常の遊技様態への「降格判定」がなされる。
上記の抽選で落ちた場合、次に落選変動設定処理(ステップS802)が行われる。ここでは、上記の可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値を用いて、例えば以下の表5で表されるテーブルによって変動時間が3通りに振り分けられる。
Figure 2010158546
可変変動カウンタの値は0〜65535の範囲内で取得されるので、この落選変動設定処理では、ほとんどの場合に通常変動が適用されることになる。これにより、相当高い出現率で始動保留数に応じた通常の変動タイマが設定されることとなるので、遊技者からは通常の外れ変動とほとんど見分けが付かなくなり、特に「確変」からの降格が行われたことが直ちに判別できなくなる。なお、落選変動設定処理では、あわせて所定の停止図柄(外れ表示パターン)が選択される。
以上の落選変動設定処理が実行されると、内部的な遊技様態フラグに「0」がセットされて(ステップS803)、本ルーチンがリターンされる。これ以降は遊技様態フラグ「0」となるので、内部的な遊技様態は通常時に引き戻されることになる。
このような仕様により、たとえ一度は「確変」に移行したとしても、そこから毎回の始動入賞で高確率で大当りになる可能性もあれば、逆に640分の1の確率で「確変」から降格させられる可能性もあるといえる。したがって、遊技者は現在「確変」の遊技様態にあると予想を立てている場合であっても、常に大当りへの期待感と背中合わせに転落の危険性を身近に感じながら遊技を行うことができるため、そこにスリリングな興趣性が付加されることとなる。
このように本実施形態では、たとえ一度は「確変」に移行したとしても、そこから次の「大当り」に当選する可能性もあれば、逆に維持抽選に落選し、そこから通常確率状態に降格させられる可能性もあるといえる。このような維持抽選による降格の可能性があることを根拠に、本実施形態では当り時の「確変」への移行率を比較的高く(16分の14で確変、16分の2で非確変)設定することができ、これによって遊技者の期待感を高めつつ、ホール運営者より遊技者が一方的に有利になることを回避している。
以下、本発明の特徴である主制御基板の処理について説明する。
(11.電源遮断時処理)
図14に、停電等により電力の供給が停止されたとき実行する、電源遮断処理を示す。
図15、図16に、電力の供給が介し、普及されたとき実行する、電源投入処理を示す。
なお、遊技の進行動作に掛かる処理であるメインループ処理と、メインループ処理の実行中に、定期的に割込発生してメインループ処理同様、遊技の進行動作にかかる処理を行う、タイマ割込処理については、特に図示せず簡単に説明する。
図14は、電源遮断時処理の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、主制御基板56では、そのCPU56cに内蔵されたRAM56dにおいて遊技様態を示す遊技様態フラグを管理しており、例えば遊技中のパチンコ機1の遊技様態に応じて、例えば確変状態では遊技様態フラグが「1」と設定され、或いは通常状態では遊技様態フラグが「0」と設定される。
ステップS901ではタイマ割込処理の割り込みを禁止し、ステップS902ではRAM56dのワーク値のチェックサムを算出してそのチェックサム値を記憶しておく。そしてさらにRAM56dへのアクセスが禁止される(ステップS903)。この状態となると、その遊技様態フラグの設定値(遊技様態情報)は、電力供給が停止された際の遊技様態を示すものとしてRAM56dの一部に記憶された状態となる。
ここで、遊技様態フラグを記憶したこのRAM56dの一部は、電力供給の停止時においてもデータが揮発せずバックアップ機能として作動している。このため、このRAM56dの一部に記憶された遊技様態フラグの設定値は、電力供給が停止している状態においても揮発しないようになっている。次にステップS904では所定の番地をループするループ処理が行わる。この間ウォッチドッグタイマをリセットせず、主制御基板56のCPU56cがリセットされるまで行う。
(12.電源投入時処理)
図15および図16は、それぞれ電源投入時処理の手順の一例を示すフローチャートである。
まず概略について簡単に説明すると、本実施形態におけるパチンコ機1は、電力供給の開始操作を契機としてRAMクリア信号を発生するとともに、このRAMクリア信号の発生によってRAM56dの一部に記憶されている遊技様態フラグの設定値の初期化を実行する(初期化操作手段)。その際、そのRAMクリア信号の発生を契機として遊技様態が確変状態であるか否かに関する情報をパチンコ機1が外部に向けて教示するものである(情報教示手段)。以下、より具体的に動作例について説明する。
まず、最初にステップS1001ではCPU56cの初期設定が行われ、I/Oの定義設定や割込モード設定などの設定などを行う。次にステップS1002では、図示しないRAMクリアスイッチが押されているか否か、つまり初期化操作信号としてのRAMクリア信号のON/OFF状態を所定のレジスタに取得する。次にステップS1003ではループ処理が行われる。このループ処理ではカウンタに所定の値を設定し、カウンタの値を減算する減算処理が行われることで、所定時間の待ち処理が行われる。
次にステップS1004では、主制御基板56のRAM56dへのアクセス許可設定がされる。このステップS1004の処理はステップS1001におけるCPU初期処理の一部に相当するが、ノイズの影響を考慮し、実際にRAM56dに対してアクセスする処理が実行される直前にアクセスの禁止状態を解除している。そして、このRAM56dのスタックに関するスタックポインタの初期番地を設定する(ステップS1005)。
次に所定のレジスタに取得されたON/OFF状態を参照し、電源投入時のRAMクリアスイッチがONであったのかOFF状態であったのかを判断し(ステップS1006)、OFFである場合にはステップS1007に進み、ONである場合にはステップS1009に進む。ステップS1007ではチェックサムの算出を行い、その算出されたチェックサムの値が判定される(ステップS1008)。このステップS1008では、ここで算出されたチェックサム値と、電源遮断時に記憶されているチェックサム値とが比較され、正常である場合にはステップS1011に進み、正常でない場合にはステップS1010に進む。
一方、ステップS1009では、遊技様態フラグの設定値(遊技様態情報)をレジスタに退避させ、ステップS1010では、RAM56dのワーク全領域をクリアする。
次にステップS1011では、レジスタに退避させた情報遊技様態情報に基づいて状態コマンドを作成する。つまり、遊技様態フラグエリアの遊技様態情報に基づいて状態コマンドが作成されているのである。
具体的には、このステップS1011では、その退避先のレジスタの情報(遊技様態フラグの設定値)を確認して状態コマンドを作成する。具体的には、遊技様態フラグが「1」である場合には、例えば「5000H」である旨の状態コマンドを作成する。ここで、この設定値の状態コマンドは、例えば高確率状態(確変状態)であるにもかかわらず初期化されようとしている旨のコマンドを表している。一方、遊技様態フラグが「0」である場合には、例えば特にコマンドを作成しない。
さらに、このステップS1011では、電源投入時において電源投入コマンドを作成する。この電源投入コマンドのデフォルト値(初期値)としては、例えば「3001H(RAMクリア処理を表す)」を設定するものとする。
またこのステップS1011では、RAM56dのワークの遊技様態フラグの設定値を参照して遊技様態フラグが「1」である場合には、高確率状態(確変状態)のデフォルト値(初期値)に例えば「0002H」を加算して値を書き換える(例えば「3001H」であれば「3003H」とする)。一方、同様に参照して遊技様態フラグが「0」である場合には、低確率状態(通常状態)のデフォルト値(初期値)に例えば「0001H」を加算して値を書き換える(例えば「3001H」であれば「3002H)とする)。つまり、電源が投入されバックアップから復帰された場合には、状態コマンドとして確変状態であれば「3002H」を、通常状態であれば「3003H」を作成するのである。なお、このステップS1011では、併せてRAM56dのワーク(作業領域)の初期設定を行うようにしている。
次にステップS1012では割込初期設定がされ、タイマ割込処理の設定としてタイマ割込周期が例えば4msであることを設定する。
次にステップS1013では状態コマンドの送信予約が行われる。具体的には、このように作成された状態コマンド(「5000H」)が存在する場合、この状態コマンドを送信バッファとしてのコマンド送信エリアに設定することで送信予約を行う。なお、状態コマンドが存在しない場合にはコマンド送信エリアには何も格納されない。
次にステップS1014では、その電源投入コマンドの送信予約が行われる。具体的には、このように作成された電源投入コマンド(「3001H」または「3001H」「3002H」)を送信バッファとしてのコマンド送信エリアに設定する。次にステップS1015ではタイマ割込処理を許可する。そして、ステップS1015のタイマ割り込み処理の許可までの電源投入時処理を終えると、最後にメインループ処理に移行する。
(13.メインループ処理およびタイマ割込処理)
メインループ処理では停電信号を判定し、停電信号がONのときは上記電源遮断時処理に移行し、停電信号がOFFのときは非当落乱数更新処理に移行する。この非当落乱数更新処理では、例えば当落乱数の初期値、変動パターン乱数、リーチ乱数など、当落乱数(大当り判定用乱数)以外の更新を行い、停電信号の判定処理に戻る。
メインループ処理の実行中に、電源投入時処理で設定された割込周期でタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理では、始動入賞信号の検出や、当落乱数更新処理(大当り判定用乱数の更新)や、大入賞口の開放制御等、遊技の進行動作にかかる処理が行われる。
メインループ処理の実行中に、最初に発生するタイマ割込処理内のサブ統合基板コマンド送信処理で(図示しない)電源投入処理内のステップS1013で送信予約されたコマンド(状態コマンド、遊技様態コマンド)がサブ統合基板68に送信される。
そして、サブ統合基板68は、ステップS1013で送信予約された状態コマンド(「5000H」)を受信すると、サブ統合基板68に接続された電飾制御基板72に、確率変動状態がクリア(初期化)されたことを液晶表示装置51に表示するためのコマンドを送信する。あるいは、波形制御基板74に、確率変動状態がクリア(初期化)されたことをスピーカーを使って音声報知するコマンドを送信する。
確率変動状態がクリアされたことが遊技者に明瞭に理解できるように、電飾制御基板72は、液晶表示装置51に「確率変動状態がクリアされました」という文言を30秒程度を表示(教示の一例)する。また、波形制御基板74は、スピーカーから「確率変動状態がクリアされました」という文言を30秒程度繰り返し音声報知(教示の一例)する。
(14.本実施形態の有用性についての言及)
ここで、本実施形態におけるパチンコ機1において、例えばホールの従業員が遊技者の意に反して不正に遊技様態を操作しようとしているケースを想定する。まず、本実施形態のパチンコ機1では、遊技の進行に応じてその内部状態である遊技様態が通常状態に変更されたり或いは確変状態に変更されるときがある。遊技様態が確変状態である場合には抽選確率が通常状態よりも高く設定されていることから、遊技様態が確変状態であることをを想定している遊技者であれば、いずれ近いうちに大当りにより利益を享受することができるとの期待感を抱きつつ遊技意欲を高めながら遊技を続けていくことができる。
ここで、例えば遊技中にこのパチンコ機1に不具合が生じた場合には、ホール従業員がその不具合に対して対処を行うが、この際、ホール従業員が、遊技者の知らないうちに遊技様態を変更してしまう(確変状態から通常状態に戻してしまう)おそれがある。具体的には、ホール従業員がパチンコ機1に生じた不具合に対して対処することを装って、いわゆるRAMクリアのような初期化処理を行うことにより、遊技様態を不正に変更しようとすることが挙げられる。
遊技様態が通常状態であった場合には、もともと抽選確率が相対的に低く設定された状態であるため、このようなRAMクリアがなされても抽選確率に変更はなく遊技者はさほどの影響を受けないと考えられる。
その一方で、遊技様態が確変状態であった場合には、抽選確率が相対的に高く設定された状態であるため、このようなRAMクリアがなされると遊技様態が内部的に確変状態から通常状態へと変更され、抽選確率が相対的に低く設定されてしまう。本実施形態のパチンコ機1においては、遊技様態を直接的に外部に対して開示せず、遊技者に遊技機の挙動を観察させたり遊技者の経験則を当てはめたりしながら遊技様態を詮索したり、推測したりしながら遊技を楽しませるものである。このため本実施形態のパチンコ機1では、一見すると、このような不正が行われても遊技様態の変更を遊技者に気づかせにくく、遊技者においては抽選確率が変更されてしまったことを認識することができないようにも思われる。
しかしながら、本実施形態のパチンコ機1においては、例えばホール従業員が電源スイッチを操作した際にRAMクリア信号が出力され、このRAMクリア信号の発生を契機として遊技様態が確変状態であるか否かに関する情報をパチンコ機1が外部に向けて教示する。このため遊技者は、意に反して不正に抽選確率が相対的に低く設定されようとしていることを認識することができる。したがって、本実施形態のパチンコ機1によれば、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを遊技者が容易に発見することができる。ここで、教示される「パチンコ機1の外部」には、例えば遊技盤や枠体のみならず、ホールにおいてパチンコ機1が配列する島設備の一部を含んでいても良いことはいうまでもない。
また、本実施形態のパチンコ機1においては、「確変大当り(高付加価値利益)」または「短開放当り(低付加価値利益)」によって抽選確率が高く変更(確変状態に変更)された場合であっても、その旨を遊技者に対して明確に告知(例えば「確変中」等の文字情報による告知等)する要素は必須となっていない。これにより本実施形態のパチンコ機1は、遊技者に遊技機の挙動を観察させたり遊技者の経験則を当てはめたりしながら遊技様態を詮索したり、推測したりしながら遊技を楽しませるものである。
このため本実施形態のパチンコ機1においては、一見すると、例えば遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されるという不正行為があっても遊技様態の変更を遊技者に気づかせにくく、遊技者においては抽選確率が変更されてしまったことを認識することができないようにも思われる。
しかしながら、本実施形態のパチンコ機1においては、例えばホール従業員が電源投入をした際に遊技様態が確変状態であるか否かに関する情報をパチンコ機1が外部に向けて教示する。このため遊技者は、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを認識することができる。したがって、本実施形態におけるパチンコ機1によれば、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを遊技者が容易に発見することができる。
また、本実施形態のパチンコ機1においては、内部状態である遊技様態が通常状態であるか或いは確変状態であるかが遊技者にとってわかりにくくしつつ、「短開放当り(小価値利益)」の出現によって遊技意欲を損なわないようにしている。本実施形態のパチンコ機1では、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとした場合、一見すると遊技者にはわかりにくそうである。このような場合においても、本実施形態のパチンコ機1によれば、不正にRAMクリアスイッチが操作された場合にも遊技様態が確変状態であるか否かに関する情報が外部に教示されるため、遊技者は、その意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを認識することができる。したがって、本実施形態のパチンコ機1によれば、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを遊技者が容易に発見することができる。
本実施形態のパチンコ機1では、このような維持抽選の要素が付加されており、確変状態から転落する可能性を秘めているからこそ、上記のように確変状態への変更をより高い頻度で実現できるといえる。これにもかかわらず、本実施形態のパチンコ機1においては、遊技者の意に反して不正に遊技様態が確変状態から通常状態へと操作されたのでは、一見するとこのような確変状態への変更を高い頻度とした意味がなくなってしまいそうにも思える。
しかしながら、本実施形態のパチンコ機1においては、不正にRAMクリアスイッチが操作された場合にも遊技様態が確変状態であるか否かに関する情報をパチンコ機1が外部に向けて教示する。このため遊技者は、遊技者の意に反して不正に遊技様態が変更されようとしていることを容易に発見することができる。したがって、本実施形態のパチンコ機1によれば、このような維持抽選の要素が付加されることにより確変状態への変更をより高い頻度で実現することに意義があるといえ、遊技者は、抽選確率の相対的に高く設定された確変状態において大当りとなることで利益を享受することができる機会が多くなる。
尚、本実施形態のパチンコ機1では、遊技様態が確変状態であるか否かに関する情報の教示を、例えばタイマにより所定時間が経過したことを契機として停止するのが望ましい。また本実施形態では、これに併せて或いはこの代わりに、始動入賞や発射ハンドル18の操作を契機としてその教示を停止する構成とすることもできる。また本実施形態では所定回数の教示の後に、教示を完全に停止するようにすることもできる。
(15.演出処理)
以上は、純粋に主制御基板56による遊技動作の制御に関する処理の内容であるが、サブ統合基板68は主制御基板56から制御情報コマンドを受け取ると、これに基づいて各種の演出処理を実行することができる。
始動入賞があると、主制御基板56では乱数取得や特図変動処理等が行われるが、本実施形態では特別図柄の変動または停止表示と液晶表示装置51による演出表示動作とが必ずしも同期していない。例えば、通常遊技中に1回ごとの始動入賞に対応して特別図柄表示装置60では特別図柄の変動・停止表示が行われていても、これとは無関係に液晶表示装置51では一定のペースで連続的な映像(例えば、競走馬が放牧されていたり、厩舎につながれていたり、レース調教を受けていたりする映像)が表示され続けている。同様に、特別図柄について従来のようなリーチ変動表示の手法が採用されていないことから、液晶表示装置51においても装飾図柄を用いたリーチ演出表示が行われない。
その代わり、当り判定の結果によって「通常大当り」や「確変大当り」となる場合は、これらの大当り遊技に移行する前に一連のストーリーを有したアニメーション画像が液晶表示装置51において表示され、ストーリー上で何らかの完結(例えば競走馬が国内レースで優勝する等)をみると、そこから大当り遊技の演出(例えば、同じ競走馬が海外レースに出走する等)に発展する。また、スピーカ14,36からは映像の変化に合わせて効果音等が出力される。
このほかに、「短開放確変当り」や「短開放当り」になった場合は、何らかの関連する演出動作(例えば、競走馬がパドックに位置を変えたり、出走ゲートに入ったりする等の視覚的変化のある映像)が液晶表示装置51にて表示されるとともに、スピーカ14,36からBGMや効果音が出力される。
以上のような演出動作に接することで、遊技者は内部状態の変化や抽選結果をあれこれと推測しながら興趣性の高い遊技を継続することができる。
(16.第2実施形態)
図17は、本発明の第2実施形態としてのパチンコ機の動作例を示すフローチャートである。
第2実施形態としてのパチンコ機は、第1実施形態としてのパチンコ機1とほぼ同様の構成とすることができ、さらにはほぼ同様の動作を行うため、同様の構成については第1実施形態と同一の符号を用いてその説明を省略し、以下異なる点を中心として説明する。
第2実施形態としてのパチンコ機は、第1実施形態としてのパチンコ機1の構成に加えてさらに、RAMクリアスイッチの操作によってRAM56d(記憶手段)が初期化されてから、次回電力供給が開始されるまでの期間を計時する計時手段としてのタイマを備えている。このタイマは、例えば所定のカウント値から0までカウントダウンする機能を有する。またさらに第2実施形態におけるパチンコ機は、電力供給が開始された際にそのRAMクリアスイッチが操作されたことを契機としてRAM56dから退避させた遊技様態情報を記憶するレジスタを備えている。
このRAM56dは、遊技様態フラグエリア(遊技様態記憶領域)および遊技様態履歴フラグエリア(履歴記憶領域)を有している。遊技様態フラグエリアは、電力供給が停止された際に遊技様態情報を遊技様態フラグとして記憶するための記憶領域である。一方、遊技様態履歴フラグエリアは、RAM56dの初期化後に、そのレジスタに退避した遊技様態情報を記憶するための記憶領域である。ここで、電力供給が停止された際の遊技様態を表す最初の遊技様態を表す遊技様態情報「元々の遊技様態情報」と呼称する。
第2実施形態では、電力供給が開始された際にタイマによる計時期間が所定時間以上となっているときは、そのレジスタに退避した遊技様態情報に基づいて状態コマンドが作成される。一方、タイマによる計時期間が所定時間となっていないときは、RAM56dの履歴記憶領域に記憶されている遊技様態情報に基づいて状態コマンドが作成される。つまり、第2実施形態では、タイマによる計時時間が所定時間となっているか否かにかかわらず確実に元々の遊技様態情報を確保しており、この確保していた元々の遊技様態情報に基づいて状態コマンドを作成することができる。そして第2実施形態におけるパチンコ機では、作成した状態コマンドに基づいて確実に遊技様態が第2遊技様態であるか否かを外部に向けて教示することができる。
第2実施形態としてのパチンコ機は以上のような構成であり、次にその動作例について説明する。
図17は、本発明の第2実施形態としてのパチンコ機の動作例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、第1実施形態と異なる点を中心として説明する。
第2実施形態としてのパチンコ機では、RAM56dの全領域が初期化された際に(ステップS1010)、併せて図示しないタイマがセットされ、計時が開始される(ステップS1010a)。そして第2実施形態におけるパチンコ機は電力供給が停止され、電源が一旦遮断される。
第2実施形態としてのパチンコ機は、再度電源が投入されると電源投入処理(ステップS1001からステップS1008まで)が再度実行される。電源投入時のRAMクリアスイッチがONであった場合にはステップS1006aに進み、このステップS1006aでは、タイマによる計時時間が所定時間(例えば0)であるか否かが判断され、所定時間である場合にはステップS1009に進む。
ここで、RAMクリア処理されるRAM56dのワーク領域は、RAMクリアスイッチの操作によって初期化され得る記憶領域であるため、電源遮断時にRAM56dのワーク領域(遊技様態フラグエリア)に記憶した遊技様態情報を、電源投入時に一旦レジスタに退避している(ステップS1009)。一方、ステップS1006aにおいてタイマによる計時時間が所定時間ではない場合にはステップS1009aに進む。このステップS1009aでは遊技様態履歴フラグエリアの情報(遊技様態情報)をレジスタに退避させる。次にステップS1010ではRAM56dの全領域をクリア(初期化)し、タイマが所定のカウント値にセットされる(ステップS1010a)。ここで、タイマをセットするのは、このような初期化が行われてからの時間が所定時間経過したか否かを計時するためである。
第1実施形態では、ステップS1011でレジスタに退避させた遊技様態情報に基づいて状態コマンドを作成したが、第2実施形態では、さらにRAMクリア操作により記憶領域が初期化された後に、この退避しておいた遊技様態情報を履歴(遊技様態履歴フラグ)としてRAMのワーク領域(遊技様態フラグエリア)にあらためて記録する。
このようにすると、例えばホール従業員が不正にRAM56dの遊技様態情報を初期化しようとした場合、RAM56dの遊技様態フラグが高確率状態(確変状態)を表すとき(元々の遊技様態)は、たとえRAMクリアされてもレジスタに退避された遊技様態情報を利用して状態コマンドを作成することができる。
しかしながら、このときすぐにRAMクリア操作が行われると、遊技様態フラグは初期化されているために、RAM56dの遊技様態フラグが低確率状態(通常状態)になっており、一見すると状態コマンドは作成されないようにも思える。
さらに、状態コマンドがサブ統合基板68に送信されて、高確率状態であることを教示しようとしたときには、サブ統合基板68にはバックアップ機能がないため、状態コマンドの存在が記憶として残らず教示することができない。つまり、遊技者は、高確率状態が初期化され通常状態となってしまったことを認識することができない可能性がある。
しかしながら第2実施形態としてのパチンコ機では、RAMクリア操作により記憶領域が初期化された後、レジスタに退避した遊技様態情報を履歴としてRAM56dのワーク領域(遊技様態履歴フラグエリア)にあらためて記憶しているのである。このようにすると、RAM56dのワーク領域(遊技様態履歴フラグエリア)には元々の遊技様態情報が残るようになるので、第2実施形態としてのパチンコ機では、RAMクリア後においても、残ったこの元々の遊技様態情報に基づいて確変状態である旨の教示を行うための状態コマンドを確実に作成することでき(ステップS1011)、例えば確変状態であった旨の教示を外部に対して確実に教示することができる。
また、第2実施形態では、このように繰り返し2度RAMクリアされた場合のみならず、前回RAMクリアされ今回RAMクリアされずに電源が投入された場合にも適用することができる。この場合、この第2実施形態の変形例では、図17において図示のようにステップS1006aがステップS1006とステップS1009の間に設けられている代わりに、ステップS1006aがステップS1005とステップS1006の間に設けられている。ここで第2実施形態とは異なり、第2実施形態の変形例では、ステップS1006aにおいてタイマの計時時間=0の場合はステップS1006に進む点が異なっている。
このような第2実施形態の変形例でも、同様にRAMクリア操作後に電源を遮断してからすぐにRAMクリア操作を行わずに電源投入操作が行われると、遊技様態フラグは初期化されているために、RAM56dの遊技様態フラグが低確率状態(通常状態)になっており、一見すると状態コマンドは作成されないようにも思える。つまり、遊技者は、高確率状態がクリア(初期化)され通常状態とされてしまったことがわからない可能性がある。
しかしながら第2実施形態の変形例でも、RAMクリア操作により記憶領域が初期化された後、レジスタに退避した遊技様態情報を履歴としてRAM56dのワーク領域にあらためて記憶しているのである。このようにすると、RAM56dのワーク領域には元々の遊技様態情報が確実に残るようになるので、第2実施形態の変形例としてのパチンコ機では、RAMクリア後に再度電源を投入すれば、残ったこの遊技様態情報に基づいて状態コマンドを確実に作成することでき、確変状態である旨の教示を外部に対して教示することができる。
(17.その他の実施形態についての言及)
また、上記各実施形態では、遊技機の一例としてパチンコ機に適用することを例示しているがこれに限られず、スロットマシンのような回胴式遊技機に適用しても良いことはいうまでもない。
1 パチンコ機
4 遊技盤
42 センター役物
44 入球装置
46 アタッカ装置
46a 開閉部材
52 LED
56 主制御基板(利益判別手段、第1〜第3利益付与手段、情報教示手段)
56d RAM(記憶手段)

Claims (1)

  1. 所定の確率で遊技者に利益を付与すべきか否かの抽選を行うとともに、当選の場合は遊技者に対していかなる利益を付与すべきかを判別する利益判別手段を備え、この利益判別手段の判別結果に基づいて遊技者に所定の利益を付与することが可能な遊技機において、
    前記抽選の実行に際し、前記所定の確率を相対的に低く設定した第1遊技様態と、この低確率遊技様態よりも前記所定の確率を高く設定した第2遊技様態とのいずれかに変更可能とする当選確率変更手段と、
    前記当選確率変更手段によって遊技様態が前記第2遊技様態に変更されたか否かに関する遊技様態情報を電力供給が停止された際に記憶する記憶手段と、
    電力供給の開始操作を契機として初期化信号を発生するとともに、この初期化信号の発生によって前記記憶手段に記憶されている前記遊技様態情報の初期化を実行させる初期化操作手段と、
    前記初期化信号の発生を契機として前記遊技様態が前記第2遊技様態であるか否かに関する情報を遊技機が外部に向けて教示する情報教示手段とを具備したことを特徴とする遊技機。
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