JP2010154178A - スピーカおよびスピーカにおける振動系部材の位置保持機構 - Google Patents

スピーカおよびスピーカにおける振動系部材の位置保持機構 Download PDF

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Abstract

【課題】音響特性の向上を図ることができると共に、振動系部材の安定的な動きを確保しつつ、振動系部材を中心に位置保持することが可能なスピーカおよびスピーカの位置保持機構を提供すること。
【解決手段】マグネット11を有する磁気回路3と、磁気回路3に対して接離する方向に振動する振動系部材5と、を備えるスピーカ1において、磁気回路3と振動系部材5との間に、弾性部材31を備える位置保持機構6を有し、位置保持機構6は、その一端が振動系部材5側に固定される摺動軸30と、磁気回路3側に固定され、摺動軸30の他端を挿入可能とする挿入孔を有する第1の軸受け34と、を備え、弾性部材31,32を摺動軸30の外周に配置させると共に、摺動軸30の他端を第1の軸受け34の挿入孔に挿入させることにより、振動系部材5の中心を磁気回路3の中心と略一致させて位置保持していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、スピーカおよびスピーカにおける振動系部材の位置保持機構に関する。
従来から、ボイスコイルおよび振動板をスピーカの中心に位置保持するために、布にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や二液反応型硬化性樹脂を含浸させ、コルゲーションとなるように同心円状にプレス成型したダンパを、ボイスコイルとフレームとの間に介在させているスピーカが知られている。
特許文献1には、ボイスコイルとフレームとの間に綿布製ダンパを介在させることにより、ボイスコイルを磁界部の中心に保持しているスピーカが開示されている。
特開2004−343804号公報(図1)
しかしながら、特許文献1に開示されているスピーカでは、位置保持部材として布から構成されるダンパが採用されているため、スピーカの大入力の使用による疲労により、ダンパの剛性が低下し、最低共振周波数が変動してしまうことがある。その場合、低音域における再生限界が変動し、音響特性が悪化するといった問題が発生する。
また、特許文献1に開示されているスピーカでは、ダンパは同心円状に形成され、素材として綿布が用いられている。このため、形状や素材に起因して、入力に対して非線形的にダンパが変位しやすくなり、該ダンパを含む支持系は耐クリープ性に劣ることになる。したがって、主に、振動板、ボイスコイルおよびボイスコイルボビンから構成される振動系部材が動作した場合、機械的な基準位置が不明確となってしまい、ダンパに、ヒステリシス損に起因する経時的な歪みが発生することがある。さらに、スピーカを大入力で使用した場合、非線形が顕著になり、ローリング現象が発生しやすくなる。その結果、ボイスコイルが他の部材と接触してしまい、異音や破壊の要因となる虞が生じる。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、音響特性の向上を図ることができると共に、振動系部材の安定的な動きを確保しつつ、振動系部材を中心に位置保持することが可能なスピーカおよびスピーカにおける振動系部材の位置保持機構を提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、マグネットを有する磁気回路と、磁気回路の磁界中に配置され、磁気回路に対して接離する方向に往復運動するボイスコイルと、ボイスコイルに発生する動力が伝達される振動板とを有する振動系部材と、を備えるスピーカにおいて、磁気回路と振動系部材との間に、弾性部材を備える位置保持機構を有し、位置保持機構は、その一端が上記振動系部材側に固定される摺動軸と、磁気回路側に固定され、摺動軸の他端を挿入可能とする挿入孔を有する第1の軸受けと、を備え、弾性部材を摺動軸の外周に配置させると共に、摺動軸の他端を第1の軸受けの挿入孔に挿入させることにより、振動系部材の中心を磁気回路の中心と略一致させて位置保持しているものである。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、位置保持がなされた状態で、摺動軸を第1の軸受けに対して軸方向に向かって相対移動可能としたものである。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、位置保持機構は、摺動軸を挿入可能とする挿入孔を有すると共に、摺動軸の軸方向において、弾性部材を第1の軸受けとで挟み込む第2の軸受けを備えるものである。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、弾性部材は圧縮バネによって構成されると共に、第1の軸受けと第2の軸受けとの間に圧縮した状態で装着されてものである。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、弾性部材は引張りバネによって構成されると共に、第1の軸受けと第2の軸受けとの間に引っ張った状態で装着されているものである。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、摺動軸には、該摺動軸から周方向外方に向かって突出するフランジ部が設けられており、フランジ部を境として、該フランジ部と第1の軸受けおよび第2の軸受けとの間の2箇所の位置に、弾性部材を一対に装着しているものである。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、一対の弾性部材は、その他端がフランジ部に固定されると共に、その一端が第1の軸受け、もしくは第2の軸受けにそれぞれ固定されているものである。
さらに、他の発明は、振動系部材を磁気回路に対して接離する方向に振動させて音を発生させるスピーカにおける振動系部材の位置保持機構であって、その一端が振動系部材側に固定される摺動軸と、磁気回路側に固定され、摺動軸の他端を挿入可能とする挿入孔を有する第1の軸受けと、磁気回路と振動系部材との間に介在され、布を用いたダンパよりも非線形性を低減させる弾性部材と、を備え、弾性部材を摺動軸の外周に装着させると共に、摺動軸の他端を第1の軸受けの挿入孔に挿入させることにより、振動系部材の磁気回路に対する位置保持がなされるものである。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、摺動軸の一端を振動系部材の略中心に保持すると共に、挿入孔が磁気回路の略中心に位置するように第1の軸受けを該磁気回路に配置することで、振動系部材の中心を磁気回路の中心と略一致させて位置保持するものである。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、摺動軸を第1の軸受けに対して軸方向に向かって相対移動可能としたものである。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、摺動軸を挿入可能とする挿入孔を有すると共に、摺動軸の軸方向において、弾性部材を第1の軸受けとで挟み込む第2の軸受けを備えるものである。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、弾性部材は圧縮バネによって構成されると共に、第1の軸受けと第2の軸受けとの間に圧縮した状態で装着されているものである。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、弾性部材は引張りバネによって構成されると共に、第1の軸受けと第2の軸受けとの間に引っ張った状態で装着されているものである。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、摺動軸には、該摺動軸から周方向外方に向かって突出するフランジ部が設けられており、フランジ部を境として、該フランジ部と第1の軸受けおよび第2の軸受けとの間の2箇所の位置に、弾性部材を一対に装着したものである。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、一対の弾性部材は、その他端がフランジ部に固定されると共に、その一端が第1の軸受け、もしくは第2の軸受けにそれぞれ固定されているものである。
本発明によると、音響特性の向上を図ることができると共に、振動系部材の安定的な動きを確保しつつ、振動系部材を中心に位置保持することが可能なスピーカおよびスピーカにおける振動系部材の位置保持機構を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係るスピーカ1の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、スピーカ1の位置保持機構6の構成についても、スピーカ1と併せて説明する。また、以下の説明において、図1および図2に示す左方向を「左」、右方向を「右」、上方向を「上」および下方向を「下」とそれぞれ規定する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るスピーカ1の側断面図である。
図1に示すように、スピーカ1は、全体の支持部材となるフレーム2と、フレーム2の下方に配置される磁気回路3と、磁気回路3に対して接離する方向に振動する振動系部材5と、磁気回路3に対して振動系部材5の位置保持を行う位置保持機構6とを有する。フレーム2は、上端が開放した略円錐台形状を為しており、径小となる下方側の径方向中心には開口部が形成されている。
磁気回路3は、ヨーク10と、マグネット11と、トッププレート12とから構成されている。ヨーク10は、磁性材からなる磁気回路3の基盤部材であり、略有底筒状をなしている。具体的には、ヨーク10は、略円柱状の形態を有するセンターガイド部13と、このセンターガイド部13の下端部において周方向外側に向かって全周に亘って延出する載置部14とを有する。載置部14は、マグネット11およびトッププレート12の高さ方向の位置出しを行うと共に磁路を形成するために設けられている。センターガイド部13の中央には上下方向に貫通する断面円形状の空気孔17が設けられている。この空気孔17の上方部分は下方部分よりも大径に形成されており、両者の境界部は後述する下軸受け34を保持するための下バネ保持部18となっている。この下バネ保持部18は、全周に亘って段差状に形成されている。
載置部14には、ドーナツ状のマグネット11が載置される。このマグネット11は、センターガイド部13の外周側に位置するように載置部14に載置される。また、マグネット11の上方には磁性材からなるドーナツ状のトッププレート12が配置される。このトッププレート12は、マグネット11と対向する位置に、マグネット11を載置部14とで狭持せしめるように配置される。また、センターガイド部13の外周部とトッププレート12の内周部との間には所定間隔を有する磁気ギャップ15が形成されている。また、マグネット11の外径はトッププレート12の外径よりもわずかに大径となっている。
磁気ギャップ15には、円筒状の形態を有するボイスコイル4が配置されている。このボイスコイル4は円筒状の形態を有するボイスコイルボビン16の外周面に接着固定されている。
振動系部材5は、ボイスコイル4と、ボイスコイルボビン16と、振動板20と、該振動板20をフレーム2に固定するためのエッジ21と、振動板20の内側に配置されるセンターキャップ22と、を有する。振動板20は、例えば、コーン紙を素材として形成された円錐台形状を呈しており、該振動板20が振動することによって音が発振される。この振動板20は、その中央が開放されると共に、開放した開口縁部には下方に向かって延出する対向壁23が設けられている。そして、この対向壁23を、ボイスコイルボビン16の側壁に接触させ、接着剤を滴下することにより、振動板20の内周部がボイスコイルボビン16と接着固定される。また、振動板20の外周側は、エッジ21と接着固定されている。エッジ21はリング状の形態を有しており、その断面は弓なりに屈曲した形状を呈している。そして、このエッジ21がフレーム2に取付固定されることで、振動板20がフレーム2に支持される構成となる。
また、フレーム2と振動板20との間を封止すべく、フレーム2とエッジ21との間には、ガスケット24が取り付けられている。また、センターキャップ22は略ドーム状の形態を有しており、ボイスコイル4を覆うように振動板20の内側に配置されている。このセンターキャップ22の裏側の開口縁部はボイスコイルボビン16の上縁部と係合固定されている。このため、ボイスコイル4や振動板20の内部に塵埃が入り込むのが防止される。また、図1に示すように、スピーカ1は陽極側の入力端子25と陰極側の入力端子26との2つの入力端子25,26を備えている。
次に、スピーカ1の位置保持機構6(以下、単に、位置保持機構6という。)の構成について詳細に説明する。
図2は、図1中の位置保持機構6の側断面図である。
位置保持機構6は、振動系部材5の中心を磁気回路3の中心軸線Mに略一致させて位置保持するための機構である。この位置保持機構6は、ボイスコイルボビン16の内側であり、かつセンターガイド部13とセンターキャップ22との間の空間に配設されている。
位置保持機構6は、摺動軸30と、摺動軸30の上方側に配置される弾性部材となる上バネ31と、摺動軸30の下方側に配置される弾性部材となる下バネ32と、上バネ31の上方に配設される上軸受け33と、下バネ32の下方に配設される下軸受け34と、上バネ31を受け止めるためのバネ受け部35とを有する。
摺動軸30は、略棒状の軸部材であり、上下方向略中央には周方向外方に向かって突出する略円盤状のセンターフランジ36が設けられている。センターフランジ36は肉厚で周方向外方に向かって小径に突出する肉厚フランジ部37と、肉厚フランジ部37の高さ方向における略中央から肉薄で周方向外方に向かって突出する肉薄フランジ部38とを有する。このため、センターフランジ36の表裏両側には、全周に亘って段差状に切り欠かれた段差部40が形成されている。摺動軸30の一端(上端)は、センターキャップ22の裏側略中央部に凹状に形成される軸受凹部41に嵌め込まれている(図2参照)。すなわち、摺動軸30は、その一端が軸受凹部41に支持されることよって、スピーカ1の中心に保持されている。一方、摺動軸30の他端は、支持されることなく、後述する下軸受け34の挿入孔34aに挿入されている。本実施の形態では、摺動軸30の材料として、アルミニウム等の金属が用いられているが、摺動軸30の材料は金属に限定されるのもではなく、樹脂等の他の材料を用いても良い。
上バネ31および下バネ32は一端側から他端側に向かうにつれて小径となるようにねじられたねじりコイルバネとされている。また、これら上バネ31および下バネ32は、同形状の圧縮バネとされている。上バネ31は、その内周側に摺動軸30が挿入される形でセンターフランジ部36の上側に圧縮した状態で装着されている。下バネ32は、その内周側に摺動軸30が挿入される形でセンターフランジ部36の下側に圧縮した状態で装着されている。具体的には、上バネ31および下バネ32はそれぞれの他端側がセンターフランジ36側に向くように摺動軸30の外周側に一対に装着されている。図2に示すように、上バネ31の一端部は接着剤等を介在させることにより上軸受け33の下端面に固定されている。一方、上バネ31の他端部はその内周側に肉厚フランジ部37を嵌め込む形でセンターフランジ36の上側の段差部40に係合固定されている。下バネ32の一端部は、上バネ31の場合と同様、接着剤等を介在させることにより下軸受け34の上端面に固定されている。また、下バネ32の他端部は、上バネ31の場合と同様、その内周側に肉厚フランジ部37を嵌め込む形でセンターフランジ36の下側の段差部40に係合固定されている。
上述したように、上バネ31の上側には上軸受け33が配設されており、下バネ32の下側には、下軸受け34が配設されている。上軸受け33および下軸受け34は、共に略円盤状の形態を有しており、その中央には円形状の挿入孔33a,34aが形成されている。また、上軸受け33および下軸受け34のそれぞれには、通気性を良好に保つために、円形状の形態を有する複数の空気孔33b,34bが設けられている。
図2に示すように、上軸受け33は、挿入孔33aに摺動軸30の上方部分を挿入させた状態で、上バネ31の上側に配設されている。また、下軸受け34は、挿入孔34aに摺動軸30の下方部分を挿入させた状態で、下バネ32の下側に配設されている。このような構成により、摺動軸30は、上軸受け33および下軸受け34に対して摺動可能な状態となっている。また、摺動軸30が挿入孔33a,34aに挿入されることにより、摺動軸30は磁気回路3の中心軸線Mに略一致するように位置保持される。さらに、上述したように、下軸受け34はセンターガイド部13の下バネ保持部18に係止されるように空気孔17の内部に配置されている。
さらに、センターガイド部13の上方には中央が開口した略ドーム状の形態を有するバネ受け部35が配設されている。このバネ受け部35は、センターガイド部13の上端側の外縁部に設けられている。また、バネ受け部35の開口部近傍の裏側には、全周に亘って周方向に略逆L字状の形態で切り欠かれた上バネ保持部44が形成されている。バネ受け部35は、上バネ31および下バネ32を圧縮させた状態で上軸受け33を所定の高さに位置保持している。この位置保持は、上軸受け33の外縁部を上バネ保持部44に当接させて固定することによってなされている。このため、上バネ31および下バネ32のそれぞれは、センターフランジ36を中央に介して上軸受け33と下軸受け34のそれぞれによって狭持された状態となっている。また、バネ受け部35には、通気性を良好に保つために、周方向に向かって複数の空気孔45が設けられている。
上述のように、バネ受け部35によって上軸受け33が位置保持されると、上軸受け33によって上バネ31の上端側が受け止められる。また、上バネ31は、その下方がセンターフランジ36によって受け止められるため、上バネ31は自身の復元力によってセンターフランジ36を下方へ押し下げようとする。下方に押し下げようとする力がセンターフランジ36に作用すると、センターフランジ36が下方へ押し下げられ、その力が下バネ32に作用し、下バネ32が圧縮される。ここで、下軸受け34が、下バネ32に作用する力を該下バネ32の下側で受け止めるため、下バネ32はセンターフランジ36と下軸受け34によって狭持されて圧縮される。また、摺動軸30は一端側においてのみ支持されると共に、上軸受け33および下軸受け34に対して摺動可能に構成されているため、スピーカ1に電源が入力されない状態では、摺動軸30は上バネ31および下バネ32に作用する力が釣り合った位置で静止する。一方、スピーカ1に電源を入力して振動系部材5を振動させると、振動系部材5の動きに追従して摺動軸30も上下に移動する。すると、上バネ31および下バネ32は、それらのうちの一方が圧縮され、他方が引っ張られる関係を有するサスペンションとして機能する。したがって、位置保持機構6は振動系部材5の動きに追従しつつ、振動系部材5をスピーカ1の中心に位置保持する。
以上のように構成されたスピーカ1では、位置保持部材として、サスペンションとして機能する上バネ31および下バネ32を備えた位置保持機構6が採用されている。また、上バネ31および下バネ32は線形的に変位することから、位置保持機構6によって位置保持される振動系部材5も線形的に変位する。そのため、上バネ31および下バネ32に経時的な歪みが発生することがない。その結果、振動系部材5の動作における機械的な基準位置を明確に維持することが可能となる。また、スピーカ1を大入力で使用した場合でも、疲労により上バネ31および下バネ32の剛性が低下するのを防止でき、振動系部材5の最低共振周波数が変動することを防止できる。その結果、低音域における再生限界が一定となり、音響特性が悪化するのを防止できる。
また、スピーカ1では、上バネ31および下バネ32は予め圧縮された状態で摺動軸30に装着されると共に、スピーカ1に電源が入力されない状態では、力が釣り合った状態となっている。このため、疲労により上バネ31および下バネ32の剛性が低下するのをより効果的に防止できる。その結果、上バネ31および下バネ32に経時的な歪みが発生するのを効果的に防止できる。
また、スピーカ1では、上バネ31および下バネ32は上下に対称に釣り合った状態で配置されているため、スピーカ1を大入力で使用した場合、摺動軸30が傾くことにより、ローリング現象が発生するのを防止できる。その結果、ボイスコイル4が他の部材との間でこすれ現象を起こすことを防止できる。
また、スピーカ1では、位置保持部材として位置保持機構6をスピーカ1の中心に配設している。このため、位置保持部材としてダンパを用いる場合と比較して、ストロークを小さくでき、そのストローク分だけスピーカ1の薄型化を図ることが可能となる。また、位置保持機構6において上バネ31および下バネ32をサスペンションとして機能させているため、一般的に綿布を素材とするダンパを用いた場合と比較して、物性に起因して剛性が低下するのを防止できる。その結果、位置保持部材に経時的な歪みが発生するのを防止できる。
(実験1)
図3は、スピーカを構成する振動系部材の特性を、入力と変位との関係でヒステリシスループとして表した図であり、(A)は位置保持部材としてダンパを用いた従来のスピーカ(以下、比較例とする。)の特性を示す図であり、(B)は本発明の一実施の形態に係るスピーカ1(以下、本実施の形態とする。)の特性を示す図である。ここで、横軸は入力される力[mN]の大きさを表しており、縦軸は変位[mm]の大きさを表している。
図3(A)に示すように、比較例では、振動系部材が静止した状態で交流電流を入力すると、振動系部材は、入力された力に比例して、原点0から矢示Aに沿ってプラス側の領域へと変位していった。そして、特定の変位量を超えると、振動系部材は、主にダンパから構成される支持系のスチフネス(剛さ)により、それより手前の直線とは異なるような非線形的なカーブを描きながらプラス側の限界域に到達した。振動系部材がプラス側の限界域に到達すると、それ以上力が加えられても、振動系部材は変位しなかった。
振動系部材がプラス側の限界域に到達すると、交流電流の入力により、振動系部材にはプラス側とは逆方向となるマイナス側へ変位させる力が加わる。また、振動系部材がプラス側の限界域に到達した際、支持系はクリープによりプラス側に変位のバイアスが作用した状態となっている。このため、振動系部材にマイナス側へ変位させる力が働くと、振動系部材は矢示Aに沿ったルートとは異なる矢示Bに沿ったルートでマイナス側の領域に変位していった。この場合、原点0を通ることなくマイナス側の領域に移行していった。そして、特定の変位量を超えると、振動系部材は、支持系のスチフネス(剛さ)によりそれより手前の直線とは異なるようなカーブを描きながらマイナス側の限界域に到達した。振動系部材がマイナス側の限界域に到達すると、それ以上力が加えられても、振動系部材は変位しなかった。マイナス側の限界域は、プラス側の限界域と原点0を中心として略点対称の位置となった。
振動系部材がマイナス側の限界域に到達すると、振動系部材にはマイナス側とは逆方向となるプラス側へ変位させる力が加わる。また、振動系部材がマイナス側の限界域に到達した際、支持系はクリープによりマイナス側に変位のバイアスが作用した状態となっている。このため、振動系部材にプラス側へ変位させる力が働いても、振動系部材は矢示B方向に沿ったルートとは異なる矢示Cに沿ったルートでプラス側の領域に変位していった。すなわち、矢示Aのルートを中心として矢示Bのルートと略線対称となるルートに沿ってプラス側の領域に移行していった。この場合も、原点0を通ることなくプラス側の領域に移行していった。また、特定の変位量を超えると、振動系部材は、支持系の曲げ剛性により非線形的なカーブを描きながらプラス側の限界域に到達していき、それ以上力が加えられても変位しなかった。
このように、比較例では、振動系部材は、初めは矢示Aに沿ってプラス側の領域に変位するが、その後は、矢示Bおよび矢示Cに沿って、マイナス側およびプラス側の領域に向かって交互に変動した。なお、比較例では、スピーカへの入力を停止すると、振動系部材は、プラス側もしくはマイナス側のいずれかの領域に少し変位した状態で停止した。そして、その後、時間をかけてゆっくりと原点0に近づいてゆくが、完全に原点0の位置には戻ることはなかった。
また、図3(B)に示すように、本実施の形態では、振動系部材は、入力された力に比例して、原点0を略中心として、プラス側の領域およびマイナス側の領域を交互に往復するように変位した。また、プラス側の限界域とマイナス側の限界域は、原点を略中心として点対称の位置となった。なお、実施例では、スピーカへの入力を停止すると、振動系部材は、原点0と略同一の位置で停止した。
以上の結果から、位置保持部材としてサスペンションを用いることにより、振動系部材が入力に対して線形的に変位することがわかった。また、本実施の形態では、振動系部材は、原点0を中心として変動するため、原点0付近で変位のずれがほとんどなくなり、振動系部材の動作における機械的な基準位置を維持することができることがわかった。さらに、本実施の形態では、原点0を中心として変動することから、比較例のように位置保持部材としてダンパを用いた場合と比較して、クリープによって位置保持部材が変形することがほとんどなくなり、位置保持部材に経時的な歪みを低減できることがわかった。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
上述の実施の形態では、上軸受け33と下軸受け34の2つの軸受けを設けているが、軸受けの数は2つに限定されるものではなく、上軸受け33および下軸受け34のうちの一方のみを配置する等して、軸受けの数を1つとしても良いし、上軸受け33および下軸受け34以外にも軸受けを配置する等して、軸受けの数を3つ以上としても良い。
また、上述の実施の形態では、位置保持機構6には、上バネ31および下バネ32の2つのバネ部材が配設されているが、位置保持機構6に配設されるバネ部材の数は2つに限定されるものではなく、1つとしても良いし、3つ以上としても良い。また、上バネ31および下バネ32として、圧縮バネではなく引っ張りバネを用い、該引っ張りバネを引っ張った状態で装着するようにしても良い。また、上バネ31および下バネ32をバネ定数が異なる等、異なる形態を有するバネで構成するようにしても良いし、弾性部材として、バネ部材以外の弾性体を用いても良い。
また、上述の実施の形態では、上バネ31の一端部は上軸受け33に固定されると共に、その他端部はセンターフランジ36に固定されている。また、下バネ32の一端部は、下軸受け34に固定されると共に、その他端部はセンターフランジ36に固定されている。しかしながら、上バネ31および下バネ32のそれぞれをセンターフランジ36や上軸受け33および下軸受け34に固定しないようにしても良い。また、上バネ31および下バネ32のセンターフランジ36への固定方法は係合固定に限定されるものではない。
また、上述の実施の形態では、位置保持部材として、位置保持機構6のみを配設したが、例えば、ダンパを、振動系部材の中心保持をするために、位置保持機構6の補助的な役割で用いるようにして、位置保持機構6とダンパとを併用する構成を採用しても良い。
また、上述の実施の形態では、振動板20を、エッジ21を介してフレーム2に保持させているが、エッジ21を介することなく、振動板20をフレーム2に保持させるようにしても良い。エッジ21を配置しないような構成とすることで、振動板20の有効面積を大きくすることができる。
本発明のスピーカは、振動板より音を放出するスピーカ等の音響変換装置において利用することができる。
本発明の一実施の形態に係るスピーカの側断面図である。 図1中の位置保持機構の側断面図である。 図3は、スピーカを構成する振動系部材の特性を、入力と変位との関係でヒステリシスループとして表した図であり、(A)は位置保持部材としてダンパを用いた従来のスピーカの特性を示す図であり、(B)は本発明の一実施の形態に係るスピーカの特性を示す図である。
符号の説明
1…スピーカ
3…磁気回路
4…ボイスコイル
5…振動系部材
6…位置保持機構
11…マグネット
20…振動板
30…摺動軸
31…上バネ(弾性部材)
32…下バネ(弾性部材)
33…上軸受け(第2の軸受け)
33a…挿入孔
34…下軸受け(第1の軸受け)
34a…挿入孔
36…センターフランジ(フランジ部)
M…磁気回路の中心(中心軸線)

Claims (15)

  1. マグネットを有する磁気回路と、
    上記磁気回路の磁界中に配置され、上記磁気回路に対して接離する方向に往復運動するボイスコイルと、上記ボイスコイルに発生する動力が伝達される振動板とを有する振動系部材と、
    を備えるスピーカにおいて、
    上記磁気回路と上記振動系部材との間に、弾性部材を備える位置保持機構を有し、
    上記位置保持機構は、
    その一端が上記振動系部材側に固定される摺動軸と、
    上記磁気回路側に固定され、上記摺動軸の他端を挿入可能とする挿入孔を有する第1の軸受けと、
    を備え、
    上記弾性部材を上記摺動軸の外周に配置させると共に、上記摺動軸の上記他端を上記第1の軸受けの上記挿入孔に挿入させることにより、上記振動系部材の中心を上記磁気回路の中心と略一致させて位置保持していることを特徴とするスピーカ。
  2. 前記位置保持がなされた状態では、前記摺動軸は前記第1の軸受けに対して軸方向に向かって相対移動可能であることを特徴とする請求項1記載のスピーカ。
  3. 前記位置保持機構は、
    前記摺動軸を挿入可能とする挿入孔を有すると共に、前記摺動軸の軸方向において、前記弾性部材を前記第1の軸受けとで挟み込む第2の軸受けを備えることを特徴とする請求項2記載のスピーカ。
  4. 前記弾性部材は圧縮バネによって構成されると共に、前記第1の軸受けと前記第2の軸受けとの間に圧縮した状態で装着されていることを特徴とする請求項3記載のスピーカ。
  5. 前記弾性部材は引張りバネによって構成されると共に、前記第1の軸受けと前記第2の軸受けとの間に引っ張った状態で装着されていることを特徴とする請求項3記載のスピーカ。
  6. 前記摺動軸には、該摺動軸から周方向外方に向かって突出するフランジ部が設けられており、上記フランジ部を境として、該フランジ部と前記第1の軸受けおよび前記第2の軸受けとの間の2箇所の位置に、前記弾性部材を一対に装着していることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項記載のスピーカ。
  7. 前記一対の弾性部材は、その他端が前記フランジ部に固定されると共に、その一端が前記第1の軸受け、もしくは前記第2の軸受けにそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項6記載のスピーカ。
  8. 振動系部材を磁気回路に対して接離する方向に振動させて音を発生させるスピーカにおける振動系部材の位置保持機構であって、
    その一端が上記振動系部材側に固定される摺動軸と、
    上記磁気回路側に固定され、上記摺動軸の他端を挿入可能とする挿入孔を有する第1の軸受けと、
    上記磁気回路と上記振動系部材との間に介在され、布を用いたダンパよりも非線形性を低減させる弾性部材と、
    を備え、
    上記弾性部材を上記摺動軸の外周に装着させると共に、上記摺動軸の上記他端を上記第1の軸受けの上記挿入孔に挿入させることにより、上記振動系部材の上記磁気回路に対する位置保持がなされることを特徴とするスピーカにおける振動系部材の位置保持機構。
  9. 前記摺動軸の一端を前記振動系部材の略中心に保持すると共に、前記挿入孔が前記磁気回路の略中心に位置するように前記第1の軸受けを該磁気回路に配置することで、前記振動系部材の中心を前記磁気回路の中心と略一致させて位置保持することを特徴とする請求項8記載のスピーカにおける振動系部材の位置保持機構。
  10. 前記摺動軸は前記第1の軸受けに対して軸方向に向かって相対移動可能であることを特徴とする請求項9記載のスピーカにおける振動系部材の位置保持機構。
  11. 前記摺動軸を挿入可能とする挿入孔を有すると共に、前記摺動軸の軸方向において、前記弾性部材を前記第1の軸受けとで挟み込む第2の軸受けを備えることを特徴とする請求項10記載のスピーカにおける振動系部材の位置保持機構。
  12. 前記弾性部材は圧縮バネによって構成されると共に、前記第1の軸受けと前記第2の軸受けとの間に圧縮した状態で装着されていることを特徴とする請求項11記載のスピーカにおける振動系部材の位置保持機構。
  13. 前記弾性部材は引張りバネによって構成されると共に、前記第1の軸受けと前記第2の軸受けとの間に引っ張った状態で装着されていることを特徴とする請求項11記載のスピーカにおける振動系部材の位置保持機構。
  14. 前記摺動軸には、該摺動軸から周方向外方に向かって突出するフランジ部が設けられており、前記フランジ部を境として、該フランジ部と前記第1の軸受けおよび前記第2の軸受けとの間の2箇所の位置に、前記弾性部材を一対に装着していることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項記載のスピーカにおける振動系部材の位置保持機構。
  15. 前記一対の弾性部材は、その他端が前記フランジ部に固定されると共に、その一端が前記第1の軸受け、もしくは前記第2の軸受けにそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項14記載のスピーカにおける振動系部材の位置保持機構。
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