JP2010142750A - 遠心分離容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞へ与えられるダメージが極めて少なく、操作者や操作状況に関わらず、単一細胞の状態で、充分に均一に細胞が分散した細胞濃縮液を回収する。
【解決手段】細胞沈殿物を含む細胞沈殿物含有液が収容され、底部を半径方向外方に向けて所定の軸線回りに回転させられる容器本体2と、該容器本体2内に配置される吸引口4aを有し、該吸引口4aから容器本体2外へ向けて細胞沈殿物含有液を吸引する筒状の吸引管4とを備え、該吸引管4の長手方向の途中位置の内面に、吸引管4の管径方向外方に凹む凹部4bを備える遠心分離容器1を提供する。
【選択図】図1

Description

この発明は、遠心分離容器に関するものである。
従来、生体組織から幹細胞などの生体由来細胞を分離する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。生体組織を酵素で分解して得られた生体由来細胞は最終的に遠心分離により沈殿させられ、この細胞沈殿物を少量の上清と同時に回収すると細胞濃縮液が得られる。このときに、遠心分離容器内に沈殿した細胞は互いに接着して凝集しているため、配管で細胞および上清の吸引と排出(ピペッティング)とを繰り返して細胞を単一細胞の状態で均一に分散(単分散)させてから吸引して回収する。
国際公開第2005/012480号パンフレット
しかしながら、上清および細胞の吸引と排出とを繰り返すと上清内に気泡が発生しやすく、気泡に接触することにより細胞がダメージを受けるという不都合がある。
また、回収された細胞濃縮液を培養や医療に用いる場合に細胞濃縮液内の細胞の密度が不均一であると、細胞濃縮液の使用条件や使用後の結果にばらつきが生じる。しかしながら、ピペッティングの回数や吸引・排出の勢い等の条件、特に操作者が異なると、細胞の分散の程度にばらつきが生じやすく、細胞が細胞濃縮液内において十分に単分散されない可能性があるという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、細胞が受けるダメージが極めて低減され、操作者や操作状況等に関わらず、単一細胞の状態で、充分均一に細胞が分散した細胞濃縮液を効率良く回収することができる遠心分離容器を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、細胞沈殿物を含む細胞沈殿物含有液が収容され、底部を半径方向外方に向けて所定の軸線回りに回転させられる容器本体と、該容器本体内に配置される吸引口を有し、該吸引口から前記容器本体外へ向けて前記細胞沈殿物含有液を吸引する筒状の吸引管とを備え、該吸引管の長手方向の途中位置の内面に、該吸引管の管径方向外方に凹む凹部を備える遠心分離容器を提供する。
本発明によれば、細胞懸濁液が収容された容器本体を回転させると、容器内の液体が遠心分離され、更にその上清分を廃棄させて残った細胞の沈殿物(ペレット)および少量の上清等を含む細胞沈殿物含有液、もしくは少量の細胞等張液等を加えてから、吸引口を有する吸引管から吸引することにより細胞濃縮液を回収することができる。
この場合に、吸引管内を吸引されている途中に細胞沈殿物含有液が凹部を通過させられると、凹部の入口において上清の流動方向が凹部の内面の形状に沿って広がって径方向の各位置において流動方向が異ならせられる。そして、凹部の出口において流動方向の異なる上清の流れが合流して互いにぶつかり合うことにより凹部内の流れに乱れが発生し、細胞と上清とが凹部内において充分に撹拌される。
すなわち、本発明によれば、細胞濃縮液を回収するときにペレット状の細胞沈殿物と少量の上清とを含む細胞沈殿物含有液を、吸引管内に一度吸引するだけで、細胞が上清内で懸濁されて充分に単分散される。これにより、操作者や操作状況によるばらつきが十分に低減され、単一細胞の状態で、充分均一に細胞が分散した細胞濃縮液を効率良く回収することができる。
また、細胞沈殿物および上清を含む細胞沈殿物含有液を、吸引口から一度吸引する操作のみでよいため、上清内に気泡が発生することがなく、細胞へのダメージが充分に低減された細胞濃縮液を回収することができる。
上記発明においては、前記凹部が、前記吸引管の長手方向に間隔をあけて複数設けられていることとしてもよい。
このようにすることで、上清内において細胞をより均一に単分散させることができる。
本発明によれば、細胞へ与えられるダメージが極めて少なく、操作者や操作状況等に関わらず、単一細胞の状態で、充分均一に細胞が分散した細胞濃縮液を効率良く回収することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について、図1〜図3を参照して以下に説明する。
なお、本実施形態においては、細胞AをLR(乳酸リンゲル)液Bで洗浄して回収する工程を例に挙げて説明する。
本実施形態に係る遠心分離容器1は、図1に示されるように、細胞懸濁液を収容する容器本体2と、該容器本体2内に挿入された外管3と、該外管3内に長手方向に沿って収納された内管(吸引管)4とを備えている。
容器本体2は、円筒状であり、底部側が先端に向かって漸次径寸法が小さくなるテーパ状に形成され、その先端には内面が長手方向に凹んで形成されたポケット部2aが設けられている。容器本体2が底部を半径方向外方に向けて遠心分離機により回転させられると、細胞Aはポケット部2a内に沈降するようになっている。また、開口は蓋2bにより密閉されている。
外管3は、蓋2bの略中央に設けられた貫通孔から容器本体2内に挿入されている。外管3は、先端面に開口3aを有し、先端面がポケット部2a内において底面から十分離れた位置に配置されている。
内管4は、先端部分が外管3の開口3aから突出し、先端面に開口した吸引口4aがポケット部2aの底面近傍に配置されている。内管4の長手方向の途中位置には、内面が管径方向外方に凹んで略球状の空間が形成された凹部4bが間隔をあけて複数設けられている。また、内管4の凹部4b以外の部分(直状部)は内径が一定の直管状に形成されている。
また、外管3および内管4は、それぞれ容器本体2外へ延びた他端にノズル3b,4cを有している。外管3のノズル3bにはチューブ5が接続され、送液ポンプ(図示略)により、LR液Bの供給と遠心分離後の上清の排出が行われる。内管4のノズル4cにはシリンジ6が接続され、ポケット部2a内に沈降した細胞Aは吸引口4aからシリンジ6内へ吸引されて回収されるようになっている。
細胞AがLR液Bと同時に吸引口4aから吸引されると、図2に示されるように、直状部から凹部4bへ進入したときにLR液Bの流動方向が径方向へ広がり、径方向の各位置における流動方向に差異が生じる。そして、凹部4bから直状部へ出るときに、異なる方向から向かってくる流れが互いにぶつかり合うことにより、凹部4b内においてLR液Bの流れに乱れが生じ、細胞AがLR液B内で撹拌される。これにより、細胞Aが複数凝集した状態で内管4内へ吸引されても、凹部4bにおいて単一細胞へ分散されるようになっている。
凹部4bは、内径の最大部分の寸法が、直状部の内径寸法に対して1.1〜3倍であることが好ましく、1.5〜2倍であることがより好ましい。凹部4bの内径の最大部分の寸法が直状部の内径寸法に対して1.1倍を下回ると、細胞AおよびLR液Bの流動方向に十分な差異が生じず、3倍を超えてもより大きな効果は期待できず、内管4の径寸法が大きくなるという不都合が生じる。
また、凹部4bの直状部に対する広がり角度は、10〜90°であることが好ましく、30〜60°であることがより好ましい。凹部4bの直状部に対する広がり角度が、10°を下回ると、細胞AおよびLR液Bの流動方向に十分な変化を生じさせるのが困難であり、90°を超えても、より大きな効果は期待できない。
また、凹部4bの長手方向の内寸法は、直状部の内径に対して1.1〜3倍であることが好ましい。凹部4bの長手方向の内寸法が直状部の内径に対して1.1倍を下回ると、細胞AとLR液Bとを撹拌させる時間を十分に確保できず、3倍を超えてもより大きな効果は期待できない。
このように構成された遠心分離容器1の作用について、図3を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る遠心分離容器1を用いて洗浄された細胞Aの細胞濃縮液を得るには、細胞Aを収容した容器本体2内へ外管3からLR液Bを供給して、開口3aからの吐出の勢いにより細胞AをLR液B内において撹拌させる。そして、遠心分離により細胞Aを沈降させたら、外管3から上清のLR液Bを排出する。このときに、LR液Bの排出は液面位置が外管3の先端面まで下がったところで止まり、2点鎖線で示されるように、ポケット部2a内に一定量のLR液Bが少量だけ残される(細胞沈殿物含有液)。
続いて、内管4のノズル4cにシリンジ6を接続してプランジャを引くと、吸引口4aからペレット状の細胞A(細胞沈殿物)と少量のLR液Bとを含む液(細胞沈殿物含有液)が吸引され、上述の内管4を通って、最終的に細胞AがLR液B内で充分に単分散された細胞濃縮液がシリンジ6内に回収される。
このように、本実施形態によれば、細胞Aが互いに凝集したペレットの状態であっても、内管4に接続されたシリンジ6のプランジャを一度引くだけで、細胞AがLR液B内で充分に単分散された細胞濃縮液を効率良く得ることができる。これにより、操作者や操作状況などに関わらず、単一細胞の状態で、充分に均一に細胞Aが分散した細胞濃縮液を効率良く回収することがきるという利点がある。
また、細胞Aを単分散させるために吸引口4aからの吸引と排出とを繰り返す必要がないため、LR液B内に気泡が発生することがない。これにより、細胞Aへ与えるダメージを最小限に抑えて健全な状態で細胞Aを回収することができるという利点がある。
また、内管4は、内部の流路の構造を複雑にすることなく、凹部4bを設けただけの簡易な構造でよいので、遠心分離容器1を簡易にかつ安価に製造することができるという利点がある。
上記実施形態においては、凹部4bの形状が略球状であることとしたが、凹部4bの形状はこれに限定されず、その内部でLR液Bの流れを乱すことができる形状であればよい。例えば、凹部4bの形状は、円柱や角柱、楕円球などでもよく、凹部4bと直状部との境界は角面でも丸面でもよい。
また、本実施形態において、細胞懸濁液としては、生体の細胞を含む懸濁液であれば特に制限はないが、例えば、脂肪に由来する細胞を含む、脂肪由来細胞懸濁液などが好適である。ここで、脂肪由来細胞としては、血管内皮細胞、線維芽細胞、造血幹細胞、血球系の細胞、脂肪由来の幹細胞などが挙げられる。この幹細胞は、細胞治療などの目的で脂肪組織から採取される細胞であり、多分化能、自己再生能を有する細胞を指す。
表1に、直管状の吸引管と、直管の一部に凹部を設けた吸引管とを用いて液体を吸引したときの、各吸引管内での撹拌の程度を調べた結果を示す。
本実験では、細胞AおよびLR液Bに代わるモデルとして比重の異なる2種類の液体を用い、比重の大きい方の液体に色を付けた。容器内でこれらの液体を層分離させて各吸引管で吸引し、回収された液体の一部を分注して吸光度を測定した。すなわち、吸光度は、比重の大きい方の液体が比重の小さい方の液体内に分散された度合いを示している。各吸引管について同一の実験を10回行い、その平均、標準偏差および変動係数を求めた。
Figure 2010142750
各吸引管で吸引したときの吸光度の平均値はほぼ等しくなったが、直管状の吸引管の場合と比較して、凹部が設けられた吸引管の場合では吸光度のばらつき(SDおよびCV)が小さくなっている。これは、層分離していた2種類の液体が毎回十分に撹拌され、吸引のみで重い方の液体が軽い方の液体内に均一に分散されたことを示している。
これにより、凹部4bを設けた内管(吸引管)4を用いれば、吸引するだけで細胞AとLR液Bとを撹拌させて、細胞AをLR液B内に充分に均一に分散させることができることが確認された。
本発明の一実施形態に係る遠心分離容器の全体構成図である。 凹部において細胞がLR液内に懸濁される過程を説明する図である。 図1の遠心分離容器の使用方法を説明する図である。
符号の説明
1 遠心分離容器
2 容器本体
2a ポケット部
2b 蓋
3 外管
3a 開口
3b ノズル
4 内管(吸引管)
4a 吸引口
4b 凹部
4c ノズル
5 チューブ
6 シリンジ
A 細胞
B LR液

Claims (2)

  1. 細胞沈殿物を含む細胞沈殿物含有液が収容され、底部を半径方向外方に向けて所定の軸線回りに回転させられる容器本体と、
    該容器本体内に配置される吸引口を有し、該吸引口から前記容器本体外へ向けて前記細胞沈殿物含有液を吸引する筒状の吸引管とを備え、
    該吸引管の長手方向の途中位置の内面に、該吸引管の管径方向外方に凹む凹部を備える遠心分離容器。
  2. 前記凹部が、前記吸引管の長手方向に間隔をあけて複数設けられている請求項1に記載の遠心分離容器。
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