JP2010147854A - 圧電振動子、圧電デバイス - Google Patents

圧電振動子、圧電デバイス Download PDF

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幸弘 利根川
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Abstract

【課題】曲げ特性に優れ、かつうねりを抑制した圧電振動子、圧電デバイスを提供する。
【解決手段】可撓性を有する矩形の基板14上に圧電振動片24を搭載し、前記基板14下面に前記基板14の長手方向にストライプ状に並べられて設けられた複数の端子を有する圧電振動子10であって、前記複数の端子は、前記基板14の長手方向の両端側にそれぞれ設けられた第1端子28と、第2端子30と、前記第1端子28及び前記第2端子30との間に設けられ、前記基板14の形成時に生じるうねりを抑制する第3端子32であり、前記第1端子28、前記第2端子30、及び前記第3端子32のうちいずれかを前記圧電振動片24に接続してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、パッケージに圧電振動片を収容した圧電振動子及び圧電デバイスに関し、特に低背化に適した技術に関する。
圧電振動子は、雰囲気温度の変化に伴う気圧の変化や空気そのものの抵抗が圧電振動片の発振に与える影響を避けるため、圧電振動片を収容したパッケージの内部を真空にして封止した構造を有している(特許文献1参照)。
特開2004−357178号公報
一方、このような圧電振動子をICカードのような薄型の筐体に搭載することが提案され、そのため圧電振動子の低背化が要求されている。圧電振動子を低背化させるためには、基板を薄くして、かつ撓ませることが可能となることが要求される。例えば基板の中央領域に対して両端が下方に撓むように曲がった場合、曲げの応力は基板の中央、または基板下面の実装端子との境界部分に圧縮応力が集中して基板が破損する虞がある。
ところで、基板はセラミック等を焼成することにより得られるが、基板の反りを極力抑える為に、焼成前に例えばプレスなどの手法を用いてその平坦化を行った上で焼成する。このとき、端子形成場所の位置関係から基板の端子が形成されていない領域でうねりを発生させることになる。このうねりは端子が形成された側が凸形状、圧電振動片を搭載する側が凹形状となる。
図5にうねりが発生した基板上に支持腕を有する音叉型の圧電振動片を搭載した場合の模式図を示す。図5(a)は平面図、図5(b)は側面図である。音叉型の圧電振動片104は、基部106と、基部106から互いに平行に延出した一対の振動腕108(溝部108aあり)と、基部106の両側面から延出し、振動腕108と同一方向に延びた一対の支持腕110から形成される。圧電振動片104は、支持腕110の先端領域110aを支点として接着剤112により、下面に端子102を有する基板100に固定することになる。このように、うねりが発生した基板100上に上述の圧電振動片104を搭載すると、圧電振動片104の振動腕108、及び基部106が基板100と接触する虞があり、特に低背化を図った圧電振動子においては、圧電振動片と基板との隙間が狭くなるため、上述の虞がより顕著に表れ、場合によっては発振不能に陥るものと考えられる。
特許文献1には圧電振動片を搭載したパッケージの裏面における長さ方向の両端側に少なくとも、前記圧電振動片と電気的に接続した実装端子を有する表面実装用の圧電振動子において、前記長さ方向における中央部であって幅方向の両側に補強端子を設け、前記実装端子と前記補強端子とを電気的に接続した構成が開示されている。このような構成とすることにより、実装端子の境界のみならず補強端子の境界に応力が分散するため、基板の許容曲げ応力が向上する。しかし、上記構成においては、基板形成時に、基板の中央領域にうねりを発生させ圧電振動片と基板とが接触する虞がある。
そこで、本発明は上記問題点に着目し、低背化を実現しつつ、撓ませることが可能でありながら、圧電振動片と基板との接触を回避する圧電振動子及び圧電デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]可撓性を有する矩形の基板上に圧電振動片を搭載し、前記基板下面に前記基板の長手方向にストライプ状に並べられて設けられた複数の端子を有する圧電振動子であって、前記複数の端子は、前記基板の長手方向の両端側にそれぞれ設けられた第1端子と、第2端子と、前記第1端子及び前記第2端子との間に設けられた第3端子であることを特徴とする圧電振動子。
基板、第1端子、第2端子、及び第3端子をプレス焼成により同時に形成する場合、基板の中央領域に形成された第3端子が基板のうねりを抑制するため、基板と圧電振動片との接触を回避して、圧電振動片の基板への実装時の歩留まりの低下を抑制でき、特に支持腕を有する音叉型の圧電振動片を搭載する場合は、うねりの発生を最も抑制する領域を支点とすることができるためその効果が顕著となる。また、基板の中央領域が第3端子により補強されるので、前記中央領域に曲げ応力が集中することを回避し、中央領域から破損することを防止できる。そして上記構成の場合、応力が集中する部分は各端子の基板の短辺に平行な6つの境界となるので、各境界当たりに掛かる応力を緩和して、基板の許容曲げ応力を高めることができる。
[適用例2]前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子のうちいずれかを前記圧電振動片に接続したことを特徴とする適用例1に記載の圧電振動子。
低背化した圧電振動子の場合、圧電振動片とパッケージ若しくはリッドとの間で寄生容量が発生し、共振周波数等の特性が変動することが懸念される。一方、上記構成の場合、第1端子、第2端子、及び第3端子のうち圧電振動片に接続しない端子はダミー端子となっている。そこで、前記ダミー端子を接地することにより、パッケージ及びリッドが接地され寄生容量の発生を防ぐことができ、低背化しつつ周波数特性等を安定させた圧電振動子となる。
[適用例3]前記第1端子の前記第3端子に対向する境界は、前記第1端子にめり込む弓形の形状を有し、前記第2端子の前記第3端子に対向する境界は、前記第2端子にめり込む弓形の形状を有することを特徴とする適用例1または2に記載の圧電振動子。
圧電振動子の長手方向に曲げ応力を与えた場合、第1端子及び第2端子の基板の長辺方向の単位長さ当たりの微小応力は、各端子の短辺方向の中央領域が最も強くなり、前記中央領域から離れるほど減少するように分布する。そして、第1端子及び第2端子の基板の短辺と対向する境界には前記単位長さ当たりの微小応力を基板の長辺方向に積分した応力が集中するため、各端子の短辺と対向する境界の中央部分は最も強い応力を受けることになる。よって上記構成とすることにより、前記中央部分に係る各端子の幅を狭くすることで、前記中央部分がうける応力を減少させ、その減少分を前記中央部分から離れた領域にそれぞれ拡散させることができるため、前記中央部分に対する応力の集中を抑制し、許容曲げ応力を高めた圧電振動子となる。
[適用例4]前記第3端子は、矩形に形成されたことを特徴とする適用例1乃至3のいずれか1例に記載の圧電振動子。
基板の長手方向に線対称となる曲げ応力を与えた場合、基板の第3端子が形成された領域の応力分布の等高線は基板の短辺に平行なものとなる。よって第3端子を矩形に形成することにより前記等高線と第3端子の境界が平行となるため、前記境界全域に均一に応力がかかることになり、前記境界の特定の箇所に応力が集中することを防止して、基板の許容曲げ応力を高めることができる。
[適用例5]前記第3端子は、前記第3端子の前記基板の短辺に対向する一対の境界を曲線とする樽型の形状となっていることを特徴とする適用例1乃至4のいずれか1例に記載の圧電振動子。
基板の第3端子の中央領域を中心とする点状の応力を与えた場合、基板の第3端子の形成された領域において、その応力分布の等高線は同心円状、または基板の長手方向を短軸とする同心の楕円形状、若しくはこれらと類似した形状となる。よって第3端子を樽型として所定の曲率を与えることにより、第3端子の境界が前記等高線に倣った形状となるため、前記境界全域に均一に応力がかかることになり、前記境界の特定の箇所に応力が集中することを防止して、基板の許容曲げ応力を高めることができる。
[適用例6]前記基板の前記第3端子が形成される領域には封止孔が形成されたことを特徴とする適用例1乃至5のいずれか1例に記載の圧電振動子。
圧電振動子において、圧電振動片をパッケージ中に真空封止するための封止孔を基板に形成する場合がある。しかし封止孔を基板に形成した状態で基板に曲げ応力を与えると、封止孔に応力が集中して基板が破損し、真空封止が破られる虞がある。そこで上記構成とすることで、封止孔及びその周辺が第3基板により補強されるため封止孔に対する応力の集中を防止して、基板の許容曲げ応力を高めるとともに、真空封止を維持することができる。
[適用例7]適用例1乃至6のいずれか1例に記載の圧電振動子に、前記圧電振動子を発振させる発振回路を接続して構成されたことを特徴とする圧電デバイス。
これにより、低背化しつつ、許容曲げ応力を高め、圧電振動片の基板への実装時の歩留まりの低下を抑制した圧電デバイスを構築できる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
第1実施形態に係る圧電振動子を図1に示す。図1(a)は真上から見た模式図、図1(b)は側面から見た模式図、図1(c)は底面から見た模式図である。図1に示すように圧電振動子10は、可撓性を有する矩形のパッケージ12を構成する基板14上に圧電振動片24を搭載し、前記基板14下面に前記基板14の長手方向にストライプ状に並べられて設けられた複数の端子を有する圧電振動子10であって、前記複数の端子は、前記基板14の長手方向の両端側にそれぞれ設けられた第1端子28と、第2端子30と、前記第1端子28及び前記第2端子30との間に設けられ、前記基板14の形成時に生じる前記基板14のうねりを抑制する第3端子32であり、前記第1端子28、前記第2端子30、及び前記第3端子32のうちいずれかを前記圧電振動片24に接続した構成である。
パッケージ12は、下から順に基板14(第1基板16、第2基板18)、パッケージ枠20、リッド22を積層して形成され、パッケージ12より形成される内部空間に圧電振動片24を収容して真空封止している。
第1基板16及び第2基板18は平面視して、その外形を同一とする矩形の基板である。そして第1基板16及び第2基板18の側面には半田付け用のキャスタレーションとなる切欠き部16a、18aが平面視して互いに重なる位置に形成されている。本実施形態においては、第1基板16及び第2基板18の4つの角及び2つの長辺の中央に形成されている。また第1基板16及び第2基板18の中央領域には、平面視して互いに重なり連通する封止孔16b、18bが形成されている。第1基板16の封止孔16bは、第2基板18の封止孔18bより内径が大きく設計されている。そして第1基板16の封止孔16bには封止材26が充填される。封止材26は、例えば半田ボールやAu−Ge合金ボール等の金属ボールが用いられ、金属ボールを第1基板16の封止孔16bに挿入し、加熱して溶融させたのち冷却させて固めて第1基板16の封止孔16bを封止することによりパッケージ12内部の真空封止が可能となる。
第1基板16の下面の長手方向の両側には、第1端子28、及び第2端子30が形成され、第1基板16の下面の中央領域に第3端子32が形成されている。また第1基板16には貫通電極28a、貫通電極30aが形成されている。貫通電28aの下端は第1端子28に接続され、その上端は第1基板16の上端に露出している。貫通電極30aの下端は第2端子30に接続され、その上端は第1基板16の上端に露出している。なお第3端子32は封止孔16b、18bを覆うように形成されている。よって基板14にはその一面(下面)に第1端子28、第2端子30、第3端子32が設けられ、その反対面に圧電振動片24が導電性接着剤40により固定されることになる。
図1には図示されてはいないが、封止孔16bの内壁にまで伸びて形成されている。このように前記内壁をメタライズすることにより、金属である封止材26との濡れ性を向上させることができ、密着性の向上、即ち、パッケージ12の気密信頼性を向上させることができる。そして基板14に曲げ応力を与えた場合、基板上の封止孔16aの周りに応力が集中しやすくなるが、このように第3端子32を封止孔16a内部にまで形成することにより、応力が第3端子32に分散され、許容曲げ応力の低下を防止できる。
さらに第1端子28及び第2端子30は、図1において図示されてはいないが、それぞれ切欠き部16a、18aの内壁にまで延びて形成される。これにより半田付けの作業効率を高め、機械的強度を高めるとともに、圧電振動子10を実装する実装機器側の電極(不図示)との電気的接続を確実にして半田付けの信頼性を高めることができる。
第2基板18の所定位置には貫通電極28b、貫通電極30bがそれぞれ形成されている。貫通電極28bの下端は第2基板18の下端に露出して貫通電極28aと接続されている。貫通電極30bの下端は第2基板18の下端に露出して貫通電極30aと接続されている。また第2基板18の圧電振動片24の支持腕37の先端領域37aと接続する位置に接続電極28c、接続電極30cが形成されている。さらに第2基板18の上面には第2接続電極28d及び第2接続電極30dが形成されている。第2接続電極28dは、一端が貫通電極28bに接続され、他端が接続電極28cに接続されている。そして第2接続電極30dは、一端が貫通電極30bに接続され、他端が接続電極30cと接続されている。これにより接続電極28cは貫通電極28a、貫通電極28b、及び第2接続電極28dを介して第1端子28に電気的に接続され、接続電極30cは、貫通電極30a、貫通電極30b、及び第2接続電極30dを介して第2端子30と電気的に接続される。本実施形態においては、貫通電極28a、貫通電極28bが第1端子28側に形成され、貫通電極30a、貫通電極30bが第2端子30側に形成されているが、各端子に接続する貫通電極を互いに入れ替えて形成してもよい。さらに本実施形態では第1端子28及び第2端子30を接続電極と接続する能動端子としているが、第3端子32を能動端子とする他の組み合わせでもよい。
ここで第1基板16、第2基板18及びパッケージ枠20は、例えば、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを用いて形成した焼結体であり、リッド22は前記焼結体、金属、ガラス等が用いられる。また第1端子28、第2端子30、第3端子32、貫通電極28a、貫通電極28b、貫通電極30a、貫通電極30b、接続電極28c、接続電極30c、第2接続電極28d、及び第2接続電極30dはタングステン等のペースト材料を焼結させて形成させたものであり、さらに第1端子28、第2端子30、第3端子32、接続電極28c、第2接続電極28d、接続電極30c、第2接続電極30dはAu等のメッキが施されている。なお、第1基板16、第2基板18、第1端子28、第2端子30、第3端子32、貫通電極28a、貫通電極28b、貫通電極30a、貫通電極30b、接続電極28c、第2接続電極28d、接続電極30c、及び第2接続電極30dは同時に焼結させることができ、第1基板16、第2基板18、パッケージ枠20を積層した状態で焼結させて一体構造とすることができる。なお、第1基板16、第2基板18、及びパッケージ枠20を形成するセラミックグリーンシートの厚みを薄くすることにより、基板14の厚みを薄くするとともに基板14全体が可撓性を有することになる。なお第1端子28、第2端子30、及び第3端子32は、基板14の下面でストライプ状に配置されていれば良く、第1端子28、第2端子30は基板14の長手方向の端部まで覆うように形成しなくても良い。
図2に基板を焼結して形成する際の模式図を示す。従来技術でも述べたように、基板14及び各端子は図2に示すように上下からプレス器15で圧縮した状態で焼結させる。そして図2(a)のように、第1端子28及び第2端子30を形成し、第3端子32を形成しない場合は、圧縮時または焼結時に基板14が大きく湾曲し、うねりが発生した状態で基板14や各端子が焼結されることになる。このような基板14上に圧電振動片24を搭載すると、基板14のうねりによって形成された凹部14aに後述の圧電振動片24の支持腕37の先端領域37aを導電性接着剤40により接着して圧電振動片24を固定することになるので、圧電振動片24の基部34、及び振動腕36が基板14に接触する虞がある(図5参照)。一方、図2(b)に示す本実施形態のように、第1端子28と第2端子30との間に第3端子32を設けることにより、第3端子32の両端に凹部14bが形成される可能性があるが、その深さは凹部14aよりも小さくなるため、基板14に現れるうねりが抑制されるため、圧電振動片24の基部34及び振動腕36の基板14との接触を回避して、圧電振動片24の実装時の歩留まりの低下を抑制できる。なお、このうねりが発生するか否かは、基板14の厚み、基板材料(セラミック)の強度、基板14の下面に形成される第1端子28と第2端子30との距離等に依存する。
圧電振動片24は、水晶や、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の圧電材料を用い、音叉型で支持腕を有する外形の圧電振動片を用いている。圧電振動片24は、基部34と、基部34から互いに平行に延出した一対の振動腕36、基部34の両側面から延出し、振動腕36と同一方向に延びた一対の支持腕37から形成される。振動腕36の基板14側及びリッド22側には、振動特性向上のための溝部38が形成されている。さらに振動腕36の先端部の基板14側及びリッド22側には、周波数調整用の先端錘層(不図示)が形成されている。また圧電振動片24において、溝部38の内面及び振動腕36の側面には励振電極(不図示)が形成され、励振電極(不図示)と接続され、支持腕37の先端領域37aにまで延びる引出電極(不図示)が形成されている。引出電極(不図示)が導電性接着剤40を介して基板14上の接続電極28c、接続電極30cと接続されることにより、圧電振動片24は、支持腕37の先端領域37aを支点とした状態で基板14上に固着されるとともに、圧電振動片24の励振電極(不図示)は基板14下面にある第1端子28及び第2端子30と電気的に接続される。この先端領域37aが平面視して第3端子32と重なる位置にある場合は、上述のうねりの影響を受けることはなく、また先端領域37aが平面視して凹部14bに重なる位置にある場合も凹部14bの深さは小さいため、いずれの場合においても圧電振動片24が基板14に当接することを回避することができる。導電性接着剤40は、例えば、シリコーン系導電性接着剤(ヤング率1×10〜5×1MPa)、或いはポリイミド系接着剤(ヤング率1×10〜1×10MPa)などの、硬化後に柔軟性を有するものが望ましい。これは、この柔軟性が外部からの衝撃力を吸収する効果を有しているからであり、この衝撃力の吸収により圧電振動子10の破損を防止することが可能となる。
圧電振動片24を上述の態様でパッケージ12に収容し、パッケージ12上面とリッド22をシーム溶接等により、接合し、封止孔16b、18bからパッケージ12内部を真空引きしながら封止材26となる金属ボールを封止孔16bに挿入して加熱溶融したのち冷却して固めることにより、圧電振動片24を真空封止した圧電振動子10が形成される。
圧電振動子10に基板14の長手方向の中心で短辺方向に平行な線状の荷重分布を持つ荷重を与えた場合、基板14の下面において、長手方向(長辺方向)に線対称となる応力がかかることになり、理想的には、応力の等高線は基板14の短辺に平行な線となる。このような曲げ応力は、例えば圧電振動子10を搭載したICカードを曲げた場合に発生すると考えられる。一般に基板14を形成するセラミック材料と第1端子28等を形成する金属材料とではヤング率が異なるため、応力に対する歪みに差が生じる。よって、特に各端子の基板14の短辺に平行な境界、すなわち、基板14の長手方向の両端側にある第1端子28の境界28e及び第2端子30の境界30e、基板14の長手方向の中央側にある第1端子28の境界28f及び第2端子30の境界30f、そして第3端子の基板14の短辺に平行な一対の境界32aで示される、6つの境界に応力が集中するものと考えられる。しかし6つの境界に応力が集中するため、個々の境界に対する最大応力を抑制することができる。さらに、第1端子28、第2端子30、及び第3端子32は基板14の短辺方向にストライプ状に形成されているため各境界全域で均等に応力を受けることになり応力の集中を抑制できる。
第2実施形態に係る圧電振動子50を図3に示す。図3は圧電振動子50を底面からみた模式図である。第2実施形態に係る圧電振動子50は、基本的形態は第1実施形態と共通するが、第3端子56は、第3端子56の基板14の短辺に対向する一対の境界56aを曲線とする樽型の形状となっており、第1端子52の第3端子56に対向する境界、すなわち内側の境界52aは、第1端子52にめり込む弓形の形状を有し、第2端子54の第3端子56に対向する境界、即ち内側の境界54aは、第2端子54にめり込む弓形の形状を有している。第1実施形態において各端子は、応力の変化が基板14の長辺方向のみで、その等高線が基板14の短辺に平行な線となっている場合を前提としたが、第2実施形態においては、第3端子56は、応力の等高線が基板の中央を中心として、同心円状、または基板の長辺方向(長手方向)を短軸とする同心の楕円状、またはこれらに類似した形状の応力分布となる場合に最適の形状となっている。このような応力分布を与えるためには、基板の中心にて1点で基板14の厚み方向に曲げ応力を与える必要がある。このような曲げ応力は、例えば、圧電振動子50を搭載したICカードを指やペン先等で強く押した場合等に発生するものと考えられる。このように、第3端子56の境界を応力の等高線に倣った形状とすることにより、応力が境界全域で均等に応力を受けることになるので、応力の集中を抑制することができる。さらに各境界の長さは基板14の短辺の長さよりも長くなるので、第1実施形態の場合よりも単位長さ当たりの応力も小さくなるので、許容曲げ応力を高めることができる。
一方、第1端子52及び第2端子54においては、上述のように点状の荷重を与えた場合のみならず、第1実施形態で述べたような基板の短辺に平行な線状の荷重分布をもつ荷重を与えた場合であっても、第1端子52及び第2端子54の基板14の短辺に対向する境界、即ち外側の境界52b、54bの中央部分52c、54cに最も応力が集中する分布が発生することが発明者によって見出されている。これは、圧電振動子50の長手方向に曲げ応力を与えた場合、第1端子52及び第2端子54の基板14の長辺方向の単位長さ当たりの微小応力は、各端子の短辺方向の中央領域が最も強くなり、前記中央領域から離れるほど減少するように分布するものと考えられるからである。よって、第1端子52及び第2端子54の基板14の短辺と対向する境界、すなわち内側の境界52b、54bには前記単位長さ当たりの微小応力を基板14の長辺方向に積分した応力が集中するため、中央部分52c、54cは最も強い応力を受けることになる。したがって、本実施形態のように前記中央部分52c、54cにおける各端子の基板14の長辺方向の幅を狭くすることで、前記中央部分52cが受ける応力を減少させ、その減少分を前記中央部分52c、54cから離れた領域(境界52b、54b)に拡散させることができるため、前記中央部分52c、54cに対する応力の集中を抑制し、許容曲げ応力を高めることができる。
第1実施形態の圧電振動子10、及び第2実施形態の圧電振動子50を使用して、圧電デバイス(発振器、センサ)を構成することができる。圧電振動子10、50をIC等で形成された発振回路(不図示)と接続して発振器を構成すると、周波数精度の高い交流信号を得ることができる。また、圧電振動子10、50を使用したセンサ(不図示)は、物理量に応じて圧電振動片の周波数が変動することを利用してその物理量を検出するセンサである。例えば、温度、加速度によって発生する応力、角速度によって発生するコリオリ力など検出するセンサが例に挙げられる。
図4に示すように、本願発明者は、圧電振動子を構成する基板に荷重を与えた場合の、基板下部にある端子の応力分布を、端子形状を変えた場合について調査した。図4(a)は基板60に第3端子を形成せずに、第1端子62、第2端子64を形成した場合、図4(b)第1端子62、第2端子64、及び第3端子66を形成した場合、図4(c)は第1端子68、第2端子70、及び第3端子66を形成するとともに、第1端子68の第3端子66と対向する境界(内側の境界68a)を第1端子68側にめり込ませて弓形の形状とし、第2端子70の第3端子66と対向する境界(内側の境界70a)を第2端子70側にめり込ませて弓形の形状とした場合である。
いずれの場合においても、基板14を可撓性のある矩形の実装基板(不図示)に接着している。その際、基板14下面の第1端子62,68及び第2端子64,70を半田の接着面とし、基板60と実装基板(不図示)の長手方向は平行であり、かつ両者の中心は平面視して重なった状態となっている。そして基板60を実装基板(不図示)に対して下向きにし、実装基板(不図示)の長手方向の両端を保持し、実装基板(不図示)の上面の中央にて、実装基板(不図示)の短辺に平行な線状の荷重分布をもつ荷重を与える。すると基板60は実装基板(不図示)と共に変形し基板60の各端子が設けられた面を凹部とする曲げ応力を受けることになる。なお、図4においては、基板14を平面視して縦2等分、横2等分で4等分したうちの1つを示しており、対称性から第1端子62、68と第2端子64、70では応力分布が線対称の関係となる。
図4(a)において、第1端子62及び第2端子64は内側の境界62a、64aに圧縮応力がかかり(図4(a)の領域A)、基板60の長手方向の端部に対向する境界(外側の境界62b、64b)には引張り応力が掛かっており(図4(a)の領域B)、その中央部分62c、64cに最も強い引張り応力(相対値:1)が掛かっている。そして、図4(b)に示すように、第1端子62と第2端子64との間に第3端子66を設けることによって、第3端子66が全体的に圧縮応力を受け、これに伴い、第1端子62及び第2端子64の内側の境界62a、64aに対する圧縮応力がかなり緩和されていることがわかる。そして、外側の境界62b、64bに対する引張り応力も、その中央部分62c、64cに最も強い引張り応力(相対値:0.95)が掛かっていることは図4(a)と同様であるが、ある程度緩和されていることがわかる(図4(b)の領域C)。
さらに、図4(c)に示すように、第1端子68及び第2端子70の内側の境界68a、70aを弓状とした場合、内側の境界68a、70aの応力の分布は図4(b)の場合と変化はないが、外側の境界68b、70bの中央部分68c、70cにおける引張り応力の集中は緩和されて中央部分68c、70cのみならずその外側の境界68b、70bの基板60の長辺に接する側に引張り応力の分布が拡散されるととともに(図4(c)の領域D)、中央部分68c、70cにおける最も強い引張り応力(相対値:0.84)もかなり緩和されることを見出した。これは上述のように、第1端子68、第2端子70の前記中央部分の幅を狭めることにより、中央部分68c、70cに掛かる、各端子の基板の長辺方向の微小応力を積分して得られる応力が小さくなり、その分の応力が中央部分68c、70cから離れた外側の境界68b、70bに拡散したものと考えられる。
以上説明したように、本発明に係る圧電振動子10、50、圧電デバイスによれば、基板14、第1端子28、第2端子30、及び第3端子32をプレス焼成により同時に形成する場合、基板14の中央領域に形成された第3端子32が基板14のうねりを抑制するため、基板14と圧電振動片24との接触を回避し、圧電振動片24の基板14への実装時の歩留まりの低下を抑制できる。特に支持腕36を有する音叉型の圧電振動片24を搭載する場合は、うねりの発生を最も抑制する領域、すなわち基板14の平面視して第3端子32と重なる領域を支点とすることができるためその効果が顕著となる。また、基板14の中央領域が第3端子32により補強されるので、前記中央領域に曲げ応力が集中することを回避し、中央領域から破損することを防止できる。そして、応力が集中する部分は各端子の基板14の短辺に平行な6つの境界となるので、各境界当たりに掛かる応力を緩和して、基板の許容曲げ応力を高めることができる。
ところで、低背化した圧電振動子10の場合、圧電振動片24とパッケージ12若しくはリッド22との間で寄生容量が発生し、共振周波数等の特性が変動することが懸念される。一方、上記構成の場合、第1端子28、第2端子30、及び第3端子32のうち圧電振動片24に接続しない端子(第3端子32)はダミー端子となっている。そこで、前記ダミー端子を接地することにより、パッケージ12及びリッド22が接地され寄生容量の発生を防ぐことができ、低背化しつつ周波数特性等を安定させた圧電振動子10となる。
第2実施形態で述べたように、圧電振動子50の長手方向に曲げ応力を与えた場合、第1端子52及び第2端子54の基板14の長辺方向の単位長さ当たりの微小応力は、各端子の短辺方向の中央領域が最も強くなり、前記中央領域から離れるほど減少するように分布する。そして、第1端子52及び第2端子54の基板14の短辺と対向する境界(外側の境界52b、54b)には、前記単位長さ当たりの微小応力を基板14の長辺方向に積分した応力が集中するため、各端子の短辺と対向する境界(外側の境界52b、54b)の中央部分52c、54cは最も強い応力を受けることになる。よって第2実施形態の構成とすることにより、前記中央部分52c、54cに係る各端子の基板14の長辺方向の幅を狭くすることで、前記中央部分52c、54cがうける応力を減少させ、その減少分を前記中央部分52c、54cから離れた領域(外側の境界52b、54b)にそれぞれ拡散させることができるため、前記中央部分52c、54cに対する応力の集中を抑制し、許容曲げ応力を高めることができる。
第1実施形態のように、基板14の長手方向に線対称となる曲げ応力を与えた場合、基板14の第3端子32が形成された領域の応力分布の等高線は基板14の短辺に平行なものとなる。よって第3端子32を矩形に形成することにより前記等高線と第3端子32の境界32aが平行となるため、前記境界32a全域に均一に応力がかかることになり、前記境界32aの特定の箇所に応力が集中することを防止して、基板14の許容曲げ応力を高めることができる。
第2実施形態のように、基板14の第3端子56の中央領域を中心とする点状の応力を与えた場合、基板14の第3端子56の形成された領域において、その応力分布の等高線は同心円状、または基板14の長手方向を短軸とする同心の楕円形状、若しくはこれらと類似した形状となる。よって第3端子56を樽型として所定の曲率を与えることにより、第3端子56の境界56aが前記等高線に倣った形状となるため、前記境界56a全域に均一に応力がかかることになり、前記境界56aの特定の箇所に応力が集中することを防止して、基板14の許容曲げ応力を高めることができる。
圧電振動子10、50において、圧電振動片24をパッケージ12中に真空封止するための封止孔16a、18aを基板14に形成する場合がある。しかし封止孔16a、18aを基板14に形成した状態で基板14に曲げ応力を与えると、封止孔16a、18aに応力が集中して基板14が破損し、真空封止が破られる虞がある。しかし本発明によれば、封止孔16a、18a及びその周辺が第3基板32、56により補強されるため封止孔16a、18aに対する応力の集中を防止して、基板14の許容曲げ応力を高めるとともに、真空封止を維持することができる。そして、圧電振動子10、50に、前記圧電振動子10、50を発振させる発振回路を接続して構成することにより、低背化しつつ、許容曲げ応力を高め、圧電振動片24の基板への実装時の歩留まりの低下を抑制した圧電デバイスを構築できる。
第1実施形態に係る圧電振動子の模式図である。 圧電振動子を構成する基板を焼結して形成する際の模式図である。 第2実施形態に係る圧電振動子の模式図である。 圧電振動子に荷重を与えた場合の、基板下部にある端子の応力分布を示す図である。 うねりが発生した基板上に支持腕を有する音叉型の圧電振動片を搭載した場合の模式図である。
符号の説明
10………圧電振動子、12………パッケージ、14………基板、15………プレス器、16………第1基板、18………第2基板、20………パッケージ枠、22………リッド、24………圧電振動片、26………封止材、28………第1端子、30………第2端子、32………第3端子、34………基部、36………振動腕、37………支持腕、38………溝部、40………導電性接着剤、50………圧電振動子、52………第1端子、54………第2端子、56………第3端子、60………基板、62………第1端子、64………第2端子、66………第3端子、68………第1端子、70………第2端子、100………基板、102………端子、104………圧電振動片、106………基部、108………振動腕、110………支持腕、112………接着剤。

Claims (7)

  1. 可撓性を有する矩形の基板上に圧電振動片を搭載し、前記基板下面に前記基板の長手方向にストライプ状に並べられて設けられた複数の端子を有する圧電振動子であって、
    前記複数の端子は、前記基板の長手方向の両端側にそれぞれ設けられた第1端子と、第2端子と、前記第1端子及び前記第2端子との間に設けられた第3端子であることを特徴とする圧電振動子。
  2. 前記第1端子、前記第2端子、及び前記第3端子のうちいずれかを前記圧電振動片に接続したことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
  3. 前記第1端子の前記第3端子に対向する境界は、前記第1端子にめり込む弓形の形状を有し、前記第2端子の前記第3端子に対向する境界は、前記第2端子にめり込む弓形の形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動子。
  4. 前記第3端子は、矩形に形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧電振動子。
  5. 前記第3端子は、前記第3端子の前記基板の短辺に対向する一対の境界を曲線とする樽型の形状となっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧電振動子。
  6. 前記基板の前記第3端子が形成される領域には封止孔が形成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の圧電振動子。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の圧電振動子に、前記圧電振動子を発振させる発振回路を接続して構成されたことを特徴とする圧電デバイス。
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