JP2010144467A - 地盤アンカー - Google Patents

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Abstract

【課題】伝達部を複数備えた構成において、支圧板と耐荷体との結合部付近の負担を小さくできる地盤アンカーを提供する。
【解決手段】引張材(PC鋼撚り線2)と、引張材の下端部に設けられた支圧板3と、支圧板の引張材による引き抜き側と接触する耐荷体4とを備え、耐荷体が、耐荷体の周囲と地盤との間に設けられた注入材5との接触面に凹凸を有し、引張材の引き抜き荷重が、支圧板、耐荷体、注入材を介して地盤に伝達され地盤に定着される地盤アンカー1において、耐荷体として少なくとも上側耐荷体26と下側耐荷体24とを有し、上側耐荷体と下側耐荷体との間に、支圧板3と、注入材との付着力が耐荷体よりも小さい干渉緩和体11とを備え、下側耐荷体の上端部と干渉緩和体の下端部とが連結され、干渉緩和体の上端部と支圧板の下端部とが連結され、支圧板の上端部と上側耐荷体の下端部とが連結されたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、地震時における建物基礎の浮上り防止、地下水による建物基礎の浮上り防止に使用される地盤アンカーに関する。
図5に示すように、PC鋼材のような引張材2Aと、引張材2Aの下端部に設けられた支圧板3と、支圧板3の引張材2Aによる引き抜き側と接触する耐荷体4とを備え、耐荷体4が耐荷体4の周囲と地盤との間に設けられたセメントミルクやグラウト等の注入材5との接触面に凹凸6を有し、引張材2Aの引き抜き荷重を、支圧板3、耐荷体4、注入材5を介して地盤10に伝達することによって地盤10に定着される地盤アンカー1Aにおいて、支圧板3及び耐荷体4からなる伝達部7を、上下方向に複数段に備えた地盤アンカー1Aが知られている(例えば、特許文献1等参照)。当該地盤アンカー1Aによれば、引張材2Aの全体の引き抜き荷重を複数段の伝達部7により分散できる。例えば、耐荷体4を2段とすることにより、各耐荷体4の負担荷重は1/2となり、耐荷体4に必要な強度を小さく、あるいは、耐荷体4の断面寸法を小さくすることができるというものである。
特開昭63−89724号公報
しかしながら、上述した地盤アンカーによれば、支圧板3と耐荷体4とが互いに接触した状態で連結されて複数段の伝達部7を構成しているので、図2(b)に示すように、支圧板3を挟んだ上下の耐荷体4;4間で耐荷体4と注入材5との付着力の相互干渉、及び、耐荷体4に位置する注入材5と地盤10との摩擦力の相互干渉があり、下の耐荷体4の軸力が上の耐荷体4まで伝達されるため、実際には、上の耐荷体の負担荷重は1/n(段数)にはならず、1/n+αとなるため、支圧板3と耐荷体4との結合部付近の負担が、単純に全体の引き抜き荷重に耐荷体4の段数を割った負担荷重よりも大きくなるといった課題があった。
そこで、本発明は、伝達部を複数備えた構成において、支圧板と耐荷体との結合部付近の負担を小さくできる地盤アンカーを提供することを目的とする。
本発明に係る地盤アンカーによれば、引張材と、引張材の下端部に設けられた支圧板と、支圧板の引張材による引き抜き側と接触する耐荷体とを備え、耐荷体が、耐荷体の周囲と地盤との間に設けられた注入材との接触面に凹凸を有し、引張材の引き抜き荷重が、支圧板、耐荷体、注入材を介して地盤に伝達され地盤に定着される地盤アンカーにおいて、耐荷体として少なくとも上側耐荷体と下側耐荷体とを有し、上側耐荷体と下側耐荷体との間に、支圧板と、注入材との付着力が耐荷体よりも小さい干渉緩和体とを備え、下側耐荷体の上端部と干渉緩和体の下端部とが連結され、干渉緩和体の上端部と支圧板の下端部とが連結され、支圧板の上端部と上側耐荷体の下端部とが連結されたので、下側耐荷体と注入材の付着力、及び、その箇所での注入材と地盤との摩擦力が上側耐荷体に干渉しないため、支圧板と耐荷体との結合部付近の負担を小さくでき、支圧板と上側耐荷体との結合部の耐力を上げる必要がなくなるので、地盤アンカーの設計が容易となる。
下側耐荷体と干渉緩和体とが連結されてなる合成構成部における干渉緩和体の部分で合成構成部の軸力が0となるようにしたので、上側耐荷体まで伝達される合成構成部の軸力が0となることで、支圧板と上側耐荷体との結合部付近の負担を更に小さくできる。
最良の形態1
図1(a)は地盤アンカーの断面を示し、図1(b)は図1(a)のA−A断面を示し、図2(a)は地盤アンカーの軸力分布を示す。
図1を参照し、地盤アンカー1の構成を説明する。地盤アンカー1は、引張材としてのPC鋼撚り線2と、PC鋼撚り線2の下端部(先端部)に設けられた支圧板3と、支圧板3のPC鋼撚り線2による引き抜き側(後述する支圧板の円形上面14側)と接触する耐荷体4とを備え、耐荷体4が、耐荷体4の周囲と地盤10との間に設けられたセメントミルクやグラウト等の注入材5との接触面に凹凸6を有し、PC鋼撚り線2による引き抜き荷重が、複数の伝達部7及び注入材5を介して地盤10に伝達されて地盤10に定着されるものである。
伝達部7は、耐荷体4と、干渉緩和体11と、支圧板3とで構成される。耐荷体4は、注入材5との接触面となる外周面12に凹凸6を有した円筒状に形成される。干渉緩和体11は、外周面13に凹凸を有しない円筒状に形成される。支圧板3は、円板状に形成され、円形上面14と円形下面15とに貫通する貫通孔16を備える。耐荷体4、干渉緩和体11、支圧板3は、円板や円筒の中心軸が上下方向に垂直に延長するように設置される。
地盤アンカー1は、支圧板3として、1つの下端側支圧板20、1つ以上の中間側支圧板21、1つの上端側支圧板22を備え、耐荷体4として、中間側支圧板21の上側に位置する上側耐荷体26と中間側支圧板21の下側に位置する下側耐荷体24との組を、少なくとも1組以上備え、干渉緩和体11を、中間側支圧板21の数に対応した数だけ備える。尚、図1(a)では、中間側支圧板21、干渉緩和体11、上側耐荷体26、下側耐荷体24を、それぞれ1つだけ備えた構成を示している。以下、図1(a)に合わせて説明する。
下端側支圧板20の円形上面14側の外周面である上端部と下側耐荷体24の円筒の下端部とが連結される。下側耐荷体24の円筒の上端部と干渉緩和体11の円筒の下端部とが連結される。干渉緩和体11の円筒の上端部と中間側支圧板21の円形下面15側の外周面である下端部とが連結される。中間側支圧板21の円形上面14側の外周面である上端部と上側耐荷体26の円筒の下端部とが連結される。上側耐荷体26の円筒の上端部と円筒状のシース体27の円筒の下端部とが連結される。シース体27の円筒の上端部と上端側支圧板22の円形下面15とが連結される。上端側支圧板22は、地盤表面42上に打設形成された基礎コンクリート19上に設置される。尚、上述した各連結は、円板や円筒の外周面あるいは内周面に円板や円筒の中心軸に沿って螺旋状に形成されたねじ部同士のねじ結合や、円板や円筒の外周面と内周面との嵌合とねじ止め、あるいは、溶接などで実現される。
PC鋼撚り線2は、下端側支圧板20と中間側支圧板21との合計数に対応した本数以上備える。少なくとも1本の第1のPC鋼撚り線28の下端部は、下端側支圧板20の貫通孔16を貫通して下端側支圧板20よりも下方において圧着グリップ装置のような下端部固定装置30により固定される。下端側支圧板20の円筒の下端部には、下端部固定装置30を覆う下端部キャップ31が取付けられる。少なくとも1本の第2のPC鋼撚り線29は、中間側支圧板21の貫通孔16を貫通して中間側支圧板21よりも下方において圧着グリップ装置のような中間部固定装置34に固定される。尚、最良の形態1では、図1(b)に示すように、第1のPC鋼撚り線28、及び、第2のPC鋼撚り線29を、それぞれ2本づつ備えた構成例を示した。
上端側支圧板22の上面32にはくさび式固定装置のような上端部固定装置33が設けられる。第1のPC鋼撚り線28の上端部、及び、第2のPC鋼撚り線29の上端部は、上端側支圧板22の貫通孔16を貫通して、予め決められた引張力で上端側支圧板22の上方に引っ張られた後に上端部固定装置33により固定される。これにより、第1のPC鋼撚り線28、第2のPC鋼撚り線29にプレストレスが導入されて固定される。第1のPC鋼撚り線28にプレストレスが導入されて固定されたことで、下端部固定装置30と下端側支圧板20とが接触し、第1のPC鋼撚り線28による引き抜き荷重が、下端側支圧板20、下側耐荷体24、注入材5を介して地盤10に伝達され、更に、第2のPC鋼撚り線29にプレストレスが導入されて固定されたことで、中間部固定装置34と中間側支圧板21とが接触し、第2のPC鋼撚り線29による引き抜き荷重が、中間側支圧板21、上側耐荷体26、注入材5を介して地盤10に伝達されて、地盤アンカー1が地盤10に定着される。
上端側支圧板22の円形上面14には、PC鋼撚り線2の上端部及び上端部固定装置33を覆う上端部キャップ35が取付けられる。
地盤アンカー1の設置方法を説明する。まず、図外の例えば二重管ケーシングと呼ばれる掘削機械で水とともに地盤10に竪孔40を形成する。その後、竪孔40内の水中に地盤アンカー1を下端側から組み立てながら挿入した後に、竪孔40内の水を注入材5と置換することで内壁41と地盤アンカー1との間に注入材5が満たされる。尚、竪孔40内の水を注入材5に置換することで内壁41と地盤アンカー1との間に注入材5が満たされた後に、この注入材5の中に、地盤アンカー1を下端側から組み立てながら挿入していく場合もある。耐荷体周囲の注入材5を加圧して注入材5を地盤10に浸透させることで、注入材5と竪孔40の内壁41との接触面の摩擦力、即ち、注入材5と地盤10との接触面の摩擦力を維持させる。そして、地盤表面42より突出するように地盤アンカー1の上端側を組み立てた後、地盤表面42と上端側支圧板22の円形下面15との間、あるいは、地盤アンカー1を全て覆うように、基礎コンクリート19を打設する。そして、予め決められた引張力でPC鋼撚り線2を引っ張ってからPC鋼撚り線2の上端部を上端部固定装置33で固定することで、PC鋼撚り線2による引き抜き荷重が、支圧板3、耐荷体4、注入材5を介して地盤10に伝達され、注入材5と地盤10との摩擦力によって地盤アンカー1が地盤10に定着される。
尚、地盤アンカー1の下端部キャップ31と下端側支圧板20の円形下面15とで区画された先端空間には防錆油45が充填され、下端側支圧板20の円形上面14から上端側支圧板22の円形下面15より若干下の位置までの間において耐荷体4、干渉緩和体11、シース体27で形成された中央側筒内空間にはグラウトのような防錆材46が充填され、上端側支圧板22の円形下面15より若干下の位置から上端側支圧板22の円形下面15までの間においてシース体27で形成された筒内空間、及び、上端側支圧板22の円形上面14と上端部キャップ35とで囲まれた空間には、防錆油45が充填される。中間側支圧板21には、後述する合成構成部50の筒内空間に防錆材46を注入するための図外の注入ホースを当該筒内空間に導くための貫通孔51を備える。
最良の形態1によれば、注入材5との付着力が耐荷体4よりも小さい干渉緩和体11を用い、中間側支圧板21と当該中間支圧板21の下方に位置される下側耐荷体24とが干渉緩和体11を介して連結されたので、下側耐荷体24と注入材5の付着力、及び、その箇所での注入材5と地盤10との摩擦力が上側耐荷体26に干渉しないため、図2(a);(a)’に示すように、下側耐荷体24と干渉緩和体11とで形成される合成構成部50における干渉緩和体11の部分で合成構成部50の軸力分布が小さくなる。従って、上側耐荷体26まで伝達される合成構成部50の軸力が小さくなり、中間側支圧板21と上側耐荷体26との結合部付近の負担を小さくできるので、中間側支圧板21と上側耐荷体26との結合部の耐力を上げる必要がなくなり、地盤アンカー1の設計が容易となる。
最良の形態2
図2(a);(a)’に示すように、合成構成部50における干渉緩和体11の部分で合成構成部50の軸力分布が0となる地盤アンカー1を構成した。図2(a)は、注入材5との付着力が下側耐荷体24よりも小さい干渉緩和体11を用いた場合の地盤アンカー1の軸力分布を示し、図2(a)’は、更に干渉緩和体11の剛性と下側耐荷体24の剛性とを同じにした場合の地盤アンカー1の軸力分布を示す。このように、干渉緩和体11の剛性と下側耐荷体24の剛性とを同じにすることで、上側耐荷体26まで伝達される合成構成部50の軸力が0となり、中間側支圧板21と上側耐荷体26との結合部付近の負担を更に小さくできるので、中間側支圧板21と上側耐荷体26との結合部の耐力を上げる必要がなくなり、設計が容易となる。更に、干渉緩和体11の剛性と下側耐荷体24の剛性を同じにすると、早い段階で軸力分布が0となるので、干渉緩和体11の長さが短くてすむことになる。よって、長さの短い地盤アンカーにて建物基礎の浮上りが防止できる。
最良の形態3
最良の形態1の構成によれば、中間部固定装置34で固定される第2のPC鋼撚り線29の周囲に防錆油を設ける構成を備えないので、第2のPC鋼撚り線29の防錆対策が不十分である。
最良の形態3では、図3(a)に示すように、中間側支圧板21が、円形下面15から円形上面14に向けて延長するように形成されたPC鋼撚り線下端部収納溝60と、当該溝60の円形底面61と円形上面14とに貫通する貫通孔16aと、当該溝60の開口を塞ぐキャップ62とを備えた構成とした。そして、地上において、円形底面61側となる面側から中間部固定装置34を取付けたPC鋼撚り線2の上端部を貫通孔16aに通した後に、溝60内に防錆油45を充填し、当該溝60の開口をキャップ62で塞ぐことにより、第2のPC鋼撚り線29の中間部固定装置34の周囲に防錆油45を設けることが可能となる。よって、中間側支圧板21の中間部固定装置34で固定されるPC鋼撚り線2の防錆対策を図ることができる。
最良の形態4
竪孔40の深さが深くて地上における空間の高さが低い現場においては、長い耐荷体を一気に竪孔40内に挿入できないので、短い耐荷体4を1本づつ継ぎ足すようにして竪孔40内に挿入していくことにより、深い竪孔40内に耐荷体4を設置できるようにした。即ち、図4に示すように、短い耐荷体4を下端側から竪孔40に挿入して耐荷体4の上端部を地盤表面42に設けられた支持具65により支持して耐荷体4を吊るした状態として、その耐荷体4の上端に、次の短い耐荷体4を連結する。当該連結は、例えば、図1に示したような、嵌合とねじ止めによる連結とし、互いに嵌合し合う図外の嵌合片と嵌合片との間には図外のOリングのようなシール部材を設ける。
最良の形態2のように、合成構成部50を形成する干渉緩和体11の剛性と下側耐荷体24の剛性とを同じにすることが望ましいが、下側耐荷体24と近い剛性を有した干渉緩和体11を用いれば十分に効果が得られる。
(a)は地盤アンカーを示す断面図、(b)は(a)のA−A断面図(最良の形態1)。 (a);(a)’は地盤アンカーの軸力分布を示す図(最良の形態1;2)、(b)は地盤アンカーの軸力分布を示す図(従来例)。 (a)は地盤アンカーの中間部分を示す断面図、(b)は(a)のB−B断面図(最良の形態3)。 耐荷体の挿入方法を示す図(最良の形態4)。 地盤アンカーを示す断面図(従来例)。
符号の説明
1 地盤アンカー、2 PC鋼撚り線(引張材)、3 支圧板、4 耐荷体、
5 注入材、10 地盤、11 干渉緩和体、24 下側耐荷体、26 上側耐荷体、
50 合成構成部。

Claims (2)

  1. 引張材と、引張材の下端部に設けられた支圧板と、支圧板の引張材による引き抜き側と接触する耐荷体とを備え、耐荷体が、耐荷体の周囲と地盤との間に設けられた注入材との接触面に凹凸を有し、引張材の引き抜き荷重が、支圧板、耐荷体、注入材を介して地盤に伝達され地盤に定着される地盤アンカーにおいて、耐荷体として少なくとも上側耐荷体と下側耐荷体とを有し、上側耐荷体と下側耐荷体との間に、支圧板と、注入材との付着力が耐荷体よりも小さい干渉緩和体とを備え、下側耐荷体の上端部と干渉緩和体の下端部とが連結され、干渉緩和体の上端部と支圧板の下端部とが連結され、支圧板の上端部と上側耐荷体の下端部とが連結されたことを特徴とする地盤アンカー。
  2. 下側耐荷体と干渉緩和体とが連結されてなる合成構成部における干渉緩和体の部分で合成構成部の軸力が0となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の地盤アンカー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103806462A (zh) * 2014-03-13 2014-05-21 北京华电新能咨询有限公司 送电线路土层钢绞线预应力扩底锚杆基础

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