JP2010132956A - 造粒物の搬送方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粒径500μmアンダーの粒子を60質量%以上含む焼結原料にバインダーを添加し、造粒して乾燥し、平均粒径を1mm以上20mm以下、強度を0.1MPa以上1.5MPa以下とした造粒物を、搬送用シュート11を介して落下させる造粒物の搬送方法であって、搬送用シュート11の内側対向面14、15には、造粒物の落下衝撃緩衝部材16が、造粒物の落下方向に間隔Hを有して交互に突出して設けられ、しかも上下隣り合う落下衝撃緩衝部材16間の造粒物の落下高さHを0.1m以上0.4m以下の範囲内とし、上下隣り合う落下衝撃緩衝部材16の平面視した際の重複距離Wを、0又は0を超え落下衝撃緩衝部材16の突出長さLの半分以下の範囲内とする。
【選択図】図1
Description
このような鉄鉱石は、従来使用されてきた鉄鉱石と比較して、微粉成分が多いため(粒径500μmアンダーの粒子を60質量%以上含む)、事前処理を行うことなく焼結機に装入すると、焼結機の通風性を阻害して、良好な品質を有する焼結鉱を効率よく製造することが困難である。このため、このような鉄鉱石は、焼結機に装入する前に造粒する必要があった。
特に、結晶水含有率が高い鉄鉱石や多孔質の鉄鉱石の場合には、粒径がより小さい微粉鉱石が多く、また多孔質の鉄鉱石の孔内部に造粒用の水分が吸収されてしまって造粒性が悪く、造粒した焼結原料の造粒物(擬似粒子ともいう)の強度が低くなっていた。そのため、造粒した焼結原料を、従来公知の流動層を用いて、水分が2〜4質量%になるまで乾燥し、平均粒径が1mm以上20mm以下の造粒物の圧壊強度を上げて、焼結機に装入していた。
また、造粒物の崩壊を防止する方法ではないが、焼結鉱の粉化を防止する方法として、特許文献2には、図8に示すように、ベルトコンベア90の第1プーリ91と第2プーリ92の間に、キャリアプーリ93を設置することにより、ベルトコンベア90の先端高さ位置をベルト94に形成された頂部よりも低くし、更に、階段状のガイド部95を設けることで、焼結鉱の落下距離を低減し、焼結鉱の粉化を防止する方法が開示されている。なお、図8において、番号96は搬送物、番号97は搬送物の乗継ぎを行う他のベルトである。
特許文献1の方法は、角度可変のシュート上を転がすことで、擬似粒子の落下時の衝撃を和らげ、その崩壊を低減させる思想であるが、本願発明者の実験の結果、シュートの勾配を60度以上にすると擬似粒子がシュート上を滑り落ち、衝撃緩和効果が低減されて、シュートがない状態とほぼ同様の崩壊状態になることが判明した。
また、特許文献1に記載された擬似粒子とは、核粒子の周りに微粉がまぶりついたものであり、粒径500μmアンダーの粒子を60質量%以上含む微粉の多い焼結原料を造粒した造粒物とは、その崩壊形態が異なるため、同じ強度でも造粒物の方が崩壊率が大きくなってしまう問題もある。図9には、微粉から構成される核粒子のない造粒物(P型造粒物ともいう)と、核粒子の周囲に微粉が付着した擬似粒子(S型造粒物ともいう)の崩壊率を示しているが、例え擬似粒子と造粒物が同じ強度であっても、同じ高さから落下させた場合の崩壊率が大きく異なることが分かる。ここで、崩壊率とは、落下後の造粒物中に含まれるφ500μm以下の粒子量の増加率である(以下、同様)。
また、階段状のガイドを設けたとしても、使用している間に焼結鉱が堆積し、デッドスペースができるため、結果的に特許文献1に示したスローピングシュートと同様の働きとなる。このため、焼結鉱はシュート上を滑り落ちてしまい、粉化抑制効果が低減してしまう問題がある。
前記搬送用シュートの内側対向面には、前記造粒物の落下衝撃緩衝部材が、該造粒物の落下方向に間隔を有して交互に突出して設けられ、しかも上下隣り合う前記落下衝撃緩衝部材間の前記造粒物の落下高さを0.1m以上0.4m以下の範囲内とし、上下隣り合う前記落下衝撃緩衝部材の平面視した際の重複距離を、0又は0を超え前記落下衝撃緩衝部材の突出長さの半分以下の範囲内とする。
本発明に係る造粒物の搬送方法において、前記各落下衝撃緩衝部材は平板であって、該平板を、前記搬送用シュートの内側対向面に、水平に取付けることが好ましい。
本発明に係る造粒物の搬送方法において、前記各落下衝撃緩衝部材は、前記造粒物の落下方向に等ピッチで取付けられていることが好ましい。
ここで、上下隣り合う落下衝撃緩衝部材の平面視した際の重複距離を、0又は0を超え落下衝撃緩衝部材の突出長さの半分以下の範囲内とするので、造粒物は、各落下衝撃緩衝部材を通過しながら(全ての落下衝撃緩衝部材を介して)落下できる。
従って、このようにして搬送された造粒物を焼結機へ供給することで、焼結機の通気性を阻害することなく、良好な品質を有する焼結鉱を、効率よく製造できる。
そして、各落下衝撃緩衝部材を平板とし、これを搬送用シュートの内側対向面に、水平に取付ける場合は、造粒物が各落下衝撃緩衝部材の上面に堆積して所定角度の傾斜面を形成する。これにより、造粒物は、各落下衝撃緩衝部材に衝突することなく、堆積した造粒物で形成される傾斜面上に落下して転がり落ちるので、各落下衝撃緩衝部材の摩耗や損耗を抑制でき、各落下衝撃緩衝部材のメンテナンス頻度やランニングコストを低減できる。
更に、各落下衝撃緩衝部材を、造粒物の落下方向に等ピッチで取付ける場合、搬送用シュートの構成を簡単にできる。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る造粒物の搬送方法に使用する搬送用シュートの説明図、図2は造粒物の崩壊率と落下高さとの関係を示す説明図、図3は造粒物の崩壊メカニズムの説明図、図4(A)、(B)はそれぞれ本発明の他の実施の形態に係る造粒物の搬送方法に使用する搬送用シュートの説明図、使用状態の説明図である。
前記したように、図9には、擬似粒子と造粒物の落下衝撃に対する崩壊率を示しているが、擬似粒子と造粒物が同じ強度であっても、造粒物は擬似粒子と比較して崩壊率が高い。
これは、擬似粒子や造粒物を構成する粒子の大きさによって破壊形態が異なるためである。具体的には、粒子の構成具合によって、擬似粒子や造粒物が崩壊するための最小衝撃が決定し、限界衝撃(ここでは、限界落下高さに相当)以下になると、擬似粒子や造粒物が崩壊しなくなるためである。
図2から明らかなように、造粒物の落下高さが高くなれば、造粒物の崩壊率も大きくなることが分かる。これは、衝撃エネルギーが造粒物の落下高さに比例するためと考えられ、このことから、1回あたりの造粒物の落下高さを低減したとしても、トータルの落下高さが同じであれば、同じ崩壊率になると考えられていた。
しかしながら、本願発明者らは、検討を重ねた結果、造粒物が崩壊しなくなる限界の落下高さが存在することを見出した。そして、限界落下高さが、造粒物の強度や造粒物の粒度構成により推定可能であることが分かった。
これらを基に、造粒物の崩壊を抑制できる搬送方法を発明した。以下、詳しく説明する。
この焼結原料は、例えば、褐鉄鉱(Fe2O3・nH2O)、磁鉄鉱(Fe3O4)、及び赤鉄鉱(Fe2O3)、蛇紋岩、石灰石、粉コークス、返し鉱、及び混練ダストのいずれか1又は2以上である。なお、褐鉄鉱としては、例えば、マラマンバ鉱石(産地銘柄:ウエストアンジェラス)、ピソライト鉱石(産地銘柄:ヤンディー、ローブリバー)、及び高燐ブロックマン鉱石がある。
このことから、本実施の形態では、粒子が500μmアンダーの粒子を、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含む焼結原料の造粒を対象とする。なお、微粉の粒子量の上限を規定していないのは、全て微粉であってもよいためである。
なお、バインダー添加量は、焼結原料に対して1質量%以下程度でよい。
なお、造粒物を乾燥する方法としては、静置状態で通気するバンド乾燥機が、造粒物の崩壊を抑制できてベストであるが、より効率的に乾燥する方法として流動層がよい。これは、ガスクッション効果により、造粒物の崩壊を十分に抑制できるためである。ここで、キルン等の機械的な衝撃が加わる方法は、崩壊が著しく適用が困難である。
これにより、造粒物の平均粒径を1mm以上20mm以下、強度を0.1MPa(1kgf/cm2)以上1.5MPa(15kgf/cm2)以下とする。
以上のことから、造粒物の平均粒径を1mm以上20mm以下としたが、下限を3mm、更には5mm、上限を17mm、更には15mmとすることが好ましい。
以上のことから、造粒物の強度を、0.1MPa以上1.5MPa以下としたが、下限を0.3MPa、更には0.5MPaとすることが好ましい。
搬送用シュート11は、ホッパー13に立設配置された中空状のものであり、この搬送用シュート11の内側対向面14、15に、造粒物10の落下衝撃を和らげる平板(落下衝撃緩衝部材の一例)16が、造粒物の落下方向に間隔を有して交互に突出して設けられている。この平板16は、造粒物の落下方向に、同一間隔(同一ピッチ)で設けられているが、部分的に異なる間隔で設けてもよい。
このように、各平板16の傾斜角度θを30度以上45度以下とすることで、平板16上に落下した造粒物を、各平板16上に滞留させることなく、下方へ安定に落下させることができる。
ここで、造粒物の1回あたりの落下高さHを0.4m以下とすることで、限界落下高さによる崩壊抑制効果が得られる。一方、落下高さHが0.1m未満の場合、隣り合う平板間の間隔が狭過ぎて閉塞し、造粒物の物流を安定に実施できなくなるためである。
この限界落下高さについて、その概念を示す図3を参照しながら、詳しく説明する。
造粒物の崩壊は、落下による衝撃(落下エネルギー)に支配される。一方、造粒物の強度は、崩壊を抑制する耐性(耐性エネルギー)として働き、実際には、両者(落下エネルギーと耐性エネルギー)の差が有効破壊指数(有効破壊エネルギー)となる。
このときの落下高さを、限界落下高さHcと定義した。
本願発明者らの実験により、限界落下高さは、造粒物の強度や、造粒物を構成する粒度に影響されることが明らかになっており、擬似粒子と造粒物とでは大きく異なる。なお、本願発明が対象とする粒径500μmアンダーの粒子を60質量%以上含み、平均粒径が1mm以上20mm以下、強度が0.1MPa以上1.5MPa以下の造粒物では、図2に示すように、0.4mであった。
重複距離Wの下限を0mとしたのは、上方の平板から落下する造粒物を、その下方に配置される平板上に必ず落下させるためである。一方、重複距離Wの上限を平板の突出長さLの半分以下としたのは、造粒物を、上下に隣り合う平板間に滞留させることなく、下方へ安定に落下させるためである。
以上のことから、平板16の重複距離Wを、0又は0を超え平板16の突出長さLの半分以下の範囲内としたが、下限を0.1×L、更には0.2×Lとし、上限を0.4×L、更には0.3×Lとするのが好ましい。
図4(A)に示す搬送用シュート17は、ホッパー13に立設配置された中空状のものであり、この搬送用シュート17の内側対向面18、19に、造粒物10の落下衝撃を和らげる平板(落下衝撃緩衝部材の一例)20が、造粒物の落下方向に同一間隔を有して(同一ピッチで)交互に突出して設けられている。なお、各平板20は、搬送用シュート17の内側対向面18、19に水平に取付けられている。ここで、水平とは、水平位置を基準として、±10度、更には±5度の範囲内を含む。
これにより、造粒物は、各平板20の表面に衝突することなく、堆積した造粒物で形成される傾斜面上に落下して転がり落ちるので、各平板20の摩耗や損耗を抑制でき、各平板20のメンテナンス頻度やランニングコストを低減できる。
以上のことから、本願発明の造粒物の搬送方法を使用することで、落下による造粒物の崩壊を抑制できるので、この造粒物を焼結機に供給することにより、良好な品質を有する焼結鉱を効率よく製造できる。
ここでは、粒径500μmアンダーの粒子を65質量%含む焼結原料をドラム型造粒機に入れ、これに水と有機系のバインダーを添加して造粒し、流動層を用いた乾燥を行って、得られた平均粒径5mm、強度0.4MPaの造粒物の搬送前後の崩壊率(φ500μm以下の増加量)を検討した。
しかし、図5(B)に示すように、1回あたりの落下高さを、0.4m(15回)、0.3m(20回)と更に低くすることで、合計6m落下したときの造粒物の崩壊率が減少することを確認できた。
これは、前記した造粒物の耐性の影響であり、落下高さを低くすることで、造粒物の耐性の影響が無視できなくなるためである。
また、焼結機においては、造粒物の崩壊率、即ち落下後の造粒物中に含まれるφ500μm以下の増加率が7質量%まで、操業に大きな影響を耐えない。
以上のことから、粒径500μmアンダーの粒子を60質量%以上含み、1mm以上20mm以下の平均粒径を備え、0.1MPa以上1.5MPa以下の強度の造粒物を落下させる場合、造粒物の1回あたりの落下高さが0.4m以下であれば、造粒物の崩壊抑制効果が顕著に得られることを確認できた。
一方、実施例のように、造粒物の落下高さ等を、前記実施の形態に示した適正範囲内に設定することで、造粒物の崩壊率を2質量%まで低減でき、大きな崩壊抑制効果が得られることを確認できた。
以上のことから、本発明の造粒物の搬送方法を適用することで、微粉を主体として造粒された平均粒径と強度が規定された造粒物の崩壊を抑制し、良好な品質を有する焼結鉱を効率よく製造できることを確認できた。
また、前記実施の形態においては、搬送用シュートを、造粒物を搬送するベルトコンベアと、この造粒物を貯留するホッパーとの間に設けた場合について説明したが、造粒物が落下する場所であればこれに限定されるものではなく、例えば、造粒物を搬送するベルトコンベアからベルトコンベアへの乗継ぎ部に設けてもよい。
Claims (4)
- 粒径500μmアンダーの粒子を60質量%以上含む焼結原料にバインダーを添加し、造粒して乾燥し、平均粒径を1mm以上20mm以下、強度を0.1MPa以上1.5MPa以下とした造粒物を、搬送用シュートを介して落下させる造粒物の搬送方法であって、
前記搬送用シュートの内側対向面には、前記造粒物の落下衝撃緩衝部材が、該造粒物の落下方向に間隔を有して交互に突出して設けられ、しかも上下隣り合う前記落下衝撃緩衝部材間の前記造粒物の落下高さを0.1m以上0.4m以下の範囲内とし、上下隣り合う前記落下衝撃緩衝部材の平面視した際の重複距離を、0又は0を超え前記落下衝撃緩衝部材の突出長さの半分以下の範囲内とすることを特徴とする造粒物の搬送方法。 - 請求項1記載の造粒物の搬送方法において、前記各落下衝撃緩衝部材は平板であって、該平板を、前記搬送用シュートの内側対向面に、基側から先側へかけて下方へ傾斜させて取付け、しかも水平位置に対する傾斜角度を30度以上45度以下の範囲内とすることを特徴とする造粒物の搬送方法。
- 請求項1記載の造粒物の搬送方法において、前記各落下衝撃緩衝部材は平板であって、該平板を、前記搬送用シュートの内側対向面に、水平に取付けたことを特徴とする造粒物の搬送方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の造粒物の搬送方法において、前記各落下衝撃緩衝部材は、前記造粒物の落下方向に等ピッチで取付けられていることを特徴とする造粒物の搬送方法。
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