JP2010131963A - 樹脂製接合品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体流路から漏れた液体の液体試料が第1樹脂部材および第2樹脂部材の側面に付着せず、かつ、第1樹脂部材および第2樹脂部材の接合面や液体流路形成溝に接着剤や溶剤が接することのない樹脂製接合品、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを接合して樹脂製接合品1を形成する際、熱接合工程において、接合面20、30同士を熱接合してから、溶剤接合工程において、接合面20の縁部分213、214と、第2樹脂部材3の接合面30の縁部分313、314とを溶剤接合する。溶剤接合の際、面取り部213a、313aにより形成された溝状開口部16、および面取り部214a、314aにより形成された溝状開口部17に溶剤を供給する。
【選択図】図8

Description

本発明は、少なくとも一方の接合面に液体流路形成溝が形成された樹脂製接合品、およびその製造方法に関するものである。
近年、内部に微細な液体流路を形成した液体流路構成体(樹脂製接合品)が提案されており、このような液体流路構成体は、例えば、生化学・医学等の分野においてバイオチップとして用いられている。バイオチップとは、液体流路に導入された試験液を光学的に観察することにより、試験液の分析を行うものである。
このような液体流路構成体を製造するにあたっては、第1樹脂部材において微細な液体流路形成溝が形成された第1接合面と、第2樹脂部材の第2接合面とを接着剤で接合する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、第1樹脂部材において微細な液体流路形成溝が形成された第1接合面と、第2樹脂部材の第2接合面との間に揮発性溶剤を介在させて第1接合面と第2接合面とを密着させた後、加熱および加圧を行なって第1接合面と第2接合面とを熱接合する方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2008−76208号公報 特開2005−186033号公報
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、接着剤が液体流路形成溝内に残るおそれがあり、かかる接着剤の残留は、液体流路内で液体試料と接触して試験液の分析・検出を阻害する可能性がある。特に、残留物は、汚染を嫌う生化学分野においては分析の妨げとなる。また、特許文献2に記載の製造方法では、液体流路形成溝の内面が溶剤との接触により変質し、液体流路形成溝の内面が白濁してしまうことがあり、かかる白濁は、光学的な方法で分析する際の妨げとなる。また、液体流路形成溝の底部にナノサイズからミクロンサイズの微細な凹凸を形成し、かかる凹凸によって、液体試料中の成分を分離するタイプのバイオチップなどでは、微細な凹凸が溶剤との接触や熱により変質、変形してしまうことがある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、液体流路形成溝内での接着剤の残留や、液体流路形成溝の変質、変形を発生させずに、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを接合することのできる樹脂製接合品、およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、第1樹脂部材の第1接合面と第2樹脂部材の第2接合面とが接合され、前記第1接合面および前記第2接合面の少なくとも一方に液体流路形成溝が形成された樹脂製接合品において、前記第1接合面および前記第2接合面のうちの少なくとも一方の接合面には、他方の接合面との間に隙間を構成する凹部が、前記第1接合面と前記第2接合面との接合面の縁部分に開口部を有するように形成されていることを特徴とする。
本発明において、前記第1接合面と前記第2接合面とは熱接合され、かつ、前記凹部の縁では前記第1接合面と前記第2接合面とが溶剤接合されていることが好ましい。本発明における熱接合工程とは、第1樹脂部材および第2樹脂部材をヒータ加熱する方法の他、レーザ加熱や超音波を印加した際の摩擦加熱などを利用する場合も含む意味である。
また、本発明は、第1樹脂部材の第1接合面と第2樹脂部材の第2接合面とが接合され、前記第1接合面および前記第2接合面の少なくとも一方に液体流路形成溝が形成された樹脂製接合品の製造方法において、前記第1接合面および前記第2接合面のうちの少なくとも一方の接合面には、他方の接合面との間に隙間を構成する凹部を前記第1接合面と前記第2接合面との接合面の縁部分に開口部を有するように形成しておく樹脂部材形成工程と、前記第1接合面と前記第2接合面とを熱接合する熱接合工程と、前記開口部から前記凹部内に溶剤を供給して前記第1接合面と前記第2接合面とを溶剤接合する溶剤接合工程と、を有することを特徴とする。
本発明では、第1接合面および第2接合面のうちの少なくとも一方の接合面には凹部が形成され、かかる凹部は、第1接合面と第2接合面との接合面の縁部分に開口部を有している。このため、第1接合面と第2接合面とを熱接合した後、凹部の内部に溶剤を供給して凹部の縁で第1接合面と第2接合面とを溶剤接合する際、開口部から空気を抜くことができるなど、凹部全体に溶剤を行き渡らせることができる。従って、凹部の縁で第1接合面と第2接合面とを確実に溶剤接合することができる。また、溶剤接合後、開口部から凹部内の溶剤を蒸発させることができるので、凹部の内部に溶剤が残留しない。このように本発明では、溶剤接合を利用するため、接着剤による全面接合と違って、液体流路形成溝内に接着剤が残留することがない。また、溶剤接合の際、液体流路形成溝内には溶剤が侵入しないため、液体流路形成溶溝では、接着剤に起因する変質や変形が発生しない。
本発明において、前記凹部は、前記第1接合面と前記第2接合面との接合面において前記縁部分より内側の領域から当該縁部分に届くように延在している構成を採用することができる。かかる構成によれば、溶剤接合を広い範囲にわたって行なうことができ、第1接合面と第2接合面との接合強度が高い。
本発明において、前記凹部は、例えば、溝状に形成されている構成を採用することができる。かかる構成によれば、少ない溶剤量で第1接合面と第2接合面とを確実に溶剤接合することができる。
本発明において、前記凹部は、両端部が前記縁部分で開口していることが好ましい。このように構成すると、凹部の内部に溶剤を供給して凹部の縁で第1接合面と第2接合面とを溶剤接合する際、一方の縁部分の開口部から溶剤を入れて他方の縁部分の開口部から空気を確実に抜くことができるなど、凹部全体に溶剤を確実に行き渡らせることができる。従って、凹部の縁で第1接合面と第2接合面とを確実に溶剤接合することができる。また、溶剤接合後、開口部から凹部内の溶剤を確実に蒸発させることができるので、凹部の内部に溶剤が残留しない。
本発明において、前記液体流路形成溝および前記凹部は、前記第1接合面および前記第2接合面のうちの一方の接合面のみに形成されていることが好ましい。このように構成すると、他方の接合面は、液体流路形成溝および凹部を備えた特殊な構造とする必要がない。
本発明において、前記凹部は、前記縁部分のうち、前記液体流路形成溝が開口する辺部分と異なる辺部分と前記液体流路形成溝とによって挟まれた領域に形成され、前記凹部は、前記縁部分のうち、前記液体流路形成溝が開口する辺部分と同一の辺部分に前記開口部を有していることが好ましい。このように構成すると、液体流路形成溝と縁部分との間で溶剤接合が行なわれるため、液体流路形成溝から縁部分への液体試料の漏れを防止することができる。
この場合、前記凹部は、前記液体流路形成溝を間に挟む両側に形成され、前記液体流路形成溝の開口位置を間に挟む両側に前記開口部を有していることが好ましい。このように構成すると、液体流路形成溝の両側で溶剤接合が行なわれるため、液体流路形成溝の両側では液体試料が漏れることがない。また、液体流路形成溝から液体試料が漏れても、両側に位置する溝状凹部に流れ込ませることができるので、液体試料が樹脂接合品の側面から大きく漏れ出すことがないという利点がある。
本発明において、前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材のうちの一方の樹脂部材には、他方の樹脂部材に形成された前記凹部に嵌る凸部が形成されている構成を採用することができる。このように構成すると、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを確実に位置合わせすることができる。
本発明において、前記凹部は、前記第1接合面と前記第2接合面との接合面において前記縁部分より内側の領域に形成された部分の断面よりも大きな開口面積を有する前記開口部を少なくとも1つ有していることが好ましい。かかる構成を採用すると、大きな開口部を介して溶剤を凹部に供給することができるので、溶剤接合工程の作業効率を高めることができる。
本発明において、前記凹部が複数形成され、前記第1接合面と前記第2接合面との接合面の縁部分のうち、前記液体流路形成溝の開口位置を避けた縁部分に沿って溝状開口部が形成され、前記複数の凹部の前記開口部は前記溝状開口部によって繋がっている構成を採用することが好ましい。かかる構成を採用すると、溝状開口部を介して複数の凹部に溶剤を同時に供給することができるので、溶剤接合工程を効率よく行なうことができる。
本発明において、前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材のうちの一方の樹脂部材には、他方の樹脂部材に形成された前記凹部に重なる位置に貫通穴が形成されている構成を採用することができる。かかる構成を採用すると、貫通穴を介して溶剤を凹部に供給することができるので、溶剤接合工程の作業効率を高めることができる。また、貫通穴が形成されている方の樹脂部材を上方にして第1樹脂部材および第2樹脂部材を平面的に配置した状態で貫通穴から溶剤を供給することができる。このため、縁部分から凹部内に溶剤を供給する構成に比較して、開口部から凹部内に溶剤を供給する際の作業効率を向上することができる。
本発明において、前記第1接合面および前記第2接合面のうちの少なくとも一方の接合面の縁部分に沿って面取り部が前記凹部として形成され、当該縁部分では、前記面取り部によって前記開口部としての溝状開口部が形成されている構成を採用してもよい。
本発明では、第1接合面および第2接合面のうちの少なくとも一方の接合面の縁部分に沿って面取り部が前記凹部として形成されているため、当該縁部分では、面取り部によって溝状開口部が形成されている。このため、液体流路から液体試料が漏れて第1樹脂部材および第2樹脂部材の縁部分に到達しても、液体試料は溝状開口部内に溜まるだけである。従って、液体流路から漏れた液体試料が第1樹脂部材の側面および第2樹脂部材の側面に付着することがない。また、面取り部によって形成された溝状開口部内に溶剤を供給して第1接合面と第2接合面とを縁部分で溶剤接合する場合、溶剤の供給が容易である。また、溶剤が溝状開口部内に溜まるので、余計な箇所に溶剤が付着しない。
本発明では、第1樹脂部材の第1接合面と第2樹脂部材の第2接合面とが接合され、前記第1接合面および前記第2接合面の少なくとも一方に液体流路形成溝が形成された樹脂製接合品の製造方法において、前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材を形成するともに、前記第1接合面および前記第2接合面のうちの少なくとも一方の接合面の縁部分に沿って面取り部を形成しておく樹脂部材形成工程と、前記第1接合面と前記第2接合面とを熱接合する熱接合工程と、を有することを特徴とする。
かかる方法で製造した樹脂製接合品では、面取り部によって溝状開口部が形成されているため、液体流路から液体試料が漏れて第1樹脂部材および第2樹脂部材の縁部分に到達しても、液体試料は溝状開口部内に溜まるだけである。従って、液体流路から漏れた液体試料が第1樹脂部材の側面および第2樹脂部材の側面に付着することがない。また、第1樹脂部材と第2樹脂部材とは熱接合されているので、液体流路内での接着剤の残留や、液体流路形成溝内と溶剤との接触が起こらない。それ故、液体流路の汚染や変形を防止することができる。さらに、面取り部によって形成された溝状開口部内に溶剤を供給して第1接合面と第2接合面とを縁部分で溶剤接合する場合でも、溶剤の供給が容易である。また、溶剤が溝状開口部内に溜まるので、余計な箇所に溶剤が付着しない。
本発明に係る樹脂製接合品において、前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分の少なくとも一方において前記液体流路形成溝と重なる位置を避けた領域には、前記溝状開口部に連通する別の凹部あるいは切り欠きが形成されていることが好ましい。かかる樹脂製接合品を製造するには、前記樹脂部材形成工程において、前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分の少なくとも一方において前記液体流路形成溝と重なる位置を避けた領域に、前記溝状開口部に連通する凹部あるいは切り欠きを形成しておく。かかる構成を採用すると、液体流路から漏れた液体試料は凹部や切り欠きに溜まるので、第1樹脂部材の側面および第2樹脂部材の側面に付着することがない。また、面取り部によって形成された溝状開口部内に溶剤を供給して第1接合面と第2接合面とを縁部分で溶剤接合する場合でも、溶剤が凹部や切り欠きに溜まるので、余計な箇所に溶剤が付着しない。
本発明に係る樹脂製接合品において、前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分のうち、前記液体流路形成溝が開口する辺部分を避けた縁部分に前記面取り部が形成されていることが好ましい。かかる樹脂製接合品を製造するには、前記樹脂部材形成工程において、前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分のうち、前記液体流路形成溝が接続する辺部分を避けた縁部分に前記面取り部を形成する。かかる構成を採用すると、液体流路形成溝内に毛細管現象を利用して液体試料を導入するのに都合がよい。また、面取り部によって形成された溝状開口部内に溶剤を供給して第1接合面と第2接合面とを縁部分で溶剤接合する際、溶剤が液体流路形成溝に付着しないので、溶剤によって液体流路形成溝が変形することがない。
本発明に係る樹脂製接合品において、前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分のうち、相対向する辺部に前記面取り部が形成されていることが好ましい。かかる樹脂製接合品を製造するには、前記樹脂部材形成工程において、前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分のうち、相対向する辺部に前記面取り部を形成しておく。かかる構成を採用すると、第1接合面と第2接合面とは、相対向する辺部での溶剤接合により補強されているので、第1樹脂部材と第2樹脂部材が剥がれることがない。
本発明に係る樹脂製接合品において、前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分のうち、最長の辺部を避けた辺部分に前記液体流路形成溝の端部が位置し、前記最長の辺部に対して前記面取り部が形成されていることが好ましい。かかる樹脂製接合品を製造するには、前記樹脂部材形成工程において、前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分のうち、最長の辺部を避けた辺部分に前記液体流路形成溝の端部を設けるとともに、前記最長の辺部に対して前記面取り部を形成しておく。
本発明に係る樹脂製接合品において、前記第1接合面の側および前記第2接合面の側の双方に前記面取り部を形成しておくことが好ましい。かかる樹脂製接合品を製造するには、前記樹脂部材形成工程において、前記第1接合面の側および前記第2接合面の側の双方に前記面取り部を形成しておく。
本発明に係る樹脂製接合品において、前記第1接合面および前記第2接合面の少なくとも一方において前記液体流路形成溝と重なる位置を避けた領域には、別の凹部が形成されていることが好ましい。かかる樹脂製接合品を製造するには、前記第1接合面および前記第2接合面の少なくとも一方において前記液体流路形成溝と重なる位置を避けた領域に凹部を形成しておく。かかる構成によれば、第1樹脂部材の接合面と第2樹脂部材の接合面との間の接合の不具合部分を介して液体流路から液体試料が漏れようとした際、かかる液体試料は凹部に溜まることになる。従って、樹脂製接合品の側面まで液体試料が漏れようとするのを確実に防止することができる。
本発明において、前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材は、アクリル樹脂製であることが好ましい。第1樹脂部材および第2樹脂部材がアクリル樹脂製であれば、透光性に優れ、自家蛍光も比較的小さいので、光学的な方法で分析するのに適している。また、アクリル樹脂は熱接合および溶剤接合の双方を容易に行なうことができるという利点がある。
本発明では、第1接合面および第2接合面のうちの少なくとも一方の接合面には凹部が形成され、かかる凹部は、第1接合面と第2接合面との接合面の縁部分に開口部を有している。このため、第1接合面と第2接合面とを熱接合した後、凹部の内部に溶剤を供給して凹部の縁で第1接合面と第2接合面とを溶剤接合する際、開口部から空気を抜くことができる。従って、凹部の縁で第1接合面と第2接合面とを確実に溶剤接合することができる。また、溶剤接合後、開口部から凹部内の溶剤を蒸発させることができるので、凹部の内部に溶剤が残留しない。それ故、接着剤による全面接合と違って、液体流路形成溝内に接着剤が残留することがない。また、溶剤接合の際、液体流路形成溝内には溶剤が侵入しないため、液体流路形成溝では、接着剤に起因する変質や変形が発生しない。
(a)、(b)は、本発明の実施の形態1に係る樹脂製接合品を模式的に示す斜視図、および分解斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る樹脂製接合品の製造方法を示す説明図である。 本発明の実施の形態2に係る樹脂製接合品およびその製造方法を示す説明図である。 本発明の実施の形態3に係る樹脂製接合品およびその製造方法を示す説明図である。 本発明の実施の形態4に係る樹脂製接合品およびその製造方法を示す説明図である。 本発明の実施の形態5に係る樹脂製接合品およびその製造方法を示す説明図である。 (a)、(b)は、本発明の実施の形態6に係る樹脂製接合品を模式的に示す斜視図、および分解斜視図である。 本発明の実施の形態6に係る本発明を適用した樹脂製接合品の製造方法を示す説明図である。 本発明の実施の形態7に係る樹脂製接合品およびその製造方法を示す説明図である。 本発明の実施の形態8に係る樹脂製接合品およびその製造方法を示す説明図である。
図面を参照して、本発明を適用した樹脂製接合品およびその製造方法について説明する。
[実施の形態1]
(樹脂製接合品の全体構成)
図1(a)、(b)は、本発明の実施の形態1に係る樹脂製接合品を模式的に示す斜視図、および分解斜視図である。
図1(a)、(b)に示す樹脂製接合品1は、内部に2次元の液体流路13が構成されており、かかる液体流路13の途中位置には、円形の分析領域130が形成されている。樹脂製接合品1は、液体流路13内に試験液を通過させることにより、試験液中に含まれる特定物質を蛍光分析などにより検出することが可能である。このような樹脂製接合品1はバイオチップ等として用いられる。かかる樹脂製接合品1は、板状の第1樹脂部材2と板状の第2樹脂部材3とを接合することにより得られる。第1樹脂部材2および第2樹脂部材3には各種の樹脂材料を用いることができるが、本形態では、アクリル樹脂が用いられている。
第1樹脂部材2の接合面20(第1接合面)には、液体流路13を形成するための微細な液体流路形成溝23が形成されており、かかる液体流路形成溝23の途中部分は、分析領域130を形成するための円形領域230になっている。液体流路形成溝23の両方の端部231、232(開口位置)は、第1樹脂部材2の縁部分211、212に位置している。本形態において、第1樹脂部材2は長方形の平面形状を有する平板であり、液体流路形成溝23の端部231、232が位置する縁部分211、212は短辺に相当する。
第2樹脂部材3も、第1樹脂部材2と同様、長方形の平面形状を有する平板であり、第2樹脂部材3の短辺に相当する縁部分311、312が、第1樹脂部材2の短辺に相当する縁部分211、212に重なっている。また、第2樹脂部材3の長辺に相当する縁部分313、314が、第1樹脂部材2の長辺に相当する縁部分213、214に重なっている。かかる第2樹脂部材3において、第1樹脂部材2の接合面20と接合された接合面30(第2接合面)は平坦面になっている。
このように構成された第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを接合すると、液体流路形成溝23の上方が第2樹脂部材3に塞がれて液体流路13が形成され、かかる液体流路13は、樹脂製接合品1の短辺に相当する側面111、112で開口する。
このような構成の樹脂製接合品1において、本形態では、第1樹脂部材2の接合面20には、液体流路形成溝23を両側で挟むように2本の溝状凹部18が形成されており、かかる溝状凹部18は、第1接合面20と第2接合面30との間に隙間を構成している。ここで、液体流路形成溝23は、縁部分213、214(長辺部分)に並行するように形成されていることから、溝状凹部18は、液体流路形成溝23と縁部分213とに挟まれた領域、および液体流路形成溝23と縁部分214とに挟まれた領域の双方に形成されている。
本形態において、2本の溝状凹部18は、第1樹脂部材2の接合面20の縁部分211、212、213、214より内側の領域から液体流路形成溝23の端部231が開口する縁部分211、および液体流路形成溝23の端部232が開口する縁部分212まで直線的に延在している。このため、2本の溝状凹部18は各々、両端部に、液体流路形成溝23の端部231と同様に縁部分211(短辺部分)で開口する開口部181と、液体流路形成溝23の端部232と同様に縁部分212(短辺部分)で開口する開口部182とを備えている。また、液体流路形成溝23の端部231は、両側が溝状凹部18の開口部181によって挟まれ、液体流路形成溝23の端部232は、両側が溝状凹部18の開口部182によって挟まれている。
ここで、溝状凹部18は、等しい断面積をもって延在しているため、開口部181、182のうち、開口部182は、縁部分211、212、213、214より内側の領域で延在する部分の断面と同一の開口面積を有している。これに対して、溝状凹部18の縁部分211側に位置する端部は、溝幅が拡大して三角形状になっている。このため、開口部181は、縁部分211、212、213、214より内側の領域で延在する部分の断面よりも大きな開口面積を有している。
かかる樹脂製接合品1では、以下に詳述するように、接合面20と接合面30とは熱接合され、かつ、溝状凹部18の縁18cにおいて、接合面20と接合面30とは溶剤接合されている。
(樹脂製接合品1の製造方法)
図1および図2を参照して樹脂製接合品1の製造方法を説明しながら、本形態の樹脂製接合品1の構成を詳述する。図2は、本発明の実施の形態1に係る樹脂製接合品1の製造方法を示す説明図である。
まず、樹脂部材形成工程では、図1(b)に示すように、アクリル樹脂に対する金型成形により、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3を形成する。また、第1樹脂部材2の接合面20には、液体流路形成溝23および溝状凹部18を形成する。液体流路形成溝23および溝状凹部18は、金型成形後の後工程として形成してもよいが、本形態では、金型成形時に液体流路形成溝23および溝状凹部18も形成する。
次に、図2(a)に示す熱接合工程では、接合面20、30が重なるように、ステージ(図示せず)上で第1樹脂部材2および第2樹脂部材3を重ね合わせ、この状態で、ヘッド(図示せず)により、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3に対する加熱および加圧を5分程度行なう。その際、ステージおよびヘッドを加熱しておく。かかる工程における加熱温度は、加重たわみ温度付近の85〜90℃であり、比較的低い温度である。このため、液体流路形成溝23の変形が生じにくい。このようにして樹脂製接合品1を形成する。
次に、図2(b)に示す溶剤接合工程では、樹脂製接合品1の短辺に相当する側面111において溝状凹部18の開口部181から溝状凹部18内に毛細管現象を利用して、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、アセトン、ジオキサン、ジクロロメタンなどの溶剤を供給する。より具体的には、開口部181に溶剤を垂らすなどの方法で開口部181から溝状凹部18内に溶剤を供給する。その結果、第1樹脂部材2の接合面20と第2樹脂部材3の接合面30とは、溝状凹部18の縁18cで溶剤接合される。その結果、樹脂製接合品1が完成する。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを接合して樹脂製接合品1を形成するにあたって、熱接合工程において接合面20、30同士を熱接合してから、溶剤接合工程において、溝状凹部18に供給した溶剤によって溝状凹部18の縁18cで接合面20、30同士を溶剤接合する。このため、溶剤接合の際、接合面20、30同士が既に熱接合していることから、溝状凹部18内に溶剤を流しても、溶剤が毛細管現象によって接合面20、30の間を伝って液体流路形成溝23に侵入することがない。従って、溶剤による接合面20、30の白濁や、溶剤による液体流路形成溝23(液体流路13)の変形が発生しない。それ故、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを熱接合するという構成に加えて、溝状凹部18内に溶剤を流して溝状凹部18の縁18cで第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを溶剤接合するという構成を採用することができるので、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを高い強度で接合することができる。よって、液体流路形成溝23から外部への液体試料の漏れを確実に防止することができる。
また、溶剤接合工程では、溝状凹部18が縁部分211に開口部181を備えているため、液体流路形成溝23と縁部分213とに挟まれた領域、および液体流路形成溝23と縁部分213とに挟まれた領域に溝状凹部18を形成した場合でも、開口部181から溶剤を溝状凹部18に供給することができ、溝状凹部18の縁18cで接合面20、30同士を溶剤接合することができる。
しかも、開口部181は大きな開口面積をもつため、溶剤の供給が容易である。また、溝状凹部18は両端が開口部181、182になっているので、開口部181から溝状凹部18に溶剤を供給した際に溝状凹部18内部の空気が開口部182から押し出されるため、溝状凹部18が細くても溝状凹部18内部に溶剤を行き渡らせることができる。また、溝状凹部18は両端が開口部181、182になっているので、溶剤接合後、溝状凹部18の内部から溶剤が短時間のうちに蒸発する。このため、溝状凹部18内部に溶剤が残留しないので、溝状凹部18では溶剤による無用な変形が発生しない。また、溝状に形成した凹部(溝状凹部18)に溶剤を供給するので、少ない溶剤量で接合面20、30同士を確実に溶剤接合することができる。
さらに、溝状凹部18については、相対向する縁部分211、212の間で延在させるなど、第1接合面20と第2接合面30との接合面において縁部分211、212、213、214より内側の領域から縁部分211、212に届くように形成されているので、溶剤接合部分が長い。また、溝状凹部18は、液体流路形成溝23を間に挟む両側で長辺に相当する縁部分213、214に沿って延在しているため、溶剤接合部分が長い。しかも、溝状凹部18は、液体流路形成溝23を間に挟む両側で延在し、かつ、液体流路形成溝23の端部231、232は、両側が溝状凹部18の開口部181、182によって挟まれていることから、液体流路形成溝23を間に挟む両側が溝状凹部18の縁18cでの溶剤接合部分になっている。このため、万が一、液体流路形成溝23から液体試料が漏れても、樹脂製接合品1の側面113、114から液体試料が漏れることはない。それ故、熱接合工程の温度や圧力などといった条件を緩く設定することができるので、液体流路形成溝23(液体流路13)の変形が生じにくい。また、樹脂製接合品1の側面111、112で液体流路形成溝23から液体試料が漏れても、両側に位置する溝状凹部18に流れ込ませることができるので、液体試料が樹脂接合品1の側面111、112から大きく漏れ出すことがないという利点がある。
また、本形態では、液体流路形成溝23および溝状凹部18の双方が第1樹脂部材2に形成されているため、第2樹脂部材3については、両面が平坦な平板を用いればよい。従って、第1樹脂部材2については樹脂成形品を用いる一方、第2樹脂部材3については大きな平板を切り出したものでよいので、コストが安く済むという利点がある。
また、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3に透光性に優れたアクリル樹脂を用いたため、蛍光分析などといった光学的な方法で分析するのに適している。また、アクリル樹脂は熱接合および溶剤接合の双方を容易に行なうことができるという利点がある。
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2(実施の形態1の変形例1)に係る樹脂製接合品1およびその製造方法を示す説明図である。なお、本例の基本的な構成は、図1および図2を参照し説明した構成と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
図3に示す本形態の樹脂製接合品1でも、実施の形態1と同様、熱接合工程において、接合面20、30同士を熱接合してから、溶剤接合工程において、溝状凹部18に供給した溶剤によって、溝状凹部18の縁18cで接合面20、30同士を溶剤接合する。ここで、溝状凹部18は、長手方向の途中部分から縁部分212に向かって溝状の分岐部分186が形成されており、かかる分岐部分186も、縁部分212に開口部183を備えている。その他の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、本形態でも、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを接合して樹脂製接合品1を形成するにあたって、熱接合工程において接合面20、30同士を熱接合してから、溶剤接合工程において、溝状凹部18に供給した溶剤によって溝状凹部18の縁18cで接合面20、30同士を溶剤接合する。このため、溶剤接合の際、接合面20、30同士が既に熱接合していることから、溝状凹部18内に溶剤を流しても、溶剤が毛細管現象によって接合面20、30の間を伝って液体流路形成溝23に侵入することがない。従って、溶剤による接合面20、30の白濁や、溶剤による液体流路形成溝23(液体流路13)に変形が生じにくい。それ故、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを熱接合するという構成に加えて、溝状凹部18内に溶剤を流して溝状凹部18の縁18cで第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを溶剤接合するという構成を採用して、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを高い強度で接合することができる。よって、液体流路形成溝23から外部への液体試料の漏れを確実に防止することができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
また、本形態では、溝状凹部18が分岐部分186を有するため、開口部181から溝状凹部18に溶剤を供給した際に溝状凹部18内部の空気が開口部182、183から押し出される。従って、溝状凹部18が細くても溝状凹部18内部への溶剤の供給が容易である。また、溝状凹部18は両端が開口部181、182、183になっているので、溶剤接合後、溝状凹部18の内部から溶剤が短時間のうちに蒸発する。このため、溝状凹部18内部に溶剤が残留しないので、溝状凹部18では溶剤による無用な変形が発生しない。
さらに、溝状凹部18が分岐部分186を有するため、溝状凹部18の縁18cが長い。このため、接合面20、30同士の溶剤接合部分が長いので、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3との接合強度が大きいという利点がある。
[実施の形態3]
図4は、本発明の実施の形態3(実施の形態1の変形例2)に係る樹脂製接合品1およびその製造方法を示す説明図であり、図4(a)、(b)、(c)は各々、樹脂製接合品1の斜め上方からの分解斜視図、斜め下方からの分解斜視図、および溝状凹部内の断面図である。なお、本例の基本的な構成は、図1および図2を参照し説明した構成と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
図4(a)、(b)に示す本形態の樹脂製接合品1でも、実施の形態1と同様、熱接合工程において、接合面20、30同士を熱接合してから、溶剤接合工程において、溝状凹部18に供給した溶剤によって、溝状凹部18の縁18cで接合面20、30同士を溶剤接合する。ここで、溝状凹部18は第1樹脂部材2の接合面20に形成されている一方、第2樹脂部材3の接合面30には、溝状凹部18に嵌る凸部38が形成されている。
本形態において、凸部38の高さ寸法は、図4(c)に示すように、溝状凹部18の深さ寸法より小である。このため、凸部38が溝状凹部18に嵌った場合でも、溝状凹部18の底部には十分な隙間が空いている。また、凸部38の幅寸法は溝状凹部18の幅寸法と略同等である。その他の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、本形態でも、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを接合して樹脂製接合品1を形成するにあたって、熱接合工程において接合面20、30同士を熱接合してから、溶剤接合工程において、溝状凹部18に供給した溶剤によって溝状凹部18の縁18cで接合面20、30同士を溶剤接合する。このため、溶剤接合の際、接合面20、30同士が既に熱接合していることから、溝状凹部18内に溶剤を流しても、溶剤が毛細管現象によって接合面20、30の間を伝って液体流路形成溝23に侵入することがない。従って、溶剤による接合面20、30の白濁や、溶剤による液体流路形成溝23(液体流路13)に変形が生じにくい。それ故、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを熱接合するという構成に加えて、溝状凹部18内に溶剤を流して溝状凹部18の縁18cで第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを溶剤接合するという構成を採用して、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを高い強度で接合することができる。よって、液体流路形成溝23から外部への液体試料の漏れを確実に防止することができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
また、本形態では、第2樹脂部材3の接合面30には、第1樹脂部材2の接合面20に形成した溝状凹部18に嵌る凸部38が形成されている。このため、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを重ねた際、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3との位置決めを行なうことができるという利点がある。
さらに、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とは、溝状凹部18の縁18cに加えて、凸部38の側面38eと溝状凹部18の内側壁18eとの間でも溶剤接合される。それ故、実施の形態1〜3に比較して、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3との接合強度を高めることができる。また、凸部38の側面38eと溝状凹部18の内側壁18eとの間でも溶剤接合される分、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3との間の溶剤接合幅が広いので、液体流路13からの液体試料の漏れを防止することができる。
[実施の形態4]
図5は、本発明の実施の形態4(実施の形態1の変形例3)に係る樹脂製接合品1およびその製造方法を示す説明図であり、図5は各々、樹脂製接合品1の分解斜視図である。なお、本例の基本的な構成は、図1および図2を参照し説明した構成と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
図5に示す樹脂製接合品1でも、実施の形態1と同様、第1樹脂部材2の接合面20には、液体流路13を形成するための微細な液体流路形成溝23が形成されている。但し、本形態の樹脂製接合品1において、液体流路形成溝23は、第1樹脂部材2の縁部分212から縁部分211に向けて延在した後、縁部分212に向けて折り返しており、かかる折り返し部分が、分析領域130を形成するための円形領域230になっている。このため、液体流路形成溝23の端部231、232はいずれも、同一の辺部分(縁部分212)に位置する。
かかる第1樹脂部材2の接合面20においても、液体流路形成溝23を両側で挟むように2本の溝状凹部18が形成されており、溝状凹部18は、液体流路形成溝23と縁部分213とに挟まれた領域、および液体流路形成溝23と縁部分214とに挟まれた領域の双方に形成されている。かかる2本の溝状凹部18は、第1樹脂部材2の接合面20の縁部分211、212、213、214より内側の領域から液体流路形成溝23の端部231、232が開口する縁部分212、および縁部分212に対向する縁部分211まで直線的に延在している。このため、2本の溝状凹部18は各々、縁部分211で開口する開口部181と、縁部分212で開口する開口部182とを備えている。また、液体流路形成溝23の端部231、232は、両側が溝状凹部18の開口部182によって挟まれている。
ここで、溝状凹部18は、等しい断面積をもって延在しているため、開口部181、182のうち、開口部182は、縁部分211、212、213、214より内側の領域で延在する部分の断面と同一の開口面積を有している。これに対して、溝状凹部18は、実施の形態1〜3と同様、縁部分211側に開口面積が大きな開口部181を備えている。また、第1樹脂部材2の縁部分211において2つの開口部181で挟まれた部分は、切り欠き211dになっており、2つの開口部181は、切り欠き211dによって繋がっている。このため、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを重ねると、液体流路形成溝23の開口位置を避けた縁部分に沿って延在する溝状開口部189が形成され、2つの開口部181は、溝状開口部189によって繋がった状態となる。
かかる樹脂製接合品1を製造する際も、接合面20と接合面30とを熱接合した後、溝状凹部18の縁18cにおいて、接合面20と接合面30とを溶剤接合する。かかる溶剤接合工程では、溝状開口部189に溶剤を供給し、溝状開口部189から開口部181を介して2本の溝状凹部18に溶剤を同時に供給する。その結果、溝状凹部18の縁18cにおいて、接合面20と接合面30とが溶剤接合される。
以上説明したように、本形態でも、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを接合して樹脂製接合品1を形成するにあたって、熱接合工程において接合面20、30同士を熱接合してから、溶剤接合工程において、溝状凹部18に供給した溶剤によって溝状凹部18の縁18cで接合面20、30同士を溶剤接合する。このため、溶剤接合の際、接合面20、30同士が既に熱接合していることから、溝状凹部18内に溶剤を流しても、溶剤が毛細管現象によって接合面20、30の間を伝って液体流路形成溝23に侵入することがない。従って、溶剤による接合面20、30の白濁や、溶剤による液体流路形成溝23(液体流路13)に変形が生じにくい。それ故、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを熱接合するという構成に加えて、溝状凹部18内に溶剤を流して溝状凹部18の縁18cで第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを溶剤接合するという構成を採用して、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを高い強度で接合することができる。よって、液体流路形成溝23から外部への液体試料の漏れを確実に防止することができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
また、第1樹脂部材2の縁部分211には2つの開口部181を結ぶ切り欠き211dが形成されているため、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを熱接合した状態で、第1樹脂部材2の縁部分211と第2樹脂部材3の縁部分311との間には、2つの開口部181に繋がる溝状開口部189が形成される。従って、溝状開口部189から開口部181を介して2本の溝状凹部18に溶剤を同時に供給することができるので、溶剤接合工程を効率よく行なうことができる。
また、本形態では、溶剤接合するための溶剤の供給は、液体流路形成溝23が開口する縁部分212とは反対側の縁部分211に形成された溝状開口部189を介して行なう。このため、溶剤が液体流路形成溝23に侵入することがないという利点がある。
なお、本形態では、2つの溝状凹部18の開口部181が溝状開口部189によって繋がっていたが、3つ以上の溝状凹部18の開口部が溝状開口部189によって繋がっている構成を採用してもよい。
[実施の形態5]
図6は、本発明の実施の形態5(実施の形態1の変形例4)に係る樹脂製接合品1およびその製造方法を示す説明図である。なお、本例の基本的な構成は、図1および図2を参照し説明した構成と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
図6に示す樹脂製接合品1でも、実施の形態1と同様、第1樹脂部材2の接合面20には、液体流路13を形成するための微細な液体流路形成溝23が形成されている。また、第1樹脂部材2の接合面20には、液体流路形成溝23を両側で挟むように2本の溝状凹部18が形成されており、溝状凹部18は、液体流路形成溝23と縁部分213とに挟まれた領域、および液体流路形成溝23と縁部分214とに挟まれた領域の双方に形成されている。かかる2本の溝状凹部18は、第1樹脂部材2の接合面20の縁部分211、212、213、214より内側の領域から液体流路形成溝23の端部231が開口する縁部分211、および液体流路形成溝23の端部232が開口する縁部分212まで直線的に延在している。このため、2本の溝状凹部18は各々、縁部分211で開口する開口部181と、縁部分212で開口する開口部182とを備えている。また、液体流路形成溝23の端部231、232は、両側が溝状凹部18の開口部181によって挟まれている。
ここで、溝状凹部18は、実施の形態4と同様、溝状凹部18は、縁部分211側でも等しい幅寸法をもって延在し、開口部181は、開口部182と同一の開口面積を有しており、開口面積が大きな開口部を備えていない。
そこで、本形態では、第2樹脂部材3において、第2樹脂部材3の溝状凹部18に対して平面視で重なる位置には円形の貫通穴39が形成されており、かかる貫通穴39は、溝状凹部18に連通する。
かかる樹脂製接合品1を製造する際も、接合面20と接合面30とを熱接合した後、溝状凹部18の縁18cにおいて、接合面20と接合面30とを溶剤接合する。かかる溶剤接合工程では、貫通穴39から溝状凹部18に溶剤を供給する。その結果、溝状凹部18の縁18cにおいて、接合面20と接合面30とが溶剤接合される。
以上説明したように、本形態でも、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを接合して樹脂製接合品1を形成するにあたって、熱接合工程において接合面20、30同士を熱接合してから、溶剤接合工程において、溝状凹部18に供給した溶剤によって溝状凹部18の縁18cで接合面20、30同士を溶剤接合する。このため、溶剤接合の際、接合面20、30同士が既に熱接合していることから、溝状凹部18内に溶剤を流しても、溶剤が毛細管現象によって接合面20、30の間を伝って液体流路形成溝23に侵入することがない。従って、溶剤による接合面20、30の白濁や、溶剤による液体流路形成溝23(液体流路13)に変形が生じにくい。それ故、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを熱接合するという構成に加えて、溝状凹部18内に溶剤を流して溝状凹部18の縁18cで第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを溶剤接合するという構成を採用して、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを高い強度で接合することができる。よって、液体流路形成溝23から外部への液体試料の漏れを確実に防止することができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
また、本形態では、溶剤接合するための溶剤の供給は、実施の形態1などのように液体流路形成溝23の開口端部と同方向の端面に形成された環状凹部18の開口部181、182から溶剤を供給するものとは異なり、第2樹脂部材3に形成した貫通穴39から行なう。このため、溶剤が液体流路形成溝23に侵入することがないという利点がある。また、貫通穴39を介して溶剤を溝状凹部18に供給することができるので、溶剤接合工程の作業効率を高めることができる。また、貫通穴39が形成されている第1樹脂部材3を上方にして第1樹脂部材2および第2樹脂部材3を平面的に配置した状態で貫通穴39から溶剤を供給することができる。このため、縁部分から溝状凹部18内に溶剤を供給する構成に比較して、溝状凹部18内に溶剤を供給する際の作業効率が高いという利点がある。
[実施の形態1〜5の変形例]
上記実施の形態1〜5において、溝状凹部18は断面四角形であったが、溝状凹部18の断面形状については、V字形や円形等、いずれの形状であってもよい。
[実施の形態6]
(樹脂製接合品の全体構成)
図7(a)、(b)は、本発明の実施の形態6に係る樹脂製接合品を模式的に示す斜視図、および分解斜視図である。
図7(a)、(b)に示す樹脂製接合品1は、内部に2次元の液体流路13が構成されており、かかる液体流路13の途中位置には、円形の分析領域130が形成されている。樹脂製接合品1は、液体流路13内に試験液を通過させることにより、試験液中に含まれる特定物質を蛍光分析などにより検出することが可能である。従って、樹脂製接合品1はバイオチップ等として用いられる。かかる樹脂製接合品1は、板状の第1樹脂部材2と板状の第2樹脂部材3とを接合することにより得られる。第1樹脂部材2および第2樹脂部材3には各種の樹脂材料を用いることができるが、本形態では、アクリル樹脂が用いられている。
第1樹脂部材2の接合面20(第1接合面)には、液体流路13を形成するための微細な液体流路形成溝23が形成されており、かかる液体流路形成溝23の途中部分は、分析領域130を形成するための円形領域230になっている。液体流路形成溝23の両方の端部231、232は、第1樹脂部材2の縁部分211、212に位置している。本形態において、第1樹脂部材2は長方形の平面形状を有する平板であり、液体流路形成溝23の端部231、232が位置する縁部分211、212は短辺に相当する。
第2樹脂部材3も、第1樹脂部材2と同様、長方形の平面形状を有する平板であり、第2樹脂部材3の短辺に相当する縁部分311、312が、第1樹脂部材2の短辺に相当する縁部分211、212に重なっている。かかる第2樹脂部材3において、第1樹脂部材2の接合面20と接合された接合面30(第2接合面)は平坦面になっている。
このように構成された第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを接合すると、液体流路形成溝23の上方が第2樹脂部材3に塞がれて液体流路13が形成され、かかる液体流路13は、樹脂製接合品1の短辺に相当する側面111、112で開口する。
本形態の樹脂製接合品1において、第1樹脂部材2の接合面20では、長辺に相当する縁部分213、214が面取り部213a、214aになっている。かかる面取り部213a、214aは、第1接合面20と第2接合面20との間に隙間を構成する凹部として機能する。また、第2樹脂部材3の接合面30でも、接合面20と同様、長辺に相当する縁部分313、314が面取り部313a、314aになっている。かかる面取り部313a、314aも、面取り部213a、214aと同様、第1接合面20と第2接合面20との間に隙間を構成する凹部として機能する。このため、樹脂製接合品1の長辺に相当する側面113、114には、面取り部213a、313aによる溝状開口部16、および面取り部214a、314aによる溝状開口部17が形成されている。
(樹脂製接合品1の製造方法)
図7および図8を参照して樹脂製接合品1の製造方法を説明しながら、本形態の樹脂製接合品1の構成を詳述する。図8は、本発明の実施の形態6に係る樹脂製接合品1の製造方法を示す説明図である。
まず、樹脂部材形成工程では、図7(b)に示すように、アクリル樹脂に対する金型成形により、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3を形成する。また、第1樹脂部材2の接合面20には、液体流路形成溝23を形成する。かかる液体流路形成溝23は、金型成形後の後工程として形成してもよいが、本形態では、金型成形時に液体流路形成溝23も形成する。また、第1樹脂部材2の接合面20の縁部分213、214に沿って面取り部213a、214aを形成する。さらに、第2樹脂部材3の接合面30の縁部分313、314に沿って面取り部313a、314aを形成する。かかる面取り部213a、214a、313a、314aは、金型成形後の後工程として形成してもよいが、本形態では、金型成形時に面取り部213a、214a、313a、314aも形成する。
次に、図8(a)に示す熱接合工程では、接合面20、30が重なるように、ステージ(図示せず)上で第1樹脂部材2および第2樹脂部材3を重ね合わせ、この状態で、ヘッド(図示せず)により、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3に対する加熱および加圧を5分程度行なう。その際、ステージおよびヘッドを加熱しておく。かかる工程における加熱温度は、加重たわみ温度付近の85〜90℃であり、比較的低い温度である。このため、液体流路形成溝23が変形することがない。このようにして樹脂製接合品1を形成する。
次に、図8(b)に示す溶剤接合工程では、樹脂製接合品1の長辺に相当する側面113、114において面取り部213a、313aにより形成された溝状開口部16、および面取り部214a、314aにより形成された溝状開口部17にベンゼン、トルエン、クロロホルム、アセトン、ジオキサン、ジクロロメタンなどの溶剤を供給する。その結果、第1樹脂部材2の接合面20の縁部分213、214と、第2樹脂部材3の接合面30の縁部分313、314とは溶剤接合される。その結果、樹脂製接合品1が完成する。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とを接合して樹脂製接合品1を形成するにあたって、熱接合工程において、接合面20、30同士を熱接合してから、溶剤接合工程において、接合面20の縁部分213、214と、第2樹脂部材3の接合面30の縁部分313、314とを溶剤接合する。このため、溶剤が毛細管現象によって接合面20、30の間に侵入することを確実に防止することができる。それ故、溶剤による接合面20、30の白濁や、溶剤による液体流路形成溝23(液体流路13)の変形が発生しない。
また、溶剤接合工程では、面取り部213a、313aにより形成された溝状開口部16、および面取り部214a、314aにより形成された溝状開口部17に溶剤を供給するため、溶剤の供給が容易である。しかも、本形態では、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3の双方に面取り部213a、214a、313a、314aが形成されているので、溝状開口部16、17の開口幅が広い。それ故、溶剤の供給が極めて容易である。また、溶剤が蒸発するまでの時間が長いので、溶剤接合を確実に行なうことができる。しかも、溶剤接合によって白濁が発生しても、かかる白濁の発生個所は、溝状開口部16、17の奥部分であるので、外観に対して影響が及ばない。
さらに、溝状開口部16、17(面取り部213a、214a、313a、314a)は、液体流路形成溝23の端部231、232(液体流路13の端部131、132)が位置する短辺部分を避けた長辺部分に位置する縁部分213、214、313、314に形成されている。このため、溶剤接合に用いた溶剤が液体流路形成溝23の端部231、232(液体流路13の端部131、132)まで流れ出すことがない。それ故、液体流路形成溝23の端部231、232(液体流路13の端部131、132)が変形することがない。
さらにまた、溝状開口部16、17(面取り部213a、214a、313a、314a)は、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3において、相対向する長辺部に位置する縁部分213、214、313、314に形成されている。このため、溶剤接合部分が長く、かつ、相対向する両側で溶剤接合されている。従って、第1樹脂部材2と第2樹脂部材3とは、強固に接合されているので、剥がれることがない。それ故、熱接合工程の温度や圧力などといった条件を緩く設定することができるので、液体流路形成溝23(液体流路13)の変形が生じにくい。
また、樹脂製接合品1の側面113、114では、溝状開口部16、17が形成されているため、第1樹脂部材2の接合面20と第2樹脂部材3の接合面30との間に接合の不具合部分が発生しても、樹脂製接合品1の側面113、114に液体試料が付着することがない。すなわち、液体流路13から液体試料が側面113、114まで漏れてきても、かかる液体試料は溝状開口部16、17に溜まるだけある。従って、樹脂製接合品1の側面113、114に液体試料が付着することがないので、液体試料が血液を含む場合であっても、血液が手や周辺に触れてしまうことがなく、安全である。
また、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3に透光性に優れたアクリル樹脂を用いたため、蛍光分析などといった光学的な方法で分析するのに適している。また、アクリル樹脂は熱接合および溶剤接合の双方を容易に行なうことができるという利点がある。
[実施の形態7]
図9は、本発明の実施の形態7(実施の形態6の改良1)に係る樹脂製接合品1およびその製造方法を示す説明図である。なお、本例の基本的な構成は、図7および図8を参照し説明した構成と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
図9に示すように、本形態の樹脂製接合品1でも、上記実施形態と同様、第1樹脂部材2の接合面20(第1接合面)には、液体流路13を形成するための微細な液体流路形成溝23が形成されている。また、第1樹脂部材2の接合面20では、長辺に相当する縁部分213、214が面取り部213a、214aになっている。また、第2樹脂部材3の接合面30でも、接合面20と同様、長辺に相当する縁部分313、314が面取り部313a、314aになっている。
さらに、本形態では、第1樹脂部材2の接合面20の縁部分211、212、213、214のうち、面取り部213a、214aが形成された縁部分213、214の角には、面取り部213a、214aに繋がる凹部25(別の凹部)が形成されている。このような構成では、液体流路形成溝23と重なる位置を避けた位置に円形の凹部25が形成されている。本形態において、凹部25の深さは40μm程度である。その他の構成は、上記実施の形態6と同様であるため、説明を省略する。
かかる構成によれば、第1樹脂部材2の接合面20と第2樹脂部材3の接合面30を接合すると、溝状開口部16、17(図8(b)参照)に対して凹部25が連通する状態となる。このため、溝状開口部16、17内に溶剤を供給して接合面20、30を縁部分213、214、313、314で溶剤接合する場合でも、溶剤が凹部25に溜まるので、余計な箇所に溶剤が付着しない。また、溶剤が凹部25に溜まる分、溶剤が蒸発するまでの時間が長いので、溶剤接合を確実に行なうことができる。しかも、凹部25の縁部分も溶剤接合される結果、溶剤接合された部分の長さ寸法が長くなる。従って、第1樹脂部材2の接合面20と第2樹脂部材3の接合面30とをより強固に溶剤接合することができる。さらに、凹部25を溶剤の供給場所として利用することもできる。
また、溶剤が凹部25に溜まる分、溶剤が液体流路形成溝23の端部231、232(液体流路13の端部131、132/図8(b)参照)まで流れるのを確実に防止できるので、液体流路形成溝23が変形することを確実に防止することができる。特に、本形態では、凹部25を角部分に形成したので、かかる効果が大きいという利点がある。
さらに、溝状開口部16、17に対して凹部25が連通していると、第1樹脂部材2の接合面20と第2樹脂部材3の接合面30との間の接合の不具合部分を介して液体流路13から液体試料が側面113、114まで漏れてきても、かかる液体試料は溝状開口部16、17に加えて、凹部25にも溜まることになる。従って、樹脂製接合品1の側面113、114に液体試料が付着することをより確実に防止することができる。
かかる凹部25については、第1樹脂部材2を金型成形する際のエジェクトピンの痕を利用することができる。
なお、凹部25については、液体流路形成溝23と重なる位置を避けた位置であれば、第2樹脂部材3の接合面30の縁部分313、314に形成してもよい。
さらに、凹部25に代えて、第1樹脂部材2あるいは第2樹脂部材3を厚さ方向の全体で切り欠いた切り欠きを利用してもよい。
[実施の形態8]
図10は、本発明の実施の形態8(実施の形態6の変形例2)に係る樹脂製接合品1およびその製造方法を示す説明図である。なお、本例の基本的な構成は、図7および図8を参照し説明した構成と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
図10に示すように、本形態の樹脂製接合品1でも、上記実施形態と同様、第1樹脂部材2の接合面20(第1接合面)には、液体流路13を形成するための微細な液体流路形成溝23が形成されている。また、第1樹脂部材2の接合面20では、液体流路13を避けた領域に円形の凹部26(別の凹部)が形成されている。本形態において、凹部26の深さは40μm程度である。その他の構成は、上記実施の形態6と同様であるため、説明を省略する。
かかる構成によれば、第1樹脂部材2の接合面20に凹部26が形成されている分、接合面20、30の接触面積が狭い。従って、第1樹脂部材2の接合面20と第2樹脂部材3の接合面30とを熱接合する際、同一の力を加えたときでも、接触個所に加わる圧力が大きい。それ故、第1樹脂部材2の接合面20と第2樹脂部材3の接合面30とを確実に熱接合することができる。
また、第1樹脂部材2の接合面20と第2樹脂部材3の接合面30との間の接合の不具合部分を介して液体流路13から液体試料が漏れようとした際、かかる液体試料は凹部26に溜まることになる。従って、樹脂製接合品1の側面113、114まで液体試料が漏れようとするのを確実に防止することができる。
かかる凹部26については、第1樹脂部材2を金型成形する際のイジェクトピンの痕を利用することができる。
なお、凹部26については、液体流路形成溝23と重なる位置を避けた位置であれば、第2樹脂部材3の接合面30に形成してもよい。
[その他の実施の形態]
上記実施の形態6〜8では、第1樹脂部材2の接合面20の縁部分、および第2樹脂部材3の接合面30の縁部分の双方に面取り部を形成したが、いずれか一方のみに面取り部を形成した構成を採用してもよい。この場合、液体流路形成溝23が形成されている第1樹脂部材2に面取り部を形成すれば、第2樹脂部材3については、面取り部などを備えていない単なる平板部材を用いることができるので、コストを低減することができる。
上記実施の形態1〜8では、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3としてアクリル樹脂を用いたが、COC(環状オレフィン・コポリマー)、COP(環状オレフィン・ポリマー)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)などの樹脂を用いてもよい。これらの第1樹脂部材2および第2樹脂部材3を用いた場合、溶剤としては、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジオキサンなどを用いる。
上記実施の形態1〜8では、熱接合工程において、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3をヒータ加熱する方法を採用したが、レーザ加熱や超音波を印加した際の摩擦加熱などを利用して熱接合してもよい。上記実施の形態では、板状の第2樹脂部材3を用いたが、フィルム状の第2樹脂部材3を用いてもよい。
上記実施の形態1〜8では、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3の双方を透光性樹脂により形成したが、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3の一方を透光性樹脂により形成し、他方を黒色等、非透光性の樹脂材料により形成してもよい。また、光学的な検出方法を採用しない場合、第1樹脂部材2および第2樹脂部材3の双方を黒色等、非透光性の樹脂材料により形成してもよい。
1 樹脂製接合品
2 第1樹脂部材
3 第2樹脂部材
13 液体流路
16、17 溝状開口部
18 溝状凹部(凹部)
20 第1樹脂部材の接合面(第1接合面)
30 第2樹脂部材の接合面(第2接合面)
23 液体流路形成溝
181、182 溝状凹部の開口部
211、212、213、214 第1樹脂部材の接合面の縁部分
311、312、313、314 第2樹脂部材の接合面の縁部分

Claims (21)

  1. 第1樹脂部材の第1接合面と第2樹脂部材の第2接合面とが接合され、前記第1接合面および前記第2接合面の少なくとも一方に液体流路形成溝が形成された樹脂製接合品において、
    前記第1接合面および前記第2接合面のうちの少なくとも一方の接合面には、他方の接合面との間に隙間を構成する凹部が、前記第1接合面と前記第2接合面との接合面の縁部分に開口部を有するように形成されていることを特徴とする樹脂製接合品。
  2. 前記第1接合面と前記第2接合面とは熱接合され、かつ、前記凹部の縁では前記第1接合面と前記第2接合面とが溶剤接合されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製接合品。
  3. 前記凹部は、前記第1接合面と前記第2接合面との接合面において前記縁部分より内側の領域から当該縁部分に届くように延在していることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製接合品。
  4. 前記凹部は、溝状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の樹脂製接合品。
  5. 前記凹部は、両端部が前記縁部分で開口していることを特徴とする請求項3または4に記載の樹脂製接合品。
  6. 前記液体流路形成溝および前記凹部は、前記第1接合面および前記第2接合面のうちの一方の接合面のみに形成されていることを特徴とする請求項3乃至5の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  7. 前記凹部は、前記縁部分のうち、前記液体流路形成溝が開口する辺部分と異なる辺部分と前記液体流路形成溝とによって挟まれた領域に形成され、
    前記凹部は、前記縁部分のうち、前記液体流路形成溝が開口する辺部分と同一の辺部分に前記開口部を有していることを特徴とする請求項3乃至6の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  8. 前記凹部は、前記液体流路形成溝を間に挟む両側に形成され、前記液体流路形成溝の開口位置を間に挟む両側に前記開口部を有している請求項7に記載の樹脂製接合品。
  9. 前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材のうちの一方の樹脂部材には、他方の樹脂部材に形成された前記凹部に嵌る凸部が形成されていることを特徴とする請求項3乃至8の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  10. 前記凹部は、前記第1接合面と前記第2接合面との接合面において前記縁部分より内側の領域に形成された部分の断面よりも大きな開口面積を有する前記開口部を少なくとも1つ有していることを特徴とする請求項3乃至9の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  11. 前記凹部が複数形成され、
    前記第1接合面と前記第2接合面との接合面の縁部分のうち、前記液体流路形成溝の開口位置を避けた縁部分に沿って溝状開口部が形成され、
    前記複数の凹部の前記開口部は前記溝状開口部によって繋がっていることを特徴とする請求項3乃至10の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  12. 前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材のうちの一方の樹脂部材には、他方の樹脂部材に形成された前記凹部に平面視で重なる位置に貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項3乃至9の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  13. 前記第1接合面および前記第2接合面のうちの少なくとも一方の接合面の縁部分に沿って面取り部が前記凹部として形成され、
    当該縁部分では、前記面取り部によって前記開口部としての溝状開口部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製接合品。
  14. 前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分の少なくとも一方において前記液体流路形成溝と重なる位置を避けた領域には、前記溝状開口部に連通する別の凹部あるいは切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項13に記載の樹脂製接合品。
  15. 前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分のうち、前記液体流路形成溝が開口する辺部分を避けた縁部分に前記面取り部が形成されていることを特徴とする請求項13または14に記載の樹脂製接合品。
  16. 前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分のうち、相対向する辺部に前記面取り部が形成されていることを特徴とする請求項13乃至15の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  17. 前記第1接合面の縁部分および前記第2接合面の縁部分のうち、最長の辺部を避けた辺部分に前記液体流路形成溝の端部が位置し、前記最長の辺部に対して前記面取り部が形成されていることを特徴とする請求項13乃至16の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  18. 前記第1接合面の側および前記第2接合面の側の双方に前記面取り部が形成されていることを特徴とする請求項13乃至17の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  19. 前記第1接合面および前記第2接合面の少なくとも一方において前記液体流路形成溝と重なる位置を避けた領域には、別の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至18の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  20. 前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材は、アクリル樹脂製であることを特徴とする請求項1乃至19の何れか一項に記載の樹脂製接合品。
  21. 第1樹脂部材の第1接合面と第2樹脂部材の第2接合面とが接合され、前記第1接合面および前記第2接合面の少なくとも一方に液体流路形成溝が形成された樹脂製接合品の製造方法において、
    前記第1接合面および前記第2接合面のうちの少なくとも一方の接合面には、他方の接合面との間に隙間を構成する凹部を前記第1接合面と前記第2接合面との接合面の縁部分に開口部を有するように形成しておく樹脂部材形成工程と、
    前記第1接合面と前記第2接合面とを熱接合する熱接合工程と、
    前記開口部から前記凹部内に溶剤を供給して前記第1接合面と前記第2接合面とを溶剤接合する溶剤接合工程と、
    を有することを特徴とする樹脂製接合品の製造方法。
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