JP2010153348A - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた光電変換特性を有する光電変換素子を安定して製造可能な製造方法を提供する。
【解決手段】金属酸化物層を有する第1の電極の該金属酸化物層に、導電性炭素材料及び溶媒を含む第1の電解質組成物を含浸させ、前記第1の電極に含浸させた前記第1の電解質組成物から前記溶媒を除去して第1の擬固体電解質層を形成し、前記擬固体電解質層が形成された第1の電極と、対極となる第2の電極とを、前記第1の擬固体電解質層を介して貼合させてセルを作製して、光電変換素子を得る。
【選択図】図1
【解決手段】金属酸化物層を有する第1の電極の該金属酸化物層に、導電性炭素材料及び溶媒を含む第1の電解質組成物を含浸させ、前記第1の電極に含浸させた前記第1の電解質組成物から前記溶媒を除去して第1の擬固体電解質層を形成し、前記擬固体電解質層が形成された第1の電極と、対極となる第2の電極とを、前記第1の擬固体電解質層を介して貼合させてセルを作製して、光電変換素子を得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、光電変換素子の製造方法に関する。
近年、化石燃料の資源枯渇問題や、二酸化炭素の排出量削減に代表される環境問題が脚光を浴びている。その有望な解決手段の一つとして、太陽光発電が注目されている。太陽電池の代表例としては、単結晶及び多結晶シリコン系太陽電池が広く知られ、これらは既に上市されている。ところが、当該技術分野では、昨今、主原料であるシリコンの供給不足への懸念が拡大しており、次世代を担う非シリコン系太陽電池(例えば、CuInGaSe2(CIGS)等)の実用化が切望されている。
非シリコン系太陽電池の中でも、1991年にグレッツェル(Gratzel)らによって公表された色素増感型太陽電池は、10%以上の変換効率を実現可能な有機系太陽電池として特に注目されており、近時、その応用開発研究が、国内外を問わず様々な研究機関で盛んに行われている。この種の色素増感型太陽電池は、増感色素を吸着させた金属酸化物電極とこれに対向配置された対極との間に、溶液系の電解質(電解液)が封入された基本構造を有している。
ところが、溶液系の電解質を用いると、製造時やセル破損時に液漏れが生ずるおそれがあるので、耐久性を低下させる一因となり得る。そのため、このような液漏れ対策として、電解質を固体化した色素増感型光電変換素子の技術開発が進められている。
例えば、特許文献1には、p型導電性ポリマーを1乃至5質量%、炭素材料を5乃至50質量%、およびイオン液体を20乃至85質量%含む固体状の混合物を光電極層上に密着させ、両者をプレスすることで電荷輸送層を形成した後、この電荷輸送層上に対向電極を圧着してセルを作製した、色素増感型光電変換素子が開示されている。
また、特許文献2及び特許文献3には、イオン性液体と導電性粒子或いはカップスタック型カーボンナノチューブとを主たる成分として含むゲル状の電解質組成物を酸化物半導体多孔質膜上に滴下して電解質層を形成した後、この電解質層上に対極を押圧しながら重ね合わせてセルを作製した、色素増感型光電変換素子が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1乃至3に開示された製法では、優れた光電変換特性を有する光電変換素子を安定して得ることは困難であった。
そこで、本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた光電変換特性を有する光電変換素子を安定して製造可能な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、金属酸化物層に導電性炭素材料及び溶媒を含む第1の電解質組成物に含浸させた後にその溶媒を除去して第1の擬固体電解質層を形成することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による光電変換素子の製造方法は、金属酸化物層を有する第1の電極の該金属酸化物層に、導電性炭素材料及び溶媒を含む第1の電解質組成物を含浸させる含浸工程と、前記第1の電極に含浸させた前記第1の電解質組成物から前記溶媒を除去して第1の擬固体電解質層を形成する溶媒除去工程と、前記擬固体電解質層が形成された第1の電極と、対極となる第2の電極とを、前記第1の擬固体電解質層を介して貼合させてセルを作製するセル作製工程と、を有するものである。
ここで、本明細書において、「擬固体」とは、固体の他、流動性はほとんど認められないが応力の印加により変形可能であるゲル状固形物或いは粘土状固形物を包含する概念を意味し、具体的には、静置して一定時間を放置した後に、自重による形状変化がないか又はその形状変化がわずかなものを意味する。また、第1の電解質組成物を「含浸させる」とは、第1の電解質組成物に浸漬させたり、第1の電解質組成物を浸み込ませたり、吸着、吸蔵、添着させたりすることを包含する概念を意味し、その付与方法については特に制限されず、適宜の手法を用いることができる。さらに、「溶媒」とは、導電性炭素材料を分散させ得るもの、又は、導電性炭素材料の全部若しくは一部を溶解させ得るものを意味する。
本発明者らが、上記の製造方法により得られる光電変換素子の特性を測定したところ、その光電変換素子は、従来の製法を適用して得られるものに比して、光電変換特性が有意に向上されていることが判明した。かかる効果が奏される作用機構の詳細は、未だ明らかではないものの、例えば、以下のとおり推定される。
すなわち、上記本発明による光電変換素子の製造方法では、上記従来の製造方法とは異なり、金属酸化物層に第1の電解質組成物を含浸させた後に溶媒を除去して第1の擬固体電解質層を形成するので、第1の電極における金属酸化物層の深部(多孔質の空隙内)への第1の電解質組成物及び擬固体電解質の充填が促進される。また、上記従来の製造方法とは異なり、擬固体電解質を形成する際の押圧処理が省略されるので、金属酸化物層の破損が防止される。さらに、第1の電極における金属酸化物層の深部まで擬固体電解質が十分に充填されるので、その擬固体電解質が緩衝材として機能することにより、外部応力による金属酸化物層、ひいては第1の電極の破損が抑制される。その結果、短絡光電流(JSC)や開放電圧(VOC)等の光電変換特性が高められた光電変換素子が安定して得られる。但し、作用はこれに限定されない。
また、前記溶媒除去工程を、減圧下(大気圧未満の圧力下)で行うことが好ましい。このようにすると、第1の電極における金属酸化物層内が脱気されて、第1の電解質組成物及び擬固体電解質の充填が促進されるので、光電変換特性がより一層高められる。また、溶媒除去の処理時間を短縮化することが可能となるので、生産性及び経済性が高められる。
さらに、前記含浸工程から前記溶媒除去工程のいずれかの時点(含浸工程の開始から溶媒除去工程の終了までのいずれかの時点)において、前記金属酸化物層を有する前記第1の電極に外部から運動エネルギーを付与する整面処理を行なうことが好ましい。このように整面処理を行なうことで、金属酸化物層の深部への第1の電解質組成物及び擬固体電解質の充填が促進されるとともに、形成される第1の擬固体電解質層の均質化及び表面平坦化が促進されるのでセル作製時の有効接触面積を広げることができ、これにより、光電変換特性がより一層高められる。また、溶媒除去の処理時間を短縮化することが可能なので、生産性及び経済性が高められる。
加えて、前記第1の擬固体電解質層に含まれる導電性炭素材料よりも高導電性を有する炭素材料を含む第2の擬固体電解質層を、前記第1の擬固体電解質層上に形成する工程を有することが好ましい。このようにすると、逆電子移動による漏れ電流(短絡電流)の増大を抑制しつつ擬固体電解質全体の導電性を高めることが可能なので、エネルギー効率が高められ、その結果、光電変換効率がより一層高められる。以下、この点につき詳述する。本発明者らの知見によれば、高導電性を有する炭素材料を用いて(単層の)擬固体電解質層を構成した場合、導電性は高められるが、その一方で、光照射により増感・励起されて生じた電子が第1の金属酸化物層(の色素が担持されずに露出した部分)から擬固体電解質層へと移動し易くなるので、短絡電流(漏れ電流ともいう)が大きくなる。この短絡電流は、エネルギー効率を低下させ、光電変換効率を低下させる要因となるものであり、擬固体電解質層に接触する炭素材料の導電性が高いほど大きくなる傾向にある。したがって、単に高導電性を有する炭素材料を用いて(単層の)擬固体電解質層を構成するのではなく、上記のように擬固体電解質層を2層構成とし、第1の電極の金属酸化物層と接しない第2の擬固体電解質層に比較的に高導電性の炭素材料を用いることにより、初めて、短絡電流の増大を抑制しつつ擬固体電解質層全体の導電性を高めることが初めて可能となる。また、対極となる第2の電極を第1の擬固体電解質層を介して第1の電極に貼り合わせてセルを作製する際に、擬固体電解質と対極たる第2の電極との接触面積や密着性を増すことが可能となるので、フィルファクター(ff)が向上し、光電変換特性がより一層高められる。しかも、溶媒への分散性或いは溶解性に劣る導電性炭素材料を用いることも可能となるので、各種の素材選定の幅(プロセス裕度)が広げられ、生産性及び経済性がより一層高められる。
なお、前記含浸工程において、前記第1の電解質組成物の溶媒希釈率が300wt%以上であることが好ましい。ここで、「溶媒希釈率」とは、溶媒で希釈した後の総質量(第1の電解質組成物の総質量)を溶媒で希釈する前の総質量で除した値を百分率(%)で表したものである。
本発明の光電変換素子の製造方法によれば、光電変換特性が高められた光電変換素子が安定して得られる。しかも、生産性及び経済性を向上することができ、さらには、各種の素材選定の幅(プロセス裕度)を広げることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
以下、光電変換素子の製造方法について説明する。図1は、光電変換素子の製造方法を示すフローチャートである。光電変換素子は、金属酸化物層を有する第1の電極を準備する工程S11と、金属酸化物層に第1の電解質組成物を含浸させる含浸工程S21と、含浸させた第1の電解質組成物から溶媒を除去して第1の擬固体電解質層を形成する溶媒除去工程S31と、このようにして得られる第1の電極と対極となる第2の電極とを、第1の擬固体電解質層を介して貼合させてセルを作製するセル作製工程S41と、を経て製造される。
<第1の電極を準備する工程S11>
まず、第1の電極を準備する。この第1の電極は、基体の導電性表面上に色素担持金属酸化物層を有するものが好ましい。
まず、第1の電極を準備する。この第1の電極は、基体の導電性表面上に色素担持金属酸化物層を有するものが好ましい。
基体は、少なくとも色素担持金属酸化物層を支持可能なものであれば、その種類や寸法形状は特に制限されず、例えば、板状やシート状の物が好適に用いられる。具体的には、ガラス基板の他、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のプラスチック基板、金属基板或いは合金基板、セラミックス基板又はこれらの積層体等が挙げられる。また、基体は、透光性を有することが好ましく、可視光領域における透光性に優れるものであることがより好ましい。さらに、基体は、可撓性を有することが好ましく、この場合、その可撓性を生かした種々の形態の構造物を提供できる。
導電性表面は、例えば、導電性PETフィルムのように基体上に透明導電膜を形成する等して、基体に付与することができる。透明導電膜としては、特に限定されるものではないが、例えば、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、SnO2、InO3の他、SnO2にフッ素をドープしたFTO等が挙げられる。これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。透明導電膜の形成方法は、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、或いは浸漬法等、公知の手法を適用でき、その膜厚も適宜設定可能である。なお、導電性を有する基体を用いることで、基体に導電性表面を付与する処理を省略することができる。また、基体の導電性表面は、必要に応じて、適宜の表面改質処理が施されていてもよい。その具体的としては、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理、機械的研磨処理、水溶液への浸漬処理、電解液による予備電解処理、水洗処理、乾燥処理等公知の表面処理が挙げられる。
色素担持金属酸化物層は、多孔性の金属酸化物層に色素が担持された複合構造体である。金属酸化物層は、TiO2やZnO、SnO2、WO3、Nb2O5等の金属酸化物を主成分とする多孔性の半導体層であり、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、鉛、アンチモン、ビスマス等の金属、これらの金属酸化物及びこれらの金属カルコゲニドを含んでいてもよい。なお、金属酸化物層の厚みは、特に限定されないが、0.05〜50μmであることが好ましい。
金属酸化物層を形成する方法としては、例えば、金属酸化物の分散液を基体の導電性表面上に付与した後に焼結する方法や、金属酸化物のペーストを基体の導電性表面上に付与した後に150℃程度の低温処理を行う方法の他、金属塩を含有する電解液から基体の導電性表面上にカソード電析させる方法が挙げられる。
金属酸化物層に担持させる色素は、特に限定されるものではなく、光電変換素子として要求される性能に応じて、所望の光吸収帯・吸収スペクトルを有するものを適宜選択でき、水溶性色素、非水溶性色素、油溶性色素のいずれであっても構わない。色素の具体例としては、例えば、エオシンY等のキサンテン系色素、クマリン系色素、トリフェニルメタン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリピリジン金属錯体色素等の他、ルテニウムビピリジウム系色素、アゾ色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリウム系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、オキソノール系色素、ポリメチン系色素、リボフラビン系色素等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。また、色素担持量を増大させる観点から、色素は、金属酸化物と相互作用する吸着性基を有することが好ましい。吸着性基の具体例としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基或いはリン酸基等が挙げられるが、これらに限定されない。
色素を金属酸化物層に担持させる方法としては、例えば、色素を含む溶液に金属酸化物層を浸漬する方法、色素を含む溶液を金属酸化物層に塗布する方法等が挙げられる。ここで用いる色素含有溶液の溶媒としては、使用する色素の溶解性又は相溶性等に応じて、水、エタノール系溶媒、ニトリル系溶媒、ケトン系溶媒等の公知の溶媒から適宜選定することができる。
ここで、カソード電析法により金属酸化物層を形成する場合、金属塩及び色素を含む電解液を用いることで、金属酸化物層の形成と色素担持とを同時に行って、色素担持金属酸化物層を直ちに形成することもできる。電解条件は、常法にしたがい、使用する材料の特性に応じて適宜設定すればよい。例えば、ZnOと色素からなる色素担持金属酸化物層を形成する場合には、還元電解電位は−0.8〜−1.2V(vs.Ag/AgCl)程度、pHは4〜9程度、電解液の浴温は0〜100℃程度が好ましい。また、電解液中の金属イオン濃度は、0.5〜100mM程度、電解液中の色素濃度は50〜500μM程度が好ましい。さらに、光電変換特性をより一層高めるために、色素担持金属酸化物層に担持された色素を脱着し、他の色素を再吸着させてもよい。
なお、第1の電極は、基体の導電性表面と色素担持金属酸化物層との間に、中間層を有していてもよい。中間層は、透光性を有することが好ましく、さらに導電性を有することが好ましい。中間層の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、亜鉛酸化物や上記の透明導電膜で説明した金属酸化物等が挙げられる。中間層の形成方法は、特に限定されるものではないが、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、浸漬法或いは電析法等の公知の手法によって、基体の導電性表面に金属酸化物を析出或いは堆積することで形成することができる。なお、中間層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.1〜5μm程度が好ましい。
<第1の電解質組成物の含浸工程S21>
次に、第1の電極の金属酸化物層(色素担持金属酸化物層)に、第1の電解質組成物を含浸する。この含浸工程において、第1の電解質組成物中の導電性炭素材料及び溶媒が、色素担持金属酸化物層の空隙内へと充填され、金属酸化物層の表面に吸着(担持)される。
次に、第1の電極の金属酸化物層(色素担持金属酸化物層)に、第1の電解質組成物を含浸する。この含浸工程において、第1の電解質組成物中の導電性炭素材料及び溶媒が、色素担持金属酸化物層の空隙内へと充填され、金属酸化物層の表面に吸着(担持)される。
ここで使用する第1の電解質組成物は、導電性炭素材料を含有する擬固体電解質を溶媒にて希釈した液状体であり、その性状は、溶解液、混合液、分散液、懸濁液、コロイド液のいずれであっても構わない。
擬固体電解質に含まれる導電性炭素材料としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト、活性炭、フラーレン等が挙げられる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。導電性及び経済性を考慮すると、カーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト及びカーボンナノチューブが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。カーボンブラックの具体例としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック及びオイルファーネスブラック等が挙げられる。導電性炭素材料の含有量は、擬固体電解質の総量に対し、5〜80wt%であることが好ましく、20〜60wt%がより好ましい。
擬固体電解質は、酸化還元剤を含有することが好ましい。酸化還元剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ヨウ素とヨウ化物(例えば、金属ヨウ化物及び第四級アンモニウムヨウ化物等)の組み合わせ、臭素と臭化物(例えば、金属臭化物及び第四級アンモニウム臭化物等)の組み合わせが挙げられる。酸化還元剤の含有量は、擬固体電解質の総量に対し、1×10-4〜1×10-2mol/gが好ましく、1×10-3〜1×10-2mol/gがより好ましい。
擬固体電解質は、要求性能に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。一般に電池や太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができる。添加剤の具体例としては、例えば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン及びそれらの誘導体等のp型導電性ポリマー;イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、トリアゾリウムイオン及びそれらの誘導体とハロゲンイオンとの組み合わせからなる溶融塩;ゲル化剤;オイルゲル化剤;分散剤;界面活性剤;安定化剤等が挙げられる。
擬固体電解質は、擬固体の性状を維持可能である限りにおいて、少量の溶媒を含んでいてもよい。溶媒の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類;エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等の一価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル類;γ‐ブチロラクトン、α‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、β‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、3‐メチル‐γ‐バレロラクトン等のラクトン類;メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;スルホラン等のスルホン類;が挙げられる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。溶媒の含有量は、擬固体電解質の総量に対し、10〜80wt%であることが好ましい。
擬固体電解質の調製は、常法にしたがって行えばよい。例えば、導電性炭素材料を、必要に応じて配合される少量の溶媒や酸化還元剤、各種添加剤と混合或いは混練することで、均一な擬固体電解質を調製することができる。
第1の電解質組成物は、上記の擬固体電解質をさらに溶媒にて希釈することで調製される。ここで用いる溶媒の具体例としては、既述した擬固体電解質に含まれてもよい溶媒で説明したものが挙げられる。第1の電解質組成物の溶媒希釈率は、300wt%以上であることが好ましく、より好ましくは400wt%以上、さらに好ましくは500wt%以上である。溶媒希釈率が大きいほど、第1の電極における金属酸化物層の深部(多孔質の空隙内)への電解質の充填が促進される。溶媒希釈率の上限は、特に限定されないが、経済性及び生産性を考慮すると、2000wt%以下であることが好ましく、1000wt%以下がより好ましい。
第1の電解質組成物の含浸方法は、特に限定されず、各種公知の手法を用いて行うことができる。具体的には、例えば、グラビアコート、ロールコート、ブレードコート、バーコート、スプレーコート、エクストルージョンコート、ディップコート、スピンコート等の塗布法や滴下法、インクジェット法等から適宜選択することができ、また、第1の電解質組成物を連続的に供給しても断続的(間欠的)に供給してもよく、さらには、2種以上の電解質組成物を供給してもよい。
ここで、上記の含浸工程は、減圧下で行ってもよい。このようにすると、第1の電極の金属酸化物層内(多孔質の空隙内)の空気を脱気でき、電解質の充填がより一層促進される。なお、減圧条件は、第1の電極の比表面積や空隙度、第1の電解質組成物の粘性などに応じて適宜設定すればよいが、真空度は5×104〜1×102Pa程度が好ましい。
また、上記の含浸工程は、第1の電極又は第1の電解質組成物に熱を印加した状態で行ってもよい。このようにすると、第1の電解質組成物の粘度が下げられるので、第1の電極の金属酸化物層深部(多孔質の空隙内)への電解質の充填がより一層促進される。なお、温度条件は、特に限定されるものではないが、20〜150℃程度が好ましい。
また、含浸工程中に及び/又は含浸工程後に、第1の電極に外部から運動エネルギーを印加する整面処理を行なうことが好ましい(S51,S52)。整面処理の具体例としては、例えば、第1の電極を回転させる、第1の電極を複数方向へ傾ける、第1の電極に超音波振動等の振動を与える等が例示される。このような整面処理を行うことで、第1の電極の金属酸化物層内における電解質の充填が促進されるとともに、形成される第1の擬固体電解質層の均質化及び表面平坦化が促進されるのでセル作製時の有効接触面積を広げることができる。また、含浸工程の処理時間を短縮することが可能となる。この整面処理は、第1の電解質組成物の含浸をスピンコート法で行ったり、第1の電極が傾斜した状態で第1の電解質組成物の含浸を行ったりする等、上述した含浸工程と同時に行うことができ、また、上述した含浸工程と別個に行うこともできる。いずれの場合であっても、整面処理は、第1の電解質組成物が飛散しない程度に行うことが好ましい。とりわけ、減圧下で第1の電解質組成物を含浸させる場合は、第1の電極の金属酸化物層表面に気泡が形成され易い傾向にあるため、この整面処理を併用することで表面平坦化の効果が顕著に現れる。
<溶媒の除去工程S31>
次いで、第1の電極に含浸させた第1の電解質組成物からから溶媒を除去する。この溶媒除去工程において、第1の電解質組成物の溶媒の大半が除去されることによって、第1の擬固体電解質層が形成される。
次いで、第1の電極に含浸させた第1の電解質組成物からから溶媒を除去する。この溶媒除去工程において、第1の電解質組成物の溶媒の大半が除去されることによって、第1の擬固体電解質層が形成される。
溶媒の除去は、上述した第1の電解質組成物を擬固体に変化させる程度まで行えばよく、具体的には、第1の電解質組成物の溶媒希釈率を0%以下にすることが好ましい。また、溶媒の除去方法は、特に限定されず、各種公知の手法を用いて行うことができ、例えば、揮発させたり、揮散させたりすればよい。溶媒除去を促進するためには、20〜150℃程度の条件下で行うことが好ましい。
溶媒の除去は、減圧下で行うことが好ましい。このようにすると、第1の電極の金属酸化物層内(多孔質の空隙内)の空気を脱気でき、深部への電解質の充填がより一層促進されるとともに、処理時間を短縮できるので生産性及び経済性を高めることができる。また、100℃を超える高温での溶媒除去を行うと第1の電極に熱応力が加えられる可能性があるが、このように減圧下で行う場合には、比較的に低温から溶媒除去を行うことができるので、処理温度の低温化や処理時間の短縮化を実現できる。さらに、上述した第1の電解質組成物の含浸を減圧下で行う場合は、これに引き続いて減圧下で溶媒除去を行うことで、生産性及び経済性をより一層高めることができる。なお、減圧条件は、第1の電極の金属酸化物層の比表面積や空隙度、第1の電解質組成物の粘性などに応じて適宜設定すればよいが、真空度が5×104〜1×102Pa程度が好ましい。
また、溶媒除去工程中に、第1の電極に外部から運動エネルギーを印加する整面処理を行なうことが好ましい(S53)。整面処理の具体例としては、例えば、第1の電極を回転させる、第1の電極を複数方向へ傾ける、第1の電極に超音波振動等の振動を与える等が例示される。このような整面処理を行うことで、形成される第1の擬固体電解質層が均質化されるとともに、その表面が平坦化されてセル作製時の有効接触面積を広げることができ、さらには、溶媒除去の処理時間を短縮することが可能となる。
さらに、第1の擬固体電解質層の形成後、第1の擬固体電解質層に含まれる導電性炭素材料よりも高導電性を有する炭素材料を含む第2の擬固体電解質層を第1の擬固体電解質層上に形成する工程を有することが好ましい。このように高導電性の第2の擬固体電解質層を積層させることにより、擬固体電解質全体の導電性が高められる。また、この第2の擬固体電解質層を接着剤(密着剤)として機能させることで、セル作製時における擬固体電解質と対極との接触面積や密着性をより一層増すことができる。また、第1の擬固体電解質層に、比較的に低導電性の擬固体電解質を用い、第2の擬固体電解質層に比較的に高導電性の擬固体電解質を用いることで、高導電性の擬固体電解質層と金属酸化物層との接触を防ぐことができ、これにより、短絡電流の増大を抑制しつつ擬固体電解質全体の導電性を高めることができる。
第2の擬固体電解質層に含まれる炭素材料は、第1の擬固体電解質層に含まれる導電性炭素材料よりも高導電性を有するものであれば、特に限定されない。その導電性は、第1の擬固体電解質層に含まれる導電性炭素材料よりも、2倍以上であることが好ましく、より好ましくは10倍以上である。炭素材料の具体例としては、第1の電解質組成物に含まれる導電性炭素材料で例示したものが挙げられる。また、他の含まれてよい成分は、第1の電解質組成物に含まれてよい成分として例示したものが挙げられる。
第2の擬固体電解質層の形成方法は、特に限定されず、上述した第1の擬固体電解質層の形成方法と同様に行っても、異なる手法を採用してもよい。ここでは既に、第1の電極の金属酸化物層の深部(多孔質の空隙内)まで第1の擬固体電解質層が十分に充填されているので、例えば、高粘度の擬固体電解質を第1の擬固体電解質層上に直接塗布して押圧するような手法を用いても、第1の擬固体電解質層が緩衝材として機能するので、外部応力による第1の電極及び金属酸化物層の破損が抑制される。
<セルの作製工程S41>
その後、第1の電極と対極となる第2の電極とを、第1の擬固体電解質層を介して貼り合わせてセルを作製する。具体的には、必要に応じてスペーサ等を用いながら、第1の擬固体電解質層上に対極を貼り合わせる(第2の擬固体電解質層を形成している場合は、第2の擬固体電解質層上に対極を貼り合わせる)ことで、第1の電極と第2の電極とが擬固体電解質を介して対向配置されたセルを作製することができる。
その後、第1の電極と対極となる第2の電極とを、第1の擬固体電解質層を介して貼り合わせてセルを作製する。具体的には、必要に応じてスペーサ等を用いながら、第1の擬固体電解質層上に対極を貼り合わせる(第2の擬固体電解質層を形成している場合は、第2の擬固体電解質層上に対極を貼り合わせる)ことで、第1の電極と第2の電極とが擬固体電解質を介して対向配置されたセルを作製することができる。
ここで用いる第2の電極は、公知のものを適宜採用することができ、上述した第1の電極の導電性表面を有する基体と同様に、例えば、導電性を有する基体の他、基体上に導電膜を有するものが例示される。また、基体上或いは基体の導電膜上に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、モリブデン、チタン等の金属薄膜を形成したものを用いることもできる。
かくして得られる光電変換素子は、第1の電極/第1の擬固体電解質層(及び第2の擬固体電解質層)/第2の電極がこの順に積層された構造体であり、光電変換特性に優れるのみならず、外部応力に対する機械強度が高められたものとなる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
第1の電極を、以下の手順により作製した。
まず、フッ素ドープしたSnOを透明導電膜とする透明ガラス基板(TCO:旭硝子(株)製、サイズ:縦25mm×横25mm×厚さ1.1mm)を準備した。次に、電解液として750mlの0.1Mの塩化カリウム水溶液を準備し、この電解液中で、透明ガラス基板の透明導電膜と対極の白金板とを対向配置し、参照電極として銀/塩化銀電極を用いて、酸素によるバブリングを行ないながら、電位−1.0V(vs.Ag/AgCl)の定電位電解(予備電解)を行った。このときの電解条件は、温度70℃、電荷量−2.35Cとした。この予備電解は、電解液中に含まれる溶存酸素の還元による電解液の改質及び透明ガラス基板表面の改質を企図したものである。
その後、対極を亜鉛板に、電解液を5mMの塩化亜鉛を含む0.1Mの塩化カリウム水溶液750mlに変更し、酸素によるバブリングを行ないながら、電位‐1.2V(vs.Ag/AgCl)の定電位電解を行い、透明ガラス基板の透明導電膜上に酸化亜鉛を析出させて中間層を製膜した。このときの電解条件は、温度70℃、電荷量−0.25Cとした。
次いで、電解液を5mMの塩化亜鉛及び0.18mMのエオシンYを含む0.1Mの塩化カリウム水溶液750mlに変更し、酸素によるバブリングを行ないながら、電位‐1.0V(vs.Ag/AgCl)の定電位電解を行ない、中間層上に色素担持金属酸化物層を製膜した。このときの電解条件は、温度70℃、電荷量−2.0Cとした。
得られた電極を水洗した後、pH11.5の水酸化カリウム水溶液に浸漬し、色素担持金属酸化物層中のエオシンYを脱離し、その後、再び水洗した。引き続き、120℃で1時間乾燥させ、0.25mMの可視域に吸収をもつ有機色素(下記参照)のアセトニトリル溶液に浸漬して、酸化亜鉛表面に色素を担持させて色素担持金属酸化物層を形成し、これにより、第1の電極を作製した。
第1の電極を、以下の手順により作製した。
まず、フッ素ドープしたSnOを透明導電膜とする透明ガラス基板(TCO:旭硝子(株)製、サイズ:縦25mm×横25mm×厚さ1.1mm)を準備した。次に、電解液として750mlの0.1Mの塩化カリウム水溶液を準備し、この電解液中で、透明ガラス基板の透明導電膜と対極の白金板とを対向配置し、参照電極として銀/塩化銀電極を用いて、酸素によるバブリングを行ないながら、電位−1.0V(vs.Ag/AgCl)の定電位電解(予備電解)を行った。このときの電解条件は、温度70℃、電荷量−2.35Cとした。この予備電解は、電解液中に含まれる溶存酸素の還元による電解液の改質及び透明ガラス基板表面の改質を企図したものである。
その後、対極を亜鉛板に、電解液を5mMの塩化亜鉛を含む0.1Mの塩化カリウム水溶液750mlに変更し、酸素によるバブリングを行ないながら、電位‐1.2V(vs.Ag/AgCl)の定電位電解を行い、透明ガラス基板の透明導電膜上に酸化亜鉛を析出させて中間層を製膜した。このときの電解条件は、温度70℃、電荷量−0.25Cとした。
次いで、電解液を5mMの塩化亜鉛及び0.18mMのエオシンYを含む0.1Mの塩化カリウム水溶液750mlに変更し、酸素によるバブリングを行ないながら、電位‐1.0V(vs.Ag/AgCl)の定電位電解を行ない、中間層上に色素担持金属酸化物層を製膜した。このときの電解条件は、温度70℃、電荷量−2.0Cとした。
得られた電極を水洗した後、pH11.5の水酸化カリウム水溶液に浸漬し、色素担持金属酸化物層中のエオシンYを脱離し、その後、再び水洗した。引き続き、120℃で1時間乾燥させ、0.25mMの可視域に吸収をもつ有機色素(下記参照)のアセトニトリル溶液に浸漬して、酸化亜鉛表面に色素を担持させて色素担持金属酸化物層を形成し、これにより、第1の電極を作製した。
対極となる第2の電極は、以下の手順で作製した。
まず、フッ素ドープしたSnOを透明導電膜とする透明ガラス基板(TCO:旭硝子(株)製、サイズ:縦25mm×横25mm×厚さ1.1mm)を準備した。次に、スパッタリングで厚み600nmのモリブデン導電層を形成し、これにより、第2の電極を作製した。
まず、フッ素ドープしたSnOを透明導電膜とする透明ガラス基板(TCO:旭硝子(株)製、サイズ:縦25mm×横25mm×厚さ1.1mm)を準備した。次に、スパッタリングで厚み600nmのモリブデン導電層を形成し、これにより、第2の電極を作製した。
擬固体電解質及び第1の電解質組成物は、以下の手順で調製した。
まず、0.5Mのヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI)の溶媒としてのメトキシプロピオニトリル溶液と導電性炭素材料としてのカーボンブラック(商品名:PRINTEX L6)とを乳鉢により混練して、擬固体電解質を調製した。擬固体電解質中の導電性炭素材料の含有量は、40wt%とした。
次に、得られた擬固体電解質を、溶媒希釈率が500wt%となるようにメトキシプロピオニトリルで希釈して、第1の電解質組成物を調製した。
まず、0.5Mのヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI)の溶媒としてのメトキシプロピオニトリル溶液と導電性炭素材料としてのカーボンブラック(商品名:PRINTEX L6)とを乳鉢により混練して、擬固体電解質を調製した。擬固体電解質中の導電性炭素材料の含有量は、40wt%とした。
次に、得られた擬固体電解質を、溶媒希釈率が500wt%となるようにメトキシプロピオニトリルで希釈して、第1の電解質組成物を調製した。
次に、以下の手順でセルを作製し、光電変換素子たる色素増感型太陽電池を得た。
まず、上記のようにして得られた第1の電極を色素担持金属酸化物層が天面となるように平置きし、色素担持金属酸化物層の端辺にマスキングテープで囲い、電解質注入部分を区画形成するとともに、第1の電極と第2の電極との接触によるショートを防いだ。
次に、電解質封入部分として区画形成された色素担持金属酸化物層上に、上記のようにして調製された第1の電解質組成物を滴下して、第1の電解質組成物を第1の電極に含浸させた。
その後、80℃の大気圧下で溶媒を除去させ、第1の電解質組成物を希釈前の質量になるまで乾燥させ、これにより、第1の擬固体電解質層を形成した。
そして、以上の方法で形成された第1の擬固体電解質層上に、上記のようにして作製された第2の電極を載せてクリップで固定することにより、実施例1の色素増感型太陽電池を得た。
まず、上記のようにして得られた第1の電極を色素担持金属酸化物層が天面となるように平置きし、色素担持金属酸化物層の端辺にマスキングテープで囲い、電解質注入部分を区画形成するとともに、第1の電極と第2の電極との接触によるショートを防いだ。
次に、電解質封入部分として区画形成された色素担持金属酸化物層上に、上記のようにして調製された第1の電解質組成物を滴下して、第1の電解質組成物を第1の電極に含浸させた。
その後、80℃の大気圧下で溶媒を除去させ、第1の電解質組成物を希釈前の質量になるまで乾燥させ、これにより、第1の擬固体電解質層を形成した。
そして、以上の方法で形成された第1の擬固体電解質層上に、上記のようにして作製された第2の電極を載せてクリップで固定することにより、実施例1の色素増感型太陽電池を得た。
(比較例1)
第1の電解質組成物を使用せずに、擬固体電解質を色素担持金属酸化物層上にスパチュラを用いて直接塗布し押圧しながら整面することで擬固体電解質層を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例1の色素増感型太陽電池を得た。
第1の電解質組成物を使用せずに、擬固体電解質を色素担持金属酸化物層上にスパチュラを用いて直接塗布し押圧しながら整面することで擬固体電解質層を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例1の色素増感型太陽電池を得た。
(実施例2〜6)
使用するカーボンブラック、擬固体電解質中のカーボンブラックの含有量及び溶媒希釈率を表1に記載の通りに変更して第1の電解質組成物を調製し、これを用いて第1の擬固体電解質層を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2〜6の色素増感型太陽電池を得た。
使用するカーボンブラック、擬固体電解質中のカーボンブラックの含有量及び溶媒希釈率を表1に記載の通りに変更して第1の電解質組成物を調製し、これを用いて第1の擬固体電解質層を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2〜6の色素増感型太陽電池を得た。
(比較例2〜5)
第1の電解質組成物を使用せずに、擬固体電解質を色素担持金属酸化物層上にスパチュラを用いて直接塗布し押圧しながら整面することで擬固体電解質層を形成すること以外は、実施例2〜5と同様に処理して、比較例2〜5の色素増感型太陽電池を得た。
第1の電解質組成物を使用せずに、擬固体電解質を色素担持金属酸化物層上にスパチュラを用いて直接塗布し押圧しながら整面することで擬固体電解質層を形成すること以外は、実施例2〜5と同様に処理して、比較例2〜5の色素増感型太陽電池を得た。
このようにして得た色素増感太陽電池の電池特性として、短絡光電流(JSC)、開放電圧(VOC)、フィルファクター(ff)及び光電変換効率をAM−1.5(1000W/m2)のソーラーシミュレーターを用いて測定した。これらの評価結果を、表1に示す。
表1から、擬固体電解質を溶媒によって希釈した第1の電解質組成物を、色素担持金属酸化物層に含浸させた実施例1〜5の色素増感太陽電池は、比較例1〜5の色素増感太陽電池に比して、短絡光電流(JSC)及び開放電圧(VOC)が優れており、また、光電変換効率が有意に優れることが判明した。JSCの上昇は、第1の電極の金属酸化物層の深部(多孔質の空隙内)に擬固体電解質が十分に充填されたことによるものと推察される。また、VOCの上昇は、擬固体電解質層の形成時の押圧処理を省略したことにより、色素担持金属酸化物層の破損が抑制された結果、破損により生じる金属酸化物層の破断面と擬固体電解質層との接触に由来する短絡電流による逆電子移動反応が防止されたことによるものと推察される。
(実施例7〜9)
使用するカーボンブラック及び溶媒希釈率を表2に記載の通りに変更して第1の電解質組成物を調製し、これを用いて第1の擬固体電解質層を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例7〜9の色素増感型太陽電池を得た。
使用するカーボンブラック及び溶媒希釈率を表2に記載の通りに変更して第1の電解質組成物を調製し、これを用いて第1の擬固体電解質層を形成すること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例7〜9の色素増感型太陽電池を得た。
(比較例6)
第1の電解質組成物を使用せずに、擬固体電解質を色素担持金属酸化物層上にスパチュラを用いて直接塗布し押圧しながら整面することで擬固体電解質層を形成すること以外は、実施例9と同様に処理して、比較例6の色素増感型太陽電池を得た。
第1の電解質組成物を使用せずに、擬固体電解質を色素担持金属酸化物層上にスパチュラを用いて直接塗布し押圧しながら整面することで擬固体電解質層を形成すること以外は、実施例9と同様に処理して、比較例6の色素増感型太陽電池を得た。
このようにして得た色素増感太陽電池の電池特性として、短絡光電流(JSC)、開放電圧(VOC)、フィルファクター(ff)及び光電変換効率をAM−1.5(1000W/m2)のソーラーシミュレーターを用いて測定した。これらの評価結果を、表2に示す。
表2から、溶媒希釈率の増大にともなって、短絡光電流(JSC)及び開放電圧(VOC)が向上することが確認され、また、光電変換効率が向上することが判明した。さらに、溶媒希釈率の増大は、短絡光電流(JSC)の増大に大きく寄与することが判明した。これは、溶媒希釈率の増大により、第1の電極の金属酸化物層の深部(多孔質の空隙内)へ擬固体電解質が十分に充填されたことによるものと推察される。
(実施例10)
第1の擬固体電解質層の形成時の溶媒除去工程を25℃の真空度1×10-4Paの減圧下で行うこと以外は、実施例9と同様に処理して、実施例10の色素増感型太陽電池を得た。
第1の擬固体電解質層の形成時の溶媒除去工程を25℃の真空度1×10-4Paの減圧下で行うこと以外は、実施例9と同様に処理して、実施例10の色素増感型太陽電池を得た。
(実施例11〜12)
第1の擬固体電解質層を形成した後、第1の擬固体電解質層上に溶媒希釈率を1000wt%とした第2の擬固体電解質層を形成し、この第2の擬固体電解質層上に対極を載せてクリップで固定すること以外は、実施例10と同様に処理して、実施例11及び12の色素増感型太陽電池を得た。
なお、第2の擬固体電解質層の形成方法は、使用するカーボンブラックを第1の擬固体電解質層に含まれる導電性炭素材料よりも高導電性のカーボンブラック(商品名:ECP600JD,ECP600JD)に変更すること以外は、実施例6における第1の擬固体電解質層の形成方法と同様に行った。
第1の擬固体電解質層を形成した後、第1の擬固体電解質層上に溶媒希釈率を1000wt%とした第2の擬固体電解質層を形成し、この第2の擬固体電解質層上に対極を載せてクリップで固定すること以外は、実施例10と同様に処理して、実施例11及び12の色素増感型太陽電池を得た。
なお、第2の擬固体電解質層の形成方法は、使用するカーボンブラックを第1の擬固体電解質層に含まれる導電性炭素材料よりも高導電性のカーボンブラック(商品名:ECP600JD,ECP600JD)に変更すること以外は、実施例6における第1の擬固体電解質層の形成方法と同様に行った。
このようにして得た色素増感太陽電池の電池特性として、短絡光電流(JSC)、開放電圧(VOC)、フィルファクター(ff)及び光電変換効率をAM−1.5(1000W/m2)のソーラーシミュレーターを用いて測定した。これらの評価結果を、表3及び表4に示す。
表3から、減圧下で溶媒除去を行った実施例10の色素増感太陽電池は、実施例9の色素増感太陽電池に比して、フィルファクター(ff)が大幅に向上していることが確認され、また、光電変換効率が優れることが判明した。これは、第1の電極の金属酸化物層の深部(多孔質の空隙内)へ擬固体電解質が均一な密度で十分に充填されたことによるものと推察される。
また、表4から、2種の擬固体電解質層を積層させた実施例11及び実施例12の色素増感太陽電池は、実施例5,6及び9の色素増感太陽電池に比して、光電変換効率が優れることが判明した。また、実施例11の色素増感太陽電池は、実施例6及び9の色素増感太陽電池に比して、フィルファクター(ff)が大幅に向上していることが確認された。これは、対極側に高導電性カーボンブラックを含有する第2の擬固体電解質層を設けたことで、短絡電流が低減されるとともに導電性が高められ、作用電極側の固体電解質と対極が十分に密着して、固体電解質と対極との導電性が良くなったことによるものと推察される。
図2及び図3は、実施例10及び比較例6の第1の電極を電子顕微鏡写真で観察した、平面SEM写真である。図2及び図3から明らかなように、実施例10の第1の電極では、多孔性の金属酸化物層(酸化亜鉛の多孔質膜)の形状が保たれているのに対し、比較例6の第1の電極では、多孔性の金属酸化物層(酸化亜鉛の多孔質膜)の一部が破損していることが確認された。
図4及び図5は、第1の擬固体電解質層を形成した後の実施例10及び比較例6の第1の電極を電子顕微鏡写真で観察した、断面SEM写真である。図4及び図5から明らかなように、実施例10の第1の電極では、第1の擬固体電解質層が多孔性の金属酸化物層(酸化亜鉛の多孔質膜)に密着しているのに対し、比較例6の第1の電極では、第1の擬固体電解質層と多孔性の金属酸化物層(酸化亜鉛の多孔質膜)との間に空隙があり、また、金属酸化物層(酸化亜鉛の多孔質膜)の深部まで擬固体電解質が十分に充填されていないことが確認された。
なお、上述したとおり、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更を加えることが可能である。
以上説明した通り、本発明の光電変換素子の製造方法は、優れた光電変換特性を有する光電変換素子を安定して製造可能であり、しかも、生産性及び経済性を向上することができ、さらには、各種の素材選定の幅(プロセス裕度)を広げることができるので、光電変換素子を有する電子・電気材料、電子・電気デバイス、及びそれらを備える各種機器、設備、システム等に広く且つ有効に利用可能である。
Claims (5)
- 金属酸化物層を有する第1の電極の該金属酸化物層に、導電性炭素材料及び溶媒を含む第1の電解質組成物を含浸させる含浸工程と、
前記第1の電極に含浸させた前記第1の電解質組成物から前記溶媒を除去して第1の擬固体電解質層を形成する溶媒除去工程と、
前記擬固体電解質層が形成された第1の電極と、対極となる第2の電極とを、前記第1の擬固体電解質層を介して貼合させてセルを作製するセル作製工程と、
を有する、光電変換素子の製造方法。 - 前記溶媒除去工程を、減圧下で行う、
請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。 - 前記含浸工程から前記溶媒除去工程のいずれかの時点において、前記第1の電極に外部から運動エネルギーを付与する整面処理を行なう、
請求項1又は2に記載の光電変換素子の製造方法。 - 前記第1の擬固体電解質層に含まれる導電性炭素材料よりも高導電性を有する炭素材料を含む第2の擬固体電解質層を、前記第1の擬固体電解質層上に形成する工程を有する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電変換素子の製造方法。 - 前記含浸工程において、前記第1の電解質組成物の溶媒希釈率が300wt%以上である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の光電変換素子の製造方法。
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2009
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