JP2010148336A - 風力発電所とその発電制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスエンジン発電機を備える風力発電所において、ガスエンジンの寿命を延ばすことのできる風力発電所および発電制御方法を提供する。
【解決手段】風力発電所は、風力発電システム、蓄電システム、およびガスエンジン発電システムを少なくとも含んで構成され、統括コントローラ6Aによって制御され、風力発電システムの発電電力の変動を蓄電システムの充放電電力とガスエンジン発電システムの発電電力で緩和する。統括コントローラ6Aは、ガスエンジン温度TEを予め設定された第1の温度閾値TELと比較し、第1の温度閾値TELを下回ったとき、ガスエンジン発電システムのガスエンジン発電機を発電運転させ、その後、ガスエンジン温度TEが予め設定された第2の温度閾値TEHを上回ったとき、前記ガスエンジン発電機が風力発電システムの発電電力の変動を緩和するように発電運転モードを切替える。
【選択図】図5

Description

本発明は、電力系統に接続された風力発電システム、ガスエンジン発電システム、および蓄電システムを含んで構成される風力発電所とその発電制御方法に関する。
自然界に存在する再生可能なエネルギーを電力エネルギーに変換する手段として、風力発電システムや太陽光発電システムなどが利用されている。風力発電システムのエネルギー源は、時間的に変動する風のエネルギーであるため、風力発電システムの発電電力も時間的に変動する。風力発電システムの発電電力変動を緩和するため、風力発電システムにエンジン発電機などの分散電源を併設し、さらに蓄電システムを併設することで、風力発電システムの発電電力の変動を緩和する場合がある。
例えば特許文献1には、風力発電、太陽光発電、エンジン発電機などの複数のタイプの分散電源で構成された発電システムにおいて、分散電源の発電電力変動を周波数成分に分離し、周波数に応じて変動成分を複数の分散電源に負担させる運転制御方法の技術が開示されている。
特開2006−333563号公報
ところで、風力発電システムなどの発電電力が時間的に不安定な分散電源を用いた発電所において、ガスエンジン発電機を併設し、風力発電システムなど発電電力変動を緩和するように運転を行った場合、ガスエンジン発電機の運転・停止のサイクルが頻繁に発生する。このようなガスエンジン発電機の運転・停止サイクルにおいては、ガスエンジンの温度が大きく変動するため、ガスエンジンに熱サイクルによる負担が掛かり、ガスエンジンの寿命が短くなる虞がある。
そこで、本発明の目的は、風力発電システムなどの発電電力変動を緩和するように発電運転するガスエンジン発電機を備える風力発電所において、ガスエンジンの寿命を延ばすことのできる風力発電所および発電制御方法を提供することを目的とする。
前記した目的を達成するため、本願の第1の発明の風力発電所は、風力発電システム、蓄電システム、およびガスエンジン発電システムを少なくとも含んで構成される風力発電所の発電制御をする統括制御手段と、ガスエンジン発電機を構成するガスエンジンの温度を検出する温度検出手段と、を備え、統括制御手段が、ガスエンジンの温度を予め設定された第1の温度閾値と比較する第1の温度比較手段を有し、ガスエンジンの温度が第1の温度閾値を下回ったとき、第1の温度閾値を上回るようにガスエンジン発電機を予め設定した電力指令に従って発電運転させることを特徴とする。
そして、統括制御手段は、さらに、ガスエンジンの温度を予め設定された第2の温度閾値と比較する第2の温度比較手段を有し、ガスエンジンの温度が第2の温度閾値を上回ったとき、ガスエンジン発電機が風力発電システムの発電電力の変動を緩和するように発電運転モードを切替える構成とすることが好適である。
第1の発明によれば、ガスエンジン発電機が温度に応じて暖機のために発電するので、ガスエンジン発電機の熱サイクルによる劣化を防止し、かつ、暖機のためのガスエンジン発電機の発電運転時の発電電力の変動を蓄電システムが変動緩和するように充放電することで、風力発電所から電力系統への出力電力変動を抑制することができる。
本願の第2の発明の風力発電所は、風力発電システム、蓄電システム、ガスエンジン発電システムを少なくとも含んで構成された風力発電所の発電制御をする統括制御手段と、ガスエンジン発電機を構成するガスエンジンの温度を検出する温度検出手段と、ガスエンジンが停止しているとき、記蓄電システムからの電力によりガスエンジンを所定温度に保温する加熱ヒータと、蓄電装置の充電率を検出する充電率検出手段と、を備え、統括制御手段が、蓄電装置の充電率が予め設定された所定の充電率範囲内に収まるように、検出された充電率に応じてガスエンジン発電機を発電制御することを特徴とする。
そして、検出された蓄電装置の充電率を取りまとめて蓄電システムのシステム充電率に換算するシステム充電率演算手段と、演算されたシステム充電率と、予め設定された第1のシステム充電率閾値および第2のシステム充電率閾値と比較するシステム充電率比較手段と、を備え、統括制御手段は、システム充電率比較手段において蓄電システムの充電率が第1のシステム充電率閾値を下回ったと判定されたときは、ガスエンジン発電システムを予め設定した電力指令に従って発電運転させ、システム充電率比較手段において蓄電システムの充電率が第2のシステム充電率閾値を上回ったと判定されたときは、ガスエンジン発電システムが風力発電システムの発電電力変動を緩和するように制御することが好適である。
第2の発明によれば、ガスエンジン発電機がヒータによって加熱保温されるので、ガスエンジン発電機の熱サイクルによる劣化を防止し、かつ、蓄電システムの充電率が予め設定された所定の充電率範囲内に収まるように、検出された充電率に応じてガスエンジン発電機が発電制御されるので、風力発電システムによる発電量の変動が蓄電システムおよびガスエンジン発電システムで効果的に緩和でき、ガスエンジン発電機の熱サイクルによる劣化を防止できる。
なお、本発明は、風力発電所における発電制御方法を含む。
本発明によれば、風力発電システムなどの発電電力変動を緩和するように発電運転するガスエンジン発電機を備える風力発電所において、ガスエンジンの寿命を延ばすことのできる風力発電所および発電制御方法を提供することができる。
《第1の実施形態》
次に、本発明の好適な第1の実施形態である風力発電所を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
(風力発電所の概要)
図1は、第1の実施形態の風力発電所の構成図である。本実施形態の風力発電所100は、1台以上の風力発電装置12(図1では、12A,12B,…,12Xと表示)と、個々の風力発電装置12に対して出力制限指令PLCi(図1では、PLC1、PLC2、…、PLCiと表示)を出力して発電制御する風力発電システム用の統括コントローラ・データ収集装置(以下、WT_SCADA(SCADA:Supervisory Control And Data Acquisition System)と称する)11から構成された風力発電システム1、1台以上の蓄電装置32(図1では、32A,32B,…,32Xと表示)と、個々の蓄電装置32に対して充放電電力指令値PBCj(図1では、PBC1、PBC2、…、PBCjと表示してあるのをPBCjで代表)を割り振り出力して充放電制御する蓄電システム用の統括コントローラ・データ収集装置(以下、BT_SCADAと称する)31から構成された蓄電システム3、および1台以上のガスエンジン発電機52(図1では、52A,52B,…,52Xと表示)と、個々のガスエンジン発電機52に対してガスエンジン発電電力指令値PECk(図1では、PEC1、PEC2、…、PECkと表示)を出力して発電制御するガス発電システム用の統括コントローラ・データ収集装置(以下、GE_SCADAと称する)51から構成されたガスエンジン発電システム5を少なくとも含んで構成されている。
ここで、BT_SCADA31は、請求項に記載の「システム充電率演算手段」に対応する。
WT_SCADA11は、複数の風力発電装置12を統括して制御する機能と、風力発電システム1全体の発電電力データを収集して記憶する機能を有する。WT_SCADA11は、上位の統括コントローラ(統括制御手段)6の出力制限指令値PLCを、各風力発電装置12への出力制限指令値PLCi(ここでは、各風力発電装置12A,12B,…,12Xのコントローラ21(図2参照)へ送信される出力制限指令値PLC1,PLC2,…,PLCiを代表的にPLCiと表示)に振り分けることで、風力発電システム1全体の発電電力をPLC以下に抑制することが可能である。
なお、図1では代表的に表示した統括コントローラ6は、図1中( )内に6A,6Bと符号表示してあるように、本第1の実施形態では後記する図5に示すような統括コントローラ6Aの構成であり、後記する第2の実施形態では図11に示すような統括コントローラ6Bの構成である。
本実施形態において特別に区別する必要が無いときは、統括コントローラ6Aを単に統括コントローラ6と称する。
BT_SCADA31は、蓄電システム3全体を制御・監視する機能を有する。具体的には、BT_SCADA31は、統括コントローラ6と通信する手段をもち、統括コントローラ6から受信した充放電電力指令値PBCを各蓄電装置32の充放電電力指令値PBCjに振り分ける機能を有する。また、BT_SCADA31は、各蓄電装置32の充電率SOCj(ここでは、各蓄電装置32A,32B,…,32Xのコントローラ37(図3参照)から送信される各充電率SOC1,SOC2,…,SOCjを代表的にSOCjと表示)を蓄電システム3全体の蓄電システム充電率SOCに換算し、統括コントローラ6に送信する機能を有する。
GE_SCADA51は、複数のガスエンジン発電機52を統括・制御する機能を有する。GE_SCADA51は、統括コントローラ6からガスエンジン発電システム5へのガスエンジン発電電力指令値PECを受信し、各ガスエンジン発電機52にガスエンジン発電電力指令値PECk(ここでは、各ガスエンジン発電機52A,52B,…,52Xのコントローラ57(図4参照)へ送信される各発電電力指令値PEC1,PEC2,…,PECkを代表的にPECkと表示)を振り分ける。GE_SCADA51は、各ガスエンジン発電機52のガスエンジンの温度TEk(ここでは、各ガスエンジン発電機52A,52B,…,52Xのコントローラ57(図4参照)から送信される各ガスエンジンの温度TE1,TE2,…,TEkを代表的にTEkと表示)を集計し、統括コントローラ6に伝達する。
風力発電所100は、電力系統8に接続しており、統括コントローラ6において前記したWT_SCADA11、GE_SCADA51、BT_SCADA31にそれぞれ前記した出力制限指令値PLC、ガスエンジン発電電力指令値PEC、充放電電力指令値PBCを出力し、風力発電システム1やガスエンジン発電システム5を発電制御し、蓄電システム3の充放電を制御し、発電電力を電力系統8に送電する。
風力発電システム1の出力端には、電力計7Aが設けられ、出力電力が計測され、その風力発電電力PWはWT_SCADA11を介して統括コントローラ6に入力される。蓄電システム3の出力端には、電力計7Bが設けられ、出力電力が計測され、その充放電電力PBはBT_SCADA31を介して、蓄電システム充電率SOCとともに統括コントローラ6に入力される。ガスエンジン発電システム5の出力端には、電力計7Cが設けられ、ガスエンジン発電電力PEが計測され、そのガスエンジン発電電力PEはGE_SCADA51を介して、個々のガスエンジン発電機52のガスエンジン温度TE(図1では代表的にガスエンジン温度TEと表示し、図4では個々のガスエンジン発電機52の温度を温度TEkと表示)とともに統括コントローラ6に入力される。
そして、さらに、風力発電所100全体から電力系統8への発電所出力電力PSが電力計7Dで計測され、その発電所出力電力PSは統括コントローラ6に入力される。
(風力発電システム)
次に、図2を参照しながら風力発電システム1を構成する風力発電装置12について詳細に説明する。
図2は、風力発電装置の1例を示す構成図である。風力発電装置12は、外形的に、支持部の上部に設けられたナセル15とナセル15に回転軸を支承されたブレード13より構成される。ナセル15内には図示省略の増速ギア、発電機16などが収容されている。ブレード13により風を受け、風のエネルギーは前記した増速ギアを介して回転エネルギーに変換され、さらに、発電機16に伝達される。図2では発電機16として、直流励磁型同期発電機を示している。発電機16の固定子端子は、交流から直流に変換する電力変換器17、直流から交流に変換する電力変換器18、変圧器19、遮断器20を介して、風力発電システム1の他の風力発電装置12に並列連結され、そして電力系統8に連系される。
また、直流励磁型同期発電機である発電機16の回転子も、励磁装置22を介して風力発電装置12の電力系統に接続されており、励磁装置22がコントローラ21に制御されて直流励磁電流の強弱を調節されることにより、可変速運転を実現している。
コントローラ21は、風速計23からの風速信号と、統括コントローラ6(図1参照)からWT_SCADA11を介して受信する各風力発電装置12への出力制限指令値PLCiに応じて、電力変換器17,18の制御とブレードのピッチ角の調整により、その発電電力を所定値以下に制限する。
ちなみに、ブレードのピッチ角の調整は、コントローラ21において、風速信号に応じた出力制限指令値PLCiにもとづいて、目標ピッチ角を算出し、ピッチ角センサS1からのピッチ角信号が目標ピッチ角に一致するように、ブレード13の付け根部に設けられたピッチ角変更モータ14を回転制御することにより行われる。ピッチ角変更モータ14に供給される電力は、電力変換器18と変圧器19との中間から分岐して供給される。
なお、遮断器20のオフの動作もコントローラ21によって制御される。
本実施形態に適用される風力発電装置12としては、図2に示した直流励磁型同期発電機タイプの発電機を用いた風力発電装置12に限定されるものではなく、永久磁石発電機を用いた風力発電装置12、三相交流誘導機を用いた風力発電装置などでも良い。また、風力発電装置12がこれらの風力発電装置の組み合わせによって構成されても良い。
(蓄電システム)
次に、図3を参照しながら蓄電システム3を構成する蓄電装置32について詳細に説明する。図3は、蓄電装置の構成図である。蓄電装置32は、複数の二次電池33と、放電時に直流電力を交流に変換し、充電時に交流を直流に変換する電力変換器(充電率検出手段)34、変圧器35、遮断器36、コントローラ(充電率検出手段)37などで構成されている。二次電池33は、鉛蓄電池、ナトリウム硫黄電池、レドックスフロー電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンキャパシタのいずれか一種類、あるいはこれらの組み合わせにより構成される。
コントローラ37は、電力変換器34内に設けられた図示省略の電流センサからの充放電電流値にもとづいて蓄電装置32の充電率SOCjを算出し、BT_SCADA31に出力する。この蓄電装置32の充電率SOCjは、BT_SCADA31において、刻々記憶されるとともに、蓄電システム3全体の蓄電システム充電率SOCに換算され、統括コントローラ6(図1参照)に送信される。BT_SCADA31は、統括コントローラ6からの充放電電力指令値PBCを受けて、各蓄電装置32の充放電電力指令値PBCjとして割り振り、電力変換器34を制御して充電電力あるいは放電電力を制御する。ちなみに、BT_SCADA31は、充電の場合は、SOCjが低い蓄電装置32を優先して充電するように充放電電力指令値PBCjを割り振り、放電の場合は、SOCjが高い蓄電装置32を優先して放電するように充放電電力指令値PBCjを割り振り、各蓄電装置32の充電率SOCjの値のばらつきが平準化されるようにする。
ちなみに、遮断器36のオフの動作もコントローラ37によって制御される。
なお、図3では、蓄電装置32として、二次電池を使用した例を示したが、二次電池の代わりにキャパシタとして、電気二重層キャパシタや、コンデンサを用いても良いし、二次電池とキャパシタの組み合わせ、または他の蓄電要素の組み合わせで構成しても良い。例えば、蓄電装置として、フライホイールなどの電気エネルギーを運動エネルギーとして蓄積可能なシステムを用いても良い。
(ガスエンジン発電システム)
次に、図4を参照しながらガスエンジン発電システム5を構成するガスエンジン発電機52について詳細に説明する。図4は、ガスエンジン発電機の構成図である。ガスエンジン発電機52は、例えば、天然ガス、プロパンガス、または水素ガスなどの気体燃料を動力源とするデーゼル方式のガスエンジン53と、ガスエンジン53によって駆動される同期発電機である発電機54、変圧器55、遮断器56、コントローラ57などを有する。
発電機54は、ガスエンジン53によって駆動され、発電電力を変圧器55、遮断器56を介して電力系統8に送電する。
また、ガスエンジン53は、冷却用ファン、冷却水ポンプ、燃料ポンプ、ガバナ、セルモータなどの補機53aが接続されている。ガスエンジン53は、例えば、冷却水の温度TEkを検出する温度センサ(温度検出手段)STを備えており、ガスエンジン53の温度TEkを検出し、コントローラ57を介してGE_SCADA51に温度TEkのデータを伝達する。
なお、コントローラ57でオン・オフ制御される破線で示したスイッチ53cと、それによって通電される破線で示したガスエンジン53に設けられた加熱ヒータ53bは、第2の実施形態において適用されるものであり、第2の実施形態の中でその機能の説明をする。
コントローラ57は、ガスエンジン発電機52の制御装置であり、ガスエンジン53の温度TEkが所定の第1の温度閾値を下回ったとき、統括コントローラ6(図1参照)からの暖機運転開始指令を、GE_SCADA51を介して受信し、セルモータによりガスエンジン53を起動して所定の暖機運転を開始する。
なお、コントローラ57は、発電機54の図示しない回路スイッチを制御して、暖機運転開始直後から所定の時間は、無負荷運転の待機状態とさせ、その後負荷を掛ける。ガスエンジン53が暖機運転を開始して、温度TEkが所定の第2の温度閾値を上回ったとき、コントローラ57は、暖機運転が完了したことを、GE_SCADA51を介して統括コントローラ6に送信する。
統括コントローラ6が、風力発電電力PWの分オーダーの変動成分を緩和するため発電出力変動するガスエンジン発電電力指令値PECを出したとき、GE_SCADA51は、暖機運転が完了してガスエンジン53の温度TEkが第2の温度閾値を超えているガスエンジン発電機52に対して、ガスエンジン発電電力指令値PECを割り振り、当該のガスエンジン発電機52のコントローラ57にガスエンジン発電電力指令値PECkを出力する。すると、コントローラ57はそのガスエンジン発電電力指令値PECkに応じて、図示省略の燃料供給弁(ガバナ)を調整して、ガスエンジン発電機52の発電電力が調整される。
ちなみに、ガスエンジン53には遮断器56のオフの動作もコントローラ57によって制御される。
(統括コントローラ)
次に、図5から図7を参照しながら適宜図1、図4を参照して、本実施形態の風力発電所の発電制御をつかさどる統括コントローラ6について説明する。図5は、統括コントローラの機能構成ブロック図である。図6は、図5における発電出力目標値演算部の機能説明図であり、(a)は、一次遅れ制御の説明図、(b)は、入力された風力発電電力とガスエンジン発電電力の合計発電電力(PW+PE)に対する発電出力目標値演算部から出力される発電目標値の説明図である。ちなみに、図6の(c)は、第2の実施形態における発電出力目標値演算部の一次遅れ制御の説明図である。
図7は、図5におけるSOC管理_充放電指令演算部の機構構成ブロック図である。図8は、第1の実施形態における風力発電の発電制御方法の説明図であり、(a)は、風力発電電力の時間推移の説明図、(b)は、ガスエンジンの温度の時間推移の説明図、(c)は、ガスエンジン発電機によるガスエンジン発電電力の時間推移の説明図、(d)は、蓄電システムの充放電電力の時間推移の説明図、(e)は、蓄電システム充電率SOCの時間推移の説明図、(f)は、風力発電所全体の出力電力の時間推移の説明図である。
図5に示すように本実施形態の統括コントローラ6Aは、電力計7A(図1参照)が計測した風力発電電力PW、電力計7B(図1参照)が計測した蓄電システム3の充放電電力PB、電力計7C(図1参照)が計測したガスエンジン発電電力PE、電力計7D(図1参照)が計測した発電所出力電力PS、および個々のガスエンジン発電機52の温度センサST(図4参照)が検出したガスエンジン53の温度TEk(図5では、ガスエンジン発電システム5に含まれる個々のガスエンジン発電機52の複数の温度TEkのデータを代表して、単に温度TEと表示)、BT_SCADA31(図1参照)で算出された蓄電システム3の蓄電システム充電率SOCにもとづいて、ガスエンジン発電システム5へのガスエンジン発電電力指令値PEC、および蓄電システム3への充放電電力指令値PBCを演算する。
統括コントローラ6Aは、暖機運転要否判断部(第1の温度比較手段、第2の温度比較手段)61、選択部62,67,68、加算部63,73,74、発電所出力目標値演算部64(図5では、発電所出力目標値演算部64A,64B,64Cを代表して発電所出力目標値演算部64と表示)、減算部65,69,71、平滑化フィルタ66、SOC管理_充放電指令演算部70、フィルタ72を含んで構成されている。
暖機運転要否判断部61は、GE_SCADA51から個々のガスエンジン53の温度TEkのデータ(図5中、個々のガスエンジン53の温度TEkのデータを単に「ガスエンジン温度TE」と表示)を受信して、第1の温度閾値TELを下回ったものがあるかチェック、また、全てのガスエンジン53の温度TEkが第2の温度閾値TEHを上回ったかをチェックする。
第1の温度閾値TELを下回ったガスエンジン53があった場合には、ガスエンジン発電システム5を暖機運転のための発電運転オン(ON)とし、暖機運転フラグ=1とし、第1の温度閾値TELを下回ったものがない場合は、その前の状態のままとする。そして、暖機運転フラグ=1は、選択部62,67,68へ出力される。
第2の温度閾値TEHを全てのガスエンジン53が上回った場合には、ガスエンジン発電システム5を暖機運転のための発電運転オフ(OFF)とし、暖機運転フラグ=0とし、第2の温度閾値TEHを全てのガスエンジン53が上回らない場合は、その前の状態のままとする。そして、暖機運転フラグ=0は、選択部62,67,68へ出力される。
選択部62では、暖機運転フラグ=0の場合、加算部63にガスエンジン発電電力PEとしてゼロを入力し、暖機運転フラグ=1の場合、加算部63に電力計7Cから入力されたガスエンジン発電電力PEを入力する。
加算部63では、電力計7Aから入力された風力発電電力PWと選択部62から入力されたガスエンジン発電電力PEを加算して、発電所出力目標値演算部64Aに入力する。
発電所出力目標値演算部64Aは、例えば、図6の(a)に示すように風力発電電力PWと、ガスエンジン発電電力PEの合計値(PW+PE)に一時遅れ時定数Tmを用いた一時遅れ演算を施して、発電所出力電力目標値PSTrgを決定する。一時遅れ時定数Tmとしては、数分〜数十分の値とする。図6の(b)に示すように、破線で示した前記合計値(PW+PE)を一時遅れ演算すると、実線で示すような滑らかな発電所出力電力目標値PSTrgとなる。演算された発電所出力電力目標値PSTrgは、減算部65に入力される。
図5に戻って、減算部65は、発電所出力電力目標値PSTrgから前記した合計値(PW+PE)を減算して、合計値(PW+PE)の変動を緩和すべき発電電力である変動緩和電力PMitiを算出し、平滑化フィルタ66および減算部69に入力する。変動緩和電力PMitiの内、周波数の低い成分をガスエンジン発電システム5が分担し、残りの周波数の高い成分を蓄電システム3が分担する。このためガスエンジン発電システム5へのガスエンジン発電電力指令値PECは、変動緩和電力PMitiに平滑化フィルタ66で平滑フィルタリング処理を施して演算され、選択部67へ入力される。平滑化フィルタ66は、例えば、時定数が数十分程度の一時遅れ演算器で構成する。
選択部67は、暖機運転フラグ=0の場合、平滑化フィルタ66から入力された値をガスエンジン発電電力PEとしてGE_SCADA51に出力し、暖機運転フラグ=1の場合、所定値PENomをガスエンジン発電電力指令値PECとしてGE_SCADA51に出力する。また、選択部68は、暖機運転フラグ=0の場合、電力計7Cから入力されたガスエンジン発電電力PEをそのまま減算部69に入力し、暖機運転フラグ=1の場合、ゼロをガスエンジン発電電力PEとして減算部69に入力する。
蓄電システム3の充放電電力指令値PBCは、変動緩和電力PMitiから、実際にガスエンジン発電システム5が発電したガスエンジン発電電力PEを減算することで得られる。
なお、蓄電システム3の充放電電力指令値PBCは、さらに、蓄電システム充電率SOC管理のために、SOC管理_充放電指令演算部70によって演算されるSOC管理_充放電電力指令値PBFを加算部73において加算させ、補正のための補正電力指令値PCを加算部74において加算させて、最終的な充放電電力指令値PBCとされる。
図7に示すようにSOC管理_充放電指令演算部70は、減算部70a、比例演算部70b、リミッタ70cを含んで構成されている。BT_SCADA31からの蓄電システム充電率SOCと、予め設定されたSOC目標値、例えば、70%との差分ΔSOCを減算部70aにおいて算出し、比例演算部70bにおいて差分ΔSOCに比例演算処理を施しSOC管理_充放電電力指令値PBFが算出され、さらに、リミッタ70cにおいてリミッタ処理することで最終的なSOC管理_充放電電力指令値PBFが加算部73に出力される。
リミッタ70cの設定値は、風力発電所100の定格の1%程度にすることで、電力系統8に影響が無い程度に小さな充放電電力で、蓄電システム3の充電率管理を実現できる。
また、補正電力指令値PCは、風力発電所100を構成する送電線、送電機器などによる損失を表しており、減算部71において風力発電電力PW、ガスエンジン発電電力PE、充放電電力PBを加算し、発電所出力電力PSを減算した差分ΔPSにフィルタ72においてフィルタリング処理を施して演算される。フィルタ72は、例えば、時定数1分程度の一時遅れ演算器で構成する。
(風力発電所の発電制御方法)
次に、風力発電所100の発電制御方法について説明する。
風力発電システム1の発電電力は、風のエネルギーを動力源とするため、風速の大きさに応じて風力発電電力PWが変動する。風速の大きさは時間的に一定ではないため、風力発電システム1の風力発電電力PWも時間的に変動する。このような不安定な電源を、電力系統8に大量に接続した場合、電力系統8の周波数や電圧を時間的に変動させる虞があり、最悪の場合、電力系統8の電力需給バランスが崩れ、電力系統8が停電する虞がある。
風力発電システム1の電力系統8に与える影響を緩和するため、本実施形態の風力発電所100では、風力発電システム1と並列して蓄電システム3およびガスエンジン発電システム5を電力系統8に連系する。
蓄電システム3およびガスエンジン発電システム5は、風力発電電力PWの変動を緩和するように、それぞれガスエンジン発電電力PEと充放電電力PBを調整することで、風力発電所100全体の発電電力変動を緩和する。蓄電システム3の特徴としては、充放電電力を比較的速く変化させることができるため、風力発電システム1の急峻(数十秒程度)な発電電力変動に対応できる。ただし、蓄電システム3の充放電動作に伴って、電力損失が発生する。
一方、ガスエンジン発電システム5の電力応答は数分程度であり、風力発電システム1の急峻な(数十秒程度)発電電力の変動を緩和することは困難であるが、それ自身が動力源を持つ発電システムであることから、蓄電システム3のような充放電に伴う損失が発生しない。風力発電所100においては、蓄電システム3とガスエンジン発電システム5がその応答性により、風力発電電力PWの変動緩和のためのガスエンジン発電電力PE、充放電電力PBを分担する。つまり時間的に速い発電電力変動(秒オーダーから数分まで)は蓄電システム3が充放電することで緩和し、比較的時間的にゆっくり(数分以上のオーダー)とした発電電力の変動は、ガスエンジン発電システム5のガスエンジン発電電力PEを調節することで緩和する。
一般に、ガスエンジン発電機は、コージェネレーションシステムの発電電源や非常時用の補助電源として使用される場合が多い。コージェネレーションシステムや補助電源として利用される場合、ガスエンジン発電機はほぼ定格出力近傍で、連続運転するのが一般的である。一方、本実施形態におけるガスエンジン発電システム5は、風力発電システム1の発電電力の変動緩和を目的として運転されるので、発電と停止を頻繁に繰り返すことになる。これは風力発電システム1が風速に応じて頻繁に発電・停止を繰り返し、これに応じてガスエンジン発電システム5が風力発電電力PWの変動を緩和すべき発電電力変動も時間的に散発して発生するためである。ガスエンジン発電システム5の頻繁な運転・停止の繰り返しサイクルに伴って、ガスエンジン53の冷却水温度も頻繁に変動することになる。これはガスエンジン53の温度が、ガスエンジン発電機52の運転中は燃料燃焼の発熱によって上昇し、停止状態では自然放熱によって低下するためである。ガスエンジン53はこのような頻繁な熱サイクルによって劣化が早まる虞がある。
本実施形態の風力発電所100は、ガスエンジン発電機52のガスエンジン53の熱サイクルによる劣化を回避するため、ガスエンジン53の冷却水の温度TEkを第1の温度閾値以上に保つ暖機のための発電運転を温度TEkに応じて間歇的に行わせる。
風力発電所100は、図5に示すように統括コントローラ6Aの暖機運転要否判断部61において、ガスエンジン温度TE(図5では、各ガスエンジン53の温度TEkを代表してガスエンジン温度TEと表示)用いて、暖機のための発電運転をする運転状態を選択する。具体的には、暖機運転要否判断部61が、ガスエンジン温度TEを予め定めた第1の温度閾値TEL、第2の温度閾値TEHと比較する。
ガスエンジン温度TEが第1の温度閾値TELより低下したときは(複数のガスエンジン発電機52が設置されている場合は、1台でもガスエンジン53の温度TEkが第1の温度閾値TELより低下したときは)、暖機運転要否判断部61は暖機のための発電運転モードを選択し、暖機運転フラグ=1とする。一方、ガスエンジン温度TEが第2の温度閾値TEHを上回ったときは(複数のガスエンジン発電機52が設置されている場合は、全てのガスエンジン53の温度TEkが第1の温度閾値TEHを上回ったときは)、暖機運転要否判断部61は暖機のための発電運転を停止し、通常の変動緩和運転モードに移行する。暖機のための発電運転モードにおいては、図5の選択部67が示すように、ガスエンジン発電システム5へのガスエンジン発電電力指令値PECは、所定値PENomに固定される。
なお、所定値PENomは、蓄電システム3が充電可能な値に設定する。また、図5の選択部62が示すように、暖機のための発電運転モードにおいては、ガスエンジン発電電力PEは、風力発電電力PWと加算されることにより、ガスエンジン発電電力PEは、変動緩和の対象の電力として扱われる。このように暖機のための発電運転モードにおいては、暖機のための発電運転時によるガスエンジン発電電力PEを、蓄電システム3の充放電によって緩和する。
図8を参照しながら本実施形態の風力発電所100の発電運転例を説明する。図8に示した風力発電所100は、2MW出力の風力発電装置12を5台まとめて構成された風力発電システム1(計10MW出力)に対し、充放電容量1MWの蓄電装置32を2台まとめて構成された蓄電システム3(計2MW)、1MW出力のガスエンジン発電機52を5台まとめて構成されたガスエンジン発電システム5(計5MW出力)を併設した条件の場合である。
図8の(a)に示すように、風力発電システム1周辺の風速が小さく(5m/s以下程度)、風力発電システム1が発電していない状態を示している。時刻0〜Taにおいては、風力発電力PWが0であり、風力発電電力の変動緩和電力PMitiも0となり、蓄電システム3、ガスエンジン発電システム5とも充放電運転・発電運転を行っていない。この間、図8の(b)に示すようにガスエンジン温度TEが低下を続ける。
時刻Taにおいて、ガスエンジン温度TEが、第1の温度閾値TELを下回るため、図8の(c)に示すようにガスエンジン発電システム5は、暖機のための発電運転のためのガスエンジン発電電力指令値PEC(=PENom)を受信する。ガスエンジン発電システム5は、待機状態から発電運転を行うまで一定の時間が必要なため、ガスエンジン発電電力指令値PECを受信した時刻Taから時刻Tbまでの間、無負荷運転を実施し、その後、時刻Tbから発電運転を開始する。発電の開始とともにガスエンジン温度TEは上昇し、時刻Tcにおいて第2の温度閾値TEHを上回るため、ガスエンジン発電電力指令値PECを0にする。
なお、ガスエンジン発電システム5は発電電力の急峻な応答ができないため、所定時間後に発電電力を0にし、待機状態に移行する。
蓄電システム3は、図8の(d)に示すように時刻Taから時刻Tb間の暖機のための発電運転の間、ガスエンジン発電電力PEによる変動を緩和するように充電動作を行う。また、蓄電システム3は、図8の(d)に示すように時刻Tb以降は、充電率管理のための放電動作を実施する。
図8の(d)において破線が風力発電所100の発電所出力電力PSに対応する放電成分であり、二点鎖線がガスエンジン発電電力PEに対応する充電成分であり、この両者を合成したものが実線で示された正味の充放電電力PBとなる。
また、図8の(e)に示すように、蓄電システム3の蓄電システム充電率は、SOC目標値である、例えば、70%以上に維持される。
この結果、図8の(f)に示すように蓄電システム3の充放電動作により、風力発電所100の発電所出力電力PSの変動を抑制できる。
以上記載したように、本実施形態によれば、風力発電所100はガスエンジン53の温度TEk(ガスエンジン温度TE)に応じてガスエンジン発電システム5が発電運転する暖機のための発電運転モードをもち、暖機のための発電運転により発生するガスエンジン発電システム5の発電電力変動を、蓄電システム3が充放電動作により緩和する。このような運転方法を用いることで、電力系統8への出力電力変動を抑制したままガスエンジン53の急激な温度変化を緩和することができ、ガスエンジン53の熱サイクルによる劣化を防止できる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。これは、図5における発電所出力目標値演算部64として、第1の実施形態における発電所出力目標値演算部64Aの代わりに発電所出力目標値演算部64Bに置き換えたものである。
図9は、発電所出力目標値演算部の第1の変形例の機能説明図であり、(a)は、リミッタ制御の説明図、(b)は、風力発電とガスエンジン発電の入力された合計発電電力(PW+PE)に対する発電出力目標値演算部から出力される合計発電目標値の説明図である。
本変形例の発電所出力目標値演算部64Bは、加算部63から入力された風力発電電力PWとガスエンジン発電電力PEの合計値に変化率リミッタ演算(dP/dt)を施して、発電所出力電力目標値PSTrgを演算する。変化率リミッタ演算とは、入力の単位時間当たりの変化率を設定値以下に抑制する演算であり、変化率の設定値としては、例えば、風力発電所定格出力の0.5%/分程度に設定する。
このようにしても、風力発電電力PWとガスエンジン発電電力PEの合計値(PW+PE)にもとづく発電所出力電力目標値PSTrgを合計値(PW+PE)よりも変化の小さいものにすることができる。
(第1の実施形態の第2の変形例)
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。これは、図5における発電所出力目標値演算部64として、第1の実施形態における発電所出力目標値演算部64Aの代わりに発電所出力目標値演算部64Cに置き換えたものである。
図10は、発電所出力目標値演算部の第2の変形例の機能説明図である。発電所出力目標値演算部64Cは、図10に示すように実細線で表示した出力可能な発電所出力電力PSの上限と、一点鎖線で表示した出力可能な発電所出力電力PSの下限を設定し、この範囲内に収まるように発電所出力電力目標値PSTrgを演算する。発電所出力目標値演算部64Cの設定する前記上限値および下限値は、単位時間当たりの変動率が所定値以下になるように、随時更新する。例えば、発電所出力目標値演算部64Cは、20分間の変動率が風力発電所出力定格の10%以下になるように、上限値および下限値を設定する。
このようにしても、風力発電電力PWとガスエンジン発電電力PEの合計値(PW+PE)にもとづく発電所出力電力目標値PSTrgを合計値(PW+PE)よりも変化の小さいものにすることができる。
《第2の実施形態》
次に、図1、図4、図11、図12を参照しながら本発明の第2の実施形態における風力発電所100について説明する。本実施形態の風力発電所100の構成は、図1に示した第1の実施形態の風力発電所100において統括コントローラ6Aの代わりに統括コントローラ6Bとしたものであり、第1の実施形態と同じ構成については、重複する説明を省略する。
本発明の第1の実施形態との大きな違いは、風力発電所100を構成するガスエンジン発電システム5を構成するガスエンジン発電機52’が、図4に示すように発電停止時にガスエンジン温度TEに応じてガスエンジン53を暖機運転する代わりに、前記した第2の温度閾値TEH以上に保持するように、蓄電システム3から供給される電力を用いて加熱ヒータ53bを、コントローラ57でスイッチ53cをオン・オフ制御する点である。
本実施形態では、ガスエンジン53の冷却水の温度TEk、つまり、ガスエンジン温度TEを第2の温度閾値以上に維持することで、ガスエンジン53の熱サイクルによる劣化を防止できる。またガスエンジン53の温度を常に発電可能な値以上に維持しておくことで、発電運転までの起動時間が短縮され、風力発電システム1の発電電力変動をより容易に緩和できるようになる。
しかしながら、加熱ヒータ53bによるガスエンジン53の暖機を行うためには、ヒータ動作のための電力を供給する必要がある。例えば、風力発電システム1周辺の風速が小さく(5m/s以下程度)、風力発電システム1の発電電力が0MWの状態が長期に亘って継続した場合、従来の制御方法では加熱ヒータ53bのための電力を電力系統8から受電することになる。このため風力発電所100の発電所出力電力PSが負(電力系統からの受電)になる場合がある。
風力発電所100が電力系統8から電力を受電した場合、風力発電所100を運営する事業者は電力系統8を運営する電力会社に対して、受電電力量に対する料金を支払う必要があり、風力発電所100の事業性を悪化させ、結果的に風力発電システム1の導入の妨げになる虞がある。また、本来電源として動作すべき風力発電所100が電力系統8から受電することは、電力系統8への擾乱となり、電力系統8に影響を与える可能性がある。
そこで、本実施形態の風力発電所100は、ガスエンジン発電機52の補機53aの消費電力に加え、加熱ヒータ53bによる消費電力を蓄電システム3が供給することで、電力系統からの受電を回避する。また、蓄電システム充電率SOCに応じてガスエンジン発電システム5を発電運転させることで、蓄電システム充電率SOCを所定の範囲内に維持する。
(風力発電所の発電制御方法)
次に、図6の(b),(c)、図7、および図9から図12を参照しながら適宜図1を参照して、本実施形態の風力発電所の発電制御方法について説明する。図11は、第2の実施形態における統括コントローラの機能構成ブロック図である。図12は、第2の実施形態における風力発電の発電制御方法の説明図であり、(a)は、風力発電電力の時間推移の説明図、(b)は、ガスエンジン発電機によるガスエンジン発電電力の時間推移の説明図、(c)は、蓄電システムの充放電電力の時間推移の説明図、(d)は、蓄電システム充電率SOCの時間推移の説明図、(e)は、風力発電所全体の発電所出力電力の時間推移の説明図である。
図11に示すように本実施形態の統括コントローラ6Bは、電力計7A(図1参照)が計測した風力発電電力PW、電力計7B(図1参照)が計測した蓄電システム3の充放電電力PB、電力計7C(図1参照)が計測したガスエンジン発電電力PE、電力計7D(図1参照)が計測した発電所出力電力PS、BT_SCADA31(図1参照)で算出された蓄電システム充電率SOCにもとづいて、ガスエンジン発電システム5へのガスエンジン発電電力指令値PECおよび、蓄電システム3への充放電電力指令値PBCを演算する。
本実施形態にける統括コントローラ6Bは、SOC管理運転要否判断部(システム充電率比較手段)81、風力発電システム発電電力比較演算部82、乗算部83、選択部84、加算部73,74、発電所出力目標値演算部64’(図11では、発電所出力目標値演算部64A’,64B’,64C’を代表して発電所出力目標値演算部64’と表示)、減算部65,69,71、平滑化フィルタ66、SOC管理_充放電指令演算部70、フィルタ72を含んで構成されている。
図11に示す統括コントローラ6Bにおいて、第1の実施形態における統括コントローラ6A(図5参照)の構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
発電所出力目標値演算部64’は、例えば、図6の(c)に示すように風力発電電力PWに一時遅れ時定数Tmを用いた一時遅れ演算を施して、発電所出力電力目標値PSTrgを決定する。一時遅れ時定数Tmとしては、数分〜数十分の値とする。図6の(b)に示すように、破線で示した前記合計値PWを一時遅れ演算すると、実線で示すような滑らかな発電所出力電力目標値PSTrgとなる。演算された発電所出力電力目標値PSTrgは、減算部65に入力される。
なお、発電所出力目標値演算部64’は、第1の実施形態における変形例のように、図9に示した発電所出力目標値演算部64B’や、図10に示した発電所出力目標値演算部64C’でも良い。ただし、発電所出力目標値演算部64B’,64C’では、風力発電電力PWとガスエンジン発電電力PEの合計値(PW+PE)の代わりに、( )に示したように風力発電電力PWを入力とする。
図11に戻って、減算部65は、発電所出力電力目標値PSTrgから減算して、風力発電電力PWの変動を緩和すべき発電電力である変動緩和電力PMitiを算出し、平滑化フィルタ66および減算部69に入力する。変動緩和電力PMitiの内、周波数の低い成分をガスエンジン発電システム5が分担し、残りの周波数の高い成分を蓄電システム3が分担する。このためガスエンジン発電システム5へのガスエンジン発電電力指令値PECは、変動緩和電力PMitiに平滑化フィルタ66で平滑フィルタリング処理を施して演算され、選択部84へ入力される。
SOC管理運転要否判断部81は、蓄電システム充電率SOCを、予め設定された第1のシステム充電率閾値SOCLおよび予め設定された第2のシステム充電率閾値SOCHと比較する。第1のシステム充電率閾値SOCLは、第2のシステム充電率閾値SOCHと同一値、または、第2のシステム充電率閾値SOCHより小さい値であり、例えば、第1のシステム充電率閾値SOCLが60%、第2のシステム充電率閾値SOCHが80%程度の値である。
そして、SOC管理運転要否判断部81は、蓄電システム充電率SOCが第1のシステム充電率閾値SOCLを下回った場合は、充電が必要であると判断し、SOC管理運転モードを選択し、SOC管理運転フラグ=1とする。そうではない場合は、その前の状態のままとする。
また、SOC管理運転要否判断部81は、蓄電システム充電率SOCが第2のシステム充電率閾値SOCHを上回った場合は、充電が不要であると判断し、SOC管理運転モードを選択していた場合は、SOC管理運転モードを止め、SOC管理運転フラグ=0とする。そうではない場合は、その前の状態のままとする。そして、SOC管理運転フラグの0または1の値は乗算部83に入力される。
風力発電システム発電電力比較演算部82は、風力発電システム1の風力発電電力PWを予め設定された閾値PWminと比較し、風力発電電力PWが閾値PWmin以下の場合は、SOC管理ガスエンジン発電フラグ=1とし、風力発電電力PWが閾値PWminより大きい場合は、SOC管理ガスエンジン発電フラグ=0とし、SOC管理ガスエンジン発電フラグの0または1の値を乗算部83に入力する。
乗算部83は、SOC管理運転要否判断部81からのSOC管理運転フラグの値と、風力発電システム発電電力比較演算部82からのSOC管理ガスエンジン発電フラグの値を乗算して、乗算結果の値を選択部84に入力する。
選択部84では、乗算結果の値が1の場合、予め設定された所定値PEConstをガスエンジン発電電力指令値PECとしてGE_SCADA51に出力し、乗算結果が0の場合、平滑化フィルタ66から入力された値をガスエンジン発電電力指令値PECとしてGE_SCADA51に出力する。
蓄電システム3の充放電電力指令値PBCは、変動緩和電力PMitiから、実際にガスエンジン発電システム5が発電したガスエンジン発電電力PEを減算することで得られる。
なお、蓄電システム3の充放電電力指令PBCは、さらに、蓄電システム充電率SOC管理のために、SOC管理_充放電指令演算部70によって演算されるSOC管理_充放電電力指令値PBFを加算部73において加算させ、補正のための補正電力指令値PCを加算部74において加算させて、最終的な充放電電力指令値PBCとされる。
本実施形態では、ガスエンジン発電システム5の補機消費電力を蓄電システム3から供給する。ところで、風力発電システム1の風力発電電力PWがその補機消費電力を賄うだけの量より少ない場合は、蓄電システム3の蓄電システム充電率SOCがどんどん低下していくことになる。しかしながら、蓄電システム3の蓄電システム充電率SOCは、風力発電電力PWの変動緩和のために充放電制御を行うためには、目標SOC近傍の蓄電システム充電率SOCを維持しておく必要がある。そこで、SOC管理運転要否判断部81の出力するSOC管理運転フラグ=1と、風力発電システム発電電力比較演算部82の出力するSOC管理ガスエンジン発電フラグ=1との論理積条件(AND条件)で、蓄電システム充電率SOCを維持するためガスエンジン発電システム5のSOC管理運転モードが成立する。
ガスエンジン発電システム5のSOC管理運転では、ガスエンジン発電システム5は、所定値PEConstのガスエンジン発電電力指令値PECに従って発電運転される。SOC管理運転中のガスエンジン発電電力PEの一部は、蓄電システム3によって充電されるため、蓄電システム3の蓄電システム充電率SOCは上昇する。蓄電システム充電率SOCが第2のシステム充電率閾値SOCHを上回ると、SOC管理運転要否判断部81はガスエンジン発電システム5のSOC管理運転を停止する。
本実施形態の風力発電所100の動作例を、図12に示すが、風力発電システム1を構成する風力発電装置12の台数および発電出力(2MW機5台、合計出力10MW)、蓄電システム3を構成する蓄電装置32の台数および充放電容量(1MW機2台、合計2MW)、ガスエンジン発電システム5を構成するガスエンジン発電機52の台数および発電出力(1MW機5台、合計5MW)は、第1の実施形態と同一条件を想定している。
図12の(a)に示すように、風力発電システム1周辺の風速が小さく(5m/s以下程度)、風力発電システム1が発電していない状態を示している。ガスエンジン発電システム5は、補機電力による電力消費のため、図12の(b)に示すように、非発電運転状態において約0.2MWの受電状態となる。風力発電所100の電力系統8(図1参照)からの受電を防止するため、図12の(c)に示すように蓄電システム3はガスエンジン発電システム5の補機消費電力を放電動作によって補う。蓄電システム3の放電動作により、風力発電所100の発電所出力電力PSは0MWを維持でき、受電状態を回避できる。
しかしながら、図12の(d)に示すように蓄電システム3の放電動作により、蓄電システム充電率SOCが低下を続け、第1のシステム充電率閾値SOCLを下回ったとき(時刻Ta)、ガスエンジン発電システム5がSOC管理運転を実施(時刻Ta〜時刻Tc)し、蓄電システム3が充電されることにより、蓄電システム充電率SOCが上昇する。蓄電システム充電率SOCが、第2のシステム充電率閾値SOCHを上回ったとき(時刻Tc)、ガスエンジン発電システム5はSOC管理運転を停止し、待機モードに以降する。
ガスエンジン発電システム5は、待機状態から発電運転を行うまで一定の時間が必要なため、ガスエンジン発電電力指令値PECを受信した時刻Taから時刻Tbまでの間、無負荷運転を実施し、その後、時刻Tbから発電運転を開始する。
なお、ガスエンジン発電システム5は発電電力の急峻な応答ができないため、所定時間後に発電電力を0にし、待機状態に移行する。
以上記載したように、本実施形態によれば、風力発電所100は、ガスエンジン発電システム5が停止している場合でも、ガスエンジン発電システム5のガスエンジン53を補機に含まれる加熱ヒータ53bで第2の温度閾値TEH以上に蓄電システム3からの電力で維持しているので、風力発電電力PWの発電電力変動緩和のために何時ガスエンジン発電システム5の変動発電が必要になっても、直ちに起動して、発電運転状態に入った直後から変動発電が可能となり、即応性が向上する。
また、蓄電システム充電率SOCに応じて、ガスエンジン発電システム5がSOC管理運転をして蓄電システム3に充電するので、ガスエンジン発電システム5の補機消費電力による風力発電所100の電力系統8からの受電を防止でき、風力発電所100の運営事業者に課せられる受電電力料金を低減することができ、結果的に風力発電所100の導入を容易にする。
なお、統括コントローラ6の機能を、風力発電システム1、蓄電システム3、ガスエンジン発電システム5それぞれを制御するWT_SCADA11,BT_SCADA31,GE_SCADA51のいずれかに組み込むことで、第1の実施形態およびその変形例、ならびに第2の実施形態と同様の効果を実現することができる。
本発明の風力発電所100の運転方法は、ガスエンジン発電機の代わりに通常のディーゼルエンジン発電機、ガスタービン発電機を用いた風力発電所100にも適用可能である。また風力発電システム1の変わりに、太陽光発電システム、波力発電システムなどの発電電力が変動する電力源を構成要素にもつ発電所にも適用できる。
第1の実施形態の風力発電所の構成図である。 風力発電装置の1例を示す構成図である。 蓄電装置の構成図である。 ガスエンジン発電機の構成図である。 統括コントローラの機能構成ブロック図である。 図5における発電出力目標値演算部の機能説明図であり、(a)は、一次遅れ制御の説明図、(b)は、風力発電とガスエンジン発電の入力された合計発電電力(PW+PE)に対する発電出力目標値演算部から出力される合計発電目標値の説明図、(c)は、第2の実施形態における発電出力目標値演算部の一次遅れ制御の説明図である。 図5におけるSOC管理_充放電指令演算部の機構構成ブロック図である。 第1の実施形態における風力発電の発電制御方法の説明図であり、(a)は、風力発電電力の時間推移の説明図、(b)は、ガスエンジンの温度の時間推移の説明図、(c)は、ガスエンジン発電機によるガスエンジン発電電力の時間推移の説明図、(d)は、蓄電システムの充放電電力の時間推移の説明図、(e)は、蓄電システム充電率SOCの時間推移の説明図、(f)は、風力発電所全体の発電所出力電力の時間推移の説明図である。 発電所出力目標値演算部の第1の変形例の機能説明図であり、(a)は、リミッタ制御の説明図、(b)は、風力発電とガスエンジン発電の入力された合計発電電力(PW+PE)に対する発電出力目標値演算部から出力される合計発電目標値の説明図である。 発電所出力目標値演算部の第2の変形例の機能説明図である。 第2の実施形態における統括コントローラの機能構成ブロック図である。 第2の実施形態における風力発電の発電制御方法の説明図であり、(a)は、風力発電電力の時間推移の説明図、(b)は、ガスエンジン発電機によるガスエンジン発電電力の時間推移の説明図、(c)は、蓄電システムの充放電電力の時間推移の説明図、(d)は、蓄電システム充電率SOCの時間推移の説明図、(e)は、風力発電所全体の発電所出力電力の時間推移の説明図である。
符号の説明
1 風力発電システム
3 蓄電システム
5 ガスエンジン発電システム
6,6A,6B 統括コントローラ(統括制御手段)
7A,7B,7C,7D 電力計
8 電力系統
11 WT_SCADA
12 風力発電装置
13 ブレード
14 ピッチ角変更モータ
15 ナセル
16,54 発電機
17,18 電力変換器
19,35,55 変圧器
20,36,56 遮断器
21,57 コントローラ
22 励磁装置
23 風速計
31 BT_SCADA(システム充電率演算手段)
32 蓄電装置
33 二次電池
34 電力変換器(充電率検出手段)
37 コントローラ(充電率検出手段)
51 GE_SCADA
52,52’ ガスエンジン発電機
53 ガスエンジン
53a 補機
53b 加熱ヒータ
53c スイッチ
61 暖機運転要否判断部(第1の温度比較手段、第2の温度比較手段)
62 選択部
64,64A,64B、64C,64’,64A’,64B’,64C’ 発電所出力目標値演算部
65,69,70a,71 減算部
66 平滑化フィルタ
67,68,84 選択部
70 SOC管理_充放電指令演算部
70b 比例演算部
70c リミッタ
63,73,74 加算部
72 フィルタ
81 SOC管理運転要否判断部(システム充電率比較手段)
82 風力発電システム発電電力比較演算部
83 乗算部
100 風力発電所
PB 充放電電力
PE ガスエンジン発電電力
PS 発電所出力電力
C 補正電力指令値
PW 風力発電力
PLC 出力制限指令値
PBC 充放電電力指令値
PBF SOC管理_充放電電力指令値
PEC ガスエンジン発電電力指令値
PBCj 充放電電力指令値
PECk ガスエンジン発電電力指令値
PLCi 出力制限指令値
PSTrg 発電所出力電力目標値
PMiti 変動緩和電力
PWmin 閾値
S1 ピッチ角センサ
T 温度センサ(温度検出手段)
SOC 蓄電システム充電率
SOCj 充電率
SOCL 第1のシステム充電率閾値
SOCH 第2のシステム充電率閾値
TE ガスエンジン温度
TEk 温度
TEL 第1の温度閾値
TEH 第2の温度閾値

Claims (8)

  1. 1台以上の風力発電装置から構成された風力発電システム、1台以上の蓄電装置から構成された蓄電システム、および1台以上のガスエンジン発電機から構成されたガスエンジン発電システムを少なくとも含んで構成され、前記風力発電システムの発電電力の変動を前記蓄電システムの充放電電力と前記ガスエンジン発電システムの発電電力で緩和する風力発電所において、
    前記風力発電システム、前記蓄電システムおよび前記ガスエンジン発電システムの発電制御をする統括制御手段と、
    前記ガスエンジン発電機を構成するガスエンジンの温度を検出する温度検出手段と、を備え、
    前記統括制御手段は、
    前記ガスエンジンの温度を予め設定された第1の温度閾値と比較する第1の温度比較手段を有し、
    前記ガスエンジンの温度が前記第1の温度閾値を下回ったとき、当該第1の温度閾値を上回るように前記ガスエンジン発電機を予め設定した電力指令に従って発電運転させることを特徴とする風力発電所。
  2. 前記第1の温度閾値は、前記ガスエンジン発電機が発電運転するのに充分な温度であることを特徴とする請求項1に記載の風力発電所。
  3. 前記統括制御手段は、
    さらに、前記第1の温度閾値以上の値である、前記ガスエンジンの温度を予め設定された第2の温度閾値と比較する第2の温度比較手段を有し、
    前記ガスエンジンの温度が前記第2の温度閾値を上回ったとき、前記ガスエンジン発電機が前記風力発電システムの発電電力の変動を緩和するように発電運転モードを切替えることを特徴とする請求項2に記載の風力発電所。
  4. 前記統括制御手段が、前記風力発電システムの発電電力の変動と、前記ガスエンジン発電システムの発電電力の変動とを、前記蓄電システムにおける充放電により緩和制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の風力発電所。
  5. 1台以上の風力発電装置から構成された風力発電システム、1台以上の蓄電装置から構成された蓄電システム、および1台以上のガスエンジン発電機から構成されたガスエンジン発電システムを少なくとも含んで構成され、前記風力発電システムの発電電力の変動を前記蓄電システムの充放電電力と前記ガスエンジン発電システムの発電電力で緩和する風力発電所において、
    前記風力発電システム、前記蓄電システムおよび前記ガスエンジン発電システムの発電制御をする統括制御手段と、
    前記ガスエンジン発電機を構成するガスエンジンの温度を検出する温度検出手段と、
    前記ガスエンジンが停止しているとき、前記蓄電システムからの電力により前記ガスエンジンを所定温度に保温する加熱ヒータと、
    前記蓄電装置の充電率を検出する充電率検出手段と、を備え、
    前記統括制御手段は、前記蓄電装置の充電率が予め設定された所定の充電率範囲内に収まるように、前記検出された充電率に応じて前記ガスエンジン発電機を発電制御することを特徴とする風力発電所。
  6. 前記検出された蓄電装置の充電率を取りまとめて前記蓄電システムのシステム充電率に換算するシステム充電率演算手段と、
    前記演算されたシステム充電率と、予め設定された第1のシステム充電率閾値および第2のシステム充電率閾値と比較するシステム充電率比較手段と、を備え、
    前記統括制御手段は、
    前記システム充電率比較手段において前記蓄電システムの充電率が前記第1のシステム充電率閾値を下回ったと判定されたときは、前記ガスエンジン発電システムを予め設定した電力指令に従って発電運転させ、
    前記システム充電率比較手段において前記蓄電システムの充電率が前記第2のシステム充電率閾値を上回ったと判定されたときは、前記ガスエンジン発電システムが前記風力発電システムの発電電力変動を緩和するように制御することを特徴とする請求項5に記載の風力発電所。
  7. 1台以上の風力発電装置から構成された風力発電システム、1台以上の蓄電装置から構成された蓄電システム、および1台以上のガスエンジン発電機から構成されたガスエンジン発電システムを少なくとも含んで構成され、前記風力発電システム、前記蓄電システムおよび前記ガスエンジン発電システムの発電制御をする統括制御手段によって、前記風力発電システムの発電電力の変動を前記蓄電システムの充放電電力と前記ガスエンジン発電システムの発電電力で緩和する風力発電所における発電制御方法であって、
    前記統括制御手段において、
    前記ガスエンジン発電機を構成するガスエンジンの温度を検出する温度検出手段によって検出されたガスエンジンの温度を予め設定された第1の温度閾値と比較し、前記ガスエンジンの温度が前記第1の温度閾値を下回ったとき、前記ガスエンジン発電機を予め設定した電力指令に従って発電運転させ、
    その後、前記ガスエンジンの温度を予め設定された第2の温度閾値と比較し、前記ガスエンジンの温度が前記第2の温度閾値を上回ったとき、前記ガスエンジン発電機が前記風力発電システムの発電電力の変動を緩和するように発電運転モードを切替えることを特徴とする風力発電所における発電制御方法。
  8. 1台以上の風力発電装置から構成された風力発電システム、1台以上の蓄電装置から構成された蓄電システム、および1台以上のガスエンジン発電機から構成されたガスエンジン発電システムを少なくとも含んで構成され、前記風力発電システム、前記蓄電システムおよび前記ガスエンジン発電システムの発電制御をする統括制御手段によって、前記風力発電システムの発電電力の変動を前記蓄電システムの充放電電力と前記ガスエンジン発電システムの発電電力で緩和する風力発電所における発電制御方法であって、
    前記統括制御手段において、
    前記ガスエンジンが停止しているとき、前記ガスエンジンの温度を検出する温度検出手段により検知された温度にもとづいて、前記蓄電システムからの電力により加熱ヒータで前記ガスエンジンを所定温度に保温するとともに、
    前記蓄電装置の充電率を検出する充電率検出手段により検出された蓄電装置の充電率を取りまとめて前記蓄電システムのシステム充電率に換算し、
    前記演算されたシステム充電率と、予め設定された第1のシステム充電率閾値および第2のシステム充電率閾値と比較し、前記蓄電システムの充電率が前記第1のシステム充電率閾値を下回ったと判定されたときは、前記ガスエンジン発電システムを予め設定した電力指令に従って発電運転させ、
    前記蓄電システムの充電率が前記第2のシステム充電率閾値を上回ったと判定されたときは、前記ガスエンジン発電システムが前記風力発電システムの発電電力変動を緩和するように制御することを特徴とする風力発電所における発電制御方法。
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