JP2010131328A - 嗜好判別装置、嗜好判別方法、嗜好判別プログラム、及び脳波解析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被験者の負担にならない簡易脳波計を用いて脳波を測定することで、被験者の嗜好および/または生理的状態を簡単に判別することができる嗜好判別装置、嗜好判別方法、嗜好判別プログラム、及び脳波解析方法を提供する。
【解決手段】 刺激発生部7は、被験者が好む匂い刺激を発生する。簡易脳波計2は、装着した被験者の脳波を測定する。処理部5内のデータ行列作成部51は、測定した脳波データについて高速フーリエ変換による周波数解析を行う。データ行列作成部51は、高速フーリエ変換を行った脳波データから、行が時間、列が周波数成分のデータ行列を作成する。特徴値抽出部52は、作成したデータ行列から、因子分析により特徴値の抽出を行う。制御部53は、抽出した特徴値について、データベース6にあらかじめ格納されている、分類テーブルを参照して、好む匂いか嫌いな匂いかの嗜好を判定する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、脳波から人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を判別する嗜好判別装置、嗜好判別方法、嗜好判別プログラム、及び脳波解析方法に関する。
近年、個人の嗜好を考慮したサービスが提供されている。それに伴い、個人の嗜好、感性の取得に関する研究が盛んに行われている。嗜好を取得するために、アンケートなどの主観的指標を用いる方法や、生体信号等の生理的指標を用いる方法がある。特に生理的指標を用いる方法の場合、物理量を数値化することができるため、客観的で工学的なアプローチが可能である。
生体信号のひとつである脳波を指標に用い、人間の生理状態を推定する方法はよく知られている。しかし、脳波は微弱信号であるため、瞬き等でノイズがのりやすく、解析が難しい。更に、脳波は個人差が大きいため、従来の解析法では、例えば好きなにおいでの脳波の傾向、分布が一様に定まらなかった。
また、現在主に使われている脳波計は、装置自体が大型であり、装着する被験者にかかる負担が大きく、脳波計を装着しない場合の脳波と異なる測定値が出る可能性がある。
本発明者は、嗜好の判定のひとつとして、匂い刺激を与えたときの被験者の脳波を解析して特徴値を算出し、その被験者が好む匂いと好まない匂いとで特徴値が異なり、分類出来ることを見出した(非特許文献1参照)。
また、現在主に使われている脳波計は、装置自体が大型であり、装着する被験者にかかる負担が大きく、脳波計を装着しない場合の脳波と異なる測定値が出る可能性がある。
本発明者は、嗜好の判定のひとつとして、匂い刺激を与えたときの被験者の脳波を解析して特徴値を算出し、その被験者が好む匂いと好まない匂いとで特徴値が異なり、分類出来ることを見出した(非特許文献1参照)。
横松恵理子、伊藤伸一、満倉靖恵、曹建庭、福見稔、「因子分析を用いた嗜好の取得」、平成19年電気学会産業応用部門大会、社団法人電気学会、p.II-407-410
しかし、非特許文献1の技術において、被験者の脳波の特徴値を抽出しているが、特徴値の傾向が各人により異なり、例えば同じ好きなにおいを嗅いでいるときでも、各人によって特徴値の数値が異なる。よって、ある嗜好における一般的な傾向が一様に定まっていないために、未知の嗜好に対する被験者の脳波から、嗜好を判定することが困難であった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたもので、被験者の負担にならない簡易脳波計を用いて脳波を測定することで、被験者の嗜好および/または生理的状態を簡単に判別することができる嗜好判別装置、嗜好判別方法、嗜好判別プログラム、及び脳波解析方法を提供することを目的としている。
本発明はこのような点に鑑みてなされたもので、被験者の負担にならない簡易脳波計を用いて脳波を測定することで、被験者の嗜好および/または生理的状態を簡単に判別することができる嗜好判別装置、嗜好判別方法、嗜好判別プログラム、及び脳波解析方法を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために、請求項1記載の嗜好判別装置は、脳波から、人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を判別する嗜好判別装置において、脳波を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された脳波を周波数解析し、前記脳波のデータ行列を作成するデータ行列作成手段と、前記データ行列作成手段で作成されたデータ行列を多変量解析し、前記脳波の特徴値を抽出する特徴値抽出手段と、当該特徴値のデータ集合を複数個格納するデータベースとを有し、前記データベースに格納されている前記特徴値のデータ集合に基づいて、前記特徴値抽出手段により抽出された前記特徴値から、当該脳波における人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を判断することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の嗜好判別装置において、前記データ行列作成手段が、周波数解析した脳波から、行を時間、列を周波数とするデータ行列を作成することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の嗜好判別装置において、前記多変量解析が、因子分析であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の嗜好判別装置において、前記特徴値抽出手段により抽出される特徴値が、前記因子分析により算出された因子得点であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の嗜好判別装置において、前記データベースが、人間のある生理的状態および/またはある刺激に対する人間の嗜好に対応した各特徴値のデータ集合を格納することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1記載の嗜好判別装置において、前記検出手段が、国際10-20法で定めるFp1の部位で脳波を測定し検出することを特徴とする。
請求項7記載の嗜好判別方法は、脳波から、人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を判別する嗜好判別方法において、脳波を検出するステップと、検出された前記脳波を周波数解析し、前記脳波に対するデータ行列を作成するステップと、データ行列を多変量解析し、前記脳波の特徴値を抽出するステップと、特徴値のデータ集合に基づいて、抽出された前記特徴値から、当該脳波における嗜好を判断するステップとを有することを特徴とする。
請求項8記載の嗜好判別プログラムは、脳波から、人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を判別するプログラムであって、脳波を検出するステップと、検出された前記脳波を周波数解析し、前記脳波に対するデータ行列を作成するステップと、データ行列を多変量解析し、前記脳波の特徴値を抽出するステップと、複数の特定の嗜好に対応した特徴値のデータ範囲に基づいて、抽出された前記特徴値から、当該脳波における嗜好および/または生理的状態を判断するステップとを実行させる。
請求項9記載の脳波解析装置は、脳波から、人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を解析する脳波解析装置において、脳波を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された脳波を周波数解析し、前記脳波のデータ行列を作成するデータ行列作成手段と、前記データ行列作成手段で作成されたデータ行列を多変量解析し、前記脳波の特徴値を抽出する特徴値抽出手段とを有することを特徴とする。
請求項10記載の脳波解析方法は、脳波から、人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を解析する脳波解析方法において、脳波を検出するステップと、検出された前記脳波を周波数解析し、前記脳波に対するデータ行列を作成するステップと、データ行列を多変量解析し、前記脳波の特徴値を抽出するステップとを有することを特徴とする。
本発明の嗜好判別装置によれば、多変量解析を行うことにより、データベースに格納されている特徴値のデータ集合が、各種の嗜好、生理的状態によりそれぞれ傾向を持っているため、検出した未知の脳波から抽出した特徴値の嗜好あるいは生理的状態を簡単に判別することができる。
また、請求項2記載の本発明によれば、行を時間、列を周波数とするデータ行列を作成することで、被験者に因らず一般的な嗜好の分布を測定することが出来る。
また、請求項3記載の本発明によれば、脳波のデータ行列を因子分析を用いて解析することにより、より嗜好の判別がしやすい脳波の特徴値を抽出することができる。
また、請求項4記載の本発明によれば、特徴値が因子分析により算出された因子得点であるため、人間の嗜好および生理的状態が簡単に判別することができる。
また、請求項5記載の本発明によれば、データベースに特徴値のデータ集合を格納しているので、未知の脳波の特徴値に対して、その脳波の示す嗜好を判別することが出来る。
また、請求項6記載の本発明によれば、Fp1の部位で脳波を測定し検出することで、被験者が簡易脳波計を装着すればよく、測定時の脳波計装着ストレスによる脳波のノイズを軽減することが出来る。
本発明の嗜好判別方法によれば、多変量解析を行うことにより、データベースに格納されている特徴値のデータ集合が、各種の嗜好、生理的状態によりそれぞれ傾向を持っているため、検出した未知の脳波から抽出した特徴値の嗜好あるいは生理的状態を簡単に判別することができる。
本発明の嗜好判別プログラムによれば、多変量解析を行うことにより、データベースに格納されている特徴値のデータ集合が、各種の嗜好、生理的状態によりそれぞれ傾向を持っているため、検出した未知の脳波から抽出した特徴値の嗜好あるいは生理的状態を簡単に判別することができる。
本発明の脳波解析装置によれば、多変量解析を行うことにより、データベースに格納されている特徴値のデータ集合が、各種の嗜好、生理的状態によりそれぞれ傾向を持つことができる。
本発明の脳波解析方法によれば、多変量解析を行うことにより、データベースに格納されている特徴値のデータ集合が、各種の嗜好、生理的状態によりそれぞれ傾向を持つことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る嗜好判別装置100の概略構成を示すブロック図である。
簡易脳波計2(検出手段)は被験者の脳波を測定する。簡易脳波計2は、被験者の頭部、国際10-20法におけるFp1に当たる箇所(左前部前頭葉)に、センサバンドで固定された電極が接する構造となっている。Fp1に当たる箇所は、本装置における嗜好判別に十分な脳波が発生する箇所である。Fp1は一般に感情や情動に関する反応を計測することが出来ることが知られている。
簡易脳波計2での測定は、電気的に不活性な耳朶(本発明は左耳朶)に電極を装着し、電気的に活性な頭皮上にもう一方の電極を装着して二極間の電位差の変動を導出する単極誘導法によって計測する。単極誘導法は、脳の各部位の電気的活動を観察するのに適している。
図1は、本発明の一実施形態に係る嗜好判別装置100の概略構成を示すブロック図である。
簡易脳波計2(検出手段)は被験者の脳波を測定する。簡易脳波計2は、被験者の頭部、国際10-20法におけるFp1に当たる箇所(左前部前頭葉)に、センサバンドで固定された電極が接する構造となっている。Fp1に当たる箇所は、本装置における嗜好判別に十分な脳波が発生する箇所である。Fp1は一般に感情や情動に関する反応を計測することが出来ることが知られている。
簡易脳波計2での測定は、電気的に不活性な耳朶(本発明は左耳朶)に電極を装着し、電気的に活性な頭皮上にもう一方の電極を装着して二極間の電位差の変動を導出する単極誘導法によって計測する。単極誘導法は、脳の各部位の電気的活動を観察するのに適している。
メモリ3は、ワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。
情報記憶媒体4(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部5は、情報記憶媒体4に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体4には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
情報記憶媒体4(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部5は、情報記憶媒体4に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体4には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
処理部5はデータ行列作成部51、特徴値抽出部52、制御部53を含む。処理部5(プロセッサ)は、情報記憶媒体4に記憶されるプログラム等に基づいて、所与の処理を行う。また、処理部5はメモリ3をワーク領域として各種処理を行う。処理部5の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
データベース6は、処理部5で計算した特徴値のデータ集合を格納、蓄積する。特徴値の数値範囲により、「好む匂い」「嫌いな匂い」「薬を飲んでいる」「飲酒している」等といった分類テーブルを有している。
データベース6は、処理部5で計算した特徴値のデータ集合を格納、蓄積する。特徴値の数値範囲により、「好む匂い」「嫌いな匂い」「薬を飲んでいる」「飲酒している」等といった分類テーブルを有している。
刺激発生部7は被験者の脳波に影響する何らかの刺激を発生させる。本実施例では匂い刺激を発生させる。なお、刺激発生部7は、制御部53により制御される構成でもよい。
脳波の特徴値の抽出、データベースへの格納における嗜好判別装置100の動作の一例として、被験者が好む匂い刺激を与えた場合について図2を参照して説明する。
まず、刺激発生部7は、被験者が好む匂い刺激を発生する(ステップS10)。簡易脳波計2は、装着した被験者の脳波を測定する(ステップS11)。この時の刺激発生は、無臭状態が15秒、次に刺激発生部7で匂い刺激を発生する時間が30秒、その後匂い刺激を取り除いた無臭状態が15秒の計1分間である。
次に、処理部5内のデータ行列作成部51は、測定した脳波データについて高速フーリエ変換による周波数解析を行う(ステップS13)。高速フーリエ変換は、サンプリング周波数128Hzで1秒間毎に行う。出力される周波数範囲は1Hz間隔で1-24Hzであるが、本装置は4-22Hzのバンドパスフィルタを用いるため、有効となる周波数範囲は4-22Hzである。また、脳波データは、計測の状態が安定したと考えられる、計測開始5秒後から計測終了5秒前の50秒間を用いる。
次にデータ行列作成部51は、高速フーリエ変換を行った脳波データから、行が時間、列が周波数成分のn×mデータ行列を作成する(ステップS15)。
まず、刺激発生部7は、被験者が好む匂い刺激を発生する(ステップS10)。簡易脳波計2は、装着した被験者の脳波を測定する(ステップS11)。この時の刺激発生は、無臭状態が15秒、次に刺激発生部7で匂い刺激を発生する時間が30秒、その後匂い刺激を取り除いた無臭状態が15秒の計1分間である。
次に、処理部5内のデータ行列作成部51は、測定した脳波データについて高速フーリエ変換による周波数解析を行う(ステップS13)。高速フーリエ変換は、サンプリング周波数128Hzで1秒間毎に行う。出力される周波数範囲は1Hz間隔で1-24Hzであるが、本装置は4-22Hzのバンドパスフィルタを用いるため、有効となる周波数範囲は4-22Hzである。また、脳波データは、計測の状態が安定したと考えられる、計測開始5秒後から計測終了5秒前の50秒間を用いる。
次にデータ行列作成部51は、高速フーリエ変換を行った脳波データから、行が時間、列が周波数成分のn×mデータ行列を作成する(ステップS15)。
次に、特徴値抽出部52は、ステップS15でデータ行列作成部51が作成したデータ行列から、因子分析により特徴値の抽出を行う(ステップS17)。因子分析については後述する。
処理部5は、抽出した特徴値をデータベース6に「好む匂い」として格納する(ステップS19)。
処理部5は、抽出した特徴値をデータベース6に「好む匂い」として格納する(ステップS19)。
図3に因子分析のモデルを示す。因子分析は、多変量間の相関関係を、少数の潜在的な因子によって説明するための統計的手法である。つまり、あるいくつかの変量の中にみられる変動の共通部分について明らかにしようとする手法である。変量とは実際に測定された変動、共通因子とはn個1組の変量を表すのに共通に用いられる仮説的変動を表すものであり、独自因子とはn個の変量のそれぞれに対応して考えられている固有の変動を表すものである。
本発明では因子分析を用いることで、測定した脳波データにおけるノイズを効果的に取り除き、嗜好の分布を一般化することができるので、嗜好の判別を容易にすることができる。
本発明では因子分析を用いることで、測定した脳波データにおけるノイズを効果的に取り除き、嗜好の分布を一般化することができるので、嗜好の判別を容易にすることができる。
ステップS17の特徴値抽出方法である因子分析での解析手法について、図3を参照して説明する。まず、ステップS15で作成されたデータ行列xij(変量jについての個体iの測定値)について、変量jの平均を用い、(1)式に従い正規化する(ステップS201)。なお、本実施例での変量は時間、個体は周波数である。
次に、正規化したデータ行列Zから(2)式より相関行列Rを求める。相関行列Rの各成分は(3)式より求められる(ステップS203)。
次に、重相関係数の平方(SMC)を用いて(4)式より共通性の推定値を求め、ステップS203で求めた相関係数の対角成分に代入する(ステップS205)。ここで、r(j)は相関行列Rの第j列成分からなるベクトルのj番目の成分1を除いたベクトル、R(j)はもとの相関行列Rから,そのj行とj列にあたる成分をすべて取り除いた行列である。
重相関係数は、2つ以上の変量の1次結合としてできる合成変量と、他のもう1つの変量との相関を表し、特に本発明では、重相関係数が最大となるように1次結合の重みが選ばれている。
次に、共通性の推定値が対角成分に代入された相関行列を固有値分解し、主因子法を用いて(5)式により因子を抽出する(ステップS207)。
次に、共通性の推定値が対角成分に代入された相関行列を固有値分解し、主因子法を用いて(5)式により因子を抽出する(ステップS207)。
求めた因子のうち、寄与率が60%となる第5因子までを用いて、(6)式を最大にするバリマックス回転を行う(ステップS209)。
そして、最小二乗法により因子得点Fを求めることで(ステップS211)、特徴値を抽出する。
本発明では、求めた因子のうち、第1因子または第2因子が匂い刺激の影響を表す因子であると仮定した。
図5A、Bおよび図6A、Bは、4人の被験者についての、周波数に対する因子得点の定常状態からの変化量を示す。因子得点は第1因子(実線)および第2因子(点線)について示している。図5は好む匂い刺激を与えたときの結果、図6は嫌いな匂い刺激を与えたときの結果である。
図5および図6より、好む匂い刺激を与えたときは第2因子の因子得点が6〜8Hzの間で急激に低下しており、下に凸となっている。それに対し、嫌いな匂い刺激を与えたときは、第2因子の因子得点が同じ6〜8Hzの間で上に凸となっている。また、被験者毎に比較すると、好む匂い刺激を与えた場合と嫌いな匂い刺激を与えた場合とで、周波数軸に対してほぼ対称となっている。
図5A、Bおよび図6A、Bは、4人の被験者についての、周波数に対する因子得点の定常状態からの変化量を示す。因子得点は第1因子(実線)および第2因子(点線)について示している。図5は好む匂い刺激を与えたときの結果、図6は嫌いな匂い刺激を与えたときの結果である。
図5および図6より、好む匂い刺激を与えたときは第2因子の因子得点が6〜8Hzの間で急激に低下しており、下に凸となっている。それに対し、嫌いな匂い刺激を与えたときは、第2因子の因子得点が同じ6〜8Hzの間で上に凸となっている。また、被験者毎に比較すると、好む匂い刺激を与えた場合と嫌いな匂い刺激を与えた場合とで、周波数軸に対してほぼ対称となっている。
好む匂い刺激における傾向や分布を明確にするために、図5で表示した第1因子及び第2因子の値をニューラルネットワークに入力した場合の、中間ユニットの値2つをX軸とY軸にして、4人の被験者について図7に表示する。図7で、neutralは定常状態、fragranceは好む匂い刺激を与えたときの分布である。
図7より、好む匂い刺激を与えたときは、各被験者ともほぼ同様の位置に分布しており、好む匂い刺激を与えられたときの脳波に対して本発明の解析手法を用いれば、被験者に因らない一般化した傾向を判別することができる。
図7より、好む匂い刺激を与えたときは、各被験者ともほぼ同様の位置に分布しており、好む匂い刺激を与えられたときの脳波に対して本発明の解析手法を用いれば、被験者に因らない一般化した傾向を判別することができる。
次に、脳波から被験者の嗜好を判定する嗜好判別装置100の動作の一例として、被験者の嗜好が未知の、匂い刺激を与えた場合について図9を参照して説明する。
刺激発生部7は匂い刺激を発生する(ステップS30)。簡易脳波計2は、装着した被験者の脳波を測定する(ステップS31)。この時の刺激発生時間は実施例1と同様である。
処理部5は、測定した脳波データを解析して、因子分析により特徴値を抽出する(ステップS33)。解析動作の詳細は、図2のステップS13〜S17と同様であるので説明を省略する。
処理部5の制御部53は、ステップS33で特徴値抽出部52が抽出した特徴値について、データベース6にあらかじめ格納されている、特徴値の数値範囲と「好む匂い」または「嫌いな匂い」が対応した分類テーブルを参照して、嗜好を判定する(ステップS35)。
刺激発生部7は匂い刺激を発生する(ステップS30)。簡易脳波計2は、装着した被験者の脳波を測定する(ステップS31)。この時の刺激発生時間は実施例1と同様である。
処理部5は、測定した脳波データを解析して、因子分析により特徴値を抽出する(ステップS33)。解析動作の詳細は、図2のステップS13〜S17と同様であるので説明を省略する。
処理部5の制御部53は、ステップS33で特徴値抽出部52が抽出した特徴値について、データベース6にあらかじめ格納されている、特徴値の数値範囲と「好む匂い」または「嫌いな匂い」が対応した分類テーブルを参照して、嗜好を判定する(ステップS35)。
図10に、被験者1〜7について、未知の嗜好の匂い刺激を測定して嗜好を判定した際の、嗜好判定装置100の認識率を示す。図10より、特に嫌いな匂いに対する認識率が高いことが判る。好む匂いの認識率は、2人の被験者で認識率がよくなかったが、これは「好む匂い」のサンプルが1種類しかなかったため、個人の匂いに対する好みの違いが表れてしまったと推察される。
以上説明したように、本実施形態によれば、匂い刺激を与えた被験者の脳波を高速フーリエ変換し、行が時間、列が周波数成分のデータ行列を作成して、因子分析により特徴値である因子得点を求める。これにより、被験者に因らず一般的な嗜好の傾向、分布を測定することが出来る。また、未知の嗜好に対して被験者に匂い刺激を与えた場合に、データベースにあらかじめ格納している嗜好の傾向を参照して、被験者の嗜好を判定することが出来る。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上記実施形態では、匂いの嗜好の判定について説明したが、本発明はその他に、食欲のわく匂い、薬を飲んでいる、飲酒している、メガネの矯正視力が合っていない、食欲がある、喫煙している、排泄をしたい、といった嗜好、生理的状態についても、算出した特徴値のデータ集合がそれぞれ傾向を持っている。そのため、未知の脳波について特徴値を抽出すれば、それぞれの嗜好、生理的状態を判定することができる。
例えば、車の運転をしているドライバーの脳波について本発明を適用すれば、飲酒の有無が判定できるので、ドライバーがごまかしても飲酒を発覚でき、飲酒運転の撲滅に役立つ。また、メガネの矯正時に装用者の脳波を測定して本発明を適用すれば、装用者にとって正しい矯正になっているのかを判定することが出来る。
100 嗜好判別装置
2 簡易脳波計
3 メモリ
4 情報記憶媒体
5 処理部
51 データ行列作成部
52 特徴値抽出部
53 制御部
6 データベース
2 簡易脳波計
3 メモリ
4 情報記憶媒体
5 処理部
51 データ行列作成部
52 特徴値抽出部
53 制御部
6 データベース
Claims (10)
- 脳波から、人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を判別する嗜好判別装置において、
脳波を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された脳波を周波数解析し、前記脳波のデータ行列を作成するデータ行列作成手段と、
前記データ行列作成手段で作成されたデータ行列を多変量解析し、前記脳波の特徴値を抽出する特徴値抽出手段と、
当該特徴値のデータ集合を複数個格納するデータベースとを有し、
前記データベースに格納されている前記特徴値のデータ集合に基づいて、前記特徴値抽出手段により抽出された前記特徴値から、当該脳波における人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を判断する
ことを特徴とする嗜好判別装置。 - 前記データ行列作成手段が、周波数解析した脳波から、行を時間、列を周波数とするデータ行列を作成する
ことを特徴とする請求項1記載の嗜好判別装置。 - 前記多変量解析が、因子分析である
ことを特徴とする請求項1記載の嗜好判別装置。 - 前記特徴値抽出手段により抽出される特徴値が、前記因子分析により算出された因子得点である
ことを特徴とする請求項1〜3に記載の嗜好判別装置。 - 前記データベースが、人間のある生理的状態および/またはある刺激に対する人間の嗜好に対応した各特徴値のデータ集合を格納する
ことを特徴とする請求項1記載の嗜好判別装置。 - 前記検出手段が、国際10-20法で定めるFp1の部位で脳波を測定し検出することを特徴とする請求項1記載の嗜好判別装置。
- 脳波から、人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を判別する嗜好判別方法において、
脳波を検出するステップと、
検出された前記脳波を周波数解析し、前記脳波に対するデータ行列を作成するステップと、
データ行列を多変量解析し、前記脳波の特徴値を抽出するステップと、
特徴値のデータ集合に基づいて、抽出された前記特徴値から、当該脳波における嗜好を判断するステップと
を有することを特徴とする嗜好判別方法。 - 脳波から、人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を判別するプログラムであって、
脳波を検出するステップと、
検出された前記脳波を周波数解析し、前記脳波に対するデータ行列を作成するステップと、
データ行列を多変量解析し、前記脳波の特徴値を抽出するステップと、
複数の特定の嗜好に対応した特徴値のデータ範囲に基づいて、抽出された前記特徴値から、当該脳波における嗜好および/または生理的状態を判断するステップと
を実行させるための嗜好判別プログラム。 - 脳波から、人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を解析する脳波解析装置において、
脳波を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された脳波を周波数解析し、前記脳波のデータ行列を作成するデータ行列作成手段と、
前記データ行列作成手段で作成されたデータ行列を多変量解析し、前記脳波の特徴値を抽出する特徴値抽出手段と
を有することを特徴とする脳波解析装置。 - 脳波から、人間の生理的状態および/または刺激に対する人間の嗜好を解析する脳波解析方法において、
脳波を検出するステップと、
検出された前記脳波を周波数解析し、前記脳波に対するデータ行列を作成するステップと、
データ行列を多変量解析し、前記脳波の特徴値を抽出するステップと
を有することを特徴とする脳波解析方法。
Priority Applications (1)
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