JP2010151402A - 熱交換器 - Google Patents

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JP2010151402A JP2008331794A JP2008331794A JP2010151402A JP 2010151402 A JP2010151402 A JP 2010151402A JP 2008331794 A JP2008331794 A JP 2008331794A JP 2008331794 A JP2008331794 A JP 2008331794A JP 2010151402 A JP2010151402 A JP 2010151402A
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Sadayasu Inagaki
定保 稲垣
Hideo Oya
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Abstract

【課題】安価で且つ高い防食効果が得られるようにした熱交換器を提供する。
【解決手段】クロスフィン型の熱交換器の本体部1Aの外側において露出するヘッダー部1B及び/又はヘアピン部1Cの少なくとも銅管部分を樹脂被包材10で一体的に被包する。このような構成によれば、銅管部分と環境中の腐食性物質との接触が阻止され、該銅管部分が高い防食効果をもつことになり、熱交換器全体としての防食性能が向上し、熱交換器の商品価値が向上する。
特に樹脂被包材10として、熱可塑性樹脂等を用いれば、その流動性によって複雑な形状部分も完全に封止することができ、またシリコーン樹脂等を用いれば、その弾性によって銅管の変形にも追従することができ、樹脂と銅管相互間の密着力を高めることができるので、界面部を介しての腐食性物質の侵入が防止されるようになり、何れの場合にも長期に亘って防食性能が維持される。
【選択図】図1

Description

本願発明は、外部に露出した銅管部分に防食処理を施したクロスフィン型熱交換器に関するものである。
食品分野、特に腐食性物質が浮遊する環境下で作業を行なうことの多い食品加工分野においては、近年における食品衛生の改善意識の高まりを背景に、空気調和機においても腐食性物質に対する耐食性が要求されるに至った。
係る要求に応えるものとして、銅管でなる伝熱管の外周面にメッキによる被覆層を設けてその耐食性を高める防食技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−28596号公報
しかし、クロスフィン型熱交換器において、上記技術を適用した場合、メッキ伝熱管に多数のフィンを取付けて熱交換器本体部を製作することはできても、この熱交換器本体部の伝熱管の開口端には、事後的なロウ付け作業によってU字管とかヘッダー等を取付ける必要があるため、これらU字管とかヘッダー等のみにメッキを施してその耐食性を確保しようとすれば、専用の設備が必要になる等のことから、耐食処理コストが高くなり、実用的とは言い難いものである。
また、他の防食方法として、例えば図5に示すように、銅管CuPの表面にエポキシ樹脂などの有機塗料を塗布して塗膜30を形成する防食方法があるが、熱交換器のヘッダー近傍において多数配置されるU字管の内側のような塗装具が届きにくい部位では未塗装部分ができ易く、品質低下の一因となる。また、粉体塗装とか電着塗装も考えられるが、塗装の後工程として加熱焼付け工程が不可欠であり、該工程のために新たな設備投資が必要となり、好適な防食法とは言い難い。
さらに、例えば図5のような防食構造において、実際に銅管CuPが腐食を受けて冷媒が漏洩した箇所を詳細に調べてみると、塗膜30はほぼ健全な状態で残存しているが、塗膜30下部で銅管CuPの表面に図6の(c)に示すような微細な腐食孔Hoが発生していることが見出される。この現象は、例えば図6の(a)から(b)に示すように、塗膜30と銅管CuP表面との密着性が低下し、それらの界面に微小な隙間が生じ、その中に腐食性物質を含んだ結露水Wが生じるためであると考えることができる。また、塗膜30と銅管CuP表面との密着性が低下する原因は、例えば図5の破線で示すような銅管CuPの膨張・収縮(変形)に対して塗膜30が追従できないために、接合界面部の結合力が弱まるためである。特に上述のような熱交換器の場合では、起動時および停止時における配管内の冷媒圧の変動やホットガス・デフロスト時などの冷媒温度の変化によりもたらされる銅管CuPの膨張・収縮度合が大きいために、必然的に塗膜30の密着力の低下が大きくなる事情がある。
本願発明は、このような事情に基いてなされたもので、以上のような問題がなく、安価で且つ高い防食効果が得られるようにした熱交換器を提供することを目的とするものである。
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
(a)本願の第1の発明では、クロスフィン型の熱交換器の本体部1Aの外側において露出するヘッダー部1B及び/又はヘアピン部1Cの少なくとも銅管部分を樹脂被包材10で一体的に被包したことを特徴としている。
(b)本願の第2の発明では、上記第1の発明において、上記樹脂被包材10として、熱可塑性樹脂又はシリコーン樹脂を用いたことを特徴としている。
(c)本願の第3の発明では、上記第2の発明において、上記熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、スチロール、ポリエチレンテレフタレート又はウレタンを用いたことを特徴としている。
(d)本願の第4の発明では、上記第2の発明において、上記熱可塑性樹脂として、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリブタジエン系の熱可塑性エラストマーを用いることを特徴としている。
(e)本願の第5の発明では、上記第1の発明において、上記樹脂被包材10として、室温で固体状を呈するパラフィン、アスファルト、ギルソナイト又は液状ゴムを用いたことを特徴としている。
(f)本願の第6の発明では、上記第1,第2,第3,第4又は第5の発明において、樹脂被包材10中に、撥水性のある液状油脂を含浸させたことを特徴としている。
(g)本願の第7の発明では、上記第6の発明において、液状油脂が、流動パラフィン、シリコーン油、フッ素油の内の何れかであることを特徴としている。
(h)本願の第8の発明では、上記第6又は第7の発明において、液状油脂の流動点は、−10℃以下であることを特徴としている。
(i)本願の第9の発明では、上記第6,第7又は第8の発明において、液状油脂の含浸量は、重量比5〜70%であることを特徴としている。
本願発明では次のような効果が得られる。
(a)本願の第1の発明に係る熱交換器によれば、クロスフィン型の熱交換器の本体部1Aの外側において露出するヘッダー部1B及び/又はヘアピン部1Cの少なくとも銅管部分を樹脂被覆材10で一体的に被包しているので、
(a−1) 上記銅管部分と環境中の腐食性物質の接触が確実阻止され、該銅管部分が高い防食性能をもつことになり、その結果、熱交換器全体として高い防食性能が得られ、延いては熱交換器の商品価値が向上する、
(a−2) 上記樹脂被包材10による被包には特殊な設備等が不要であることから、例えば、事後的に銅管部分にメッキ処理を施すような場合に比して、上記熱交換器1に対する防食処理コストを安価に抑えることができ、それだけ熱交換器1を安価に提供できる、
等の効果が得られる。
(b)本願の第2の発明に係る熱交換器によれば、上記第1の発明の樹脂被包材10の素材樹脂として、熱可塑性樹脂又はシリコーン樹脂を用いているので、
(b−1) 例えば熱可塑性樹脂を用いた場合には、該熱可塑性樹脂は加熱により流動性が生じ、冷却によって硬化する性状をもつことから、例えば、その溶融樹脂を型に流し込んで成形することで複雑な形状部分も完全に封止することができ、高い防食効果を得ることができ、特に以下に述べる本願第3の発明のように、同性状をもつ熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、スチロール、ポリエチレンテレフタレート又はウレタンを用いた場合にその効果が顕著なものとなる。
(b−2) 一方、シリコーン樹脂を用いた場合には、該シリコーン樹脂がゴム弾性を有することから、例えば空気調和機の起動停止に伴う冷媒の圧力変動による銅管の膨張収縮変形に対して樹脂材が弾性的に追従し、樹脂と銅管の界面に生じる経時劣化(密着力の低下)がほとんどなく、従って、結露水など界面を介しての腐食性物質の侵入が殆どなく、その結果、長期に亘って防食性能が維持される、
(b−3) また、シリコーン樹脂がゴム弾性(ダンピング性能)を有することで、防振効果、防音効果が期待でき、空気調和機の運転開始・運転停止に伴う振動及び騒音の発生が抑制される、
等の効果が得られる。
(c)本願の第3の発明に係る熱交換器によれば、上記第2の発明における加熱によって流動性を生じ、冷却によって硬化する性状をもつ熱可塑性樹脂として、そのような性状に秀れたポリエチレン、スチロール、ポリエチレンテレフタレート又はウレタンを用いていることから、例えば溶融樹脂を所望の型内に流しこむことにより、容易に成形することができ、複雑な形状部分も確実に封止することができ、より高い防食効果を得ることができる。
(d)本願の第4の発明に係る熱交換器によれば、上記第2の発明における加熱によって流動性を生じ、冷却によって硬化する性状をもつ熱可塑性樹脂として、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリブタジエン系の熱可塑性エラストマーを用いているので、熱可塑性樹脂としての効果、即ち、その流動性から複雑な形状部分も完全に封止することができるという効果に加えて、これら熱可塑性エラストマーは、きわめて柔軟なゴム弾性と粘着性を有することから、例えば、空気調和機の起動・停止に伴う冷媒の圧力変動やデフロスト時の冷媒温度の変化による銅管の膨張収縮変形に対して樹脂材がスムーズに弾性変形して追従し、樹脂材と銅管との界面に生じる経時劣化がほとんどなく、従って、界面を介しての腐食性物質の侵入が殆どなく、その結果、長期に亘って防食性能が維持されるという効果をも同時に得ることができる。
(e)本願の第5の発明に係る熱交換器によれば、上記第1の発明の樹脂被包材10の素材樹脂として、室温で固体状を呈するパラフィン、アスファルト、ギルソナイト又は液状ゴムを用いているので、室温において所望の型内への流し込みによって、複雑な形状部分も完全に封止することができ、これによって、高い防食効果を得ることができる。
(f)本願の第6の発明に係る熱交換器によれば、上記第1の発明の樹脂被包材10中又は第2,第3,第4の発明の熱可塑性樹脂又はシリコーン樹脂中に、撥水性を示す所望の液状油脂が含浸されていることから、樹脂材被包時(モールド時)に銅管との界面に液状油脂が染み出し、同液状油脂が常に銅管の全表面を覆い、銅管表面部分への結露水の浸入を防止するようになる。
従来の有機塗料等の塗布による防食方法の場合、銅管と塗膜との密着は固体と固体との密着であるため、材質による膨張収縮率の差に起因した、経時的な密着力の低下(劣化)を避けることができなかった。ところが、防食材として上記液状油脂などの撥水性(疎水性)の液体を使用すれば、銅管が膨張収縮による変形を繰り返しても常に表面を撥水性の液状油脂で被覆した状態を維持できるため、非常に優れた防食性能を得ることができる。
しかしながら、そのような液体の状態で、上述のような熱交換器のヘッダー部等を覆うためには、隙間のない液体容器を取り付けてその中に液状油脂を充填することが必要になり、そのままでは実用性に乏しい。
そこで、上述のように液状油脂(流動パラフィンなど)を上述のような各種樹脂材よりなる被包材中に含浸させ、同液状油脂を含浸させた固体の樹脂材でヘッダー部等を被包(モールド)するようにすると、上述のように、被包後に、銅管と樹脂材との界面に撥水性のある液状油脂が染み出し、それが常に銅管の表面を覆うようになるので、銅管の膨張・収縮変形に拘わらず確実に界面部がシールされて、より高精度に同界面部への結露水の浸入を防止することができるようになる。
(g)本願の第7の発明に係る熱交換器によれば、上記第6の発明における液状油脂が、撥水性の高い流動パラフィン、シリコーン油、フッ素油の内の何れかであることから、上記樹脂材による被包時(モールド時)に、より効果的に銅管との界面に撥水性のある液状油脂が染み出し、常に銅管表面への結露水の浸入を防止することができる。
(h)本願の第8の発明に係る熱交換器によれば、上記第6又は第7の発明における液状油脂の流動点が、−10℃以下となっている。
上記第5又は第6の発明の熱交換器を、例えば冷蔵庫のクーラー等として使用するためには、その流動点が−10℃以下でないと運転中に流動性を示さないケースが生じ、期待した防食性能が得られない。
したがって、上記流動パラフィン、シリコーン油、フッ素油等の液状油脂の流動点を、それに対応して−10℃以下のものとする。
(i)本願の第9の発明に係る熱交換器によれば、上記第6,第7又は第8の発明における流動パラフィン、シリコーン油、フッ素油等の液状油脂の熱可塑性樹脂又はシリコーン樹脂等樹脂被包材10中への含浸量は、全重量の5〜70%としている。
これは含浸量が重量比5%未満では期待した防食効果が得られない一方、70%を越えて含浸させても効果が飽和するためである。
(最良の実施の形態1)
I:熱交換器1の構成
図1には、本願発明の最良の実施形態1に係る熱交換器1を示している。この熱交換器1は、所定間隔をもって対向配置された多数枚のフィン3,3,・・と、該フィン3,3,・・を貫通した状態で多段配置された多数本の伝熱管2,2、・・を備えたクロスフィン型熱交換器であって、本体部1Aと該本体部1Aの左右両端側にそれぞれ位置するヘッダー部1Bとヘアピン部1Cで構成される。
上記本体部1Aは、上記フィン3,3,・・の列設方向両端に位置する左右の管板4,4間の部分で構成され、熱交換作用を為す部分である。
上記ヘッダー部1Bは、上記一方の管板4の外側に配置された管群で構成され、ここには上記各伝熱管2,2,・・の管端に接合された複数個のU字管5,5,・・と、上下方向に延びるヘッダー管15と上記伝熱管2を接続する複数本の連絡管9,9,・・と、分流器16と上記各伝熱管2,2,・・を接続する複数本の分流管8A,8B,8Cが備えられている。
上記ヘアピン部1Cは、他方の管板4から外方へ延出する多数のヘアピン管6,6、・・で構成される。
そして、上記本体部1Aにおける上記伝熱管2,2,・・は、フィン3,3,・・の組付け前に予めスズメッキ等の防食処理が施されたメッキ銅管で構成されているが、上記ヘッダー部1Bの各管、及び上記ヘアピン部1Cの各管は、共に、スズメッキ等の防食処理が施されていない素銅管で構成されているため、これら各部分の防食処理が必要となる。
そこで、この実施形態では、上記熱交換器1の上記本体部1Aを除く、上記ヘッダー部1B及びヘアピン部1Cを樹脂被包材10によって一体的に被包することで、上記ヘッダー部1B及びヘアピン部1Cの銅管の防食性能を確保するようにしている。
従って、この熱交換器1は、全体として高い防食性能をもつことから、例えば、食品分野等の腐食性物質の浮遊環境において使用される空気調和機の熱交換器として採用するに好適なものとなる。
ここで、上記熱交換器1に上記樹脂被包材10による防食処理を行なう場合の作業状態を、図2に示すように上記ヘッダー部1B部分を例にとって説明する。
先ず、上記熱交換器1のヘッダー部1Bのうち、上記本体部1Aの上端(即ち、上記管板4の上端)よりも上方へ大きく延出する部分、即ち、上記分流器16とこれに接続された分流管8A,8B,8Cの上端部と上記ヘッダー管15の上端部には、それぞれ樹脂管11、12を密着嵌合状態で、且つ上記分流器16及びヘッダー管15の上端側の一部を該樹脂管11、12から上方へ延出させた状態で、それぞれ装着する。
さらに、上記分流器16及びヘッダー管15の上記樹脂管11、12から上方へ延出した部分の外周を樹脂材で被覆して先行封止樹脂体13及び先行封止樹脂体14を形成する。この先行封止樹脂体13及び先行封止樹脂体14の形成によって、上記分流器16の外周面と上記円筒部材11の内周面との嵌合隙間と、上記ヘッダー管15の外周面と上記樹脂管12の内周面との嵌合隙間が、それぞれ完全に封止される。なお、上記各樹脂管11、12は、その下端が上記本体部1Aの上端よりも所定高さだけ下位に位置するように、その長さが調整される。以上で、先行作業が完了する。
次に、上記熱交換器1の上記ヘッダー部1B部分の外側を囲むように型枠20を配置する。この場合、上記型枠20の上端は上記本体部1Aの上端より上方へ延出するように、該型枠20の高さが調整される。
さらに、樹脂溜21の底面に接続された射出管22を、その先端(下端)が、少なくとも上記本体部1Aの上端よりも下位に位置するようにして配置する。
しかる後、上記樹脂溜21内に、樹脂被包材(モールド材)10として、加熱溶融された熱可塑性の樹脂材19を投入し、該樹脂材19を上記射出管22を通して上記型枠20の内部へ射出する。この樹脂材19の射出を、該樹脂材19の液面が上記熱交換器1の本体部1Aの上端高さ近くまで続けたのち、上記射出管22からの樹脂材19の射出を停止し、上記射出管22を上記型枠20側から取り除き、そのまま樹脂材19を放熱冷却させてこれを硬化させる。上記樹脂材19が冷却硬化した後、上記型枠20を取外すことで、図1に示すように、上記ヘッダー部1Bとヘアピン部1C部分を共に樹脂被包材10によって一体的に被包(モールド)した熱交換器1が得られるものである。
このように、ヘッダー部1Bとヘアピン部1Cをそれぞれ樹脂被包材10によって一体的に被包してなる熱交換器1においては、該ヘッダー部1B及びヘアピン部1Cの銅管部分と環境中の腐食性物質との接触が阻止されることから、該銅管部分が高い防食効果をもつことになり、その結果、熱交換器1全体としての防食性能が向上し、延いては熱交換器1の商品価値が向上する。
また、上記樹脂被包材10による被包には特殊な設備等が不要であることから、例えば、事後的に、銅管部分にメッキ処理を施すような場合に比して、上記熱交換器1に対する防食処理コストを安価に抑えることができ、それだけ上記熱交換器1を安価に提供できることになる。
また、以上のように銅管の表面を樹脂被包材10で封止するようにすると、銅管部の断熱性が高くなり、結露水が発生しにくくなるので、この点でも防食効果が向上する。
また、断熱性が向上することにより、熱ロス量の低減、熱交換効率の向上にも寄与することができる。
さらに、有機塗料を使用する場合と異って、安全かつ衛生的である。
II:適用樹脂材について
ここで、上記本願発明の実施に用いられる樹脂材、即ち、上記熱交換器1のヘッダー部1Bとヘアピン部1Cの銅管部分を一体的に被包して有効な防食性能を確保するための、上記樹脂被包材10の素材樹脂について具体的に説明する。
(a) 樹脂被包材10の素材樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂のほか、室温で固体状を呈するパラフィン、アスファルト、ギルソナイト又は液状ゴムなども使用できる。
(b) 上記熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、スチロール、ポリエチレンテレフタレート又はウレタンが使用できる。また、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリブタジエン系の熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
(c) 樹脂被包材10の素材樹脂として、上記ポリエチレン、スチロール、ポリエチレンテレフタレート又はウレタン等の熱可塑性樹脂を用いた場合には、該熱可塑性樹脂は加熱により流動性が生じ、冷却によって硬化する性状をもつことから、例えば、その溶融樹脂を上記型枠20内に流し込んで成形することで、上記ヘッダー部1Bやヘアピン部1Cなどの複雑な形状部分も完全に封止することができ、その結果、高い防食効果をもつ熱交換器を得ることができる。
(d) 樹脂被包材10の素材樹脂として、上記シリコーン樹脂を用いた場合には、該シリコーン樹脂が柔かで復元性の高いゴム弾性を有することから、例えば、空気調和機の起動・停止に伴う冷媒の圧力変動やデフロスト時の冷媒温度の変化による銅管の膨張収縮に伴う変形に対して樹脂が粘性をもって柔軟に追従し(銅管の表面に密着したまま弾性的に追従変形し)、樹脂材と銅管の界面に隙間を生じさせなくなり、従来のような経時劣化(密着力の低下による隙間の発生)もほとんどなくなる。この結果、上記界面部の隙間を介しての腐食性物質の侵入もなくなり、長期に亘って高い防食性能が維持される。また、樹脂被包材10が柔かなゴム弾性(ダンピング性能)を有することから、防振効果、防音効果も期待でき、空気調和機の運転開始(起動)・運転停止に伴う振動及び騒音の発生が抑制される。
(f) また、樹脂被包材10の素材樹脂として、上記スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリブタジエン系の熱可塑性エラストマーを用いた場合は、上述した熱可塑性樹脂としての有益な作用効果、即ち、その流動性から複雑な形状部分も完全に封止することができるという作用効果に加えて、これら熱可塑性エラストマーは、きわめて柔軟で粘性、粘着性のあるゴム弾性を有することから、例えば、空気調和機の起動・停止に伴う冷媒の圧力変動やデフロスト時の温度変化による銅管の膨張・収縮変形(図5中の破線部参照)に対して樹脂材が強い密着状態(結合力)を維持したまま柔軟かつスムーズに追従し、樹脂材と銅管の界面に隙間が生じなくなる。
したがって、同界面の上述した経時劣化も生じなくなる。その結果、界面部を介しての腐食性物質の侵入もなくなり、長期に亘って一層高い防食性能が維持される。
(g) さらに、熱可塑性エラストマーが、上述のようにきわめて柔軟で、粘性の高いゴム弾性(ダンピング性能)を有することから、防振効果、防音効果が期待でき、空気調和機の運転・運転停止に伴う振動及び騒音の発生が抑制される。
(h) 一方、樹脂被包材10の素材樹脂として、室温で固体状を呈するパラフィン、アスファルト、ギルソナイト(天然樹脂)又は液状ゴムを用いた場合は、室温において型への流し込みによって、複雑な形状部分も完全に封止することができ、高い防食効果を得ることができる。
(最良の実施の形態2)
この本願発明の最良の実施の形態2の熱交換器の構成では、上記最良の実施の形態1の構成における樹脂被包材10としての上記IIの(a)〜(h)に示される各種の樹脂材に対して、さらに流動パラフィン、シリコーン油、フッ素油などの撥水性を有する液状油脂が含浸される。
このように、上述した最良の実施の形態1の構成中のIIの(a)〜(h)に示されているような熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂等の素材樹脂10中に、撥水性を示す液状油脂25,25・・・が含浸されていると、例えば図4に示すように、上述したヘッダー部1Bおよびヘアピン部1Cなどの銅管CuPの被包状態(モールド状態)において、対応する銅管CuPとの界面部に当該含浸した液状油脂25,25・・・が染み出して、常に対応する銅管CuPの表面を覆い、確実に結露水の浸入を防止するようになる。
従来のエポキシ樹脂等有機塗料の塗膜層形成による防食構造の場合、上述の図5に示したように、銅管CuPと塗膜30との密着は固体と固体との密着であるため、材質による膨張収縮率の差に起因した経時的な密着力の低下を避けることができない。
ところが、防食材として、上述のように撥水性(疎水性)の液体である液状油脂25を使用すれば、例えば図3(液状油脂25を所定量貯留した容器20A内に銅管CuPを浸漬した構成)に示すように、銅管CuPの表面が膨張・収縮による変形(破線参照)を繰り返しても、常に銅管CuPの表面を撥水性の液状油脂25で被覆した状態に維持できるため、非常に優れた防食性能が得られる。
しかし、液状油脂25が、液体の状態で上述した熱交換器のヘッダー部1bやヘアピン部1Cを覆うようにするためには、同ヘッダー部1Bやヘアピン部1Cに図3のような隙間のない容器20Aを取り付けて、その中に液状油脂25を常時液体の状態で貯留しなければならないことになり、そのままでは実用性に乏しい。
そこで、この実施形態では、例えば図4のように、上記最良の実施の形態1のIIの(a)〜(h)に示されているような熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂等の素材樹脂10中に、その溶融状態において撥水性を示す液状油脂(流動パラフィンなど)25,25・・・を所定量含浸させ、該撥水性のある液状油脂25,25・・・が含浸された樹脂材10で、上述の最良の実施の形態1のものと同様にヘッダー部1bやヘアピン部1Cを被包(モールド)するようにしている。
このようにすると、上述のように、素材樹脂10による被包状態(モールド状態)下において、図4のように銅管CuPと樹脂材10との界面部分に樹脂材10中の液状油脂25,25・・・が染み出して、常に銅管CuPの表面を覆うようになり、仮に図4中に破線で示すような銅管CuPの膨張・収縮による変形により、樹脂材10と銅管CuPの表面との間に微小な隙間が生じたとしても、同銅管CuP表面への結露水等の浸入を確実に防止することができるようになる。
そして、上記液状油脂25には、例えば可燃性が低くて、撥水性の高い流動パラフィン、シリコーン油、フッ素油等の内の何れかが採用されており、樹脂材10による被包時(モールド時)に、効果的に銅管CuPとの界面にこれらの液状油脂25,25・・・が均一に染み出し、常に銅管CuPの表面の全体を確実に覆って結露水の浸入を防止するようになっている。
また、この場合における上記各液状油脂25の流動点(基準温度)は、例えば−10℃以下となっている。
上記本願発明の実施の形態の熱交換器を、例えば冷蔵庫のクーラー等として使用するためには、当該液状油脂25の流動点が−10℃以下でないと、運転中に流動性を示さないケースが生じ、上記期待した防食性能が得られない。
したがって、上記流動パラフィン、シリコーン油、フッ素油等の液状油脂は、その流動点が−10℃以下のものを使用する。
さらに上記流動パラフィン、シリコーン油、フッ素油等の液状油脂の上記熱可塑性樹脂又はシリコーン樹脂等素材樹脂(樹脂被包材)10中への含浸量は、全重量の5〜70%としている。
これは、重量比5%未満では期待した防食効果が得られない一方、重量比70%を越えて含浸させても効果が飽和するためである。
本願発明の最良の実施形態1に係る熱交換器の一部切欠正面図である。 上記図1の熱交換器に対する防食作業(樹脂による被包作業)の説明図である。 本願発明の最良の実施形態2に係る熱交換器の銅管部防食構造の原理を説明する説明図である。 上記図3の防食原理を採用して構成した熱交換器銅管部分の樹脂被包構造(モールド構造)を示す断面図である。 従来の塗膜形成による防食構造の問題点を説明する断面図である。 図5の防食構造における問題点を経時的な変化として説明する説明用の断面図である。
符号の説明
1 ・・熱交換器
1A ・・本体部
1B ・・ヘッダー部
1C ・・ヘアピン部
2 ・・伝熱管
3 ・・フィン
4 ・・管板
5 ・・U字管
6 ・・ヘアピン管
8 ・・分流管
9 ・・連絡管
10 ・・樹脂被包材(素材樹脂)
11 ・・樹脂管
12 ・・樹脂管
13 ・・先行封止樹脂体
14 ・・先行封止樹脂体
15 ・・ヘッダー管
16 ・・分流器
19 ・・樹脂材
20 ・・型枠
20A・・容器
21 ・・樹脂溜
22 ・・射出管
25 ・・液状油脂
CuP・・銅管

Claims (9)

  1. クロスフィン型の熱交換器の本体部(1A)の外側において露出するヘッダー部(1B)及び/又はヘアピン部(1C)の少なくとも銅管部分を樹脂被包材(10)で一体的に被包したことを特徴とする熱交換器。
  2. 請求項1において、
    上記樹脂被包材(10)が、熱可塑性樹脂又はシリコーン樹脂であることを特徴とする熱交換器。
  3. 請求項2において、
    上記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、スチロール、ポリエチレンテレフタレート又はウレタンであることを特徴とする熱交換器。
  4. 請求項2において、
    上記熱可塑性樹脂が、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリブタジエン系の熱可塑性エラストマーであることを特徴とする熱交換器。
  5. 請求項1において、
    上記樹脂被包材(10)が、室温で固体状を呈するパラフィン、アスファルト、ギルソナイト又は液状ゴムであることを特徴とする熱交換器。
  6. 請求項1,2,3,4又は5において、
    樹脂被包材(10)中に、撥水性のある液状油脂を含浸させたことを特徴とする熱交換器。
  7. 請求項6において、
    液状油脂が、流動パラフィン、シリコーン油、フッ素油の内の何れかであることを特徴とする熱交換器。
  8. 請求項6又は7において、
    液状油脂の流動点は、−10℃以下であることを特徴とする熱交換器。
  9. 請求項6,7又は8において、
    液状油脂の含浸量は、重量比5〜70%であることを特徴とする熱交換器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013137121A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Daikin Industries Ltd 室外機
JP2018084374A (ja) * 2016-11-24 2018-05-31 ダイキン工業株式会社 熱交換器および冷凍装置
WO2022265118A1 (ja) * 2021-06-18 2022-12-22 株式会社 潤工社 熱交換器の付着物抑制構造、及び付着物抑制構造を有する熱交換器

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