JP2010148279A - 超音波モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】板状圧電素子及び振動子の製造が容易で、製品の性能ばらつきが小さい超音波モータを提供すること。
【解決手段】縦・捻じり振動方式の超音波モータに次の振動体を具備させる。前記振動体は、板状圧電素子4a21を積層して形成された圧電層部4a2と、積層方向に対して垂直な面と所定の角度θを為す第1の傾斜面を備え、該第1の傾斜面全面で前記圧電層部4a2の一方端面と接する第1の弾性体4a1と、前記第1の傾斜面と平行な第2の傾斜面を備え、該第2の傾斜面全面で前記圧電層部4a2の他端面と接する第2の弾性体4a1’と、を具備し、前記板状圧電素子4a21は、外形面に対して垂直を為す面に電極膜を備え、前記圧電層部4a2には前記板状圧電素子4a21の積層方向に沿って貫通孔Hが設けられ、前記第1の弾性体4a1及び前記第2の弾性体4a1’には前記傾斜面に対して前記角度θを為す面に対して垂直な方向に沿って貫通孔H’が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】縦・捻じり振動方式の超音波モータに次の振動体を具備させる。前記振動体は、板状圧電素子4a21を積層して形成された圧電層部4a2と、積層方向に対して垂直な面と所定の角度θを為す第1の傾斜面を備え、該第1の傾斜面全面で前記圧電層部4a2の一方端面と接する第1の弾性体4a1と、前記第1の傾斜面と平行な第2の傾斜面を備え、該第2の傾斜面全面で前記圧電層部4a2の他端面と接する第2の弾性体4a1’と、を具備し、前記板状圧電素子4a21は、外形面に対して垂直を為す面に電極膜を備え、前記圧電層部4a2には前記板状圧電素子4a21の積層方向に沿って貫通孔Hが設けられ、前記第1の弾性体4a1及び前記第2の弾性体4a1’には前記傾斜面に対して前記角度θを為す面に対して垂直な方向に沿って貫通孔H’が設けられている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば圧電素子等の電気機械変換素子を駆動源とする超音波振動子を用いた超音波モータに関する。
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして超音波モータが注目されている。超音波モータは、従来の電磁型モータに比べ以下のような利点を有している。
(利点1)ギヤなしで高トルクが得られる。
(利点2)電気OFF時に保持力がある。
(利点3)高分解能である。
(利点4)静粛性に富んでいる。
(利点5)磁気的ノイズを発生せず、また、ノイズの影響も受けない。
ところで、このような超音波モータに関連する技術として、例えば特許文献1には次のような技術が開示されている。
すなわち、特許文献1には、振動子と、この振動子の高さ方向の一部を占めるように挟持される状態で、かつ、振動子の高さ方向に対して所定の傾斜を持たせて配置されるとともに、厚み方向に分極され各々分割電極を備えた1枚若しくは複数枚の板状圧電素子と、前記振動子に押圧接触させた被駆動体と、を有する縦・捻り振動方式の超音波モータが開示されている。
換言すれば、特許文献1に開示されている超音波モータでは、厚み方向に分極され各々分割電極を備えた一枚もしくは複数枚の板状圧電素子が所定の傾斜を持つように配置されて圧電体が構成され、この圧電体は弾性体の傾斜に平行に且つ振動子の高さ方向の一部を占めるように弾性体に挟持された状態にされている。つまり、特許文献1に開示されている超音波モータは、弾性体と圧電体とを各々傾斜した平面同士で当て付けて組み立てる構成の超音波モータである。
特開平9−117168号公報
ところで、傾斜した平面同士を精度良く当て付けて位置決めしながら行う組み立て作業は、当然ながら非常に困難な作業となる。具体的には、特許文献1に開示されている超音波モータは、その製造上次のような困難性を有している。
第一に、板状圧電素子を、所定の傾斜角度を有する弾性体と平行に積層し且つ弾性体と一致する外形に構成する為に、電極膜形成面と外形面とが所定の傾斜角度を為すように形成する必要がある。この為、当然ながら板状圧電素子の製造難易度が高くなる。
第二に、振動子の形状を円柱形状とする場合には、板状圧電素子の電極膜形成面が楕円形状を呈するように構成する必要があり、この場合には更に板状圧電素子の製造難易度が高くなる。
第三に、弾性体の端面と圧電体(板状圧電素子)の端面とを高精度に位置決めしないと理想的な当てつけが実現しない。更に、弾性体の端面及び圧電体の端面それぞれの平面精度が良好である必要がある。この平面精度が悪い場合には、接触部の面積が変化して振動の伝達に支障が出てしまい性能のばらつきに繋がる。つまり、振動子の製造難易度が高くなる。
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、板状圧電素子及び振動子の製造が容易で、製品の性能ばらつきが小さい超音波モータを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の一態様による超音波モータは、圧電層の伸縮振動を利用して、前記圧電層を含む振動体に縦振動と捻じれ振動とを同時に励起し、前記振動体の端面に設けられた駆動子に楕円運動を励起させて、前記駆動子によりロータを回転させる超音波モータであって、前記振動体は、電極膜が形成された板状圧電素子を積層して形成された圧電層と、前記板状圧電素子の積層方向に対して垂直な面と所定の傾斜角度を為す第1の傾斜面を備え、該第1の傾斜面全面において前記圧電層の一方端面と接する第1の弾性体と、前記第1の傾斜面と平行な第2の傾斜面を備え、該第2の傾斜面全面において前記圧電層の他方端面と接する第2の弾性体と、を具備し、前記板状圧電素子は、その外形面及び前記積層方向に対して垂直を為す面に前記電極膜を備え、前記圧電層は、前記板状圧電素子の積層方向に沿って設けられた貫通孔を備え、前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体は、前記第1の傾斜面及び前記第2の傾斜面に対して前記所定の傾斜角度を為す面に対して垂直な方向に沿って設けられた貫通孔を備える、ことを特徴とする。
本発明によれば、板状圧電素子及び振動子の製造が容易で、製品の性能ばらつきが小さい超音波モータを提供することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る超音波モータについて図面を参照して説明する。図1は、本第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。図1において、一点鎖線を境に“A側”は超音波モータの側面図であり、一点鎖線を境に“B側”は超音波モータの側面断面図である。
以下、本発明の第1実施形態に係る超音波モータについて図面を参照して説明する。図1は、本第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。図1において、一点鎖線を境に“A側”は超音波モータの側面図であり、一点鎖線を境に“B側”は超音波モータの側面断面図である。
本第1実施形態に係る超音波モータは、押圧部2と、駆動子3と、振動体4と、中心軸シャフト6と、ロータ8と、を具備する縦・捻じり振動方式の超音波モータである。ここで、前記駆動子3、前記振動体4、及び前記ロータ8には前記中心軸シャフト6を挿入する為の貫通孔が設けられている。
前記押圧部2は、ロータ8の上部端面に配置されており、ナット2aと、バネ2cと、を有する。前記押圧部2は、中心軸シャフト6に設けられた螺子山(不図示)を用いてナット2aが回転させられてバネ2cが撓ませられることで、ロータ8を加圧する押圧力を生じる。
前記駆動子3は、振動体4の上部端面に接着固定されて設けられている。
前記振動体4は、圧電体部4aと、周波数調整部4bと、を有する。前記圧電体部4aと前記周波数調整部4bとは、前記中心軸シャフト6の挿入方向に関して一体となるように接着固定されている。
前記圧電体部4aの詳細は後述する。前記周波数調整部4bは、前記圧電体部4aの下部端面に例えば接着剤等により固定されており、後述する縦振動と捻り振動の共振周波数差を調整する部材である。具体的には、前記圧電体部4aと、前記周波数調整部4bと、の間に形成される溝位置により、縦振動と捻り振動の共振周波数差が変化する。なお、縦振動と捻り振動の共振周波数は、押圧部2により規定されるロータ8の接触圧力により一致させることができる。
前記中心軸シャフト6は、振動体4の縦振動の節部(前記周波数調整部4b)において例えば螺子等により固定される。また、前記中心軸シャフト6は、ロータ8及び押圧部2の中心位置決めの機能を担っている。
前記ロータ8は、押圧部2により加圧された状態で、駆動子3を介して振動体4により軸方向に回転自在に所定の加圧力(適正力)で押圧される。
以下、本第1実施形態に係る超音波モータの特徴部の一つである前記圧電体部4aの構成について詳細に説明する。図2は、圧電体部4aの一構成例を示す側面断面図である。
図2に示すように、圧電体部4aは、弾性体部4a1,4a1´と、圧電層部4a2と、を備える。図3は、圧電層部4a2の一構成例を示す図である。前記圧電層部4a2は、圧電的に分極された内部電極を備える板状圧電素子4a21が積層されて形成され、その上下端面を弾性体部4a1,4a1´により挟持されて構成されている。
詳細には、前記圧電層部4a2は、+極の内部電極が設けられた板状圧電素子4a21と、−極の内部電極が設けられた板状圧電素子4a21と、が交互に積層されて構成されている。このような積層化には接着剤を用いても良いし、一体焼成法によっても良い。
なお、図3においては貫通孔Hを断面円形形状の穴部として示しているが、断面四角形状等の他の断面形状の孔部として設けても勿論よい。
前記板状圧電素子4a21は、内部電極としての電極膜が形成された内部電極形成面Zと、外形面(側面)Yと、が直角を為すように形成されている。そして、この板状圧電素子4a21が、その厚み方向(垂直方向)に積層されて、前記圧電層部4a2が構成されている。ここで、前記圧電層部4a2は、前記板状圧電素子4a21の内部電極形成面Zにおける中央部に対応する位置に、当該板状圧電素子4a21を積層方向に貫通する貫通孔Hが設けられている。前記板状圧電素子4a21の材質は、例えば、厚さ100μmのチタン酸ジルコン酸鉛(所謂PZT)系圧電セラミックス素子である。
図4は、圧電層部4a2における内部電極及び外部電極の配置例を示す図である。前記板状圧電素子4a21における前記内部電極形成面Zには、駆動用内部電極14Aと、振動検出用内部電極14Bと、が設けられている。これら内部電極の材質としては、例えば、厚さ4μmの銀パラジウム合金を挙げることができる。
図4に示すように、前記駆動用内部電極14A及び振動検出用内部電極14Bの各々について、それぞれ同種の内部電極同士を互いに電気的に接続して短絡する外部電極として、+極の外部電極15aと、−極の外部電極15bと、が当該圧電層部4a2の外形面(側面)に設けられている。ここで、+極の外部電極15aと−極の外部電極15bとの間に高電圧が印加されることで、この高電圧が印加された外部電極に接続された内部電極が圧電的に活性化されて分極される。
上述したような構成を採り、前記駆動用内部電極14Aに適切な電圧を印加することで、振動体4には縦一次振動及び捻り二次振動が生じる。この縦振動と捻り振動とが合成された振動によって、振動体4とロータ8との接触部には楕円振動が生じる。この楕円振動によりロータ8が回転する。なお、当該超音波モータの駆動の為の電圧印加方法については公知の技術である為、ここでは説明を省略する。
ところで、前記弾性体部4a1,4a1´は、次のように形成されている。すなわち、前記圧電層部4a2との接触面と、当該弾性体部4a1,4a1´の外形面(側面)に対して垂直な面と、が所定の傾斜角度(図2に示すθ)を為すように形成されている。換言すれば、前記弾性体部4a1は、前記板状圧電素子4a21の積層方向に対して垂直な面と所定の傾斜角度を為す第1の傾斜面を備え、該第1の傾斜面全面において前記圧電層4a2の一方端面と接する。同様に、前記弾性体部4a1´は、前記第1の傾斜面と平行な第2の傾斜面を備え、該第2の傾斜面全面において前記圧電層部4a2の他方端面と接する。
例えば、円柱形状の弾性体を、前記圧電層部4a2と接する面と、外形面(側面)に対して垂直な面と、が所定の傾斜角度(図2に示すθ)を為すように切断して2つに分割することで、弾性体部4a1,4a1´を製造することができる。ここで、図1及び図2に示すように、前記圧電層部4a2と、前記弾性体部4a1,4a1´と、はその接触面同士が互いに平行を為し且つ当該接触面全面で接触するように当て付けられている。
ところで、図2乃至図4に示すように、前記弾性体部4a1,4a1´には、前記中心軸シャフト6を挿入する為の貫通孔H´が設けられている。同様に、前記圧電層部4a2には、前記中心軸シャフト6を挿入する為の貫通孔Hが設けられている。
換言すれば、前記圧電層部4a2には、前記板状圧電素子4a21の積層方向に沿って貫通孔Hが設けられている。また、前記弾性体部4a1,4a1´には、前記第1の傾斜面及び前記第2の傾斜面に対して前記所定の傾斜角度(図2に示すθ)を為す面に対して垂直な方向に沿って貫通孔H´が設けられている。
このように形成された貫通孔H,H´に挿入された前記中心軸シャフト6は、振動体4における縦振動の節の位置で例えば螺子等により固定されている。
上述したように前記弾性体部4a1は、前記圧電層部4a2との接触面と、当該弾性体部4a1の外形面(側面)に対して垂直な面と、が所定の傾斜角度(図2に示すθ)を為すように形成されている。これにより、前記中心軸シャフト6の軸方向(長手方向)と、圧電層部4a2に設けられた貫通孔H´の軸方向(圧電層部4a2の厚み方向)と、は平行を為さない。
そして、前記弾性体部4a1に設けられた貫通孔H´、及び前記圧電層部4a2に設けられた貫通孔Hに挿入された中心軸シャフト6は、圧電層部4a2における貫通孔H´を形成する面(内径面)に対して、図2、図5A及び図5Bに示すように互いに対向する2点(図2、図5A、及び図5Bに示す接点t)において接触する。この接点tにより、中心軸シャフト6と圧電層部4a2とが、圧電層部4a2の面上方向(図5A及び図5Bに矢印Cで示す方向)に関しての位置決めが為される。上述したように、本第1実施形態に係る超音波モータにおいては、前記圧電層部4a2の外径は、内径基準で決定されている。なお、図5Aは、貫通孔H´を断面楕円形状で圧電層部4a2に形成した場合の圧電層部4a2の上面図の一例を示す図である。図5Bは、貫通孔H´を断面正方形状で圧電層部4a2に形成した場合の圧電層部4a2の上面図の一例を示す図である。
以上説明したように、本第1実施形態によれば、板状圧電素子及び振動子の製造が容易で、製品の性能ばらつきが小さい超音波モータを提供することができる。具体的には、例えば次のような効果を奏する超音波モータを提供することができる。
・圧電層部4a2は、板状圧電素子4a21を厚み方向に垂直に積層することで製作可能であるため、従来の圧電体と比較して、加工・製造共に容易であり、結果的に低コストに繋がる。
・圧電層部4a2の形状は単純な円形形状もしくは方形形状である為、その上下端面の平行度、平面度を高精度に加工することが容易である(通常の加工工程のみで加工可能であり、特殊な治具等は不要である)。
・従来の圧電体と比較して容易に加工・製造可能な圧電層部4a2を使用し、弾性体部4a1の高さ方向の傾斜(外形面(側面)に対して所定の傾斜角度θで切断した切断面の傾斜)に合わせて傾けて組立を行うことで、組立工数を削減し且つ低コストを実現できる。
・圧電層部4a2の組み立ては内径基準で行うが、従来技術とは異なり中心軸シャフト6と圧電層部4a2の貫通孔Hとの接触面積が非常に小さい為、仮に中心軸シャフト6と圧電層部4a2とが接触しても振動体4の振動を阻害することが殆ど無く、接触に起因する異音も殆ど発生しない。
・圧電層部4a2の貫通孔Hの面精度を、軸方向の側面全てに渡って高精度にする必要が無くなる為、加工が容易となり低コストにも繋がる。
・圧電層部4a2を弾性体部4a1の高さ方向の傾斜に合わせて傾けて組立を行うことで、組立工数の削減且つ低コストを実現することができる。
本第1実施形態は上述した態様に限定されるものではなく、例えば次のような変形及び応用が可能である。
[第1変形例]
前記圧電層部4a2の形状及び前記圧電層部4a2に設ける貫通孔Hの形状を、例えば図6に示す形状にしてもよい。すなわち、断面円板形状の板状圧電素子4a21を積層して円柱形状の圧電層部4a2を構成してもよいし、断面正方形状の板状圧電素子4a21を積層して四角柱形状の圧電層部4a2を構成してもよい。また、貫通孔Hは、断面円形形状の貫通孔Hとしてもよいし、断面正方形状の貫通孔Hとしてもよい。
前記圧電層部4a2の形状及び前記圧電層部4a2に設ける貫通孔Hの形状を、例えば図6に示す形状にしてもよい。すなわち、断面円板形状の板状圧電素子4a21を積層して円柱形状の圧電層部4a2を構成してもよいし、断面正方形状の板状圧電素子4a21を積層して四角柱形状の圧電層部4a2を構成してもよい。また、貫通孔Hは、断面円形形状の貫通孔Hとしてもよいし、断面正方形状の貫通孔Hとしてもよい。
例えば、断面円板形状の板状圧電素子4a21を積層して円柱形状の圧電層部4a2を構成し且つ断面円形形状の貫通孔Hを設けた場合には、圧電層部4a2は図7に示すような外観となる。
[第2変形例]
前記圧電体部4aを構成する圧電層部4a2を複数設けてもよい。図8は、本第2変形例に係る超音波モータの圧電体部の一構成例を示す図である。すなわち、本第2変形例に係る超音波モータの圧電体部4aでは、例えば図8に示すように、圧電層部4a2,4a2´により弾性体部4a1´´を挟持し、これら圧電層部4a2,4a2´´を弾性体部4a1,4a1´で挟持する。
前記圧電体部4aを構成する圧電層部4a2を複数設けてもよい。図8は、本第2変形例に係る超音波モータの圧電体部の一構成例を示す図である。すなわち、本第2変形例に係る超音波モータの圧電体部4aでは、例えば図8に示すように、圧電層部4a2,4a2´により弾性体部4a1´´を挟持し、これら圧電層部4a2,4a2´´を弾性体部4a1,4a1´で挟持する。
詳細には、弾性体部4a1´´は、前記圧電層部4a2との接触面と、当該弾性体部4a1´´の外形面(側面)に対して垂直な面と、が所定の傾斜角度(図8に示すθ1)を為すように形成されている。例えば、円柱形状の弾性体を、前記圧電層部4a2と接する面と、外形面(側面)に対して垂直な面と、が所定の傾斜角度(図8に示すθ1)を為すように切断することで、弾性体部4a1´´を製造することができる。
ここで、前記圧電層部4a2と前記弾性体部4a1´´とは、その接触面同士が互いに平行を為し且つ当該接触面全面で接触するように当て付けられている。同様に、前記圧電層部4a2と、前記弾性体部4a1と、はその接触面同士が互いに平行を為し且つ全面で接触するように当て付けられている。
ところで、前記弾性体部4a1´´のうち前記4a2´と接触する面は、当該弾性体部4a1´´の外形面(側面)に対して垂直な面に対して所定の傾斜角度(図8に示すθ2)を為すように形成されている。同様に、弾性体部4a1´は、前記圧電層部4a2´との接触面と、当該弾性体部4a1´の外形面(側面)に対して垂直な面と、が所定の傾斜角度(図8に示すθ2)を為すように形成されている。例えば、円柱形状の弾性体を、前記圧電層部4a2´と接する面と、外形面(側面)に対して垂直な面と、が所定の傾斜角度(図8に示すθ2)を為すように切断することで製造することができる。
ここで、前記圧電層部4a2´と前記弾性体部4a1´とは、その接触面同士が互いに平行を為し且つ当該接触面全面で接触するように当て付けられている。同様に、前記圧電層部4a2´と、前記弾性体部4a1´´と、はその接触面同士が互いに平行を為し且つ全面で接触するように当て付けられている。
なお、前記θ1、θ2は、圧電体部4aの構成上最適化された傾斜角度である。
[第3変形例]
前記弾性体部4a1,4a1´に、図9及び図10に示すような位置決め印44を設けてもよい。この位置決め印44は、当該圧電体部4aの組み立て(弾性体部4a1,4a1´と圧電層部4a2との組み付け)時に利用する為の目印である。具体的には、前記弾性体部4a1,4a1´に例えばスリット加工や溝加工を施すことにより、前記位置決め印44を形成する。
前記弾性体部4a1,4a1´に、図9及び図10に示すような位置決め印44を設けてもよい。この位置決め印44は、当該圧電体部4aの組み立て(弾性体部4a1,4a1´と圧電層部4a2との組み付け)時に利用する為の目印である。具体的には、前記弾性体部4a1,4a1´に例えばスリット加工や溝加工を施すことにより、前記位置決め印44を形成する。
より詳細には、前記位置決め印44を、図9及び図10に示すように弾性体4a1,4a1´の長径軸上もしくは長手軸上に設けることで、当該弾性体4a1,4a1´と前記圧電層部4a2が備える外部電極中心との位置決め(図9及び図10に示す矢印L方向に関する位置決め)を容易にすることができる。
なお、上述したように円柱形状の弾性体を切断して弾性体4a1,4a1´を製造する場合には、当該切断前に前記位置決め印44を設けておくことが好ましい。
このように前記位置決め印44を設けることで、圧電層部4a2との位置決めを容易に行うことができ、且つ超音波モータの性能向上に寄与できる。また、圧電体部4aに断面円形形状の貫通孔Hを設ける場合には、前記位置決め印44の存在は特に有効となる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る超音波モータについて説明する。なお、説明の重複を避ける為、第1実施形態に係る超音波モータとの相違点を説明する。図11は、本第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。図11において、一点鎖線を境に“A側”は超音波モータの側面図であり、一点鎖線を境に“B側”は超音波モータの側面断面図である。図12A乃至図12Cは、本第2実施形態に係る超音波モータが具備する圧電層部4a2の一構成例を示す図である。
以下、本発明の第2実施形態に係る超音波モータについて説明する。なお、説明の重複を避ける為、第1実施形態に係る超音波モータとの相違点を説明する。図11は、本第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。図11において、一点鎖線を境に“A側”は超音波モータの側面図であり、一点鎖線を境に“B側”は超音波モータの側面断面図である。図12A乃至図12Cは、本第2実施形態に係る超音波モータが具備する圧電層部4a2の一構成例を示す図である。
本第2実施形態に係る超音波モータと第1実施形態に係る超音波モータとの主な相違点は、前記圧電体部4aが備える前記圧電層部4a2の構成である。
本第2実施形態に係る超音波モータでは、板状圧電素子4a21の積層工程において、図12Aに示すように矢印Sで示される積層方向とは垂直を為す方向に、板状圧電素子4a21を一定量ずつ同一の方向にずらして積層していく。そして、このように板状圧電素子4a21を積層して構成した圧電層部4a2の上部端面における中央領域に相当する位置に、断面円形形状もしくは断面方形形状で当該圧電層部4a2を貫通する貫通孔Hを設ける。
ここで、貫通孔Hの径(圧電層部4a2の内径)は、図12Cに示すように圧電層部4a2が実際に圧電体部4aに組み付けられた際に、当該圧電層部4a2が中心軸シャフト6と接触しないような径である。
以下、前記圧電層部4a2の外径と、前記弾性体部4a1,4a1´の外径と、の関係について、図13Aを参照して説明する。図13Aは、前記圧電層部4a2の外径と、前記弾性体部4a1,4a1´の外径と、の関係の一例を示す模式図である。
ここで、図13Aにおいて矢印Mで示す方向は、図11において矢印Mで示す方向と同一の方向である。また、図13Aにおいて矢印Nで示す方向は、矢印Mで示す方向と直角を為す方向である。
例えば図13Aに示すように、矢印Mで示す方向における一方端Dにおいて、圧電層部4aの外形面と弾性体部4a1,4a1´の外形面とを一致させる。なお、圧電層部4a2の外径は、弾性体部4a1,4a1´の外径よりも小さい外径とする。
このような構成を採ることにより、矢印Mで示す方向及び矢印Nで示す方向に関して、圧電層部4aの外形面が弾性体部4a1,4a1´の外形面よりも突出することが無い。つまり、圧電層部4a2を外径基準で構成する。
なお、例えば図13Bに示すように圧電体部4a(弾性体部4a1,4a1´、及び圧電層部4a2)を断面正方形状に構成した場合にも、本第2実施形態を適用できることは勿論である。
以上説明したように、本第2実施形態によれば、第1実施に係る超音波モータと同様の効果を奏する上に、例えば次のような効果を奏する超音波モータを提供することができる。
・圧電層部4a2に設ける貫通孔Hは、板状圧電素子4a21の上部端面に対して垂直に形成すればよい為、当該貫通孔Hの形成加工が容易となる。
・圧電体部4aの外径を基準として組立を行うことを前提に、圧電層部4a2の内径寸法及び公差を規定することで、中心軸シャフト6と圧電層部4a2とが接触することが無くなる。
・圧電層部4a2の貫通孔H(内径)は、単純に中心軸シャフト6と接触しない程度に充分大きな径とすれば良い為、内径精度及び公差に高精度が求められない。つまり、製造が容易となる。
・中心軸シャフト6と圧電層部4a2との接触がなくなることで、圧電体部4aの振動が阻害されない。つまり、超音波モータの効率が向上する。
・中心軸シャフト6と圧電層部4a2との接触がなくなることで、当該接触による異音が発生しない。
・外形基準で圧電層部4a2と弾性体部4a1,4a1´とを形成し、且つ圧電層部4a2の内径と中心軸シャフト6とが接触しないように圧電層部4a2に貫通孔Hを設けている為、中心軸シャフト6に圧電層部4a2から振動が伝導しない圧電体部4aが実現する。
以上、第1実施形態及び第2実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。例えば、次のような応用例を挙げることができる。
[応用例]
前記第1実施形態に係る超音波モータと、本応用例に係る超音波モータと、の相違点は次の点である。
前記第1実施形態に係る超音波モータと、本応用例に係る超音波モータと、の相違点は次の点である。
・前記周波数調整部4bを設けず、代わりに前記弾性体部4a1´に周波数調整の為の溝部を設ける。換言すれば、前記周波数調整部4bと前記弾性体部4a1´とを一体的に形成する。
・前記弾性体部4a1´に貫通孔H´を設けず、代わりに前記中心軸シャフト6を挿入する為の貫通孔が形成された軸部を設ける。
・前記弾性体部4a1´の前記軸部の先端近傍には螺子山を設ける。
・前記中心軸シャフト6の両端近傍には螺子山を設ける。
・前記弾性体部4a1´の軸部に形成した貫通孔に中心軸シャフト6を挿入し、且つ当該中心軸シャフト6に設けた螺子山を利用して、当該中心軸シャフト6を前記弾性体部4a1´に対して螺子固定する。なお、この螺子固定は、縦振動の節近傍において行う。
・前記弾性体部4a´の軸部に対して、圧電層部4a2、弾性体部4a1、及びナットを挿入し、該ナットを当該軸部に設けた螺子山に締め込んで、前記圧電層部4a2及び前記弾性体部4a1を圧縮固定することで、それらを弾性体部4a1´と一体的に固定する。
・前記ナットの上面には前記駆動子3を接着固定する。
・前記弾性体部4a1´の軸部に挿入した前記中心軸シャフト6に対して、ロータ8、バネ2c、及びバネナットを挿入し、該バネナットを当該中心軸シャフト6に設けた螺子山に締め込んでバネ2cを圧縮してロータ8を駆動子3に押圧する。
本応用例によれば、前記第1実施形態に係る超音波モータと同様の効果を奏する上に、次の効果を奏する超音波モータを提供することができる。
すなわち、本応用例に係る超音波モータによれば、接着剤を用いることなくナットの締め込みにより圧電層部4a2及び弾性体部4a1,4a1´を固定するので、組み立て容易性をより向上させることができる。また、前記バネナットによる圧縮力を調整することで、当該超音波モータの性能の更なる向上を図ることが可能となる。
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示する複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
H,H´…貫通孔、 2…押圧部、 2a…ナット、 2c…バネ、 3…駆動子、 4…振動体、 4a…圧電体部、 4b…周波数調整部、 4a1,4a1´…弾性体部、 4a2…圧電層部、 4a21…板状圧電素子、 6…中心軸シャフト、 8…ロータ、 14A…駆動用内部電極、 14a…振動検出用内部電極、 15a,15b…外部電極、 44…位置決め印。
Claims (6)
- 圧電層の伸縮振動を利用して、前記圧電層を含む振動体に縦振動と捻じれ振動とを同時に励起し、前記振動体の端面に設けられた駆動子に楕円運動を励起させて、前記駆動子によりロータを回転させる超音波モータであって、
前記振動体は、
電極膜が形成された板状圧電素子を積層して形成された圧電層と、
前記板状圧電素子の積層方向に対して垂直な面と所定の傾斜角度を為す第1の傾斜面を備え、該第1の傾斜面全面において前記圧電層の一方端面と接する第1の弾性体と、
前記第1の傾斜面と平行な第2の傾斜面を備え、該第2の傾斜面全面において前記圧電層の他方端面と接する第2の弾性体と、
を具備し、
前記板状圧電素子は、その外形面及び前記積層方向に対して垂直を為す面に前記電極膜を備え、
前記圧電層は、前記板状圧電素子の積層方向に沿って設けられた貫通孔を備え、
前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体は、前記第1の傾斜面及び前記第2の傾斜面に対して前記所定の傾斜角度を為す面に対して垂直な方向に沿って設けられた貫通孔を備える、
ことを特徴とする超音波モータ。 - 前記第1の弾性体、前記第2の弾性体、及び前記圧電層に設けられた貫通孔には、前記ロータ及び前記駆動子と、当該振動体と、の中心位置決めをする中心軸シャフトが挿入され、
前記圧電層は、前記圧電層に設けられた前記貫通孔を形成する内径と、前記中心軸シャフトと、の接触により位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。 - 前記板状圧電素子は、前記積層方向とは垂直を為す方向に一定量ずつ同一の方向にずらして積層され、
前記第1の弾性体、前記第2の弾性体、及び前記圧電層に形成された貫通孔には、前記ロータ及び前記駆動子と、前記振動体と、の中心位置決めをする中心軸シャフトが挿入され、
前記圧電層に設けられた前記貫通孔を形成する内径は、前記中心軸シャフトと接触せず、且つ、前記圧電層の外形面と、前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体の外形面と、は少なくとも一部が一致するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。 - 前記第1の弾性体及び前記第2の弾性体は、前記第1の傾斜面及び前記第2の傾斜面に対して前記所定の傾斜角度を為す面に対して垂直な方向に沿って外形面に設けられたスリット部又は溝部を備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
- 前記第1の弾性体および前記第2の弾性体は、円柱形状の弾性体をその上下端面に対して前記所定の傾斜角度を為す角度で切断されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
- 前記板状圧電素子は断面円形形状または断面方形形状であることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
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