JP2010138187A - オレフィン及び有機ヒドロパーオキサイドからのオレフィンオキサイドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プロピレン及びエチルベンゼンヒドロパーオキサイドからのプロピレンオキサイドの製法の改良。
【解決手段】(i)栓流挙動を容易にするように設計された、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されている、冷却手段と組合わされた単一反応器を含む反応器システム内で実施するか、又は(ii)複数個の逐次的に相互連結された反応器(栓流挙動を容易にするように設計された、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されており、多反応器システム内のそれぞれの反応器に冷却手段が組合わされている)を含む多反応器システム内で、プロピレンとエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、液相中で均一モリブデンエポキシ化触媒の存在下に、プロピレンオキサイド及び共生成α−エチルフェニルアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含んでなる、プロピレンオキサイドの製法。
【選択図】図1
【解決手段】(i)栓流挙動を容易にするように設計された、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されている、冷却手段と組合わされた単一反応器を含む反応器システム内で実施するか、又は(ii)複数個の逐次的に相互連結された反応器(栓流挙動を容易にするように設計された、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されており、多反応器システム内のそれぞれの反応器に冷却手段が組合わされている)を含む多反応器システム内で、プロピレンとエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、液相中で均一モリブデンエポキシ化触媒の存在下に、プロピレンオキサイド及び共生成α−エチルフェニルアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含んでなる、プロピレンオキサイドの製法。
【選択図】図1
Description
本発明は、プロピレンのようなオレフィン及びエチルベンゼンヒドロパーオキサイドのような有機ヒドロパーオキサイドからの、プロピレンオキサイドのようなオレフィンオキサイドの改良製造方法に関する。本発明の方法の共生成物として、α−フェニルエチルアルコールのようなアルコールが得られる。
オレフィンオキサイド、好ましくはプロピレンオキサイドは、アルコールをアルコキシル化して、ポリウレタン及び合成エラストマーの製造に於いて重要な有用性を見出す、ポリプロピレンポリエーテルポリオールのようなポリアルキレンポリエーテルポリオールを製造するのに使用される価値のある化学商品である。更に詳しくは、プロピレンオキサイドは、また、プロピレングリコール及びジプロピレングリコール並びにイソプロパノールアミンの製造に於いても使用される。プロピレングリコールは、不凍液及びブレーキ液として並びにポリウレタン及びポリエステル樹脂の製造に於いて有用性を見出している。ジプロピレングリコールは、また、樹脂の製造に於いて有用性を見出している。イソプロパノールアミンは、界面活性剤配合物に於いて有用性を見出している。
例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、プロピレンのようなオレフィンの、第三級ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド又はエチルベンゼンヒドロパーオキサイドのようなある種の有機ヒドロパーオキサイドとの液相反応による、プロピレンオキサイドのようなオレフィンオキサイドの製造方法は知られている。これらの方法は、反応温度の許容される制御を与える回分式反応器内で実施されると教示されているが、商業化のための許容できる生産性に欠ける。更に詳しくは、特許文献1には、触媒としてのナフテン酸バナジウムの使用及び回分式反応器への有機ヒドロパーオキサイドの段階式添加が教示されている。開示された方法によって達成される、オレフィンオキサイド、特にプロピレンオキサイドへの選択率は低いという不利益がある。
特許文献2には、触媒量のモリブデン、タングステン、チタン、コロンビウム、タンタル、レニウム、セレン、クロム、ジルコニウム、テルル又はウラニウム触媒の存在下で実施される、同様の方法が開示されている。反応への有機ヒドロパーオキサイドのインクレメント的及び段階的添加が開示されている。酸化剤としてエチルベンゼンヒドロパーオキサイドが使用されるとき、開示された方法は、許容できないヒドロパーオキサイド転化率及び転化されたヒドロパーオキサイド基準の許容できないプロピレンオキサイドへの選択率を達成する。特に、僅かに79%のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率及び僅かに72%のプロピレンオキサイドへの選択率が得られる。
有機ヒドロパーオキサイドとのオレフィンの反応の種々の他の工学実現化が、評価され、開示されている。特許文献3に於いて、一連の分離された反応ゾーンに於いて固体触媒が使用されている。オレフィン、例えばプロピレンと、ヒドロパーオキサイド酸化剤、例えばエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとは、1個の供給物の中に一緒にされ、一緒にされた供給物がそれぞれの反応ゾーンに供給されている。この設計の主な魅力は、発熱反応によって生成される熱の管理であると思われるが、この方法はオレフィンオキサイドへの選択率に於いて特別の向上をもたらさない。
特許文献4に於いて、不均一触媒を使用する複数反応器システムに於ける、プロピレンのようなオレフィンとエチルベンゼンヒドロパーオキサイドのような有機ヒドロパーオキサイドとの反応のための他の方法が開示されている。この設計は、一連の相互連結された反応器中の有用な1個又はそれ以上の反応器から取り出して、失活した触媒の再生を可能にするようになされている。また、オレフィン供給物はヒドロパーオキサイド供給物と一緒にされ、一緒にされた供給物が選択された反応器に供給されている。この方法は、オレフィンオキサイド、更に特にプロピレンオキサイドへの選択率の特別の向上をもたらさない。
更に、特許文献5には、第一等温区画及び第二断熱区画からなる反応器システムに於いて、t−ブチルアルコール及び均一モリブデン触媒の存在下での、プロピレンと第三級ブチルヒドロパーオキサイドとの反応が開示されている。この断熱区画は、ヒドロパーオキサイドの追加の転化を得るために付加されている。等温区画は、更に、複数の、少なくとも4個の逐次的に相互連結された内部冷却反応器からなると教示されている。この反応器システムに於いて、全第三級ブチルヒドロパーオキサイド供給物は分割され、全第三級ブチルヒドロパーオキサイド供給物の一部を、等温区画内の反応器のそれぞれに供給するようになっている。等温区画内のそれぞれの反応器に供給される第三級ブチルヒドロパーオキサイドの量を制限することによって、反応発熱が制御され、反応温度は本質的に等温のままである。他の先行技術でのように、特許文献5は、栓流挙動に関して明らかに何も述べていない。更に、特許文献5は、第三級ブチルヒドロパーオキサイドをエチルベンゼンヒドロパーオキサイドで置き換えることの実現可能性に関して、明らかに何も述べていない。
エチルベンゼンヒドロパーオキサイドが、プロピレンのようなオレフィンのエポキシ化を、第三級ブチルヒドロパーオキサイドよりも速い速度で促進することが知られているが、エチルベンゼンヒドロパーオキサイドの使用は、特別の問題点を有する。エチルベンゼンヒドロパーオキサイドは、第三級ブチルヒドロパーオキサイドよりも安定性が顕著に低い。更に、第三級ブチルヒドロパーオキサイドは、本質的に1個の経路によって分解して第三級ブチルアルコールを生成するのに対して、エチルベンゼンヒドロパーオキサイドは、種々の経路によって分解して、とりわけ、α−フェニルエチルアルコール(α−メチルフェニルカルビノール)、アセトフェノン及び安息香酸を含む種々の分解生成物を生成する。従って、転化された有機ヒドロパーオキサイドのモル数基準の、オレフィンオキサイドへの選択率は、エチルベンゼンヒドロパーオキサイドを酸化剤として使用したとき、第三級ブチルヒドロパーオキサイドと比較して典型的に低い。
上記のことの全てを考慮すれば、好ましくは酸化剤として第三級ブチルヒドロパーオキサイドの代わりにエチルベンゼンヒドロパーオキサイドを使用する、プロピレンオキサイドのようなオレフィンオキサイドの改良された製造方法を見出すことが望ましいであろう。このような方法は、エチルベンゼンヒドロパーオキサイドによってもたらされる増加したエポキシ化速度の利益を得るであろう。それで、このような方法は、匹敵するヒドロパーオキサイド転化率をなお達成しながら、第三級ブチルヒドロパーオキサイドでの類似の方法よりも低い温度で有利に運転できるであろう。更に好ましくは、転化された有機ヒドロパーオキサイドのモル数基準で、オレフィンオキサイドへの改良された選択率で、より高いエポキシ化速度及び匹敵する有機ヒドロパーオキサイド転化率を達成することが望ましいであろう。反応発熱の許容できる制御並びに有機ヒドロパーオキサイドの安全な取り扱いも、望ましい結果である。上記の特性の全てを有する方法は、先行技術方法に比較したとき、魅力的で一層生産的なオレフィンオキサイドの製造方法を提供するであろう。
本発明は、オレフィンオキサイド及び共生成物アルコールの新規で且つ改良された製造方法を提供する。本発明は、一般的に、オレフィンからなる液相と有機ヒドロパーオキサイドであるエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、エポキシ化触媒の存在下に、オレフィンオキサイド及び共生アルコールを製造するために十分なプロセス条件下で接触させることからなる。本発明の特別の特徴に於いて、オレフィンと有機ヒドロパーオキサイドとの接触を、有機ヒドロパーオキサイドの段階的添加を与える反応器システム内で実施し、そして主有機ヒドロパーオキサイド供給物を、複数個の有機ヒドロパーオキサイド供給物流(以下、「分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流」と言う)に分割し、この分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流を、反応システム内の反応ゾーン若しくは反応器又は両方に分配させることを特徴とする。本発明の新規な方法の別の特徴として、この反応器システムは、液相の栓流(プラグフロー)挙動を容易にするように設計されている。
本発明の新規なプロセス条件下で、オレフィンオキサイド及び共生成アルコールが、オレフィン及び有機ヒドロパーオキサイドから製造される。本発明の好ましい態様に於いては、プロピレンオキサイド及びα−フェニルエチルアルコールの対応する共生成物を製造するために、プロピレン及びエチルベンゼンヒドロパーオキサイドを使用する。酸化剤としてエチルベンゼンヒドロパーオキサイドを使用することによって、酸化剤として第三級ブチルヒドロパーオキサイドを使用する場合と比較したときに、改良された反応速度が達成される。所望により、本発明の好ましい方法は、匹敵するヒドロパーオキサイド転化率をなお達成しながら、第三級ブチルヒドロパーオキサイドでの類似の方法よりも低い温度で運転することができる。本発明の更なる一般的な利点として、有機ヒドロパーオキサイドの段階的添加によって、プロセス温度への許容できる制御及びヒドロパーオキサイドを取り扱うことの改良された安全性が有利にもたらされる。本発明の好ましい態様に於いては、それぞれの反応器に冷却手段が組合わされており、それによって、反応を制御された最適温度で有利に進行させることが可能になる。本発明の更に他の利点として、反応器システムを、反応剤を液相に維持するために必要な、本質的に自己発生的圧力で容易に維持することができる。最も有利には、本発明の方法に於いて、反応器設計は、逆混合(back-mixing)、即ちバルク反応混合物の前進方向以外の方向での反応液体の要素の流れを最小にする。逆混合は、全ての液相要素が反応器内で同じ滞留時間を有しないとき起こり、逆混合は、得られるオレフィンオキサイドの収率のために不利であることが見出された。それ故、逆混合の最小化又は除去が望ましい。先行技術プロセスと比較したときに、上記の運転特徴の新規な組合せによって、転化されたヒドロパーオキサイド酸化剤基準で、顕著に高い選択率で、オレフィンオキサイド、好ましくはプロピレンオキサイドの改良された製造方法が提供される。
本明細書に記載した新規な発明は、オレフィンオキサイド及び共生成アルコールの製造方法に関する。その最も広い概念に於いて、本発明は、オレフィンを含む液相と有機ヒドロパーオキサイドとを、エポキシ化触媒の存在下に、オレフィンオキサイド及び共生成アルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含んでなる。本発明に於いて、オレフィンと有機ヒドロパーオキサイドとの接触を、有機ヒドロパーオキサイドの段階的添加を与える反応器システム内で実施し、そして主有機ヒドロパーオキサイド供給物を、複数個の有機ヒドロパーオキサイド供給物流(以下、「分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流」と言う)に分割し、この分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流を、反応システム内の反応ゾーン若しくは反応器又は両方に分配させることを特徴とする。本発明の方法の別の新規な特徴として、この反応器システムは、液相の栓流挙動を容易にするように設計されている。
好ましい態様に於いて、本発明の新規な方法は、プロピレンオキサイド及び共生成アルコールの製造に関する。この好ましい態様に於いて、本発明は、プロピレンを含む液相と有機ヒドロパーオキサイドとを、エポキシ化触媒の存在下に、プロピレンオキサイド及び共生成アルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含む。この新規な方法は、反応した有機ヒドロパーオキサイド酸化剤基準で、プロピレンオキサイドへの増加した選択率を与える特徴の組合せを含む。特に、この方法は、プロピレンと有機ヒドロパーオキサイドとを、有機ヒドロパーオキサイドの段階的添加のために設計された反応器システム内で接触させることを含み、主有機ヒドロパーオキサイド供給物を、複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流に分割し、この分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流を、反応器システム内の反応ゾーン若しくは反応器又は両方に分配させることを特徴とする。本発明の新規な方法の別の特徴として、この反応器システムは、栓流挙動を容易にして、液相の逆混合を減少させるように設計されている。逆混合は、液相反応混合物の要素が、バルク反応混合物の前進方向以外の方向に流れるとき起こり、その結果、全ての流体要素は、それらが反応器を通過するとき同じ履歴を経験しない。逆混合は、得られるオレフィンオキサイドの収率のために不利であることが見出された。それで、逆混合の最小化又は除去が望ましい。
更に好ましい態様に於いて、本発明は、プロピレンを含む液相とエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、エポキシ化触媒の存在下に、プロピレンオキサイド及びα−フェニルエチルアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含む。本発明の新規な方法は、更に、反応したエチルベンゼンヒドロパーオキサイド酸化剤基準で、プロピレンオキサイドへの増加した選択率を与える特徴の組合せからなる。特に、この方法は、プロピレンとエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、エチルベンゼンヒドロパーオキサイドの段階的添加のために設計された反応器システム内で接触させることを含み、主エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を、複数個のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物流に分割し、この分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物流を、反応器システム内の反応ゾーン若しくは反応器又は両方に分配させることを特徴とする。この好ましい方法の別の特徴として、この反応器システムは、栓流挙動を容易にするための1個又はそれ以上の手段を含む。
他の好ましい態様に於いて、本発明の上記の方法で使用される反応器システムは、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されている単一の反応器を含む。この反応器は、更に、液相の栓流挙動を容易にするための1個又はそれ以上の手段を含み、そして反応器には、また、冷却手段が組合されている。運転手段によって、オレフィンは、単一反応器システム内の第一反応ゾーンに供給する。反対に、全有機ヒドロパーオキサイド供給物は、供給物を複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流に分割することによって段階的に反応器システムに添加し、分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流を、反応器システム内の複数個の反応ゾーンに分配させる。運転の更に好ましい方式に於いて、分割有機ヒドロパーオキサイド供給物を、それぞれの反応ゾーンに供給する。他の更に好ましい方式に於いて、有機ヒドロパーオキサイド及び任意に触媒の一部を、第一反応ゾーンに供給し、他方、有機ヒドロパーオキサイド及び任意に触媒の残りを、反応器の中間点に位置しているゾーン(プラス又はマイナス1個の反応ゾーン)に供給する。この部分は、等しく又は所望により全ての他の分率によって分割することができる。
他の好ましい態様に於いて、本発明の上記の方法で使用される反応器システムは、複数個の逐次的に相互連結された反応器を含む多反応器システムである。この多反応器システム内のそれぞれの反応器は、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されている。更に、それぞれの反応器は、栓流挙動を容易にするための1個又はそれ以上の手段で設計されている。この好ましい態様に於いて、反応器システム内のそれぞれの反応器には、また、冷却手段が付属している。運転方法によって、オレフィンは、多反応器システムの第一反応器に供給する。反対に、全有機ヒドロパーオキサイド供給物は、供給物を複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流に分割することによって段階的に反応器システムに添加し、分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流を、反応器システム内に分配させる。更に詳しくは、複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流を、多反応器システム内の複数個の逐次的に相互連結された反応器に分配させる。運転の更に好ましい方式に於いて、それぞれの反応器に分割ヒドロパーオキサイド供給物流の1個を供給する。他の好ましい方式に於いて、有機ヒドロパーオキサイド及び任意に触媒の一部を、第一反応器に供給し、他方、ヒドロパーオキサイド及び任意に触媒の残りを、多反応器システムの中間点に位置している反応器(プラス又はマイナス1個の反応器)に供給する。この部分は、等しく又は所望により任意の他の分率によって分割することができる。
単一反応器システムの最も好ましい態様に於いて、反応器は4個又はそれ以上の反応ゾーンに分割されており、これらの反応ゾーンは、逐次的に相互連結され、そして栓流挙動を容易にするように設計されている。多反応器システムの最も好ましい態様に於いて、複数個の逐次的に相互連結された反応器は2個又はそれ以上の反応器を含み、更に好ましくは、それぞれが4個又はそれ以上の反応ゾーンに分割されることによって、それぞれは栓流挙動を容易にするように設計されている。本発明の他の更に好ましい態様に於いて、複数個の逐次的に相互連結された反応器中のそれぞれの反応器は、断熱反応器である。
本発明の方法は、任意の有機ヒドロパーオキサイドで使用することができるが、現時点で、好ましい有機ヒドロパーオキサイドは、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド及びクメンヒドロパーオキサイド又はこれらの混合物から選択される。
図1及び図2の詳細な説明は以下の通りである。説明がエチルベンゼンヒドロパーオキサイドの使用を参照する場合には、クメンヒドロパーオキサイドを含む任意の他の使用できる有機ヒドロパーオキサイドを、エチルベンゼンヒドロパーオキサイドの代わりに置き換えることができることを理解されたい。同様に、説明がプロピレンを参照する場合には、任意の他の使用できるオレフィンを、プロピレンの代わりに置き換えることができることが理解されたい。従って、生成物流の組成は、使用する特定のオレフィン及び有機ヒドロパーオキサイドに依存する。
図1を参照するに、8個の反応ゾーン(131、132、133、134、135、136、137及び138)に分割されている、単一の水平に配向された等温反応器を含む好ましい反応器システムが示されている。反応ゾーンは、反応器内の7個の仕切り(141、142、143、144、145、146、147)によって形成され、それぞれの仕切りは、反応器の水平軸に対して本質的に垂直であり、好ましくは、それぞれの仕切りは、一端で反応器の内側壁に取り付けられたバッフルを含んでいる。図示する例示に於いて、バッフルは反対側の内側壁にまで完全に到達しているのではなくて、反対側内壁の手前で止まっており、それによってバッフルの縁と壁との間に開空間を残している。開空間は、1個の反応ゾーンから次の反応ゾーンへの流体流れを与えるように設計されているが、この空間は、好ましくは、実質的な流体逆混合を可能にするほど大きくはない。3個又はそれ以上のバッフル及び4個又はそれ以上の反応ゾーンが存在することによって、典型的に、反応器内の本質的な栓流挙動が与えられる。与えられた反応ゾーン内で幾らかの逆混合が起こるかもしれないが、続く反応ゾーンの間で逆混合は本質的に起こらない。バッフル及び反応ゾーンの数は反応器の規模及び設計に依存するであろうが、一般的に、それぞれの反応器は、15個よりも少ない反応ゾーン、好ましくは12個よりも少ない反応ゾーンからなる。図1に示す好ましい態様に於いて、反応器には、液相の等温性を維持することができる内部冷却コイル(140によって示される、陰影を付けた水平線)が設けられている。伝熱流体又は液体冷媒が、伝熱流体供給ライン100を経て冷却コイルの中に入る。伝熱流体又は液体冷媒が、伝熱流体出口ライン105を経て冷却コイルから出る。プロピレン供給物、触媒及び溶媒を含有する溶液を、供給物ライン120を通して反応器の中に入れる。エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物ライン110として示される主エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を、8個の分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物ライン(111、112、113、114、115、116、117及び118)に分割し、それらのそれぞれを、反応ゾーンの1個に分配するか又は2個の隣接する反応ゾーンの交点で供給する。任意的に、触媒供給物を分割し、エチルベンゼンヒドロパーオキサイドと共に供給することもできる。図1に於いて、伝熱流体及び反応剤供給物流は同じ方向に流れるように示されている。しかしながら、伝熱流体が、反応剤供給物流の流れに対して向流方向で流れる代替の態様も許容できる。プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、溶媒、触媒、未反応プロピレン及びもしあれば未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイド並びに副生物、典型的にアセトフェノンからなる生成物流は、生成物ライン125を通って反応器から出る。排出生成物ライン125中の排出生成物流を、生成物、即ちプロピレンオキサイド及びα−フェニルエチルアルコールの回収のための分離装置(図示せず)に移送する。プロピレンのような未反応原料物質並びに溶媒及び触媒を、排出ライン125から回収して、反応器に再循環することができる。別の態様に於いて、図1の反応器は、直列に連結された複数個の反応器内で繰り返される。
図2を参照して、8個の逐次的に(sequentially)相互連結された、垂直に配向された反応器(装置22、32、42、52、62、72、82及び92)からなる好ましい多反応器システムを例示する。それぞれの反応器は、個々に等温又は断熱反応器、好ましくは断熱反応器である。内部的に、それぞれの反応器は、図1に示した方式で、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されている。図2に於いて、熱制御は反応器に対して外部的であり、そうして熱交換器(装置24、34、44、54、64、74及び84)が反応器のそれぞれ隣接する対の間に設置されている。主供給物は、供給物ライン10、15及び18として供給される。主供給物ライン10は、プロピレン、溶媒(例えばエチルベンゼン又はクメン)及びエポキシ化触媒からなる初期供給物のための供給ラインである。供給物ライン18として連続する主供給物ライン15は、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド及び溶媒からなる供給ラインを与える。図2に於いて、供給物ライン18中の主エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物は、分割ヒドロパーオキサイド供給物ライン(25、35、45、55、65、75、85及び95)として8個のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド分割供給物に分割されている。任意に、所望によりエポキシ化触媒を、分割ヒドロパーオキサイド供給物ラインの何れか1個に、反応器入口に近い点で添加することができる。この方法に於いて、主供給物ライン10中のプロピレン、溶媒及びエポキシ化触媒からなる初期供給物を、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド分割供給物ライン25からのエチルベンゼンヒドロパーオキサイド分割供給物と一緒にして、プロピレン、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド、溶媒及びエポキシ化触媒を含む、供給物ライン23中の一緒にした試薬供給物を形成し、これを第一反応器装置22に供給する。(有利には、一緒にした供給物は、反応器に導入する前に適切に混合すべきである。)プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、溶媒、未反応プロピレン、触媒、もしあれば未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイド及びアセトフェノンのような任意の副生物を含む、第一生成物排出流が、第一反応器22から第一生成物排出流20として得られる。第一生成物排出流20を熱交換器24に通過させ、そこで排出流を、冷却液体ライン26(矢印26)中の冷却液体で冷却して、熱交換させた第一生成物排出流ライン21中の熱交換させた第一生成物排出流を回収する。熱交換させた第一生成物排出流ライン21中の熱交換させた第一生成物排出流を、分割ヒドロパーオキサイド供給物ライン35から得られた第二分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物と一緒にして、プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、溶媒、未反応プロピレン、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド及び触媒からなる、一緒にした反応剤供給物ライン33中の第二の一緒にした反応剤供給物流を形成する。第二の一緒にした反応剤供給物ライン33の第二の一緒にした反応剤供給物を第二反応器32に供給し、そこから、溶媒、プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、未反応プロピレン、触媒及び、もしあれば、未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイドを含む第二排出生成物流を、第二排出生成物ライン30として得る。次いで、第二排出生成物ライン30中の第二排出生成物流を、冷却液体のための冷却ライン36を有する第二熱交換器34に通過させて、第二の熱交換させた排出ライン31中の第二の熱交換させた排出流を得る。その後、第二の熱交換させた排出ライン31中の第二の熱交換させた排出流を、第三分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物ライン45から得られた第三分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物と一緒にして、プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、溶媒、未反応プロピレン、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド及び触媒を含む、第三の一緒にした反応剤供給物を、第三の一緒にした反応剤供給物ライン43として形成する。第三の一緒にした反応剤供給物ライン43からの第三の一緒にした反応剤供給物を、第三反応器装置42に供給し、そこから、また、溶媒、プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、未反応プロピレン、触媒及び、もしあれば、未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイドを含む第三反応器排出生成物流を、第三排出生成物ライン40として得る。次いで、第三排出生成物ライン40中の第三排出生成物流を、また、冷却液体のための冷却ライン46を取り付けた第三熱交換器44に通過させて、第三の熱交換させた排出生成物ライン41として第三の熱交換させた排出生成物流を得、これを第四分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物ライン55からの第四分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物と一緒にして、第四反応剤供給物ライン53中の第四反応剤供給物を形成する。第四反応剤供給物ライン53中の、プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、未反応プロピレン、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド及び触媒を含む、第四反応剤供給物を第四反応器52に供給し、そこから、溶媒、プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、未反応プロピレン、触媒及び、もしあれば、未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイドを含む第四反応器排出流を、第四排出生成物ライン50として得る。次いで、第四排出生成物ライン50中の第四排出生成物流を、冷却ライン56中の冷却液体を取り付けた第四熱交換器54に通過させて、第四の熱交換させた排出生成物ライン51中の第四の熱交換させた排出生成物流を得る。その後、第四の熱交換させた排出生成物ライン51中の第四の熱交換させた排出生成物流を、第五分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物ライン65からの第五分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物と一緒にして、この方法を繰り返す。反復連続中で、反応器62、72、82及び92を、それぞれ、反応剤供給物流63、73、83及び93で使用する。それぞれの反応剤供給物流は、それぞれ、分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物ライン65、75、85及び95から得られた第五、第六、第七及び第八分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物から得られたエチルベンゼンヒドロパーオキサイドの新しい部分を含む。この反応剤流は、更に、それぞれ熱交換させた排出生成物ライン51、61、71及び81から得られた、プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、未反応プロピレン、触媒及びもしあれば未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイドの排出生成物流からなる。反応器62、72及び82からのそれぞれの排出生成物流のそれぞれを、それぞれ、排出生成物ライン60、70及び80として得、それぞれの生成物排出物を、それぞれ、熱交換器64、74及び84に通過させて、排出生成物ライン61、71及び81から熱交換させた排出生成物流を得る。反応器92から得られた、排出生成物ライン90中の最終排出生成物流を、生成物、特に、プロピレンオキサイド及びα−フェニルエチルアルコールの回収のための複数個の分離装置(図示せず)に移送する。プロピレンのような未反応原料物質並びにエチルベンゼン及び触媒を、排出ライン90から回収して、反応器システム内の任意の反応器、好ましくは第一反応器に再循環することができる。
本発明の方法で使用されるオレフィンには、有機ヒドロパーオキサイドによって対応するオレフィンオキサイド(オキシラン)にエポキシ化することができる、任意のオレフィン性不飽和化合物が含まれてよい。このような化合物には、適切には、オレフィン性炭化水素を含む置換された及び置換されていない脂肪族及び脂環式オレフィン並びにオレフィン性不飽和エステル、アルコール、ケトン及びエーテルが含まれてよい。好ましいオレフィンは、2〜30個の炭素原子、好ましくは少なくとも3個の炭素原子を有するものである。例示的オレフィンには、限定されることなく、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ドデセン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ブタジエン、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルシクロヘキセンが含まれる。この方法に適している置換されたオレフィンには、限定されることなく、アリルアルコール、メタリルアルコール、シクロヘキサノール、ジアリルエーテル、メタクリル酸メチル、オレイン酸メチル、メチルビニルケトン及び塩化アリルが含まれる。好ましくは、オレフィンはC3-8オレフィン、更に好ましくはプロピレンである。
本発明の方法で使用される有機ヒドロパーオキサイドには、酸素原子の1個をオレフィンに移動させてオレフィンオキサイドを形成させることができる、少なくとも1個のヒドロペルオキシ官能基(−OOH)を有する任意の有機化合物が含まれてよい。代表的な有機ヒドロパーオキサイドには、これに限定されることなく、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキシルヒドロパーオキサイド及びt−ブチルヒドロパーオキサイドが含まれる。有機ヒドロパーオキサイドを製造する方法は当該技術分野で公知であり、例えばエチルベンゼン及び酸素からのエチルベンゼンヒドロパーオキサイドの製造は、例えば米国特許第4,066,706号明細書及び米国特許第4,262,143号明細書(本明細書に参照して含める)に記載されている。本発明の方法に於いて、有機ヒドロパーオキサイドは、典型的に、適当な溶媒との液相中で供給される。一般的に使用されるプロセス条件下で熱的に安定であり、そして本質的に非反応性である全ての溶媒を使用することができる。適当な溶媒には、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、クメン及びナフタレンのような芳香族物質が含まれる。好ましくは、この溶媒はエチルベンゼン又はクメンである。エポキシ化速度論を増強させるために、有機ヒドロパーオキサイドはしばしば濃縮される。一般的に、有機ヒドロパーオキサイドは、5重量%よりも高い、好ましくは20重量%よりも高い濃度での溶液中で提供される。一般的に、有機ヒドロパーオキサイドは、40重量%よりも低い、好ましくは35重量%よりも低い濃度での溶液中で提供される。
一般的に、オレフィンは、液体として反応器に供給され、例えばプロピレンは圧縮液体として供給される。希釈剤が、方法及び触媒に対して本質的に不活性である限り、任意の希釈剤をオレフィンと共に使用することができる。適当な希釈剤には、アルカン類及びアルキル芳香族類並びに反応速度論又は収率に影響を与えることが見出されていない他の有機溶媒が含まれる。希釈剤を使用する場合、希釈剤中のオレフィンの濃度は、プロセスがオレフィンオキサイドを生成する限り、任意の濃度であってよい。典型的に、オレフィン濃度は、オレフィン及び希釈剤の合計モル数基準で5モル%よりも高く、好ましくは20モル%よりも高い。典型的には、オレフィン濃度は、オレフィン及び希釈剤の合計モル数基準で100モル%よりも低い。
本発明の方法に於いて、プロセスに供給されるオレフィンのモル数の有機ヒドロパーオキサイドの合計モル数に対する比は、オレフィンオキサイドが生成物として製造される限り、広範囲に変化させることができる。用語「有機ヒドロパーオキサイドの合計モル数」は、反応器システムに供給される有機ヒドロパーオキサイドのモル数の合計を指す。一般的に、オレフィンの全有機ヒドロパーオキサイドに対するモル比は、2:1よりも大きく、好ましくは4:1よりも大きい。一般的に、オレフィンの全有機ヒドロパーオキサイドに対するモル比は、15:1よりも小さく、好ましくは10:1よりも小さい。オレフィンの全有機ヒドロパーオキサイドに対するモル比は、2:1よりも大きくから15:1よりも小さいまでの範囲であってよいが、反応器システム内のそれぞれの反応ゾーン又はそれぞれの反応器中のオレフィンの有機ヒドロパーオキサイドに対するモル比は、15:1よりも著しく高くてよい。例として、プロピレンの全エチルベンゼンヒドロパーオキサイドに対するモル比が5:1であり、そして5個の反応器が直列に連結され、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物が5個の反応器の間で等しく分割されている場合、それぞれの反応器中のプロピレン対エチルベンゼンヒドロパーオキサイドモル比は、25:1である。この方式で、有機ヒドロパーオキサイドは、場合により比較的低い濃度で、それぞれの反応ゾーン又はそれぞれの反応器に供給され、それによってヒドロパーオキサイドの早過ぎる分解が防止され、反応発熱への制御が容易になる。
触媒が、酸素を有機ヒドロパーオキサイドからオレフィンに移動させて、オレフィンオキサイドを形成することができる限り、任意のエポキシ化触媒を本発明の方法に於いて使用することができる。例えば、米国特許第3,350,422号明細書、米国特許第3,351,635号明細書、米国特許第4,217,287号明細書、米国特許第4,262,143号明細書、米国特許第4,845,251号明細書、米国特許第5,081,267号明細書、米国特許第5,107,067号明細書、米国特許第5,723,637号明細書、米国特許第5,912,367号明細書及び米国特許第6,096,910号明細書(上記の特許を参照して本明細書に含める)に開示されているような、例えばモリブデン含有触媒及びチタン含有触媒を含む多くのこのような触媒が、当業者に公知である。適当なモリブデン含有触媒には、これらに限定するものではないが、モリブデンナフテン酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、酪酸塩、2−エチルヘキサン酸塩及びイソオクタン酸塩のようなモリブデン有機塩;モリブデン酸アンモニウム、ジモリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデンのようなモリブデン無機塩及び酸化物;塩化モリブデン及びオキシ塩化モリブデン並びに上記の酸化物及び塩の任意の水和物形が含まれる。任意的に、上記のモリブデン含有触媒の何れにも、また、1種又はそれ以上のアルカリ金属酸化物及び/又は水酸化物が含有されていてよい。有機モリブデン錯体、好ましくは、アルキレングリコールとのモリブデンの錯体も、任意に、1種又はそれ以上のアルカリ金属酸化物及び/又は水酸化物と組合せて、触媒として適切に使用することができる。適当なチタン含有触媒には、これらに限定することなく、チタン含有酸化ケイ素、チタンシリカライト(titanium silicalite)のようなチタノケイ酸塩(titanosilicate)及びこれらの種々の担持物が含まれる。シリカ上に分散された酸化モリブデン及び酸化チタンの組合せ物も、適切に使用することができる。更に好ましくは、この触媒は、ナフテン酸モリブデン、2−エチルヘキサン酸モリブデン又はイソオクタン酸モリブデンである。
この触媒は、均一な形で、即ち、溶媒及び溶解したオレフィンを含む液相反応混合物中に溶解された形で供給することができる。典型的には、オレフィン、溶媒及び均一触媒を含有する溶液を、単一反応器システム内の第一反応ゾーン又は多反応器システム内の第一反応器に供給する。任意的に、触媒を含有する溶液を、単一反応器システム内のそれぞれの反応ゾーン若しくは多反応器システム内のそれぞれの反応器に供給することができるか又は追加の触媒を所望する場合、連続内の反応ゾーン若しくは反応器の、必ずしも全てではないが1個より多い反応器に供給することができる。好ましい態様に於いて、例えば触媒の一部を第一反応ゾーンに添加し、触媒の残りを、反応器の中間点で反応ゾーン(プラス又はマイナス1個の反応ゾーン)に添加することができる。また、触媒の一部を第一反応器に添加し、触媒の残りを、多反応器列の中間点(プラス又はマイナス1個の反応器)で添加することができる。触媒のこの部分は、等しく又は所望により任意の他の分率によって分割することができる。他の代替として、触媒を、不均一触媒として、即ち液相反応媒体から分離された固相で供給することができる。触媒が不均一である場合、触媒は、これらに限定されるものではないが、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア及び/又はアルミノケイ酸塩を含む、任意の一般的な触媒担体上に担持させることができる。不均一形で、触媒は、一般的に、反応器システム内のそれぞれの反応ゾーン内に設置された固定床中に供給される。更に好ましくは、この触媒は均一触媒である。最も好ましくは、この触媒は、ナフテン酸モリブデン、2−エチルヘキサン酸モリブデン又はイソオクタン酸モリブデンから選択された均一モリブデン触媒である。
本発明方法で使用する触媒の量は、選択された特別の触媒に依存して変化する。触媒が均一触媒である場合、触媒の濃度は、一般的に、有機ヒドロパーオキサイド1モル当たり、0.0001モル触媒よりも高く、好ましくは0.0005モル触媒よりも高い。一般的に、均一触媒の濃度は、有機ヒドロパーオキサイド1モル当たり、0.0100モル触媒よりも低く、好ましくは0.0080モル触媒よりも低い。触媒が分離した固相として供給される場合、有機ヒドロパーオキサイド(OHP)の空間速度(例えば、触媒重量当たり1時間当たりのOHPの重量)は、後記のように、触媒の重量当たり使用される有機ヒドロパーオキサイドの相対比を決定するであろう。
前記プロセス発明の説明から、当業者であれば、全有機ヒドロパーオキサイド供給物が分割され、分割ヒドロパーオキサイド供給物が反応器システム全体に分配されることを認めるであろう。好ましくは、複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物は、(a)単一反応器システム内の複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーン又は(b)多反応器システム内の複数個の逐次的に相互連結された反応器に分配される。同様に、触媒が均一である場合、触媒を含有する溶液を分割し、そして反応器システム内の1個又はそれ以上の反応ゾーン又は反応器に供給することができる。反応ゾーン及び/又は個々の反応器に供給される、溶媒、オレフィン、有機ヒドロパーオキサイド及び触媒を含む個々の供給物流の全てを、お互いに対して同じになるように配合することができ又はその代わりに、それぞれの供給物流を、他の供給物流から独立に配合することができる。どんな具体化が使用されようとも、反応温度は、試薬及び触媒濃度の操作により並びに冷却手段で適切に制御することができ、プロピレンオキサイドへの高い選択率を達成できる。
前記のように、本発明の方法で使用する反応器システムは、多数の反応ゾーンを有する単一の反応器又は好ましくはそれぞれ多数の反応ゾーンを有する複数個の逐次的に相互連結された反応器を含む。単一反応器又は複数個の逐次的に相互連結された反応器のそれぞれの反応器は、典型的に水平に又は垂直に配向されている。本発明の一つの好ましい態様に於いて、反応器システムは、図1に示すように、水平配向反応器を含む。このような反応器には、好ましくは、4個又はそれ以上の反応ゾーンであるが、15個よりも少ない反応ゾーンが含まれる。更に好ましくは、この反応器には、ヒドロパーオキサイド供給物用及び任意的に触媒供給物用の2個の供給点が含まれている。第一供給点は、好ましくは、反応器の前端部又はその付近に配置され、そして第二供給点は、好ましくは、反応器の中間点(プラス又はマイナス1個の反応ゾーン)に配置されている。供給点は、通常、反応ゾーンの前端入口に位置するが、当業者によって設計されるように反応ゾーンの他のどこかにあってもよい。他の好ましい態様に於いて、反応器システムは、図2に示されるように、複数個の逐次的に相互連結された、垂直に配向された反応器からなり、更に好ましくは、それぞれの反応器は、複数個の反応ゾーンに区画化されている。典型的に、複数個の逐次的に相互連結された反応器は、2個又はそれ以上の反応器を含む。典型的には、複数個の逐次的に相互連結された反応器は、12個よりも少ない反応器、好ましくは10個よりも少ない反応器を含む。8個の逐次的に相互連結された、垂直に配向された反応器の好ましい態様を、図2に示す(装置22、32、42、52、62、72、82及び92)。他の好ましい態様に於いて、複数個の逐次的に相互連結された反応器は、2個又はそれ以上の反応器からなり、それぞれは、更に好ましくは4個又はそれ以上の反応ゾーンに区画化することによって、栓流挙動を容易にするように設計されている。それらの最も好ましい態様に於いて、ヒドロパーオキサイド供給物用及び任意に触媒供給物用の2個の供給点が存在している。第一供給点は、第一反応器の前端部又はその付近に配置され、そして第二供給点は、多反応器システムの中間点(プラス又はマイナス1個の反応器)又はその付近に配置されている。また、供給点は、通常、それぞれの反応器の前端入口に位置するが、当業者によって設計されるように反応器の他のどこかにあってもよい。
単一反応器システムに於いて、単一反応器は、典型的には、伝熱流体又は冷媒の循環のための内部冷却コイルを有する等温反応器完結体を含む。多反応器システムに於いて、複数個の反応器のそれぞれは、等温反応器及び断熱反応器から選択することができる。典型的に、用語「等温反応器(isothermal reactor)」は、反応器の内部空間が、工程サイクルを通して本質的に一つの温度で維持されていることを意味する。しかしながら、本発明の方法に於いて、用語「等温反応器」は、その中の温度が目標工程温度の±10℃で維持されている反応器を含めるように、一層柔軟に解釈されるものとする。目標プロセス温度は、以下に記載するように、工程のために選択された全ての運転可能な温度であってよい。用語「断熱反応器(adiabatic reactor)」は、熱が反応器から本質的に除去されないことを意味するものとする。従って、外部冷却手段が、それぞれの断熱反応器に典型的に付属する。好ましくは、多反応器システム内の反応器のそれぞれは断熱反応器である。
更に、反応器システムは、栓流挙動を容易にして、液体反応相の逆混合を最小にするための1個又はそれ以上の手段を含む。逆混合は、全ての流体要素が、それらが反応器を通過するとき同じ履歴を有しない流体の運動として、前に定義した。逆混合は、プロセスの生産性のために不利であることが見出された。逆混合は、(平均滞留時間と比較したときに)ランダム流体要素の滞留時間を増加させ、それによって、オレフィンオキサイドへの選択率を低下させ、そして(平均と比較したとき)他のランダム流体要素の滞留時間を減少させ、それによって、過酸化物転化率を低下させると思われる。反対に、栓流には、本質的に全ての流体要素が、それらが反応器を通過するときに、本質的に同じ履歴(滞留時間)を有するように、反応器の入口部から出口部への流体流の全体前方移動が含まれる。研究所規模の反応器は、如何なる特別設計特徴も存在しないで栓流挙動をシミュレートすることができるが、商業的規模の装置では、典型的に、栓流挙動を容易にするように設計された内部構造を必要とする。好ましくは、単一又は多反応器システム内のそれぞれの商業的規模の反応器には、栓流を容易にするための1個又はそれ以上の手段、好ましくは反応器の内側壁に取り付けられ、それによって反応器により取り囲まれた空間を、区別できる反応ゾーンに分割する、1個又はそれ以上の仕切りが含まれている。更に好ましくは、それぞれの仕切りは、反応器の内側壁に取り付けられたバッフルを含む。この仕切り、好ましくはバッフルは、典型的に、反応器の長軸に対して本質的に垂直で配向しており、反応器を横切って伸びているが、例えば、一つの設計に於いて、反対側壁にまで完全に伸びてはいない。反対側壁と仕切との間に、1個のゾーンから次のゾーンへの流体流れを可能にするためのオープンアクセス(open access)が設けられている。このオープンアクセスは、1個のゾーンから次のゾーンへの液体反応相の流れを容易にするために十分に大きいが、許容されない逆混合を作るほど大きくはない。これらのバッフルは、逆混合を防止するための適当なサイズを有する篩により又はオーバーフローにより、チャンバーからチャンバーへの流れを与えることができる。
反応器当たりに使用されるバッフルの数は、反応器のサイズ、更に詳しくは、その長さに依存して変化する。典型的には、3個又はそれ以上のバッフル、好ましくは6個又はそれ以上のバッフルが、反応器当たりに使用される。典型的に、15個よりも少ないバッフル、好ましくは12個よりも少ないバッフルが、反応器当たりに使用される。なお一層好ましい態様に於いて、それぞれのバッフルには、反応器内の過剰の気体蓄積のための漏出部として機能する、1個又はそれ以上のウィープホールが含まれている。過剰の気体には、例えば希釈ガス及び液体反応相中のオレフィンの溶解度限界を超えた任意のオレフィンガス並びに副反応により形成された酸素が含まれる。これらの気体を反応器から除去することが望ましい。ウィープホールのサイズは、反応器の規模に依存して変化するであろう。典型的に、ウィープホールは、反応器内で発生する過剰の気体の上流放出を可能にするために十分に大きく、他方、許容できない量の液体反応混合物の漏出を防止するために十分に小さい。更に、ウィープホールは、液体反応混合物の逆混合を誘発するほど大きくてはならない。
本発明の方法は発熱であるので、反応器システムには、また、1個又はそれ以上の熱制御のための手段が含まれていなくてはならない。例えば、それぞれの反応器には、これに限定するものではないが、熱交換流体又は冷媒を循環させる外部ポンプが付属している内部冷却コイルを含む、熱制御のための内部手段が含まれていてよい。多反応器システムに於いては、熱制御手段は、反応器に対して内部であってよく又はその代わりに反応器に対して外部に配置されていてよい。更に好ましくは、例えば、図2(装置24、34、44、54、64、74及び84)に示すように、外部熱交換器を、複数個の逐次的に相互連結された反応器中の、それぞれ隣接する反応器の対の間に設置することができる。この熱交換器は、例えば排出生成物ラインを熱交換流体又は冷媒に貫通させることを含む、反応の発熱を除去するための任意の一般的な設計からなっていてよい。熱交換流体を熱交換器の中に及びそれから外に移送するための導管ラインを、例えば図2に於いて矢印26、36、46、56、66、76及び86として示す。
温度、圧力及び滞留時間の任意のエポキシ化方法条件を、反応剤が液相中に存在し、全体の工程が、好ましくは少なくとも90モル%の選択率でオレフィンオキサイドを製造する限り、本明細書に記載した反応器システム内の個々の反応器内で使用することができる。このエポキシ化プロセス条件には、適当には、80℃よりも高い、好ましくは100℃よりも高い目標温度が含まれてよい。このエポキシ化プロセス条件には、適当には、130℃よりも低い、好ましくは120℃よりも低い目標温度が含まれてよい。多反応器システムに於いて、反応器は全て密接して類似の目標温度に維持されていてよく又はその代わりに、目標温度は上記の広い温度範囲内で反応器毎に変化してよい。それぞれの反応器を、工程の間、を通して厳密に等温条件に維持することは必要ない。それぞれの反応器の温度は、温度が、好ましくは90モル%よりも高い選択率で、オレフィンオキサイドの生成になる範囲内に維持されている限り、工程期間に亘って変化してよい。好ましくは、それぞれの等温反応器の温度は、目標反応温度の±10℃で維持される。反対に、任意の断熱反応器内の温度は、工程の発熱度に依存して、その自然上限にまで上昇するであろう。
全反応器システムを通した圧力は、反応器システムを通して液相を維持するために十分な任意の圧力に調節することができる。しかしながら、酸素のような望ましくないガスを反応器から除去するために、小量の気相が許容される。典型的に、この圧力は、300psig(2,068kPa)よりも高いであろう。典型的に、この圧力は、1,000psig(6,895kPa)よりも低い、好ましくは850psig(5,861kPa)よりも低いであろう。一般的に、この圧力は、反応器システムを通して実質的に等圧である。
全反応器システム内の液相の滞留時間は、広い範囲内で調節することができるが、典型的には、運転の温度に依存する。一般的には、運転温度が上昇するとき、許容できるオレフィンオキサイド選択率を維持するために、滞留時間は減少する。典型的には、全反応器システム内の液相の滞留時間は、10分間よりも長く、好ましくは15分間よりも長い。典型的には、全反応器システム内の液相の滞留時間は、3時間よりも短い。不均一触媒を使用する場合、滞留時間は、重量時空間速度(weight hourly space velocity)(反応器システムを通した、時間当たり又はh-1の不均一触媒の重量当たりの液相の重量)の逆数であるとしてとることができる。液相の適当な重量時空間速度は、典型的に、0.1h-1よりも大きく、好ましくは0.2h-1よりも大きく、そして典型的に10h-1よりも小さく、好ましくは1.0h-1よりも小さい。
本発明の方法を上記のようにして実施すると、オレフィン、好ましくはプロピレン及び有機ヒドロパーオキサイド、好ましくはエチルベンゼンヒドロパーオキサイドは、オレフィンオキサイド、プロピレンオキサイド及び対応するアルコール、好ましくはα−フェニルエチルアルコールに転化される。本発明の方法に於いて、生成物に転化された有機ヒドロパーオキサイドの全モル数としてとられる、有機ヒドロパーオキサイドの転化率は、有利には95モル%よりも大きく、好ましくは96モル%よりも大きく、更に好ましくは97モル%よりも大きい。反応した有機ヒドロパーオキサイドの1モル当たりの、製造されたオレフィンオキサイドのモル数としてとられる、オレフィンオキサイド、好ましくはプロピレンオキサイドへの選択率は、有利には90モル%よりも大きく、92モル%よりも大きく、更に好ましくは94モル%よりも大きい。
本発明は、本発明の使用の純粋に例示であると意図される下記の実施例を考慮することによって、更に明らかになるであろう。本発明の他の態様は、本明細書又はここに開示された本発明の実施を考慮することから、当業者に明らかであろう。
実施例1
エチルベンゼンヒドロパーオキサイドによるプロピレンのエポキシ化を、図2に示す反応器システムに於いてモリブデンベース触媒で評価した。図2を参照して、反応器システムは、垂直逐次的直列で連結されている8個の断熱栓流反応器(それぞれ、長さ18.3m×内径3.05m)(装置22、32、42、52、62、72、82及び92)から構成されていた。それぞれの反応器は、栓流挙動を容易にするための9個のバッフル(それぞれの反応器内で短い水平線として示されている)を含んでいた。外部熱交換器が、7個の熱交換器(装置24、34、44、54、64、74及び84;それぞれの交換器111.5m2;交換器当たりのΔT、(41.7℃);熱移動係数、100BTU’s/h/ft2)について反応器のそれぞれ隣接する対の間に設置されていた。それぞれの反応器内の温度は、111℃±4℃に維持されていた。反応器システム内の圧力は、本質的に750psig(5,171kPaゲージ)で等圧であった。主供給物ライン10から得られた、エチルベンゼン中に溶解させた2−エチルヘキサン酸モリブデン(0.02ミリモル)からなる供給物流を、供給物ライン23に、1,990kg/hの速度で供給した。プロピレンを供給物ライン10の中に供給し、そこから供給物ライン23に151,379kg/hの速度で供給した。供給物ライン15として与えられ、エチルベンゼン中のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド(25重量%)からなるエチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を、エチルベンゼン供給物ライン18に供給し、これを分割供給物ライン25、35、45、55、65、75、85及び95として8個の等しいエチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物に分割した。エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物ライン25として示される分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物流の第一のものを、主供給物ライン10からのプロピレン及び触媒供給物と一緒にして、供給物ライン23中の一緒にした反応剤供給物を形成し、これを第一反応器(装置22)の中に供給した。全エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物の供給速度は、311,503kg/hであった。プロピレンの全エチルベンゼンヒドロパーオキサイドに対するモル比は、5.833:1であった。プロピレンオキサイド、α−エチルフェニルアルコール、アセトフェノン、エチルベンゼン、未反応プロピレン、モリブデン触媒及び、もしあれば、未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイドからなる、第一排出生成物ライン20中で得られた第一排出生成物流を、流体ライン26内に熱交換流体を入れた外部熱交換器24に通過させ、第一の熱交換させた排出生成物ライン21中の熱交換させた第一排出生成物流として出した。図2に於いて、熱交換器24内の熱交換流体のための導管を矢印付きライン26として示した。生成物ライン21中の熱交換させた第一排出生成物流を、第二分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物ライン35から与えられた新しいエチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物の第二部分と一緒にして、供給物ライン33中の第二の一緒にした供給物流を形成し、これを第二反応器(装置32)に入れる。反応器32からの排出生成物ライン30としての第二排出生成物流を、また、熱交換流体ライン36からの熱交換流体を入れた外部熱交換器34に通過させ、それから熱交換させた第二排出生成物流を第二排出生成物ライン31として得た。第二排出生成物ライン31からの熱交換させた第二排出生成物流を、第三分割供給物ライン45から与えられたエチルベンゼンヒドロパーオキサイドの第三の新しい供給物と一緒にして、第三供給物ライン43中の第三の一緒にした供給物流を形成し、これを第三反応器(装置42)に供給した。第三反応器42からの第三排出生成物ライン40として得られた第三排出生成物ラインを、また、熱交換流体ライン46中の熱交換流体を入れた外部熱交換器44に通過させ、それから熱交換させた第三排出生成物を第三排出生成物ライン41として得た。第三の熱交換させた排出生成物ライン41からの第三の熱交換させた排出物を、第四分割供給物ライン55から与えられたエチルベンゼンヒドロパーオキサイドの第四の新しい供給物と一緒にして、供給物ライン53としての第四の一緒にした供給物流を形成し、これを第四反応器(装置52)に入れる。第四排出生成物ライン50として得られた第四反応器からの第四排出生成物流を、熱交換流体ライン56中の熱交換流体を入れた外部熱交換器54に通過させ、それから熱交換させた第四排出生成物を熱交換させた第四排出生成物ライン51として得た。その後、この工程を、プロピレンオキサイド、α−エチルフェニルアルコール、アセトフェノン、エチルベンゼン、未反応プロピレン、モリブデン触媒及び、もしあれば、未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイドからなる、排出生成物ライン51、61、71及び81からの熱交換させた排出物を使用し、それぞれ、供給物ライン65、75、85及び95からの新しい分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物と一緒にして、供給物ライン63、73、83及び93中の反応剤供給物を形成させて、更に4回繰り返した。反応剤供給物63、73、83及び93を、それぞれ反応器装置62、72、82及び92に供給した。生成物排出物ライン60、70及び80中に得られた、反応器装置62、72及び82からの生成物排出物を、熱交換装置64、74及び84に通して熱交換させて、それぞれ熱交換させた生成物排出物ライン61、71及び81中の熱交換させた生成物排出物流を得た。プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、エチルベンゼン、モリブデン触媒及び任意の未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイドからなる第八排出生成物流を、反応器装置92から第八排出生成物流90として得た。この反応器システム内の液相の全滞留時間は、149分間であった。それぞれの反応器中の平均エチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率は、90モル%であることが見出された。全エチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率は、98モル%であることが見出された。全プロピレンオキサイド選択率は、95モル%であることが見出された。温度制御は、運転を通して満足できるように維持された。
エチルベンゼンヒドロパーオキサイドによるプロピレンのエポキシ化を、図2に示す反応器システムに於いてモリブデンベース触媒で評価した。図2を参照して、反応器システムは、垂直逐次的直列で連結されている8個の断熱栓流反応器(それぞれ、長さ18.3m×内径3.05m)(装置22、32、42、52、62、72、82及び92)から構成されていた。それぞれの反応器は、栓流挙動を容易にするための9個のバッフル(それぞれの反応器内で短い水平線として示されている)を含んでいた。外部熱交換器が、7個の熱交換器(装置24、34、44、54、64、74及び84;それぞれの交換器111.5m2;交換器当たりのΔT、(41.7℃);熱移動係数、100BTU’s/h/ft2)について反応器のそれぞれ隣接する対の間に設置されていた。それぞれの反応器内の温度は、111℃±4℃に維持されていた。反応器システム内の圧力は、本質的に750psig(5,171kPaゲージ)で等圧であった。主供給物ライン10から得られた、エチルベンゼン中に溶解させた2−エチルヘキサン酸モリブデン(0.02ミリモル)からなる供給物流を、供給物ライン23に、1,990kg/hの速度で供給した。プロピレンを供給物ライン10の中に供給し、そこから供給物ライン23に151,379kg/hの速度で供給した。供給物ライン15として与えられ、エチルベンゼン中のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド(25重量%)からなるエチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を、エチルベンゼン供給物ライン18に供給し、これを分割供給物ライン25、35、45、55、65、75、85及び95として8個の等しいエチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物に分割した。エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物ライン25として示される分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物流の第一のものを、主供給物ライン10からのプロピレン及び触媒供給物と一緒にして、供給物ライン23中の一緒にした反応剤供給物を形成し、これを第一反応器(装置22)の中に供給した。全エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物の供給速度は、311,503kg/hであった。プロピレンの全エチルベンゼンヒドロパーオキサイドに対するモル比は、5.833:1であった。プロピレンオキサイド、α−エチルフェニルアルコール、アセトフェノン、エチルベンゼン、未反応プロピレン、モリブデン触媒及び、もしあれば、未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイドからなる、第一排出生成物ライン20中で得られた第一排出生成物流を、流体ライン26内に熱交換流体を入れた外部熱交換器24に通過させ、第一の熱交換させた排出生成物ライン21中の熱交換させた第一排出生成物流として出した。図2に於いて、熱交換器24内の熱交換流体のための導管を矢印付きライン26として示した。生成物ライン21中の熱交換させた第一排出生成物流を、第二分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物ライン35から与えられた新しいエチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物の第二部分と一緒にして、供給物ライン33中の第二の一緒にした供給物流を形成し、これを第二反応器(装置32)に入れる。反応器32からの排出生成物ライン30としての第二排出生成物流を、また、熱交換流体ライン36からの熱交換流体を入れた外部熱交換器34に通過させ、それから熱交換させた第二排出生成物流を第二排出生成物ライン31として得た。第二排出生成物ライン31からの熱交換させた第二排出生成物流を、第三分割供給物ライン45から与えられたエチルベンゼンヒドロパーオキサイドの第三の新しい供給物と一緒にして、第三供給物ライン43中の第三の一緒にした供給物流を形成し、これを第三反応器(装置42)に供給した。第三反応器42からの第三排出生成物ライン40として得られた第三排出生成物ラインを、また、熱交換流体ライン46中の熱交換流体を入れた外部熱交換器44に通過させ、それから熱交換させた第三排出生成物を第三排出生成物ライン41として得た。第三の熱交換させた排出生成物ライン41からの第三の熱交換させた排出物を、第四分割供給物ライン55から与えられたエチルベンゼンヒドロパーオキサイドの第四の新しい供給物と一緒にして、供給物ライン53としての第四の一緒にした供給物流を形成し、これを第四反応器(装置52)に入れる。第四排出生成物ライン50として得られた第四反応器からの第四排出生成物流を、熱交換流体ライン56中の熱交換流体を入れた外部熱交換器54に通過させ、それから熱交換させた第四排出生成物を熱交換させた第四排出生成物ライン51として得た。その後、この工程を、プロピレンオキサイド、α−エチルフェニルアルコール、アセトフェノン、エチルベンゼン、未反応プロピレン、モリブデン触媒及び、もしあれば、未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイドからなる、排出生成物ライン51、61、71及び81からの熱交換させた排出物を使用し、それぞれ、供給物ライン65、75、85及び95からの新しい分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物と一緒にして、供給物ライン63、73、83及び93中の反応剤供給物を形成させて、更に4回繰り返した。反応剤供給物63、73、83及び93を、それぞれ反応器装置62、72、82及び92に供給した。生成物排出物ライン60、70及び80中に得られた、反応器装置62、72及び82からの生成物排出物を、熱交換装置64、74及び84に通して熱交換させて、それぞれ熱交換させた生成物排出物ライン61、71及び81中の熱交換させた生成物排出物流を得た。プロピレンオキサイド、α−フェニルエチルアルコール、エチルベンゼン、モリブデン触媒及び任意の未反応エチルベンゼンヒドロパーオキサイドからなる第八排出生成物流を、反応器装置92から第八排出生成物流90として得た。この反応器システム内の液相の全滞留時間は、149分間であった。それぞれの反応器中の平均エチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率は、90モル%であることが見出された。全エチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率は、98モル%であることが見出された。全プロピレンオキサイド選択率は、95モル%であることが見出された。温度制御は、運転を通して満足できるように維持された。
実施例2
反応器システムを、直列で逐次的に相互連結させ、栓流挙動を容易にするようにそれぞれの反応器内に9個のバッフルを設計した、3個の垂直配向させた等温反応器(それぞれ、長さ18.3m×内径3.04m)から構成した以外は、実施例1の方法を繰り返した。この実施例に於いて、実施例1の外部熱交換器を使用せず、その代わりに、それぞれの反応器に、図1に示したものと同様に設計された、内部冷却手段、更に特に、液体冷媒を含有する冷却コイルを含有させた。それぞれの反応器内の温度を、111℃±10℃に維持した。全圧力は、本質的に750psig(5,171kPaゲージ)で等圧であった。エチルベンゼン中に溶解させたナフテン酸モリブデンからなる触媒溶液を、反応器列内の第一反応器に、1,990kg/hの速度で供給した。プロピレンを、第一反応器に、151,379kg/hの速度で供給した。エチルベンゼン中のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド(25重量%)からなるエチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を、3個の等しい新しい供給物に分割し、それぞれの分割供給物を反応器の1個に供給した。全エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給速度は、311,503kg/hであった。プロピレンの全エチルベンゼンヒドロパーオキサイドに対するモル比は、5.833:1であった。第一反応器からの排出物を第二反応器に供給し、第二反応器からの排出物を第三反応器に供給した。反応器内の液相の全滞留時間は111分間であった。第三反応器からの排出生成物流を分析して下記の結果を得た。98モル%のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド全転化率での全プロピレンオキサイド選択率は94モル%であった。
反応器システムを、直列で逐次的に相互連結させ、栓流挙動を容易にするようにそれぞれの反応器内に9個のバッフルを設計した、3個の垂直配向させた等温反応器(それぞれ、長さ18.3m×内径3.04m)から構成した以外は、実施例1の方法を繰り返した。この実施例に於いて、実施例1の外部熱交換器を使用せず、その代わりに、それぞれの反応器に、図1に示したものと同様に設計された、内部冷却手段、更に特に、液体冷媒を含有する冷却コイルを含有させた。それぞれの反応器内の温度を、111℃±10℃に維持した。全圧力は、本質的に750psig(5,171kPaゲージ)で等圧であった。エチルベンゼン中に溶解させたナフテン酸モリブデンからなる触媒溶液を、反応器列内の第一反応器に、1,990kg/hの速度で供給した。プロピレンを、第一反応器に、151,379kg/hの速度で供給した。エチルベンゼン中のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド(25重量%)からなるエチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を、3個の等しい新しい供給物に分割し、それぞれの分割供給物を反応器の1個に供給した。全エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給速度は、311,503kg/hであった。プロピレンの全エチルベンゼンヒドロパーオキサイドに対するモル比は、5.833:1であった。第一反応器からの排出物を第二反応器に供給し、第二反応器からの排出物を第三反応器に供給した。反応器内の液相の全滞留時間は111分間であった。第三反応器からの排出生成物流を分析して下記の結果を得た。98モル%のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド全転化率での全プロピレンオキサイド選択率は94モル%であった。
比較例1
比較目的のために、モリブデンベース触媒の存在下でのエチルベンゼンヒドロパーオキサイドによるプロピレンのエポキシ化方法を、連続攪拌型タンク反応器(CSTR)内で、等温性を維持するために冷却しながら評価した。CSTRは、逆混合で運転し、栓流挙動によって運転しなかった。エチルベンゼン中の25重量%溶液として与えられたエチルベンゼンヒドロパーオキサイドを、反応器に311,504kg/hの速度で供給した。プロピレンを、反応器に151,379kg/hの速度で供給した。プロピレンをエチルベンゼン中に溶解させた。プロピレンの全エチルベンゼンヒドロパーオキサイドに対するモル比は、5.833:1であった。触媒として使用した2−エチルヘキサン酸モリブデンを、CSTR反応器の中に入る前に、直接他の供給物流と混合させた。反応器温度を111℃で維持し、圧力は自然発生的であった。液相の滞留時間は210分間であった。87モル%のプロピレンオキサイド選択率が、92モル%のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率で達成された。比較例1を実施例1及び2と比較したとき、段階式添加も栓流挙動も有しない、連続攪拌型タンク反応器と比較したとき、(より短い滞留時間及びその他は同様の運転条件で)段階式添加及び栓流挙動を有する特許請求の範囲に記載した反応器システム内で、より高いエチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率及びより高いプロピレンオキサイド選択率が達成されたことが分かった。
比較目的のために、モリブデンベース触媒の存在下でのエチルベンゼンヒドロパーオキサイドによるプロピレンのエポキシ化方法を、連続攪拌型タンク反応器(CSTR)内で、等温性を維持するために冷却しながら評価した。CSTRは、逆混合で運転し、栓流挙動によって運転しなかった。エチルベンゼン中の25重量%溶液として与えられたエチルベンゼンヒドロパーオキサイドを、反応器に311,504kg/hの速度で供給した。プロピレンを、反応器に151,379kg/hの速度で供給した。プロピレンをエチルベンゼン中に溶解させた。プロピレンの全エチルベンゼンヒドロパーオキサイドに対するモル比は、5.833:1であった。触媒として使用した2−エチルヘキサン酸モリブデンを、CSTR反応器の中に入る前に、直接他の供給物流と混合させた。反応器温度を111℃で維持し、圧力は自然発生的であった。液相の滞留時間は210分間であった。87モル%のプロピレンオキサイド選択率が、92モル%のエチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率で達成された。比較例1を実施例1及び2と比較したとき、段階式添加も栓流挙動も有しない、連続攪拌型タンク反応器と比較したとき、(より短い滞留時間及びその他は同様の運転条件で)段階式添加及び栓流挙動を有する特許請求の範囲に記載した反応器システム内で、より高いエチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率及びより高いプロピレンオキサイド選択率が達成されたことが分かった。
実施例3
モリブデン触媒の存在下でのエチルベンゼンヒドロパーオキサイドによるプロピレンの液相エポキシ化を、ヒドロパーオキサイドの段階式添加及び液相の栓流挙動のために設計した反応器システム内で評価した。2個の反応器(それぞれ50ccの区画)及びそれぞれの反応器の前端部の供給点からなる、管型ステンレススチール反応器システムを構成した。それぞれの反応器は、本質的に栓流下で運転した。反応器システムへの全供給物は、液化プロピレン(1.91mL/分)、エチルベンゼン中に25重量%のエチルベンゼンヒドロパーオキサイドを含有する過酸化物溶液(1.823mL/分)及びエチルベンゼン中に活性化合物として2−エチルヘキサン酸モリブデン(0.02ミリモル)を含有する触媒溶液(0.092mL/分)からなっていた。プロピレンの全部を第一反応器の前端部に供給したが、過酸化物及び触媒供給物は、2個の等しい部分に分割した。過酸化物及び触媒供給物の第一部分を、プロピレンと混合し、第一反応器前端部に直接供給し、一方、過酸化物及び触媒供給物の第二部分を混合し、直ちに第二反応器の前端部に添加した。反応器システム内の圧力を56バール(5,600kPa)で維持した。運転温度を113℃で維持した。反応器生成物を、30分毎に気相クロマトグラフィーによって分析した。表Iに示されるように、プロピレンオキサイドへの選択率は、平均92.3モル%で、92.1〜92.9モル%の範囲内に見出された。反応器が安定条件を達成したとき、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率は96.1モル%であった。
モリブデン触媒の存在下でのエチルベンゼンヒドロパーオキサイドによるプロピレンの液相エポキシ化を、ヒドロパーオキサイドの段階式添加及び液相の栓流挙動のために設計した反応器システム内で評価した。2個の反応器(それぞれ50ccの区画)及びそれぞれの反応器の前端部の供給点からなる、管型ステンレススチール反応器システムを構成した。それぞれの反応器は、本質的に栓流下で運転した。反応器システムへの全供給物は、液化プロピレン(1.91mL/分)、エチルベンゼン中に25重量%のエチルベンゼンヒドロパーオキサイドを含有する過酸化物溶液(1.823mL/分)及びエチルベンゼン中に活性化合物として2−エチルヘキサン酸モリブデン(0.02ミリモル)を含有する触媒溶液(0.092mL/分)からなっていた。プロピレンの全部を第一反応器の前端部に供給したが、過酸化物及び触媒供給物は、2個の等しい部分に分割した。過酸化物及び触媒供給物の第一部分を、プロピレンと混合し、第一反応器前端部に直接供給し、一方、過酸化物及び触媒供給物の第二部分を混合し、直ちに第二反応器の前端部に添加した。反応器システム内の圧力を56バール(5,600kPa)で維持した。運転温度を113℃で維持した。反応器生成物を、30分毎に気相クロマトグラフィーによって分析した。表Iに示されるように、プロピレンオキサイドへの選択率は、平均92.3モル%で、92.1〜92.9モル%の範囲内に見出された。反応器が安定条件を達成したとき、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率は96.1モル%であった。
比較例2
(CE−2)
エチルベンゼンヒドロパーオキサイドによるプロピレンのエポキシ化を、ヒドロパーオキサイド供給物を、段階式添加ではなくて反応器の前端部に添加した以外は、実施例3に記載した方法で評価した。同じ2区画の管型ステンレススチール反応器システム(それぞれ50ccの区画)に、液化プロピレン(1.91mL/分)、エチルベンゼン中にエチルベンゼンヒドロパーオキサイド(24.98重量%)を含有する過酸化物溶液(1.823mL/分)及びエチルベンゼン中に活性化合物として2−エチルヘキサン酸モリブデン(0.02ミリモル)を含有する触媒溶液(0.092mL/分)からなる全供給物を供給した。全供給物を混合し、直ちに反応器の前端部に添加した。その他の点は、反応器システムを、実施例3で使用したものと同じ工程条件下で運転し、そして分析した。表Iに示されるように、プロピレンオキサイドへの選択率は、平均85.9モル%で、85.5〜86.8モル%の範囲内に見出された。連続的に運転した反応器が安定条件を達成したとき、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率は97.2モル%であった。実施例3を比較例2と比較したとき、栓流パターンを有する反応器へのヒドロパーオキサイドの段階式供給物添加によって、プロピレンオキサイドへの選択率が6.4%ほど上昇したことが分かった。
(CE−2)
エチルベンゼンヒドロパーオキサイドによるプロピレンのエポキシ化を、ヒドロパーオキサイド供給物を、段階式添加ではなくて反応器の前端部に添加した以外は、実施例3に記載した方法で評価した。同じ2区画の管型ステンレススチール反応器システム(それぞれ50ccの区画)に、液化プロピレン(1.91mL/分)、エチルベンゼン中にエチルベンゼンヒドロパーオキサイド(24.98重量%)を含有する過酸化物溶液(1.823mL/分)及びエチルベンゼン中に活性化合物として2−エチルヘキサン酸モリブデン(0.02ミリモル)を含有する触媒溶液(0.092mL/分)からなる全供給物を供給した。全供給物を混合し、直ちに反応器の前端部に添加した。その他の点は、反応器システムを、実施例3で使用したものと同じ工程条件下で運転し、そして分析した。表Iに示されるように、プロピレンオキサイドへの選択率は、平均85.9モル%で、85.5〜86.8モル%の範囲内に見出された。連続的に運転した反応器が安定条件を達成したとき、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド転化率は97.2モル%であった。実施例3を比較例2と比較したとき、栓流パターンを有する反応器へのヒドロパーオキサイドの段階式供給物添加によって、プロピレンオキサイドへの選択率が6.4%ほど上昇したことが分かった。
以下に本発明及びその関連態様を列挙する。
態様1.オレフィンと、有機ヒドロパーオキサイドであるエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、液相中で、均一エポキシ化触媒の存在下に、オレフィンオキサイド及び対応するアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させて反応せしめることを含んでなり、その接触を、液相の栓流(プラグフロー)挙動を容易にするように設計された反応器システム内で実施し、反応器システムに、更に、主有機ヒドロパーオキサイド供給物流を、複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流に分割し、そしてこの分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流を、反応器システム内の反応ゾーン若しくは反応器又は両方に分配させるように、有機ヒドロパーオキサイドを段階的に添加するオレフィンオキサイド及び共生成アルコールの製造方法。
態様2.前記オレフィンがプロピレンである態様1に記載の方法。
態様3.前記反応器システムが、複数個の逐次的に相互連結された、栓流挙動を容易にする反応ゾーンに分割されている単一反応器を含み、その単一反応器システム内の第一反応ゾーンにオレフィンを供給し、そして全有機ヒドロパーオキサイド供給物を複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物に分割し、単一反応器システムの反応ゾーンの間に、複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物を、分配させる態様1に記載の方法。
態様4.前記単一反応器システムが等温反応器である態様3に記載の方法。
態様5.前記反応器システムが、複数個の逐次的に相互連結された反応器を含む多反応器システムであり、それぞれの反応器が、栓流挙動を容易にするために複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されており、オレフィンを多反応器システムの第一反応器に供給し、そして全有機ヒドロパーオキサイド供給物を複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物に分割し、複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物を多反応器システム内の逐次的に相互連結された複数個の反応器の間に分配させる態様1に記載の方法。
態様6.前記多反応器システム内の逐次的に相互連結された反応器が、それぞれ、断熱反応器及び等温反応器から個々に選択される態様5に記載の方法。
態様7.1個又はそれ以上の反応器を含み、それぞれの反応器が4個又はそれ以上の反応ゾーンに分割されている反応器システムを使用し、そして多反応器システムを用いる場合には、その反応器システムが2個よりも多く、そして12個よりも少ない逐次的に相互連結された反応器を含む態様1に記載の方法。
態様8.栓流挙動を容易にするための設計が1個又はそれ以上の仕切りを含み、各仕切りが任意的に1個又はそれ以上のウィープホールを有するバッフルを含む態様1に記載の方法。
態様9.有機ヒドロパーオキサイドの合計モル数に対するオレフィンのモル数の比が、4:1よりも大きく且つ15:1よりも小さい態様1に記載の方法。
態様10.オレフィン及び有機ヒドロパーオキサイドをエチルベンゼン又はクメンの芳香族溶媒中に溶解させる態様1に記載の方法。
態様11.前記エポキシ化触媒が、任意的に、1種又はそれ以上のアルカリ金属酸化物及び/又はアルカリ金属水酸化物を含む、モリブデン有機塩、モリブデン無機塩又は酸化物から選択されるモリブデン含有エポキシ化触媒である態様1に記載の方法。
態様12.80℃よりも高く、130℃よりも低い目標温度で前記製造方法の反応を、実施し、そして単一又は多反応器システム内で、それぞれの反応器の温度を、目標温度の±10℃に制御する態様1に記載の方法。
態様13.300psig(2,068kPa)よりも高く、1,000psig(6,895kPa)よりも低い、反応器システム内の全圧力で前記プロセスを実施し、そして0.1h -1 よりも長く、10h -1 よりも短い、液相の全滞留時間で前記プロセスを実施する態様1に記載の方法。
態様14.有機ヒドロパーオキサイド1モル当り、0.0001モルよりも高く、0.0100モルよりも低い濃度で前記触媒をプロセスに与える態様1に記載の方法。
態様15.プロピレンとエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、均一モリブデンエポキシ化触媒の存在下に、プロピレンオキサイド及び共生成α−エチルフェニルアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含んでなり、その接触を、栓流(プラグフロー)挙動を容易にするように設計された、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されている、冷却手段と組合わされた単一反応器を含む反応器システム内で実施するプロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールの製造方法であって、プロピレンを単独反応器内の第一反応ゾーンに供給し、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を複数個の分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物に分割し、そしてその分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を反応ゾーンの間に分配させる態様1に記載の方法。
態様16.それぞれの反応器に、3個よりも多く15個よりも少ない、液相の栓流挙動を容易にするバッフルが含まれている態様15に記載の方法。
態様17.プロピレンとエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、均一モリブデンエポキシ化触媒の存在下に、プロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含み、その接触を、複数個の逐次的に相互連結された反応器を含む多反応器システム内で実施し、その多反応器システム内のそれぞれの反応器が、栓流挙動を容易にするように設計された、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されており、多反応器システム内のそれぞれの反応器に冷却手段が組合わされている、プロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールの製造方法であって、プロピレンを多反応器システム内の第一反応器に供給し、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を複数個の分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物に分割し、そしてこの分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を複数個の逐次的に相互連結された反応器の間に分配させる態様1に記載の方法。
態様18.目標温度の±10℃内にそれぞれの反応器の温度を維持し、そして目標温度が80℃よりも高く130℃よりも低い態様15又は17に記載の方法。
態様19.前記反応器システムが2個から12個よりも少ない反応器を含み、それぞれの反応器に、3個よりも多く15個よりも少ない、液相の栓流挙動を容易にするバッフルが含まれている態様17に記載の方法。
態様20.触媒が触媒含有液体供給物によってプロセスに供給され、その触媒含有液体供給物が複数個の分割触媒供給物に分割され、そしてこれを反応器システム内の反応ゾーン又は反応器に分配させる態様15又は17に記載の方法。
態様1.オレフィンと、有機ヒドロパーオキサイドであるエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、液相中で、均一エポキシ化触媒の存在下に、オレフィンオキサイド及び対応するアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させて反応せしめることを含んでなり、その接触を、液相の栓流(プラグフロー)挙動を容易にするように設計された反応器システム内で実施し、反応器システムに、更に、主有機ヒドロパーオキサイド供給物流を、複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流に分割し、そしてこの分割有機ヒドロパーオキサイド供給物流を、反応器システム内の反応ゾーン若しくは反応器又は両方に分配させるように、有機ヒドロパーオキサイドを段階的に添加するオレフィンオキサイド及び共生成アルコールの製造方法。
態様2.前記オレフィンがプロピレンである態様1に記載の方法。
態様3.前記反応器システムが、複数個の逐次的に相互連結された、栓流挙動を容易にする反応ゾーンに分割されている単一反応器を含み、その単一反応器システム内の第一反応ゾーンにオレフィンを供給し、そして全有機ヒドロパーオキサイド供給物を複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物に分割し、単一反応器システムの反応ゾーンの間に、複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物を、分配させる態様1に記載の方法。
態様4.前記単一反応器システムが等温反応器である態様3に記載の方法。
態様5.前記反応器システムが、複数個の逐次的に相互連結された反応器を含む多反応器システムであり、それぞれの反応器が、栓流挙動を容易にするために複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されており、オレフィンを多反応器システムの第一反応器に供給し、そして全有機ヒドロパーオキサイド供給物を複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物に分割し、複数個の分割有機ヒドロパーオキサイド供給物を多反応器システム内の逐次的に相互連結された複数個の反応器の間に分配させる態様1に記載の方法。
態様6.前記多反応器システム内の逐次的に相互連結された反応器が、それぞれ、断熱反応器及び等温反応器から個々に選択される態様5に記載の方法。
態様7.1個又はそれ以上の反応器を含み、それぞれの反応器が4個又はそれ以上の反応ゾーンに分割されている反応器システムを使用し、そして多反応器システムを用いる場合には、その反応器システムが2個よりも多く、そして12個よりも少ない逐次的に相互連結された反応器を含む態様1に記載の方法。
態様8.栓流挙動を容易にするための設計が1個又はそれ以上の仕切りを含み、各仕切りが任意的に1個又はそれ以上のウィープホールを有するバッフルを含む態様1に記載の方法。
態様9.有機ヒドロパーオキサイドの合計モル数に対するオレフィンのモル数の比が、4:1よりも大きく且つ15:1よりも小さい態様1に記載の方法。
態様10.オレフィン及び有機ヒドロパーオキサイドをエチルベンゼン又はクメンの芳香族溶媒中に溶解させる態様1に記載の方法。
態様11.前記エポキシ化触媒が、任意的に、1種又はそれ以上のアルカリ金属酸化物及び/又はアルカリ金属水酸化物を含む、モリブデン有機塩、モリブデン無機塩又は酸化物から選択されるモリブデン含有エポキシ化触媒である態様1に記載の方法。
態様12.80℃よりも高く、130℃よりも低い目標温度で前記製造方法の反応を、実施し、そして単一又は多反応器システム内で、それぞれの反応器の温度を、目標温度の±10℃に制御する態様1に記載の方法。
態様13.300psig(2,068kPa)よりも高く、1,000psig(6,895kPa)よりも低い、反応器システム内の全圧力で前記プロセスを実施し、そして0.1h -1 よりも長く、10h -1 よりも短い、液相の全滞留時間で前記プロセスを実施する態様1に記載の方法。
態様14.有機ヒドロパーオキサイド1モル当り、0.0001モルよりも高く、0.0100モルよりも低い濃度で前記触媒をプロセスに与える態様1に記載の方法。
態様15.プロピレンとエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、均一モリブデンエポキシ化触媒の存在下に、プロピレンオキサイド及び共生成α−エチルフェニルアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含んでなり、その接触を、栓流(プラグフロー)挙動を容易にするように設計された、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されている、冷却手段と組合わされた単一反応器を含む反応器システム内で実施するプロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールの製造方法であって、プロピレンを単独反応器内の第一反応ゾーンに供給し、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を複数個の分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物に分割し、そしてその分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を反応ゾーンの間に分配させる態様1に記載の方法。
態様16.それぞれの反応器に、3個よりも多く15個よりも少ない、液相の栓流挙動を容易にするバッフルが含まれている態様15に記載の方法。
態様17.プロピレンとエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、均一モリブデンエポキシ化触媒の存在下に、プロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含み、その接触を、複数個の逐次的に相互連結された反応器を含む多反応器システム内で実施し、その多反応器システム内のそれぞれの反応器が、栓流挙動を容易にするように設計された、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されており、多反応器システム内のそれぞれの反応器に冷却手段が組合わされている、プロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールの製造方法であって、プロピレンを多反応器システム内の第一反応器に供給し、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を複数個の分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物に分割し、そしてこの分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を複数個の逐次的に相互連結された反応器の間に分配させる態様1に記載の方法。
態様18.目標温度の±10℃内にそれぞれの反応器の温度を維持し、そして目標温度が80℃よりも高く130℃よりも低い態様15又は17に記載の方法。
態様19.前記反応器システムが2個から12個よりも少ない反応器を含み、それぞれの反応器に、3個よりも多く15個よりも少ない、液相の栓流挙動を容易にするバッフルが含まれている態様17に記載の方法。
態様20.触媒が触媒含有液体供給物によってプロセスに供給され、その触媒含有液体供給物が複数個の分割触媒供給物に分割され、そしてこれを反応器システム内の反応ゾーン又は反応器に分配させる態様15又は17に記載の方法。
Claims (6)
- プロピレンと有機ヒドロパーオキサイドであるエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、液相中で均一モリブデンエポキシ化触媒の存在下に、プロピレンオキサイド及び共生成α−エチルフェニルアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含んでなり、その接触を、栓流(プラグフロー)挙動を容易にするように設計された、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されている、冷却手段と組合わされた単一反応器を含む反応器システム内で実施するプロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールの製造方法であって、プロピレンを単独反応器内の第一反応ゾーンに供給し、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を複数個の分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物に分割し、そしてその分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を反応ゾーンの間に分配させるプロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールの製造方法。
- それぞれの反応器に、3個よりも多く15個よりも少ない、液相の栓流挙動を容易にするバッフルが含まれている請求項1に記載の方法。
- プロピレンとエチルベンゼンヒドロパーオキサイドとを、液相中で均一モリブデンエポキシ化触媒の存在下に、プロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールを製造するのに十分なプロセス条件下で接触させることを含んでなり、その接触を、複数個の逐次的に相互連結された反応器を含む多反応器システム内で実施し、その多反応器システム内のそれぞれの反応器が、栓流挙動を容易にするように設計された、複数個の逐次的に相互連結された反応ゾーンに分割されており、多反応器システム内のそれぞれの反応器に冷却手段が組合わされている、プロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールの製造方法であって、プロピレンを多反応器システム内の第一反応器に供給し、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を複数個の分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物に分割し、そしてこの分割エチルベンゼンヒドロパーオキサイド供給物を複数個の逐次的に相互連結された反応器の間に分配させるプロピレンオキサイド及び共生成α−フェニルエチルアルコールの製造方法。
- 目標温度の±10℃内にそれぞれの反応器の温度を維持し、そして目標温度が80℃よりも高く130℃よりも低い請求項1又は3に記載の方法。
- 前記反応器システムが2個から12個よりも少ない反応器を含み、それぞれの反応器に、3個よりも多く15個よりも少ない、液相の栓流挙動を容易にするバッフルが含まれている請求項3に記載の方法。
- 触媒が触媒含有液体供給物によってプロセスに供給され、その触媒含有液体供給物が複数個の分割触媒供給物に分割され、そしてこれを反応器システム内の反応ゾーン又は反応器に分配させる請求項1又は3に記載の方法。
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