JP2010139170A - ハーメチックシール用連続式熱処理炉 - Google Patents

ハーメチックシール用連続式熱処理炉 Download PDF

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宏治 關
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【課題】ガラスハーメチックを行うハーメチックシール用連続式熱処理炉のマッフル内に水分が侵入することを阻止するようにしたハーメチックシール用連続式熱処理炉を提供する。
【解決手段】一体形状のマッフル2を外部から加熱する加熱部3と冷却する冷却部4及びマッフル2内を通って加熱部3から冷却部4へと所定速度で移動して被焼成体10を搬送する搬送手段5を有し、被焼成体10のガラスハーメチックシールを行うハーメチックシール用連続式熱処理炉1において、マッフル2の少なくとも入口側2aにマッフル2内への水分の侵入を阻止する手段7を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラスハーメチックシールを行うハーメチックシール用連続式熱処理炉に関する。
例えば圧力センサ等の高い気密性が要求されるセンサ類では、ステンレス等の金属部材からなるボディ(基台)に設けられた貫通孔に接続ピン(信号線)を挿通し、ボディ内のセンサ素子からの信号を得ると共に、絶縁と気密保持のためにボディの貫通孔と接続ピンとの間に介在した絶縁部材(ガラス)を高温度で封着させてガラスハーメチックシールを施していることが多い。特に高い耐圧性が必要とされる高圧タイプの圧力センサ等では、シール部を長く確保することにより耐圧性を高めている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
ガラスハーメチックシールの方法としては、中央部に挿通孔を有するガラスリング(以下「ペレット」という)を複数個重ねて接続ピンを挿通し、加熱して各ペレット同士及び各ペレットの内周面と接続ピンの外周面とを仮焼成して串刺し状の中間組立体を形成する。次いで、この中間組立体をボディの貫通孔に挿入して加熱し、挿通孔の内周面とペレットの外周面とを本焼成して挿通孔と接続ピンとの間を高い気密性と絶縁性を有して封止する方法がある。
上記ガラスハーメチックシールは、一般にハーメチックシール用連続式熱処理炉により実施される。ハーメチックシール用連続炉は、一体形状のマッフルを外部から電気やガスで加熱する加熱部と水等で冷却する冷却部、及びマッフル内部を挿通し被焼成体、即ち挿通孔に串刺し状の接続ピンを挿通させたボディを加熱部から冷却部へと一定速度で搬送させる搬送ベルトを有している。
マッフル内部は窒素ガス等の不活性ガスが導入され、窒素ガス雰囲気にすることで被焼成体の酸化を防いでいる。そして、マッフルの入口部(導入部)、出口部(導出部)は、一般的に開口されている。マッフルの内部は、窒素ガスの導入及び高温状態にあるためマッフル周囲の外気よりも僅かに陽圧になるので、入口及び出口からの空気(外気)の侵入を抑制するようになっている。
そして、搬送ベルトに被焼成体を載置してマッフル内に搬入し、加熱部で加熱して本焼成を行った後冷却部で冷却させてマッフル外に搬出する。このようにしてガラスハーメチックシールを行う。
ハーメチックシール用連続式熱処理炉として例えば入口と出口とを有するハーメチックシール用連続式熱処理炉本体と、このハーメチックシール用連続式熱処理炉本体内に配置されて熱処理ゾーンを形成する加熱マッフルと、加熱マッフルの近傍に設けられると共にワークを加熱するモジュールヒータブロックと、加熱マッフル内を通って炉本体の入口から出口までワークを搬送する搬送手段を有する構成のハーメチックシール用連続式熱処理炉がある(例えば、特許文献3参照)。
特公平3−79836号公報(2頁、第1図) 特開平11−160176号公報(4−5頁、図1) 特開平10−281649号公報(4頁、図1)
しかしながら、ハーメチックシール用連続式熱処理炉のマッフルは、入口部及び出口部が開放構造であるため、ボックス炉等に比較して設置環境の変化に大きく影響されてしまう。特に湿度の影響は大きく高湿度の環境では製品の不良の発生が多くなる。即ちマッフルの入口部では被焼成体や搬送ベルト自体が外部の空気をマッフル内に持ち込んでしまうことで加熱部において被焼成体の表面に酸化膜が形成されて酸化不良が発生する。更にマッフル内に持ち込まれた空気が高湿度の場合、空気中の水分(水蒸気)(HO)が加熱部で水蒸気となりガラスと反応して溶融したガラス(ペレット)の中に気泡が入り、隙間や空洞が発生して絶縁不良を引き起こす原因となる。
本発明の目的は、ガラスハーメチックを行うハーメチックシール用連続式熱処理炉のマッフル内に水分が侵入することを阻止するようにしたハーメチックシール用連続式熱処理炉を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明に係るハーメチックシール用連続式熱処理炉は、
一体形状のマッフルを外部から加熱する加熱部と冷却する冷却部及び前記マッフル内を通って加熱部から冷却部へと所定速度で移動して被焼成体を搬送する搬送手段を有し、前記被焼成体のガラスハーメチックシールを行うハーメチックシール用連続式熱処理炉において、
前記マッフルの少なくとも入口側に前記マッフル内への水分の侵入を阻止する手段を設けたことを特徴としている。
被焼成体は、搬送手段に載置されてマッフル内に搬入される。このとき、搬送手段や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む水分(水蒸気)(HO)をマッフルの入口側に設けたマッフル内への水分の侵入を阻止する手段によりマッフル内への水分(水蒸気)の侵入を阻止する。これにより、マッフル内の加熱部で被焼成体のガラスハーメチックシールを行う際に水分(水蒸気)に起因する絶縁不良を大幅に低減することが可能となる。特にハーメチックシール用連続式熱処理炉が高湿度の環境に設置されている場合に極めて有効である。
また、本発明の請求項2に係るハーメチックシール用連続式熱処理炉は、請求項1に記載のハーメチックシール用連続式熱処理炉において、
前記マッフル内への水分の侵入を阻止する手段は乾燥気体カーテンであることを特徴としている。
マッフルの入口側に乾燥気体のカーテンを形成して搬送手段や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む空気(外気)や当該空気に含まれている水分(水蒸気)のマッフル内への侵入を阻止する。これにより、マッフル内へ侵入する空気(外気)や水分(水蒸気)を最小限に抑制することができる。また、マッフル内に持ち込む空気(外気)を阻止することにより、被焼成体の酸化を抑制することが可能となる。
また、本発明の請求項3に係るハーメチックシール用連続式熱処理炉は、請求項1に記載のハーメチックシール用連続式熱処理炉において、
前記マッフル内への水分の侵入を阻止する手段は除湿機であることを特徴としている。
マッフルの入口側に除湿機を設けて搬送手段や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む空気に含まれている水分(水蒸気)(HO)を除去することにより、マッフル内への水分(水蒸気)の侵入を最小限に抑制することができる。
また、本発明の請求項4に係るハーメチックシール用連続式熱処理炉は、請求項2に記載のハーメチックシール用連続式熱処理炉において、
前記乾燥気体カーテンは液体窒素を気化させた窒素ガスにより形成されることを特徴としている。
乾燥気体カーテンを形成する気体として液体窒素を気化させた窒素ガスを使用する。液体窒素を気化した窒素ガスは、露点が極めて低いため乾燥した状態にあり、搬送手段や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む空気(外気)や当該空気に含まれている水分(水蒸気)のマッフル内への侵入を有効に阻止することができる。また、液体窒素は広い分野で使用されており、入手が容易かつ安価である。
また、本発明の請求項5に係るハーメチックシール用連続式熱処理炉は、請求項2又は請求項4に記載のハーメチックシール用連続式熱処理炉において、
前記マッフルの入口側に配置され前記搬送手段により搬送される被焼成体の有無を検出する検出手段と、前記入口側の湿度を検出する湿度計及び/又は露点計と、前記検出手段と前記湿度計及び/又は露点計の検出信号により前記乾燥気体の流量を制御する流量制御手段を備えたことを特徴としている。
流量制御部は、湿度計や露点計により計測したマッフル入口側の湿度により窒素ガスのカーテンを形成する窒素ガスの流量を制御してマッフル入口側の湿度を低く保つ。更に、被焼成体の有無を検出する検出手段からの信号により被焼成体を検知して流量制御部にフィードバックし、窒素ガスの流量を増量することにより、搬送手段や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む空気(外気)や水分(水蒸気)を最小限に抑制する。これにより、窒素ガスの無駄な放出を抑えることが可能となる。特に湿度の低い時期やマッフル内に被焼成体を通炉させていないときなどに窒素ガスの使用量を節約することができ、製造コストの低減を図ることができる。
本発明によると、マッフルを外部から加熱する加熱部と冷却する冷却部及びマッフル内を通って加熱部から冷却部へと所定速度で移動して被焼成体を搬送する搬送手段を有し、被焼成体のガラスハーメチックシールを行うハーメチックシール用連続式熱処理炉のマッフルにおいて、少なくともマッフルの入口側にマッフル内への水分の侵入を阻止する手段を設けたことにより、搬送手段や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む水分(水蒸気)を阻止することができ、被焼成体のガラスハーメチックシールを行う際に水分(水蒸気)に起因する絶縁性の不十分なガラスハーメチックシール部品が製造される確率を大幅に低減することが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係るハーメチックシール用連続式熱処理炉を図面に基づいて説明する。図1においてハーメチックシール用連続式熱処理炉1は、マッフル2、マッフル2を外部から加熱する加熱部3、マッフル2を外部から冷却する冷却部4、及びマッフル2内を通って加熱部3から冷却部4へと所定速度で移動して被焼成体10を搬送する搬送手段としてのベルトコンベア5を有している。
マッフル2は、一定形状例えば角筒形状をなして水平に配置されており、入口部(導入部)2a及び出口部(導出部)2bが本体部2cに対して僅かに下方に向けて傾斜している。これらの入口部2a、出口部2bは開口されている。このマッフル2は、インコネル或いはステンレス等の耐酸化性に優れた金属部材で形成されている。加熱部3と冷却部4は、マッフル2の長手方向に沿って本体部2cの外周部を囲繞するように設けられている。
加熱部3は、本体部2cの入口近傍から所定の長さに亘り設けられており、電気或いはガスによりマッフル2の本体部2cの加熱部3側の内部を所定温度(焼成温度)(例えば、1000℃)に加熱して被焼成体10を焼成する。冷却部4は、加熱部3の終端部から本体部2cの出口近傍まで所定の長さに渡り設けられており、水等の冷却液により本体部2cの冷却部4側の内部を冷却して加熱部3で焼成された高温の被焼成体10を所定温度(例えば、25℃)まで冷却する。
ベルトコンベア5は、耐酸化性に優れたステンレス等の金属部材によりエンドレスに形成されており、マッフル2の入口部2aから出口部2bまで当該マッフル2内を挿通して配置されており、加熱部3から冷却部4へと所定速度(例えば、10cm/分)で移動して被焼成体10を搬送する。
マッフル2の冷却部4側にはマッフル2内での被焼成体10の酸化を防ぐための酸化防止手段としての不活性ガス供給部6が設けられている。この不活性ガス供給部6は、複数のパイプ6a〜6dと主パイプ6eにより構成されている。パイプ6a〜6dは、冷却部4の上方に上下方向に向けてかつ長手方向に沿って間隔を存して一列に配置されており、各下端が冷却部4を液密に貫通して本体部2cの上面に開口している。これらのパイプ6a〜6dの他端は主パイプ6eに連通されている。そして、主パイプ6eに不活性ガス、例えば窒素ガスが供給される。
そして、窒素ガス(N)が主パイプ6eから各パイプ6a〜6dを通してマッフル2の本体部2c内に導入され、マッフル2の内部は窒素ガス(N)で充満されて窒素ガス雰囲気とされる。これにより、焼成時における被焼成体10の酸化を防ぐ。尚、マッフル2内に導入する不活性ガスは、窒素ガスに限るものではなく他の気体、例えばアルゴンガスを使用しても良い。
マッフル2の入口部2aにはマッフル2内への水分の浸入を阻止する手段、例えば乾燥気体カーテンを形成する乾燥気体カーテン形成部7が設けられている。この乾燥気体カーテン形成部7は、図2に示すように複数のパイプ7a〜7dと主パイプ7eにより構成されている。パイプ7a〜7dは、入口部2aの上方に上下方向に向けてかつ幅方向に間隔を存して一列に配置されており、各下端が入口部2aの上面に開口して下面に臨んでいる。これらのパイプ7a〜7dの他端は主パイプ7eに連通されている。そして、主パイプ7eから流量制御部8を介して不活性ガス、例えば窒素ガス(N)が供給される。
この窒素ガス(N)は、液体窒素を気化させて得たものである。液体窒素を気化させて得た窒素ガス(N)は、露点が極めて低いため乾燥した状態にあり、従って、乾燥気体カーテンを形成する上で好適である。尚、前記不活性ガス供給部6に供給する窒素ガスも液体窒素を気化させたものを使用している。
そして、主パイプ7eから各パイプ7a〜7dを通して窒素ガス(N)がマッフル2の入口部2a内に上面から下面に向けて噴出されて乾燥した窒素ガスのカーテンが形成される。このようにして、マッフル2の入口部2aに乾燥気体カーテンを形成して外部と遮蔽する。
マッフル2の入口部2aには図2に示すようにベルトコンベア5に載置されて搬送される被焼成体10の有無を検出するセンサ、例えば光電センサ11と入口部2aの湿度を検出する湿度計14が設けられている。光電センサ11の投光器12と受光器13は、ベルトコンベア5を挟んで対向して配置されている。これらの投光器12、受光器13、湿度計14は、乾燥気体カーテン形成部7のパイプ7a〜7dよりも外側、即ち乾燥窒素ガスのカーテン(乾燥気体カーテン)よりも外側に配置されている。
流量制御部8は、これらの受光器13、湿度計14からの信号Sa、Sbをフィードバックして主パイプ7eに供給する窒素ガス(N)の流量を制御する。尚、湿度計14に代えて露点計を設けて湿度を計測するようにしても良く、或いは湿度計と露点計を共に設けて湿度を計測するようにしても良い。
被焼成体10は、具体的には図3に示すように箱体のケース(治具)21内に収容されたガラスハーメチックシールを施すべき部品(以下「ハーメチックシール部品」という)22である。このハーメチックシール部品22は円柱形状のボディ(基台)23と、串刺し状の中間組立体26からなる。ボディ23は、例えばステンレスで形成されており、貫通孔23aが軸線方向に沿って同一円周上に周方向に等間隔をなして複数例えば4個形成されている。
中間組立体26は、中央部に挿通孔を有するガラスリング(以下「ペレット」という)24を複数個重ねて接続ピン(信号線)25を挿通し、加熱して各ペレット24同士及び各ペレット24の内周面と接続ピン25の外周面とを仮焼成して串刺し状に形成されている。そして、ボディ23の各貫通孔23aに中間組立体26が挿通されている。
ケース21は、箱体をなし、底部21aの上面及び蓋21bの下面に円柱形状のボディ23の下部及び上部を収容して垂直に位置決め支持する円形の凹部21c及び21dと、これらの凹部21c、21dの底面にボディ23の下端及び上端から突出した接続ピン25の下端部及び上端部を垂直に収容して位置決めする穴21e、21fが形成されている。このケース21は、熱伝導性が良好でかつ溶融したペレット24が付着しない性質を有するカーボンで形成されている。
ハーメチックシール部品22は、ケース21に収容されてボディ23の下部及び上部が凹部21c、21dに垂直に収容されて位置決め支持され、接続ピン25の下端部及び上端部が穴21e、21fに挿入されて垂直に位置決め支持されている。このようにして、ケース21内にハーメチックシール部品22が複数収容されている。
次に、上記構成のハーメチックシール用連続式熱処理炉1により被焼成体10、即ちハーメチックシール部品22のハーメチックシールを行う場合について説明する。図1に矢印で示すように不活性ガス供給部6の主パイプ6eからパイプ6a〜6dを通してマッフル2の本体部2c内に窒素ガス(N)を導入する。これにより、マッフル2の内部は窒素ガス雰囲気とされる。また、乾燥気体カーテン形成部7の主パイプ7eから流量制御部8を介してパイプ7a〜7dから露点の低い窒素ガス(N)を噴出させてマッフル2の入口部2aに乾燥した窒素ガスのカーテン(乾燥気体カーテン)を形成して外部と遮断する。
そして、ベルトコンベア5に被焼成体10を載置してマッフル2内に搬送する。乾燥気体カーテン形成部7により形成された乾燥した窒素ガスのカーテン(乾燥気体カーテン)は、ベルトコンベア5や被焼成体10(ケース21)自体がマッフル2内に持ち込む空気(外気)や当該空気に含まれている水分(水蒸気)(HO)のマッフル2内への侵入を阻止する。
流量制御部8は、湿度計14により計測したマッフル2aの入口部2a内の湿度により窒素ガスのカーテンを形成する窒素ガスの流量を制御することにより、入口部2aの湿度を低く保つ。更に、光電センサ11により被焼成体10を検知して流量制御部8にフィードバックし、窒素ガスの流量を増量することにより、ベルトコンベア5や被焼成体10自体がマッフル2内に持ち込む空気(外気)や水分(HO)を最小限に抑制する。これにより、ベルトコンベア5や被焼成体10自体がマッフル2内へ持ち込む空気(外気)や当該空気に含まれている水分(水蒸気)(HO)を有効に阻止することができる。
また、マッフル2の入口部2aの湿度や被焼成体の有無を検出して窒素ガスのカーテンを形成する窒素ガスの流量を制御することにより、窒素ガスの無駄な放出を抑えることが可能となる。特に湿度の低い時期やマッフル内に被焼成体を通炉させていないときなどに窒素ガスの使用量を節約することができ、製造コストの低減を図ることができる。
マッフル2の入口部2a、出口部2bは開口されているが、マッフル2の内部は窒素ガスの導入及び高温状態にあるためマッフル2の周囲の外気よりも僅かに陽圧となっているので、これらの入口部2a、出口部2bからの空気(外気)の侵入を抑制することができる。更に、図1に示すように入口部2a、出口部2bを本体部2cよりも僅かに斜め下方に向けて下げることにより、内部から排出される窒素ガスにより、当該窒素ガスよりも重たい気体(空気、酸素)をマッフル2の外に押し出すことができる。これにより、マッフル2の内部が窒素ガス雰囲気に保持される。
被焼成体10はベルトコンベア5によりマッフル2の本体部2c内に搬入され、加熱部3から冷却部4へと所定速度(例えば、10cm/分)で移動する。そして、被焼成体10、即ち図3に示すハーメチックシール部品22は、加熱部3によりケース21と共に所定の焼成温度(約1000℃)に加熱されて本焼成され、中間組立体26のペレット24が溶融してボディ23の貫通孔23aの内周面に溶着し当該貫通孔23aと接続ピン25との間を液密に封止する。ケース21は、窒素ガス雰囲気のマッフル2内に搬入されると内部の空気が徐々に窒素ガスに置換され、ボディ23が窒素ガスに覆われる。これにより、ボディ23の表面の酸化が防止される。
そして、マッフル2内に水分が持ち込まれないために本焼成時に水分(水蒸気)が中間組立体26のペレット(ガラスリング)24に影響を及ぼすことがなく、溶融したペレット24の内部や貫通孔23aの内周面と接続ピン25との間に空洞や隙間が発生することが抑制されてハーメチックシール部品22の絶縁不良が防止される。
マッフル2の加熱部3により本焼成された被焼成体10、即ちハーメチックシール部品22は、冷却部4により所定の温度まで冷却されてマッフル2の出口部2bから搬出される。このようにして、ハーメチックシール部品22のハーメチックシールが行われる。
上述したように、マッフルを外部から加熱する加熱部と冷却する冷却部及びマッフル内を通って加熱部から冷却部へと所定速度で移動して被焼成体を搬送する搬送手段を有し、被焼成体のガラスハーメチックシールを行うハーメチックシール用連続式熱処理炉のマッフルの入口側にマッフル内への水分の侵入を阻止する手段を設けたことにより、搬送手段(ベルトコンベア)や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む水分(水蒸気)を阻止することができ、被焼成体のガラスハーメチックシールを行う際に水分(水蒸気)に起因する絶縁性の不十分なガラスハーメチックシール部品が製造される確率を大幅に低減することが可能となり、良好な絶縁を確保することが可能となる。
また、マッフルの入口側に乾燥気体のカーテンを形成して搬送手段(ベルトコンベア)や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む空気(外気)や当該空気に含まれている水分(水蒸気)のマッフル内への侵入を阻止することにより、マッフル内へ侵入する空気(外気)や水分(水蒸気)を最小限に抑制することができる。また、マッフル内に持ち込む空気(外気)を最小限に抑制することにより、被焼成体の酸化を抑制することが可能となる。
また、マッフルの入口側に除湿機を設けて搬送手段や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む空気に含まれている水分(水蒸気)(HO)を除去してマッフル内への侵入を最小限にすることができる。この場合、マッフルの入口側に除湿機を設置するだけでよく、構成も簡単である。
また、乾燥気体カーテンを形成する気体として液体窒素を気化させた窒素ガスを使用する。液体窒素を気化した窒素ガスは露点が極めて低いため乾燥した状態にあり、搬送手段や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む空気(外気)や当該空気に含まれている水分(水蒸気)のマッフル内への侵入を有効に阻止することができる。また、液体窒素は広い分野で使用されており、入手が容易かつ安価である。
また、乾燥気体の流量を制御する流量制御手段を備え、湿度計や露点計により計測したマッフル入口側の湿度により窒素ガスのカーテンを形成する窒素ガスの流量を制御してマッフル入口部の湿度を低く保ち、更に、被焼成体の有無を検出する検出手段からの信号により被焼成体を検知して流量制御部にフィードバックし、窒素ガスの流量を増量することにより、搬送手段や被焼成体自体がマッフル内に持ち込む空気(外気)や水分(水蒸気)を最小限に抑制する。これにより、窒素ガスの無駄な放出を抑えることが可能となる。特に湿度の低い時期やマッフル内に被焼成体を通炉させていないときなどに窒素ガスの使用量を節約することができ、製造コストの低減を図ることができる。
尚、本実施形態においては乾燥気体カーテン形成部7に供給する窒素ガスの流量をマッフル2の入口部2aの湿度や被焼成体10の有無等により制御するようにしたが、常時一定流量の窒素ガスを供給して乾燥窒素ガスのカーテン(乾燥気体カーテン)を形成するようにしても良い。このようにすると、光電センサ11、湿度計14や露点計、流量制御部8等が不要となり、乾燥気体カーテン形成部7の構成が簡単になると共にコストの低減を図ることができる。
また、本実施形態においてはマッフル2内への水分の浸入を阻止する手段としてマッフル2aの入口部2aに乾燥気体のカーテンを形成した場合について記述したが、これに限るものではなく、マッフル2の入口部2a内に除湿機を設けてベルトコンベア5や被焼成体10自体がマッフル2内に持ち込む水分(HO)を除去するようにしてもよい。このように除湿機を使用することで、光電センサ、湿度計や露点計、流量制御部等が不要となりコストの低減を図ることができる。また、マッフル2の入口部2a内に除湿機を設置するだけでよく、構成も簡単である。
更に、上記実施形態においてはマッフル2の入口部2aに水分の侵入を阻止する手段(乾燥気体のカーテン)を設けた場合について説明したが、マッフル2の出口部2bにも水分の侵入を阻止する手段(乾燥気体のカーテン)を設けても良い。
本発明の実施形態に係るハーメチックシール用連続式熱処理炉の断面図である。 図1に示したマッフル入口部に設けた乾燥気体カーテン形成部の説明図である。 図1に示したハーメチックシールを行う被焼成体の一部断面図である。
符号の説明
1 ハーメチックシール用連続式熱処理炉
2 マッフル
2a 入口部(導入部)
2b 出口部(導出部)
2c 本体部
3 加熱部
4 冷却部
5 ベルトコンベア(搬送手段)
6 不活性ガス供給部
6a,6b,6c,6d パイプ
6e 主パイプ
7 乾燥気体カーテン形成部
7a,7b,7c,7d パイプ
7e 主パイプ
8 流量制御部
10 被焼成体
11 光電センサ
12 投光器
13 受光器
14 湿度計
21 ケース(治具)
21a 底部
21b 蓋
21c,21d 凹部
21e,21f 穴
22 ハーメチックシール部品
23 ボディ(基台)
23a 貫通孔
24 ペレット(ガラスリング)
25 接続ピン(信号線)
26 中間組立体

Claims (5)

  1. 一体形状のマッフルを外部から加熱する加熱部と冷却する冷却部及び前記マッフル内を通って加熱部から冷却部へと所定速度で移動して被焼成体を搬送する搬送手段を有し、前記被焼成体のガラスハーメチックシールを行うハーメチックシール用連続式熱処理炉において、
    前記マッフルの少なくとも入口側に前記マッフル内への水分の侵入を阻止する手段を設けたことを特徴とするハーメチックシール用連続式熱処理炉。
  2. 前記マッフル内への水分の侵入を阻止する手段は乾燥気体カーテンであることを特徴とする、請求項1に記載のハーメチックシール用連続式熱処理炉。
  3. 前記マッフル内への水分の侵入を阻止する手段は除湿機であることを特徴とする、請求項1に記載のハーメチックシール用連続式熱処理炉。
  4. 前記乾燥気体カーテンは液体窒素を気化させた窒素ガスにより形成されることを特徴とする、請求項2に記載のハーメチックシール用連続式熱処理炉。
  5. 前記マッフルの入口側に配置され前記搬送手段により搬送される被焼成体の有無を検出する検出手段と、前記入口側の湿度を検出する湿度計及び/又は露点計と、前記検出手段と前記湿度計及び/又は露点計の検出信号により前記乾燥気体の流量を制御する流量制御手段を備えたことを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載のハーメチックシール用連続式熱処理炉。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015071505A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 住友電気工業株式会社 光ファイバの製造方法及び製造装置
JP2016219658A (ja) * 2015-05-22 2016-12-22 アズビル株式会社 ハーメチックシール部品
CN109990598A (zh) * 2019-04-18 2019-07-09 昆山福烨电子有限公司 一种气帘式高温马弗炉收送料装置

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