JP2010135290A - 燃料電池の状態を推定する推定方法、および、状態推定装置 - Google Patents

燃料電池の状態を推定する推定方法、および、状態推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、燃料電池の内部状態を容易に推定するための技術の提供を目的とする。
【解決手段】燃料電池の状態を推定する推定方法において、燃料電池は、電解質膜と、電解質膜の一方の面に配置される第1電極と、電解質膜の他方の面に配置される第2電極と、を有する膜電極接合体を備え、少なくとも、第1電極に不活性ガスを導入した状態で、膜電極接合体の交流インピーダンスを測定する測定工程と、交流インピーダンスに基づいて、膜電極接合体の状態を推定する推定工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池の状態を推定する推定方法、または、燃料電池の状態を推定する装置に関する。
近年、燃料ガス(例えば、水素)と酸化ガス(例えば、空気)の電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギ源として注目されている(下記特許文献1参照)。
特開2005−071882号公報
ところで、燃料電池の製造時、燃料電池の出荷時、または、燃料電池の点検時等において、例えば、燃料電池を分解することなく、燃料電池の内部状態を容易に把握したいという要望があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、燃料電池の内部状態を容易に推定するための技術の提供を目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
燃料電池の状態を推定する推
定方法であって、前記燃料電池は、電解質膜と、前記電解質膜の一方の面に配置される第1電極と、前記電解質膜の他方の面に配置される第2電極と、を有する膜電極接合体を備え、少なくとも、前記第1電極に不活性ガスを導入した状態で、前記膜電極接合体の交流インピーダンスを測定する測定工程と、前記交流インピーダンスに基づいて、前記膜電極接合体の状態を推定する推定工程と、を備えることを要旨とする。
上記構成の推定方法によれば、燃料電池の内部状態を容易に把握することができる。
[適用例2]
適用例1に記載の推定方法において、前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体とを含むと共に、前記電解質膜と当接する第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを備え、前記測定工程は、複数の周波数における前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、前記推定工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、前記第1電極中の前記電解質の分布を推定する第1工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極中の電解質の分布状態を容易に推定することができる。
[適用例3]
適用例2に記載の推定方法において、前記第1工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、
前記複素インピーダンスプロットに基づいて、前記第1電極の厚さ方向における前記電解質の分布を推定する第2工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、複素インピーダンスプロットに基づき、第1電極の厚さ方向における電解質の分布状態を容易に推定することができる。
[適用例4]
適用例3に記載の推定方法において、前記第2工程は、前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点付近であって前記転換点より高周波側の部分によって規定される線分と、前記実部軸に平行な線分とで形成される角の角度が、角度判定値より小さい場合には、前記第1電極において、前記第1面側より、前記第2面側に前記電解質が多く分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の厚さ方向において、第2面側に電解質が多く分布している場合に、その電解質の分布状態を容易に推定することができる。
[適用例5]
適用例3に記載の推定方法において、前記第2工程は、前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点付近であって前記転換点より高周波側の部分によって規定される線分と、前記実部軸に平行な線分とで形成される角の角度が、角度判定値より大きい場合には、前記第1電極において、前記第2面側より、前記第1面側に前記電解質が多く分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の厚さ方向において、第1面側に電解質が多く分布している場合に、その電解質の分布状態を正確に推定することができる。
[適用例6]
適用例3に記載の推定方法において、前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点付近であって、前記転換点より高周波側の部分によって規定される線分と、前記実部軸に平行な線分とで形成される角の角度が、略角度判定値である場合には、前記第1電極において、前記第1電極の厚さ方向に前記電解質が略均一に分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の厚さ方向において、略均等に電解質が多く分布している場合に、その電解質の分布状態を正確に推定することができる。
[適用例7]
適用例4ないし適用例6のいずれかに記載の推定方法において、前記実部軸と前記虚部軸は、直交し、前記複素インピーダンスプロットは、前記実部軸と前記虚部軸のそれぞれにおいて、同じだけ値が変化した時に、軸上の位置が同じだけ変化し、前記角度判定値は、45°であることを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の厚さ方向における電解質の分布状態を正確に推定することができる。
[適用例8]
適用例2に記載の推定方法において、前記第1工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路を用いてフィッティングさせたフィッティング曲線を検出する工程と、前記フィッティング曲線と、所定周波数における前記交流インピーダンスと、を比較することで、前記第1電極において、前記第1面に沿った方向における前記電解質の分布を推定する第3工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の第1面に沿った方向における電解質の分布状態を容易に推定することができる。
[適用例9]
適用例8に記載の推定方法において、前記第3工程は、実部値を示す実部軸と虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に、前記交流インピーダンスの測定点および前記フィッティング曲線が表される場合において、前記所定周波数に対応する前記交流インピーダンスの測定点と、前記フィッティング曲線の前記所定周波数に対応する位置と、の距離が、第1距離判定値より大きい場合に、前記第1電極の前記第1面に沿った方向において前記電解質が偏って分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の第1面に沿った方向において電解質が偏って分布している場合に、その分布状態を正確に推定することができる。
[適用例10]
適用例8に記載の推定方法において、実部値を示す実部軸と虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に、前記交流インピーダンスの測定点および前記フィッティング曲線が表される場合において、前記所定周波数に対応する前記交流インピーダンスの測定点と、前記フィッティング曲線の前記所定周波数に対応する位置と、の距離が、第2距離判定値以下の場合に、前記第1電極の前記第1面に沿った方向において前記電解質が略均一に分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の第1面に沿った方向において電解質が略均一に分布している場合に、その分布状態を正確に推定することができる。
[適用例11]
適用例8ないし適用例10のいずれかに記載の推定方法において、前記所定周波数は、前記フィッティング曲線において関数の性質が変わる転換点付近に対応する周波数であることを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の第1面に沿った方向における電解質の分布状態を正確に推定することができる。
[適用例12]
適用例2に記載の推定方法において、前記第1工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、
各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路を用いてフィッティングさせたフィッティング曲線を検出する工程と、前記フィッティング曲線と、前記複素インピーダンスプロットと、を比較することで、前記第1電極において、前記第1面に沿った方向における前記電解質の分布を推定する第4工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の第1面に沿った方向における電解質の分布状態を容易に推定することができる。
[適用例13]
適用例12に記載の推定方法において、前記第4工程は、実部値を示す実部軸と虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に、前記複素インピーダンスプロットおよび前記フィッティング曲線が表される場合において、前記複素インピーダンスプロットの所定周波数に対応する位置と、前記フィッティング曲線の前記所定周波数に対応する位置と、の距離が、第1距離判定値より大きい場合に、前記第1電極の前記第1面に沿った方向において前記電解質が偏って分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の第1面に沿った方向において電解質が偏って分布している場合に、その分布状態を正確に推定することができる。
[適用例14]
適用例12に記載の推定方法において、前記第4工程は、実部値を示す実部軸と虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に、前記複素インピーダンスプロットおよび前記フィッティング曲線が表される場合において、前記複素インピーダンスプロットの所定周波数に対応する位置と、前記フィッティング曲線の前記所定周波数に対応する位置と、の距離が、第2距離判定値以下の場合に、前記第1電極の前記第1面に沿った方向において前記電解質が略均一に分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の第1面に沿った方向において電解質が略均一に分布している場合に、その分布状態を正確に推定することができる。
[適用例15]
適用例13または適用例14に記載の推定方法において、前記所定周波数は、前記複素インピーダンスプロットまたは前記フィッティング曲線において関数の性質が変わる転換点付近に対応する周波数であることを特徴とする推定方法。
このようにすれば、第1電極の第1面に沿った方向における電解質の分布状態を正確に推定することができる。
[適用例16]
適用例1に記載の推定方法において、前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体と、を含み、前記測定工程は、複数の周波数における前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、前記推定工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路に基づく論理関数でフィッティングさせ、前記論理関数の係数を検出する工程と、前記係数に基づいて、前記電解質膜の膜抵抗、および/または、前記第1電極の電極抵抗を推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、電解質膜の膜抵抗、および/または、第1電極の電極抵抗を精度よく推定することができる。
[適用例17]
適用例1に記載の推定方法において、前記測定工程は、前記第1電極に前記不活性ガスを導入すると共に、前記第2電極に活性ガスを導入した状態で、前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、前記推定工程は、前記交流インピーダンスに基づいて、前記第2電極に導入された前記活性ガスが前記膜電極接合体の前記電解質膜を透過して、前記第1電極に移動したリークガスが生じているか否かを推定する第5工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、リークガスが生じているか否かを容易に推定することができる。
[適用例18]
適用例17に記載の推定方法において、前記第5工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における実部値が、実部判定値より大きい場合には、前記リークガスが生じていると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、リークガスが生じているか否かを正確に推定することができる。
[適用例19]
適用例17に記載の推定方法において、前記第5工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における虚部値の絶対値が、虚部判定値より小さい場合には、前記リークガスが生じていると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、リークガスが生じているか否かを正確に推定することができる。
[適用例20]
適用例18または適用例19に記載の推定方法において、前記第5工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程を含み、前記所定周波数は、前記複素インピーダンスプロットおいて関数の性質が変わる転換点に対応する周波数より低いことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、リークガスが生じているか否かを正確に推定することができる。
[適用例21]
適用例17に記載の推定方法において、前記測定工程は、前記第1電極に前記不活性ガスを導入すると共に、前記第2電極に活性ガスを導入した状態で、前記膜電極接合体の各周波数における前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、前記第5工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点より低周波側の部分における曲率半径が、曲率半径判定値より小さい場合には、前記リークガスが生じていると推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、リークガスが生じているか否かを正確に推定することができる。
[適用例22]
適用例17に記載の推定方法において、前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体と、を含み、前記測定工程は、複数の周波数における前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、前記第5工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、前記第1電極において、前記リークガスと前記触媒との反応抵抗成分と、を備える等価回路に基づく論理関数でフィッティングさせ、前記論理関数の係数を検出する工程と、前記係数に基づいて、前記反応抵抗成分を推定する工程と、前記反応抵抗成分に基づいて、リークガスが生じているか否かを推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、リークガスが生じているか否かを正確に推定することができる。
[適用例23]
適用例1に記載の推定方法において、前記測定工程は、前記第1電極に前記不活性ガスを導入すると共に、前記第2電極に活性ガスを導入した状態で、前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、前記推定工程は、前記交流インピーダンスに基づいて、前記第2電極に導入された前記活性ガスが前記膜電極接合体の前記電解質膜を透過して、前記第1電極に移動したリークガスの量を推定する第6工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、リークガス量を容易に推定することができる。
[適用例24]
適用例23に記載の推定方法において、前記第6工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における実部値、または、虚部値に基づいて、前記リークガスの量を推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、リークガス量を正確に推定することができる。
[適用例25]
適用例23に記載の推定方法において、前記測定工程は、複数の周波数における前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、前記第6工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点より低周波側の部分における曲率半径に基づいて、前記リークガスの量を推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、リークガス量を正確に推定することができる。
[適用例26]
適用例17ないし適用例25のいずれかに記載の推定方法において、前記不活性ガスは、窒素であり、前記活性ガスは、水素であることを特徴とする推定方法。
[適用例27]
適用例1に記載の推定方法において、前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体とを含み、前記測定工程は、複数の周波数における前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、前記推定工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、前記担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を推定する第7工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、交流インピーダンスに基づいて、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
[適用例28]
適用例27に記載の推定方法において、前記第7工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における実部値が、実部判定値より大きい場合には、前記実部値が前記実部判定値より小さい場合に比べて、前記二次粒子の分散が弱いと推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
[適用例29]
適用例27に記載の推定方法において、前記第7工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における実部値が、実部判定値より小さい場合には、前記実部値が前記実部判定値より大きい場合に比べて、前記二次粒子の分散が強いと推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
[適用例30]
適用例27に記載の推定方法において、前記第7工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における虚部値の絶対値が、虚部判定値より小さい場合には、前記虚部値の絶対値が前記虚部判定値より大きい場合に比べて、前記二次粒子の分散が弱いと推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
[適用例31]
適用例27に記載の推定方法において、前記第7工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における虚部値の絶対値が、虚部判定値より大きい場合には、前記虚部値の絶対値が前記虚部判定値より小さい場合に比べて、前記二次粒子の分散が強いと推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
[適用例32]
適用例28ないし適用例31のいずれかに記載の推定方法において、前記第7工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程を含み、前記所定周波数は、前記複素インピーダンスプロットにおいて関数の性質が変わる転換点に対応する周波数より低いことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を正確に推定することができる。
[適用例33]
適用例27に記載の推定方法において、前記第7工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点付近であって前記転換点より低周波側の部分によって規定される線分と、前記実部軸に平行な線分とで形成される角の角度が、角度判定値より大きい場合には、前記角度が前記角度判定値より小さい場合に比べて、前記二次粒子の分散が強いと推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
[適用例34]
適用例27に記載の推定方法において、前記第7工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点付近であって前記転換点より低周波側の部分によって規定される線分と、前記実部軸に平行な線分とで形成される角の角度が、角度判定値より小さい場合には、前記角度が前記角度判定値より大きい場合に比べて、前記二次粒子の分散が弱いと推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
[適用例35]
適用例27に記載の推定方法において、前記第7工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路に基づく論理関数でフィッティングをおこない、前記論理関数から、静電容量C、周波数ωおよび係数Pを用いて、1/{C(jω)p}で表される前記CPE成分の前記係数Pを検出する工程と、
前記係数Pが、係数判定値より大きい場合には、前記係数Pが係数判定値より小さい場合に比べて、前記二次粒子の分散が弱いと推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
[適用例36]
適用例27に記載の推定方法において、前記第7工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路に基づく論理関数でフィッティングをおこない、前記論理関数から、静電容量C、周波数ωおよび係数Pを用いて、1/{C(jω)p}で表される前記CPE成分の前記係数Pを検出する工程と、
前記係数Pが、係数判定値より小さい場合には、前記係数Pが係数判定値より大きい場合に比べて、前記二次粒子の分散が強いと推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
[適用例37]
適用例1ないし適用例36のいずれかに記載の推定方法において、前記測定工程は、前記燃料電池のサイクリックボルタモグラムにおける電気二重層領域内の電圧を印加して、前記膜電極接合体の交流インピーダンスを測定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
このようにすれば、交流インピーダンスに基づいて、正確に膜電極接合体の状態を推定することができる。
[適用例38]
適用例1ないし適用例37のいずれかに記載の推定方法において、前記燃料電池は、固体高分子型燃料電池であることを特徴とする推定方法。
[適用例39]
適用例1ないし適用例38のいずれかに記載の推定方法において、前記不活性ガスは、低湿度ガスであることを特徴とする推定方法。
このようにすれば、膜電極接合体の状態を正確に推定することができる。
[適用例40]
燃料電池の状態を推定する状態推定装置であって、前記燃料電池は、電解質膜と、前記電解質膜の一方の面に配置される第1電極と、前記電解質膜の他方の面に配置される第2電極と、を有する膜電極接合体を備え、前記状態推定装置は、少なくとも、前記第1電極に不活性ガスを導入した状態で、各周波数における前記膜電極接合体の交流インピーダンスを測定する測定部と、各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、前記燃料電池における前記膜電極接合体の状態を推定する推定部と、を備えることを特徴とする状態推定装置。
上記構成の状態推定装置によれば、燃料電池の内部状態を容易に把握することができる。
[適用例41]
適用例40に記載の状態推定装置において、前記推定部は、各周波数における前記交流インピーダンスの実部と虚部との関係を示す複素インピーダンスプロットを検出し、前記複素インピーダンスプロットに基づいて、前記膜電極接合体の状態を推定することを特徴とする状態推定装置。
このようにすれば、燃料電池の内部状態を正確に把握することができる。
[適用例42]
適用例40に記載の状態推定装置において、前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体とを含み、前記推定部は、各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、前記第1電極中の前記電解質の分布を推定することを特徴とする状態推定装置。
このようにすれば、第1電極中の電解質の分布状態を容易に推定することができる。
[適用例43]
適用例40に記載の状態推定装置において、前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体と、を含み、前記推定部は、各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路に基づく論理関数でフィッティングさせ、前記論理関数の係数を検出し、前記係数に基づいて、前記電解質膜の膜抵抗、および/または、前記第1電極の電極抵抗を推定することを特徴とする状態推定装置。
このようにすれば、電解質膜の膜抵抗、および/または、第1電極の電極抵抗を精度よく推定することができる。
[適用例44]
適用例40に記載の状態推定装置において、前記測定部は、前記第1電極に前記不活性ガスを導入すると共に、前記第2電極に活性ガスを導入した状態で、前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定し、前記推定部は、前記交流インピーダンスに基づいて、前記第2電極に導入された前記活性ガスが前記膜電極接合体の前記電解質膜を透過して、前記第1電極に移動したリークガスが生じているか否かを推定することを特徴とする状態推定装置。
このようにすれば、リークガスが生じているか否かを容易に推定することができる。
なお、本発明は、上記した方法発明の態様に限ることなく、装置発明としての態様で実現することも可能である。さらには、それら方法や装置を構築するためのコンピュータプログラムとしての態様や、そのようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体としての態様や、上記コンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など、種々の態様で実現することも可能である。
また、本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、上記装置の動作を制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。
本発明の一実施例としての燃料電池状態推定システム100の概略構成を示す図である。 燃料電池セルCLの概略構成を表わす断面模式図である。 MEA状態推定処理のフローチャートである。 燃料電池NDのサイクリックボルタモグラムを示す図である。 複素インピーダンスプロットVを示す図である。 上記実施例におけるフィッティング曲線Yを示す図である。 上記実施例の等価回路Zの概略構成を示す図である。 比較例の等価回路Iの概略構成を示す図である。 複素インピーダンスプロットVにおいて転換点P付近を拡大した図である。 角度θに基づいてカソード12の厚さ方向における電解質分布を推定する手法が正しいことを確認するための確認試験の結果を表す図である。 距離Gに基づいてカソード12の面方向における電解質分布を推定する手法が正しいことを確認するための確認試験の結果を表す図である。 リークガスが生じている場合の複素インピーダンスプロットVlを示した図ある。 状態推定装置において周波数と出力電圧の振幅との関係の一例を表す図である。 燃料電池NDに導入する水素および窒素の相対湿度が高い場合における複素インピーダンスプロットを示す図である。 二次粒子および分散の程度を説明するための説明図である。 第2実施例におけるMEA状態推定処理のフローチャートである。 二次粒子の分散の程度と複素インピーダンスプロットとの関係を示した図ある。 図17における二次粒子の分散が強い場合と弱い場合のそれぞれに含まれる二次粒子の粒径とその頻度を例示した説明図である。 攪拌方法の違いと複素インピーダンスプロットとの関係を示した図ある。
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
A.第1実施例:
A1.燃料電池状態推定システムの構成:
図1は、本発明の一実施例としての燃料電池状態推定システム100の概略構成を示す図である。本実施例の燃料電池状態推定システム100は、状態推定装置10と、配線20と、配線30と、を備えている。
状態推定装置10は、燃料電池NDに配線20を介して、燃料電池NDに交流電流を流し、配線30を介して、燃料電池NDにおける後述の燃料電池セルCLの交流インピーダンスを測定し、その測定結果から、該燃料電池セルCLの内部状態(すなわち、後述のMEAの状態)を推定する。この詳細については、後述のMEA状態推定処理で説明する。状態推定装置10は、内部に備えるRAM(図示せず)に、リークガス量検定データを記憶している。このリークガス量検定データについても、MEA状態推定処理で説明する。
また、状態推定装置10は、表示部16を備えており、MEA状態推定処理における推定結果を表示部16に報知する。
燃料電池NDは、固体高分子型の燃料電池であり、酸化ガス(例えば、空気)と、燃料ガス(例えば、水素)とを用いて、発電を行う。燃料電池NDは、複数の燃料電池セルCLと、2つのエンドプレートEPと、2つのターミナルTMと、を備えている。燃料電池セルCLは、ターミナル340を挟んで、2つのエンドプレートEPによって挟持される。すなわち、燃料電池NDは、燃料電池セルCLが、複数個積層された層状構造を有している。また、燃料電池NDは、テンションプレート(図示せず)がボルト(図示せず)によって各エンドプレートEPに結合されることによって、各燃料電池セルCLを、積層方向に所定の力で締結する構造となっている。なお、燃料電池NDにおいて、ターミナルTMとエンドプレートEPとの間に、絶縁を確保するためインシュレータを備えていても良い。
図2は、燃料電池セルCLの概略構成を表わす断面模式図である。この燃料電池セルCLは、電解質膜11と、膜電極接合体5(以下では、MEA(Membrane Electrode Assembly)5と呼ぶ)と、セパレータ6,7と、シール部材110と、を備える。
MEA5は、電解質膜11と、電解質膜11の両面に配置されるカソード12およびアノード13と、カソード12の外側面に配置されるガス拡散層14と、アノード13の外側面に配置されるガス拡散層15とから成る。
電解質膜11は、固体高分子材料であるフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す。なお、電解質膜11は、フッ素系樹脂に限ることなく、例えば、炭化水素系樹脂で構成されていてもよい。
カソード12、および、アノード13は、触媒金属(例えば、白金(Pt))を担持した担体(例えば、カーボン)と、電解質(例えば、フッ素系樹脂)とから構成される。なお、カソード12、または、アノード13に含まれる電解質は、フッ素系樹脂に限ることなく、例えば、炭化水素系樹脂で構成されていてもよい。
ガス拡散層14,15は、導電性を有するカーボン製の多孔質部材であり、例えば、カーボンクロスやカーボンペーパによって形成される。
燃料電池セルCLにおいて各部材を積層する方向を積層方向とも呼ぶ。積層方向は、燃料電池セルCLの各部材の厚さ方向と同一の方向である。また、積層方向(厚さ方向)に垂直な方向であり、燃料電池セルCLの各部材の面に沿った方向を面方向とも呼ぶ。カソード12において、電解質膜11と当接する面を第1面とも呼び、第1面の反対面であり、ガス拡散層14と当接する面を第2面とも呼ぶ。
セパレータ6,7は、ガス不透過の導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、プレス成形した金属板によって形成することができる。セパレータ6は、片面において凸部18aと凹部18bとが交互に形成された凹凸形状を有している。そして、セパレータ6において、凸部18aは、ガス拡散層14(カソード12または電解質膜11)を押圧し、凹部18bは、ガス拡散層14との間にガス拡散層14(カソード12)に対して酸化ガスを給排するためセル内流路18を形成する。また、セパレータ7は、片面において凸部19aと凹部19bとが交互に形成された凹凸形状を有している。セパレータ7において、凸部19aは、ガス拡散層15(アノード13または電解質膜11)を押圧し、凹部19bは、ガス拡散層15との間にガス拡散層15(アノード13)に対して燃料ガスを給排するためセル内流路19を形成する。
セパレータ6,7は、その外周近くの互いに対応する位置に、孔部103〜106を備えている。セパレータ6,7を、MEA5およびガス拡散層14,15と共に積層して燃料電池NDを組み立てると、積層された各セパレータ6,7の対応する位置に設けられた孔部は、互いに重なり合って、積層方向に燃料電池ND内部を貫通する流路を形成する。具体的には、孔部103は、酸化ガス供給マニホールドを形成し、孔部104は、酸化ガス排出マニホールドを形成し、孔部105は、燃料ガス供給マニホールドを形成し、孔部106は、燃料ガス排出マニホールドを形成する。酸化ガス供給マニホールドは、セル内流路18に酸化ガスを導入するための流路であり、酸化ガス排出マニホールドは、セル内流路18から酸化ガスを排出するための流路である。燃料ガス供給マニホールドは、セル内流路19に燃料ガスを導入するための流路であり、燃料ガス排出マニホールドは、セル内流路19から燃料ガスを排出すための流路である。
シール部材110は、燃料電池セルCLにおいて、セル内流路18、セル内流路19、および、上記各マニホールド周辺に配設され、セル内流路18、セル内流路19、および、上記各マニホールドのガスシール性を確保する。
燃料電池状態推定システム100において、状態推定装置10は、配線20を介して、ターミナルTMに接続されると共に、配線30を介して、内部状態を推定(検査)したい燃料電池セルCL(以下では、検査対象燃料電池セルCLLとも呼ぶ)のセパレータ6およびセパレータ7に接続される。状態推定装置10は、以下に示すMEA状態推定処理を実行する。
A2.MEA状態推定処理:
図3は、MEA状態推定処理のフローチャートである。図3に示すMEA状態推定処理は、検査対象燃料電池セルCLLにおけるMEAの状態を推定(検査)するための処理である。
このMEA状態推定処理前において、燃料電池NDには、以下の処理が施されている。すなわち、燃料電池NDにおいて、燃料ガス供給マニホールドから活性ガスとしての水素を導入し、酸化ガス供給マニホールドから不活性ガスとしての窒素を導入し、各マニホールドを封止する。その結果、検査対象燃料電池セルCLLにおいて、アノード13に水素が封入され、カソード12に窒素が封入された状態となっている。また、燃料電池NDに導入する水素および窒素は、相対湿度が、0.1〜60%の範囲内である低湿度なガスを用いている。この場合、水素および窒素は、相対湿度が、10〜20%の範囲内であることが特に好ましい。さらに、このMEA状態推定処理は、燃料電池NDの温度が、90℃程度の高温状態で行う。
A2−1.ステップS10の処理の説明:
まず、状態推定装置10は、MEA状態推定処理において、燃料電池NDに周波数を所定間隔で変化させつつ、交流電流を流し、各周波数において検査対象燃料電池セルCLL(具体的には、検査対象燃料電池セルCLLのMEA5)の交流インピーダンスを検出(測定)する(ステップS10)。
図4は、燃料電池NDのサイクリックボルタモグラムを示す図である。縦軸が電流値[A]を示し、横軸が電圧[V]を示す。ステップS10の処理において、状態推定装置10は、燃料電池NDに交流電流を流す場合、図4に示すように、サイクリックボルタモグラムの電気2重層領域(約0.3〜0.5V)内の電圧を印加する。
A2−2.ステップS20の処理の説明:
続いて、状態推定装置10は、検査対象燃料電池セルCLLに対して、以下に示す複素インピーダンスプロットVを検出する(ステップS20)。図5を用いて複素インピーダンスプロットVについて説明する。なお、複素インピーダンスプロットは、コール・コールプロットとも呼ばれる。
図5は、複素インピーダンスプロットVを示す図である。図5において、縦軸は、交流インピーダンスの虚部値Z2を表しており、以下では、虚部軸とも呼び、横軸は、交流インピーダンスの実部値Z1を表しており、以下では、実部軸とも呼ぶ。この複素インピーダンスプロットVは、虚部軸と実部軸とで形成される平面(以下では、複素平面とも呼ぶ)において、ステップS10の処理で検出(測定)した各周波数における交流インピーダンスの実部値Z1および虚部値Z2との関係を示す。詳しくは、複素インピーダンスプロットVは、複素平面において、検出した各周波数において交流インピーダンスの実部値Z1および虚部値Z2を表す点(以下では、インピーダンス測定点とも呼ぶ)に基づいた近似曲線である。虚部軸と実部軸とは直交する。各軸において、各スケールは、それぞれ同様の大きさとなっている。すなわち、図5において、複素インピーダンスプロットVは、実部軸と虚部軸のそれぞれにおいて、同じだけ値が変化した時に、軸上の位置が同じだけ変化する。図5において、実線が複素インピーダンスプロットVを示し、黒抜き四角形がインピーダンス測定点を示す。また、図5において、複素インピーダンスプロットVには、転換点Pが示されている。この転換点Pの詳細は、後述する。
A2−3.ステップS30の処理の説明:
次に、状態推定装置10は、ステップS10の処理で検出した各周波数における交流インピーダンスに対して、等価回路Zを用いてフィッティングさせたフィッティング曲線Yを検出する(ステップS30)。まず、図6を用いてフィッティング曲線Yを説明し、図7を用いて等価回路Zを説明する。
図6は、本実施例におけるフィッティング曲線Yを示す図である。状態推定装置10は、このステップS30の処理において、ステップS10の処理で検出した各周波数における交流インピーダンスに対して、等価回路Zに基づく論理関数でフィッティングさせ、その論理関数の各係数を検出し、図6に示すフィッティング曲線Yを検出する。
図7は、本実施例の等価回路Zの概略構成を示す図である。等価回路Zは、本発明の発明者によって見いだされた等価回路である。この等価回路Zは、図7に示すように、回路パラメータとして、膜抵抗成分Rmと、複数のイオン伝導抵抗成分Riと、複数のCPE(Constant phase element)成分40と、複数の反応抵抗成分Raと、補正抵抗成分Rhと、を備えている。
膜抵抗成分Rmは、電解質膜11の抵抗を表す。イオン伝導抵抗成分Riは、カソード12中の電解質のイオン伝導抵抗を表す。CPE成分40は、カソード12において電解質と担体との界面に生じる抵抗を表す。反応抵抗成分Raは、MEA5において、アノード13から水素(活性ガス)が電解質膜11を透過してカソード12に移動したリークガスが生じている場合に、リークガスがカソード12の触媒で反応した際に生じる反応抵抗を表す。補正抵抗成分Rhは、状態推定装置10の装置性能等に基づいて擬似的に設定される抵抗成分であり、詳しくは、擬似リアクタンス成分Lgと、擬似抵抗成分Rgとから成る。
CPE成分40の容量性リアクタンスLcは、以下の式で求めることができる。
Lc=1/{C(jω)p}
C:静電容量 ω:周波数 P:任意の定数(例えば、0.8〜0.9)
等価回路Zにおいて、CPE成分40と、反応抵抗成分Raは、図7に示すように、並列に接続される。以下では、CPE成分40と反応抵抗成分Raとから成る並列回路をCPE並列回路とも呼ぶ。そして、等価回路Zは、図7に示すように、補正抵抗成分Rhと、膜抵抗成分Rmと、イオン伝導抵抗成分Riと、が直列に接続されると共に、一つのCPE並列回路の一端が、膜抵抗成分Rmとイオン伝導抵抗成分Riとの間に接続され、他のCPE並列回路の一端が、隣接するイオン伝導抵抗成分Ri間にそれぞれ接続され、さらに、各CPE並列回路の他端が、ラインKにそれぞれ接続されるラダー状の回路である。
なお、図6は、本実施例のフィッティング曲線Yに加え、フィッティング曲線Yの転換点Pfと、上述で検出した、複素インピーダンスプロットVと、インピーダンス測定点とをそれぞれ示している。また、図6は、検出した各周波数における交流インピーダンスに対して、後述する比較例の等価回路Iを用いてフィッティングさせたフィッティング曲線Hを示している。
図8は、比較例の等価回路Iの概略構成を示す図である。比較例としての等価回路Iは、図8に示すように、膜抵抗成分Rmと、複数のイオン伝導抵抗成分Riと、複数のコンデンサ成分Caと、を備えている。コンデンサ成分は、カソード12において電解質と担体との界面に生じる抵抗を表す。等価回路Iは、図8に示すように、膜抵抗成分Rmと、イオン伝導抵抗成分Riと、が直列に接続されると共に、一つのコンデンサ成分Caの一端が、膜抵抗成分Rmとイオン伝導抵抗成分Riとの間に接続され、他のコンデンサ成分Caの一端が、隣接するイオン伝導抵抗成分Ri間にそれぞれ接続され、さらに、各コンデンサ成分Caの他端が、ラインK1にそれぞれ接続されるラダー状の回路である。本実施例の等価回路Zと比較例の等価回路Iとの対比は、後述で詳細を説明する。
図5に示す転換点Pは、複素インピーダンスプロットVにおいて、関数の性質が変わる境界点であり、すなわち、複素インピーダンスプロットVにおいて、カソード12のイオン伝導抵抗成分RiおよびCPE成分40の影響を大きく受ける領域と、CPE成分40および反応抵抗成分Raの影響を大きく受ける領域との境界点である。言い換えれば、転換点Pは、複素インピーダンスプロットVにおいて、接線の傾き(実部値Z1に対する虚部値Z2の変化量)が所定の閾値以上となった点である。この閾値は、燃料電池NDの具体的な設計、例えば、下記(i)〜(iii)等に基づき予め設定される。
(i)燃料電池NDにおいて、カソード12の製造方法(触媒インクの分散手法、塗工方法等)。
(ii)カソード12中の電解質の種類、分量、厚さ方向および面方向の分布状態。
(iii)カソード12中の触媒担持担体の種類、粒径。
図6に示す転換点Pfは、フィッティング曲線Yにおいて、関数の性質が変わる境界点であり、すなわち、フィッティング曲線Yにおいて、カソード12のイオン伝導抵抗成分RiおよびCPE成分40の影響を大きく受ける領域と、CPE成分40および反応抵抗成分Raの影響を大きく受ける領域との境界点である。言い換えれば、転換点Pは、フィッティング曲線Yにおいて、接線の傾き(実部値Z1に対する虚部値Z2の変化量)が所定の閾値以上となった点である。この閾値は、燃料電池NDの具体的な設計、例えば、下記(i)〜(iii)等に基づき予め設定される。
(i)燃料電池NDにおいて、カソード12の製造方法(触媒インクの分散手法、塗工方法等)。
(ii)カソード12中の電解質の種類、分量、厚さ方向および面方向の分布状態。
(iii)カソード12中の触媒担持担体の種類、粒径。
A2−4.ステップS40の処理の説明:
続いて、状態推定装置10は、ステップS30の処理で検出した論理関数の各係数に基づいて、等価回路Zの回路パラメータである膜抵抗成分Rmおよびイオン伝導抵抗成分Riを検出し、膜抵抗成分Rmを電解質膜11の膜抵抗として、イオン伝導抵抗成分Riをカソード12のカソード抵抗として推定する(ステップS40)。
A2−5.ステップS50の処理の説明:
次に、状態推定装置10は、ステップS20の処理で検出した複素インピーダンスプロットVに基づいて、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定する(ステップS50)。
図9は、複素インピーダンスプロットVにおいて転換点P付近を拡大した図である。状態推定装置10は、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定する場合には、複素インピーダンスプロットVにおいて、転換点Pよりも高周波側の所定点における接線と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、推定する。具体的には、状態推定装置10は、以下の考えに基づき、推定を行う。
すなわち、角度θが45°の場合には、等価回路Zにおいて、各イオン伝導抵抗成分Riがほぼ等しいと考えられる。角度θが45°よりも大きい場合には、等価回路Zにおいて、各イオン伝導抵抗成分Riのうち、膜抵抗成分Rmに近いイオン伝導抵抗成分Riが低くなると考えられる。一方、角度θが45°よりも小さい場合には、等価回路Zにおいて、各イオン伝導抵抗成分Riのうち、膜抵抗成分Rmから遠いイオン伝導抵抗成分Riが低くなると考えられる。
従って、状態推定装置10は、角度θが、45°の場合には、カソード12の厚さ方向において、略均一に電解質が分布していると推定する。角度θが、45°よりも大きい場合には、カソード12の厚さ方向において、第2面側よりも第1面側に電解質が多く分布していると推定する。角度θが、45°よりも小さい場合には、カソード12の厚さ方向において、第1面側よりも第2面側に電解質が多く分布していると推定する。なお、上記「転換点Pより高周波側」とは、例えば、10Hz〜1kHzの範囲をいう。
図10は、角度θに基づいて、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定する手法が正しいことを確認するための確認試験の結果を表す図である。この確認試験では、カソードにおいて、第2面側(ガス拡散層側)よりも第1面側(電解質膜側)に電解質を多く分布させた燃料電池セルU1と、カソードにおいて、第1面側よりも第2面側に電解質を多く分布させた燃料電池セルU2とを用いて、それぞれ複素インピーダンスプロットを検出し、角度θを検出する。図10は、燃料電池セルU1の複素インピーダンスプロットV1、複素インピーダンスプロットV1における転換点P1、燃料電池セルU2の複素インピーダンスプロットV2、および、複素インピーダンスプロットV2における転換点P2をそれぞれ示している。また、図10は、燃料電池セルU1の各交流インピーダンスに基づくインピーダンス測定点を黒抜き四角形で、燃料電池セルU2の各交流インピーダンスに基づくインピーダンス測定点を黒抜き三角形で示している。
図10に示すように、この確認試験の結果、以下の通りとなった。すなわち、燃料電池セルU1の複素インピーダンスプロットV1では、角度θが45°より大きい65°となった。一方、燃料電池セルU2の複素インピーダンスプロットV2では、角度θが45°より小さい40°となった。従って、上述のステップS50の処理で、角度θに基づいて、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定する手法は、妥当であると言える。
A2−6.ステップS60の処理の説明:
続いて、状態推定装置10は、ステップS30の処理で検出したフィッティング曲線Y(図6参照)と、ステップS10の処理で検出した交流インピーダンスとを比較することで、カソード12の面方向における電解質分布を推定する(ステップS60)。すなわち、状態推定装置10は、複素平面において、フィッティング曲線Yにおいて、転換点Pf付近の周波数T(後述の図11参照)に対応する位置と、その周波数Tに対応するインピーダンス測定点との距離Gに基づいて、カソード12の面方向における電解質分布を推定する。なお、周波数Tは、例えば、1Hz〜10Hzの範囲内の周波数である。
具体的には、状態推定装置10は、複素平面において、距離Gが、閾値Gtよりも大きい場合には、インピーダンス測定点と、フィッティング曲線Yとのずれが比較的大きいので、カソード12において、面方向に電解質が偏って分布していると推定する。また、状態推定装置10は、複素平面において、距離Gが、閾値Gt以下の場合には、インピーダンス測定点と、フィッティング曲線Yとのずれが比較的小さいので、カソード12において、面方向に略均一に電解質が分布していると推定する。
図11は、距離Gに基づいて、カソード12の面方向における電解質分布を推定する手法が正しいことを確認するための確認試験の結果を表す図である。この確認試験では、燃料電池セルQ1と、燃料電池セルQ2とを用いて、各周波数における交流インピーダンス、複素インピーダンスプロット、および、等価回路Zに基づくフィッティング曲線をそれぞれ検出する。
燃料電池セルQ1は、カソードにおいて、面方向に略均一に電解質が分布している。燃料電池セルQ2は、カソードにおいて、面方向に、電解質量が異なるQa領域(図示せず)およびQb(図示せず)領域に区分され、Qa領域は、燃料電池セルQ1のカソードと単位体積辺りの電解質量が同様になるように、面方向において、略均一に電解質が分布し、Qb領域は、Qa領域よりも単位体積辺りの電解質量が多く、かつ、面方向に略均等に電解質が分布している。すなわち、燃料電池セルQ2は、カソードの面方向において、電解質が不均一に分布している。なお、Qb領域は、Qa領域の2倍程度の面積となっている。
図11(A)は、カソードにおいて、面方向に略均一に電解質が分布している燃料電池セルQ1の試験結果を示している。具体的には、図11(A)は、複素平面において、燃料電池セルQ1における、複素インピーダンスプロットVa、フィッティング曲線Ya、複素インピーダンスプロットVaの転換点Pa、および、フィッティング曲線Yaの転換点Pfaをそれぞれ示している。
図11(B)は、カソードにおいて、面方向に不均一に電解質が分布している燃料電池セルQ2の試験結果を示している。具体的には、図11(B)は、複素平面において、燃料電池セルQ2における、複素インピーダンスプロットVb、フィッティング曲線Yb、複素インピーダンスプロットVbの転換点Pb、および、フィッティング曲線Ybの転換点Pfbをそれぞれ示している。図11において、燃料電池セルQ1および燃料電池セルQ2のインピーダンス測定点を、それぞれ黒抜き四角形で示している。
上記確認試験の結果は、以下の通りとなった。すなわち、図11(A)に示すように、燃料電池セルQ1において、フィッティング曲線Yaにおける転換点Pfa付近の周波数Tに対応する位置と、周波数Tに対応するインピーダンス測定点との距離Gは、比較的近い。一方、図11(B)に示すように、燃料電池セルQ2において、フィッティング曲線Ybにおける転換点Pfb付近の周波数Tに対応する位置と、周波数Tに対応するインピーダンス測定点との距離Gは、比較的遠い。従って、距離Gに基づいて、カソード12の面方向における電解質分布を推定する手法は、妥当であると言える。
A2−7.ステップS70の処理の説明:
次に、状態推定装置10は、交流インピーダンスに基づいて、リークガスが生じているか否かを推定する(ステップS70)。
図12は、リークガスが生じている場合の複素インピーダンスプロットVlを示した図ある。詳しくは、図12は、燃料電池NDにおいて、リークガスが生じている場合の各周波数における交流インピーダンスに基づくインピーダンス測定点を黒抜き四角形で示し、そのインピーダンス測定点に基づく複素インピーダンスプロットVlを実線で示し、さらには、複素インピーダンスプロットVlの転換点Plを示している。また、図12は、燃料電池NDにおいて、リークガスが生じていない場合の複素インピーダンスプロットVsを一点鎖線で示している。状態推定装置10は、以下の考えに基づき、リークガスが生じているか否かの推定を行う。
すなわち、複素インピーダンスプロットVlは、等価回路Z(図7参照)において、反応抵抗成分Raが小さくなるので、図12に示すように、複素インピーダンスプロットVsと比べて、複素インピーダンスプロットVlの転換点Plよりも低周波側で、実部値Z1に対する虚部値Z2の変化量が鈍化し、曲率が強くなると考えられる。
従って、状態推定装置10は、下記(1)〜(3)の少なくとも1つを満たした場合に、リークガスが生じていると推定し、下記(1)〜(3)のうち1つも満たしていない場合には、リークガスが生じていないと推定する。
(1)複素インピーダンスプロットV(図5参照)において転換点Pに対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)に対応する交流インピーダンスの実部値Zl1(図5参照)が、閾値Zt1より大きい場合。
(2)複素インピーダンスプロットVにおいて転換点Pに対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)に対応する交流インピーダンスの虚部値Zl2(図5参照)の絶対値が、閾値Zt2より小さい場合。
(3)複素インピーダンスプロットVにおいて転換点Pよりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)に対応する部分が示す曲率半径Rv(図5参照)が、閾値Rtより小さい場合。
A2−8.ステップS80,90の処理の説明:
続いて、状態推定装置10は、ステップS70の処理で、リークガスが生じていると推定した場合には(ステップS80:Yes)、次に、ステップS10の処理で検出した交流インピーダンスと、RAMに記憶されたリークガス量検定データとを比較することで、リークガス量を推定する(ステップS90)。リークガス量検定データは、所定の周波数における交流インピーダンスの実部値と、リークガス量のとの対応関係を示し、予め検定実験により求められる。
具体的には、状態推定装置10は、検出した交流インピーダンスのうち、複素インピーダンスプロットV(図5参照)において転換点Pに対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)における交流インピーダンスの実部値を検出し、リークガス量検定データにおいて、検出した実部値に対応する量を、上記リークガス量として推定する。なお、本発明は、これに限られるものではない。例えば、状態推定装置10は、検出した交流インピーダンスのうち、複素インピーダンスプロットV(図5参照)において転換点Pに対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)における交流インピーダンスの虚部値を検出し、リークガス量検定データにおいて、検出した虚部値に対応する量を、上記リークガス量として推定するようにしてもよい。この場合、リークガス量検定データは、所定の周波数における交流インピーダンスの虚部値と、リークガス量のとの対応関係を示す。
状態推定装置10は、ステップS70の処理で、リークガスが生じていないと推定した場合には、このMEA状態推定処理を終了する。
状態推定装置10は、MEA状態推定処理が終了すると、MEA状態推定処理の結果を表示部16に報知する。具体的には、状態推定装置10は、MEA状態推定処理において推定した、膜抵抗やカソード抵抗、カソード12の厚さ方向における電解質分布、カソード12の面方向における電解質分布、リークガスの有無、および、リークガス量等の情報を表示部16に表示する。
以上のように、本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理を行い、燃料電池NDを分解することなく、MEA5の状態を推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDの内部状態を容易に把握することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理において、検出した各周波数における交流インピーダンスに基づいて、カソード12中の電解質の分布を推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、カソード12中の電解質の分布状態を容易に推定することができる。
ところで、比較例の等価回路I(図8参照)を用いて検出されるフィッティング曲線Hは、図6に示すように、検出した各インピーダンス測定点とは、大きく乖離しており、等価回路Iに基づいて、各回路バラメータ(膜抵抗成分Rm、イオン伝導抵抗成分Ri等)を検出しても、それらの値が実際の値に対して大きな誤差を含むおそれがあった。
一方、本実施例の燃料電池状態推定システム100では、等価回路Zを用いてフィッティング曲線Yを形成するようにしている。このようにすれば、図6に示すように、フィッティング曲線Yは、各インピーダンス測定点に非常にフィットするように形成されるので、状態推定装置10は、等価回路Zに基づいて、各回路パラメータを精度よく検出することができる。その結果、ステップS40の処理において、膜抵抗成分Rmおよびイオン伝導抵抗成分Riを精度よく検出することができ、言い換えれば、膜抵抗およびカソード抵抗を精度よく検出することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理のステップS50の処理において、複素インピーダンスプロットに基づいて、カソード12における厚さ方向の電解質の分布を推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、カソード12における厚さ方向の電解質の分布状態を容易に推定することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理のステップS50の処理において、複素インピーダンスプロットVにおける転換点Pよりも高周波側の所定点における接線と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、カソード12の厚さ方向における電解質の分布状態を正確に推定することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理のステップS60の処理において、フィッティング曲線Y(図6参照)と、検出した交流インピーダンスとを比較することで、カソード12の面方向における電解質分布を推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、カソード12における面方向の電解質の分布状態を容易に推定することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理のステップS60の処理で、複素平面において、フィッティング曲線Yにおける転換点Pf付近の周波数Tに対応する位置と、その周波数Tに対応するインピーダンス測定点との距離Gに基づいて、カソード12の面方向における電解質分布を推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、カソード12における面方向の電解質の分布状態を正確に推定することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理において、交流インピーダンスに基づいて、リークガスが生じているか否かを推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、リークガスが生じているか否かを容易に推定することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理のステップS70の処理において、複素インピーダンスプロットV(図5参照)において転換点Pに対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)に対応する交流インピーダンスの実部値Zl1(図5参照)が、閾値Zt1より大きい場合に、リークガスが生じていると推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、リークガスの発生を正確に推定することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理のステップS70の処理において、複素インピーダンスプロットVにおいて転換点Pに対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)に対応する交流インピーダンスの虚部値Zl2(図5参照)の絶対値が、閾値Zt2より小さい場合に、リークガスが生じていると推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、リークガスの発生を正確に推定することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理のステップS70の処理において、複素インピーダンスプロットVにおいて転換点Pよりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)に対応する部分が示す曲率半径Rl(図5参照)が、閾値Rtより小さい場合に、リークガスが生じていると推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、リークガスの発生を正確に推定することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理において、交流インピーダンスに基づいて、MEA5におけるリークガス量を推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、リークガス量を容易に推定することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理のステップS80の処理において、リークガス量検定データにおいて、検出した交流インピーダンスのうち、複素インピーダンスプロットV(図5参照)において転換点Pにおける周波数よりも低い周波数に対応する交流インピーダンスの実部値(若しくは虚部値)に対応する量を、リークガス量として推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、リークガス量を正確に推定することができる。
本実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理のステップS10の処理において、燃料電池NDに交流電流を流す場合、サイクリックボルタモグラムの電気2重層領域の電圧を印加するようにしている。このようにすれば、各周波数における交流インピーダンスに基づいて、正確にMEA5の状態を推定することができる。
図13は、状態推定装置において周波数と出力電圧の振幅との関係の一例を表す図である。図14は、燃料電池NDに導入する水素および窒素の相対湿度が高い場合における複素インピーダンスプロットを示す図である。図13において、横軸が周波数[Hz]を表し、縦軸が周波数に対する出力電圧の振幅[mV]を表す。図14は、詳しくは、燃料電池NDに導入する水素および窒素の相対湿度を、60%よりも高い湿度とすると共に、図13に示すように、高周波数領域で、出力電圧の振幅が減衰するような状態推定装置を用いて、検出された複素インピーダンスプロットを示す図である。
ところで、燃料電池NDに導入する水素および窒素の相対湿度を、高い湿度(例えば、60%より高い湿度)し、すなわち、MEA5の抵抗値を小さくすると共に、図13に示すような特性を持つ状態推定装置10を用いてMEA状態推定処理を行うと、図14に示すように、複素インピーダンスプロットが、直線状になるおそれがあり、その結果、MEA状態推定処理において、正確にMEA5の状態を推定できないおそれがあった。
一方、本実施例では、燃料電池NDに導入する水素および窒素は、相対湿度が、0.1〜60%の範囲内である低湿度なガスを用いるようにしている。このようにすれば、MEA5の抵抗値を高くすることができ、複素インピーダンスプロットが直線状になることを抑制することができる。その結果、MEA状態推定処理において、MEA5の状態、例えば、カソード12における電解質の分布状態やリークガスの有無等を正確に推定することが可能となる。また、本実施例では、燃料電池NDの温度が、90℃程度の高温状態でMEA状態推定処理を行うようにしている。このようにすれば、MEA5の抵抗値を高くすることができ、複素インピーダンスプロットが直線状になることを抑制することができる。その結果、MEA状態推定処理において、MEA5の状態、例えば、カソード12における電解質の分布状態やリークガスの有無等を正確に推定することが可能となる。
本実施例において、カソード12は、特許請求の範囲における第1電極に該当し、アノード13は、特許請求の範囲における第2電極に該当し、閾値Gtは、特許請求の範囲における第1距離判定値および第2距離判定値に該当し、閾値Zt1は、特許請求の範囲における実部判定値に該当し、閾値Zt2は、特許請求の範囲における虚部判定値に該当する。また、状態推定装置10は、特許請求の範囲における状態推定装置、測定部、および、推定部に該当する。
B.第2実施例:
第1実施例では、複素インピーダンスプロットに基づいて、膜抵抗およびカソード抵抗の推定(ステップS40)、カソードの厚さ方向における電解質分布の推定(ステップS50)、カソードの面方向における電解質分布の推定(ステップS60)、リークガスが生じているか否かの推定(ステップS70)をおこなったが、第2実施例では、複素インピーダンスプロットに基づいて、カソード12の触媒金属を担持した担体の集合により形成される二次粒子(以後、単に「二次粒子」とも呼ぶ)の分散の程度を推定する。燃料電池状態推定システム100の構成については、第1実施例と同様であるため説明を省略する。
図15は、二次粒子および分散の程度を説明するための説明図である。本実施例において、二次粒子spとは、図15に示すように、ファンデルワールス力などにより、触媒金属caを担持した担体pp(一次粒子)が凝集して形成された粒子をいう。また、二次粒子spの分散の程度とは、電解質と溶媒と触媒担持担体とを混合してホモジナイザーなどにより攪拌して触媒インクを作成する際に、攪拌により二次粒子spが砕き解されて細分化されている程度を表す。すなわち、攪拌により、二次粒子spが細分化されて、図15(a)に示すように、粒径Dpの小さい二次粒子spを多く含む状態を分散が強い(強分散)という。一方、二次粒子spが細分化されず、図15(b)に示すように、粒径Dpの大きい二次粒子spを多く含む状態を分散が弱い(弱分散)という。
図16は、第2実施例におけるMEA状態推定処理のフローチャートである。図16において、ステップS10〜ステップS30は、既述の第1実施例におけるステップS10〜ステップS30と同様であるため説明を省略する。
状態推定装置10は、交流インピーダンスに基づいて、二次粒子の分散の程度を推定する。(ステップS45)。図17は、二次粒子の分散の程度と複素インピーダンスプロットとの関係を示した図ある。図17では、燃料電池NDにおいて、二次粒子の分散が弱い場合(弱分散)の各周波数における交流インピーダンスに基づくインピーダンス測定点を黒抜き菱形で示し、二次粒子の分散が強い場合(強分散)の各周波数における交流インピーダンスに基づくインピーダンス測定点を黒四角形で示している。また、二次粒子の分散が弱い場合と二次粒子の分散が強い場合のそれぞれの複素インピーダンスプロットおよび転換点を、複素インピーダンスプロットV3および転換点P3と、複素インピーダンスプロットV4および転換点P4で示している。このとき、状態推定装置10は、以下の考えに基づき、二次粒子の分散の程度の推定をおこなう。
図18は、図17における二次粒子の分散が強い場合と弱い場合のそれぞれに含まれる二次粒子の粒径とその頻度を例示した説明図である。サンプル1は、二次粒子の分散が強い場合の粒径分布であり、超音波ホモジナイザーおよび遠心攪拌等により二次粒子を分散させているため、粒径の小さい二次粒子(0.1μm〜0.5μm)を多く含んでいる。サンプル2は、二次粒子の分散が弱い場合の粒径分布であり、遠心攪拌のみにより二次粒子を分散させているため、粒径の大きい二次粒子(3μm〜10μm)を多く含んでいる。分散の弱いカソード12では、粒径の大きい二次粒子を多く含むため、二次粒子の内部における電解質自体の抵抗や電解質と担体との間の接触抵抗が粒径の小さい二次粒子を多く含む場合に比べて増大する。そのため、燃料電池NDが分散の弱いカソード12を有する場合、複素インピーダンスプロットの転換点より低周波側において、実部値に対する虚部値の変化量が鈍化すると考えられる。一方、燃料電池NDが分散の強いカソード12を有する場合、分散の弱いカソード12に比べ、相対的に実部値に対する虚部値の変化量が大きくなる考とえられる。従って、状態推定装置10は、下記(1)〜(4)の方法により、二次粒子の分散の程度の推定をおこなう。
(1)状態推定装置10は、複素インピーダンスプロットにおいて転換点に対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1000Hz)に対応する交流インピーダンスの実部値が、閾値Dt1より大きい場合、閾値Dt1以下の場合に比べて二次粒子の分散が弱いと推定する。一方、交流インピーダンスの実部値が、閾値Dt1より小さい場合、閾値Dt1以上の場合に比べて二次粒子の分散が強いと推定する。図17では、複素インピーダンスプロットV3および複素インピーダンスプロットV4のそれぞれの同じ周波数におけるインピーダンス観測点が観測点Po1および観測点Po2で示されている。このとき、閾値Dt1を0.5と設定すれば、観測点Po1の実部値Zl3は閾値Dt1より大きくなるため弱分散と推定でき、観測点Po2の実部値Zl5は閾値Dt1より小さくなるため強分散と推定できる。よって、二次粒子の分散の程度について容易に検出をおこなうことができる。
(2)状態推定装置10は、複素インピーダンスプロットにおいて転換点に対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1000Hz)に対応する交流インピーダンスの虚部値の絶対値が、閾値Dt2より小さい場合、閾値Dt2以上の場合に比べて二次粒子の分散が弱いと推定する。一方、交流インピーダンスの虚部値の絶対値が、閾値Dt2より大きい場合、閾値Dt2以下の場合に比べて二次粒子の分散が強いと推定する。図17では、上述の観測点Po1および観測点Po2において、閾値Dt2を−1.5の絶対値である1.5と設定すれば、観測点Po1の虚部値の絶対値Zl4は閾値Dt2より小さくなるため弱分散と推定でき、観測点Po2の虚部値の絶対値Zl6は閾値Dt2より大きくなるため強分散と推定できる。よって、二次粒子の分散の程度について容易に検出をおこなうことができる。
(3)状態推定装置10は、複素インピーダンスプロットにおいて転換点に対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1000Hz)における任意の点における接線と、この任意の点と交差し、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度Aが、閾値Atより小さい場合には、角度Aが閾値At以上の場合に比べて、二次粒子の分散が弱いと推定する。一方、角度Aが、閾値Atより大きい場合には、角度Aが閾値At以下の場合に比べて、二次粒子の分散が強いと推定する。図17では、複素インピーダンスプロットV3および複素インピーダンスプロットV4のそれぞれの同じ周波数におけるインピーダンス観測点が観測点Pn1および観測点Pn2で示されている。このとき、閾値Atを80°と設定すれば、複素インピーダンスプロットV3の角度Aは76°であるため弱分散と推定でき、複素インピーダンスプロットV4の角度Aは86°であるため強分散と推定できる。よって、二次粒子の分散の程度について容易に検出をおこなうことができる。なお、角度Aは、おおむね50°〜90°程度となる。
(4)状態推定装置10は、各周波数における交流インピーダンスに対して、等価回路Zを用いてフィッティングさせた際に特定されるCPE成分40の容量性リアクタンスLc=1/{C(jω)p}のうち、係数Pが、閾値Ptより大きい場合、閾値Pt以下の場合に比べて、2次粒子の分散が弱いと推定する。一方、係数Pが、閾値Ptより小さい場合、閾値Pt以上の場合に比べて2次粒子の分散が強いと推定する。係数Pは、等価回路Zによるフィッティングの際、フィッティング曲線の傾きに寄与する係数であり、係数Pが大きくなるほど実部軸側に傾き、係数Pが小さくなるほど虚部軸側に傾く。このように、係数Pは、複素インピーダンスプロットの実部値に対する虚部値の変化量と相関性が認められることから、係数Pを検出することにより、二次粒子の分散の程度について容易に検出をおこなうことができる。
二次粒子の分散は、複素インピーダンスプロットVにおいて、転換点Pに対応する周波数よりも低周波側の全領域で検出することができるが、転換点付近の中周波領域(例えば、1〜1000Hz)より低周波側では、クロスリークによる影響が大きくなることから、中周波領域(例えば、1〜1000Hz)において検出することが望ましい。なお、中周波領域は、触媒層の膜厚、担持担体や電解質の種類等により範囲が異なり、例えば本実施例では、10〜1000Hz辺りである。特許請求の範囲における転換点付近とは中周波領域をいう。
図19は、攪拌方法の違いと複素インピーダンスプロットとの関係を示した図ある。図19では、触媒インクを攪拌する際、触媒インクに直接接するように超音波ホモジナイザーを用い、さらに遠心攪拌等をおこなった場合の各周波数における交流インピーダンスに基づくインピーダンス測定点を白抜き四角形で示している。また、触媒インクに間接的に接するように超音波ホモジナイザーを用い、さらに遠心攪拌等をおこなった場合の各周波数における交流インピーダンスに基づくインピーダンス測定点を白抜き菱形で示している。触媒インクに直接接するように超音波ホモジナイザーを用いた場合、間接的に超音波ホモジナイザーを用いた場合に比べて二次粒子がより細分化され、分散が強くなるため、図19に示すように、中周波領域において実部値Z1に対する虚部値Z2の変化量が大きくなる。すなわち、角度A1>角度A2となる。このことから、触媒インクを作製する際にホモジナイザーを用いる場合であっても、用いる方法(直接か間接か)や用いる時間の長短などによって、二次粒子の分散の程度に差異が生じる。
本実施例において、閾値Dt1は、特許請求の範囲における実部判定値に該当し、閾値Dt2は、特許請求の範囲における虚部判定値に該当し、閾値Atは、特許請求の範囲における角度判定値に該当し、閾値Ptは、特許請求の範囲における係数判定値に該当する。
以上のように、第2実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理において、検出した各周波数における交流インピーダンスに基づいて、カソード12中の触媒担持担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を推定するようにしている。このようにすれば、燃料電池NDを分解することなく、カソード12中の触媒担持担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
具体的には、分散の弱いカソード12では、粒径の大きい二次粒子を多く含むため、二次粒子の内部における電解質自体の抵抗や電解質と担体との間の接触抵抗が粒径の小さい二次粒子を多く含む場合に比べ増大する。そのため、燃料電池NDが分散の弱いカソード12を有する場合、複素インピーダンスプロットの転換点より低周波側において、実部値に対する虚部値の変化量が鈍化する。よって、交流インピーダンスにおいて、転換点より低周波側における実部値が、実部判定値より大きい場合には、実部値が実部判定値以下の場合に比べて、二次粒子の分散が弱いと推定できることから、担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。また、交流インピーダンスにおいて、転換点より低周波側における虚部値の絶対値が、虚部判定値より小さい場合には、虚部値の絶対値が虚部判定値以上の場合に比べて、二次粒子の分散が弱いと推定できることから、同様に二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
また、複素インピーダンスプロットにおいて、転換点より低周波側の部分によって規定される線分と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度Aが、角度判定値より小さい場合には、角度Aが角度判定値以上の場合に比べて、二次粒子の分散が弱いと推定できることから、二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
さらに、交流インピーダンスに対して、等価回路Zに基づく論理関数でフィッティングをおこない、CPE成分の係数Pを検出し、係数Pが係数判定値より大きい場合には、係数Pが係数判定値以下の場合に比べて、二次粒子の分散が弱いと推定できることから、二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
一方、燃料電池NDが分散の強いカソード12を有する場合、分散の弱いカソード12に比べ、相対的に実部値Z1に対する虚部値Z2の変化量が大きくなる考とえられる。よって、交流インピーダンスにおいて、転換点Plより低周波側における実部値Z1が、実部判定値より小さい場合には、実部値Z1が実部判定値以上の場合に比べて、二次粒子の分散が強いと推定できるため、二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。また、交流インピーダンスにおいて、転換点より低周波側における虚部値の絶対値が、虚部判定値より大きい場合には、虚部値の絶対値が虚部判定値以下の場合に比べて、二次粒子の分散が強いと推定できるため、同様に二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
また、複素インピーダンスプロットにおいて、転換点より低周波側の部分によって規定される線分と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度Aが、角度判定値より大きい場合には、角度Aが角度判定値以下の場合に比べて、二次粒子の分散が強いと推定できるため、二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
さらに、交流インピーダンスに対して、等価回路Zに基づく論理関数でフィッティングをおこない、CPE成分の係数Pを検出し、係数Pが係数判定値より小さい場合には、係数Pが係数判定値以上の場合に比べて、二次粒子の分散が強いと推定できるため、二次粒子の分散の程度を容易に推定することができる。
C.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下のような変形も可能である。
C1.変形例1:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100が行うMEA状態推定処理において、状態推定装置10は、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定する場合に、複素インピーダンスプロットVにおいて、転換点Pよりも高周波側の所定点における接線と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、推定するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、状態推定装置10は、複素インピーダンスプロットVにおいて、転換点Pよりも高周波側の複数の点により求まる直線(例えば、2点を結んだ線、3点の近似直線等)と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定するようにしてもよい。このようにしても上記実施例と同様の効果を奏することができる。
C2.変形例2:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100が行うMEA状態推定処理において、状態推定装置10は、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定する場合に、複素インピーダンスプロットVにおいて、転換点Pよりも高周波側の所定点における接線と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、推定するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、状態推定装置10は、複素インピーダンスプロットVにおける転換点Pに対応する周波数より高い周波数(例えば、10Hz〜1kHz)に対応する複数のインピーダンス測定点により求まる直線(例えば、2点を結んだ線、3点の近似直線等)と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定するようにしてもよい。このようにしても上記実施例と同様の効果を奏することができる。
C3.変形例3:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100が行うMEA状態推定処理では、状態推定装置10は、ステップS50の処理において、角度θが、45°か、45°より大きいか、若しくは、45°より小さいか否かで、カソード12の厚さ方向の電解質分布を推定するようにしており、すなわち、角度θの指標として、45°という値を用いているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、状態推定装置10は、45°付近の任意の値を角度θの指標として用いるようにしてもよい。このようにしても上記実施例と同様の効果を奏することができる。
C4.変形例4:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100が行うMEA状態推定処理では、状態推定装置10は、ステップS70の処理において、上記(1)〜(3)の少なくとも1つを満たした場合に、リークガスが生じていると推定するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、状態推定装置10は、上記(1)〜(3)のいずれかの組み合わせを満たした場合、若しくは、上記(1)〜(3)のすべてを満たした場合において、リークガスが生じていると推定するようにしてもよい。このようにすれば、リークガスの有無を精度よく検知することができる。
また、状態推定装置10は、MEA状態推定処理のステップS30の処理で検出した論理関数の各係数に基づいて、等価回路Zの回路パラメータである反応抵抗成分Raを検出し、反応抵抗成分Raに基づいて、リークガスが生じているか否かを推定するようにしてもよい。この場合、状態推定装置10は、リークガスが生じている場合には、さらに、反応抵抗成分Raに基づいて、リークガス量を推定するようにしてもよい。このようにしても上記実施例の効果を奏することができる。
さらに、状態推定装置10は、複素インピーダンスプロットV(図5参照)において、転換点Pに対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)に対応する所定の実部値が、閾値Zt1より大きい場合にリークガスが生じていると推定してもよい。状態推定装置10は、複素インピーダンスプロットVにおいて、転換点Pに対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)に対応する所定の虚部値の絶対値が、閾値Zt2より小さい場合にリークガスが生じていると推定するようにしてもよい。このようにしても上記実施例と同様の効果を奏することができる。
C5.変形例5:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100が行うMEA状態推定処理では、状態推定装置10は、検出した交流インピーダンスのうち、複素インピーダンスプロットVにおいて転換点Pに対応する周波数よりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)における交流インピーダンスの実部値(若しくは虚部値)に基づいて、リークガス量を推定するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、状態推定装置10は、複素インピーダンスプロットVにおいて転換点Pよりも低い周波数(例えば、0.1〜1Hz)に対応する部分が示す曲率半径Rl(図12参照)に基づいて、リークガス量を推定するようにしてもよい。このようにしても上記実施例と同様の効果を奏することができる。
C6.変形例6:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100が行うMEA状態推定処理では、ステップS60の処理において、状態推定装置10は、フィッティング曲線Y(図6参照)と、検出した交流インピーダンスとを比較することで、カソード12の面方向における電解質分布を推定するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、状態推定装置10は、フィッティング曲線Yと、複素インピーダンスプロットVとを比較することで、カソード12の面方向における電解質分布を推定するようにしてもよい。
すなわち、状態推定装置10は、複素平面において、フィッティング曲線Yにおける転換点Pf付近の周波数Tに対応する位置と、その周波数Tに対応する複素インピーダンスプロットV上の所定点との距離G1に基づいて、カソード12の面方向における電解質分布を推定する。具体的には、状態推定装置10は、複素平面において、距離G1が、閾値Gt1より大きい場合には、複素インピーダンスプロットVと、フィッティング曲線Yとのずれが比較的大きいので、カソード12において、面方向に電解質が偏って分布していると推定する。また、状態推定装置10は、複素平面において、距離G1が、閾値Gt1以下の場合には、複素インピーダンスプロットVと、フィッティング曲線Yとのずれが比較的小さいので、カソード12において、面方向に略均一に電解質が分布していると推定する。このようにしても上記実施例の効果を奏することができる。
C7.変形例7:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100が行うMEA状態推定処理では、状態推定装置10は、等価回路Zの回路パラメータである膜抵抗成分Rmおよびイオン伝導抵抗成分Riに基づいて、膜抵抗およびカソード抵抗を求めるようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、状態推定装置10は、フィッティング曲線Yの形状から膜抵抗およびカソード抵抗を求めるようにしてもよい。このようにしても上記実施例の効果を奏することができる。
C8.変形例8:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100の状態推定装置10は、燃料電池NDにおいて、検査対象燃料電池セルCLLにおけるMEA5の状態を検査するために、MEA状態推定処理を行うようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、状態推定装置10は、燃料電池(MEA)の製造工程において、完成したMEAに対してMEA状態推定処理を行い、MEAの状態を推定し、その推定結果に基づいて、MEAの製造工程を見直すようにしてもよい。言い換えれば、状態推定装置10は、MEA状態の推定結果をMEAの製造工程にフィードバックするようにしてもよい。このようにすれば、意図するMEAを迅速に作成することが可能となる。
C9.変形例9:
上記実施例では、燃料電池NDのアノード13に活性ガスとしての水素が、カソード12に不活性ガスとしての窒素がそれぞれ導入された状態で、状態推定装置10は、MEA状態推定処理において、カソード12における電解質の分布状態を推定したり、カソード12のカソード抵抗を推定したりしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、燃料電池NDのアノード13に窒素、カソード12に水素を導入し、状態推定装置10は、MEA状態推定処理において、アノード13における電解質の分布状態を推定したり、アノード13のアノード抵抗を推定したりするようにしてもよい。このようにすれば、MEA5において、アノード13の状態を推定することが可能となる。
C10.変形例10:
上記実施例では、燃料電池NDのアノード13に活性ガスとしての水素が、カソード12に不活性ガスとしての窒素がそれぞれ導入された状態において、状態推定装置10は、MEA状態推定処理を実行させるようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、燃料電池NDのアノード13に不活性ガス(例えば、窒素)を導入し、その状態において、状態推定装置10は、MEA状態推定処理を実行するようにしてもよい。この場合、状態推定装置10は、MEA状態推定処理において、リークガスが生じているか否かの推定、および、リークガス量の推定以外の処理を実行するようにしてもよい。このようにしても上記実施例の効果を奏することができる。
C11.変形例11:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100は、MEA状態推定処理の処理において、燃料電池NDに導入する水素および窒素は、相対湿度が、60%より高いガスを用いるようにしてもよい。このようにしても上記実施例の少なくとも効果の一部を奏することができる。
C12.変形例12:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100が行うMEA状態推定処理では、状態推定装置10は、ステップS60の処理において、複素平面において、フィッティング曲線Yにおける転換点Pf付近の周波数Tに対応する位置と、その周波数Tに対応するインピーダンス測定点との距離Gに基づいて、カソード12の面方向における電解質分布を推定するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、状態推定装置10は、フィッティング曲線Yにおける転換点Pf付近の複数の周波数に対応する各位置と、各周波数に対応するインピーダンス測定点とのそれぞれの各距離を検出し、各距離の平均値、または、各距離の総合計に基づいて、カソード12の面方向における電解質分布を推定するようにしてもよい。このようにすれば、カソード12の面方向における電解質分布を精度よく推定することができる。
C13.変形例13:
上記実施例の燃料電池状態推定システム100がMEA状態推定処理を行う燃料電池NDは、固体高分子型燃料電池としているが、本発明は、これに限られるものではなく、固体酸化物型燃料電池電解質型や溶融炭酸塩電解質型等、種々のタイプの燃料電池であってもよい。
5…MEA
6,7…セパレータ
10…状態推定装置
11…電解質膜
12…カソード
13…アノード
14,15…ガス拡散層
16…表示部
18…セル内流路
18a,19a…凸部
18b,19b…凹部
19…セル内流路
20,30…配線
100…燃料電池状態推定システム
103〜106…孔部
110…シール部材
340…ターミナル
U1,U2,Q1,Q2,CL…燃料電池セル
ND…燃料電池
TM…ターミナル
EP…エンドプレート
CLL…検査対象燃料電池セル

Claims (44)

  1. 燃料電池の状態を推定する推定方法であって、
    前記燃料電池は、
    電解質膜と、前記電解質膜の一方の面に配置される第1電極と、前記電解質膜の他方の面に配置される第2電極と、を有する膜電極接合体を備え、
    少なくとも、前記第1電極に不活性ガスを導入した状態で、前記膜電極接合体の交流インピーダンスを測定する測定工程と、
    前記交流インピーダンスに基づいて、前記膜電極接合体の状態を推定する推定工程と、
    を備えることを特徴とする推定方法。
  2. 請求項1に記載の推定方法において、
    前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体とを含むと共に、前記電解質膜と当接する第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを備え、
    前記測定工程は、
    複数の周波数における前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、
    前記推定工程は、
    測定した各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、前記第1電極中の前記電解質の分布を推定する第1工程を含むことを特徴とする推定方法。
  3. 請求項2に記載の推定方法において、
    前記第1工程は、
    測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、
    前記複素インピーダンスプロットに基づいて、前記第1電極の厚さ方向における前記電解質の分布を推定する第2工程と、
    を含むことを特徴とする推定方法。
  4. 請求項3に記載の推定方法において、
    前記第2工程は、
    前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点付近であって前記転換点より高周波側の部分によって規定される線分と、前記実部軸に平行な線分とで形成される角の角度が、角度判定値より小さい場合には、前記第1電極において、前記第1面側より、前記第2面側に前記電解質が多く分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  5. 請求項3に記載の推定方法において、
    前記第2工程は、
    前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点付近であって前記転換点より高周波側の部分によって規定される線分と、前記実部軸に平行な線分とで形成される角の角度が、角度判定値より大きい場合には、前記第1電極において、前記第2面側より、前記第1面側に前記電解質が多く分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  6. 請求項3に記載の推定方法において、
    前記第2工程は、
    前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点付近であって、前記転換点より高周波側の部分によって規定される線分と、前記実部軸に平行な線分とで形成される角の角度が、略角度判定値である場合には、前記第1電極において、前記第1電極の厚さ方向に前記電解質が略均一に分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  7. 請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の推定方法において、
    前記実部軸と前記虚部軸は、直交し、
    前記複素インピーダンスプロットは、
    前記実部軸と前記虚部軸のそれぞれにおいて、同じだけ値が変化した時に、軸上の位置が同じだけ変化し、
    前記角度判定値は、45°であることを特徴とする推定方法。
  8. 請求項2に記載の推定方法において、
    前記第1工程は、
    測定した各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路を用いてフィッティングさせたフィッティング曲線を検出する工程と、
    前記フィッティング曲線と、所定周波数における前記交流インピーダンスと、を比較することで、前記第1電極において、前記第1面に沿った方向における前記電解質の分布を推定する第3工程と、
    を含むことを特徴とする推定方法。
  9. 請求項8に記載の推定方法において、
    前記第3工程は、
    実部値を示す実部軸と虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に、前記交流インピーダンスの測定点および前記フィッティング曲線が表される場合において、前記所定周波数に対応する前記交流インピーダンスの測定点と、前記フィッティング曲線の前記所定周波数に対応する位置と、の距離が、第1距離判定値より大きい場合に、前記第1電極の前記第1面に沿った方向において前記電解質が偏って分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  10. 請求項8に記載の推定方法において、
    前記第3工程は、
    実部値を示す実部軸と虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に、前記交流インピーダンスの測定点および前記フィッティング曲線が表される場合において、前記所定周波数に対応する前記交流インピーダンスの測定点と、前記フィッティング曲線の前記所定周波数に対応する位置と、の距離が、第2距離判定値以下の場合に、前記第1電極の前記第1面に沿った方向において前記電解質が略均一に分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  11. 請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の推定方法において、
    前記所定周波数は、前記フィッティング曲線において関数の性質が変わる転換点付近に対応する周波数であることを特徴とする推定方法。
  12. 請求項2に記載の推定方法において、
    前記第1工程は、
    測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、
    各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路を用いてフィッティングさせたフィッティング曲線を検出する工程と、
    前記フィッティング曲線と、前記複素インピーダンスプロットと、を比較することで、前記第1電極において、前記第1面に沿った方向における前記電解質の分布を推定する第4工程と、
    を含むことを特徴とする推定方法。
  13. 請求項12に記載の推定方法において、
    前記第4工程は、
    実部値を示す実部軸と虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に、前記複素インピーダンスプロットおよび前記フィッティング曲線が表される場合において、前記複素インピーダンスプロットの所定周波数に対応する位置と、前記フィッティング曲線の前記所定周波数に対応する位置と、の距離が、第1距離判定値より大きい場合に、前記第1電極の前記第1面に沿った方向において前記電解質が偏って分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  14. 請求項12に記載の推定方法において、
    前記第4工程は、
    実部値を示す実部軸と虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に、前記複素インピーダンスプロットおよび前記フィッティング曲線が表される場合において、前記複素インピーダンスプロットの所定周波数に対応する位置と、前記フィッティング曲線の前記所定周波数に対応する位置と、の距離が、第2距離判定値以下の場合に、前記第1電極の前記第1面に沿った方向において前記電解質が略均一に分布していると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  15. 請求項13または請求項14に記載の推定方法において、
    前記所定周波数は、前記複素インピーダンスプロットまたは前記フィッティング曲線において関数の性質が変わる転換点付近に対応する周波数であることを特徴とする推定方法。
  16. 請求項1に記載の推定方法において、
    前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体と、を含み、
    前記測定工程は、
    複数の周波数における前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、
    前記推定工程は、
    測定した各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路に基づく論理関数でフィッティングさせ、前記論理関数の係数を検出する工程と、
    前記係数に基づいて、前記電解質膜の膜抵抗、および/または、前記第1電極の電極抵抗を推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  17. 請求項1に記載の推定方法において、
    前記測定工程は、
    前記第1電極に前記不活性ガスを導入すると共に、前記第2電極に活性ガスを導入した状態で、前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、
    前記推定工程は、
    前記交流インピーダンスに基づいて、前記第2電極に導入された前記活性ガスが前記膜電極接合体の前記電解質膜を透過して、前記第1電極に移動したリークガスが生じているか否かを推定する第5工程を含むことを特徴とする推定方法。
  18. 請求項17に記載の推定方法において、
    前記第5工程は、
    前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における実部値が、実部判定値より大きい場合には、前記リークガスが生じていると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  19. 請求項17に記載の推定方法において、
    前記第5工程は、
    前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における虚部値の絶対値が、虚部判定値より小さい場合には、前記リークガスが生じていると推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  20. 請求項18または請求項19に記載の推定方法において、
    前記第5工程は、
    測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程を含み、
    前記所定周波数は、前記複素インピーダンスプロットにおいて関数の性質が変わる転換点に対応する周波数より低いことを特徴とする推定方法。
  21. 請求項17に記載の推定方法において、
    前記測定工程は、
    前記第1電極に前記不活性ガスを導入すると共に、前記第2電極に活性ガスを導入した状態で、前記膜電極接合体の各周波数における前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、
    前記第5工程は、
    測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、
    前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点より低周波側の部分における曲率半径が、曲率半径判定値より小さい場合には、前記リークガスが生じていると推定する工程と、
    を含むことを特徴とする推定方法。
  22. 請求項17に記載の推定方法において、
    前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体と、を含み、
    前記測定工程は、
    複数の周波数における前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、
    前記第5工程は、
    測定した各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、前記第1電極において、前記リークガスと前記触媒との反応抵抗成分と、を備える等価回路に基づく論理関数でフィッティングさせ、前記論理関数の係数を検出する工程と、
    前記係数に基づいて、前記反応抵抗成分を推定する工程と、
    前記反応抵抗成分に基づいて、リークガスが生じているか否かを推定する工程と、
    を含むことを特徴とする推定方法。
  23. 請求項1に記載の推定方法において、
    前記測定工程は、
    前記第1電極に前記不活性ガスを導入すると共に、前記第2電極に活性ガスを導入した状態で、前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、
    前記推定工程は、
    前記交流インピーダンスに基づいて、前記第2電極に導入された前記活性ガスが前記膜電極接合体の前記電解質膜を透過して、前記第1電極に移動したリークガスの量を推定する第6工程を含むことを特徴とする推定方法。
  24. 請求項23に記載の推定方法において、
    前記第6工程は、
    前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における実部値、または、虚部値に基づいて、前記リークガスの量を推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  25. 請求項23に記載の推定方法において、
    前記測定工程は、
    複数の周波数における前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、
    前記第6工程は、
    測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、
    前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点より低周波側の部分における曲率半径に基づいて、前記リークガスの量を推定する工程と、
    を含むことを特徴とする推定方法。
  26. 請求項17ないし請求項25のいずれかに記載の推定方法において、
    前記不活性ガスは、窒素であり、前記活性ガスは、水素であることを特徴とする推定方法。
  27. 請求項1に記載の推定方法において、
    前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体とを含み、
    前記測定工程は、複数の周波数における前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定する工程を含み、
    前記推定工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、前記担体の凝集により形成される二次粒子の分散の程度を推定する第7工程を含むことを特徴とする推定方法。
  28. 請求項27に記載の推定方法において、
    前記第7工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における実部値が、実部判定値より大きい場合には、前記実部値が前記実部判定値より小さい場合に比べて、前記二次粒子の分散が弱いと推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  29. 請求項27に記載の推定方法において、
    前記第7工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における実部値が、実部判定値より小さい場合には、前記実部値が前記実部判定値より大きい場合に比べて、前記二次粒子の分散が強いと推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  30. 請求項27に記載の推定方法において、
    前記第7工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における虚部値の絶対値が、虚部判定値より小さい場合には、前記虚部値の絶対値が前記虚部判定値より大きい場合に比べて、前記二次粒子の分散が弱いと推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  31. 請求項27に記載の推定方法において、
    前記第7工程は、前記交流インピーダンスにおいて、所定周波数における虚部値の絶対値が、虚部判定値より大きい場合には、前記虚部値の絶対値が前記虚部判定値より小さい場合に比べて、前記二次粒子の分散が強いと推定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  32. 請求項28ないし請求項31のいずれかに記載の推定方法において、
    前記第7工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程を含み、
    前記所定周波数は、前記複素インピーダンスプロットにおいて関数の性質が変わる転換点に対応する周波数より低いことを特徴とする推定方法。
  33. 請求項27に記載の推定方法において、
    前記第7工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、
    前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点付近であって前記転換点より低周波側の部分によって規定される線分と、前記実部軸に平行な線分とで形成される角の角度が、角度判定値より大きい場合には、前記角度が前記角度判定値より小さい場合に比べて、前記二次粒子の分散が強いと推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
  34. 請求項27に記載の推定方法において、
    前記第7工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスの実部値と虚部値との関係を示し、前記実部値を示す実部軸と前記虚部値を示す虚部軸とで形成される複素平面に表現可能な複素インピーダンスプロットを検出する工程と、
    前記複素インピーダンスプロットにおいて、関数の性質が変わる転換点付近であって前記転換点より低周波側の部分によって規定される線分と、前記実部軸に平行な線分とで形成される角の角度が、角度判定値より小さい場合には、前記角度が前記角度判定値より大きい場合に比べて、前記二次粒子の分散が弱いと推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
  35. 請求項27に記載の推定方法において、
    前記第7工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路に基づく論理関数でフィッティングをおこない、前記論理関数から、静電容量C、周波数ωおよび係数Pを用いて、1/{C(jω)p}で表される前記CPE成分の前記係数Pを検出する工程と、
    前記係数Pが、係数判定値より大きい場合には、前記係数Pが係数判定値より小さい場合に比べて、前記二次粒子の分散が弱いと推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
  36. 請求項27に記載の推定方法において、
    前記第7工程は、測定した各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路に基づく論理関数でフィッティングをおこない、前記論理関数から、静電容量C、周波数ωおよび係数Pを用いて、1/{C(jω)p}で表される前記CPE成分の前記係数Pを検出する工程と、
    前記係数Pが、係数判定値より小さい場合には、前記係数Pが係数判定値より大きい場合に比べて、前記二次粒子の分散が強いと推定する工程と、を含むことを特徴とする推定方法。
  37. 請求項1ないし請求項36いずれかに記載の推定方法において、
    前記測定工程は、
    前記燃料電池のサイクリックボルタモグラムにおける電気二重層領域内の電圧を印加して、前記膜電極接合体の交流インピーダンスを測定する工程を含むことを特徴とする推定方法。
  38. 請求項1ないし請求項37のいずれかに記載の推定方法において、
    前記燃料電池は、固体高分子型燃料電池であることを特徴とする推定方法。
  39. 請求項1ないし請求項38のいずれかに記載の推定方法において、
    前記不活性ガスは、低湿度ガスであることを特徴とする推定方法。
  40. 燃料電池の状態を推定する状態推定装置であって、
    前記燃料電池は、
    電解質膜と、前記電解質膜の一方の面に配置される第1電極と、前記電解質膜の他方の面に配置される第2電極と、を有する膜電極接合体を備え、
    前記状態推定装置は、
    少なくとも、前記第1電極に不活性ガスを導入した状態で、各周波数における前記膜電極接合体の交流インピーダンスを測定する測定部と、
    各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、前記燃料電池における前記膜電極接合体の状態を推定する推定部と、
    を備えることを特徴とする状態推定装置。
  41. 請求項40に記載の状態推定装置において、
    前記推定部は、
    各周波数における前記交流インピーダンスの実部と虚部との関係を示す複素インピーダンスプロットを検出し、前記複素インピーダンスプロットに基づいて、前記膜電極接合体の状態を推定することを特徴とする状態推定装置。
  42. 請求項40に記載の状態推定装置において、
    前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体とを含み、
    前記推定部は、
    各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、前記第1電極中の前記電解質の分布を推定することを特徴とする状態推定装置。
  43. 請求項40に記載の状態推定装置において、
    前記第1電極は、電解質と、触媒を担持する担体と、を含み、
    前記推定部は、
    各周波数における前記交流インピーダンスに対して、前記電解質膜の膜抵抗成分と、前記電解質のイオン伝導抵抗成分と、前記電解質と前記担体との界面に生じるCPE(Constant phase element)成分と、補正抵抗成分と、を備える等価回路に基づく論理関数でフィッティングさせ、前記論理関数の係数を検出し、前記係数に基づいて、前記電解質膜の膜抵抗、および/または、前記第1電極の電極抵抗を推定することを特徴とする状態推定装置。
  44. 請求項40に記載の状態推定装置において、
    前記測定部は、
    前記第1電極に前記不活性ガスを導入すると共に、前記第2電極に活性ガスを導入した状態で、前記膜電極接合体の前記交流インピーダンスを測定し、
    前記推定部は、
    前記交流インピーダンスに基づいて、前記第2電極に導入された前記活性ガスが前記膜電極接合体の前記電解質膜を透過して、前記第1電極に移動したリークガスが生じているか否かを推定することを特徴とする状態推定装置。
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