JP2010150206A - 粘膜免疫賦活作用および免疫バランス調整作用を有する経腸栄養剤 - Google Patents

粘膜免疫賦活作用および免疫バランス調整作用を有する経腸栄養剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 粘膜免疫賦活作用や免疫バランス調整作用をなどの機能を有する経腸栄養剤を提供すること。
【解決手段】 ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌、たんぱく質、脂質および糖質を含有する経腸栄養剤。および、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌の、生菌体、菌体処理物または死菌体を有効成分とする経腸栄養剤用添加物。ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌としては、ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス コアギュランスが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は乳酸菌を含有する経腸栄養剤、さらに詳しくは粘膜免疫賦活作用および/または免疫バランス調整作用を有する経腸栄養剤に関する。
高齢や傷病、障害といった要因によって食物の経口摂取に困難をきたすものが栄養を摂取するための方法に経腸栄養法がある。経腸栄養剤は、鼻腔を経由して胃に挿入されたチューブを経由する経鼻胃管投与および胃瘻を経由した投与がある。胃瘻は患者の苦痛が少ないこと、嚥下リハビリテーションが容易であることから最近では胃瘻を経由した投与が普及してきている。
経管栄養法の利用者の多くは術後患者や寝たきりの高齢者であるため、術後の傷や褥創からの細菌感染や個人の免疫力低下による感染が起こりやすい。また経腸栄養法利用者は胃腸の働きが低下しやすく、便秘や下痢便臭の悪化を伴うことが多い。
また、経管栄養法の利用者である術後患者や寝たきりの高齢者は、免疫力が低下している場合が多い。人体の中で、口腔、鼻腔、呼吸器官、消化管などの体の内側で外界に接している部分は、粘膜と呼ばれるバリアーで保護され、その粘膜は、外部より取り込まれた異物抗原を排除する機能を有する。特に、消化器官である腸管は、人間の食事や飲水といった生命活動により、常に病原菌、アレルギー物質及び環境ホルモンなどの有害物質に暴露されている。近年、食生活の変化、ストレス又は加齢による腸内細菌叢の悪化などの原因によって、腸管免疫が低下し、感染症、アレルギー、潰瘍又は癌などの疾患を引き起こす人が増加している。
多くの感染症の場合、抗原となる細菌やウィルスなどが粘膜上皮に定着し、さらに上皮細胞内に侵入することにより、疾患が引き起こされる。粘膜上では病原体の侵入を防止するため、特別な種類の抗体であるイムノグロブリンA(IgA)が分泌される。IgA抗体は、パイエル板やリンパ小節の細胞により誘導・生産される2量体又は多量体の抗体で、ポリIgレセプター(pIgR)で分泌成分(SC)と結合し分泌型IgAとなり上皮細胞により粘膜分泌物中に運ばれ、病原体を架橋、被覆し細胞内への侵入を阻止する。つまり、病原体を効率良く除去するには、IgAの産生を増加させる必要がある。
長野県のすんき漬由来のラクトバチルス・ブレビス(特許文献1)やラクトバチルス・プランタムFERM BP−10064およびFERM BP−10065(特許文献2)において免疫調節機能を有することが知られている。しかしながらこれらの乳酸菌のIgA産生活性化効果は実際に経口摂取した場合は必ずしも充分な効果を発揮しているとは言いがたい。
また、近年、免疫バランスの不調から生ずる疾患が問題となっている。例えば、先進国において多くみられるアレルギー性疾患は、体内の免疫バランスが崩れることによって過剰に防御反応が働き、本来は異物として認識すべきでないものに対してまでも異物認識をしてしまう。
アレルギー疾患はその作用機序によりI型からIV型までに分類されているが、現在我が国で多くの人を悩ませている花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー等のアレルギー疾患は、IgE抗体依存性のI型アレルギーである。
I型アレルギー発症の過程では、まず血液中に存在するヘルパーT細胞のうちI型ヘルパーT細胞(Th1)とII型ヘルパーT細胞(Th2)のバランスが平衡状態からTh2優勢に傾く。その結果、Th2から分泌された抗体産生物質がB細胞を活性化してIgE抗体を産生させる。組織内のマスト細胞や血中の好塩基球表面のFcεレセプターにアレルゲン特異的IgE抗体が結合し、次いで、アレルゲンがIgE抗体に結合し、IgE抗体間に架橋が形成される。この架橋によりマスト細胞や好塩基球が刺激されてヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン、ヘパリン等化学伝達物質を遊離し、それらの作用によって様々なアレルギー症状が現われる。
免疫機構は、「液性免疫」と「細胞性免疫」に大別されるが、身体内に侵入してきた異物に対して液性免疫と細胞性免疫のいずれを誘導するかについての調節機構においては、免疫細胞のへルパーT細胞(Th細胞)が重要な働きを果たす。
ヘルパーT細胞(Th細胞)は、B細胞やT細胞などの増殖や働きを調節するサイトカインを分泌して、液性免疫や細胞性免疫を誘導する。ヘルパーT細胞は、そのサイトカインの産生パターンから、1型ヘルパーT細胞(Th1細胞)と2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)との二種類に分類され、Th1は細胞性免疫を活性化し、Th2細胞は液性免疫を活性化することが知られている。アレルギーバランスとは一般に、このTh1とTh2との間のバランスを指し、例えば患者のアレルギー状態を示す指標などとして広く利用されている。具体的には、アレルギー患者の身体中では、Th1/Th2バランスが崩れてTh2側に以上に偏ると、日常的に接触する花粉などの異物に対してもIgE抗体が過剰につくされ、アレルギー状態になると知られている。興味深いことにTh1とTh2とは互いに相反関係にあることが知られ、一方の量や活性が強くなるともう一方は抑制されることが明らかになっている。従って、Th1の量や活性を高めてやることで、Th2側に以上に偏った免疫バランスは正常に戻るように調整され、IgE抗体の産生が抑制され、アレルギー状態は改善される。
Th1/Th2バランスについては、Th1活性がTh2活性よりも高い時、血清中のイムノグロブリンG2a(IgG2a)濃度が上昇し、Th2活性がTh1活性よりも高い時、血清中のイムノグロブリンG1(IgG1)濃度が上昇することから、これらの抗体はTh1/Th2バランスの指標とされる。
腸管免疫機構では、腸管壁に存在するパイエル板においてその中に存在するマクロファージ(Mφ)が異物を認識し、Th0のTh1またはTh2への分化が誘導され、そうすることで細胞性免疫または液性免疫のいずれかが誘導される。全身性免疫の約6割は、この腸管免疫に拠るとも言われている。
従来、I型アレルギーに対しては上記化学伝達物質の放出抑制作用を有する抗アレルギー剤、放出された化学伝達物質の作用を抑制するのに有効な抗ヒスタミン剤、抗炎症作用を有するステロイド剤等を用いた対症療法が行われているが、これら従来の薬剤は多かれ少なかれ副作用を伴うので使用法が難しいという問題点があった。
I型アレルギーの発症の第一段階で重要な役割を演じるIgE抗体の産生を抑制することができれば根本的な予防と治療につながると期待されるが、IgE抗体の産生抑制に有効な手段は殆ど開発されていない。
特開2007−308419号 特許第3818319号 特開平5−252900号 特許平9−2959号
本発明の目的は、粘膜免疫賦活作用や免疫バランス調整作用などの機能を有する経腸栄養剤を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の乳酸菌が粘膜免疫賦活作用および免疫バランス調整作用を有し、この乳酸菌を含有する経腸栄養剤は、該効果を発揮しうることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌を含有する経腸栄養剤に関する。また、本発明は、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌の、生菌体、菌体処理物または死菌体を有効成分とする経腸栄養剤用添加物にも関する。
本発明の経腸栄養剤は、優れた粘膜免疫賦活作用および免疫バランス調整作用を有し、下痢や便秘などの改善や感染症の予防、更には全身の免疫機能の活性化にも有効であることから、経腸栄養法を利用している高齢者や患者の健康維持、QOLの向上などに有用である。
以下、本発明について、さらに詳しく説明する。
本発明の経腸栄養剤は、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌を含有する、経鼻胃管用チューブや胃瘻用カテーテルを通じて投与される流動性をもつ栄養組成物であれば特に限定されず、医薬品である成分栄養剤、消化態栄養剤、医薬品または食品である半消化態栄養剤などの一般的な経腸栄養剤の他、濃厚流動食(人工濃厚流動食)やミキサー食などの流動食も含まれる。本発明の経腸栄養剤には、さらに、たんぱく質、脂質、糖質などの栄養成分が含まれているのが好ましく、さらにはたんぱく質、脂質、糖質のすべてが含まれているのがより好ましい。
本発明の経腸栄養剤に含まれるたんぱく質としては特に限定されず、乳タンパク、カゼイン、ホエイ、大豆タンパク、卵白、卵黄およびそれらの分解物が好ましく用いられるが、風味、浸透圧、塩濃度、代謝速度などの観点から、乳タンパク、カゼイン、大豆タンパクあるいはそれらの分解物を含むことが好ましく、少なくともカゼインを含むことがより好ましい。またこれらの成分は複数組み合わせて含有させてもかまわない。
本発明の経腸栄養剤に含まれる脂質としては特に限定されず、大豆油、なたね油、オリーブ油、パーム油などの植物油のほか、魚油、牛脂、豚脂、鳥脂、脂肪酸、脂肪酸の誘導体が好ましく用いられる。また、脂質として高度不飽和脂肪酸や短鎖脂肪酸などの機能性油脂も利用できる。またこれらの成分は複数組み合わせて含有させてもかまわない。
本発明の経腸栄養剤に含まれる糖質としては特に限定されず、デキストリン、でんぷん、しょ糖、グルコース、フルクトース、オリゴ糖が好ましく用いられる。浸透圧、代謝速度の観点から糖質としてデキストリンを含むことがより好ましい。またこれらの成分は複数組み合わせて含有させてもかまわない。
本発明の経腸栄養剤中のたんぱく質、脂質および糖質の配合比は任意に設定できるが、経腸栄養剤100mlあるいは100gあたりの総カロリーが、50〜250 kcalとなるようにするのが好ましく、例えばたんぱく質含有量としては0〜50重量%、糖質含有量としては0〜85重量%、脂質含有量としては0〜60重量%の範囲で自由に設定することができる。そのなかでもたんぱく質を5〜30重量%、糖質を5〜30重量%、脂質を5〜30重量%の範囲で含有させるのが好ましい。
本発明の経腸栄養剤に含有させることのできる乳酸菌は、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌であれば特に限定されない。ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス コアギュランス、ラクトバチルス・ブレビスSAM2447株、ラクトバチルス・ブレビスKB290株、ラクトバチルス・ブレビスIFO−12005株、ラクトバチルス・ブレビス亜種ブレビス等が挙げられるが、この中でもラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス コアギュランスがその有している機能から好ましい。ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス コアギュランスは、例えば、L.brevis kaneka−01株として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(郵便番号292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に2008年4月11日付、受託番号NITE P−558で寄託されている。
本発明の経腸栄養剤に含有させる乳酸菌は、MRS培地のような一般的な乳酸菌用培地で培養された菌体であっても、それを改良した合成培地で培養された菌体であってもよく、さらには京都すぐき漬に見られるように植物を栄養源として増殖した菌体であっても、果物やその他の植物の搾汁液、磨砕物または破砕物を用いて増殖した菌体であってもよい。充分な菌体量を得るためには、一般的な乳酸菌用培地など当該菌が充分に増殖可能な培地において培養されるのが好ましい。培養後、乳酸菌を集菌し、さらに水あるいは生理食塩水で1回以上洗菌したのちに使用するのが好ましい。
本発明の経腸栄養剤に含有させる乳酸菌の形態は、生菌体であっても菌体処理物であっても死菌体であってもよいが、保存安定性を向上させるためには、望ましくは菌体処理物あるいは死菌体であり、より望ましくは死菌体の形態で含有させるのが好ましい。ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌の菌体処理物あるいは死菌体を調整する手段としては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。好ましくは、菌体を水あるいは生理食塩水で懸濁して得られる菌体溶液を、60〜125℃で30秒〜6時間、より好ましくは90〜95℃で5〜30分間熱処理をして得られる死菌体を用いることができる。菌体処理物としては、例えば、熱処理、物理的破砕、ガンマ線照射、高圧処理、減圧処理、薬品処理などを行ったものを使用できる。なお、これら処理を行う前に、公知の方法で生菌数を把握しておくのが好ましい。
本発明においては、上記ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌、たんぱく質、脂質、糖質、その他必要に応じて他の成分や水を、公知の方法で混合調製して経腸栄養剤を製造することもできるし、たんぱく質、脂質、糖質を含有する従来の一般的な経腸栄養剤に、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌を混合して製造することもできる。一般的な経腸栄養剤に菌体を混合後にさらにレトルト殺菌しても構わない。この時使用される一般的な経腸栄養剤としては市販品を利用してもよく、そのような市販品としては、明治乳業株式会社製のエンシュア・リキッド(登録標章)や森永乳業株式会社製のMA−7(エムエーセブン、販売元:株式会社クリニコ)などを用いることができる。本発明の経腸栄養剤は、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌が混合された状態で出荷、保存、投与されるものである。
本発明の経腸栄養剤に含有される乳酸菌の含有量は、特に限定されないが、経腸栄養剤1kcalあたりに含まれる細胞数として、10,000個以上となるようにするのが好ましい。すなわち、乳酸菌として菌体処理物あるいは死菌体を使用する場合には、処理・殺菌前の生菌数として10,000CFU/kcal以上となるように経腸栄養剤に混合することができる。また、その上限としては特に限定されないが、あまりに乳酸菌含有量が多いと、胃にもたれたり、消化不良を起こす可能性も否定できないことから、5,000,000CFU/kcal以下が望ましい。
本発明の経腸栄養剤は成人一人に対し、1日に900〜2000 kcalの範囲で経管あるいは経口で投与することが望ましい。
また、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌の、生菌体、菌体処理物または死菌体は、経腸栄養剤用の添加物として好ましく使用される。すなわち、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌の、生菌体、菌体処理物または死菌体を有効成分とする、経腸栄養剤用添加物も、本発明の一態様である。本発明の経腸栄養剤用添加物に使用されるラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌としては、ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス コアギュランスが、後述する実施例に示すとおり、すぐれた粘膜免疫賦活作用および免疫バランス調整作用を有することから、好ましい。従って、本発明の経腸栄養剤用添加物は、粘膜免疫賦活剤または免疫バランス調整剤として使用することもできるし、さらには腸菅免疫活性化剤、IgA抗体産生促進剤として使用することもできる。本発明の経腸栄養剤用添加物は、IgA抗体産生を促進するだけでなく、血液中免疫グロブリンG2a(IgG2a)/G1(IgG1)比の上昇を抑制することから、Th2側に偏った免疫バランスを正常に戻すことで、IgE抗体の産生を抑制し、アレルギー状態を改善することができる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例になんら限定されるものではない。
以下の方法で、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌である、ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス コアギュランスの機能について評価した。
(製造例1)ラクトバチルス・ブレビス生菌体の調整
市販の乳酸菌用培地(M.R.S培地、OXOID社製)を、濃度が62g/Lとなるように蒸留水に溶解させ、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。続いて、該滅菌済み培地に、ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス コアギュランスとして、L.brevis kaneka−01株(NITE P−558)を植菌し、30℃で約24時間培養した。
培養後菌体を集菌して培地成分を除き、得られた菌体を水で1回洗菌した。洗浄後の菌体を生菌数換算で1×1011CFU/mlになるように水に懸濁した。
(製造例2)ラクトバチルス・ブレビス死菌体の調整
市販の乳酸菌用培地(M.R.S培地、OXOID社製)を、濃度が62g/Lとなるように蒸留水に溶解させ、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。続いて、該滅菌済み培地に、ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス コアギュランスとして、L.brevis kaneka−01株(NITE P−558)を植菌し、30℃で約24時間培養した。
培養後菌体を集菌して培地成分を除き、得られた菌体を水で1回洗菌した。洗浄後の菌体を生菌数換算で1×1011CFU/mlになるように水に懸濁した。その菌体の懸濁液を95℃で15分熱処理し、死菌体の懸濁液とした。処理後の菌体はMRS寒天培地に塗布して30℃で48時間保温することにより、コロニーが出現しないことを確認した。
(実施例1)糞便中IgA濃度の評価
BALB/c系SPF雄性マウス(日本チャールスリバー製)18匹を6週齢で購入し、1週間馴化飼育後、7週齢にて、Control群および製造例2のラクトバチルス・ブレビス死菌体高用量投与群と低用量投与群の計3群(各6匹)に分けた。ラクトバチルス・ブレビス死菌体の懸濁液の投与量は、熱処理前の生菌数換算で、高用量投与群は1.0×109CFU/mouse、低用量投与群は1.0×105CFU/mouseとなるように、それぞれ1日1回、合計42日間強制経口投与した。Control群には、蒸留水を0.01ml/1g−マウス体重の割合で投与した。被験物質投与開始前(0日)、開始後3、7,14,21,28,35,42日目の糞便を回収した。回収後糞便乾燥重量0.1gに対し9倍量のPBS(50mM EDTA、0.1mg/mL トリプシン阻害剤、0.001mol/L フッ化フェニルメチルスルホニルを含む)を加え4℃下で1時間静置後ホモジナイズした。その後4℃下において 3000rpm、10分間遠心して得た上清を総IgA測定用サンプルとした。
糞便中IgA濃度はELISAキット(マウスELISA IgA測定キット、ELISA Starter Accesory Package Kit(以上すべてBETHYL製)を用いて測定した。
表1に示した通り、低用量投与群、高用量投与群ともに有意なIgA濃度の増加がみられた。以上の結果から、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌の死菌体に腸管免疫賦活作用があることが確認された。
(実施例2)
BALB/c系SPF雄性マウス(日本チャールスリバー製)12匹を6週齢で購入し、1週間馴化飼育後、7週齢にて、Control群およびラクトバチルス・ブレビス生菌体投与群の2群(各6匹)に分けた。生菌体投与群には、製造例1のラクトバチルス・ブレビスの生菌体を、1.0×109 CFU/mouseの投与量となるよう、1日1回、合計28日間強制経口投与した。
被験物質投与開始後2、3、および4週目の糞便を回収した。回収後糞便乾燥重量0.1gに対し9倍量のPBS(50mM EDTA、0.1mg/mL トリプシン阻害剤、0.001mol/L フッ化フェニルメチルスルホニルを含む)を加え4℃下で1時間静置後ホモジナイズした。その後4℃下において 3000rpm、10分間遠心して得た上清を総IgA測定用サンプルとした。
糞便中IgA濃度はELISAキット(マウスELISA IgA測定キット、ELISA Starter Accesory Package Kit(以上すべてBETHYL製)を用いて測定した。
その結果を図1にまとめた。図1に示した通り、投与後3週目以降において生菌体投与群で有意なIgA濃度の増加がみられた。以上の結果から、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌の生菌体に腸管免疫賦活作用があることが確認された。
(実施例3)血清中IgG1およびIgG2a濃度の評価
実施例1の投与実験終了後(投与開始から44日目)、各群のマウスをイソフルラン麻酔下で開腹し、腹部大静脈より全採血した。採取する血液は室温で約2時間静置した後、3000rpm、15分間遠心分離し血清を得た。得られた血清はIgG1およびIgG2a測定用サンプルとし、測定日まで−80℃下で凍結保存した。血清中IgG1、IgG2a濃度はELISAキット(マウスELISA IgG1測定キット、マウスELISA IgG2a測定キット、ELISA Starter Accessory Package Kit(以上すべてBETHYL製))を用いて測定した。
その結果を図2にまとめた。図2に示した通り、高用量投与群で、投与後4週目の血清中IgG1濃度の減少、IgG2a濃度の上昇、IgG2a/IgG1比の増加が見られた。以上の結果から、ラクトバチルス・ブレビスの死菌体に免疫バランス調整作用が認められた。
(実施例4)
実施例2の投与実験終了後(投与開始から28日目)、各群のマウスをイソフルラン麻酔下で開腹し、腹部大静脈より全採血した。採取する血液は室温で約2時間静置した後、3000rpm、15分間遠心分離し血清を得た。得られた血清はIgG1およびIgG2a測定用サンプルとし、測定日まで-80℃下で凍結保存した。血清中IgG1、IgG2a濃度はELISAキット(マウスELISA IgG1測定キット、マウスELISA IgG2a測定キット、ELISA Starter Accessory Package Kit(以上すべてBETHYL製))を用いて測定した。
その結果を図3にまとめた。図3に示した通り、Control群と比べ、生菌群で投与後4週目の血清中IgG1濃度の有意な減少、IgG2a濃度の上昇、有意なIgG2a/IgG1比の増加が見られた。以上の結果から、ラクトバチルス・ブレビスの生菌体に、免疫バランス調整作用が認められた。
以上の結果から、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌に、優れた腸管免疫賦活作用と生体の免疫バランスの調整作用が確認できた。従って、ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌を含有する本発明の経腸栄養剤は、免疫賦活効果が高く、免疫バランスを調整することによりアレルギーを抑制する作用を持つことが期待できる。本発明のの経腸栄養剤に含有される乳酸菌は、食経験のある、人体に極めて安全な物質であり、食品、医薬品等に使用することが十分可能である。腸管免疫能が弱まっているヒトに本発明の経腸栄養剤を使用した場合、IgAの産生が亢進され、感染症などに対する抵抗力が増進する。また、免疫バランス調整作用によりアレルギー患者などのTh2側に偏った免疫バランスが正常に戻るように調整され、その結果IgE抗体の産生の抑制につながり、アレルギー状態が改善されることによって服用者の健康に大きく貢献するものと考えられる。
ラクトバチルス・ブレビス生菌投与による、糞便中IgA濃度の変化 ラクトバチルス・ブレビス死菌投与42日目の、血清中IgG1濃度、IgG2a濃度、IgG2a/ IgG1比 ラクトバチルス・ブレビス生菌投与28日目の、血清中IgG1濃度、IgG2a濃度、IgG2a/ IgG1比

Claims (9)

  1. ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌を含有する経腸栄養剤。
  2. たんぱく質、脂質および糖質を含有する請求項1記載の経腸栄養剤。
  3. 経腸栄養剤中の乳酸菌細胞数が10,000個/kcal以上であり、かつ糖質としてデキストリンを、タンパク質としてカゼインを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の経腸栄養剤。
  4. ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌が、ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス コアギュランスである請求項1〜3いずれか1項に記載の経腸栄養剤。
  5. ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌の、生菌体、菌体処理物または死菌体を有効成分とする経腸栄養剤用添加物。
  6. ラクトバチルス・ブレビスに属する乳酸菌が、ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス コアギュランスである請求項5記載の経腸栄養剤用添加物。
  7. 粘膜免疫賦活剤および/または免疫バランス調整剤として使用される、請求項5または6に記載の経腸栄養剤用添加物。
  8. 腸菅免疫活性化剤として使用される請求項5または6に記載の経腸栄養剤用添加物。
  9. IgA抗体産生促進剤として使用される請求項5または6に記載の経腸栄養剤用添加物。
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