JP2010145410A - 乳房、前立腺および卵巣の癌の予測のための、Shcタンパク質に関連する方法および組成物 - Google Patents

乳房、前立腺および卵巣の癌の予測のための、Shcタンパク質に関連する方法および組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍細胞が攻撃的かどうかを決定する方法を提供する。
【解決手段】乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍細胞に存在するp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、前記腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法である。さらに該方法がp66−Shcの量のみが決定される方法である。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
本出願は、2002年3月1日に出願された米国仮出願番号60/360,758の優先権を主張するものであり、この出願の内容は本明細書中に参照によって援用される。
本明細書に記載される発明は、国防総省 乳癌助成金番号(Breast Cancer Grant Numbers)BC980415およびDAMD17−99−1−9363の基になされた研究の過程で達成された。
[発明の背景]
本出願の全体を通して、様々な文献が角形括弧(brackets)内のアラビア数字により参照される。これら文献の完全なる書誌的事項は、本明細書の「参照文献」に記載される。これら文献の開示の全体が本明細書中で参照されることにより本出願に援用され、本明細書に記載され主張される発明の発明時における、技術の状況をより完全に説明する。
患者の外科的な及びアジュバント治療(adjuvant therapies)の強度(vigor)および程度を知るための、良好な予後の指標(prognostic indicators)が緊急に必要とされている(特に初期ステージの、節ネガティブ(node negative)な乳癌[1]、および初期の前立腺癌の患者に関して)。
攻撃的な表現型に関連する乳癌マーカーの1つはErbB2であり、これは成長因子レセプタのEGFファミリーのメンバーである[2]。
節ポジティブな患者におけるErbB2の高発現は、一般的に不良な(poor)短期の臨床転帰[3−5]を予測する。
また、最近の乳癌(breast cancers)の研究は、付加的な成長因子レセプター、例えば、他のメンバーの、EGFレセプターファミリー;肝細胞成長因子(HGF)及びそのレセプター、c−Met;IGF−1及びそのレセプター;FGFs及びそのレセプター;乳房由来成長因子(mammary−derived growth factor)(MDGF−1及びそのレセプター);並びに非レセプター型チロシンキナーゼ c−SrcおよびBrkの関与を指摘している[6に総説が記載されている、さらに7、8−10を参照されたい]。攻撃的な乳癌に関するマーカーとして利用されることに加えて、これらの成長因子レセプターは、攻撃的な表現型に関して重要で機能的な役割を有していると思われる。これが真実である範囲内で、腫瘍細胞(tumor cells)における成長因子レセプターのシグナル伝達の総計(sum total)の測定値(measures)は、外科的、放射線および化学内分泌(chemoendocrine)アジュバント治療をガイドする、緊急に必要とされている正確な予測能力(prognostic ability)を提供し得る。
ErbB2は、185,000分子量の膜貫通性の糖蛋白質であり、細胞外のリガンド結合ドメインおよびチロシンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインを有している[11]。
ErbB2を他の受容体型チロシンキナーゼと区別する特徴は、リガンドの非存在下でさえも、過剰発現させた場合に活性を有することである[12]。この理由から、高レベルのErbB2タンパク質を過剰発現する細胞は、血清の非存在下で増殖し、また頻繁に形質転換するように思われる[13]。機構的に、過剰発現は、安定なレセプター二量体を形成させる[14]。
対照的に、大抵の他の成長因子レセプターは、最初に彼らのリガンドと結合してから、増殖性に二量体化できる[15]。二量体化は、レセプター チロシンキナーゼを活性化させる。また、ErbB2は、彼らがリガンドと結合した後に、他のファミリーメンバーと活性型のヘテロダイマーを形成できる[12]。例えば、EGF受容体ファミリーメンバー、HER−3およびHER−4は、HRG/NDF〔ヘレグリン(heregulin)およびneu分化因子〕リガンドと結合し、そしてErbB2をトランスモジュレーション(transmodulation)を介して活性化する[16−18]。同様に、ErbB2は、EGFに結合したEGFレセプターとヘテロダイマーを形成して、ErbB2チロシンキナーゼを活性化する[12]。
活性化されたErbB2チロシンキナーゼは、特定のチロシン残基を自身でリン酸化する。いくつかの「二次メッセンジャー」タンパク質は、彼らのSH2およびPTBドメインを介して、レセプターのリン酸化されたチロシンを認識して結合する[19−21]。多くのそれらのタンパク質は、次にレセプターによってチロシンリン酸化され、このことによりシグナル伝達カスケードが活性化され、伝搬される。それらの二次メッセンジャーの1つは、アダプタータンパク質 Shcであり、これはシグナルをRasに伝達することを援助するように思われ、これにより最終的にはDNA合成および細胞増殖にシグナルを伝達する(図1を参照されたい)[22,23](さらに報告によると、シグナルをMycに[24,25]およびPI3’キナーゼ[26]に伝達する)。前記レセプターは、Shcのチロシン317をリン酸化し、これは次にGrb2−SOS複合体により認識される。結果として、SOSは、細胞膜に移動(translocated)し、このことによりRasを活性化する能力を促進するように思われる[27−34]。Rasへのシグナル伝達経路は、乳癌に由来する多くの細胞株において構成的に活性化されることが示されている[35−38]。更に、Shcに対する抗体、Shcアンチセンス、および様々なShcドミナントネガティブ構築物を微量注射した研究は、EGFレセプター、Her2/Neu、IGF−1およびHGFからのシグナル伝達が機能的なShcに依存することを示している[8, 22, 39−42]。Shcの3つのアイソフォームが存在する、即ちそれぞれ66、52および46kDaのp66、p52およびp46である[21,23,43]。p66 Shcアイソフォームは独特なN末端ドメイン(CH2)を具備しており、これはp52またはp46のShcアイソフォームでは発見されていない[23]。p52およびp46 Shcとは対照的に、p66 Shcは、MAPキナーゼ・シグナル伝達カスケードを活性化しなく、むしろ実際には成長因子のc−fosを活性化する能力を阻害する[44]。
現在、国立癌研究所は、95以上の臨床試験を開始または計画しており、これらの試験は多数のチロシンキナーゼ阻害物質(TKI)を用いたもので、この阻害物質はHer−2/neu、EGFレセプターまたは任意の他の数個のレセプターおよび非受容体型チロシンキナーゼに特異的なものである。しかしながら、これらの試験は一般的に、どの患者が任意の単一TKIまたはTKIsの組み合わせに反応すると思われる腫瘍を有することを予測する、臨床家の能力の欠如により大きく妨げられている。
[発明の概要]
本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍細胞が攻撃的(aggressive)であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍細胞に存在するp66−Shcおよび/またはリン酸化Shc(phosphorylated Shc)の量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、前記腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍細胞に存在する、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率(the ratio of p66−Shc to phosphorylated Shc)および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率(the ratio of phosphorylated Shc to p66−Shc)を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、前記腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍の癌性細胞に存在するp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍の癌性細胞に存在する、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々における、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々における、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、被験者の一次治療(primary treatment)後に前記腫瘍の再発(recurrence)を患う尤度(likelihood)を決定するための方法であって、前記腫瘍の癌性細胞(cancerous cells)に存在するp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、前記被験者の一次治療後に前記腫瘍の再発を患う尤度を決定するための方法であって、前記腫瘍の癌性細胞に存在する、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、前記被験者の一次治療後に前記腫瘍の再発を患う尤度を決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々におけるp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、前記被験者の一次治療後に前記腫瘍の再発を患う尤度を決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々における、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、P66−Shcに対して及びリン酸化したShcに対して特異的に結合する分離された抗体、並びにリン酸化Shcに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ、並びにリン酸化Shcに特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。
更に本発明は、本発明の方法を実施するためのキットであって、(a)p66−Shcと特異的に結合する検出可能な抗体、(b)リン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体、(c)既知の標準を産生するための試薬、および(d)使用説明書を含むキットを提供する。
更に本発明は、p66−Shcと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するための方法であって、本発明のハイブリドーマを培養することと、およびそのように産生されたモノクローナル抗体を回収することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、リン酸化Shcと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するための方法であって、本発明のハイブリドーマを培養することと、およびそのように産生されたモノクローナル抗体を回収することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、腫瘍をチロシンキナーゼ阻害物質を用いて良好に治療できるとの尤度を決定するための方法を提供し、該方法は:
(a)前記腫瘍からの細胞の第一サンプルを前記チロシンキナーゼ阻害物質と、前記サンプルにおいてチロシンリン酸化Shcの形成が可能であろう条件下で(前記チロシンキナーゼ阻害物質の非存在下において)、接触させることと;
(b)前記サンプルに存在するチロシンリン酸化Shcの量を決定することと;および (c)工程(b)で決定されたチロシンリン酸化Shcの量と前記腫瘍からの細胞の第二サンプル(前記チロシンキナーゼ阻害物質と接触していない)に存在するチロシンリン酸化Shcの量とを比較することと(ここで、前記第二サンプルに存在するチロシンリン酸化Shcの量が前記第一と比較して多いことが、前記腫瘍を前記チロシンキナーゼ阻害物質で良好に治療できるとの尤度を示す)、を含む方法。
最後に本発明は更に、本発明の方法を実施するためのキットであって、別々のコンパートメントに、(a)チロシンリン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体、(b)チロシンリン酸化Shcと結合する抗体の量を測定するための試薬、および(c)使用説明書を含むキットを提供する。
[発明の詳細記載]
定義
「攻撃的(Aggressive)」は、腫瘍に関して、被験者において再発する素因(predisposition)を有することを意味する。「攻撃的」は、腫瘍細胞に関して、係る細胞が再発する素因を有する腫瘍に由来する細胞であることを意味する。
「量(Amount)」は、細胞に存在するp66−Shcまたはリン酸化Shcの何れかに関して、(a)分子、モルまたは重量を単位容積または細胞あたりで測定した絶対的な量、或いは(b)指定の(designated)相対的な量(例えば、数的な評点0から5により指定された)を意味する。
「抗体」は、例示により(by way of example)、天然および非天然の双方の抗体を含む。具体的には、本用語は、ポリクローンナルおよびモノクローナル抗体、およびその断片を含む。
さらにまた、本用語は、キメラ抗体および完全に合成した抗体(wholly synthetic antibodies)、およびその断片(例えば、抗原結合性の断片)を含む。
「既知の標準(Known Standard)」は、本発明のコンテキストにおいて、適用できる場合には、p66−Shcおよびリン酸化Shcに関する、1以上の量、比率、または分布を意味する。好ましくは、既知の標準は、攻撃的な腫瘍および非攻撃的な腫瘍に特有の、量、比および/または分布を反映する。既知の標準を作出するための試薬は、限定されず、攻撃的であると知られている腫瘍からの腫瘍細胞、非攻撃的であると知られている腫瘍からの腫瘍細胞、および選択可能なものとして、標識した抗体を含む。
「p66−Shc」は、Shcと称されるアダプタタンパク質の66kDアイソフォームを意味する。
「リン酸化Shc(Phosphorylated Shc)」は、少なくとも1つのアミノ酸残基の側鎖がリン酸化された、「Shc」と称されるアダプタタンパク質を意味する。好ましくは、Shcのチロシン残基がリン酸化される(「チロシンリン酸化Shc」)。かかる残基には、例えば、チロシン残基317が含まれる。
「一次治療(Primary Treatment)」は、腫瘍を患う被験者の初期の治療(initial treatment)を意味する。一次治療は、限定されず、外科的処置(surgery)、放射線照射(radiation)、ホルモン治療、化学療法、免疫療法、血管性の治療(angiogenic therapy)、およびバイオモジュレーター(biomodulators)を介した治療を含む。
「再発(Recur)」は、腫瘍に関して、被験者における前記腫瘍からの癌性細胞の再成長(regrowth)を意味する(該被験者は前記腫瘍に関する一次治療を処置されている)。
「被験者」は、任意の動物(例えば、哺乳類)を意味し、マウスおよびヒトを含むが限定されない。
「腫瘍細胞」は、腫瘍内の又は腫瘍に由来する癌性細胞を意味する。腫瘍細胞は、他の、腫瘍に存在する非癌性細胞(例えば、血管細胞(vascular cells))と区別される。
「チロシンキナーゼ阻害物質(Tyrosine kinase inhibitor)」は、チロシンキナーゼの機能を阻害する薬剤(agent)を意味する。チロシンキナーゼ阻害物質は、限定されず、グリベック(ST1571, イマチニブ, cgp57148B)、OSI−774、PP1、PP2、SU6656、SU4984、SU9518、SU5416、ゲニステイン、ハーバマイシンA(Herbamycin A)、PKC412、トリホスチン(Tryphostins)、CI−1033、PD168393、PD513032、AG126、AG1478、AG879、AG957、ZM39923、ZM449829、イレッサ(Iressa)、ZD1839、ゲフィチニブ(Gefitinib)、エモジン(Emodin)、アーブスタチン(Erbstatin)、B46、ニゲリシン(Nigericin)、PTK787(ノバルティスによる)、PKI116(ノバルティスによる)、キナゾロン(Quinazolone)ファミリー、ジアニリノフタリミデス(Dianilinopthalimides)、TK137、PDI166、CP−359,744、ゲルダナマイシン(Geldanamycin)、エルロチニブ(Erlotinib)、フェノクソジオール(Phenoxodiol)、GW57216、ZD6474、UCN−01およびラベンダスチンA(Lavendustin A)を含む。
[発明の態様]
本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍細胞が攻撃的(aggressive)であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍細胞に存在するp66−Shcおよび/またはリン酸化Shc(phosphorylated Shc)の量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、前記腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
本発明の方法の一態様において、p66−Shcの量のみが決定される。本発明の方法の更なる態様において、リン酸化Shcの量のみが決定される。本発明の方法の別の態様において、p66−Shcおよびリン酸化Shcの双方の量が決定される。
更に本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍細胞に存在する、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、前記腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
本発明の方法の一態様において、前記腫瘍細胞はヒト腫瘍細胞である。本発明の方法の別の態様において、前記腫瘍細胞は被験者(該被験者のリンパ節には腫瘍細胞が存在しない)から取得される。本発明の方法の更なる態様において、前記腫瘍細胞は、乳房腫瘍細胞、前立腺腫瘍細胞、または卵巣腫瘍細胞である。
本発明の方法の一態様において、前記の決定する工程は、p66−Shcまたはリン酸化hcと特異的に結合する検出可能な抗体の使用を含む。本発明の方法の別の態様において、前記の決定する工程はフローサイトメトリーまたは免疫組織化学の使用を含む。本発明の方法の更なる態様において、前記腫瘍細胞は分離される。本発明の方法の更なる態様において、前記腫瘍細胞は腫瘍サンプル内に存在する。
更に本発明は、被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍の癌性細胞に存在するp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
本発明の方法の一態様において、p66−Shcの量のみが決定される。本発明の方法の更なる態様において、リン酸化Shcの量のみが決定される。本発明の方法の別の態様において、p66−Shcおよびリン酸化Shcの双方の量が決定される。
更に本発明は、被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍の癌性細胞に存在する、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々におけるp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々における、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法を提供する。
一態様において、前記被験者はヒトである。別の態様において、前記被験者のリンパ節には腫瘍細胞が存在しない。更なる一態様において、前記腫瘍細胞は、乳房腫瘍細胞、前立腺腫瘍細胞または卵巣腫瘍細胞である。
一態様において、前記の決定する工程は、p66−Shcまたはリン酸化Shcと特異的に結合する、検出可能な抗体の使用を含む。別の態様において、前記の決定する工程は、フローサイトメトリーまたは免疫組織化学の使用を含む。更なる一態様において、前記腫細胞は組織サンプル内に存在する。
更に本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、被験者の一次治療(primary treatment)後に前記腫瘍の再発(recurrence)を患う尤度(likelihood)を決定する方法であって、前記腫瘍の癌性細胞(cancerous cells)に存在するp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法を提供する。
本発明の方法の一態様において、p66−Shcの量のみが決定される。本発明の方法の更なる態様において、リン酸化Shcの量のみが決定される。本発明の方法の別の態様において、p66−Shcおよびリン酸化Shcの双方の量が決定される。
更に本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、前記被験者の一次治療後に前記腫瘍の再発を患う尤度を決定するための方法であって、前記腫瘍の癌性細胞に存在する、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、前記被験者の一次治療後に前記腫瘍の再発を患う尤度を決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々におけるp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、前記被験者の一次治療後に前記腫瘍の再発を患う尤度を決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々における、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法を提供する。
一態様において、前記被験者はヒトである。別の態様において、前記被験者のリンパ節には腫瘍細胞が存在しない。更なる態様において、前記腫瘍細胞は、乳房腫瘍細胞、前立腺腫瘍細胞、または卵巣腫瘍細胞である。
一態様において、前記の決定する工程は、p66−Shcまたはリン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体の使用を含む。別の態様において、前記の決定する工程は、フローサイトメトリーまたは免疫組織化学の使用を含む。更なる一態様において、前記腫瘍細胞は組織サンプル内に存在する。更なる一態様において、前記一次治療は、外科的処置、放射線照射、ホルモン治療および化学療法からなる群から選択される治療を含む。
更に本発明は、p66−Shcと特異的に結合する単離された抗体、およびリン酸化Shcと特異的に結合する単離された抗体を提供する。
一態様において、前記抗体はポリクローナルである。別の態様において、前記抗体はモノクローナルである。更なる一態様において、前記抗体は、検出可能な成分(a detectable moiety)で標識される。更なる態様において、前記検出可能な成分は、蛍光標識、放射性原子、化学発光標識、常磁性イオン、ビオチンまたは二次的な酵素または結合工程を介して検出できる標識である。一態様において、前記抗体は、ATCCアクセッションNo. PTA−4109のハイブリドーマにより産生されたモノクローナル抗体である。
更に本発明は、p66−Shcと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供する。
一態様において、前記ハイブリドーマは、ATCCアクセッションNo. PTA−4109を有する。更に本発明は、リン酸化Shcと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供する。
更に本発明は、本発明の方法を実施するためのキットであって、(a)p66−Shcと特異的に結合する検出可能な抗体、(b)リン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体、(c)既知の標準を産生するための試薬、および(d)使用説明書を含むキットを提供する。
更に本発明は、p66−Shcと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するための方法であって、本発明のハイブリドーマを培養することと、およびそのように産生されたモノクローナル抗体を回収することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、リン酸化Shcと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するための方法であって、本発明のハイブリドーマを培養することと、およびそのように産生されたモノクローナル抗体を回収することと、を含む方法を提供する。
更に本発明は、腫瘍をチロシンキナーゼ阻害物質を用いて良好に治療できるとの尤度を決定するための方法を提供し、該方法は:
(a)前記腫瘍からの細胞の第一サンプルを前記チロシンキナーゼ阻害物質と、前記サンプルにおいてチロシンリン酸化Shcの形成が可能であろう条件下で(前記チロシンキナーゼ阻害物質の非存在下において)、接触させることと;
(b)前記サンプルに存在するチロシンリン酸化Shcの量を決定することと;および (c)工程(b)で決定されたチロシンリン酸化Shcの量と前記腫瘍からの細胞の第二サンプル(前記チロシンキナーゼ阻害物質と接触していない)に存在するチロシンリン酸化Shcの量とを比較することと(ここで、前記第二サンプルに存在するチロシンリン酸化Shcの量が前記第一と比較して多いことが、前記腫瘍を前記チロシンキナーゼ阻害物質で良好に治療できるとの尤度を示す)、を含む方法。
一態様において、前記腫瘍は、乳房腫瘍、前立腺腫瘍、または卵巣腫瘍である。別の態様において、前記腫瘍からの細胞のサンプルは、被験者(該被験者のリンパ節には腫瘍細胞が存在しない)から取得される。別の態様において、前記被験者はヒトである。別の態様において、前記腫瘍細胞は、乳房腫瘍細胞、前立腺腫瘍細胞、または卵巣腫瘍細胞である。
一態様において、チロシンリン酸化Shcの量を決定することは、チロシンリン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体の使用を含む。更なる一態様において、前記抗体は、検出可能に標識される。別の態様において、チロシンリン酸化Shcの量を決定することは、フローサイトメトリーまたは免疫組織化学の使用を含む。更なる一態様において、前記の腫瘍細胞のサンプルは、組織サンプル内に存在する。
更に本発明は、本発明の方法を実施するためのキットであって、別々のコンパートメント、(a)チロシンリン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体、(b)チロシンリン酸化Shcと結合する抗体の量を測定するための試薬、および(c)使用説明書を含むキットを提供する。
本発明の方法に関連する上記に記載した様々な態様の各々は、必要な変更を加えて本発明のキットに対しても適用される。
本発明は、以下の例で説明される。この例は、本発明の理解を助けるために記載される。しかし、本願の特許請求の範囲に記載される本発明が限定されることを意図していなく、また限定されると解釈されるべきでもない。
図1は、Shcアダプタータンパク質を活性化する(およびp66 Shcによりフィードバック阻害される)シグナル伝達経路を示す。 図2は、HBL−100クローン〔形質移入されて、構成的に野生型のP52Shc−Gst融合タンパク質(WT Shc 26)またはドミナント・ネガティブTy317−変異体 p52Shc−Gst融合タンパク質(dn Shc 17)を発現する〕が、前記融合タンパク質においてチロシン残基(317および/または239/240)のリン酸化の増加(内在性のShcタンパク質と比較して)を実証したことを示す。 図3は、R58抗体がShcタンパク質のリン酸化チロシン317残基に対して特異的であることを示す。EGF−非刺激のwt shc 26クローンにおけるShc検出の欠除は、αR58が活性化されたチロシンリン酸化型のShcのみを認識することを示している。さらにまた、EGF−刺激されたshc17クローン〔該クローンは、チロシン(317)リン酸化部位のみを欠損している、(これらの細胞におけるdnShcの相対発現レベルに関しては図2を参照されたい)〕においてShcを検出する能力をαR58が有していないことは、αR58がホスホチロシン単独に対するものでないことを示している。 図4は、ホスホ−特異的な抗体のShcに対する及びP66−アイソフォーム特異的な抗体のShcに対する免疫組織化学的な特異性を示す。パラフィン包埋され、ホルマリン固定された乳癌からの切片を、上部パネルでは抗−PY−Shc(第一カラム)、抗−Shcタンパク質(第二カラム)、および抗−PY(第三カラム)で、指摘したとおり、競合するPY−Shcペプチドまたはホスホチロシンアナログ(フェニルホスフェート)非存在下または存在下で染色した。 下部パネルにおいて、異なる検体からの切片を、免疫前(pre−immune)の免疫グロブリン(免疫前)またはp66 Shcに特異的な我々のウサギ抗体(抗−p66 Shc)で染色した。 図5は、ウサギ抗体#405が特異的に66−kDaShcアイソフォームを免疫沈降することを示す。ウサギ抗体#405(レーン IP:αp66)は、p55 ShcをHBL−100細胞の界面活性剤抽出物から免疫沈降させるが、しかし、MDA−MB−453細胞(66−kDa Shcアイソフォームの発現を欠く)からは免疫沈降させない。IP−RαShcとラベルされたレーンにおいて、全Shcタンパク質がpan−Shc−特異的抗体を用いて免疫沈降された。ブロットはpan−Shc特異的抗体でプローブ(probed)された。 図6は、P66−アイソフォーム特異的なウサギ・ポリクローナル抗体のShcに対する免疫組織化学的な特異性を示す。 パラフィン包埋され、ホルマリン固定された乳癌標本からの切片を、免疫前(pre−immune)の免疫グロブリン(免疫前)またはp66 Shcに特異的な我々のウサギ抗体(抗−p66 Shc)で染色した。 図7は、66−kDa Shcアイソフォームに対するモノクローナル抗体の、細胞抽出物からp66 Shcを免疫沈降させる能力に関するスクリーニングを示す。ハイブリドーマ培養上清からのモノクローナル抗体を、10μlのウサギ抗マウスIgG(重および軽鎖特異的な)抗体(該抗体は、シアン臭化物−活性化セファロースビーズと共有結合性に連結されている)から構成される免疫吸着剤と、各々反応させた。これらのビーズ(およびポジティブコントロールとして、プロテインA−セファロース4B−CLビーズと共有結合によって連結させたpan−Shcウサギ抗体、「RαShc」とラベルしたレーンを参照されたい)を使用して、MDA−MB−453細胞(我々が改変して正常レベルのヒトp66 Shcを発現させた)の界面活性剤抽出物からタンパク質を免疫沈降した。免疫沈降物をSDS PAGEで分離し、RαShcで免疫ブロットし、化学発光により視覚化した。66−kDaの位置、およびポジティブコントロールにおいて、52−および46−kDa Shcタンパク質が示される。RαShc免疫吸着剤(しかしハイブリドーマ免疫吸着剤はされない)はジメチルピメリミデートで共有結合性にクロスリンクされており、それゆえにハイブリドーマレーンにおける、IgG重鎖 非特異的染色およびバックグランド・バンドが確認される。2つのハイブリドーマ(これらはELISAによりGST−無関係タンパク質(CH1) 1A 10αGST abd 5C5αGSTに対して強く反応した)が、p66 Shcを免疫沈降しなかったことに注意。 図8は、PY−Shcの免疫組織化学的な染色に関するスコアリングシステムを示す。 図9は、乳癌の免疫組織化学的染色に関するスコアリングシステムの例を示す。乳癌標本を、PY−Shcまたはp66−Shcに特異的なウサギ抗体と反応させ、図8のとおりCSAキット(DAKOより)を用いてヘマトキシリンカウンター染色した。 図10は、カプラン・マイヤー(Kaplan−Meier)プロットにより示される、乳癌を有する97女性の総研究集団の「故障寿命(time−to−failure)」(または疾患再発)を示す。プロットをPY−Shcおよびp66−Shcマーカーのゼロ化値に対して調整することによって、これらのマーカーによりAJCステージ0〜4の乳癌と最初に診断された女性における疾患再発の殆どが説明されるように思われる。 図11は、カプラン・マイヤー(Kaplan−Meier)プロットにより示される、乳癌を有する97女性の総研究集団の「故障寿命」(または疾患再発)を示す。上部パネル:Py−Shcスコアを低(<0.33)および(>=0.33)に二分化することによって、再発性疾患のリスクは、高いレベルのPY−Shcを有する患者において明らかに増加し、低い腫瘍レベルのPY−Shcを有する患者において減少する。下部パネル:Shc比インデックスを低(<0.65)および高(>=0.65)に二分化することによる類似性、再発性疾患のリスクは、高いレベルのPY−Shcを有する患者において明らかに増加し、低い腫瘍レベルのPY−Shcを有する患者において減少する。 図12は、カプラン・マイヤープロットにより示される、早期のAJCステージ0、およびステージ1の乳癌を有する女性の「故障寿命」(または疾患再発)を示す。上部パネル:PY−Shcおよびp66−Shcマーカーのゼロ化値に対して調整することによって、これらのマーカーにより早期ステージの乳癌と診断された患者における疾患再発リスクの殆どが説明されるように思われる。下部パネル:Shc比インデックスを低(<0.65)および高(>=0.65)に二分化することによって、再発性疾患のリスクは、高いレベルのPY−Shcを有する患者において明らかに増加し、低い腫瘍レベルのPY−Shcを有する患者において減少する。 図13は、カプラン・マイヤープロットにより示される、リンパ節ネガティブ(lymph−node negative)な乳癌を有する女性の「故障寿命」(または疾患再発)を示す。上部パネル:PY−Shcおよびp66−Shcマーカーのゼロ化値に対して調整することによって、これらのマーカーにより節ネガティブな乳癌と診断された患者における疾患再発リスクの殆どが説明されるように思われる。下部パネル:Shc比インデックスを低(<0.65)および高(>=0.65)に二分化することによって、再発性疾患のリスクは、高いレベルのPY−Shcを有する患者において明らかに増加し、低い腫瘍レベルのPY−Shcを有する患者において減少する。
[例]
例1
材料および方法
ロジャーウイリアムス癌センターデータベースおよび腫瘍登録所(tumor registry)の12年にわたる臨床転帰(clinical outcome)の遡及研究(少なくとも5年追跡を含む)において、疾病の再発に関連した10%の死亡率がステージ1乳癌(n=212 患者)と診断された患者において観察された。従って、攻撃的な、早期段階の乳癌を低浸潤性(less invasive)の病変(lesions)と識別し得る分子マーカーの必要性は明白であり、次に外科的およびアジュバントの治療オプションへと導かれる。98の保存された(archival)、ホルマリン固定された診断上の乳房腫瘍バイオプシー(ステージ0からステージ4の患者)における、リン酸化Shc(PY−Shc:活性化された、アダプタタンパク質、チロシンキナーゼ シグナル伝達および腫瘍形成を促進する)およびp66−Shc(Shcアイソフォーム、このシグナルカスケードを阻害する)の免疫組織化学的な染色により、正の直線的な相関がPY−Shcのp66−Shcに対する染色強度と患者ステージとの間に認められた(r=0.4;p<0.0001);高いPY−shc/低いp66−Shcが診断時の進歩した(advanced)疾病ステージに対応している。PY−Shcのp66−Shcに対する比率を、ステージ1の乳癌(breast cancer)患者の原発性腫瘍において分析し、次に患者の転帰(5yr追跡)を遡及的に比較した場合、疾患の再発(0.66±0.03;n=30)がない患者からランダムに選択した腫瘍に対する比率は、疾患が再発した患者と比較して有意に低かった(0.90±0.07;n=8)(p<0.005)。PY−Shcのp66−Shcに対する比率が、生存可能な予後マーカーとして、攻撃的な初期ステージの乳癌を同定するために利用し得ることを、これらの研究は示唆している。
乳癌におけるErbB2および他の過剰発現された成長因子レセプターの機能的役割の解明に着手するために、Shcを介したシグナル伝達経路が構成的に活性であるかどうかが問われた。チロシンリン酸化p52 ShcのレベルとErbB2のレベルとの間に強い正の相関が認められた(r=0.91;p<0.002)。3つの乳癌細胞株(MCF−7、MDA−MB−468およびZR−75−1)は、低から中等度のレベルのErbB2を発現するが、自己分泌EGF/TGF−αループ[45,46]または幹細胞因子(stem−cell factor)自己分泌ループ[47]を有し、中程度に上昇したレベルのチロシンリン酸化Shc(PY−Shc)を提示した。HBL−100およびHS−578Bst(非形質転換の乳房上皮細胞株)には、わずかなPY−Shcを有することが証明されている[38]。
従って、乳癌細胞におけるPY−p52 Shcのレベルは、全体の成長因子受容体活性の優れた指標であるように思われ、不良な乳癌の予後に関する有用なマーカーであろう。
予想外に、全細胞株は同等の全量のp52およびp46のShcを有していたにもかかわらず、阻害性のShcアイソフォーム(p66)の量は、ErbB2発現のレベルと逆に関連していた(r=−0.86, p=0.0013)[38]、また同様にErbB2活性化、PY−p52 Shcのレベルと、および増殖に関するPY−p52 Shc経路に依存したレベルと逆に関連していた。
このことは興味深い可能性を示唆していた、即ちp66 Shcが、PY−p52/p46経路に依存してMAPキナーゼ、c−fos、並びにおそらくはc−MycおよびPI3’キナーゼが活性化する乳癌に対して、抗癌遺伝子(anti−oncogene)または腫瘍抑制因子として機能することである。実際、乳癌細胞にp66 Shcを発現させることにより、それらの腫瘍形成性(tumorgenicity)を強く阻害することが最近発見された。従って、低い細胞レベルのp66 Shcは、不良な乳癌の予後に対する有用なマーカーとなり得る。
乳癌において幾つかの活性化した成長因子シグナル伝達系が関与しているとの上述の多くの証拠があるので、またこれらのシグナル伝達系の各々に共通する生命過程(vital step)がアダプタータンパク質(Shc)のチロシンリン酸化(活性化)であるので、活性化されたShcは不良な臨床予後の有用な指標であろうとの仮説が立てられた;この指標はErbB2過剰発現よりも更に有用な指標であろうと思われる、この理由はShcが活性ErbB2が存在する乳癌においてのみならず、他のチロシンキナーゼ(例えば、IGF−1受容体、c−Met、および他のEGF受容体ファミリーメンバー)により増殖に駆り立てられたであろう乳癌においても活性化されるからである。
さらに、Shcの推定上の抗発癌性(anti−oncogenic)アイソフォーム(p66)の細胞レベル間(PY−p52 Shcの細胞レベルとを比較した)に強い負の相関が認められたので、p66 Shcの低い細胞レベルは(特にPY−Shcの高い細胞レベルと相関(coupled)させた場合に)、不良な臨床予後に対する有用な指標となるだろうとの仮説が立てられた。
また、Shcチロシンリン酸化およびp66 Shc阻害性効果(p66 Shc inhibitory effects)は、成長因子シグナル伝達カスケードにおける早い段階で生じる。最終的に攻撃的な疾患となる運命にある、多くの早期の段階の乳癌は、上昇したレベルのPY−Shcを提示するだろう(たとえMAPキナーゼ(Erk−1/2)カスケードを介した下流のシグナル伝達、増殖および他の予後のマーカーがまだ低い値であったとしても)。この概念と一致して、成長因子レセプターおよびShcが活性化されるが、Erk−1/2が活性化されない場合に出現する多くの例が存在する[48−51]。以上のように、高い相対的量のPY−Shc/p66 Shcは、早期ステージ/節ネガティブな乳癌を有する女性における不良な予後の特に有用な指標となり得る。実際、以下に記載されるとおり、この現象は真実であることが認められた。
抗血清およびモノクローナル抗体の開発
PY[317]−Shcに対するウサギ抗体:ニュージーランド・ホワイトラビットをN−アセチル化チロシンリン酸化Shcペプチド(N−acetylated tyrosine−phosphorylated Shc peptide)で免疫した既知の方法(given direction)にしたがって、リサーチジェネティックス(Huntsville, Alabama)がN−アセチル−LeuPheAspAspProSer([P]Tyr)ValAsnValGlnAsnLeuCys(ヒトShcアミノ酸311から323に対応し、付加されたシステインC−末端をキャリアタンパク質であるキーホールリンペットヘモシニアン(KLH)とのマレイミド・カップリングを促進するために有している)。ペプチド−KLHをフロイントアジュバントに乳化させ、全体で0.1mgのペプチドをニュージーランド・ホワイトラビットの複数の背側領域に注射した。ウサギを2週のインターバルで再免疫し、各免疫の後に1週間飼育し、そして10週後に終了した。抗体を、Shcホスホペプチドにおける免疫特異的なアフィニティークロマトグラフィーにより精製し(共有結合によりウルトラリンクヨードアセチルマトリックス(ピアス)に連結させた、製造者の指示に従って実施した)、0.23MグリシンHcl緩衝剤(pH2.8)で溶出し、1/10容積の1M TRIS(シグマ, St. Louis)、pH9.0でpHを中和した。
全ての免疫したウサギから採取された抗体は、免疫ペプチド(immunizing peptide)に対するELISAアッセイで高い力価を示し(データ示さず)、また免疫沈降によりShcに対する明瞭な特異性を示した(データ示さず)。ウサギ#58からの抗体は、Shcのチロシンリン酸化した形態のみを認識するように思われた。このことは、若干の#58の特異性がホスホチロシン単独に向けられていたことを示唆しており、#58は他のPYタンパク質(例えば、ErbB−2)を免疫沈降しなかった。加えて、強力なホスホチロシンアナログである、1mMソジュウムフェニルホスフェート(sodium phenyl phosphate)は、#58のShcを免疫沈降する能力に最小の効果を示し、対照的に1mMソジュウムフェニルホスフェートは、4G10モノクローナル抗体のホスホチロシンに対してのPY−Shcおよび他のPYタンパク質(例えば、PY−ErbB−2およびPY−EGF受容体)を免疫沈降する能力を完全にブロックした。
この抗体の優れた特異性を更に評価した(最初にウエスタンブロット法によって)。この目的のためにHBL−100乳房上皮細胞株を使用した、この株は、野生型GST−ヒト組換え型のP52 Shc融合タンパク質(クローン26)、ドミナントネガティブなGST−ヒト組換え型のp52 Shc融合タンパク質(317チロシンがフェニルアラニンに変異させてある)(クローン17)、または空のベクターコントロール(クローン9)の何れかを発現するように改変されている[42]。図2で確認できるとおり、wt−Shcまたはdn−Shcの何れかの発現は、内在性のp46、P52、およびp66 Shcタンパク質のチロシンリン酸化を誘導するEGFの能力を殆ど完全にブロックした。その代わり、EGFとの反応において、野生型GST−Shcは高度にチロシンリン酸化され(残基239および317において)、またdn−Shcは軽度にチロシンリン酸化され(残基239のみにおいて、この構築物中の317チロシン残基はフェニルアラニンに変異させてあるので)、更にこれら発現された組換え型のShcタンパク質の双方は、EGF誘導性のチロシンリン酸化EGFレセプターと密接に相互作用している。これらの細胞は、それゆえ、ウサギ#58抗体の優れた特異性を免疫沈降で及び免疫細胞化学で試験するための素晴らしい基本型(prototypes)であった。というのも、ウサギ#58抗体は実際にPY317 Shcに特異的である場合、EGF刺激したクローン26細胞からチロシンリン酸化wt−GST−Shcのみを免疫沈降することが期待されるからである。実際、このことは事実であった(図3)。ウサギ#58抗体は、チロシン(239,317)リン酸化wt−GST−Shcタンパク質をEGF−刺激されたクローン26細胞から免疫沈降させたが、チロシン(239)リン酸化dn−GST−ShcY317Fタンパク質をクローン17細胞から免疫沈降しなかった。多様なコントロールにより、ウサギ#58結合が免疫ペプチドにより完全に阻害されること、また前記抗体がEGFに反応してチロシンリン酸化される他のタンパク質と結合しないことが示された。
重要なこととして、ウサギ#58抗体が同様の特異性をPY317 Shcに対して有することが、EGF刺激したクローン26およびクローン17細胞の免疫細胞化学染色によって示された(図3、下部のパネル)。
早期の免疫ブロット実験によってPY−Shcを含有することが知られていた、乳癌細胞株を、Y−Shcに対するウサギ#58抗体が陽性染色するかどうかの確定が必要であった。また、顕著なレベルのPY−Shcを含有する細胞株(免疫ブロットにより)の全ては、ウサギ#58抗体によって強い免疫細胞化学的な染色を呈した(データ示さず)。対照的に、非形質転換型の乳房上皮細胞株(Hs−578Bst)および1つの乳癌細胞株(MDA−MB−231)は、顕著なレベルのチロシンリン酸化Shcを欠乏しており(免疫ブロットによる)、PY−Shc特異的なウサギ#58抗体でも染色されなかった。
この特徴は、保存され、ホルマリン固定され、パラフィン包埋された標本の免疫組織化学的な染色でも同様であった。免疫組織化学的な染色における#58PY−Shc抗体の特異性および有用性を、ヒトの乳房腺癌(breast adenocarcinoma)の切片で評価した(図4)。
抗−PY−Shcは、癌性の腺性組織(cancerous glandular tissue)を強く染色した(図4A)、また期待したとおり、染色は免疫したPY−ペプチドにより著しく阻害された(図4B)、しかし部分的な拮抗薬(ホスホチロシン・アナログ、フェニルホスフェート)によっては僅かに阻害されるのみであった(図4C)。対照的に、pan−Shc抗体(タンパク質主鎖に対する)での染色はPYペプチドにより阻害されなかった(図4D, E)、一方、対照的に、純粋な抗ホスホチロシン染色は完全にフェニルホスフェートによって阻害された(図4F, G)。乳癌の免疫組織化学的な評価の詳細を以下に記載する。
p66Shc(CH2 ドメイン)に対して特異的なウサギ抗体
リサーチジェネティックス(Research Genetics)と契約して親水性のペプチド、SerGlySerThrProProGluGluLeuProSerProSer AlaSerSerLeuが合成された、このペプチドはp66 Shc1−110 CH2ドメインに由来する。このペプチドは、キャリアタンパク質(KLH)に連結され、これを使用してニュージーランド・ホワイトラビットを免疫した、この免疫は標準の10週の免疫化/チャレンジ・プロトコール(上記で詳細に説明したとおりの)を使用して実施された。10週間で採取した抗血清を、免疫ペプチドに対する反応性に関して試験した(固相ELISAにおいて)。ウサギ#405からの抗血清を、免疫ペプチドと反応させた(約1/5000の力価)。ペプチド特異的な抗体をウサギ#405抗血清から親和性精製した、この際に免疫ペプチド(共有結合性にウルトラリンクヨードアセチルマトリックス(ピアス)に付着させた、製造者の指示にしたがって行った)を用い、0.23MグリシンHcl緩衝剤(pH2.8)で溶出して、1/10容積の1M TRIS(シグマ, St. Louis)、pH9.0中でpHを中和した。精製抗体を、ヒト組換え型GST−p66 Shc CH2ドメイン〔GSTおよびp66 Shcの最初の110アミノ酸(これらのアミノ酸はp52 Shcアイソフォームと比較してp66 Shcにおいてユニークである)から構成された融合タンパク質〕を認識する能力に関して試験した。ヒト組換え型Gst−p66 Shc1−110 細菌性の発現ベクターを、Prof.Pelicci(Milan, イタリア)から入手した。我々は、このタンパク質を、大腸菌で発現させ、グルタチオン親和性マトリックスを用いて親和性精製した。SDS PAGE分析およびクーマシーブルー染色によって、精製タンパク質が3つの主要なバンドからなることが示され、融合タンパク質の予想された分子量付近のバンドに、より早く移動するバンド、より遅く移動するマイナーバンド群を伴っていた。GSTに対する抗体での免疫ブロットは、全てのバンドがGSTを含有することを示した。
ウサギ#405は、最も早く移動した種以外の全てと反応した(データ示さず)。このことは、最も早く移動したバンドはGSTのみ(またはGSTおよびp66CH2の小さい領域であって、免疫化に使用されたp66エピトープを含有しないもの)を含有することを意味していると解釈された。他のバンド(予想された分子サイズ付近の)は、インタクトな(intact)GST−p66 Shc CH2融合タンパク質および本タンパク質のタンパク分解性の断片(clips)であると思われ、最高の分子量を有するタンパク質は、まず確実にGST混合性のジスルフィド反応により生じた、GST−p66Shc CH2およびそのタンパク分解性断片の二量体である(未発表の観察)。従って、小さいCH2ペプチドに対して産生された抗血清は全CH2ドメインを認識するのみならず、これをイムノブロット上で実施することが可能で、相対的に特異的であるように思われる(それはGSTのみのバンドと反応しない)。
ウサギ#405抗体の特異性を更に試験するため、それがp66 Shcを特異的に免疫沈降するかが問われた。これを試験するために、我々は我々の以前の所見を利用した(図2を参照されたい)、即ち、乳房上皮細胞線(HBL−100)が正常なレベルのp66 Shcを含有しており、これはp52 Shcのレベルに匹敵するものであること、他方で、乳癌株化細胞(MDA−MB−453)は検出可能なp66 Shcを欠損していることである。ウサギ#405抗体は、p66 Shcタンパク質のみをクリーンに及び明瞭に(cleanly and clearly)沈降させた(図5)。優れた特異性の分析により、ウサギのポリクローナル抗体はp66 Shcタンパク質の脱リン酸(セリン 36)型を優先的に認識することが示唆された。
HBL−100およびMDA−MB−453細胞の免疫細胞化学的な染色により、ウサギ#405抗体がHBL−100細胞におけるp66 Shcをも特異的に検出できることが明らかとなった(データ示さず)。
#405抗体の特徴は、保存され、ホルマリン固定され、パラフィン包埋された乳癌標本の免疫組織化学的な染色でも同様であった。典型的な例(図6)は、乳房腫瘍細胞がp66 Shcに関して強く染色されること、より豊富なリンパ性の浸潤細胞(infiltrating cells)は完全に染色性を失っていることを示している。(造血系の成熟細胞がp66 Shcを失っていることは周知である)。もしこの全体の腫瘍が抽出され、Shcに関して免疫ブロットされた場合、浸潤性のリンパ球が多量なので、腫瘍細胞がp66 Shcを失っていると不正確に結論づけるであろう、従って免疫組織化学的な分析によるp66 Shcを評価する我々のアプローチの重要性が強調される。これがPY−Shc染色に関して観察された際に、プレ免疫血清は如何なる非特異的なバックグランド染色も生じなかった(図6、プレ−免疫)。p66 Shcに関する乳癌の免疫組織化学的な評価の詳細を以下に記載する。
p66Shc CH2ドメインに対して特異的なモノクローナル抗体
発現され、精製され、そして品質を調節されたグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(Gst)−p66 Shc CH2融合タンパク質(上記を参照されたい)を使用して、10 BALB/cマウスを免疫した(50 gを40 1のTitermax(Cytrex), アジュバント中に)。何回かのブースト後に2匹のマウスは高い力価の抗体を産生し、これらの抗体は、ELISAによりCH2 ドメインを認識し、乳房細胞の洗剤抽出物からのp66 Shcを特異的に免疫沈降して免疫ブロットし、p66 Shcを特異的に乳癌の免疫組織化学的な分析において認識した。少なくとも1月の休養後、これらのマウスのうち1匹をday−4に40μgの可溶性GST−CH2(アジュバントなし)で免疫し、また他のマウスをday−3に40μgの可溶性GST−CH2を静脈内注射して免疫した。次にday 0に、前記マウスを安楽死(二酸化炭素吸入により)させ、彼らの脾臓を無菌的に摘出し、脾臓細胞を回収し、X8−653骨髄腫融合パートナーと融合させた、この際、ハイブリドーマ・キット(StemCell Technologies)を用いて製造者の指示に従って実施した。day 1に、細胞を10、100mmの組織培養プレートに播種した(このプレートはメチルセルロース含有培地にアミノプテリン選択薬を含有させたものを含んでいる)。12日後、各プレートは約400個のクローンを含んでいた。
8から10プレートから960クローンを採取し、そして96ウェルの液体培養に移した。培養の3−4日後、上清の培養液をELISAで試験して、組換え型のGST−CH2に対する反応性を、GSTを含有する無関係の融合タンパク質(GST−CH1)に対する反応性と比較した。90のハイブリドーマの上清(GST−CH2に対して最大の反応性を有するが、無関係のGST−CH1に対しては僅かな反応性を有するか又は反応性を有さない)を、免疫ブロットによって及びMDA−MB−453細胞のクローン(改変されて正常なレベルのp66 Shcを発現する)からの免疫沈降によって、p66 Shcを特異的に認識する能力に関して更に様々に試験した。
6つのハイブリドーマ抗体は、特異的にp66 Shcを免疫ブロットした;少なくとも8は、特異的にShcを免疫沈降した(図8を参照されたい)。これらの抗体の6つを試験したところ、少なくとも4つ(クローン6E12、6G9、7C10、および8C6)はp66 Shcを乳癌切片の免疫組織化学的染色において認識し、1つの抗体(8C6)はポリクローン性のウサギ抗p66(図6に示された)と匹敵する染色性を有することが明らかとなった。また、8C6モノクローナル抗体は、p66 Shcを免疫沈降(図7)および免疫ブロットすることに関して最も効率的な抗体であり、pan−Shcの市販の抗体に匹敵する又は該抗体よりも良い抗体である。アイソタイプ分析により、全ての効果的なハイブリドーマがIgG1またはIgG2aであることが示された(例えば、6G9および8C6はIgG2aである)、それゆえに彼らはプロテインAと非常に強く結合するという、精製のために及び多様な免疫学的なアッセイ/手順に使用するために非常に有用な性質を具備している。前記モノクローナル抗体を、過成長したハイブリドーマ培養上清から、プロテインAセファロース4B−アフィニティークロマトグラフィーを用いた当業者に周知の標準法で精製した。
他のモノクローナル抗体は8C6により認識されないp66 Shc上の異なるエピトープを認識する限り、前記抗体の貯蔵(pooling)により免疫組織化学的な分析に関する特別な利点が提供され、係る抗体の貯蔵により付加的な(additive)シグナルが提供され且つアッセイ感受性が増加する。更に、未変性の細胞抽出物において、いくつかのエピトープはp66 Shcと結合する細胞タンパク質により隠されてかもしれない:従って機構的な研究として、他のエピトープに対する抗体によって、p66 Shcのサブポピュレーション(これは係る他のタンパク質と相互作用する)を免疫沈降することが可能であろう。
Rα Shc抗体(この抗体は、全てのリン酸化または非リン酸化したShcアイソフォームを認識する)、および4G10モノクローナル抗体(この抗体はホスホチロシンを認識する)を、アップステートバイオテクノロジー(Upstate Biotechnology Inc. Lake Placid, NY)から購入した。
細胞
HBL−100細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション[ATCC], Rockville, MD)は、非腫瘍化のヒト乳房上皮細胞株であり、高レベルのEGFレセプターを発現する。HBL−100/wt Shc 26およびHBL−100/dn Shc 17は、それぞれ野生型p52Shc−GSTまたはドミナントネガティブ変異体p52ShcY317F−GSTの何れかのcDNA(構成的なEF1αプロモータにより駆動される発現を伴う)を保持するpEBGベクターでのリポフェクタミン・プラス(Lipofectamine− Plus)トランスフェクションの後にG418で選択圧をかけて得られた[方法の詳細に関しては、42を参照されたい]。SKBR3細胞(ATCC)およびMDA−MB−453細胞(ATCC)は、形質転換した上皮細胞株であり、EGF受容体ファミリーのErbB2メンバーを過剰発現するヒト乳癌に由来し、それゆえに構成的にチロシンリン酸化したShcを有している。SKBR3は、非常に少量のp66 Shc、並びに正常な量のp52およびP46 Shcを発現しており;MDA−MB−453はp66 Shcアイソフォームを発現していない。これらの細胞株の全ては、10%ウシ胎児血清(ギブコ)、およびpen/strep 1X 抗生物質(ギブコ)を添加したIMDM(ギブコ)中で、37℃、5%二酸化炭素、加湿した大気中で培養された。
抗体に対するELISA
イミュンロン(Immunlon)IIマイクロタイターウェルを、PY−Shcまたはp66Shc CH2ペプチド(1μg/50μll)でPBS中でコートし、1%BSA(PBS中で)でブロックし、次に各々試験するウサギ抗体またはモノクローナル抗体と、ホースラディッシュペルオキシダーゼをウサギ免疫グロブリンに対するロバ抗体(または必要に応じて、ウサギ抗マウス免疫グロブリンに)に連結した抱合体と、そして最終的に色素生産性HRP基質であるO−フェニレンジアミン(O−phenylenediamine)と逐次インキュベーションした。ABS 450nmをモニターした。
免疫沈降および免疫ブロット
細胞を、EGF(100ng/mlで10または20min)で指摘のとおりに刺激するか又は刺激せず、次に1%Triton X−100で緩衝剤(プロテアーゼ、キナーゼおよびホスファターゼ阻害物質を含有している)中で抽出した[38]。
タンパク質を、ShcまたはPYに対する、新しい抗体または市販の抗体の何れかで免疫沈降した。これらの抗体をプロテインA−セファロース4B−ビーズ(シグマ)に前結合(pre−bound)させ、次にジメチルピメリミデート(DMP)でクロスリンクして安定化させた[38]。免疫沈降したタンパク質を、SDS−PAGEにより分離し、ニトロセルロース膜に転写し、そして特定の抗体で免疫ブロットした。結合した抗体を、次に増強化学発光(ECL, アマシャム)により検出した。
免疫細胞化学
細胞をチャンバースライドに播種し、約60−65%コンフルエンスに達するまでインキュベーションした。細胞を、いくつかのチャンバーをEGF(100ng/mlで20min)で刺激する前に、フェノールレッド非含有培地中で血清飢餓させた。
細胞をPBSでリンスし、次に10%緩衝ホルマリンで10分間固定した。免疫細胞化学的な染色を、製造者にしたがって、触媒シグナル増幅(CSA;Catalyzed Signal Amplification)ペルオキシダーゼ・システム(DAKO, Carpinteria, CA)を用いて、CSAアンシリアリー(Ancilliary)システム(DAKO)で標的捕獲(Target Retrieval)した後に実施した。一次抗体:MαPtyr(5μg/ml);RαShc(5μg/ml);ウサギ#58免疫前(Pre−Immune)(70μg/mlまたは7μg/ml);ウサギ#58(10μg/mlまたは1μg/ml);ウサギ#405 p66−免疫前(80μg/mlまたは8μg/ml);およびp66に対するウサギ#405抗体(40μg/mlまたは4μg/ml)を、バックグランド減少コンポーネント(Background Reducing Components;CSAアンシリアリーシステム)に希釈し、個々の細胞サンプルを1h室温でインキュベートした。一次抗体を、ビオチン化ウサギ抗マウスまたはヤギ抗ウサギ、又はHRPを抱合させた二次抗体のうちの1つで15−30分間インキュベーションすることにより検出した。
腫瘍組織および患者試験集団(the Patient Study Population)
保存され、ホルマリン−固定され、パラフィン包埋された未染色の標本を、ロジャーウイリアムス癌センター腫瘍登録所の情報に基づいて病理学部から入手し、患者の記録とクロス・チェックした。1990から1995に乳癌と診断された、97個体の以前に未治療の患者から摘出された腫瘍を、遡及研究(retrospective study)に利用した。研究集団は、63yrsの年齢の中央値を診断時に有し、6患者はAJCステージ0(DCIS)、39はAJCステージ1、43はAJCステージ2、5はAJCステージ3、および4はAJCステージ4疾患を有する患者から構成され、5.9年の平均追跡時間(mean follow−up time)を有し、5年以前に疾患が再発した患者は除外されている。外科的処置に加えて、患者は引き続いて、多様な、放射線治療、ホルモン、タキソールまたは化学療法を受けた。転移性疾患ではない93の患者のうち、64は腫瘍細胞に関して節ネガティブであった。全体で、17患者が再発性疾患(recurring disease)を生じ、そのうち15はAJCステージ<4であった。
免疫組織化学
我々の腫瘍登録所を介して同定された、保存され、ホルマリン固定され、パラフィン包埋された腫瘍標本を、回収し、5ミクロンの切片に切断し、スライド上にマウントし、キシレンおよびエタノールを用いて脱パラフィン処理し、そしてPY−Shcまたはp66 Shcに対する我々のポリクローン性のウサギ抗体(またはp66 Shcに対するモノクローン性のマウス抗体)で触媒シグナル増幅(CSA)ペルオキシダーゼ・システム(DAKO, Carpinteria, CA)を用いて、CSAアンシリアリーシステム(DAKO)での標的捕獲および内在性のペルオキシダーゼ消光した後に染色した(キットの指示に従って)。
一次抗体:MαPtyr(5μg/ml);RαShc(5μg/ml);αR58免疫前(Pre−Immune)(70μg/mlまたは7μg/ml);αR58(10μg/mlまたは1μg/ml);αp66−免疫前(80μg/mlまたは8μg/ml);およびαp66(40μg/mlまたは4μg/ml)を、バックグランド減少コンポーネント(CSAアンシリアリーシステム)に希釈し、個々の細胞サンプルを1h室温でインキュベートした。
一次抗体を、ビオチン化ウサギ抗マウスまたはヤギ抗ウサギ、又はHRPを抱合させた二次抗体のうちの1つで15−30分間インキュベーションすることにより検出した。抗原−抗体シグナルを、抗原部位でのジアミノベンチジン(DAB)沈殿により検出した。
免疫組織化学的な評点システムには、腫瘍性の腺性組織の染色強度(強度=I, 0−5スケール)、および6つの可能性のある強度の各々で染色される腺性組織のトータルフラクション(分布=D, 0−10スケール, ここで10=腫瘍組織の100%, 5=50%, etc)の推定が含まれる。全体の腫瘍組織に関して平均的な染色強度に達するまで、染色強度の積(products)及びそれらの個々の分布の合計をとり、次に結果を最終インデックス(final index;DI)に達するまで測定(scaled)する(該インデックスは0から1の範囲を取りうる)。式は、即ち:
DI={[(強度スコア+分布スコア/2)]/X}/10、ここで:強度スコア=1から5(0=ネガティブ、バックグランド染色のみ)
1=低レベル、点状(punctate)および非均質(non−uniform)の染色パターン
2=低レベル、点状および均質の染色パターン
3=低レベル、均等に分布した(evenly distributed)細胞染色パターン
4=中程度レベル、均等に分布した(evenly distributed)細胞染色パターン
5=高レベル、均等に分布した(evenly distributed)細胞染色パターン
分布スコア=管領域染色ポジティブ(ductal region staining positive)(10=100%;5=50%, etc.)
X=異なる強度スコアを有する領域の数
(例えば:[(5+2/2)+(4+5/2)+(2+3/2)/3]/10=0.53、これは5の強度で染色されたバイオプシーの20%、4の強度で染色された50%、および2の強度で染色された30%を意味する)
PY−Shcおよびp66 Shc染色の指標の双方が独立したマーカーとして使用できるのみならず(以下のデータを参照されたい)、上記で議論した生化学的な機能から、任意の特定の腫瘍における(または、更に好ましくは、腫瘍は不均一なので、任意の1細胞における)PY−Shcのp66 Shcに対する相対的な染色レベルにより、腫瘍の潜在的な攻撃性に関する更に有用な指標が提供されるだろうことが期待された。結果的に、これはPY−Shcのp66 Shcに対する指標の比率を計算することにより与えられた。
全範囲の染色強度に関するスコアリングシステム(scoring system)の例は、前立腺癌標本およびPY−Shc染色を用いて図8に示される。具体例として、相対的なPY−Shcおよびp66−Shc染色(乳癌を有する2患者における)を図9に示す。
Shcマーカーの予後の有用性(早期ステージの及びノンディゲネーティブ(nondenegative)な乳癌)
AJCステージ0から4の乳癌を有する患者から構成される試験集団の予備的分析我々の研究集団(彼らのうち17が再発性疾患を生じた)における97患者に関するPY−Shcおよびp66の染色指標の分析によって、有意な可変性(variability)が明らかとなったが、疾患が再発した患者と疾患が再発しなかった患者とに対する値の間に明らかな差が存在していた(特に比(Ratio)インデックスに関して)(表1)。
Figure 2010145410
カプラン・マイヤー(K−M)「生存」曲線〔「疾患再発(Disease Recurrence)」曲線、全ての統計分析は「インタークーラースタータ(Intercooler Stata)」統計ソフトウェア(Stata Corporation, College Station, Tx)を用いて実施された〕は、全体で26%の再発を5年間の追跡で示した(図10)。Cox比例ハザード分析(Cox Proportional Hazards analysis)は、優れたモデル適合(model fits)を示し、それは27のハザード比率(Hazards Ratio)を有するPY−Shc指標を有し(0.005の高度に有意なP>|Z|)、p66−Shcは、0.34(Shcタンパク質のバイオロジーから予測されたものとほとんど同じ)のネガティブな(<1)ハザード比率に対してある傾向(しかし、有意なP値ではない)を有していた。Shc比インデックスは、1.89のポジティブな危険率(Hazards Ratio)を有していた(0.016の有意なP値を有する)。実際、カプラン・マイヤー曲線をPY−Shcおよびp66 Shcのゼロ化値(zeroing values)に対して数学的に調整することによって、腫瘍再発の理論的なリスクが事実上(virtually)除外される(26%から3.6%に、図10を参照されたい)。
PY−Shc値を低(<0.33)または高(>=0.33)およびShc比インデックスを低(<0.65)および高(>=0.65)に二分化(Dichotomizing)した結果、劇的に異なるK−Mプロットが作成された(図11)。
二分化されたPY−Shc「生存(Survival)」曲線のLogランク試験(Rank test)比較によって、高いPY−Shc患者が非常に有意に高い比率の疾患再発を(低いPY−Shc集団と比較して)実際に有していることが明らかとなった〔P>X0.01(P>X of 0.01)〕。高比率(High Ratio)の患者に関して、同様の結論に達した。低いPY−Shcおよび低い比率の患者は、高いPY−Shc(28%)および高い比率(34%)の患者と比較して、非常に低い割合で再発性疾患を患う(それぞれ9%および7%、表2を参照されたい)。
Figure 2010145410
早期のAJCステージ0およびステージ1の疾患を患う患者
100,000以上の女性が、2002年に早期ステージの乳癌(ステージ0またはステージ1)と診断されると推定される。この大きく臨床的に問題のあるグループの女性に関して信頼できる予後マーカーは存在しないので、AJCステージ0および1の癌(45被験者において10例の再発性疾患)の亜集団におけるShcマーカーの予測値(prognostic value)が確定された。
ステージ0、1患者のK−MプロットをPY−Shcおよびp66 Shcのゼロ化値に対して調整することによって、腫瘍再発の理論的なリスクが再び大きく減らされた(37%から2.3%、図12を参照されたい)。Cox比例ハザード分析は、PY−Shcおよびp66 Shcに対して優れたモデル適合およびP値を示し、また極度に有意なShc比インデックスを示した{5.0 (P>0.001) 表3を参照されたい}。ハザード比率は、PY−ShcおよびShc比インデックスに関して1.0よりも非常に大きく、このことはPY−ShおよびShc比インデックスの増加している値が疾患再発の非常に増加しているリスクと関連していることを示している。逆に、ハザード比率は、p66−Shcに関して1.0よりも非常に低く、このことはp66−Shcの減少している値が疾患再発の非常に増加しているリスクと関連していることを示している。
Figure 2010145410
また、これらの初期のAJCステージ患者(該患者に関して、良好な予後の指標が利用可能ではない)に関してさえ、再発性疾患の割合は低いShc比(6%再発)を有する患者においては全体集団(22%再発)と比較して非常に低かったが、高いShc比を有する患者は再発性疾患の非常に高い割合(62%再発)を全体集団(22%、表4を参照されたい)と比較して有していた。低および高Shc比のグループへと二分化された「生存」曲線のLogランク試験(図12)によって、高いShc比を有する患者に関する再発性疾患の高度なリスク(低いShcと比較して)(62% vs. 6%)が、非常に有意であった(P>Chi0.0007)ことが明らかとなった。
Figure 2010145410
節ネガティブな乳癌を有する患者
さらに大きい割合の乳癌患者(全てのステージ0、1、多数のステージ2および少数のステージ3患者から構成される)は、局所のリンパ節に検出可能な程度に伝播していない疾患を有している(節ネガティブな患者)。これらの患者はエストロゲン受容体の状態、腫瘍サイズおよび相対的に低リスク群および高リスク群への組織学的グレードに基づいて細分されるが[1]、異なるリスク群分類は非常に不十分な予測の手段(tool)を提供する。以上のことから、患者(61患者、そのうち13が再発性疾患を発症した)のこのサブセットにおけるPY−Shcおよびp66−Shcレベルを分析した。これらの節ネガティブ患者のK−MプロットをPY−Shcおよびp66 Shcのゼロ化値へと調整することによって、腫瘍再発の理論的な割合が30%から4.6%(図13)へと大きく減少し、このことは腫瘍再発の多くが高くなったPY−Shcおよび低下したp66−Shcレベルによると説明できることを示唆している。Shc比インデックスのCox比例ハザード分析は、優れたモデル適合(Chi=6.2, 確率>Chi0.013)および高度に有意な(P>0.005)ハザード比率(3.2)(表5を参照されたい)を示した。
Figure 2010145410
さらにまた、これらの節ネガティブ患者(該患者に関して、良好な予後の指標は利用可能ではない)に関してさえ、低いShc比の患者は再発性疾患の非常に低い割合(8.5%再発)を全体集団(21%再発)と比較して有していたが、高いShc比の患者は再発性疾患の非常に高い割合(56%再発)を全体集団と比較して有していた。
Figure 2010145410
二分化されたShc比「生存」曲線のLogランク試験比較(図13)は、非常に有意な高い比率の疾患再発率が高いShc比(56%, 9/16患者)を有する患者間に存在することを示しており、それは低いPY−Shc比を有する患者間に存在する値よりも高かった{8.5%, 4/49患者, X=16.3, 確率>X <<0.001〔Probability > X of << 0.001〕}。
我々の節ネガティブな患者を最近定義された「一致した低リスク(Consensus Low Risk)」および「一致した高リスク」群へとカテゴリー化することによって、一致したリスク分類および二分化された低および高Shc比分類の能力を、腫瘍再発を正確に予想すること及び腫瘍再発の予想に不正確に失敗することに関して比較した。図14に示されるとおり、再発性疾患を、どの患者が罹患して、どの患者が罹患しないかを一致した分類(Consensus classification)は予測することができなかった。対照的に、Shc比インデックスは、患者を低および高リスク群に正確に分類した。
低いShc比の群の患者は僅か13%の再発性疾患の発生率を有していた、一方で高いShc比の群の患者は60%の再発性疾患の発生率を有していた。
対照的に、一致したパネル分類(Consensus Panel’s classification)は非常に不十分であり:その「低リスク」群において、(数において少ないのではあるが)その7患者のうち3患者が再発性疾患を有していた(43%)、一方、その「高リスク」群において、その39患者のうち10患者が再発性疾患を有していた(26%)。
要約すると、Shcマーカーの使用(PY−Shcまたはp66 Shcの測定を単独で、しかし、好ましくは比率として共に使用して)によって、これまで不可能であった技術が提供され、乳癌患者を、再発性疾患を罹患する非常に高い尤度(likelihood)を有する乳癌患者と再発性疾患を罹患する非常に低い尤度を有する乳癌患者とに類別(categorize)する。何百何千の女性の各人に対する、臨床上の影響力およびクォリティーオブライフの改善は莫大なものであろう。現状で集中的な(intensive)アジュバント治療を推奨された多くの女性に関して、その病的状態(morbidity)および費用を抑制することができるであろう、一方、再発性疾患を罹患する他の患者(この患者等は現在不適切に集中的なアジュバント治療を推奨されていないので)は、これからは自身のShcマーカーのレベルに基づいて、集中的なアジュバント治療が推奨されるであろう。
Shcマーカーの適切な有用性(likely usefulness)は、乳癌における詳細に説明された有用性を超えて、前立腺癌および多くの他の癌にも同様に明らかに拡大される。前立腺癌におけるShcマーカーの予備的な調査は、我々が予想したとおり、強度における有意な可変性(variability)および他のマーカー(それ自身は前記疾患のステージと単に相関する)での不整合(discordance)、を実証する。
例2
乳癌は、女性が診断されるもっとも一般的な癌であり、米国単独で毎年約200,000の新しい症例が発症している[1]。乳癌の最初の発生、同様にその攻撃性の程度は、多様な成長因子及びそのレセプター(例えば、HER−2/neu、他のEGFレセプターファミリーメンバー、およびIGF−1)からの、インテグリンからの、及びGタンパク質共役型レセプターからのシグナル伝達によって部分的にコントロールされる。実質的に全てのこれらのシグナルには、1以上のチロシンキナーゼが関与している。
現在、国立癌研究所は、95以上の臨床試験を開始または計画しており、これらの試験は多数のチロシンキナーゼ阻害物質(TKI)を用いたもので、この阻害物質はHer−2/neu、EGFレセプターまたは任意の他の数個の受容体および非受容体型チロシンキナーゼに特異的なものである。しかしながら、これらの試験は一般的に、どの患者が任意の単一の又は組み合わせのTKIsに反応すると思われる腫瘍を有することを予測する、臨床家の能力の欠如により大きく妨げられている。
Shcチロシンリン酸化は、本質的に悪性の表現型に関与し、また攻撃的な腫瘍のレポーターとして機能するので、我々はPy−ShcがTKIsの抗腫瘍有効性のインビトロ予言者として使用できることを予測する。係るアッセイは、開発(フェーズ2および3の臨床試験)および究極的なチロシンキナーゼ阻害物質(乳癌を治療するための)の使用の双方に対して大きな影響力を有しているだろう。臨床家は、乳癌に対するアジュバント治療を合理化(streamline)でき、それに反応する可能性のある患者の腫瘍にだけ、それを投与できる。このアッセイは前立腺、卵巣、および他の癌に同様に有用であると思われる。
材料および方法
ヒト乳癌細胞におけるShcチロシンリン酸化が、組織培養における効果的なTKIsへの短時間(<2hr)の曝露によって阻害できることが以前から示されている[54, 16]。ヒトの乳房腫瘍に関して、係るアッセイは、摘出した原発腫瘍を18g針でコアリングすること及びそのコアを0.5mmのディスクにスライスすることを含むだろう。ディスクはHank’s溶液でリンスされ、96ウェル組織培養プレートのウェル中に配置され、このウェルの各々には1以上のTKI(100μlのHanks中)が含有されており、約2hrs、37°Cで5%C02チャンバー中で処理されるだろう。組織のディスクは、次に回収され、固定され、パラフィン包埋され、そしてPY−Shcの定量的な免疫組織化学的な染色に対して処理されるだろう。腫瘍PY−Shcのレベルを減少させるTKIsの能力は、これらのTKIsに対する腫瘍の感受性と相関することが予測される。
例3
発明の付加的な態様
免疫学に基づくアッセイ
(a)免疫組織化学的なアッセイ(このアッセイでは、PY−Shcおよびp66 Shcが2色染色システムを用いて同時に検出される)。
(b)免疫組織化学的なアッセイ(このアッセイでは、PY−Shcおよびp66 Shcが免疫蛍光タグおよび蛍光顕微鏡を用いて、別々に又は同時に検出される)。
(c)PY−Shcおよびp66 Shc(腫瘍細胞から抽出された)の免疫ブロット。
この方法は、原理的に望ましく、実際にはホストのストローマ細胞、非癌性の腺性組織および免疫細胞の浸潤物によって、腫瘍におけるPY−Shcおよびp66 Shcの見積もりが大きく歪む場合に望ましい。例えば、リンパ系の浸潤細胞ではp66 Shcが欠乏し、また腫瘍(例えば、図6に示される)は、免疫ブロットによって、p66 Shcが非常に欠乏しているように思われるが、実際には腫瘍細胞自身ではp66 Shcが豊富である。
(d)ELISAに基づくアッセイ、サンドイッチおよび競合タイプ
サンドイッチELISAでは、pan−抗−Shcを腫瘍抽出の捕獲抗体として使用できる、次にPY−Shc特異的およびp66 Shc特異的な抗体を検出に関して使用できる。或いは、前記抗体を逆の順序(order)で使用できる。
(e)フローサイトメータによるアッセイ、このアッセイでは、腫瘍細胞は互いに及びストローマと、当業者に既知の通常の酵素処理(例えば、ディスパーゼ、コラゲナーゼ処理など)を用いて分離されるだろう、次に随意に腫瘍細胞はストローマ細胞から分離され(密度遠心分離、例えば)、前記細胞は固定および透過処理(permeablizing)(70%エタノールなどの標準の処理を用いて)され、次にPY−Shcおよびp66−Shcに関して一色または二色で、蛍光性タグ化された一次または二次抗体(またはビオチン/アビジンシステムなど)で染色され、および随意的に乳房(癌)細胞に特異的な(例えば、MUC−1)第三の抗体(直接的または間接的に第三のフルオロフォアでタグ化された)が添加される。1、2または3色のフローサイトメトリー分析により、個々の細胞において、PY−Shcおよびp66−Shcレベルを定量化できた。
(f)更なる態様は、Y317チロシンリン酸化部位よりもむしろ(或いは前記部位に加えて)、ShcにおけるY239および/またはY240のチロシンリン酸化部位に対するPY−Shc抗体を用いた免疫アッセイである。
(g)上記「c」に記載されたものに類似する免疫アッセイであるが、pan−Shc抗体での免疫沈降、および引き続くホスホチロシンに対するpan−特異的な抗体(例えば、上述の4G10モノクローナル抗体)での免疫ブロットを組み合わせたもの。
PY−ShcおよびP66 Shcに対する非免疫学的なアッセイ
(a)新規方法が最近開発され、その方法は個々のタンパク質の量、および更には特定のアミノ酸が翻訳後修飾されたタンパク質の量さえも定量する能力を有する。
最近記載された、そのような方法の1つは、単一細胞(single cell)マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間マススペクトロメトリー(Maldi−TOF)[52, 53]である。
単一細胞 MALDI TOFは、個々の腫瘍細胞における又は腫瘍細胞のグループにおけるPY−Shc(P[317]Y−Shc、P[239,240]Y−Shc、または双方)およびp66 Shcの量を連続的に決定できた。
(b)上記「c」および「g」に記載されたものに類似するブロッティングアッセイであるが、PY−Shcに対して特異的なリガンド(例えば、これに限定されないが、アダプタタンパク質 Grb2のSH2ドメイン)を用いたもの。このアッセイにおいて、Shcは、腫瘍細胞抽出物から、pan−Shc抗体を用いて免疫沈降されるだろう、次にリガンド(Grb2−SH2ドメイン)によりプローブ(probe)されるだろう。PY−Shcに結合したリガンドの一定量を、ブロット上に局在化でき、そしてGrb2−SH2ドメインと反応する試薬を用いることによって定量できた。この試薬は、Grb2−SH2ドメインに対するHRPタグ化抗体(HRP−tagged antibody)、同様にGrb2−SH2ドメインと融合または連結されたタグ化された人工的なエピトープ(例えば、GST、FLG、HIS、またはビオチン)に対する抗体であってもよい。
或いは、前記Grb2−SH2ドメインは、HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)またはアルカリホスファターゼなどのレポーター酵素と直接連結し得る。
PY−ShcおよびP66 Shc並びに他の変異体に関するアッセイの組み合わせにより、細胞の遺伝子/タンパク質が増幅または活性化された。
ある種の癌遺伝子(oncogenes)/発癌性タンパク質(oncogenic proteins)による腫瘍性転化(Neoplastic transformation)は、少なくともRas/MAPキナーゼに対するPY−Shcシグナル伝達経路の活性化を要求しないと信じられている。
このような変化には、構成的に活性なRasタンパク質を産生するRAS遺伝子の変異が含まれるであろう。
このことが乳癌において発生する頻度は相対的に低いが、このようなRasの変異または別の非Shc依存的な活性化(例えば、活性化したプロテインキナーゼCによる)によって、PY−Shcおよびp66 Shcマーカーにより検出されるとは思われない攻撃的な乳癌のいくつかを説明できた。
同様に、c−Mycの過剰発現または活性化によって、Shc経路とは独立に細胞増殖を生じさせることができた。以上のように、Mycレベル/活性における変化によっても、Shcマーカーにより検出されるとは思われない攻撃的な乳癌のいくつかを説明できた。
従って、Shcマーカーに関するアッセイに対して異常なRasおよびMycレベル/活性の免疫組織化学的な又はインサイチュー(in−situ)PCRに基づく検出を付加することにより、患者が再発性疾患の高リスク群に指定される精度(accuracy)が更に改善されることが期待できる。
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[参照文献]
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Claims (70)

  1. 乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍細胞に存在するp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、前記腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、p66−Shcの量のみが決定される方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、リン酸化Shcの量のみが決定される方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、p66−Shcおよびリン酸化Shcの双方の量が決定される方法。
  5. 乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍細胞に存在する、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、前記腫瘍細胞が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法。
  6. 請求項1または5に記載の方法であって、前記腫瘍細胞がヒト腫瘍細胞である方法。
  7. 請求項1または5に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が被験者(該被験者のリンパ節には腫瘍細胞が存在しない)から取得される方法。
  8. 請求項1または5に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が乳房腫瘍細胞である方法。
  9. 請求項1または5に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が前立腺腫瘍細胞である方法。
  10. 請求項1または5に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が卵巣腫瘍細胞である方法。
  11. 請求項1または5に記載の方法であって、前記の決定する工程が、p66−Shcまたはリン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体の使用を含む方法。
  12. 請求項1または5に記載の方法であって、前記の決定する工程がフローサイトメトリーまたは免疫組織化学の使用を含む方法。
  13. 請求項1または5に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が分離される方法。
  14. 請求項1または5に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が組織サンプル内に存在する方法。
  15. 被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍の癌性細胞に存在するp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法。
  16. 請求項15に記載の方法であって、p66−Shcの量のみが決定される方法。
  17. 請求項15に記載の方法であって、リン酸化Shcの量のみが決定される方法。
  18. 請求項15に記載の方法であって、p66−Shcおよびリン酸化Shcの双方の量が決定される方法。
  19. 被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍の癌性細胞に存在する、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法。
  20. 被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々におけるp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法。
  21. 被験者における、乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々における、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、前記腫瘍が攻撃的であるかどうかを決定することと、を含む方法。
  22. 請求項15、19、20または21に記載の方法であって、前記被験者がヒトである方法。
  23. 請求項15、19、20または21に記載の方法であって、前記被験者のリンパ節には腫瘍細胞が存在しない方法。
  24. 請求項15、19、20、または21に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が乳房腫瘍細胞である方法。
  25. 請求項15、19、20、または21に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が前立腺腫瘍細胞である方法。
  26. 請求項15、19、20、または21に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が卵巣腫瘍細胞である方法。
  27. 請求項15、19、20または21に記載の方法であって、前記の決定する工程が、p66−Shcまたはリン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体の使用を含む方法。
  28. 請求項15、19、20または21に記載の方法であって、前記の決定する工程がフローサイトメトリーまたは免疫組織化学の使用を含む方法。
  29. 請求項15、19、20または21に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が組織サンプル内に存在する方法。
  30. 乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、前記被験者の一次治療後に前記腫瘍の再発を患う尤度を決定する方法であって、前記腫瘍の癌性細胞に存在するp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法。
  31. 請求項30に記載の方法であって、p66−Shcの量のみが決定される方法。
  32. 請求項30に記載の方法であって、リン酸化Shcの量のみが決定される方法。
  33. 請求項30に記載の方法であって、p66−Shcおよびリン酸化Shcの双方の量が決定される方法。
  34. 乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、前記被験者の一次治療後に前記腫瘍の再発を患う尤度を決定するための方法であって、前記腫瘍の癌性細胞に存在する、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法。
  35. 乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、前記被験者の一次治療後に前記腫瘍の再発を患う尤度を決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々におけるp66−Shcおよび/またはリン酸化Shcの量を決定することと、およびそのように決定された量を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法。
  36. 乳房、前立腺、または卵巣の腫瘍を患っていると診断された被験者に関して、前記被験者の一次治療後に前記腫瘍の再発を患う尤度を決定するための方法であって、前記腫瘍に存在する複数の癌性細胞の各々における、p66−Shcのリン酸化Shcに対する比率および/またはリン酸化Shcのp66−Shcに対する比率を決定することと、およびそのように決定された比率を既知の標準と比較して、再発の尤度を決定することと、を含む方法。
  37. 請求項30、34、35、または36に記載の方法であって、前記被験者がヒトである方法。
  38. 請求項30、34、35、または36に記載の方法であって、前記被験者のリンパ節には腫瘍細胞が存在しない方法。
  39. 請求項30、34、35、または36に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が乳房腫瘍細胞である方法。
  40. 請求項30、34、35、または36に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が前立腺腫瘍細胞である方法。
  41. 請求項30、34、35、または36に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が卵巣腫瘍細胞である方法。
  42. 請求項30、34、35または36に記載の方法であって、前記の決定する工程が、p66−Shcまたはリン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体の使用を含む方法。
  43. 請求項30、34、35または36に記載の方法であって、前記の決定する工程がフローサイトメトリーまたは免疫組織化学の使用を含む方法。
  44. 請求項30、34、35または36に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が組織サンプル内に存在する方法。
  45. 請求項30、34、35または36に記載の方法であって、前記一次治療が、外科的処置、放射線照射、ホルモン治療および化学療法からなる群から選択される治療を含む方法。
  46. p66−Shcと特異的に結合する単離された抗体。
  47. リン酸化Shcと特異的に結合する単離された抗体。
  48. 請求項46または47に記載の抗体であって、前記抗体がポリクローナルである抗体。
  49. 請求項46または47に記載の抗体であって、前記抗体がモノクローナルである抗体。
  50. 請求項46または47に記載の抗体であって、前記抗体が検出可能な成分で標識された抗体。
  51. 請求項50に記載の抗体であって、前記検出可能な成分が、蛍光標識、放射性原子、化学発光標識、常磁性イオン、ビオチンまたは二次的な酵素または結合工程を介して検出できる標識である抗体。
  52. 請求項46に記載の抗体であって、ATCCアクセッションNo. PTA−4109のハイブリドーマにより産生されたモノクローナル抗体。
  53. p66−Shcと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  54. 請求項53に記載のハイブリドーマであって、ATCCアクセッションNo. PTA−4109のハイブリドーマ。
  55. リン酸化Shcと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  56. 請求項1、5、15、19、20、21、30、34、35または36に記載の方法を実施するためのキットであって、(a)p66−Shcと特異的に結合する検出可能な抗体、(b)リン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体、(c)既知の標準を産生するための試薬、および(d)使用説明書を含むキット。
  57. p66−Shcと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するための方法であって、請求項53のハイブリドーマを培養することと、およびそのように産生されたモノクローナル抗体を回収することと、を含む方法。
  58. リン酸化Shcと特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するための方法であって、請求項55のハイブリドーマを培養することと、およびそのように産生されたモノクローナル抗体を回収することと、を含む方法。
  59. 腫瘍をチロシンキナーゼ阻害物質を用いて良好に治療できるとの尤度を決定するための方法であって:
    (a)前記腫瘍からの細胞の第一サンプルを前記チロシンキナーゼ阻害物質と、前記サンプルにおいてチロシンリン酸化Shcの形成が可能であろう条件下で(前記チロシンキナーゼ阻害物質の非存在下において)、接触させることと;
    (b)前記サンプルに存在するチロシンリン酸化Shcの量を決定することと;および
    (c)工程(b)で決定されたチロシンリン酸化Shcの量と前記腫瘍からの細胞の第二サンプル(前記チロシンキナーゼ阻害物質と接触していない)に存在するチロシンリン酸化Shcの量とを比較することと(ここで、前記第二サンプルに存在するチロシンリン酸化Shcの量が前記第一と比較して多いことが、前記腫瘍を前記チロシンキナーゼ阻害物質で良好に治療できるとの尤度を示す)、を含む方法。
  60. 請求項59に記載の方法であって、前記腫瘍が、乳房腫瘍、前立腺腫瘍、または卵巣腫瘍である方法。
  61. 請求項59に記載の方法であって、前記腫瘍からの細胞のサンプルが、被験者(該被験者のリンパ節には腫瘍細胞が存在しない)から取得される方法。
  62. 請求項59に記載の方法であって、前記被験者がヒトである方法。
  63. 請求項59に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が乳房腫瘍細胞である方法。
  64. 請求項59に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が前立腺腫瘍細胞である方法。
  65. 請求項59に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が卵巣腫瘍細胞である方法。
  66. 請求項59に記載の方法であって、チロシンリン酸化Shcの量を決定することが、チロシンリン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体の使用を含む方法。
  67. 請求項66に記載の方法であって、前記抗体が検出可能に標識された方法。
  68. 請求項59に記載の方法であって、チロシンリン酸化Shcの量を決定することが、フローサイトメトリーまたは免疫組織化学の使用を含む方法。
  69. 請求項59に記載の方法であって、前記の腫瘍細胞のサンプルが組織サンプル内に存在する方法。
  70. 請求項59に記載の方法を実施するためのキットであって、別々のコンパートメントに、(a)チロシンリン酸化Shcと特異的に結合する検出可能な抗体、(b)チロシンリン酸化Shcと結合する抗体の量を測定するための試薬、および(c)使用説明書を含むキット。
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